イノベーション25ホーム
新着情報
イノベーション25とは
活動報告
国内外の政策
資料室
ご意見・ご感想はこちら
キッズページ

イノベー君

科学技術政策トップページへ

2.技術革新戦略ロードマップ

PDFファイルで第5章2.前半を見る
PDFファイルで図を見る
PDFファイルで第5章2.後半を見る


本技術革新戦略ロードマップは、基礎研究から科学技術の社会適用までの全体を俯瞰して、実証を通じて技術の効果等を示す「社会還元加速プロジェクト」、政策課題に対応するため、選択・集中的に実施する「分野別の戦略的な研究開発の推進」、イノベーションの種を生み出す独創性の高い挑戦的な「基礎研究」の3層構造で形成されるものである。

第3期科学技術基本計画に沿って、重複や無駄の排除、選択と集中による重点化を徹底しつつ、これらの施策を着実に推進するものとする。


(1)社会還元を加速するプロジェクトの推進


イノベーションを国民一人ひとりが実感するためには、

  • 様々な要素技術の開発とその融合
  • 融合技術の実証研究による社会システムとしての実効性の検証
  • 社会へ定着させるために必要な仕組みの構築

といった過程を経ることが必要である。このため、比較的近い将来に実証研究段階に達するいくつかの技術を融合し、今後国が主体的に進めていく先駆的なモデルとして「社会還元加速プロジェクト」を総合科学技術会議が司令塔となって関係府省、官民の連携の下で推進し、実証研究を通して成果の社会還元を加速する。


[1]社会還元加速プロジェクトの特徴

社会還元加速プロジェクトは以下のような特徴を持つこととする。

  • 異分野技術融合:異分野技術を融合させたプロジェクトであること。
  • 官民協力、府省融合:官民協力、異業種連携、府省融合の仕組みを強化したプロジェクトであること。
  • システム改革:規制改革、公的部門における新技術の活用促進等のシステム改革を包含しているプロジェクトであること。
  • 技術の社会システムとしての実証:先駆的なモデル事業であることに鑑み、5年以内にシステムとしての実効性の検証を行うための実証研究(暮らし方、働き方等、社会の変わる姿を国民に提示)が開始されるプロジェクトであること。

[2]社会還元加速プロジェクトの進め方

以下の例のような推進策によりプロジェクトを進める。

  • プロジェクトを一元的に推進するための体制。
  • 採択時に複数のチームがプロジェクト案を競い合う体制。
  • 当初よりチェックアンドレビューが行われる体制の整備(外部評価委員会の設置等)。
  • モデル地域を設定した実証研究の実施。必要に応じて試行的に特区制度の活用を検討。

[3]早急に開始すべき社会還元加速プロジェクト

第4章に掲げた社会の姿を目に見える形で実現していくため、国が主体的に進めていく先駆的なプロジェクトの例として、以下のようなプロジェクトを早急に実施する。

  • 「生涯健康な社会」を目指して
    失われた人体機能を補助・再生する医療の実現
  • 「安全・安心な社会」を目指して
    - きめ細かい災害情報を国民一人ひとりに届けるとともに災害対応に役立つ情報通信システムの構築
    - 情報通信技術を用いた安全で効率的な道路交通システムの実現
  • 「多様な人生を送れる社会」を目指して
    高齢者・有病者・障害者への先進的な在宅医療・介護の実現
  • 「世界的課題解決に貢献する社会」を目指して
    環境・エネルギー問題等の解決に貢献するバイオマス資源の総合利活用
  • 「世界に開かれた社会」を目指して
    言語の壁を乗り越える音声コミュニケーション技術の実現

(2)分野別の戦略的な研究開発の推進


限られた資源の中で政策課題に適確に対応するためには、個別分野毎に最先端の科学技術等に関する研究開発を選択的かつ集中的に実施することが必要である。ここでは、第4章で示された5つの社会実現へ向けた研究開発ロードマップを以下に示す。この際、2006年3月に総合科学技術会議が策定した「分野別推進戦略」を基本とし、「戦略重点科学技術」を中心として5つの社会実現に向けた研究開発ロードマップを策定した。

このロードマップを指針として、今後、研究開発を推進することとする。また、本ロードマップについては、科学技術基本計画の改定と合わせて、所要の見直しを行うことを原則とし、技術動向、社会環境の変化等をも考慮し、PDCAサイクルの下で必要に応じ柔軟に修正を行っていくこととする。


なお、分野別の戦略的な研究開発を推進するに際し、特に以下の事項について所要の措置を講じていくことが必要である。



<ライフサイエンス>
  • 臨床研究・臨床への橋渡し研究推進のための体制整備 −臨床研究者・臨床研究支援人材の確保と育成 −臨床研究、橋渡し研究の支援体制整備 −医薬品・医療機器の承認審査の迅速化・質の向上のための基盤整備
  • 成果に関する国民理解の促進 −生命倫理、遺伝子診断、遺伝子組換え作物
  • 医療におけるITの活用
  • 安全の確保のためのライフサイエンスの推進 −食品供給過程(フードチェーン)全般におけるリスク分析に資する研究開発の推進 等

<情報通信>
  • 世界最高水準の安全・安心な情報通信インフラの構築(高セキュリティ環境の整備等)
  • 最先端の計算科学技術基盤の実現とソフトウェア開発人材の育成
  • 国際標準化活動に対する取組強化
  • テストベッドの積極的な活用により実証実験、実用に向けた技術移転、人材交流の加速化
  • 数学、物理等の基礎から実用までの幅広い研究開発を視野に入れた戦略的な取組の推進 等

<環境>
  • 国際リーダーとしての率先的な取組と世界への貢献
  • 人文社会科学と自然科学の融合分野の研究者育成
  • 各国及び産学官・府省間・機関間の連携強化 −地球観測、バイオマスの総合的利用・地方公共団体や地域的取組との連携 等

<ナノテクノロジー・材料>
  • 学際領域・融合領域における教育等人材育成、拠点形成
  • 社会受容を促すための積極的な取組
  • 知的財産確保のための戦略的な取組 等

<エネルギー>
  • 研究開発と普及対策との連携強化、成果の国際展開等による社会還元促進
  • 大規模プロジェクトにおけるプロジェクト管理の徹底
  • 官民の適切なパートナーシップ 等

<ものづくり技術>
  • 団塊の世代が有する知識、ノウハウ等の現場の技術・技能の継承
  • 共用設備・施設、各種データベース等のものづくり知的基盤の強化
  • 研究開発成果品の政府調達・初期需要形成、規制緩和の推進 等

<社会基盤>
  • 災害対策における関係府省の連携強化
  • 社会・国民への確実な成果還元のための実証の推進 等

<フロンティア>
  • 産学官・府省間・研究機関間の連携強化
  • 次代の科学技術を担う人材の裾野の拡大
  • 大規模プロジェクトにおける適切なプロジェクト管理
  • 産業化を達成するプロジェクトの着実な推進 等

(3) イノベーションの種となる多様な基礎研究の推進


イノベーションの種の多くは、予期せぬところから思わぬ成果を生むことから、ハイリスク研究として、短期的な成果にとらわれることなく、高い目標を掲げる等意欲的で挑戦的な研究を支援することが必要である。

そうした意欲的・挑戦的な研究を積極的に推進していくことがイノベーションの種を数多く生み、将来のイノベーション創出につながっていくこととなる。

2008年度以降、各種競争的資金制度の中で、制度の特性に応じ、採択に当たっての評価に更なる工夫を加えることに取り組みつつ、こうした意欲的・挑戦的研究の採択比率を上げるとともに、その成果を的確に評価した上で、上記(2)分野別の戦略的な研究開発の推進、及び(1)社会還元を加速するプロジェクトの推進、への展開に活かすこととする。


(4)イノベーションを担う研究開発体制の強化


[1]研究開発独立行政法人の研究開発活動

イノベーション加速のための研究開発独立行政法人の改革

研究開発独立行政法人の研究開発力の強化、外部資金獲得等の経営努力に対するインセンティブ確保等の観点から、以下の取組を行う。

  • 人件費の一律削減において、競争的研究資金により雇用される任期付職員については、予め同資金に係わる人件費等を見込むことは困難であることに加え、政策的意義に鑑み、すでに例外として運用されている。これと同じ考え方に立ち、受託研究、共同研究のための民間からの外部資金により雇用される任期付職員についても人件費削減対象から除外することを検討。
  • 知的財産収入に基づく利益については、これを経営努力とみなし全額を目的積立金として使用できるようにするとともに、目的積立金の中期目標期間を越えた繰越しについては、現行ルールに基づき運用する中で、予見可能性を向上。
  • 以上の点は当面措置する事項として早期に実現するとともに、今後、イノベーション推進に果たす研究開発独立行政法人の担うべき役割、あるべき姿、研究開発能力をさらに高める方策等について検討。

[2]民間の研究開発活動

SBIR制度(注1)をモデルとした新技術の事業化支援

技術革新に挑戦する中小・ベンチャー企業に対して、研究開発段階から研究開発の成果の事業化段階に至るまで一貫して支援するため、以下の取組を行う。

  • 中小・ベンチャー企業への資金的支援の機会を拡大するため、2007年度以降、各府省別に中小・ベンチャー企業への特定補助金等の支出目標額を公表。
  • ベンチャー企業を対象とする段階ごとの質の高い競争選抜による制度を2008年度から順次導入。各府省においてなされた資金配分の適正さや選抜の妥当性については、総合科学技術会議等における政府横断的な事後評価の実施等を検討。

リスクマネー供給を実現する仕組みづくり

企業の成長段階に応じた資金がより適切に供給されるよう、資金の供給主体を支援し、市場環境を整備するため、以下の取組を行う。

  • 民間投資家がベンチャー企業等への投資を行いやすくする環境の整備。
  • 新興市場等における適切な資金供給のため、知的資産経営情報の開示等を促進する方策を検討。

民間の研究開発を促進するための施策

民間の研究開発を一層促進する環境を整備するため、以下の取組を行う。

  • イノベーション創出・生産性向上のために不可欠な民間の研究開発投資の加速を促進。
  • 民間企業等における知的資産経営等の要素を踏まえた技術経営力の強化や、研究開発投資の成果が収益に着実に結実するような研究開発に対する企業経営上の管理・監督(ガバナンス)手法の高度化を図り、その導入・普及を促進。

将来を見据えた研究開発と事業化を支援するインフラの整備

新技術の事業化の効率性・確実性の向上のため、企業、ベンチャー・キャピタル、金融機関、研究開発独立行政法人、大学、行政等が協働して、長期的視点で経営面・資金面で支援する等、イノベーションを起こし続ける体制の構築に向けた検討を行う。

注1: 米国のベンチャー企業向けの研究開発支援制度(Small Business Innovation Research)。