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気候変動をはじめとする環境・エネルギー等の問題は、喫緊の課題の1つであり、こうした環境問題等への対応はこれから世界の経済成長のみならず、持続可能な成長を目指す上でも極めて重要性が高いものである。
特に、現在著しい成長を遂げており、今後も大きく成長が見込まれるアジアにおいては、エネルギー需要が大幅に伸び、これとあわせて環境・エネルギー等の対策に係る需要が増大していくものと見込まれる。
一方、我が国のクリーンエネルギー、バイオマス利活用技術、省エネ・省資源ものづくり技術、IT・ナノテクノロジー・バイオテクノロジー等のハイテクや消費者の高度な感性を満足させる技術は、世界トップレベルにあり、我が国にとっては環境ビジネスをはじめ、これらの強みを活かしたイノベーションを創出していくチャンスでもある。
こうした強みを中心に環境・資源・エネルギー等の世界的制約となる課題の解決に貢献し、技術開発や環境整備を通じて持続可能な産業体系・社会基盤・生活を実現することにより世界と日本の経済成長の原動力とするエコイノベーションを実現すべきである。
また、こうした取組により、世界に誇る環境・エネルギー技術、深刻な公害克服の経験・智慧、意欲と能力溢れる豊富な人材を、環境から拓く経済成長や地域活性化の原動力となし、幅広い関係者が一致協力して、世界の発展と繁栄に貢献する「環境立国」を「日本モデル」として創造し、アジア、そして世界へと発信するべきである。

このような考え方の下、以下の取組を実施する。

[1]科学技術外交の強化

開発途上国との科学技術協力の強化
人の生命・健康の維持(水問題、食料問題、感染症)、経済発展への技術支援、生態系の保全に深く関与する環境技術等の課題に対する開発途上国への支援のため、共同研究や人材育成に向けた協力活動の地域拠点となる高等教育・研究機関、研究施設・設備の整備を支援するとともに、共同研究や人材育成を現地で一体的に行うため研究者を派遣する制度を検討する等、相互ネットワーク作りに取り組み、開発途上国との科学技術協力を強化する。

日本の優れた環境・エネルギー技術等の世界への発信、実証
- 先進的な地球観測衛星の観測データの提供、地球シミュレータ等による未来の水や気候の変化予測データの提供、災害関連情報の提供等、我が国の優れた環境技術の成果を途上国のニーズに応じて積極的に提供。
- 再生可能エネルギー、水管理、省資源・省エネルギー、二酸化炭素回収貯留、廃棄物処理・3R(リデュース・リユース・リサイクル)等、環境・エネルギー、水等の分野における我が国が世界に誇る技術について、産業界の参画の下、最も適地と考えられる場所で実証することを支援し、我が国の技術を世界へ普及。
- 世界の食料・バイオマス資源のモニタリング技術の開発、未利用資源の効率的なエネルギー化技術の開発、熱帯作物を利用した高バイオマス資源作物の育成等、食料とバイオマス作物の生産競合を回避し、それぞれの地域に適した安定的かつ持続的な生産・供給体制構築の支援。
- 温暖化に対してより脆弱な途上国における温暖化の影響研究や災害リスク管理等の能力開発、適応策に関する人材育成等の技術協力、アフリカ等の不良環境に耐性のある新品種の開発・普及、砂漠の緑化による食料需給の安定等、気候変動の緩和策と併せて適応策について、我が国の知見と技術を活用した技術協力等の国際貢献。
- 我が国が主導して、OECD等の場を活用し、技術的な課題のみならず社会システムを含む広い分野を対象としたエコイノベーションを国際的に推進するための共同作業。

アジア地域等における環境調和型制度創設の支援
途上国、特にアジア地域の持続可能な経済発展を支援し、環境対策の底上げを強化するため、日本の産業発展の基盤となった公害防止管理者制度等、「アジア標準」としてアジアに導入・普及を進めるべき具体的な環境・エネルギー関連制度・システムについて、2007年度中に検討する。

気候変動問題へのイニシアチブの発揮
日中、日米首脳会談において、気候変動問題を首脳レベルで取り組む最重要な課題として提起し、この解決に向けた協力関係の強化について一致。この動きをさらに前進させるため、気候変動問題に対する総理の新提案である「美しい星50」に基づき、サミットをはじめとする様々な機会を通じて、世界各国に働きかけを行う。

環境・エネルギー技術による気候変動問題への国際的取組強化
アジア太平洋地域の主要国が参加する「クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ(APP)」を推進し、エネルギー技術に焦点を当てた官民のパートナーシップを構築するとともに、クリーンで効率的な技術の開発・普及・移転のための地域協力を促進する。

世界の環境リーダーの育成
アジアを始めとする世界の若者が我が国で環境技術や環境政策を学び、帰国して母国の環境調和型経済と持続可能性社会の実現に貢献し、世界で活躍できるよう、我が国政府の主導の下、関係府省が連携して、国内外の大学や産業界と協力し、大学における学位の取得や研究現場等の実体験を含む、環境リーダー育成のプログラムを策定する。

先端科学技術分野での協力の強化
我が国の大学や公的研究機関の研究活動を海外にオープンなものとし、世界トップレベルの頭脳等多様な「異」との協働を通じた科学技術協力を積極的に推進する。特に、先端研究施設を積極的に海外開放し、相互利用を推進するとともに、研究者の受入れ・派遣、共同研究を推進する。

科学技術協力ネットワークの強化
在外公館による科学技術外交機能を途上国中心に大幅に強化するとともに、大学を始めとする研究機関等の海外拠点に協力を求め、積極的に活用することにより、研究者等の国際的な活動の支援、相手国とのネットワーク強化等を図る。

国際共同研究推進のための枠組み
地球規模の課題解決に資する国際共同研究を支援するための国際的枠組みの設立等、我が国が国際社会に対し積極的に提案していくべき環境に関する国際的かつ先進的な研究等を検討する。

[2]環境ビジネスを伸ばす方策の推進

環境価値の視覚化
- 環境調和型の企業経営を推進するため、環境価値を定量化して評価するLCA(ライフサイクルアセスメント)、環境会計・環境管理会計等について、信頼性・有効性をさらに高めた上で、業種別・地域別・事業規模別に導入を促すとともに、環境管理会計の規格化の検討等を開始。
- 環境価値の高い製品等が市場を通じて選択される環境を整備するため、生活用品やビジネス用品、船舶・船用品等について、製造・利用・廃棄の各々の段階でどの程度環境に負荷を与えるかという情報を消費者等に分かりやすく伝えるための評価手法の確立。

ライフサイクル全体を視野に入れた3Rシステムの強化
資源生産性向上及び環境負荷低減に資するビジネスモデルを創出するため、原材料の調達・加工、部品の製造、製品の組立等の製品のサプライチェーンの各段階における資源投入の抑制及び再生資源の質の低下を伴わない高品質なリサイクルを促進する制度、並びに循環資源の再資源化に伴う物流システムの形成への取組を検討する。

エネルギーの使用の合理化に関する法律に基づくトップランナー制度の拡充
環境・エネルギー技術を活用して開発される新しい環境調和型の製品を普及させるため、「エネルギーの使用の合理化に関する法律」(注1)に基づくトップランナー制度の対象製品の拡大、更なる目標値の見直し等を検討する。

バイオマスの総合的な利活用等の再生可能エネルギーの普及・拡大の推進
バイオマスエネルギーや太陽光発電等の再生可能エネルギー市場の創出及びその拡大を図るため、低コスト化等を実現するための技術開発や起業支援を含む、経済的手法等の多様な政策手法を用いて、再生可能エネルギーを普及拡大するための検討を行う。
特に、バイオマスを持続的に活用し、経済性のある循環システムを構築するため、総合的なバイオマス利活用システムであるバイオマスタウンの構築に取り組む。

グリーン調達の拡充
官民協力した我が国のCO2中立を目指し、2008年度中の政府のグリーン購入の取組の更なる拡大と企業への拡大を目指す。
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