スマホゲームに関する消費者問題についての意見~注視すべき観点~

2016年9月20日
消費者委員会

スマホゲームに関する消費者問題についての意見 ~注視すべき観点~

スマホゲーム1は、スマートフォンの普及とともに登場してきた比較的新しい形式のサービスであり、以下の特徴がある。

  1. 小さな子どもから大人まで年齢を問わず利用可能。
  2. 時間や場所を選ばず利用可能。
  3. ゲームの中で比較的簡単に課金される仕組みとなっている。
  4. スマホゲームで見られる電子くじは一般的に射幸性が高いと考えられる。
  5. 位置情報を利用するなどスマートフォンの機能を利用したゲームがある。

スマホゲームのように、技術の進歩に伴い登場した新しいサービスについては、それが社会の中で定着していく過程において、その在り方について、事業者及び事業者団体(以下「事業者等」という。)に加え、家庭や学校での教育を含む社会全体で考えていくことが重要である。

また、サービスの提供方法やその利用の仕方等について、事業者等においては、現時点、消費者保護のための一定の取組が進められているものの、引き続き、一層消費者(スマホゲーム利用者本人のほか、利用者の保護者等も含む。)の意見や相談2に対して誠実に対応していくことが期待される。

特に未成年者については没入感が高い等の特徴があるため、未成年者の健全な育成の観点から、配慮することが望まれる。

さらに、消費者においてもスマホゲームの特徴を理解した上でスマホゲームを利用することが望ましい。

こうした考えの下、消費者委員会は、スマホゲームに関する消費者問題について、以下のとおり注視すべき観点を表明する。当委員会は、今後本観点を踏まえ、スマホゲームをめぐる消費者問題について注視し、必要に応じて、意見表明を検討することとする。

なお、スマホゲームは技術の進歩に応じて新しい形態のものも生じることが想定されるため、今後の消費者問題の状況等によっては、その他の点についても必要に応じて注視等していく。

I 背景

1 スマホゲームの利用の拡大

(1)スマートフォンの利用率

平成28年版情報通信白書のデータによれば、平成28年2月の調査において、スマートフォンの利用率は60.2%である。年代別に見ると、20代の利用率が87.0%と最も高くなっている(図1参照)。

【図1 普段、私的な用途のために利用している端末】

図1 普段、私的な用途のために利用している端末の調査結果です。縦軸は%,横軸は左からスマートフォン、フィーチャーフォン、タブレットの順に20代30代40代50代60代の割合を表記しています。

※「平成28年版情報通信白書」(総務省)を基に、消費者委員会事務局作成。

(2)スマホゲームの利用経験

消費者庁が平成27年度に実施した調査研究のデータ(注3)によると、スマートフォン利用者のうち、スマホゲームで遊んだ経験者は68.9%(注4)であり、多くの利用者がスマホゲームで遊んでいる。また、おおむね年齢が低くなるほど、遊ぶ頻度が高くなる傾向が見られる(図2、図3参照)。

【図2 スマホゲームの利用経験】

図2 スマホゲームの利用経の調査結果円グラフです。よく遊んでいる(1週間に5日以上)、遊んでいる(1週間に1日以上)、遊んだことがある、遊んだことがない、わからないを表記しています。

【図3 スマホゲームの利用経験(年齢別)】

図3 年齢別スマホゲームの利用経験の調査結果です。遊んでいる程度を中学生、高校生、大学生(未成年)、大学生(成年)、20代社会人、30代、40代、50代、60代以上についてそれぞれ記載しています。

(3)スマホゲーム市場の拡大

スマホゲームの市場は拡大傾向にあり、2014年は約7,360億円に、2015年は約9,453億円となっている(注5)。

2 スマホゲームの利用実態

(1)支払金額

消費者庁のデータによれば、スマホゲームで遊んだことのある人のうち、スマホゲームにお金を支払ったことがない人が約7割を占めている(図4参照)。

【図4 スマホゲームでお金を支払った経験の有無】

図4 スマホゲームでお金を支払った経験の有無の調査結果です。各経験度それぞれの割合を%で記載しています。

毎月のゲーム内アイテム等への支払額を見ると、6割以上が1,500円未満となっている(図5参照)。

これを年齢別に見ると、未成年者についても毎月の支払金額は7割弱が1,500円未満であるが、未成年者にとっては高額と思われる金額を支払っているケースもある(注6)(図6参照)。

【図5 毎月のゲーム内アイテム等への支払額(直近半年の平均)】

図5 毎月のゲーム内アイテム等への支払額(直近半年の平均)の調査結果です。1,500円未満、1,500円以上3,000円未満、3,000円以上5,000円未満、5,000円以上10,000円未満、1万円以上5万円未満、5万円以上、その他についてそれぞれの割合を%で記載しています。

【図6 毎月のゲーム内アイテム等への支払額(直近半年の平均)(年齢別)】

図6 毎月のゲーム内アイテム等への支払額(直近半年の平均)(年齢別)の調査結果ですそれぞれの年代での1,500円未満、1,500円以上3,000円未満、3,000円以上5,000円未満、5,000円以上10,000円未満、1万円以上5万円未満、5万円以上、その他の割合を%で記載しています。

また、ゲーム1タイトル当たりの支払総額を見ると、過半数は1,500円未満であるが、10万円以上支払っている人も2%弱存在し、中には100万円以上支払っている人も見られる(図7参照)。多くの消費者は高額課金をせずにスマホゲームを利用しているものの、一部の消費者は、こうした高額と思われる金額を支払っている。

【図7 スマホゲーム1タイトルに対する支払総額】

図7 スマホゲーム1タイトルに対する支払総額の調査結果です。1,500円未満、1,500円以上5,000円未満、5,000円以上10,000円未満、1万円以上5万円未満、5万円以上10万円未満、10万円以上50万円未満、50万円以上100万円未満、100万円以上ついてそれぞれ記載しています。

(2)利用頻度

スマホゲームの1週間当たりの利用頻度を見ると、約7割の人が毎日若しくはほとんど毎日スマホゲームをしている(図8参照)。

また、1日当たりの利用時間を見ると、1時間以上遊んでいる人が約3割を占めている(図9参照)。

【図8 スマホゲーム1週間当たりの利用頻度】

図8 スマホゲーム1週間当たりの利用頻度の調査結果です。毎日、ほとんど毎日(1週間に5~6日)、1日おきくらい(1週間に3~4日)、週に1回程度(1週間に1~2日)、あまりやらない(1ヶ月に数回)についてそれぞれの割合を%で記載しています。

【図9 スマホゲーム1日当たりの利用時間】

図9 スマホゲーム1日当たりの利用時間の調査結果です。5分以内、5分以上10分未満、10分以上30分未満、30分以上1時間未満、1時間以上それぞれの割合を%で記載しています。

3 オンラインゲーム(注7)に関する相談

(1)オンラインゲームに関する相談件数等

独立行政法人国民生活センター(以下「国民生活センター」という。)のデータ(注8)によると、オンラインゲームに関してPIO-NET(注9)に登録された相談件数は、2012年度をピークに減少傾向にある(図10参照)。

国民生活センターによると、未成年者による高額課金等のトラブルが急増したことを踏まえた同センターからの注意喚起や、事業者の課金に関する表示の取組10等により、同種トラブルの相談件数が減少したことが考えられるとのことである。

【図10 年度別相談件数】

図10 オンラインゲーム7に関する年度別相談件数の調査結果です。年度別に2000年から2016年までについて横軸に年度、それぞれの年度での60歳以上、50歳代、50歳代、40歳代、30歳代、20歳代、10歳代、10歳未満の件数について縦軸に記載しています。

オンラインゲームの相談のうち、契約当事者が未成年者となっている割合は2013年度をピークに減少傾向にあるが(図11参照)、2015年度においてもなお36.2%となっている。消費生活相談における未成年者の割合が毎年度約3%前後11であることを踏まえると、オンラインゲームの相談における未成年者の割合は高い傾向にある。

【図11 契約当事者の未成年者割合】

図11 オンラインゲーム7に関する年度別相談件数の調査結果です。横軸に2009年から2014年までの年度、縦軸に未成年者の占める割合を%で記載しています。
  • ※2009年度から2016年度までの相談(2016年6月30日までのPIO-NET登録分)が対象。
  • ※年齢無回答を除く。
(2)オンラインゲームに関する平均契約購入金額等

オンラインゲームに関してPIO-NETに登録された相談について、2015年度の平均購入金額は、契約当事者が未成年者の場合は32.5万円であり、成年者の場合は33.0万円となっている(図12参照)。また、契約購入金額別に見ると、未成年者で10万円以上購入した者の割合は56.7%であり、同金額帯における成年者の割合33.5%より高くなっている(図13参照)。

【図12 平均契約購入金額】

図12 オンラインゲーム7に関する年度別相談件数の調査結果です。横軸に2009年から2014年までの年度、縦軸に平均契約購入金額ついてそれぞれ記載しています。
  • ※2009年度から2016年度までの相談(2016年6月30日までのPIO-NET登録分)が対象。
  • ※年齢無回答を除く。

【図13 契約購入金額】

図13 未成年契約当事者よ成年契約当事者の契約購入金額のグラフです。上に未成年契約当事者の、下に成年契約当事者の中で7区分の金額の占める割合が表記されています。
  • ※2009年度から2016年度までの相談(2016年6月30日までのPIO-NET登録分)が対象。
  • ※年齢無回答を除く。

支払方法については、未成年契約当事者は67.5%がクレジットカード等の販売信用によるものであるのに対して、成年者はプリペイドカード等信用供与のないものが65.7%となっている(図14参照)。なお、未成年者、成年者を問わず、販売信用による支払の方が、契約購入金額は高い傾向が見られる(図15参照)。

【図14 支払方法】

図14 オンラインゲーム7に関する年度別相談件数の調査結果です。左に未成年契約当事者の、右に成年契約当事者のなかで信用供与なしと販売信用の占める割合を円グラフでそれぞれ記載しています。
  • ※2009年度から2016年度までの相談(2016年6月30日までのPIO-NET登録分)が対象。
  • ※年齢無回答を除く。

【図15 支払方法別に見る契約購入金額】

図15 支払方法別に見る契約購入金額です。上から未成年契約当事者(信用供与なし)、未成年契約当事者(販売信用)、成年契約当事者(信用供与なし)、成年契約当事者(販売信用)についてそれぞれに7区分の金額の占める割合が表記されています。
  • ※2009年度から2016年度までの相談(2016年6月30日までのPIO-NET登録分)が対象。
  • ※年齢無回答を除く。

(3)オンラインゲームに関する相談事例

契約当事者が未成年者の場合、「息子(未成年者)が自分(保護者)のスマートフォンを使ってスマホゲームで遊んでいる。スマートフォンにはクレジットカードの情報が残っており、スマホゲームの課金に使用された可能性がある。気が付いた時には、総額が約37万円に上っていたため支払えない。」というものや、「未成年者の親族に自分が使っていた端末をあげたところ、当該端末にクレジットカード情報が残っていて、料金(約7万円)を請求されたが、支払わないといけないか。」といった相談が見られる。

契約当事者が成年者の場合、「期間限定で入手できるとされたキャラクターを7万円支払って購入したところ、恒常的に入手できるキャラクターとなったので、販売会社に救済措置はないかと問い合わせたが対応してくれなかった。」というものや、「電子くじで10万円支払って入手したキャラクターについて、運営会社が一方的に能力を下げ、電子くじで支払った費用はゲーム内通貨で返金するとの対応だったため、現金で返金するようにしてほしい。」といった相談が見られる。

II 今後注視すべき観点

1 消費者が安心して利用できる適正な環境

(1)注視する理由

一般に、事業者は、商品・サービスを提供するに当たり、消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害しないようにしなければならないと考えられる。電子くじの出現率やフリーミアムモデル(注12)において課金が発生すること等、スマホゲームに係る表示については、新しいサービスであるからこそ、消費者被害を防止するため、消費者に対し、十分な情報が適切に提供される必要がある。

また、事業者等による消費者保護の取組は重要な観点である。

さらに、電子くじと刑法(明治40年法律第45号)で禁止されている賭博罪(注13)との関係を十分に認識した上で事業者においてはサービスを提供し、消費者においても利用することが必要である。

これらの点に留意しつつ、消費者が安心して利用できる環境の整備が望まれる。

(2)注視すべき具体的観点

消費者が、より安心してスマホゲームを利用できる環境の整備が図られるよう、以下の観点から注視する。

マル1 適正な表示
ア アイテム等の出現率やアイテム等を取得するまでの推定金額については、利用者に適切に情報提供されることが望ましい。
イ アイテム等の適正な出現率については、具体的な数値の基準を示すことは困難であるが、事実上出現することが期待できないような極めて低い確率に設定した場合、利用者がそのことを認識できないような形で電子くじを引かせることは消費者保護の観点から問題になり得る。
ウ 仮に、事業者が合理的な理由なく恣意的に利用者やその課金状況によってレア商品の出現率を変え、利用者がそのことを認識できないような形で提供することは消費者保護の観点から問題になり得る。
エ いわゆるフリーミアムモデルのように、ゲームを進行させていく上で課金が発生し得るゲームについては、ゲームのダウンロード時など適切な場面において、その旨を利用者に認識できるような形で表示することが望ましい。
オ スマホゲームは未成年者にも利用可能なサービスであるため、表示方法や表示内容について未成年者にも理解できるよう分かりやすいものとすることが望ましい。また、スマホゲームには性的、暴力的な表現など、未成年者に与える影響を考慮する必要があると考えられる内容を含むものも想定されるため、ゲームのダウンロードの際にスマホゲームの内容が分かるような表示(注14)とすることが望ましい。
マル2 ガイドラインの策定等の事業者等の自主的取組
ア スマホゲームについて、事業者団体によるガイドラインの策定(注15)や事業者による啓発活動など消費者保護のための自主的な取組が見られる。これらの取組は、消費者保護に重要な役割を果たすものである。事業者等が自主的に取り組むものではあるが、各事業者等においてガイドラインを尊重し、その内容を遵守することが望まれる。
イ 事業者等の自主的な取組によるスマホゲーム市場の適正化の観点からは、事業者団体への加入の促進やその取組内容の普及が望まれる。
マル3 スマホゲームの電子くじと賭博罪との関係
(賭博について)
刑法における「賭博」とは、「偶然の勝敗により財物や財産上の利益の得喪を争う行為」であり、「財産上の利益」とは、財物以外の財産的利益の一切をいい、債権の取得、サービスを提供させる等の積極的利得のほか、債務免除等の消極的利得も含むと考えられている。また、一般に刑法上の財物や財産上の利益該当性については、客観的価値に加え、主観的な使用価値等も含まれると解されている。なお、「賭博」に当たる場合であっても「一時の娯楽に供する物(注16)を賭けたにとどまるとき」は、違法性は阻却される(刑法第185条但書(注17))。
(電子くじの賭博罪該当可能性)
以上を踏まえると、一般論として、スマホゲームで見られる電子くじは、専らゲームのプログラムによって排出されるアイテム等が決定されることからすれば、上記「賭博」にいう「偶然性」の要因を満たしていると考えられる。また、上記「財産上の利益」の解釈に加え、有償で入手したオンラインゲーム内のアイテムを詐取した事案につき詐欺罪の成立を認めた下級審判決(注18)があることなどからすれば、アイテム等については「財産上の利益」に当たる場合もあり得るところである。
実際に電子くじが賭博罪に該当するか否かについては、上記「財産上の利益」該当性に加え、「一時の娯楽に供する物」該当性等も含め、事案ごとに判断されるものである。電子くじで得られたアイテム等を換金するシステムを事業者が提供しているような場合や利用者が換金を目的としてゲームを利用する場合は、「財産上の利益」に該当する可能性があり、ひいては賭博罪に該当する可能性が高くなると考えられる。
スマホゲームに関わる事業者は、アイテム等の転売等の換金を規約等において禁止しているものも見られるが、引き続き、事業者、消費者ともにこうした観点を踏まえて行動することが望ましい。

2 スマホゲームの電子くじの射幸性

(1)注視する理由

(電子くじと射幸性)

スマホゲームで見られる電子くじは、利用者にとって、ゲームを有利に進めることができる、又は、レア度が高い等、獲得意欲を生じさせ得るアイテム等をくじの対象とした上で、前述のとおり、スマホゲームのプログラムという、利用者にとっては、全くの偶然性によって排出されるアイテム等が決定されるといった特徴があり、一般的に射幸性が高いものと考えられる。

(射幸性と風営法)

射幸性に関する営業については、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号。以下「風営法」という。)が、善良の風俗の保持と清浄な風俗環境の保持及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為の防止といった法の目的を踏まえ、射幸心をそそるおそれのあるものを同法の対象営業としているところ(風営法第2条第1項第4号)、その対象となるのは、上記射幸性に加え、その営業が物理的設備を設けて行われるものであることとされる。

(風営法における年少者の扱い)

風営法は、上記営業につき、許可制をとり、営業所に設置される遊技機が著しく射幸心をそそるものではないことを許可の基準の一つとし、さらに、著しく射幸心をそそるおそれのある行為が行われていること等をうかがわせる広告宣伝の禁止(例えば、大当たり確率の設定変更が可能な遊技機について設定状況等をうかがわせる表示)(注19)、遊技料金(風営法第19条)、賞品等につき一定の規制(風営法第23条)等をした上で、これを適法な営業としている。ただし、かかる営業であっても年少者(18歳未満)を営業所に客として立ち入らせることを禁止している(風営法第22条第1項第5号)。

(現時点におけるスマホゲームと風営法における考え方)

現時点においては、スマホゲーム利用による上記法の目的にあるような悪影響が顕著ではないところであり、スマホゲームについては上記営業に該当するぱちんこ等とは異なって、物理的設備を設けて行われるものではないことから、現行の風営法の規制の対象とはならないと考えられる。

(2)注視すべき具体的観点

スマホゲームの利用を要因とするトラブルの動向について、社会的悪影響が生じていないかどうか、今後の動向が重要である。

具体的には、スマホゲームに課金するための金銭を得ることを目的とした恐喝、窃盗、親族名義のクレジットカードの不正利用の多発等、社会的悪影響が増加していないか注視していく。

3 未成年者における高額課金

(1)注視する理由

(未成年者の特徴)

スマホゲームに係る課金は、前述のとおり成年者でも見られるが、スマホゲームは、基本的には年齢制限がないため、利用者には未成年者も含まれており、未成年者の高額課金事案も見られる。

未成年者については、以下の特徴がある。
マル1 一般的に年齢が低年齢であればゲームへの没入感が高い。
マル2 未成年者は成年者と比し判断能力が十分であるとはいえない。
マル3 未成年者のうち中学生以下の者が自由に使える金額は主に小遣い程度(注20)である。

以上のことから、特に、未成年者については、スマホゲームに関する高額課金の消費者被害から保護することが必要であると考えられる。

(未成年者の高額課金について更に留意すべき点)

未成年者を一律に考えるのではなく、年齢により高額と思われる金額が異なることに配慮することも重要と考えられる。また、高額課金をする未成年者と課金しない又は低額しか課金しない未成年者の状況を比較・検証するなど、未成年者をめぐる高額課金の実態を把握することも重要である。

(2)注視すべき具体的観点

高額課金に係る相談件数の増減、高額課金となっている要因、その背景(親族名義のクレジットカードを利用する(注21)等)等について注視していく。

以上


  • (注1) 本意見において、スマホゲームとは、インターネットを介しスマートフォンやタブレットを使用するゲームを指す。
  • (注2) 相談事例については、後述 I 3(3)において紹介している。
  • (注3) 調査研究の名称は「インターネット消費者トラブルに関する総合的な調査研究」であり、平成27年度は株式会社三菱総合研究所が受託している。スマホゲームに関するアンケート調査は、平成28年2月16日から24日にかけて、15歳以上の一般消費者(中学生を含む。)に対してWebアンケート調査を行ったものである。当該データの詳細については「第228回 消費者委員会本会議」を参照。
  • (注4) 全体の数値から、「遊んだことがない 29.9%」及び「わからない 1.2%」を除いた数値。
  • (注5) 「JOGAオンラインゲーム市場調査レポート2015」(一般社団法人日本オンラインゲーム協会)及び「JOGAオンラインゲーム市場調査レポート2016」(一般社団法人日本オンラインゲーム協会)参照。
  • (注6) 図5から図9の数値は「スマホゲームでお金を支払った経験者」を抽出して分析したものである。
  • (注7) 本項目において、オンラインゲームとは、インターネットに接続して、複数の人が共同して参加してゲームができるサービスをいう。
  • (注8) 国民生活センターのデータの詳細については【資料2】オンラインゲームに関する消費生活相談」(451KB)PDFを別ウィンドウで開きますを参照。
  • (注9) PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワークシステム)とは、国民生活センターと全国の消費生活センター等をオンラインネットワークで結び、消費生活に関する相談情報を蓄積しているデータベースである(図10から図15までの数値は、PIO-NETに登録されたデータを対象としている。)。なお、消費者委員会事務局においてPIO-NETに登録されたオンラインゲームに関する相談(2015年度)を一部抽出・分析したところ、スマホゲームに関する相談であることが明らかなものが半数以上を占めた。
  • (注10) 例えば、ゲーム中、アイテムの入手等に当たって課金が生じる場合、有料である旨を表示するものが見られる。
  • (注11)「消費生活年報2015」(国民生活センター)図5(10頁)参照。
  • (注12) フリーミアムモデルとは、基本的なサービスを無料で提供し、高度な、あるいは、追加的なサービスを有料で提供して収益を得るビジネスモデルをいう。
  • (注13) 刑法第185条における賭博及び第186条第1項における常習賭博をいう。
  • (注14) 例えば、内容に応じて「○歳以上推奨」等のゲームであることが明確に分かるような表示が考えられる。
  • (注15) 例えば、一般社団法人日本オンラインゲーム協会において「オンラインゲーム安心安全宣言」(2016年4月1日)を、また一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会において「ネットワークゲームにおけるランダム型アイテム提供方式ガイドライン」(2016年4月27日)を策定している。
  • (注16) 一時の娯楽に供する物とは、関係者が即時娯楽のために消費するような物をいい、例えばジュース、菓子等が考えられる。
  • (注17) 刑法第185条 賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。
  • (注18) 高松地判平成18年11月17日
  • (注19) 風営法第16条。「ぱちんこ営業における広告、宣伝等に係る風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律違反の取締り等の徹底について(通達)」(平成24年7月13日警察庁丁保発第102号)。
  • (注20)「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]平成27年調査」(金融広報中央委員会)によると、中学生の1か月当たりの小遣いは平均2,448円である。
  • (注21) なお、親族名義のクレジットカードを未成年者が無断で利用する事案は、その他のオンラインゲームやオンライン取引においても共通する問題である。