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消費者教育の推進に関する基本方針の策定に向けた意見

2012年12月25日
消費者委員会

 「消費者教育の推進に関する法律」(以下「推進法」)が、本年8月10日に可決・成立し、12月13日に施行された。また、年明けには推進法に基づく「消費者教育推進会議」(以下「推進会議」)が発足し、消費者教育の推進に関する基本的な方針(以下「基本方針」)の策定に向けた調査審議が開始される見通しである。
 基本方針は、消費者教育の推進についての、 1) 意義及び基本的な方向、 2) 内容、 3) 関連する他の消費者政策との連携等に関する事項を定めるものであり、また、各地方自治体が今後、「消費者教育推進計画」を策定する際の指針となるものであることから、その内容については、政府の消費者行政全般に対する監視機能を有する当委員会としても高い関心を持っている。
 このため当委員会は、推進会議が発足し、基本方針の案の作成に向けた検討に着手するのに先駆けて、学識経験者、地方自治体、消費者団体等から、消費者教育の現状と今後の課題等についてヒアリングを行うとともに、消費者基本計画の関係省庁ヒアリングの一環として、消費者庁及び文部科学省より、現在の取組状況等についての報告を受けた。これらの結果を踏まえ、当委員会としては、政府が基本方針の案を作成するに当たって特に重視すべき視点として、以下の事項を指摘する。今後発足する推進会議におかれては、これらの事項について十分に議論を深め、消費者教育を着実に推進するための明確かつ実効的な方針を速やかにご提示いただくことを期待する。
 なお、推進法は、政府が基本方針の案を作成しようとするときには、当委員会等の意見を聴かなければならない旨を規定している。このため当委員会としては、作成された基本方針の案について政府に報告を求めるとともに、以下の指摘事項について十分な対応がなされているか検証を行った上で、再度意見を述べることとする。また、基本方針の策定後においても、これに基づく取組が十分かつ効果的に行われているかについて引き続き注視し、必要に応じて意見表明を行う予定である。


1.推進会議においてご留意いただきたい事項

  • (1) 実質的かつ有効な調査審議の実施
     消費者教育を総合的、体系的かつ効果的に推進していくためには、基本方針の案の作成に際して、消費者教育に関わる多様な主体がこれまでの活動を通じて蓄積してきた経験、知見、ノウハウ等を最大限に活用していくことが重要である。このため、推進会議において基本方針の案を検討するに際しては、十分な開催回数・審議時間を確保するとともに、委員間で実質的かつ有効な調査審議が行われるよう十分に配慮されたい。
     なお、推進会議による以上のような活動を支えるため、消費者庁における消費者教育施策担当部署の拡充・強化を図るとともに、消費者庁や文部科学省をはじめとする関係省庁間における実効的な連携体制を構築されたい。
  • (2) 現場の実情に即した調査審議の実施
     推進会議において基本方針の案を検討するに際しては、学校や地域等の現場の実情を十分に踏まえた形で調査審議を進められたい。(特に、各地方自治体の消費者行政担当部局や教育委員会、学校等が実際にどの程度消費者教育・啓発活動に取組み、どのような課題を抱えているのか等について実態の把握を行い、その現実的な改善策を策定することが重要である。)

2.基本方針の案を検討する際に議論を深めていただきたい論点

  • (1) 消費者教育の意義・理念の周知・浸透
     推進法に「消費者市民社会」の概念が初めて明記され、消費者教育の基本理念が明確化されたことを踏まえ、これらの意義や理念を広く周知・浸透させるための具体的かつ効果的な方策について検討されたい。
  • (2) 消費者教育の内容・実施方法等の速やかな具体化
     推進法の成立を機に消費者教育を着実に前進させるためには、その内容や実施方法等について早期に具体化を図ることが必要である。このため、消費者教育を通じて優先的に提供すべき知識・情報等を明確にし、モデルとなる具体的指導事例の収集・提供の在り方等について検討されたい。
     また、消費者教育の現場の観点に立てば、環境教育、食育、金融経済教育、法教育、国際理解教育等の関連分野と有機的な連携を図りつつ実施することが効率的かつ効果的であることから、これを実現するための関係機関間の連携の在り方や教材・指導方法の在り方等について検討されたい。
  • (3) 消費者教育を実施する担い手の育成・確保
     消費者教育の現場における課題として、指導者や講師となる人材が不足しているほか、教員の関心が必ずしも高くない等の問題が指摘されている。
     このため、消費者教育に係る教員育成カリキュラムの創設や研修の充実、消費生活相談員の講師への活用等、消費者教育に対して高い意欲を有する担い手を育成・確保するための効果的な方策について検討されたい。
  • (4) 学校教育分野における関係部局の連携強化
     学校教育分野における消費者教育を進展させるためには、各地方自治体の消費者行政担当部局と教育委員会等の間の連携強化が不可欠であるが、現状では積極的に連携を図るための取組や仕組みが必ずしも十分であるとはいえない。
     特に推進法施行の初期段階においては、国が責任をもって推進法の趣旨や重要性について各地方自治体の関係部局に理解を求めるとともに、関係部局間での連携を促進するための措置を講ずることが必要と考えられることから、これを具体的かつ効果的に行うための方策について検討されたい。
  • (5) 地域協議会を実効的に機能させるための仕組みの構築
     推進法により、各地方自治体に消費者教育推進地域協議会(以下「地域協議会」)の設置についての努力義務が課せられたが、多くの地方自治体や学校教育の現場では、恒常的に財源・人員不足の問題に直面しており、新たに地域協議会を立ち上げることによる負担の増加や地域協議会による取組の実効性について懸念する声が聞かれる。
     このような現場の実情を踏まえ、既存の取組・枠組等の有効活用や地域協議会の活動への支援等、地域協議会を実効的に機能させるための方策について検討されたい。
     また、地域における取組を通じて、現在、学校等において教育を受けていない消費者(幼児、成人、高齢者等)に対して消費者教育・啓発を行うための効果的な方策についてもあわせて検討されたい。
  • (6) 消費者教育・啓発に係る自治体間格差を生じさせないための支援
     消費者教育・啓発分野では、これまでに具体的取組を行ってこなかった地方自治体もあり、先導的な取組を行っている自治体との間には大きな格差が存在する。取組が不十分な自治体を底上げし、自治体間格差を是正するため、教材や指導方法、担い手の育成・確保等の各面において、必要な支援策を検討されたい。
     また、消費者教育・啓発の現場である市区町村や学校、関連団体等への支援を行うに当たっては、国・都道府県間の役割分担の在り方について十分に検討されたい。

以上

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