消費者基本計画の平成23年度の実施状況に関する検証・評価及び計画の見直しに向けての意見

2012年3月27日
消費者委員会

消費者基本計画の、平成23年度の実施状況に関する検証・評価及び計画の見直しに向けて、以下の通り意見を述べる。
以下の各項目について、新規施策として追加、あるいは、「平成23年度の具体的施策の実施状況に関する検証・評価」中の「今後の取組方針」に盛り込み、さらには、計画の「見直し」に生かされたい。

  • 総論又は新規施策等
    東日本大震災への対応について、実施された施策の検証と今後の施策について明記されたい。
    また、以下に記載するように、放射線測定器の機器の精度に関して消費者の誤認を防ぐための施策や、放射線測定器の貸与、消費者が必要としている情報を一括して提供すること、リスクコミュニケーションを充実させること等、具体的施策として明記されたい。
  • 施策番号1、121、122
    PIO-NETの運用や入力負担、費用負担の在り方の見直しを行い、より多くの消費生活センターからより有益な情報が届けられ、それを活用できるようにすることについて明記されたい。
  • 施策番号4、12、13-2
    「消費者安全行政の抜本的強化に向けた対応策についての建議」における指摘事項等を踏まえて、具体的な施策の実施について明記されたい。(学校における消費者事故が消費者庁に迅速に寄せられる体制確立の実現、福祉用具の事故収集体制の整備、茶のしずく石鹸の事案を踏まえた関係省庁との迅速な連携等。)
  • 施策番号21、23、30又は新規施策
    関係省庁等は、リスクコミュニケーションについて、消費者への周知が十分に行われていたかどうかという観点で検証・評価を行われたい。
    また、放射性物質の食品への影響について、食品の安全性の基準をよりわかりやすく明示し、その検査体制を充実して、消費者の不安の解消を図るための施策を実施することについて明記するとともに、消費者の正しい理解のための機会・情報を提供することについて明記されたい。
  • 施策番号22又は新規施策
    食品衛生法の適用対象に食品の物性・形状を加えるなど、窒息事故防止体制の整備を図ることを明記されたい。
  • 施策番号32、33又は新規施策
    日本の農産物の輸出において、風評被害が生じないよう、各国政府・国際機関と協議を行う等の施策の実施について、明記されたい。
  • 施策番号39又は新規施策
    「エステ・美容医療サービスに関する消費者問題についての建議」で指摘した事項について、具体的な施策の実施について明記されたい。また、美容医療・歯科インプラントを含む自由診療について、事前説明の徹底、書面での確認、原則として一度目の来診では施術しないなどの対応策について、消費者保護の視点から検討を行うことについて明記されたい。
  • 施策番号41、43
    特定商取引法の施行5年後の見直しに向けて、有償取引全体をカバーすること、指定権利制を外すこと、適用除外の見直し、不招請勧誘の禁止の導入等、検討を行うことについて明記されたい。
  • 施策番号44
    「マンションの悪質な勧誘の問題に関する建議」における指摘事項を踏まえて、具体的な施策の実施について明記されたい。
  • 新規施策
    住宅用太陽光発電システムの販売等に係る消費者問題に関して、法執行等の強化、割賦販売に対する適切な対応、業界団体を通じた販売方法の適正化、品質の向上のための取組、支援制度等に関する分かりやすい情報の提供等、具体的な施策の実施について明記されたい。
  • 施策番号45、153-2
    決済代行が関与する被害の拡大に対応するため、「決済代行業者を経由したクレジットカード決済によるインターネット取引の被害対策に関する提言」における指摘事項について、すでに実施している施策の検証も踏まえて、具体的な施策の実施について明記されたい。
  • 施策番号47から51、60、62、64、66
    投資詐欺への総合的対策の実施・検討をするとともに、以下の点について、明記されたい。
    (1)詐欺事犯のツールとして使われるレンタル電話・IP電話、バーチャルオフィスへの対応、及び法人登記手続簡略化の見直し
    (2)犯罪関与口座凍結措置の、消費生活センターと警察の連携による、より効果的運用
    (3)犯罪摘発の実効性をあげるための関係省庁等の協力体制の整備
    (4)ファンドへの投資を名目とした詐欺への対策
  • 新規施策
    CO2(二酸化炭素)排出権取引に関する儲け話のトラブルへの対応について、明記されたい。
  • 施策番号53
    家賃債務保証業の登録制度の創設、家賃に係る債務の弁済に関する情報の収集および提供の事業を行う者の登録制度の創設、家賃関連債権の取立てに関する不当な行為の禁止等の措置を講ずるための法律について、引き続き実現を図る旨について、明記されたい。
  • 施策番号55、56、117
    「住宅リフォームに関する消費者問題への取組についての建議」における指摘事項を踏まえて、具体的な施策の実施について明記されたい。
  • 施策番号58
    「有料老人ホームの前払金に係る契約の問題に関する建議」における指摘事項を踏まえて、具体的な施策の実施について明記するとともに、入居一時金の透明性を高めるための施策について検討されたい。
  • 施策番号59
    旅行業に関する広告の適正性を高めるべく、事業者への指導や消費者への情報提供に努めることを明記されたい。
    また、日本から海外、あるいは海外から日本への旅行者の消費者トラブルへの対応に関して、諸外国との連携等、検討を行うことについて明記されたい。
  • 施策番号67又は新規施策
    「公共料金問題についての建議」における指摘事項を踏まえて、以下の施策の実施について明記されたい。
    (1)消費者庁において、デフレ時代の公共料金を適正なものにするための仕組み作りを進める。その際、情報提供すべき情報の範囲と方法、消費者の意見を反映させるための方策、消費者の視点からチェックするための第三者機関設置の必要性、既存の料金を適正水準へ値下げさせることができる仕組み、総括原価方式における原価の厳正な査定について考慮すること。
    (2)国土交通省において、
    • 運賃改定の際の事前の情報提供や運賃改定後の消費者によるチェックが可能となるように「鉄軌道の情報提供ガイドライン」を見直すこと。
    • 鉄道において加算運賃を導入している区間について早急にその運賃回収状況をまとめて公表するとともに、回収率(概ね50%)や適用年限(概ね10年)を考慮して、すでに加算運賃の必要性がないか減少している場合には、その廃止あるいは減額を当該事業者に求めること。
    • 運輸審議会の審議過程の透明性を図るとともに、同審議会において説明聴取事案(軽微認定事案)とする基準を消費者の視点に立って定めること。また、運輸審議会の委員に消費者団体等の役員を選任すること。さらに運輸審議会一般規則に定める「利害関係人」の解釈について日常的にその交通機関を利用する消費者(利用者)を含めることを検討すること。
  • 新規施策
    安愚楽牧場の事案を踏まえて、特定商品等の預託等取引契約に関する法律の運用の見直し等の検討について、明記されたい。
  • 施策番号78、79
    地方農政局の食品Gメンの活動領域の拡大や他の関係機関との連携により、食の安全を含めた、より総合的視点に立った、効果的な食品表示の監視が実施できるような体制や具体的な方策について、明記されたい。
  • 施策番号80
    美容医療・エステ、投資詐欺(CO2排出権、グリーン電力証書等)、太陽光パネル等に関する広告・表示について、被害抑止のために、景品表示法の効果的運用を行うことに加えて、これまでの運用を踏まえて、必要に応じて景品表示法の見直しを行うことについて明記されたい。 また、放射線測定器の性能に関して、消費者が誤った判断をすることがないよう、景品表示法の厳正な執行を行うなどの対応について明記されたい。
  • 施策番号87又は新規施策
    消費者教育の具現化のために、具体的に何をいつまでに行うのか、実施時期を含めて明記されたい。
    また、海外で行われている消費者教育についての調査・分析を行うこと、大学の教育学部等における消費者教育の担い手の育成、若年層への消費者教育の充実についても明記されたい。
  • 施策番号106
    後見制度の充実と共に、コスト面で後見制度を利用できない高齢者等がいることを踏まえて、追加すべき方策について検討することについて明記されたい。
  • 施策番号108
    審議会に消費者の意見をより反映させる仕組みづくりや、基準づくりについて検討することを明記されたい。
  • 施策番号109
    消費者からの情報・相談を受け付ける体制について、充実させていくことを明記されたい。
  • 施策番号121、122
    「地方消費者行政の活性化に向けた対応策についての建議」における指摘事項を踏まえ、具体的な施策の実施について明記されたい。特に、集中育成・強化期間後の、地方消費者行政の支援の充実、財政措置について、明記されたい。
    また、消費生活センターや相談窓口のない市町村への支援(広域連携も含む)や、モデル事業化、相談窓口対応者や消費生活相談員の確保と質の向上に関する施策の実施について、明記されたい。
  • 施策番号127
    適格消費者団体に対する支援の在り方について、具体的な方策や実施時期について明記されたい。
  • 施策番号153-2
    インターネットによる消費者被害抑止のため、より総合的な対策の検討を行うことを明記するとともに、プロバイダ責任制限法の見直し等により、実効性のある措置を講ずることについて、明記されたい。
  • 施策番号165、166
    社会保障・税に関わる番号制度が検討されていることを踏まえて、個人情報保護の体制の在り方の検討を行うことについて明記されたい。