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第26回 消費者契約法専門調査会

日時

平成28年10月24日(月)13:00~15:10

場所

消費者委員会会議室

出席者

【委員】
山本敬三座長、後藤巻則座長代理、有山委員、石島委員、磯辺委員、井田委員、沖野委員、後藤準委員、永江委員、中村委員、長谷川委員、増田委員、山本健司委員
【オブザーバー】
消費者委員会委員 河上委員長、鹿野委員
法務省 中辻参事官
国民生活センター 松本理事長
【消費者庁】
小野審議官、加納消費者制度課長
【事務局】
黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 委員からのプレゼンテーション(有山雅子委員、中村美華委員)
  3. 意見交換
  4. 閉会

配布資料(資料は全てPDF形式となります。)

議事録

≪1.開会≫

○丸山参事官 それでは、定刻となりましたので、会議を始めさせていただきたいと思います。

本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから、消費者委員会第26回「消費者契約法専門調査会」を開催いたします。

本日は、所用によりまして、大澤委員、河野委員、丸山委員、柳川委員、山本和彦委員が御欠席との連絡をいただいております。

まず、配付資料の確認をさせていただきます。議事次第の下部に配付資料の一覧を記載しております。

資料1が有山委員からの提出資料、資料2が中村委員からの提出資料となっております。

不足がございましたら、事務局までお声がけをよろしくお願いいたします。

それでは、山本座長、以降の議事進行をよろしくお願いします。


≪2.委員からのプレゼンテーション(有山雅子委員、中村美華委員)≫

(1)有山雅子委員からのプレゼンテーション

○山本(敬)座長 本日もよろしくお願いいたします。

それでは、早速本日の議事に入ります。

本日は、お二人の委員からのプレゼンテーションを予定していますが、今回は、前半と後半に分け、まずは前半で有山委員からのプレゼンテーションとその内容についての意見交換を行わせていただいて、後半で中村委員からのプレゼンテーションとその内容についての意見交換を行わせていただきたいと思います。

まず、有山委員からのプレゼンテーションをお願いいたします。

よろしくお願いいたします。

○有山委員 公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会(通称NACS)の有山と申します。どうぞよろしくお願いします。

私どもの団体は、設立当初から、週末の土曜日と日曜日に行政が閉まってしまうので、私どもの会員のボランティアで週末相談を行っています。もう25年を過ぎております。そういう中で、消費者契約法の改正について、消費者相談の内容をいろいろと私どもの相談室内で話し合いました結果、早急に私たちが特に主張したいことを本日は取りまとめてきました。

一番は「消費者」概念の在り方なのですが、中間取りまとめでかなり項目別に詳しくまとめていただいています。現在も私どもの相談室には「消費者」の定義から外れてしまう人たちが、どうもお話の持っていき方が悪かったのか、相談を受けてもらえなかったということで、私どもにお電話をしていただくことが多くなっています。私たちとしては、「消費者」概念の在り方を逐条解説にきちんと書いていただくのだと思いますが、強く主張したいので、今回は出させていただきました。

「1.『消費者』概念の在り方(法第2条第1項)」は「消費者概念」の在り方をトラブル実態に合わせて広く定義することを求めるということです。「消費者」の定義は事業者として事業のための契約当事者となる場合を除く個人となっています。例えば、大学のサークルや主婦のグループ、町内会などのメンバーのために幹事が旅行契約を締結した場合、個人ではないので同法の消費者保護規定からは外れてしまう。旅行や合宿の申込みなども消費者と考えられますので、きちんと詳細を逐条解説に書き入れていただきたいと思っています。

一方、特定商取引法では、事業者を「営業のために若しくは営業として締結をするもの」として、適用を除外することとなっています。家族経営の事業者については、必ずしも適用除外とはされていない。また、宗教法人、組合なども同じように「営業のため」でなければ、適用除外ではないということで、消費者センターでは、一時平成17年、平成18年にリーストラブルが増えた時期には、宗教法人、お寺の電話機リースなどをクーリングオフした事例もございます。

消費者の集合体にすぎない団体や、事業者であっても開業準備行為の段階である場合、または既に廃業の状況である場合なども「消費者」として同法の対象にすることを求めたいということです。現在は、電子ブレーカーのリースで、マンションの管理組合の方から御相談も受けています。

マンションのエレベーターの電気代を安くしたいので、マンションの管理組合から、リースの相談があるとか、こういうことで契約したのだけれどもどうにかならないかということもあります。主婦の方が自分の趣味の延長としてドライフラワー教室を開く、若い方が自分のマッサージのお店を開くというところで、お店を開くために、まずは御自分のホームページを作成するのですが、何とか自分で作成したときに、もっと携帯電話やスマホからアクセスしやすいように生徒さんを募集したらどうかと勧誘を受け、ホームページ作成のリースなどを組まれることがあります。

本来は、リースとは物件で契約するものです。ホームページ作成ということで、ホームページが出来上がることを売りにDVDとかCDを売ることも行われております。ぜひ実態、PIO-NET等で相談の内容を把握していただいて、具体的に逐条解説に入れていただきたいということで、念押しのようなお願いですが、述べさせていただきました。

「2.『勧誘』要件の在り方(法第4条第1項、第2項、第3項)」は、広告・表示の場合でも特定の個人向けの広告で、不実告知があった場合、勧誘とみなし誤認取消しができるように求める。広告・表示は一般的に不特定多数に向けたものと言われていますが、現実の広告・表示では、特定の者に向けた広告・表示が広がっています。例えば、ターゲッティング広告においては、ネットでの消費者の消費傾向に合わせて広告をする状況も増えています。一概に不特定多数向けの広告とは言えない状況です。そこで、不特定多数向けの広告・表示とされているものの中で、意思形成に影響を与える広告については「勧誘」とし、誇大広告や不実告知があった場合、誤認取消しができるように求めたいということで書かせていただきました。

私なども不動産を購入したいとか、そういうことで調べ始めると、突然不動産広告が増えていくということもあります。私どもの相談の中では、ネットで蓄膿症の改善の方法を探っていた、病気になると、その病気について何か医療情報がないか検索する方もいると思いますが、そういう中で、1日6分の実践でオーケー、90日使用して効果がなかったら全額返金と広告された蓄膿症改善の情報商材を購入した。届いたものは、改善方法を箇条書きにしたもので効果があるとは思えない。取消しして返金を求めたが、使用していないので返金しないと言われた。

御本人は半信半疑で蓄膿症の改善の情報を知りたいと思って申し込んだのですが、「90日使用しても返金する」とあるので、ダメなら返金すればいいと思った。逆に言うと非常にきつい縛りがありまして、90日間毎日どのような状況で何分間やったかをリストアップしなければいけないという条件が後から出てきたということです。広告についても、表示を見ますと蓄膿症が改善すると延々と何ページにもわたってプラスの広告のみを表示して、個人的に違うとか、効果がない場合もあるとか、そういうものが全く書かれていない、こういう広告は、私たちが問題とする広告で、こういうことを何とか誤認取消しとして取消しができるようにしたいと考えております。

「3.不利益事実の不告知(法第4条第2項)」は、不利益事実の不告知の中で「不実告知型」については「故意」がなくても取消しができるように求める。「故意に」とは「当該事実が消費者にとって不利益であることを知っていること、かつ当該消費者が当該事実を認識していないことを知っていながらあえて」という要件が必要です。不利益事実の不告知について「利益となる旨の告知が具体的であり、不利益事実との関連性が強い」とされている「不実告示型」については「故意に」関係なく取消しができるように求める。消費者にとって、告げなかったことが「故意」か「故意」でないかの証明をするのは大変困難です。事業者と消費者の情報格差を是正する法律の立法の趣旨からも「不実告知型」の場合に、取消しをできることを求めます。

先ほどの蓄膿症の場合もそうなのですが「故意に」ということで告げなかったかは、何とも言えない。蓄膿症の改善のためのノウハウで、それのみを強調されているということで、不実告知に近いと考えております。

「4.『重要事項』(法第4条第4項)」は、現在列挙された事項ではないが、大手有名会社をかたった場合など、契約の締結に多大な影響を与えるので「重要事項」として適用することを求める。これはとても、どのように書いていいかが分からないので、ここに入れていいかも考えたのですが、現在の改正法の重要事項は「マル1物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの質、用途、その他の内容」「マル2物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの対価その他の取引条件」、今度入る「マル3物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものが当該消費者の生命、身体、財産その他の重要な利益についての損害又は危険を回避するために通常必要であると判断される事情」となっております。

高齢者においては、以前より周知している有名会社名をかたられた場合、警戒心を解く傾向が見られます。訪問販売、電話勧誘販売など、口頭ではあるが会社名を詐称することで、訪問販売時にドアをあける、電話勧誘を長々と受け入れてしまうことになり、販売会社名や連絡先を重要事項としてほしい。ほかの条文にあるように、非常に重みがある広く定義したものの中で、突然会社名、企業名とかを載せるのは違和感があることは十分承知しておりますが、私たちが日常の相談を受けている中で、大きな有名な会社だというからドアをあけたという御相談がありますので、ここでなくてもいいのですが、何とか救える方向を検討していただけたらと思います。

「5.不当勧誘行為に関するその他の類型マル1」は、高齢者の記憶が不十分な状況で、合理的な判断ができない状況を知りながら、契約を締結させる行為を不当勧誘行為の類型に加えることを求める。「10年前に購入いただいた羽毛布団の点検です。羽毛布団を定期的にリフォームすることになっています」とか「浄水器を5年ごとに新製品と交換することになっている」と言い、高額な健康食品や浄水器を定期的に交換するなど、定期的に交換するというのですが、実際には、新たな契約を結ばせるような、高齢者の記憶の減退につけ込み、新たな契約を締結させられたという相談が寄せられています。

そのような記憶減退に不安を持つ高齢者や判断不十分者に対するつけ込み型勧誘を、不当勧誘行為の類型とすることを求める。私が5年前に契約したかどうかがどうしても分からないのですけれども、契約しなければいけないのでしょうかという御相談が、実際には相談窓口では寄せられています。

10年前とか5年前というと、自分が契約したかどうかも分からないということで、心配になって、それでも、売りに来た人に、契約をしていたのだったら申し訳ないという思いでかけていらっしゃるのです。そうしましたら、私たちは、基本的には、当時の契約書を出してくださいと伝えてみたらいかがですかとか、御本人がどうしてもそれを言えないというときには、御本人にかわって、御本人が自分の字で申し込んだかどうかは分かるので、契約書の提出をお願いできますかという形で対応することが多いのです。当たり前のように、事実のように事業者に言われてしまうと、高齢になればなるほどそうかもしれない。私はうっかりしていたのではないか。相談員をしていたような高齢者の方でも、私ども後輩に対して、私は初めてこう言われたときにとてもどきっとして、もしかしたら私は忙しさに紛れて、忙しいので記憶違いを起こしたのではないかという形で御相談をしてくる方もいらっしゃいます。

基本的に、そういう記憶の減退などにつけ込んだものについては、何とかならないかと考えております。

「6.不当勧誘行為に関するその他の類型マル2」は、電話による強引で、執拗な勧誘を、新たな困惑類型に追加することを求める。「電話による」と書かせていただきました。よくある事例では、生鮮食品や健康食品の電話勧誘販売において、注文したと偽り商品を送りつける相談や、断っても頻繁に電話勧誘で繰り返し執拗に購入を求めることなど、減少はしているものの、いまだに相談が寄せられています。

また「注文を受けた」「話を聞いたのだから、今更断れない」などとどなったり、居丈高に契約を迫るなどの威迫する行為を新たな困惑類型として追加することを求めるということで、電話、ほかの訪問販売でも執拗な勧誘とか困惑類型に関するものについては問題が多いのですが「電話による」と入れることによって、一般的な感覚では、電話だったら電話を切ればいいという発想があると思うのですが、その中で、電話を置こうとすると、ちょっと待ってくださいとか、断ったのに申し込んだと送りつけてくるなどということもございますので、繰り返し執拗に個人に向けて購入を勧めることなどは、威迫、困惑の類型として入れていただきたいと思います。

「7.損害賠償額の予定・違約金条項(法第9条第1号)」は、契約を解除するに当たり、損害賠償額の予定や違約金条項について、平均的な損害額を超えることの立証責任は、当該事業者が負うと明記することを求める。

契約を締結時に、解除した場合の損害賠償額を予定した条項が用意されたものがある。結婚式場の契約では「一年後の結婚式なのに、違約金が高額ではないか」、探偵業でも「依頼してすぐに取消したのに『すでに調査が始まっている。調査開始後は契約額の50%の違約金条項がある』と言われた」などの苦情が寄せられています。消費者にとっては、あらかじめ条項で決められた損害賠償額の予定額の違約金が妥当なものか、平均的な損害を超えるものなのか、立証できるものではありません。

損害賠償額の予定や違約金条項、それらが妥当なものかの立証責任は事業者だと明記することを求めます。今、一番多いのは、出会い系サイトとかアダルトサイトに入ってしまって、高額請求を受けた。インターネットで検索して、公的な機関を見つけたと思って相談すると、「大変厄介な会社の問題だ」といい、契約を破棄するとか、何とかお金を取り戻してあげるということで契約を結ぶのですが、その事業者のサイトには、消費者○○センターとか、そういう公的な機関に類似した名称が書かれていて、電話してもその名前で出てくるので、公的機関と勘違いをします。

契約して、お金も払った時点で慌てていた感覚から冷静になって考えると、どうも消費者センターではないようだという御相談が入っておりまして、それには、大体違約金条項が書かれていて、それについて、妥当な金額かどうか分からないという御相談を受けることもあります。

また、風災で屋根が壊れたので、ネットで自己負担ゼロ、保険金で修理という業者名を見つけて、業者に保険金申請作成と関連業者による修理で依頼をした。損害保険会社に申請すると工事費が高いと言われた。保険金を下げられた。その業者にいろいろな解約料について取り決めがあるので、その金額について、そんなに高額な解約料が発生する作業はしていないはずだとしても、それを証明するのは、消費者側からはどのような作業をどのようにしたかを説明できない。額が高いことを証明できないこともありますので、そういうものについて、当該事業者が負うという形で書いていただけるようにお願いしたいと思います。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの有山委員からのプレゼンテーションの内容を受けまして、意見交換を行いたいと思います。御意見あるいは御質問がある方は、御発言をお願いいたします。

山本健司委員。

○山本(健)委員 御報告ありがとうございました。

有山委員が御指摘の諸点は、消費者被害の救済促進という観点から、いずれも法改正や逐条解説への記載補充が検討されるべき論点と考えます。その上で、2点、意見を述べさせていただきたいと思います。

1点目は「1.『消費者』概念の在り方(法第2条第1項)」に関してでございます。

「消費者」概念の問題については、中間とりまとめにより、法改正に向けて残された中心論点は「マル4団体が実質的には消費者の集まりである場合」と理解しております。そして、この類型については、大学生のスポーツクラブチームと宿泊業者との宿泊契約などのように、実質的に消費者契約と評価できるものについては、現行法のもとでも解釈により消費者契約法の対象となることが東京地裁平成23年11月17日判決で判示されています。現行法でも一定の保護が図られています。この点を改めて確認させていただきますとともに、少なくとも、そのような裁判例の存在や考え方を消費者庁の逐条解説に明記して周知を図っていただきたいと思います。

なお、元個人事業者でも客観的に見て既に廃業しているのであれば、現行法のもとでも消費者であると思われます。また、少なくともまだ何の事業も行っていない個人に対して虚偽事実を申し述べて投資を勧誘する行為などは、現行法のもとでも消費者に対する不当勧誘であると思います。これらについても、逐条解説に消費者契約法の対象となり得る事案の例示として記載補充をしていただければと考えます。

2点目は「6.不当勧誘行為に関するその他の類型マル2」の「執拗な勧誘」の部分に関してでございます。

「執拗な勧誘」という論点において、法改正を検討すべき対象は、電話勧誘に限定すべきではないと考えます。実際に、執拗な勧誘が問題となる被害事例・相談事例としては、具体的には、マル1長時間にわたり勧誘する、マル2電話・訪問を繰り返す、マル3消費者が検討するための時間を求めたにもかかわらず即断を迫る、マル4消費者が当該勧誘を締結しない旨の意思表示したにもかかわらず当該勧誘を継続する、マル5勤務先にまで電話・訪問をする、マル6夜遅い時間に電話・訪問をする、といった事例が挙げられます。実際に問題となっている被害事案・相談事案は、電話勧誘に限定されてはおりません。また、それらの被害事例を問題視した個別の法律や地方自治体の条例の条文などを手がかりに、適用範囲の明確化を図ることもできると思われます。執拗な勧誘については、ぜひ電話勧誘に限定せずに御検討いただきたいと考えます。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

よろしいでしょうか。

ほかに御質問あるいは御意見があれば、お出しいただければと思います。いかがでしょうか。

井田委員。

○井田委員 御報告ありがとうございました。

私も有山委員の御指摘は、改正であるなり、あるいは解釈で明確化するべきだと思いますが、1点だけ「7.損害賠償額の予定・違約金条項(法第9条第1号)」について、少し意見を述べさせていただきたいと思っております。

先週、ある業界の約款に定められた違約金額が平均的損害を超えるかどうかについて、消費者団体側の上告を棄却するという判決が出ました。この結果、その業界の約款に関しましては、少し判断が異なる高等裁判所の判断がそのまま残った状態となっております。

これは事業者側にとっても、消費者側にとっても、今後も平均的損害とは何かという点をめぐっての争いが予想されるので、余り生産的な話ではないように思われます。

平均的損害が、最終的には裁判所の判断によるものになる以上は、損害額を設定する事業者側において、何らかの一定の情報の開示をいただいて、それが平均的損害に関する司法判断になっていく。業界における平均的損害の額の判断の基礎になっていくということは、事業者側においても消費者側においても、予測可能性が担保されていいのではないかと思います。

有山委員からは、立証責任という話が出ておりますけれども、これにこだわらず適切にある一定の情報が開示される制度が制定可能かどうかについて、議論ができればと思っております。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

増田委員。

○増田委員 御報告ありがとうございました。

内容については、全て私も同じ考えでおります。その上で4番に関して、高齢者に詐称をした、有名企業をかたったような場合については、名前をかたることにポイントを当てると、それが重要事項かどうかは、非常に難しいかもしれないのですが、商品サービスの効果、性能などについてよく理解ができないけれども、こういう有名な企業であれば確かなことだろうと理解するケースは数多くあるかと思いますので、それも損害または危険を回避するための通常必要な事情であるということを、逐条解説に書いていただくといいなと考えております。

7番のケースですけれども、探偵業などについては、まさしく違約金などについての根拠は消費者からははかり知れないことがあります。事業者の立証責任までは行かないとしても、事業者から、これだけの費用がかかっているのだから請求をしますということを、情報提供義務として消費者に説明することを、逐条解説に具体例として書いていただくと助かると思います。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

「4.『重要事項』(法第4条第4項)」の御提案について、他の委員の方々にも御確認いただきたいのですが、例として挙げておられるのは大手有名企業をかたった場合ですけれども、これが現在の規定にある、消費者契約の目的となるものの質、用途、その他の内容あるいは対価、その他の取引条件に当たるかというと、当たると解釈する余地があるという御発言だったのかもしれませんが、強いて言えば、相手方、事業者の性質ないしは給付能力に関する事柄と見る余地があり、そうしますと、このままでは、1号、2号、3号に直接は当てはまらない可能性もあるので、その部分についての手当てをすべきではないかという御提案と受けとめてよいのではないかと感じました。この点については、他の委員の方々から、もし御意見があれば伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

中村委員。

○中村委員 ありがとうございます。中村でございます。

まず、今の重要事項の部分でございますけれども、全般的に被害事例について、それを救済しなければいけないというところに関しては、全く異論がございません。他方、これが消費者契約法の改正という形をとるのが正しい解決方法になるのかどうかは、もう少し考えなければいけないのかなと思っておりまして、これから、プレゼンをするので、かぶるところはそちらでお話しさせていただきたいと思うのですけれども、例えば今の重要事項のことで申し上げますと、明らかな詐欺事案ですよね。

私どものグループの社名を名乗ってそういう声かけをするとかいうものもあって、私どもとしても被害者の立場である事案なのでございますけれども、そういう詐欺的な人物に対して、消費者契約法という武器をもって戦って意味があるのかどうか。もっと取締りというか、そういう方法も考えたほうがいいのではないかというところも申し上げたいと思います。

あともう一点、私のプレゼンとかぶらないところで、先ほど御指摘があった違約金条項の損害賠償の立証の件なのですけれども、平均的な損害額が、御紹介のあった事例ですと若干、余りよろしくない事業者さんの事例なのかなと感じたのですが、普通の一般的な事業者で考えますと、消費者の側から見るとまだ何もやっていないではないかと見られるかもしれないのですが、システムを組み立てたりとか、調査を開始したりとか、いろいろなことでコストがかかる場合があります。

例えばですけれども、何かを予約されたりする場合ですと、会社としてもそれをさらに別のところに注文するとか、そのことによって、途中で解約をされると全額が無駄になってしまうとかもありますので、一概にすぐに解約できないのはおかしいではないかというのは、事業者の事業の組み立ての中ではある意味やむを得ないこともあるので、この場ですぐにではないのですが、こういう条項について検討するに当たっては、十分に考えた上で決めていくべきなのかなと思います。

以上です。

○山本(敬)座長 御指摘ありがとうございました。

松本理事長。

○国民生活センター松本理事長 5番の例なのですが、幾つかのタイプがこの中にまざっている気がするので、法律に落とし込むとすればもう少し分けていかなければならないのではないかと思います。

すなわち、前にあなたは私とこういう契約をしました。それに基づいて、今、次の契約をしに来たのですと持ちかけてくる場合であれば、それはうそか本当かどちらかです。もし本当であれば、一応はその契約条項に拘束されることになると思うのです。

しかし、多くの場合はうそです。うそである場合には、新しい契約をするに当たっての非常に重要な動機づけとして、あなたは以前にこういう契約をして、その義務として今回、この契約をしなければならないのだと偽っているわけだから、これは重要事項に今のところ入らないのか、解釈で入るのか分からないけれども、そういう契約締結にとっての非常に重要な要因となる部分については、重要事項に含めるべきだろうと思います。

もう一つ違うタイプが、前に別の業者の浄水器を買った。今回、全然関係ない業者が来て、従前の業者であるかのように言って契約させるケースが相談事例の中でも大変多いです。これは顧客リストが不正に流通していることが大きな原因です。そういう場合は、いわば4で挙げられたような、有名企業を偽るわけではないのですが、前に取引をした事業者であるかのようなふりをして接近するのは、不当な勧誘になるので、それはそれで一つのタイプとして考えるべきだろうと思います。

3つ目が、本当に10年前に契約をしていたのだけれども、もう忘れてしまっているという場合に、事実は契約をしているのだけれども、記憶の曖昧な高齢者相手に契約を勧めることそのもの。つまり、前の契約をしたのが事実であるかどうかと無関係に、判断力が落ちている人相手に契約を勧めること自体を不当勧誘として取消し対象に入れるかどうかという問題です。これは大変大きな問題になってくると思いますので、それはまた別に議論してもらえればいいのではないかと。以上、3つぐらいに分けて議論したほうがいいのではないかと思います。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

まずは永江委員、続いて後藤巻則座長代理。

○永江委員 御指摘いただいた被害事例については、確かに、最終的に何らかの救済が必要だということに関しては異論を唱えるものではないのですが、2のところだけ申し上げさせていただくと「意思形成に影響を与える広告については『勧誘』とし」とあるのですが、意見として、意思形成に全く影響を与えないもの、みじんの影響も与えない広告は基本的にはないと思いますので、意思形成に何らかの影響を与えることを以て、広告を一律に『勧誘』に含むとすべきではないと思います。どういう広告がどういう形態で、しかもそれは本当に広告と呼ぶべきものなのかを十分に、仮に消費者相談事例を検討するのであれば、検討の上分類していただきたいと思っています。

特にインターネットについては、本当にそれが広告なのかを、広告ではないものもあると思いますので、被害が出ていて、本当に消費者契約法で救うべきものについて、それが広告なのかを検討していただきたいという意見です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

後藤巻則座長代理。

○後藤(巻)座長代理 前後してしまって申し訳ないのですけれども、先ほどの増田委員の御発言と山本座長からの問題提起を受けて少し考えたことを述べさせていただきます。重要事項の問題と事業者が有名企業の名をかたることとの関係をどのように考えるかですが、特商法の規定で言いますと、訪問販売の場合ですと、6条1項7号の規定の中に、前各号に掲げるもののほか、当該売買契約または当該役務提供契約に関する事項であって、顧客または購入者、もしくは役務の提供を受ける者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものという規定がありまして、名をかたるというのはここに入る可能性があるのではないかと思います。

この6条の規定を受けまして、9条の3に意思表示の取消し規定があるのですが、9条の3の第1項第1号によって、取消しの可能性があるということに、特商法の規定ではなるのではないかと思います。

先ほどの名をかたるということを、消費者契約法の新設された規定との関係でどう考えるかでありますが、この新設規定は、「マル3物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものが、当該消費者の生命、身体、財産その他の重要な利益についての損害又は危険を回避するために通常必要であると判断される事情」となっていて、特商法の6条1項7号でなく6号に近い規定でありますけれども、さらに、「生命、身体、財産その他の重要な利益についての損害又は危険を回避するため」となっていますので、これをどう考えるかという問題もあるのではないかと思います。

といいますのは、消費者契約法専門調査会の報告書の中では、これと提案内容が違っておりまして、消費者が当該消費者契約の締結を必要とする事情に関する事項を重要事項に追加しようということだったと思いますが、それが今、述べましたような生命、身体、財産云々という規定に立法上なりましたので、そこにどのようなことを含めるかも問題になってくるのではないかと思います。

そういう意味で、ここについては、今後、判例の展開があるのではないかと思いますけれども、現時点で条文の追加した内容に当たるのはどういうものかについては、逐条解説等で示していただくことが妥当なのではないかと思います。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

石島委員、続いて沖野委員。

○石島委員 プレゼンテーションをありがとうございました。

事前に資料を頂戴し拝見をしていて、全ての論点について、具体的にはどういう事例を想定されているのかなというのがお聞きしてみないと分からないなと思っていたところで、今日、いろいろ事例を挙げていただいて、それぞれ確かに救済が何らかの形でされるべきものではあるのですけれども、既に現行法、現行の制度で手当てができるものも幾つか含まれているものもあるのかなという印象を持ちました。

2つ目の勧誘の要件の在り方で御紹介いただいた蓄膿症の事例のお話を伺っていると、広告を見て御契約をされたのであるけれども、実際にその効果を得るためには、利用する方が何らかの一定の努力をしなければいけないことがあったりということが後から分かったということですので、これは不利益事実の不告知であるとか、不実告知といったもののほかに民法で整理できる可能性があるかなとお聞きして思いました。

有名企業名をかたってというところについては、皆様が御見解を述べられているとおりですが、これも現行法の特商法においてこういったものを規制しているのが第3条であるように承知しておりますし、現行のルールで当てはめて、どういった解決が図られるのかは、事例に基づいて一つ一つ考えていくことが、消費者契約法自体に落とす前に、その作業を丁寧に行うことが今後も大事なのではないかとお話を拝聴して思ったところでございます。

特にターゲッティング広告もそうなのですけれども、ターゲッティングされていない広告も実を言うとほとんどないのが実態でございまして、それはこれから、中村委員とか永江委員のプレゼンテーションが予定されていますので、そういったもので皆さんと認識合わせをしながら丁寧に議論していくのが大事かなと思っております。

概括的にインターネット広告が悪であるとか、問題が多いという捉え方ではなくて、そういうことが世間的に言われることが最近は多いものですから、そういったものではなくて、広告の本質とは何なのかについて、ひもといていければと思っております。

○山本(敬)座長 続いて、沖野委員。

○沖野委員 ありがとうございます。

プレゼンテーション及びその後の御指摘を伺って、そのうち「4.『重要事項』(法第4条第4項)」について、補足的に申し上げたいと思います。一つは、有名企業をかたった場合に、かたられた側ももちろん被害者である、あるいはそういうものは詐欺そのものであることが多く、むしろ取締りによるべきではないかという御指摘に関してです。

この部分が取締り等による予防的な方策が重要であることはそのとおりだと思うのですけれども、既に契約がされて救済が求められている部分は、そのような取締りでは十分ではないので、しばしば他の方法によるべきだと言われます。そのように、取締りでは十分ではないところをどう救済していくかという観点も重要だと思いますので、確認をしておきたいと思います。

次に、座長が言われた点についてですけれども、有名企業をかたったという問題が重要事項との関係では、どのような性質あるいはどのような定式のものとして捉えられるのかです。有山委員の御指摘の事例は、勧誘に至る、訪問販売で扉をあけてしまうような、勧誘の糸口といいますか、最初の一歩のところで有名企業名が出されるために、勧誘行為へと突入してしまうことの問題点を言われたと思うのです。一方、座長がおっしゃった定式は、むしろそれで契約してしまうということが事業者の性質や給付能力という形で、この事業者であればこのような契約をして大丈夫であろうとか、確実に給付も得られるであろうという、そちらに着目してのものと思われました。

そのような、座長御提示の定式については、確かに事業者の性質や給付能力が契約の実現についての信頼性や確実性を高めるということだとすると、そういう契約内容であるとか、契約の目的となるものの質等がそうなのだと読み込むことも、余地はあると思うのですが、明確かと言われると分かりにくいところですので、最初の一歩としては、そういったものもマル1などにも係り得る、あるいは先ほど後藤座長代理からおっしゃったマル3の可能性もあるのではないかということも御指摘になりましたが、マル1にも係りうるのではないかということを示していただくとともに、しかし、事業者の性質とか給付能力も契約締結においてそこが重要だということは十分あり得ますので、そうだとすると、御提示になった定式を追加することも考えられてよいのではないかと思います。

有山委員の御指摘は、最初の入口はそうだったけれども、結局のところは中身が全然違う業者なので実現可能性も低いということなので、結局そこにつながっていくという面はあって、提示された問題にも答えることになるのかなと思っております。

以上です。

○山本(敬)座長 どうもありがとうございました。

長谷川委員。

○長谷川委員 有山委員、御指摘、御説明をどうもありがとうございました。

基本的に救われるべき事項について、きちんと救済手段がとられていないということであれば、しっかりその人たちが救われるようにしていくことについて、全く異論はございません。その上で、既に何人かの委員からも御指摘があったことでございますが、これらの事項を検討するに当たっての視点として、3点ほど申し上げたいと思います。

1点目は、先ほど挙げられたような例が、消費者契約法という枠組みでやったほうがいいものなのか。ほかの政策手段、ほかの法律もありますでしょうし、あるいは消費者教育もあるかと思いますけれども、そういった枠組みのほうが適切なのかどうかも含めて検討したほうがいいと思っております。

もう一点は、第1回でもいろいろそれについて配慮すべきだという御意見がたくさん出ておりましたけれども、実務に対する影響も勘案していく必要があると思っておりまして、今日、いただいた事項でいきますと「3.不利益事実の不告知(法第4条第2項)」とか「2.『勧誘』要件の在り方(法第4条第1項、第2項、第3項)」あるいは「1.『消費者』概念の在り方(法第2条第1項)」もそうかもしれませんが、結構実務に与える影響が大きいのかなと。今回、検討が始まりまして、経団連として正式に検討しているわけではございませんが、今の段階で直感的にはそういうところを感じるわけでございます。

「2.『勧誘』要件の在り方(法第4条第1項、第2項、第3項)」については、私は委員ではありませんでしたけれども、中間報告を読ませていただいたときに、不特定多数かどうかが大きなメルクマールとして議論されていた。それは従前の法解釈でそうなのだろうと思いますけれども、本当にそういうことがメルクマールなのかなというのが若干腑に落ちないというか、すとんと落ちないところがありましたので、そういうところも含めて御検討いただければと思います。

以上でございます。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

1点目の御指摘の消費者契約法で対応すべき事柄なのかという点については、先ほど沖野委員の御発言にありましたように、事前の予防的な規制と既に被害が発生している事後的な救済の話を踏まえて考える必要があるという御指摘が対応するのではないかと思いました。

磯辺委員。

○磯辺委員 関連してですけれども、消費者契約法はお互いトラブルの状態になったときに、どういった主張を消費者側がすれば民事上の請求権が認められるのか。裁判等の手続を通じて、もしくは主張して相手方が認めればお金を取り戻せるのかという局面で出てくる法律なのです。

行政があらかじめ指導して、もしくは発生した後に行政が指導し、改善された。それはそれでいいわけですけれども、行政が指導して改善しただけでは、今の仕組みでは自動的に消費者のところにお金は戻ってこないのです。

消費者契約法などを使ってきちんと主張して、誤認していたのだから、請求権があるのだということで、初めてお金が取り戻せるということですから、そういう救済の場面の法律なのだということをぜひ御理解をお願いしたいと思う次第です。

もう一つ、それとの関係で、2番目の論点の広告なのですけれども、これも世の中にある広告をあらかじめ消費者契約法で規制しようとか、そういう趣旨の規定ではないのです。つまり、重要な事項について誤認して契約をしてしまったといったときに、重要な事項の誤認は、今までだと個別の勧誘のところまでしかさかのぼれない。消費者がお金を取り戻そうとしたときに、消費者契約法の射程だと、そこまでしか主張できないのです。

ところが、それ以前にすごく不当な広告があって、その誤認が残ったまま契約してしまったという例があるわけなのです。そういったときに誤認を生む広告があったということを、消費者が被害救済を求めるときに主張できるよう射程を広げようというお話だと思いますので、もし間違っていたら、専門家の方にフォローしていただければと思いますが、広告一般をがんじがらめにしようという趣旨ではない。

つまり、実際に効果が生ずるまでには、最終的には誤認をした、誤認して契約したことの因果関係が必ず出てくるという話なのだということをぜひ御理解いただければと思います。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

この点は、次の中村委員のプレゼンテーションでも出てくる事柄かと思いますので、また後でもう一度意見交換をすることができればと思います。

時間が少し押しておりますので、次に進ませていただいてよろしいでしょうか。

それでは、後藤巻則座長代理。

○後藤(巻)座長代理 補足して、5番に関してなのですけれども、先ほどの松本理事長の御発言とも関係しますが、今回の新しく4条4項にできました過量契約の取消しの問題は、この専門調査会の報告書でも、不必要な契約の典型例の一つである過量契約を対象とした規定を設けることが考えられるとなっていまして、もともと議論していたのは、合理的な判断をすることができない事情を利用して契約を締結させる類型であって、その中でとりあえずここについては規定しようと委員間で合意した部分を規定したということでありますので、そういう意味から言うと、合理的な判断をすることができない事情を利用して契約を締結させる類型のその1が立法化されたと私は考えているのでありますが、ぜひその2あるいはその3もあるかもしれませんが、もともとの合理的な判断をすることができない事情を利用して契約を締結させるということについて、過量だけではなく他の類型も含めて議論することが必要であると考えておりますので、そういう意味で5番目の提案について、特に賛成と思っております。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

(2)中村美華委員からのプレゼンテーション

○山本(敬)座長 続きまして、中村委員からのプレゼンテーションに進ませていただきます。よろしいでしょうか。

中村委員、よろしくお願いいたします。

○中村委員 日本チェーンストア協会の中村でございます。

私から「消費者契約法 今後の論点について~小売業の視点から~」という資料について、御説明をさせていただきます。

まず、本日は、このようなプレゼンの機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。

前提の部分でございますが、今日のプレゼンの前提といたしまして、2つの特別委員会の附帯決議を前回の会合でも御紹介いただきましたけれども、検討課題として、勧誘要件の在り方、不利益事実の告知、困惑類型の追加、「平均的な損害の額」の立証責任、条項使用者不利の原則、不当条項の類型の追加その他の事項について、引き続き検討ということが挙げられております。

重要視したいところといたしましては、参議院の特別委員会の中で、今後の検討課題とされた論点については、消費者契約法に係る裁判例、消費者生活相談事例、様々な業界における事業者の実務実態等の調査・分析に基づき、健全な事業活動に支障を来すことのないよう配慮しつつ、消費者の安全、安心に寄り添って検討を行い措置を講ずるというように指摘がされておりますので、ぜひこの部分について留意して、今後の検討をしていただければと思います。

その中で、国民生活における小売事業者としての役割なのですが、健全な小売事業者の事業活動に支障が生じることは、ひいては国民の日常生活に支障を来す結果となると考えております。したがいまして、小売事業者として事業の現場実態を踏まえて、検討事項に対し、健全な事業活動に支障を来す要素をお示しして、解決策を模索する方向でやっていきたいと考えております。

ちなみに私は、小売業の代表として本専門調査会に参加させていただいておりますけれども、他の業種の方々については、実務実態の調査とかをお示しする能力とか役割はございませんので、ぜひこの部分につきましても、どのように本専門調査会で検討されるのかは、今後、明確にしていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

続きまして、2ページでございますけれども、小売業への消費者契約法の適用について、御説明をしたいと思います。本日のプレゼンでは、小売業の中でも、私ども協会の属する、いわゆるスーパーマーケット業態を中心としてお話ししますが、より一般的には、日常的な必需品を購入するために消費者の方が日常的に利用する店舗、いわゆる八百屋さんとか魚屋さんとかお肉屋さんとか、そういうところを含めて消費者契約法を適用した場合にどうなるのかを中心に考えてみたいと思います。

消費者がお店に来て、商品(例えば「キャベツ」)とか日常的なものを取り上げて、販売員に対して「これください」と言って、商品と代金を交換することで終了するような日常的な取引。こういう場合には、皆さんが十分御承知のとおり、契約書等は存在いたしません。しかしながら、民法上は不動産や株式の売買と同じく「売買契約」となります。

何の制限もなく「消費者契約」というのは、消費者契約のトラブル事例ですと、何らかの契約書等がある場合が多いかと思うのですが、私どもがやっているような取引につきましても消費者契約法が適用されることになりますと、このような取引は毎日、日本全体で何百万、何千万件と行われております。私どものグループの来店客数のデータがあるのですが、1日に2,150万人でございますので、その数倍の取引が行われているということになろうかと思います。

これに対して、さまざまな規制を課すことになりますと、それぞれの取引の際に、私どものほうで何らかの確認が必要であるとか、お客様のほうでも何か書類を出さなければいけないとか、そのようなことで数倍の時間がかかったり、結局これだとだめですみたいなことで購入ができないということで、かえって消費者の日常生活に支障を来すことにもなりかねないことに注意が必要だと思います。

先ほど磯辺委員からも、消費者契約法は予防のために必要なのだという話はありましたけれども、他方で、それを広げたことによって、他の契約に対しても適用がされるとどうなるのかということについても、思いを来す必要があるのかなと思います。

このような日々の何げない消費活動におきまして、大量の取引にそれぞれ確認作業等が必要になれば、コスト・価格にはね返って、多くの消費者利益に反するということを申し上げたいと思います。コストとは、一時的には事業者に発生するのですけれども、仮にですが不必要に拡大することになると、結果的にはそれが価格にはね返ってくることになりますので、そういった視点で考えていただく必要があるのかなと思います。

続きまして、3ページですけれども、本専門調査会で議論されている消費者被害の生じている取引は、日々日本全国で繰り返されている日常的な必需品を買うための取引よりもはるかに少ないと思います。社会的なインフラを形成している一般的な小売取引、日常的なお買い物に悪影響を与えるような規制が必要なのか、あるいは消費者被害が発生する業種に対応した自主規制や業法対応、その他の方策、例えば警察による逮捕もあるかもしれませんが、十分な議論が必要であると思います。

また、消費者被害の多くは、悪徳事業者によるものが少なくございません。上記の悪影響に対して、消費者契約法を変えることで悪徳事業者による消費者の被害の防止につながるのかにも疑いがあり、検証が必要であると思います。

参議院の特別委員会の特別決議で述べられているとおり、さまざまな業界における事業者の実務実態等の調査・分析に基づき、健全な事業活動に支障を来すことがないような配慮が求められると思います。

以下「今後の検討課題」のうち、日常的な小売取引、日常的なお買い物に適用されると問題と思われる点について、幾つか例示させていただきたいと思います。

4ページの「3.『勧誘』の在り方マル1」でございますけれども、ここは確認でございますが「マル1報告書の記載」で、消費者契約法は、事業者と消費者が契約を締結しようとする場合に、事業者の不当な行為によって消費者が契約内容を誤解するなどして契約を締結した場合に関し、取消しができるものとしております。この取消しを可能とする第1の要件が、事業者の不当行為が「消費者契約の締結について勧誘をするに際し」行われたというものでございます。

平成27年12月の調査会の報告書においては、勧誘要件について、消費者の契約締結の意思の形成過程に瑕疵を生じさせたか否かが重要であり、その手段・方法は、必ずしも特定の者に向けたものでなければならないわけではない。その一方で、不特定者に向けた働きかけは非常に多様であり、媒体並びに内容及び表現手法もさまざまであることを鑑みると、取消しの規律の適用の対象となる行為の範囲としていかなるものを含めるかについて、現時点ではコンセンサスを得ることは困難であるという形でまとめられているところでございます。

ここで、意思の形成過程に瑕疵を生じさせるものを「勧誘」とするという考え方が出てきたわけでございますけれども、そもそも消費者の契約締結の意思の形成過程に瑕疵を生じさせたか否かが重要なのかどうかについて、若干考えてみたいと思うのですが、確かに個々の事案を取消すべきかどうかを判断する場合に、ある行為が意思の形成過程に瑕疵を生じさせる原因となったかどうかを検討することは重要であると思います。

そうなのですけれども、そのようにある事案において、ある広告が意思の形成過程に瑕疵を生じさせたことがあるからといって、一般論として広告を「勧誘」に含めるべきということにはならないのではないかと思います。

意思の形成過程に瑕疵を生じさせる可能性がある要素としては、本人の認識の誤りであったり、家族や友人の言葉、売買当事者とは無関係の報道・記事・書籍など、あらゆる事象が含まれておりまして、無関係の行為により、総合的には誤った意思を形成することも想定されます。したがって、「形成過程」に瑕疵を生じさせる可能性があるからといって、事業者の行為だけを取り上げて「勧誘」という概念に含めるべきということにはならないと思います。

中間とりまとめにおきまして「『勧誘』とは、『消費者の契約締結の意思の形成に影響を与える程度の勧め方』であり『不特定多数向けのもの等と客観的にみて特定の消費者に働きかけ、個別の契約締結の意思の形成に直接影響を与えているとは考えられない場合』は『勧誘』に含まれない」という逐条解説を引用しつつ、不特定多数の者に向けた広告等が消費者の意思形成に直接的に影響を与えることがあること自体に異論はなかったと整理されているわけですけれども、そもそも不特定多数向けの者への適用を否定する文脈の中で使用された「直接的に影響を与える」という表現に対して、全く逆のことを言っているように見えるので、事業者としては理解が困難だと思っているところでございます。

次のページに、抽象論ばかりだと分かりにくいかと思いますので、一般的に物を買うという意思に至るプロセスを具体的に示してみたところでございます。子供が「お母さん、この靴もう窮屈で足が痛いよ」というところから、買おうかなという意思が発生して、その中で「学校では、○○が流行っていて、みんな履いている」ということを言う。他方、広告なのですけれども、テレビで○○とか▲▲が宣伝をやっていたり、雑誌で別のものの紹介記事が載っかっている。どれを買おうかなと迷っているところで、スーパーの売り場で値段を見ると何か高い。○○は高くて▲▲や□□のほうが安い。

ママ友の言葉として「○○を履くと運動会で速く走れるらしいわよ」ということを聞いたり、あるいはメーカーのホームページで商品説明を見ると、○○にはほかにないよい機能があるようだと。販売員の人は▲▲を勧めたのだけれども、ネットの口コミでは○○が評判がいいようだ。

そのようなことで、結局新商品の○○をいろいろなお店を比較して安い店で買うというのが、一般的な商品を買うときの意思形成のイメージなのではないかと思います。

このように、いろいろな要素が組み合わさって、ある商品を買うというプロセスになってくるわけなので、一概にその中の広告が意思の形成に影響を与えるからといって、それが非常に価値があるというか、勧誘の一部として規制すべきだということにはならないのではないかということが申し上げたいことでございます。

7ページは、具体的に、日常的な小売取引の「広告」に「勧誘」概念を拡張すべきではないという説明でございます。スーパーマーケットの広告の例ですと、食品や日用品等の特売のチラシであったり、夏物クリアランスのテレビ広告とか、皆さん御覧になったことはあるかと思いますけれども、基本的に日常的に必要な商品について、価格の安さ、お得感をアピールして、自分のお店に来店をしてもらおうとするものだと思います。

店舗への来店を「誘引」あるいは「勧誘」をしているものではありまして、掲載された商品や価格に魅力を感じて、その商品そのもの購入に至るという場合もあると思いますが、お客様は実際に来店をされて、実際の商品を確認したり、ほかにもいろいろなものが並んでいるわけですので、ほかと比較するなどして改めて購入の検討をされるということでございますし、私ども小売業者といたしましても、そのものだけを買ってほしいわけではなくて、あわせていろいろな買い物をしていただきたいということを期待しているわけでございます。

すなわち、スーパーマーケットのチラシやテレビ広告は消費者の購買行動を促すものではあるわけですが、そこに示された個々の商品の売買に結びつく決定的要因かというと、基本的にはそういうものではないのではないかと感じております。

このように、広告とは「不特定の者に向けた」ものであることは間違いがないわけなのですが、一般的なスーパーマーケットの広告で申し上げますと、個別の取引に向けた「消費者の意思形成に直接的に影響を与える」ものではなくて、このような広告に「勧誘」概念を拡張すべきではないと考えております。中間取りまとめによる「勧誘」定義による「消費者の契約締結の意思の形成に影響を与える程度の勧め方」には該当せず「客観的にみて特定の消費者に働きかけ、個別の契約締結の意思の形成に直接影響を与えているとは考えられない場合であって『勧誘』に含まれない」と解釈すべきと考えているところでございます。

続きまして、基本的には従来の「勧誘」の概念を維持すべきではないかということなのですけれども、8ページになります。上記のとおり、意思の形成過程に瑕疵を生じさせ得るか、意思の形成に直接影響を与え得るかで「勧誘」概念に含めるべきかどうかを議論して、意思形成には他の事業者、家族、友人等のもろもろのものが関与するにもかかわらず、事業者が行う広告が意思形成に影響を与え得るからといって、広告を広く「勧誘」に含めるべきだというのは不当ではないかと考えます。

広告における表示(取引誘引行為)につきましては景品表示法が適用されておりまして、景品表示法は課徴金や消費者への返金を促す制度も導入されております。消費者契約法の「勧誘」に広告を含めて消費者に取消権を与える必要性は余りないのではないかと考えているところです。少なくとも、改正された景品表示法の施行後の効果を見きわめてから判断すべきではないかと思っております。

9ページは、消費者契約法における勧誘要件の適用範囲で、情報提供義務がございます。消費者契約法3条に、消費者契約の締結について勧誘をするに際しては、消費者の理解を深めるために、消費者の権利義務その他消費者契約の内容についての必要な情報を提供するよう努めなければならないということでございます。

勧誘を拡大した場合に、情報提供義務についてもこれが適用されることになりますと、先ほどのスーパーマーケットの広告のチラシやテレビ広告等でございますが、そのほかにも売り場のPOP表示、いわゆるお店の売り場についている小さな札みたいなものです。それから、販売員の売り込み、今日はサンマが安いよとかいうような売り込みは、不特定の者に向けて購入を誘導しているのですけれども、情報提供義務の対象とするのは不適切ではないかと思います。

例えば、私どもの協会のある会社のスーパーが、夏物処分セールのテレビ広告をする場合に、魅力的な目玉商品の画像と価格で店舗への来店を誘引するわけでございますけれども、景品表示法上、その際の表示については欺瞞的であってはならないとなっておりますが、この情報提供義務化の議論となった場合には、そこは「消費者契約の内容についての必要な情報を(全て)提供する義務」を果たせる場であるのかということになると、非常に疑問だと思います。

例えば、素材に関する情報、綿100%とか、そういうものを仮に表示したとしても、消費者が何秒間かの広告を見て、その一瞬の間に認識が可能であるかは疑問でございますし、そもそも皆さん、テレビ広告は全身の注意を集中して御覧になっていないと思います。そこで表示をすることにどれだけ意味があるのか。チラシやPOP表示につきましても、情報は正確に提供されるべきではありますけれども、それぞれお客様によって必要な情報も異なっております。

したがいまして、網羅的に情報を提供することは非現実的でございますし、通常の多くの消費者の望むところではないと考えております。

10ページに参りまして、不実告知でございます。時間の関係もありますので、上のほうは説明を省略いたしますが、不実告知の条文がございまして、左のAの行為をした結果としてBの誤認をした場合には取消すことができるという内容でございますけれども、これを広くした場合に、例えばメーカーが行ったテレビ広告を見て、小売事業者の店舗で日用品を購入する場合などが「勧誘」だと見て取消しの対象とするのは、少なくとも濫用の危険があって妥当ではないと思います。

下のほうは、先ほどの繰り返しになりますが、広告における表示につきましては、景品表示法が適用されるので、消費者契約法の「勧誘」に広告を含めて取消権を与える必要性はないのではないかと考えているところでございます。

11ページは「勧誘」要件の適用範囲で、困惑類型なのですけれども、こちらにつきましては、消費者の困惑、不退去で困惑をしたというケースがありますので、テレビ広告とかチラシで不退去はあり得ないので、ここの部分も適用は考えにくいのかなと思っているところでございます。

12ページは、インターネットと勧誘について、若干触れさせていただきたいと思うのですが、中間取りまとめでは「情報通信技術の発達・インターネット取引の普及等の影響を受け、現在では、情報の発信や収集の方法、あるいは契約締結の方法が多様化したことにより、不特定の者に向けた広告等を見て契約を締結することが多くなり」と記載されてございますけれども「広告等を見て契約を締結する」という点において、それらが動機づけの一部を形成するという意味であるとするならば、そこの部分は消費者契約法の成立のときから全く変わることがないのではないかと思います。

また、テレビ広告からの情報収集とインターネット広告からの情報収集に関しては、インターネットからのほうが多くの情報を得ることができますし、特段人に対する誘引力が強いということはないのではないかと思います。

インターネット取引の従来との違いは、人と人が顔を突き合わせて話をすることがなく取引が完結するという点にあろうかと思います。この場合の「勧誘」をどう考えるべきかなのですけれども、事業者の立場からいうと、インターネット取引においては、消費者はいつでも行為を中断することができ、情報が不足していれば他のサイトで検索をして情報を得ることもできるので、対面で説得されている場合と比してはるかに消費者にとって自由な判断が可能であるように思われます。また、消費者が意思形成に至るまで、特定の事業者の行為だけに影響されているとは限りませんで、テレビ広告に誘引されている場合、店舗での確認後に商品を購入している場合と、さまざまなケースが考えられるのは、一般の取引と同様ではないかと思います。

若干補足なのですけれども、お手元の資料にはないのですが、平成27年度版の情報通信白書のインターネットショッピングの利用状況が総務省から発表されておりまして、60代以上の方の72.5%がインターネットショッピングを利用されているとされております。そこで、60代以上の方が、実店舗よりも品ぞろえが豊富だからたくさんお買い物をされているということでございまして、少なくとも日常的な商品の販売については、確かにトラブル事例はあるかもしれないのですが、それは実店舗での取引に比してといいますか、インターネット取引が現実のものとして数が増えてきた中での被害の割合も、割合は同じなのだけれども数が増えてきたということは確かにあるのだろうと思いますが、インターネットだから特有の事情によって、必ずしも被害が増えたということでもないのではないかと思われます。

特に、私どもの取り扱っているような日常品の売買に関しては、皆さんが便利に利用されているということなので、そういうことも配慮した上で、それが取消しの対象にどれだけ規定していったほうがいいのかどうかを考えていくべきなのかなと思います。

「勧誘」については、以上でございます。

13ページは「4.不利益事実の不告知マル1」でございますけれども、この部分も既に皆さん御案内のことなので、詳しい説明は省かせていただきまして、A、Bで、利益となる旨の告知が具体的で告知の有無に関係なく不実告知と言って差し支えない場合は、利益となる旨の告知が具体的ではなく、故意に重要な事実を告げなかったことだけを見て取消しを認める場合を想定されていたということと理解しております。

14ページで、従前の議論の中で、こういうことが小売業に適用されていても困ることはないのだという御議論がされていたように思うのですが、小売の現場で申し上げると、いい魚が入っていますとか、今日の大根は安いとか、簡単な売り込みで購買に至る場合も多いわけでございます。その売り込みによる動機づけの影響度合いも必ずしも高くない。もともとそういうものが欲しかったとかいうことも多いと思うのですけれども、このような案が現実に適用された場合に、それが適用されないのかどうかが言葉上ではなかなか判断ができないというところが実感でございます。

「勧誘」がこのような単発の声かけに拡張されることがなく、言葉本来の意味での特定者との契約締結に向けた一連の行為全般を見て判断するという趣旨で解されることが重要ではないかと考えております。

そうは言いましても、先ほどのような簡単に購入に至ってしまうようなときに、先ほどにさかのぼりまして、前のページの利益となる旨の告知が具体的で、告知の有無に関係なく不実告知と言って差し支えがない場合は、どういう場合が入ってどういう場合が入らないのかが、日常的な取引となったときにどう解釈するのかは、なかなか判断がつかないと感じておりますというところが、今の懸念でございます。

15ページは「5.困惑類型の追加」ですけれども、中間取りまとめでは、現行法が定める不退去及び監禁のほかに、執拗な電話勧誘や威迫・「粗野若しくは乱暴な言動を交えて又は迷惑を覚えさせるような行為」を追加することが提案されておりました。

報告書において、電話勧誘については今後の特定商取引法の運用状況を踏まえた上で必要に応じて検討することが適当とされておりまして「執拗」と感じる範囲は主観的に異なることがありますので、現状は改正しないことを意味するのが適当と考えております。

先ほど山本委員から若干御指摘があった、具体的な内容でこういう場合が必要ということが示されるのであれば、若干検討の余地はあるのかなと思いますが、これは個人的な見解です。

威迫による勧誘については、事業者の予見可能性の確保の観点から「取消し事由となる事業者の威迫行為の内容を明確にすることが求められる」とされておりますが「粗野若しくは乱暴な言動」がどこまで含まれるのかが現場では難しいところでありまして、地方の出身が違うと粗野とか乱暴と思われることもありますし、想像していただいて、生鮮品の担当者の言動がそのように感じる消費者もいらっしゃるかもしれないと思ったり、迷惑を覚えさせるということになりますと、自分に興味がないと迷惑だと普通は思うので、迷惑と感じられることがあったからといって、通常の勧誘から逃れられずに購入するということは考えにくいので、それをどのような表現というか、どういうものがいいのか今は分かりませんけれども、少なくともこのような記述で取消し可能の取引の表現としては妥当ではないのかと考えているところでございます。

16ページは「6.条項使用者不利の原則」でございますけれども、契約の条項について、解釈を尽くしてもなお複数の解釈の可能性が残る場合には、条項の使用者に不利な解釈を採用すべきであるという考え方と規定がされております。

これがどういう状況下で適用されるのかなのですけれども、我が国の裁判所は、契約の解釈においてその文言にとらわれることなく、当事者双方の契約締結の際の意思を探求することを通常としていると考えられますので、解釈を尽くしてもなお複数の解釈の可能性が残るという事例は考えにくいように思います。

裁判に至らない状況下で消費者が事業者の想定したものと異なる解釈をする可能性は否定できないのですけれども、その際に「解釈を尽くしてもなお複数の解釈の可能性が残る」というのを誰が判断できるのかが分からないというところでございます。

悪徳とかそういう方は除きまして、普通の事業者はトラブルを避けたいので、明確で一律の判断ができる条項を目指してはいるのですけれども、法令用語が難しかったり、日本では長々としたブックのような形の契約書を作ったりは、普通はいたしませんので、記載場所の都合とか条項が多過ぎても理解しにくいということから、場合分けの全てを記載ができないとか、日常会話でも同じ言葉で全ての人が同じ理解をするわけではないということを勘案すると、複数の解釈が生じたということが必ずしも事業者の責任とは言えないと思います。

したがって、日本においては、特段、条項使用者不利の原則を採用する必要はないのではないかと思っているところでございます。

「7.その他の論点」で「マル1『消費者』概念の在り方」なのですけれども、中間取りまとめでは、契約当事者間に情報・交渉力の格差があるときには、事業としてまたは事業のために契約の当事者となる個人や法人等であっても、消費者として扱う場合があるとされているのですが、情報の格差は、例えばメーカーさんが、小売業者が持っていない情報を持っていることはありますが、そのことによって小売事業者を消費者として扱うべきということにはなりませんので、例えば私どもは不動産取引については詳しくないかもしれないけれども、そのことによって消費者として扱うべきということにはならないと思います。

事業者間の交渉力の格差は、不公正な取引方法という形で、下請法・優越的地位の濫用で取り扱うべきでございまして、そもそも論としては、契約の遵守は近代の法治国家の大原則でありますので、契約しても容易に取消すことができて、契約条項を守らなくてよいというメッセージは、安易に発せられるべきではないと思っております。

事業として/事業のために契約を行う場合につきましては、当該業務を初めて行うのであっても、事業者としての義務と責任が伴うのでありまして、一般の民法、商法が適用されるのが当然と思います。例えば今日、お店を開店したのであっても、法令を守って消費者に対して不衛生な商品を売ってはならないのと同じではないかと思います。

18ページの「マル2情報提供義務」は、先ほど御説明したので、簡単に申し上げると、スーパーマーケットでいろいろな情報を提供することを消費者の方が期待しているでしょうかというところを申し上げているところであります。

19ページは、今日は時間の関係もありまして、全ての論点について触れておりませんということと、不当条項の追加につきましても、さらなる事例の収集・分析を行うと記載されていたかと思いますので、ここは割愛をさせていただいているところでございます。

最後に、成年年齢の引下げについて、前回、議論になりましたので、若干説明をさせていただいております。小売の現場の実態に鑑みますと、少なくとも大学生が一般の小売店で買い物をすることについて、判断能力の不足から取消し可能とすることには違和感があるというのは、皆さん共通ではないかと思います。

取消し可能とすべきかという判断は、一般に法定代理人の承諾がないと取引ができないとこととするのが妥当かどうかから決するべきと考えられまして、法定代理人の意思を確認しないと日用品が買えないというのは、市民感覚にも反するのではないでしょうか。

民法で引下げが行われた場合の若年層の保護なのですけれども、悪徳事業者の標的となることを防ぐために何らかの方策が必要だということなのですが、この部分は民法上、隣人と不動産売買契約を締結する能力があると国が定めている一方で、事業者が相手だと日用品購入については判断する能力がないということで取消し可能とするのは矛盾しているのではないかと思いますので、例えば若年者の保護については、テキストを作成して高校生に配布するとか、大学入学時に研修を行うなど、法改正以外の方法を検討すべきではないかと思っているところでございます。

まとめになりますが、日常的な生活必需品の売買は、消費生活上の重要なインフラでございまして、このような取引に消費者契約法による取消しが全て適用されますと、事業者の負担が増加するということもありますけれども、結果的には消費者が買い物をする時間や待ち時間が大幅に増大したり、何らかの確認書面がないと買い物ができないといった不便の増大になりかねないことに十分な配慮が必要であると思います。

現行法で事業者が責任を負わない場合について、取消し可能な範囲を拡大するということは、事業者としても利益を上げて、株主・従業員その他の利害関係者に利益を分配しなければならない以上、取消しに係るコストは、多かれ少なかれ、取消しをしない消費者が負担しなければならないことになります。

したがって、消費者契約法の検討に当たりましては、このような悪影響に十分な配慮が必要と考えているところでございます。

長くなりましたが、以上でございます。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ただいまのプレゼンテーションの内容を受けまして、残りの時間で意見交換を行いたいと思います。御意見や御質問のある方は、御発言をお願いいたします。

磯辺委員。

○磯辺委員 簡単に感想めいた話で、日常の商品、日常用品、コモディティグッズの消費者と事業者の取引については、消費者も使いなれている商品ですし、日常的に接していることがあって、誤認が生まれる機会は非常に少ないのだと思います。ですから、消費者契約法の規定について誤認の場合はどのように要件を付加するかという議論があったとしても、景品表示法を守られている範囲できちんと広告をされていれば、ほとんど影響はないのではないかとお話を聞いていて思いました。

成年年齢の引下げのことなのですけれども、今は取消しができる。現状でも特段問題はない状況だと思っているのです。それをさらに引き下げたときにどういうトラブルが生じ得るのかに焦点を当てて、対策を検討したほうがいいということですので、そういう問題性があるということで御理解いただければと思います。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

○中村委員 今の補足で、成年年齢の引下げの部分につきまして、磯辺委員には確認する必要もないかとは思うのですけれども、民法の規定によりますと、未成年ということで、取消し可能というところは条項の最後の方にありまして、基本としては、法定代理人の同意を得なければ取引ができないというところがございまして、プラス法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において未成年が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも同様とするということでございますので、例えば大学生が日用品を買うのは、そういう関係で基本的には取消しがなされないということではないかと思います。

ちなみに、成年被後見人の法律行為の9条にも、成年被後見人の法律行為は取消すことができるとあるのですが、ただし書きで、日用品の購入その他日常生活に関する行為についてはこの限りではないと記載されておりますので、日用品について余りそういうことを適用していくと、結果的にはお買い物をされる方の御不便につながっていくということで、こういう規制がされているのだと思うので、そういったことも考えた上で考えていく必要があるのかなということでございます。

○山本(敬)座長 9条の趣旨については、議論し出しますととまらないところがありますのでこのあたりにしまして、まずは山本健司委員にお願いいたします。

○山本(健)委員 御報告ありがとうございます。

お聞かせいただきましたような御意見や御懸念を踏まえつつ、今後、具体的な規定の在り方に関する議論を進めていくことが必要なのであろうと思います。それを前提に、個々の論点に関する御意見や御懸念について、感想及び意見を述べさせていただきたいと思います。

まず、4ページから12ページの「勧誘要件の在り方」の部分でございます。8ページ(1)で、「意思の形成過程に瑕疵を生じさせ得るか、意思の形成に直接の影響を与えうるかどうかで『勧誘』概念に含めるべきかどうかを議論しているのではないか」という問題意識のもと、「広告を『勧誘』に含めるべきとするのは不当」という御意見を承りました。

しかし、この部分の御意見ないし御懸念は、誤認惹起行為の範囲に関する問題と因果関係の存否に関する問題とが区別されていないように思います。勧誘要件の議論に関しては、事業者の行為から消費者の誤認が生じ、その消費者の誤認から本意ではない意思表示がなされたという因果関係が肯定できる事案を前提にして、誤認惹起行為の範囲について、不特定の者を対象とした取引誘引行為を含めて考えることが相当ではないかという議論をしているものと理解しております。また、因果関係の主張立証責任は消費者にありますので、中村委員が御懸念されておられるような「因果関係が認められない」とか、「因果関係の存否が不明確」といった事案では、そもそも「因果関係の立証なし」として取消権を行使できないと思われます。

したがって、8ページ(1)部分の御意見については、議論の前提を御整理いただければ、御懸念を払拭していただける部分があるように思います。因果関係の必要性については、現在も今後も、要件として条文に明示されると思います。

また、8ページ(2)で、景表法で足りるのではないかという御意見を承りました。しかし、先ほど磯辺委員からも御指摘がありましたとおり、景表法等の行政規制では、基本的に個々の被害者が加害者に被害救済を求めることができません。被害予防のための立法施策としては行政法規での規制でもよいと思われますが、実際に生じてしまった被害の救済を促進するためには、被害者である個々の消費者に対して加害者への取消権等の権利を定める消費者契約法の改正が必要不可欠と考えます。

さらに、インターネット取引でも、それ以外の形態の取引でも、虚偽の事実を表示して契約を締結させている事業者に民事上の損害賠償責任を負わせることは、正確な情報提供をしている正直な事業者の競争力の向上ないし保護にもつながると思います。勧誘要件の拡張は、今回の改正論議における最重要論点の一つであると思います。

以下の論点については、一言ずつコメントさせていただきたいと思います。

13ページから14ページの「不利益事実の不告知」部分に関しまして、日常的な取引に関する動機づけへの影響度合いが小さい売り込みについては、重要事項や因果関係が否定されると思われますので、御懸念のような弊害は問題とならないように思います。

15ページの「困惑類型の追加」に関しましては、客観的・一般的に困惑惹起行為と評価できる不当勧誘行為であることが前提となると思います。具体的な要件をどう定めるかという問題であるように思います。

16ページの「条項使用者不利の原則」部分に関しまして、「日本においては特段条項使用者不利の原則を採用する必要はないと考えられる」という御意見内容には違和感を覚えました。外国も我が国も問題状況は同じであると思います。

17ページの「消費者概念」の部分に関しましては、先ほども触れましたとおり、中間取りまとめの5ページで、残された議論の中心は「団体が実質的には消費者の集まりである場合」と理解しております。

18ページの「情報提供義務」の部分に関しましては、中間取りまとめの6ページで、議論の対象として、まずは不利益事実の不告知による意思表示の取消しの規律を検討することになったと理解しております。反面、不利益事実の不告知は重要論点だと思います。なお、現時点でも事業者には信義則上の情報提供義務が課されており、問題は消費者契約法で明文化するかどうかという点であると理解しております。

最後に、20ページの「成年年齢の引下げ」に関しましては、少なくとも事業者が若年者の社会経験の不足等に乗じて不必要な契約をさせた場合など、若年者の要保護性が高い事案の場合には取消権を肯定し、被害救済を図ることが必要であると考えます。この点、「つけ込み型不当勧誘」の法制化は有力な選択肢の一つと考えます。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

増田委員。

○増田委員 ありがとうございました。

基本的に、事業者における具体的なケースが想像しにくいことが多くて、消費者問題にどういうトラブルがあるのかも、反対に言うと具体的な事例を提供しないと御理解がなかなか難しいのかなと思いますので、その辺を今後、少しずつお教えいただきたいと考えております。

例えば2ページの八百屋さん、魚屋さんに関して言えば、今日は安いとかそういうことではなく、産地偽装がよくあります。その産地について異なることを表示していたということであれば、たとえ八百屋さん、魚屋さんであったとしても、問題となることだろうと思いますし、図を示していただきました靴を買うケースなのですが、これもさまざまな情報を得てその靴を買いたいと思って、最後のネットの表示でこの靴を履くと走るのが1分速くなるとか書いてあれば、やはり問題となることであり、取消しができる程度のものだろうと感じるところです。

そういう意味から言うと、具体的にどういう場合に小売業者の方たちが困るのかをもう少し具体的なことを今後教えていただければと思います。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

井田委員。

○井田委員 御報告ありがとうございました。

一つは、増田委員の今の発言ともかぶるのですが、小売といってもさまざまな商品があると思いますので、特定の商品の特定の声かけあるいは特定の広告について、購入者からのトラブル、クレームが多いということをもしチェーンストア協会で把握されているのであれば、それは出していただけたらと思うのが一つ。もう一つは、条項使用者不利の原則のところで16ページなのですが、結論としては一番下で「日本においては」という書き方をされていらっしゃるのですが、私が想像する小売業はむしろ契約書を伴わない取引が結構多いのではないかと思いますので、この原則が導入された場合における小売業者の懸念というか、御懸念がもしおありであればおっしゃっていただけたらありがたいと思いました。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

河上委員長。

○消費者委員会河上委員長 どうもありがとうございました。

最初に、今日プレゼンをいただいたことの意味をもう一度確認しておきたいのですけれども、第1期の委員にプラスして新しい委員の方に入っていただきまして、特に事業者の委員の方が増えております。なぜかというと、消費者契約法という法律が制定された場合に、実際の事業活動にどういう影響があるのだろうかと。これまでの経験も踏まえて一定のルールが設定された場合の考えられる問題点について、具体的にいろいろ御知見を御披露いただき、問題意識を共有できればありがたいと考えたわけでございます。

その意味で、今日はさまざまな論点について賛成、反対の、ほとんど反対の御意見をいただきましたけれども、それ自体への再反論などは改めて論じる必要はないかなという気がいたします。むしろこういう立法的な動向に対して、小売業界としてはこういうことが問題だと考えているのだということを端的に、具体的な例で教えていただければありがたいということで、これからも、できるだけ具体的なそういう問題点について教えていただければありがたいと思いますので、よろしくお願いします。

その上で、今日の話の中で少し感じたことなのですけれども、広告と勧誘の関係は、第1期のときも随分話題になって、議論としてある程度までやった問題ではありますが、最後まで詰めることができなかったところなので、この問題については、今後、詰めた議論をする必要があるのではないかという気がいたしました。

もう一つ、今日、中村委員のお話でも有山委員のお話でも話題になったのですが、景表法のような特別の法律と、消費者契約法という法律の射程の問題で、両方がかぶさってしまうようなときに、一方で処理できているのだからいいのではないかという議論がありますが、実はそれぞれの法の目的にしたがって、適用の要件、効果はかなり違う。しかもそれを主張していくときのコストも違うということを考えますと、決して重畳適用を避ける必要はないのだろうと思います。それぞれの法律の役割がある点に留意しなければなりません。

消費者契約法は御承知のように、事業者対消費者の間のかなり包括的な民事ルールでございますから、いろいろなところに関係しているのは当然であります。それが一番いい形で効果を発揮できるのはどれかという問題はありますけれども、消契法はそれがあるから当該の問題に口出しをしてはいけないという話ではないので、その辺はむしろ遠慮なく議論していただければありがたいと思いました。

消費者に一定の権利が与えられることになった場合の濫用の危険は、事業者の方はいつも考えていらっしゃることなので、それはむしろ徹底的に言っていただいたほうがいいのだろうと思います。その場合に、そのような濫用がないように要件上の工夫をしていくことは、しっかりと考えていかないといけないことですので、このあたりも今後の議論としてぜひお願いしたい。

最後になりますが、成年年齢の引下げの話がございました。具体的に18~19歳に関して、消費者契約法で取消事由を増やすなどということは、おそらくここでは議論する場ではございません。成年年齢の引下げに関してのワーキングチームが別に動いておりまして、そこで一定の検討をさせていただこうと考えておりますが、問題は、成年年齢を引き下げるかどうかという話以上に年齢等に起因して判断力が不十分な者あるいは経験が不足している者が、その不足につけ込まれた形で不当な契約を締結させられたという現象が、ここでの課題になろうかと思います。これは高齢者であろうが若年者であろうが、あるいは障害者であろうがいろいろな形で起きる問題でありまして、この問題はここでしっかりと議論していただくということがあってしかるべき場だと考えております。

成年年齢の引下げに関しては、場合によってはワーキングチームである程度議論をして、論点がはっきりした時点で消費者契約法の専門調査会に意見を伺うというプロセスをとっていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

今の河上委員長からの御指摘を踏まえて、私からも、この場ではなくても、いずれこの委員会でお教えいただければという点を少しだけ申し上げておきます。といいますのは、前回にも申し上げたことですけれども、一定の消費者契約法で規定を置いた場合に、実務、つまり事業者と消費者のそれぞれにどのような影響が具体的に出るのかが見通せませんと、なかなか改正は難しいというのはそのとおりだと思います。

今日のお話では、勧誘要件を広げることによって、例えば契約をする際に確認等が必要になって、コストがかかるという御指摘がありました。これは拝見している限り、情報提供義務の話をしておられるのではないかという印象がありました。例えば、故意に告げていない事柄について、告げるべきであるという規定が置かれた場合に一体どのようなコスト、あるいは確認のコストが生じるのだろうかという点は、すぐには分かりませんでした。あるいは、不実告知をしてはいけないということで、なぜ契約締結時に確認がいるのだろうか。そういった事柄についてもう少し補足をしていただければ、つまり、情報提供義務の問題と、ここで問題にしている不実告知や不利益事実の不告知の問題は違う問題であって、後者についてどのような影響が出るのかがここでのかなり重要なポイントですので、それに合わせた具体的な指摘をしていただければ、大変ありがたく思います。

あわせて、10ページに不実告知についての問題提起があるのですが、これも河上委員長が先ほど御指摘されましたように、下のほうにメーカーが行ったテレビ広告を見て小売事業者の店舗で日用品を購入する場合などを「勧誘」と見て、取消しの対象としようとするのは濫用の危険もあり相当ではないとされているのですけれども、「濫用の危険」が一体何を意味しているのか、実際の現場でどのようなことをお考えなのか、それによってどのようなコストないしは不利益がどの程度生じるのかという点について、この場でなくても結構ですので、いずれ情報提供していただけると大変ありがたいと思いました。

どうぞ。

○中村委員 詳細な部分は、それこそ改めて時間を設けてお話しさせていただければと思いますけれども、本日は初めてのプレゼンで、一般論で、私としてはある程度具体例を踏まえて御説明をさせていただいたつもりなのですが、若干分かりにくいというところについては、また補足をさせていただきたいと思います。

基本的にはおっしゃっていただいたように、濫用の危険といいますか、要は、実際にはそういう誤認をしたのではないのに後から誤認をしたということを述べて、残念ながら事業者に余り正当ではない方がいらっしゃるのと同様に、消費者の方の中にもそういう人も、同じ人間ですので同じような割合でいらっしゃるということの中で、そういう規定が広く設けられることによって、悪用する人も出てくるということで、私どもは日常の取引をしているという立場で、そういうものが非常に増えることを懸念しているところも事実であります。

最後の情報提供義務だけではなくて、不利益事実の不告知に関しましては、結局物を売るときに後からこういうことを言っていなかったと言われることの予防のために、販売をするときには全部このことを言ってから売りなさいみたいなことになると、かえって皆さんのお手間になるということ、ざっくり申し上げるとそういうことを想定しているということでございます。

簡単ですけれども、以上です。

○山本(敬)座長 長谷川委員。

○長谷川委員 個別の論点については、今、いろいろプレゼンテーションに出されたものも含めて、今後、議論されるということなので、本日発言は控えさせていただきます。議論の仕方に関し、こういう規制が入ることを前提に、それが入るとどう困るかを事業者が立証しろというのは、通常の立法プロセスとは若干違うのではないかと思っております。まず、現状、こういう不都合があるということで、それに対し、こういった新たな規制を入れるとか、こういった法改正をしようということがあって、次に、それに際して何か不都合があれば考えるということなのだろうと思います。

つまり、まずはこういった不都合があって、具体的にはこういう規制を考えているのですというのがあって、その上で、不都合、あるいは濫用の懸念に係る議論がなされるのが通常なのではないかと思っております。

もう一点、不勉強で恐縮なのですけれども、既に起きてしまったものは救えないという御趣旨で座長も含め発言をされた方がおられたかと思います。要するに、行政的な措置とかそういうものでは救えないものがあるのだという趣旨の御発言が幾つかあったように思います。その意味が私はよく理解できなかったのですが、教えていただければと存じます。すみません。

○山本(敬)座長 代表して沖野委員から、よろしくお願いします。

○沖野委員 私が申し上げた点かもしれませんけれども、行政的な規制でこういうことをしてはいけないとか、あるいはそれの違反に対して行政的な監督や関与などをしていくということによっては、これから生じる被害をある程度減じることに対しては、一定の意味があると思いますが、例えば有山委員のところに既に相談が多く来ているように、それにもかかわらず契約してしまったというときに、それに対して、当該個別の消費者の契約における救済、例えば払ってしまったものを取り返せるのだろうかとか、払えと言われているのだけれどもそれを拒絶できるのだろうかということについては十分な救済にならないので、両方の面から対処していく必要があって、他方があれば十分だということにはならないのではないかという趣旨で申し上げたということです。

あとこの機にもう一点だけ、長谷川委員がおっしゃった点について、濫用についてですけれども、一般論としてはおっしゃるとおりなのだと思います。ただ、この消費者契約法の専門委員会は既にさまざまに議論を重ねてきて、改めて再開されているという段階にあって、既に被害状況というか、トラブル状況の確認もかなり何段階にもわたって行い、それに対する立法の対象でどういうことが考えられるかの検討をし、その一部は結実したけれども残された問題が多いという段階ですので、長谷川委員がおっしゃったような、こうあるべきではないかという段階に来ている中での濫用の具体的な話をどう考え、それに適切に対応できるような考慮をどう組み込んでいくのかという段階なのだと理解しております。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

長谷川委員。

○長谷川委員 沖野委員がおっしゃった後段のところは、過去の経緯もよく勉強させていただきたいと思います。前段は、法改正があったときに、契約時まで遡及するということが前提になるわけですか。遡及しないのであれば、いずれにしても救えないのではないかと思うのですが、私が間違えているのでしょうか。

○山本(敬)座長 沖野委員、もう一度お願いいたします。

○沖野委員 今、おっしゃったのは、遡及するかという話は、法改正があることによって、過去に生じている事例を救えるかという問題だと思うのですけれども、申し上げたのは、例えば事前の規制によってそういうことが起こらないようにすることで全てが封じられるのであれば、それは一つの対応だと思いますが、それにもかかわらず契約がされたというときに、それを救えるのかという問題です。言い方が余りよくなくて申し訳ないことです。

○長谷川委員 例えば有山委員のところに今、相談に来られている契約があって、それを今後の法改正で救えるということでしょうか。

○沖野委員 私の言い方が悪かったと思いますが、過去に遡及してこれをどうするかという話ではなくて、事前の規制とそれにもかかわらず実際に契約をしてしまったという人の事後の救済をどうするかという問題です。それと将来の立法によって過去の事例を救済できるかはまた別の問題です。

○山本(敬)座長 今後、事件が起きたとしまして、事前規制があるならば本来は起こってはいけない事件なのかもしれませんが、それが実際に生じてしまったときに、事前規制があるからといって、現に生じてしまった被害者の救済が得られるかというとそうではなく、その被害者を救済しようとすると、例えば消費者契約法などで司法的規制を定めておく必要がある。そうでないと、現にこれから生じる被害者の救済ができないということが、うまく言えないのですが、言いたかったことではないかと思います。

中村委員。

○中村委員 先ほど沖野委員から御説明があった後段の部分なのですけれども、多分、長谷川委員がおっしゃりたかったところを敷衍して申し上げると、要は、こういう事例の蓄積のところも、具体的な事例にどう対応するということを確認することも、もう一回私どもとしてはしていただきたいのですが、あわせて特に事業者がどう困るのかを具体的に提示させていただくに当たっては、例えば条文がこうなったらどうかとかがもう少し煮詰まってからでないと、どう困るのかは、今、どうするということが既に決まっているわけではないので、具体的にお示ししにくいので、その時点において改めて御説明させていただきたいというところは申し上げたいと思います。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

これから、そう遠くないうちに具体的な案をもとに検討していくことになると思います。その際には、今、話題になっているような事柄についても、積極的に情報提供をしていただければと思います。

私の不手際で既に3時になってしまいました。まだまだ御意見等があると思いますが、今週もう一度新しい委員の方に同じようにプレゼンテーションをしていただいて、意見交換をさせていただくことになります。大変恐縮ですけれども、今日、言い足りなかった分も含めまして、次回に補足するような形で結構ですので、御意見を頂戴できればと思います。大変申し訳ありませんが、どうか御容赦のほどお願い申し上げます。本日の意見交換につきましては、いずれにしましても、今後の検討に生かしていきたいと思いますので、御理解のほどよろしくお願い申し上げます。

最後に、事務局から事務連絡をお願いいたします。


≪3.閉会≫

○丸山参事官 本日も熱心な御議論をありがとうございました。

次回は、10月28日、今週の金曜日の15時からの開催を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

○山本(敬)座長 本日は、これにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

以上

内閣府 Cabinet Office, Government of Japan消費者委員会事務局
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