第269回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2018年3月8日(木)13:30~17:17

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    高委員長、池本委員長代理、受田委員、大森委員、蟹瀬委員、長田委員、樋口委員、増田委員
    (高委員長の「高」は、正しくは「はしごだか」)
  • 【説明者】
    文部科学省生涯学習政策局中野男女共同参画学習課長
    消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長
    消費者庁消費者教育・地方協力課米山消費者教育推進室長
    全国消費者団体連絡会浦郷事務局長
    全国消費者団体連絡会小林事務局次長
    消費者庁廣瀬消費者制度課長
    消費者庁消費者制度課担当者
    消費者委員会事務局担当者
  • 【事務局】
    黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 消費者教育の推進に関する基本方針の改定について
  3. 地方消費者行政強化のための取組について
  4. 適格消費者団体の機能強化に向けた取組について
  5. 消費者契約法の一部を改正する法律案について
  6. 消費者契約法の一部を改正する法律案に係る意見について
  7. 福井内閣府特命担当大臣御挨拶
  8. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○高委員長 それでは、時間になりましたので、ただいまから「消費者委員会第269回本会議」を開催いたします。

皆様、お忙しいところを御参集いただきまして、ありがとうございます。

本日は鹿野委員と山本委員が欠席となっております。

それでは最初に、配付資料の確認につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

○丸山参事官 お手元の議事次第の下部に配付資料一覧を記載しております。もし不足等がございましたら、事務局までお申し出いただきますようよろしくお願いいたします。

○高委員長 ありがとうございます。


≪2.消費者教育の推進に関する基本方針の改定について≫

○高委員長 最初の議題でございますけれども、「消費者教育の推進に関する基本方針の改定について」となっております。

消費者教育の推進に関する法律においては、政府が消費者教育の推進に関する基本的な方針の案を作成しようとするときには、当委員会や消費者教育推進会議の意見を聴かなければならない旨が規定されており、これを変更するときも同様とされています。

消費者庁や文部科学省におかれましては、基本方針の変更案に対する当委員会や推進会議の意見及びパブリックコメントの結果などを踏まえ、この度、基本方針の変更案を取りまとめたところでございます。なお、本変更案については、本年2月26日付の文書で、内閣総理大臣及び文部科学大臣から、当委員会に対して意見が求められております。

本日は、基本方針の変更案の内容について御説明をいただき、答申を取りまとめたいと思っております。

消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長、米山消費者教育推進室長、文部科学省生涯学習政策局中野男女共同参画学習課長にお越しいただいております。

消費者庁、文部科学省におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、ありがとうございます。

それでは、消費者庁から、15分程度で説明をお願いいたします。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 消費者庁の消費者教育・地方協力課長をしております、尾原と申します。本日はこのような機会をいただきまして、ありがとうございます。

冒頭、委員長から御説明いただきましたとおり、本報告につきましては、これまでも消費者委員会の委員の皆様から意見をいただき、あるいは、消費者教育推進会議、またはパブリックコメント等で、皆様から多くの御意見を賜ったものを踏まえながら、本日、このような場でお出しすることができました。改めて感謝申し上げたいと思います。

それでは、内容につきまして、改めてではございますが、お手元の資料で説明をさせていただければと思います。「消費者教育の推進に関する基本的な方針(案)」でございます。

1ページ目、「はじめに」のところから御説明をいたします。まず、2パラのところでございます。本基本方針は、推進法第9条の規定に基づき、消費者教育の推進の意義及び基本的な方向、推進の内容、関連する他の消費者政策との連携に関する事項を定めたものとなっております。

次のパラですが、また、この基本方針は、国や地方公共団体の施策の指針となるだけではなく、消費者、消費者団体、事業者、事業者団体、教職員、消費生活相談員、地域福祉関係者、その他の幅広い消費者教育の担い手の指針というものでございます。

また、今回お諮りしますものは、現行の基本方針の策定から5年が経過したことから、消費生活を取り巻く環境の変化を勘案し、消費者教育の推進に係る施策の実施の状況を踏まえ、検討を行い、来年度から平成34年度までの5年間を対象とした基本方針を定めたいと思っております。

中身でございます。2ページ目、「Ⅰ 消費者教育の推進の意義」でございます。まず「1 消費者を取り巻く現状と課題」ということで「(1)社会経済情勢」でございます。まず、マクロ経済的に見まして、消費者の安全・安心の確保というのは、家計消費がGDPの過半数を占めている中で、その中で消費の拡大、さらには、経済の好循環の実現にとって大前提となるものでございます。

そのような中で、特に社会経済情勢の中でキーワードになってくるものが三つほどあるかと思います。具体的には、2ページ目の第3パラグラフ「日本の総人口は」で始まるところ、平成23年度以降減少が続いている、その中で特に高齢化が進んでいるということで、約5人に1人が70歳以上になったということがございます。

二つ目ですが、次のパラ、インターネットの利用の拡大も、一部の人ではなくてあらゆる方がインターネットを利用する環境になっております。

そのような状況の中で、特に3ページ目「高度情報化の進展は」のところで、当然それが広まれば広まるほど、便利さもあれば、きちんと有用性を理解しつつ、消費者としてセキュリティーやリスクを自ら管理・配慮する必要があることの意識を持つ必要があるということで、その情報リテラシーを高めることによって、より便利さもあるし、あるいは、リスクもきちんと把握する必要があるということを記述しております。

また、3ページ目から4ページ目のところでございます。民法の成年年齢の引下げの議論でございます。特に4ページ目になってまいりますけれども、成年年齢の引下げの議論を踏まえて、実践的な消費者教育を確実に行うことの重要性が増しておるということがございます。

また、その中でいくと、先ほどの高齢化のところもそうなのですけれども、キーワードは今、申し上げたとおり、三つを整理しますと、後ほどの「当面の重点課題」にも関わってくるのですけれども、我々としては、この社会経済情勢の変化の中で、一つ目には若年者向けの消費者教育の充実、二つ目には高齢者、あるいは障害者の方を初めとする消費者の特性、「脆弱な消費者」と概念的には捉えられるかと思いますけれども、そういう方に配慮した消費者教育、そして、三つ目にはインターネット、高度情報化社会への対応が重要だと思っております。

7ページ目、「2 消費者教育の推進の必要性」のところでございます。このような社会環境の変化の中で、では、消費者教育はなぜあるかというところを改めてここの場所で確認しているところでございます。

消費者教育の意義の、具体的に言えば、(1)の2パラグラフ目の真ん中辺り「すなわち」で始まるところでございますけれども、自立した消費者であるためには、まず被害に遭わない消費者であること、そして、合理的意思決定ができる消費者であること、さらには、それだけではなくて、社会の一員として、より良い市場とより良い社会の発展のために積極的に関与する、これが消費者教育の目指す目的だと、改めてそこに明記しておるところでございます。

10ページ目、「Ⅱ 消費者教育の推進の基本的な方向」ということで、「1 体系的推進のための取組の方向」について、記述をしております。その中では、特に下のほうに「(2)ライフステージに応じた体系的な実施」がございます。消費者教育といいますと、どこか特定の年齢層だけではなくて、それこそ小さいお子さんのときから、あるいは、高齢者までの各段階に応じて体系的に行う必要があるということがございます。ですから、11ページのところに行きますけれども、対象領域ごと、消費者といっても、本当にいろいろな方がいらっしゃるわけですから、そのライフステージに応じて学習目標、あるいはどう取り組んだら良いのかの全体像を示すということで、イメージマップ等で「見える化」を図るということを進めていく必要がございます。

また、「(3)消費者の特性に対する配慮」、キーワードは「脆弱な消費者」でございます。消費者の特性ということで、「例えば」というところで、年齢、性別、障害の有無等々ございますけれども、その中では、特に配慮が必要な方について、御本人だけではなくて、それを支えるその周りの方も含めて、きちんと消費者教育に取り組んでいかなければならない旨のことを書いております。

13ページ目「2 各主体の役割と連携・協働」でございます。ここは自治体と多様な主体との連携ということで、一番下のパラグラフ「具体的には」で始まるところでございます。具体的には、多様な主体で構成する消費者教育地域協議会を活用し、地域の特性に応じた消費者教育推進計画の策定、消費者教育推進のための各種施策の実施により積極的に取り組むということで、国及び地方公共団体と、多様な主体との連携について記述をしております。

また、15ページ目以降の箇所では、他の消費生活に関連する教育、具体的に言えば、15ページ目、下のところで始まる「(1)環境教育」、また、16ページ目、中ほどにある「(2)食育」「(3)国際理解教育」、17ページ目の「(4)法教育」「(5)金融経済教育」、または、それ以外にも「(6)その他の消費生活に関連する教育」というところに入っておりますけれども、主権者教育及びキャリア教育について言及をしております。

以上が「Ⅱ 消費者教育の推進の基本的な方向」でございます。

19ページ目以降は「Ⅲ 消費者教育の推進の内容に関する事項」になっております。ここは大きく分けて二つ、「1 様々な場における消費者教育」と、「2 消費者教育の人材(担い手)の育成・活用」ということで人に着目したところ、要は、場と人について、それぞれ書いておるところでございます。

ここにつきましては、それこそあらゆる物が総花的に書かれているところがございますので、そのどれもが重要ではあるのですけれども、我々としては、特にその中で、現在の社会経済情勢の変化に鑑み、当面の重点課題と考えているものを、36ページ、37ページで「当面の重点事項」という形にまとめております。ここの「当面の重点事項」というところは、初めのパラグラフのとおり、基本方針というのは、消費者教育の様々な担い手の指針となって、基本的な方向性を示すことを目的としている。他方で、経済社会情勢を踏まえて、喫緊の課題として、三つのことに絞って重点事項をお示ししております。

具体的に言えば、先ほども経済社会情勢の変化のところで挙げました「1.若年者への消費者教育」、37ページ「2.消費者の特性に配慮した体系的な消費者教育の推進」、具体的に言えば高齢者、あるいは障害者等の方々に配慮した体系的な消費者教育の推進、それから、「3.高度情報通信ネットワーク社会の発展に対応した消費者教育の推進」ということで、ここにつきましては、前回及び前々回で当面の重点事項を具体化すべきという御指摘もいただいたことから、この三つを重点課題という形で、特に重点に置くところをきちんと明確化した形で、最後、取りまとめさせていただいておるところでございます。

その他でございますけれども、34ページ目、「Ⅴ 消費者教育の計画的な推進」のところでございます。

これにつきましては、「2 基本方針の達成度の検証」につきまして、特にこれで当然基本方針は作って終わりではないものですから、常にこの策定の実施状況を把握し、あるいはきちんと指標化に関する調査研究等も、今後の次期基本方針の計画期間中に、我々としては積極的に取り組むことによって、計画的にこの消費者教育の推進に係る基本方針の推進に努めてまいりたいと思っております。

消費者庁からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

○高委員長 ただいま、基本方針の変更案について御説明をいただきました。御意見、御質問のある方は、どうぞ御発言ください。

大森委員、どうぞ。

○大森委員 随分私たちの意見を取り入れていただけて、ありがとうございます。

お願いしたいことが三つほどございます。まず、12ページのところで、学校での消費者教育のことが書かれております。学校においては、学習指導要領をしっかりやる、学校以外の場所でも消費者教育をやっていこうというようなことも書かれてはいるのですけれども、若者を学校以外の場所に集めて消費者教育をするということは、なかなか大変なことになるかと思います。学校でやっていただけるのが一番効率的というか、全ての若者に伝わりやすい方法かと思うのです。

学習指導要領というのは、なかなかタイムリーに改正したり、実践したりすることが難しいし、どの教科でどのようなことをやるとか、細かい規定があります。このような世の中の変化が大きくて、若者の消費者被害なども新しい手口が次々来る時代ですので、教科とか学習指導以外の時間で、消費生活センターなどと連携して伝えるような消費者教育も考えていただきたいというのが一つです。

8ページで、健全な市場形成のために、事業者は消費者志向経営をやる、消費者は知識や判断力・交渉力を育成する、そのために国は全国的な推進活動を展開すると、素晴らしい目標が書かれています。国は全国的な推進活動を展開するというところなのですけれども、強化交付金などであれば、全ての都道府県とか自治体が手を挙げることは難しいので、その枠とは別に、責任を持ってやっていただけたらと思います。

最後に、24ページから25ページにかけて、特定適格消費者団体に対する支援が書かれています。特定適格消費者団体の予算措置というのはもちろん大切なことですけれども、これまで特定でない適格消費者団体とか、消費教育を実践的に担っているNPOとか、国がやらなければいけない仕事をフットワークよくその地域の特性に応じて活動している団体がありますので、特定だけに限らず全部含めて考えていただけたらというのが一つです。

25ページに入りましたら、上のほうに消費者団体がお互いに意見交換の機会を作っていこうということが書かれています。地方消費者フォーラムというものがこれまで行われてきて、今回で終了するということになりました。継続的に行われて、その成果を検証するとともに、もう無くしてしまうというのでなく、別の形でまずかったところを改め、成果のあるところは進めるという形で続けていっていただけたら良いなと。そういう3点の希望です。よろしくお願いします。

○高委員長 お答え、よろしいですか。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 大森委員、御質問いただき、ありがとうございます。

まず初めに、学校教育の重要性でございます。これについては、既に現行の学習指導要領の中でもしっかりと消費者教育のところは入っております。これに加えて、我々としては実践的な消費者教育は大変重要だと思っておりますものですから、今年度は徳島県で全ての高校で「社会への扉」という、消費者庁と文科省さんの御協力のもと作った資料で、まずは試行的に取り組んでいる。それを今後は将来的には全国展開していきたいと思っております。

また、その中で、現行の学習指導要領で、学校の先生だけで教えるのは大変なので、外部の有識者の方をというお話があったかと思います。私の説明が舌足らずのところはあったのですが、我々として、当面の重点課題の中で、外部の弁護士さんや司法書士さん、あるいは消費生活相談員さんで熱心に消費者教育に取り組んでいただける方、それから、学校をつなぐ消費者教育コーディネーターというものが大変重要だと思っております。我々としては、消費者教育コーディネーターの配置について、現在、消費者庁の予算案に計上されている地方消費者行政の強化交付金を、是非地方公共団体さんに活用いただければと思っておるところでございます。まさにコーディネーターは大変重要な役割だと思っております。

二つ目の事業者の役割で、特に消費者志向経営のところで、強化交付金であるのだけれども、それ以外のところという御質問だと思います。我々としては、もちろん地方公共団体への働き掛けとしては、地方消費者行政の強化交付金の中で、それはもちろん読めるところはあるのですけれども、それ以外に当庁の、私が担当課でなくて申し訳ないのですが、消費者志向の経営をやっていただく企業さんに是非自主宣言していただきたいという取組の推進を行っています。高委員長に以前、消費者庁の研究会で関わっていただいた、事業者自らが消費者志向をすることによって、売り手良し、または買い手良し、皆さん三方良しみたいな、そういうことでやることが最終的には社会にとって、地域にとっても良くなるということもありますものですから、事業者自らの取組も期待したいと思っております。

三つ目、消費者団体の役割、適格消費者団体だけではないという大変重要なお言葉をいただきました。ありがとうございます。我々としても、消費者団体の位置付けとしては、事業者と消費者の情報の格差がある中で、消費者団体さんが果たす役割、それこそ消費者一人対企業ではなくて、なかなか声が上がってこない中で消費者の皆様の声をきちんと集約し、それを情報発信していくという消費者団体の役割は大変重要であると思っております。我々としても是非消費者団体の皆さんと連携しながら進めていきたいと思います。

その中で、一つ、地方消費者フォーラムという当庁が平成22年度から実施している消費者フォーラムというのが、毎年度、平成22年度から8ブロックでやっているものがございまして、今年度で終わってしまうという御質問だったのですけれども、補足させていただきますと、終わるのではなくて、平成22年度から、地域における消費者団体の方々、あるいは多様な主体の皆さんとの連携のきっかけの場として始めてまいりました地方消費者フォーラムは、今年度で全国をほぼ一巡することになります。我々としては、その成果として、実は来週、全国の消費者団体の皆さんとお話をする会をまた予定しておるのですけれども、そういう場で、その成果は成果として総括しつつ、次のステップとして、今、地域の消費者政策で抱えている問題、例えば高齢者の見守りですとか、あるいは若者向けの消費者教育など、地域のところの課題に着目しつつ、それは1回だけのイベントで終わらなくて、フォーラムを通じてそれが継続的なつながりになるような形に持っていけないかということで見直しを考えておるところでございます。我々としてはこう思っていますという形を団体の皆様の前でお話しさせていただければと思っております。もし御懸念があるようであれば、我々としても、従来から消費者団体の皆様との連携は大変重要だと思っているものの、そろそろ全国各地の開催が一巡したので見直しを、という形になっているので、その辺りのお話も丁寧に、今後皆様にもさせていただけばと思っております。

もし抜けているところがあれば、文部科学省より、お願いいたします。

○文部科学省生涯学習政策局中野男女共同参画学習課長 一つ目の学校については、確かに指導要領はおおむね10年に1回改訂が行われており、最低基準として、消費者教育の内容が記載されているところです。具体的な中身は現場で社会情勢の変化も踏まえながら教えていただいており、その際には、外部人材、消費生活センター、弁護士会、司法書士会等と連携することが重要になってくると思います。また、教員も新しい知識を入れていくことが必要と思っていますので、コーディネーターの活用も含めて充実してまいりたいと思います。

○高委員長 ありがとうございました。

大森委員、よろしいですか。

○大森委員 ありがとうございました。

○高委員長 他に御意見はございますでしょうか。

長田委員、どうぞ。

○長田委員 35ページの一番最後のところなのですけれども、消費者教育の検証、評価をしていくというところ、とても大切なことだと思っています。そこで、最後のパラグラフの「さらに」のところで、知識に基づき取った行動内容についても把握する調査のことがありまして、各種の方策がどのような効果を上げているかを調査し、明らかにする必要があると書いていただいていますが、これは是非、現実にやっていただきたい。消費者基本計画に、私が見落としているだけかもしれないのですが、それがどこかに書き込まれているのかどうか、そういう具体的な計画をもってこれが書かれているのか、それとも、ただ、やるべきと書いてあるだけで、まだ具体的ではないのかというところは、私が把握できていないものですから、そこを教えていただいた上で、是非すぐにやっていただき、その評価したものをちゃんと新しく、いろいろな施策の見直しにつなげていただきたいと思います。

○高委員長 ありがとうございます。

お答えいただけますか。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 ありがとうございます。

この指標化に関する調査研究のところにつきましては、今年度について言えば、徳島県でまさに実証フィールドで、全高校で授業をする中で、どういう効果があるかも含めて情報収集しているところでございます。ですから、次期基本方針の5年間の中でも、そういう情報を踏まえながら、是非、ここの指標化に関する調査研究も積極的に取り組んでいきたいと思っております。

また、消費者基本計画につきましては、工程表は毎年度改定になります。ですから、今回、お諮りしてこれに決まりまして、どんどん書けるものについては、その工程表の中に具体的に落とし込んでいく作業になるかと思っておりますので、また、我々としてもできる限りこの内容を反映させるように努めてまいりたいと思っております。

○高委員長 長田委員、よろしいですか。

○長田委員 具体的にやろうとしているのは徳島のことだけで、それ以降、もうちょっと幅広のところはまだ具体的なことを考えていらっしゃるわけではないということでしょうか。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 今時点では徳島が実証フィールドなのですけれども、今後、全く徳島だけというわけではなくて、それについても全国的な展開をする中で、どういう効果があるかも含めて勉強させていただければと思っております。

○高委員長 よろしいですか。

池本委員、どうぞ。

○池本委員長代理 池本でございます。

まず、今回の基本的な方針の内容、様々な新しいこれからの課題を取り込んでいただいているので、内容的には基本的に賛成です。特に重点的に取り組んでいただきたいという思いを含めて発言させていただきたいと思います。2点あります。

一つは、成年年齢の引下げという現下の情勢の中で、若年者の教育が大事である、特に高校あるいは大学、専門学校などの、成年年齢の引下げによって直接対象となる年齢層への教育が必要であるという問題提起があります。ただ、それに対して、これももう既に19ページ、20ページ辺りでも指摘されているところですが、大学などで消費生活センターと連携するなどして、学生に向けた消費者教育などを展開してほしいということを書いてあります。ただ、大学では中学、高校のように家庭科とか社会科とか、どの科目で教えるというのが、そもそも位置付けられていないという点で非常に難しい問題があります。その辺りは、その後の24ページ辺りで、大学の教職員に対しても消費者教育を実施することで、そこから広げていくというような位置付けや、消費者教育推進協議会へ参画を促すとか、とりあえず考えられる提案はされているかと思うのです。そうはいっても、それぞれの大学、専門学校の中で核となる人が不在であるということは紛れもない事実ですし、そこを広げていくためには、文部科学省、消費者庁だけではなく、都道府県を通じて働き掛けていくことが必要になると思います。そこの連携が必要だということはもう記載されているので、記載を変えてくださいということではないのですが、そこはまだ具体的な政策も十分書き込めない状態にあるのだと私は受け止めていますので、更に、そこは踏み込んで、今後検討していただきたいという願いであります。

もう一点は、消費者団体に関することです。消費者教育の推進というときに、学校教育や社会教育の中で、個々の消費者に向けた消費者教育、被害に遭わない教育や合理的な選択ができる教育、その辺り辺りは様々な場面で行われているかと思うのですが、社会に向けて行動し、発信するというところは、これはなかなか一人ではできない。むしろ、それは正に消費者団体を育成し、グループで活動することによって、持続可能な取組になるのだろうと思うのですが、これも記述の中で、例えば24ページ、消費者団体などが消費者教育の担い手として活動することが期待されるとか、あるいは25ページ、そういう消費者団体が力を発揮するために、意見交換の機会を提供するという具体的な方策も示されています。ただ、意見交換の機会というのは、今ある団体との意見交換ですが、そもそも各地で消費者団体が、昔はあったけれども、今はもう完全に活動を休止しています、解散していますというところは少なくないわけです。だとすると、消費者団体は育成するところから始める必要があるのではないか。よく、地域で消費生活サポーターとか、個人としてのサポーター育成という取組もありますが、それが消費者団体として、グループとして自主的に活動するところまで見据えた育成を、位置付けていただきたい。この辺りも現時点ではまだ具体的な政策として固まっていない部分ではないかと思いますので、是非御検討いただきたいと思います。

以上2点です。

○高委員長 希望を述べられたのですけれども、御回答いただけますか。

○文部科学省生涯学習政策局中野男女共同参画学習課長 1点目の大学についてですが、御指摘のとおり特定の科目や学習指導要領といったものはありませんので、教育課程内では、関係するところで自主的・自律的な判断の下で開設されているところです。教養課程の中で、かなり幅広い学生を対象に開設している講義もあるといった状況です。

一方、教育課程だけでなく、例えば入学ガイダンスなどの教育課程外でも消費者教育が行われているところです。成年年齢の引下げについては、いろいろな年齢の方が大学には入ってきますが、多くが18歳で大学に入学するところです。そこで新しく一人暮らしを始めることや、クレジットカードを作成することが考えられますので、入学ガイダンスや学生支援、学生相談の一環として、消費者についての啓発、情報提供ということも大きな役割を果たしていくと思います。その辺りについては、先ほど紹介いただきました教職員というところで、学生担当の教職員への情報提供や研修に努めます。また、この基本方針と加えて、文部科学省でも大学と社会教育における消費者教育の指針というものがあり、見直しも行っています。その中でいろいろな全国の好事例と併せて周知をする際に、取組の促進をしてまいりたいと思っています。

○高委員長 社会教育の指針の見直しを今、やっておられるということですか。その中に消費者教育も入っているということですか。

○文部科学省生涯学習政策局中野男女共同参画学習課長 消費者教育の指針で、その対象が大学と社会教育ということです。

○高委員長 ありがとうございます。

池本委員、よろしいですか。

他はございますでしょうか。

受田委員、どうぞ。

○受田委員 2点ございます。

まず一つは、12ページの一番下のパラグラフに、外国人あるいは外国人観光客のコメントがございます。ここの部分というのは、これから5年間、大きな変化が予測されているということを鑑みたときに、少しこの表現が、現実から見るとその変化を反映していないのではないかという印象がいたします。特に、この5年間の最終年度である平成34年、多分2022年に相当すると思うのですけれども、ある調査データを拝見したときに、この2022年において、日本国内の宿泊延べ数における外国人インバウンドの比率が日本人を超えるという予測も出されておりました。そういうことからすると、こういった観光に関して、特に外国人の比率が増えていくことに関して、この5年間でどういう取組を強化していくかという部分は少し現実的に、このトーンでは弱いのではないかというのが1点です。

2点目は、今、池本委員長代理からの御意見、あるいは、そのお答えもお聞きしておりますので、食育に関して、あるいは高等教育機関のコミットメントに関して御質問したいと思います。まず、食育に関しては16ページに記載をされてございます。ここは食育基本法に基づいているということを承知しておりますけれども、そうであるとすると、そのパラグラフの後半のほうに食育推進運動に関する記述がありまして、この中に、食育基本法における食育推進会議の表現がないところが気になるところでございます。すなわち、食育の推進においては、食育基本法で農林水産省を中心とした国、あるいは都道府県、また、市町村の食育推進会議が、基本計画の策定と、その実施を担うという、こういうことが文言として明記されておりますので、当然ここの食育推進運動の担い手として、この食育推進会議の記述があってしかるべきと思いますけれども、いかがでしょうかというのが2点目でございます。

最後に、高等教育機関のお話がございました。私もこれをどうガイドライン的に進めていくか。グッドプラクティスを挙げてインセンティブでということもあると思うのですけれども、成年年齢の引下げが間もなくということもありまして、18歳、19歳を抱えている大学、高等教育機関の役割がますます重要になってくることは言うまでもございません。その中で、義務としてどこまで高等教育機関が果たしていけるかという部分に関して、記述が弱い印象がございます。

特に、教職員が果たす役割は極めて重要であるということなのですけれども、その点に鑑みますと、20ページに「学生に対しては」というパラグラフが真ん中付近にございまして、ここに「教職員を対象とした会議の場等において、消費者問題に関する情報提供」云々と書かれているのですけれども、このパラグラフが浮いているように感じるのです。私も大学に籍を置いているので、よくあるパターンとしては、教授会の中でFDを付けて、そのFDの中で消費者教育の項目を入れていき、強制的に教員に理解を図るということをやるのです。それと同じように、消費者教育に関して、ここで啓発を図っていくということが方法論的には一つのやり方になるのかなとは思うのですけれども、そのことを書いた上で、24ページに「(2)大学等における教職員」というものがあって、ここにも教職員に対するコミットメントをどのようにという文言があって、20ページの部分との整合というところで、これを二つの部分に分けて書くよりも、もしかしたら24ページの部分に20ページの部分をまとめた形で一つの方法論として表現したほうが、大学の教職員にとっては当事者意識がより生まれるのではないかという印象も読んだときに感じた次第でございます。

以上です。

○高委員長 三つ御指摘をいただきましたけれども、お答えいただいてよろしいですか。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 消費者庁でございます。

初めに外国人のところの記述が、今後インバウンドがすごく増えてくるという中で弱いのではないかという御指摘をいただきました。ただ、消費者教育というよりは、むしろ消費者相談、実践の場では、我々としてはできるだけ多言語で対応できる消費生活センターの促進のほうに実態上は努めておるところでございます。基本的な方向性についての記載ということでこれぐらいの程度になっておりますけれども、実際の場におきましては、特に消費者トラブルの観点から、我々としては、地方の消費生活センターで多言語対応ができるように、あるいは、特にセンター・オブ・センターである国民生活センターにおいて多言語対応ができるような取組をする予定になっております。実行上はそのような取組を通じて、外国人の方にも安心して消費していただける体制を作っていきたいと思っております。

二つ目の食育推進会議、御指摘をいただいたところでございますが、考え方としては、この消費者教育の基本方針は基本的な方針なものですから、これを踏まえながら、それぞれの担い手の方々が、委員長の御指摘の食育の推進会議等の場でまたそれを実際的に進めるということで、記述が弱いというところを御指摘いただいたのですけれども、ここは基本的な方針ということでお許しをいただければと思います。

三つ目は、20ページと24ページ目の2か所に分かれているのではないかというところがございます。実はⅢのところは大きく分けて、どのような場で消費者教育をやるかというところ、もう一つは、誰がそれをやるのかという二つに分かれております。ですから、書きぶりの整理という点での御指摘をいただいたのかなと思うのですけれども、全体がそういう構成になっておるものですから、こういう整理の中では2か所になってしまって申し訳ないのですが、この中で方針をお示しさせていただいた上で、大学の中においても、先ほど文部科学省から御説明がありましたように、様々な機会を捉まえて、我々としては、特に成年年齢の引下げの議論もありますものですから、積極的に対応していく。その中で特に消費者教育のコーディネーターなども是非活用いただければと思っております。

以上でございます。

○高委員長 ありがとうございます。

受田委員、今のような説明でよろしいでしょうか。

○受田委員 了解しました。最後におっしゃったコーディネーターの件については少し触れようかなと思ったのですけれども、そういう意味で、コーディネーターの果たす役割は今後大いに期待したいところでございますし、また、重要な話だと思います。実際にコーディネーターがどういう資格を持てるのかとか、具体的な話が、まだ熟度としては期待できるところまで行っていないので、今後これを踏まえて是非議論を展開していただきたいと思います。

○高委員長 ありがとうございました。

他は意見ございますでしょうか。よろしいですか。

委員からいろいろ発言がありましたけれども、御回答いただいた内容で特に不満はないと私は理解させていただいたのですが、このように展開してほしいと。この報告書そのものの中に、方針の中に記載はあるので、要は、どう展開していくかというところの希望を述べたと理解していただければと思います。

それでは、他に意見がないようでございますので、答申案を配付していただけますでしょうか。

(答申案配付)

○高委員長 そんなに長い文章でもございませんので、見ていただきまして、よろしいですか。ただいま配付いたしました答申案に「消費者教育の推進に関する法律の趣旨に鑑み妥当であり、その旨回答する」としておりますけれども、これを委員会の答申としてよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○高委員長 ありがとうございます。それでは、この答申を提出させていただきます。

消費者庁、文部科学省におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

(消費者庁、文部科学省退席)

(全国消費者団体連絡会着席)

≪3.地方消費者行政強化のための取組について≫

○高委員長 次の議題は「地方消費者行政強化のための取組について」でございます。

地方消費者行政については、2月14日の第267回委員会においても、消費者基本計画工程表の改定等に向けたヒアリングを行い、消費者庁から今後の取組について具体的な説明を受け、委員から様々な指摘がなされたところでございます。

全国消費者団体連絡会におかれましては、昨年12月から本年1月にかけて、地方消費者行政に係る交付金について、地方公共団体に対してアンケートを行い、その結果が1月29日に公表されたところでございます。

本日は、その内容について御説明をいただいた上で、意見交換を行いたいと考えております。

全国消費者団体連絡会より、浦郷事務局長、小林事務局次長にお越しいただいております。消団連におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、ありがとうございます。

それでは、内容につきまして、20分程度で御説明をお願いいたします。

○全国消費者団体連絡会浦郷事務局長 全国消費者団体連絡会の浦郷と申します。

本日は、地方消費者行政について、このように意見を述べる機会をいただきまして、ありがとうございます。

私ども全国消団連では、消費者の安全・安心を確保するために、消費者にとって一番身近な地方消費者行政の充実が最も重要であり、ここを強化することは必須だと考えております。この間、消費者庁による活性化基金や推進交付金の措置により、地方消費者行政は、全ての自治体への相談窓口の設置を初め、消費生活センターの設置や消費生活相談員の配置の促進、相談員の資格保有率の引き上げ等、強化されてきました。また、自治体によっては、独自に消費者教育への取組や広報・啓発事業を進めることで、消費者行政の充実を図っているところです。

一方で、この交付金の措置が一区切りを迎えようとする中、消費者庁の平成30年度の予算案によると、後継交付金が概算要求どおりに確保できない状況であることが分かりました。仮に後継交付金の額が減ると、それは地方消費者行政の後退につながり、地域の消費者に大きな影響が及ぶと考えられます。

そこで、全国消団連では、自治体が現行の消費者行政体制を維持できるのか、都道府県の消費者政策部署がどのように考えているのか、緊急のアンケートを行いました。資料2-2を御覧ください。

アンケートについては、結果を政策提言に活用する、都道府県名は公表しないとして、交付金に関連する次年度事業、予算に関して、率直な回答を求めました。「Ⅰ.アンケートの概要」にあるとおりで、期間は昨年末12月25日から今年の1月10日でしたが、アンケートを開始した時点では、まだ消費者庁から都道府県への交付金額の内示が行われていなかったので、早い時期に回答いただいた自治体からは、「県への内示額が提示されていないため、現時点での具体的な削減・中止となる事業は未定」といった留保的な回答が複数あったということを御承知おきください。

年末年始をまたいだ忙しい時期であったにも関わらず、47都道府県中45の都道府県から回答をいただきました。アンケートの質問事項はここにあるように、交付金の減額により削減・中止の可能性のある事業があるかどうか、市町村にはどのような影響が予想されるか、自主財源確保が困難な理由についての三つになります。

次のページ、「Ⅲ.アンケートの回答の概要」というものを書いておりますので、ここを簡単に御説明します。こちらは全て回答を県としていますが、この中には都や道、府が含まれている可能性があります。しかし、都道府県名を公表しないということでアンケートを取っていますので、便宜上、全て県と表記をさせていただいております。

質問事項1(貴都道府県が平成30年度の交付金を活用して行う予定だった事業のうち、今回の減額により削減・中止となる可能性のある事業があれば具体的にお書きください)、この回答として「予算削減や事業中止という影響はない」という頼もしい自治体が5県、次に「事業の縮小・削減や中止が想定される」が一番多くて27県、「未定、回答不可、調整中」が13県。

特徴的な意見が書かれていますが、まずは相談体制の維持が優先ということで、詳しく内容を見ても相談体制に係る人件費を削減するというところはありませんでした。では、どこを減らすことになるかというと、消費者教育の講座などの回数や啓発のチラシやリーフレット、研修の参加や実施回数など、多くの自治体は消費者教育、広報・啓発事業、相談員研修のところでの削減が予想されるとのことでした。

また、市町村への補助を確保するため、県の事業を圧縮せざるを得ないところ、そして、消費者団体への補助の削減という悲しい状況も出てきそうです。今回のアンケートでは、都道府県においては、相談体制についてぎりぎりのところで維持されるようですが、消費者行政の充実のために、計画的に進めてきた事業を多くの自治体が修正することになるようです。

質問事項2(交付金の減額により、貴都道府県内の市町村にはどのような影響が予想されますか。または、交付金減額に対する市町村の声などをお書きください)、「(現在のところ)影響は出ない」が5県、「何らかの影響が出る」が36県、「未回答」が4県でした。

市町村への影響はかなり大きく、内容も厳しいものになっています。特徴的な意見を見ても、相談体制の人件費を優先にするので、消費者教育や啓発事業、研修は削減や中止、さらには、国の政策に沿って取り組んできた見守りネットワークや庁内連携のための予算も取れないとのことで、このように事業が縮小になると、市町村の場合は担当職員の定数が減らされるおそれもあるとのことです。そして、市町村によっては、相談体制そのものの縮減につながる可能性も否定できない。このままでは、相談窓口の維持が困難になることが予想されるという回答もありました。

市町村の声としては、地道な働き掛けでようやく消費者教育への取組が軌道に乗り掛けたところなのに、リーフレット等の提供などができなくなってしまう、実績を積み上げていく大切な時期であるのに、減額により新たに開始した事業も継続できなくなる可能性があるという声や、地方消費者行政強化作戦では、安心・安全が確保される地域体制を全国的に整備するという目標を掲げているのだから、消費者庁は必要な交付金予算の総額を確保すべき。首長に表明させて、交付金の活用期間を延長する措置を設けているのだから、一般準則の活用期間の事業を実施できる交付金予算の総額を確保すべきといった意見も出ています。

質問事項3(消費者行政部門の自主財源の確保について、困難な理由があればお書きください)、一部複数回答がありますが、「県全体の財政状況が厳しい中、自主財源の確保は困難」が21県、「県の予算確保優先順位は、医療・福祉・社会資本等が高く消費者行政は低いので自主財源の確保は困難」が16県などとなっています。

特徴的な意見をまとめると、税収が伸びない中、県の財政自体も厳しく、自主財源の確保は医療・福祉・インフラ整備のほうが優先度が高く、消費者行政は低い。消費者行政分野では、相談体制維持など、既に自主財源化しているので、新たな取組に自主財源を捻出するのは困難。また、交付金を活用していた事業を自主財源に振り返るには、その必要性、効果等をゼロベースで財政当局と折衝しなければならないということで、非常に難しいようです。

これらのアンケート結果から見えてきたこと、資料2-2の一番最初のところに戻っていただきます。下のところ、「Ⅱ.アンケートの結果から」と書いておりますが、まず、交付金の減額により多くの自治体に影響があり、これまでの事業の縮小・削減・中止を検討せざるを得ない。その場合、相談員研修、消費者教育、広報・啓発事業などが対象になる。相談体制は維持されるようだが、今後もそのとおりになるかは不明。

次に、自治体における消費者行政予算の自主財源化は実態的に進んでおらず、新規事業は交付金等に依拠せざるを得ない事情が、現場では固定化している。予算確保の優先順位も低く、自主財源による新規事業は極めて困難である。

また、国の基準財政需要額の引上げを根拠とした自主財源化措置が自治体内の予算確保に結び付いていない中で、自治体はこれまでと同等の交付金の支援予算を望んでいる。

そして、平成30年度予算において、少なくとも、これまでの一般準則に基づいた自治体への支援予算を確保することは国の責任である。

ということで、これらのアンケートでいただいた回答を踏まえまして、全国消団連では、内閣府特命大臣(消費者及び食品安全)、消費者庁長官、消費者委員会委員長、財務大臣に宛てて、1月29日に「地方消費者行政における財政支援に関する意見」を提出いたしました。そちらは一番最初の資料2-1にございます。

意見として「1.消費者庁は今回の交付金減額が自治体に及ぼす影響を具体的に把握するとともに、平成30年度本予算で確保できなかった交付金額について、国として補正予算で手当てをしてください」。まず、消費者庁は、自治体の平成30年度の交付金を活用して行う予定だった事業のうち、減額により削減・中止となる可能性のある事業を把握してください。これらの事業は、成年年齢引下げに対応するための若者向けの消費者教育の推進であったり、高齢者の消費者被害防止に向けた関係者への啓発事業であったりします。これらが削減・中止となり、地方消費者行政が後退することがあってはなりません。今回、自治体が申請した額は原則として確保されるべきであり、国は平成30年度補正予算で手当てをしてください。

「2.消費者庁は、平成31年度交付金を少なくとも平成29年度までの水準で確保してください」。今回、少なくとも昨年の夏までは、交付金の活用年限の間は交付金活用が可能と理解されており、平成30年度に補助率が2分の1となり、多額の自主財源が必要となるといったことの周知が遅かったことで、平成30年度の事業実施について影響が生じることは、弊会のアンケート結果からもうかがえます。また、事業のうち、仮に消費者団体への委託事業削減などの事態になれば、消費者団体の次年度の事業にも大きな影響が及びます。こうした事態にならないように、平成31年度の交付金については本予算での一定の水準、少なくとも平成29年度までの水準を確保し、調整状況を早期に自治体を初めとする関係者に明らかにすることを求めます。

次のページ、「3.国は地方消費者行政に対する恒久的な財政支援を引き続き検討してください」。自治体の行財政改革での財政縮減が行われる中、自治体における消費者行政予算の自主財源化は実態的に進んでおらず、消費者行政部局の新規事業は交付金に依拠せざるを得ない事情が現場では固定化しています。地方交付税の基準財政需要額の引き上げを根拠とした自主財源化措置が自治体内の予算確保に結び付いていない中で、地方消費者行政の自主財源化についての国としての展望を示してください。また、自治体における消費者行政部門の位置付けを高めることが重要ですが、消費者団体としてこの働き掛けを行う上でも、自治体ごとの消費者行政に係る地方交付税の基準財政需要額と、自主財源による予算の額を明らかにしてください。

地方自治体が消費者相談を受け、相談情報をPIO-NETに登録したり、重大事故情報を消費者庁に通知したり、悪質業者に対する行政処分を行うことの効果は、その地域の消費者のみならず、国が行う制度改革や法執行・情報提供などを通じて、国民全体に及ぶものであり、国の消費者行政につながっていると言えます。こうした点を踏まえ、自治体の上記のような事務費用に対する国の恒久的な財政措置について検討してください。

以上が、全国消団連の意見となります。消費者被害は高い水準のまま減ってはいません。そして、地方消費者行政は、やっと取組が進んできて、充実・強化が図られようとしてきました。ここで財政措置が減らされ、後退することがあってはなりません。全国消団連では、今回、地方消費者行政プロジェクトを復活させ、課題解決のため、市町村調査など、活動に取り組む予定でおります。消費者委員会におかれましても、地方消費者行政の活性化に向け、是非とも御検討いただくことをお願いしたいと思います。

なお、添付資料として、後ろのほうにアンケートで実際に記入されたものを集約しております。後ほどゆっくりお読みいただければと思います。

また、資料2-3、2-4として、2009年に全国消団連でまとめた「地方消費者行政強化のための提言」を付けております。これはこの後の意見交換の中で補足させていただきたいと思います。

以上です。ありがとうございました。

○高委員長 ありがとうございました。

ただいま、交付金についてのアンケートの結果についての御説明と、それに基づいた財政支援に関する御意見の説明をいただきました。委員の方々から、御質問、御意見がございましたら、どうぞ御発言ください。

樋口委員、どうぞ。

○樋口委員 今、お話を伺って、地方の消費者行政は非常に厳しい状況に置かれているということについては、私も全く同感であります。私も長野県に暮らしておりまして、地方の消費者行政についてもいろいろお手伝いをしてきましたけれども、このアンケートの結果にもあるように、国の交付金は非常に重要な役割を果たしてきたと思いますので、これについて縮減をしていくということは、地方の消費者行政の根幹に関わる問題ではないかと思っております。

もちろん、このアンケートにもあるように、県によって取組にも差がありますし、自主財源の状況も違っていますので、一律に議論することは難しいかもしれませんけれども、是非、まず消費者庁におかれましても、あるいは財政当局におかれましても、地方の消費者行政に関する財政支援については、永続的とまでは言わないとしても、引き続き、特段の配慮をしていただくということが必要かと思います。

ただ、そこで、今後のことを考えたときに、恒久的な財政支援の在り方というものは非常に重要なテーマではないかと思っておりまして、当委員会においても、今後議論していく意味があるのではないかと思います。資料2-1で「地方消費者行政おける財政支援に関する意見」ということで、全国消団連のほうで1月29日に意見をまとめられていますが、特に3のところで、恒久的な財政支援ということをお書きになっています。質問の前に結論を言ってしまいますと、3.の最後のところにお書きになっているように、PIO-NETとか、様々な情報が地方から国に提供されていますので、これを有償化するのも一案ではないかと思っています。これについては、例えばアメリカで、たしか私の記憶では事故情報を提供する際は、これは自治体ではありませんけれども、病院等が有料で国に情報提供をして、それが事故情報のデータベースになっていたと思います。この恒久的な財政支援という御提案は非常に有益だと思うのですが、関連して、少し実態的なことを伺いたいと思います。例えば、相談情報をPIO-NETに入力するのはかなりの労力を要するのではないかと。あるいは、他にもいろいろ消費者庁に通知をするような業務があるのだと思うのですが、皆様がアンケート等をされた過程において、そういった点について、何か地方のほうで困っているとか、負担が重いとか、そういうことがあったのかどうか。あるいは、このアンケートそのものにはなくても、そういったお話があったかどうか、実態を一つ聞かせていただければと思います。その上で、この恒久的な財政支援の検討というのは非常に意味があるのではないかと思います。

以上です。

○高委員長 ありがとうございました。

いかがでしょうか。今の質問にお答えできますでしょうか。

○全国消費者団体連絡会小林事務局次長 小林と申します。御質問ありがとうございました。

今の点に関わって、2009年に弊会でまとめた提言を添付させていただいております。その内容も今の御指摘に重なる点があるものですから、若干紹介をさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

資料2-4をお開きいただきますと「地方消費者行政強化のための提言」ということで、これは2009年、ちょうど折しも消費者庁、消費者委員会が創設された直後ぐらいに、全国消団連で、消費者団体メンバー、消費者団体相談員、弁護士などで何度も検討した末にまとめたものであります。

その直下に囲みの中で論点を列挙していますが、これは消費者庁設置法の附帯決議などをもとに切り出して、論点ごとに検討をしたものであります。1.地方消費者行政の体制強化、2.広域的な消費生活センター設置や自治体内の連携強化、3.国と地方の役割分担について、国による地方消費者行政支援の在り方について、4.相談員の配置基準・質の確保・評価指標、5.相談員制度の在り方について、といった論点を検討しました。要約版を資料2-3として付けていただいているところでありまして、ここは後ほど御覧をいただきたいと思います。

先ほど樋口委員から御指摘いただいた点については、資料2-4の3.の中で、「国は、消費者相談から得られた情報を事業者指導・法改正・広報・啓発などの施策に結び付ける必要があり、自治体の相談対応のための各種支援(情報提供や研修機会の提供、そのためのインフラ整備等)を引き続き行うことも必要である」と述べている部分があります。自治体の方から今回のアンケートで直接こういった角度での指摘があったわけではないのですが、地方消費者行政問題を考えるに当たって押さえておきたい視点として、消費者庁自身が地方支分部局を持っていないという点は大変重要だと思っております。直接の今の樋口委員の御指摘へのお答えにはなっていないのかもしれませんが、地方自治体のところで、相談情報のPIO-NETへの入力などの対応がされることで、国全体の消費者行政も推進されるという連関性があることがポイントだと思っております。

なお、次のページの一番下の○のところで、これは従来から自治体の方からも要望として出ていることを2009年に提言化したものですが、具体的には、地方財政法10条という条文で、国が直接的に地方自治体への財政支援をできる根拠規定を置いているわけですけれども、例えば義務教育に掛かる必要とか、婦人相談所に掛かる費用などが幾つか列挙されている条文がありますが、それと並びで地方消費者行政を位置付けていただくことによって、国として、地方消費者行政に財政支援を行えるようにしてほしいというような要望は、従来から出されているところであります。

○高委員長 樋口委員、どうぞ。

○樋口委員 今のお話、非常に重要な点があったかと思うのです。組織論として言えば、地方に消費者庁の支分部局がないわけですから、そこで担うべき業務というのは、実は自治事務の中に潜り込んでしまっているわけですから、その分の負担は当然国がしっかりすべきであると。その具体的な仕事を担っているのは消費者相談員の方々で、相談員の方々は仕事が終わった後でPIO-NETへの入力をするとか、本来、国の担うべき行政についての勉強をせざるを得ない。

他の行政分野においては、国の地方支分部局でその問題をちゃんと整理した上で、都道府県と調整をして業務が行われているということに比較して、消費者庁については、中央の体制はできましたけれども、地方の体制が必ずしも整備されていない。このことは、当然、国が財政負担をする根拠になるのではないかと思うわけでありまして、恒久的なものは全ていけないということではなくて、本来、国が担うべきものを負担しないで、それを地方に押し付けている構図がないとは言えないと思います。是非この点については、詳細な検討を今後していただければと思っております。

○高委員長 ありがとうございます。

今、樋口委員が御指摘なされた点は、すぐには動けないかもしれませんけれども、現在、消費者行政のグランドデザインをどうするかというワーキング・グループで議論しているところで、そこにも論点を入れて議論を進めていきたいと思います。

財政的に支援という話ではなくて、先ほどちょっと触れられましたけれども、有料で情報を提供するという考え方だってあると。これについては、どうお考えになりますか。つまり、交付金をいただくというのではなくて、自分たちで収入を確保していくという考え方はどうですか。飛躍し過ぎた議論でしょうか。

○全国消費者団体連絡会小林事務局次長 にわかにはなかなかイメージしづらい感もあるのですけれども、ただ、医療機関ネットワークなどでの情報収集が滞っているといった事実も踏まえる必要があると思いますので、一考には値するのではないかとは思います。

○高委員長 分かりました。その点も含めて、ワーキングで議論させてもらえればと思います。

他に御意見、御質問はいかがでしょうか。

長田委員、どうぞ。

○長田委員 意見なのですけれども、今の流れのところで、PIO-NET情報は消費者庁だけではなく、本当にたくさんの国の機関が利用をして、立法のときにも非常に使われています。また、PIO-NETを今度は適格消費者団体にも設置するということもまた検討もされていて、国民にとってもとても大切な情報になっていますので、樋口委員のお話にあったように、どういう形でというのは私は専門家ではないのでよく分かりませんけれども、そこは国として負担をすべき部分は必ず財政的な負担部分はあるのだろうと思っています。相談員の皆さんが入力をし、自治体の職員がそれをチェックし、流しているという、かなりの労力、時間が掛かっている、精査をして出しているというものなので、その辺りも含めて、是非検討できれば良いかと思います。

○高委員長 これもワーキングのところでということですね。

消団連さんに対しての質問や意見はございませんでしょうか。

受田委員、どうぞ。

○受田委員 予算的な制約が生じたことによって、各地方の現状を調査された結果、かなり深刻な状況が懸念されるということはよく分かりました。都道府県という単位で見たときのアンケートの結果を御披露いただいたのですけれども、多分、その後1,718市町村に落とし込んでいくと、その深刻さというのは更に大きく、また、格差と言いますか、それが生じて大きくなっているのではないかという懸念がございます。

申し上げたいことは、これは今、都道府県レベルでアンケート結果が出ている。これを一歩、更に進めた現場での客観的なエビデンスというものがどう懸念されるかということを訴えていく上では、是非詳細は明らかにしていかなければいけないのではないかと感じます。特に、徳島に新未来創造プロジェクトを含めて、地方における消費者行政に対するテストフィールドができつつあるというのは御承知のとおりです。私は地方支分部局がないということも含めて、こういった地方における消費者行政を今後どう展開していかなければいけないかという、そのビジョンの部分と絡めていかないと、現場の維持、あるいは機能の維持ということで、予算が逼迫していくところの交渉だけに終わってしまう懸念があると思います。したがって、今の予算規模を維持するというところから一歩進めて、ビジョンの実現に向けては、更に費用負担を要望していくという道も残しながら、あるべき論のところを徳島の話から更に広げていくのも一考ではないかという印象を持ちました。

以上です。

○高委員長 受田委員、感想ということでよろしいですか。

他にいかがでしょうか。

大森委員、どうぞ。

○大森委員 こういうアンケートというのは、とても手間暇が掛かりますけれども、すごく早いスタートで集計していただいて、とても参考になる情報をありがとうございます。これが開始されたときは、まだ額がはっきり決まっていなかったという状況の中での結果ですけれども、実際に、この集計された感触として、自主財源があるから大丈夫だと思われているようなところは、大体47都道府県のうちどれぐらいかというところと、それは都市部中心なのかとか、その辺りの感触を教えていただきたいと思います。

○全国消費者団体連絡会小林事務局次長 御質問ありがとうございます。

資料2-2のアンケート結果で、Ⅲの1番のところなどで、「予算削減や事業中止という影響はない」とか、その次の設問でも、同じく「(現在のところ)影響は出ない」と回答されたのが5県ということですので、大丈夫という自治体は少ないということと、エリアとしては都市部が中心になるだろうということが言えるかと思います。それから、恐らくお書きいただいた担当の方による部分もあるだろうと思いますので、必ずしも課の中で集約された回答かどうかという点はどうかというところがあるかと思います。

あとは、私どもとしての要望として、今回消費者団体なりにこういった調査活動をやってみたのですけれども、まずもって消費者庁のところでこういった実情把握はしてほしいなと思っておりまして、具体的な事業ベースでどういった影響が生じるのかといった辺りについては、早急に把握して、明らかにしていただきたいと思っているところです。

なお、感想的なことですが、都道府県に対するアンケートということで今回取ったのですけれども、わざわざ市町村にまで照会をして問合せをして回答いただいたというような都道府県もありますので、かなり深刻だと見るべきではないかと思っております。

○高委員長 池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 池本です。

二つ御質問したいと思います。一つ目は、資料2-1の意見で言いますと、1番、2番、両方へ通じてですが、もともと概算要求では、推進交付金30億、新しい強化交付金10億で合計40億が、二つ合わせて24億ですか。要するに、6割しか確保できない、4割削減であると。それが各自治体にとっては、非常に次年度の活動上、制約になるということでした。そこの具体的な事業ベースでどの辺りにどうしわ寄せが生じるかというのは、消費者庁できちんと調査してもらうように、私たちもそうすべきだと思うのです。ただ、今回のこの緊急アンケートは、消団連で匿名処理をするので率直に意見を出してくださいというのがあったので、本当に生の切実な声が出ていると思うのです。その意味で、消費者庁で細部にわたって調べていただくのはもちろんでしょうけれども、次年度、具体的に動き出したあたりで、現実にどういう不都合が生じているかというのは、消団連の側でも是非調査していただければと思うのです。

質問としては、先ほど御説明の中で、今後自治体の消費者行政の調査を行う予定であるとおっしゃっていましたが、これは都道府県、あるいは市町村辺り、どのような計画で進めようとなさっているのかという点を御説明いただければというのが1点です。

もう一点は、この意見の3番目の、恒久的な財政支援という後段の文章は、先ほどから質疑がありますけれども、前段の文章で、地方交付税の基準財政需要額の引き上げが自主財源化されていない。これはこれまでの経緯だと、消費者庁ができる前、90億だったものが180億になり、270億、3倍増に、基準財政需要額の目安となる数字だけは上がっているけれども、現実は100億円ぐらいのままで、全然増えていないということだと思うのです。このパラグラフの最後の辺りに、消費者団体として、自治体に対して、基準財政需要額を一つ手がかりにして働き掛けを行う上でも、自治体ごとの地方交付税の基準財政需要額などの額を明らかにしてくださいというのが書いてありますね。これは消費者庁に向けた要望だろうと思うのですが、この点について、消費者庁の側はどういう応答なのか、あるいは今後どうあるべきだということなのか、その辺り、実情あるいは御意見をお伺いしたいと思います。

○全国消費者団体連絡会小林事務局次長 御質問ありがとうございます。

全国消団連でも、このような交付金の状況を受けて、今後私どもの会員の都道府県単位の消費者団体がありますので、呼びかけをしまして、都道府県調査、それから、可能なところでは、県内の市町村調査もやろうという話を計画中です。調査の概要として考えていますのが、これは消費者庁でも毎年の現況調査という形でやっているわけなのですけれども、項目としてはそれとかぶる部分もありますが、それだけでは意味がないので、狙いとしては、消費者庁の調査結果がオープンになるのが毎年11月頃だと思いますけれども、それより先、できたら8月ぐらいには取りまとめて公表することで、自治体の次年度予算編成に良い意味で影響を与えられると良いなという思いが1点あります。

調査項目の中でも、自治体の方々に、この地方交付税の基準財政需要額という措置自体をそもそも御存じですかというあたりから聞いて、背景にある問題意識として、国のこの間の地方消費者行政に対する措置として、主に交付金と基準財政需要額の2点があるわけですけれども、後者の施策については、今のところなかなか結果に結び付いていないという事実がありますので、これについて、自治体の実情、問題意識がどうなのかといった点をまずあぶり出して、望ましいのはこれが自治体自身の自主財源獲得につながることでありますけれども、あわせて、他に国としてできる施策はないのだろうかということも引き続き考えていく素材にできればと思っているところです。

○高委員長 消費者庁の回答というのは、何か得られましたでしょうか。

○全国消費者団体連絡会小林事務局次長 今のところ、特にありません。この話は以前、自民党などからも同じことについての意見書が出されたと聞いていますけれども、それに対しては大まかなあらましという形で1枚紙が出された範囲と承知しておりまして、具体的な自治体名入りの形での情報は、今のところは明らかになっていないと思っていますので、今後、消費者団体としても、各自治体に対して消費者行政の自主財源を高めていただきたいという要請をしていきたいと思っているのですが、その後ろ盾になる情報なので、是非オープンにしていただきたいと思っております。

○高委員長 ありがとうございました。

他にございますでしょうか。

蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 どうも御説明ありがとうございました。

先ほど説明があった中に、GDPの半分が消費に使われているという現状の中で、ますますこの地方消費者行政の存在は大きくなりつつあると思うのです。私は先日、消費者庁の説明でしたか。この交付金が使われていないという意見があったり、いろいろな情報を読ませていただいたときに、減りましたといって4割、24億みたいな世界でしか取れていませんというのを聞いて、増えることはあっても、課題は大きいのだから減ってはいけないのではないかと実はすごく感じたのです。現実に24億などを1,700幾つで分けてしまうと微々たるもので、ほとんど行動は何もできないということになってしまいます。この減った理由がどういう理由なのか。もし推測でも良いのですけれども、もし私が事業主だったら、今年やろうとした同じことをやろうとすると同じぐらいの費用が掛かって、経費をちょっとだけ削減はできたとしても、できても5%ですね。それから、人件費が上がり、光熱費が上がりという世界の中で、こういうものが減っていくということ自体が、私としては考えられないなと思っていたりしましたので、お金を取れなかったということ自体の問題はまた他にあるとして、当事者側としてどういうことが原因でこのように交付金が取れなかったのかなということが、もし私見でもおありになったら、お聞かせください。

○全国消費者団体連絡会小林事務局次長 御指摘の点なのですけれども、消費者団体としても全く同感でありまして、地方消費者行政課題を消費者庁で取りまとめた地方消費者行政強化作戦というものがありますが、各項目が目標未達成という状況の中で、この地方消費者行政交付金が削減されること自体は論外だと思っております。なぜそのような中で減額されるのかということについては、これはもう推測で、私どもがこんなことを申し上げるのも失礼な話なのですけれども、政府内における消費者行政のポジション自体が、残念ながら高くないのだということの表れだと思っております。もう一つ、加えて失礼なことを申し上げると、消費者庁と財務省との折衝の過程で、力が十分でなかったのではないかと、推測しているところであります。

過去、この地方消費者行政交付金の経過を見ますと、ターニングポイントになったのが2点あると思っていまして、一つが、活性化交付金の使途、用途が相談員の人件費に拡大できたとき、もう一点が、一般準則というものが設定されたときというのが、大きなポイントだったと思っています。そのときなどは、消費者担当大臣、長官、次長などの、トップのリーダーシップで実現できた要素が非常に大きいのではないかと思っておりまして、今回のような、いわば危機的な事態に対しても、そういったトップのリーダーシップのところで何とか前進させていただきたいと思っているところでございます。

○蟹瀬委員 私見とおっしゃったのですけれども、交付金も含めて、一般的に予算を取る場合に、未達成のものがあったら、どうしても予算が取れてはいけないというものがあります。そういう意味では、行動の中に未達成が、そちら側として見えていたのかどうかという問題なのです。こういうことをしようと思ったけれども、しませんでした、使いませんでした、これが起こると、数字として事実としてそれが残ってしまうので、減っていくことは否めないと私は思うのです。ですから、もうとにかくやるという形をやっていかない限り、私は交付金は増えないと思っているのです。これは私見なのですけれども、私はビジネスをやっていますので、大変かもしれないけれども、なるべく地方での交付金を使い切って達成をしているという事実、それが積み重なっていって初めて出てくるもので、もちろん他力本願的に上の人が少しリーダーシップがあったら、これはまたすごく有り難いことですけれども、それ以外に、それぞれの場所でできることをやっていただくというのが、交付金をきちんと増やせる要因ではないかと考えますので、もし参考になれば、よろしくお願いいたします。

○全国消費者団体連絡会小林事務局次長 その点はおっしゃるとおりだと思うのですけれども、この地方消費者行政強化作戦の目標自体は、例えば消費生活センターの設立促進であるとか、消費者教育の推進だとか、見守りネットワークの構築といったような課題は、すべからく自治体で実現していただきたいと思っているのですが、自治体でこれを生かす人材不足の問題、特に専任職員のところが大きいと思っています。こういった見守りネットワークの構築であるとか、消費者教育推進地域協議会の設置のような課題は、自治体の専任職員の確保が必須ですけれども、交付金が活用しきれる人材の配置ができていないということが1点です。

もう1点は、地方消費者行政の推進に資する施策のミスマッチがあるのではないかと思っています。交付金で言うと、次年度交付金の制度設計が消費者団体から見ても狭い設計になっていると思っております。立て付けが国として取り組むべき重要消費者政策に使えるというような設計に強化事業のほうはなっておりますので、食品ロス削減であるとか倫理的消費だとか、消費者志向経営といった課題が、自治体の消費者行政にとってメインとなるべき課題なのかといったところは、是非検討していただきたいと思っております。私どもとしては、自治体消費者行政のメインとなるべき課題は、消費者相談であったり、消費者教育であったり、広報・啓発や消費者団体支援のことだと思っていますから、そういった課題に資するような制度設計をしていただきたいと思っております。

○蟹瀬委員 ありがとうございます。

○高委員長 他、よろしいでしょうか。

いろいろ意見が出てまいりましたけれども、今回のアンケートの結果につきましては、かなり交付金が減額されたことで、消費者行政に大きなマイナスの影響が出る、こういう自治体が多数であるという御報告をいただきまして、よく理解ができました。

他方で、私自身も具体的なデータに当たっていろいろ検討しているわけではないのですけれども、地方自治体においても、例えば交付金が充てられたにも関わらず、それを消費者行政に使わないで不透明な形でこれを使っている状況とか、あるいは交付金が交付されたことで従来交付税の中で消費者行政に充てていたものを削るとか、こういった問題もあると聞いておりますので、ここも併せて改めていかなければいけませんので、是非、消費者団体の方々にも引き続き協力をいただきたいと思います。

地方自治体の消費者行政の実態についての調査というのは今後も引き続きやられるということですので、是非お願いしたいと思います。先ほど我々が設置したワーキング・グループの中で、デザインをどうやって設計するか、この消費者行政全体がどう動くかということを考えないと、財政の赤字は膨らんでいく状況にあって、ただ出してくれということではなかなか通じないと思うのです。ですから、交付金のところの議論もやると同時に、例えば一つの案ですけれども、PIO-NETに提出する情報については有料化するとか、自分たちで資金を獲得するような仕組みについても、ワーキング・グループで議論をさせていただきたいと思いますので、引き続き調査の結果、御経験、いろいろなものを情報提供いただければと思います。

以上をもちまして、この調査結果について終了させていただきます。全国消費者団体連絡会におれかましては、お忙しい中、審議に御協力をいただきまして、ありがとうございました。どうぞ御退席ください。

(全国消費者団体連絡会退席)

(消費者庁着席)

≪4.適格消費者団体の機能強化に向けた取組について≫

○高委員長 次の議題は「適格消費者団体の機能強化に向けた取組について」になります。

適格消費者団体については、地方消費者行政強化作戦の中で、適格消費者団体の空白地域の解消が政策目標とされております。また、今般の国民生活センター法の改正により、国民生活センターが立担保できるようになるなどの制度改正もなされ、平成30年度予算案においては、消費者団体訴訟制度の機能強化のための予算も盛り込まれたところでございます。

本日は、適格消費者団体等の認定の現状や、消費者団体訴訟制度の機能強化に向けた取組などの内容について、消費者庁廣瀬消費者制度課長より御説明をいただいた上で、意見交換をさせていただきます。お忙しいところを御出席いただきまして、ありがとうございます。

それでは、20分程度で御説明をお願いできますでしょうか。

○消費者庁廣瀬消費者制度課長 消費者庁の廣瀬と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

本日は、消費者団体訴訟制度につきまして、制度の運用の状況、団体支援の状況などにつきまして、資料を基に説明させていただきたいと思います。

お手元の資料を御覧ください。まず1ページ目、下のほうの左側でございますが、適格消費者団体による差止請求制度についてでございます。三つ目の○を御覧ください。消費者契約法の実効性確保策として、平成18年に消費者契約法が改正されまして、19年6月から差止の制度が運用をされております。現在まで、10年程度の運用実績がございます。適格消費者団体の請求権は、その後、消費者契約法から景品表示法、特定商取引法、食品表示法にも規定されるようになってございます。

また、一つ目の○に戻っていただきまして、差止請求権を行使する適格消費者団体につきましては、本年2月に群馬の消費者支援群馬ひまわりの会が認定を受けまして、現時点で17団体が認定を受けてございます。

四つ目の○でございますが、この10年間で約450件の差止め請求の実績があり、訴訟に至っているものが約50件となってございます。

1ページ目、右側でございますが、特定適格消費者団体による被害回復制度につきましてであります。また、三つ目の○からでございますが、制度は平成25年消費者裁判手続特例法の制定により創設されまして、平成28年10月から運用開始されてございます。28年12月に消費者機構日本が、昨年6月に消費者支援機構関西が、それぞれ制度を担う特定適格消費者団体に認定をされておりまして、現在2団体の特定適格消費者団体が存在してございます。また、今年の2月には、埼玉消費者被害をなくす会から、特定認定の申請をいただいておるところでございます。ただ、現在までのところ、特定適格消費者団体による被害回復に関する訴訟の提起はなされていないというところでございます。1ページ目は以上でございます。

2ページ目、こちらは適格消費者団体・特定適格消費者団体に関する認定要件等を整理したものでございます。やや内容的に子細にわたるものでございますので、詳細な説明は省略させていただきますが、三つ目の○で、昨年成立いたしました独立行政法人国民生活センター法等の一部を改正する法律におきまして、適格消費者団体の認定の有効期間を3年から6年に延長させていただいたところでございます。更新に係る団体の事務的な手続負担を軽減することを狙ったものとなってございます。

3ページ目、先ほど委員長からお話もございましたが、適格消費者団体・特定適格消費者団体の地域的な全国分布を見たものでございます。都市部に多いという傾向はございますが、四国以外の地域にはおおむね団体があるという形になってございまして、全国的な広がりを見せているのではないかと、このように考えてございます。

また、下の※印の三つ目でございますが、適格消費者団体を目指して活動をされている団体が全国に14団体ございまして、こちらの中には四国地方にございます香川、愛知の団体も入っているところでありまして、こちらも含めますと、かなり幅広く全国に、我々の当面の目標としております地域ブロックごとに1団体ということは達成される見込みとなってございます。

以上が制度運用、適格消費者団体・特定適格消費者団体の状況ということでございます。

4ページ目、ここから支援に関連する御説明となります。適格消費者団体・特定適格消費者団体に対する消費者庁等の支援策を取りまとめたものでございます。左上でございますが、自立の促進ということでございまして、適格消費者団体・特定適格消費者団体が自立して活動することができるよう環境整備を図るものでございます。実施済みの取組といたしまして、まず、一番上のところですが、制度の積極的な周知広報による会員の増大、寄附の増大ということでございまして、まずもって、この制度が問題なのは、消費者団体訴訟制度や適格消費者団体等の認知度が低いということが大きな問題であると考えてございまして、昨年10月には、消費者団体訴訟シンポジウムといったイベント的なものも開催させていただいたところでございます。

また、制度の内容等を説明したパンフレットをより分かりやすいものに改定いたしましたり、制度概要を分かりやすく紹介するような動画を作成したりといった取組をしてございます。

次に、実施済みの取組の二つ目のポツでございますが、寄附に関する規制の緩和ということで、昨年10月から内閣府令を改正いたしまして、匿名による寄附金の受け入れを前事業年度の収入総額の10分の1以内まで認めるというような制度改正をしたところでございます。

また、最後の赤い字のところでございますが、民間基金の後押しといたしまして、NPO法人消費者スマイル基金について、消費者庁作成のパンフレットなどで御紹介するといった取組を実施しておるところでございます。

今後の取組といたしまして、個別ニーズに合わせてきめ細かに対応ということでございますが、約10年間制度を運用してきたわけでございますが、古くに認定された団体と最近認定されたばかりの団体では、直面している課題が異なっていると見受けられるところがございます。また、特定適格消費者団体の認定ということが始まりまして、また新たな課題といったものも生じているところでございます。

こうしたことから、それぞれの団体がそれぞれの課題を抱いているということでありますので、状況に応じて団体の支援ニーズというものを全体として把握するというのではなく、団体ごとにしっかり把握していきたいといったことでございます。

右上、事務負担軽減に関するところでございます。ここにつきましては、適格消費者団体が差止め請求等、本来的な業務に注力することを可能とするためのものということとしてございます。実施済みの取組といたしましては、提出書類、認定・更新の際の活動実績書類ですとか住所変更届出などの軽微な変更といったものの提出書類の負担軽減ということでございまして、これは先ほど御紹介させていただきましたが、こういったことは28年のガイドラインの改正によって措置してございます。

二つ目のポツでございますが、これは先ほど御紹介させていただいたものでございますが、適格消費者団体の認定の有効期間を3年から6年に延ばさせていただいております。

また、今後の取組といたしましては、下のほうでございますが、書類様式の整備、会計処理の明確化ということでございまして、現在、消費者庁で検討を進めているところでございます。例えば会計書類について、適格消費者団体の会計書類については、差止請求関係の業務とその他の消費者の利益の擁護を図る業務と、さらに、その他の業務というように区分して経理する必要があるということにされているわけですが、共通的な電話代や光熱費みたいなものをどのように区分するか。やや細かい話でございますが、そういったところに一定の目安を示すということで、団体の御担当者の事務負担を軽減させていただきたいといったことでございます。

左の下側でございます。情報面での支援ということでございます。適格消費者団体が差止請求や被害回復の業務を実施するに当たりまして、消費者被害に関する情報を入手しやすくする、提供させていただきたいといった、そういうものでございます。実施済みの取組といたしましては、国民生活センターのPIO-NETの情報でございますが、事業者に関するPIO-NET情報の提供というものでございまして、これは法定されているものでございます。

これに加えまして、平成28年には内閣府令を改正いたしまして、国民生活センターの急増指標でございますが、相談件数が急激に増加している事業者などの情報を整理したものを希望する団体には提供するといったことも始めてございます。

また、三つ目のポツでございますが、地方公共団体との情報提供に関する覚書の締結の促進ということでございまして、これは昨年8月に地方公共団体向けに御検討のお願いという形で、適格消費者団体との情報提供について御検討してくださいという公文を消費者庁から発出してございまして、地方公共団体と適格消費者団体・特定適格消費者団体が問題のある事業者の契約書の入手、あるいは被害者の紹介などといったことで、協力・提携できるような環境整備を促すものでございます。

また、今後の取組といたしましては、PIO-NET端末の団体への配備に向けた検討ということでございます。この課題は、昨年の独立行政法人国民生活センター法等の一部を改正する法律の国会審議におきまして、附帯決議が付されてございまして、その中に団体が活動を迅速かつ適切に行うために、PIO-NET端末の配備及びその他の必要な情報の提供について検討することといった旨の記載がございまして、これを踏まえたものでございます。2020年にPIO-NETのシステム改修が行われると聞いてございます。これが一つのタイミングになるものと考えているわけでございますが、もともとの情報につきましては、地方公共団体のほうで入力をされているわけでございますので、その御意向も確認しつつ、調整をしっかり行うことが必要な課題でもございますので、適切に対応していきたいと思ってございます。

最後、右下のⅣでございますが、財政面の支援ということでございます。財政的な支援を実施することにより団体の活動を促進させるというものでございます。実施済みの取組といたしまして、昨年の独立行政法人国民生活センター法等の一部を改正する法律によって、国民生活センターが特定適格消費者団体に代わって、仮差し押さえの担保を立てることができるという措置が新たに導入されております。先ほど委員長から御紹介いただいたとおりでございます。

また、今後の取組といたしましては、これは現在、国会で審議中の平成30年度予算案に盛り込まれている新たな予算措置に係るものでございます。こちらにつきましては、5ページ目で御説明を差し上げたいと思います。

まず、昨年の国セン法の改正、様々な附帯決議をいただいているわけですが、5番目に「適格消費者団体及び特定適格消費者団体が、差止請求及び被害回復のための活動を行うことによって、経理的基礎を強化することが困難であることに鑑み、両団体に対して、その公益的な活動に必要な資金の確保等の財政面の支援を行うこと」といったことが議決されてございます。

これを受けまして、平成30年度予算でございます、真ん中の箱でございますが、消費者団体訴訟制度の機能強化といたしまして、悪質事案による消費者被害の実態調査等を行うことにより、消費者団体訴訟制度の機能強化を図るものといたしまして、新規予算として3,800万円の予算が計上されているところでございます。

この予算に関する具体的な制度設計ですとか、予算執行の方法などにつきましては、現在、正に検討しているところではございますが、大きくは以下の二つの柱になってございます。具体的な施策案というところでございますが、一つ目は被害実態調査事業ということでございまして、特定適格消費者団体の分析・検討の参考にした消費者等の実態調査を実施ということでございますが、こちらは団体が日常的に実施されている消費者被害に関する分析・検討の結果というものが、消費者庁における法制度の企画・立案にも資するものであるということに鑑みまして、こうした消費者被害に関する分析・検討のために必要となる経費を消費者庁として負担をするということによって、消費者庁もその結果を活用するというような形で構成したものでございます。

また、二つ目でございますが、連絡協議会ということで、特定適格消費者団体・適格消費者団体の連携に資する連絡協議会の開催ということでございます。これは従来から特定適格消費者団体の間での連絡協議会が開催されているところでございますが、適格消費者団体・特定適格消費者団体の相互間での連携・協力を促進するということは消費者庁としても重要な課題でございますので、そのための費用として、これまで団体が別個の資金の調達をされていたところを消費者庁の負担とするということで、位置付け直すということを検討しているものでございます。

以上でございます。

○高委員長 御説明ありがとうございました。

ただいま、適格消費者団体の機能強化に向けた取組について、御説明をいただきました。御意見、御質問がございましたら、御発言をお願いいたします。

増田委員、どうぞ。

○増田委員 財政支援ということについては、かねてから問題になっていたところなのですけれども、この度交付金が減額されているという背景がありまして、そうなりますと、各自治体の事業が減るということが予想され、地元の適格消費者団体もいろいろ受託事業が無くなるのではないかと思います。出どころは一緒なので、そこら辺りはどうなってしまうのかという心配があります。

もう一つの3,800万円に関して、連携強化を実施するということと、情報を作っていただくということだと思うのですけれども、最近はすごく人数が多くなっていると聞いています。団体の数が多くなっていますし、これからなろうというところも含めてということになると、すごい数になると思うのですけれども、実質的に集まって意見交換をするというのは有効だとは思うのですが、時間的なこととか交通費などを考えますと、費用対効果、団体の方たちの負担とかということも考えると、それが果たして財政面の支援ということに直結しているのかなというのがあります。

もう一つは、これは素朴な疑問なのですけれども、消費生活センターさえも各自治体で維持できないというところもたくさんあるわけですね。そういう中で、都道府県ごとに適格消費者団体を作るというのは非常に大変だと思いまして、団体自身も大変だし、自治体も大変だというようなときに、例えば広域連携的な、消費生活センターもそういう形で推進しているところはありますけれども、そのようなことは考えられるのかどうかというところを教えてください。

○消費者庁廣瀬消費者制度課長 どうもありがとうございます。

まず、交付金が減るというお話ですけれども、私などが見ているところでは、自治体のお金を団体はもっと積極的に取っていっても良いのではないかとむしろ思っています。つまり、減ったといっても何億のロットのお金があるわけですけれども、一部の団体はかなり多くの受託事業を受けておられるわけですが、各団体には県庁の方とパイプを強くしていただいて、もっと受託費を取っていただいても良いのかな、もっと積極的にやっていただいても良いのかなと思っております。全体のパイが減るというようなレベルよりも、もっと少ない額しか、数百万円とか、そういった世界でしか取れていないような団体が多いなということで、そこは我々の課題でもあるのですが、新しい交付金になった後もなるべく取れるように働き掛けをするように、我々も各団体にもっと取ったらどうですかということを働き掛けていきたいと思っています。それが一つ目です。

二つ目につきましては、連絡協議会の件でございますが、私も昨年一度行かせてもらいまして、非常に大きな会議室で、本当に物すごくたくさんの方が集まって、みんなで議論をするというよりかは、発表会のような形になっていた。そういう意味では、先ほども少し申し上げましたが、団体が新しいところ、古いところ、大きいところ、小さいところ、少しばらつきが出てきているところもあるので、ちょっとここは検討しなければいけないところではあります。今のように年2回という形の開催よりかは、もう少し小さな形で地域を区切った開催のようなものも間に挟んでいくとか、そういった工夫をすることとともに、それに応じたお金の準備ということも、今年度できるかどうかはさておき、再来年度予算の要求も始まりますので、そういったときには検討していきたいと考えております。

三つ目でございますが、私ども適格消費者団体は各県に一つということは、必ずしも増えることには異存はないわけですけれども、そこまで何らか目標のような形にしているものではないわけです。確かに小さなところがたくさんばらばらとできるよりは、人的なマンパワーを集めて適切に事案に取り組んでいただくという意味からしても、一定程度まとまって地域に、県をまたいで一つあって、それが広域的に消費者被害をにらんでいるという形のほうが適切な場合もあり得ると思います。ただ、団体の活動はそれぞれ個別ですので、我々が指導して一緒にやったらどうですかということを、なかなか指導しにくいというところもございますが、そういったことも考えながらやっていきたいと思っております。

○高委員長 池本委員、どうぞ。

○池本委員長代理 池本でございます。

2点お伺いしたいと思います。今の御説明のところ、一番最後のところに少し関連するのですが、もともと8ブロックで、それぞれ最低1か所設立に向けてということが従来政策目標として掲げられていて、特定適格消費者団体というものが制度化されたことで、そちらを支援するというのに重点が移ったのかもしれないのですが、設立支援に向けた政策目標が、今、見えなくなっているという点が非常に気掛かりです。

先ほど、全都道府県に設置することが必須とも必ずしも言えないというお話があったのですが、現実の適格消費者団体がある案件を取り上げ、申し入れをして、改善を図っていくというのは、実は地元の消費生活センターでたくさんの相談情報が寄せられる中で、被害の拡大防止のための措置が必要である。一方では、立入検査をしたり、行政処分をする必要がある案件は消費者庁や都道府県、経産局の法執行でやってもらうとしても、表示とか、契約条項とかの分野になっていくと、むしろ適格消費者団体のほうがそれに見合う活動をしているので、そちらで情報提供をして取り組んでもらう。適格消費者団体の活動というのは、地元の消費生活センターの機能を強化することになるし、両方合わせて被害の拡大防止に資することになっているのではないか。その意味では、私は本来的には各都道府県に最低一つできるということが望ましい。ただ、人口規模や支える母体などの関係で、どうしても単独でできないところがあったときに近隣と一緒にやるというところが例外的に出るかもしれないのですが、それはちょうど消費生活センターを1,700自治体全部にはなかなか規模からして置けないので、広域連携もあり得るというのと一緒で、望ましいのは、やはり独自に作ることは目指すべきではないか。

その意味で、設立支援に向けた政策目標が、今、消えているという点は非常に気掛かりですし、そこに向けた財政措置が、例の推進交付金が、これから立ち上げようという場合には、推進交付金はもう使えない、かといって強化交付金の中でそこが明確に見えないというところが非常に気掛かりです。その意味で、将来像について、8ブロックで存在しないところを解消するというあの目標が消えた後のこれからの目標ということも是非掲げていただきたいと思うのですが、その辺りはどうお考えかという点、これがまず質問の1点目です。

2点目は、私の発言の後半にあった推進交付金が使えない、都道府県経由で出ていくものが、今、うまく使えない代わりに、消費者庁として独自の財源を今回初めて明確に位置付けていただいたという点は、非常に私は注目しています。消費者庁として適格団体、あるいは特定適格団体というものを明確に位置付けて支援していこうというようにされたというのは、非常に評価できるところです。初年度なので、金額的には、私はもっと今後膨らませていただきたいと思うのですが、そこは特定適格だけではない適格団体も、設立支援となると地元の実情があるから都道府県経由である必要があるのかもしれないのですが、設立支援の後の継続的な活動支援に向けて、今回新規に導入されたことを将来像としてどう位置付けをお考えなのかという点、お伺いできればと思います。

○消費者庁廣瀬消費者制度課長 まず、設立支援のお話ですけれども、全国ブロックにという目標の後の目標、これはまた考えなければいけないところだと思っております。ただ、今、現実に適格消費者団体を見ておりますと全国17個ぐらいできてきているわけですけれども、非常に小さいと言いますか、必ず全てが全てがっちり組織体制、その他、がっちりできているかというと、必ずしもそうでないようなところも見受けられるところもございます。そういった中にあって、必ずしも1県に1個ずつというところを目標とするかというところは、慎重に考えなければいけないと思っています。

一方、適格消費者団体の役割が都道府県の法執行との関係で、補完的な関係にある。機動性とか、そういった意味で、両者には一長一短があって、県としての消費者行政との補完的な関係にあるというのは全くそのとおりでございまして、そういった意味では、先ほど増田委員からお話もございましたし、池本委員長代理からもそういった御趣旨のお話もありましたが、広域連携的な取組というものも検討していかなければいけないと考えております。

設立に向けた支援ということなのですけれども、先ほどの連絡協議会もそうですが、個別に設立を目指す団体がございましたら、そういったところに私どもの職員が伺って、個別にニーズを把握するなど、そういった形での支援はしっかり続けていきたいと思っております。

新しい3,800万円の使い道についてでございますが、予算要求の際には、特定適格消費者団体が新しくできたからということで予算要求をさせてもらったところではあるのですけれども、財務省との協議の中でも、公益的な活動にお金を投入する、私益の部分にお金を投入するのはどうかということで、そういったところが大きな議論になりました。そういう意味では、特定適格消費者団体の活動といえども、全てが全て必ずしも公益的なものではなくて、特に第二段階目の活動などについては、私的な財産、債権の回収の問題だったりするということもあり、公益的な活動として、そういう被害の調査、あるいは事例分析のようなところが当たり得るという整理にされましたところですので、必ずしも特定適格消費者団体だけがそれをやっているわけではないというロジックから行きますと、そうした消費者被害の事例について、専門的な消費生活相談員の方ですとか、弁護士の方が入って、事例を検討されているような結果というものを持たれているところであれば、特定適格消費者団体・適格消費者団体、更に言えば、それ以外の方でもそういった活動をされている方であれば使えるようなお金になるということで、まだ今、制度設計の段階ではありますが、少し広がった感じでお金を使えるようにしていきたいということを考えております。

再来年度予算につきましては、また考えているところでございますが、今回のスキームを作った後に、再来年度の予算要求についても考えていきたいと思っております。

○高委員長 私からもよろしいですか。4ページのところに支援の全体像ということで説明をいただいたのですけれども、一足飛びに大きなことはできないかもしれませんが、今後、こういうことも考えていただけないかと思っていまして、それは、事務負担軽減と情報面の支援というところにも関わってくると思うのです。適格消費者団体等は、例えば差止め請求をやるということ、これは活動をやればやるほど自分たちで財政的に苦しい状況に追い込んでいくわけですね。そういうところの負担を減らすという意味で、例えば調査権限とか、適格消費者団体そのものは適格性を判断されているわけですね。そういう意味で、行政の仕事を補うという意味で、例えば消費者庁が持っているような調査権限もある程度与えても良いのではないか。

例えば優良誤認などについての調査をやろうと思ったら、相手側にそれなりの書類を出してもらわない限りできないわけですね。そういう負担を軽減するというのも一つあるのではないか。つまり、調査面での支援というのでしょうか。もちろん調査面の支援だけで、その団体がそれぞれ財政的に回るような形になっていくかというと、それはならないので、最後のⅣの財政面の支援というところで、今回こういう形で新規に計上したという話なのですけれども、これはそれぞれの団体の活動が回っていくような、いわゆる新規の財政的な支援と言えるものではないですね。活動面でこういうことができるのではないかという意味で、直接的に国がどうこうするというのではなくて、先ほど言いましたように、本来消費者庁とか都道府県がやらなければならない活動を主体的にやっていく。もちろん、今の状況で、法の執行は十分だと言われるかもしれませんけれども、いろいろな問題が様々な形をとっていろいろな地域で多様な世代をターゲットにして問題が起こっているわけですから、一つの拠点でもって全体を見るのではなくて、いろいろなところに拠点があってそこが動いていくのが、消費者行政としては最も合理的だと私は思っているのです。

それぞれの拠点が動いたときに、その活動に応じて何らかの財政的なリターンがあるような仕組み、2段階訴訟の仕組みでこれを作っていると言いますけれども、これは今のところ、ほとんど動いていないですね。すぐにどうこうというのではないですけれども、国全体として、こういう消費者行政のシステムを動かすということを考えた場合、ここをこのように形を変えれば全体は動いていくのではないかということも是非考えていただきたいし、私ども消費者委員会としても、そういう新たなデザインを考えていきたいと思っておりますので、引き続きいろいろ意見交換をさせていただければと思います。

○消費者庁廣瀬消費者制度課長 逆からの回答になって恐縮なのですが、全体像としてのデザインということにつきましては、先ほど池本委員長代理からも、県庁の法執行の役割と適格団体の役割と、という話がありましたけれども、更に消費者庁の役割もありますし、各省庁の法執行の役割もあるわけなのですが、そういったものが適切に補い合えるような形という意味では、適格消費者団体の役割というのは非常に可能性があるというか、どうしても行政機関の法執行というのは時間も掛かりますし、予算もお金も掛かりますし、慎重さが要請される中で、適格消費者団体の差止めというのは迅速にできるということはあって、その可能性というのは非常に高いと思います。検討したいと思います。その一方で、その役割にふさわしい、公益的な活動にふさわしい支援が入っていないということも同意見というか、もう少し何とかならないかということも思っており、それが今回の予算要求にもつながっているところなのだと思いますし、そうした主張を政府内でしていきたいと思っています。

その一方で、お金の面もそうですし、あるいは調査権限の付与というようなお話がございましたが、そういった公的な支援ですとか特別な権能を団体に付与するということになりますと、それに応じまして、団体に関する規律面とか公益性の要請というものは一層強まるわけでありまして、役所としては、支援をするからにはそれに応じたより厳格な体制ですとか、そういったものを外から要求されてくるということにも留意が必要でありまして、そこはバランスの問題になってくると考えております。

○高委員長 ありがとうございます。

他、ございますか。

樋口委員、どうぞ。

○樋口委員 私もこの資料の当事者の一部なのですが、まず、委員長からもお話がありましたけれども、適格消費者団体の位置付けは非常に重要だと思うのですが、国や地方の行政の肩代わりというか、一部をボランティア的に担っている部分というのは非常に大きいと思うのです。

もう一つ重要な点は、消費者団体の育成と言いますか、地方において消費者の方との間をつなぐ社会的機能を、消費生活センターを含めてどうやって育てていくのかという政策課題があったのではないかと思うのです。したがって、民間でやることが直ちに問題だということではなくて、民間のボランティアの協力によってそれを育てていくということであれば、一つの方法だとは思いますけれども、それに安住してしまうというか、適格団体に任せてしまうとか、民間の消費者団体の方に全て任せてしまうというのはいかがなものかと。状況に応じて、国や自治体がそういったものをいかに行政の中に組み込んでいくかということも、大きな流れとしては是非考えていただきたいと思います。

特にその際に、私ども適格消費者団体を目指す団体の立場から言いますと、8つのブロックでできたからと言われると、ややはしごを外された感があります。資料を見ていただいてもわかるように、17団体が適格団体ですけれども、14団体が全国でまさに方向性としては団体作りを目指しています。これらが適格団体になった暁には、47都道府県全てとは言わないとしても、可能なところでは適格団体が整備されてくる。それは池本委員長代理もおっしゃったように、地域に密着した問題意識のもとで、国や地方の行政をサポートするサポーターにもなるわけですから、そういう考え方で、是非大きな旗は掲げていただきたい。急に旗が無くなってしまうと山に登れなくなってしまうところがありますので、それを是非お願いしたいと思います。

その際に、先ほど受託事業のお話がありましたけれども、実は現場は非常に大変でして、都道府県から確かに支援はいただくのですが、支援は後払いでありまして、実績払いですので、小さな団体では、みんな個人保証で借金をせざるを得ない状況なのです。小さければ小さいほど資金繰りが非常に苦しいということでありまして、本当に100万とか、そういうお金であっても、ボランティアですから、捻出する場所がないわけなので、個人的な借り入れ等で、そういった資金繰りを手当てした上で、年度末に実績を不安な気持ちで県にお持ちするということですから、余り大きな額はそもそもできないのです。事業を拡張したいと思っても、これは適格団体にも言えると思うのですが、自分の今の体制から見て、リスクの小さい形でしか事業ができていない。それが必ずしも資金が活用されていない部分に関係してくるのではないかと思います。

これは実は消費者関係だけではなくて、大学なども同じような状況がありまして、全て後払いと言われると、研究を行う費用がなかなか小さい学部では出てこないということもありまして、例えば中間払いとか、いろいろな方法もあると思いますので、適格団体が実際に案件に取り組むときに、取組やすい形をきめ細かく工夫をしていただけたらなと思います。したがって、一つ目は要望ですが、是非旗をおろさないで振っていただきたい。

二つ目は、そういう中で適格団体は450件の実績、50件の訴訟と書いてありまして、これは皆さん、ボランティア的な厳しい状況の中で非常に大きな成果だとは思うのですが、例えば成果をある程度消費者庁で公表されるとか、そのような形で積極的にPRをしていただくということができないだろうかと思います。もちろん案件の詳細については、訴訟等については、なかなか公表しにくいものが多いのだとは思うのですが、ただ、全国の団体の活動の状況などがわかればそれが励みになって、他の地域でもそういったことに取り組んでいくことが可能かと思います。

もう一つ、これも当事者なので余り言いにくい面もありますけれども、先ほどの4ページで「民間基金の後押し」という赤字の部分が自立の促進のところにありますが、民間基金というのはなかなかお金が集まらないので、これも抜本的な民間基金の後押しを是非消費者庁としても考えていただきたい。これは民間でやらなければいけないと決まっているものではありません。本来的には消費者庁自らが自立の支援をしても構わない分野ではないかと思います。民間基金の体制が整備されて、寄附が集まって、そういうお金を活用して民間ベースで進んでいくというのは、日本が新しい行政の事例を示すものとして素晴らしいとは思いますけれども、その裏で、支援団体なり適格団体なりが厳しい状況に置かれるということは、必ずしも適当だとは思いませんので、是非、その辺りの実情に即して、きめ細かく応援をしていただければと思います。この三つ目も要望ですが、よろしくお願いします。

○消費者庁廣瀬消費者制度課長 どうもありがとうございます。

小さいところからで恐縮ですが、新しい旗は、全8ブロックというのはまず達成したいと思っているのですが、恐らくその後、何か考えないといけなくなると思うので、また考えたいと思います。

後払いの話は、これは樋口委員のほうが私より詳しいと思いますが、国の財政の予算執行の話ですのでなかなか改善は難しいのですけれども、私も年度初めに前年度の財務諸表が、活動報告書が来るわけですけれども、未収利益200万円とかという団体があったりして、一体どうなっているのだろうということを思ったりもしておりまして、問題意識としては共有をしております。

PRの話などもございましたが、実はこの4ページの支援の全体像という表ですけれども、Ⅰが自立の促進としておりまして、Ⅳが財政面の支援としておりまして、次のページが財政面の支援になっていて、我々もそれを言うからなのですけれども、私どもとして一番重視しているのは自立の促進でございまして、なるべく団体が自ら回っていくようにしたいということを思っているわけでございます。そのために、制度全般の周知ですとか、そういったことが重要なのではないかと考えておりまして、その一環として事例集のようなものを、これまでも一度作ったことがあるのですけれども、こうしたものを新しいものにして、積極的にPRしていくというようなことは、消費者庁としても検討していかなければいけないと思っているところであります。

最後、民間基金の後押しの話ですが、これも実はスマイル基金ができ上がりまして、いろいろと考えているところではあるのですけれども、国の予算の使い方として、対価性のないお金の使い方、いわゆる補助金ですが、非常に新しいものを作るのは難しい状況でございます。今回も実は適格消費者団体・特定適格消費者団体へのお金の入れ方として、最初は補助金的なものを想定していたわけですけれども、先ほども申し上げましたが、財務省との協議の中で、調査の実績ですとか会議の開催ということで、事業性の、いわゆる対価性のあるものに衣替えをして、そういう意味では昨今のお金の使い方に関する流れとの整合性というものが必要で、基金への後押しというのも真水的なものの投入というのはなかなか難しい一方で、広報・啓発、広報・周知みたいなものについてはまだ余地があるのではないかと思っておりますので、そちらの方面については検討を続けていきたいと思っております。

○高委員長 長田委員、どうぞ。

○長田委員 ずっとお話を伺っていて、まず一つ、先ほどの御説明の中で、国なり行政が法の執行をするときにはお金が掛かりますというおっしゃり方をされていました。それで、適格消費者団体は迅速にできますと。適格消費者団体も実はお金は掛かっているものをもらえていないだけで、まずその認識を変えていただきたいと思います。

今の4ページのところで、真水のようなものはなかなかできないとおっしゃいましたけれども、国の我々の税金を使うときにも、効果があってこそそれが使えるというものだと思います。この中で、今の民間基金の後押しも実は私も伺おうと思っていたのですが、パンフレットにちょっと書いてあるものを後押しと言われるのはいかがなものかと思うことと、実施済みの取組の一番上のポツの制度の積極的な周知広報、その積極的な周知広報の結果、会員寄附が増大したと書いてあれば良いのですが。それでなければ意味がない。適格消費者団体を知っていますかみたいな、ああいうパンフレットを配るだけで、本当にそれが会員や寄附が増えることにつながっているのかというのはきちんと見ていただいて、本当に効果が上がることで支援をしていただかなければ、自立の促進には結局つながらないと思います。それは是非見直していただきたいと思います。

○消費者庁廣瀬消費者制度課長 厳しい御指摘がございました。広報なども、いろいろやり方はあると思いますので、団体の方の御意見も承りながら、やり方を改善していきたいと思います。どうもありがとうございました。

○高委員長 他はよろしいですか。

大森委員、どうぞ。

○大森委員 前のことを思えばすごく前進したかなと思うのですけれども、適格消費者団体はまだまだすごく大変なのです。まず、家賃を毎月払わないといけないというのが大変しんどいのです。事務担当も付けないといけない。そうなってくると、本当に持ち出しが大変なのです。一般消費者からしましたら、消費生活相談というのは行政のところに備わっていますね。同じような感じで、適格消費者団体の事務所も並んであると、個人の被害を回復するのは消費生活センターに、今後もまた被害の拡大を防ぐために、情報提供をするのに適格消費者団体というように、適格消費者団体の制度も周知できるし、使いやすいし、行政に認められた団体だという認知もある。そういう形になっていけたら良いなといつも望んでいます。新しい仕事をさせるためには、もっと信頼性がとおっしゃいますけれども、適格消費者団体の資格を取るために、すごくチェックを受けているので、これはお上が認めた一番信頼性のおける団体ではないかと思っているのです。

根本的に財政が厳しい中でいつも思うのが、例えば不当表示などで罰金をとりますね。個別の消費者の被害はいっぱいあるわけですけれども、その人たちに個別に返すことはできない。そういうお金は、消費者被害を回復するために動いている適格消費者団体に回すとか、そういう抜本的な改革をしていただけたら有り難いと思います。お願いです。

○消費者庁廣瀬消費者制度課長 様々な御提案をいただいたと思っております。我々も考えていないわけではないわけでございますが、なかなか難しいところもあり、もう少し時間が掛かるかもしれませんが、検討の項目には入っているものだと考えておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

○大森委員 お願いいたします。

○高委員長 他、ございませんでしょうか。よろしいですか。

今日は適格消費者団体に対する支援に関して御説明をいただきまして、ありがとうございました。この適格消費者団体は非常に重要であるということは評価をいただいている。だから、その評価に基づいて、こういう支援を行ってきたと。今日四つ、主にこういう取組がありますという紹介をいただいたのですけれども、委員からはかなりいろいろな要望が出てまいりました。もちろん、それをすぐ実行に移していくとか、そういったことは難しいかと思いますけれども、現在、消費者基本計画の工程表を作成されていますので、この問題に関して検討を始めるとか、可能なものについては工程表の中に具体的な書き込みをやっていただければと思っております。我々もその工程表の修正されたものを確認させていただきまして、必要があればまた意見をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○消費者庁廣瀬消費者制度課長 かしこまりました。

○高委員長 消費者庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。ここで退席というわけにはいきませんで、次の議題につきましても御説明をいただきますので、そのまま御着席ください。

○消費者庁廣瀬消費者制度課長 どうもありがとうございました。

≪5.消費者契約法の一部を改正する法律案について≫

○高委員長 次の議題は「消費者契約法の一部を改正する法律案について」でございます。

消費者契約法に関しては、平成26年8月5日付で、内閣総理大臣から当委員会に諮問のあった消費者契約法の契約締結過程及び契約条項の内容に係る規律などについて、昨年8月に委員会で付言した上で答申を行いました。それを受けて、消費者庁において法制化に向けた検討が行われ、「消費者契約法の一部を改正す る法律案」が3月2日に閣議決定し、国会に提出されました。

本日は、その法律案の内容について消費者庁から御説明をいただいた上で、意見交換を行いたく思います。

説明の時間は15分程度で、お願いいたします。

○消費者庁廣瀬消費者制度課長 引き続きよろしくお願いいたします。

お手元に資料を配付しておりますが、去る3月2日に閣議決定いたしました「消費者契約法の一部を改正する法律案」について、御説明させていただきます。資料4-2となっておりますポンチ絵のようなもので御説明をさせていただきます。

1ページ、改正の経緯でございます。消費者契約法は平成28年に一部改正が行われておりまして、過量契約の取消権の規制等を追加したところです。この改正時に、衆議院及び参議院での法案審議においては、消費者委員会消費者契約法専門調査会報告書、これは27年の12月に出されたものでございますが、これにおいて今後の検討課題についてとされた論点について、引き続き検討を行い、必要な措置を講ずる旨、附帯決議がされているわけでございます。今回の改正につきましては、これを踏まえまして、その後、1年間にわたりまして、消費者委員会と専門調査会において引き続き検討され、29年8月に示された答申に基づき策定されたものでございます。

下の部分は、改正内容の一覧になりますが、具体的な内容は4ページ以下で御紹介させていただきますので、省略させていただきます。

2ページ、消費者契約法の概要でございますが、こちらは省略をさせていただきます。

3ページ、左側は消費者取引の相談件数の状況でございますが、取引に関するものが青い部分でございますが、毎年80万件程度の高水準で推移しているところでございます。

右側を御覧ください。こちらは28年改正時の附帯決議、先ほど御紹介したものですが、それにおける今後の検討課題とされた事項と、今回の改正案の対応を対比したものでございます。おおむね対応しているわけでございますが、下の細い字で書かれているところでございますが、「平均的な損害の額」の立証責任につきましては、法律上の推定規定を設けることに関し更に精査が必要であるということで、引き続き検討するということになってございまして、今後の課題とされた事項の中に入っているものではございますが、今回の立法提案には入っていないものとなってございます。

4ページ、本法案の内容についての御説明になります。左部分は、不安をあおる告知による契約の取消しを追加するものでございます。若年者の相談事例には、ビジネス等の教室、エステ、タレント・モデル養成など、その願望の実現に関するものが多くなっております。事例といたしまして、就活中の学生に、その不安を知りながら、「あなたは一生成功しない」などと告げて就職セミナーに勧誘するといったものがございます。

これへの対応といたしまして、下のほうでございますが、消費者が社会生活上の経験が乏しく、願望の実現に過大な不安を抱いており、事業者がこれを知りながら、不安をあおり、契約が願望実現に必要である旨、告げることにより、消費者が困惑して契約が結ばれた場合には、消費者が契約を取り消すことができるということにしてございます。

4ページの右側は、人間関係の濫用による契約の取り消しを追加するものでございます。いわゆるデート商法は、若年者の相談件数が多い商法となってございます。事例として、男性から電話があり、何度か電話するうちに好きになり、思いを伝えた。男性に誘われて宝石展示場に行ったところ、「買ってくれないと関係を続けられない」と言われ契約したといったものがございます。

対応といたしまして、消費者が社会生活上の経験が乏しく、勧誘者に恋愛感情等の好意の感情を抱き、かつ、勧誘者も同様の感情を抱いていると誤信している場合に、事業者がこうした状況を知りながら、契約しなければ関係が破綻する旨告げることによって、消費者が困惑し、契約締結に至った場合には、これを取り消すことができるといったことを提案してございます。

この4ページの二つの類型につきましては、典型例として、消費者が若年者である場合を想定したものではありますが、年齢を要件とするものではなく、対象者は若年者に限られないものとなってございます。

5ページ、左部分は契約締結前の債務の内容の実施による契約の取り消しを追加するものでございます。

事例といたしまして、二つございますが、上のほうは、事業者が注文を受ける前に、自宅の物干し台の寸法に合わせてさお竹を切断し、代金を請求する事例。下のほうは、マンション投資の勧誘で会ってほしいと言われて会ったが、事業者は他都市のもので、「あなたのためにここまで来た、断るならば交通費を支払え」と告げ勧誘をする事例でございます。

こうしたものの対応といたしまして、まず点線の左側でございますが、さお竹の事例につきましては、契約締結前に事業者がその契約を締結したのならば負うこととなる義務の内容の全部または一部を実施し、その実施前の現状の回復を著しく困難にした場合に、消費者がそれによって困惑し契約を締結した場合に、消費者がその契約を取り消すことができるものであります。また、点線の右側、マンションの事例でございますが、同じく事業者が契約の締結を目指した事業活動を実施し、正当な理由がある場合でないのに事業活動を消費者のために特に実施したこと、及びこれにより生じた損失の補償を請求する旨を告げた場合にも、消費者が契約を取り消すことができるものとしてございます。

右側でございます。こちらは不利益事実の不告知の要件緩和についてでございます。下のほうを御覧いただければと思いますが、事例がございまして、「日照良好」と説明しつつ、隣地に別のマンションが建つことを告げずにマンションを販売したといった事例につきまして、現行法では、事業者が故意に知っていて告げなかった場合にはこれを取り消すことができることになってございますが、これに加えまして、告げなかったことについて事業者に重過失、すなわちほとんど故意に近い著しい注意欠如があった場合にも、消費者が誤認して契約を締結した場合、取消しを認めることを追加しようと考えてございます。

ここまでが不当な勧誘類型に関する新しい取消権あるいは要件の緩和に関する部分でございます。

6ページ、不当な契約条項を無効とする類型の追加でございます。左側を御覧ください。消費者が成年後見等の審判を受けたことのみを理由として事業者が消費者契約を解除できるとする条項が使用されている場合があります。このような条項は、成年後見制度の理念に照らすと、不当性が高いものでありますので、事業者に対し、消費者が後見、保佐、補助開始の審判を受けたことのみを理由とする解除権を付与する条項を無効とすることとするものでございます。

右側、事業者が自らの責任を自ら決める条項を使用されている場合に関するものでございます。真ん中の※印の辺りを御覧いただければと思います。現行法におきましては、事業者の損害賠償責任を免除する条項につきましては、例といたしましては「当社は一切の損害賠償責任を負いません」といったものにつきましては、現行法においても無効となっているものでございますが、条項例の上のほうを御覧いただければと思いますが「当社が過失のあることを認めた場合に限り、当社は損害賠償責任を負うものとします」といたしますと、現在の無効となる条項には必ずしも該当しないということになるわけでございますが、こうした条項につきましても、現行法で無効とされている条項と同様に不当性が高いものと考えられますので、こうしたものも併せて無効にさせていただくというものでございます。

以上が不当条項の追加に関するところでございます。

最後、7ページ、こちらは事業者の努力義務に係るところでございまして、無効ですとか、取消しといった法的効果が直接的に生じる部分ではございません。上のほう、条項の作成についてでございます。解釈に疑義のある不明瞭な条項があると消費者トラブルが発生する原因になるということがございますので、事業者の努力義務として、条項を作成するに当たって、消費者契約の内容が、その解釈について疑義が生じない明確なものになるよう努めるべきことを明示することとしております。

また、下の部分でございますが、情報提供に関してでございます。事業者の消費者に対する情報提供は、個々の消費者の事情を考慮した上で、個々の消費者の理解の度合いに応じて実質的に行われるべきであるということで、そのことを明らかにする趣旨で、事業者が消費者契約の勧誘に際し、消費者契約の目的となるものの性質に応じ、個々の消費者の知識・経験を考慮した上で、必要な情報の提供に努めなければならないということを明示するものでございます。

最後になりますが、本法律の施行期日は公布の日から起算して1年を経過した日と考えてございます。

以上が、本法律案の主な内容でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○高委員長 ありがとうございました。

ただいま「消費者契約法の一部を改正する法律案」について、御説明をいただきました。御意見、御質問がございましたら、どうぞ御発言ください。

池本委員、どうぞ。

○池本委員長代理 御説明ありがとうございました。

これは昨年8月に、当消費者委員会の専門調査会で報告書を取りまとめ、それを受けて法案化されたものとして、たくさんの項目がありましたが、かなりのところを盛り込んでいただいております。

ただ、ここをどう受け止めて良いのかどうかという点について確認させていただきたいのですが、このペーパーで言いますと4ページで、困惑類型、不安をあおる告知、人間関係の濫用というところに「社会生活上の経験が乏しく」という言葉が入って、不安をあおる、あるいは人間関係を濫用するという要件が更にくっついております。昨年の報告書では「社会生活上の経験が乏しく」という言葉は、報告書の中でも入っていませんでしたし、その不安をあおること、あるいは人間関係を濫用することが困惑の根拠となっていれば取消し対象にして良いということで、調査会の学識、事業者、消費者の委員の中でも一致を見た意見だったはずです。「社会生活上の経験が乏しく」となると、若年者は読み取りやすいのですが、中高年の方はなかなか適用できなくなるのではないか、報告書を取りまとめたところよりもむしろ狭くなってしまうのではないかということが幾つかの団体からもそういう疑問提起が出ております。例えばいわゆる霊感商法という健康や病気、死亡ということに対しての不安を何か抱えている人に、それを殊さらあおって高額のものを買わせるとか、そういうようなものは、この「社会生活上の経験が乏しく」という言葉では漏れてしまうことになるのではないか。

お伺いしたいのは、まず、こういう言葉が入った経緯がどういうところにあるのか。それから、この言葉を入れることによって、昨年の報告書では予定されていたけれども、外れるというようなことをどう考えるのか、あるいは、それは積み残し課題として更に検討することなのか、それとも、それは外れていないという理解になるのか。その辺りの考え方をお伺いしたいと思います。

○高委員長 お願いいたします。

○消費者庁廣瀬消費者制度課長 「社会生活上の経験が乏しく」という要件を入れさせていただきました、まず経緯から御説明をさせていただきたいと思います。答申をいただきました後、役所のほうで法制化の作業に入ったわけでございますが、その際には、今、政府内で検討中でございますが、民法の成年年齢の引下げの議論が進んでいるということがございまして、それも踏まえまして、若年者で多く起こっている消費者被害を念頭に条文化の作業を進め、そういった被害を適切に捉える要件を付けていったということで、まず、その過程で過大な不安とか、願望の実現とか、そういった他の部分も入っていったわけですが、同時に社会生活上の経験が乏しいということからという要件も入ったということでございます。

二つ目、入ることによって、霊感商法のようなものが入らなくなるのではないかといったことでございますけれども、先ほどの御説明の際も少し申し上げましたが、「社会生活上の経験が乏しく」という要件は、年齢を区切るための要件ではございません。一方で、池本委員長代理御指摘のとおりですけれども、若い人についてはほぼほぼ皆さんクリアできる要件である一方、高齢の方になりますと、必ずしも皆さんが入ってくるものではなく、契約の中身の関係、あるいは勧誘の態様との関係で、入ってくる場合もあれば入ってこない場合もあるというものになります。そういった意味では、霊感商法が一律に全部外れるというようなことで我々は理解しているわけではなくて、入る場合もあり得るということで考えてございます。

一方で、高齢者の被害について対応が不十分になっているのではないかという御指摘でございますが、専門調査会の報告書と言いますか、専門調査会での議論の中でも、高齢者の被害については判断力の低下といったもう少し広い観点からも議論がされておりまして、実はそこについては結論が得られなかった部分でありまして、なおかつ本消費者委員会での付言でも合理的な判断ができない状況につけ込む類型ということで、喫緊の検討をするようにという指摘をいただいている部分であります。高齢者の消費者被害については、そうした検討を引き続きしていきたいということを考えております。

○高委員長 どうぞ。

○池本委員長代理 今、御説明があった中で、高齢者の被害について、その合理的判断ができない状況につけ込むつけ込み型ということが検討課題だというのは分かりましたが、むしろ若年者、成年年齢の引下げとの関係でも、社会経験不足によって合理的判断ができない若年者の被害は現実に多発しているわけですから、その付言に書いてあったのは、成年年齢の引下げについては、その付言の部分の課題こそ必要な課題であろうかと思うのです。この社会経験が乏しくという言葉を入れて、付言の課題の回答のように見えてしまうのは非常に残念なところなので、積み残し課題があるのならば、あるということはむしろ明確にしておいていただく必要があると思います。

あるいは、霊感商法も入る場合もある、入らない場合もあるという先ほどの御回答でしたが、一つ要件を加えるということは、ハードルが確実に一つ上がるわけですから、成年年齢の引下げのためにこの要件が入ったとなると、そのために積み残し課題となった部分、あるいはもともと積み残し課題であった付言にあったようなところについてもきちんと今後も早急に検討していただくということを確認しておいていただく必要があるのではないかと考えます。その点はいかがでしょうか。

○消費者庁廣瀬消費者制度課長 大変失礼いたしました。付言を狭く解釈しているような言い方になってしまったことはおわびいたします。高齢者に限らず、障害者や若年者、そういった方々について合理的判断ができない状況ということは付言でいただいていることは承知しておりますし、そこについては、今回の立法の中では必ずしも全部回答したという認識ではございません。付言につきましては重要な課題だと認識しており、引き続き検討していくという趣旨でございます。どうも失礼いたしました。

○高委員長 長田委員、どうぞ。

○長田委員 今のところのもう一つの人間関係の濫用のところでお伺いしたいと思います。下の対応のところで、事業者がこれを知りながら、契約しなければ関係が破綻する旨告げる、法案のところにもそのように「当該勧誘を行う者との関係が破綻することになる旨を告げること」と書いてあるのですが、告げなければ要件が外れるということになるのでしょうか。

○消費者庁廣瀬消費者制度課長 告げるは要件でございます。ただ、消費者契約法の中では、告げるというのはその他の部分でも使われておりまして、それと解釈は一緒でございまして、黙示も含むということでございます。

○長田委員 破綻することを黙示するというよりは、私が事業者側だとすると、とても困った状態になっているということをただ訴える。つまり、恋愛感情ということから言えば、関係の破綻でなくということもすごくあり得ると思うのですけれども、それは外れてしまいますか。

○消費者庁廣瀬消費者制度課長 若干具体的な事例でないと分かりにくいところはあるのですけれども、もう会えなくなるとか、もうこれからはこれまでの関係は無くなってしまうということが、その発言の帰結上、そうなっていくというものであれば、当たり得る場合もあると思います。

○高委員長 他はよろしいですか。

それでは、改正案について説明をいただきました。消費者庁からの説明によると、今回は特に民法改正との関係で、成年年齢の引下げへの対応ということを重視した、その結果、こういう内容になったと理解しております。また、現下の問題を考えると、今、直面しているいろいろな問題を考えれば、この法案が閣議決定されて法律として無事成立するということは、我々としても望ましいことだと思っております。

ただ、今、いろいろ意見はございましたけれども、この法案の成立後、先ほどもこれが問題であると理解されているとおっしゃっていましたので、成立後は消費者被害の防止のために現行法及び改正法の内容について、消費者及び事業者にまず周知するとともに、検討が必要な事項については、迅速に議論を始めていただきたいと思います。

確認しますと、必要な事項は、まず1番目に、付言の内容ですね。付言事項への対応を引き続き御検討いただきたい。2番目が「平均的な損害の額」の立証について、これは議論が要るということで、精査が必要だとそちらでも述べておられますので、是非、これは迅速に精査・検討を始めていただきたいと思います。3番目、先ほどの「社会生活上の経験が乏しく」という、これは若年層を被害から守るという意味で付けられたのでしょうけれども、これを付けたことで高齢者等の被害というのでしょうか、そこが見えにくくなってしまった。ですから、「困惑類型の追加」については、同じく速やかに検討を進めていただきたいと、消費者委員会としては思っております。

なお、この件について、引き続き意見表明を行いたく思います。どういう意見を正式に出すかということを決めますので、消費者庁は御退席をお願い致します。

○消費者庁廣瀬消費者制度課長 ありがとうございました。

○高委員長 ありがとうございました。

(消費者庁退席)

≪6.消費者契約法の一部を改正する法律案に対する意見について≫

○高委員長 それでは、最後の議題でございます。「消費者契約法の一部を改正する法律案に対する意見について」ということで、議論させていただきます。

本件については、先ほど消費者庁より国会に提出される「消費者契約法の一部を改正する法律案」について、その内容を御説明いただいたところでございます。その内容や先ほどの議論を踏まえ、法案成立後、消費者庁において速やかに検討を進めていただきたい事項について、当委員会の意見として取りまとめたく思います。

お手元に、資料として「消費者契約法の一部を改正する法律案に対する意見(案)」を配付しておりますので、この意見案について、事務局から説明をお願いいたします。

○消費者委員会事務局担当者 それでは、説明いたします。意見書案は資料5になっております。

意見案ですけれども、まず、第1パラグラフは、昨年の8月8日付で消費者委員会から出している答申の内容について触れております。

最初の○ですけれども、これは消費者契約法専門調査会の報告書を踏まえた部分になっております。内容としましては、措置すべき内容を含むとされた論点のうち、法改正を行うべきとされた事項については、速やかに消費者契約法改正法案を策定した上で国会に提出し、改正法案が成立した場合においては、現行法の内容及び改正法の内容について幅広く周知活動を行うこと及び解釈の明確化が必要な点については逐条解説等において明確化を図ることなど、必要な取組を進めることが適当であるという内容です。

二つ目の○については、答申の付言事項として述べたところです。ぜい弱な消費者の保護の必要性等現下の消費者問題における社会情勢、民法改正及び成年年齢の引下げ等にかかる立法の動向等を総合的に勘案した結果、特に3点の付言事項、これは下の1の(1)から(3)ですけれども、これを早急に検討し、明らかにすべき喫緊の課題として付言するという、これが答申の内容ということになっております。

その上で、第2パラグラフですけれども、意見の部分になります。この度この度「消費者契約法の一部を改正する法律案」が閣議決定され、国会に提出された。当委員会としては、本法律案成立後、更に対応が必要な下記の事項について、消費者庁に対し速やかにその検討を進めることを強く要請するというところで、具体的には大きく3点述べているところです。

「1 付言事項への対応について」というところで、付言事項として述べている3点について、喫緊の課題として答申に付言をしており、早急に検討すべきであるというところで、(1)定型約款等のことですが、消費者契約法における約款等の契約条件の事前開示につき、事業者が合理的な方法で、消費者が契約締結前に契約条項をあらかじめ認識できるよう努めることというところです。

(2)合理的な判断をすることができない事情を利用して契約を締結させるいわゆる「つけ込み型」勧誘の類型につき、特に、高齢者・若年成人・障害者等の知識・経験・判断力の不足を不当に利用し過大な利益をもたらす契約の勧誘が行われた場合における消費者の取消権。

(3)消費者に対する配慮に努める事業者の義務につき、考慮すべき要因となる個別の消費者の事情として「当該消費者契約の目的となるものについての知識及び経験」の他、「当該消費者の年齢」等が含まれること。

この3点の付言事項について、早急に検討すべきであるとなっております。

「2 『平均的な損害の額』の立証に関する規律の在り方について」です。法第9条第1号の「平均的な損害の額」に関し、消費者が「事業の内容が類似する同種の事業者に生ずべき平均的な損害の額」を立証した場合には、その額が「当該事業者に生ずべき平均的な損害の額」と推定される旨の規定を設けることについて、先ほどの説明にもありましたように、更に精査が必要であり、引き続き検討するとのことであるが、その精査及び検討方法等について明らかにした上で、法律上に規定を設けるために必要な事項について、速やかに検討するべきであるという内容になっております。

「3 『困惑類型の追加』について」です。消費者契約法の一部を改正する法律案に対する附帯決議、これは28年の消費者契約法の改正の際の附帯決議ですけれども、その附帯決議の中で措置を講ずることとされていた「困惑類型の追加」についても、当委員会においてさらなる調査審議を行った上で答申したところです。この「困惑類型の追加」への対応のうち、「不安をあおる告知」と「人間関係の濫用」について、法律案において「社会生活上の経験が乏しいこと」が要件に付加されることによって特に若年層の被害対応に重点が置かれたものとなっている。答申の趣旨を実現するため、高齢者等の被害対応についても今後速やかに検討するべきであるという内容になっております。

事務局からの説明は以上になります。

○高委員長 ありがとうございました。

この意見案につきまして、御意見、御質問はございますでしょうか。

池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 たびたび済みません。池本です。

まず、内容としてはこれで基本的によろしいかと思うのですが、趣旨として、先ほど私が質問したところで言いますと、この第1項の付言事項への対応というのと、第3項の「困惑類型の追加」、この2つの関係は明確に意識して整理しておく必要があると思います。

付言事項の中でも、(1)は改正民法の債権法改正との関係で言うと、その施行時期までに消費者契約法の中で措置が必要な項目ですし、(2)(3)は、成年年齢の引下げに伴う問題というのが一番焦点となっているので、引下げ法案が今国会ですんなり行くのか、どういう議論があるのかは国会の議論に委ねることですが、仮に成立して施行を迎えるとなれば、少なくとも施行時期までには措置を講じていただきたい項目だということになります。

第3項の「困惑類型の追加」は、先ほどの質疑でも確認されたように、若年者だけで高齢者を一律に排除するものではないというのは分かりますが、「社会生活上の経験が乏しいこと」という要件が付加されたことによって、中高年者について一つハードルが設けられてしまったということになるわけですから、改めて昨年の答申の趣旨を実現するために、これも早急に検討して結論を出していただきたいということで、第1項と第3項の関係を、それぞれ両方一気に進めていただきたいということをお願いしたいと思います。

○高委員長 ありがとうございます。

1項の付言事項への対応の中の(2)のところですね。これも本来は「つけ込み型」勧誘の類型についてというのは、若年成人だけではなくて、高齢者とか障害者、こういったものも入れるべきだと。だから、知識とか、経験とか、さらには判断力不足という、こういう文言を書き込んだと思うのですけれども、今回のものについては若年成人のところだけが強調される形になって、たしか判断力不足という、この表現も無くなっているわけですかね。知識・経験力というところでまとめられているのですね。そうではないですか。

池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 池本です。

むしろ不安をあおるとか人間関係の濫用という要件は、それだけが独立の取消し事由として規定されていたところへ、付言事項の社会的経験不足に乗じてという趣旨のことをそこへ付加したような感じになっているために本来の要件が絞られてしまった、逆に作用してしまっているという意味で、改めてもとの付言事項で提案したものと、困惑類型に要件を付加したことによって少し狭くなるおそれがあるところの見直しと、両方とも並行して検討していただきたいということです。

○高委員長 検討していただく内容についてはこれで良いと思うのですけれども、確か、当初の議論で、作出型勧誘が問題だとか、こんな議論があったと思うのですが、今回のものにはそういう議論は無くなって、作出だけではなくて、より広くあらゆるものが入るような形での法改正だという説明を受けたのですけれども、そういう理解でよろしいのでしょうか。

○池本委員長代理 そこはそうです。

○高委員長 そこはそれで良いのですね。

では、この意見書について、いかがでしょうか。

樋口委員、どうぞ。

○樋口委員 意見書については適切と思いますので、是非これを出していただければと。名宛て人が書いていないですけれども、消費者庁に対するものかなと思っています。

この際に一言だけ申し上げたいのですけれども、現在の案は、確かに一歩今までの状況を改善するという側面はあって、重要な改正だと思いますので、そのこと自体は、この意見書にもあるようなことなのですけれども、ただ、プロセスの面では、やや政府と委員会の間のプロセスとして適当であったかどうかということについては、議論がありそうな気がいたします。

これだけの内容について消費者庁で閣議決定をされるのであれば、可能であれば専門調査会で議論すべきですし、そうでないにしても、できるだけ早い段階に委員会もしくはそういう関係者の間で議論を積んだ上で閣議決定をしていただきたかったと思います。内容の是非以前に、手続として少し適切でなかったのではないかなと。そういう意味では、意見書において、きちんと今後の課題ということについて明示をしておくということは必要だと思いますが、今後はできれば消費者委員会の意見に対して修正がある場合、あるいは、新たな事項が付加される場合には、是非再度、諮問までいかないにしても経過報告をしていただいて、議論をした上で判断していただく。もちろん、法案の立法の過程には、行政だけではなくて国会の関係者の意向とか、政府はそういった様々なものを反映しながら原案を作る訳ですから、消費者委員会の意見が全て法案になるということではないとは思っています。ただ、プロセスとしては、是非、本会議の場で、あるいは専門調査会の場で、そういったことについても御報告をいただいて進めたほうが良かったのではないかと思います。

○高委員長 ありがとうございます。

プロセスとして、若干問題が残るという御指摘ですけれども、それが一番象徴されているのが、先ほどの「社会生活上の経験が乏しく」という、この文言が入ったことで随分我々が言わんとしたところが変わってきたということですね。これに関して、この意見書の中に意見を述べる必要はありますか。

○樋口委員 他方で、成年年齢の引下げという課題についても、この委員会で議論をしてきたことでもありますし、この整理の中にもあるように、そのこと自体も検討事項ではあったわけです。実際に立法をどうするかは、最終的には国会で決めることではありますけれども、その中で、順番と言いますか、どういうものを今回立法していくのがふさわしいかということについての判断は別途あるということについて理解しないわけではありません。今回、成年年齢の引下げに配慮する形の法案が作られたことは一定の成果であり、大事なことだとは思います。成年年齢の引下げということとの関係では、消費者教育以外の制度の見直しについても緊急に対応していかなければならないと思いますし、これは、政府の課題でもありますが、国会においても重要な議論事項だと考えています。

したがって、この文章そのものについてはこの案のとおりで良いのかなと思っていますが、ただ、法案に成年年齢引下げへの対応という配慮があるのであれば、できるだけ本会議の場で早い段階でそういう議論ができたらよかったなとは思います。

○高委員長 ありがとうございます。

増田委員、どうぞ。

○増田委員 専門調査会に出た者として、最後かと思うので発言させていただくと、今回、報告書ではほぼ合意を得られていた部分も外され、付言も一部ない。さらには、成年年齢の引下げという名目で「社会経験上」というものを入れて、結果的に非常に狭い解釈になるような形になってしまったことについて、大変残念に思っています。ただ、これは是非今国会で通していただきたいとは思いますが、次の段階に本当に早く検討に入っていただき、取り入れていただくような動きをしていただきたいと思います。

○高委員長 ありがとうございます。

この際、どうぞ。

長田委員、どうぞ。

○長田委員 同意見なのですけれども、消費者委員会としても、今後の新たに付け加える検討については積極的にみんなで議論をして、より良い改正ができるように努力をしていくべきだと思いますので、自分たちとしても厳しい目で見ていきたいという決意表明のようなものですけれども、正直なところ、とても残念に思っています。法律案をいろいろ検討していく中で、いろいろなことが起こるだろうということは分かりますけれども、もう少し消費者委員会にも情報提供があり、どうすれば良いかという知恵を御専門の先生方と絞っていただければよかったのではないかとは思っていて、その部分については、この意見書はこのままでお出しいただくことに反対するわけではありませんけれども、とても残念だと思っていることは申し上げたいと思います。

○高委員長 ありがとうございます。

他はよろしいですか。

一旦、皆様方の御意見をまとめてもよろしいですか。

○黒木事務局長 おまとめいただいて、もしよろしければ休憩を取っていただければと思います。

○高委員長 それでは、いろいろと私どものこの意見に関して、事務局が用意した意見案に関して、皆様方の御同意をいただいたと理解させていただきました。

ただ、樋口委員からも御指摘がありましたとおり、プロセスに問題があるだろうと。ですから、今後付言の内容とか、そういったものに関して修正とか、追加とか、こういったことを行う場合には、経過についての説明をしてもらうように、これは口頭でお願いするということでやらせていただきたく思います。

それから、この意見書の三つの項目ですけれども、若干、最初に出した答申の内容とは変わってきてはおりますが、実を取るという意味で、法が成立した後は、この議論を速やかに開始していただきたいということをここに明記しましたので、これを提出することで、今後も消費者庁の動きを注視していきたいと、このように思います。

それでは、この意見案で御同意いただけますでしょうか。

(「はい」と声あり)

○高委員長 ありがとうございました。

それでは、一旦ここで休憩をさせてください。よろしくお願いいたします。

○丸山参事官 17時10分に再開の見込みです。

(休 憩)

(福井大臣着席)

≪7.福井内閣府特命担当大臣御挨拶≫

○高委員長 本日は大変お忙しい中、福井内閣府特命担当大臣にお越しをいただきました。大臣より一言御挨拶をお願いいたします。

○福井大臣 この度、消費者及び食品安全担当の大臣を拝命いたしました、福井照と申します。就任に当たりまして、消費者委員会の皆様に一言御挨拶を申し上げたいと存じます。

私自身も衆議院の消費者問題特別委員会の委員として、消費者問題に取り組んでまいりました。

消費者庁は、この8年間で各種法律の整備、地方の消費者行政の充実、多くの成果を上げていると思っております。それを加速化させていきたいと思っております。

消費者目線に立った行政機能の強化を図っていくためには、消費者委員会が消費者行政全般に対する監視機能を最大限に発揮していただき、消費者行政が直面する諸課題について、専門的な見地から積極的に調査審議を行い、建議などを行っていただくことが重要でございます。

私といたしましても、多くの課題を解決するため、皆様からの提言などを生かせるよう、リーダーシップを発揮してまいります。

高委員長を初め、引き続き御支援、御協力を賜りますよう申し上げまして、一言御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

ありがとうございました。

○高委員長 大臣、ありがとうございました。消費者委員会としまして、今後もより一層充実した調査審議を行っていきたく思っております。

福井大臣は所用によりまして、ここで退席されます。どうもありがとうございました。

○福井大臣 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

(福井大臣退席)


≪8.閉会≫

○高委員長 改めまして、本日の議題は以上となります。

最後に事務局より今後の予定について御説明をお願いいたします。

○丸山参事官 次回の本会議につきましては、ホームページ等でお知らせをさせていただきます。

○高委員長 それでは、これにて本日の会議は閉会となります。

御参集いだきまして、ありがとうございました。

(以上)