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第25回 消費者契約法専門調査会

日時

平成28年9月7日(水)10:30~12:00

場所

消費者委員会会議室

出席者

【委員】
山本敬三座長、後藤巻則座長代理、有山委員、石島委員、磯辺委員、沖野委員、河野委員、後藤準委員、永江委員、中村委員、長谷川委員、増田委員、山本和彦委員、山本健司委員
【オブザーバー】
消費者委員会委員 河上委員長
法務省 中辻参事官
国民生活センター 加藤理事
【消費者庁】
加納消費者制度課長
【事務局】
黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 消費者契約法改正法についての説明
  3. 検討課題に関する意見交換
  4. 閉会

配布資料(資料は全てPDF形式となります。)

議事録

≪1.開会≫

○丸山参事官 それでは、時間になりましたので、始めさせていただきたいと思います。

本日は皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから、消費者委員会第25回「消費者契約法専門調査会」を開催いたします。

本日は、所用によりまして、井田委員、大澤委員、丸山委員、柳川委員が御欠席ということで連絡をいただいております。

まず、配付資料の確認をさせていただきます。議事次第の下部のほうに配付資料一覧をお示ししております。お手元の資料の中で不足がございましたら、事務局のほうまでお声がけをよろしくお願いいたします。

それでは、山本座長、以降の議事進行のほうをよろしくお願いします。

○山本(敬)座長 山本でございます。引き続き、専門調査会の座長を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

それでは、まず本専門調査会の再開に当たり、消費者委員会の河上委員長より御挨拶を頂戴したいと思います。

河上委員長、よろしくお願いいたします。

○消費者委員会河上委員長 河上でございます。本日は天候の不順な中、御参集いただきまして、まことにありがとうございます。

お約束しておりました専門調査会が再開できるということで、ほっとしております。本来であればもう少し早く再開をしたいと考えておりましたけれども、諸般の事情で遅れてしまいまして、責任を感じております。

新たに委員にお願いした方々もいらっしゃいますので、当委員会の設置の経緯を簡単にお話いたします。平成26年8月5日付で総理大臣から諮問を受けまして、その諮問の内容と申しますのは、消費者契約法の施行後の消費者契約に係る苦情相談の処理例及び裁判例等の情報の蓄積を踏まえ、情報通信技術の発達や高齢化の進展を始めとした社会経済状況の変化への対応等の観点から、契約締結過程及び契約条項の内容に係る規律等の在り方について検討されたい。こういうものでございました。

実際に論点を拾い上げてみますと相当の数になってしまいまして、なかなか審議が進まなかったということで、中間取りまとめをしました後、平成27年12月に一旦報告書を取りまとめるということになりました。その際にお約束しておりましたのが、今後、この答申はパート1として、パート2に関しては引き続き検討して、できるものから速やかに法案につなげていきたいということを申し上げた次第でございます。

この最初のパート1に対応する部分と申しますのは、特定商取引法の改正と一緒になって、今年の通常国会に法案として提出されました。これは消費者庁としては大変な作業をしていただいたということで、感謝しております。国会では、例の地震なんかもありまして、ぎりぎりのタイミングでこの法案が通ったということで、ほっとしているところでございますけれども、この法案が通ったことを受けて、すぐにでも再開に向けてということを考えていたのですが、まだまだ少し準備が必要だということで、今日に至ったということでございます。

また、国会の中の法律の附帯意見などでも、残された課題については速やかにこれを審議するようにと要請されておりまして、その意味でも私どもとしては懸命に、この残された課題についての準備をさせていただこうと考えているところでございます。

こうした審議の場というのは、ややもすると事業者対消費者という、ある種の対決の場になってしまう可能性がございますけれども、考えてみると、私どもはみんな消費者でございまして、逆に言うと、みんな事業者の家族であったり、場合によっては従業員であったりというようなことでありまして、その意味では勝った負けたの話ではございません。今後の新しい時代の市場でそれぞれがどういう、あるべき行動規範のもとで行動すべきかということを明らかにするのが私どもの使命となるわけであります。

皆様の御見識をもって、よりよいルールを策定するということで、公正で、かつ安全・安心な市場が形成できるように、ぜひお力添えをいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○山本(敬)座長 どうもありがとうございました。

次に、お手元の参考資料1を御覧いただきたいと思います。こちらは本専門調査会の委員名簿となりますが、前回の専門調査会以降、阿部委員、古閑委員の2名が退任され、有山委員、石島委員、磯辺委員、永江委員、中村委員、長谷川委員の6名が選任されましたので、計18名となっています。

それでは、本専門調査会に新たな委員も加わりましたので、新委員の6名の皆様から簡単に自己紹介をお願いしたいと思います。

初めに、有山委員からお席の順番にお願いいたします。

○有山委員 公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会という大変長い名前なので、通称NACSと呼んでいただいております。NACSでは25年以上、行政がお休みである土日に、現在も消費者から相談を受けております。その結果をもって、皆様に御報告をできたらと思っております。

どうぞよろしくお願いします。

○山本(敬)座長 それでは、石島委員、お願いいたします。

○石島委員 ヤフー株式会社コーポレート統括本部政策企画本部長をしております石島と申します。古閑の後任として政策企画本部長になりました。

ヤフー株式会社という会社はさまざまな事業活動・サービスを行っておりまして、それぞれが社会としっかりと結びつきを持った形で事業に取り組んでいきたい。そのためには、我々の活動であるとか考えていることをしっかりお伝えするということを本部の仕事として取り組んでおります。

この今回の委員に任命いただきまして、事業者としての意見ではなくて、しっかりと協調した形で消費活動がなされるような形で何か有益な意見をお届けできればというふうに考えております。

どうぞよろしくお願いいたします。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

磯辺委員、お願いいたします。

○磯辺委員 消費者機構日本と申しまして、消費者団体訴訟制度で認定を受けている適格消費者団体で専務理事を務めております磯辺と申します。よろしくお願いいたします。

主に私どもの活動としましては、消費者の方々から被害の情報提供を受けまして、消費者と事業者の間で結ばれている約款の契約条項の中で、消費者に一方的に不利益なものについて検討して、制度に基づいてそういった契約条項の是正・差止めを求めるという活動をしておりますので、幾ばくか情報を受け付けておりますし、そういった具体的な条項を是正していただいた経験等もございますので、そういった観点からこの議論に参加をさせていただければと思っております。

どうかよろしくお願いいたします。

○山本(敬)座長 それでは、次に永江委員、お願いいたします。

○永江委員 日本広告業協会で法務委員会の委員長をやっております永江です。株式会社電通に所属しております。

先ほど河上委員長からお言葉がありましたように、公正かつフェアな市場、ルールの策定という観点で貢献できたらと思っております。事業者、消費者側ということなく、フェアなルールづくりができればと思っております。

よろしくお願いいたします。

○山本(敬)座長 それでは、次に中村委員、お願いいたします。

○中村委員 このたび、専門調査会に参加することになりました、日本チェーンストア協会の中村と申します。所属は株式会社セブン&アイ・ホールディングスになります。

ちょっと長目なのですけれども、一言申し上げたいと思います。

今年は台風で各地に被害が起きまして、東北でリンゴを早目に収穫するというようなニュースがございました。そのときに、早目に収穫したリンゴは味がのっていないものがあるかもしれないけれども、農家の方の応援のためにそのまま買うのか、甘いものだけを選別して消費者が買うのか、あるいは残ったものを例えばジュースにして買うのか。これは消費者の選択になります。私ども小売業というのはそれを、消費者の御要望を受けて、それに従って購買をして、販売をしていくというような役割になっています。このように、商品・サービスにも絶対的によいものとか悪いものがあるわけではございませんで、消費者が情報を得て選択しなければならないものがたくさんございます。

また、言葉というのはなかなか万人には同じように理解がされませんので、情報を伝えるのも簡単ではございませんで、たくさん情報がある場合には、例えばアレルギーの表示でございますとか、人によって大事にするものも異なりますので、何を優先して伝えるかというのも難しい判断となります。ですから、消費者と企業が協働して、必要な情報をどうすれば伝わるのかということを不断の努力によって改善をしていくことが重要だと考えております。

申し上げたいのは、消費者が正しい情報を得て選択するという、賢い消費者であろうという意識を持っていることがよい社会をつくっていくことの基本になるということでございます。

消費者が何も注意をしなくてもいい取引ができるというのが理想の社会と思われるかもしれませんけれども、そういうふうにいたしますと、正直にマイナスの表示をしている企業が結果的にはなくなってしまって、ごまかしている企業が残っていくということになりかねません。ですから、判断力の衰えた高齢者の方をどう守るかということはもちろん考えていかなければならないのですけれども、どのように消費者が賢く選択ができるのかという視点で議論をしていければいいなと思っております。

以上でございます。

○山本(敬)座長 それでは、次に長谷川委員、お願いいたします。

○長谷川委員 経団連の長谷川でございます。阿部の後任といたしまして、この委員会に参加させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。経済基盤本部というところに所属しております。

私、この消費者契約法ができるときに、まだ若かったのですけれども、担当しておりまして、それから11年ぶりぐらいに、この4月からこの分野を担当することになりました。この分野は一般法ということもあり、非常に各業界の関心が高い事項でございまして、私もしっかり議論に参加させていただければと思っているところでございます。

先ほど河上委員長あるいは永江委員のほうからおっしゃられた公正あるいは安心・安全な消費者市場の実現という観点からいろいろ発言させていただければと思っております。

また、先ほど中村委員のほうからリンゴの話がありましたけれども、基本的には全ての取引はお互いの当事者の効用を向上させるというのが原則かと思いますので、その効用が最大化できるような形でルールづくりに寄与するような議論ができればと考えております。

ぜひよろしくお願いいたします。

○山本(敬)座長 どうもありがとうございました。


≪2.消費者契約法改正法についての説明≫

○山本(敬)座長 それでは、ここから議事に入らせていただきます。

御承知のとおり、本専門調査会では昨年12月25日に報告書を取りまとめ、その内容を踏まえて、本年1月7日に消費者委員会から答申が出されています。そこで本日は、まずその答申の内容を踏まえ、さきの通常国会で成立した法改正の内容について消費者庁から御説明いただきたいと思います。

よろしくお願いいたします。

○消費者庁加納消費者制度課長 消費者庁の加納と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

資料1-1から資料1-3までおつけしておりまして、先ほど座長から御紹介をいただきました、さきの通常国会で成立しました消費者契約法の改正法について、その内容を御紹介したいと思います。

資料1-1の1枚目、横長の図を御覧いただければと思いますが、消費者契約法は契約の取消しと契約条項の無効というものを大きな柱としておりますけれども、それぞれ記載のとおりの改正をしております。

「1.契約の取消し」のほうにつきましては<現行規定>のマル1からマル4までの不当勧誘に基づく取消権に加えまして、幾つかの手当てを講じております。

1つ目は<課題>の一番上の枠囲みに書いてある、高齢者の判断能力の低下等につけ込んで、大量に商品を購入させる被害事案というものでありまして、過量な内容の契約の取消しというものを新たな取消事由として設けております。

1枚めくっていただければと思うのですが、紙の2枚目に改正事項マル1というものがありまして、薄い緑色で色をつけておるところでありますが「1.過量な内容の消費者契約の取消し」というところであります。

<課題>として書いてある高齢化問題というものは先ほど御紹介をしたとおりでありますが【事例】として、呉服の大量販売の事例というものを御紹介しております。こういった事例についてどう対処するか。

現行法上は、民法の公序良俗無効、あるいは不法行為に基づく損害賠償といった形での救済が図られていることもあろうかと思いますが、その規定ぶりは抽象的でありまして、どのような場合に規定適用されるかが必ずしも明らかではないところで、予測可能性を高めるという観点から、特商法の過量販売解除権とは別途、消費者契約一般における手当てとして消費者契約法に新たな取消事由として設けたというものであります。

改正事項の具体的な内容は下のところに書いてありますが、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者契約の目的物の分量等が当該消費者にとっての通常の分量等を著しく超えるものであるということを知っていた場合等において、その勧誘により、消費者が意思表示をした場合には取消しを認めるというものであります。

ここで新旧対照表を御覧いただければと思います。資料1-2というものになります。

資料1-2の1ページから2ページにかけまして、改正法第4条4項というものがこの規定であります。上下段になっておりますが、上段部分が改正の内容となっておりますけれども、この第4条第4項、非常に長い文章でありますが、これが過量な内容の契約の取消しであります。

先ほど資料1-1のほうで、通常の分量等を著しく超えるというふうに申し上げました。その点は1ページの末尾から2ページにかけまして考え方が書かれておりまして、分量等といいますのは消費者契約の目的となるものの分量、回数または期間というふうにしております。

通常の分量等としまして、2ページ目の1行目から書いてありますが、その次に括弧を書きまして「消費者契約の目的となるものの内容及び取引条件並びに事業者がその締結について勧誘をする際の消費者の生活の状況及びこれについての当該消費者の認識」といった、通常の分量を考える際の考慮事由を明記しまして、こういったものを勘案して、通常の分量というものを想定し、その通常の分量等を著しく超えるものであることを知っていた場合に、この知っていたという主体は事業者でありますけれども、事業者が知っていた場合に、その勧誘により消費者が契約の申し込みなどをした場合には取り消すことができるという枠組みであります。

この通常の分量等を著しく超えるという言い方は、最終的には個別事案において裁判所の適切な判断に委ねるというものでありますが、その通常分量等の考え方は、この内容及び取引条件などを考慮するというものであります。

また、知っていた場合において、その勧誘により意思表示の申し込みをするというものでありますので、事業者がそういった通常の分量等を超えるということを知りながら勧誘をする場合に取消事由となるというものでありまして、知らないで勧誘をしたとか、あるいはそういった勧誘はなかったという場合には取消事由となるというものではありません。

2文目に、同種契約を締結して、その同種契約の分量と新たな消費者契約の分量等とを合算した分量等が通常の分量等を著しく超えるものであるという場合の規定を設けております。これは、1文目は1回の消費者契約において過量になる場合、2文目は2度、3度と繰り返すことによって同種契約が累積することによって通常の分量等を超える場合というものを念頭に置いて条文を書き分けたものであります。

以上が過量な内容の消費者契約の取消しであります。

それから、資料1-1の1枚目に戻っていただきたいと思います。<課題>の2つ目の枠囲みでありますけれども、契約の目的物に関しない事項についての不実告知による被害事案というものであります。

<現行規定>が上に書かれておりますが、そのマル1の不実告知は、重要事項に関する不実告知が取消しの対象になる。それで、その重要事項は契約の目的物に関する事項というふうにされており、契約の品質でありますとか性能、あるいは価格等の取引条件というものが対象になるというふうに規定が設けられております。

これに対しまして被害事例においては、枠囲みの例として、床下にシロアリがいて、家が倒壊するという勧誘を受けて、違法工事を行ったり、床下換気扇を設置したりというケースでありますが、契約の目的物ではなくて、その契約締結の必要性に関する事項について不実を告げるといったケースでありまして、現行法の規定では必ずしも取消対象にはならないのではないかというふうに考えられるものにつき、重要事項の範囲が拡大することによって消費者の救済を図っていこうというものであります。

2枚目の改正事項マル1というところを御覧いただきたいと思いますが「2.重要事項の範囲の拡大」という点であります。

今、申し上げましたように<課題>としまして、現行法の重要事項の範囲は契約の目的物の内容及び取引条件に限られているということに対し、契約の目的物に関しない事項についての被害事案。【事例】として書いてありますような床下の事例でありますとか、ガソリンスタンドにおけるタイヤ交換のケースというものを紹介しておりますが、こういった相談事例が現実にございます。

そこで<改正事項>としましては、重要事項の範囲の拡大として、不実告知の対象となる重要事項として、当該消費者契約の目的物が当該消費者の生命、身体、財産その他の重要な利益についての損害または危険を回避するために通常必要と判断される事情を追加するといった手当てを講ずるというふうにしております。

事例に即して申し上げますと、例えば床下が湿っているという点に不実があるわけでありますが、それによって家が危ない、倒壊するといった財産上の損害が発生するかもしれないということで、その損害を避けるために換気扇を設置する契約を締結する。あるいはタイヤのケースでありましたら、溝がすり減ったままであれば事故に遭い、自動車が損壊したり、生命・身体の危険が生じるということでありますので、そういった損害・危険を回避するためにタイヤを新たに購入するという事例でありまして、こういったものを取消事由として認めていくというものであります。

次に、資料1-1の1枚目に戻っていただきたいと思いますが<課題>の3つ目というところでありまして、取消権の行使期間を経過した被害事案というものがあります。

これにつきましては、改正事項のマル2の「4.取消権の行使期間」というところを御覧いただきたいと思います。

点線で、真ん中あたりに枠囲みで書いておりますが、現行法は取消権の行使期間につき、短期が、追認をすることができるときから6カ月間。長期が、契約の締結のときから5年といった規定になっております。これに対し、6カ月を経過した時点で事案が発覚あるいは相談に訪れるといったようなケースが見られまして、こうした事例についても適切に被害の救済を図るという観点から、短期の行使期間について1年に伸長するといった手当てを講じたものであります。

それから、今、御覧いただいている改正事項のマル2の「3.取消権を行使した消費者の返還義務」というものでありますが、これは現在、国会に提出中の民法改正法案との関係での手当てでありまして、結論としては、現行法上の現存利益の範囲内での返還義務という規律を維持するという観点から手当てを講ずるものであります。

資料1-1の1枚目に戻っていただきたいと思います。続きまして「2.契約条項の無効」という点であります。

<現行規定>は、不当条項リストということでマル1からマル3まで、条文で言いますと8条、9条、10条という、不当条項を無効とするといった規定を設けております。

マル3は、消費者の利益を一方的に害する条項ということで、一般条項と言われることがありますが、マル1、マル2に当たらない条項につきましてもマル3によって無効とするといった位置づけで設けられているものであります。

<課題>として、1つ目でありますが、消費者の解除権を一切認めない条項というものが見られます。例として、いかなる場合でも解除できませんというものでありますが、これが有効だということになりますと、例えば当該商品に欠陥があった。本来、債務不履行ないし瑕疵担保だということで、消費者が契約を解除することができるはずのところをできないということになりますと、残金があればそれを支払い続けなければならないということになりかねないということでありまして<改正内容>として、事業者の債務不履行等の場合でも、消費者の解除権を放棄させる条項について無効とするといった手当てを講ずるというふうにしております。

<課題>の2点目でありますが、法10条に関してであります。10条は、先ほど一般条項というふうに申し上げましたが、点線の枠囲みに書いてあるような黒丸1、黒丸2といった要件立てをしております。

この黒丸1につきまして、民法、商法等の任意規定の適用による場合に比べ消費者の権利を制限する条項という点に関しましては、立法当時は、この任意規定というものは明文の規定があるものをいうのだという考え方に立っており、民法第何条とか商法第何条という形で根拠規定が何らかあるものをいうのだと考えていたところでありますが、その後の施行後の最高裁の判決によりますと、必ずしも明文の規定だけでなく、一般的な法理等も含む。法理等といいますのは、いわゆる判例法理でありますとか、法のいわゆる一般原則でありますとか、そういったものかと思われますが、そういう趣旨の判決が出されましたことを踏まえまして、それを読めるような形で例示を追加するというものであります。

その例示の中身は(※)に書いてあるような、消費者の不作為をもって意思表示をしたものとみなす条項というものであります。

改正事項のマル3、資料1-1の4ページ目になりますけれども、御覧いただきたいと思います。そこで「6.法第10条の例示」というものがあります。

<課題>として、黒丸1の任意規定についての最高裁判決が出された。しかし、どういった条項が対象となるかがわかりにくいといった問題を踏まえまして、手当てを講ずるというものであります。

真ん中よりやや下に【事例】というものがあります。掃除機の売買契約で、商品の掃除機が届けられた際に健康食品が同封されていた。当該健康食品の継続購入が不要である旨の電話をしない限り、その健康食品を継続的に購入するという旨の条項が含まれていた。こういった相談事例がございました。

この場合、消費者の意識としては掃除機を購入したということでありまして、健康食品の同封の意味がよくわからないといったことでありますとか、その条項を読まなかったり、あるいは読んでも意味がはかりかねたりということで手続を行わないということが予想されるわけでありますけれども、そうした場合に継続的に購入するとみなさせていただきますという条項により契約が成立したのだということで商品が引き続き送付され、代金の支払い請求が来る。こういったケースでありまして、消費者にとっては予測できないということが多いのではないかと思われるケースであります。

そこで<改正事項>としては、消費者の不作為をもって、その消費者が新たな消費者契約の申し込みまたは承諾の意思表示をしたものとみなす条項を例示として規定するというふうにしたものであります。ただ、ここで1点御留意いただきたいのは、これはあくまでも例示でありまして、現行10条の規律の内容を変更するということを意図したものではございません。

黒丸2、信義則に反して消費者の利益を害するといった要件を満たして初めて無効になるというものでありまして、例えばこの種の条項としてよく引き合いに出されるのが新聞・雑誌の定期購読というものでありまして、期間を満了した場合に特段の手続をしなければ自動的に延長するものとみなさせていただきますという条項があったとして、それがこの新しい10条によって無効となるのかといった御質問をお受けすることがありますが、それはそうではないのではないかと私どもとしては考えているところであります。というのも、その継続される条項の内容の合理性でありますとか、消費者の認識といったものからしますと、この掃除機のケースとかはちょっと事情が異なるのではないかということで、信義則に反するとまでは言えないケースではないかと考えておりますけれども、そういった結論になるのではないかと考えているものでございます。

1枚目に戻っていただきたいと思いますけれども、以上が概要としては主な改正内容というふうになります。

あと、注意点として2点ほど申し上げますと、その図の枠外に書いてある点であります。

まず、左の「1.契約の取消し」の下に書いてある点でありますが、消費者団体訴訟制度、適格消費者団体による差止請求制度との関係でありますが、新たな取消事由でありますとか不当条項の追加につきましては、適格消費者団体による差止請求の対象とするといった手当てを講じております。

また「2.契約条項の無効」の欄の下に書いてあるものでありますが、施行期日は、公布日から起算して1年を経過した日としておりまして、具体的には平成29年6月3日となるという予定であります。

新しい取消事由や契約条項の無効につきましては、施行後のものが対象になるというような手当ても附則において講じているところでございます。

以上が改正法の内容の概要であります。

あと、国会における附帯決議について御紹介をしたいと思います。資料1-3を御覧いただきたいと思います。

この消費者契約法改正法案につきましては、衆議院、参議院、両議院におきまして審議がされ、可決されたという経緯でありますが、その際、附帯決議がつけられておりまして、衆議院における附帯決議によりますと、引き続きの検討課題というものについても検討することというのが掲げられておりまして「勧誘」要件のあり方や不利益事実の不告知、困惑類型の追加等々といった事項につき、引き続き裁判例や相談事例のさらなる調査・分析、検討を行い、その結果を踏まえ、本法成立後3年以内に必要な措置を講ずることということでございますので、この法律が成立したのが平成28年6月でありますから、そこから3年以内、平成31年6月までに必要な措置を講ずるというのが国会の御意向として政府への宿題というふうに私どもとしては認識をしているところでございます。

簡単でございますが、説明は以上であります。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ただいまの消費者庁からの説明内容に対して、御質問のある方は御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。

よろしいでしょうか。

それでは、続きまして、本専門調査会の今後の審議の進め方等について、事務局から御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○事務局 消費者委員会事務局の大濱と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

私から、今後の専門調査会で検討すべき論点とスケジュールについて、簡単に御説明させていただきます。

まず、今後の専門調査会で皆さんに検討していただく論点ですが、お手元に消費者契約法専門調査会関係法令資料集というファイルがあるかと思います。時間の関係上、一つ一つの論点については細かく説明はいたしませんが、基本的には昨年12月の報告書の中で引き続き検討を行うべきとされている論点、12月の報告書で触れられていない論点については中間取りまとめの中で取りまとめられている内容が今後の検討課題となっております。ただし、時間も限られており、全ての論点を検討するのは難しいかと思いますので、優先順位をつけて検討していただくことになるのではないかと思っております。

次に、専門調査会のスケジュールについて説明いたします。お手元の資料2「今後の審議スケジュール(案)」を御覧ください。

次回以降、11月上旬までの進め方ですが、まず新しく委員になられた方に御関心のある事項についてプレゼンテーションをしていただきたいと考えております。このプレゼンテーションを通じて、新しい委員の方の問題意識を委員の皆さんで共有していただきたいと思っております。新しく4名の委員の方が追加されておりますので、2回程度に分けてプレゼンテーションをしていただく予定でおります。

その後ですが、11月上旬に、先ほど申し上げた今後の検討課題のうち、どの論点を優先的に検討していただくかということを委員の皆さんに御議論いただいて、それ以降の専門調査会で検討していく論点整理をしたいと考えております。

それ以降、11月下旬以降の専門調査会では、その整理に従って個別の論点について検討していただくというようなスケジュールを想定しております。

事務局からの説明は以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

≪3.検討課題に関する意見交換≫

○山本(敬)座長 ただいまの事務局からの御説明内容に対して、御質問のある方は御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。

それでは、河野委員。

○河野委員 どうもありがとうございました。

冒頭に河上委員長もおっしゃっていましたとおり、消費者契約法13年ぶりの改定ということで、消費者側としても気持ちを新たに今回の、2回目の検討会に取り組んでいきたいと思っております。

それで、今後の論点として、前回の中間取りまとめで挙げられたものを、優先順位を決めて対応していく、協議をしていくというお話なのですけれども、前回のときの社会環境といいましょうか、環境をどう見ていくかによって、この消費者契約法のありようといいますか、見方というものが違ってくると思います。

今、時間というものは物すごく速く流れていまして、そのあたりをどういうふうに読み取っていくのかが気になります。前回と同様の論点だとしても、環境の変化をしっかりと織り込んで対応していただきたいと思っておりまして、1点目はEコマースが物すごく進んでいる、このEコマースの進展をどう織り込んでいくのかということと、2点目は決済の方法が非常に多様化されていて、フィンテック等、本当にさまざまな、これは従来どおりの既成概念における決済ではないという状況で消費者保護をどう考えていくかということ。3点目は、最近話題になっていますが、成年年齢の引下げということがございまして、これは消費者団体にとっても非常に大きな関心事でございます。

こうした状況に対して、検討をしっかりと適切に行っていくことが大事だと思っています。そのあたりを、環境の変化を今後の議論にどう織り込んでいくのかというところをぜひ皆さんもお知恵を出していただければと考えております。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

今の点について、河上委員長。

○消費者委員会河上委員長 最後の点についてだけ、ちょっと補足させていただきます。

実は9月1日に消費者庁長官から、民法の成年年齢が引き下げられた場合に、新たに成年となる者の消費者被害の防止・救済のための対応策についてということで諮問がございました。それで、実は昨日の消費者委員会で、消費者委員会のもとにこの成年年齢の引下げに関するワーキンググループを設置することを決定いたしまして、そこでこの問題に関して集中的に検討させていただこうと思います。

ただ、問題は消費者契約法とか特定商取引法にも関係してくるものが相当あるかと思いますので、ワーキンググループである程度、問題点を整理した上で、この専門調査会の御意見を伺うという機会を持ちたいと思っております。

それで、消費者庁のほうから要請されている内容として、年内にこれに対する答えが欲しい。つまり、成年年齢の引下げに関する法案が来年の通常国会に提出される可能性があるので、それに合わせる形で一定の方策を考えてもらいたいという趣旨でございました。ですから、その意味では早目早目に検討を進めて、こちらに御意見を伺う機会を持ちたいと思いますので、その点、よろしくお願いしたいと思います。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

今の点について、ほかに御意見等、あるいは御質問等がありましたら、お出しいただければと思いますが、いかがでしょうか。

山本健司委員。

○山本(健)委員 御説明ありがとうございました。

論点の優先順位に関する意見でございます。

昨年12月の報告書において継続審議事項であると位置づけられており、衆議院の特別委員会の附帯決議でも継続審議事項である旨が明示されている「勧誘」要件のあり方、不利益事実の不告知、困惑類型の追加、「平均的な損害の額」の立証責任、条項使用者不利の原則、不当条項の類型の追加といった諸論点については、まずもって審議の対象にすべき重要な論点になるものと考えます。

また、第三者による勧誘、法定追認、「解除に伴う」要件のあり方等のその他の論点についても、全体的な審議時間との関係で可能な限り、審議の対象としていただきたいと思います。

特に意見を述べさせていただきたいのは、「つけ込み型不当勧誘」の継続審議の必要性です。

今回の法改正で、過量契約の被害類型については民事ルールでの救済の道が開かれました。これは深刻さを増す高齢者被害などの救済に有用な法改正と評価しております。しかし、決してこれで十分というわけではありません。過量契約以外の被害類型の救済措置は未了です。また、先ほどから御指摘がありますように、昨今、民法の親族法において成人年齢の引下げが現実的な立法課題として議論されつつあります。もし仮にこの改正が実現した場合には、18歳、19歳といった若者の経験不足に乗じた消費者被害がこれまでよりも増加することになるのではないかと危惧しております。そのような弊害に対する立法的な手当てとして、消費者契約法における「つけ込み型不当勧誘」に関する立法の要否・内容という論議は非常に重要であると考えます。

以上のような観点から、「つけ込み型不当勧誘」については、過量契約取消の法制化で終わりではなく、ワーキンググループとの役割分担について御整理いただく必要はあるかと思いますけれども、今後の継続審議が必要な重要な論点であると考えます。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかに御意見あるいは御質問等、ありましたらお出しいただければと思いますが、いかがでしょうか。

河上委員長。

○消費者委員会河上委員長 論点を絞らないといけないところなのですけれども、少し前々から気になっていたところなので申し上げますと、民法の債権法改正の中で、実は定型約款に関する規律がございます。この定型約款の規律は不特定多数の顧客を相手にした定型約款に関して、事業者が定型約款の開示を事前に行わなくとも、自分の約款を定型約款とするということさえ言っておけば、消費者の側で約款を見せてくれと言わない限り見せなくても、その内容が契約内容とみなされるという規定がございます。

これは、民法の世界では、やや異常な規律ですが、約款の内容を知りたい相手方が要求しなかったのだから、それは仕方がないというふうな判断だったのかもしれません。いずれにせよ、消費者に関して考えてみると、これを要求する消費者はほとんどいないのではないかと思います。逆に、消費者がみんながみんな要求したら、事業者はお手上げであります。一人一人に対してコピーを渡さないといけない。

消費者に対する情報提供の充実は、やはり大事な消費者契約法の問題でございますので、約款の事前開示に関するルールは、民法の規定がどうなるかにかかわらず、先ほど取消しの効果のところで原状回復のところを、民法の規定がどうなるかにかかわらず現存利益でという改正が通りましたけれども、それと同じように、定型約款に関する民法の規定がどうなろうとも、消費者契約に関しては約款の事前開示の徹底ということをルール化していくことはぜひ考えていただければありがたい。

これは委員長としてではなくて、長年、約款法を勉強してきた人間として申し上げたいと思います。

○山本(敬)座長 どうもありがとうございました。

実は、事務局から今後の審議の進め方等について説明していただいた後、それについて御意見をいただいてから、それぞれの委員の皆様において、今後検討すべきであると考える点などについて意見交換をさせていただこうと思っていましたが、もう既に意見交換に入っているように思います。ですので、この点について自由に御意見をいただければと思います。次回以降に検討課題を整理して、本専門調査会の今後の運営に生かしたいと考えていますので、遠慮なく御発言をいただければと思います。

御意見のある方は、御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。

特に範囲等を限定していませんので、フリー・ディスカッションの形で御発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。

それでは、中村委員。

○中村委員 中村でございます。

特に取り上げていただきたい論点というものは特段、現状ございませんので、そこの部分ではないのですが、今の御議論の中で教えていただければというところで申し上げるのですが、1つは民法の成人年齢の話でございまして、そもそも、それがどの程度、現実性といいますか、確実なことになっているのかというのは私も存じ上げないですけれども、普通に考えますと、選挙に関して若者に広く権利を認めたということで引下げが行われたわけでございまして、基本的にはそこには若者に選挙をするだけの判断能力があるということで定められたものではないかなと思うのですが、さらに民法について、成人年齢もあわせて引き下げるということであるとすると、それは必ずしも消費者契約だけではなく、民法上の成人年齢というものは端的に言えば契約をする判断能力がある年齢というふうに考えられるのではないかなと感じるわけなのですけれども、そこで消費者契約だけについて特別に判断能力が劣っているというような考え方なのだろうかなというところがよくわからないなと思ったところでございます。

それから、先ほど約款の組み入れの話がございまして、これもいろいろ難しい問題だとは思いますけれども、この部分につきましては、こうでなければいけないとか、今の時点で申し上げるつもりはないのですが、例えばJRに乗るときとか、そのときに切符の裏に印刷が一部してあったりとか、あと、ほかのところで見ることができますというような約款がございまして、それを適用させるようにしたいというような御要請があるというふうに聞いたことがあるのですけれども、事前にわかるような状態であるということが本当にわかるような状態であるとすれば必ずしも、先ほど河上委員長から、全部渡すとすると大変でしょうという御発言があったのですが、現実問題として相当のコストといいますか、仮に紙でお渡しすると相当のコストというものがある中で、例えば要点のようなものを書いたパンフレットのようなものはお渡しするけれども、詳細な文章に関しては御要望があったときにお渡しするとか、そういう工夫を企業がするということについて、余り否定的にならなくてもいいのではないかなという思いがございまして、そのあたりのところは今、ここで結論を出す話ではないかと思いますが、企業側としては御議論させていただきたいなと考えているところです。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかに御意見をいただければと思います。

磯辺委員。

○磯辺委員 民法の成人年齢の引下げの件なのですけれども、既に基本的には引き下げる方向でというベースで進んでいるというふうに最近伺いまして、正直言ってびっくりしているところです。確かに選挙権等は積極的に自分たちで勉強して判断していくということで、20歳から18歳に引き下げることはむしろ積極的な意味、主権者としてどう政治にかかわっていくか、参加していくかということで、非常に積極的な意味があるなというふうに個人的には思っていたのですが、ただ、こと契約の問題について言うと、やはり18歳の時点でみずからの責任で契約をする。今は親権者の保護のもとにあるわけですから、契約上の責任が求められるというのが実情に照らして合っているのだろうかというのはやはり考えざるを得ないです。

大学の先生がいらっしゃるので、大学生の雰囲気をよくわかっていらっしゃるのではないかなと思いますけれども、私が18歳で大学に入ったときを考えても、いきなり生活環境が変わって、いろいろな新入生歓迎の取り組みとかがあって、非常にふわふわした状態で新しい生活を迎えるという状況になるわけです。そこでまたいきなり契約もちゃんと責任を持って、自分が当事者としてというふうなことになると、いろいろな契約の持ちかけがあるだろうなということは当然想像されるわけです。今でも20歳になったらマルチの被害とかは増えるわけです。大学3年生という非常に落ちついた環境の中であってもそういう被害が増えるのに、新入生になったときにいきなりそういう契約を持ちかけられて、本当に判断できるのかなとか、心配の種は尽きない。

そういうことで、ここはやはりぜひワーキンググループで慎重に検討していただいて、例えば消費者契約法等において何か特則を設ける必要があるのかとか、そういったことも含めて検討できればいいのではないかなというふうに、現時点、個人的な意見ですけれども、考えているところです。

それと、済みません、ほかの論点についてもよろしいですか。

○山本(敬)座長 もちろんです。どうぞ。

○磯辺委員 「勧誘」要件のところがかなり前回の宿題で残っていまして、既に十分御議論もこの委員会でされてきて、なかなかコンセンサスが得られなかったということだと思いますけれども、先ほどEコマースのお話もありました。それで、通販で言いますと、やはり広告と勧誘の切り分けが非常に難しい。インターネット上の広告と思っていたものがそのまま契約を結ぼうという意思に直接結びつくという場面が多くなりますので、インターネット上の契約を締結させるようなサイトで言いますと、勧誘という側面も非常に持ってきている。そういう意味では「勧誘」要件をそういう新しいインターネット取引がどんどん増えているということを踏まえて、どういうふうに考えるのかというのはぜひ改めて御検討をお願いできればと思います。

あと、不利益事実の不告知で、故意の要件がやはり重いとかというのは私どもも消費者の方から情報提供を受けていて思いますので、そういったところの議論を、実情を踏まえて改めてお願いできればと思っています。

それと、私どもの取り組みとの関係で言いますと、消費者契約法の9条1号の平均的損害を超える部分については無効という規定についての平均的損害の立証の問題というものも非常に苦労するところで、事業者における平均的な損害ですから、実は何が契約解除のときの平均的損害になっているかというのは、つぶさには当該事業者でないとわからないということがありますので、ここも何回も御議論されているところだと思いますけれども、非常に関心を持っておりますので、ぜひ議論に参加させていただければと思っております。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかに御意見があればお出しいただければと思いますが、いかがでしょうか。

長谷川委員。

○長谷川委員 成年年齢の引下げの話で、まず事実関係として、どこまでどう話が進んでいるのかというのを教えていただきたいというのが1点。

あと、先ほど消費者委員会のもとでワーキンググループが設置されるということなのですが、消費者委員会は、全省庁に向けた提言というか、答申機能を持っているというふうに理解しております。ワーキンググループのスコープが消費者保護だけなのか、それとも、民法も含む一般的なものなのか。検討の射程について教えていただければと思います。

○山本(敬)座長 これはどちらからお答えを。

それでは、中辻参事官、お願いいたします。

○法務省中辻参事官 法務省でございます。

民法の成年年齢の引下げの具体的な検討状況について御説明いたします。今から10年以上前のことになりますが、国民投票法の投票権年齢は18歳にするということになりました。それに伴い、公職選挙法の選挙権年齢や民法の成年年齢も20歳から18歳に引き下げるべきか否かが問題となり、民法に関しては平成20年から平成21年にかけて法制審議会の民法成年年齢部会において議論がされ、その結果、選挙権年齢が引き下げられるのであれば民法の成年年齢も18歳に引き下げるのが適当であるという答申を法制審議会からいただいたと、そういう経緯がございます。答申では、消費者教育や学校教育の充実という環境整備が成年年齢の引下げの条件となることにも触れられています。この議論が始まったころはまだ消費者庁という組織も存在しなかったわけですが、その後、消費者庁が設立され、学校教育でも学習指導要領の改訂により消費者教育、法教育の充実が図られるなど、消費者保護や学校教育の施策は以前に比べればかなり充実してきたものと認識しております。

また、皆様御承知のとおり、昨年には公職選挙法が改正されまして、今年6月の参議院選挙から選挙権年齢も実際に18歳に引き下げられました。私どもとしましては、民法の成年年齢引下げについての環境整備はかなり整ってきたと考えているところでございます。

そのような中で、本年9月1日から9月30日までの1か月間、民法の成年年齢の引下げの施行方法について、パブリックコメントにかけております。パブリックコメントではさまざまな御意見が出てくると思います。それらの意見を踏まえることを前提に、私どもとしては、来年の通常国会に民法の成年年齢の引下げの法案を提出することも一つの選択肢として考えているということでございます。

○山本(敬)座長 民法を中心とした今後の見通しないしは方針としては、事実としては以上のとおりであるというお答えということで、よろしいでしょうか。

○長谷川委員 はい。

○山本(敬)座長 それでは、ほかに御意見等がありましたら。

増田委員。

○増田委員 まず、民法の成年年齢引下げの話ですけれども、18歳、19歳の人たちが契約という場面に向き合うのは消費者契約が非常に多いと思います。そうした中で来年、国会で審議されるということがほぼ決まっているという状況で、消費者教育がもう既になされているかどうか。そこのところは非常に疑問がありまして、実際には私どもが現場でいろいろ見聞きしている、経験している中では、消費者教育は全く十分ではないというふうに考えております。やっと今年の4月以降、文科省とともに実効性のあるものができつつあるのかなという感触でおります。

今から始まる、スタートだという状況ですので、やはり施行の方法や、どういう手当てをするのかということは大変重要だと思いますので、ワーキングとともに、この専門調査会の中でも非常に重要な論点として議論していただきたいと思っております。

それと「勧誘」要件に関してですけれども、今、全国の消費生活相談の現場ではインターネット通販によるお試しの契約から定期購入に至ってしまうという相談を、ほぼ全ての相談員が経験している、そういう状況となっています。それが勧誘に当たらないということ自体が非常に疑問に思っております。そういう現場の実態をよく皆さんに知っていただきたいと考えておりますので、これからの議論に期待しております。

よろしくお願いいたします。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

河上委員長。

○消費者委員会河上委員長 長谷川委員から先ほど、消費者委員会は民法についても射程に入っているのかというお話があったのでお答えしますが、特に消費者委員会がどの法律に関して何を言うかということについては、制限はございません。ただ、消費生活における基本的な事項について意見を述べるということになっておりますので、消費生活の中でこれが大事だというふうに思われた場合には、もちろん、消費者問題に特化した特別法、消費者関連の特別法が中心になることが多いのですけれども、それ以外の分野に関しても、消費生活に関連する部分で重要だと思われるところについては意見を述べることができるという仕掛けになっております。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

有山委員。

○有山委員 広告なのですけれども、通信販売の広告以外の話です。今、よくある出会い系サイトとかSNSで詐欺的な被害を受けたという方々がネット検索を行う際、一般の消費者の方は「国民生活センター」ときちんと打てないので、「消費者」とか「センター」とか記憶に残っているキーワードで検索すると、検索結果の上位にヒットするのは調査業の方たちや、探偵事務所だったという苦情があります。相談者は、その調査業よりはNACSのほうがいいと思ったのだけれども、NACSに電話がつながらなかったので、調査業のほうに電話をして相談したところ、「出会い系で被害を受けると大変なことになるから、ぜひ契約しなさい、お金を振り込んでくれればお金を取り戻してあげる」というような助言を受けたという被害もありました。私どもで今、同種の相談を受けている状況です。インターネット社会というものは広告を見て、取引をするということが増えておりますので、広告についてはよく検討していただきたいと思っています。

もう一つ、成年年齢のことなのですが、今回の選挙権年齢引下げに対応してということなのでしょうが、先日、テレビで、政治活動をするには学校に届け出をするようにという、学校から生徒に対しての申し入れがあったことが紹介されていました。現場における学校側の感覚と、生徒側の感覚はちょっとすれ違っているのかなと思いました。ぜひ消費者契約においても現場の意見を聞いていただき、どういうふうに考えるかということを検討していただきたいと考えております。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかに御意見等がありましたら。

山本健司委員。

○山本(健)委員 成人年齢の引下げに関してですけれども、選挙権の問題は選挙権を与える、権利を与えるという議論であるのに対して、民法の成人年齢の引下げの問題は未成年者取消権を奪うという議論ですので、同列には扱えないと思います。権利を奪うことが相当かどうかや、その実施のためには環境整備をする必要があるのではないかといった検討が必要な問題であると思います。

この点、弁護士会における議論において、ある弁護士から、消費生活白書で20代と10代の消費者被害を比べると、例えば20代では美容医療やローンなどの被害が比較的多く発生しているのに対して10代では余り発生していない、成人年齢を引き下げるとそのような消費者被害が19歳、18歳に拡大するおそれがある、そのようなことを視野に入れて手当てを考えないといけないという意見が出ておりましたので、御紹介させていただきます。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかに御意見がありましたらお出しいただければと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、私からも一言だけ、今後の議論に向けての留意事項と私が考えていることを申し上げさせていただきたいと思います。

もう既に言われていることですけれども、消費者契約法について改正を行おうとしますと、それによって消費者及び事業者にどのような影響が生じるかということを踏まえて行う必要があるということは、もちろん言うまでもないことだろうと思います。したがって、消費者への影響といいますか、消費者が現在どのような状況にあり、改正によってそれがどう改善されるかということを検討する必要があるわけですが、その前提として、現状がどのようなものかということを踏まえる必要があります。

これはこれまでの専門調査会でも検討してきたことですけれども、特に裁判例の分析をかなり力を入れて行ってきました。ただ、裁判例は、どうしても数が限定されます。そして、現行法の制約下で裁判実務が工夫しながら一定の解決を導いてきたものですので、どうしてもそのような意味での限界もありますし、そこで一般的な規定を使いながら救済が認められているのは、非常に深刻な事例ではないかと思います。ですので、それだけを手がかりにして実態がこうである、だからこのような改正をすべきであるとなりますと、現実を十分に拾い上げることができない可能性があるのではないかと思います。

その意味では、先ほど消費者庁、あるいは事務局からの御説明にもありましたように、やはり消費生活相談事例等の収集及び分析が不可欠になってくるだろうと思います。そこで一体どのような問題があるかということを可能な限り幅広く、きちんとすくい取ることが必要になってくると思います。

ただ、消費生活相談事例ですら、実は氷山の一角かもしれません。そこにすらあらわれない、現実に起こっているさまざまな問題もあるだろうと思います。そういったものも、ここにさまざまな領域からの委員の方々がおられますので、ぜひここで御紹介いただいて、あるべき改正の基礎にしていただければと思います。

もう一つは、もし改正をしますと、事業者にも当然影響が出てくるわけでして、これもこれまで、この専門調査会で意識して議論してきました。消費者について、先ほどのような現状があり、何らかの改善の必要があるということが言えたとしても、そのための改正がその目的を超えた影響を持つとなりますと、目的からすれば過剰な規制が行われることになる。それによって無用のコストが発生するとするならば、それは問題だろうというような議論がこれまでも行われてきましたし、これからも行われるだろうと思います。

この指摘自体は当然のことだろうと思うのですが、そのような判断を行うためには、ある一定の規律によって実際に事業者にどのような影響が出るのかという点について実証的な分析が必要になるだろうと思います。これは実は、この専門調査会の当初から私が申し上げていることでして、これはやはり必要になるだろうと思います。

ただ、もしこのような改正をすればこのような影響が出るということは予測の問題でして、なかなか実証的にこのような影響が出るとは言いにくいことは、よく理解できます。しかし、何らかの影響が出るということはわかるけれども、どのような影響が、どのようなコストをかけて出てくるのかがわかりませんと、なかなか合理的な判断を行うことができません。

このような点でも、ここに事業者を代表される方々がたくさん出席されていますので、可能な限り、そのような影響についてもう少し具体的ないしは実証的な裏づけになるものも出していただければ、改正に向けた議論として有益ではないかと思いますので、ぜひお願いしたいところです。

さらにもう一点だけつけ加えて申し上げますと、これも専門調査会の当初から問題になっていることですけれども、何らかの規制を設けるのであれば、その内容が明確なものでないといけない、明確な要件・効果を設定したルールの形で整備していく必要があるということがよく言われます。この指摘自体はもちろん、当然のことだろうと思います。ただ、私のように民法の研究者をずっとしている者からしますと、どのように明確なルールを定めても必ず解釈の余地は残ってきます。もちろん、文言の選び方によって解釈の幅は変わってはきますけれども、どうしても解釈の余地は残らざるを得ないところがあります。そしてまた、明確な形でルールを定めようとしても、必ず例外が存在するのだろうと思います。その例外をあらかじめ予想して規定することは、ある程度はできることかもしれませんけれども、例外をあらかじめくみ尽くすことは不可能に近いことではないかと思います。その意味では、やはり一定の評価の余地のある要件を設定して、そういった例外の必要性に対処できるようにしておくという工夫をせざるを得なくなってきます。その上でまた、最後はその解釈に委ねられる事柄ではないかと思います。そのようなことを踏まえて改正を考えていかざるを得ないと思います。

実際にこの場で議論するときには、一定の文言を使った提案に対して、最大限こう解釈される余地がある。そのような解釈によると、このような影響が出てしまうので、やはりこの文言は適当ではない。その結果、この提案ではうまくいかないという議論に陥ることがあります。しかし、現実に法律になったときに、そのような極端な解釈が行われるかというと、多くはやはり合理的な解釈が行われていくことになるのだろうと思います。もちろん、その合理性をどのようにして担保するかということは大きい問題なのですけれども、一つのツールとしては、この場での議論が今後の解釈に影響を与えていくだろうと思いますし、それを例えば逐条解説等で外からもわかるような形で示すことによって、合理的・安定的な解釈を確保する。それによって何とか一致できるような規定が作れないものかということが、私自身、この専門調査会での議論を伺っていて感じていたことです。

もちろん、言うは易く行うは難しであることは重々承知していますけれども、どのように適切に解釈するかということも頭の中に入れながら、そのための適切な材料をこの場で提供していただく。それを踏まえてコンセンサスを形成していく。そのような場にしていくことができればというのが私の願いです。

長々とお話ししまして大変恐縮ですけれども、以上のように申し上げさせていただきます。もし御意見等がありましたらお出しいただければと思いますが、いかがでしょうか。

後藤座長代理。

○後藤(巻)座長代理 ただいまの山本座長の御発言の中で2点、私の気持ちに響くところがありまして、発言をさせていただきたいと思います。

1つ、改正による影響ということをなるべく実証的に考えて検討する必要がある。これはそのとおりだと思います。それから、規定の明確性ということについての御発言もありまして、どの程度、明確なものにすることが必要なのかということ。これについても考えるべき問題として大きな問題だと思います。どこまでも明確性を求めるということであるとなかなか前に進まないということになりますので、どの程度の明確性が要求されるのかというのはやはり考えていく必要があると思います。

そういう意味から参考になると考えるのですけれども、従来、裁判例とか、それから、相談事例とか、そういうものについていろいろ議論をし、検討してきたわけでありますけれども、やはり国際的なスタンダードというのでしょうか、外国法がどんな扱いをしているのかということが、日本で法改正をするときの規定の明確性とか規定したときの影響とか、そういうことを予測する場合の貴重な参考資料になるのではないかと考えます。

例えば、先ほど山本健司委員から出ましたつけ込み型の問題とか、それから、困惑による取消しにかかわるところでありますけれども、EU指令で攻撃的取引方法というものがEU各国に国内法化するようにという形で出ておりまして、特に注目されるものとして、EU指令において攻撃的取引方法は禁止されているのですけれども、フランスではそれよりさらに進んだ形で、フランスに国内法化する際に、攻撃的取引方法により締結された契約についての無効ということまで規定している。

これはフランス消費法典で規定されているところでありまして、フランスではEU指令より前に、訪問販売等、一定の類型の取引についてですが、脆弱性の濫用という、弱みにつけ込むというような考え方も、これは1972年からだと思いますが、法律で規定されて、現行の消費法典にも入っているのですが、現行の消費法典においては脆弱性の濫用によって締結された契約について無効という規定を置いています。先ほどの攻撃的取引方法についてはこういう場合が攻撃的になるのだというリストも、これはEUで作成されていて、フランスでも取り入れているということでありますが、そういうリストと比べてみて、先ほどの明確性とか影響とかということについて考えるなど、外国の状況も重要な考慮要素になってくるということになろうかと思います。

実際には、それは特に研究者委員が各自の研究として行っているところを、もし機会があれば発言させていただいたり、あるいは場合によってはプレゼンテーションさせていただくという形ができれば、国際的な状況ということを示すこともできると思いますので、可能であればそういう方向のことも考えていただけたらと思います。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかに御意見等ありましたら、お出しいただければと思います。いかがでしょうか。

よろしいでしょうか。今日が再開第1回目ですので、これからさらに議論を続けていきたいと思います。

それでは、本日の意見交換は、このあたりとさせていただきます。ただいま委員の皆様からいただきました御意見も踏まえまして、次回以降の議論を進めていきたいと思います。

最後に、事務局から事務連絡をお願いいたします。


≪4.閉会≫

○丸山参事官 本日も熱心な御議論のほう、どうもありがとうございました。

次回の日程につきましては、追って御連絡させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○山本(敬)座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございました。

以上

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