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第2章 日本、世界のこれからの20年

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現在、そしてこれからの20年に、次のような3つの大きな潮流がある。

  • 日本の人口減少・高齢化の急速な進展
  • 知識社会・情報化社会及びグローバル化の爆発的進展
  • 地球の持続可能性を脅かす課題の増大

これらは既に我々が直面しているものであるが、今後益々その流れが加速されることが予測、予見されている。どれもが世界的に過去に経験のない新たな潮流である。

1.日本の人口減少・高齢化の急速な進展

2005年に我が国の総人口は減少に転じ、人口減少社会は既に現実のものとなっている。

とりわけ、今後いわゆる「団塊の世代」が定年を迎える等、現在の統計上の定義に基づく生産年齢人口(15歳から64歳までの人口)が急激に減少することが予測されており、2025年までに約1,350万人が減少する見込みである。

65歳以上の高齢者1人に対する生産年齢人口(15歳から64歳までの人口)は2005年には3.3人であったが、2025年にはその比率がおよそ1:2になると予測されている。これは、1人の高齢者を支える労働力が20年後には大幅に減少することを意味している。

人口減少・高齢化が進展する中においては、働く意欲のある女性・高齢者の活用や生産性の向上が達成されなければ、潜在成長率は低下することになる。

他方、BRICs(注1) 等の新興国、とりわけ中国やインドに代表されるアジアの著しい経済成長により、世界の経済勢力地図は大きく変化することが予想されている。

その際、中国やインドの経済成長を単に脅威ととらえるのではなく、新たな巨大市場が出現するこれらの国といかに協働、協調して共に世界の経済成長の一翼を担えるかに日本の経済的地位の将来がかかっているといえる。

2.知識社会・情報化社会及びグローバル化の爆発的進展

20世紀後半のグローバル化は貿易、現地生産といったいわば企業活動のグローバル化であったといえる。

今日のグローバル化はかつてのそれとは比べようもない規模、スピードで進展しているが、その最大の要因はいわゆる情報化社会の進展である。世界中の消費者が外国の商品やサービス(医療や教育も含む)に容易にアクセスできるため、供給者側には常に「世界を知る」消費者を念頭においた行動が求められている。

これからのグローバル化のもう1つの大きな特徴は知識・頭脳をめぐる世界大競争である。IT、ナノテクノロジー、バイオテクノロジー等の分野における科学技術の進展のスピードは自国内の人的資源だけでは到底追いつけるものではなく、各国が世界中の頭脳獲得にしのぎを削っている。

以上のようなグローバル化の進展は今後益々加速されていくことは間違いない。一方、こうしたグローバル化の進展により、国際的な競争に乗り遅れた途上国は貧困から脱出できず、南北格差が拡大する可能性もある。

3.地球の持続可能性を脅かす課題の増大


<人口問題>

世界の人口は今後も爆発的な増加を続け、2025年には約80億人に到達する見込みである。このうち、中国やインド等で莫大な人口を抱えるアジア地域に約47億人が集中するとの予測がなされている。

このような人口増加が、以下に述べる現在既に顕在化しつつある地球の持続可能性を脅かす様々な課題を深刻化させていくことへの懸念が強まっている。


<資源・エネルギー問題>

世界人口の増加に伴い、資源・エネルギー需要が急激に増加することが予想される。特に、今後高い経済成長が見込まれるアジア地域においてこの問題は顕著である。中国は、現時点で既に我が国を抜いて世界第二位のエネルギー消費国であり、2030年には石油需要の80%を海外からの輸入に依存するとの見通しもある。

こうした資源・エネルギー消費の増大は、国際市場の需給の逼迫化を通じて我が国経済に影響を及ぼすと同時に、後述する環境問題にも極めて大きく影響する。


<気候変動、環境問題>

エネルギー消費の多くが現在のように化石燃料系資源で賄われるとすると、その増加は温室効果ガスの放出量増加に直結することとなる。

地球規模の気候変動については、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第4次評価報告書(2007年2月、4月、5月)においては、過去100年間に地上平均気温が0.74℃上昇したことや、海面水位の上昇、大雨の頻度の増加等の実態が報告され、地球温暖化の原因が人為起源の温室効果ガスの増加によるものとほぼ断定された。また、将来的な気候変動として、1980年から1999年までに比べ、21世紀末(2090〜2099年)の平均気温の予測上昇量は1.8〜4℃(予測幅1.1〜6.4℃)となり、洪水と暴風雨、高潮によるリスクが増加すること等が予測されている。

さらに、世界的な人口増加、経済成長が地球規模での問題のみならず地域的な環境悪化をもたらすことも懸念されている。この地域的な環境悪化は、経済成長が著しく、さらに大きな人口を抱え、都市化が進むアジア地域で特に顕著となる可能性が高い。


<水問題、食料問題>

人口増加と地球温暖化の進展に伴い、水利用の不安定化が懸念されており、2025年には世界で40億人が水ストレスにさらされるとの予想もある。

また、食料問題については、世界の栄養不足人口は減少すると予測されているが、アフリカ等最貧国(地域)では、依然厳しい状況が予想されている。


<テロ問題>

2001年9月11日の米国同時多発テロ以降、米国等によるテロとの戦いが続く中、今やテロ問題は特定国だけの問題ではなく世界中の問題となっており、テロの脅威が消滅する見通しを立てることは困難な状況にある。


<感染症問題>

グローバル化が進む中で、人、動物、モノが従来以上に頻繁に迅速に国際間を移動する状況下では、世界のどの地域で感染症が発生しても、我が国への病原体の侵入、感染患者・動物の侵入が短時間に起こりうる状況にある。また、発展途上国の人口増加や開発による経済成長が新たな感染症を生み出す要因の1つとなっている。新興・再興感染症の世界への影響は今後益々高まっていくことが予想される。

注1: ブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)。