松本消費者委員会委員長 記者会見

2011年7月22日
消費者委員会

日時

2011年7月22日(金)16:14~16:56

場所

消費者庁6階記者会見室

冒頭発言

(事務局) それでは、時間が16時15分からというお約束でしたので、始めさせていただきたいと思います。
 先ほど、第63回の消費者委員会が開かれまして、消費者安全専門調査会の報告書に基づいて建議を行いました。それについて、もう少し詳しいことを御説明差し上げたいと思いますし、御質問も受けたいと思います。
 それでは、少し簡単に説明をして、それで質問をお受けすることにしたいと思います。

(松本委員長) それでは、簡単に要点だけ御説明いたしますと、この建議の2ページから4ページにかけて、5として「以下の点を特記する」と書いてございます。(1)から(5)まで、大きく5点挙げてあるところです。
 それで(1)は、まず情報がきちんと入ってきていないのではないかという点で、とりわけ消費者安全法に基づく関係省庁、それから、地方自治体からの情報が十分入ってきていないところがあるので、その改善を図るために、消費者庁として積極的に関係省庁と定期的な協議の場を設けるべきであるとか、あるいは救急車で搬送されるような事故に関して、消防の関係者からの情報提供がきちんと入ってくるように一定の工夫をする必要があるのではないか。
 大きな2つ目で、緊急性の高い事故情報については、事実関係がつまびらかにならない段階でも迅速に公表できるように、あらかじめ公表基準をきちんと定めておくべきといったことを指摘しております。
 3つ目が、事故発生後の消費者に対する注意喚起という点で、複数の製品に重大事故等が生じた場合に、製品群全体について一定の分析・公表をすべきである。あるいは消費者安全法第15条第1項に基づく注意喚起という大変重い注意喚起の手続がありますが、これがもっと迅速にできるように、あらかじめ要件を定めておくべきであるというようなことを指摘しております。
 それから、誤使用と一般に言われそうなケース、子どもや高齢者に生じた事故、あるいは製品起因だけれども重大事故ではないというものについても、情報の収集・分析をもっと行うべきである。
 最後に5点目ですが、体制強化として予算面、それから、地方消費生活センターの人員面等で一定の手当てをすべきであるという提言をしております。
 以上が、ごく大ざっぱなところです。
 12月までに関係省庁から、この建議に基づいてどういう対策を取ったかということについての報告を求めたいと我々は考えておりますが、それは次期の委員会の仕事ということになります。

(事務局) それでは、御質問をお受けしたいと思います。お手を挙げていただければと思います。

質疑応答

(問) 確認ですけれども、相手方は「総務大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣等関係各大臣」とあるんですが、これは、今、名前が挙がっているだけですか。それとも、これプラスαの人はいるんですか。
 あと、文書の方はもう持っていったでいいんですか。

(答) いや、先ほど建議を上げたばかりですから、まだどなたにもお渡ししておりません。

(問) その予定は、本日中に持っていくということとかはあるんでしょうか。

(答) 今、国会が行われていることもありまして、特に消費者担当大臣は原発担当大臣も兼ねておられるので、大変お忙しいということで、まだ日程調整ができていないという状況です。
 それから、ここに列記されています大臣は、本文の中でかなり取り上げられた事項を担当しておられる大臣という形になっておりまして、総務大臣は消防を通じた事故情報の収集にもっと御協力をお願いしたいという話で、文部科学大臣は学校事故の情報が、消費者安全法上、余りきちんと入っていないので、その辺、各都道府県に対して徹底していただきたいという話で、厚生労働大臣は高齢者施設等における事故等についての情報がやはりきちんと入っていないという点で特にお願いしているということになります。

(問) そうすると、これ以外にまだ、ほかにも、例えば委員会の方で提出した方がよろしいのではないかと判断する人が現時点でいるわけですか。

(答) 消費者政策会議に参加されている各大臣には、直接手交するという形にはならないと思いますけれども、この建議はお渡しするということになります。

(問) この建議で、法改正が必要なものはありますか。

(答) 専門調査会の報告書の中にも、若干、法改正の提案なども入っておりましたけれども、建議の3ページの(4)の一番下のところで、現在、法律上の通知義務あるいは報告義務がある事故が消費安全性を欠くことによる、または製品起因の重大事故という感じで限定されているので、それ以外の重大ではない事故、あるいは製品起因とは言い切れないようなもの、誤使用ではないかと思われるものでも積極的に情報提供を求められるような仕組みを取る方が安全確保という点ではいいのではないかということを指摘しています。製造業者とか施設の運営業者の責任を追及するという観点からのものではなくて、安全確保という観点からは、さまざまな事故の情報が一元的に集約される方がいいので、そういう方向に運用を変えていくというのも一つですし、運用の改善だけでうまくいかないのであれば、法律的な手当てもする必要があるだろうということです。例えば消費生活用製品であれば、重大でない事故についてはNITEに届け出るようにというような運用がなされておりまして、NITEはかなり情報を集めているということはございます。
 もう一点、重大事故の定義が全治30日以上という、かなりの重傷だと思うんです。少しけがをした、ただいま、中村委員長代理が(手首の包帯を見せ)こうけがをされておりますが、これは治療に30日もかからないですから、重大事故にはならないということなんですけれども、30日という線が果たしていいのかということ自体が、消費者安全法の附則の中に、重大事故の範囲を見直すことを検討しろということがはっきり書かれていますので、ここは法制度的な課題になります。
 どうぞ。

(問) 確認ですが、先ほど、すべての省庁に持っていきますというお話でしたけれども、それは全省庁に対して建議するということなのか。一義的には、ここに書かれている消費者担当大臣を始めとする、ここに書かれている大臣に対する建議なのかということが1つ。
 それと、この報告書の中で書かれている、主に消費者庁の対応、これまでの消費者事故に関する対応について、これはここが一番問題だったというような具体的な例があれば、挙げていただければと思います。

(答) まず、第1点ですが、今まで、我々は建議をいろいろ行ってまいりましたが、はっきりと、この大臣ということで建議をしてきたのが今までの例だったと思います。そういう場合でも、消費者政策会議のメンバーである各省庁にはすべてお渡ししておりますので、そういう意味で、事務レベルでは各省庁すべてがこの建議をごらんになっているということです。
 それで、今回はややあいまいな書き方になっているのは事実でありまして、はっきりと大臣の名前が出ているのが4つということですが、それでは、それ以外の省庁は消費者の安全の問題と無関係なのかといいますと、そうではないですね。国土交通大臣は挙がっていないですけれども、国交省に係わることは大きいですね。遊戯施設等における事故などは国交省の問題だということで、当然、国交省にも関係があることでしょうし、農林水産大臣は入っていないですが、食品の安全は農水省は関係ありませんとは農水省自身がおっしゃっていないわけですから、そういう点では、やはり関係してくるだろう。今回のような、牛が飼料を食べたことによって食肉の放射性物質汚染が生じたというようなものであれば、まさに生産現場における安全性の問題なので、これは農水省の所管になってくると思います。
 そういうふうに考えていくと、多くの省庁が何か関係してくるということで、ややあいまいな「関係各大臣に」という書き方をしている次第です。
 どうぞ。

(答・中村委員長代理) 消費者庁のどこが問題かという御質問があったんですが、消費者事故に関する情報の一元化というのは消費者庁をつくる、やはり一番のきっかけだったので、それがちゃんとできるようにというふうに皆さん期待しておられたんですが、今回の報告書を見ておわかりのとおり、まず、集めるところが非常に不十分で、本来集めなければいけないものが必ずしも全部集まってきていない。
 それから、今度は集めたものを分析して、その結果を公表するとか、施策に反映させる、ここら辺もまた非常に不十分で、今回、たまたまユッケの事件が起こったので、専門調査会でも、すぐ、その問題が取り上げられまして、そして、調査してみたところ、別表等に書いておりますとおり、消費者庁は食品事故についても、一応、事故情報は全部集まってくるようにはなったんですけれども、定期的な発表日、毎週金曜日にはニュースのペーパーを出して、一応、レクチャーはしておられるようですが、その際には既にユッケ事件が発生して、業者名もわかっていたのに、一言も触れずに、1週間ほど前までに集まった事故情報を単に平面的に発表されただけだった。
 ああいう機会に、今、ユッケの事件で、今、死亡者も出て、大変な重大事故が発生しています。それで、事業者はこういう名前だから気をつけましょうぐらいのことは言ってほしかったなというのが我々の気持ちなんです。ところが消費者庁は、あれは定期的な公表日だったので、ユッケのことを話す場ではないとおっしゃって、定期公表のみに限定されて、国民向けの注意喚起を全くなさらなかったというところを問題にして、そういうことでは消費者情報、この事故情報を一元化して、公表する権限を消費者庁に与えて、消費者の安全を守ろうという組み立てをしたのに、役に立たないのではないですか、そこはちゃんとやってください、ということを言っているわけです。

(答) 一昨日行われました消費者庁の記者会見の模様を伺っていますと、消費者庁の基本的スタンスは、個別事件への対応は厚労省の課題であって、消費者庁は個別事件に対応するのではないんだということのようです。全体的な注意喚起を呼びかける、生肉は危険ですという一般的な注意をするのが消費者庁の役割だという整理をされているんですけれども、これは消費者庁をつくるときのきっかけとなったギョウザ事件を全く省みていないことではないかなと思います。
 ギョウザ事件もまさに保健所と、厚生労働省と、あとは輸入業者の問題だったわけですが、それではだめだというのが当時の政府の判断だったわけです。消費者庁にそういう個別情報を集めて、分析して、すぐに事業者や消費者、自治体とか関係者に返していくんだ、それによって被害の拡大を防ぐんだということだったのですが、一般的な形で注意するのが役割であれば消費者庁をつくる必要がなかった、国民生活センターだけでもよかったということになりかねないと思います。

(問) 今、先日の消費者庁の会見の件のお話がありましたけれども、それで、確かに消費者庁がもっとやるべき、もっと早いタイミングで事業者名を明かして注意喚起すべきだったというのは同感なんですが、一方で、今回、厚労省に対しても同様に建議という形になっていますけれども、厚労省の方にも問題があったと、この専門調査会の報告書でも感じたんですよ。
 それで、厚労省は4月28日の段階で横浜市が立入検査をしている話とか、福井県と富山県が発表している事案がそれぞれ厚労省には、どちらかの県が一方で事業者名を入れなかったと言っていますが、その時点で、もう、この焼肉店が問題があるのではないかと気づいているわけで、厚労省も4月28日の段階でわかっていたんだと思われるんですから、その段階で発表してもいいのに、結局、正式に発表したのはもっと後、5月になってからだと思うんですよ。
 そういう厚労省にも問題があるのではないのかなと私自身感じたんですけれども、今回、厚労省に対して建議を行うというのは、そういうところも含めて検討してくれというようなことも求める形になりますか。

(答) はい。厚労省に対しては、当然、そういう意味も入っています。

(問) 何も消費者庁が注意喚起を単独でやれというのではなくて、別に各省庁でやってもいいわけですね。

(答) すべての責任を消費者庁がひっかぶれという制度ではなくて、基本的に安全の問題は、従来の担当省庁から消費者庁に権限がほとんど移っていなくて、情報収集・分析・公表の権限しか来ていないわけです。大部分の権限は従来の省庁が持っているわけで、その中で事故情報を消費者庁に集める形で消費者庁が司令塔機能を果たせということですから、各省庁がきちんとやっていれば、消費者庁としては確かに、それに更に輪をかけて同じことをやる必要はないんだろうと思います。
 ですから、今回に関しては厚労省も、その情報が上がってきたのに対して鈍感なところがあったんだろう、消費者庁も同じように鈍感であったんだろう、あるいは厚労省がやっているはずだという善意の信頼の下に動かなかったということだと思うのです。そういう意味では、消費者庁をつくって、情報という面から安全行政のバックアップを消費者庁にやらせているということは、一種の二重のチェックをかけているんだと見てもいいかもしれないんです。各省庁が集めている情報を、更に消費者庁にも提供させるということはダブルチェックです。
 それで、今回はダブルチェックが両方ともうまく働かなかったということになるのではないかと思いますので、今回のことを反省して、第1次的な作業を行っている厚生労働省、それから、保健所等として、どういうふうな形で情報を集めるようにすべきかをきちんと考えた上で、消費者庁の方にその情報が送られてくる部分について、消費者庁は、それでは、ほかの省庁や自治体がきちんとやっているという信頼の下に処理しているだけでいいのかというところを反省しなければならないだろうと思います。
 そして、恐らく、これは担当している人の感覚の問題がかなり大きいのではないかと思います。事故の広がりの予測といいましょうか、専門家であるという意味ではなくて、こういう事件は広がっていくのではないかとか、これとこれとは何か関係があるのではないかという、勘のようなものを持った人が分析の現場にいらっしゃる必要があるのではないかという気がいたします。

(答・中村委員長代理) 先ほど問題にされた今年の4月28日というのは、厚生労働省から横浜市に連絡が入って、横浜市が問題の上白根店を立入調査している日なんです。それで、厚生労働省はそこまでで、やはり公表というのは情報が、今回、消費者庁ができて、食中毒関係も全部消費者庁に行くようになって、そこが一元化して公表するという制度になっているものですから、どうも、厚生労働省も、公表のところですと消費者庁がやるのかと暗に期待したのではないかと思われるような節があって、それを消費者庁は何もしていなかった。それで、定例の会見日であったにもかかわらず、ユッケの事件のことを一言も触れずに終わらせてしまったというところが今日の問題で、やはり消費者目線で動くのだったら、消費者庁が公表の役割については、もっと主体的責任を持ってやるべきだろうと思います。

(答) それから、先ほど言いましたことに1点、やや不十分な点があったので補足いたしますが、厚生労働省が事業者名等を公表するというのは、食品衛生法による処分につながって行うものなんです。例えば、食中毒の出たレストランを1週間営業停止にするという措置を取って、それを公表するという感じのものですが、消費者庁が行っている消費者安全法に基づく情報提供というのは、そういう処分をしたということの公表ではないというところがありますから、制度的には消費者庁の方が情報を出しやすい。被害の未然防止・拡大防止のための情報であって、事業者に対して処分をかけるという意味の、あるいは処分をかけたということの情報提供ではない、法律違反を前提としないで情報提供ができるという仕組みになっているわけで、そういう意味で、消費者庁の方がもっと早く出そうと思えば出せたはずだということがあります。

(問) 関連して、この建議とは直接関係ないんですけれども、今、一番、消費者が関心があるのが、放射性セシウムに関する牛肉の問題だと思います。それで、一般のスーパーとか飲食店で既に消費されているということで不安も広がっているわけですけれども、それに関して、この建議の中に書かれているような対応が消費者庁及び関係省庁でできていると思われるか、そうでないとすれば、どういった対応があり得るのか、御所見があればお願いします。

(答) 放射性セシウムについて、消費者委員会としても、次の機会に取り上げて、関係省庁に来ていただいて、少し審議をしようというような議論を委員内部では行っているところです。
 事態はかなり流動的といいますか、いろんな事実がどんどん出てくるということもあって、我々として、どこがポイントで、どうすればいいのかという的確な方向を示すところまで議論ができていないというところがあります。
 ちょうど4か月ぐらい前でしたか、水道水の問題が起こったときもかなり騒ぎになったわけですけれども、今回、牛肉で出た。牛肉だけなのか、豚肉や鳥肉は問題ないのかといったところもございますので、もう少し、我々としても情報を集めて、一定の意見なりが出せるような形まで議論ができれば、一定の意見を出したいと思っています。
 どうぞ。

(答・中村委員長代理) 今日の朝8時から民主党の消費者問題PTがあったんですが、いらしていましたか。あそこで、この問題が取り上げられまして、農水省と厚労省と消費者庁がそれぞれ取組状況をヒアリングされたんですけれども、この中で私が感じたのは、消費者向けに情報を出すということについては、一番お粗末だったのが実は消費者庁なんです。
 それで、厚労省の提出資料には、地方自治体でもこれだけのことを発表していますというので、藤沢市と徳島県と、これは大阪府でしたか、そういう3つの地方自治体のホームページから抜粋していたものも出ていたんですが、これに比べて消費者庁は、ホームページを開けてもおわかりのとおり、この問題についてはほとんど触れていなくて、7月19日に消費者庁長官から厚生労働大臣と農林水産大臣に、消費者への情報提供をよろしくという要請書を出された程度の資料しかございませんで、あとは一般的に消費者庁が震災対応のところのページで書いていることを張り付けてあるだけで、今、消費者が一番心配している、流通している牛肉のセシウムの問題については立ち入ったコメントは一切ないという状況でありましたので、こういうところもやはり、私は消費者庁ができた理由というところからしたら、消費者庁はもっと消費者向けに、消費者目線での情報提供ということで、もっと意を注いでほしいなという感じがいたしました。

(問) 分析官についてなんですが、私は、事故情報データバンクとかを一元化するときに、畑村先生のお話とかを引用して、目ききが必要だということを書いてきました。それで、最初、分析官はわずか5人だったんですが、今回の機構改革で消えうせたと私は思っているんですけれども、その辺について、一言、何か見解はありますでしょうか。

(答・中村委員長代理) これは、この専門調査会の中でも随分指摘されていまして、情報を集めている、持っているだけではしようがないので、ちゃんと分析して、どういう伝え方をするかとか、どういう施策にしていくかということが重要なので、分析というところが非常に重要なんですけれども、現状はどうかと聞いたら、ようやく、まだ7月1日に人事異動がある前ですけれども、やっと5人から6人ぐらいになったような。

(問) 6人になったんですか。何か、対応官という名前になって、分けられて。

(答・中村委員長代理) ですから、それが7月1日の前の段階でそこまでしか言わなかったんです。そして、7月1日の、人事異動の関係で、実は分析官という官名は一切なくなりました。それで、企画官みたいな方がそれぞれ、あちこちにいるんだということで、そういう人たちが、今までの分析官だった人が、同じ人がやっているんだということなんですが、非常に手薄なままであって、特段、改善が見られていない。
 それで私は、その分析官という官名をやめてしまうこと自体、何か姿勢を疑うような感じがしまして、やはり消費者の声といいますか、専門調査会が盛んに、分析のところはもっと強化しなければだめではないかということを申し上げているんですが、余り取組みが見られていない。それで、今回の建議の中でも、その辺も少し指摘しているわけです。

(問) すみません、少し細かくて申し訳ないんですが、私は実は、東京消防庁だけがやっている救急搬送情報の集約情報をデータバンクに入れろということをずっと言い続けてきたんですが、実現しておりませんで、それで、この救急搬送の事故情報を把握できるように、この30日のところはきっと政令になるんだと思うんですが、「基準について見直しを図ったり」の、この基準とはどういう意味なんでしょうか。

(答・中村委員長代理) 消防の方も30日以上かどうか、すぐ厳しい判断を求められると大変なので、やはり期間は短か目にして、どんどん情報は出しやすくするということが必要なんだろうと思うんです。

(問) それで、基準とは何なんですか。この基準の見直しとは何を意図しているんでしょうか。

(答・中村委員長代理) 今、消防庁から消費者庁に通知される情報の基準として、消防庁発表の統計では、救急搬送後に救急隊から患者を引き継いだ初診の医師が示した重症度に関する分類として、軽症は、入院の必要のない軽易なもの。中等症は、生命の危険はないが入院を必要とするもの。それから、重症を生命の危険が高いものという分類をしているんですが、例えば重症だけではなくて、中等症ぐらいのところまでを含めて、消防の人の3つの判断のうちの2番目から全部報告するんだということにできれば、もう少し情報が集まりやすいのではないか。
 初期判断ですから、最初は軽いと思っていたけれども、意外に重かったという事故だって随分あると思うので、そういう意味で、できるだけ幅広に情報が入ってくるようにというつもりです。

(問) 先ほどの質問の関連なんですが、3ページの法整備のことなんですけれども、確認なんですが、誤使用・非重大事故情報に係るもの、誤使用であっても多発している、あるいは高齢者や子どもに特有の事故で、これは事業者に、例えば子どもや高齢者の事故で集中しているものについて情報提供させるということと同時に、たしか、報告書の中では長野県の条例を引かれていて、企業との関係で、立証責任の転換ということもどこかで書いてあったような気がしました。つまり、そういうことも含めた法整備ということ、立証責任の転換もあるんでしょうか。

(答・中村委員長代理) はい。そういう趣旨も含めて、今まで誤使用とかということで大量の事故が片付けられて公表されていますけれども、そういうことではなくて、やはり事業者側に、どうなのかということを証明できなければ、やはりそれは危ない事故だったのではないですかというような制度立てにできないものか。
 御存じのとおり、今、本当に消費生活用製品安全法、消費者安全法、更にはNITEが収集している任意の情報提供、これはいずれも誤使用とか、あるいは調査中でずっとつるされている事案が非常に多いです。そういうところを埋め合わせる必要があるので、もう少し事業者の専門的な知見も活用しながら、今、おっしゃったように、証明責任的なところまで踏まえた制度設計ができないかということです。

(問) すみません、細かくて申し訳ないんですが、(3)の複数の製品に重大事故が生じた場合に、製品群全体について分析し、公表する必要性についてわかりやすく御説明いただきたいのと、マル2の消費者安全法の関連規定というのは、公表の基本要領だけなのでしょうか。ここについても、もう少しわかりやすく御説明ください。

(答) (3)のマル1とマル2ということですか。

(問) そうです。

(答) (3)のマル1は、ここの文章に書いてあるとおりで、当該型番の製品だけではなくて、同じような材質、あるいは同じようなメカニズムの製品があって、そちらの製品でも事故が起こっているということであれば、同じ材質・メカニズムを使っている製品群全体について調べてみる必要があるのではないか。そうすれば、メーカーが違う、あるいは型番が違うものであっても、やはり潜在的な危険性があるものが発掘できる可能性があるのではないかという趣旨です。
 それから、マル2です。

(答・事務局) これは一応、公表の基本要領です。
 マル2は、公表の基本要領は、今、非常にあいまいなので、それをもっと明確な基準をつくりましょうということです。マル1は、LED電球で、今回、東京都が発表した、焦げというものがありましたね。ああいう感じのあれですね。

(問) もう少しわかりやすく言ってください。

(答・事務局) LEDの電球で、その器具にうまく合わないと、そこのソケット部分というんでしょうか、そこの部分が焦げるという事故が、今、出てきていて、それはLED電球独特で、そのジャンルで起きているということなんです。

(問) ですから、LEDすべてについて調査しろということですか。

(答・事務局) そうです。100円ライターを子どもが使ってみたいなものもそうだと思います。

(問) 先ほど委員長が、建議が若干あいまいな書き方になっているとおっしゃっていたので、改めて整理させてほしいんですけれども、これは多分、5の、それぞれ項目がありますが、要は報告書のどの部分がそれぞれ、5の(1)とか(2)に当たるのかという、恐らく、5のマル2などというのは消防庁の話、救急車で、総務大臣あての建議だと思うんです。(2)だと、これは恐らくユッケの事件のことを言っていると思われるので、これですと、厚労省と消費者担当大臣という、それぞれ報告書のどの部分に該当するのかというのと、関係省庁を教えてください。

(答・中村委員長代理) それは、一覧表でもつくってもらいますか。

(答・事務局) 事務局の方で、後で対応します。

(問) 直接、今回の建議ではないんですけれども、先週の消費者委員会の中で意見書が出た件についてなんです。国民生活センターの見直しについて意見書が出ましたが、消費者庁自身は国センと一緒にタスクフォースをやって、シンポジウムをやって、そこには委員長も出られてということを聞いております。それから、とりまとめ案として最終的なものが出てきて、それを説明していくということなんですけれども、消費者委員会としては意見書を出された。その後、あるいは今の消費者庁の動きについて、どのようにお考えでしょうか。消費者委員会の対応としてもあれば、お願いします。

(答) 委員会としては、先週、意見を出しておりますが、我々の基本的スタンスは、この問題を消費者庁と国民生活センターという2当事者だけの話し合いで決めてしまうべきではないということでありまして、2当事者がいろんな論点を整理して、自分たちはこう思うというふうに考え方を公表されるのなら、それはそれでいいんですけれども、それを基にして、もっと広い場できちんと審議をすべきではないかということです。
 従来ですと、各省庁が一定の政策を打ち出す場合には、各省庁内部で研究会とか検討会等を行って、一応の考え方をまとめた上で、それから審議会等を開催して、さまざまな関係者に入っていただいて、それで案をもんでいくというやり方を普通は取っているわけですから、そうすると今回のケースも、言わば消費者庁と国民生活センターの間の議論としては、これでいいのかもしれない。それは我々の関与しないところで行われているものとして、一つの案としてはあり得るのかもしれませんけれども、それを基にして、もっと広い、いわゆる審議会に当たる場をつくって、さまざまな意見が直接、その案の中に入っていけるような形で議論をすべきであるということです。

(事務局) 消費者安全の建議について御質問は、もしもありましたら、またお問い合わせいただければと思っております。
 それでは、長時間、いろいろと御意見・御質問をいただきまして、大変ありがとうございました。どうぞ、これからもよろしくお願いいたします。

(以上)