河上消費者委員会委員長 記者会見

2012年8月1日
消費者委員会

日時

2012年8月1日(水)13:00~13:22

場所

消費者委員会大会議室1

冒頭発言

(事務局) それでは、時間が参りましたので、消費者委員会ですけれども、委員長の定例の記者会見、8月ということで始めたいと思います。
 冒頭、委員会の最近の活動ということで委員長の方から少し御報告申し上げて、御質問、御意見などをお聞きしたいと思っておりますので、それでは、よろしくお願いします。

(河上委員長) よろしくお願いいたします。
 それでは、最初に報告を幾つかさせていただきます。
 第1は、地方消費者行政に関連するところで、7月24日の委員会で「地方消費者行政の持続的な展開とさらなる充実・強化に向けた支援策についての建議」というものをとりまとめたということであります。もう既に御案内のとおりでありますけれども、同時に地方消費者行政については、国の関係機関のみならず地方の消費者行政に取り組んでおられる自治体の首長や職員の方々、そして相談員や消費者団体の方々など、広く消費者問題に取り組んでおられる方々に関わる問題であるということから、そうした方々に向けても消費者委員会の委員長としてのメッセージを同時に発出しました。
 建議については、その日の委員会終了後に松原消費者担当大臣に手交いたしまして、しっかり頑張るというお話をいただいたところであります。また、川端総務大臣に対しても手交するということを考えておりまして、現在、それを調整中です。
 松原大臣は昨日の記者会見の段階で、地方消費者行政の充実・強化のための指針というものの策定に当たってと題するメッセージを出しておられまして、基本的には国が地方の自主財源の確保が困難な状況を前提に、新たな財政支援措置を講じて地方消費者行政に積極的に取り組む地方自治体を引き続き支援することが重要であると認識しており、今後、必要な財源確保向けて最大限努力をしてまいりますというようなコメントを出しておられます。
 ほかにも相談員のいわゆる雇止めなどに対しても、再度任用の回数についても一律に制限を設けないで、専門性に配慮した任用と処遇をお願いしたいというようなことも言っておられました。こうした会見で示されているメッセージ、基本的には消費者委員会も同じ問題意識を持っているところでありまして、しっかりと取り組んでいただければと考えております。
 当委員会としては、本建議への対応について、消費者担当大臣、総務大臣に平成25年1月を目途にして実施状況の報告を求めるということにしております。そのほかにも基本計画の検証・評価・監視の活動が秋口から行われますので、その中で各省庁の対応状況について定期的にフォローアップできるようにしたいと考えています。基本的には活性化基金終了後も地方に対して効果的な支援策が講じられるように、委員会としてもこれを支援し、監視していきたいと考えているところであります。
 地方消費者行政については以上です。
 もう一つは、いわゆる「地方消費者委員会」を今次の消費者委員会で開催していることは前からお話ししているとおりでありまして、第4回の地方消費者委員会を名古屋の消費生活センターで行いました。東海地区の方々を対象にしてということで、地元の行政担当者や大学関係者等々、たくさんの方がお見えになりました。100名弱の方で極めて熱心なパネルが開かれました。
 テーマは消費者教育というものでして、御承知のとおり、消費者教育の推進法という法律がそろそろできるかなというような段階でございますので、具体的に消費者教育というものがどういう役割を今後消費者行政の中で演ずるかというようなこととか、具体的なやり方についてどうあるべきかというようなことも含めて議論させていただきました。
 いろんな意見が出ましたけれども、中核になったキーワードは「連携」でして、特に形式的に情報共有をするというような連携だけではなくて、例えば分野が異なっている行政庁内部、福祉部局と教育関係のところとか、あるいは消費生活部分といういろんなところがお互いに実質的に協力してどういう内容でどういう方法で、どういう段階の発達段階の人に対して、それぞれレベルに合わせて工夫した内容で消費者教育を展開できるかというような辺りが重要だということです、当日、会場からは消費者教育というものが必要だという時代はもう終わって、今からまさに実践の段階に入ったのだという認識が示されたのが印象的でした。
 確かに消費者教育推進法ができ上がりますと、ある程度いろんな体制が整うということは事実でありますけれども、それを具体的にどう動かしていくかというのはまだまだこれからの課題でありまして、消費者委員会としても今後ともしっかり検討していかなくてはいけないと考えております。
 次は第5回目ということで、10月20日の土曜日に山口で開催の予定であります。テーマとして山口の方々とも相談しながら今考えてきているところですけれども、この間、野田首相から高齢消費者トラブルについての被害の防止等の対策を考えなさいという指示が消費者担当大臣に出ているということもありますので、テーマを「高齢消費者トラブルへの対応」という内容にして基調講演とシンポジウムをやろうかと考えているところです。皆様の積極的な参加を期待しておりますし、現地の支局などに知らせていただいて、このシンポジウムにいろんな形で関与していただければありがたいと思います。高齢者に対する投資詐欺問題などについては、委員会として重大な関心を抱いているところでもあります。
 次が当面の委員会の関心事項ということなのですけれども、余り具体的なところまでは申し上げられないのですが、1つは、関係団体との意見交換会を8月から9月にかけて公開で実施していこうということを考えていまして、8月7日、21日、9月4日辺りは、もう具体的な日程が入っています。8月7日が日弁連とか司法書士会、21日の方は主婦連ほか消費者団体でして、9月4日も消費者団体を中心に意見交換会をしようと考えているところであります。
 第2番目に、消費者契約法のワーキングチームの問題でして、前々から御案内はしているところですけれども、委員長の下に消費者契約法の実体法の改定に向けたワーキングチームをつくって論点の整理をやっているわけですけれども、1クール終わって大体論点がそろそろ見え始めてきたので、9月からは具体的な論点についての掘り下げをしようと考えております。
 どのくらいのペースでいけるかまだわからないのですけれども、できましたら今年中にほぼ論点についての掘り下げを重立ったところをやって、来年の1月ぐらいに論点についての公開の討論会のようなものをやってはどうかと考えております。そのときには事業者団体とか弁護士会とかいろんな方をお招きして、今後実体法を改正するとしたらこんな論点があってこういう選択肢があるかどうかというような議論をやっていきたいと思います。
 ワーキングチームでどんなことをやっているかというのは、粗々の項目だけはこれまでもお知らせしていたところなのですけれども、少し中身も公開していった方がいいのではないかということが考えられますので、9月からの論点の掘り下げに関しては、少し詳しい議事概要を委員会で報告して、その資料を添付する。あるいはホームページに議事概要をアップするというような形で、今、ワーキングチームでどんな議論が行われているかということがある程度わかるようにしたいと考えております。
 これに関連して、特商法がそろそろ改正の時期に入ります。来年には改正の見直しの時期が来るので、特定商取引法についても消費者契約法と並行してこのワーキングチームで検討してはどうかというようなことを考えております。内容的には特商法の見直しにも関わるような形での消費者契約法に関する議論が展開されることになるのではないかと予想しています。
 以上は消費者契約法関係ですが、もう一つは、最近にわかにいろんなところで議論がなされている利息制限法の見直しの議論があります。議員の方々がいろんな形で利息制限法や改正貸金業法の見直しをしてはどうかというようなことを議論しておられます。要するに、先の改正で庶民金融とか中小事業者の金融が逼迫するようになってきていて、この改正の結果は非常に問題があるのではないかという認識をお持ちの方々が、そういう議論を始めておられ、特に上限金利の引き下げだとか、総量規制の廃止というのをせめて部分的にやってはどうかという議論が出ているやに伺っております。議員の方々の議論に、口出しをする立場ではございませんが、多重債務者問題などとも関連が深い議論ですので、関心を持って拝見しております。
 ただ、現状を考えたときに、果たして改正後の状況をどう評価すべきかという点からして、検討の余地があります。数字的には明らかに多重債務者問題は改善されているし、いわゆる「やみ金」に対しても一定の効果的な取締りが行われているというようなことも伺っておりますので、本当に貸金業法の再度の見直しが現段階で必要なのかどうかという辺りは慎重に考えてみる必要がありそうです。消費者委員会としても全くこうした動きを無視するわけにはまいりません。ただ、関係省庁としての金融庁は動いていないということもありますので、現時点で、委員会が正面から何か言うような立場ではありません。そこで、一体どういうふうに金融庁あるいは消費者庁が考えているのかという辺りのヒアリングをしつつ、もし委員会としても一定のことを言うべきであるとすれば意見を申し上げようかと考えているところです。
 その他として、広報関連のお知らせでして、消費者委員会のホームページをごらんいただければと思います。トップページに消費者委員会の建議、提言のバナーを新たに設置して、これまでの建議等のフォローアップ状況を紹介するようにいたしました。これは資料をお配りしていないのですか。バナーのところを押しますといろんな建議の内容とかが出てきて、更にその横にフォローアップした具体的な内容、主な成果とかといったようなものが読み取れるというようになっておりますの。御関心のある方は一度バナーを押していただければと思います。
 例えば7月24日の委員会でエステ・美容医療に関して建議のフォローアップを実施いたしました。委員会をごらんになった方はおわかりかと思いますが、必ずしも満足のいくような実施状況ではなかった。それについて委員会としてもいろいろ考えているところですけれども、そうした状況についても反映したところでございます。今後、随時更新していくということにしておりますので、適宜御参照いただければと考えております。
 ついでですけれども、9月に一度記者の方々と懇談会をしたいなと思っておりますので、またそれは日程の御相談をいたします。
 大体こちらからは以上でございます。

質疑応答

(事務局) 一応用意していたお話は以上のようなところですけれども、御質問、御意見、お受けしたいと思います。
 どうぞ。

(問) 大臣のメッセージの中に、非常勤職員の業務の中にも恒常的な業務があること、あと実証能力の検証を客観的に行った結果として再度任用されることは排除されないことについて総務省の共通の認識を持ったという3行が入っているのですが、これがどのくらい機能するとお考えでしょうか。

(答) 委員間打ち合わせにも総務省から来ていただいて御見解を伺ったのですけれども、もともと雇止めというようなこととか、ああいう任期についてのはっきりとした限定は総務省としても持っていないのだということで、継続しての任用を否定してはいないというようなことをおっしゃっていました。
 ただ、地方自治体ではなかなかどういう枠組みで通常の非常勤の方と区別して相談員の方を処遇するかということについて悩んでいるようで、その意味では総務省がこういうふうな認識を持っているということを伝えるだけでも随分前に進むものがあるのではないかという気がしております。
 委員会の建議の中では、更に進んで特別な資格として専門の資格を考えてはどうかとかいろんな選択肢を出しておりますので、もしこういうものについて地方の市町の方に対しても理解いただけるのならば、ある程度前に進むものがあるかなと期待しています。

(問) 自治体に取材する感触としては難しいと、使えないと、そんなに甘くはないというところが多かったので、そうすると、委員会が出している新たな任用制度みたいなものを皆さん求めているのだと。結局、ここまでかかってこれだけなのかという声。ただ、すべてに取材ができるわけではないのでちょっと気になっていて、相談員資格の中ではあれほど追求され、あれほどパブコメでもそこまで出されてやっと変えてきたのがこれだけなのだと、どう評価するのかというところがすごく気になるところです。

(答) 具体的にどのくらいできるかということについて、総務省とも、また総務大臣とも会う機会がございましたらしっかりとお話ししたいと思いますけれども、そういう専門資格として考えられるのは相談員ばかりではなくて幾つかあるのです。ですから、そういうものを含めて相談員資格を特出しして、いろんな制度としてできるかどうかという辺りは悩ましいところなのだと思います。
 地方自治体でもそこは考えている方はいらっしゃるのですけれども、やろうと思えばできるのですが、なかなかできない。だから、幾つかの主導的な地方自治体でそういう制度ができれば、自治体というのは横並びが好きですから、だんだんそういうものが広がっていくのではないかと思うのです。
 我々も地方消費者委員会で出かけて行ったときに、できれば知事の方とか市長さんなどにお目にかかるので、そこのときには必ずそういうふうな配慮をお願いしますということをアピールしておりますけれども、今後、消費者委員会として更にできることがあるかどうかは考えてみたいと思います。

(問) 短時間の任用制度とどこが違うのかよくわからなくて、短時間の任用制度になると時間給が上がるみたいなことで現実的には使われていなかったりするところもあるので、結局、客観的に能力を実証するとはどういうことですかと毎年毎年聞かれている。ごまかしながらやっているところで、これが出たからといって。

(答) 確かにそういうのはありますね。客観的能力判定方法といっても、資格認定試験のようなものになってしまうのかも知れません。本当は、研修の方が重要なのでしょうが。

(事務局) ありがとうございます。ほかにはいかがですか。本日報告したテーマ以外でも委員会のほかの課題でも結構です。特になければ、よろしいでしょうか。またいつでもお越しいただければお話ができますので、またよろしくお願いいたします。9月の懇談会の話はまた御連絡差し上げたいと思っていますので、そちらもよろしくお願いいたします。
 では、ありがとうございました。

(河上委員長) ありがとうございました。

(以上)