第274回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2018年5月17日(木)14:00~14:51

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    高委員長、池本委員長代理、受田委員、大森委員、鹿野委員、樋口委員
    (高委員長の「高」は、正しくは「はしごだか」)
  • 【説明者】
    消費者庁消費者安全課尾崎事故調査室長(「崎」は、正しくは「たつざき」)
  • 【事務局】
    黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 消費者安全法における消費者安全調査委員会規定部分の施行状況について
  3. その他
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○高委員長 それでは、時間になりましたので「消費者委員会第274回本会議」を開催させていただきます。皆様、お忙しい中、御参集いただきましてありがとうございます。

本日は、蟹瀬委員、長田委員、増田委員、山本委員が御欠席となっております。

それでは、配付資料の確認を事務局からお願いいたします。

○丸山参事官 お手元の議事次第の下部に配付資料一覧を記載しております。資料1-1、1-2、参考1、2となっております。不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますよう、よろしくお願いします。


≪2.消費者安全法における消費者安全調査委員会規定部分の施行状況について≫

○高委員長 本日の議題は「消費者安全法における消費者安全調査委員会規定部分の施行状況について」でございます。

消費者安全調査委員会の規定を盛り込んだ改正消費者安全法が平成24年10月1日から施行されているところでございますが、その附則第三条において、「政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」と規定されております。

昨年10月1日をもって施行後5年を経過したことから、消費者庁において、法施行の状況について整理し、何らかの措置を講ずる必要があるか等、検討が行われたと聞いております。

本日は、消費者庁における検討結果について御報告をいただきまして、意見交換をさせていただきたいと思っております。

本日は、消費者庁消費者安全課事故調査室、尾崎室長にお越しいただいております。お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。

それでは、恐縮でございますが、20分程度で御説明をお願いできますでしょうか。

○消費者庁消費者安全課尾崎事故調査室長 事故調査室の尾崎と申します。よろしくお願いいたします。

ただいま委員長から御説明があったとおり、今回、消費者安全法の消費者安全調査委員会の施行部分は、法律施行より5年たったということで、施行状況について消費者庁で検討を加えたものをこちらに御報告いたします。

消費者安全調査委員会ですが、事故から教訓を得て繰り返さないということを掲げて活動している、消費者庁に置かれた消費者安全法に規定された審議会でございます。法律に基づく施行状況について、資料の概要版で御説明しますので、資料1-1の1ページを開けていただきまして、「施行状況」というところを見ていただければと思います。法律の成り立ちが、調査活動についてと、その調査活動を円滑にするための規定となっておりますので、そのような形で調査状況をまとめております。

まず、「(1)調査」のところでございますが、件数等は昨年9月末の数字でございます。調査件数10件を終了して報告書を公表しております。また、4件を継続して調査をしております。

少し調査のやり方について御説明いたしますが、調査は大体4個を並行してやっております。その間に、次の調査になるかどうかというものを事前に情報収集をしているというものでございます。一つ調査が終わりまして報告書になった段階で、世の中に報告書として公表していくというスタイルになっておりまして、これまで10件ということになっております。

この10件でございますが、設立当初に思われていた期待値よりは低いのかなという印象はございます。それに関連しまして、調査の期間というのが相当長いのではないかと思っております。そこは、この後お話しいたしますが、一番の課題であり、今後、何らかの対処が必要なところではないかと考えております。

調査期間をそちらに書いておりますが、一番長いものが3年8か月、最短のもので11か月掛かっております。平均しますと、1年から1年半程度。設立当初よりは徐々に短くなっていると思いますが、いまだに2年程度掛かっているものもございます。

それに関しまして、評価というところにも書いておりますが、ちょっと言い訳かもしれませんが、この消費者安全調査委員会の調査は分野が多岐にわたっておりまして、機械、設備、サービス分野等、様々な分野のものをやりますので、まず、事故の案件があったときにそれをどのように調査するかというのが一律に決められないのかなと思っております。その段階で調査計画を立てて調査を行っていくのですが、そこに大変時間が掛かっております。

また、3年8か月というのは最初に選定したものでございますが、そちらは途中でこうではなかったといっていろいろなところに行ったりというのもあったのかなと。そういう意味で、最初はより時間が掛かっているのかなと思っております。

ただ、このようにいろいろなものをやっているから時間が掛かるといっても、再発防止のためには早ければ早いほうが良くて、次の事故が起こらないためになるべく早く出すことが一番大事だと思っておりますので、何とかその辺りを縮められるところを縮めたいと思っております。

そのために一番大事なのは、最初の事故情報の収集のところで、どのような事故が起こっていて、どこを調査すれば良いかというところを考えていく調査計画を最初のところで決めて、もう一度戻ったりすると、そこでまた手続等で非常に時間が掛かりますので、その辺りを充実させるために、最初が重要かなと思っております。

ただ、先ほど申し上げたとおり、分野が多岐にわたっているからといって一律の調査はやはり望ましくないと思っております。例えばアンケートをやってヒアリングをして終わりというような調査では良くないかなと思っていまして、案件ごとに様々な手法を組合せて事故調査をしていくことが必要ではないかと思っております。それが一つ、事故調査の件数と期間でアウトプットとして見られる部分かと思っております。

また、事故調査の申出というところでございますが、本体の35ページを見ていただきますと、どのように事故調査が進んでいるかということが書いてあります。まず、事故の情報としては、一つは消費者庁に集約される事故情報を見て、類似の事故がないかを検討しているということでございます。もう一つは、法律にございますが、事故を調べてほしいという方は事故の申出ができるというものになっておりますので、そちらから事故の情報も収集しております。ただ、こちらは個別の救済を目的としておりませんで、事故の情報収集という形で一つの端緒情報としての扱いでございます。その二つのツールをもって、また44ページにある選定指針というものをもって、調査委員会で決めているところで、公共性とか被害の程度、多発性等を考慮しまして、どの事故を調査していくかということを決めております。

戻りますが、これまでに268件の申出がございました。こちらは設立当初のほうが多く、毎年40件程度の申出を受けているということでございます。そのうち8件を、先ほどの選定指針に照らし合わせて、選定という形で調査を開始しております。そうすると、多くの申出が調査されていないように思われますが、申出は様々なものがありまして、このうち生命身体事故でないものもございます。生命身体事故だけで見ますと、237件がこれまで申出として出されているということになります。そのうち、既に公表した報告書になっているものと類似の案件もございます。そういうものは42件ございました。

それ以外のもので既に事故の原因が明らかなものもございますので、ただ、それでも消費者は実は知らないというものもございまして、そういったものはワンポイントアドバイスという形で、消費者向けの啓発資料を作成しております。こちらはこれまでに38件行いました。

また、消費者向けのワンポイントアドバイス、消費者の啓発に加えて事業者も何かできることがあるのではないかと思ったものをレポートとして15ページ程度のものを作って公表しております。こちらは昨年3月に始めましたので、4件程度行っております。それが調査の全体の概要でございます。

調査を行いますとフォローアップをするのが通例だと思いますが、フォローアップの規定は法律上ございません。ですが、やはりそこは必要だということで、おおむね1年をめどに各意見先の関係行政機関に来ていただいて、公開でヒアリングという形でフォローアップを行っております。

こちらは、まずどのようなことが行われたという実施状況、それからそれがどの程度現場に届いているかをヒアリングすることと、もう一つは、委員会としては意見がもうちょっとピンポイントにしたものが良かったのか、ちょっとぼやっとし過ぎた意見だったのではないかとか、そういうことを振り返る意味もあるかと思っております。

このフォローアップに関しましては、特に現場に届いているかということを重視したいと思っておりまして、そちらのほうは平成26年に公表した幼稚園でお子さんが亡くなったという事故のフォローアップの形で、先月4月には幼稚園の実態調査という報告書を出しました。

このようにフォローアップを、事案によって1年後は各省に来ていただいてヒアリングするというようにしておりますが、他のものについては2年後、3年後も引き続き、物が無くならない限りやっていくということですが、事故の件数と重篤度を見つつ、各省に資料を出していただくとか、もしくはこのように実態調査を自ら消費者安全調査委員会で行うなど、いろいろバリエーションを付けてやっていくということを考えております。それが調査のフォローアップでございました。

それを行うための方策ということで、調査権限がこちらには付与されております。例えば企業が行った事故調査報告書とか、事故の現場の資料を出してくださいとか、立入検査ができるとか、関係者に質問ができるとか、現場をそのまま保全しておいてくださいといった調査権限が付与されておりますが、こちらにつきましては、現在調査権限を使った調査というのは行っておりません。同じようなものは全て出していただいておりますが、それは権限を使ったものではなく、任意に御協力をいただいております。

現時点の評価ですが、任意の協力は得られておりますので、仮に今後、任意の協力が得られなかった場合には、調査権限を行使する必要があるのかと考えております。

次のページに参ります。「(2)調査の委託」でございます。こちらの委員会は事務局機能を果たす事故調査室と、専門委員、審議を行う臨時委員と本委員という組合せになっておりますので、実際に実験等をする組織がございません。そういった意味で、国民生活センター、大学といった実験等を行っていただく組織の協力が必須となってまいります。現在において、そのような国民生活センターや大学、主に専門委員がいらっしゃる大学等から協力は十分に得られていると思っております。

ただ、資金面と、委託する場合、委託に係るプロセスというのが調査の時間に入ってまいりますので、その時間は調査を早める点においても問題かなと思っております。民間企業に委託する場合には入札が必要になりますので、その辺りの入札での契約がもう少し何とかならないかなというのは課題ではないかと考えております。

そのほか、「(3)関係行政機関等の協力」というのがございますが、こちらは法律の35条にも規定がございまして、各省で行った調査の結果とか、各省から事業者への連絡とか、そういったことについて十分協力が得られていると思いますし、また、初動において、事故の現場においては一番情報を持たれている警察等とも、捜査と調査は違いますけれども、必要な点においては十分な協力が得られていると考えております。

それから、「3.公正・中立な調査の確保」というところで、こちらは調査に当たって最も大事なことは、公正であり中立な調査を行うことだと思います。それに関しまして、委員会の決定において、職務従事に関する制限というものを設けております。これによって、例えば企業のアドバイザーをやっていた方とか、何か基準作りに携わった方などは一律に調査の審議には入れないことになっておりまして、調査をしている最中にはその部屋から出ていただくなり、一切関わらないようにしていただいているということでございます。

それから、公正・中立な調査の確保という点で、これに関連しますが、様々な個別の事項を扱いますので、公開することはなかなか難しいかなと考えております。そうは言っても透明性の確保というのは審議会である以上は必要だと思っておりますので、公開していない部分につきましては、委員会を月に1回やっておりますが、委員会終了後に必ず委員長から会見を行う。それから、委員長会見等の要旨を資料として公表を行っております。

最後に、法律とは関係ございませんが、一番大事な(1)の調査ということに関連しまして、これまでの5年間で見てきた限り、調査は専門委員と事務局とで協力して行うことになっておりますが、事務局の機能強化が一番大事かなと考えております。先ほど申し上げた、最初の調査の計画、情報収集の段階は事務局が中心となって行いますし、最後の報告書作成においても事務局もかなり関与しますので、その辺りの能力の充実が必要だと考えております。特に、増員も必要ですが、事故調査室員が安全の考え方ですとか、事故調査については十分な知見を持つ必要があると思いますので、様々なバックグラウンドを持つ者がいるのですが、それぞれどこか足りない部分もありますので、研修を充実させていくのかなと考えております。

最終的な結論でございます。法令に関しましては十分に整備されていて、見直しの必要はないのではないかと考えております。ただ、何度も申し上げますが、調査期間の短縮が課題であって、それに伴って件数の増加が課題であろうと。そのためには、最初の情報収集と調査計画が最も重要であって、後ろ戻りがないようにするということ。それをもって、様々な事項を幅広く検討できるように、サポートする事故調査室員の資質の向上が重要ではないかということ。

最後に、これまでやった10件もそうですが、最初のときに報道等はされるので、その際にはぱっと盛り上がるのですが、その後、何度も繰り返して同じような事故が起こっていることを考えますと、これは消費者安全調査委員会に限ったことではないかもしれませんが、やはり周知や情報発信ができていないというところが課題でして、今までも行っているような、マスコミに取り上げてもらうとか、委員長の会見をテレビに出してもらうとか、そういうことではなくて、ホームページを使う以外に何かできたらな、しなければいけないなということが今後の課題かなと思っております。

以上です。

○高委員長 ありがとうございました。資料1-1に沿って御説明いただきました。

ただいまの説明に関しまして、質問、御意見がございましたら御発言ください。

どうぞ、大森委員。

○大森委員 法律規定のないフォローアップをやっていただいているということで、とても良いことだなと思いました。事故が起こったときは結構ニュースになったりしますが、その後どうなっているかというのがとても大切で、なかなかできていないのではないかと思うので、そういうところをやっていただいているというのは本当に有り難いことで、これからもその辺りは充実してやっていただけたらと思います。

「3.結論」の3番目に、知見を社会で共有できるような情報発信が必要という、正に私はここをとても思うのです。もともと目的が事故の再発防止ですから、多くの方の目に触れていただくことがとても大事かと思います。

質問ですけれども、事故の申出は誰でもできるということですが、それは一般の消費者が目に触れやすい状態にあるのかどうか。あと、書類を作ったり、電話をかけたり、役所独特のハードルの高さというものがないのかどうか。その辺りをお聞きしたいと思っています。それがうまくいくと、一般消費者も利用でき、またフィードバックを受けられる。行政と消費者がすごく連携した良い形になっていくのではないかと思うので、その辺りをお聞きします。

○消費者庁消費者安全課尾崎事故調査室長 申出に関してですが、現状、消費者庁のホームページの消費者安全調査委員会の中の申出のところにあるので、非常に分かりにくいのではないかなと思っております。こちらで三つ折りのリーフレットも作っているのですが、実はそこにも活動だけが書いてあって、申出制度というのが書いていないということがありまして、そこが委員がおっしゃるとおり課題だったかなと思っております。それはリーフレットを改訂するなりということをやっていこうと思っております。

申出が分かりにくい、あと、先ほどハードルが高いと言われていることですが、これまでは封書で出していただくというスタイルだったのですが、3月からメールとFAXで受け付けるようにしております。封書だとちょっとハードルが高いかなということはあると思っておりましたので、そのようにしております。

○高委員長 確認ですけれども、メールで送付する場合、何かフォーマットがあって、それにのっとって記載して添付書類で出すということですか。

○消費者庁消費者安全課尾崎事故調査室長 そうです。フォーマットがないと、必要な事項が入っていないと困りますので、フォーマットを開けて入れていただくという形になっています。

○高委員長 それは、それほど複雑ではないということですね。

○消費者庁消費者安全課尾崎事故調査室長 こちらとしては必要な情報なので、複雑ではないと信じております。

○大森委員 多分、一般消費者が利用しやすい形に一生懸命寄り添っていただいているのかとは思うのですけれども、例えば消費者庁の安全メールみたいなところで、スマホから簡単にぱぱっと打てるようなシステムもまた考えていただけたらと思います。

そちらとしては必要な情報だと思われるものを全て載せると、一般消費者は見ただけでやめておこうとなるのではないかと思うので、その辺りもダイエットをよろしくお願いします。

○消費者庁消費者安全課尾崎事故調査室長 分かりました。検討させていただきます。

○高委員長 ありがとうございました。

他はございますでしょうか。鹿野委員、どうぞ。

○鹿野委員 一つ質問をさせてください。海外の製品についてですけれども、インターネットの普及とも関わって越境取引も増えていますし、あるいは直接の越境取引ではなくても、比較的小規模の事業者も含め、海外の製品を日本で売却するということが増し、海外から入った製品が関わって事故が生じるというような事態も以前より増えているようにお聞きするところです。

そこで質問ですが、今回出していただいた資料1-2の29ページに今までの実績が載せられているのですが、そこに載せられているものに海外製品は含まれているのかどうかという事実確認が一つ目です。

それから、先ほど、選定指針に従って、取り上げる案件については決定するのだということだったのですけれども、もし従来の実績にこれが含まれていないとしても、将来的にはそういうものが対象になる可能性があるのか。そして、もし既に含まれまたはその可能性があるとすると、何らかの形で国際的な協力を取り付けるということが仕組みとして用意されているのか。その辺りについて質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○消費者庁消費者安全課尾崎事故調査室長 国内で発生していれば、製品であれば対象になると思います。

現状ですが、29ページを見ていただいた中で、どこが作っているかという点であれば、例えばエレベーターなどはシンドラーですし、海外製と言えば海外製にはなると思います。法律上も、国内で発生していれば調査はできるとなっていると思います。子供の玩具も海外製品はあったように思います。個別にそれを対象としたわけではないですが、事故として扱っている分にはそこは排除していないことになります。

正に、海外のことは私たちにとって非常にハードルが高くて、短い中で海外の事例を調べたりするのもすごく大変ですし、またこれを海外に発信もしていないという状況ではありますので、ちょっと考えておりますのが、先ほどのものにも関連しますけれども、やはりこういった知見、できた報告書を少なくとも英訳をして海外に発信していって、こういう取組があるということをこちらから伝えていくということはしたいなと思っております。

○鹿野委員 今、既に取り扱っているものについても、海外で製造されたものがあるということを確認させていただきました。

そして、発信ということに関しては、英文でレポートを載せて海外に発信するということをしていらっしゃる。

○消費者庁消費者安全課尾崎事故調査室長 今はしていないのですけれども、していこうとして、今、準備中でございます。

○鹿野委員 そういうことなのですね。

それでは、調査のときに何らか国際的な協力は有り得るのですか。

○消費者庁消費者安全課尾崎事故調査室長 事案が決まってから、海外に行って調査するなり、相手先に協力を求めるということは、そこだけでも多分ものすごく時間が掛かってしまうので、現状はやっていないです。もし、例えば16条の5項の基礎的調査という項目がありますので、やるとするならばそちらで別途、特定の事故ではなくて、ある知見として持っておくためにやるということは考えられると思うのですけれども、何か調査が選定されてから海外というのは現時点でもないですし、時間との戦いを考えますとなかなか難しいかなと思っております。

○高委員長 よろしいですか。

○鹿野委員 分かりました。個別の案件に関しては時間的にスピーディーにやらなければいけないということとの関係もあって、今は協力をしてという形は取りにくいということで伺いました。

ただ、将来的には、それが基礎調査という名目になるのかどうかは分かりませんけれども、そういうことが比較的スピーディーにできるような、そういう大きな仕組みが必要なのではないかと感じているところです。

○高委員長 ありがとうございます。

先ほど、取組について、海外への発信を考えておられるという説明ですけれども、事故調査の結果についての話ではなくて、まずは取組についてこういうことをやっているという発信を考えておられるということですよね。

○消費者庁消費者安全課尾崎事故調査室長 そうですね。取組も知られていないと思うのですけれども、報告書ができたものを幾つか英訳して出したらどうかと思っているところです。

○高委員長 簡単な結論みたいなものをということですね。

○消費者庁消費者安全課尾崎事故調査室長 そうですね。

○高委員長 報告書そのものではなくて。

○消費者庁消費者安全課尾崎事故調査室長 報告書そのものも、海外にはないだろうと思われる知見は出していこうかなと思っています。

○高委員長 分かりました。期待しております。

○消費者庁消費者安全課尾崎事故調査室長 ありがとうございます。

○高委員長 他はございますか。

どうぞ、池本委員。

○池本委員長代理 池本でございます。

非常に注目されてきている調査委員会の取組ですが、先ほど御説明の中で、特定製品の特定メーカーとの関係となるのか、あるいは同種製品の他メーカーも含めた情報収集なり分析ということになるのかという着眼点の問題と、それから調査結果を情報提供していくというのが、一般的に消費者に向けての情報提供とは別に、当該製品の当該メーカーあるいは同種製品のメーカーの側、作る側に対する情報提供なり、場合によっては働き掛けなり意見交換ということもあろうかと思うのですが、調査過程におけるメーカー等との情報交換あるいは意見交換、それから報告書取りまとめ後の関連メーカーとの情報交換、この辺りの実情はどうなのでしょうか。

○消費者庁消費者安全課尾崎事故調査室長 調査も当初と大分変わってきておりまして、当初は例えばシンドラーの事故とか、パロマのガス湯沸器とか、タイトルそのものが個別のものになっておりまして、ただそれをやっていく過程でも、より汎用的な事故調査ということが再発防止には必要と考えますので、その時点においても、そういうタイトルはついていますが、実は背景要因という形では、例えばエレベーター業界も全て調べておりました。それが、だんだんタイトルそのものも、もう少し広い意味になっておりまして、例えば「玩具」という全般的なことを言ったりもしています。

その場合は、もちろん各業界そのもの全て可能な限り調べるということが必要になっておりまして、そういった場合は、関係省庁や業界団体を通じてその方々と話をするということで、調査をして再発防止策も検討をしていっております。

逆に、終わった後においても、私たちのできるところは関係行政機関への意見ですけれども、その後のフォローアップとして、結局、業界団体を通じて何かをしていただいているところもありますので、その辺りとは意見交換という形でやることがあります。なので、個別と言いつつも、その業界全体と業界の安全ということを考えてやっていっているということになります。

○高委員長 調査の過程においても業界団体等から協力をいただいて、それから調査結果についての報告というか、共有というのも業界団体等と積極的にやっておられるということですね。

○消費者庁消費者安全課尾崎事故調査室長 そうです。

ちょっと話が変わるのですけれども、業界団体といいましても、今すごく小さなというか、業界団体がないものとか、業界が小さいというのですか、そこに入らない人がいるような業態がたくさんあると思うのです。そういった場合は再発防止策を浸透させるのが難しいということを、課題として思いました。やはり業界団体を通じて浸透させていくのが、業界側に対してはそれが一番再発防止策として取り得る手段だと思うのですが、業界団体に入っていないとか、いろいろな業態が今見られると思います。

○高委員長 ありがとうございました。

他は。どうぞ、受田委員。

○受田委員 事故等の原因調査が非常に重要であるということを十分に認識した上で、委託としていろいろなセクターに依頼をするという仕組みであるというお話でした。具体的に出ている組織としては、国民生活センター、NITEが書いてあります。あと、民間調査機関という言葉があるのですけれども、この民間調査機関というのは具体的には大学等研究機関も含むという理解でよろしいのでしょうか。

○消費者庁消費者安全課尾崎事故調査室長 そうです。

○受田委員 さらに、こういった調査の受託を専門的にやっているような機関もあるのでしょうか。

○消費者庁消費者安全課尾崎事故調査室長 事故調査をやっている機関、それを専門にして業を成しているものは多分ないと思うので、私たちが委託するのは本当に調査の一部でして、大学や国民生活センターであれば再現実験とかシミュレーションということになるかと思います。あと、民間事業者といった場合にはアンケート調査が主でして、そこの部分をシンクタンク等にお願いしているということで、事故調査そのものはこちらでやっています。

○受田委員 伺いたかったのが、入札の問題といいますか、課題にしておられて、結局、委託をしたい内容自体を応札してくれる方々がたくさんいるという状況なのか、それとも入札はするのだけれども、実態としては応札するセクターはほとんどなくて、結果的には随意契約的に指名をして、もうそのセクターをもって余人をもって代え難いというような理由が付くのであれば、先ほど問題視されていた入札に伴う時間の経過を短縮化できるのではないかと思ったのです。実態がどうなのかというのを説明いただけますか。

○消費者庁消費者安全課尾崎事故調査室長 アンケート調査なんかはいろいろな事業者がやって、入札されるということがあると思うのですけれども、実際、ここをやりたいというのがあるときもあるので、そういうときは対象となる事業者がほぼないときもあります。ただ、ないことを証明するのはできないので、結果的に入札という形をとることが多い。本当にやっていないかどうか分からないということが多々あります。

○受田委員 分かりました。そういう意味では、かなり特殊な状況にあるときに、複数応札をしてくるところがなかなか想定されないとすれば、時間短縮の理由というのは極めて重くて、そういう意味では随意契約的に説明がつくという考え方で押し切ることもできるのではないかと個人的には思いました。

○消費者庁消費者安全課尾崎事故調査室長 できればそのようにしたいと思っているのですけれども、全てを知っているわけではないので、絶対にないですねと言われると、なかなかそれに答えることができないということがあります。

○高委員長 それに関連してお聞きしたいのですけれども、仮に再現実験が、入札したとしても、札を入れるのはいつも一つのところに限られているというような状況があるわけですよね。

○消費者庁消費者安全課尾崎事故調査室長 案件が違いますので、いつも1社に限るということではなくて、個別につき1社、別の案件につき1社ずつという感じです。

○高委員長 ということは、実質的に競争に余りなっていないケースが多いと。

○消費者庁消費者安全課尾崎事故調査室長 なっていない案件もあります。アンケート調査以外のところであれば、例えば玩具の誤嚥のシミュレーションというのは1社しかできないとか、もしかするとできるところはあるのかもしれないですけれども、ヒートポンプ給湯機の音測定とその解析とかもできるところは多分少ないと思うので、そういう現象はあります。

○高委員長 分かりました。

どうぞ、樋口委員。

○樋口委員 消費者安全調査委員会の調査の目的ですけれども、事故の予防とか再発防止ということになっていると思います。今回のフォローアップでは、基本的なところのフォローアップをしておられると思うのですが、概要の表にも書かれているのですが、ワンポイントアドバイスとか、レポートとか、フォローアップの仕方とか、これが事故の予防とか再発防止につながってくる面が多いと思うのですね。他の調査機関との違いということも、正にフォローアップとかアドバイスの仕方とか、そういうところに関わってくるのではないかと思います。今後、そういったことも、施策の重要部分として位置付けていただくことが大事なのではないかなと思います。

また、その際、特に消費者団体との連携とか、企業とか関係機関との連携も重要と思います。調査の結果というものを、例えば高齢者の方にどのように普及するのかとか、子供たちにどのように伝えていくのかということについて、これは行政でもちろん取り組まなければならないことですけれども、しっかり考えていく必要があると思います。事故を分析して結果が出たら、それを最も効果的な方法で普及していただくような、そういう方向を、是非、次の5年では強力に推進していただいたほうが良いのではないかと思います。以上は、質問ではなく、意見ですが。

○高委員長 ありがとうございました。

他はよろしいですか。どうぞ、池本委員。

○池本委員長代理 製品事故についての原因究明というと、国内では国民生活センターの商品テストとNITEが真っ先に想定されるのですが、調査委員会でまず案件を選択するときにそれぞれがやっている、あるいは現にやっているものの状況などの情報交換をして選別をするということが可能なのか。それとも、そこは調査が終わるまでは非公開だから、それは開示できないという形なのか。そこの情報交換の程度を伺いたいというのが1点。

それから、実際のテストの実施機関という意味でも国民生活センターとかNITEが選択肢として想定されるかと思うのですが、そこに依頼をするときの手立てというのですか、向こうの受入れ体制、能力、あるいは費用のこととか、その辺りは何か障害になっていることはないのでしょうか。

○消費者庁消費者安全課尾崎事故調査室長 調査を開始してしまうと、どこまでやっているとか、そういう話はしないと思います。そこは委託先であれば守秘義務がありますので、そういった形でクローズドになりますけれども、何も関係ない場合、委託なり、何かお願いしてなければ、そこの関係はないと思います。NITEも同じです。

ただ、こういう調査をしているということは既に公開していますので、こういう情報をくださいということはありますが、こちらからどこの部分が問題であると言うわけではなくて、こういう調査をしている、これに関連する情報をくださいという形にしかできないかなと思います。

どこかにお願いするときのプロセスとか、お金の問題とか、人員の問題、特に国民生活センターにはお願いすることがよくあると思うのですが、そこは追加でお金を払うという仕組みが今はないわけで、運営費交付金の範囲内でやっていただくということで、消費者安全調査委員会として調査費を持っておりますが、それをそのまま国民生活センターに渡すということはできないので、もしそういうことが必要であれば、そこは一般競争入札になります。

それから、人に関しては正に本当にお願いベースで、空いている方を頼ってやっていただくということになるかなと思います。一方で、国民生活センターの方には専門委員として入っていただいておりますので、その中でやっていただくことができるような仕組みにはなっているということです。

○池本委員長代理 今のような状況をお伺いした中で、別にいろいろな機関の中の上下関係を設けるわけではないのですが、消費者安全調査委員会での調査が様々な課題があって、例えば国民生活センターだと苦情案件について、原因究明という比較的短期間にその製品についてだけ調査するというのに比べれば、かなり本格的に問題の全体像を深掘りしていくということになると、時間も予算も人も注ぐということになっていくので、むしろこの案件は取り上げたいと位置付けたときには、国民生活センターの例えば予算面の手当てについての融通がきくようにするとか、人的なところも含めて、その辺りを協議、調整しながら、重点課題の位置付けを高めていけるような方策が必要ではないかと思うのですが、その辺りは何か検討なさっていることはあるのでしょうか。

○消費者庁消費者安全課尾崎事故調査室長 検討に至っているか分からないですけれども、やはり国民生活センターの協力は不可欠でして、何かできないかということを考えているというぐらいです。運営費交付金と予算の関係は多分崩すことはできないと思いますので、何か別の形で協力を得られるようにできないかなということは考えております。

○高委員長 よろしいですか。ありがとうございました。

委員からいろいろ意見がございましたけれども、希望みたいなものと、そちら自身で改善というのはなかなか難しいかもしれませんけれども、こういうところが問題ではないかというところを確認させていただいたと思っています。

希望については、一般の消費者が申出する場合のフォーマットの改善というのでしょうか、またそもそもそういう制度を知っている人が少ない状況にあるということですので、これも改善して頂けると有り難いということ。

それから、フォローアップというのは既に取り組んでおられるということですけれども、ここについては施策の重要な部分として位置付けができるのであれば、今回説明いただいたのですけれども、引き続きその点に力を入れてやっていただきたいという意見をいただきました。

海外についても、すぐどうこうというのはなかなか難しいかもしれませんけれども、製品には国境がないということを考えれば、将来的なグローバル展開も考えながら取組を進めていただければと思います。

改善ということに関しては、とりわけ調査を委託するところについて随分苦労されているなと感じております。できるだけ時間を早く、限られた人、予算の中でやらなければいけないということを考えれば、少なくとも入札の仕組み等、今回の結論では特に問題ないということですけれども、引き続きこの問題を考えていただいて、また次回こういう機会があったときに、今までの法的な枠組みについてはここのところを修正したい等、我々に言うことではないのでしょうけれども、そのように考えているという御意見などもいただければと思います。

我々、いろいろ意見と希望を申し上げたのですけれども、1点だけ確認したいところがございまして、そちらで説明された調査のところで、調査の迅速な実施のために事前の情報収集、調査計画の充実は不可欠だとおっしゃっておられ、またこちらの資料では17ページ、下のところを見ると、情報が比較的十分ではないという言及がございました。もしここが十分でないとするならば、最初の段階で調査計画を立てるにしても余りしっかりしたものが立てられない。そうすると時間が掛かってしまうということなので、ここの部分については、結論では今後引き続き消費者庁や関係する機関に対して協力を呼びかけていくということを書かれているのですけれども、是非これも今後続けていただきたいと思っております。

私どももこの問題は共有しておりまして、委員会としても何か具体的にできれることがあればやっていきたいと思っているところでございます。

以上、御説明をいただきまして、また委員からは様々な意見は出しましたが、既存の法的な枠組み、法令の枠組みの中で今後もやっていけるということでございますので、是非生命・身体被害に関わるところの消費者事故の予防・再発防止のために引き続き取り組んでいただければと思います。

本日は、お忙しいところ、ありがとうございました。

○消費者庁消費者安全課尾崎事故調査室長 どうもありがとうございました。

(消費者庁退室)

≪3.その他≫

○高委員長 次に、議題「その他」といたしまして、食品表示部会委員についてでございます。食品表示部会については、第256回委員会におきまして、再開することを御確認いただいたところでございますけれども、先般、内閣総理大臣により臨時委員が任命されました。消費者委員会令第一条第2項では、部会に属すべき臨時委員等については委員長が指名することとなっておりますので、5月10日に、参考資料1のとおり、食品表示部会に所属する臨時委員を指名いたしました。

なお、第256回委員会において御報告しましたとおり、部会長につきましては受田委員を指名したところですが、先般、受田部会長から食品表示部会の部会長代理を、第4次に引き続き樋口委員にお願いする旨の指名を行ったとのことですので、御報告を申し上げます。


≪4.閉会≫

○高委員長 本日の議題は以上になります。

最後に、事務局より今後の予定について御説明をお願いいたします。

○丸山参事官 次回の本会議につきましては、日程が決まり次第、委員会のホームページを通じてお知らせさせていただきます。

○高委員長 ありがとうございました。

本日はこれにて閉会となります。ありがとうございました。

(以上)