高消費者委員会委員長 記者会見

2018年5月31日
消費者委員会

日時

2018年5月31日(木)17:30~17:41

場所

消費者委員会会議室

冒頭発言

(高委員長) お忙しいところを参集いただきまして、ありがとうございます。

まず、私から報告事項が1点ございます。本日の本会議において、お手元にございます資料のとおり、「電力・ガス小売自由化に関する現状と課題について」を取りまとめました。電力及びガスの小売自由化に関する課題につきましては、これまで公共料金等専門調査会において議論が重ねられてまいりましたが、今般、専門調査会での議論の取りまとめが行われましたので、本日、その結果を井手座長代理に御報告いただき、その御報告を踏まえて消費者委員会としての意見を取りまとめところでございます。

2枚目以降が専門調査会の報告の本体となります。

初めに、本件の経緯が示されておりまして、一昨年4月の電力小売自由化及び昨年4月からの都市ガス小売自由化について、昨年5月に専門調査会が示した「注視すべき論点」などを踏まえてフォローアップを行い、前半部分がフォローアップの内容でございます。そして、後半になりますけれども、今後、更に重点的に注視すべき論点を整理したと、そこに書かれております。

その下、4ページから7ページにかけての「Ⅱ.電力小売自由化に係るフォローアップ」及び「Ⅲ.都市ガス小売自由化に係るフォローアップ」では、電力及び都市ガス小売自由化後の状況の評価について、昨年5月の「注視すべき論点」等を踏まえて記述されています。これが先ほど私が申し上げました前半部分です。

それから、7ページから11ページにかけて「Ⅳ.今後重点的に注視すべき論点」となっておりまして、そこでは電力分野、都市ガス分野等のそれぞれについて、今後重点的に検討・注視しなければならない論点について整理を行っています。内容の詳細は、割愛させていただきます。

最後に「Ⅴ.引き続きのフォローアップの実施」として、消費者委員会による今後のフォローアップの考え方が示されています。

関係機関等におかれましては、本報告で示された論点を参考に、電力及びガスの小売自由化に関して、消費者の利益擁護及び増進に向けて、一層の取組を図ることを期待しているところでございます。

私からは以上でございます。

質疑応答

(問) この電力自由化ですけれども、2年間たって、この資料ですと切替えを行ったのが全体の14.8%ということで、進んでいるという認識なのか、それとも思っていたよりも進んでいないという御認識なのか、評価としてはどのような感じでしょうか。

(答・公共料金等専門調査会井手座長代理) それでは、私から。

これはスイッチングということで、他社にスイッチングするという点ではまだまだ不十分だと思っております。ただ、旧電力会社の中で自由料金にスイッチングしていることを考慮すれば、それなりに自由化の進展は進んでいると見ても良いかと思います。

ただ、この報告書の中にもありますように、地域の格差があるということです。北陸であったり、中国地方であったり、そういったところでスイッチングの比率が非常に低い。この点では、地域格差があるという点。それから、もう一点としては、電気の多消費需要家はメリットを受けていますけれども、少量需要家がメリットを受けていないという点。この2点ですね。だから、2年間では、先ほど言ったように、他社にスイッチングするというのはまだまだ不十分ですけれども、電力会社の中での自由料金へのスイッチングを考慮すれば自由化はそれなりに進展している。ただ、今、言った2点の問題がまだあるだろうということです。

(問) 電力の話とはちょっとそれてしまいますが、公益通報者保護制度について、国会内でも先般の財務省のセクハラ問題も含めまして、現行制度の中では保護されないケースがあるのではないかという指摘が出ていると思いますが、現状についてどのようにお考えか、委員長のお考えをお伺いできればなと思っております。

(答) 現在、公益通報の制度については、専門調査会を設けて議論しておりますので、そこの議論を見てから、またお答えさせていただけませんでしょうか。今の段階で私見を述べると、その議論に何らかの影響が出てくる可能性もありますので、済みません。

(問) 電力切替えの勧誘についての消費者相談の傾向ですけれども、いろいろなものと複雑に組み合わせた勧誘が行われて困惑している消費者のケースとかもあるのかなと思うのですが、その辺りの現状と今後の体制について、改めてどのようにしていかれるのが良いと考えていらっしゃるのかという辺りをお聞きできればと思います。

(答・公共料金等専門調査会井手座長代理) では、私からお答えします。

こういった勧誘については、ガスのケースでもそうですけれども、基本的に電話勧誘と訪問販売が主流で、諸外国、イギリス等で訪問販売によるトラブルというのは結構あります。そういう点では、高齢者を対象にして訪問販売あるいは電話勧誘というのがトラブルの多くにあるということ、これは日本でも事実であります。イギリスでは、そういう点では訪問販売を規制して、いわゆる比較サイトから選択させるといったことが行われております。そういう意味では、日本でこういった比較サイトの信頼性あるいは中立性、透明性を高めていくということが一つ重要ではないかと思います。

それと、電気に関しては、スイッチングしたときにいろいろな問題が、電気が停電するのではないだろうかとか、不安材料があるので、その点を国民生活センターあるいは企業の広報を通じての普及活動がもう少し重要ではないかと思っております。したがって、消費者委員会として、その点については国民に周知徹底することをもちろんやりながら、比較サイト等を利用してスイッチングすることを、先ほど言ったように、この報告書にもありますけれども、透明性とか中立性、信頼性が高まるようなことを考えて検討していきたいと思っております。

(以上)