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第31回 消費者契約法専門調査会

日時

平成29年1月13日(金)10:00~12:20

場所

消費者委員会会議室

出席者

【委員】
山本敬三座長、後藤巻則座長代理、有山委員、石島委員、磯辺委員、井田委員、大澤委員、河野委員、後藤準委員、永江委員、中村委員、長谷川委員、増田委員、丸山委員、山本和彦委員、山本健司委員
【オブザーバー】
消費者委員会委員 河上委員長
法務省 中辻参事官
国民生活センター 松本理事長
【消費者庁】
小野審議官、加納消費者制度課長、消費者制度課担当者
【事務局】
黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 合理的な判断をすることができない事情を利用して契約を締結させる類型
  3. 閉会

配布資料(資料は全てPDF形式となります。)

議事録

≪1.開会≫

○丸山参事官 時間になりましたので、会議を始めさせていただきたいと思います。

本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから、消費者委員会第31回「消費者契約法専門調査会」を開催いたします。

本日は、所用によりまして、沖野委員、柳川委員が御欠席、井田委員、大澤委員が遅れての御出席との御連絡をいただいております。

まず、お手元の配布資料の確認をさせていただきます。議事次第下部に配布資料一覧をお示ししております。

もし不足の資料がございましたら、事務局までお声がけをお願いいたします。

それでは、山本座長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。


≪2.合理的な判断をすることができない事情を利用して契約を締結させる類型≫

○山本(敬)座長 おはようございます。本日もよろしくお願いいたします。

それでは、本日の議事に入ります。

本日は、まず、今月10日に取りまとめられました「消費者委員会成年年齢引下げ検討ワーキング・グループ報告書」が資料1として提出されていますので、事務局から、その内容のうち、とりわけ消費者契約法に関連する部分を中心に御説明をお願いいたします。

○丸山参事官 資料1に、先ほど座長からお話がありましたように報告書を御用意させていただいております。こちらでございますけれども、経緯から申し上げますと、昨年9月、消費者委員会本会議におきまして、消費者庁長官からの意見聴取の求めに応じ、成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループということで設置をいたしました。こちらのワーキング・グループで計14回の会合を開催いたしまして、有識者、関係団体、関係省庁からのヒアリングを行うなど、詳細な検討を実施させていただいたということです。こちらですけれども、1月10日に報告書がワーキング・グループにて取りまとめられ、その直後の消費者委員会本会議にてワーキング・グループ報告書を聴取の上、意見を取りまとめられたということになっております。

こちらの中身についてですけれども、詳細、関連部分については後でお話しいたしますが、ざっと構成等を申し上げますと、「はじめに」で、民法成年年齢が引き下げられた場合、新たに成年となる18、19歳に対する消費者保護の防止・救済のための対応策について述べております。

そちらに続きまして、第1のパートのところで若者の実態、消費者被害の特徴、若年者保護のための具体的措置に関する制度の現状、あるいは消費者教育の現状と課題という形で整理をしております。

それから、こちらで整理をした現状と課題を踏まえて、第2のパートにおきまして、消費者被害の防止・救済の観点から望ましい対応策について具体的に整理をしている。具体的な内容としましては、制度整備や執行の強化、消費者教育の充実、若年成人に向けた消費者被害対応の充実ですとか事業者の自主的取組の促進等について、求める内容となっております。

以下、本専門調査会に関係する部分ということで御説明をさせていただきます。

具体的には8ページを御覧いただければと思います。「1.若年成人の消費者被害の防止・救済のための制度整備」の中に「(1)消費者契約法」というところで記述しております箇所がございます。こちらについてお話をさせていただきますが、なお、若干あらかじめ申し上げておきますと、この報告書の中で「若年成人」という用語について定義させていただいて展開しております。そちらの部分につきましては、6ページの下の「5.本報告書が対象とする若者の範囲」で触れております。これは、このワーキング・グループの中では、仮に成年年齢が引き下げられた場合、特に成年になって間もない18から20代初めにかけての若者は、成熟した成人期とは異なる配慮が必要であるということで、この報告書で18歳から22歳を念頭に若年成人という考え方を盛り込んだということでございます。ワーキング・グループのヒアリングにおきましては、若者が成熟した成人になるプロセスが非常に複雑化、個別化していることですとか、あるいは年齢によって画一的に判断するのではなくて、その者の特性を踏まえた対応をしつつ、若者が成熟した成人として社会に参画することができるようになるための支援の必要性が確認されたことを受けて、こういった考え方ということで盛り込ませていただいたものです。

ただし、報告書にも記載しておりますが、具体的な制度整備ですとか消費者教育などの実施に当たっては、個々の制度や施策等の実態に応じて対象とする若年成人の年齢や属性等を検討して、各々に即した対応をすべきであるという形で記してございます。

それでは、具体的な関連箇所について、再び8ページに戻っていただきまして、説明させていただければと思います。

こちらの消費者契約法のパートでございますけれども、いわゆる若年成人というのは、先ほども申し上げましたように、成熟した成人に比して契約について知識ですとか経験、交渉力が十分とは言えないということもありますので、消費者契約法における対応といたしまして、具体的には「ア 若年成人に対する配慮に努める義務」と、9ページに記載しております「イ 不当勧誘に対する取消権」ということをこの報告書では提案しております。

まず「ア 若年成人に対する配慮に努める義務」ということで、提案内容でございますけれども、事業者は、消費者契約を締結するに際して、消費者の年齢、消費生活に関する知識及び経験並びに消費生活における能力に応じて適切な形で情報を提供するとともに、当該消費者の需要及び資力に適した商品及びサービスの提供について、必要かつ合理的な配慮をするよう努めるものとすることが考えられるということで提案しているということでございます。

こちらでございますけれども、具体的には9ページの「イ 不当勧誘に対する取消権」の上のパート、「そこで」以下の部分を御覧いただければと思うのですが、こちらの提案では、背景といたしまして、若年成人が真に自由な自己決定をする前提として、また、社会全体で若年成人が成熟した成人になるよう支援するため、消費者の年齢や消費生活に関する知識、経験、能力に応じて、適切な形で情報を提供するとともに、当該消費者の需要や資力に適した商品・役務の提供に配慮するよう事業者が努める義務という形で提案しているということでございます。

また、最後のところですけれども、こちらの点について、消費者契約法の本専門調査会等において別途検討することが望まれるという形で記してございます。

続きまして、「イ 不当勧誘に対する取消権」のところでございますけれども、こちらにつきましては、現在、今日もございますが、本調査会で合理的な判断をすることができない事情を利用して契約を締結させる類型ということで議論しているものと同じという形で認識しております。

具体的な提案内容といたしましては、こちらに記してございますように、事業者が若年成人の知識、経験不足等の合理的な判断をすることができない事情に乗じることにより締結させた、当該若年成人にとって合理性・必要性を欠く消費者契約を取消すことができる制度を検討することが考えられるということで提言をしているということでございます。

こちらについてでございますけれども、11ページの「(2)特定商取引法」の上のところに書いてございますが、こちらについては、消費者契約法の規定として設ける場合、若年成人に限定しない場合も含めて、本調査会で更に検討すべきという形で提言をさせていただいているということでございます。

具体的な本専門調査会の関連箇所の説明については、以上となっております。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

それでは、議事に入ります前に、河上委員長から更に補足的な御説明をいただいてよろしいでしょうか。

○河上委員長 今年初めての専門調査会となります。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

今、事務局から説明させていただきましたように、ワーキング・グループでの意見が年末、事務局が大車輪で作業してくださいまして、何とかまとまりまして、1月10日の委員会でこれが了承されたということでございます。

先ほど説明に出ておりましたように、消費者契約法に関しても、このワーキング・グループから一定の意見が述べられているところでございます。実はこの調査会でも、既にいろいろな形でワーキング・グループとの関係とか内容に関して御配慮いただきまして、その意見も出していただいたところでして、この専門調査会での意見も、このワーキング・グループの報告書には随分反映させていただいているところでございます。

考えてみますと、若者といってもいろいろな成熟度合いがございますし、その発達段階にはある程度グラデーションがあるわけで、必ずしも18とか20というところで画一的に切って、それに対する方策を考えるのが本当にいいのかどうかというのは問題であります。ワーキング・グループでいろいろヒアリングをしていた過程で、社会学の方とか教育に携わっている方などの話を聞きますと、むしろ発達段階は多様なので、それぞれの段階に応じて少しずつ支援をしていくのが必要で、若者と成熟した成人の間には一定の幅を考える必要があるだろうということでした。ワーキング・グループの報告書自体は18、19の若者の保護を前提に考えていたわけでありますけれども、実際にいろいろなことを考えていく際は少し幅を持って考えたほうがいいだろうということで、18から22ぐらいの若年成人という概念を基礎に据えて、それを考え方の基にした上で分析を進めて、今回のような意見書に到達したということでございます。

その上で、実際の制度を考えていくときには、それぞれの年代を考えてみる必要があります。パチンコ屋には18歳未満は入ってはいけないとか、そのように年代で区切っていくことが制度的にはあり得るわけですけれども、考え方として、若年成人という言葉を使っているところには御留意いただきたいと思います。

これまで成人になりますと行為能力が備わりますので、そうすると一丁前に市場で取引ができる。しかも、それは完全な有効な取引ということになるわけですが、これが引き下げられると、その部分、従来の未成年者取消権がなくなるということでして、これで被害が拡大していくことに対してはやはり懸念がございます。こうした懸念を払拭するためにも、一定の方策を考える必要があるだろうということであります。ちょうど車を運転するときの運転免許証は与えるのだけれども、しかし、市場に出ていく際に若葉マークをつけた車があれば、みんなでこれに配慮してやろうではないかと、そういう発想であります。もちろん高齢者になってももみじマークが必要になる人がいますし、それはいろいろなのですけれども、生き馬の目を抜くような市場ルールとは異なって、相手のことをある程度配慮する社会がこれからの市場では必要なのではないかということであります。

未来の若者を育てていくために、例えばこの会議でも出てきましたけれども、消費者教育をしっかりしていくということでありますとか、賢明な市民を育て上げるために、被害に対してある程度の耐力をつけさせるような訓練、あるいは社会的にも環境的にも配慮できる、そういうことはしていかないといけないということも重点的に書いております。しかし、それと同時に、やはり被害が起きたときの救済策に関して、こうした若者に対する配慮が必要だろうというわけです。

その際の二つのいわば動輪のようなものですけれども、一つは、若者に対して情報を提供したり説明したりするときに、その若者の未熟さに配慮してやろうではないかという部分。もう一つは、実際に若者の経験の不足だとか、あるいは短絡さ等につけ込まれた場合には、その契約から抜け出せるように、ある程度配慮してやる必要があるのではないか。これは甘やかすというよりも、むしろ段階的に成長している若者を支援して、成熟した消費者市民として育て上げることをみんなで協力してやろうではないかという発想から書き上げた意見書でございます。

この消費者契約法専門調査会では優先事項として、つけ込み型勧誘に関する議論が先行して行われているわけでありますけれども、この先行した優先事項には当初は入っていなかった若年成人、特に18、19歳あたりの若い消費者に対する配慮という情報提供の側面に関して、ある程度議論をしていただければありがたいと思います。望ましい対応策の「ア 若年成人に対する配慮に努める義務」、これは法的義務というよりも、もう少し道徳的なものでありますけれども、そういう義務についても優先的にこの専門調査会で議論していただければと思います。

これまでの経緯からすると、途中から更に追加的な優先事項ということになりますので、皆様の御意見を伺いながら、もしこういうことも一緒に議論をしようということで合意されたならば、大変ありがたく思います。よろしくお願いいたします。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ただいま河上委員長から御提案がありましたように、「ア 若年成人に対する配慮に努める義務」は、昨年11月7日の第28回専門調査会で御了承いただきました優先的に検討すべき論点及びそれ以外の論点には含まれていませんが、消費者委員会として、本専門調査会において「ア 若年成人に対する配慮に努める義務」を追加の論点として取り扱ってほしいという御要請が示されました。したがいまして、まず、この論点を本専門調査会の論点として追加して取り扱うかどうかについて議論をしたいと思います。この点について、御意見や御質問のある方は御発言をお願いいたします。

山本健司委員。

○山本(健)委員 ありがとうございます。

まずは昨年9月20日から今月10日までといった極めて短い期間に14回もの会議を重ねられ、このような広い視野の大部な報告書を取りまとめられた「成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループ」の委員の皆様及び事務局の皆様に心より敬意を表します。

以前にも申しましたが、成人年齢の引下げが18歳、19歳といった若者の消費者被害を増加させることは必定と思われます。この報告書における、もし成人年齢の引下げを実施するのであれば、それに対する手当てが必要であるとの御指摘や、その一環として消費者契約に関する民事ルールの整備が必要ではないかという御指摘は、ごもっともであると思います。

また、具体的な対応策の一環として、消費者契約法において「若年成人に対する配慮に努める義務」を明らかにすればどうか、不当勧誘に関する取消規定を設けてはどうかといった御意見は、傾聴に値する御指摘であると思います。

ただいま議論になっております「若年成人に対する配慮に努める義務」という点につきましては、若年成人のみならず、高齢者も含めて、年齢的な問題で知識や判断力が十分でない消費者に対しては、事業者との情報・交渉力等の格差の大きさに鑑み、事業者は、契約の締結過程において、それに見合った対応の情報提供や説明をするよう努力すべきである、ということ自体については、恐らく異論のないところではないかと思います。

法的な情報提供義務・説明義務を消費者契約法に明文化するか否かについては、これまでの専門調査会で要件等に関する難しい議論があったところであり、現在は議論の対象の論点からは落ちております。

しかし、この報告書に規定されておりますような「配慮に努めるべき義務」ということであれば、現行法の3条1項後半の「事業者は(中略)消費者契約の締結について勧誘をするに際しては、消費者の理解を深めるために、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容についての必要な情報を提供するよう努めなければならない」という努力規定に、例えば「消費者の年齢その他の特性に配慮しつつ」といったワンフレーズを入れることの是非を検討すればよいだけのことであるようにも思われますので、その是非を議論することについては、時間的にも内容的にも難しい問題ではないのではないかと思います。したがって、追加検討項目に付加してよいのではないかと思います。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかに御意見あるいは御質問があれば、お出しいただければと思います。

河野委員。

○河野委員 今、御提案いただきました「若年成人に対する配慮に努める義務」を新たに論点として取り上げることに対して、賛成でございます。

私たち消費者は、成年年齢引下げということに関して問題意識を持ったのは本当に昨年の9月頃でした。消費者委員会におかれましては、迅速な対応をとってくださり、非常に短期間で想定し得る課題の抽出を行い、先ほど御教示いただきましたが、若年成人という概念を用いて検討を行ってくださったこと、更に報告書の内容についても、私たち不安を抱えている消費者にとって大変納得のいく報告だと思っております。

恐らく若年成人に対する対応は、法規制、消費者教育という大きな2本の柱を立てて行っていくべきことだと理解しております。ただ、消費者教育というものは、本当に社会全体で取り組んだとしても、そのアウトプットが出てくる、更に効果が生じるというところを考えますと、非常に長いスパンでの取組が必要とされると思っております。今回御提案いただいたのは、「若年成人に対する配慮に努める義務」ということになっております。このことに関しましては、ぜひ社会全体、つまり行政、事業者、消費者、それぞれの立場でこの問題に真摯に向き合うことが重要であるという共通認識をぜひこの場でも持っていただければと思っております。

現在、ISO26000ですとか、消費者志向経営の推進ですとか、更に国ではSDGsの実施指針とかが決まっております。特にSDGsでは、社会の持続的な発展のためには、安心して安全に消費生活を送るために、その環境整備は非常に重要であると、消費者基本計画の遂行がその中の1項目として書き込まれているところでございます。ぜひこのアに書かれています「若年成人に対する配慮に努める義務」の検討をこの場で行っていただきたいと思っております。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

長谷川委員。

○長谷川委員 まず、途中で出されていた案では、制度論についても相当言い切りの形になっていて、正直心配していたのですけれども、このような穏当な形にまとめていただきまして、感謝申し上げます。

その上で、「若年成人に対する配慮に努める義務」について意見を述べる前に3点ほど質問がございます。

1点目は、この専門調査会での意見を報告書に反映いただいたということでしたが、どのようにワーキング・グループにフィードバックされたのか、具体的な形を教えていただきたいということです。

2点目は、報告書の記載の意味合いについてです。7ページの最後のパラグラフ、なお書きで始まるところで、下から4行目以降ですけれども、「その内容については、前述の消費者庁長官からの意見の求めの範囲を超えるものであり、関係者との調整が未了であるため、国民的コンセンサスが得られておらず、その点を踏まえて、取り扱う必要がある」ということの意味合いと、これが対象にしているものについて教えていただければと思います。

3点目でございますが、河上委員長御指摘のとおり、若年成年について成熟度合いにばらつきがあるということだとすると、恐らく制度論で対応するよりも、やはり消費者教育とかそういったことで対応していくのが望ましいのではないか、なじむのではないかと直感的に思うわけでございます。目次を見ると「第2 望ましい対応策」の一丁目一番地のところに制度論が来ている。このプライオリティー付けについて何か議論があったのかどうか、教えていただければと思います。

○山本(敬)座長 それでは、事務局のほうからお答えをお願いします。

○丸山参事官 まず1点目でございますけれども、専門調査会の意見のところについて、具体的に報告書で反映している部分ということでございますが。

○長谷川委員 具体的に反映している部分ではなくて、どのような形でフィードバックされたのかを教えていただきたい。例えばワーキング・グループに書面で出されたとか、どんな議論がありましたと口頭で報告したとかです。

○丸山参事官 すみません。こちらの専門調査会で出されました意見につきましては、事務局を通じまして、意見の概要についてワーキング・グループで御紹介をさせていただきました。ですので、そちらで御紹介させていただいた意見を踏まえて、この報告書については取りまとめさせていただいたものでございます。

それから、7ページの記載の中身についてでございますけれども、実は国民的コンセンサス自体については、12月20日の第12回のワーキング・グループで、もちろんそれ以外にも様々な団体からいろいろな意見書とかをいただいたということもありまして、座長の樋口委員から、消費者、事業者、あるいは行政、関係者の皆様のコンセンサスを得た上でまとめていくことが重要という発言があったことを受けて、こちらの記載をしております。

具体的にこちらにつきましては、特に制度整備について、成年年齢が引き下げられるものとする改正民法が施行されることを踏まえて、国民的コンセンサスを得つつ、検討が進められることを期待ということですので、重点的にはそちらの点について考えております。

あと、望ましい対応策についてのプライオリティーということでございますけれども、特にプライオリティーについて何が一番重要かということでは特に議論が深められたものはないかと思っております。望ましい対応策については、どれも重要なものだということでございますので、こちらについては特に何がということではなく、全てという形で御理解いただければと思っております。

○長谷川委員 ありがとうございます。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。

それでは、中村委員。

○中村委員 ありがとうございます。

どういう方策をとっていくのがいいかということですけれども、本日御説明はなかったのですが、事業者として具体的に何をしていくかといいますと、28ページに「事業者の自主的取組の促進」というのがございます。そこの中で、やはり事業者がやっていくには自主的な取組がふさわしいのではないかと私は考えているわけでございますが、28ページの下のほうに、「こうした取組は契約内容が複雑であるとか、契約期間が長期にわたるとか、高額になりがちであるといった各業界における取引の特徴等を踏まえ、想定し得るトラブルの未然防止のため、必要に応じて各業界が自主的に工夫して実施している」という記述がございます。

御承知のとおり私どもは小売業でございますので、具体的に何をするかといったときに、なかなか一対一の通常の日常的な取引において、若年成人に対する配慮というものがどうやってできるかというのはなかなか難しいものがあると感じております。

そういった意味で、取引の複雑性とかその内容、そういう状況に応じた取組で、それに複雑な取引について若い人に分かりやすいような、例えばパンフレットを用意するとか、そういった取組は有効でもありますし、事業者としてもやりやすいとは思うのですが、私どものような小売業となりますと、現場にいる人自体が例えば若年成人の方でおられたり、特に熟練しているわけでもない入ったばかりのパートの方であったりとか、そういう実態がある中で、なかなか私どもの中で具体的に何か若年成人に対する配慮に努めると言われても、それが複雑な内容の取引であれば別ですが、日常的な取引においてはなかなか難しいですし、利便性を阻害する部分、お客様が本当はすぐ買って一秒でも早く帰りたいのに、そこで長々と説明をされるといったような事態にもなりかねないということで、ここの部分に関しましては、やはり自主的な取組に委ねるべき部分が多いのではないかと思います。

先ほどの河上委員長の御発言の中で、法的な義務ということではなく道徳的なものとしてという御発言があって、そこをそのような文脈で捉えられるような規定ぶりということであればいいのかもしれないのですけれども、一旦法的義務という形で規定をされてしまうと、そのようには捉えられにくいといった意味において、そういったことについては自主的な取組をやっていくのがいいのではないかと考えているところでございます。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかに御意見は。

増田委員。

○増田委員 ワーキング・グループのほうにも参加させていただいた者として少しお話をさせていただければと思うのですけれども、当初、私どもも18、19歳に対する対処ということをメーンに考えておりましたところ、各分野の方々からのヒアリングを受けているうちに、家庭の事情であったり、障害の状況であったり、教育現場の問題であったり、いろいろなことから教育の機会が人によって非常に大きく異なる。また、学業優先の状況で、大学への進学率が高くなっているということから、緩やかな状況で成人になっていく、ということが分かりました。

消費者トラブルに遭遇して負債を抱えてしまい、消費者金融にお金を返すためにアルバイトを重ねて就活がままならないというような、人生のスタートを切るに当たってマイナスからスタートするという状況が非常に多く見られることが分かった次第です。そういうことから、この若年成人を社会全体で支援をしていくことの重要性を確認したことから、今回の報告書が作られたと思っております。

そういう中で、若年成人に配慮をしていただくことについては、今おっしゃられたように、自主行動基準の中で既におやりになっているところが数多くあると思いますので、そういうところはもうやる必要がない状況なのではないかと思います。ただ、やっていない分野もたくさんあって、あるいは気付いていない分野もたくさんある。そういうところに気付いていただきたいということもありまして、この配慮義務をぜひ検討、そして取り入れていただきたいと考えております。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかに御意見は。

大澤委員。

○大澤委員 まず、報告書を読ませていただきましたけれども、とりわけ若年成人という概念をお持ちでいろいろ検討されていて、非常に興味深い御指摘もたくさんあったと思いますので、御礼を申し上げます。

結論から申し上げますと、この配慮に努める義務を論点として取り上げること自体には私は反対いたしませんし、ぜひ検討をしたほうがよろしいのではないかと思いますが、その上で1、2点懸念がございます。

まず1点ですけれども、配慮に努める義務ですので、今、御説明にもありましたように、これは法的効果をもたらすものではないと受けとめております。今の消費者契約法の3条と同じようなものであると理解しておりますが、他方で、そうであるとすると、これはもともと消費者基本法の2条2項に、報告書の中のどこかの注で引用されていたと思うのですが、消費者の支援のために年齢などに配慮するようにということが書かれていたと思います。この条文との関係が問題になるかと思います。

消費者基本法でこういう支援のための配慮を求めるということを書いて、更に消費者契約法の中でこのような義務を書くときに、もちろん消費者基本法を更に消費者契約の場面に具体化するものとして、消費者契約法の中にこういう努力義務を書くこと自体は意味がないとは思いません。意味はあり得るかと思いますが、もし法的効果をもたらさないものであるとすると、本来消費者契約法は民事的な効果を付与することによって消費者の契約についての支援を行うものですので、そことの関係は今後議論をする必要があるかと思います。

2点目ですが、危惧していることといいますのは、むしろこの配慮に努める義務について議論をすることによって、もともと本来はこのような年齢ですとか判断力の低下につけ込んだような場面での取消しを付与するかという議論をこれまでもやってきておりましたので、まずはやはり直接的な取消しという救済としての効果を与える取消権を付与する、まずこちらの議論の中で、やはり年齢とか判断力、経験不足を考慮して取消しを認める規定をどうやって作っていくか。こちらをまず議論していった上で、配慮に努める義務ということを追加的に議論したほうがいいと思っています。

といいますのは、配慮に努める義務を書くことにするので取消権のほうはむしろ縮小化してしまうということを若干懸念しておりますので、その点のバランスを御考慮いただきたいと思います。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

結論としてどのような方向が望ましいかという点については、いろいろ御意見があるところかと思いますけれども、論点として取り上げるべきかどうかという点については、かなり多くの方々が取り上げるべきだとおっしゃっているように思いますし、少なくとも反対はしないという御意見もありました。

積極的にこれを論点として取り上げるべきではないという御意見がもしあれば、お出しいたしいただくほうが議論しやすくなると思いますが、いかがでしょうか。

では、長谷川委員。

○長谷川委員 取り上げるべきでないというか、取り上げる意味がよく分からないというのが正直なところでございます。一つは、若年成年について経験あるいは知識、交渉力が不足しているということなのですけれども、そういうことはあるのかもしれませんが、何度も申し上げているとおり、何をもって20歳代あるいは若年成年の方が消費者被害に遭いやすいと思われているのか。本日参考資料1として出していただいている「各年代における1人当たりの相談件数」を見ると、そんなに各年代で変わりがない。単位のイメージが分からないのですけれども、少なくとも20歳代はほかの年代に比べて少ないように見えます。そうした中で、何をもって20歳代あるいは若年成年の方が消費者被害に遭いやすいと思われているのか、よく分からないところがあります。

前回その件に関連して御質問させていただいたところ、丸山参事官から、国民生活センターから20歳のところで被害が増えているというデータの御紹介がありましたという御回答をいただきました。それはこの場でも紹介があったところでございますけれども、知識、経験、交渉力が劣るから消費者被害に遭いやすいということであれば、20歳だけではなくて、21歳、22歳でも同じように相談件数が多いはずであり、また年を経るとともにだんだん少なくなっていくというような相談件数の状況になっているのが普通なのではないかと思います。恐らく20歳のところだけが増えているというのは、知識、経験、交渉力という要因以外の別の要因、成人になったから事業者が取引を持ちかけてくるとか、あるいは環境の変化もあるかもしれませんが、そういう状況にあるのではないかと思います。少なくとも手元にあるものから見ると、そのように推測するのが何となくもっともらしいと思うものですから、そもそもこういった努力義務を、若年成年にターゲットを絞って考える意味が分かりにくいというのが一つでございます。

また、これは努力義務ということですが、この場でも多分コンセンサスがあるのだと思いますけれども、消費者被害で問題になっているのは悪徳事業者だと思っておりまして、そういった事業者がこういった義務を果たすべく努力するかというと、そもそもしないのではないか。要するに、規定を作っても消費者被害を防ぐことに繋がっていかないのではないかというのが2点目でございます。

もう一つ、必要性がないというよりも、むしろ弊害があるということでございますけれども、今書かれている提案内容ですと、「当該消費者の需要及び資力に適した商品・役務の提供について、必要かつ合理的な配慮をする」ということですので、これは要するに消費者が望んでも提供しないように配慮しろということかと思います。そういった形で、ある意味でパターナリスティックな義務を設けるのが消費者の厚生の増大につながるのかどうかというのは再考が必要だと思っております。

以上でございます。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかに御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。

石島委員。

○石島委員 まず、成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループの報告書は、私も大変興味深く拝見をいたしました。短い時間で様々な意見のヒアリングなどをしていただきながら、いろいろな視点を取り入れていただいたものになっているとは思うのですけれども、やはり事業者の観点としましては、ちょっと論点が拡大し過ぎてしまっているのではないかとも思うところでございます。そもそもは引下げに当たって新たに成人になる方々の保護ですとか、消費者をどのように保護していくかという施策を考えるものであったのではないかというところを、やはり若年成人という形で定義が拡大した上で、こういった層は保護が必要であるという結論を導かれているように思うのです。そうしますと、この年代、22歳ぐらいと先ほどおっしゃっていましたけれども、マジョリティーが保護するべきものだという前提に置かれた議論になっているようなのですが、果たして本当にそうなのかなと。

大学卒業を一定のメルクマールにされているようなのですけれども、そもそも高等教育を受けてきた人たちをそういう前提に置いていいものなのかというのは非常に違和感が引き続きございます。その出口が、やはり引き続き取消権につなげて考えるということであるならば、そもそも引き下げるべきではないのではないかということを事業者サイドとしては申し上げざるを得ないかと思います。18、19歳の方々に関しては、そこで確実に救済されるわけなので、そこがやはりコンセンサスが得られていないというところを、ちょっとしつこいようですけれども、申し述べさせていただきたいと思っております。

御質問いただいた主たる論点である「若年成人に対する配慮に努める義務」を今後の論点に含めていくかどうかに関してですけれども、こちらも既に第3条において、消費者の権利義務その他、消費者契約の内容が消費者にとって明確かつ平易なものになるよう配慮するという努力義務が既に定められていて、これに加えて若年成人に対して特別に説明をしなければいけないものは一体何なのだろうということがよく分からない。消費者はいろいろな方々がいらっしゃいますので、高齢者であったり、障がいをお持ちの方であったり、そういった方々の事情に照らして努めるというのは既に自主的にもやっているところでございますし、そういった広範な議論になるのであれば理解はできるのですけれども、若年成人にフォーカスしてなさなければいけない努力義務がどういうものになるのか、長谷川委員もおっしゃっていましたけれども、ちょっとイメージがつかないなというところでございます。

以上です。

○山本(敬)座長 ほかに御意見があれば。

磯辺委員。

○磯辺委員 若年成人のワーキング・グループの報告書を拝見しました。本当に短期間でよく取りまとめられたなと思って感謝しております。

特にこの努力義務規定にどのようにこの視点を入れるのかというのは、確かにこれまで重要な論点を検討するときに余り注意してこなかったなと思います。どちらかというと、具体的に効果があって取消しに結びつくもの、もしくは無効とかに結びつくものを中心に議論したほうがいいということで、この間、私もこの会議に参加してきたなと思っています。もう一度改めて、特に18歳、19歳が成年ということになるという大きな環境変化で、今、20歳になったときに非常にトラブルが増えているところが、そのトラブルが18歳、19歳で発生するようになる。それと18歳になったときに生活環境の変化があわせてあって、現状でも18歳のときにもいろいろトラブルがあるところ、更にそれに成年としての契約を自らやるということになるとて、悪質事業者の対応も含め、非常にいろいろな困難な状況が18歳、19歳に集中して発生するという変化があるのだろうということは容易に想像できますし、この間の議論でも共有できてきたところだと思うのです。

そういう変化を踏まえたときに、ここは消費者契約法専門調査会ですから、消費者契約法という場面でどのように発信をしていくのかということが重要なのだろうと思います。その理念として、努力義務規定でそういった状況変化を踏まえて、年齢という要素も考慮しながら、情報提供義務の在り方をもう一度議論していくということは非常に意味のあることだと思いますし、そのことはいろいろな事業者の自主的対応を結果として促す、そういう役割もあるのではないかと思います。

事業者の自主的対応、真面目にやっていらっしゃるところが自主的対応をいろいろ工夫していただく、18歳、19歳の人たちにより丁寧に対応していただくということをやっていければ、逆に悪質事業者が無理な契約を迫ったときに、それが孤立するといいますか、そういう契約の仕方はどうなのというのが浮かび上がってくることにもなろうかと思いますので、そういったソフト的な効果を期待して、消費者契約法に努力義務規定を理念として入れることをぜひ検討すべきだと思いますので、論点としてぜひ加えていただければと思います。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかに御意見があれば。

松本理事長。

○松本理事長 私は、大澤委員の意見と近い考え方を持っておりまして、取消しの話と切り離して努力義務として入れるということであれば、特に反対する理由はないとは思うのですが、消費者契約法の更に上位規範であるところの消費者基本法の5条に、事業者の責務として既に消費者の知識、経験及び財産の状況等に配慮することというのがあるわけで、ここにもう少し年齢とか、あるいは最近成年になったこととか、そのようなことを入れていく、消費者基本法をもう少し詳細化するというのも一つのやり方であろうと思います。そして、それをコピーする形で消費者契約法の中に理念規定として入ったとしても、消費者基本法までは見ないけれども、消費者契約法は気にして事業者の人もよく見るということであれば、そこにも同じことが書いてあるというのは、意味はあるかと思います。

それと、18、19歳の問題に特化して議論するならもう少しやりやすいのですが、22歳まで入れて若年成人という捉え方をされました。若年者特有の問題商法が明らかにございますから、それに対する対策は必要なのですけれども、相談を受けている側から見ますと、先ほど長谷川委員も御指摘されたように、どの年代でも多数の被害が発生しているわけで、それの多くはやはりそういう経験不足とか、あるいはちょっとした欲望につけ込まれるとかいうものなので、若年成人特有の問題ではないところが多いと思うのです。経験とか知識等を無視して勧誘する、あるいは今日本来の議論として行われる予定の、殊更に不安をあおるとか、大変もうかるというようなものは年代に無関係に行われています。その手法、あるいは商材が年齢に応じて少しずつ変わっていく、あるいは時代の変化に応じてトレンドとして商材が変わっていくということがございますが、そういう中で若年成人という形で従来の成人の中のごく一部の若い人についてだけ切り出して特別の手当てを、民事ルールではないところで努力義務的な形ですけれども、置くということには若干違和感がございます。それならもっと一般化して置くべきであろうと思います。

そして、18、19歳、従来であれば一定の保護を受けていた者が、今回その保護を取り払われることによる不利益、現状より保護が切り下げられる部分について一定の手当てを特別に消費者契約法なり民法改正法の附則なりでするということは、積極的な意義があるだろうと思います。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

河上委員長。

○河上委員長 既に議論が始まってしまっている感じがしないでもないですけれども、若年成人に関してはちょっと誤解があって、若年成人というのは社会学的な分析をするときの一つの基礎として考えたものであって、これが制度にそのまま使われるということは全く想定しておりません。むしろ若年成人に関して一固まり、現在学生を修了するまでの22歳ぐらいまでの若い人は大体7割になるのですが、そういう方に特徴的ないろいろな問題をまず分析してみて、そこからどんな手当てが必要だろうということを検討した考え方であります。

ここから先、制度として、例えば取消権をどうするかとか、そういう話になったときには、これは年齢を区切るとか、あるいは別の要素で切るといったことは当然あってよいことで、それをむしろ検討していただきたいということであります。

議論が若年成人に限られないということはおっしゃるとおりでして、先ほど石島委員が、もっと広範な議論にするのだったら意味があるとおっしゃってくださったので、うれしかったのですが、つまり、若年成人に関して我々はワーキング・グループでは一定の諮問に対する回答を作ったわけですが、むしろ消費者契約法は若年成人に限らず、高齢者であったり、障がい者であったり、前に丸山委員から脆弱な消費者という言葉が出てきましたけれども、そうした一定の配慮を要する社会的に傷つきやすい消費者に対するルールとしてどういうものが適切かということを広くここで議論していただければ、それはそれでありがたいことであります。

その意味で、この若年成人云々という言葉が、ここでの議論を枠づけしたり、あるいはこれに限るものでは全くございませんというのが、まず1点です。

大澤委員から、消費者基本法にもあるではないかと、これは松本理事長もそうだそうだとおっしゃってくださったのですが、消費者基本法はあらゆる消費者問題に関するルールとして原則が定められているところで、消費者契約というところでこれを具体化することには、やはり意味があると思っております。積極的な自主的な取組の対応を取引関係で促すということもありますし、いろいろな意味で契約の中で相手の属性に関して配慮することがうたわれるということは、事業活動に対してもいいメッセージになると考えております。

実はワーキング・グループで経済界の方からもヒアリングを随分いたしました。相手を見て物を売るということをしない事業者はおりませんというふうに逆に胸を張って言っていただいて、相手が新成人というか、成人になりたての人であったら、余り専門的な言葉で煙に巻くようなことは当然してはいけないし、あるいは高齢者だと分かれば、それに対して字を大きくして説明するとかしておりますと。それは、普通の事業者だったら、相手を見て、その相手の様子に合わせていろいろな配慮をするというのは当然のことですと逆におっしゃっていただいて、意を強くした思いがございます。

先ほど小売店の方では何をしたらいいか分からないということですけれども、お客さんを見ているという意味では、これは一般の販売員と全く同じで、相手の状況を見ながら、それに応じた販売活動をしていらっしゃるというのは現状で真っ当な事業者の方は皆さんそうなさっているはずであります。問題は、そういうことをしない連中がいるので、そういう人たちに対して積極的にメッセージを発出するということであります。人が人に対して気遣いをしたり、あるいは人に対して思いやりをかけることが新たな負担だと思われるような取引社会は残念なことで、まさにそういう形で、ここにこういう形での議論をしていただくことには大きな意味があろうかと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

○山本(敬)座長 ありがとうございます。

先ほども申し上げましたが、この「若年成年に対する配慮に努める義務」を消費者契約法において具体的に規定するかどうかという点については、賛成、反対、それぞれに御意見があったところだと思います。積極的にこのような規定を設けるほうがよいという御意見があった一方で、規定することにどのような意味があるのかについて疑問も示されましたし、仮に規定するとすれば弊害もあるのではないかという御意見も出されたところです。

ただ、ここで少し考える必要があるように思いますのは、このような「若年成年に対する配慮に務める義務」について検討する必要があるという報告が行われている中で、議論もせずに、消費者契約法においては論点として取り上げないということの決定がされるとすると、その社会的意味もやはり考える必要があるだろうということです。その点を含めまして、更に御意見をいただければと思いますが、特に積極的に取り上げるべきではないという御意見を主張される方があればお出しいただければと思いますし、もちろんそれに対する反論もお出しいただければと思います。

丸山委員。

○丸山委員 反論のほうになるのですけれども、現在の消費者契約法には個別の消費者の年齢、知識、経験、能力等に配慮するような規定は実は置かれていない。その点を考えますと、実は努力義務であっても、私は導入することには意味があるのではないかと考えている立場です。

ただ、そういった意味があるということの詳論はしませんけれども、意味があることを前提に導入すべききか否か、導入するとしたらどういった内容がいいのかということを建設的に議論していくのが、この委員会の役割かなと思っております。

意見としては以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

大澤委員。

○大澤委員 すみません。私の先ほどの発言が余り言い方がよくなかったのだと思います。私自身は、全く意味がないと、基本法にあるではないかという強い趣旨で申し上げたわけではなく、やはりこの審議会も時間的に限界があると思っておりますので、私自身が危惧いたしましたのは、配慮に努める努力義務というのは基本的には法的効果はないものとして恐らく検討されているのだろうなと。もちろんそれ自体も今後、議論の対象になるのかもしれませんが、この報告書の中に出ているものは、少なくとも努力義務にとどまっています。

しかし、本来的に消費者契約法での個々の消費者の救済ということを考えると、やはり取消権を付与するという直接的な規定のほうをむしろちゃんと検討してほしいという趣旨で申し上げました。報告書の中で言いますと、9ページ以下にある取消権のところです。これは恐らく、まさに年末年始から今も議論しているものでもありますけれども、こちらのほうの時間を奪ってしまうようなことにはなってほしくないという趣旨で申し上げました。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

後藤巻則座長代理。

○後藤(巻)座長代理 私も今の大澤委員の意見に賛成でして、やはり取消権をきちんと議論する、つけ込み型の勧誘の場合に取消しができるかどうかということを議論するのが一番大事なところでありまして、そういうところの議論、つまり取消しという法的効果が生ずるものとしての規定ということと、ある意味セットになって、ここでの年齢とか判断力に配慮するということについても議論する必要があると思います。もしここで仮に消費者契約法3条の努力義務として入ることによって、取消しのところについてはもう議論しなくていいのだというふうになるのが一番よくない状況だと私は考えます。

そのように考えますと、ここで議論している努力義務としての配慮義務は、つけ込みがあったかどうかということの一つの判断要素として考えていくべき問題でありまして、消費者契約法の現在の規定ができたときにも、もともと情報提供義務違反で法的効果として取消しができるかどうかという議論をしていて、その議論の中から3条1項の努力義務も生まれたということでありますので、ここで3条1項的な規定を議論するのはもちろん反対はいたしませんけれども、その行く末が、取消権の議論はもう要らないということになることだけは避けたいと思っております。

一方、現在の議論の状況から見ますと、前回、甲案、乙案というふうに案が示されておりまして、乙案の困惑による取消しということが今回は出ておりますので、そことの関係で言いますと、年齢とか判断力に考慮するということが少なくとも本日の案の中では抜けてきていて、そこについての問題は議論されないことになりそうなわけであります。

そうだとすると、もっぱら困惑について議論することになって、年齢とか判断力についての議論がなくなるようなことになってしまうのは、これもまた問題でありますので、そういう意味からいうと、困惑の取消しはそれとして議論し、努力義務ということで年齢や判断力に配慮するという義務を入れる。現時点での対応としては、そういう対応は十分あり得ると思いますけれども、繰り返しになって申し訳ありませんが、それで終わりということではなく、その後の問題として、つけ込み型勧誘の取消しということをきちんと議論する場が、この専門調査会になるのか、あるいはもう少し後の機会になるのか、その辺のスケジュール的なことは分かりませんけれども必要である。そのようなことを今までの議論を聞いていて考えました。

以上です。

○山本(敬)座長 長谷川委員。

○長谷川委員 何度も申し訳ありません。

私はこの専門調査会で検討すべきことは、取消し云々というよりもむしろ消費者被害を減らすことそのものなのだろうと思っていまして、取消権の導入というのはそのための一つの手段にしかすぎないと思っております。

時間的なリソースも限られていますので、法典の中でここに穴があいているから規定を導入した方がいいとか、そういう議論ではなく、この努力義務を入れると、どのような形で消費者被害が減ると考えられるのかというのをもう少し分かりやすく教えていただければと思います。

○山本(敬)座長 事務局ないしはそれに代わってお答えを。

河上委員長、よろしいでしょうか。

○河上委員長 ありがとうございます。

これは法的に全くニュートラルなものでは確かにないわけでして、相手の固有の属性に関して一定の配慮をするという、もう少し大きな高い次元での要請になるかと思います。このことから直ちに損害賠償責任とかいろいろなものが出てくるわけではないのですけれども、例えばその後の4条とか、いろいろな規定がありますが、不実の告知に当たるかどうかということを判断するときに、こんな小さな子に、こんな年寄りに、こんな説明をしたら相手はどう思うだろうというように、やはり不実告知であるとか誤認惹起などのときでも、その人固有の属性をある程度配慮せざるを得なくなるのではないかということはあると思います。ですから、間接的にそれぞれの規定の適用の仕方に影響が出てくるのではないかということは否定できないところであります。

先ほど丸山委員から、消費者一般の規定ではなくて、消費者の固有の属性に焦点を当てた一定の適用というものについて考える一つのいい機会になるのではないかという御指摘をしていただきましたけれども、4条に関してもそういうことはあり得ることであります。

後藤座長代理からも、つけ込み型というときに、新成人にこういう形で接近していくのはどうかというような形で、取消権を考える際の一つの要素にはなるのだろうと思います。

いろいろそれが間接的に影響してくる部分はあるということですけれども、私どもが提案したときには、更に自主規制のところでのメッセージであるとか、様々なプラスの効果が期待できるということでありました。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。

長谷川委員。

○長谷川委員 委員長が最後におっしゃったメッセージというのはあり得るのかなと思っています。まさに磯辺委員も事業者の自主的対応を促す役割について御指摘されたところでございますが、消費者委員会はせっかく広い権限を持っていますので、消費者契約法にこういう努力義務を入れることでメッセージを送るというよりも、全政府を挙げてしっかりと成年年齢の引下げに係る啓発活動をやっていくとか、そういう大きな仕掛けを求めていくことが本当はあってもいいのかなと思います。もし成年年齢の引下げに大きな懸念があるということであれば、そのように思うわけです。お取りまとめいただいたものにこういうことを申し上げるのは大変恐縮なのですけれども、通常、政策とするには予算も法令も年内に検討を行い、大きく運動を盛り上げていくというのが一つの在り方かと思います。そういうメッセージを広く打ち出すという観点から見て、このワーキング・グループ報告書にはもう少し戦略的に政策リソースを投入していくような仕掛けがあると良かったのかなと思っているところでございます。

○山本(敬)座長 有山委員。

○有山委員 消費者教育も私どもの団体で実施しておりますが、消費者教育で一般の若年成年の方たちに契約について十分理解していただくというのは、なかなか難しい時間のかかることだと思っております。今回、若年成年ということで私たちが思い浮かべると、普通の商店などではあり得ないような、囲い込んで物を売る。それぞれ成人になると、大人としてしっかりしなければならないというイメージをお持ちになるようなのです。そういう中で親と切り離し、お友達と切り離し、販売時に何人もの勧誘する人たちで囲い込んで、何度も何度も同じことをお話しになる。その結果、契約してしまうというような販売行為が見受けられますので、配慮していただきたい。

そういう販売方法はおかしいのだと、十分な判断をする時間と機会を与えるべきだと思います。ほかの年代にも当然あることなのですけれども、特に成人としてこれから自分はひとり立ちしていこうという前向きなときに、取り囲んで一方的な情報を送り、説得するという行為がたくさん見られるので、その辺の配慮義務を報告書に入れていただいたのだと推測しております。私はこの配慮義務ということについて賛成いたしますし、特に若年成人という定義についても、私たちのイメージとぴったりだと考えております。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

もう既にかなり時間も超過している状況なのですが、では、松本理事長。

○松本理事長 確認したいのですけれども、若年成人の議論に限定して配慮条項を入れようというのが山本座長の議論の方向づけなのか、それとも若年成人というのは取っ払って年齢配慮条項を消費者契約法に入れようという議論をしようというのか、そこが話を聞いていて分かりにくいので、クリアにしていただけますか。

○山本(敬)座長 私個人の考えというのではなく、この報告書において「ア 若年成人に対する配慮に努める義務」について、このような提案が行われ、そして、消費者契約法専門調査会等において別途検討することが望まれるという提案があったことを受けてどう考えるかということでして、この内容に拘束されるというものではなく、これを受けて、もし検討するとすれば、ここでどのようなものが望ましいのかということを広く議論すればよいと思います。

○松本理事長 先ほども申し上げたことなのですけれども、若年成人に限定して特別の配慮条項の規定を消費者契約法に置くというのは、むしろマイナスがかなりあるのではないか。ほかの成人はどうなのだという議論が必ず出てまいりますから、そういう感じがいたします。したがって、若年成人に限定しない形で年齢配慮、あるいは経験等への配慮を求める事項を置くかどうかという議論であれば、意味があると考えております。

○山本(敬)座長 先ほど申し上げましたように、この提案を受けてどう考えるかということで、この専門調査会でどのようなことが望ましいかという点については、ここで自由に決めればよいことであって、若年成年者に限り、それ以上のことは何もできないというような議論の仕方をする必要はまったくないと理解しています。

○松本理事長 ワーキング・グループがこういう表現を使われたことの趣旨は、限定するという意味で使われているのか、それとも限定しないで使われているのか。ワーキング・グループはどういう意図でこういう提案をされたのですか。

○山本(敬)座長 河上委員長。

○河上委員長 限定をしておりません。ワーキング・グループはもちろん諮問に対する回答をするものでありましたから、どちらかというと18、19歳についてどうかということに特化して回答しておりますけれども、それがここで議論されるときには、例えばより一般的な年齢等配慮義務という形で議論していただいても全く問題ございませんし、個人的にはその方が望ましいと考えております。

○山本(敬)座長 ということですが、よろしいでしょうか。

では、河野委員。

○河野委員 国民といいましょうか、消費者から見えている事実は、間違いなくここ1年ぐらいの間に成年年齢が引き下げられるということなのです。そのことに対して消費者委員会が対応策を提示してくださった。今、様々御意見を伺っていまして、皆さんから出された御意見そのものが既にこれを論点として取り上げ、そのことに対する見解を述べてくださっていると思える内容です。喫緊の課題として、間違いなく成年年齢は引下げに向かっています。課題は少年法でどう扱うのか、消費者契約のところをどう扱うのか、法律を審議する議員の皆様のところでもそういったところが非常に関心が高いだろうと私自身は捉えています。

ここで消費者委員会がこのようなまとめを出してくださったことに対して、消費者契約法を検討するこの場で、このことについてはどういう形で扱うのがいいのか。先ほど松本理事長がおっしゃってくださったように、年齢を考えない取り払った形でこのことはちゃんと検討すべきだと、そこの結論に行き着くようなもので、私も確かにそうだなと納得感もありますが、その議論をすべきであると感じています。国民にとっての大きな制度変更に対する何らかの形の検討は、やるということが必要なのではないかという感じがしております。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

先ほどから申し上げておりますように、内容に関しては賛成・反対両論があり、賛成の中でも積極的な賛成と消極的な賛成があるという分布は非常によく分かりました。

その上で、先ほども申し上げましたように、そもそもこの専門調査会で議論をしない、取り上げることもしないという決定が持つ意味をよく考える必要があると思います。もちろん、議論した結果、どうなるかは分かりませんけれども、およそ取り上げないという決定をすることには、個人的にはちゅうちょがあるところです。

そのような観点からしますと、少なくとも積極的、消極的いずれかにせよ賛成がかなりあり、積極的に強く反対するという御意見も必ずしも出ていなかったように思いますので、差し当たり論点として取り上げることとし、そして、今日のところは何のデータもなく議論していますので、必要な資料等を整えて、改めてここで議論し、その結果どうなるかを考えるということでいかがでしょうか。

河上委員長、それでよろしいでしょうか。

○河上委員長 結構です。

○山本(敬)座長 私の不手際で議論が長引いてしまいまして、申し訳ありません。

では、長谷川委員。

○長谷川委員 座長の取りまとめで結構でございます。

ただ1点だけ、ほかの論点についても事業活動に大きな影響を与える可能性がございますので、事業者も含め、広く国民の意見を聞く機会が必要だと思っております。今回これを新たに論点に加えることによって、その機会が失われないように、そういった時間がなくなることがないように、ぜひお願いしたいと思います。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

もっともな御意見ですので、この点も御留意いただければと思います。

続きまして、消費者庁から、合理的な判断をすることができない事情を利用して契約を締結させる類型について、検討のための資料として資料2及び参考資料1を御提出いただいていますので、消費者庁から御説明をお願いいたします。

○加納消費者制度課長 それでは、手短に御紹介をしたいと思います。

資料2は「合理的な判断をすることができない事情を利用して契約を締結させる類型について」、前回、前々回の議論を受けまして、新たに整理してお示しするものであります。

1ページの第1に書いてあるのは、前回の議論を敷衍するものであります。詳細な説明は省略いたしますが、甲案、乙案という形でお示しいたしました。

2ページでありますけれども、それに対してこの専門調査会における御意見といたしましては、甲案に対し、その対価的な不均衡についてどのように捉えるかという点についてはいろいろ御指摘があり、結論としましては、その該当性の判断には困難を伴うことが多いのではないかという御指摘であったかと理解をしております。

その一方で、困惑類型の中で検討するということについては、まだ伸び代があるのではないかということであったと理解をしておりまして、一定の概念を行為類型として明確に切り出した上で、困惑に結びつくものを取消事由としていく方向性が示唆されたと思っておりまして、乙案をベースに更に困惑類型として取消事由を位置付けることを検討してはどうかということで、検討してみたものでございます。

その困惑として、現行法では不退去、監禁というものがあり、それによって困惑した場合の意思表示を取り消すというものでありますが、不退去、監禁にかわる何らかの行為類型として、何が困惑と結びつき得るのかということで、事例に照らし検討してみましたが、第2の1.にあるように、殊更に不安をあおるような行為類型があるのではないかと、これが問題の所在ではないかということであります。

事例1-1から幾つか御紹介をしておりまして、これまでの専門調査会の資料で御紹介をしたもの、事例1-1はそうでありますが、それ以外にも幾つかPIO-NETの情報をおつけしております。

3-1から4までの事例につきましては、事例2-2までの事例とは若干毛色が異なるところがございまして、不安をあおるという要素は顕著かと思われますが、例えばそれ以前の事例に見られるような電話をかけてとか、声をかけてとか、そういった要素はないケースであります。

そういった事例は起きつつ、ではどういった形で困惑として類型化していくかということでございますが、4ページの一番下の段落「上記事例をみると」と書いてあるところですが、こういったことをしなければ一生成功しないとか、毛髪が生えなくなるとか、災いが降りかかるとか、こういったものは、5ページでありますけれども、消費者に生じる損害や危険を告げる。かつ、その告げ方でありますけれども、単に保険などのような将来的なリスクを説明するというのを超えて、合理的な理由がないにもかかわらず、過度に強調するという行為類型として切り出してはどうか。

そういったものを念頭に、規定としてどのように書きおろすかということを検討いたしますと、法律の他法の類例等を参照して、殊更に告げるという言い方で御提案をするものでございます。

2.は、その殊更に告げるということでありますけれども、実際にどういう局面でこういうことがされるのかもあわせて規定して、それによって行為を明確化していってはどうかということでありまして、不安をあおるということがどういう局面でされるのか、された場合に特に困惑に結びつきやすいのかということで、被害実態に照らして考えますと、前回、行為類型として示した1号、2号も念頭に置きつつ、5ページの下から2段落目「このような観点から」というところに書いてありますように、「例えば」というところでありますけれども、契約の締結について勧誘するためのものであることを告げずに接近、あるいは告げずに来訪させた上でといったことではないかということで、こういった要件立てをした上で、困惑類型として位置付けることを検討してはどうかということであります。

ただ、5ページの末尾から6ページに書いてありますように、3-1以下の事例につきましては、そういった要素がないケースかと思われますので、そういったものについては別途の検討が必要ではないかということであります。これについては、委員の御意見をいただければ検討の余地が出てくるのではないかと思います。

一方で、6ページの3.の人間関係を濫用というところでありますが、これはいわゆるデート商法などを念頭に、前回幾つか案をお示ししたものでありますけれども、前回の案につきましては、恋愛感情だけなのかどうかとか、他方でそれは困惑と言えるのかということについての疑問があったという点であります。

そこで、恋愛感情に限らず、人間関係についての濫用ということで、「そこで」という下から3段落目のところでありますが、より広く、ただし、その場合の行為態様としては、消費者と事業者との間の密接な関係を築いた上での濫用という形にして、困惑と結びつくようにしてはどうかということでございます。

ここでの関係につきましては、例えば事業者がお得意様とか長年の顧客関係を活用して、新規に新たな契約を勧誘するといった場合などが一律に入るのではないかといったことに対する懸念が事業者としてはあるのではないかと思われるところでありますので、そこは更に検討をすべきかと思われますが、念頭に置いておりますのは、この関係は契約そのものの関係、契約に結びつくような関係ではなくて、例えば恋人商法であれば恋人関係といいますか、異性との関係を維持するでありますとか、友人関係でありましたら、友人あるいは先輩後輩の関係を維持するでありますとか、仲間外れにされたくないでありますとか、必ずしも契約とは結びつかないような関係を念頭に置きつつ、そういった関係を維持したいがために契約をしてしまうというのは一種の困惑、そうしないと自分は人間関係から外されてしまうというような困惑が捉えられるのではないかということでございます。

下から2段落目「具体的には」ということで、「例えば」ということで、そういった密接な人間関係を築いた上で、殊更に関係を維持するために必要な言動というものを検討してはどうかということでございます。

最後に「なお」として書かせていただきましたのは、そもそも困惑ではないのではないかという御指摘もあり、理解できるところでありますが、そうすると、誤認でもない、困惑でもない、新たな類型を設けなければならないことになります。これはどういうことがあり得るのか。幻惑という御意見もかつてはあったとお聞きしておりますけれども、どういうものですかということについては答えられるように議論をする必要があると思いますので、ここは委員の皆様の御意見を待ちたいと思います。

以上のとおりでございまして、7ページに書かせていただきました、新たな3号、4号という形での類型の追加を御検討いただければということでございます。

以上であります。

○山本(敬)座長 参考資料1のほうはよろしいでしょうか。

○加納消費者制度課長 参考資料1は、前回、若年者の消費者被害のすう勢につきまして、委員からデータによる説明をしてほしいという御要望がございましたので、データとしてお示しするものであります。1人当たりの相談件数ということで、20代から80代、そういった各年代におけるすう勢でございます。

例えば20代を御覧いただきますと、2009年度から2012年度ぐらいまでは1人当たりの件数として減ってきておりますが、2013年度、2014年度は逆に反転して増加傾向であります。逆に70代、80代でありますが、2013年度ぐらいまでは増加傾向にあったのが、2014年度、2015年度は減少傾向でありまして、増えたり減ったりというような状況なのかと思われるところであります。

その一方で、この数字が多いか少ないかどう見るかというところはありますけれども、20代も含めて、それなりの数字は維持されていると見えるのではないかということで、おおむね一定数を維持しているものと考えるという書き方をしております。

確かに20代につきましては、30代、40代に比べると数字が低いという要素はあるわけでありまして、これは例えばまだ職を得ていないとか、社会に出ていないとか、そういった要素でそもそも取引に入っていないということも要素としてはあるのではないかと思われるところであります。あと、年代に特化した議論、先ほど配慮義務という御議論がございましたけれども、そういったものを検討する上で一つの参考にしていただければというものでございます。

以上であります。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

かなり時間が押しておりまして、少し延びるかもしれませんが、延びても10分程度を限度にするということで、効率的な議論に協力をお願いしたいと思います。それでは、ただいまの消費者庁からの説明内容につきまして、御意見や御質問のある方は御発言をお願いいたします。

山本健司委員。

○山本(健)委員 御説明いただいてありがとうございました。

まず、意見の結論を述べます。

前段要件の「事業者の一定の不公正な行為」のうち、3号部分については、マル1案の提案内容に賛成いたします。4号部分については、原案の提案内容に賛成いたします。

後段要件については、原案の「困惑」という提案内容に賛成いたします。ただ、消費者庁の逐条解説等において「『困惑』は広い概念であり、事例1-1から事例3-4のような事例においても『困惑』を肯定できる」ということを明らかにしていただきたいと思います。なお、「幻惑」や「誤認または困惑」といった別の字句にする在り方にも反対はいたしません。

次に、意見の理由を述べます。

第1に、3号部分に関する意見の理由です。

資料2で紹介されております事例1-1から事例3-4のような被害事例を救済する規定の必要性は非常に高いと思われます。その一方で、健全な事業活動に悪影響が出ないよう配慮する必要があるという御指摘も理解できるものです。この点、通常の営業活動と区別して取消しを認めるべき不当性の高い行為を類型化していくという資料2の基本的な観点は合理的と考えます。

そして、本日、資料2で提案されている3号のマル1案の行為類型は、「消費者に販売目的を隠匿して接近し、しかる後に勧誘行為を行った」のみならず、「その勧誘行為の態様が消費者に生じ得る損害または危険を殊更に告げて勧誘する行為であった」という場合であって、極めて不当性の高い勧誘行為と評価できるように思います。また、一般的な事業者の通常の事業活動において、かかる不健全な勧誘行為はあり得ないと思われる点において、事業者の営業活動への悪影響の回避という観点にも配慮された提案内容と考えます。その点において、3号部分については、マル1案の提案内容に賛成いたします。

一方、マル2案は、更に来訪要請をも要件とする提案内容ですが、「販売目的隠匿接近」に加えて「殊更に不安を煽る行為」まで認められるのであれば、既に十分に不当性が高い勧誘行為であって、それがどこの場所で行われたかといったことで取扱いを区別するのは合理性が希薄であると考えます。

実際の結論としても、来訪要請という要件は、事例3-1~4といった被害事例や、社会的な問題となっている独居老人の被害事例の救済を難しくするという点で問題であると思います。

したがって、マル2案よりも、マル1案のほうが優れた提案内容と考えます。

第2に、4号部分に関する意見の理由です。

若年者における恋人商法や高齢者の信頼の悪用など、断り切れない人間関係を作出・濫用する被害事例に対応する必要性も非常に高いと思われます.この点、本日、資料2で提案されている4号の行為類型は、一般的な事業者の通常の事業活動においては、契約の目的である商品やサービスの内容をもって契約を勧誘するのに対し、契約内容とは関連性の低い密接な人間関係を作出し、それを維持させるために必要と思わせるような言動を殊更に用い、当該消費者が本来求めていない契約を締結させるという、極めて不当性の高い勧誘行為と評価できます。また、一般的な事業者の通常の事業活動において、かかる不健全な勧誘行為はあり得ないと思われる点において、事業者の営業活動への悪影響の回避という観点にも配慮された提案内容と考えます。

以上の理由から、4号部分は原案の提案内容に賛成いたします。

第3に、後段部分に関する意見の理由です。

現行法の困惑取消しにおいては、不退去・退去妨害という困惑惹起行為しか規定されていないことから、現行法の「困惑」には、嫌々契約するときの心理状態というようなイメージがありました。そのため、霊感商法の被害者が「この壺を買わないと不幸になる」と信じている心理状態やデート商法の被害者が「この女性との交際が深まる」と信じている心理状態などが「困惑」に含まれるのであろうかという違和感ないし心配があるという旨を前回期日に述べさせていただきました。

しかしながら、前回期日の議論において、山本敬三先生や後藤巻則先生から、「困惑」というのはもともと広い概念であるから、デート商法のような被害事例における消費者の合理的な判断ができない心理状態も含み得るのではないかという御指摘を頂戴しました。

また、その後、念のため確認した消費者庁の逐条解説の「困惑」部分の解説でも、確かに「困惑とは(中略)精神的に自由な判断ができない状況をいう」「広い概念である」とされておりました。

そして、本日の資料2でも、事例1-1から事例3-4のような被害事例における被害者の心理状態が広く「困惑」に含まれることを前提に立法提案がなされております。

「困惑」という要件に関するそのような解釈を前提とするのであれば、後段要件を「困惑」とすることに特に問題はないと思われます。

以上の理由から、後段部分についても原案の提案内容に賛成いたします。ただ、消費者庁の逐条解説等において「『困惑』は広い概念であり、事例1-1~事例3-4のような事例においても「困惑」を肯定できる」ということを明らかにしておいていただきたいと思います。

なお、資料2では、「困惑」とは異なる字句、例えば「幻惑」といった字句を後段要件に採用するという考え方も示されております。私も当初抱いたような「困惑」という字句への違和感や心配に配慮していただいた御提案かと思います。

確かに、今般の二つの行為類型に関する取消権については、既存の困惑取消とは別の条文とし、「困惑」という字句を別の字句にするという考え方も十分にあり得ると思います。

また、霊感商法の被害者が「この壺を買わないと不幸になる」と信じている心理状態等には誤認的な要素もあることを踏まえると「誤認または困惑」といった字句にするという対応もあり得るのかもしれません。

したがって、「困惑」という字句を別の字句にするという在り方にも特に反対はいたしません。

しかし、前述のとおり、消費者庁の逐条解説等において「『困惑』は広い概念であり、事例1-1から事例3-4のような事例においても『困惑』を肯定できる」ことが明らかにされるのであれば、原案の「困惑」という字句でも弊害はないように思います。

よって、結論としては原案に賛成いたします。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかに御意見があれば。

井田委員。

○井田委員 御提案いただいた4号について意見を述べさせていただきますが、結論としては賛成でございます。断り切れない人間関係を濫用する行為というもののこれまでの案に対しましては、人間関係の構築は営業活動の基本であるという御意見がございました。この点、今回の4号の提案につきましては、全ての人間関係の構築をベースにしているのではなくて、勧誘に応じさせる目的で消費者に接触して密接な関係を築いたということで、一定の限定が加わっているものと理解をいたしますし、そのような趣旨で4号を提案されたのだろうと理解をしております。

これで人間関係を利用したつけ込み型と言われる消費者被害が全て救えるかと言われると、それは違うとは思うのですけれども、少なくとも4号につきましては、事業活動、通常の営業活動につきましても一定の配慮がなされているということ、かつ、前回の提案に比べると恋人というところに限定をしてないというところもございますので、相当程度の被害がこれで回復できるのではないかという趣旨で、4号の提案には賛成いたします。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかに。

後藤準委員。

○後藤(準)委員 今回、具体的な案を出していただいたということで、議論が非常にしやすくなったと感じています。大変ありがとうございました。

3号のマル1とマル2の案ですが、いずれも接近した上でというところと、指定した場所に来訪させた上でという表現を使っておりますけれども、事業者側からすれば、ややマル2案のほうは限定的になっているという意味では、マル1、マル2の案を比べた場合にはマル2の案のほうがまだいいかなと。

ただ、具体的にこれでいいかどうかはもう少し議論をする必要があると思います。特に、殊更という表現がありますけれども、この殊更というのは非常に事業者にとって分かりにくい。資料の中では、合理的な理由がある場合でないにもかかわらず過度に強調して告げるという表現ぶりが入っていますけれども、こういった表現ぶりをもう少し殊更というところに反映させるよう考えていただきたい。殊更ということになりますと、告げ方として、繰り返しやると該当するという話になるのか、それとも強く強調して、誇張したりして言うことが該当すると言っているのか、それとも物理的に大きな声を出して威圧するというようなことも含めて言っているのか、全部含めていっているのかとか、その辺のところが曖昧ですと、自分たちはちゃんとしたことを言っているにもかかわらず、それを何回か繰り返したことによって対象となると言われても困るわけです。

ですから、殊更の解釈の余地が非常に分かりにくいという点は、先ほどのように合理的な理由がないにもかかわらず、過度に言ったということがはっきり分かるような表現ぶりにする必要がある。そうしないと事業者側は、自分たちがやっている行為が、日常的に営業活動は行われているわけですから、そういった正当な営業活動までも規制の対象になることは避けなければならないと考えています。

それから、先ほどマル1の案について接近した上でという、我々からすると非常に抽象的な表現に見えてしまうので、接近するとはどういう形のことを言っているのだと、ここが分からないと、これも通常の営業活動の中で事業者としては消費者の方に接近しないと営業活動できないわけですから、こういう表現ぶりは非常に事業者にとっては分かりにくいということだろうと思いますので、その表現ぶりをもう少し明確にしていただくことによって、悪質な事業者を排除する表現になろうと思いますので、その辺をもう少しお考えいただきたい。

最後に、4号についてですが、恋愛感情とかそういうお話がありましたけれども、この密接な関係という表現ぶりもなかなか分かりにくい。恋愛感情を指しているというのは、この中の御意見ではそういった議論をされていますけれども、これが一旦外へ出てしまいますと、密接な関係というのはどういうことを指しているのか不明確になりかねない。営業活動を行う場合は、できるだけ消費者の方と親密な関係を持って、誠実な信頼関係を構築した上で物を買ってもらう、これは当たり前に行われていることです。密接な関係を築くこと自体が、何か悪意を持っているような表現ぶりになっていることにも非常に違和感を覚えざるを得ない。ですから、そのあたりはきちんともう少し議論をしていただいたほうがいいと思っております。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

大澤委員。

○大澤委員 案でございますが、4号については、今の後藤委員の発言を伺って、私はまだ迷っているところがありますので保留いたしますけれども、この案ですと、関係を築いた上でということですので、要はもともと存在している従業関係を濫用してとか、従業員に非常に高い着物を買わせるとかそういう事案が過去にあったと思いますが、そういうものはこの案だと除外されるのだと。除外するつもりで恐らく4号を絞ったのだと理解していますが、この場合に、ただ、4号がターゲットとしているのは、結局デート商法のようなものなのかなと拝見したのですけれども、そうだとすると、密接なという言葉が今の後藤委員の発言にありましたように、これで捉えて切れているかどうか、あるいはむしろ広くなるのか、狭くなるのか、私はよく分かりませんが、ちょっと悩ましいところがありますので、保留します。

3号についてですが、結論からいいますと、まだマル1案のほうがよろしいのではないかと思っています。今の接近という言葉については、私もこの接近という言葉で果たしていいのかどうかというのは非常に今後議論の余地があると思いますが、ただ単に近づくだけではなくて、勧誘するためなのですよということを言わずに近づいているということで、一応近づくの上に更にもう一段縛りがかかっていると思いますので、単に近づくだけではこの案には当たらないのではないかと思います。ただ、接近というのは事業者のほうから寄ってくるという印象を持ちますので、例えばアポイントのような電話をして呼び出すというのも、電話するというのは確かに接近に含めようと思えば含められると思うのですが、この接近の文言の解釈次第によってかなり場面が変わってくるのかなと思いますので、この文言がいいかどうかは検討の余地があるかと思います。

むしろ問題なのは、殊更にという文言が非常に気になります。殊更にという文言を追加した趣旨は非常によく分かりますし、この文章を読んで非常によく納得できるところもあるのですが、ただ、殊更にという文言を追加した理由として挙げられている5ページの上から3行目あたりに、例えば保険を勧誘するときに、将来発生するリスクについて説明をするといった通常の勧誘との切り分けをするためであると書いているのですが、果たして殊更にとするだけでこれが本当に切り分けられるのかというのは若干疑問があります。

例えば保険のCMなどを見ていますと、今、2人に1人はがんになりますとか、そういう根拠を持った文言で、これも見方によっては、データを出しているとはいえ、2人に1人と言われると、結構確率が高いなという気持ちになりますので、これが殊更にとなると、今のようにちゃんとデータを出して、しかし、そのデータの内容が若干恐怖というか不安をあおるようなものだと、殊更にというのがこちらも入ってしまうのではないかという懸念を持っていますので、もしこの切り分けをするのであれば、ここに出ている合理的な理由がない、あるいは乏しいにもかかわらずそれを過度に強調したという、こちらを使ったほうが「殊更に」という文言よりはよろしいのではないかと思います。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかに御意見は。

丸山委員。

○丸山委員 まずは提案されている4条3項の困惑類型に3号のような形で、殊更に不安をあるような告知の類型をつけ加えていくという提案の方向性には賛成いたします。

マル1案に関しては、1点、お答えできればの質問なのですけれども、接近という言葉が法律的な用語としてもし何らかの参照すべき定義が既にあるのであれば、それを教えていただきたいという点が1点でございます。

マル1案、マル2案なのですが、問題となっている事例を広く捉えられるという点は、マル1案がいいというのは今までの意見が出ていたところなのですけれども、やはりその点に関しては、接近の定義に関して確認したいというのが意見としてあります。

マル2案に関しましては、いわゆる来訪要請に限定されてしまいます。消費者が自主的に取引を望んでいたわけではないという場面を捉えるのであれば、仮にマル2案を基礎としたい場合は、もう少し広げることを考えていただきたいと思いました。例えば勧誘するものであることを告げないで、消費者の住居とか職場に来訪したような場合も、少なくともそういった範囲をカバーできるような要件を考えていただければと思いました。

殊更というワーディングに関して、少々曖昧過ぎるのではないかというのは今までほかの委員から指摘として出ているところでございますので、それと同種の印象はあるところでございます。

4号に関しては、私自身は少々懸念を持っておりまして、この密接な関係を築いた上で当該関係を維持するために必要と思わせるような言動というこの要件論なのですけれども、このような要件論だと、ある種のお得意様との付き合いに基づく正常な取引が含まれてしまわないかという懸念がありました。要件論として本当に絞れているのかという点は懸念としてございます。

また、ターゲットとしているのが恋愛感情を利用するような商法だとしますと、困惑というものを広く解釈しても、熱に浮かされて喜んで買っているのが本当に困惑なのかというのが、文言的な定義とか解釈論レベルでしっかりと対応できるのか、捉えようとしている問題事例がちゃんと捕捉できるのかという点についても懸念があります。

私自身は、4号は本来つけ込み型として問題としていたような類型として、脆弱な消費者をつけ込むみたいなものとあわせて、別類型で議論したほうがいいのではないかという意見を持っていますが、これは個人的な意見であります。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

4号の密接な関係については、前回も少し議論したところで、その際、私自身も意見を申し上げたところですけれども、ここで言う関係は、社会通念上、取引とかかわりのない親密な関係、私的な関係を築いた上で、そこに取引の話が入ってくることが困惑をもたらすという理解を述べました。密接な関係だけでは、まだそれが限定されていないという御指摘は、私もそうかもしれないと思いますけれども、前回からの議論の連続性という観点からは、やはり社会通念上、取引とかかわりのない関係を築いた上でという意味だと理解すべきではないかと私自身は思いますが、もちろん多様な御意見があるところだと思いますので、更に御議論あるいは御意見をいただければと思います。

ただ、その前に、マル1の接近の定義についての御質問がありましたので、それについて消費者庁からお願いいたします。

○消費者制度課担当者 この提案は、一応ほかの法律の用例なども参考にして作ったものではありますが、先ほど後藤準委員の御指摘にもありましたように、どういうものが該当するのかというのをもっと分かりやすくするため、ほかの文言も含めて、文言については更に整理する必要があると思っておりまして、そこはまだ錬るべき点であろうかと思っております。

○山本(敬)座長 どのようなことを言い表そうとして使われた表現かというのが、恐らく丸山委員の御質問だったと思いますが、この点について、お願いいたします。

○消費者制度課担当者 その点につきましては、事例として事例1-1から事例3-2まで挙げているところでございまして、事例1-1はアンケートなどといって声をかける形で直接対面で会っているものですが、事例2-1のようにアンケートの電話をかけてくるという場合もあり、こういう事例も含めるような趣旨で考えております。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。

では、永江委員、お願いします。

○永江委員 まず、殊更に不安をあおる告知についてでございますが、こちらの1-1から2-2までの事例、一個一個申し上げるには時間がないので申し上げませんが、殊更に不安をあおる告知に該当するかどうかというところは、非常に微妙な事例だと思います。立法事実としてこれで足りるのかというところは、検討すべきだと思います。

不安を基礎づける事実が存在する以上、その事実を告げる行為自体は消費者の不安をかき立てますし、殊更に告げるという言葉では、通常の営業行為におけるリスクなどの告知との線引きはなかなか難しいと考えます。

不安を基礎づける事実自体がない場合や、うそである場合には、改正における重要事項の拡張によって不実告知として取消しが可能になります。したがって、新たな法改正は必要ないのではないかと考えます。不安を基礎づける事実が存在する場合は、消費者がリスクを踏まえた判断をすることを可能にするためにリスクを告げるという行為について、合理的な理由がないとなかなか言いづらいのではないかと考えます。

勧誘目的を告げない接近、来訪要請等につきましては、来訪目的を告げない接近、来訪要請は、訪問販売とアポイントメントセールスそのものではないかと思います。そうであれば、消費者契約法ではなくて特定商取引法でまず対応するのが筋ではないかとも考えられると思います。消費者にとって特に問題になりやすい取引類型を取り上げて規律しております特商法があるにもかかわらず、そこで規定せずに、消費者契約法で規定しなければいけないのは筋が違うのではないかと考えます。

一方で、消費者契約法によってより広範囲に保護する必要があるという議論もありますが、目的達成のための手段と効果は立法として十分検討すべきではないかと考えます。

また、断り切れない人間関係を濫用する行為でございますが、当初は断り切れない人間関係とされたところが、密接な関係という文言に変更されているのはなぜでしょうか。適用の余地が拡大してしまうことを懸念します。

次に、単純な疑問ですが、これは今、座長からもございましたが、密接な関係とは何を指すのか文言からは分からないと考えます。これは自然人の間の関係だけではなく、事業者である法人と消費者との関係も含む趣旨なのでしょうか。前回提案で恋愛感情や人間関係などの文言がありますので、ある程度自然人同士を想定しているように思われますが、法人と消費者との関係を含むものであれば、例えば取引における会員制度、ゴールド会員、シルバー会員などを含む、一定の支払い額を下回るとか、一定の利用実績がなくなると当該特典を受けることができなくなるという状態も、形式的にはこの要件に該当する可能性があるので、そこは御検討いただきたい。

最後の条文のところですが、殊更がどこに係るのでしょうか。「言動すること」にのみ係るのでしょうか。そうすると、「当該消費者契約を締結することが当該関係を維持するために必要であると思わせる」という部分には殊更が係らないことになって、定量的な限定がないことになるように思われますが、ここのところははっきりさせる必要があると思います。

最後に、マル1案、マル2案における「勧誘」の意義について、確認させてください。マル1案、マル2案の規定の仕方が「勧誘をするためのものであることを告げずに」「接近した上で」又は「来訪させた上で」消費者に対して「危険を殊更に告げる」となっておりますから、接近又は来訪の後に勧誘がなされるという文脈になっています。このように、「勧誘が、事業者と消費者の相対した後になされる」という文脈上、「勧誘」には、不特定多数向けの働きかけは含まれず、直接的、個別的に意思を働きかける対応に限定されると考えております。同一の条文なので、第4条第3項の柱書きにおける「事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し」における「勧誘」の意義も同様に限定的に解釈されることと理解しておりますが、そのような理解でよろしいでしょうか。

以上でございます。

○山本(敬)座長 それでは、消費者庁のほうからお願いいたします。

○加納消費者制度課長 最後の勧誘のところでありますけれども、ここはいろいろ議論があるところでありますが、これまでの専門調査会の議論によると、裁判例の解釈を紹介しつつ、最終的には解釈に委ねるということではなかったかと思います。

裁判例で紹介されている事例は、主として不実告知の事例でありますが、そういった事例においては裁判所としては事案によっては必ずしも特定の者に対する働きかけでなくても勧誘に当たる、ないしは当たることを前提とした結論を導いていると思われる裁判例があるという状況ではないかと思いますので、その点は逐条解説においても明らかにすることになると考えておるところでありますが、困惑類型につきましては、そういった裁判例は今のところ見当たっておりませんので、それを前提として解釈されるということではないかと考えます。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。

では、後藤巻則座長代理。

○後藤(巻)座長代理 先ほど丸山委員が最後におっしゃったところなのですが、断り切れない人間関係を濫用する行為について、4条3項の4号という位置付けでいいのかどうか、私もそこについて問題意識を持っております。ただ、結論的には、私は消費者庁で示していただいているように困惑の中に4号を入れていいのではないかと考えますので、その点について少しコメントをしたいと思います。

山本健司委員が先ほども御指摘なさっておりましたけれども、困惑は消費者庁の注釈表を見ても、精神的に自由な判断ができない状況をいうとされておりまして、広い概念だとされております。ただ、困惑をもたらす行為として不退去、退去妨害が規定されておりまして、その場合にのみ取消権を認められることになっておりますので、現行の消費者契約法の下では適用範囲が狭く限定されております。

しかし、消費者契約法が制定されてから15年以上がたった今日、事業者の行為態様の悪質性を問題とすべき事案が増加しておりまして、だからこそつけ込み型の勧誘の取消しも提案されるという状況になっているのであると認識しております。困惑をもたらす事業者の行為を不退去と退去妨害に限定することについては、立法当初から批判が多かったところですけれども、事業者の行為態様の悪質性を重視するという観点から、4条3項に今回御提案の3号、4号を付け加えることに賛成いたします。

このように困惑取消しの範囲を拡張しますと、消費者契約法4条3項は強迫を拡張したものという伝統的な理解に反し、強迫の枠組みで捉え切れないものも取り上げることになりますので、それを例えば幻惑として、困惑とは別個に規定することも考えられるわけでありますけれども、しかし、両者はいずれも事業者の不当な勧誘のために合理的な選択ができなかった場合であるという点では異なりません。そうだとしますと、消費者の心理状態に拘泥するということより、むしろ事業者の行為態様の悪質性を重視し、事業者の不当な勧誘行為に影響されて、消費者が合理的な選択ができない状態に追い込まれたという点に着目して、両者を同列に扱ってもよいのではないかと思います。

幻惑が強迫の枠組みで捉えられないということでありましても、ここで問題としているのは解釈論ではなくて立法論でありますので、立法をもってすれば、4条3項の中にこの4号の内容のものを付け加えることは可能ではないかと考えます。

このように事業者の行為態様の悪質性を重視することは、ここでの問題を消費者の困惑という意思の不完全性の問題として捉えることと矛盾するわけではありません。事業者の行為態様の悪質性と消費者の意思の不完全性の双方をにらみつつ、つけ込み型か困惑かを考えるべき問題であって、今回の提案内容については困惑の枠組みで捉えることができると思いますけれども、暴利行為的な性格が強い行為については、困惑というよりむしろつけ込み型の取消し、暴利行為的な取消しを考えるほうがよいと思います。これについては、この専門調査会の場でもより本格的なつけ込みについての提案がなされておりますし、本日の前半部分の成年年齢引下げの議論の中でもそういう内容のものが出ておりますので、そういうことについては別個の機会に議論する必要があると思いますけれども、今回の提案に関しては、基本的に先ほどの接近の内容とか、密接な関係とか、あるいは従来から関係があった場合を含める必要があるのではないかとか、種々の改善点はあると思いますけれども、基本的に原案の方向で進めることに賛成いたします。

3号にマル1案、マル2案とありますが、マル1案のほうが包括的であるということで、マル1案のほうが望ましいとは思いますけれども、マル2案ということも考えられなくはないと思っております。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

増田委員。

○増田委員 3号のマル1案と4号に賛成いたします。この文章全体は大変よく練られているなと思いまして、全体的に判断をすると、このような行為をすること自体がそもそも通常の取引ではないやり方であると思いますので、一般の取引において影響はないのではないかと考えます。

そして、一つ今後検討すべき課題として、この接近の意味なのですけれども、メールやSNSや電話などについても含まれるのかどうかということが重要ではないかと思います。そして、4号に関してですけれども、密接な関係が既に出来上がっている状況で行われるということもありますので、その場合はどのように手当てがなされるのかということが一つ不安の材料です。

そして、この4号については、当該関係を維持するために必要ということで、その商品・サービスを契約すること自体が目的ではなくなっていると思いますので、密接な関係を築いて接触してということが、いろいろな意味合いがあったとしても、目的が違ってきていることが全体として理解できますので、一般の取引には影響しないと考えます。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

長谷川委員。

○長谷川委員 時間のない中、長くなってしまうかもしれませんが、質問が二つございます。一つは、3号のマル1とマル2の関係です。私が誤解していたのかもしれないのですが、マル1が広くて、マル2はその中に入っているという理解なのかどうか。

もう一つは、これは私の勉強不足なのですが、4条3項の1号、2号で不退去、監禁というのがあって、それと柱書きの困惑要件との関係についてです。先ほどから議論になっている3号、4号が柱書きに書いてある困惑と結びつくかとか、困惑の枠組みで取り込めるのかどうかという言葉で表されていることなのだと思いますけれども、柱書きと1号、2号との関係について、現行法は、1号、2号というものがあると困惑がある程度推定されるという理解に立っているのでしょうか。それとも、1号、2号という行為があった上で、別途困惑というものがなければいけないという理解に立っているのでしょうか。通常は後者なのだと思うのですけれども、他方で、1号、2号みたいなものがあると困惑が推定しやすいというか、そうかなという気はするのですが、3号、4号の行為があるからといってすぐに困惑するかどうかが分からないので、困惑に入れるかどうかが議論になっているということなのかもしれないと感じた次第です。要するに、1号、2号、3号、4号と並べたときに、柱書きとの関係が若干ずれてくるというか、距離が出てくるような感じがいたしますので、現行法の理解とこの提案の理解を教えていただきたいということでございます。

それから、長くなって恐縮でございますが、3号、4号の提案につきましては、いくつか通常のこういう事業活動が当たるのではないかという意見を会員からいただいておりますので、御紹介させていただきます。それらが当たらないような形で考えていただきたいと思っております。

トータルとしては、コンサルタントみたいなことで相談を受ける中で契約するとか、あるいはメンテナンスをした上で何か契約するものが多いかなと思っております。

例えば金融商品等において、はじめから金融商品を売るというのではなく、ライフサイクルの中で貯蓄等、あるいは保険も含めてファイナンシャルプランを考えていきましょうというようなセミナーを開いて、その上で商品を知っていただく、その結果として契約していただくというのは通常に行われている商取引でございます。要するに、勧誘することを告げずに行われている、そういった事業活動があるということでございます。

また、アフターサービス等で訪問した際に、ここのところが随分悪くなっていますねということで、交換する契約を新たに結ぶということもあり得る話だと伺っております。

加えて、損害あるいは危険という観点で言うと、例えばホームセキュリティーのようなサービスについて、こういった犯罪に遭うリスクがありますというような形で商品を提供することもあるようでございます。

さらに、4号に関係するところでございます。先ほど丸山委員からもお得意様の話がありましたが、さきほどのような相談やメンテナンスを行っている中で、例えば田舎にいる両親の見守りが心配だということを聞いて、そのサービスをたまたまその業者が提供していたので、それを提供するということもあるようでございます。

また、前回も御紹介申し上げましたけれども、家電の特約店等で通常コミュニティーに入って、その中でいろいろな細かいサービスを提供していくということもあるようです。そういった通常のビジネスが阻害されないような形で要件設定をお願いしたいということでございます。

○山本(敬)座長 それでは、消費者庁からお願いいたします。

○加納消費者制度課長 まず、長谷川委員の御質問が2点あったかと思いますけれども、3号のマル1案、マル2案の関係でございますが、マル1案のほうがマル2案より広くなるというものだと思います。マル2案は就職セミナー商法でありますとか、これまで念頭に置いていた事例を想定しつつ、こういったケースがあるかということで今まで検討を重ねてきたものでありますが、今回、困惑という中に位置付けることを検討する上で、何が困惑かといいますと、単に来訪させたというのではなくて、むしろ不安をあおる。その不安をあおるという書き方として、損害または危険を殊更に告げる。殊更にの書き方はもっと検討したほうがいいということですので、そこは検討しなければならないかなと、お話を聞きながら私も思いましたけれども、そういった不安をあおる行為による困惑ということで、それは取引通念から見ても許容されないであろうし、行為類型としても明確に切り出せているのではないかということで、取消事由として提案をさせていただいたものでありますが、困惑類型の中に位置付けますと、本質的要素はどちらかというと不安をあおるというところであろうと思います。そういう意味で、今回の資料におきましても、まず、殊更に不安をあおるような告げ方をするという点が要素であるとお示ししたのはその趣旨であります。

仮にそのように考えますと、来訪要請なのか、それとも接近なのかというところは、付随的な要件となってまいります。前回まで検討してきた事例の中で、何人かの委員から御指摘がございましたけれども、例えば独居老人に対して不安をあおるような行為はどうなのかというと、来訪要請の場合であれば文言解釈としては外れることになるのではないかと考えざるを得ないところでありますが、そうした事案であっても、本質が不安をあおるということであれば、アプローチの仕方はもうちょっと広げる余地があるのではないかということで、マル1案のような書き方を提案したものでありまして、狙いとするものは、そうした独居老人の不安をあおるような事案も拾う。想定している事案はそういうものであります。

ただ、接近という言葉でちゃんと言い表されているかどうかという点については、まだ課題があるというのは何人かの委員から御指摘をいただいたところでありますので、そこは更に私どものほうで法制的な観点も含めつつ検討をしてまいりたいと思います。

2点目の長谷川委員の御質問の現行法の3項1号、2号で言う不退去、監禁と困惑という関係で、例えば1号、2号のような不退去、監禁のようなもの以外は困惑が推定されるという関係にあるのか、それとも1号、2号によって困惑をするということなのかという観点の御質問かとお聞きいたしました。これは、必ずしも1号、2号で困惑が推定されるものではないのではないかと思います。思いますというのは、立法時の議論を正確に確認できるところではありませんので、そのような言い方で大変申し訳ないのですけれども、私が理解、記憶している範囲では、もともと当時の国民生活審議会で議論がされたときには、困惑というのはより広く困惑による取消しと。後藤巻則先生であったかと思いますが、民法上の強迫にかわる意思の形成過程に瑕疵を生じさせるような事態として困惑が想定されていたということでありまして、それにつきまして、具体的に行為類型として困惑を明確化すべきであるという立法時の考え方がある中で、消費者被害の実例などを踏まえて、不退去ないしは監禁という形で行為を切り出して、困惑という形で整理をしたものと理解しておりますので、困惑を導くものが不退去、監禁に限られるものではないのではないかということは、少なくとも言えるのではないかと思います。

では、その困惑としてどこまでがここにつなげられるのかというところは、やはり一歩立ちどまって議論をする必要があるのではないかということでありまして、消費者契約法の逐条解説によりますと、困惑につきましては、それによって戸惑い、困り、どうしたらよいか分からなくなるような、精神的に自由な判断ができないような状況を言うとしつつ、強迫概念との関係で申し上げますと、畏怖をも含む広い概念であるとされております。

この概念を踏襲しつつ、そういった困惑を導くものとして、新たな3号、4号として切り出して規定をしてはどうかというものでありまして、私どもの提案させていただいた趣旨としては、不安をあおる行為をされますと、例えばこれをしないと一生成功しないよという形で言われたとしますと、精神的には自由な判断ができなくなるという評価が可能ではないか。畏怖よりは広いということかもしれませんが、そういうことであれば困惑類型の中に取り込むことがあり得るのではないかということでお示しをしたものであります。

悩ましいのは、先ほど来繰り返しのデート商法のような恋愛感情を弄ぶというケースでありまして、これがどこまでなのかというのは難しいところがあるのはそのとおりかと思います。かといって幻惑のような新しい類型を設けるのか、それは一体どういう内容なのかというところについては慎重な議論が必要であろうと。それがなかなか妙案がないということであれば、困惑を導くものとして要件立てを切り分けた上で、人間関係の濫用というものを書きおろしてはどうかということでお示ししているものであります。

ただ、この提案につきましても、密接な関係について通常の顧客、お得意様とかそういった場合との切り分けがどこまでできているのかという点で課題があるということかと思いますので、その点は更に検討させていただきたいということであります。

1点だけ加えさせていただきますと、この密接な関係というものは、この提案でありますように、勧誘に応じさせる目的で接触した上での密接な関係ということでありますので、既存の契約をしてアフターサービスをするとか、そういったパターンは新たな契約関係とはまた別かなと思います。先ほどホームセキュリティーの話とかいろいろと具体的な業態における懸念点をお示しいただいたと思いますので、ここは個別の形態ごとに検証した上で更に検討していきたい。私どもとしては、ある程度絞り込みをしているつもりでありますけれども、そこは検証を重ねたいと思います。

以上であります。

○山本(敬)座長 それでは、磯辺委員。

○磯辺委員 今日の御提案資料の6ページの1行目からで、来訪要請を要件とすることで事例3-1から3-4が該当しなくなることについて、引き続きの検討を要するのではないかということで御指摘、御提案をいただいていまして、これはそのとおりだなと思うところです。そういう御指摘を踏まえて今回の御提案を見たときに、消費者に生じ得る損害または危険を殊更に、この殊更にの内容は「合理的な理由がある場合でないにもかかわらず過度に強調」ということですから、そこが明確になるように規定されているのであれば、接近の要件もしくは来訪させるという要件がなくても困惑ということは成立し得るのではないかと、この御提案を見ていて感じました。

この間の議論の経過が、前回、来訪要請をすることということの第1号案、これだけだと困惑にならないだろうということで、殊更に不安をあおるという概念を切り出していただいた経緯があることは承知しています。逆に殊更に不安をあおる告知だけでも、先ほどのようにより明確になるのであれば、十分困惑の要件としてなり立ち得るのではないかと思いましたので、その点も含めて、3-1から3-4に該当するようにどのような規定を置くのかという点とあわせて、ぜひ御検討をお願いできればと思いました。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございます。

中村委員。

○中村委員 議論の方向性につきましては、これまでも後藤準委員等から御指摘のあったとおりで、文言についても少し明確化が必要だと考えているところです。

例えば、これは事業者の皆さんに意見を伺ったわけではないので、それでいいかどうか分からないのですけれども、合理的な消費者が当該消費者契約の締結を目的とすることが推測できないような状況でということを表現することで、もう少し明確にできないかということと、殊更にという表現はいろいろ御議論がありますけれども、その中に不合理にということを更に明確化していただくことについて、ぜひ御検討をいただきたいと思います。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

タイトな時間の中で効率的に意見をお出しいただきまして、ありがとうございました。

前回からの引き続きの議論でして、本日、困惑を基礎にして規定をしていくこととしてはどうかという御提案に対しては、基本的には賛同が得られたのではないかと思います。

その上で、3号に関しては、マル2案のみですと限定的に過ぎるという意見が強かったと思います。

マル1案に関しては二つ問題があり、まず、接近という要件立てで果たしてその意味内容が明確化できているのかどうかという点については、何人もの方から御指摘があったところでして、この内容については更に詰める必要があるように思います。

さらに、殊更にという文言については、たくさんの方から異論が出されましたが、その内容が、5ページにありますように、合理的な理由がある場合でないにもかかわらず、過度に強調してという意味合いであることについては、特に御異論はなかったように思います。もちろんこれをどのような文言にしていくかということは次の問題かもしれませんが、このような考え方を基にワーディングを考えていくということで、よいのではないかと受けとめました。

ただ、そこが明確化されるのであれば、先ほどの接近という要件が本当に必要なのかどうかという問題提起もあったところでして、そこを踏まえて、接近に当たる文言をどのような形で考えるかということを更に詰める必要があると思いました。

4号に関しては、これもまた困惑の中で捉えることは可能であるという点については、多くの方から可能であるという御意見をいただいたところでして、位置付けとしてはこれでよいのかもしれませんが、やはり密接な関係を築いた上でという表現では意図しているところを十分に表し切れていないのではないかという御指摘もたくさんありました。このような規定を設けることに反対であるという意見は今回は出ていなかったように思いますので、この点について更に意図していることを明確に書けるかどうかを詰めて、それで適当であるということであれば成案が得られるのではないかと思った次第です。

つまりは、今日のところは、大きな方向性としては御賛同が得られたところですが、更に規定の要件の立て方について詰めていく必要がある。この点については、更に消費者庁でも御検討いただければと思いますし、次にこれを取り上げるときに改めて議論できればと思います。

お約束していた時間を更に10分超えてしまいました。大変申し訳ありませんが、本日の議論はこのあたりとさせていただきます。

最後に、事務局から事務連絡をお願いいたします。


≪3.閉会≫

○丸山参事官 本日も御熱心な御議論をどうもありがとうございました。

次回の日程につきましては、追って御連絡させていただきます。よろしくお願いいたします。

○山本(敬)座長 私の不手際で大変申し訳ありませんでした。それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

以上

内閣府 Cabinet Office, Government of Japan消費者委員会事務局
〒100-8970 東京都千代田区霞が関3-1-1 中央合同庁舎4号館8階
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