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(2)中長期的に取り組むべき課題

PDFファイルで第5章を見る


イノベーションを起こすような新技術・サービスは従来の制度・ルールの下では、社会に広く普及し難い場合も多い。

今後の研究開発の進展等によって、その成果を社会に適用していく上で、以下に掲げるような取組が必要となる。ただし、ここで掲げる課題への対応の手法、タイムスケジュール等については、随時、見直し、その取組を加速・拡充していくことが必要である。


1)生涯健康な社会形成


[1]情報通信技術の進展に伴う社会制度の改正

医療提供の現場が、個人の日常生活の場に拡大していることから、情報通信技術の進展に伴い、例えばテレビ診療による処方箋の発行を広範に認める等、それに伴う社会制度の整備。


[2]治療重点の医療から予防・健康増進を重視する保健医療体系への転換

予防・健康増進に関する効果が科学的に証明され、予防技術等がさらに発展し、健康情報を活用するための情報基盤が進展するのに伴い、医療費の適正化を目指し、治療重点の医療から予防・健康増進を重視する保健医療体系への転換。


[3]生命倫理・安全性と医療技術促進政策の調和

現在の再生医療等で見られるように、医療技術の急速な発展に伴い、新たな医療技術に対する生命倫理・安全性の問題と医療技術の促進のための政策とを如何に調和させていくかの議論の重要性がさらに増すため、国民的議論をさらに深めるとともに、必要に応じ適切なルール作りの検討。


2)安全・安心な社会形成


[1]高度道路交通システム(ITS)の導入・普及のための利用環境整備

自動車、歩行者と道路、街区一体となった高度道路交通システム(ITS)の導入・普及のため、システムの標準化や、新たな車両・道路交通関係の制度の必要性の検討等の利用環境整備。


[2]新たな走行車等の普及促進のための環境整備

ロボットの自律的な屋外活動や非従来型の超小型自動車による移動等の実現にあたっての既存の制度の見直し等、様々なルール作り。


[3]高度みまもり技術導入のためのルール作り

GPS(全地球測位システム)等の衛星測位技術、ロボット技術、ユビキタスセンサネットワーク技術(人・モノの状況やそれらの周辺環境等、様々な状況・環境を自動認識し、自律的な情報流通に基づいて最適な動作を実現する技術)を活用した「高度みまもり技術」を導入するためのシステムの標準化及びルール作り。


3)多様な人生を送れる社会形成


[1]健康寿命の延伸に伴う制度の見直し
  • 働き方の見直しや社会保障制度の改革
    高齢者が健康で社会に参画することが可能になることから、健康寿命の延伸にあわせた高齢者の働き方の見直しや社会保障制度の改革。
  • 産学官の間での双方向の人材交流の活発化
    健康寿命の延伸等によってニーズが高まる自己実現の機会拡大や転職の自由度の向上等を実現するための制度について必要に応じ検討。官公庁や大学等における恒常的な外との人事交流を前提とした組織・人事・会計システムの構築。

[2]テレワークの定着化(本格化)のための関連制度の構築

短期的目標は2010年までにテレワーカーの就業人口を2割にすることであるが、それ以降、さらにテレワーカーの就業比率を高め、社会の中でテレワークを定着させていくため、労働関連の制度環境整備の検討。


[3]ボランティア活動、社会貢献活動、社会事業の活性化

効率的な社会的サービスを官民が協調して提供する観点から、ボランティア活動や社会事業の重要性がますます増大することが予想される。そうした活動をより一層促進するため、教育機関等におけるボランティア機会の充実、企業をはじめとするあらゆる社会的責任の活動の支援。


4)世界的課題解決に貢献する社会形成


[1]実効ある温暖化対策の国際的取組の推進

気候変動問題に対する総理の新提案である「美しい星50」に基づき、「世界全体の排出量を現状から2050年までに半減する」という長期目標を全世界に共通する目標とし、その実現に向けて「革新的技術の開発」とそれを中核とする「低炭素社会づくり」に国際的に取り組むという戦略について、国際的合意を得るよう働きかける。同時に、我が国の伝統と優れた技術を活かし、「日本モデル」の発信に取り組む。

  • 「革新的技術の開発」は、経済成長とCO2削減を同時達成できる技術の実現を目指すものであり、革新的ゼロ・エミッション石炭火力発電、高温ガス炉、中小型炉等の先進的な原子力発電、太陽光発電、燃料電池等の革新的技術、次世代自動車技術、水素を還元剤とした製鉄技術等超高効率な省エネルギー技術を含むもの。
  • 「低炭素社会づくり」は、生活の豊かさの実感とCO2削減を同時に達成できる社会の実現を目指すものであり、森林等の自然と共生した生活、公共交通等の効率的な移動システム、コンパクトなまちづくり等生活様式や社会システムの変革にまで踏み込んだ改革を図るもの。

[2]低炭素社会構築へ向けた国内での積極的取組

地域単位でのエネルギー自立を目指した太陽、風力、地熱、バイオマス等自然エネルギー利用の促進や低炭素社会構築に向けた諸制度の検討。

また、バイオ燃料については、大幅な生産拡大に向けてエタノールの高効率変換技術等の導入や国民に対するバイオ燃料利用への理解促進、制度面等での課題の解決を目指した検討。


[3]海外への我が国の情報発信体制の整備

世界の正しい日本理解の向上を図り、我が国の国際貢献への正当な評価を得るため、新たな外国人向け映像国際放送を2008年度中に開始する等海外への情報発信の本格化とともに、自動翻訳技術等のITの積極的利用等により、国や地方の情報を日本語と同時に多言語で世界へ発信する体制を段階的に整備。


[4]在外で働く日本人を支援する仕組みづくり

発展途上国を始めとする諸外国で、日本人がその技能や能力を活かし、長期にわたって活躍できるよう、現地における労働・社会環境の改善支援の充実。また日本人の国際的な移動を十分に考慮し、各国政府との社会保障協定の締結を促進。


5)世界に開かれた社会形成


[1]世界で通用する高度人材の受入れの更なる推進

国境を越えた頭脳の円滑な移動のための仕組みの検討。


[2]国際知的財産戦略・国際標準化活動の推進

特許審査の順番待ち期間ゼロという世界最高水準の迅速かつ的確な権利付与を実現させるため、特許審査の順番待ち期間を2013年までに現在の半分以下の11ヶ月に短縮。1つの発明が世界中で円滑に特許保護される「世界特許」の実現をめざして、特許制度の国際的な協調や各国政府・国際機関との協力の推進。

また、植物新品種保護制度の運用に関する国際協力を図るため、世界レベルにおける統一的制度の構築を目指し、アジア各国における審査・登録業務の共同化、遺伝子レベルでの品種識別技術の開発協力等の推進。

さらに、我が国発の国際標準の獲得を推進するため、欧米並みの国際議長・幹事引受と、ISO(国際標準機構)及びIEC(国際電気標準会議)における国際標準の提案件数の倍増を2015年までに実現。


6)共通的課題


[1]暗号技術、個人認証技術等の高度化に伴う関連制度の構築

指紋情報の収集やセンサ、電子タグによる自動認識・自動監視等の技術の普及にあたり、プライバシー保護の観点から、個人情報の管理に関する明確なルールの制定等について、その必要性を含め検討。


[2]情報検索技術の進展に伴う関連制度の検討

ITによる情報検索技術の進展等に伴い、高度な検索サービスの提供等を可能とするため、著作権の保護問題との整合性のとれた適切な制度の構築。


[3]ユビキタスネットワークや民生用ロボットの本格普及に向けた環境整備

ユビキタスネットワークの本格普及に向け、プライバシー保護等安心で安全な情報流通に必要な環境整備についての検討。

また、ロボットの多用途への導入が進むに従い、生活者の視点に立ったロボットの安全性を確保する重要性が増すため、ロボットの使用実態や性能向上等を踏まえて「次世代ロボット安全性確保ガイドライン」(2007年度策定予定)を適宜見直すとともに、ロボットの構造や使用方法等に関する規格の策定や、必要に応じた建築物の構造や設備等に関する基準の見直しの実施。

さらに、ユビキタスネットワークやロボットの社会インフラ化に伴い、情報セキュリティの更なる向上、ユビキタスネットワークやロボットの利用に関するルールの整備等の検討。


[4]新技術等の普及促進のための国民合意の形成

新たな技術やアイデアの社会適用について一般消費者の受容性を確保する観点から、新技術等の研究開発や実用化に際しては安全性を考慮する必要があるかどうかの検討、科学的根拠に基づいた評価手法や透明性の高い管理制度の整備、国民の理解(特に、遺伝子組換え技術を活用した農作物・食品の生産・消費のための国民合意の形成、医薬品・医療機器の治験への国民の参画等)の増進活動。


[5]最先端科学技術分野における国際的ルール作り

最先端医療技術、安全なナノテクノロジー、宇宙空間の利用等科学技術の最先端科学技術分野における各国が参加した国際的なルール作り。


[6]道州制等国と地方の役割・権限の在り方

「国から地方へ」という地方分権改革の基本的な理念の下、国と地方のそれぞれが分担すべき役割を明確にし、地域の特性に応じた地域発のイノベーションの創出を図ることのできる土壌をつくるよう、道州制ビジョンの策定を含め、国と地方の役割・権限の在り方の検討。


[7]規制等の継続した見直し

イノベーションの創出のための世界最先端の環境を構築・維持していく観点から、その時代における技術の水準、社会情勢等や国際的な動向を考慮しつつ、既存の規制等についての点検と定期的な見直し。