第7回 消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ 議事録

日時

2018年7月30日(月)14:00~16:15

場所

消費者委員会会議室

出席者

【委員】
鹿野座長、池本座長代理、高委員長、樋口委員
【説明者】
明治大学法学部教授 柿崎環氏
消費者関連専門家会議専務理事 坂倉忠夫氏
消費者関連専門家会議事務局長 喜山洋子氏
消費者関連専門家会議理事企画委員長 村井正素氏
【事務局】
黒木事務局長、福島審議官、坂田参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 有識者ヒアリング
  3. 関係団体からのヒアリング
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○坂田参事官 本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

ただいまから、「消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ」第7回会合を開催いたします。

本日は、所用により山本委員が御欠席との御連絡をいただいております。

議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。

お配りしております資料は、議事次第の下部分に配付資料一覧を記載しておりますけれども、資料1、資料2-1、資料2-2、資料2-3、資料3となっております。

不足の資料がございましたら、事務局へお申し付けいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

よろしいでしょうか。

それでは、鹿野座長に以後の議事進行をお願いいたします。


≪2.有識者ヒアリング≫

○鹿野座長 それでは、本日の議題に入らせていただきます。

本日は、消費者法分野におけるルール形成の在り方の重要な論点のうち、「事業者のコンプライアンス体制整備」及び「消費者志向経営の評価、顕彰制度」について検討を行いたいと思います。

まず、「事業者のコンプライアンス体制整備」に関する検討に当たり御意見を伺うため、参考人として、明治大学法学部教授の柿崎環様にお越しいただきました。柿崎教授の御専門分野は会社法であり、内部統制やコーポレートガバナンスなどについて研究をしていらっしゃいます。

事業者のコンプライアンス体制整備は公正な市場を実現するための方策として重要でありますが、特に中小企業におけるコンプライアンス体制整備につきましては、様々な要因から必ずしも体制整備が我が国において十分に進んでいるとは言えない状況と思われます。

柿崎教授におかれましては、アメリカにおける小規模会社の法令遵守体制についても知見をお持ちでいらっしゃいますので、本日、そのような点も含めて貴重なお話をお伺いできるものと思っております。それでは、まずは15分程度でお話しください。もう少し長くても結構ですが、不足のところは後の議論のところでも必要に応じて追加していただくということを予定しています。よろしくお願いします。

○明治大学法学部教授柿崎環氏 それでは、ただいま御紹介にあずかりました、明治大学の柿崎でございます。

大部なレジュメになっていますので、飛ばしながらここだけをお伝えしたいというところをかいつまんでお話しすることになると思います。

おめくりいただきまして、「本日の報告の概要」でございます。先ほど御案内がございましたように、私は内部統制を専門に研究を進めておりますが、特に小規模会社のみということではなく、広く上場している会社の内部統制を中心に、アメリカの上場会社の内部統制を中心にこれまで研究をしてまいりました。ですので、小規模な会社に関しましては、今回、お話をいただいていろいろ勉強させていただいたところでございます。ただ、アメリカにおいても、日本と同様、小規模会社の数のほうが圧倒的に多くございますので、その小規模会社に対するコンプライアンス体制の構築や運用をめぐる問題点は、もちろん全てとは申しませんけれども、日本と共通するところが幾つかあろうかと思っております。ですので、まずは中小会社の法令遵守整備に係る問題点で、共通項だと思われるところについてお話しした上で、アメリカではどういう体制を取っていて、現在、どういう方向に向かおうとしているのか、私の分かる範囲で御説明したいと思います。

最初に、3ページの「1 中小会社における法令遵守体制整備に係る問題点」ですが、言わずもがなの話が並んでいると思います。まず小規模会社の企業家に関する問題点ですけれども、その人たちの経験の少なさ、また、人的・物的な資源が圧倒的に少ない、また、専門的な知見もないといった状況で、そういう人たちに法令を遵守する体制を整備せよと言ってもコストの面でなかなか難しい。また、アメリカの中小会社に関するコンプライアンス体制の整備に関する論文を見ましたところ、「過度に楽観的」もしくは「未来志向的」な企業家マインド、なかなかアメリカらしいお話ですけれども、そういう経営者が多いことが問題だということで、それがどういうことに結び付くかというと、2008年のアメリカの金融危機のときのお話ですけれども、もちろん大規模な上場会社による金融危機だったわけですけれども、結果として小規模会社の63%が倒れたといわれておりまして、要するに、大規模会社のそういう収縮コストに比べて、大きな景気後退による中小会社の倒産や失業といったことに対する社会的コストが約2兆ドル近くかかったということで、むしろそちらのほうが大きな経済的なダメージだったことが報告されてございます。ですから、大きな景気後退に対しては、中小会社はアメリカでも極めて弱い存在であることが指摘されておりました。また、最後に指摘してあります「外部的強制により自律的ガバナンスを要求することの矛盾と限界」というのは、最終的にこういうことかなと私が思っているところでありますけれども、私は法律が専門なのですが、法令によってコンプライアンス体制を整備しなさいといっても、結局、コンプライアンス体制を整備するということは、自律的に、つまり、法律を守るというだけではなくて、リスクも自分たちで自主的に発見をして、それに対応していかなければいけないことになります。要は自律型のガバナンスを外から強制することの矛盾といいますか、その辺りをどのように考えていくのかということが一つヒントになるのではないかと思います。

次のページからは、法律の世界の話ですけれども、アメリカのそもそもコンプライアンス体制がなぜ今日のように言われるようになってきたのかということについて、歴史的な経緯を少し書かせていただいております。話が長くなるのでかいつまみますけれども、企業のコンプライアンス体制の整備・促進につきましては、アメリカの場合には、連邦規制上に企業犯罪に対する連邦量刑ガイドラインというものが大変活躍しておりまして、簡単に言えば、企業犯罪があった場合、普通であれば高額な罰金刑が定められているのですけれども、ある一定レベルのコンプライアンス・プログラムを備えていれば、裁判所がその量刑を判断するに当たって、その減刑といいますか、軽減を認めるものであります。これは、裁判上、守らなければいけない基準としてアメリカでは定着しております。そして、これは、小規模会社にも適用されておりまして、もちろん、その企業のレベル感に応じて要求されるコンプライアンス・プログラムの内容は変わってきますけれども、基本的なコアの部分は示してあるということであります。また、司法省が企業犯罪を訴追するに当たっても、コンプライアンス・プログラムがあれば、司法取引的に訴追を延期したり、免除したり、その司法取引の一つの要素として、コンプライアンス・プログラム、つまりコンプライアンス体制をきちんと整備しているかを判断しているということでございます。

この連邦量刑ガイドラインの内容につきましては、年を追って改定が繰り返されておりまして、こういう内容のコンプライアンス体制を守っていれば、量刑で考慮してあげるとか、司法取引に応じてあげるという意味で要求される内容が、どんどん精緻化してきている状況にございます。2004年のときは、ここにありますように、最初は、違法行為の予防や防止のためのコンプライアンス・プログラムかどうかということが一つの量刑判断の考慮事由だということでした。

6ページに参りまして、この量刑ガイドラインの内容が、当初は、違法行為を予防や防止するためにどういう仕組みを作っていますかという観点から、コンプライアンス・プログラムというものを要求していたのですけれども、2010年になってまいりますと、次第に、予防とか防止というよりも、違法行為をできるだけ早く発見できる体制になっていますか、発見したらすぐに報告し是正する体制ですか、そういったことができていなければ有効なコンプライアンス・プログラムとは言えません、そのレベルまで行っていなければ駄目ですということで、不正を見つけるというよりは、不正のリスクを見つけるリスクマネジメントのほうにコンプライアンス・プログラムの要求内容がだんだんシフトしていく状況が見て取れると思います。また、6ページの下のところにありますけれども、コンプライアンス・プログラムの内容の中に、例えば、訴追対象となっている企業が、取引先に対してコンプライアンス条項の遵守を要請しておりまして、サプライチェーン・マネジメントという意味で、こういうコンプライアンス体制を取っていなければそちらとは取引をいたしませんという形で、中小企業に対する法令遵守意識を浸透させるツールとして使われているということでございます。

7ページにまいりまして、アメリカの法律上、内部統制がどのように発展・展開してきたのかについて示してございます。日本でもJ‐SOXと言われるものがございますけれども、その母法であるアメリカでの内部統制規定の展開のお話です。もともとは1977年の海外腐敗行為防止法(FCPA)、これはウォーターゲート事件を契機としてアメリカに導入されたものですが、この法律の中に、当時は内部会計統制システムという表現でしたけれども、そういう内部統制システムを構築しなさいという法的義務が、監査の世界から初めて法律の世界に入ってまいりました。

ただ、この内部統制規制の意義なのですけれども、アメリカの法規制の特殊事情といいますか、それを理解しないと、なぜこの内部統制が今のように要求されているかがよく分からないと思います。特にアメリカでは、相当整備のコストがかかるもので、導入時には大変な騒ぎになったわけですけれども、8ページの「アメリカの企業法制の特殊性と連邦規制における内部統制規定の役割」を御覧いただきたいと思います。少し大上段な話になるのですけれども、アメリカという国は、連邦会社法は持っておりませんので、会社法の領域は各州のそれぞれの専属管轄になっておりまして、特にガバナンスに関しては各州の会社法が必ずそこについては優先的にやるという話に今もなっております。ところが、そういう事情がありますので、各州は、法人税獲得のため、企業に対して準拠法を自分の州会社法に置いていただきたいというアプローチをとりまして、経営者にとてもフレンドリーな、有り体に言えば、かなり緩い形の会社法になるよう規制緩和を進めておりました。どんどん規制緩和を進めていって、役員の責任も形骸化しております。実際、アメリカの今の州会社法の裁判例を見ても、経営判断原則を極めて緩やかに認めて、経営者に有利な判決となり、アメリカでは州会社法ではなかなか経営者を縛ることができない状況になっております。では、どうしたかというと、連邦証券規制によって、広くアメリカの上場会社に関しては、取締役、役員たちを縛っていこうということを考えていたわけです。ところが、先ほど来、お話ししているように、州会社法については州の専属管轄ですので、ガバナンスに関しては連邦規制が出てくると越権行為になってしまいます。SECなどの連邦市場規制当局が、ガバナンスに関与しようとすると越権行為だと言われるように、州会社法の管轄権という壁があったわけです。そこでどうしたかというと、SECは、本当はガバナンスに直接介入したいのですけれども、そういうわけにもいかないので、1977年の海外腐敗行為防止法で内部統制規定を連邦法の中に入れて、上場会社に内部統制をきちんと整備させようとしました。この内部統制規定は、あくまでも市場に開示される情報に嘘がないように、財務上の不正を防止するために導入されたと読むことができますので、証券市場を規制するSECであっても、上場会社の内部統制に関与することができるのだということです。ただ、実際、SECは、この法律の契機となった海外の賄賂行為とか、そういうことの防止を念頭に置いたわけではなくて、全ての事業会社において、いわゆる簿外債務を生むような、そういった歪んだ内部統制システム、ひいてはガバナンスをきちんと是正していく権限を持ちたかったのだと、そういう意味で内部統制規定を入れていったというアメリカ独自の背景がございます。

1977年の段階では、内部統制というものをただ構築しなさいという規定が入っただけですので、その後、それではなかなかうまくいかなかったので、2002年にSOX法ができるのですけれども、そのSOX法の中では、内部統制を構築し、評価し、外部監査人によって監査させるというフルセットの内部統制規制が作られていくことになりますが、その前提として、有名な1992年のCOSOによる「内部統制の統合的フレームワーク」が公表されます。これが今の内部統制のデファクトスタンダードとなっていると思われますけれども、法的に言えば、こういった民間団体のフレームワークがあったことによって、それまで内部統制という概念自体が、人によって、企業関係者によって、ばらばらだった概念が共通化されて、それによって規範性が確立されてまいりまして、その基礎固めができ、SOX法の制定に貢献したものだと考えることができます。

10ページにまいりますと、エンロン・ワールドコムの事件を契機に制定されたSOX法にはフルセットの内部統制規制が入ってきますが、ただ、小規模なSEC登録会社に関しては、過大な規制コストを負わせることになるということで、IPOのあと5年間は免除するという形の規定が後に入ってまいります。

11ページは、先ほどお話しした司法省やSECによって行われるFCPAの内部統制規定の法執行、この手法としてコンプライアンス・プログラムの導入を司法取引的な条件にしているのだということを示してあります。

12ページも、そういう形で、アメリカの場合は、州会社法が機能不全に陥っているので、連邦法で規制をしていくしかない状況になっております。そのためSECは、行政処分を徹底して行っていく中で、企業に有効なコンプライアンス・プログラムがあるかということを一つの大きな柱にして判断を下しているということです。12ページの図は、そのコンプライアンス・プログラムの要素としては、「タイムリーな自主的報告」、「徹底した調査協力」、「迅速な是正措置」が含まれていなければ、有効なコンプライアンス・プログラムとは認めないということで、単なる法令遵守ではなく、不正リスクに早期に対応するリスクマネジメント体制とだんだん変化しているというのが現状であると思います。

最近、COSOが出している内部統制フレームワークに対して、もう一つ、2004年に公表されていたERM、Enterprise Risk Managementというものが去年改訂されました。これを小規模会社に使うことができるのではないかなと思いまして、今日は中心的に御紹介させていただきたかったのですが、時間もありませんので、かいつまんで申しますと、このERM自体、2004年版の場合には、もともとの1992年のCOSOの内部統制フレームワークを更に発展させた形になっていたのですけれども、発展させたと言っても、結局、その延長線上のフレームワークでしかなかったわけで、なかなかこれがうまく機能しなかったわけです。そこで、今度はちゃんと機能させようということで、2017年版では、もう少し、簡素化して、強調したいところだけを述べている形にリニューアルしました。

改訂されたERMの定義なのですけれども、次の14ページを見ていただくと、御案内の方はいらっしゃるかどうか分からないのですけれども、COSOが出している内部統制概念は、COSOキューブと言われている四角いサイコロ状のもので今まで説明されていたのですけれども、それをやめて、ERMに関しては、こういうDNAの帯がらせん状に絡み合っているような図に直してきました。

この図では、ERMの全体像について、15ページに書いている「5つの構成要素と20の原則」を説明しようとしております。「ガバナンスとカルチャー」、「情報伝達」の項目を表す、黄色とオレンジが一緒の帯で、真ん中の3つの要素が別の帯、この2種類の帯が絡みあっているということが実は意味がありまして、「ガバナンスとカルチャー」を支えるためには、「情報伝達」が機能していなければ、有効なガバナンスにはならないし、その真ん中の「戦略」、「パフォーマンス」と「レビュー」については、これはセットにして考えていかなければならないということです。時間もないので、一言でこの改定ERMの主眼は何かと申しあげますと、要するに、それまでなぜERMはうまくいかなかったかというと、手続的な業務プロセスの改善に注力しすぎて、全社的に全てのリスクを把握しようとするところに問題があったと思います。むしろ、経営者主導のリスクマネジメントというものが、企業価値を高めるものなのだということにもう少しフォーカスして、経営者に刺さるリスクマネジメントに設計し直した形で提示しようとしたのが、恐らく新しいERMの主眼なのだと思っております。

16ページに参りますと、ERMはなぜ失敗したのかということについてお話が書いてあるのですけれども、いろいろ導入時の制度上のかけ違いや誤解があってうまくいかなかったのです。

17ページに行くと、改訂ERMは、リスクと企業価値を結び付けて、正に価値を生み出すリスクマネジメント、その背後には組織文化が支えるリスクマネジメントになっていなければいけないのだという話をしております。

18ページですけれども、正に改訂ERMの強調点として挙げられているのですが、経営課題としてリスクマネジメントに取り組んでいくというアプローチが重要であり、企業の価値を向上させる企業ミッションの実現には、経営者が関わっていかないと意味がないということで、その背後にある組織文化の重要性を強調しております。つまり、自律的ガバナンスの前提条件は、先ほどのお話ですけれども、単に法律を守るというだけではなくて、Ethics & Complianceという言葉に表されていると思います。つまり、Ethicsの部分は、ただ倫理という話ではなくて、将来、未知の状況に直面したときに、法律がなくとも、何がその行為規範になるかといった判断基準を示すことができるリスクマネジメントのために必要で、そちらの方向にEthicsを解釈し直していると私には読み取れました。

この小規模会社における改訂ERMの導入がアメリカでも少し検討されておりまして、今、お話ししましたように、改訂ERMは、元のCOSOの内部統制フレームワークと違って、大規模な作り込みを要求しているわけではございません。経営者マインドをリセットするような経営者に刺さるリスクマネジメントへの改良を主眼としているわけですから、コストの点でも実はそれほどかからないということで、アメリカの中小企業局が音頭取りをして、こういったものを活用しているようであります。これは、また後ほど御質問があればお話ししたいと思います。

日本法への示唆は、本当に簡単なお話になって申し訳ないのですけれども、小規模企業版、中小会社版のERMを、日本でも何らかの形で採用して、それを採用しているところに関しては、例えば、税制優遇や中小企業の融資の条件として活用していくという方策は一つ考えられるだろうと思います。その手段としては、日本版の小規模企業版ERMの認証制度もあるかもしれない。サプライチェーン・マネジメントへの活用は、既になされているというお話もありますけれども、取引条項の中に改訂ERMの遵守を入れていくということも考えられると思います、また、最近は裁量型課徴金制度が次第に日本でも浸透してまいりましたので、行政措置の減免と加重要件としてこれを見ていくこともできるかと思います。ですから、ERMは、使いようによっては、中小企業の経営者のマインドリセットにはかなり使えるツールになるのではないかと、私としては考えております。ちょっと早口になって申し訳ありませんが、以上です。

○鹿野座長 ありがとうございました。非常にタイトな時間でお話しいただきまして、恐縮でございました。

ただいまの御説明を踏まえまして、御質問、御意見等のある方は御発言をお願いします。

高委員長、お願いします。

○高委員長 御説明をありがとうございました。

柿崎教授自身も、今回、中小企業のことは余り情報をこれまで集めていなかったということで、大変御苦労されたかと思うのですが、あえて中小企業との関連でお聞きしたいのですけれども、最後のほうに、中小企業がERMに取り組むときには、大企業に求められるような全ての要素ではなくて、恐らく統制環境みたいなところになるのでしょうか、そういうところで取り組んでいればこれでよしとするとおっしゃられておりましたが、それが中小企業局の対応なのでしょうか。

○明治大学法学部教授柿崎環氏 そこを少し調べましたところ、それが運用レベルで行われているので、何か法律があるとかということではどうもないようなのですけれども、先ほどのページで言うと19ページのところにありますように、Strategic Risk AssessmentというERMを使って、小規模企業協会、恐らく商工会に当たるようなところだと思うのですけれども、その融資条件として、このERMを使った質問票のようなものを作っているわけですね。その中に戦略的なリスクマネジメントについて回答できるような形で作り込みをしてある質問票をあらかじめ作っておいて、これを融資条件の一つにするようです。融資するほうにとっては、どういうリスクがその企業にあるのかが分かるわけで、ですから、最初の設立のところだけではなくて中間地点で、お金を借りる、企業を拡大させていく段階で、その企業が現在どういうリスク状況にあるのかということについて、経営者にもう少しきちんと把握してもらう一つの契機を作るということらしいのですね。ですから、小規模事業者に早い段階から、リスクマネジメントにフォーカスをした企業カルチャーを醸成してもらうことを主眼に置いていて、必ずしも統制環境とかそういうふわっとした話だけではなくて、もう少しシビアに、お金を借りるということの前提ですので、資金繰りが今はどうなっているのかとか、代替的な資金繰りの可能性はあるのかとか、当初の計画に基づいてどのように運営しているのかとか、そういうチェックを経営プロセスにおいて行っていこうとするものですが、Exit Planですので、もしこういう状況になったらば、撤退しなさいとか、撤退するのはこういう場面ですよということを事前に経営者に知らしめるというか、そうすることによって、先ほど言ったアメリカの過度に楽天的な中小会社の経営者に対して、こうなると事業を閉めなければいけないのだということを相当前の段階で意識させる効果を狙っているというのですね。そのため、質問票への完全な記入を促すことは、企業家が事業縮小のリスクを予測する助けとなると考えられております。

もう一つ、これはすでに実施されているかどうか定かではないのですが、小規模事業会社が倒産する際の、倒産申請手続はアメリカでも相当複雑というか、手間がかかるのですけれども、倒産するときに、事業再生のためのチャプター11の活用をする前提条件として、それをきちんとやっていると、手続を簡略化して倒産申請ができるようにするアイデアが提唱されています。だから、Exit Planなのですね。市場から退出させる、そのためにERMを活用していこうという提案と運用についての論文は見つけてきたのですけれども、具体的に私が調べた範囲では質問票まではたどりつけなかったので。どんな形になっているのかは分からないのですけれども、かなり詳細な、多分商工会のようなところからお金を借りるとか、定期的に中小企業経営者への教育の一環として、ERMを使ってリスク認識を高めていくという形で、何らかのリスクマネジメント体制を整備せよとかを要求していくのだと思います。もちろん質問票に答えて彼らがリスクを認識したことによって、その経営者が今度は自らリスクマネジメントを実施していくということになると思うのですけれども、公認会計士を入れて何かしなければいけないとか、そういう話ではないという様子であります。

○高委員長 分かりました。

○鹿野座長 ありがとうございました。

今のところに関連するかもしれないのですが、19ページのところで、もう一つ質問をさせてください。

今のお話では、経営状況に関するリスクマネジメントということのようにも聞こえましたが、より直接的に消費者との関連において何かの要件を備えていないと融資が受けられないとか、そういうことはないのでしょうか。例えば、消費者との関わりで、不適切な勧誘などをしていてはいけないとか、あるいは、相談体制を整えていないといけないとか、そういう項目がここに入っているというわけではないのでしょうか。リスクマネジメントという概念はいろいろな意味で使われることがありますので、その辺りについてお聞かせいただけませんでしょうか。

○明治大学法学部教授柿崎環氏 このERMの中にどれぐらいコンプライアンス・プログラムの要素が入っているかというのは、定かではないのですが、企業規模、体力に見合わないものを要求することはできないのですけれども、内部通報制度はコンプライアンス・プログラムの中の一つの核になっておりますので、何らかの通報体制、例えば、相談窓口という形での体制の整備を要求されるのは中小企業においても多分同じなのではないかと思うのですね。そこは必ずしも消費者のための制度という形で作られているわけではありませんけれども、正に現場の状況というか、一番現場に近い人たちが何か不正を見つけたときに報告していくシステムですね。それは、従業員も、取引先も、物を買った人も、そういった人たちが全て何か問題状況の情報を伝達できるような、そういう仕組みというものは、コンプライアンス・プログラムの中で要請されていると思います。

また、消費者保護というか、サプライチェーンの中では、アメリカの場合は、いわゆる人権問題に関わるような、例えば、アパレル産業などで子供の労働者を使って作った製品を取引するということがないように、契約条項の中にそういう人権マターに関しての注意事項が入っていて、そういう子供を使った不当な労働環境において作った製品、そういう製品を作りませんということが取引条件になっていたりするわけですよね。ですので、それはそういうものは買いたくないという消費者にとっては消費者保護と言えるかどうか分かりませんけれども、そちらのほうにつながってくるのではないかと思います。

○鹿野座長 ありがとうございました。

他にいかがでしょうか。

池本座長代理。

○池本座長代理 池本でございます。

非常に興味深い、むしろ1時間くらい時間をかけてじっくりお伺いしたいところ、短時間で申し訳ありません。

最後の20ページのところで、「アメとムチ」のアプローチという中のムチというところ、サプライチェーン・マネジメントを取引条件に導入というのは、中小企業そのものがこういった施策を実施しているかどうかを、その取引をしている企業が、取引先の内部統制の状況を入れなさいということを組み込んでおくという意味で理解してよろしいのでしょうか。

○明治大学法学部教授柿崎環氏 そうだと思います。

ですから、中小会社のほうから言うということではなくて、大企業のほうに、大体アメリカでも大手の企業が企業犯罪を行ってパニッシュメントを受けるわけですから、そのときに今後実施していくべきコンプライアンス・プログラムの中に、取引先にもそういった法令遵守体制を求めるというか、全てではなくても、それぞれの業種や取引に合わせて、こういう点については相手方の取引先に守らせる条項を入れるということですから、違反を行った企業の側に守らせる義務を課すことによって、反射的に取引先の中小会社のほうが、取引の条件になりますから、それを守っていくだろうということで、そうやって浸透させていくという一つの仕掛けを作るということだと思います。

○池本座長代理 もう一点は、今のすぐ下ですが、裁量型課徴金制度において行政措置の減免と加重の条件として位置付けるというところ。残念ながら、我が国では、まだこの辺が制度として、例えば、景品表示法で3%とか、パターン化されてしまっているところです。仮に原則パターン化したものだとしても、裁量的な増減の要素を何か組み込むという、現行制度の見直しのポイントと理解してよろしいのですか。

○明治大学法学部教授柿崎環氏 そのとおりです。アメリカの行政裁量と言いますか、いわゆるエンフォースメントの種類は多彩でかつ柔軟に行われておりますので、そこは日本と基本的に全く違うのだと思うのですけれども、ただ、日本におきましても、そろそろ、少しずつですけれども、裁量型の行政措置を認める制度が出てきておりますので、今後一つの検討課題かと思っております。

○池本座長代理 細切れで申し訳ありません。もう一点、15ページで「5つの構成要素と20の原則」というところ、その中を見ますと、例えば、取締役会でリスク監視を行うことができているか。こういうものは、例えば、議事録なり何なりで検証可能な項目もあるのですが、かなりの項目は評価を伴うもので、なかなか判定が難しいような項目が入っているようです。これは、先ほどのお話ですと、全体を評価するときにポイントを見て融資なり何なりを項目で見るというのか、あるいは、これももう少し具体的な要件立てをしたような記述というのですかね、規範的なものを更に細分化した条項があるのかどうか。これはどう受け止めればいいのでしょうか。

○明治大学法学部教授柿崎環氏 もちろんこの改訂版ERMについてもこの図表だけがぽんと出ているわけではありませんので、この20の原則についても詳細な説明がございます。

ただ、コンプライアンスの研究をしておりますと、結局のところ、コンプライアンス体制の整備は、自発的、自主的に取り組まなければ、やらされ感が否めないというか、法律で言われたからやっているのだということになると、不正の芽や、事業リスクについても自発的に探して対処していこうということにならないというのが、恐らくはコンプライアンス・プログラムを、パニッシュメントを科す一つの条件とするときの限界なのかなと考えているのですけれども。そうなると、どうしても自発的にコンプライアンス体制を整備するといったときには、企業文化をどのように作っていくのかということに、最終的に戻っていかざるを得ないと思います。最も悩ましいところですけれども、ただ、それはCOSOが最初、1992年に出した内部統制フレームワークの「統制環境」の中でも、結局はどういう組織文化に根差した統制環境を作っていくのかという点が同じように問題となっていたと思います。今回のERMは、経営者に刺さらなければいけない、言い換えれば経営者に訴求していかなければいけないリスクマネジメントということなので、それによりどれぐらい企業価値が高まるのかを重要なポイントとしたということです。リスク選好という意味でいえば、あなたの企業にはどういうリスクがありますか、どれぐらいあなたのところは冒険できますかとか、その根拠は何ですかと、そういうリスク選好を質問票によって答えさせた上で、そのリスクについて定期的にチェックをしていくわけですね。あなたのところのリスクは、重要度はどうで、優先順位はどうでということを見ていって、そのようなリスク評価をした上で出てきた結果としてのパフォーマンスとの関係性について、また後でレビューをしていって、正にリスク志向の経営を定着させていこうということなのですが、こうしたことは質問事項を工夫すればできるのではないのかなという気はしています。それは作り込み次第であって、私もアメリカの中小企業版ERMの質問票を見てみたいと思っているのですけれども、逆にこの改訂版ERMだからこそ中小会社に使ってもらえるのではないかと思います。大企業ではなくて中小会社にとっても、コストをそれほどかけずできる体制整備ですので、経営者によるリスクマネジメントのマインドセットのための道具なわけですからお金はかからないと、これを推進していく人たちは言っています。例えば、取締役会がリスク監視を行っているかどうかということについても、「望ましいカルチャーを定義付けているか」は、結局は、経営者の内心の問題ではなくて、大企業だったらそれをどのように会社の内規の中に落とし込んでいるかとか、客観的なミッションを定めたものを実際にどう動かしているのか、もちろん企業規模とか業種にもよると思うのですけれども、決してそれは経営者の内心の問題ではなくて、それがその会社の中のどういうシステムや体制の中に反映しているのかというところをチェックしていくということなのだと思うので、それほど難しいことではないだろうと思うのですけれども。

○鹿野座長 池本座長代理、よろしいでしょうか。

○池本座長代理 非常に興味があるところなので、もう一点だけ質問させてください。

今、御説明があったようなポイントをチェックしていくということですが、もともと外部の会計監査とか、非常に重たいものではこれは普及しないということですので、手続的な負担は最小限にとどめて今のような観点を植え付けていくという大きな流れということなのですが、それにしても、単に融資を受けるときとか何か問題があったときに、その時点で、自己申告で、こうしていますか、ああしていますかというアンケートのようなことでは客観性が保てない。何か記録の作成・保存なりという、最小限の記録化をするような負担はあるのかどうか。余り法制面でクリアになっているものではないのかもしれませんが。

○明治大学法学部教授柿崎環氏 そうですね。改訂ERMを法制に入れているということは今のところないと思います。ただ、それは融資の一つの条件になっているということなので、それを示す何らかの証左は要求されてくるのだと思います。貸す方がその経営者のリスク認識がどういうものなのかということを分かった上で、ここには融資ができるのかどうかを判断するわけですから、こういう財産があるとか、資産があるから貸すということではなくて、その経営者のリスク認識と戦略はどうなっているのかということをもう少し深掘りして融資を決めていくという、そのためのツールとして使っているのだと思いますので、夢物語をしているのか、それともちゃんとそれなりのリスク評価について、精緻な分析に基づいて記載しているのかですけれども、それはもちろん大企業でできるリスク分析と中小会社でできるリスク分析はまたかなり重みが違うと思いますので、それは合わせて融資するほうの判断になってくると思います。

○池本座長代理 今、お伺いしたところで言うと、この20ページのアメとムチというところが、小規模企業そのものに対してこういうことを期待する、こうしてくださいというよりは、ここのサプライチェーン・マネジメントという言葉に象徴されるように、例えば、供給ルートの中での取引の親元側でチェックをする。あるいは、同じように、融資をする側の主体が融資先についてこういうことをチェックしてください。そして、行政も行政措置のときにはチェックしてくださいというように、中小企業を取り巻く、鍵を握る主体にこういうことをやってもらうという装置になっている、ということですかね。

○明治大学法学部教授柿崎環氏 私はそうだと思います。

○池本座長代理 ありがとうございます。

○鹿野座長 私からも、今のことと関連するところもあるかもしれないのですが、更に質問させて下さい。20ページで、サプライチェーン・マネジメントということで、大企業がコンプライアンス・プログラムの中に、法令遵守をしている小企業などと取引をするということを組み込むという御説明がありました。日本でも既にそういうことをやっている大企業はあると思います。その際、例えば、部品等を調達する際に調達先についてそのようなチェックをするという考え方をとっているところはあると思いますが、逆に、大企業が作ったものを、市場つまり販売ルートに乗せていくときには、そのようなコントロールは難しいでしょうか。

○明治大学法学部教授柿崎環氏 今度は対消費者になるわけですね。

○鹿野座長 調達する段階では割とやりやすいと思うのですが、消費者により近いところに対するチェックをしてコントロールをするという方法は、なかなか取りにくいのでしょうか。

もう一つ、最初のほうでお話のあった4ページ以下のところなのですが、企業犯罪に対する関係で量刑ガイドラインがあるというお話がありました。これは、直接的には、企業犯罪、つまり刑事的な手続において基準として機能するということとして捉えてよいでしょうか。しかしそれが、刑事的なところだけではなくて、例えば、行政処分とか、そういうところにも影響を及ぼしているということでしょうか。以上2点、よろしくお願いします。

○明治大学法学部教授柿崎環氏 最初のご質問のほうは、要するに、部品などを調達して、エンドユーザーに対して売るところは恐らく大企業ではないかと思うのです。サプライチェーン・マネジメントは、あくまでも中小会社ということを念頭に、恐らくはサプライチェーンの川中のところをコントロールすることを想定しているのだと思います。

○鹿野座長 川上から川中、川中から川下とあると思うのですけれども、川下について、もちろん大企業が直接売るというような場合は別かもしれませんけれども、いろいろな販売業者にそれが流れていくときのコントロールはなかなか難しいでしょうか。

○明治大学法学部教授柿崎環氏 そのコンプライアンスですか。すみません。そこはすぐには思い付きません。

もう一つのほうの御質問ですけれども、レジュメの方では省略してしまったのですが、そもそものコンプライアンス・プログラムは、1950年代に反トラスト法に違反する企業に対して要求してきたというのが、最初の誕生のいきさつだったようなのですけれども、今、一番アメリカで機能しているのが量刑ガイドラインの活用だということです。ただ、これは連邦法の領域なので、連邦犯罪を対象としておりまして、州の話ではないということになります。

確かにコンプライアンス・プログラムは、刑事マターで生み出されたものですけれども、結局、SEC、アメリカの証券取引委員会は、連邦の証券規制違反に対してもコンプライアンス・プログラムを借りてきて行政処分でも流用しているのです。いい制度があるから、これは司法省とSECと共同所管でガイダンスを出して進めていきましょうと。ですから、コンプライアンス・プログラムについては、司法取引的なものとか、アメリカの場合、さっき申し上げたように、SECは極めて柔軟に行政処分を行いますので、例えば、行政措置の場合に、排除措置命令のようなものがあったときには、その中でコンプライアンス・プログラムというものをきちんと入れなさいと合わせて命じるわけで、将来的にこのコンプライアンス・プログラムを遵守することを条件に行政処分を行いますし、それをちゃんと見張る人も、コンプライアンス・モニターという人も大企業の中には設定される場合があるのすけれども、そういう人を入れて企業内を2年間ぐらい監視したり、そんなことをしております。

ですから、決して刑事だけではなくて、行政処分の中の一つのツールとして、コンプライアンス・プログラムは相当活用されている状況だと思います。

○鹿野座長 ありがとうございました。

他にいかがでしょうか。

よろしいですか。

ほぼ時間になりましたので、柿崎教授へのヒアリングはこの辺りにさせていただきたいと思います。

本日は、柿崎教授におかれましては、お忙しい中、また本日のご報告のために中小企業向けのコンプライアンス促進に関する事項についても調べてお話いただき、大変ありがとうございました。私たちとしては、非常に興味深く拝聴いたしました。

○明治大学法学部教授柿崎環氏 どうもありがとうございました。

○鹿野座長 それでは、後半に移りたいと思います。

席の交代がありますので、少々お待ちください。

(明治大学法学部教授柿崎環氏 退席)

(消費者関連専門家会議 着席)

≪3.関係団体からのヒアリング≫

○鹿野座長 続きまして、「消費者志向経営の評価、顕彰制度」の検討に関連しまして、公益社団法人消費者関連専門家会議、ACAPからお話をいただきます。

本日は、参考人としまして、ACAPの専務理事の坂倉忠夫様、事務局長の喜山洋子様、理事企画委員長の村井正素様にお越しいただいております。

ACAPは、様々な企業や団体の消費者関連部門の責任者及び担当者が参加しておられ、企業の消費者志向経営に向けた支援、消費者啓発、消費者・行政・企業の3つの言わばかけ橋として調査研究等の幅広い活動をしていらっしゃると伺っております。特に消費者志向経営の推進に関しましては、ACAP消費者志向活動表彰制度を創設されまして、企業や団体の活動を積極的に支援・評価する取組を行っておられます。また、企業の消費者志向経営の推進のために活用されることを目的とした消費者志向経営推進ステップシートというものを作成、公表されているということで、そのような取組もしていらっしゃいます。こうした取組は本ワーキング・グループの議論の参考になるものと思われ、今日は、それらに関してお話しいただきたいと思っております。

大変恐縮ではありますけれども、まずは15分程度でお話しいただきますよう、よろしくお願いします。

○坂倉専務理事 ただいま御紹介いただきました、私、公益社団法人消費者関連専門家会議、略称で「ACAP」と呼んでおりますが、ACAPの専務理事をしております、坂倉でございます。

本日は、このような場にお招きいただきまして、誠にありがとうございます。また、日頃、皆様方には御指導、御協力いただきまして、重ねてお礼を申し上げます。

今回、事務局より御依頼いただいたことは2点ございまして、1点目が消費者志向経営自主宣言に関する会員企業へのアンケートの結果、もう一つは、私どもACAPが消費者志向経営の推進に関してどのような取組をしているのか、この辺りを中心に簡単に御説明させていただきます。消費者志向経営の自主宣言のスキームについては、御説明は不要ということでお聞きしておりますので、割愛させていただきます。

まず、資料の2ページ目ですけれども、こちらは私どもACAPという団体の概要でございます。私どもは、1980年に設立をしておりまして、2012年より公益社団法人化しております。事業者や団体の消費者関連部門の責任者あるいは担当者が集う団体でございまして、7月現在の段階で、正会員が732名、会員が851名、会員企業数は565社でございます。私どもではかねてより消費者志向経営の推進を活動目標に掲げておりまして、ビジョンとしまして「消費者志向経営を推進し、消費者市民社会の実現をめざす消費者志向事業者団体」を掲げております。主な活動としては3つございまして、1つは、消費者教育・消費者啓発といった消費者向けの活動、2つ目が、会員の資質向上、企業の消費者志向経営の推進といった企業向けの活動、3つ目は、消費者・行政・企業のかけ橋となる活動の3つを中心に活動を展開しております。

1点目のポイントの、消費者志向自主宣言に関する企業へのアンケート結果について御説明します。3ページ目を御覧ください。昨年10月になりますが、自主宣言を行った企業のうち、ACAPの会員企業42社に対してアンケートを実施しました。ちなみに、この時点、昨年10月時点で消費者志向自主宣言を行っていた会社は全部で56社ありました。その56社のうちACAPの会員企業は42社ありますので、この時点での自主宣言企業のうちの75%がACAPの会員企業であったということになります。その42社に対してアンケートを取りまして、36社の回答がありました。回答率は86%になりますが、この36社という規模は、自主宣言企業全部の56社に占める割合が64%になります。アンケートの結果ですが、まずは自主宣言を行うに当たっての主管部門はどこが行ったかという質問でございますが、圧倒的に多いのがお客様関連部門になりまして、これが61%。続いて、品質管理・品質保証部門が19.4%。それに続くのが経営企画部門、CS推進部門、広報関連部門となります。自主宣言をした理由、なぜ自主宣言をしたのですかという質問に対しては、一番多いのは社内における消費者志向経営の推進が77.8%、2番目が企業イメージの向上で61.1%、3番目に社会的責任として、その次に同業・他社が宣言したからということが30%ありました。これらが定量的な結果です。

4ページ目に、その企業が消費者志向自主宣言をしてよかったことということでフリーにアンサーをいただきまして、それをまとめたものがこちらになっております。消費者志向自主宣言をよかったことで、大きく分けると3つのポイントがございます。1つ目は、自社の取組が再認識できたことです。現在の会社の取組が消費者志向経営につながっているのを実感した。個々の取組が消費者志向という観点で整理できた。よかったことの2番目は、社内の取組が強化できたことです。会社の取組に関し、改めてレベルアップを検討する契機になった。改めて全社的にお客様視点を意識できるようになった。お客様の声に耳を傾ける姿勢が社内で強化できた。経営層、従業員の目が消費者視点に向けられた。関係部署との連携の重要性を意識するようになったということです。3番目が、対外メッセージができたということです。社外の方に会社の姿勢を伝えやすくなった、お客様への分かりやすいメッセージになったということです。この自主宣言を作る過程において、自主宣言をした段階においてよかったことが大きくこの3つということでございます。

一方、なぜ自主宣言をしなかったのかということで、自主宣言をしなかった企業にもヒアリングをしました。特にアンケートみたいな形では取っていないのですが、個々に十数社に対して、なぜ自主宣言をしていないのかということで、ヒアリングをしました。圧倒的に多いのは、必要性を感じないということでございました。自社で既に体制を作っている。社内でもう体制ができているので、急ぐ必要はない。ISOに沿ってPDCAを回せている。既に企業理念で顧客志向をうたっているので、わざわざ改めて発表する必要もない。メリットを感じない。同業他社はまだやっていないということです。その他の理由として、お客様対応部門から経営陣への働きかけができる環境にない。企業によっては、お客様対応部門と経営陣の距離が遠くて、お客様対応部門からなかなか経営陣に話しかける、提案できるような状況にないということです。私どものACAPの会員はお客様関連部門が主体でございますので、企業によっては、こういった環境で、自分ではやりたいのだけれども経営陣に提案できないのだというところです。それから、宣言した後に不祥事を起こしたらどうしようかということで構えてしまうということです。これらの理由は、2016年10月にこの自主宣言・フォローアップ活動をスタートしていますけれども、スタート当初から自主宣言をしない理由は余り変わっていないですね。もう1年半ぐらいになりますけれども、いまだにこういう声が聞かれているということでございます。

続いて、2点目のACAPが消費者志向経営の推進に関してどのようなことを行っているのかということを簡単に御紹介します。6ページ目になりますが、まず、ACAPの消費者志向経営の定義を2015年9月にこのように設定しております。「消費者志向経営とは、事業者が社会の一員としてその責任を十分に理解し、消費者の権利・利益を尊重し、消費者視点に基づいた事業活動を行うとともに、持続可能な社会に貢献する経営のあり方」と定義をしています。2016年3月に消費者庁の消費者志向経営の取組促進に関する検討会で報告書を出されていますが、そこの定義と文言は違うかもしれませんが、内容、考え方は一緒であると思っています。キーになるポイントは、お客様だけでなく消費者全体を見ていくということ、さらには消費者視点の活動をベースとすること、持続可能な社会を目指すことがベースですので、消費者庁の定義と全く同じ考え方だと思っています。私どもが消費者志向経営の推進に向けた活動は、大きく5つの活動を行っております。1つ目が、会員の資質向上ということで、月例会、会員の人たちが自主的にテーマを決めて集まっている自主研究会、研修、特にお客様対応部門ですので、階層別の新任者、中堅者、マネジャー向けの研修とか、高齢者向けの研修とか、クレーマー対応の研修とか、そういった研修を行っております。そのほか、セミナー、シンポジウム、講演会なども行っています。2番目が、会員企業の経営層への働きかけということで、消費者志向経営トップセミナーとか、ステップシート、あるいは会報誌「FORUM」で毎回当会の理事長が消費者志向経営を推進している企業の社長にインタビューをして、その模様を会報誌に載せて会員に紹介するという取組をしています。3番目が、会員企業以外への消費者志向経営の輪の拡大ということで、会員企業以外の企業・団体、私どもは600社ぐらいしか会員企業がおりませんので、それ以外の企業に対しての働きかけや講師の派遣なども行っています。4番目が、消費者啓発活動ということで、消費者教育・消費者啓発の支援活動、消費者啓発資料常設展示コーナーなどを各地の消費生活センターに置いていただくなり、消費者問題に関する「わたしの提言」という論文募集を行ったりしています。5番目として、これも後ほど御説明しますが、優良な消費者志向活動の表彰を行っています。大きくこの5つのポイントがございます。この中でACAPの一番の強みはマル1でございまして、ここは、先ほど申し上げましたが、会員の人は消費者関連部門の方が中心ですので、その方の資質の向上をずっと取り組んでおりますので、ACAPとして一番強みの部分であります。今後更に強化していくべきところがマル2だと思っています。消費者志向経営ですから、消費者関連部門だけではなくて経営層にも働きかけることが大事だと思いますので、今後はマル2を更に強化していく必要があると思っています。マル3の部分は、やりたくでもなかなかできない。ACAPは会員企業の会費で成り立っている、そして、ボランティアで成り立っている団体ですので、地方の会員外の企業の方の御支援もしたいところではあるのですが、なかなか人的・資金的に余裕がなくて、なかなかマル3まで手が回るのは難しいという状況でございます。

細かい事例の御紹介をしますと、7ページ目ですが消費者志向経営トップセミナーを行っています。こちらは企業の経営層の方を対象にしたセミナーでございまして、消費者志向経営を目指す企業の取組、優れた事例の御紹介、さらには行政や消費者関連団体の方にも参加いただいて、企業に期待する行動などにつきまして、意見交換、さらにはパネルディスカッションなどを通じて、特に企業の経営層の方に理解を深めていただく活動を2013年より毎年行っています。これは、経団連と消費者庁とACAPの3者の主催で行っております。

8ページ目が、消費者志向経営ステップシートというものでございます。こちらは、事業者が消費者志向経営を進めるに当たり、どのように進めていったらいいかということをまとめたものなのですが、まず、縦軸のところに、消費者志向経営の検討会の報告書の取組の柱を中心に、想定される活動事例を並べています。右側には、それぞれの活動に対してのステップを書いてございます。ステップは右に行くほど高いレベルになります。ただ、全てが今の段階で全部ステップ3でないといけないということではなくて、まずは、この表を見ながら、それぞれの活動において、自分の企業は、今、どこのレベルにあるのかと認識していただきたい。次に、その上のレベルにステップアップするためにはどういう活動をすればいいのか、何をすればいいのかということを、このマトリックスに沿って考えていただき、計画していただく。こうして、それぞれの活動について、右のほうへ、ステップ3のほうへどんどん目指して上がっていっていただきたい。このために作ったステップシートでございます。これはホームページでも公開をしているものでございます。

続いて、9ページ目の「よくわかる消費者志向経営」は、会員企業から消費者志向自主宣言を行うに当たってどのようにやったらよいか分からない。あるいは、経営陣にどのように説明したらよいか分からないという声がありましたので、会として作成したものであります。左側の「よくわかる消費者志向経営」というシートについては、消費者庁が進めようとしていること、さらにはACAPが進めようとしていることを一覧にしました。青い部分が消費者庁が行おうとしていること、赤い部分にはACAPが行おうとしていることを併記しまして、それぞれが非常にリンクしているのですよということで、ポイントをまとめたものにしています。右側は、自主宣言を行うに当たってどのような手順で進めたらよいのかということを書いたものでございます。これを参考にしていただきながら、会員企業に自主宣言をするように勧めているものでございます。

続いて、10ページ目が、消費者志向活動表彰というものです。こちらは、ACAPが2015年に創設したものでして、企業、団体、個人が行う活動で、消費者志向経営の推進またはこれを支援する観点から称賛に値するものを「消費者志向活動章」として表彰しているものでございます。こちらについては、企業を表彰するものではなくて、企業が行っている活動を表彰するもので行っています。2015年からスタートをしていまして、2015年は、ここに挙げております3つの企業と1つの団体が受賞をされています。

2016年度、2017年度につきましては、11ページ目に挙げているものでございます。この11ページ目の2016年度を見ていただきますと、この年は5団体が受賞されていますけれども、パナソニックが2つ入っております。4番目のパナソニック、5番目のパナソニックとありますが、企業の表彰ではなくてそれぞれの活動を表彰いたしますので、こういったこともあり得るということでございます。受賞された企業や団体の方につきましては、受賞以後、ACAPの例会とか、いろいろな場で活動事例について御講演いただいて、他の企業にも参考にしていただくようにしております。この創設の目的は大きく2つありまして、非常に優れた活動を表彰することによって、更にその活動を推進していただきたいということが1点目、もう一点は、優れた活動を他の企業にも是非共有いただき、他の企業のいい刺激になってほしい、という目的で創設をしたのでございます。2018年度についても、今、募集をしておりまして、お手元に1枚、「キラリと光る消費者志向の活動をご紹介ください」というチラシを資料2-3として添付しておりますが、このように2018年度について募集をしているところでございます。

最後に、12ページ目になりますが、「消費者市民社会の構築に向けて」ということです。消費者行政、消費者問題において、保護される主体から自立した主体へと言われていますけれども、消費者は確かに自立した主体、消費行動により事業者を育て、社会を変えるよう期待されていますが、そのためにも事業者が消費者視点を全ての活動のベースに適切に情報提供をし、開示する。本業を通じて社会貢献をする。持続可能な生産をする。正にこういった消費者志向経営を推進することによってそういったものが成り立っていくのだと思っております。この消費者志向経営の一番の基盤は、消費者と事業者の双方向コミュニケーションの深化だと思っております。その意味でも、事業者の消費者関連部門の役割は非常に大きい、重要性が非常に大きいと認識しておりますので、ACAPといたしましても今後も消費者志向経営の推進の活動を更に加速してまいりたいと思っております。

以上、説明を終わらせていただきます。

○鹿野座長 ACAPの坂倉様におかれましては、御説明いただき、ありがとうございました。

今お話しいただきました内容について後ほど質疑を行いたいと思いますが、その前に、本日は、本議題に関連しまして、高委員長から資料を御提出いただいております。資料3がこれに当たります。消費者志向経営の今後に向けた取組について、とりわけ中小企業にこれを浸透・普及させていくために、どのような取組が必要なのか、重要となるのかということについて、高委員長から、これも15分程度でよろしいですか。御説明をいただきたいと思います。

それでは、よろしくお願いします。

○高委員長 それでは、資料3を使ってお話しさせていただきます。

最初のところに1)から5)まで書いてあるのですけれども、これからお話しする柱が5つありますという意味でございます。話の中心は、4)と5)のところになるかと思います。それから、言い忘れましたけれども、これはあくまでも私個人の意見ということで説明させてもらいます。

まず、1ですけれども、消費者志向経営の検討会は、何を狙いとして設置したのかというところを説明したいのですけれども、私はワーキング・グループで仕事をさせてもらいまして、当時、いわゆる伊藤レポートとか、あるいはコーポレートガバナンス・コード等が出ておりまして、要はROEを高めなさい、という経営者の視野が短期的になるような風潮があった中で、中長期的に経営を考える立場こそ評価されなければならないというレポートを出す必要があるのではないかということで、検討会より報告書を出したということです。例えば、ROEを8%以上3回達成できなかったらトップが交代だとか、そういうマーケットの圧力がある中で、どうしても、経営は短期志向になる傾向にあり、これを正す必要があると考え、報告書を出したわけです。

そこで、2のところは、この消費者志向経営の全体のフレームワークの中の1と2のところだけを挙げたのですけれども、要は、トップの方々にはこういうことを考えていただきたいと。先ほど柿崎教授からお話があったのですが、チェックリストうんぬんというお話があったのですけれども、これは正に中小企業のチェックリストになると思っています。例えば、「1)経営の基本」と書いて、マル1を見ていただきますと、トップは消費者志向経営という基本を会社のミッションとして明示しているか、マル2基本姿勢の作成にリーダーシップを発揮しているか、マル3基本姿勢を内外に公表しているか、という具体的なチェック項目があって、これはコーポレートガバナンス・コードが同じような感じで、何をやっているかということを尋ねる形になっています。

2ページに行っていただきまして、トップだけの話だけではなくて、ガバナンスをどうするのかということも消費者志向経営のリストの中に入っていまして、3の下に1)がございますけれども、マル1に行きますと、取締役会は、法定事項や業績の報告とは別に消費者あるいは顧客志向に関する事項も議論しているかと。恐らくACAPのメンバーであればこういう議論はされているでしょうけれども、多くの会社はこういった議論はほとんどしていない。そういう意味で、こういうことに気付いていただきたい。あるいは、マル3のところも経営会議は、半期、年次など、定期的に消費者志向に関する活動目標や実績、課題について議論しているかとか、かなり具体的なものをずらっと並べているということでございます。2ページの一番下のところに行っていただきまして、要は、消費者志向経営は、担当部を充実させるという話もあるのですけれども、トップのところの取締役会、ガバナンスをどう作るかということをかなり強く求めたものです。ただし、これは強制するような形になるとなかなか企業の方々は手を挙げられないので、できるところで結構ですという形で取組を求めているところです。

2ページの一番下のところに行きまして、消費者志向経営を普及させるためにどうしたらいいかということですけれども、これは先ほどACAPの方からも説明がありましたけれども、これに取り組むメリットが明確に見えなければいけないし、3ページの上になりますけれども、取り組まないデメリットも明確に分かるような形にしないといけないのではないかということを大前提として考えております。

マル3に書きましたけれども、こういう取組は、その会社だけではなくて市場そのものを健全化していくことが前提になると言うことです。2)に書きましたけれども、今日は、中小企業がどのようにこの消費者志向経営に取り組むようになるのか、その仕組みを考えようということだったのですが、まず、大企業から言いますと、上場会社から言えば、一番手っ取り早いインセンティブは市場による評価だと思います。市場による評価はなかなか難しいでしょうけれども、例えば、投資信託、SRIとか、そういったものも考えられる。一番インパクトがあるのが、マル2で書きましたけれども、GPIFです。公的年金の運用のところにそういった書き込みがあれば、例えば、イギリスは年金法を改正して企業の行動が一気に変わっていきました。どのように変わっていったかというと、運用先、投資先を決定するときに、倫理的・環境的・社会的なファクターを考慮しているかどうかということを、していなければしていなくていいのですけれども、信託銀行などの運用者は開示せよという年金法の改正があって、企業の行動が大きく変わっていきました。今、GPIFは国の年金を株式でも運用しているわけですから、国民の利益になるような形での運用は、私は考えられるだろうと思います。例えば、消費者志向経営を宣言している会社に積極的に投資することだってあると思うのですね。マル3は、消費者団体はこんなにお金ないよと言われるかもしれませんけれども、私は消費者団体もマーケットを使っていいのではないかと感じています。そんなに大きな額で投資する必要はありませんけれども、団体として投資運用方針を掲げて、僅かずつでも株式の運用をすること、その方針そのものを開示すれば、インパクトは大きいと思っています。3)に書いたのはインセンティブですけれども、宣言された会社が、例えば、エシカル消費に関連する商品とか、サービスとか、こういったものを指導し始めたときには、消費者庁の関連サイトで案内するとか、こんなメリットもあっていいのではないかと思います。さらにマル2に書きましたけれども、消費者団体においても何か応援のメッセージを出すというのもありかなと思います。例えば、同じ商品を買うのであれば、価格が同じぐらいであれば、消費者志向経営を宣言している会社から買いましょうという、そんな運動も私はどこかで起こってくるといいと思っています。4)ですけれども、例えば、ガバナンスの評価というのも、例えば、消費者団体がやってもいい。例えば、ボードのメンバーの中で社外役員がいた場合に、その背景として消費者関係の問題に取り組んできた方がいますかとか、ただ単に社外をそろえるというのではなくて、そういうガバナンスの指標化も一つの方法だろうと。マル2に書いたのは、これも先ほどACAPからあった話なのですけれども、親会社が宣言して、たまたま子会社で不祥事が起こるということがあるわけですね。そのときに宣言なんかしなければよかったということになってしまうのは余りにも残念なことですので、仮にその親会社が迅速な対応をとっていれば、迅速な対応をとった、その後の体制立て直しもやったという情報もあわせて開示してあげるべきではないかと思います。5)、ここから非上場会社の場合ですけれども、先ほども話で出ましたサプライチェーン・マネジメントを使う。法律による規律だけではなくて、契約による規律です。例えば、法令遵守条項とか、あるいは監査受任条項とか、契約の段階で取引をやるときに取引先にこういう取組をやっていただきたいということで促していく。それがサプライチェーン・マネジメント。ただ、これをサプライチェーン・マネジメントの中でセットとしてやらなければいけないのですけれども、やっているかどうかというクエスチョネアの話ではなくて、キャパシティー(能力)を付けるための支援もしてあげなければならないと思います。大企業側が、中小企業側の能力が足りないところがあれば、これを助けていくということもあっていいと思います。

以上が一般論で、5からは、先ほど柿崎教授から連邦量刑ガイドラインの話がありましたけれども、行政の処分においてもそういったガイドラインを私は考えるべきではないかと。その場合、手始めにですけれども、どこから始めるかというと、中小企業あるいは大企業も含めてなのですけれども、最も大きなインパクトのある影響力のある法律で考えていくほうが合理的かなと思っています。その場合、恐らく景表法と特商法ではないかと思います。2)のところは飛ばしますね。3)に行きまして、景表法ですけれども、例えば、こういう誤解があると思うのですね。「課徴金を払うほうが返金するよりも安くて済むから」という声が聞こえてきたりするのですけれども、課徴金はあくまでも返金とは別の話ということです。別であるにもかかわらず、課徴金を課された会社が返金をしているかというと、実態はほとんど為されていないということがあります。これを、私は疑問に思っています。4番目に書いたのは、こういう措置を、例えば、景表法の課徴金制度の中で考えて見たらどうだろうかと。現在、問題のあった商品とか役務に対して、売上高の3%と言っておりますけれども、例えば、2%、3%、4%と幅を広げてしまう。こういう数段階に分けるという知恵もあっていいのではないかと。

4ページに行きまして、一番上ですけれども、納付金の対象期間ですけれども、これも解消措置をとってから3年間としているのですけれども、仮に3、4、5と書きましたけれども、2、3、4でも構いません。そのように数段階に分ける。その後、このようにやれば、例えば、2%×3年を最小にして、最大は4%×5年という幅を作っておけば、事業者側の体制の整備の状況とか、調査協力の状況を見ながら、課徴金額を移動させていく。段階を上げたり下げたり、例えば、消費者志向経営を宣言しているということであれば、最初から1段階下げる。それから、自主的に申告をしてきたというときには、これも1段階を下げる。現在、50%減免となっていますけれども、あるいは逆に調査妨害があったとき、データの改ざんとか、変造とか、口裏合わせとか、そういうものがあった場合には1段上げる。あるいは、自主申告をしてきた後の書類の提出などで非協力的であったら1段階上げる。このように余り裁量が働かないように、明確にこうすればこうなるというものをガイドラインみたいなものを作って課徴金を決定する仕組みを作れば、恐らく企業の方々も予測可能性が高まりますから、合理的な行動をとると思います。5番目に書いたのは、これは特商法と書きましたけれども、これは景表法も同じです。考えるときには仕組みは同じだということです。不当な利益が残ったとき、これを吐き出す仕組みをあわせて考えなければいけない。景表法の場合には、課徴金は吐き出しではないということになっているわけですし、実際の企業の方々は、被害者にそれが返金しなければなりませんが、実際に返金される会社はごく僅かに限られている。だから、特商法の例でこのように考えたらどうでしょうかと。例えば、公益性が認められる問題行為があった場合、つまり、消費者一般に対して以下のような行為がなされていた場合、例えば、義務付けられた行為がされていない場合とか、禁止された行為が行われていた場合とか、そういった場合に不当に得た利益の吐き出しを考える。マル2は、不当利益と認定される期間を、仮に下に書きましたけれども、半年、1年、2年、3年、4年と数段階に分けておく。事業者側の体制整備は先ほどと同じですけれども、調査協力などに応じて差を設ける。例えば、2年からスタートをして、自主申告があったところは更に1段下げて1年にするとか、そういう形で事業者側の協力を引き出していく。これを特商法でやった場合には、多分被害者がいるわけですし、その方々による損害賠償請求が可能性として残るわけですけれども、事業者側で一旦不当に得た利益は、例えば、国センみたいな機関に基金を設けて、そこに入れていただく。消費者側による損害賠償を事業者が行った場合には、この基金から事業者に支払う、返金するという形をとればいい。マル5に書きましたけれども、返金計画に沿って返金が行われた金額を上限として、同基金から事業者に戻すということです。残りは、基金に残しておく。残す理由は、返金が一定期間内で行われた後も、恐らく被害者の申告があり得るという意味で、それを設けておいたほうがいいだろうと。当然、例えば、1年以内ということであれば、1年以内に被害に遭った方々に対して事業者が返金した場合には、その基金から事業者にお金を戻す。ちなみに対象外、例えば、3年前の話うんぬんということになれば、これは基金とは関係なく、これは通常の民事訴訟でもって事業者から被害を受けた方々がそれを回収すればいいということです。6番目に書きましたけれども、特商法に「コンプライアンス体制構築義務規定」を導入すべきではないかと思っています。「特商法処分に係る審査基準等について」という文書があるのですけれども、それを読みますと、指示と業務停止だけで、「不当利益吐き出し」というものは入っていません。現在のものは指示と業務停止ですけれども、どういう基準かというと、「それぞれの条に定める処分の基準のほか、事業者によるコンプライアンス体制の状況、違反行為の悪質性及び被害の現実の広がりや将来の拡大可能性等の観点を総合的に考慮の上、行うものとする」となっていて、実際にそれに沿って行われている。マル2に書きましたけれども、コンプライアンス体制構築義務違反があった場合は、基本的に違反行為があった場合ということですけれども、行政措置として、体制構築を促すために、消費者志向経営を宣言している「事業者団体」を考えるべきではないかと。宣言している事業者団体はACAPのような団体をイメージしているのですけれども、例えば、公益理事に消費者問題に取り組んできた方々がその団体の理事を務めるとか、そして、そうした団体に、問題のあった事業者は、コンプライアンス体制構築に当たり指導を受けることとする。その更に下に書きましたけれども、体制構築における違反行為があった場合、問題のあった事業者は体制構築における計画と経過と構築後、完了しましたという報告義務を課しておくということです。マル4に書きましたけれども、仮に消費者志向経営宣言をしている事業者団体に所属していない事業者の場合には、改めてそういった事業者団体に所属した場合、例えば、分かりやすく言うとACAPのような団体に所属して指導を仰いだ場合には、体制構築における計画・経過と構築後の報告をあえてしなくてもよいと、所属したという報告でもって済ませるという方法もあるかと思っています。

7)は、ちょっと毛色が違うのですけれども、先ほど中小企業に対して大きな影響を与える代表的な法律で特商法と景表法を挙げたのですけれども、いずれも違反行為というのは、全国津々浦々で起こっているので、中央で全て見るというのは、無理があるし、公平性に欠ける。要するに、目立つ会社だけが摘発の対象となってしまう。それは余りよろしくないということで、むしろ全国に20近く適格消費者団体があるわけですから、特商法・景表法の執行に関して協力をいただくというのが現実的ではないかと思っています。その方法として、その際の一つの手段として、より効果的に適格消費者団体が動けるようにという意味で、7)マル1に書きましたけれども、特商法が適用される事業者は、不実告知があった場合とか誇大広告があった場合に、適格消費者団体に対して、合理的根拠資料の提出を求める権限を与えておけば、比較的スムーズに差止めなども行うことができるのではないかと思います。マル2については、景表法です。優良誤認、有利誤認についても同じことでございます。最後、マル3に書いたことですけれども、こういう特商法・景表法違反事案に関する調査は、適格消費者団体がすぐにできるかというと、能力的にはまだ不十分と思います。ですから、私はここで連携・協力が必要だと思っておりまして、適格消費者団体は、先ほど言いました消費者志向経営宣言をしている事業者団体と連携・協力をして、こういった活動を推進していくべきではないかと思っています。

以上、報告させてもらいました。

○鹿野座長 ありがとうございました。

それでは、ただいまいただきましたACAP及び高委員長からの御説明を踏まえまして、御質問、御意見等のある方は、御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。

池本座長代理、お願いします。

○池本座長代理 池本でございます。

ACAPの活動は以前からいろいろお伺いしたりしてきているところです。今回は、この消費者志向経営あるいは消費者志向活動の推進・表彰というところ、特に注目されるのが、その後の高委員長からのお話にもありましたが、事業活動そのものを事業者の側からどう適正化していくかということについての鍵になるのではないかという問題意識があるのです。

その関係で、非常になかなか難しいと先ほどおっしゃったことに関連して少しお伺いしたいのですが、6ページのところで、その消費者志向経営の推進に向けてACAPで活動しておられる中で、企業そのものの経営層に対しての働きかけが、その会員企業数からすればかなり頑張っておられるとも見えるのですが、もっと更に広げていただくためには、何が課題あるいはどういう後押しなり仕掛けなりがあればいいのかということ、同じことはマル3もそうなのですが、会員企業以外に対しても消費者志向経営の輪を広げていくことについて、ここでは、交流会とか講師派遣で、いわば言葉で伝えていくというところですが、ACAPとしての活動を更に広げていくため、社会的な声なり、いきなり法制度とまではいかなくても、どういうことが手がかりとしてあればよいとお考えなのか、そういう辺りについてお伺いできればと思います。

○鹿野座長 お願いします。

○坂倉専務理事 更に自主宣言を広げていく上の手がかりということですが、大きく言うと3つあると思っています。

1点目は、企業に対するメリットでございます。先ほど高委員長のコメントにもございましたが、自主宣言を進める企業にとってのメリットがもっと明確になってくればいいと思うのですね。間もなく消費者庁でも自主宣言をした企業の中で優良事例を表彰していく優良事例表彰が始まる予定になっていますので、一つのきっかけにはなるかもしれませんが、そういったことも含めて、もう少し自主宣言をしたメリットが生まれてくるといいと思います。先ほどもお話がありましたが、消費者が自主宣言した企業は信頼できる企業だということで購入に結び付くとか、ESG投資ではないのですけれども、消費者志向を実際にやっている企業に投資するという動きは究極の部分だと思うのですが、そこに行くまでに何かメリットをもう少し見えるようにしてくるといいなと思うのが1点目です。

2点目は、消費者に対する認知ということです。現在、この消費者志向自主宣言・フォローアップ活動をやっていることが消費者にほとんど認知されていないのが現実だと思います。もう少しこれが消費者に対して認知されるようになると、企業の意気込みも更に変わってくるのかなということです。

3点目は、仕組みの問題です。これはとてもACAPだけではできない話なのですが、例えば、徳島県などは、消費者庁のサテライトオフィスの影響もあったと思うのですが、県知事が非常に前向きになっていただいて、徳島県の企業に働きかけて、現在、19社が徳島県で自主宣言を一斉にされたのです。そういったように、行政とうまく枠組みを組んで、地方行政とタッグを組んで地場の企業に働きかけるというやり方は、非常に徳島県の場合は有効だったので、そういった事例をもっと他の自治体に水平展開していくとか、あるいは、消費者庁だけではなくて、もっと他の省庁との横断的な取組の中でこの消費者志向経営を位置付けていく。例えば、SDGsの取組も、これは消費者志向経営につながる話だと思うので、SDGsの取組を広げる中で、企業に対して消費者志向経営を広げていくという省庁横断の取組の中に入れていくといった仕組み作りをもう少し広げていくと、更に有効になっていくかと思います。

以上、3点、お話しさせていただきました。

○鹿野座長 池本座長代理、よろしいですか。

○池本座長代理 ありがとうございます。

今、御説明いただいた、特に消費者への認知の問題と企業にとってのメリット、インパクト、これは両方につながるのかもしれないのですが、私自身の率直な感想で、消費者志向経営の推進が、今、うたわれているのですが、それぞれの事業者が自分にとって自主的にやっていくために、いろいろ関心事が様々な分野へ広がっていくことは当然あることだし、それを画一化することが望ましいという意味ではないのですが、ただ、この消費者志向経営を打ち出していくことが消費者にどうつながっているのか、何を軸としてよくしていこうというところがもう一つ見えにくいところがあるのではないか。それぞれ自社の問題意識の中で消費者志向経営の推進をというところが漠然とし過ぎてはいないかという気がしてならないのです。

その辺りの御意見とともに、それから、もしこういう分析があれば教えていただきたいのですが、現在、消費者志向経営あるいは自主宣言をしておられる企業の中で、大きな分野としてどういう分野のことが課題として位置付けられているか。様々な分野の中でどういうものが特に多いのかとか、そういう分析をなされているのかどうか。あれば、どういう項目が軸になっているかという傾向が分かればありがたいのですが。

○鹿野座長 回答をお願いできますでしょうか。

○坂倉専務理事 特にそのような分析をしたことは残念ながらないのですが、ACAPの会員から聞くところによると、このステップシートに挙げた中で、左側に、区分として、「1組織体制の整備・仕組みづくり」、「2事業者の消費者に対する具体的な行動」がありますが、2マル5マル6については、日ごろから非常に話題にもしているので、ACAPの中ではよく取り組んでいるところではあるのですが、この1の組織体制のマル1からマル4辺りになると、企業のお客様対応部分だけで済む問題ではないので、今、ACAPの中では十分に議論もまだ尽くしていないというか、まだやるべきところはあるというところはあります。

その中でも、最近、話題が多くなり、いろいろな研修とか講演のテーマで多くなってきているのは、マル2のコーポレートガバナンスのような部分です。企業の不祥事が続いていることもありますし、関心が高くなってきて強化しているところはあるかと思います。ただ、先ほど池本座長代理にお話しいただいたような分析については、まだできていないというか、していない状況でございます。

○村井理事企画委員長 ACAPの企画を担当させていただいております、村井と申します。

現時点で消費者志向自主宣言の内容とか、例えば、会員企業がどういう宣言をされているかということは分析していないのですが、今回、1年強がたちまして、フォローアップ活動が徐々に開始されていますので、そのフォローアップの内容も含めて、どのような形で宣言されて、どのような形で実際の活動をされているかということは勉強していこうと、今、企画委員会でも議論しています。その中で、例えば、これは素晴らしいという取組については、その企業様にヒアリングなどをして、会員で共有化させていただくといった形の取組が必要だと考えております。

直接の御回答にはなっていないと思うのですが、これからということで大変恐縮なのですけれども、やっていきたいと考えております。

○鹿野座長 ありがとうございました。

樋口委員、お願いします。

○樋口委員 ACAPにお伺いしたいのですが、今の池本座長代理の質問に関連しているのですが、先ほどのお話の中で、例えば、徳島のような形で、行政、特に自治体の行政とのリンクとか、そういうことができると、うまく行くという可能性が示されているように思います。実際、徳島の例では、中小企業も含めてかなりたくさんの方々が宣言に参加しておられるわけなのですが、現在の時点で、徳島は、特殊と言ってはいけませんが、特別な位置付けだと思います。徳島以外の他の自治体とか、あるいは中小企業の関係者から、例えば、消費者志向経営についてお問合せとか、あるいは意見交換のようなことがあるかどうか。どう広げていったらいいのかということに関して、関心をどうやって持ってもらうかということだと思うので、あるいはACAPから何か働きかけをしているようなことがあるのかどうか、その辺について教えていただければと思います。

○坂倉専務理事 徳島県以外の自治体という御質問でございますが、ACAPから働きかけをするということは特にしていないのですが、自治体からお問合せいただくことはございまして、例えば、神奈川県とか山梨県のような自治体からは、消費者志向経営に関して、講演をしてもらえないかという依頼も個別に来ていまして、そういったときには私どもの中から講師を選んで派遣をしております。テーマは、消費者志向経営の推進とか、あるいはお客様対応の話とか、多少違いはあるのですけれども、消費者志向ということで共通しております。そういった意味では個別に講師派遣で対応しているということが現状でございます。

○樋口委員 ありがとうございます。

○鹿野座長 他にはいかがでしょうか。

○池本座長代理 委員長の御発言も含めて質問していいのでしょうか。

○鹿野座長 お願いします。

○池本座長代理 池本です。

高委員長からの提言の中では、今のACAPなどのような自主的な取組を、ある意味では制度的に支えていくものをどう作っていくかということに関係するのだろうと思います。しかも、問題意識として、今、ある程度業界横断的に、しかも消費者問題につながりやすい分野ということで、景表法と特定商取引法の2つに着眼されているという点は本当に的確な部分だろうと思います。

しかも先ほど柿崎教授からの御報告にもあった、中小企業における、いわば外部監査とか、そういう重たいものではなくて、事務的には負担は最小限にしながらも、しかし、チェックできるポイントを作って、その意味でのコンプライアンス体制の構築義務をより具体化していって、それを法制度として位置付けるという方向性は、我々のワーキングの中でもう少し議論していく必要があると感じたところです。その中で、今日お伺いしたような、様々な分野に自主的に法令遵守を宣言としても促していくという流れのことと、もう一つ、これは以前にヒアリングをした、いわゆる業界団体がどう機能するかという議論で、例えば、余り大ぐくりの業界団体は、情報交換の場としてはいいけれども、共通項目を作って自主規制規則を作ったりとなると、もうちょっと業種を絞り込んで、共通性がある、認識が共有できるところでやったほうがいいとか、そういう議論がありました。そういう事業者団体を位置付け、活用するということと、そのコンプライアンス体制の構築義務を現実化していくこととの関係をどう見たらいいのかという辺り、お伺いできればと思うのですが、いかがでしょうか。

○鹿野座長 高委員長に対しての質問ですね。

○高委員長 悩ましいところですよね。ただ、1つのアイデアは、今日、ちょっとお話ししたのですけれども、その団体の公益理事というポストを設けて、そこに消費者団体の関係者が入るという仕組みを作っておけば、いろいろな事業者団体に応用できるのではないかと思っています。今までは、事業者団体とか、消費者団体、それぞれに活動して連携・協力とか言ってやってきましたけれども、やはりばらばらだったと思うのです。距離が離れていたと思うのです。ですから、公益理事みたいな形で入って、しかもお互いが学ぶような仕組みを作っていくことで、新しい循環ができるのではないかとか、そんなことを感じているのですけれども、事業者団体についてはいろいろな事業者団体があるので一律には言えませんけれども、少なくとも消費者運動などをやってこられた方、そういう問題に取り組んでこられた方が、公益理事として入ることが現実的ではないかと思っています。

もう一点、今日お話をいただいて、柿崎教授がおっしゃったことを聞いて、その視点はあったなと思ったのは、金融ですね。金融のところの基準にこれを持ち込まない手はないなと思いました。しかも全国の金融機関は、どういう先に融資をしたらいいのかということで随分悩んでいるわけですね。後でまたお聞きしたいのですけれども、例えば、PIO-NETの情報は相当限定された人しか見られないのでしょうけれども、もしあれが全国展開されている金融機関、特に中小企業を対象としている金融機関にアクセスを許すようなことになれば、早い段階で融資先の行動を改めたりとか、そういう事業者団体だけを使うのではなくて、金融を使うという手も十分あり得るなと思いました。私見ですけれども。

○鹿野座長 ありがとうございました。

今、事業者団体という話が出てきたのですけれども、ACAPで、他の事業者団体といろいろと共同して取り組んでいらっしゃる、あるいは各種の団体向けにいろいろな活動を行っていらっしゃるということはあるのでしょうか。もし特別な協力などがあるとしたら、教えてください。

○村井理事企画委員長 現在、例えば、国民生活センターとか、あとは全国消費生活相談員協会、適格消費者団体の方などと定期的に交流をさせていただいています。適格消費者団体様とは、まずはお互いを知るという形で、それぞれの活動について情報交換をして、意見交換をするということで、取組を始めております。全国に多数あるのですけれども、まだ1年に数か所という形になりますので、これから徐々に数を広げさせていただければと考えています。

○鹿野座長 国センや適格消費者団体との関わりについて御紹介いただきました。それでは、事業者団体とはいかがですか。

○坂倉専務理事 御質問の事業者団体のことですが、ACAPと同じような事業者団体はなかなかないものですので、特に定期的な交流等はしていないのですが、経団連とは定期的にトップセミナーを開催しておりますし、あるいは、業界団体では、家電業界、流通業界、菓子業界の方とかの交流は少しはあるのですが、それほど深く交流はしていないですね。むしろ地方にある地方の企業の集まり、例えば、名古屋で言えば、自分たちだけでグループを作っているところと定期的に意見交換をしたり、一緒にセミナーを行ったりする事例もあります。組織的に大きく付き合っているところはまだございません。

○鹿野座長 組織的に連携するというところは余りないということでしたけれども、ただ、家電業界などをはじめ、業種別の事業者団体と言いましょうか、そういうところとの交流もあるということですね。その場合に、どういう方向で何を進めていこうかとかいうことになるのでしょうか。それとも、ACAPがそういう消費者志向経営の在り方とかについて、言わば広い意味での啓蒙を行われるという形なのでしょうか。

○坂倉専務理事 例えば、お菓子の業界、菓子BB協会というところがあるのですが、こちらは、私どもの会員にもなっていただいているので、お互いに行き来して、私どもの例会に菓子BB協会の人が来ていただいて、お客様対応について御講演をしていただいたりすることがありますし、その逆もあります。そういった形で、お互いの情報交換をしながらお互いに高め合っていくという活動をしているレベルでございます。

○鹿野座長 ありがとうございました。

他にはいかがでしょうか。

今日は、先ほど池本座長代理からもお話がありましたけれども、高委員長からは、制度的な点、今後の法改正も含めて改善が考えられるところがあるのではないかという御指摘もいただきました。この点については、既にこのワーキングの中でもいろいろな方々から御示唆をいただいたところでもございます。これについては、恐らく今日どうだということではなく、今後、後半戦に向けて論点を整理して、更に深く検討していくということになろうかと思いますけれども、そのような形でよろしいでしょうか。

樋口委員、お願いします。

○樋口委員 高委員長から非常に素晴らしい御提案をいただいたと思います。そこで事務局へのお願いなのですが、後半の議論の中で、具体的な特商法とか景表法という法律になりますと、これまでの運用実績とか、あるいは運用実績上は対象になっていなくても潜在的には対象になり得る企業の層があると思うのですね。それを前提にして、例えば、具体的にある仮定を置いてこういう新しい制度が導入されたときにどういう状況が起きてくるのかというシミュレーションをお願いできればと思います。難しいお願いなので、事務局の方で工夫をしていただいて、ある程度、どのような実態にあって、どういう変化が起こり得るのかというところを是非分析していただきたい。

特に私が気がかりなのは、中小企業の中で、恐らく中堅企業はこのスキームに結構なじんでくるし、結構頑張っているところはすぐうまくはまるところが多いと思うのですけれども、小規模事業者、自営業者などもかなりの数がありますし、悪徳業者というのもありますので、その辺をこのスキームの中でどう位置付けるかというところも、実態上、どんなことになるのか知っておきたいということです。なかなか難しいことをお願いしているのですが、もし事務局である程度イメージが出せるようでしたら、それを出していただくと、よりフィージブルというか、実効性が高まるのではないかと思います。

○鹿野座長 いかがでしょうか。事務局で何かあれば。

○黒木事務局長 考えさせていただければと思います。また御相談をさせていただければと思います。

○鹿野座長 そういえば、ACAPの方に改めてひとつお聞きしたいと思います。今日は消費者志向経営というテーマについて御報告等をいただいているのですが、その中でも、大企業はある程度その方向での取組が進んできたところがありますが、中小企業については、コストの問題もありますし、それを推進していくことに難しい面もあると認識しておりまして、それを進める工夫あるいは制度的な仕組みを今後も検討していくことになろうかと思います。そこで質問ですが、先ほどACAPから御報告をいただいた10ページのところに表彰のことがありますけれども、このページを見る限り、かなり大きな事業者が表彰の対象になっているように思われます。こういう活動について、中小企業に目立った動きとかはないのでしょうか。たまたま大きな事業者が対象になったということなのでしょうか。その辺りのことを教えていただければと思います。

○村井理事企画委員長 10ページ、11ページに3回の受賞者の記載があるのですが、その中の第3回の協同組合勝山サンプラザは、福井県で商店がショッピングセンターを共同で運営されている組合であります。理事長は家電販売店を経営されています。その事業者が集まって、ネットワークを構築し、地域の行政、他の様々な団体と連携をして地域を活性化させているという事例でありました。これらの取組は、先ほど募集のチラシにもありましたように、小さくても「キラリと光る消費者志向の活動」ということで、表彰の趣旨に非常に沿ったものであると、審査員の皆様からもそういうお話がありました。

○坂倉専務理事 まだ募集の数がそんなに多くなくて、募集は自薦・他薦で受け付けているのですが、ほとんど大企業に関する活動が多いです。私どもとしては、規模は全く問うておりませんので、もっと中小規模の企業の活動を応募いただいて、表彰できることを望んでおります。

○鹿野座長 ありがとうございました。

他はいかがでしょうか。

○池本座長代理 池本です。

これは質問というよりは要望的な質問になるのですが、今、徳島の新未来創造オフィスで徳島県における消費者志向経営の自主宣言の推進を、推進会議という母体は作ってはいますけれども、消費者庁の事務局と徳島県という行政がかなり力を入れてやっておられます。力を入れてやっている中で、地域のいろいろな企業に対して、今日のレジュメの中にもある、何をメリットとして位置付け、どう話を広げて宣言に至ったかという辺りを、今後、全国へ展開するための分析、取りまとめを消費者庁が作っていくという予定になっています。それを今度は全国へ広げるときには、幾らなんでも消費者庁が各都道府県にこうだからやってくださいと言っただけで動きができるとは思えないので、そこで具体的に伝えてきた実績のあるACAPが、都道府県全部が一斉には動かないにしても、動きのあるところとうまく連携してやっていくことが必須ではないかなと思うのです。そういう辺りは是非お願いしたいことと、先ほどおっしゃった内部のこれまでやった会員企業を分析しておられるということも、それの力になるのかなと。言わば徳島版の分析とACAP版の分析を合わせて、より効果的な実践方法を大いに公表していただければ、各地でも使えるものが出てくるのかなと思いますので、是非お願いしたいと思います。

○鹿野座長 お願いということで、よろしくお願いします。

それでは、ほぼ時間も参りましたので、この辺でヒアリングは終わらせていただきたいと思います。

本日は、消費者志向経営について、ACAPの皆様には、いろいろと示唆的な取組、積極的な取組について御紹介いただきまして、ありがとうございました。

先ほどおっしゃったように、今後、これを更に広げていくためには幾つかの課題もあるということで、自主的な取組を進めるためには、特に企業にとってのメリットがより明確に把握される必要があるという御指摘もありました。これは、消費者の認知を高めることといわば表裏の関係にあるのではないかと考えております。消費者にそのような取組を適切に認知してもらい、消費者がそのような企業あるいは商品等を選択するという行動パターンをとることになれば、企業にとっても、そのような消費者志向経営をすることのメリットが更に明確化することになろうかと思います。

ただ、それを含めて自主的な取組に委ねるというだけでは十分ではないということがあるとすると、先ほど高委員長からもお話がありましたように、それを支える法的な枠組みを整備をしていくこともあわせて、更にこのワーキングでも考えていかなければならないと認識しているところでございます。

本日は、そういう認識を深めることができました。ACAPの皆様におかれましては、お忙しい中、貴重な御報告をいただきまして、どうもありがとうございました。


≪4.閉会≫

○鹿野座長 本日の議事は、以上でございます。

最後に、事務局から事務連絡をお願いします。

○坂田参事官 本日も大変御熱心な御議論をいただきまして、誠にありがとうございました。

次回の開催は、8月2日木曜日、10時からの開催を予定しております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○鹿野座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところ、お集まりいただきまして、誠にありがとうございました。

(以上)

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