第276回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2018年6月14日(木)14:45~16:58

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    高委員長、池本委員長代理、受田委員、大森委員、蟹瀬委員、長田委員、増田委員
    (高委員長の「高」は、正しくは「はしごだか」)
  • 【説明者】
    消費者庁赤崎食品表示企画課長(「崎」は、正しくは「たつざき」)
    消費者庁表示対策課担当者
    消費者庁澤井消費者調査課長
    公共料金等専門調査古城座長
  • 【事務局】
    黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 機能性表示食品制度の施行後の検証結果と今後の方向性について
  3. 消費者白書について
  4. NTT東西プライスキャップ制度の基準料金指数の見直しについて
  5. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○高委員長 それでは、時間になりましたので、ただいまから「消費者委員会第276回本会議」を開催いたします。お忙しいところ御参集いただきまして、ありがとうございます。

本日は、山本委員、樋口委員、鹿野委員が御欠席となっております。

それでは、配付資料の確認につきまして事務局より説明をお願いいたします。

○丸山参事官 お手元の議事次第下部に配付資料一覧を記載しております。資料1から資料3-2、参考資料となっております。不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますよう、よろしくお願いいたします。


≪2.機能性表示食品制度の施行後の検証結果と今後の方向性について≫

○高委員長 本日の最初の議題は「機能性表示食品制度の施行後の検証結果と今後の方向性について」でございます。

平成27年4月から施行された機能性表示食品制度については、消費者庁長官の下に設置された「食品の新たな機能性表示制度に関する検討会」の報告書において、施行後2年を目途に施行状況を検討し、必要な措置を講ずることを期待する旨が記載されております。また、機能性表示食品制度施行後の状況については、昨年4月、第245回消費者委員会においても、消費者庁からのヒアリングを受けたところでございます。さらに、本年5月10日に答申を発出した消費者基本計画工程表においても、「平成29年度に施行後2年間の施行状況について検証した結果を踏まえた上で、平成30年度以降に必要な検討を行う」こととされております。

本日は、機能性表示食品制度の施行後の検証結果や今後の取組等について、消費者庁より説明をいただきまして、その後、意見交換を行いたいと思います。

本日は消費者庁赤崎食品表示企画課長にお越しいただいております。お忙しいところ、御出席ありがとうございます。

それでは、時間は限られておりますけれども、20分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 それでは、お手元の資料1に沿って御説明をさせていただきます。

機能性表示食品制度につきましては、先ほど高委員長からお話がありましたように、平成27年度に始まった制度でございます。現時点で3年余り経過しておりますけれども、3年余りのこの制度の運営状況について、今後の重点課題と併せて御説明をさせていただきます。

まず1ページ、食品の機能性表示制度の全体像になります。機能性ということで、健康の維持・増進をうたえる制度は、今、国が設けているものは三つあります。一つが特保です。これは事前許可制であり、許可を受けるとマークを付けて売ることとなっています。2番目が本日御説明させていただく機能性表示食品制度で、これは特保の許可制に対して事前届出制となっています。企業等の責任で保健の機能の表示ができるということで、事後チェックということが、この制度の運用に当たりまして極めて大事になっています。3番目が栄養機能食品制度であり、許可・届出不要とされています。

2ページ、現在の届出件数になります。今年6月8日の時点で1,318件、届出を受理しています。特保と比較しますと、その下に青字で書いている特保の許可件数が1,084ですので、機能性表示食品の届出件数が大幅に上回っています。内訳については、「2)食品形態別公表件数」のところになりますが、一般的な健康食品であります、例えばサプリとか錠剤、タブレットのものが614件ですが、それ以外に「その他加工食品」として、ヨーグルト、お菓子、飲料、総菜、調味料等を含めて690件、届出実績があります。その他に生鮮食品14件というのが、今の内訳になっています。

3ページ、「機能性表示食品制度とは」ということで、制度の骨格、定義や要件を御説明しているところになります。これは食品表示法に基づく食品表示基準、内閣府令の抜粋ですが、そこに書かれているとおりです。重要な点は赤字で書いていますが、まず「疾病に罹患していない者」に対しということで、摂取する方は、病気にかかっていない方を想定しています。また、「機能性関与成分によって」「科学的根拠」を有するということがコンセプトになっています。この機能性関与成分があることによって、健康の維持・増進のエビデンスが成り立つということになります。少し下になりますが、「安全性及び機能性の根拠に関する情報」「その他必要な事項」を消費者庁に届け出ていただいて、それを我々がウェブサイトで公表する。これが大まかな構造になっています。

今、述べた内閣府令に基づくルールをより具体化したものが、4ページのガイドラインになります。これは正に事業者が届出を行う際の指針でして、制度の適切な運用を図るものとして、我々は運用しています。1番では届出を考えている食品が、対象食品に該当するかどうかのスクリーニング、それをクリアした後は、その食品の安全性がきちんと担保されているかどうか2番で確認をし、3番でいわゆる製造品質管理の面で問題がないかをチェックし、4番で万が一これに起因して健康被害が起きた場合の情報収集体制等が整っているか確認し、その後、5番で機能性の根拠ということで、健康の維持・増進が本当にエビデンスで裏付けられているかを確認することになっています。

5番の「機能性の根拠」のところに、ポツが二つありますが、特保の場合は臨床試験で申請書類を出していただきますが、機能性表示食品の場合は、臨床試験の他に研究レビューも有効なエビデンスとして評価できることになっています。研究レビューとは、質の高い既存の研究データのことで、当然、様々なバイアスを考慮しながら、客観的に分析評価をしたものになりますが、いずれにしても最終製品を使ってヒト試験をしていなくても、既存のデータも機能性表示食品の根拠として使うことができることとなっています。

以上のチェックポイントをきちんと確認した後、表示の内容についても留意点がありますので、そういう点をクリアしたものを書類として提出いただければ、届出を受理し、消費者庁ホームページに載せることになっています。

5ページ、適切な制度運営に向けたこれまでの主な取組を紹介しています。まず最初に、この制度の趣旨にのっとった適切な資料を作成して提出していただくため、先ほど述べましたガイドラインを我々の方で逐次改正をし、その時々の状況に応じた見直しを行っております。

あわせて、下の○になりますが、質疑応答集、Q&Aというのも、昨年9月にまず作りまして、今年3月に改訂しております。ガイドラインの基本的なルールについては、実際に事業者がいろいろな書類を作るとき、限界事例のような場合は一体どうなのだろうと。なかなか判断がつかないケースもあると思います。そういう場合にQ&Aを御活用いただいて、予見可能性を持って的確な、逆に言うと手戻りのない書類を出していただく。そういう観点から、ガイドラインを補足するものとしてQ&Aを導入しています。

二つ目の届出方法の合理化につきましては、制度がスタートした2年目以降にデータベースを運用し、オンラインで書類のやり取りができるようにしています。それまで紙ベースのやり取り、郵送で資料を出していただいたりしていましたが、全体合理化の観点からデータベースを活用して、オンラインでやり取りをしています。

三つ目が各種調査・検証事業の実施です。例えば商品について、適正な品質管理がなされているかどうか、または根拠となる様々なエビデンスの更なるレベルアップを図る観点から、制度全体を下支えし、更にブラッシュアップするためのいろいろな事業を我々の方で行っています。

最後に、消費者、事業者に正しく御理解いただくための普及啓発の一環として、いろいろな資料を作っています。

6ページ、今、述べましたデータベースのイメージ図になります。平成28年4月から運用を開始しております。これは消費者目線に立ちますと、データベースにアクセスすると、いろいろなキーワード検索ができますので、それぞれの消費者が望んでおられる様々な商品情報を得やすくなるような、そういう役割があります。事業者の側から見ますとペーパーレスになりますから、いろいろな意味で事務上の手続も簡略化されると考えています。

7ページ、各種調査・検証事業のアウトラインになります。まず一つ目の○の商品の買上調査ですが、これは制度スタートの27年度以降、毎年度行っています。これは実際に商品を購入して、その機能性関与成分が一定量入っているかどうかを追試で確認するというものです。二つ目の○の機能性関与成分の分析方法の検証につきましては、機能性関与成分が幾ら入っているかを測るための分析方法を事業者から国に提出いただいていますが、その分析方法に従って、適正に分析できるかどうかを毎年度チェックしています。一つ目の○の買上調査は、全ての届出商品の買上はできませんので、幾つかサンプルを選んでの買上調査となっていますが、分析方法の検証については、届け出ていただいたものも全て1回は確認、検証することとしています。

それら以外にも、消費者がこの制度についてどのように思っているのかという消費者意向調査を27年度以降、調査の名称は途中で変わっていますが、毎年度行っています。また、研究レビューの検証ということで、届出資料の質を高めるための方策検討の事業を27年度に行っています。28年度以降は、臨床試験のレベルアップや、安全性の関係の調査、事業者が自ら分析をどのようにしているのか、あと、健康被害に関連するいろいろな情報をどのように収集なり整理しているかといった観点の実態調査も行っております。

8ページ、それを年度別に分野に分けて整理したものです。基本的に切れ目なくといいますか、この制度はまだ新しいものですから、いろいろな点に着目しながら、我々も適正運用、更なるレベルアップという観点から様々な取組をしているという御紹介になります。

9ページ、先ほど述べた分析方法に関する検証の結果になります。これは平成27年度以降、基本的には1回は必ず検証しています。例えば平成27年度で見ますと、その年度の4月から9月末までに出されたものを対象にまず検証していますが、結果のところを見ると、情報に不足等がなかったものと不足等があったもの、それぞれ件数は78件、68件となっています。この見方について、不足等があったといいますのは、そのことをもって品質に問題があったというわけではありません。これは適切に分析できるかどうかという、そのために必要な情報が十分でなかったものがあったということで、要は、詳細情報がないと正確に測定できないものが68件あったということになります。これはそのまま放置できませんので、その後、いろいろな形で事業者とやり取りをして、結果、追加で資料を出していただいて、それを補うことによって適正に分析できるようになったものが62件になります。6件撤回の届出がございましたのは、これはいろいろなやり取りをしている最中に、事業者からこれは取り下げるという形で撤回届の提出があったものです。撤回の理由は事業者により様々ですので、そのことだけは念のため申し添えさせていただきます。

同様に、28年度も全体で379件対象に検証していまして、最初から問題がなかったもの、問題はあったけれども、その後、やり取りをして、変更の届出で書類の補充によって問題なしとなったものもありますし、撤回したものも13件あります。まだ仕掛かりでやり取りをしているものも全部で85件あります。

平成29年度、昨年度は対象数が大幅に増えて634件となっていますが、今、内容については、関係機関と相談しながら鋭意検証している最中でございます。

10ページ、買上調査についてです。平成27年度以降毎年度実施しています。買上件数につきましては、27年度が17件、28年度が51件、29年度が60件、ちなみに今年度30年度も60件を予定していますが、それぞれ実際に買い上げて、機能性関与成分が適量入っているかどうかのチェックをしています。最初に我々が調べた結果、例えば平成27年度で見ますと、問題点がなかったものが12件、問題点があったものが5件となっていますが、問題点があった5件につきましては、実は9ページの分析方法に関する検証と関連しているのですが、事業者が言うところの正しい分析方法が我々の方で十分分からず、我々なりの最適な方法で分析したところ、問題点が見つかったというものもこの中に当然出ております。問題点があったものにつきましては、その後、9ページの分析方法に関する検証と一体ですけれども、事業者とやり取りを行って正しい分析方法なるもので改めて確認した結果、いずれも品質管理上の問題はないとなっています。27年度は1次チェックで問題点があったものが5件ありますが、その後、いろいろなやり取りを重ねる中で問題がないことを確認しています。28年度もまたしかりでございます。

11ページ、これは執行の関係になります。冒頭述べましたように、届出制で制度を運用していますので、届出をした後の適正運用の担保が非常に大事です。まずは、食品表示法に基づく執行がございます。それが11ページになります。これは表示事項を遵守していない、正しい表示がなされていない場合におきましては、食品表示法に基づく指示、事業者及び当該商品名の公表とセットで指示をし、それでも改善が見られなければ命令、命令を打っても改善が見られなければ罰則、こういう形になっています。適正な品質を有さない届出がなされていれば、それは適正な機能性表示食品と認められないという運用をすることとしています。

12ページ、景表法になります。これは例えば商品のキャッチコピーとかポスター、テレビCM等々、いろいろな広告が不適正な場合、景表法に不当表示の禁止という規定がありますから、例えば優良誤認を与えるような表示等であれば、この取締りの対象になるというものです。これはいろいろなところからの情報を消費者庁で得まして、内部で調査した結果、不適正と認められれば措置命令を出し、例えば改善なり再発防止なりを求める形になっています。あわせて、その間、一定の利潤が得られている場合は、課徴金納付命令も出る仕組みになっています。

13ページ、実際の景表法の違反事例になります。昨年11月になりますが、葛の花由来イソフラボンを機能性関与成分とする16社19商品について、景表法に基づく措置命令が、まず出されています。その後、課徴金納付命令が今年1月に出ております。例えば左の写真にありますように、運動しなくてもいいのだ、食事制限をしなくてもいいのだと。それで皮下脂肪に強力アプローチ、痩せますという印象を与えるようなポスターなどを作って広告を打つと、これは正しい機能性表示食品制度の運用に反していますので、違反ということで指導を受ける形になります。実際、そういう形で措置命令や課徴金納付命令が出た事案になります。

14ページ、ガイドラインの3次改正の概要になります。今年3月28日付で改正していますが、まず大きく三つございます。運用の課題ということで、我々が求める資料が煩雑だ。いろいろなやり取りをして時間が掛かる、そういった運用上の問題を改善するため、例えば書類が重複しているのを減らす等々の簡素化をし、全体で3割削減につなげるとか、届出書類の確認についても、事業者団体にうまく関与していただく、関わっていただくことによって、全体として合理化を図る等々の見直しをしています。

対象成分の拡大については、糖質、糖類の対象への取組、植物エキス及び分泌物の取込を今年3月に措置しました。この対象成分の拡大については、2年前に有識者検討会で御議論いただいた結論、成果を遅ればせながらガイドラインに取り込んだものです。

14ページ一番下の情報提供につきましては、二つありますが、一つは、第三者による成分分析という観点のものです。従前から分析関係のいろいろな資料を事業者から我々に出していただいていました。公表はしていませんでしたが、公表によって、それを見て実際に第三者が、必要なものが適量入っているかどうか確認できるようにする、そういう観点から行ったものです。分析方法を示す資料についても、開示という原則を立てた上で、知的財産として保護された、知財で守られるべき権利であれば、それを強制開示するわけにはいきませんので、そういう場合に限って限定的にマスキングすることとしましたが、それ以外は公表となっています。

その下のマル6は、届出を我々が受理していても、実際に売られていない商品もありますので、届出をした商品については、販売中なのか、それとも販売をやめているのかを含めて、消費者が販売状況をすぐ分かるように、そういう観点から制度の見直しをしたということです。

15ページ、先ほど言った糖質、糖類、それから、植物エキス等の関係の有識者検討会の報告の概要でございます。時間の関係で省略させていただきます。

16ページ、先ほど述べた分析方法を示す資料の開示ということで、これも先ほど述べたとおりですので、説明は省略させていただきます。

17ページ、ガイドラインの3次改正の施行時期になります。ガイドラインそのものは本年3月28日付で改正しましたが、一部は直ちの施行はできない状況となっています。といいますのも、ガイドラインを改正した後、実はデータベースも改修しないと、様々な書類のやり取りが我々と事業者との間でできない。その意味で、今年度、2,700万円の予算を認めていただいていて、データベースの改修を行うことになっています。具体的には、17ページで薄紫色やオレンジ色で書かれている事項については、データベースの改修を待ってというものになります。なお、紫の矢印については今年3月から施行済となっています。

18ページ、先ほど述べましたQ&A、質疑応答集がどういうものかをまとめたものです。

19ページ、参考までに付けたものですが、特保の製品情報公開の充実の観点の資料になります。これは平成28年の正に消費者委員会の建議で、我々に対し、特保の情報開示の充実についての宿題が出ていました。具体的には、消費者向け、事業者向け、要はプロ向けの情報拡充の他、検索機能の追加になります。これらの点については、我々の方で趣旨に沿った対応をしていて、今年度中に必要なデータベースの整備を終えることを目途に対応しています。基本的には、現在、機能性表示食品について様々な情報開示を行っていますので、それも参考としながら、特保でもその成果を生かして情報開示に努めているという紹介です。

20ページ、消費者への普及啓発の観点の説明になります。消費者庁では、様々な制度自体の見直しに取り組んでいますが、それを消費者にきちんと御理解いただかないと、フードチェーンという流れの中では意味をなさない、十分効果を発揮し得ないことになります。まず消費者に、様々な機能性表示食品の正しい使い方、食育も含めて正しい食生活を御理解いただくため、まず、栄養成分に着目して食品表示に関心を持ってもらうことを契機にして、効果的な普及啓発を進めたいと考えています。ちょうど、上の囲いの※で書いてありますように、全ての食品に、今、栄養成分表示を義務づけるプロセスの過程でして、来年度末までに全ての食品に、カロリー、PFCの量、塩分量が表示されることとなります。消費者に難しい表示ルールを説明してもなかなか頭に入りませんが、栄養成分表示を見る機会が増えてくると、カロリーがどうですとか、このような成分がこれだけ入っていますという情報であれば、一般の消費者の皆さんは、メタボとか、ダイエットとか、低栄養とか、それぞれの年齢、性別のステージで御関心を持っている切り口がありますから、そういうところから関心を持って話を聞いていただけるのではないかと考えています。その次のステップとして、栄養成分の活用と併せて、それをアシストするために実は保健機能食品があるのですよ、正しく使うと正しい食生活に直結しますと、こういう流れでより御理解いただけるように、そのための教材づくりやノウハウづくりについて、今、徳島で実地の取組、検討を進めています。今年度中には教材だけでなく、効果的な教育方法というソフト、ノウハウについても一通りできることになっていますので、来年度以降、それらを使って全国展開していきたいと思っています。

21ページ、22ページ、消費者の受け止めですけれども、総じて言いますと、正しく機能性表示食品などを活用したい、使いたいという方が多いと思っていますが、いかんせん、まだ十分制度の御理解が進んでいない。それが現状と思っています。これをいかにより御理解いただいて、正しく使っていただき、結果、食育という面から望ましい食生活を実現していくのか。大きな課題だと思っています。

最後に23ページ、これまでの我々の取組の視点と今後の重点課題になります。これまでは、上の囲いにありますように、まず安全性、機能性に加えて、本当に健康の維持・増進につながるかどうかを担保する品質管理、オーソドックスにこういう点に重きを置いて、様々な制度運営をしていました。この重要性はいささかも変わりませんが、この3年余りのいろいろな経験を踏まえると、さらに加えて力点を置くこともあるのではないかと思っています。まずは消費者への普及啓発、あと、適正表示、これは分かりやすい情報提供による消費者の理解の向上です。幾ら安全性や機能性が担保されても、消費者に分かっていただけないと活用していただけない。それは制度としては不幸な形になりますので、まず、消費者に御理解をいただくため、分かりやすく表示を通じて消費者に遡及する、そういう情報提供の在り方を考える必要があると思っています。

加えて、最低限の品質保証はできていても、特に機能性のところは、さらにレベルアップを図る、エビデンス、質の向上を図っていく。これらの点が重点課題ではないかというのが、実際に制度運営をしている消費者庁としての現時点の理解でございます。

当方からは以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

機能性表示食品制度の施行後の検証結果と今後の方向について、御説明をいただきました。ただいまの説明に関しまして、御意見、御質問のある方はどうぞ御発言ください。

大森委員、どうぞ。

○大森委員 消費者委員会からのお願いをしっかり受け止めていただき、いろいろ取組をしていただいているようで、ありがとうございます。

2点お願いがあります。まず、9ページに買上調査のことが載っています。これも買上をして、その後しっかりフォローされて、その買上の数も10ページを見ると、年々増やしていって、29年、30年は60件を実施されて、30年は予定ということですけれども、登録されている食品がどんどん増えておりまして、1,318件あるので、しっかり増やしてはいただいているのですけれど、総数から考えると、今後もっと増えてくる可能性があると思うので、もう少し多くしていただけたら有り難いという、これがお願いの一つです。

もう一件なのですけれども、13ページに景品表示法の違反事例が載っています。一番下に課徴金の納付命令があり、合計で1億1,088万円の課徴金が出ているのですけれども、このお金は、個々の消費者、表示を信じて、こんなに痩せるのだと思ってお金をずっと払っていた被害者が多くいるわけですけれども、その人たち一人一人にこのお金を返すことはできないので、例えば適格消費者団体などは、不当表示に対して差止め請求をしたりとか、訴訟を起こしたりしています。そういう団体を支援することで、間接的に今後の消費者の被害防止に役立てることができると思いますので、そういう仕組みも考えていただけたらと思います。2点です。

以上です。

○高委員長 お願いということで、2点なのですけれども、お答えいただけますか。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 まず、1点目の買上調査の件でございます。買上の件数で申しますと、27年度が17件、28年度が51件、29年度、30年度がいずれも60件となっています。買上件数をもう少し多くすべきではないかという御意見でございますが、我々としても、買上調査については実際に調べるという意味では極めて分かりやすい明白な、そういう実行担保の手段だと思っていますので、予算の制約等いろいろある中で、できるだけ増やしていきたいと考えております。

今年度は60件で止まっていますが、来年度以降は本日の御指摘を宿題として受け止めて、いろいろな諸事情で簡単に増やすのも難しいということは、現実、有り得ますけれども、その中でも件数はできるだけ増やせないか考えるとともに、同じ件数であってもより意味のある、例えば標本の選び方というところも併せて、全体として実効が上がるように、いろいろ工夫していきたいと思います。

○消費者庁表示対策課担当者 景品表示法についての御意見をいただきましたので、執行を担当しております表示対策課から回答させていただきたいと思います。

まず、機能性表示食品の広告表示の取締りというところで、先日、景品表示法の措置命令が出されたわけですけれども、表示対策課といたしましても、機能性表示食品を含めた保健機能食品制度につきましては、消費者の信頼性確保が特に重要であるとの要請がされているものと認識をしております。そういった状況に鑑みまして、昨年の2月に特保を販売していた日本サプリメントに対する措置命令事案の際に、二つの執行方針を示しております。一つ目といたしましては、先ほど御紹介した消費者庁が実施する買上調査の結果、問題がある事案の情報に接した場合には、景品表示法等により厳正に対処していくというのがまず一つ目の執行方針でございます。二つ目といたしましては、当面の間、機能性表示食品の届出の範囲を超えたような、先ほど御紹介のあった事例の広告がなされていないかどうか監視を行う、これはただいま全体をチェックしている状況にございます。そういった届出表示の状況を監視するという二つの執行方針をもって、今、景品表示法と、健康増進法という法律もございますので、こういった執行体制の下で対応を進めている状況でございます。まずはこの執行体制の下に、そういった不当表示をなくしていくことが重要と思っておりますし、当然、そういった不当表示に対しましては、先ほど御紹介いただきました課徴金制度でその不当利得の部分を国庫に納めるという制度が新たに導入されておりますので、それを厳正に対処していくというところが一つかと思います。

もう一つは、そういったいわゆる課徴金等で消費者の方への被害回復という御意見をいただきましたけれども、これについては、適格消費者団体等への支援ということで、これは消費者庁全体で行っていくべき案件かと思っておりますので、その部分につきまして、御意見としてしっかり受け止めて対応してまいりたいと思っております。

○高委員長 よろしいですか。

ほかは。

蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 ありがとうございます。

一つ、生鮮食品の機能性食品としての評価をどうなさっているかをお聞きしたい。それから、例えばリンゴ、モヤシ、精米、カンパチ、温州ミカンといろいろな種類が機能性をうたっておりますが、その中の成分というのはほかのミカンにも入っていたり、リンゴにも入っていたりしますよね。そういう場合は、その差というのは、何でもって評価されて機能性として表示していいのかを教えていただきたいです。消費者の人たちは、例えばモヤシが体に良いよと言えば、どのモヤシでも良いのだろうと考えたりしますね。ところが、そこに機能性と書いてあるだけで10円高くなったりすることができる。それがブランド化だと思うのですが、それに一役買っているのではないかと思います。生鮮食品の基準というか、一般の庶民、私たち消費者が見たときに、ほかのリンゴとこのリンゴは何が違うのか、そういうところをどう判断したら良いのか教えていただけますか。

○高委員長 お願いできますか

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 それでは、先ほどの生鮮食品の関係の御質問にお答えさせていただきます。

まず、この制度における生鮮食品の位置付け、評価でございますが、消費者庁としては、生鮮食品も含め、できるだけ、この制度を活用いただいて、その良さを消費者に理解していただいて買ってもらうことが非常に大事だと思っています。その意味で、14ページになりますけれども、今年3月にガイドラインの3次改正を行っています。生鮮食品の特徴を踏まえた取扱、生鮮食品の実態を踏まえた制度の改善もしています。幾つか御紹介させていただきますと、まずマル3生鮮食品の改正点のところに、「一日摂取目安量の一部を摂取できる旨の表示の追加」とあります。実は、これまではどの機能性表示食品も1日の必要摂取量の全てを、その商品を定められた頻度で摂取すれば摂れるということがコンセプトになっていました。ただ、生鮮食品の場合は濃縮などができませんので、そうしますと、これまではモヤシは1日200グラム食べてください、ミカンも毎日3個食べてくださいということで、食育という観点からいろいろなものをバランスよく摂取するという面から見ると、やや問題なのだろうと。毎日モヤシ200グラムを食べるということはかなり大変ではないかと思います。その意味では、生鮮食品に限っては、1日摂取目安量の一部と書いていますが、半分をその食品を通じて摂取できればいいのではないかという形で、今回制度運用しています。

ただ、当然ですが、表示上は、これを定められたとおり摂取すると必要量の半分を摂取できますと書いた上で、実際半分にするという運用をしています。これは生鮮食品の特徴を踏まえたということだと思っています。そのような生鮮食品の特徴を踏まえた実際の取扱の注意点を、Q&Aという質疑応答集の中にきちんと書き込みました。去年9月にQ&Aを作ったときには、特に生鮮食品に特化した記載はなかったのですが、今年3月に生鮮食品についてはQ&Aの中でミシン目を作って小項目を立て、20問程度入れています。そういう形で、生鮮食品についてもできるだけエビデンスに基づく制度として活用いただきたいと思っています。これが1点目の御説明になります。

2点目のお話になります。機能性表示食品でない一般の生鮮食品との差別化、実際の意味はどういうものなのかでございます。例えばミカンの機能性関与成分、β-クリプトキサンチンというものがありますが、これは実は温州ミカンに全て入っています。総じて、糖度が高ければ高いほど、このβ-クリプトキサンチンは高いという相関関係にあります。その上で、では、なぜ何にでも入っているミカンについて、あえてミカンの機能性表示という形で差別化ができるのかですけれども、これは一定の品質管理の下に、確実に一定量のβ-クリプトキサンチンが中に入るのだと。それは今、非破壊検査とか、糖度を測るにも、わざわざ汁をはからなくても分かるような方法があります。いろいろな生産や品質管理上の工夫をすることによって、確実に一般より高い形でβ-クリプトキサンチンが最終製品に残るというのが裏打ちされています。そうしますと、β-クリプトキサンチン自体には、いわゆる骨の健康ということがヘルスクレームになっていますが、そういう一定の健康の維持・増進効果が見られます。それがきちんと入っているという、その意味では、機能性と品質管理を含めた全体のトータルで、これは消費者にそういう訴求をしても良いのではないか、基本的にはそういうコンセプトで生鮮食品は制度運用をしているというのが実態です。

○高委員長 よろしいですか。

○蟹瀬委員 ありがとうございました。まだ完全ではないのですが、大変分かってまいりました。

生鮮食品は基本的には生き物ですので、今日採り立てのものと1か月後のものとは、大変、成分量が変わってくると一般的には言われていますね。糖度に関しても、メロンも何もかもそうですが、最近糖度計というものを皆さんお持ちで、八百屋さんが、これは糖度何%だから大丈夫だよ、何とかが入っているよと、普通のメロンでもそういうことが言われます。メロンや果物の中でそのような評価が行われるようになった中で、一般の消費者が機能性としてミカンを見ていく、あるいはリンゴを見ていくというところの差別化というのは、本当はとても分かりにくいと思うのです。加工品とか、ほかのサプリなどに関しては、安定した工業食品ですので、ある意味での安定したものがあるわけですが、生鮮食品はそれがなくて、栄養素がこれだけ入っているよという話は非常にとても分かりやすいのですけれど、これを機能性とうたっていく段階において、一般の方が理解できるかどうか、その辺りのところの判断はどうなさっているのか、聞かせていただいていいですか。

○高委員長 お願いします。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 今、委員からお話がございましたように、生鮮食品につきましては、栽培条件とか気象条件によっていろいろ成分量が変わります。同じ野菜、果物でも、旬のものかどうか、たまたまそこの日当たりが良かったか、悪かったのか、気象状況が雨だったのか、晴れだったのか、かなり大幅に変わるというのが実態だと思っています。我々としては、当然生鮮食品のそういう自然に左右される事情も踏まえた上で、ただ、一定の品質管理、特にモヤシみたいなものであれば、屋内で作るみたいな、そういう事情もございます。養殖の魚も給餌という形で餌をあげる、その餌の工夫で一定のコントロールといいますか、管理もできると思っています。そういうものを併せて、全体として一定の品質保証といいますか、機能性関与成分につきましても、一定量コンスタントに入ると。そういうものとセットで、この制度の運用を行っています。

それをいかに消費者に御理解いただいて、正に一般の加工食品と地合いが違う生鮮食品の実態を正しく理解していただいた上で買うのかという点につきましては、それも最後に先ほど述べさせていただいた制度の普及啓発の在り方に関わってくると思います。確かに委員がおっしゃられるように、生鮮食品の場合、一般の加工食品と製造工程がかなり違っています。そういう違いに応じて、我々は制度設計もしていると。実際にQ&Aを立てるときにも、そういう現実の実態の違いもあるので、生鮮食品につきましてはある程度別分けをして整理をした方が、頭の整理としても良いのではないかと。そのように我々も考えています。その点につきましては、そういうものとして正しく御理解いただくという努力を、今後普及啓発を通じて、消費者庁として取り組んでいきたいと思っています。

○高委員長 ありがとうございます。

受田委員、どうぞ。

○受田委員 ありがとうございます。

この機能性表示食品の制度の施行後の検証という視点で、幾つか伺っていきたいと思います。もともと機能性表示食品が生まれた背景というのは、御存じのとおり、産業競争力協議会、ここから発出された意見でございます。その点をどのように検証されているかという点で御質問を申し上げます。

まず、特保の壁が高過ぎる、あるいは大手メーカーさんにかなり限定をされているという、こういう個別許可の実態を鑑みると、ハードルを下げることも必要ではないかというのが背景にあったと思います。その点では、特保の届出、特保の個別許可の件数を既に3年の間で凌駕したということは、一定、その敷居を下げた証拠であるとも考えることができると思います。一方で、申請をしている、届出をしている日本国内の分布を拝見いたしますと、結果的には大都市圏、すなわち大手企業の比率が明らかに高いとも感じます。まず伺いたいのは、この届出の分布をどのように御覧になられているか。

さらに、地方圏においては、先ほど蟹瀬委員が御質問された生鮮というのが一つのブレークスルーに相当するのではないかと想像しておりましたけれども、実態はわずか1%程度でございます。これをさらに加速して、生鮮により門戸を広げたような、こういった形を取るべく、先ほど赤崎課長から、非常に御英断だったと思うのですけれども、実際の機能の期待される含量の半分ということでも表示を認める、こういうことも御対応として考えておられますけれども、その点を踏まえて、今後生鮮に関してはどの程度期待されるのかという点を、まず伺いたいと思います。

○高委員長 お答えをお願いします。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 委員から御質問がありました1点目の届出の今の分布についてどう考えているのかという点になりますけれども、2ページをお開きいただくと、届出者の所在地が出ています。確かに東京、大阪、愛知の三大都市圏で800件を超えており、それ以外で見ると38道府県で481件にとどまっています。確かに三大都市圏シフトがあるのも事実ですけれども、ただ、実際に38道府県の中をいろいろ見てみますと、いわゆる中小企業の方といいますか、なかなか東京では聞かない社名の方々も含めて、いろいろな取組をなされて、その成果もこの中にかなり入っていると思っています。

実際に、特保や医薬品を作っているいろいろな事業者と話をしましても、例えば医薬品の場合は、段ボールの箱単位で資料を作らないといけない。特保もチューブファイル、プラスチックの分厚目のファイルが何冊みたいな形でということを仰られる方がおりますけれども、機能性表示食品の場合は、大分そういう意味では負担は軽減されているという御意見はございますので、そういう意味で、まだまだ確かに大都市圏にシフトもしています。冷静に考えると、エビデンスに基づく制度ですので、そういう意味では大企業は一日の長はあるのかなと思っています。ただ、その中でも、まだ点という取組なのかもしれませんけれども、特保ではハードルが高かったような事業者の方々も、実際にこの制度にエントリーをし、大分受理もされていますので、そういう意味では、それぞれの地域のいろいろな実情に応じた商品をこの制度に取り込んでいくポテンシャルというのは十分あり、そういうものを後押ししていくのも我々の大事なミッションの一つではないかと感じています。これが1点目のお答えになります。

2点目が生鮮食品の件でございます。確かに今は14件しか届出がない。全体で見ますと1%で、これを加速していくための方策という問題意識、御意見だったと理解していますけれども、実は生鮮食品だけで見ますと14件ですけれども、限りなく生鮮に近い加工食品というのが、最近の実績で見ても40件強ございます。どういうものかといいますと、例えばミカンを絞った100%フレッシュジュースですね。お茶の葉も、乾燥しただけの葉。普通、我々が煎じて飲むのは加工品になってしまいます。摘んだ直後の生茶であればまだしも、乾燥しただけで加工品になってしまいます。また、大麦も、精米ならぬ精麦をしてしまうと加工品になってしまいます。でも、結局採れた大麦を削っただけのようなものもあります。ホウレンソウを冷凍したもの、これも冷凍が加工行為ですから、加工品に化けてしまう。その意味で、単一の農林水産物を原料としており、ただし、分類上は加工品になるものも40件ぐらいあります。食品表示法に基づく定義で見ると生鮮食品は14件ですが、その外延にニアリーイコール生鮮もあり、そういうものも一緒になって積極的に普及をし、そういうものを目指す方々がおられればサポートしていきたいと思っています。

生鮮食品の届出を増やしていく、加速していくということについては、いろいろな関係の方からも御意見をいただいております。今、まず考えていますのは、生産を所管している農林水産省との連携です。例えば一般の農協の方、その関係者は、ふだんエビデンスとかサイエンスになかなか接しておらず、いきなり臨床試験とかSRと言っても引いてしまうと思いますので、そういう方々には、個別にいろいろな相談に応ずる窓口を設けてきめ細かく対応するとか、国の機関で、農研機構という独立行政法人があります。そこでいろいろな関連の研究を日々行っていて、その研究成果が今でも一部はウェブサイトに載っていますが、引き続き、いろいろな成分についての研究を深めて、それをウェブサイトに載せて普及していく。そういう形で、エビデンスの研究や普及啓発について、関係機関と連携しながら対応し、我々としても取り組むことによって、生鮮食品やそれに近い加工食品を増やしていくことについて、現実的にある程度効果も出てくるのではないかと考えています。

○受田委員 ありがとうございます。

生鮮に関しては、農水省との連携をより密にしていただいて、現場の御要望をしっかり反映していただくべく、制度設計において見直しをする機会がありましたら、是非御配慮をお願いしたいというのが1点です。

ここからなのですけれども、先ほど、特保を凌駕したとあえて申し上げたのですが、一方で、特保とのすみ分けというのが、今後の保健機能食品制度の在り方を考える上で極めて重要であると考えております。この3年で特保の個別許可のアイテムを超えたということは、逆に言いますと、特保の立ち位置というのが、これで良いのかという意見も現場からは聞こえてまいります。消費者意向調査の結果を拝見しますと、まだまだ保健機能食品制度の理解度という点では、消費者の側には不足しているように感じざるを得ません。特に、この特保と機能性表示食品とのすみ分けがしっかり理解されないとすると、ある意味、事業者側からは、個別許可される上で極めて投資をし、様々なデータを高いハードルを設けられて作成しているという努力が報われない不満もあるのではないかと思います。

伺いたいのは、消費者意向調査において、機能性表示と特保の理解度、これをどう御覧になられているかという点と、もう1点は、機能性表示と特保とのすみ分けを消費者がどこまで理解していて、それはどういう数字になるべきであると消費者庁側が考えておられるか。これが1点です。

2点目は、これも特保に関連してですけれども、御存じのとおり、私は新開発食品調査部会の部会長を拝命しております。当然特保の審議を行っているのですけれども、対象者の明確化ということを部会の中でもしっかりと議論させていただいております。一方で、この機能性表示食品に関しては、対象者の明確化についてはどうお考えになられていて、今の制度についての検証はどう考えておられるかということを伺いたいと思います。

その点に関連して、3点目は、先ほど最後に機能性表示としてエビデンスの質の向上とおっしゃいましたけれども、この対象者を明確化することと、エビデンスの質の向上を実質化していきますと、ますます特保とのすみ分けという部分が理解しづらくなってくる部分もあるのではないかと拝察申し上げます。そういう点で、今後、機能性表示の質、これを高めていくことと、特保とのすみ分けをどうお考えになられるか、消費者庁としてのお考えを伺いたいと思います。

○高委員長 よろしいですか。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 分かりました。

それでは、特保と機能性のすみ分けの問題意識のところについてお答えさせていただきます。

まず、消費者が特保と機能性表示を正しく理解しているかという点につきましては、これは過去のいろいろな調査なり、我々が接して話をしている消費者団体の方々のお話だと、十分区別がついていない以前に、そもそも機能性表示食品制度を知らない方々が多々いると思っています。まずは制度の推進普及、啓発の一環で、こういう制度があると御理解いただき、そのときに、この資料の1ページにあります、特保は許可制、機能性表示は届出制という点を含めて、いろいろな制度の違いを正しく御理解いただけるように、我々としては引き続き普及啓発に取り組んでいきたいと思っています。

その上で、機能性表示食品の質の向上を図っていくと、どうしても特保と機能性表示食品がオーバーラップして、制度として区別がはっきりしなくなるのではないかという点につきましては、実は我々も同じ意識を持っています。その意味では、改めて制度的観点から考えた上で、この特保制度の在り方については、我々としても何らか整理をする必要があるのではないかという問題意識を持っています。

今はまだ確定しているわけではないですが、あえてお話をさせていただきますと、特保の中には、リスクリダクションと我々言っておりますけれども、疾病リスク低減表示というカテゴリーがあります。本来、特保も機能性表示食品も食品であって薬ではないので、病気云々というのはなじまない領域のものですけれども、今の特保におきましては、疾病リスク低減表示、病気になるリスクが下がりますという表示が、カルシウムと葉酸ではできることになっています。これも平成3年の特保制度のスタート時にはそういう制度はなくて、途中の制度改正で創設され今に至っています。その意味では、特保ならではの制度部分となると、今言った疾病リスク低減表示が該当すると思っていますので、まずはそういう制度が入った経緯とか、どういう考え方で疾病リスク低減表示制度ができているのか、そういうところに問題意識を持っております。そういう点を我々なりにいろいろと考えていく中で、今、受田委員からお話のありました制度的な観点から見て特保と機能性の差別化をどうするのか、今後我々としても検討し、どこかの時点で一定の整理をつけたいと考えております。

○受田委員 ありがとうございます。

食生活の改善と健康の維持・増進を図っていく国民生活の向上において、この保健機能食品制度の果たすべき役割と責務というのは極めて大きく重要ですので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

最後に監視のところで、先ほど表示対策課から健康増進法の観点からもというお話がありました。これは以前、消費者委員会の建議としても、景品表示法のみならず、健康増進法の観点からも監視をしっかりと実施すべきという意見が発出されていました。いわゆる健康食品に対して淘汰をしていくということが目的にあるかと思いますので、健康増進法での監視の強化に関しては、改めて強く要望しておきたいと思います。

○高委員長 要望だけでよろしいですか。

池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 池本でございます。

9ページの分析方法に関する検証、10ページの機能性表示食品の買上調査、この二つに関連して御質問いたします。

まず、分析方法に関する検証、下もそうなのですが、変更の届出というのが、27年度62件、28年度144件とあります。もともと追加資料の提出依頼というのは、科学的根拠資料として十分説明がつかないのではないかという疑義があって、提出依頼をかけたものだと理解しているのですが、変更の届出というときには、もともとの届出に係る表示と科学的根拠資料がきちんと見合うような資料が出てきてクリアしたというものだと理解して良いのか、あるいは、資料の追加もあるけれども、表示も少し資料に見合うものに修正して、それでクリアしたというようなものが含まれているのか。もし含まれていれば、その二つの内訳というものがどういうものなのかお伺いしたいという点が1点です。

2点目、撤回の届出が27年度6件、28年度13件あります。撤回の届出ということは、そういう資料が提出できなくて、これは機能性表示食品としての届出はやめますということだろうと理解しているのですが、そういう趣旨だと理解してよろしいでしょうか。あるいは、それ以外のものがあるのだとすれば、その件数の内訳というものがあるのでしょうか。それが2点目です。

3点目、これは昨年度にも質疑の中で出てきたことなのですが、追加資料の提出依頼というのが、例えば平成28年度で言えばいつ頃なされたのか、そして、変更、撤回という形で一定の結論が出るまでにどのぐらい掛かったのかというのをお伺いしたいのですが、むしろ対応中がまだ85件あるということが驚きなのです。恐らく、これは実質1年ぐらい過ぎているのではないか。1年前後過ぎていて、その後、静かに撤回の届出がもし出たりすると、その間は科学的根拠がはっきりしないのに機能性表示食品であるという表示の基で販売されていたということになってしまう。むしろ、最初の届出手続の迅速化というところだけではない、不適正なものは迅速に退場してもらうためにも、そこにも期限を切って、あるいは公表してきちんとやるべきだということが、たしか前回も議論されたと思うのですが、その辺り、対応中というのはどういう実情なのか、もしくはそこについて公表なりなんなり、あるいは撤回の勧告なり、そういう制度的な問題はないのだろうかという問題意識でお伺いしたいと思います。

○高委員長 お願いします。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 ただいまの委員の御指摘について、いろいろ御質問のあった内容が関連していますので、なるべく整理してお答えをさせていただければと思っています。

まず、分析方法に関する検証ですけれども、これは例えば科学的根拠としてある論文がついている。その論文の内容、評価、判断が正しいかどうか、それを直接調べているものではございません。分析方法に関する検証といいますのは、どの食品であっても機能性関与成分というのが一定量入っている。それが要件になっています。難消化性デキストリンもあれば、DHA、EPAもありますけれども、それが仮に5グラム入っているというのだったら、では、その商品を分析して検出できないと、実はこれは看板に偽りありになってしまいます。その意味で、分析方法に関する検証といいますのは、科学的根拠が本当にあるのかどうかをぎりぎり調査するためのものではなくて、成分が本当に一定量入っているかどうか、それをサイエンスベースで再現できるかどうか、実績として把握することができるか、そういう観点から行ったものでございます。

その意味では、27年度の結果欄の、78件は不足等がなかった、というところをぱっと見ると、問題ないという受け止めをされると思います。それでは、不足等があったというものについては、科学的根拠、論文がおかしいかというと、そうではなくて、分析に当たって、与えられた情報だけだと、例えば前提条件とか前さばきを含め、分析が十分できない。したがって、詳細情報がないから正確に測定できないといったものが68件あったということになります。したがって、そこは改めて分析するとなってもA、B二つ選択肢がある、どちらか分からないではないかとなると、実はこれはAという方法で分析したものですということを教えてもらうなり、その際の詳細資料を文書でもらうなりして、改めて追試をしたところ、問題はない、確かに正しく数値として把握できるとなれば、追加で出してもらったことなり、教えていただいたことを、我々のストックとして、追加でためておくという形になっています。

それで、そういうやり取りを重ねるに当たって、時間が掛かり過ぎるというのは実はおっしゃるとおりです。28年度の調査については、28年9月30日までに届出されたもので未だ白黒はっきりしていないものもありますが、我々が事業者に照会をかけるのは、原則2週間、2週間以内にレスポンスをいただくという形で行っています。ただ、ここからは説明しづらいところなのですけれども、実は対象の件数が大幅に増えています。倍々ゲームと言っていいぐらい増えていて、27年度は146件調べれば良かったのですが、28年度は379件、29年度は634件と。まだ制度が比較的新しいものですから、まだ届出件数が大幅に増えています。

その上で、我々がどういう形で分析方法の検証をしているかというと、消費者庁本庁で行っているのではなく、分析なり、そういうものに知見のある国の機関なり、しかるべき団体、組織に依頼する形で検証しています。したがって、キャパの問題がどうしても出てきます。件数が27年度のように146どまりであればと思うのですが、倍々ゲームでずっと増えてきている中、何らかの形で事業者の皆様から上がったものはサイエンスベースのいろいろなやり取りを行うことになりますので、当然我々もきちんと整理をし、サイエンスにはサイエンスでレスポンスしないといけませんから、内部の事務的な検証に時間が掛かるというのが実は背景としてございまして、まだ28年度の検証分が終わっていないという状況になっています。その点については、いろいろ関連する国の機関とも連携して検証を行っており、こういうものを重ねれば重ねるほど、我々としても知見といいますか、いろいろな意味でノウハウも増えてきていると思っていますので、そういうものも踏まえて、今後ともできるだけ効率化を図っていきたいと思っています。

ただ、分析方法に関する検証については、「数が多いので、全届出件数のうち抽出で半分だけやろう」ということは、事柄の性格上不適当だと思っています。そして、いろいろなやり取りを重ねて出てきたアウトプットが「適切に分析できない」ということになれば、事業者の側から見ると機能性表示食品制度に乗らないこととなります。というのも、機能性関与成分が幾ら入っているかは自己申告で言い値のとおり、後で分からないというものは、この制度に乗せられません。そうなると、いろいろなやり取りを事業者と個別具体に重ねて、その上で最終的に判断することになりますので、そこは時間を掛けずというのと丁寧にということは、なかなか両立は難しいのですが、我々としては、できるだけそこが両立するように対応していきたいと思っています。

それで、いつぐらいに事業者の皆様にお尋ねをし、いつぐらいに書類の提出で良しとするのか、まだまだ深掘りで聞くのか、その時期についての御質問もございましたけれども、これはある程度まとまった時点で追加でしかるべきところに我々から依頼して、その上でいろいろやり取りをしています。個々にやると事務的に煩雑なので、ある程度集約して区切りがついたところで、様々なやり取りを専門の方々と行っているというのが今の実態になります。

○池本委員長代理 まず大前提の機能性関与成分の分析方法の資料についてということは、たしか1年前に質問をするときも私は少し誤解を前提に質問をして、今のような修正を受けたというのを、説明を聞きながら思い出しました。大変失礼しました。ただ、もちろんその御説明いただいた内容を前提にしても、機能性表示食品として届出て販売しているものに、その表示に見合う成分がきちんと入っているかどうかということでは、根拠が不十分、不正確であるという問題があるというのは、同じであろうと思うのです。

今、御説明いただいた中で、追加資料の提出依頼もたくさんあるので、それぞれ検討した上で個別に各社に出していくというので、ばらばらと行っていて、何月何日に一斉に出すというものでもないのだろうとは思うのですが、依頼をして2週間をめどにということを先ほどおっしゃったのですが、では、2週間で変更の届出が出るのかどうか、そして、出てこない場合にそれが撤回なりなんなり、別の対処につながっているのか、それとも、そこでもまた説明を受けて、またいろいろ共有をしてということで、この対応中というのが、提出依頼を出した後の対応が遅れているのか、それとも提出依頼を出す前の内部での検討、分析で時間が掛かっているということなのか、その辺りについて少し補充してお伺いしたいと思います。

それと、先ほどの最初の質問の中で、撤回の届出の6件、13件というものは、追加資料が出なかったので届出を撤回しますという趣旨で良いのかどうか、そこも補充でお願いします。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 済みませんでした。撤回の届出の背景についてでございます。確かにいろいろなやり取りを重ねていく中で、我々としてきちんと分析するための方法が分からないと、そのまま放置できませんから、当然確認はしますが、その際に、当然そういうやり取りの中で十分説明し切れないこともあるのかもしれません。あとは、そうこうしているうちに、もうこの商品の販売シーズンは終わってしまったとか、また改めて別の商品に力点を置いて売りたいという事業者側の販売戦略の問題、様々あるのだろうと思っています。いずれにしても、やり取りをしている最中で撤回届が出されてしまったので、それ以上確認の実益がなくなってしまったのが6件ということで、そういうやり取りの中でそうなったという以上のことは、個別具体の商品としては我々も分からないのが実情です。いろいろな事業者の御事情があるということは想像にかたくないですけれども、そこは撤回されているのが、今、全部で69件あり、ちょうどこの分析方法の検証のやり取りをしている最中に撤回しているのが、実はそこの数だけありますが、我々としては結果として撤回されたという以上のことは、きちんとした形で内部の整理では把握していないというのが実態になります。

あとは、分析方法が明らかでない、きちんと後追いの確認ができないというのは、機能性表示食品の要件としては、我々としてもそれは不適切だと思っています。したがって、不十分なまま放置しておくのは、これは当然よろしくない。できるだけ速やかにそこは明らかにして、問題がないのであれば、追加でいろいろいただいた、補充で伺ったことを我々がオンレコードして、今後に生かせば良いだけの話ですし、もしもそうではなくて、不十分なまま、そこがブレークスルーできないのであれば、それはもうそのままでは売れないということになります。そこのところの見きわめをできるだけ早くすべきというのはおっしゃるとおりだと思っておりますので、我々もその点については、日々のやり取りなり、制度自体を運用していく中で、できるだけ速やかに判断をし、いずれの判断をするにしても、それに応じた適切な対応をとっていきたいと思っています。

2週間めどでいろいろやり取りをさせていただいていると言いました。当然、その時期が例えば夏休みの時期とか、いろいろな時期であれば、原則2週間だけれども、この時期はということで延ばしたりはしますが、ただ、いずれにしても一定の期間を定めて、そのときまでにレスポンスがなければ、レスポンスがない事情というのを我々のほうでお伺いします。かくかくしかじか、そのような事情があるので、もう少し時間をいただきたいというのであれば、その中身に応じて我々として判断をするというのがこれまでの基本的な運用のスタンスになっています。いずれにしてもいたずらに時間をかけて、時間をくれと言っても全く成果も何もないといったことがないように、それは先ほど追加で述べましたように、我々としてもこういうものを公表するからには、速やかに何らかの整理をしないといけないと考えています。

今述べた説明については、それは不適切な制度運営だということを世の中に示すということと同義になっていますから、我々自身、できるだけそういうことがないように、日々のやり取りの中でそれを心がけて、できるだけ早く整理することを旨として取り組んでいきたいと思っています。

○高委員長 ありがとうございます。

今の件と関連して1点だけお聞きしたいのですけれども、8ページのところ研究レビューの検証というものがありますね。これも研究レビューに当たって機能性表示をやっているのかということであって、研究論文の内容についてのレビューではないわけですね。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 8ページに研究レビューの検証がございます。これは27年度に行ったものですが、これは正にエビデンスの質そのものですね。分析方法の確認とは違って、研究レビューのエビデンスを我々は判断しています。

○高委員長 中身を見ているのですね。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 これは中身を見ているということになります。

○高委員長 そうすると、これは全件ではないということですね。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 研究レビューで書類を出されたものを通じて、我々が中身を横断的に見て、もう少し直すところがあるのではないかといった点を整理し、その結果、27年度の事業成果として、たしか適正なSRの記載方法を我々が示し、今後事業者に対してそれを参考に研究レビューのレベルアップに取り組んでいただくことを要請するという形で対応しています。

○高委員長 分かりました。

ほか、いかがでしょうか。

長田委員、どうぞ。

○長田委員 先ほど指摘があった、分析方法に関する検証のところなのですけれども、結局、例えば28年度で、379件のうちの64%が追加資料の提出の依頼をしなければいけないような非常に悲惨な状況なのだと思います。それは今回改正されるガイドラインで分析方法を示す資料の開示を、この3月何日以降のものはそれが求められることになるわけですが、そのことでかなり解決するとお考えなのでしょうか。つまり、届出の段階でもうこんなに不足しているというのは非常に問題だと思っているので、教えていただきたいというのと、もう一つは、もう御承知のことで、先ほどもおっしゃっていましたけれども、消費者が機能性表示食品について正しく理解していないということは確かに大きな問題なのですが、つまり、過大な期待をしているということが非常に問題だと思っています。今後の重点課題に挙げていらっしゃいますけれども、それでも本当に何か急いでやらないと、誤解したまま、期待したままということになると思いますので、そこは是非取り組んでいただきたいと思います。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 1点目の御質問でございます。分析方法の検証の結果、不適切なものが多いというのは、今後改善されるものと考えています。9ページを見ますと、27年度も28年度も最初に調べた直後、時点では、資料に不足があるものが多いとありますけれども、実は27年度の検証成果が出た時点で、既に28年度の届出を受理していました。27年度の検証成果が28年度に出ているかというと、そうではありません。正に今よりちょっと前あたりから事業者の方にも周知をし、あわせて、そういう観点でガイドラインの見直しなどを含めて、制度全体を下支えするための様々な取組をしています。その意味で、お手元の資料の9ページだけ見ますと、経年で見ても良くなっていないのではないかとなりますが、もう少し長いタームで見ると、特に昨今のいろいろな制度見直しと合わせて考えますと、今後はある程度効果が出てきて、問題があるものの割合を見ると減るのではないかと思っています。

あと、過大な期待が問題だという2点目の御意見もそのとおりだと思っていまして、等身大のこの制度を正しく御理解いただくのが原点だと思っていますから、我々としては、正に今後の制度の普及推進の中で、それを正しく御理解いただいて使っていただけるような取組を進めていきたいと思っています。

○高委員長 ありがとうございました。

ほか、ございますか。よろしいですか。

それでは、私のほうでまとめさせていただきます。この機能性食品制度の適正な運用、これに関しましては、御存じのとおり、平成26年12月に委員会より発出しました答申において、九つの前提条件を示させていただきまして、本日の説明をお聞きして、かなりこの前提条件を踏まえた取組を進めていただいたのではないかという印象を受けました。

それから、委員の方々はいろいろ御指摘されておられましたけれども、この制度は特保とは違って、届出ということですので、事後チェックというのがみそになってくるなと感じました。それで、今日の説明を聞いていますと、二重、三重、さらには四重ぐらいの構造を作って取り組んでおられるという印象を受けました。一番最初のところの事後チェックというのは、多分分析方法の検証というところで、これは全てやっていますということですけれども、先ほどの話ですと、さらにその研究のレビューとか、臨床試験に関する検証、これもやっておられるということで、1段階目で徹底してやっておられる。2段目のところで買上調査、これはサンプリングですけれども、やっておられる。これに関し、大森委員からは、件数をもっと増やすべきではないかということで、これは検討いただけるということですので、よろしくお願いします。またそれとあわせ、これまでの取組を聞いておりますと、サンプリングに関しても工夫をされておられる、できるだけ問題のあるものにヒットするような形で抽出されておられると理解いたしました。3段目は、食品表示法に基づく指示とか命令、ここのところがあるのでしょうけれども、これまでのところ、これに基づく指示・命令というのは余りなく、問題があるとすると、景表法のところで対応しておられる。こういう事後チェックの仕組みが出来上がっていると理解させていただきました。

今後も改善を進めていかれるわけですけれども、我々の答申の第4で挙げました、また、これは消費者庁とも共有していることだと思うのですが、科学的根拠のない機能性をうたった商品、これを淘汰していくということも意識していかなければいけないと思います。そのためには、先ほどの事後チェックに加え、教育、啓発にも力を入れていただきたく思います。今日、生鮮食品に関する説明を聞きましたが、この部分についてもきちんと教育して頂ければと感じました。

もう一つ、制度的な話になりますが、特保と機能性表示についてのすみ分けですね。本当にこれは意識してやってもらわなかったら、特保で表示することの意義がどこにあるのだという話にもなりかねませんので、そこの整理をきちんとやっていただきたく思います。

それから、分析方法に関して、追加資料の提出というのが余りにも多い状況で、追加資料の提出、撤回、あるいは届出受理というスケジュールについても、その流れや期間を明確にしていただきたい。このように感じました。

当委員会としましても、この取組、非常に強い関心を持っておりますので、今後とも引き続き必要がありましたら、ヒアリング等をお願いいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。

本日は消費者庁におかれましては、お忙しいところを審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

(消費者庁赤崎食品表示企画課長、消費者庁表示対策課担当者退席)

(消費者庁澤井消費者調査課長着席)

≪3.消費者白書について≫

○高委員長 第2の議題でございますけれども、「消費者白書について」をやらせていただきます。

消費者基本法では、政府は毎年、消費者政策の実施の状況に関する報告書を国会に提出しなければならないと規定されております。また、消費者安全法では、内閣総理大臣は消費者事故等に関する事故の集約及び分析の取りまとめ結果を国会及び消費者委員会に報告するとされております。この消費者基本法に定められた実施状況報告と、消費者安全法に定められた消費者事故等の事故の取りまとめ結果をまとめた平成30年版の消費者白書が今般閣議決定されたということでございますので、本日は消費者庁からその概要について御説明をいただきたく思います。

本日は、消費者庁澤井消費者調査課長にお越しいただいております。お忙しいところ、御出席ありがとうございます。

それでは、20分程度で説明をお願いいたします。

○消費者庁澤井消費者調査課長 ただいま御紹介にあずかりました、消費者庁の澤井です。

それでは、消費者白書について御説明をさせていただきたいと思います。本日は概要で御説明をさせていただきます。

まず1枚めくっていただきまして、目次になりますけれども、消費者白書については、消費者安全法に基づきまして、消費者事故等に関する情報の集約、分析、及び取りまとめの結果、それから、消費者基本法に基づきまして、消費者政策の実施の状況について報告しております。それ以外に毎年特集を設けておりまして、本年度は「子どもの事故防止に向けて」ということで、初めて安全の分野について特集を作らせていただきました。

では、順次説明させていただきます。まず、右側の2ページになりますけれども、2017年度の消費者安全法の規定に基づく消費者事故の消費者庁への通知の件数ですが、1万952件でございました。

1枚めくっていただきますと、こうした通知を活用させていただきまして、消費者庁として注意喚起をしております。例えば生命身体事故についてですけれども、重大事故、8割は火災ですが、そうでもないものの中から、例えば歩行型除雪機に関する事故等に関する注意喚起、こちらは死亡事故も起きていますので、注意喚起をしております。

また、右側になりますけれども、財産事案についてですが、こちらについても注意喚起を行っておりまして、2017年度は10件行っております。IT化が進んでいる状況を反映し、そうしたものに関連する注意喚起は非常に多くなっておりまして、例えば有名な組織、AmazonとかYahoo! などをかたって、有料コンテンツ利用料などの名目で金銭の支払いを請求するような架空請求の事案等について、注意喚起を行っております。

1枚めくっていただきまして、それ以外に、白書では、各消費生活センターへの相談件数についての1年間の概要を取りまとめております。2017年の消費生活相談の件数は91.1万件でございました。2017年の特徴としては、青い部分、これは架空請求なのですけれども、こちらがこの10年で最大の15.9万件と急増していることです。非常に大きな要因になっているのは、法務省等をかたる架空請求のはがきに関する相談なのですが、例えばめくっていただいて7ページなのですけれども、年齢、性別の商品・サービスで見ても、女性の50歳から70歳代の「商品一般」のところが大きくなっていまして、こうしたところにも架空請求のはがきに関する相談の影響があらわれています。

具体的には11ページ、どういう事案かと思いますと、これは2017年に関する架空請求の消費者相談件数なのですが、赤い部分が主にはがき等での架空請求が増えたことによって、大幅に増加しております。こちらは法務省管轄支局といったような、何々センターとかといったようなところから、あなたについて訴訟が起きているので、取り下げたければ連絡してほしいといった形で請求などを行うといったようなものでございます。それ以外にも、実は青い部分、デジタルコンテンツでの架空請求の相談も増えているのも特徴でございまして、はがきというアナログ的な情報も増えていれば、デジタルコンテンツでの請求も増えているといった状況になっております。

1ページ戻っていただきまして、右側なのですけれども、相談の一つの特徴が、必ずしも今年に限らないのですが、IT絡みの相談が増えているというものでございまして、「インターネット通販」に関する相談の割合が「店舗販売」の相談件数を上回ったのが2017年の一つの特徴でもございます。

また進んでいただきまして、12ページ、SNSをきっかけとした相談というのも増えておりまして、こちらは若い人の相談割合が高い分野ではありますけれども、50歳以上においてもSNSをきっかけにして何らかのトラブルに巻き込まれたという相談が増えております。

IT化が浸透した影響に伴うトラブルはいろいろ増えておりまして、13ページなのですけれども、「仮想通貨」、ある意味、ブロックチェーンなどの技術が進んだということなのですが、これに関するトラブルも一方で増加しており、2017年は2016年の3.5倍となっております。トラブルの内容は、「仮想通貨」と銘打っただけで、古典的な詐欺的なトラブルも多くございます。一方で、実際に仮想通貨というもので口座を作っていたのですが、その口座に不正にアクセスされて、第三者に送金されたといったようなセキュリティー絡みの相談もありました。

右側なのですけれども、インターネットを利用した個人間売買に関する相談が増えていまして、そういうサービスの利用が広がり、消費者が買い手にも売り手にもなるのですけれども、買い手側から「にせものだった」、売り手側でも「購入者が商品を受け取らない」、「代金が支払われない」といったようなトラブルが起きております。

1枚めくっていただきまして、一方で、相談の中でも深刻なものは高齢者のトラブルでございまして、高齢者の「終活」につけ込んだ悪質な商法等が目立っておりました。一つは訪問購入、いわゆる押し買いでございまして、不要品を買い取ってもらうというところで購入業者が来るのですが、そうしたところ、貴金属等を見せるように求められ、その貴金属を売却することになってしまったというトラブルが増えております。

また、右側の16ページなのですけれども、原野商法の二次被害といったトラブルが2017年に急増しておりまして、過去に原野商法の被害に遭った被害者のところにそれを高く買い取るよという形で勧誘をして、結局実際には原野の売却と同時に、より高い原野を購入する等になっており、さらに支払いが増えるといったような被害が出ております。

17ページ、こうしたトラブルの概況を見るとともに、白書では、毎年、我が国で起きている消費者被害・トラブル額が大体どのぐらいかという推計を行っております。こちらの推計では、4.9兆円、昨年度が4.8兆円なのですが、そう推計しております。計算の方法はアンケート調査で、この上の表なのですけれども、上記いずれかの相談、経験、つまり、トラブルがあった人はどれぐらいかということで、2017年は9.5%なのですけれども、こうした割合にPIO-NETデータの被害金額をかけて推計しているものでございます。

19ページから、特集について説明させていただきたいと思います。特集は「子どもの事故防止に向けて」ということを今回は取り上げさせていただきました。取り上げた背景には、今まで安全を取り扱っていなかったということもあるのですけれども、少子高齢化が進む中で、子供の事故を少しでも社会全体で防いでいきたいということを強く発信していきたいという思いからです。2016年、14歳以下の子供が不慮の事故では292人の命が失われております。死因で見ても、上位5位以内に入っています。一方で、長期的に見れば不慮の事故での死亡数は様々な関係者の方の御努力もあり、相当減っておりまして、10年間で10分の1以下になっております。

右側の図が、では、どんな死因かということを年齢別に見たものでございまして、年齢ごとに大きく特徴は変わっていまして、0歳であれば窒息というものが9割近く占めていますが、一方で、1歳以上ですと、実は溺死、つまり溺れたということが半数を占めている状況でございます。

1ページめくっていただきますと、死因ではなくて、今度は救急車で運ばれるような日常生活の事故というのではどういう特徴があるのかを見たものでございます。年齢別で見ると、「1歳」が人口割合で見たところ、こうした救急搬送で運ばれている人数が最も多いといった結果になっております。

では、どういうことで救急車で運ばれているかというものを見たのが右側の図になるのですけれども、こちらですと、例えば「ころぶ」とか「落ちる」とかといったような割合が高くなっております。

1ページめくっていただきまして、さらに丁寧に見たものなのですけれども、例えば「転倒・転落」で亡くなってしまう場合に、どうしたことが起きているか。「0歳」ですと人が運んでいるとき、それから、ベッドから落ちたということがかなり大きな割合ですが、3歳以上ですと建物とか、そういう建造物の高いところから転落したという割合が高くなっております。

右側は「おぼれる」ということで、救急車に運ばれる場合に、年齢別にどういう特徴があるかですけれども、こちらは全体としてすごく「浴槽」、お風呂が多いのですが、年齢が高くなると「河川」といったような活動範囲の広がりに応じたような事故が増えております。

25ページ、もちろんこれまでもいろいろな啓発事業を行っておりまして、どうして溺れるかとか、頭から転ぶのですよといったようなこととか、右側にあるように、消費者庁でも「事故防止ハンドブック」というものを作成いたしまして、月齢、年齢ごとにどういう事故が起きやすいかについての啓発を行っております。

また、今回、27ページでは、保護者の方がどういう事故防止の知識があるかといったことも意識調査を行わせていただきました。子供がいる方は基本的には事故防止の知識が多いのですが、例えば上から5行目で、蜂蜜を食べさせてはいけないことというのが、子供がいる人でも12.7%の人は知らないといったような回答も出ていて、こうしたところへの周知が重要だと思っています。

右側は、これは徳島県内での調査なのですけれども、より細かく保護者の方に、どのようなところで事故防止の情報を入手していますかということで、左側が父親、右側が母親でございます。父親も母親もいろいろなところから情報を入手しているのですが、保育園や幼稚園、学校、行政からという情報は、母親に比べて父親には余り届いていないことがうかがえております。

子供の事故防止については様々な形で対応策を講じております。29ページにあるように、消費者庁の消費者安全調査委員会、事故調では、例えば気道閉塞のメカニズムを明らかにしておりますし、30ページにあるように、事故に対しては、必要な規制の調査を政府としては行っているところでございます。ライターなどについてはPSCマークを付けないと売れないといったような改正を行ったほか、31ページにありますように、法律でなくてもJIS規格等の制定で製品の安全性を確保している、こちらで載せているのは、ひもなどで引っ掛からないようにということで、「JIS L4129(よいふく)」といったようなものを制定しているといったことを御紹介させていただいています。

それ以外にも、右側にありますように、マークを付けたり、キッズデザイン賞のように、安全性に配慮した商品を顕彰するといったような取組も行っております。

また、めくっていただきまして、リコール情報ということで、そうはいっても、不具合があった製品等がございますので、子供の関連の情報を消費者庁のサイトから発信しているところです。

34ページ、一つの省庁だけでやっても余り効果がないので、政府では2016年度から関係府省庁での連携の会議を設けております。特に広報に力を入れておりまして、昨年度から「子どもの事故防止週間」というものを設けております。今年についても、下のポスターにあるように、5月21日から27日の1週間を子供の事故防止週間ということで、この絵にあるように、水の事故と幼児用座席付の自転車について、集中して広報をやりました。例えば警察庁などからの統計も出てくれば、消費者庁での発信もあるという形で、数多くの人が情報に触れるように工夫しているところでございます。

それ以外にも、35ページにありますように、消費者庁でも様々な情報発信を行っております。

36ページにあるように、今後子供の事故を防ぐために、国や地方、それから、事業者・事業者団体、子供の周りにいる大人がそれぞれどういうことで事故が起こっているかを知り、行動することが大切で、そのために連携を持っていくということが非常に重要だと思っています。

37ページ、地域ぐるみの連携の取組等も紹介させていただきました。

第2部以降は、様々な政策の実施の状況を報告させているところでございまして、恐らく委員会では御審議していただいているものも多いと思うのですけれども、40ページにありますように、加工食品の原料原産地表示制度をスタートしたりとか、特商法についての施行をやったりとか、消費者志向自主宣言の公表を78社がやっておりますとか、44ページにありますように、国民生活センター法についても、法律を改正して、特定適格消費者団体を支援する仕組みを整備したところでございますし、45ページにあるように、消費者契約法については見直しを行い、先日成立したところでございます。

また、消費者庁全体として、SDGsということを掲げて、様々な施策の推進にも努めているところです。地方消費者行政についての交付金も創設し「188(いやや!)」については、むしろまだまだ認知度は低いので、これから若者への周知を心がけていきたいと思っています。

49ページにありますとおり、2017年7月に消費者行政新未来創造オフィスを開設いたしました。今、様々なプロジェクトを進めているところでございます。

非常にざっとではございますけれども、消費者白書について概要を説明させていただきました。

○高委員長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの説明に関しまして、御意見、御質問がございましたら、どうぞよろしくお願いいたします。

非常に分かりやすい白書ができたのですけれども。

池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 確認的なことです。この概要版とともに、本冊、かなり分厚いものがあると思いますが、一般の方の入手方法、時期についての確認をお願いします。

○消費者庁澤井消費者調査課長 まず、今、ホームページに概要も本体も出ておりますので、閲覧は誰でもできますし、もちろん打ち出すことも可能でございます。今後、これは別に我々ではないのですけれども、7月以降には出版も予定しているところでございます。

○高委員長 ほかはございますでしょうか。

ちなみに「4129(よいふく)」というのは「188(いやや!)」と同じですけれども、どのぐらい認知されているのですか。

○消費者庁澤井消費者調査課長 ちょっと分からないですが、JIS規格でございますので、当然そうしたものは多くの衣料メーカーさんが当然それにのっとって作っていらっしゃるものだと思っております。

○高委員長 御存じですか。

○長田委員 よく知っています。標準化で安全を保っていこうということで、標準化については私どもの団体でもセミナーをやったりしていまして、子供の衣料については、孫世代を持っている人が多いものですから、非常に関心が高いです。特に、衣服だけではなく持っているバッグなどでもひも系のものはすごく首をつるケースがあるので、関心は高いと思うのですが、子供の事故防止にいろいろ連携して取り組んでいただいているのですが、今、子供の安全を目指したJISがどんどん幾つも検討が始まっていますが、どこも予算上とても苦しくて、昨日も出てきた乳幼児の挟み込みの大枠なJISを検討しようというのでも、子供の手などのいろいろな計測値はあるのですけれども、案外挟み込みでいくと、足、爪先とか、大腿も結構挟まれているケースが多かったということで、でも、具体的に乳幼児の実測したデータがない状態だけれども、予算がなくて今回それができないみたいな話まで、もうちょっと全体の枠組みの中で、そういう基礎的なデータをそろえていくというような検討もいずれしていただけたら良いなと思いました。

○高委員長 特に御発言はありませんか。来年度以降の希望ですけれども。

○消費者庁澤井消費者調査課長 参考にさせていただきます。受け止めたいと思います。

○高委員長 ありがとうございます。

大森委員、どうぞ。

○大森委員 毎年興味ある特集を入れていただいて、ありがとうございます。

昨年はスマホの利用率みたいなものを特集されていたと思うのですけれども、そういうものは、今年はどうなったのだろうと、また白書が出るころに気になるのですね。ペーパーで出すものであれば、印刷の関係で余りたくさんは出せないと思うのですけれども、できたらネットとかで去年特集を組んだものも今年どうなっているのか見られるような状況であれば、一層この白書に対する興味とか、毎年見てみようという気持ちが強くなって、この事業も効率が上がるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○消費者庁澤井消費者調査課長 ありがとうございます。

今回は概要には載せなかったのですけれども、例えばネットの、実際、毎年携帯電話の保有率は載せておりまして、今年も載せております。去年は非常に反響が多かったのは、子供がスマートフォンを使っていたりする時間が、3時間以上が3割とか、そういうものだったのですが、去年は我々もLINEの調査という新しいことをやっていたのですけれども、今年は総務省がやっている社会生活基本調査というある意味統計としては信頼価値がもっと高いというものでも、スマートフォン、パソコンやその使用時間というものが、しかも若者だけではなくて高齢者も含めて出ておりまして、そちらを白書には掲載させていただきました。我々がもともとやったLINE調査とほぼ同じ結果が出ておりまして、若い方は相当長い時間スマートフォンやパソコン等を使っているという結果が出てきておりますので、そのまま同じ調査をやるのはいろいろ予算上の制約があるのですが、我々も今回白書を見ても、紹介させていただいたものもそうなのです。今だとIT化で生活の中でどんどん新しいサービスも出てくれば行動も変わっているというところがあるのかなと思いまして、なるべくそうしたものをうまく伝えていけるような白書にしていきたいと思っております。

○大森委員 そうしたら、今年の白書のところをネットで調べると、例えば総務省の白書に去年やった関連のものが出ていますよとか、そういうものがあるのでしょうか。そういうものがあるとすごく良いなと思うのです。消費者庁の方とか行政の方は、今年はあそこの省庁がやっているとかが分かると思うのですけれども、一般の消費者はなかなか分かりにくいので、今年も載っているかなと見た人に、毎年実施は難しくても、今年はこういう調査がここでありますよとか、リンクを張っていただけると良いかなと思います。

○消費者庁澤井消費者調査課長 検討させていただきます。今年も今、申し上げた総務省の社会生活基本調査のインターネットを使っている時間については、白書本体に掲載をさせていただきました。

○高委員長 ほか、ございますか。

受田委員、どうぞ。

○受田委員 せっかくなので伺いたいのは、成年年齢の引下げが今日の新聞でも取り上げられていますけれども、今後消費者教育の重要性というのが、ますます社会的に取り沙汰されていくであろうと拝察しております。この白書の統計的なデータのお示しについては、10代とか20代とかというような、10年区分の年齢がほとんどなのですけれども、今後成年年齢の引下げに伴って極めて重要になってくるのは、20歳直前の18歳とか19歳、こういった年齢、あるいはその直前の年齢ということで、もう少し属性的に年齢区分を細分化していかないといけないのかなという思いも致します。今回のこの白書における統計データの取扱というのは、今後そういった成年年齢の引下げに対する消費者教育への対応にとって、さらに解析を施していくというようなお考えはおありなのでしょうか。

○消費者庁澤井消費者調査課長 今年の白書では、実は本文で、成年年齢の引下げに対応ということで政策の概要を書かせていただいておりまして、概要には載っていないのですけれども、本文の図表に18~19歳及び20~22歳の平均の相談件数を載せさせていただいているところではあります。ただ、恐らく御指摘のあったような細かいというよりは概要的なところがあるかと思います。実は、去年の白書で、必ずしも成年年齢の引下げだけを視野に入れたわけではないのですけれども、若者の消費ということ全体を大きく取り上げさせていただきました。消費者白書として初めて、一体若者はどのような暮らしをして、どのような消費をして、しかも消費意欲はどうなのかと。そうした上で、今回の概要にも載せました8ページのような若者の相談・トラブルはどういうことが起きているかということについても、記述させていただきました。これは5歳刻みではございますが、こうしたものが結果的には、いろいろな今の議論にも一定の貢献はできたものと考えていますが、今後教育ということになってきますとどうなっていくのかということについては、まだ御指摘のように十分ではないので、今後またどういう調査が必要か、何をやっていくべきかは、担当課ともよく相談していきたいと考えております。

○高委員長 ありがとうございました。

ほか、よろしいですか。

蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 大変すてきな白書ができていると思います。

特に子供の特集は大変興味深く読ませていただきました。事故防止のハンドブックについてですが、これを私はいただいていて、実はお嫁さんに渡しました。そうしたら、その彼女が言うには、病院に置いてありましたと。何で取ってこないのと言ったら、とって良いのですねという反応なのです。それを聞いて思ったのですが、定期健診などに行く親にとって、必ず持っていくのが母子手帳。そうしたら、その母子手帳と一緒に渡すすべはないのかとか、あるいはダウンロードするまでもなく、バーコードで読み込んでもって皆さんたちが待っている間に読んだりできてしまうのはないのか。これだけのしっかりしたデータが出ているので、親がこの情報を知っているかどうか、ちょっとした知識があるかないかによって、もっと予防ができるかできないか、と思います。しっかりここまでできているのであれば、そのできているというところでとまらないで、次へ行く。28ページにも父親は母親より行政から情報を入れていないというのはありましたけれども、それよりも何よりも、行政の情報がテレビや新聞に負けているというところがあります。行政から出されたものにそんな間違いはないだろうと私は思っていまして、情報というのは、テレビ、ラジオ、いろいろなところで自由にとれるものの中には半分ぐらい危なっかしいものも含まれていたりします。そういう意味でのしっかりした裏打ちのされている情報をどうやって届けていくかを各省庁に働き掛けて話合い実行していただければ良いかなと思います。これは希望です。

○消費者庁澤井消費者調査課長 ありがとうございました。

本当に周知の方法については、よく考えて、工夫していきたいと思います。もちろん個々では、例えば今回の事故防止週間でも、ちょうど都内のとある場所での健診のときに渡すというような試みもやりましたけれども、各自治体にお願いしているところもあるので、いろいろな形で、とにかく必要な方々に情報が届くように、これからも検討していきたいと思います。

○高委員長 ほかはよろしいですか。

ありがとうございました。

この白書でございますけれども、消費者問題の現状と課題、それから、消費者政策の実施状況等について、実に体系的に分かりやすく説明することを目的として作成されておりまして、当委員会としても高く評価しております。今回は特に子供の事故防止、これを特集として挙げられておられまして、また、東京消防庁のデータを使われたということですけれども、それを用いて分析し、死に至らない子供の事故についての分析も進めていただいて、大変興味深く読ませていただきました。

消費生活相談については、インターネット通販、これが店舗販売を上回るということでございましたけれども、通販にはアダルトサイト等の相談も含まれているわけですが、見ますと、健康食品等の実際の商品取引に関する相談も増えているという状況で、大変興味深いと感じました。この成果を是非とも政策に生かしていきたいと思います。

本日、委員の方々からいろいろな意見がございましたけれども、それらを参考に、今後さらに、例えば利便性の向上というのでしょうか、他省庁との情報の共有、連携、使いやすさとか、内容の充実についても指摘がございましたし、さらには、教育との連動を考えると年齢区分の問題も若干配慮しても良いのではないかという指摘もありましたので、今後の白書作成に役立てていただければと思います。

この白書そのものについては、すばらしいものができましたが、なかなか利用されていないという現実もあって、先ほどの母子手帳とともに渡されても良いのではないかという意見もいただきましたけれども、広報についても、いろいろ工夫をしていただければと幸いに存じます。

消費者庁におかれましては、お忙しいところ、白書に関する御説明をいただきまして、ありがとうございました。澤井課長はこの後の議題にも同席されるということでございますので、どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。

(公共料金等専門調査会古城座長着席)

≪4.NTT東西プライスキャップ制度の基準料金指数の見直しについて≫

○高委員長 最後の議題は「NTT東西プライスキャップ制度の基準料金指数の見直しについて」でございます。

NTT東西の加入電話、ISDN、公衆電話の料金については、平成12年10月1日以降、プライスキャップ制度が導入されていますが、プライスキャップ制度における料金水準の上限を示す基準料金指数について、その算定方法の設定または変更については、物価問題に関する関係閣僚会議に付議する公共料金等となっております。

今般、総務省において、本基準料金指数の見直しが行われたため、物価問題に関する関係閣僚会議に付議するに当たり、5月31日付で消費者庁長官から本消費者委員会宛てに意見を求める付議がなされております。これを受けまして、公共料金等専門調査会で意見の取りまとめが行われたところでございます。

本日は、公共料金等専門調査会の古城座長にお越しいただいております。お忙しいところ、御出席いただきまして、ありがとうございます。

最初に、古城座長から審議経過について簡単に御説明をいただきまして、引き続き事務局から意見の概要について説明をいただきたく思います。その後、意見交換を行った上で当委員会としての意見を取りまとめたいと思います。

それでは、古城座長、お願いいたします。

○公共料金等専門調査会古城座長 「NTT東西プライスキャップ制度の基準料金指数の見直しについて」につきましては、6月1日開催の「公共料金等専門調査会」において、総務省及び有識者へのヒアリングを行い、本基準料金指数を算定する際の生産性向上見込率の算定方法について確認するなどの検討をいたしました。

ヒアリングの結果を受けて、6月12日の専門調査会において議論を行い、意見の取りまとめを行いましたので、今般御報告させていただく次第です。

詳細につきましては、事務局より説明をお願いいたします。

○丸山参事官 お手元の資料3-2と右肩に記しております資料を御覧になっていただければと思います。こちら、NTT東西による特定電気通信役務の基準料金指数の設定等に関する公共料金等専門調査会意見となっております。

構成についてですけれども、まず、経緯等につきまして、こちらの柱書きに書かせていただいた後、「1.結論」「2.理由」、次のページに行きまして「3.留意事項」という形で整理してございます。

以下、順次述べさせていただきます。

柱書きのところでございますけれども、先ほど高委員長、それから、古城座長からお話がありましたとおり、5月31日付で消費者庁より付議を受けて、NTT東西の提供する特定電気通信役務の基準料金指数の設定等について検討したというところでございます。

設定案については、下で書かれております表のとおりでございます。こちらにつきましては、平成30年10月から適用予定という形でなっているということです。こちらにつきまして、専門調査会におきまして、6月1日に総務省、有識者からヒアリングを行い、調査審議を行ったということで、その結果を踏まえた意見については、以下のとおりということでございます。

まず「1.結論」でございますけれども、こちらの提示された設定案につきましては、妥当であると認められるということでございます。

「2.理由」でございます。まず、一つの○でございますけれども、NTT東西による音声伝送サービス、今回特に焦点になりますのは、加入電話、いわゆる固定電話についてになろうかと思います。こちら、ISDN、公衆電話を含めてでございますけれども、これにつきましては、電気通信事業法上「特定電気通信役務」ということで位置付けられておりまして、指定電気通信役務のうち、利用者の利益に及ぼす影響が大きいものということで位置付けられているということで、プライスキャップ規制の対象となってございます。このプライスキャップ規制でございますけれども、上限価格につきまして、サービスの種別で、バスケットで指数ということで設定されており、実際の料金指数がこれを下回る場合というときには、届出で設定が可能ということで行える一方で、超える場合には総務大臣の許可が必要となってございます。

現状の固定電話サービスでございますけれども、いわゆる音声通信サービスということで、移動電話、モバイルの普及もございまして、契約数については97年度をピークに減少してございます。2016年度については約2,300万件の契約ということで、通信の状況ということでも、トラヒックベースでございますけれども、2015年度には全通信回数の30%を下回るということで、サービスということでは縮小傾向になっているということです。

今回の基準料金指数の設定案でございますけれども、算定のプロセスということで、具体的にはNTT東西、この2社についての収入予測、費用の予測、それから、適正な報酬額の予測ということと、マル4消費者物価指数の変動率ということで、もろもろの予測ということを基に算定してございます。特にポイントになるのは、生産性向上見込率ということで、いわゆるX値ということで、こちらが問題になるわけですけれども、これを試算するということで、全体の指数が試算されることになります。

専門調査会におきましては、まず、収入面についてですけれども、先ほど申し上げました固定電話の契約の状況を反映いたしまして、契約数の減を反映した使用料等収入の減のシナリオでありますとか、費用面に関しましては、人件費の減、回線数の減ということを織り込んだ費用の減ということ、更に経営効率性分析にのっとりました非効率性の解消ということを勘案した全体の費用減というものについての予測、もろもろについて確認をいたしました。その上で、その予測については、一定の合理性があるということで判断するということでございます。

また、適正報酬額を踏まえた上で、それを算出する上での報酬率、こちらの設定についても妥当なものということとなっておりまして、これらもろもろの数値を総合的に勘案して試算された生産性向上見込率、X値については、妥当であるということで判断するということです。したがいまして、このX値を基に逆算した基準料金指数設定案についても、妥当ということで結論づけということで、こちらについて記させていただいてございます。

その上で、「3.留意事項」ということで、4点ほど整理させていただきました。まず、基準料金指数と実際料金指数との乖離、メタルIP化への対応ということでございます。こちらの基準の指数と実際の指数につきましては、2012年の10月までは乖離というものが縮小傾向にありましたが、15年で乖離幅が拡大しております。これはどういうことかといいますと、事業者の側から見ると、プライスキャップ規制の下で、基準指数のところまでは料金の値上げが可能ということですので、値上げの余地がある状況ということになってございます。実際には、こういった料金の引上げには至っていないということですけれども、固定電話についての音声伝送サービスについて利用されている方は、主として高齢世代の消費者ということになってございます。下にデータでも記してございますが、若年層につきましては、非常に保有率は低下しているのに対しまして、60代、50代では、まだまだ御利用されている方が多いということでございます。こういった方々にとりましては、代替サービスである移動電話、モバイルですとか光回線などの固定系の大容量データ通信というものについては、価格の面ですとか、あるいは利用形態の面などで、なかなか円滑に移行しにくい状況もあるということが見て取れます。そのため、固定電話についての通信需要が減退する環境の中で、こうした既存の受益者の利益保護の手段ということで、プライスキャップ規制については一定の意味を持っていると解されるということで記してございます。

なお、固定電話網につきましては、目下でございますけれども、既存のメタルケーブルにつきまして、ネットワークの中継網につきまして、今後2025年までにIP網へ、中継網のところまでですけれども、移行することが予定されています。全体として、NTT東西による、今後メタルIP電話という形で提供が予定されているわけですけれども、このメタルIP電話につきましては、現在の固定電話網ということ、加入電話と同様に、利用者利益に影響を及ぼすことが大きいと考えられますことから、こちらを留意事項として、総務省は引き続きプライスキャップの規制の対象とすることを前提として検討を進めていくべきであるということを添えてございます。

2点目の留意事項といたしましては、生産制向上見込率測定手法、いわゆるX値についての測定の不断の見直しということで、現在、X値の算定根拠として採用されておりますのは、DEA分析、包絡分析ということで呼ばれているものを基に算出してございます。これにつきましては、いわゆる支店の数値のベースを基に計算しているのですけれども、こちらの支店数の減少が今後見込まれるということで、非効率性の推定の精度について、今後も維持していくことが課題となっております。このためということで、総務省は、見込についての測定についての手法について、不断の見直しに務めていくべきであるということを言ってございます。

政策決定プロセスの透明化の確保という面では、見込率を算定しております研究会、こちらの内容の情報について、基本的には事業者の経営情報ということを基に議論しているということですので、こういったものについての情報公開がなかなか進んでいないということがございます。

例えば、議事録については議事要旨のみということで、資料についても原則非公開になっているということで、なかなか内容について十分把握できない状況にあるということです。したがいまして、証拠に基づく政策立案推進の観点からも、事業者の営業に不利益な影響を及ぼす情報以外は、できる限り情報公開を行っていくことを基本とすべきであるということを言ってございます。

さらに、最後に消費者へ情報提供ということで、こちらのプライスキャップ制度の意義ですとか、位置付けを含めて、情報通信の通信料金など、消費者に関わるサービスの制度的な仕組みについては、消費者団体等を通じて積極的に情報提供について実施すべきであるということについても総務省にということで申し添えてございます。

内容についての説明は以上のとおりです。

○高委員長 ありがとうございました。

ただいま座長と事務局から御説明をいただきましたけれども、御質問、御意見はございますでしょうか。特にないですか。

長田委員、どうぞ。

○長田委員 今回の意見はこれで妥当だと思っています。ただ、このプライスキャップ規制そのものというか、通信の仕方そのものがメタルIP電話からいずれは全てがIP電話になっていくときに、ユニバーサルサービスとしての電話回線をどう考えていくのかということについては、もうちょっと幅広に大きな議論をしていく時期がすぐ来るのだろうと思っていますので、そこはそういう議論に参加できるよう、消費者の側も準備をしておかなければいけないなと思っているところです。

○高委員長 ほか、ございますでしょうか。

増田委員、どうぞ。

○増田委員 通信料金を含めて、消費者への情報提供が非常に重要であるという御意見も書かれていますので、ここは是非実施していただきたい。今回のプライスキャップ制度に関わらず、モバイルの料金も含めて、消費者の理解が追いついていないというのはまだまだあるかと思いますので、料金に対する納得感というものがあると良いなと思います。是非御検討の中に入れていただきたいと思います。

○高委員長 ありがとうございます。

御意見をお二人からいただきましたけれども、また場を改めてそういう議論をやるということですね。ありがとうございます。

この意見書の内容については、よろしいですか。

そうしましたら、委員会としての意見案を配付していただけますでしょうか。

(意見案配付)

○高委員長 この意見案について、先ほどの御意見をお聞きしておりますと、皆さん方の御了解をいただいたということでよろしいでしょうか。

そうしましたら、これを消費者庁長官宛てに回答したく思います。

古城座長におかれましては、お忙しいところを御審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。


≪5.閉会≫

○高委員長 本日の議題は以上になります。最後に事務局より今後の予定について御説明をお願いいたします。

○丸山参事官 時間の本会議につきましては、日程が決まり次第、委員会ホームページ等を通じてお知らせさせていただきます。

○高委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

御参集いただきまして、ありがとうございました。

(以上)