第279回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2018年7月5日(木)14:00~15:06

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    高委員長、池本委員長代理、受田委員、大森委員、鹿野委員、長田委員、樋口委員、増田委員、山本委員
    (高委員長の「高」は、正しくは「はしごだか」)
  • 【説明者】
    消費者庁大元表示対策課長
  • 【事務局】
    黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 打消し表示の実態調査報告書について
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○高委員長 それでは、時間となりましたので、ただいまから「消費者委員会第279回本会議」を開催いたします。

本日は、蟹瀬委員が欠席となっております。

最初に、配付資料の確認につきまして、事務局よりお願いいたします。

○丸山参事官 お手元の議事次第下部に配付資料一覧を記載しております。

資料1-1から1-4となっております。もし不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますよう、よろしくお願いいたします。


≪2.打消し表示の実態調査報告書について≫

○高委員長 本日の議題でございますけれども「打消し表示の実態調査報告書について」でございます。

一般消費者に対して、商品・サービスの内容や取引条件について訴求するいわゆる強調表示は、それが事実に反するものではない限り問題となるものではございません。ただし、強調表示は、対象商品・サービスの全てについて、無条件、無制約に当てはまるものと一般消費者に受け止められるため、仮に例外などがあるときは、その旨の表示(いわゆる打消し表示)を分かりやすく適切に行わなければ、その強調表示は一般消費者に誤認され、景品表示法上の問題となるおそれがございます。

消費者庁におかれましては、平成28年度以降、表示物の収集等による打消し表示の実態調査や消費者への意識調査などを通して景品表示法上の考え方を整理されたということでございます。

本日は、昨年7月にまとめられました「打消し表示に関する実態調査報告書」を初めとする本年6月までの一連の調査結果について御説明いただき、意見交換を行いたく思っております。

本日は、消費者庁の大元表示対策課長にお越しいただいております。お忙しいところ御出席いただきまして、ありがとうございます。

それでは、時間が限られて恐縮でございますけれども、30分程度で御説明をお願いできますでしょうか。

○消費者庁大元表示対策課長 消費者庁の大元でございます。本日は、お時間をいただきまして、ありがとうございます。

私からは、委員長からも御案内いただきましたけれども、この2年ほどで打消し表示に関する調査を3本ほど取りまとめて公表いたしました。こちらの報告書は100ページ以上に渡るものでございますので、全てを本日のところで御説明するのはなかなか難しゅうございますので、概要からポイント的なものを拾って御説明させていただければと思います。一応表示物は全部御用意させていただいて、動画もこの画面で見られるようにしてございますので、その辺りも見ていただければと思う次第でございます。

それでは、早速でございますけれども、資料1-1「打消し表示に関する実態調査報告書(概要)」から御説明申し上げます。

1ページ目は省略させていただきますけれども、2ページ目以降、調査の方法あるいは結果というところでございますが、第2にございますとおり、最初の調査は平成28年10月末より実施をいたしまして、最終的な取りまとめは7月に公表という形になってございまして、調査に先立ち、まずは表示物を全般的に収集する、世間一般でみられるような表示物を大体網羅するという観点で、表示物の収集を500点程度行いました。それから、収集いたしました表示物を整理して、よくみられるだろうと思われるような表示例を幾つか作成させていただきました。実際のものではございませんけれども、それに近いようなものとお考えいただいて結構かと思いますが、その表示例を基に、一般消費者の方1,000名に対して、誤認するかどうかという点を確認するという調査も行いました。その結果、今回の取りまとめに至っているということでございます。

まず、打消し表示の実態が第3にございますけれども、打消し表示というものは、言葉では一つの中身しかないように思われますが、実際にはいろいろなパターンがあることが、まずは分かったということが大きな1点目でございまして、表にありますとおり、大別すると例外型、体験談型、別条件型、非保証型、変更可能性型、追加料金型、試験条件型といった種類になるということでございまして、媒体ごとに大きなばらつきはございませんけれども、例外型といわれるものが一番多い。つまり、例外条件があるようなものが一番多いという結果になってございます。

実際にどういう表示がされているのかという点が、3ページ目以降のまとめの整理でございますけれども、まず、新聞広告、新聞を中心とした紙面の場合は、打消し表示といわれるものにつきましては、8ポイント未満の小さな文字で書かれているものが過半数を占めている。数字にございますとおり56.9%という形になってございます。配置の場所につきましては、強調表示から5センチ以内のものが多く、比較的近くにあるといえるかと思いますけれども、文字はかなり小さいというのが新聞広告の特徴かと思われます。

2点目の動画広告でございますけれども、動画につきましては、一般的には15秒とか30秒といわれるような広告のスパンでございますが、その中で打消し表示の表示時間がどれぐらいなのかを見てまいりますと、2秒以下のものが半数近かったというような結果になってございます。強調表示とは別画面で打消し表示が表示されるものが20%強あったという結果になってございます。

ウェブの広告につきましては、強調表示から打消し表示までスクロールする必要があるものが2割強であったということでございまして、同一画面の中に入っているものが比較的多かったということがいえるのかと思われます。

スマートフォンにつきましては、スクロールする必要があるものが更に少なくなりまして、13.6%ということでございました。スマートフォンの結果につきましては、また別の報告書を取りまとめてございますので、そちらで別途御説明させていただきます。

3ページ目の一般消費者の認識でございますけれども、打消し表示をどれぐらい見るのか、見ないのかという点でございます。端的にここに書いてありますとおり「見ない(読まない)」と回答した割合が、媒体別に見てもおおむね6割程度は「見ない」というように回答がございまして、「見ない(読まない)」という理由について聞いたところ、4ページ以降にございますけれども、文字が多く読むのが面倒であるということ。その他に小さくて読みづらいから読まないのだとか、主要なメッセージだけ見れば十分だと思うからというようなもの等が挙げられているということでございます。

第4以下が表示例を基にした、打消し表示を認識できるかという割合の整理と問題点の考え方の整理を記載しているものでございます。5ページ目以降で表示例マル1、マル2、マル3、マル4と書いてございますけれども、表示例は資料1-4で紙媒体にしてございますので、こちらと、恐縮でございますが、画面を見ていただきながら、どれが打消し表示で、それをどの程度見ていなかったのかを御確認いただければと思います。

最初の例が、ウェブの広告でございます。新生活応援キャンペーン割引というような形で、18カ月間で月々320円割引というようなことが大きく強調表示で書かれているということでございますけれども、その下、画面では小さくて見づらいのですけれども、ウェブのところでは、打消し表示がその下のところに書かれております。パソコンの画面で見ているということでイメージをしていただきたいのですが、打消し表示をどれぐらいの方が認識し、認識できなかったのかということでございますけれども、表に書いてございますとおり、打消し表示は何カ所かに分かれているのですが、84.3%から94.2%とかなりの割合で打消し表示を見落としていたという結果になっておりまして、見落とした理由は箱枠に書いてありますとおり、文字が小さい、あるいは強調表示だけに目がいってしまったという回答が得られているということでございます。

2例目でございますけれども、2例目は動画広告でございます。これは画面を実際に見ていただいたほうが良いかなと思います。こちらです。

(動画上映)

○消費者庁大元表示対策課長 こういう広告でございまして、強調表示は、文字としては5,480円というものですけれども、あとは音声でも強調表示が行われてございます。それが認識されるかどうかということでございますけれども、強調表示に対して打消し表示が認識できなかった割合は、これも動画の場合、中段の箱枠にあるとおりでございまして、9割超の割合で打消し表示を見落としていたということで、動画の場合は特に打消し表示の見落としの割合が高いという結果になってございます。

3例目は生命保険なのですけれども、これは省略をさせていただきます。スクロールが必要な場合の例でございますので、スクロールが必要な場合も、強調表示に気付いた回答者のうち、打消し表示だけを見落とした者は7割弱という形で、やはり打消し表示を認識できなかった割合が高いという結果になってございます。

それから、4例目の動画。これも15秒ですので、ちょっと動画を御覧いただけますでしょうか。

(動画上映)

○消費者庁大元表示対策課長 5万円プレゼントという強調表示に対しまして、スマホ超割に加入する必要があるという打消し表示が画面の左下に小さく書いてあったというものですけれども、強調表示に気付いた回答者のうちの92.5%の方が打消し表示を認識できなかったという結果になってございます。グループインタビューでも、目に入らなかったというようなこと等、理由を聴取しているということでございます。

5例目、これも後で視線調査の関係がございますので、御覧いただきたいと思います。動画の広告でございます。

(動画上映)

○消費者庁大元表示対策課長 御覧いただければお分かりのとおり、4割引というものが強調表示ですけれども、実際には2万円以上の商品に限るということが最後の画面で右下のところに小さく出ているという表示のパターンでございます。こちらも同様の形で8割近くの方が打消し表示を見落としていたという結果になってございます。

今回の結果、見落としているパターンからすると、どういう整理ができるのかということをまとめたものが7ページ目以降でございまして、いずれも文字の大きさ、バランス、配置箇所、背景との区別、そういった要素から打消し表示が認識できないパターンがあり得るのだろうという形で、こういう点に注意していただきたいという整理をしてございます。

また、8ページ目以降でございますけれども、動画広告に関しましては、更に何点か付言しておく必要があろうかということでございまして、別途の整理をしてございます。動画広告に関していうと、まずは画面の打消し表示が表示される時間、別画面に行くかどうか、音声による表示の方法があるのかどうか等が問題点として整理されるということで、こういう点に注意して表示をしないと、場合によっては景品表示法違反になるというような整理をしているところでございます。

表示内容に問題があるというのは、今まで御説明したのは表示方法の問題ですが、打消し表示が明瞭に書いてあったとしても表示内容がきちんと理解できなければ問題になるのかどうかという点を確認したということでございまして、今日の御説明では、個別には御説明を省略させていただきたいと思いますけれども、結果的にみれば誤認した割合は先ほどの表示方法に比べれば必ずしも多くはございませんが、2割から3割程度は誤認をするということで、表示内容についても適切に認識できるような内容とする必要があるという整理はしているところでございます。

この最初の報告書では、体験談について少し触れておきたいと思いますので、報告書の12ページ目を御覧いただきたいと思います。表示物は1-4の7ページ目でございます。紙面広告をイメージしたものでございまして、1-4の7ページ目に書いてありますのは、おなかの周りがすっきりしたとか、毎日たった2錠飲むだけとか、カロリーを気にせず食べられるというような、ダイエット食品の例を表示してございまして、その真ん中のところに「個人の感想です。効果には個人差があります。」というような形で、小さく文字で書いてあるというパターンを用意したということでございます。

本件に関していうと、小さくて見づらいものは、当然見落とす率は高くなるということでございますけれども、体験談の場合についていうと、個人の感想です云々という形の打消し表示がそもそも消費者にとってどういう意味があるのかという点を整理したところでございます。調査結果として13ページ目を御覧いただきたいのですが、体験談と同じような効果が得られると思うという人が53%。大体の人に効果が得られると思う人が42.2%。自分にも効果があると思うという方が39.3%。大体の人に効果があろうと思うという人が4割ぐらいいるということで、体験談は効果を表しているというように一般消費者が認識しているという実態がまずは分かりました。かつ、下の段の箱枠でございますけれども、打消し表示を認識した後でも効果に対する認識が変わるのか、変わらないのかということを調査してみた結果、個人の感想ですというものがちゃんとありますことを認識させた上で、効果に関する回答を聞いても、やはりそこの表にありますとおり、大きく数字が変わるということがございませんでした。

つまり、体験談に関する打消し表示は、打消し表示があるからといっても、打ち消すという効果が薄いということが判明したという形になってございまして、体験談に関して言えば、13ページ目の下にまとめてございますように、効果、性能が十分に無いような商品であるにも関わらず、体験談を書いて、あたかも体験談に書いてあるような効果が得られるような表示をしている場合、それ自体を問題とするというような考え方の整理を採っているということでございます。

初年度調査は以上でございまして、ちょっと先に進んで恐縮でございますけれども、資料1-2でございます。初年度ではすくえなかったスマートフォンに関して、こちらも表示例を作成することにして、どういうパターンで打消し表示を認識できるのか、できないのかということを整理してございます。

資料1-2のページをめくっていただきまして2ページ目以降でございますけれども、まず、スマートフォンが一体どのような形で使用されているのかということを確認してみたところ、自宅でくつろいでいるときというのが一番多いということでございまして、外出先で、ちょっとした空き時間とか、電車やバスなどで移動しながらということよりも、自宅でくつろいでいるときというものが一番多かったということが特徴的な結果かと思います。

スマートフォンの場合は、画面が小さくて情報が縦に長い表示方法が他の媒体にはない特徴になってございますけれども、どのような見方をしているのかを確認したところ、1,000人の回答者のうち66.5%の方から、目に留まった情報だけを拾い読みするという回答が得られました。関心のあるところ、大きな文字や画像しか目に入ってこないというような回答が得られているということで、見方が非常に特徴的な点が今回の調査でも確認できているということでございます。

3ページ目の4でございますが、今回、1,000人の方にアンケートを採りましたけれども、そのうちの551人、55.1%の方が1度以上、過去1年間で、スマートフォンで何らかの商品・サービスを購入した・申込みをした経験があるという結果になってございます。

4ページ目ですけれども、5にありますとおり、551人のうちの約4割の方、39.2%の方がスマートフォンで打消し表示を見落としたことにより誤認して購入・申込みをした経験があるという回答をしてございまして、かつ、76.4%が自宅で、くつろいでいるときということで、必ずしも慌てて表示内容を十分確認できないような環境にあるわけではなくて、打消し表示を見落としたまま購入に至っているというような実態が少し垣間見えたというところが、スマートフォン調査の実態面での大きな特徴点かと思われます。

スマートフォンにつきましても、先ほどから御覧いただいているように、表示例を作成して調査をしてございます。時間の関係がございますので1例だけ見ていただきたいのですけれども、スマートフォンの場合、特徴的なものはアコーディオンパネル方式。御覧いただいている画面(注:会場の投影画面)では、アコーディオンパネルが出ないのですけれども、この「よくある質問です。」はアコーディオンパネルで、本当はここが開くのですが、項目だけが入っていて、クリックすると答えが出てくるという形になっているものなのです。よくあるパターンのその1でございまして、こういった形になっていると、打消し表示がその中にあってもなかなか見ないのだろうということが想定されまして、結果的にも見ていないということが判明いたしました。よくある質問の項目のところだけを見ても、その中に重要な打消し表示が入っているということが分かりにくいという点が大きな問題点かと思われます。

もう一つ、スマートフォンの場合はコンバージョンボタンという申込みに直結するようなボタン方式がございまして、御覧いただいている画面(注:会場の投影画面)を見ていただくと、申込みボタンをタップすると、注文フォームまで飛んでしまうという表示方法がございます。このため、その間に打消し表示が入っていると、飛ばされて見ないという形になってございます。今回の調査結果からも実際にタップして見ないという方が多数いらっしゃったという形になってございまして、コンバージョンボタンそのものの是非を問うわけではございませんけれども、少なくともコンバージョンボタンがある場合は、特に打消し表示をきちんと認識できるような形にしておかなければ問題であろうという問題点の整理を今回の調査では行っているということでございます。

最後、資料1-3を御覧いただきたいのですけれども、以上の調査は、表示の実態と表示例を基にして、どのようなものが見落とすものになるのかという考え方の整理をしてございます。視線調査というのは、それまでの調査が実証面でどうなのかということを調査するため、アイトラッキング機器という機器を使用しました。これは、消費者の視線が実際に、広告の画面に向かったときにどこに向いているのかということを確認できる機械でございまして、こちらの機械を基に、消費者がどこを見てどこを見ていないのかということも含めて確認して、その観点から注意喚起ができるところを整理しているというものがこの視線調査の結果でございます。

動画に関していうと、ページを見ていただきたいのですけれども、先ほど御覧いただいたように、もう余り時間がございませんのであれですが、動画の場合は見ていただくと、このような画像です(注:打消し表示に関する実態調査報告書の表示例マル5の画面を提示)。物の画像とか、大きな字、音声、そういったものに注意が引かれるので、文字だけの場合は視線の注意が向くことがほとんどないということがこのアイトラッキングの機器をもって調査したときにも判明したという形になってございます。特に文字と音声が、かぶっている場合は、音声の影響が大きく、音声が文字をなぞっているものについては認識がしやすいので、そちらがより認識される。つまり、一番注意が向けられる方法は、音声が非常に大きな要因を果たしているということが、今回の動画に対するアイトラッキングの機器を用いた調査では判明したということでございます。

そういう意味でいけば、元々の調査のところで結果が出てございましたけれども、動画の場合は音声で打消し表示をしているということはほとんどございません。そういう意味からすると、打消し表示を十分認識させるという方法を採る場合には、そういった点も加味していただく必要があるのかなというのが、この調査の結果から出てくると思います。同時に、強調表示だけに音声を、文字だけで打消し表示をという場合は、打消し表示を認識できないリスクが非常に高まるのだということが、何に注意が向くのかという観点の調査からもはっきりするということがいえるというのが、今回の視線調査で分かったことでございます。

視線調査のところで、紙面です。紙面でどのような見方をするのかを先ほどから見ていただきましたけれども、初年度の調査とスマートフォンの調査ではできなかった、紙面広告で何か問題点はないのかどうかを、視線調査の点に併せて調査をしてみたものでございまして、1例だけ御覧いただくと、画面だと見づらいので、赤い「元仙」という架空の食品でございますけれども、お手元の資料の1-4の9を見ていただいたほうが見やすいかと思います。こちらを御覧いただきますと、この画面には強調表示が3カ所ございます。

1つは全額返金をしますという左上のところです。それが1つ目でございまして、これに対する打消し表示が右の下の一括表示のところに、未開封の商品に限るということが書いてございます。2点目でございますけれども、「今ならお試し約7日間が先着100名様で無料」という強調表示がございます。左下のところです。一番左のところですけれども、無料と書いてございまして、打消し表示はその直下にございますけれども、「本商品を初めて購入の方に限ります」という打消し表示をしている。これが2つ目のパターンでございます。その隣も、これも強調表示でございまして、通常価格9,000円のものが4,800円になると書いてございますけれども、これの打消し表示は、「初めてご購入の方に限り1箱で」と、その上にございますが、文字の大きさ等はかなり大きなものとなってございます。

調査結果から言いますと、まず、全額を返金しますという強調表示が印象に残った方は9名いらっしゃいます。アイトラッキングの機器の調査の場合は、1媒体で15人ぐらいしか調査できませんので、そのうち9人の方が印象に残ったと回答いただいてございますけれども、その9人の方の中で一括表示の打消し表示を認識された方は一人もいらっしゃらなかったという結果になってございます。

「今ならお試し約7日間無料」という左側のものでございますけれども、こちらの直下の打消し表示を認識できた方がいるかというと、結局これも、実は誰もいらっしゃらない。直下に書いてあるにも関わらず、打消し表示を認識できた方はいらっしゃらなかった。これは6人の方が印象に残ったという回答でしたけれども、6人中ゼロ人という結果になってございます。

他方で、右のところです。「初めてご購入の方に限り1箱で」という打消し表示が認識できたかというと、この4,800円という強調表示が印象に残ったという回答をいただいたのは3名の方なのですけれども、3名が3名とも、「初めてご購入の方に限り1箱で」という打消し表示は認識できているという形になってございます。

つまり、紙面の場合はいろいろな物の見方をするようでございまして、アイトラッキングの機器を使っても、それぞれ関心があるところが様々でございます。大体どの方も全体をざっと見た後に、それぞれ自分が関心のあるところはよく御覧になられる。よく御覧になられる中で打消し表示をどれくらい認識できたかという結果が今、申し上げたとおりでございまして、こちらからすると、必ずしも直下にあるからというだけでは打消し表示を十分認識させることは困難であるというようなことがいえるのではないかということでございます。

離れてしまいますとより分かりにくくなるというのが、全額返金の打消し表示が誰も認識できなかった結果から判明しているということがいえると思います。他方で、文字の大きさが比較的大きくあって、かつ、「初めてご購入の方に限り4,800円」というような形で、一つの文脈として理解できるようなもの。こういう書き方は認識が十分できる。認識が可能になるという形で、こういうパターンは打消し表示をきちんと認識させるためという観点からすると、かなり重要な結果であるということがいえると思います。

あとは何例かございましたけれども、時間が参りましたので、私からの説明は以上とさせていただきます。

○高委員長 ありがとうございました。

ただいま打消し表示に関する実態調査について御報告をいただきました。御意見、御質問がございましたら、どうぞ御発言ください。

どうぞ、池本委員長代理。

○池本委員長代理 池本でございます。非常に興味深い調査報告で、実は、私、地元でも適格団体で表示を見るのに、これを非常に参考にさせていただいていました。

質問は、こういった実態調査報告をどういう形で事業者の方々に周知しておられるかという観点での質問になるのですが、打消し表示の実態調査のところで見ますと、この研究会は全国公正取引協議会連合会の方が座長でいらっしゃっている。正にこういう実態調査をして問題点を整理していったものが、事業者の、例えばそれぞれの分野の公正取引協議会とか、そういうところで事業者に周知していければ非常に効果的なのかなと思うのですが、この発表したものを何かそういう事業者に向けて周知する方策は採られたのでしょうか。採られたとすれば、どのようなことなのか。

○消費者庁大元表示対策課長 御質問ありがとうございます。池本委員長代理の御指摘のとおりでございまして、この調査報告書は実務に生かしてもらわなければ意味がないと思っていまして、その観点から、初年度調査の公表に合わせて全国各地でまず、事業者向けの説明会は行いました。特に表示に関しては、委員の御指摘のありました公正競争規約というものを作っているところ、こちらは、私どもと接点が高いということがございまして、こちらの団体向けにも説明会を30回以上行ってございます。

最終的に3つの報告書、これで一区切りだと我々は思っていますけれども、こちらを踏まえまして、今年も説明会を行う予定でございますが、各協議会に向けて表示の規約で、この打消し表示に関する考え方を反映していただくように、各協議会宛てに私の名前で見直しの要請を行ってございます。こういった形で、団体全体としてルールの中に取り込んでいただくという形をとりつつ、打消し表示の適切な扱い方を各事業者の方の実際の広告のところで実践をしていただきたいと考えているところでございます。

○高委員長 ありがとうございました。

他にございますでしょうか。

どうぞ、増田委員。

○増田委員 ありがとうございます。消費生活相談の現場においても非常に役立つ情報だと思いますのでぜひ活用してもらいたいと思うのですけれども、活用の仕方がすごく難しいだろうなと思っております。各事業者団体に、このようにしてほしいという情報提供の内容を同時に消費生活センターにも提供していただくとか、一つの事案があったときに、この考え方に基づいてどういう考え方で対応すべきかとか、方向性とかをある程度示していただくと大変役に立つと思うのですが、そういう御予定はありますでしょうか。

○消費者庁大元表示対策課長 御質問、御指摘をありがとうございます。御指摘のとおり、昨年公表したものについては、消費生活センターにも報告書を送らせていただきました。今年度は、報告書が印刷等にまだかかってございませんので、これから御案内等は差し上げるという中で、いろいろな御要望があろうかと思いますので、その御要望をどういう形で実現できるかというのは考えたいと思いますけれども、実務に活用していただけるという観点で、最大限の私どもの対応はさせていただきたいと思っています。

○高委員長 実際、今日指摘されたような打消し表示があった場合、表示対策課としては、まだ何のアクションも起こさない。とりあえず今は教育期間だと考えているのでしょうか。

○消費者庁大元表示対策課長 同時並行だと思っています。違反があれば問題点として私どもの措置命令を場合によっては行います。昨年に公表して以降、打消し表示が問題であるという形を認定した事案は、手元の計算で申し訳ございませんが、19社分措置命令を行ってございまして、1つは体験談に関わるもの。食品の関係で措置命令を行った際に、体験談と打消し表示の関係で問題だったものについては、それは問題であるというように措置命令上認定しているというものが食品関係に多くございました。

直近の事例でいうと、個社名を出すのは適当ではないと思いますが、例えば何とか見放題というような表示をしていたけれども、実際には見放題の対象は限られるものであったというものについて、先ほど御説明が十分できませんでしたが、アコーディオンパネル方式で見にくい形になっていたり、打消し表示が離れていてウェブサイト上では十分認識できないようなものは、そういう表示方法が問題であるということをもって当該表示を景品表示法違反と認定した事案もございます。つまり、違反事例は、接すればもちろん、これまでもやってきているつもりではございますけれども、これからも適切に執行はしていくということです。

他方で、この考え方をベースに、今の表示をより改善していただくということは当然必要かなと思いますので、そういった未然防止のための周知活動と違反の問題に対しての適切な対応は同時並行で行うべきものかなと思っております。

○高委員長 ありがとうございました。

他はございますでしょうか。

どうぞ、大森委員。

○大森委員 いろいろルールがあると思うのですが、一般の消費者からすると、すごくおいしい条件の良いものはどこかに何か落とし穴があるのではないかと逆に経済活動をそがれているような現状がありまして、申込画面か何かに一覧で総額は幾らであるとか、条件はこうだとか、専門的な言葉は使わない、普通の消費者が使う言葉で分かりやすく書いていただくとか、定期購入も総額で表示しないといけないようになりましたけれども、通販のときなども確認画面があって、返品のことを書いているとか、そういうものがあります。今、いろいろな事例を見せていただくと、動体視力の弱い私はとても無理だと思ってしまうような状況があって、例えばテレビなどで音声と同時になってしまうと、音声に注意が向きますから、注意すべきことは全部音声で同じようにやっていただくとか、もう少し一般の消費者がその商品を深く理解して買いやすくなるようなルールづくりは難しいのですか。今のお話だけでは、なかなか普通の消費者が買いたいと思うようなところまでいかないのではないかと思うのです。

○消費者庁大元表示対策課長 景品表示法はあくまで誤認をさせる表示という観点で規制を行いますので、委員が御指摘のように、より適切に、より丁寧に情報提供をするという観点での表示の義務付けは、なかなかこの法律上は困難なのかなと思います。他方で、この報告書の中でも、実は定期購入に関しても、ちょっと今日は御用意できませんでしたけれども、お読みいただければ、定期購入の場合は、解約する場合は、実際には幾ら要るのかと。初回だけではなくて、最低限何回分購入しなければというような部分が非常に分かりにくいという観点があるので、例えばこのように表示したらどうでしょうかというようなことは、この報告書の中でも触れてはいるのです。

結局のところ、事業者が、打消し表示を不適切にやることによって景品表示法違反になるというリスクをどう対処するのかという観点からすると、委員が御指摘のようにより分かりやすい、要するに、分かりやすい競争をしていただくということが非常に重要だと思っていまして、そういう観点で、今回の視線調査のようなところも踏まえて、より積極的に情報提供をしていく。分かりやすい表示に向けて努力していただくということが必要だというのは、この報告書の結論からもある程度理解がいただけるのではないかと思っていますし、我々も、より分かりやすいものにしていただくことが必要だということは、説明会の場でも強調して説明したいと思っています。

基本的な考え方として、報告書の冒頭に書いたつもりなのですけれども、報告書の概要を御覧いただきますと、強調表示は、基本的には訴求している内容がサービスの全体を反映していることが原則であるということを我々は考えていまして、あくまで打消し表示というのは例外的に示されるものだという観点です。なので、表示の問題とサービスの内容、提供される中身の問題、両方が適切にマッチングするということを事業者の方が心がけていただく必要は、これは当然あるのだろうと思っていますし、そこも含めて事業者側の改善を期待したいと思っています。

○高委員長 他にございますでしょうか。

どうぞ、鹿野委員。

○鹿野委員 御説明ありがとうございました。先ほど池本委員長代理からの質問に対して、この実態調査報告書に記載されたところについては、公正競争規約に係る団体などに、この考え方を反映するように働き掛けをするということとともに、従来どおり行政処分をするべきところについては執行しているのだという説明がありました。

前者の働き掛けということについて更にお聞きしたいのですが、働き掛けをした後に、そのような公正競争規約の見直しが具体的になされたというようなことはあるのでしょうか。そのときに、報告書でかなり具体的な例も示されているので、それはそれで分かりやすいのではないかとも思うのですけれども、商品とかいろいろな要素によって違いもありますし、その見直しをするときに、消費者庁に問合せをして、それでより適切なものを築き上げていくというようなことはあるのでしょうか。

○消費者庁大元表示対策課長 御質問の点につきましては、今、見直しの要請をしたところでございまして、少なくとも幾つかの団体では見直しに向けての検討に既に着手をいただいていると聞いています。公正競争規約の内容が変更になれば、当然私どもで内容が適切かどうかはみる機会が当然ございますし、助言を求められれば私どもから御説明をさせていただくという形になろうかと思います。

公正競争規約で見直しをしていただくのが何で重要なのかというと、1つは全般的な実効性を高めるという観点ですけれども、個別の業界、業種、商品ごとに表示の特徴が違うのだろうと思います。そういう意味では、各業界、業態によって一番適切な表示方法を見直していただくという観点が公正競争規約に反映されるというのがすごく分かりやすいのだろうなと思っているところでございます。そういう観点から、公正競争規約の見直しは全般的に行っていただけると大変有り難いかなと思っていますし、そういう観点では、私どもで積極的な支援をしていきたいと思っています。

○高委員長 ありがとうございました。

どうぞ、長田委員。

○長田委員 今のことに関連して1つの質問は、公正競争規約は全業界をカバーしていらっしゃるのかということ。そうではないと私は思っているのです。公正競争規約として作っていないところ、また、それが全くないところもあると思うのですが、そういうところに対しても働き掛けは必要だと思うのですが、どういうことをしておられるのかを教えてください。

それと、私が関係している電気通信事業は、広告は自主基準のガイドラインで、公正競争規約ではないと思いますけれども、そこで強調表示の打消しが、例えばテレビCMとかですと、強調表示の大きさと打消し表示の文字の大きさが1対7以内とか、テレビ画面で2秒以上とか、そういうルールを自分たちで作っているのですが、その中で、強調表示が小さいところからどんどん大きくなっていくものとか、一瞬だけばんと大きく出すとか、そのたびにこれをどう考えるかという議論になるものがすごく多いのです。業界としてもすごく苦労しながらいろいろな基準を作っていったりしていると思うのですが、例えば資料1-1の6ページのオ、表示例マル5(動画広告)で、表示の例の主な特徴のところに、打消し表示が2秒間表示されていて、でも、それは別の画面でしたみたいなものが書いてあって、これは裏返せば同じ画面に書かなければいけないよねというような注意事項になっていくのかなと思うのですが、そのようにもうちょっと具体的に目安を示すようなことはお考えではないということでしょうか。

○消費者庁大元表示対策課長 御質問ありがとうございます。1点目、公正競争規約が世の中にある、ありとあらゆる商品をカバーしているものではないというのは、委員の御指摘のとおりでございまして、その観点からは、私どもは公正競争規約の団体に対してのみ周知活動を行っているわけではなくて、あらゆる機会を通じて説明会は行っていますし、これに関する説明会も今後は行っていく予定になっています。それがどれぐらいのカバー率になるかということはありますけれども、可能な限りの対応はしていくという形になろうかなと思います。1つ、あえて言えば媒体の方、これはある程度審査のフィルターを持っていらっしゃるわけですが、そういった方にもこの考え方を理解していただくことが重要であるとは思っています。

2点目、具体的にということでございます。御指摘のとおり、具体的な数字が可能かどうかというのは、それこそ先ほどから繰り返しで恐縮でございますけれども、個別の業種、業態において同じような表示が行われていて、その中でどのようにやっていくのかという形で考えていただくのであれば、それは非常に有効な策なのだろうなと思うのです。だから、例えば、パンフレットでは画一的に大体このようになっているから、これを書くときはこのようにしましょうというルールメーキングをするというのは非常に重要なのですけれども、一般則として何ポイントで書けば良いとか、直近にあれば良いですよというようなことを画一的に書いてしまうというのは、言葉は悪いのですが、かえって事業者がそのことに寄りかかってしまって、ここの基準をクリアしているから良いのでしょうというような話になってしまうわけです。

正直、一般的に必ず認識できるルールを作るのは困難だと思いますので、それは消費者の目線で活用してくださいということを報告書でも書いていますけれども、要するに、見た人がきちんと認識できるかどうかを、広告を作る人が事前に消費者の視線にさらされる前に確認をするということは当然の責務だと思いますし、そこのところをきちんとやっていただく。そのための考える視点、ポイントを今回はお示しさせていただいていると思いますので、その後のところについては十分できるかどうか。正に事業者が、責務を十分にやれるかどうか。それによって景品表示法違反に問われるのかどうかということにもなってくるのではないかと思っています。

ですので、可能なところは業界自主的にやっていただくなり、自社の中できちんとルールメーキングをしていただくのは可能だと思いますけれども、こういった報告書の中で余り画一的なことをお示しするのは、なかなか難しいですし、デメリットも多いのではないかと思っています。

○高委員長 ありがとうございます。

どうぞ、受田委員。

○受田委員 ありがとうございます。とても重要な調査をしていただいて、しっかりまとめていただいていると評価をしておりますけれども、その上で2点伺いたいのは、ポイントになる景品表示法の違反は、誤認されるか、されないか、あるいはされやすいのかどうかということですが、今回のこの調査はかなり悉皆的にやられていると思うのですが、年齢であるとか属性に関しての情報が今の説明の中になかったのです。要は、脆弱な消費者といいますか、いろいろな意味で年齢が上がっていくと、フォントサイズが見づらくなっていくとか、時間経過によって印象が薄らいでいくとか、そういうことが懸念されるのですけれども、その点に関する考察はどうなっているかというのが1点です。

もう一点は、打消しがあるのか、ないのかがポイントになりそうなのですけれども、例えば資料1-4がありまして、6ページは動画広告として打消し表示の具体例ということで書かれておりますが、4割引セールというものが下に見て、目立つ表示があります。この4割引セールのびっくりマークの上にアスタリスクがついていまして、これは何か打ち消す可能性があるということを、もうここに示唆している表示かなというふうに判断するのですけれども、そうすると、一番右下に、2万円以上の商品に限りますと書いてあるので、打消しが予告されていて打ち消されているということで、誤認の予防には非常に有効であると感じます。

一方で、例えば10ページにいきますと、熟睡マットレスというものがあって、真ん中やや右側に1万円という金額が書いてあります。場所はすぐ下にあるのですけれども、この1万円の打消しではなくて、「※お試し価格はシングルサイズの場合のみ」という、正に打消し表示にアスタリスクがついています。ですから、1万円を打ち消すということではなくて、打ち消した表示にこのアスタリスクがついていて、更に、右側には黒丸があって、お試し価格での購入には云々というふうにまた更に打消しがある。

つまり、このように善良に打消し、ただし書きを入れようとするときには、そこにあらかじめ予告の表示を入れているものと入れていないものがあって、入れていないものがある意味で誤認を招くリスクが非常に高い。そんな判断もできるのではないかと思うのですけれども、そういった点で調査をされているのかどうか。その2点をお願いします。

○消費者庁大元表示対策課長 1つ、属性的なところは、報告書では明らかに出てきてございませんけれども、例えばスマートフォンの報告書では、どのような年齢、性別の階層がどれぐらい認識できているのか、できていないのかというところも、総括的には表示をしてございます。それを見る限りでいうと、必ずしも年齢とか性別によって大きな数字の特徴が変わるということはございませんでした。そういう意味からすると、年齢、性別的なところで、委員が御指摘のようなところが多分にある商品もあるかもしれませんけれども、今回の調査結果からは、必ずしもそういう点を注意する必要はないのかなと。見ない人、分からない人、見落とすというのは、年齢、世代に関わらず見落とすおそれがあって、それはやはり表示方法に起因してしまっているといえるのではないかと思われます。そういうところはもう少し研究、調査の余地はあると思いますけれども、現状はそのような評価かなと思います。

2点目のアスタリスクがあるという点については、例えば打消し表示の関係でいうと、文脈の中で打消し表示がありそうだなというところが事前にあれば、一つ警告的な意味合いも含めて効果はあり得るとは思います。他方で、御覧いただいたABC SUITといわれる架空の広告についていうと、実は、この2万円以上というのは、アスタリスクがついていて別画面になった途端に、結果はやはり見落としている割合がかなり高いわけです。なので、逆に言えば、アスタリスクは余り意味がないということを示しているとも言えるわけですね。この広告に関していうと、2万円というものが小さい文字で、背景ともあいまって分かりにくいという形にはなっていますけれども、これが大きな画面になったときに、本当に認識できるだろうかというのは、必ずしも有効な策とはいえない。一つの策ではあるにしても、これが万全で有効な策というようには必ずしもいえないのではないかと思われます。

というのは、今回、この説明が、お時間が難しくてなかなかできませんでしたけれども、スマートフォンの調査では、少なくともアスタリスクを入れてあって、一番下に注意書きがまとめてあるものがほとんどの画面なのですが、そちらの画面の広告で880円と書いてある月額のところにアスタリスクが入っていますが、あちらに関していうと、実は、この画面のスクロールした一番下にまとめて注意書きが書いてあるのです。このアスタリスクの部分についてはほとんど認識ができていませんでした。スマートフォンの場合でいうと、特に間に情報が入ってしまうと、何の打消しなのかもよく分からないという形になっていまして、その間に、ちょっと見えませんけれども、いろいろな注意書きも入っているのです。そうすると、何の注意書きかがはっきり分からないようなものは、アスタリスクが入っているからといって認識できるというものでもないのかと思います。

今回の調査で明らかになったことは、要するに、従来いわれていたアスタリスクが入っていればとか、単純に打消し表示が直下にあればとか、ある程度の文字があればというのは、必ずしも万全ではないということが今回の調査結果からはいえているということなので、私どもの調査結果の最終的なまとめは、強調表示と打消し表示が一体として認識できる方法を総合的に作っていただきたいといっているところで、必ずしもこのやり方をやれば万全ということではないということを事業者の方は十分注意する必要があるのだろうというようにはいえると思います。

○高委員長 大森委員、どうぞ。

○大森委員 今の強調表示と打消し表示を一体化するというのは、本当に是非やっていただきたいと思います。資料1-1の3ページから4ページにかけてのところで、ほとんど打消し表示自身を読まないという人がすごく多いということと、スマートフォンの人は、家で落ち着いて時間があっても読まない。そういう状況を考えると、今はもう強調表示しか見ていない状況にあるので、打消し表示は強調表示と同時に目に入る状況にしない限りは役に立っていないのではないかと思いますので、ぜひその辺りをやっていただけたらと思います。

○高委員長 ありがとうございます。

他はございますでしょうか。

増田委員、どうぞ。

○増田委員 お時間がないところを済みません。打消し表示という表現自体が、私は前からそれで良いのかなと思っておりました。事実を表示していただくということが目的だと思いますので、打消し表示が出ていれば良いというものではないのはもちろんだと思いますけれども、事実を強弱なく、裏表なく表示していただくことが必要だと思っています。打消し表示という言葉自体を使うことがどうなのかなとも感じているところなのですが、いかがでしょうか。

○消費者庁大元表示対策課長 報告書の性格上、何らかの定義を置かなくてはいけなくて、そういう意味では打消し表示という言葉が、是非は別にして、改善の方向として、キーワードとして事業者の方が認識していただけるのであれば、その言葉自体の問題はないのかなと思います。

御指摘がありましたけれども、この報告書で全部同じ文字にしてくださいということを申し上げているつもりもなくて、広告なので、ある程度の強調とかは当然許容される範囲だと思うのです。そのこと自体を駄目だというようにも言っていませんけれども、繰り返しになって恐縮なのですが、まずは強調表示にあることが原則であるようにすべきであるということが大前提であるということと、例外的に使用してくださいということが、まず、この報告書の根底にあるということは是非御理解いただきたいと思います。もし仮に例外的に使うのであれば、きちんと適切に認識できるようにしていただく。その3点のことを考えていただければ、広告の適正化はどんどん進んでいくのではないかと期待はしています。

○高委員長 よろしいですか。他はございませんでしょうか。

御説明ありがとうございました。私自身も大変勉強になりまして、今日御紹介いただいたものについては、私自身、いずれも打消し表示に気づきませんでした。本日、今日紹介してもらったようなものは、氾濫しており、これにチャレンジしていただいていること、高く評価しなければいけないと思いました。最初の報告書で7つパターンを整理されて、このパターンの整理も大変だったでしょうが、そのパターンに共通するものとして文字の大きさ、バランス、配置箇所、背景といった区別。こういったところに注意して表示をしなければいけないという御説明をいただきまして、そのとおりだと感じました。それから、ここに問題があるという点について、別のアプローチを用いて、例えば視線調査で確認され、今回、調査をやられた内容を検証されたこと、裏付けられたことに敬意を表したく思います。

冒頭に言いましたように、こういう表示が氾濫している状況の中で、突然、厳格に法執行するのは、難しいということで、周知にも努めておられるということでございます。周知にどれくらいの期間がかかるか分かりませんけれども、公正競争規約等の改正を通じて、事業者に通知されることになろうかと思います。これは委員からもいろいろ御意見がありましたけれども、消費者団体とか消費生活センターにも同様の情報を共有いただきたく思います。ところで、こうした打消し表示に関しては、これまで措置命令、課徴金納付命令はないのでしょうか。

○消費者庁大元表示対策課長 先ほど御紹介した中で、健康食品に関してはもう課徴金が掛かってございますので。

○高委員長 分かりました。そういう意味では、行政で措置された内容は、適格消費者団体の方々にも見えているでしょうけれども、そういった内容を周知していただければ、差止活動等でも使うことができ、協力してもらえるのではないか、とこのように思っております。

最後にスマートフォン、特にコンバージョンボタンですか、これについてはすぐにでも対応できる話かと思います。押した瞬間に打消し表示を見ないで、ぽんと注文にまで飛んでしまうという仕掛けについては、できるだけ早く指導していただければ有り難いと感じました。

いずれにしましても、今日報告いただいた内容は消費者の自主的・合理的な選択を担保する上で非常に大切な取組ですので、今後とも積極的に進めていただければと思います。

本日は、消費者庁におかれましては、お忙しいところを審議に御参加いただきまして、ありがとうございました。どうぞ御退席ください。

(消費者庁大元表示対策課長退室)


≪3.閉会≫

○高委員長 本日の議題は以上になります。

最後に、事務局より今後の予定について御説明をお願いいたします。

○丸山参事官 次回の本会議につきましては、日程が決まり次第委員会ホームページを通じてお知らせさせていただきます。なお、委員の皆様におかれましては、連絡事項がございますので、この後に委員室までお集まりください。

○高委員長 これにて本日は閉会とさせていただきます。

お忙しいところを御参集いただきまして、ありがとうございました。

(以上)