第281回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2018年8月2日(木)14:14~16:10

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    高委員長、池本委員長代理、受田委員、大森委員、鹿野委員、長田委員、樋口委員、山本委員
    (高委員長の「高」は、正しくは「はしごだか」)
  • 【説明者】
    消費者庁内藤消費者政策課長、消費者庁澤野消費者政策課企画調整官、公共料金等専門調査会古城座長、消費者委員会事務局担当者、消費者庁太田消費者制度課企画官、消費者庁消費者制度課担当者
  • 【事務局】
    黒木事務局長、福島審議官、坂田参事官、友行企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 第4期消費者基本計画のあり方に関する検討会中間取りまとめについて
  3. 関西電力株式会社による電気料金の値下げに関するフォローアップについて
  4. 公益通報者保護専門調査会中間整理について
  5. その他
  6. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○高委員長 それでは、時間となりましたので「消費者委員会第281回本会議」を開催させていただきます。

皆様、お忙しいところ、御参集いただきまして、ありがとうございます。

本日は、蟹瀬委員、増田委員が御欠席となります。

最初に、配付資料の確認につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

○坂田参事官 議事次第の下部分に配付資料一覧を記載しております。

もし不足がございましたら、事務局までお申し付けいただきますよう、お願いいたします。

よろしゅうございますでしょうか。

○高委員長 ありがとうございます。


≪2.第4期消費者基本計画のあり方に関する検討会中間取りまとめについて≫

○高委員長 最初に、「第4期消費者基本計画のあり方に関する検討会中間取りまとめについて」の説明を受けた上で、議論をさせていただきたいと思っております。

2020年度から2024年度の第4期消費者基本計画の在り方を検討するため、消費者庁において第4期消費者基本計画のあり方に関する検討会が昨年10月に設置されました。この検討会におきましては、社会経済情勢の変化を踏まえた、新たな時代にふさわしい消費者政策を推進するための重要な視点について意見交換が行われ、本年7月に中間取りまとめが公表されたと聞いております。

本日は、その中間取りまとめの内容につきまして、消費者庁から御説明いただきまして、意見交換を行いたく思います。

本日は、消費者庁内藤消費者政策課長にお越しいただいております。

お忙しいところ、御出席いただきまして、ありがとうございます。

それでは、恐縮でございますけれども、20分程度で御説明をお願いできますでしょうか。

○消費者庁内藤消費者政策課長 消費者政策課長の内藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

お手元の資料に基づきまして、「第4期消費者基本計画のあり方に関する検討会中間取りまとめについて」を御説明させていただきます。時間の関係で、恐縮でございますが、資料1-1、概要に基づいて御説明させていただきたいと存じます。

委員の皆様はよく御存じかと思いますが、今日は傍聴の方もいらっしゃいますので、恐縮ですが、念のために消費者基本計画について御説明申し上げます。資料の左半分の真ん中辺りにございます基本計画、これ自身は消費者基本法9条の規定に基づいたものでございます。いろいろ書いてございますが、ざっくり企業に例えますと、企業の中期経営計画に例えられるようなものでございます。

具体的な内容につきましては、3ページをお開きください。現行第3期の計画になってございます。およそ5年ごとに更新、策定をしているもので、3期目が現在でございます。体裁といたしましては、この下半分に書いてあるものが後半、各論部分の概要でございまして、前半に総論部分がございます。ここには記していないのですけれども、3期の総論といたしましては、経済政策と消費者政策は車の両輪であるという位置付けの下に、社会の状況、例えば、人口減少や女性の活躍あるいはIT化といったものを踏まえて、消費者市民社会を目指すという理念をうたった上での後半の総論に至るものでございまして、後半、この下半分、体裁としましては、レストランのメニュー表のような感じになってございますけれども、このくくり、この計画では柱が6本ございますけれども、これは消費者庁が所管しております十数本の作用法という法律の種類に従っておよそ6つの柱に分けまして、この下に個別の施策が並んでいるという体裁になっているということでございます。第3期の特徴はもう一点だけございまして、第3期よりKPIという、パフォーマンス指数ですね。努力目標を数値化しておりまして、その数値を毎年経年で追い掛けていく、検証していくという立て付けになってございまして、そこの部分については3期で新しく始められた取組という形になっております。右側にありますように、現基本計画につきましては2019年度までとなりますので、新しい基本計画は2020年度から必要になってくるということでございます。

1ページにお戻りいただきまして、一番上のところの枠囲いにございますけれども、2020年度からの5年間の基本計画の在り方を検討せねばならないということでございます。4期において初めて、その策定に当たって有識者の先生方の御意見を伺うことになりまして、左下にリストアップしてありますけれども、このメンバーの皆様に御参画いただいて議論を開始しているということでございまして、7月、先月の頭にその中間取りまとめがまとめられたということでございます。中間取りまとめにつきましては、もう一度上に戻っていただきますと、枠囲いの2行目でございます。この検討会に当てられましたお題、ざっくりとこれも申し上げますと、いわゆる消費者政策、消費者行政をめぐる世の中、社会経済情勢の変化、これが何か。それを踏まえまして、新しい時代にふさわしい消費者政策とは、消費者政策に追加すべき新しい視点あるいは重要な視点は何かということをターゲットとして、メンバーの皆様方に御議論をこれまでいただいてきたということでございまして、その中間的な成果物が今回御説明させていただく中間取りまとめでございます。右側にございますので、先に今後の予定を申し上げますと、およそ年内を目標に最終的な取りまとめを検討会にて行えればと考えておるところでございまして、その内容を踏まえて消費者庁におきまして基本計画案を策定いたします。案につきましては、その後、各種会議で議論をいただきまして、最終的には閣議決定をして公表というところまで、来年度、2019年度中に行いまして、翌年、2020年度から新しい基本計画の下で各種施策を推進するといった段取りで考えているところでございます。

それでは、中間取りまとめの内容について、次の2ページで御説明申し上げます。

中間取りまとめにつきましても、おおよそパートが2つに分かれております。矢印で分かれておりますが、消費者を取り巻く状況変化とそれを踏まえた消費者政策に盛り込むべき視点という体裁になってございます。

まず、状況変化でございます。ここでは、おおよそ3つに分けて書いてございます。ちなみに一番上の赤字のところについては、基本計画策定に当たって配慮すべき重要な視点と書いてございます。括弧書きに「十分に盛り込まれていないもの」と書いてございますけれども、厳密に言いますと、現行基本計画でも盛り込まれている部分は少なからずございます。ここにつきましては、これまで1回から9回までの会合で重点的に議論された部分が赤字になっていると御理解いただいたほうが良いのではないかと思っております。

状況変化の最初のパートでございます。いわゆるIT化の進展でございまして、イメージとしては、AIやフィンテックといったこれまでなかったITの社会実装がイメージをされているところでございます。グローバル化につきましても、これまでもありますけれども、いわゆる消費者のECとか、そういった取引自体もかなりグローバル化が進んでいるというイメージで捉えていただければということでございまして、そういったものも含めて技術革新が起きている。それと共に、経済活動が活性化してございます。消費者の生活の利便性自体は飛躍的に向上しているということが一番左側のパートでございます。

一方で、真ん中でございます。貧困・格差の拡大といった課題が発生しております。同じく超高齢社会が到来していることも一つの課題でございまして、そういう世の中、社会の変化から取り残される消費者がクローズアップされつつあるということが真ん中のパートでございます。

一番右側は、今の計画を策定した後に出てきた大きな世の中の流れということで、大きく2つございますが、SDGs、いわゆる持続可能な開発目標でございます。もう一つがSociety5.0ということで、情報化社会の先にあるもの、AI、IoTといった新しい技術を、普通に世の中、生活に取り入れた社会がSociety5.0ですが、こういった社会の実現もSDGsが目指すものと方向性は同じであろうという認識を示しているところでございます。

状況の変化といたしましては、大きくその3つでございまして、これを踏まえまして基本的な方向を整理したものがその下でございます。ここでは重点的な柱ということで4つに整理してございますけれども、本体の7ページ、一番後ろにございますけれども、消費者基本法2条1項のところに基本理念が大きく3つに分けて書いてございますけれども、その3つがここの柱の1から3に対応してございまして、その3つを支える基盤的なものとしてこの「4 政策の推進のための体制等」がある。消費者基本法の2条1項を基にして、今回、視点を整理したということでございます。

順に御説明いたします。一番左、「1 健全な消費者生活環境の確保」でございますけれども、まず、SDGsへの対応で、SDGsの実施に当たっては、消費者の主体的な行動を前提としまして、SDGsの達成にESGあるいはESG投資といったことを促進していくということでございます。本体では、「SDGsの理念を踏まえた消費者基本計画の策定が期待される」という言い方になってございます。(2)が国際化の進展への対応でございまして、消費者政策の展開に当たって国際的な協調を重視すべしという検討課題をいただいているところでございます。もう一つは、いわゆるインバウンドの関係でございます。海外から訪日外国人の方が多数いらっしゃるということでございますので、それに対応した相談体制の拡大等々が求められているという認識を示しております。

右に参ります。2つ目の柱、「2 消費者の権利の尊重」でございます。大きく2つに分かれております。両方IT社会ではないかという御指摘を受けそうですけれども、上がいわゆる今の社会の延長線上での情報化、下は一部情報化の質が変わるのではないかという認識を基に書いてございます。具体的に申しますと、(1)はいわゆる金銭のやりとりを前提とした消費者生活なのですけれども、IT社会の進展に伴って、(2)でうたっておりますのは、いわゆる人のデータ、個人データを相手に提供しないと、事業者側に提供しないと取引ができないという、データのやりとりを前提とした消費者生活みたいなイメージで、ざっくり整理をしているということでございます。まず、前半のIT化の対応でございますけれども、こちらは、いわゆるAI、IoTといった技術革新によって消費者生活が変化してくるということでございますけれども、それに対応するために、2つ目のポツでございますが、利便性と保護の2つをうまくバランスを取ったルール策定ということ、それから、電子商取引うんぬんと書いてございますけれども、恐らく今後はその小口かつ多数の紛争、トラブルが増加してくるのではないかという認識の下に、そういったものを迅速に解決するための手段の検討で、例えば、AIを使ったり、オンライン化を進めたりといったことについて検討の必要性が指摘されているということでございます。後段、新しいIT生活とでも申しましょうか。こちらでございます。基本的にはデータのやりとりについて御指摘いただいているところでございまして、自らのデータを適切に管理できる環境の整備ということで、EUなどではかなり議論が進んでいるところについての対応を指摘いただいております。データのやりとりで中心的な役割を果たすのが、ここで書いておりますネットオークションその他のプラットフォームと言われているビジネスモデルでございまして、こういうプラットフォーム型ビジネスへの規律の検討もあわせて指摘をいただいているところでございます。3つ目は若干毛色が違ってまいりますけれども、若者世代はいわゆるネイティブにITを使う世代でございます。その手段としてSNSは非常に大きな役割を果たしておりますので、そのSNSを消費者政策や消費者行政にも活用しましょうということが記されているということでございます。

3つ目に参ります。「3 消費者の自立支援」でございます。いろいろと議論はありましたけれども、多面的に考え、主体的に判断する消費者、前向きな消費者というニュアンスで捉えていただければと思いますけれども、こうした行動をする消費者を支援する枠組みを連携して構築していくべきだということについての検討課題をいただいております。あわせて、エシカル消費、先ほど申し上げましたSDGsの視点の普及ということも指摘をいただいております。これとはある意味で逆の話になってまいりますけれども、先ほど申し上げました取り残された消費者、ここでは「脆弱な消費者」という言い方をしておりますけれども、自立が困難な消費者に対するトラブルが増加しております。これに対応した支援策、「アウトリーチ型」と書いておりますが、こちら側から消費者に出向いていくような、出向いて相談を受けるような、そういったアウトリーチ型の支援体制の必要性について指摘をいただいております。3つ目の最後、消費者教育のところでございます。民法での成年年齢引下げが2022年からの予定でございます。2022年からは18歳が成人になるということでございまして、それだけ社会経験が少ない若者に何らかのトラブルに遭う可能性があるということで、それへの対応の未然防止をしっかり図るべきであること、そのために学校教育を初めとする消費者教育を一層充実する必要があるという御指摘をいただいております。

最後、一番右側、「4 政策の推進のための体制等」についてでございます。1つ目が、推進力の向上でございまして、今後、業法、縦割りの事業法規制だけでは対応できなくなるのではないかという指摘をいただいておりまして、その下で消費者庁がしっかり迅速な対応ができるように、これもトップダウンで消費者庁が何か行うということではなくて、関係行政機関、公的セクター等も含めて、連携をして対応をすべきという御指摘をいただいているところでございます。あわせて、ポツの3つ目でございますが、消費生活センター等々について、地方での対応力の強化が盛り込まれているところでございます。(2)でございます。消費者団体の活性化についても指摘をいただいております。現状、消費者団体は非常に重要な役割を果たしていただいているところでございますけれども、会員の方の高齢化、会員数の減少という指摘を受けるようになってまいりました。そういったことに対して、関係者が連携をして活性化に取り組むことを検討するようにという指摘をいただいております。最後、情報の収集と活用でございます。いろいろな事故情報等々につきまして、情報入手先、ソースの多様化ということ、分析につきましても効果的な分析についての在り方を検討するようにということをいただいております。最後、技術革新を活用した幅広い情報提供、例えば、QRコードのようなものを活用して、簡易に消費者に情報提供ができるようにすべきではないかという指摘もいただいているということでございます。

簡単ではございますが、私からの説明は以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

ただいま第4期の基本計画策定に当たって配慮すべき点等を含めて、中間取りまとめの概要を御説明いただきました。この内容に関しまして、御意見、御質問がございましたら、御発言ください。

まず、池本委員長代理。

○池本委員長代理 池本でございます。御説明をありがとうございます。

今回の第4期の基本計画のあり方検討会は、従来、第3期や以前から聞き及んでいるところと比べて、2年前からどういう形で新しく作っていくかということの検討をスタートされたという点では、非常に議論を今後広げていくという意味でも評価できるところで、期待しております。その中で、特に2ページ、現在の生活環境を取り巻く状況変化を踏まえた上で、これから何をするかという形で整理されている点は、正しい分析の視点だと思います。

ただ、もちろんその視点は非常に重要なのですが、もう一つ言えることは、基本計画を、長期のスパンで、5年のスパンで作って、また見直していくとなれば、これまでの第1期、第2期、第3期、第4期という、10~15年のスパンで見て、果たしてどこまで実現でき、何が実現できていないのかという振り返りの視点も必要なのではないかと思います。

なぜそれを申し上げるかというと、「4 政策の推進のための体制等」で申し上げますと、地方の消費生活センター、地方公共団体の職員の人員確保、専門性の向上で、本文でもその辺りのところが記述されているのですが、こういう記述は以前から同じようにあって、しかし、例えば、消費者庁ができて、交付金が注がれて、予算規模としては消費者庁ができる前に比べるとそれこそ5割増しくらいになってきているのですが、職員数は全く増えていない。消費者庁ができる前の平成20年に比べれば減っているという状況があります。つまり、地方公共団体そのものが、国が消費者庁を作って消費者行政を重視したことと同じような政策の転換をできていない。そこをどうするのかというところがなければ、強化交付金を更に継続していきますという言葉だけでは、根本的な解決にならないのではないか。そういうこれまでの振り返りの中で重要な点が何かということを、是非後半では踏み込んでいただきたいと思います。

その関係で言うと、今の「4 政策の推進のための体制等」の2番目、消費者団体の活性化に触れていただいているのは非常に評価できます。これまでは適格消費者団体を支援しようということにここ10年くらいは注目が注がれていたのですが、その更に基盤になる消費者団体が、先ほども御指摘があったように、高齢化し、あるいは衰退しているということが現実で、そこをもう一回、しかも今の時代の中で、ただ集まってくださいと言ってもなかなか集まりにくい中で、どういう形で消費者団体を育成し、連携していくのかということを本気で考え、動かしていく必要があるかと思います。

それから、ここの中にないところで、今、私たち消費者委員会の中で少し議論をしているところを申し上げますと、事業者団体の育成あるいは支援・連携も視点に入れていただく必要があるかと思います。旧来型の業界の構図ではなく、新しい業種がどんどん出来ているので、従来の業界団体とは違ったところで次々と新しいものが起きている。しかし、それが一つの業界分野として相互にコントロールするという構図が、今はできていない。そのため、行政が頑張って、例えば、インターネットの世界でもいろいろ監視していますが、それだけでは到底手が及ばない。そういうところを行政による監視とは別に、事業者団体自身による自主的な規制をもっと設けていく必要があるのではないか。遠慮せず申し上げますと、消費者庁ができて以降、消費者庁は政策の展開は早くなっていますが、事業者、事業者団体をしっかりとグリップして、そこと連携しながら施策を実践していくというところは必ずしも十分にできていないのではないかという印象を持っています。ですから、そういう視点も一つ着眼点として置いて、後半で更に議論していただければと思います。

よろしくお願いします。

○高委員長 ありがとうございました。

御回答をよろしいですか。

○消費者庁内藤消費者政策課長 御指摘、御意見を大きく3点いただいております。どうもありがとうございます。

長期で見直すべき振り返りの話と、体制、特に地方への支援の話ということで、大きく1点目をいただいております。振り返りにつきましては、検討会の会合でも指摘を少なからずいただいておりまして、特に指摘をいただいていますが、いわゆるKPIの部分でございます。5年前となりますと、なかなかまだKPIが行政には浸透していなかったこともありまして、構成員の皆様から見ると、もう少し目標設定をうまくできないかという指摘をいただいてございますので、そういったところについては、指摘を踏まえて今後しっかり対応していく予定でございます。それから、自治体への支援の部分でございます。交付金について、今、御指摘をいただいております。この中間取りまとめに書いてございますけれども、いわゆる交付金という国からの支援と地方側の自主財源の確保の両輪で取組を進めていくべきだということで、指摘はいただいております。それに加えまして、私どもとしましても、交付金プラスアルファの部分が何かできないかということは、この検討会開催以降、構成員の先生方からの意見を踏まえて検討はしておるところでございまして、この8月以降にどれぐらいそれが形として出てくるのか、現時点では何とも申し上げにくいところはあるのですけれども、そういう御指摘も踏まえて現在検討しているところでございます。

2点目、いわゆる消費者団体の活性化の部分でございます。これは、中間取りまとめに当たって多くの構成員の先生からかなり強い形で御指摘をいただいて、その上で盛り込まれたことでございます。委員の御指摘にありましたように、消費者団体そのものがある意味社会インフラという認識の下に、要は、それを国が支えるだけではなくて、国、地方、事業者も含めて関係者が一体となって支えるべきだという、時代に合わせた支援を考えるべきだという指摘をいただいて、こういう形で明文化しているところではございますけれども、現時点で具体的にこういう施策というところまでは、正直、まだ至っておりません。今回の中間取りまとめあるいは最終取りまとめを踏まえて、施策の具体化に努めてまいりたいと思います。

3点目、事業者団体の育成の部分についての御指摘をいただいております。これにつきましては、議論の中で大きく2つ意見をいただいております。1点目は、正に委員から御指摘いただいたような、業界の前向きな取組と共に、要は、ITとか、こういった技術の進展に対応した新しいサービス分野に対しても事業者団体を組成して、ガイドライン等のルール化に取り組むべきというところでございます。これにつきましては、私ども消費者庁としましても、必ずしも新しい業界ではないのですけれども、例えば、今回の架空請求は被災地を含めていろいろと報道されておりますけれども、そういう架空請求の増加に対して、コンビニ業界や決済団体みたいなところへの働き掛けは取り組んでおりますし、指摘も踏まえてこれも引き続きやっていく予定でございます。もう1点、これはあくまで検討会の議論の御紹介でありますけれども、御意見をいただいておりまして、私どもとしてはすごくハードルが高くて、今後頑張らなければいけないことは、いわゆる縦割りの業界ではない、業界横串でのビジネスへの対応。今回、端的に言いますと「プラットフォーム」という言葉で書いておりますけれども、そこにどのように対応していくのか、規律をどのように書けるのか、それはソフトローも含めてということではございますけれども、そういう宿題をいただいておりまして、これも現時点で妙案はないというところでございまして、具体的には経済産業省とかでもこの件については取組が始まっておりますので、恐縮ですが、関係省庁とこれから一生懸命勉強しながら対策を検討していく形になってこようかと思います。

長くなりまして恐縮でございますが、以上でございます。

○高委員長 よろしいですか。

○池本委員長代理 はい。

○高委員長 受田委員から順番に。

○受田委員 御説明をありがとうございました。

大きく3つ、指摘、コメントをさせていただきたいと思います。

今回の第4期消費者基本計画において極めて特徴的なことは、SDGsを根底に置いて設計された点かと思います。1点目なのですけれども、このSDGsは、2030年が達成の目標、ゴールであるということですので、ちょうどこの第4期消費者基本計画と、続いての第5期、この5年をもってゴールを迎えることになります。そういう意味で、先ほどKPIのお話があったのですけれども、SDGsの達成をKGI的に表現すると、5年のマイルストーンの中でKPIが明確に盛り込まれておく必要があるのではないかと思います。そういう意味で、今後KPIの設定自体がどういう形で2030年に対して検討されていくのか、これを伺いたいということが1つ目です。

2つ目なのですけれども、私は「3 消費者の自立支援」に注目をしています。特に「(1)消費者の自立の視点」、「(3)消費者教育の充実」に関して、注目をしております。この2点について更にコメントをさせていただきたいと思うのですけれども、「(1)消費者の自立の視点」に関しては、特に自らの選択・行動によってより良い社会の形成を目指していくという視点が重要である。これは極めて重要なフレーズを入れていただいております。また、自らの消費行動で社会を変えていくという消費者の意識改革を促す。この点も強調されるべき点ということで大いに評価したいと思うのですけれども、単に意識を改革するということを文言として盛り込んでも、魂が入っていなければ、実際的な行動計画としてKPIに落とし込んでいくことがなかなか難しいのではないかと思います。そこで、この意識改革を導いていく上での一つの手段として、様々な認証制度の活用を行動計画的にはここに盛り込んでおく必要があるのではないかと感じます。具体的には、SDGsで言うと、14番目に海の豊かさを守るというものがあって、ここで海洋資源の持続可能性をいかに担保するかと読み解ける部分がございます。御存じのとおり、海洋資源の資源管理に関しては、資源に優しい認証マークで、MSCとか、これは養殖の場合はASC、MEL、幾つかの認証制度があって、こういうものを積極的に利用することによって資源管理を具体的に意識改革へと導いていくべきであるという考え方もあります。農業の場合はグローバルGAPといったものも挙げられますし、農水省の所管になりますけれども、有機JAS等も当然ここに相当するのではないかと思います。すなわち、こういった認証制度の活用を示唆するようなコメントが求められるのではないかということが2点目。

最後、3点目は、消費者教育のところで「自立支援のための施策」と書いてあるのですけれども、「ライフステージ」という言葉があって、さらに先ほどの概略の2ページの超高齢社会というものがあるとすれば、今、政府が言っているリンダ・グラットンのライフ・シフトから出てきた人生100年時代というものが、当然ここに関わってくるのではないかと思います。私自身は、どちらかというと、成年年齢の引下げということで、若年者教育によって自立を導き、保護していこうという姿勢に見えるのですけれども、人生100年時代を迎えるに当たっては、より早いライフステージから自らのライフステージの後半に対する備えを十分にやっておくと理解することもできるのではないかと思います。我々は消費者委員会等で食品の表示について深く関わっているわけですけれども、保健機能食品制度を含めて、食育をいかに充実していくか、こういった消費者教育の視点が、人生100年時代の話と相まって、この消費者教育の充実のところに「ライフステージ」ということで、個別に盛り込まれていってもしかるべきではないかと感じました。

以上、3点でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

お答えいただけますか。

○消費者庁内藤消費者政策課長 ありがとうございます。

今、3点いただきました。

きれいな答えになるかは恐縮でございますが、ちょっとお答え申し上げます。

まず、1点目でございます。SDGsといいますか、2030年をターゲットとしてKPIをどのように検討していくのかということでございます。先ほどもKPIの件を申し上げましたけれども、現行計画のときは、行政で求められるKPIとKGIの関係はまだうまく整理できていなかったと思います。現状、KGIを達成するためのパフォーマンス指標としてのKPIということが、これも一般的に理解というか、浸透してきておりますので、その辺りを今回の基本計画にどう反映していくのかということが、正直、非常に悩ましく思っておりまして、それに近いような指摘をこれまでも検討会の委員の先生からいただいておりますので、何かうまいやり方はないかということをこれから検討していきたいと考えておるところでございます。

2点目でございます。これもKPIに関連して認証制度の活用ということで、SDGsの4つ目の目標と関係して御指摘いただいております。消費者政策の場合は、17のゴールのうち3つ目と12番目というところがひとまずのターゲットということで、今、取り組んでおるところではございますけれども、恐縮でございますが、認証のところまでは思いが至っておりませんでしたので、少し勉強させていただきたいと思っております。どういう状況になっていてどれぐらいのことができるのか、勉強させていただきたいと思っております。現時点では、そういうお答えにとどめさせていただきます。

3つ目の教育の部分でございます。これは決して委員の御指摘に抵抗するということでは全くないのですけれども、検討会の中で議論されていた中では、正に委員に御指摘いただいた超高齢社会の話、いわゆる高齢者対策の部分と、若者対策の部分は両方を議論されているところでございまして、イメージとしましては、この3番目の柱、(2)が高齢者対策として書いてあると御理解いただければと思っております。あえて若者の話がプレーアップされている嫌いがありますのは、要は、今時の若い子は本当にITを自然に使う世代というか、人たちですので、行政側のキャッチアップが追いつかないという部分がありまして、そういう意味での危機意識というか、自戒も込めまして若者対策というところをプレーアップしてあるということでありまして、決して高齢者対策を軽んじているということではないことは御理解いただきたいと思います。恐らく委員の御指摘の趣旨は、早いうちからきちんと人生100年時代に備えて消費者教育をやっていくべきではないかというところにむしろあるのではないかと思っておりますけれども、その観点から食育の話とかもいただいおります。今後の課題として受け取らせていただきたいと思っておりますけれども、これは答えに全くなっていないのですけれども、いわゆる消費者教育、特に学校現場での消費者教育の重要性は、本当にこの1年ぐらいで随分理解が進んできたような気がしております。私どもで「社会への扉」というパンフレットを作っておるのですけれども、これを社会もしくは家庭科の教材として採用していただきたいという取組をしておるのですけれども、今年は導入したいという問い合わせが非常に増えております。来年度においては、予想を上回るようなお引き合わせというのでしょうか、いただいておりまして、そういう意味では、恐らくこの1から2年が消費者教育にとっては、マイルストーンというか、非常に大事な時期になってくると思います。現状は、どちらかというと取引の安全性とかというところにまだ十分に児童の理解が及んでいないというところが、今、問題点として挙げられておりますので、これについてはしっかり対応していこうとは思っておるのですけれども、併せてせて食育といったような、私どもからするといわゆる食品ロスのようなところが行政課題としても大きく出ておりますので、そういったところも含めてしっかり取り組んでまいりたいと思います。

長くなりましたが、以上でございます。

○高委員長 ありがとうございます。

それでは、大森委員、お願いします。

○大森委員 私は、この「消費者政策の視点」を見せていただいて、SDGsがばっと前面に出て、消費者教育が本当に小さくなっているなという印象を受けました。

「3 消費者の自立支援」は、消費者教育そのもののパートではないかと私は思っております。そのトップに、1番目の柱にも載っているSDGsを改めて載せていらっしゃるのですけれども、この内容は、消費者教育をしっかりすると自然と身に付くものだと思っています。御承知のように、消費者教育は、消費者教育基本法や消費者教育推進法で全ての国民すべてが受ける権利があるというものですけれども、現状、どこまで進んでいますか。学校では一部導入されたかもしれませんけれど、あと一部の高齢者の方には行われていますが、PTAのお母さん方はどれぐらい知っているでしょうか。企業の方々はどれぐらい勉強されていますか。行政の方、消費者教育の研修はありますか。ほとんど進んでいないと思うのです。それなのに、この(3)で成年年齢引下げがあるから若者だけ消費者教育をすれば良いみたいな書かれ方をされたことが、とても残念でなりません。(2)のところも、出張サービスで相談をする。それは親切なことですけれども、これは自立の支援ではなくて被害の救済の支援ですよね。やはり教育が必要だと思います。

私としては、消費者教育を、今までできていないところを、もっと低年齢から幅広く、成年年齢引下げの対象でない大人たちも含めて実施する必要があると思います。国民全体が、消費者教育の必要性、成年年齢の問題があることを理解しないと、対象者だけが学んでも全然進まないと思うのですね。この書きぶりでは私はすごく不満で、もっと消費者教育を前面に打ち出してほしいということが印象です。

○高委員長 ありがとうございました。

いかがでしょうか。

○消費者庁内藤消費者政策課長 御指摘をありがとうございます。

これも言い訳っぽくなって恐縮なのですけれども、決して消費者教育を軽んじているわけではないことは御理解いただきたいと思います。

もう一度だけ御説明させていただきますけれども、いろいろな多様な意見を今回はいただきましたので、この柱立てにつきましては、消費者基本法の理念をベースに整理をしたということであります。小柱になっているから軽くなっているということでは全くないということを、是非御理解を賜りたいと思っております。国民全体が理解してやらないと消費者教育は駄目なのではないかという御指摘は、全くもっておっしゃるとおりだと思っておりますので、それについては重く受け止めて取り組みたいと思っておりますし、検討会でも実際にそういう意見は多々出ておりまして、それを踏まえて書いていることは御理解いただきたいですし、今日御意見をいただいたことについては、改めてフィードバックをさせていただきたいと思います。どうもありがとうございます。

○高委員長 他、ございますでしょうか。

どうぞ、長田委員。

○長田委員 本文なのですけれども、中間取りまとめの4ページのところで幾つか、質問となるのかあれなのですけれども、3行目のところ、「例えば、スマートフォン一つで様々な決済が行えるという利便性に対し、蓄積された個人データの適正な利活用が課題となり得る」という、これは当然今の課題なのではないかと。2020年からこれを計画の中に入れるというよりは、今の話ではないかと思いました。特にコメントをいただかなくても良いのですが、思いましたということです。

それに対して、今度は(2)のすぐ上のところで、「紛争解決の一次的な判断においてのAIの活用やオンラインADR等、迅速な紛争解決手段の構築を検討すべきである」となぜ言い切ったのかというところ。ADRに参加したりした経験からいくと、そんなものではないのではないかと。判例とか何かを検索するとか、データを利用するとかということはあり得ると思うのですけれども、なぜこう言い切っているのかなということ。

それから、(2)の3段落目の4行目からの「リコール製品等の危険又は有害な商品・サービスの流通を防止する等安全確保のための取引のルール作り」とありますが、リコール製品がプラットフォーム型ビジネスの中で、今、売られているのだという事実があって、その中でこういうことを言われているのか。ちょっとこれはどうなのかとすごく思ったので、伺いたいと思いました。

その上で、今後のことなのですけれども、これからいろいろと検討されて、新たな第4期の基本計画ができていく中で、むしろ毎年の検証評価の仕組みをどう考えていくのかというところが一番大事ではないかと考えていますということを申し上げたいと思います。基本計画は、5年の計画をぽんと作るわけですし、今回、丁寧に議論がされていることはすごく良かったと思っているのですけれども、計画が始まって以降、どうやって消費者庁がリーダーシップを採りながら、関係する省庁全てに消費者政策を理解させて具体的な施策を書き入れてもらって、毎年それが本当に実現したのかを厳しい目でチェックをしていくところに意味があると考えていますので、第3期の在り方からするともうちょっと工夫が必要ではないかという気もしますので、是非それも含めて考えていっていただきたいと思います。

以上です。

○高委員長 どうもありがとうございます。

長田委員、質問のところをもう一回。細かいところの御指摘があって、どうしてこういう書きぶりなのかと言われたところ、その箇所をもう一回御説明いただけませんか。

○長田委員 この中間取りまとめの4ページの3行目、スマートフォンの決済のころは、今、既に課題であって、2020年ごろから新たな課題になるのではないということと、その下のところ。

○高委員長 下のリコール製品のことですね。

○長田委員 それと、真ん中、なぜADRにAIを活用しろと当然言い切っているのかという3つです。

○高委員長 よろしいですか。

○消費者庁内藤消費者政策課長 ありがとうございます。

まず、御質問の3点についてお答え申し上げます。

共通して申し上げられますのは、議論を踏まえての書きぶりになっているということでございます。どういうことかということを、これから順に御説明いたします。まず、最初のスマートフォンのデータの適正な利活用が課題となり得るという部分でございますけれども、検討会で問題になりましたのは、プラットフォームにも関係してくるのですけれども、スマホでいろいろなサービスを申し込むときに、そのサービスの約款を見ますと、個人データが第三者に使われることがありますとかという約款がばっと書いてあるのですけれども、現状、若者を中心にユーザーはそれをほとんど読まずにタップしたりクリックをしたりしているわけでございまして、今、海外でフェイスブックの個人データの流用とかが問題になっておるわけですけれども、そういったデータの流用というところにまでまだ問題の本質とか根源的な課題があるというところに、ユーザーの人たち、消費者の方々は思いが至ってはいないのではないかという議論を踏まえての記述でありまして、今、データの問題がないと言っているわけではないということでございます。これまでのデータの問題、個人情報の流用の問題とは質が違う形でのトラブルというか、原因、トラブルの種があるのではないかという議論を踏まえての記述でございます。

2点目でございます。AI、オンラインADRなのですけれども、簡単に言いますと、負担軽減の観点から、こういったAIやオンライン化の活用が検討できないかというニュアンスで書かせていただいております。現状のAIでいきなり相談ができるというイメージでは書いてはおりません。現状のAIですと、テキストベースでの形式的な問い合わせの分類ができる程度でありますので、私どもとしては、次の中期計画のどこかのタイミングまでに、もしそのようなAIを活用した一次受け付けみたいなことができるのであれば、その可能性については検討していきたいというぐらいのニュアンスで書いていると、言葉は乱暴ですが、そういうことで御理解いただきたいと思います。

3点目、リコールの話が突然ではないかと。

○長田委員 事実があるのか。

○消費者庁内藤消費者政策課長 これについては、もともとの議論としましては、海外での消費者問題での最新トピックを紹介した際に議論になったことでございます。日本で事例があるのかどうかということは、恐縮ですが、今、手元に資料を持ち合わせていないのですけれども、海外では、リコール対象になった製品をいわゆるオークション等で、C to C、消費者から消費者に売買をするといった事例がありまして、それに対する規制が検討されていることを紹介させていただきまして、一方で、まだ日本ではそこまでの検討に至っていないということを紹介させていただきました。その過程でこの議論が出てきたということで紹介させていただいているということでございます。

○高委員長 よろしいですか、長田委員。

○長田委員 反論はありますが、皆さんがおまとめになったことなので結構です。

○高委員長 よろしいですか。

どうぞ、樋口委員。

○樋口委員 この中間取りまとめを拝見して、幾つかの点で少し気になることがあります。1つは、私は10年ぐらい製品安全の関係の審議会等に参加していたのですが、今のリコールにも関係するのですが、安全・安心に国民全体が暮らせるということは消費者問題の重要なテーマだと思うのですが、具体的にどこを見たら良いのかなということがよく分からないのですが・・・。高度情報通信社会の進展に伴っていろいろなことがあるという中にはリコールの話もありましたし、私は、10年来、二次元コードを利用すべきだと安全の審議会などでは主張していて、この中間とりまとめでもこのことが6ページの一番下のところに「例えば」で二次元コードの話が書いてありますが、これは安全に関する情報提供という意味で極めて重要だとは思っています。しかし、二次元コードの話は革新的な技術ではないわけですね。現在既に確立した技術でして、革新というならマイクロチップをガスのいろいろな機器などに入れたりということも既に普及率90数%というレベルで行われている訳です。全体として、製品安全とか、食品安全とか、その分野がちょっと見えにくいなと。全く読めないということではないかもしれませんが、消費者問題の非常に大きな柱なので、そこについては最終報告のときには是非御検討いただきたいということが1点です。

もう一点は、これも私は環境問題をずっとやってきたので、持続可能性という話があるとすれば、これについては、環境基本計画とか、いろいろな環境関係の行政との関係は非常に深くなってくる可能性があると思うのですね。エシカル消費、SDGsの話も、自立の視点というよりはもうちょっと踏み込むべきではないかと思っています。消費者市民社会を自ら構成していくという主体的な行動として捉えれば、ここに入らないことはないとは思いますけれども、ちょっと位置付けとして気になりました。整理の仕方の問題、あるいは、今後そういう環境関係のいろいろな行政との間の整理をどうしていくのか、できれば有機的なつながりを求めたほうが良いのではないか。例えば、「消費者団体の活性化」と書いてありますが、現場で考えていますと、環境関係の団体もかなりあるわけですよね。ですから、消費者行政と環境行政が手を握れば、消費者団体と環境関係の団体も協力する、連携することができるかもしれないし、ここで言っている「自立の視点」という言葉はやや狭い感じがしますが、エシカル消費やSDGsには非常に大きな社会的な効果がある可能性があると思うのですね。ですから、そういう意味でも、持続可能な社会をどう作っていくかという視点が重要と思います。あと、Society5.0というのも、それはそれでいろいろな行政が進めておられるものと思いますが、この上の部分がどこにつながってくるのかということがまだいま一つよく分かりません。これは要望ですけれども、そういう意味で、最終的な取りまとめをする際には、現在進めている行政の状況も踏まえた形で方向性を決めていただけると良いなと思っております。

もう一点は、池本先生が最初におっしゃいましたけれども、振り返るというのも、KPIだけで振り返るという意味ではなくて、これまでの消費者行政が進んできた道の中で、例えば、制度、法律面については、かなり踏み込んでいろいろ実績を挙げてこられたと思うのですけれども、地方の消費者行政の現状、現場でどういうことが起きているのかということについては、なかなかKPIには表し切れない、でも、単純なKPIで、職員数を取ればとか、予算を取れば、かなりピークのときから見ると落ち込んでいるということも言えるわけなので、そのようなところについても是非、今、大きな課題があるということについて御認識いただいて、今後の方向付けをしていただけると良いのではないかと思います。

これは私の意見で、特に回答は結構です。

○高委員長 ありがとうございます。

他はございますでしょうか。

どうぞ、山本委員。

○山本委員 時間が余りありませんので一言だけ申し上げますと、今、少し話に出ました、6ページの地方公共団体の問題ですけれども、これに関しては、池本委員長代理から先ほどお話もありましたように、ただ頑張れというだけでは難しい状態になっていると思います。交付金の話に関して、私も議論に参加をいたしましたけれども、地方公共団体全体の財政力が非常に弱っているという状態があり、今後、こういった状態はさらに深刻化する可能性が高いと思われます。他方で、地方公共団体は消費者問題だけでなくいろいろな課題をこなさなくてはいけないという状況の中で、この地方公共団体の消費者問題への対応力をどう高めるかというところは、もう一つ踏み込んだ記述が必要なのではないかという気がしています。

具体的には、例えば、地方公共団体の間の連携の在り方、1つの自治体だけで完結的に問題を解決するというモデルはもはや実現が非常に難しくなっている状況の中で、例えば、自治体の連携の在り方を考えるとか、あるいは情報技術をどこまでどのように使うことができるかといったこと等々、そういったところまで今後の5年間において踏み込んで考えていく必要があるのではないか。もちろん自治体の意識が足りないところがあるというのは事実だと思いますけれども、それだけでは、なかなかこの先の展望が開けてこないのではないかという気がいたします。

これも、意見にとどまります。

○高委員長 ありがとうございます。

どうぞ、鹿野委員。

○鹿野委員 私も、2、3点申し上げたいと思います。

1つは、今回の中間取りまとめ自体は、先ほども御紹介がありましたように、時代の変化を受けて新たな時代にふさわしい消費者政策をという観点から、特に注目すべき点を挙げられたということであると思います。ただ今後、取りまとめを受けて消費者庁において基本計画を作られる際には、これを踏まえながらも、幅広い視野で扱っていただきたいと思います。基本的に従来からの重要な点は、その重要性が失われたわけではありません。あるいは振り返りということをやっても十分に達成できているとは到底言えないようなところが多々ありますし、先ほど安全の面が指摘されましたけれども、表示の面や適正な取引の面に関してもいろいろと問題は残っているわけです。それらのうち、新たな時代の課題ということでここに触れられている項目は限定的でありますけれども、その他の項目の重要性についても十分に踏まえていただきたいと思います。

さらに、細かな点を2点申し上げたいと思います。まず、中間取りまとめの概要の2ページに、3の「(2)脆弱な消費者への対応」の記載があります。脆弱な消費者という概念をどう捉えるかということもありますし、それは高齢者だけではないと思いますが、高齢者を初めとした脆弱な消費者を考えた場合に、もちろん自立を支援することはとても重要なことですけれども、もう一方で、支援ということだけでは足りないような保護の側面も忘れてはならないと思います。そしてこれについても、今までも取り組まれたところではあると思いますけれども、高齢者だけではなく、状況によって非常に弱い立場に立たされる消費者もあると思いますし、そのような問題も含めて引き続き検討していただきたい。今の点は、この中間取りまとめについてどうだという話ではないかもしれませんけれども、そういう問題があるということをコメントさせていただきました。

もう一つは、2ページの2のところで、AIも含め高度情報通信社会のことを取り上げていただいていることは有り難いと思います。既に前の基本計画でも情報社会の点については触れられてはいたけれども、いよいよそれが新たな局面を迎えているということで、ここに特出しされているところは良いと思います。ただ、あえて申し上げますと、この項目の(1)と(2)の整理によく分からないところもあります。私なりに言うと、高度情報通信社会の進展に伴って、一つはそれを消費者にどうやって役立てていこうかという面があり、もう一つは消費者にとって今までになかったようなトラブルが発生する可能性もあるということで、その両面を考えていかなければいけないということだろうと思うのですけれども、この整理の仕方についてより分かりやすくなるように検討していただければと思います。

以上であります。

○高委員長 ありがとうございました。

いろいろと委員から意見が出ましたけれども、それだけ基本計画に対して我々の思いが強いということを理解していただければと思います。

少しまとめさせてもらいますと、私どもは、昨年の3月に消費者基本計画工程表の改定素案に対して意見を述べたのですけれども、その中で、特にAI、IoT、ビッグデータなどの活用に関しては、利便性だけではなくて問題があるということで、こういう指摘をさせていただきまして、先ほど長田委員から細かい文章で4ページのところを取り上げて御指摘いただいたのですけれども、そこの思いがあって発言をさせていただいたということでございます。

今日、委員の方々からもらった意見は、まとめれば3つぐらいになるかと思っております。

1番目は、長期の視点、長い視点で、「振り返り」という言葉も使っておりましたけれども、もう一回全体を眺めて次の4期を考えるべきではないか。それの意味するところは、新しい変化も確かに起こっているのですけれども、今回は要約でしたのでそこまでは書けなかったかと思いますけれども、新しい問題にどう対応していくかという話だけではなくて、例えば、「製品安全」や「食品安全」みたいな言葉も出ていましたけれども、既にある問題をもう一度見てみて、どうするべきなのか。これまでに十分にそこまで達成できなかったものについてはどういう施策を打っていくべきなのかという意味で、少し長い展望をもって計画を立てていただければと思います。

2番目は、これも荒っぽい整理で申し訳ないですけれども、具体的な行動につなげるためのプロセスまで考えていただけないかということかと思います。今日出ているものについても、これはマジックワードだなと思ったのは、「連携」という言葉が出てきて、どうやって連携させていくのか。連携しただけでそれがアクションにつながるのかというと、そうでもないだろうと感じたところです。例えば、エシカル消費を推進していくというときに、本当に行動につなげるには、確かに認証とか、何がエシカルなものなのかが分からなかったら購買行動にもつながりませんし、そういった御指摘がありました。それから、「消費者団体の活性化」という言葉も、連携で活性化されるというだけでは説明不十分だと思います。事業者団体の育成というのもそこに行き着くのかなと思っております。

いろいろ申し上げたいことは、まだまだあろうかと思いますけれども、長田委員に最後にまとめていただきましたけれども、これからどうやってこれを遂行していかれるのかということでございますので、計画そのものの策定過程にも我々はいろいろ意見をさせていただきますけれども、それができ上がった後、どうそれを実施に移していくのかというところでも、消費者庁としてリーダーシップを発揮していただきたいと思います。

以上で、この中間取りまとめの議論を終了させていただきたいと思います。

よろしいでしょうか。

それでは、消費者庁におかれましては、お忙しいところ、御審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

○消費者庁内藤消費者政策課長 どうもありがとうございました。よろしくお願いします。

(消費者庁内藤消費者政策課長、消費者庁澤野消費者政策課企画調整官 退室)

≪3.関西電力株式会社による電気料金の値下げに関するフォローアップについて≫

○高委員長 次の議題は、「関西電力株式会社による電気料金の値下げに関するフォローアップについて」でございます。

当委員会は、フォローアップとして、昨年8月、高浜原子力発電所3・4号機の再稼働に伴う電気料金の値下げについて調査審議し、意見を発出しました。昨年に引き続き、今回の大飯原子力発電所3・4号機の再稼働に伴い、7月1日より電気料金の値下げを実施したことを受け、公共料金等専門調査会において、適正な値下げが実施されているか確認・検証する観点から審議を行っていただきました。その内容を踏まえ、今般、専門調査会において意見を取りまとめられたということでございます。

本日は、公共料金等専門調査会の古城誠座長にお越しいただいております。古城座長におかれましては、お忙しいところ、御出席いただきまして、ありがとうございます。

最初に、取りまとめの内容について簡単に御説明いただきたいと思います。その後、意見交換を行った上で、当委員会としての意見を取りまとめたいと思います。

それでは、古城座長、よろしくお願いいたします。

○公共料金等専門調査会古城座長 関西電力株式会社は、大飯原子力発電所3・4号機の再稼働に伴い、電力・ガス取引監視等委員会の審議を経て、7月1日より電気料金の値下げを行いました。

関西電力の電気料金については、東日本大震災後、これまで2回に渡り原発再稼働の遅れを理由とする値上げが行われており、平成27年6月に行われた前回の値上げの認可に際しては、消費者委員会は、原発再稼働後の値下げを条件付けるよう求めておりました。

こうした経緯に鑑み、当専門調査会としては、今回の関西電力による電気料金の値下げについて、適正な値下げが実施されているか確認・検証する観点から、フォローアップとして7月23日の公共料金等専門調査会において、同社及び電力・ガス取引監視等委員会事務局に対してヒアリングを行い、審議を行いました。ヒアリング結果を受けて、7月27日の専門調査会において議論を行い、値下げについての評価や今後の課題などを内容とする「関西電力による大飯原子力発電所3・4号機の再稼働に伴う電気料金値下げ後のフォローアップに関する専門調査会意見」をまとめましたので、御報告させていただく次第です。

意見の内容につきましては、事務局より説明をお願いします。

○消費者委員会事務局担当者 それでは、事務局より説明いたします。

資料は、右肩に「資料2」とある意見となっております。

まず、意見の内容ですが、「1.経緯」が書かれております。最初のパラグラフは、今回の関西電力の値下げの内容です。大飯原発3・4号機の再稼働を受けて、本年7月1日より平均5.36%の電気料金の値下げを行ったことが書かれております。それ以降は、先ほども御説明がありましたように、関西電力の電気料金については、これまで原発再稼働の遅れを理由に2度に渡り値上げをされていること、それに伴いまして、経済産業省による査定方針の中で、原則として、1基再稼働するごとに値下げを行うべきであること、また、再稼働の翌々月までを値下げの実施期限とすべきであるという条件が盛り込まれております。そういう経緯もあり、公共料金等専門調査会では、昨年8月、高浜原発3・4号機の再稼働に伴う電気料金の値下げについて調査審議し、意見を発出しております。それに引き続きまして、今回、大飯原発3・4号機の再稼働に伴う電気料金の値下げについても調査審議を行ったという経緯について書いております。

次の「2.値下げについての評価」になります。今回の調査審議の結果を踏まえた専門調査会としての評価が書かれております。最初のポツですが、原発停止による燃料費等の追加費用を理由とした値上げについては、原発再稼働により、値上げの原因となった事象の解消が進むことに伴い確実に削減される必要があること。2つ目のポツですが、今回の値下げにおいては、大飯原子力発電所3・4号機の再稼働による火力燃料費の削減分が原価に反映され、値下げが行われたことが確認されたこと。3つ目のポツですが、関西電力の販売電力量は減少しており、これは単位当たりの原価を上昇させるおそれがあったところですが、この上昇要因については経営効率化による経費削減で吸収されて、値下げ幅は減少しないことが確認されたこと。4つ目のポツですが、大飯原子力発電所3号機については、本年4月に本格運転を再開する一方、値下げは7月1日からとなっており、再稼働の翌々月までの値下げとはなっておりませんが、費用の削減分は実質的に値下げに適正に反映されていることですとか、消費者にとっての分かりやすさや手続の効率性の観点から問題がないことが確認されたというところが書かれております。

次に「3.今後の課題」です。専門調査会の基本的な考え方としましては、原発が再稼働した場合には、電気料金は停止前の水準まで戻すべきというところを基本的な考え方としております。そのため、関西電力及び各電力会社においては、原発停止や再稼働の遅れを理由として認可された電気料金の値上げについては、今後、原発再稼働などの進展がみられるのであれば、停止前の水準まで電気料金を戻すよう努力することが必要であること、仮に停止前の水準まで電気料金を戻すことができないのであれば、その理由について十分に説明することが必要としております。また、電力・ガス取引監視等委員会及び消費者庁は、今後、関西電力のみならず各電力会社において原発再稼働が行われた場合には、原発再稼働により節約された燃料費が料金に適切に反映されているか、引き続き丁寧な検証を行うことが必要であるという内容になっております。

説明としては、以上です。

○高委員長 ありがとうございました。

ただいまの意見に関しまして、御意見、御質問がございましたら、御発言ください。

よろしくお願いします。

○公共料金等専門調査会古城座長 ちょっと補足させていただいてよろしいですか。

今度の専門調査会は、これまでよりも強めの立場に修正しています。

第1点は、原発停止に伴う値上げは停止によって燃料費が増加したことを理由に認められておりますから、原発再稼働によって燃料費が減少した部分は値下げとして返されなければいけないということを述べております。それがまず第1点です。その部分は、「3.今後の課題」の第2パラグラフ目に「原発再稼働などの進展がみられるのであれば、停止前の水準まで電気料金を戻すよう努力することが必要である」と書いてございます。もう一つ、原発再稼働で燃料費は減ったけれども、他の事情で値上げ事情があるのだからもとに戻せないという意見があるのですけれども、それは原則として認めないということで、ここに書いてありますように、「仮に、停止前の水準まで電気料金を戻すことができないのであれば、その理由について十分に説明することが必要である」ということです。実質的には、これは値上げですからね。原発再稼働がなかったら値上げをしなければいけないという要因があると言うのですから、簡単に認めることはできませんということにしております。

第2点は、原発再稼働によって燃料費が減少した場合には値下げしなければならないという義務は、明示的には2度目の値上げ認可に付されているのですね。したがって、私は誤解だと思うのですけれども、反対解釈として1度目の値上げについては値下げ義務がないと考えておられる方がいますので、それを避けるために、1度目の値上げ分についても燃料費が減った場合は値下げ義務があるという立場を採っております。これは、条件というのではなくて、大もとの電気料金は原則として費用に見合った料金でなければならないという決まりがあって、それについては、今、値下げ届出制になっているから、法律上強制する手段はないのですけれども、義務はあって、義務がちゃんと果たされたかどうかをフォローアップで国民に納得してもらうという仕組みになっているわけですから、義務がないわけではないのですよね。ですから、その点を第2点として述べておりますので、ここに書いてありますように、電力会社が、関西電力も、1度目に止まったことを織り込んだ原発を動かした場合には値下げ義務がないと考えられると困りますので、その部分についても値下げ義務がありますよということを述べております。第2点は、その点です。

○高委員長 第2点は、どの段落になりますでしょうか。

○公共料金等専門調査会古城座長 第2パラグラフのところ。

○高委員長 2ページ目の第2パラグラフですか。

○公共料金等専門調査会古城座長 「このため、関西電力及び各電力会社においては」ということで、ここに、関西電力は今回の値下げについてはオーケーですけれども、まだ次の原発再稼働についても値下げ義務がありますよということを書いてあるわけです。これが第2点ですね。

第3点は、是非それを担保するために、専門調査会はもちろんやりますけれども、監視委員会にもフォローアップをやってもらいたい。原発が動いた場合ですね。基本的に、全体として、原発が動いて燃料費が減った部分については、ちゃんとその部分は値下げされているかどうかをフォローアップで確認してもらいたいという内容が織り込まれておりますものが3番目ですね。次のパラグラフで、「今回のフォローアップを踏まえ、電力・ガス取引監視等委員会及び消費者庁は、今後、関西電力のみならず各電力会社において原発再稼働が行われた場合には、原発再稼働により節約された燃料費が料金に適切に反映されているか、引き続き丁寧な検証を行うことが必要である」となっておりますので、前よりは厳しめにしてあります。

○高委員長 ありがとうございます。

御質問は特にございませんでしょうか。

よろしいですか。

そうしましたら、この調査会からいただきました報告に関しまして、委員会としての意見案を配付していただけますでしょうか。

(意見案配付)

○高委員長 この委員会としての意見案ですけれども、異議はございませんでしょうか。よろしいですか。

(委員首肯)

○高委員長 それでは、この意見案の内容については、皆様の御了解をいただいたということで、原案をもって当委員会の意見とさせていただきます。

古城座長におかれましては、お忙しいところ審議に御協力いただき、誠にありがとうございました。

(公共料金等専門調査会古城座長、消費者委員会事務局担当者 退室)

≪4.公益通報者保護専門調査会中間整理について≫

○高委員長 次の議題でございますが、「公益通報者保護専門調査会中間整理について」でございます。

消費者委員会では、本年1月に内閣総理大臣から公益通報者保護法について、同法の施行状況を踏まえ、事業者におけるコンプライアンス経営、国民の安全・安心の確保に向けた取組の重要性の高まりを初めとした社会経済情勢の変化への対応等の観点から、公益通報者の保護及び国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法令の規定の遵守を図るため、規律の在り方や行政の果たすべき役割などに関わる方策を検討することを内容とする諮問を受けました。

同諮問を受け、公益通報者保護専門調査会の再開を決定し、本年1月から調査審議を行い、先般、「公益通報者保護専門調査会中間整理」が取りまとめられました。

同専門調査会の座長は、本委員会の委員である山本委員に務めていただいております。また、消費者庁には、専門調査会の調査審議に御協力をいただきました。

本日は、消費者庁にお越しいただいております。消費者庁におかれましては、お忙しいところ御出席いただきまして、ありがとうございます。

最初に、山本座長から中間整理について簡単に御説明いただきまして、その後、意見交換を行いたく思います。

それでは、山本座長、よろしくお願いいたします。

○山本委員 資料3-2の中間整理の最後、24ページを御覧いただきたいと思います。

公益通報者保護専門調査会では、本年1月より計9回会議を開催いたしまして、専門調査会において検討することとされた個別の論点について一通りの検討をいたしました。今般、中間整理という形で取りまとめを行いました。これが資料3-2でございますけれども、その内容を御報告させていただきたいと思います。

この中間整理におきましては、各論点について、これまでの審議内容を踏まえまして、今後の検討に向けて、現時点においておおむね方向性が示された事項及び今後の検討課題として残されている事項を整理いたしました。これが、資料3-1の形で概要としてまとめられております。方向性が示されたもの、今後の検討課題という形でまとめられております。

非常に論点が多岐に渡っております。これは、この公益通報者保護法が非常に多岐に渡る法分野に関係しているということがあり、なおかつ、その利害関係者あるいは関係する行政機関がこれまた非常に多岐に渡っていることによるものです。したがいまして、これまで、この専門調査会におきましては、多くの分野の専門家の方あるいは多くのステークホルダーを代表していただく方等々から、いろいろな御意見をいただきました。全体としては、非常に前向きに良い制度を作っていこうという姿勢でそれぞれの委員の方に議論に参加していただきまして、そのおかげでこのように中間整理という形で取りまとめることができました。各委員の皆様に感謝をしております。

それでは、主な論点に関する記載の内容につきましては、事務局から説明をお願いしたいと思います。

○友行企画官 それでは、資料3-1に基づきまして、御説明申し上げます。

1ページ目でございます。

各論点ごとに整理しておりますので、御説明申し上げます。

最初のところ、「通報者の範囲」でございますが、まず、退職者につきましては、これを不利益取扱いから保護する通報者に含めるべきということで方向性がおおむね一致したというところで整理しております。ただ、今後の検討課題といたしまして、不利益取扱いから保護する退職者を一定期間内の者に限定するかどうかにつきましては、引き続き検討ということで整理させていただいております。役員等につきましても、不利益取扱いから保護する通報者に含めるべきという形で整理させていただいております。ただ、役員等につきましては、原則として内部での是正措置の前置を求めるべき、ただ、画一的に規定することは適当ではないという形で整理されております。今後の検討課題といたしましては、実態を踏まえて内部での是正措置を前置しなくても良いとする例外を適切に設定することができるかどうかについて、引き続き検討というところでございます。取引先事業者やその他の通報者につきましては、不利益取扱いから保護する通報者に含めることにつきまして、引き続き検討という形で整理させていただいております。

「通報対象事実の範囲」につきましては、現行では刑事罰の担保による限定等が必要という形になっておりますけれども、これを超えて、少なくとも明文の規定、明文の根拠のある行政処分等の行政措置の対象となっているものを通報対象事実の範囲に含めても良いのではないかということで方向性が示されておりまして、ただ、これを超えて通報対象事実の範囲に含めるかにつきましては、引き続き検討とされております。また、もう一つの軸でございます法目的による限定につきましては、現行法では、ここにございますように、個人の生命・身体の保護、消費者の利益の擁護等々を目的とするといった規定がございますけれども、この目的をメインにして限定することは本当に必要かどうかということにつきまして、引き続き検討が必要という形になっております。条例でございますけれども、条例であるからといって通報対象事実から除外する必要はないといった方向性は示されておりますが、具体的にどういった形にするかということにつきましては、具体的な条例を基に精査するなど、引き続き検討というところでございます。

2ページ目でございます。

引き続いて「通報対象事実の範囲」でございますが、規定の方式につきまして、どういった形で規定を置くかというところでございますが、ただいま申しましたような刑事罰の担保の話や法目的との関係といったところを踏まえつつ、どのような形で規定を置くことができるかにつきまして、引き続き検討とされております。規定方式として、現行法のように法律を列挙する方式や、列挙した後に最後に包括条項を置く方式など様々なことが考えられますけれども、そういったことも含めて引き続き検討という形に置かれております。

「外部通報の保護要件」でございますけれども、2号通報につきましては、真実相当性の要件は緩和すべきではないかというところで方向性が示されております。具体的な方法につきましては、更に引き続き検討が必要というところでございます。3号通報につきましては、真実相当性の要件は維持すべきというところでおおむね意見が一致しておりまして、さらに、特定事由のところにつきましては要件を緩和する方向で検討すべきではないか、その具体的な方策については引き続き検討してはどうかという形で整理されております。通報者の範囲の拡大でございますけれども、役員等が2号通報や3号通報をする場合、原則として内部での是正措置の前置を要件にすべきであるが、そこを画一的に規定することは適当ではないというところまでは方向性が一致しておりますけれども、さらに、退職者は労働者と連続する立場にあることを踏まえて、どういった形で外部通報の保護要件に差を設けるべきかなどにつきましては、引き続き検討とされております。

「通報を裏付ける資料の収集行為」に関しまして、少なくともこれまでに集積された裁判例を整理して分かりやすく示していく必要があるといったところでございますけれども、具体的に法律の規定を置くとした場合にどのような規定を置くことができるかにつきましては、引き続き検討とされております。

3ページ目に参ります。

「通報体制の整備」でございますが、まず、事業者につきましては、大規模の事業者と中規模・小規模と様々な事業者がございまして、そこは分けて考える必要があるところでございますが、事業者に内部通報体制の整備義務を課す方向で検討してはどうかというところで方向が示されております。少なくとも大規模事業者におきましては整備義務を課しても良いのではないかというところでございます。ただ、履行すべき義務の内容につきましては、様々な業種や事業者の規模がございますので、画一的に定めることは相当ではないという御意見でおおむね方向が示されております。今後の検討課題といたしましては、中規模・小規模の事業者におきまして、どのようなレベルで義務を課すかというところにつきまして引き続き検討というところでございまして、また、その義務の履行を確保するための措置につきまして、例えば、体制整備義務のところが十分ではない場合には3号通報について少し要件を緩和していくことが考えられるといったこともございましたけれども、具体的なところにつきましては、引き続き検討という形にされております。体制整備義務につきましては、行政機関につきましては整備義務を課す方向で検討すべきといったところでございます。

「守秘義務」でございますけれども、1号通報先につきましては、現行法令上、明示的に守秘義務が課されている規定はございませんけれども、1号通報先につきましては守秘義務を課すべき、その守秘義務の対象とする情報の範囲につきましては「通報者個人を特定し得る情報」とすべき、また、それを負わせる者の範囲につきましては、通報に関する業務に従事する担当者とすべきといったところにつきまして、方向性が示されております。守秘義務の規定はこういった形で方向性が示されておりますけれども、実際、事業者におきましては、通報された後に調査に入るといったことがございますので、その調査との関係で、調査の必要性などに配慮いたしまして、守秘義務が解除される例外を適切に設定できるかどうかにつきまして、引き続き検討とされております。2号通報先につきましては、現行法、国家公務員、地方公務員におきましては、守秘義務規定がございますけれども、公益通報者保護法でもそれを規定することがあっても良いのではないかということで、方向性が示されております。3号通報先につきましては、守秘義務を一律に課すことは難しいのではないかというところで、おおむね意見が一致しているところでございます。

4ページ目でございます。

「一元的窓口」について御議論いただきまして、こういった公益通報者保護制度に関する一元的窓口につきまして、そういった窓口を置いたほうが良いというところで方向性が示されております。ただ、そういった一元的窓口を置きつつも、現行、各行政機関の通報窓口がございますが、それについては引き続き置きまして、そこで通報を受け付けるといった体制は維持すべきではないかといったことや、また、問題となっている法令違反の有無等を一元的窓口が調査・判断するのではなくて、それについては当該行政機関において調査・判断すべきといったところまでは方向性が示されております。その一元的窓口の設置先でございますけれども、消費者庁に置くのが良いのではないかというところで方向性が示されております。また、一元的窓口の具体的な職務などにつきましても、様々な御意見がございまして、一元的窓口に送付されました情報につきまして、担当する権限を有する省庁などに回付するといったことでございますとか、更にそういったその後のことにつきまして一元的窓口がモニタリングをするなど、職務の内容につきましても具体的に意見が出されたところでございます。ただ、今後の検討課題といたしまして、仮に消費者庁に一元的窓口を設置するとした場合に、様々な権限を持たせることといたしまして、そういったことをできる体制の整備や、また、他の行政機関との関係で新たな仕組みを設けるといった場合に、どういった形で公益通報者保護法の中で手当てをすることができるのかといったことなどにつきまして、更に検討が必要だというところになっております。また、都道府県や市区町村との関係も出てまいりますので、その場合に、自治体などに対してどういったことができるかといった、その辺りの法律的な整理などにつきましては、引き続き検討とされております。

「不利益取扱いに関する紛争解決手続」や「不利益取扱いに対する行政措置」でございますけれども、まず、紛争解決手続につきましては、事業者・労働者間の不利益取扱いに関する紛争解決手続を更に充実させていくことが重要であるというところは意見が一致しているところでございます。具体的にどのような手順でやっていくかというところにつきましては、更に検討が必要とされております。

「不利益取扱いに対する行政措置」でございますけれども、不利益取扱いを行った事業者に対する行政措置を導入する必要があるといったところまでは方向性が示されております。ただ、その際も紛争解決手続で解決できる事項につきましてはそういったところに解決を委ねるといったところについては、意見がおおむね一致しているところでございます。行政措置の種類でございますが、是正の勧告や、それに従わない場合には公表すべきといった方向性が示されております。ただ、その前段階として、調査や事実認定をしっかりと行いまして、助言や指導により是正を促すなど、慎重な手続を踏むべきであるといったところは方向性が示されております。さらに、是正勧告や公表を超えて命令制度まで導入することにつきましては、引き続き検討とされております。

5ページ目でございます。

「不利益取扱いに対する行政措置」に関しまして、他の行政機関との連携につきましては、具体的な対象となる事案の件数などを踏まえまして、どういった形で連携していくかというところにつきましては、更に検討が必要とされております。また、法改正などによりまして、労働者以外の者への不利益取扱いについても、例えば、行政措置を入れるといった議論がされた場合には、それにつきましても具体的な方策につきましては引き続き検討が必要だということで整理されております。

「不利益取扱いに対する刑事罰」につきまして、命令制度を設けることを前提に、是正命令に違反した場合に刑事罰を科すことや、直罰のところにつきましては、そういったことにつきまして導入するかどうかということも含めまして、引き続き検討とされております。

「立証責任の緩和」でございますけれども、まず、解雇のところにつきましては、解雇が通報から一定期間内に行われた場合には立証責任を事業者側に転換しても良いのではないかというところは方向性が示されておりまして、ただ、一定期間の合理的な期間につきましては引き続き検討とされております。その他の不利益取扱いにつきましては、降格とか、減給とか、様々に考えられますけれども、その辺りの立証責任の転換につきましては、引き続き検討とされております。

「その他の論点」につきましては、通報行為に伴う損害賠償責任や通報行為に伴う刑事責任につきまして、通報者の探索及び通報妨害などにつきましても御議論いただきまして、ここに書かれてございますような形で整理がされているところでございます。

説明につきましては、以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

ただいま、中間整理の説明をいただきました。御意見、御質問がございましたら、どうぞ御発言ください。

特にないようであれば、山本座長、何か御苦労された点などがあれば、御紹介いただけませんか。

○山本委員 先ほど少しお話ししましたけれども、とにかくいろいろな分野にまたがった話であり、いろいろな利害関係を持つ方がいるという事情があり、また、更に申し上げれば、ここに「方向性が示されたもの」、「今後の検討課題」と挙がっているのですけれども、今ある問題を解決しなくてはいけない部分と、今後想定される問題に対応しなくてはいけないという話と、全体の法制度として、ここまでやることは比較的スムーズにできると思われるけれども、ここから先のところまで制度化するとなると法制度の在り方として難しくなるのではないかといった、法制度としてやりやすいこととやりにくいことという話と、とにかくいろいろな話が入り混じって出てくるところがありまして、その辺りを取りまとめるのに大変苦労をしたということがございます。

したがいまして、「今後の検討課題」として挙がっているものの中にも、更に現実のいろいろな問題を見て具体的に詰めなくてはいけない、方向性が示されたものというテーマをさらに具体化しなくてはいけないといったものと、法制度としてどのように組むことができるのかあるいは組むことが難しいのかということを考えなくてはいけない問題とが入っておりまして、その辺りを、さらに今後、後半の段階で詰めていかなくてはいけないと考えております。

○高委員長 ありがとうございます。

委員からは特にありませんでしょうか。

今の説明を聞いておりますと、まだまだ課題は山積している状況でございますけれども、山本座長を初め、専門調査会の委員の皆様におかれましては、これまで精力的な審議をいただきまして、ここまで来ただけでも私は大変な成果だと思っております。誠にありがとうございました。また、調査審議に御協力いただきました消費者庁にも感謝を申し上げます。ありがとうございました。

公益通報者保護専門調査会につきましては、本日御報告いたしました中間整理を踏まえて、引き続き検討が行われる予定と伺っております。最終的な取りまとめに向けて、更に検討を深めていただくことを期待したく思っております。どうもありがとうございました。

(消費者庁太田消費者制度課企画官、消費者庁消費者制度課担当者 退室)

≪5.その他≫

○高委員長 最後に、議題「その他」といたしまして、消費者委員会に寄せられました意見等の概要について、事務局より報告をしていただきます。

○坂田参事官 それでは、参考資料1を御覧いただきたいと思います。この資料は、4月1日から6月30日に委員会に寄せられた要望書・意見書・声明文等の一覧でございます。この間、委員会に寄せられた意見書・要望書等は18件がございました。

具体的に御説明いたしますと、まず、1ページ目でございますけれども、取引・契約関係が9件でございます。そのうち「消費者契約法の一部を改正する法律案」に関するものが8件、2ページにお移りいただきまして、預託取引に関するものが1件でございます。同じく2ページ目の一番下の段でございますけれども、集団的消費者被害救済制度に関するものが1件でございます。3ページ目でございますけれども、公益通報者保護制度に関するものが1件でございます。その他ということで、7件となっております。

以上でございます。

○高委員長 ありがとうございます。

今、事務局から要望書・意見書について簡単に説明いただきましたけれども、何か御関心のあるものはございますでしょうか。

どうぞ、池本委員長代理。

○池本委員長代理 池本です。

消費者契約法はちょうど審議をしていた時期でもあったのでたくさん出ております。後ろの辺りでも出ていますが、例の附帯決議でつけ込み型勧誘についての対策は引き続き2年以内に施策を講ずるようにという宿題になっていたかと思います。消費者庁は先ほどの公益通報者保護法という非常に大きな課題があるところで大変だと思うのですが、この機会に何とか進めていくという意味では、我々消費者委員会の側もこの課題についてはしっかりと受け止めていく必要があるのだろうと思います。

その下に、埼玉弁護士会から商品預託取引の被害防止に関する意見書が出ましたが、今回は6月末までの集計なのでそこまでですが、7月に日弁連からもこの課題について意見書が出ております。例のジャパンライフの問題で、昨年約1年間に4回行政処分をしても倒産等には至らなかった。現行法では不十分ではないかという問題で、これについては早い段階でその問題点をあぶり出してやっていく必要がある。この意見書の中にもあるのですが、特定商品預託取引法という消費者庁所管の法律を更に強化するのか、あるいは金融商品取引法の金融庁の法律の枠組みの中に位置付け直すべきなのかという非常に重たい課題があります。両方の行政庁に関わる問題となると、消費者委員会で検討するほかない。仮に最終的な法律の立案というところまですぐにいくことではないとしても、この問題については考えていく必要があるかと思います。

「その他」のところで1つ注目したものがありました。これは、マイレージサービスの不正使用で被害を受けた者に対する救済やポイント制度についての法規制が必要ではないかという問題提起があります。これは、何年か前に経済産業省でこの問題が議論されたことがあったはずなのですが、現金を払ってチャージをしてプリペイドカードで使う。これは前払式支払手段という法規制の対象ですが、マイレージや様々ないわゆるポイントカードのポイントは、要は値引き分を登録しているのだからそれとは違うのだという整理で、これは法規制の対象ではないのです。しかし、最近のポイントカードはいろいろなお店で使えるし、しかもポイントをプリペイドカードのチャージにも切り替えられる。ほとんど共通の経済的機能を持つ時代になってきているのではないか。その中でこれをどう考えていくのか。全く同じものとして法規制の中に入れるのか、それとも、現在の取扱い、自主的なルールも含めて、それで大丈夫なのかどうかということは、一度考えてみる必要があるのかもしれません。

以上です。

○高委員長 最後のところのマイレージの話は、私は初めて聞いた話だったので驚いているのですけれども、3番目のところに「消費者対応窓口の設置を求める」と書いてあるのですけれども、航空会社には普通はあるのではないのですか。これはどういう内容なのですか。これだけしか文章はないのですかね。要するに、こういう問題があるときに対応してくれるところがないということなのでしょうね。

○大森委員 電話を掛けてもなかなかつながらないとか、そんなことではないですか。

○高委員長 そういう意味ですか。分かりました。

消費者委員会として、全体のいろいろな専門調査会等が動いていて、あるいはワーキング・グループが動いていて、いろいろ関心を持って検討すべき事項もあろうかと思うのですけれども、特に預託商法の問題等はかなり大きなテーマでございますので、全体のスケジュールを見ながら考えていきたいと思います。

他、ございますでしょうか。


≪6.閉会≫

○高委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところ、御参集いただきまして、ありがとうございました。

(以上)