第268回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2018年2月22日(木)13:00~14:34

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    高委員長、池本委員長代理、受田委員、大森委員、蟹瀬委員、鹿野委員、長田委員、樋口委員、増田委員、山本委員
    (高委員長の「高」は、正しくは「はしごだか」)
  • 【説明者】
    文部科学省生涯学習政策局中野男女共同参画学習課長
    文部科学省初等中等教育局教職員課担当者
    金融庁監督局栗田参事官
    金融庁監督局銀行第一課担当者
    金融庁総務企画局グローバルプルーデンス室担当者
    金融庁担当者
  • 【事務局】
    黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 平成28年度消費者教育に関する取組状況調査について
  3. 銀行カードローンに係る取組について
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○高委員長 それでは、時間になりましたので、「消費者委員会第268回本会議」を開催いたします。

お忙しいところを御参集いただきまして、ありがとうございます。

配付資料の確認につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

○丸山参事官 お手元の議事次第の下部に配付資料一覧を記載しております。資料1-1から1-2、資料2-1から2-2、参考資料ということでございます。もし不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますようよろしくお願いいたします。


≪2.平成28年度消費者教育に関する取組状況調査について≫

○高委員長 今日は二つ議題を用意させていただいております。最初の議題は「平成28年度消費者教育に関する取組状況調査について」でございます。

近年、消費者を取り巻く経済情勢の変化や消費者問題の複雑化などを背景として、消費者教育の重要性がますます高まっています。また、成年年齢引下げが議論される中、特に若年者への消費者教育は急務となっております。

若年者に対する消費者教育を効果的に推進するため、学校教育の場のみならず大学などを含めた学校教育の場の活用も重要でございます。文部科学省では消費者教育に関する取組状況調査を平成22年度及び平成25年度に実施しており、今般、平成28年度の調査を取りまとめられたとのことでございます。

本日は、文部科学省からその内容について御説明をいただき、意見交換を行いたく思います。

文部科学省生涯学習政策局中野男女共同参画学習課長にお越しいただいております。お忙しいところを御出席いただきまして、ありがとうございます。

それでは、この内容につきまして、15分程度で説明をお願いいたします。

○文部科学省生涯学習政策局中野男女共同参画学習課長 文部科学省男女共同参画学習課長の中野です。

資料1-1と1-2ですが、1-2が調査報告書全体版です。大部になるため、1-1でスライドを用意していますので、こちらで説明します。

 委員長から紹介いただきましたように消費者教育に関する取組状況調査については、今回で3回目です。文部科学省においては、消費者庁と連携し、消費者教育推進法、あるいは基本方針等に基づき、消費者教育を推進しているところです。その中で、実態把握や取組、好事例の把握、それから、調査自体で教育委員会や大学等に認識していただく内容も含めて、取組状況調査を行っています。

1ページ、調査の概要です。調査目的は、消費者教育をめぐる最近の状況も踏まえた課題を把握するとともに、先進的な事例を収集することで、習得した知識が具体的な行動に結び付くような消費者教育の内容の基礎資料とする目的で、22年度に第1回、25年度に第2回、今回28年度に第3回目の調査を実施しました。

調査概要にあるとおり、調査時点は平成28年6月1日ですが、予定も含めて、28年度の取組を中心に調査をしているものです。

調査の対象ですが、大きく分けて教育委員会と大学等を対象としています。教育委員会については、都道府県と市町村のそれぞれの教育委員会に実施しました。この後、都道府県と市町村を合わせた数字が出てきますが、都道府県と、とりわけ町村ではかなり取組の違いがあることにも御留意ください。

主な調査内容としては、教育委員会を対象ですので、消費者関連部局、首長部局にあることが通常ですが、消費者関連部局等との連携、教育委員会の中でも社会教育関連の取組と学校教育関連の取組、そして、今後の取組・課題という大きな調査項目です。回答数は資料に記載のとおりです。

対象のもう一つが全国の短期大学も含む国公私立の大学及び高等専門学校を対象としたものです。

主な調査内容としては、学生・教職員に対する啓発・情報提供、大学等として実施している消費者教育の取組、他機関との連携、今後の取組・課題です。

全体の調査の中で、いろいろな取組についても記入があり、報告書にも概要を掲載しています。その中でも積極的な取組を行っている事例については(3)事例調査のところにあるとおり、ヒアリング調査を実施し、取組の詳細について把握し、報告書に掲載しています。こちらをほかの教育委員会、大学等で参考にしていただくということです。

内容について、教育委員会調査ですが、その中の消費者行政部局等との連携状況です。

2ページ、(1)は消費者教育推進地域協議会の設置状況、これは消費者庁でも調査をしているため、既に承知のことが多いかと思われますが、都道府県・政令市の調査結果で、25年度についてはまだまだ消費者教育推進法ができたばかりということもあり、設置が進んでおりませんでしたが、28年度については90.5%が既に設置しているところです。

3ページ、教育委員会側として地域協議会に対する期待としては「関係部局との情報や課題認識の共有」が最も多く55.9%、次いで「学校や社会教育施設等への情報・教材の提供」、これも5割を超えているところです。

4ページ、消費生活センターに期待する役割ですが、こちらも「学校や社会教育施設等への情報・教材の提供」「学校や社会教育施設等への専門家の派遣」といったところが多くの教育委員会が期待する役割となっています。

5ページ、コーディネートを行う人材・機関です。コーディネートを行う人材や機関はいますか(ありますか)という問については、都道府県・市町村を合わせて16.8%というところです。ただ、これは冒頭お知らせしたとおり、どうしても町村レベルになると、なかなかそのような人材や機関がないところで、都道府県や政令指定都市レベルになると、5割前後ということです。

コーディネート機関・人材がいる場合ですが、具体的には消費生活センターの消費生活相談員等が多くなっています。そのほか、教育委員会の指導主事や社会教育主事等もコーディネーターになっています。

6ページ、社会教育関連の取組です。「教育委員会の予算で実施した取組がある」と答えた自治体の割合は18.8%で、必ずしも多くないのですが、22年度、25年度の調査と比較して、増加傾向にあります。

7ページ、具体的な内容ですが、「住民対象の学級・講座の実施」が最も多く、その内容としては「悪質商法(マルチ商法、キャッチセールス、アポイントメントセールス等)とその対処法」「振り込め詐欺とその対処法」などがあり、消費者被害に関するものが多い状況です。

8ページ、学級・講座、イベント等の対象者ですが、主に高齢者を対象とするものが多いということです。

9ページ、学校教育関連です。まず、代表的・特徴的な取組の質問項目ですが、外部講師の属性としては「企業・事業者団体」が多くなっており、内容としても「携帯電話・スマートフォン、インターネットに関するトラブルと対処法」が多くなっていますので、その関係で、企業・事業者団体の外部講師が多くなっているとも想像できるところです。

(2)教職員研修、初等中等教育の教員の研修ですが、そちらで消費者教育に関する内容を扱っていますかということです。こちら、都道府県・市町村、全体では、10.5%が「扱っている」ということですが、実はこちらも、この円グラフを見た際、「研修は実施していない」というのがすごく多いですが、教職員研修は都道府県と中核市までが実施主体となっている関係で、ミスリーディングになってしまうのですが、例えば都道府県の教育研修で消費者教育を扱っていますかということについては、6割程度が扱っているということです。その内容ですが、「他機関が主催する研修に教職員を派遣している」というものが増加傾向にあるところです。

11ページ、同じく研修の関係ですが、その対象、とりわけ消費者教育に特化した研修を実施している場合の対象は小学校、中学校が多くなっているところです。

12ページ、学校教育、社会教育を通じて、教育委員会として消費者教育推進法等を踏まえた今後の対応について、重点的に行っている取組が上段、下段が、今後、特に重点的に行いたい取組ということです。どちらも「学校における消費者教育の充実」が最も多くなっているところです。

13ページ、教育委員会としての消費者教育の推進における課題について調査したものです。最も多いのが「他の優先課題があり取り組めない」ということです。次いで「どのような取組をすれば良いか分からない」「指導者や講師となる人材がいない」となっています。こちらも都道府県と市町村で少し回答の傾向が違うところですが、省略します。

14ページ以下、大学等への調査です。まず、学生・教職員に対する消費者問題に関する啓発・情報提供ですが、その方法として、最も多いのが「学内へのポスター等への提示」です。次いで「入学時等におけるガイダンス」も6割以上というところです。

15ページ、その内容ですが、こちらも「悪質商法(マルチ商法、キャッチセールス、アポイントメントセールス等)とその対処法」が最も多くなっており、また、学生ということもあって「携帯電話・スマートフォン、インターネットに関するトラブルとその対処法」も多くなっているところです。

16ページ、学生に対する消費者問題の相談窓口ですが、「学生部等、大学事務局の学生生活担当部局において対応している」という割合が高くなっています。

17ページ、相談窓口や、啓発・情報提供以外の教育としての取組ですが、「講義やゼミにおいて、消費者問題に関する教育・研究を行っている」という4割が最も多くなっています。

大学等について、3番目の項目、他機関との連携状況ですが、連携機関、連携相手としては「消費生活センター」が最も多く、次いで「警察」となっています。

連携内容としては「連携先機関が作成した教材・掲示物等による学生への情報提供」が最も多く、次いで「相談窓口の紹介」ということです。

19ページ、現在重点的に行っている取組と今後、特に重点的に行いたい取組、こちらも上段、下段ですが、ともに多いのが「学生に対する啓発・情報提供」です。他方、下段のところに特に重点的に行いたい、今後やりたいということですが、現在、必ずしもやれていないという部分が「大学組織の危機管理の強化」ということになっています。

20ページ、大学等として課題と考えているところですが、こちらも「他の優先課題があり取り組めない」ということが最も多くなっており、次いで「指導者や講師となる人材がいない」ということです。

以上が調査の主な内容です。その後のページに事例調査、自治体や大学の取組の中から先進的なものということでヒアリング調査したもの、その中の一部を載せています。自治体における取組では、千葉県の取組です。こちらは学校教育とくらし安全推進課、学校の連携による金融・金銭教育研究校ということで、県立銚子商業高等学校が金融広報委員会の指定を受けているということですが、特徴として、活動内容の上に記載していますが、この指定校である商業高校の生徒が小学校に行って、学んだこと、知識を、今度は自分が教える場に回り、小学生に対する金融教育に関する授業を実施しているということです。

もう一つ、あわせて「STOP! 電話de詐欺カクニンダーはがき大作戦」ということですが、こちらは敬老の日を中心とした9月に、県内の小学5年生全員に、おじいちゃん、おばあちゃん、知り合いの方、保護者等に対して、振り込め詐欺等に関する注意喚起のメッセージを書いたはがきを送付してもらうという取組をしているところです。

神戸市の取組が右側ですが、神戸コンシューマー・スクールということで、平成21年から25年度まで、合計で134名の方がコンシューマー・スクールで学びまして、「消費生活マスター」の認定を受けて、市内のさまざまな啓発活動に従事しているところです。

活動内容としては、小中高、大学、企業、婦人会等への出前講義、機関紙への記事掲載等々、さまざまな活動をしているところです。

最後のページが、大学における取組の事例ですが、左側が横浜国立大学です。「140(いい支援)プロジェクト」から考える消費者市民社会ということで、この横浜国立大学のあるゼミでの取組なのですが、たまたまネパール出身の学生がいたということもあり、ネパールで起きた大地震への支援を消費者教育の切り口から実施したということで、ネパール大地震への支援としまして、ネパールで製造された文房具等の仕入れ、販売を実施して、売上金の寄附と学生へのフェアトレードへの関心を高めることを目的として実施したところです。これは全学教養科目において、このゼミでの取組のプロジェクトを題材としたワークショップを2回開催するということで、その中で消費者教育に関する団体も招き、広がりを持った取組になっているところです。

右側が鳥取大学ですが、地元の消費生活センターとの連携による「くらしの経済・法律講座」について、こちらは2005年から、28年度で12年目の取組ということですが、県の消費生活センターと鳥取大学を初めとする県内の高等教育機関4校との連携により、学生と県民が受講できる消費者教育講座を提供しているところです。

また、全学共通教育として連続15回の講義を行っていますが、そちらに地域住民の講座参加を認め、講座修了者に修了証を発行しているところです。

その他、いろいろな事例を報告書には載せており、こちらを各自治体、また、大学等に、ホームページの掲載という形ですが、周知することによって取組を推進しているところです。

説明は以上です。

○高委員長 ありがとうございました。

ただいま「消費者教育に関する取組状況調査」について御説明をいただきました。御質問、御意見がございましたら、御発言ください。

蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 御苦労さまでした。実態が大変良く分かったのですが、全体の総括としての文部省の見解というのは、このデータの中からあるのでしょうか。一つ一つは分かるのですけれども、ただこれを投げて、地方で見てね、そして、頑張ってねというのでは、何も進まないと思うのです。見せていただいても、大きく学校教育もあれば社会的な教育もあるしということで、データがきっちり出てきた。結構されるようになってきているけれども、まだまだ足りないということだと思うのですが、この報告書を見ても、アドバイザーがそれを分析しているのはあるのですが、文部科学省の総括がないというのが気に掛かるのです。その辺りはどうなのでしょう。

○文部科学省生涯学習政策局中野男女共同参画学習課長  このアドバイザーの方は、文部科学省の消費者教育推進委員会の委員の方です。文部科学省では、その消費者教育推進委員会を中心に助言をいただきながら、施策の展開を図っているところです。

御指摘がありましたように、取組が進んでいますが、まだ十分ではないというところがあります。学校教育も社会教育も大学も共通するところとして、他の課題もあるということが出てきたり、消費生活センターや消費者部局に対しての期待もあるということで、外部人材の力を活用しつつ、連携した取組が必要ということで、文部科学省で連携・協働による消費者教育推進事業を行っており、そういったモデルも作りながら取り組んでいるところです。

○蟹瀬委員 今、おっしゃったようなことをどこかにきちんと書いてありますか。

○文部科学省生涯学習政策局中野男女共同参画学習課長 報告書に記載したほうがよろしいということですね。

○蟹瀬委員 それがないと、報告書というと最終的には1枚しか見ませんので、1枚が効力を発揮しますので、是非それをきちんとまとめていただくとよろしいかと思います。

○高委員長 是非、次回の調査からそういうセクションを設けていただければと思います。お願いします。

受田委員、どうぞ。

○受田委員 御説明ありがとうございました。受田と申します。

私は、個人的に大学に籍を置いているので、今の集計結果において、高等教育機関のデータが非常に気になりつつ、拝見をしておりました。そこで幾つか伺いたいことがあるのですけれども、先ほど御説明をいだいた19ページ、これは大学の欄でございますけれども、現在、重点的に行っている取組と今後、特に重点的に行いたい取組というものがあって、複数選択で回答されているという項目がございました。その中で、赤枠で囲っている「学生に対する啓発・情報提供」あるいは「教職員に対する啓発・情報提供」、これは常識的にこういうものが高いということは分かるのですけれども、下のほうに「大学組織の危機管理の強化」、そういう選択があって、果たしてこれが消費者教育推進とどう関わっているか。つまり、アンケートで大学側が何を意図して回答しているのか、その詳細はもう少し分かりますでしょうか。まずこれが1点です。

続いて、もう一点ございますが、後半のほうにグッドプラクティスが挙げられていて、ここの御説明では横浜国立大学と鳥取大学の事例がございました。本文中には、更に複数の大学が挙げられているのを先ほど確認をいたしました。これは22年度からでしたでしょうか。3年ごとの定点観測をしておられるので、数字上の変化というのはよく分かるのですけれども、この好事例に相当する部分のレベルがどう上がっているかというところについては、このピックアップした内容からは理解できません。したがって、是非教えていただきたいのは、これらがグッドプラクティスとして選ばれた基準です。そして、それが経年的にどう変化しているかという点について、少し補足をしていただきたいと思います。

○文部科学省生涯学習政策局中野男女共同参画学習課長 両方の質問に十分お答えできないかもしれませんが、特に危機管理について、これ以上の記述等の回答がないため、漠然とした聞き方になっている面があるかと思います。

事例も、消費者教育推進委員会の委員にも確認いただきながら、良いものを選んでいるところです。また、そこまでの分析は消費者教育推進委員会のほうで議論いただきたいと思っています。

○受田委員 分かりました。また情報が得られましたら御説明をしていただきたいということがあるのですけれども、要は、ずっと定点で観測していて、どんどん向上しているという様子が残念ながら見られないので、どうすればより高等教育機関の推進に対するコミットメントを強くしていけるのか。我々も当事者として考えていかなければいけないので、是非よろしくお願い申し上げたいと思います。

以上です。

○高委員長 大森委員、どうぞ。

○大森委員 このアンケート結果は、消費者教育推進会議でも御報告されたのでしょうか。

○文部科学省生涯学習政策局中野男女共同参画学習課長 現状、していません。

○大森委員 そうしたら、中野課長はこの結果を御覧になって、何か印象というか、感想などはどういうものをお持ちでしょうか。

○文部科学省生涯学習政策局中野男女共同参画学習課長 重複しますが、先ほど委員から御指摘がありましたように、全体としては進んではいるがというところかと思います。特に課題の部分で、他の優先課題というところも出てきている中で、いかに連携も含めて外部の力を活用するのかというところが重要になると思っていますので、引き続き連携の推進に努めたいと思っています。

○大森委員 私の感想になるのですけれども、例えば13ページ、消費者教育の推進における課題の部分で「どのような取組をすれば良いか分からない」とか「指導者や講師となる人材がいない」とか、「活用できる教材が少ない」とか、「他の優先課題があり取り組めない」という状況は、消費者教育推進法もできて、学校を中心にやっていかないといけない状況もありながら、ずっとこのような声が聞かれ続けているということで、実際ほとんど進んでいないのではないかと危惧しています。

地域協議会ですけれども、これも市町村はほとんど設置されていないので、成年年齢が引き下げられますと、高校ではもちろんやらないといけませんけれども、小中学校の消費者教育も非常に大切になってくると思います。市町村は小中学校の教育担当なので、このままの状況ではいきなり高校でがんがん勉強しても間に合わないのではないかと心配しています。

この協議会自体の内容も、3ページの地域協議会に期待する役割というところで、例えば「学校や社会教育施設等への情報・教材の提供」というのは、前年度の調査から比べると、25年、28年から期待が逆に減っているのですね。専門家の派遣とか、いろいろなところで期待度が減っているということは、この地域協議会自体が余り役割を果たせていない、推進できていないのではないかと、そのような問題点を私自身は感じて、非常に危機感を持っているのですけれども、その点はいかがお考えでしょうか。

○文部科学省生涯学習政策局中野男女共同参画学習課長  冒頭申し上げましたように、どうしても消費者行政もなかなか町村レベルになると難しいところもあるため、そちらが市町村、とりわけ政令指定都市以外の市町村との差になってくると思っています。

御指摘のように、小学校、中学校の部分は市町村の所管になるので、教育研修については都道府県等もやっているところですが、都道府県、教育委員会とも連携します。現実的に、消費者庁でも消費者教育のコーディネーターを置いていこうという取組も、まずは都道府県からというところが実態としてありますので、都道府県のコーディネーターも当然市町村立の学校との間もつないでいただくような取組と並行して、市町村としても自治体自身で推進していく取組が必要になってくると思っています。

連絡協議会や地域協議会への期待の変化は、実際に減っているところの分析まではできていませんが、こちらについても消費者庁と連携して、少し研究したいと思っています。

○高委員長 大森委員、どうぞ。

○大森委員 推進協議会のほうの御意見を聞くと、なかなか学校関係の方に協力していただきにくいという点がよく聞かれますので、その辺りは文部科学省から連携しやすいような施策と言いますか、工夫をしていただけると有り難いと思います。

もう一点、立派な取組をしていますという広報も良いのですけれども、例えば14ページ、大学等の調査の中で、よくやっているのは入学時のガイダンスとか、ポスターの掲示などがあるのですけれども、数値は少ないのですが、メールの配信に取り組んでいるところもあるのですね。今、若者はスマホを持っていますので、数字は少ないけれども、タイムリーな情報提供ということで非常に有効ではないかと思われるので、そういうところに着眼して新たな取組をしていただけると有り難いと思います。

以上です。

○高委員長 ありがとうございました。

池本委員、どうぞ。

○池本委員長代理 御報告いただいたものの読み取り方の確認も含めて、お伺いしたいと思います。6ページで、教育委員会が消費者教育関連の取組を実施したことがあるかどうかということで、教育委員会の予算で実施とか、あるいは他の部署がやるものに協力したというものがあります。次のページには、実施・協力したという、これは前のページで言う独自予算、もしくは他の部署のことに協力したもの両方を含めて、何らかの関わったところについて聞いていると理解して良いのか。

問題は7ページで、消費者教育関連の取組ということで、ここへ出ているのはいずれも社会教育面、住民対象の講座だとか、イベントだとか、パンフレットだとか、住民対象のものに限られているように読み取れます。そういう理解でよろしいのかどうか。

そして、問題は学校における、それから教職員における消費者教育の取組が9ページ、10ページになると思うのですが、学校における取組で、外部講師を依頼してやっているということが分類としては出ているのですが、こういった外部講師を依頼するなどして、学校において消費者教育に特化したことはどのくらいの割合実施しているのかという、その数字は別にあるのでしょうか。

もう1点、10ページ、教職員対象の研修で消費者教育に関する内容を扱っていますかという質問に対して、「扱っている」がわずか10%しかなくて、「扱っていない」「研修は実施していない」がほとんどとなっているのですが、この数字は一体どう読み取れば良いのか、しかも消費者教育に特化した研修を実施しているという右側の実施状況では、この3回でむしろ減っている状態、これをどう分析なさっているのか。

あわせて、今のことの延長ですが、11ページ、消費者教育に特化した教職員研修の実施状況ですが、小中学校は70%とありますが、高校は46%しかない。むしろ、これから社会に出る間近の人について非常に低いし、新しい情報を教職員を通じて伝えていくという意味では大事だと思うのですけれども、ここの数字が低いのが気になるのです。これについては平成22年、25年、そして、28年の経年での比較は可能なのでしょうか。

以上、質問です。

○文部科学省生涯学習政策局中野男女共同参画学習課長 まず6ページ、7ページのところは、大きな項目で、教育委員会の社会教育関連の取組ということですので、こちらには学校の部分は入っていません。

学校の部分は、9ページ以下に示しています。学校での特化した取組は取っていません。補足をさせていただきますと、学校教育の場合、学習指導要領に基づいて授業を行いますので、ある意味で必ずやっているというところになり、そのような質問項目がないというところです。

それから、教員研修です。先ほどの説明と重複して恐縮ですが、10ページで、これは都道府県と市町村全体の円グラフがあり教職員研修の実施主体が都道府県と中核市以上ということになります。つまり中核市以下の市とか町村については、そもそも研修を実施していないというものが多くなっているところです。

先ほど漠と申し上げましたが、都道府県の場合はどうかということについては、都道府県では当然実施していないという項目がなくなっており、消費者教育に関する研修を「扱っている」が59.1%で「扱っていない」が38.6%という数字です。

こちらの減っている理由なのですが、教員の研修のシステムが少し変わり、研修全体の時間が減っているということと、校内研修と都道府県等がやる研修での役割分担等もありますので、ここで細かい分析が手元にありませんが、そういったところの影響が推測されるところです。

11ページの高等学校の教職員です。

○文部科学省初等中等教育局教職員課担当者 教職員課から補足させていただきますと、基本的に教育公務員特例法というところで研修について定められているのですけれども、研修をそもそも行うべきとされている自治体というのが、都道府県と指定都市と中核市になっています。今回の調査は全体で1,166件の自治体から回収していることになっていますけれども、小中高、それぞれ研修を実施するべきになっている自治体が、平成28年度においては、115、115、66となっているので、高校が少ないというのは、そもそも市町村立の高校を持っていない市町村があるので、小中学校よりも研修を実施するべきとされている自治体が少ないということもありまして、この小中と比較して、高校のほうが割合が少ないと見えているのかと思います。これは調査の枠組みの取り方と言いますか、本来的には研修義務のある自治体とそうでない自治体に分けて調査するべきところではあったかなと思いますので、次回以降、そういったところも含めて検討していきたいと思っております。

○高委員長 よろしいですか。

長田委員、どうぞ。

○長田委員 ほとんど要望になるのですけれども、今日の御報告では、外部講師が企業・事業者団体の方が多くて、特にテーマも携帯・スマホということでした。e-ネットキャラバンという仕組みがあって、それを利用していらっしゃるところが非常に多いのだと思います。一般的に私ども消費者団体などからしてみると、学校現場で是非消費者教育をやってもらいたいいろいろなテーマがあります。私どもも地域の団体なので、婦人会でそういうテーマがあったとしても、なかなか学校との連携が取りにくいことがあります。もちろん密接にやっているところもありますが、そうでもないというところもいっぱいあって、外部講師側からしたら、なかなか学校は壁があるという現状もあると思います。講師が不足しているという現状があるのであれば、そこを取り持つ仕組みを文部科学省で是非研究して作っていただけると有り難いと思います。これはお願いです。

○高委員長 増田委員、どうぞ。

○増田委員 13ページ、消費者教育を推進するに当たって課題と考えているところで「どのような取組をすれば良いか分からない」とか、「指導者や講師となる人材がいない」ということにかなりショックを受けているのですけれども、消費者教育に携わる側としては、こちらの委員の先生たちも皆さんそうなのですが、やりたいという人たちが大変多く、事業者、消費者団体、たくさんいらっしゃるのです。それを御存じいただいていないということについては非常に愕然しておりますので、是非、その周知徹底をしていただきたい。

それから、今、消費者庁が消費生活相談窓口を全国に設置していて、それが市区町村にまで及んでいます。消費者教育に当たっては、最小単位での連携が非常に重要だと思いますので、窓口を設置している市町と、最小単位である市町村の教育委員会というところの連携を是非目指していただきたいと切に願います。

そのためには、市町のコーディネーターというものの設置が必要ですし、消費者団体や消費生活相談員が必ずいます。そちらに対するアプローチを誰がするのかの問題なのですけれども、多分、都道府県の教育委員会は、消費者庁もそうなのですけれども、都道府県ぐらいまでは情報が行くのですが、その下に行かないというジレンマがあると伺います。その辺りのところを是非強力に進めていただきたいとお願いしたいと思います。

○高委員長 よろしいですか。

委員からいろいろ意見が出たわけですけれども、調査そのものは3年に1回やっておられるのですね。非常に重要な調査でして、連携の状況がどうなっているのか、それから、取組、それぞれ教育委員会、大学等、どういう取組をやっているのか、課題は何なのかということ、これは明らかにしていただいて、変化を報告していただくのは非常に有り難いと思っております。ただ、委員の方々からこうやっていろいろ出るのは、せっかくこういう事実を把握したら、では、どうやって政策につなげていくのか。そこの連携が見えないところに若干消化し切れないものがあって、たくさんの意見が出ているのではないかと思います。

委員会としては、消費者教育のところにいろいろな課題はあるのですが、特に成年年齢の引下げに関しどういう状況になっているのかというところで、これは見ましたら、平成28年の調査ですので、まだまだとは思いますけれども、この状況については引き続き把握していただき、取組が進んでいないようであれば、関係諸機関と連携して改善に繋げてもらいたく思います。

特にやるべき課題というもので、高校等を見ていきますと、主体的に判断し、責任を持って行動できる能力の育成などを挙げているのですけれども、他方、先ほどありましたように、どうすれば良いか分からないというのが悩みだとか、人がいないとか。そうすると、やりたいという目標は示しながらも、実際にそれだけのリソースを持っていない状況があるので、是非とも、この調査の結果を政策に反映させるように、引き続き動いていただければと思います。

それでは、以上をもちまして、この調査の結果については終了させていただきます。

文部科学省におかれましては、お忙しいところを御説明いただきまして、ありがとうございました。

(文部科学省退席)

(金融庁着席)

≪3.銀行カードローンに係る取組について≫

○高委員長 それでは、二つ目の議題に入らせていただきます。「銀行カードローンに係る取組について」でございます。

貸金業法が改正されたことを背景に貸金業者による消費者向けの貸付残高が大幅に減少する中、平成24年以降、銀行によるカードローンなどの残高は増加傾向となっております。それを受け、昨年3月に全国銀行協会においては、「銀行による消費者向け貸付けに係る申し合わせ」がなされるなど、さまざまな取組が進められてまいりました。

また、金融庁においては、昨年9月から、銀行カードローンに関する検査が実施されており、今般、昨年12月末時点の結果が取りまとめられたとのことでございます。

本日は、その検査結果の内容を中心に金融庁における取組について御説明をいただいた上で、意見交換を行いたいと思っております。

金融庁監督局栗田参事官にお越しいただいております。お忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございます。

それでは、15分程度で御説明をお願いいたします。

○金融庁監督局栗田参事官 金融庁監督局の栗田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

お手元に2種類資料を配付させていただいております。「銀行カードローン検査 中間とりまとめ 主なポイント」と言いますものと、縦紙の「中間とりまとめ」の本体でございます。本日はお時間の関係もございますので、横紙の主なポイントに沿って御説明をさせていただきたいと思います。

1ページ目、背景でございますけれども、銀行カードローンにつきましては、近年の低金利環境ということがございまして、残高がかなり増えてきておりまして、過剰貸付けになっているのではないかという御批判もあったところでございます。

これを踏まえまして、全国銀行協会におきましては、昨年3月に「申し合わせ」を行いまして、業務運営の適正化を行っておりましたところでございます。金融庁におきましても、その取組状況の詳細な把握を行うという観点から、昨年9月より立入検査を実施してまいりました。

検査の対象といたしましたのは、カードローン残高の多い銀行を中心に12行でございまして、この12行の残高で、大体銀行カードローンの6割をカバーしているということでございます。

検査における着眼点でございますが、右下にありますように、保証会社の審査に過度に依存していないか、過剰な貸付けを防止するための融資審査態勢が構築されているか、融資実行後も定期的に顧客の状況変化を把握しているか、配慮に欠けた広告・宣伝を行っていないか、支店や行員に対する業績評価体系はどうなっているかというようなことを中心に検査を行ってまいりました。

その結果を取りまとめたものが、縦紙でございますが、その要旨を御説明させていただきます。

2ページ目、まず保証会社審査への依存ということでございまして、これにつきましては、昨年の全銀協の申し合わせ以前におきましては、返済能力の審査を保証会社に依存していたところが9行あったということでございます。申し合わせ以降は、自ら審査モデルを整備するという動きが進んでまいりましたけれども、検査の際にも、まだ独自の審査基準ができていないというところがございましたので、こういうところについては、改善を促してきたということでございます。

年収証明書の取得基準でございますが、これにつきましては、貸金業法では、融資額が50万円を超えるときには年収証明をいただくことになっておりますけれども、全銀協の申し合わせ以前におきましては、12行全てにおいて、融資額が200万円とか500万円というかなりの額にならないと年収証明書を取っていなかった。全銀協の申し合わせ以降は、11行においては50万円超の融資をする際には年収証明書を取るということになっておりましたが、そうなっていなかった1行については、検査において改善を促し、50万円超へ引き下げることを検討していただいております。

融資上限枠でございますが、この点につきましては、各銀行でもともとまちまちでございましたけれども、全銀協の申し合わせ以降は、多くの銀行、7行におきましては、他行等の借入れも含めまして、年収の2分の1までとしておるところでございます。中には借り手の生活維持費を考慮いたしまして、精緻な審査を行っている事例も見受けられましたが、残りの5行につきましては、他行融資を勘案した融資上限枠の設定について、まだ十分でないところがあるということで、現在検討を行っていただいているところでございます。

この点につきまして、下のグラフを御説明させていただきます。左側は銀行カードローンと貸金業者の貸付けの貸倒損失率の推移でございまして、これを見ますと、おおむね銀行カードローンのほうが貸倒損失率は低くなってございます。恐らく考えられます要因といたしましては、借り手の層が少し異なっておりまして、銀行カードローンを借りておられる方のほうが基本的にはデフォルトが少ない、そういうような顧客層を相手にしているということかと考えております。

右側でございますが、これは銀行ごとに、青い線が年収の3分の1以下の上限で貸付けていたもの、赤い線が年収3分の1を超えて2分の1以下で貸付けていたものの代弁率を比較したものでございます。これを見ますと、右側のE銀行、F銀行では、ほぼ代弁率は変わらない状況でございます。他のAからDの四つの銀行につきましては、おおむね融資の上限が3分の1超になっているほうが、代弁率が低い。特に年収の高い層で代弁率が低いという結果が出ておりまして、これは一見するとおかしな結果のように思えるのですけれども、恐らくは各銀行ともたくさん貸している、年収に対する貸出しの比率が高くなっている層のほうが審査が厳しくなっておって、その結果、代弁率も低くなっているのではないかと推察しているところでございます。

3ページ目、途上管理でございます。これにつきましては、全銀協の申し合わせ以前では、多くの銀行で途上管理を十分に実施しておらなかったということでございますけれども、全銀協の申し合わせ以降においては、能動的に収入とか勤務先の変動を確認する動きが増えてきております。ただし、多くの銀行ではまだその点が不十分なことが認められましたので、12行全てに対して改善を促しまして、融資実行後の年収証明書の取得等を検討していただいているというところでございます。

お客様からの相談があった場合の窓口でございますけれども、この窓口で相談を受けたり、あるいは返済猶予などの救済措置を講ずるということに関しましても、まだ対応が不十分なところが見受けられましたので、12行全てに改善を促しまして、顧客相談対応の拡充を検討していただいているところでございます。

広告・宣伝につきましては、かつては「年収証明書不要」といった不適切な文言で広告・宣伝を行っていた事例が見られておりましたけれども、この点については、全ての銀行において不適切な文言は削除されているということが確認されております。

貸金業者におきましては、自主規制がございまして、一定の時間帯はテレビのCMを行わないなどの規制がございましたけれども、この点、銀行についてはそのような制限がなかったわけでございますが、現在におきましては、この貸金業者の自主規制ガイドラインと同じ水準で、自ら広告・宣伝を規制していただいている状況でございます。

営業店や行員に対する業績評価につきましては、カードローンの不適切な契約を招きかねないような問題事例は確認されませんでした。ただし、過度なノルマということではないのですけれども、カードローンと他の消費者ローンの同時販売を推奨しているような銀行がございましたので、この点については改善を促していたところでございます。

最後に4ページ目、残された課題でございますけれども、先ほどもありましたように、途上管理、貸した後にお客様の状況変化をきちんと把握し、必要があればお客様からの相談を受け、救済措置を講ずることが重要だと考えておりまして、この点について、更に取組を進めていく必要があると考えております。

それから、今回はいわゆるカードローンを対象として検査を行ったわけでございますけれども、銀行にはフリーローンとか、他の名前で無担保、無保証の消費者向けの貸出しがございます。これについても基本的な問題はカードローンと同様でございますので、カードローンと同様の改善が必要であると考えております。

お客様の借入状況を把握するためには、信用情報機関を使う必要がございますけれども、この信用情報機関に登録されている貸付額とか保証額の情報が必ずしも統一的ではないということがございまして、その点について、今後改善をしていく必要があると考えております。

今後の対応でございますが、今回の検査を通じまして、多重債務の発生抑制とか利用者保護の観点を踏まえた態勢の整備には一定の改善が見られたところでございますけれども、今回検査を行った12行については、更にその改善状況をフォローしていくということにしてございます。

それから、上に申し上げましたような課題については、今後も改善に取り組んでいくということでございます。

さらに、今回検査の対象となっていない銀行につきましても、カードローンを取り扱っている全ての銀行に対して、検査を含めたモニタリングを行っていくということを考えてございます。

私からは以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

ただいま「銀行カードローン検査 中間とりまとめ」を御説明いただきました。御意見、御質問がございましたら、どうぞ御発言ください。

池本委員、どうぞ。

○池本委員長代理 御説明ありがとうございました。

読み取り方の確認を含めて質問させていただきます。2ページ目の保証会社審査への依存というところと、融資上限枠というところに関連してです。もともと、この銀行カードローンの問題が問題提起された中には、保証会社として消費者金融、貸金業者がくっついていて、ところが、保証会社は保証会社として入った場合には貸金業法上の3分の1規制は及ばないので、信用情報を見ているのかいないのか、また、その情報が銀行の側に反映されていないのではないか。そして、銀行の側は、保証会社がついているのでリスクがほとんどないので簡単に受け入れてしまうという、その二つの相乗効果で深刻な事例が見られるようになってきたのではないかという指摘があったかと思います。

この先ほどの御説明の中で、銀行が自ら審査モデルを整備するなどの動きがあって、それを更に促進しておられるという、自ら審査モデルを整備というのは、銀行自身が全銀協の信用情報を調べることはもとより、保証会社の側からの貸金業界側の信用情報も含めて収集して確認するという意味を含んでいるのかどうか。それは、この融資上限枠の申し合わせ以降のところに「他行等からの借入額を含め年収の2分の1まで」と書いてあります。この「他行等」の「等」というのが、今の保証会社側の情報も貸金業者側の情報も含んでいるのかどうか。

それの延長で、右側ですが、検査実施後の指導された中身に、ここには「他行融資を勘案した融資上限枠」と書いてあって、「等」が入っていないのはたまたま入っていないのか、それとも、そこは外して銀行の部分だけで良いという趣旨で指導をなさっているのかというところをお伺いしたいと思います。

○金融庁監督局栗田参事官 第1点目でございますけれども、正に御指摘のとおり、今回銀行カードローンが問題になりました背景の一つといたしましては、銀行がカードローンを融資するわけですけれども、それに貸金業者が保証を付していて、実質的には、その貸金業者が審査、その他、全てを取り仕切っている。これでは実質的には貸金業者が銀行を使って貸出しをしているのと同じではないかと。もともと銀行に総量規制が掛かっていないのは、銀行が公共性もあり、きちんと審査をするということが前提として考えられてきたわけでございますので、そういうような実態は不適切であろうというのは、我々もそういう認識でございます。

検査を通じてその点、銀行が自ら貸す以上、自らきちんと審査をする、そのための審査モデルの構築など、審査態勢をきちんと作っていただく必要があるという観点から検査を行いまして、そのように対応できていない銀行については改善を促してきたというところでございます。その際に、当然自ら持っている情報だけではなくて、保証会社の情報を有効活用する。これはそれ自体、合理的なことだと思いますし、そうしていただければ良いというように考えてございます。

もう一点のところでございますけれども、この点につきましても、もともと多重債務問題が出発点にあるわけでございまして、そういうことも勘案いたしますと、当然貸出限度額というものを考える際には、自行の貸出しだけではなくて、他行、それから、貸金業者の貸出額も含めて一定の上限を定めるというのが、合理的であると考えております。そのためには、若干先ほど申しましたように、信用情報機関の情報の精緻化ということも取り組んでいく必要がありますけれども、銀行サイドにおいても、そういう情報を集約して上限枠を設定できるような態勢を作っていただく必要があるということでございまして、そのような改善指導行ってきたわけでございます。資料の一番右側「他行融資」となっておりますのは、そういう意味で、正確に言いますと「他行等融資」でございまして、別にこれは他意があるわけではございませんで、自行・他行、それから、その他の貸金業者の融資も含めて考えていただくという趣旨でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

他はございますか。

増田委員、どうぞ。

○増田委員 全銀協さんのほうで申し合わせを発表されたのが昨年の3月ということで、もうすぐ1年たとうとしているわけなのですけれども、検査をするまで改善されていなかったところが何か所もあるというのも、まずちょっと遅いなという感想が実はあります。

それと同時に、現場ではまだこの効果が実感されていないと消費生活相談員からは聞こえてきます。今やっと改善して、現在発生している問題は過去に貸付けをした方たちの問題だろうと思いますので、今後、検査も定期的にやっていただく必要があるのかなと思います。

それと、最初の審査と融資上限枠というのが非常に重要だと思いますので、カードローンだけではなくフリーローン、それから、貸金業について、全部必ず確認していただかないと意味がないと思うのです。その個人が全体でどれだけ借入れをしているかという問題になりますので、効果的にするためには、それを必ず実施していただきたいと思います。

2点は質問ですが、高齢者の方からの御相談というのが多く見受けられるのですけれども、高齢者であることについて特別に何か審査、あるいは上限について御検討されているとか、お考えなどはありますでしょうか。

○金融庁監督局栗田参事官 まず1点目でございますけれども、昨年の3月に全銀協が申し合わせをして、取組をやってきたところでございます。恐らく委員の御感想と我々の考え方は非常に近しいのだろうと思いまして、我々としてもスピード感を持ってこの問題については対処していただく必要があるという観点で、9月から検査ということで、実際にきちんと取組がなされているのかどうかということ、本当にやる気があるのかどうかということも含めて見てきたということでございます。

2番目の御指摘については、正に御指摘のとおりだと思っておりまして、ここにも書かせていただいておりますけれども、カードローンだけではなくて、それと性格を一にするようなローンがいろいろありますので、当然それも含めて同様の対応を取っていただくというのが、改善策として求められると考えておる次第でございます。

3番目の高齢者の方についてどうかということでございます。これについて、特に高齢者だからここをということは今回の検査ではしておりませんけれども、当然高齢者の方、もともと収入が低い方も多くございますし、判断能力などの問題もあります。あるいは、融資後の状況の変化も、恐らく若い方に比べて早いということもございますので、そのような点も含めて、途上管理などをきちんとやっていただくのがよろしいかと思いますけれども、そういう点も含めて、今後のフォローアップではよく見ていきたいと考えてございます。

○高委員長 ありがとうございました。

他はございますでしょうか。

受田委員、どうぞ。

○受田委員 一つ教えていただきたいのですけれども、2ページに主な検証結果(1)というものがございまして、その右下に債務比率別の年収と代弁率の状況をお示しになられています。A行からD行の様子とE行、F行は非常にコントラストがはっきりしているようにお見受けするのですけれども、まず伺いたいのは、これがいつの時点のデータであるか。さらに、申し合わせというターニングポイントを経て、そのことが改善傾向と関連し合っているのか。その関係性についてもう少し補足していただけませんでしょうか。

○金融庁監督局栗田参事官 時点については、確認して後ほど御報告させていただきます。

もう一点の御質問につきましては、もともと銀行は性格的に多くの額を融資する際には、だんだん審査が厳しくなっていくという傾向がございまして、これは消費者カードローンについても基本的に同じ考え方というか、やり方をしているということだと思います。これはもともと、高額な方には厳しい審査をして、その結果、低い代弁率になっているという傾向があったと我々は考えております。

○受田委員 そうすると、今のコメントに関して見ると、それぞれのA行からD行の金額的な傾向については説明できると思うのですけれども、今、私が申し上げているのは、A行からD行と、E、F行との間に明確な違いがあるので、そのデフォルトの発生率が、考えておられる申し合わせや検査実施後の方向性と関連し合っているかという説明を求めたということです。

○金融庁監督局栗田参事官 AからD行とE、F行で傾向が違うのは、恐らく審査のやり方に起因するものだと思います。AからD行のほうが、貸出額が上がるほど審査基準が厳しくなるというやり方になっているのだと思います。

今、御指摘の2点目について、結局、この数字から一つ言えることは、銀行がどれだけきちんと審査をするかということがデフォルトを少なくすることに決定的に重要な要素になっているのではないかと考えております。この点を考えますと、初めの点に戻りますけれども、それぞれの銀行が自分たちのお客様の層をよく考えて、それを踏まえたしっかりした審査基準を作っていただく。そうすることによってかなりデフォルトというものは防げるのではないかと考えておりまして、その点については、今後ともきちんと見ていきたいと考えております。

○受田委員 ありがとうございました。

○高委員長 蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 蟹瀬です。

2ページに融資上限枠というものがありますが、この融資上限枠を年収の2分の1に設定したらどうかということで、その後上限枠の設定などを検討中と書いてありますが、多重債務の方というのは、この年収2分の1と言われても、いろいろなところから借りたりするわけですから、誰がその情報を把握するかということがとても大事だと思うのです。具体的に一人の人がいろいろな銀行からお金を借りていますということは、個人情報なので基本は入らないかと思うのです。これはどのように指導なさって、どのように決めようとなさっているのか、教えていただきたいのです。

○金融庁監督局栗田参事官 この点につきましては、融資上限枠の決め方は、この本体の資料に詳しく書いてあるのですけれども、6ページ目でございます。12行のうち7行については、自行・他行のローン、それから、貸金業者の貸付けを勘案して、年収の2分の1としているというわけでございますけれども、他の銀行では、他行の融資を勘案していないとか、年収債務比率を基準とする上限を設けていないという状況であったということでございます。この点につきましては、先ほども申し上げましたように、自行・他行ローン、それから、貸金業者からの借入れということをトータルで含めて、きちんと見ていく必要があると考えております。

そのために、銀行は基本的には信用情報機関に融資情報を登録します。貸金業者も登録します。ただし、その信用情報機関が違うので、複数の信用情報機関がありますと。そこに加入していけばある程度情報はとれるわけですけれども、若干信用情報機関によって情報の精度が違うと言いますか、更改のタイミングが違うとか、そういう問題があるので、今、このお客さんが幾ら借りているかというのは一応把握できるのですけれども、場合によっては、それがタイムリーな情報ではなくて、ちょっと古い情報であったりする場合もある。その点は我々も、信用情報機関の方々にお願いして、情報の統一化というようなことを進めていって、できるだけタイムリーに、今、この方はどの銀行から幾ら借りていて、どの貸金業者から幾ら借りているかということを正確に把握できるようにする必要がある。そうすれば、それをもって各銀行は上限判断ができると考えておりまして、その点についても今後取組を進めていきたいと考えております。

○蟹瀬委員 それは個人情報には抵触しないか。そこが知りたかったのです。

○金融庁監督局栗田参事官 貸出しをするときに、信用情報機関に登録しますという同意をいただくことになっておりまして、その同意をいただいておりますので、そこは個人情報保護法上はクリアできていると。

○蟹瀬委員 その情報を関係ない銀行に提供するわけですね。A社とB社の信用情報機構があったら、そのA社は、例えば高という先生に情報を出して良いですよと言っていても、B社は言っていないわけですから、B社が全然関係ない銀行にその情報を提供するということは可能なのですか。それは今、非常に厳しく個人情報を言っているところの中で、どのように銀行だけ許されているのか。その辺りを。

○金融庁監督局栗田参事官 これは個人情報保護法上の同意の問題だと考えておりまして、現在の実務では、このお客様に幾ら貸したという情報は信用情報機関に登録します、その登録された情報は、会員である銀行とか貸金業者は見ます、そこまで含めて同意をいただいておりますので、その点は問題ないと考えております。同意なしでやっていると問題だと思いますけれども、お借りいただくときにそういうこともお示しして、同意をいただいているということでございます。

○蟹瀬委員 信用情報機関が違っていても、一つの銀行に全部情報を出しても良いということですね。例えばA銀行で物を借りようとしました、B銀行で信用情報のところに契約しています、でも、A銀行でお金を借りるときはA銀行が信用情報機関と契約を結んでいるわけですね。幾つもあるとおっしゃったので、その辺りが私のほうで混乱しているというだけなのです。

○金融庁監督局銀行第一課担当者 御質問にお答えいたします。

銀行がお客様からカードローンの申し込みをいただきます、それを審査しますと。その審査をする際には、お客様から審査をするに当たって、銀行とか、保証審査を行う保証会社が、審査を行うに際しては、提携している信用情報機関に照会をします、情報も登録をさせていただきますという文言に同意をいただく形になっています。そこに、先ほど申し上げました複数の信用情報機関がありますと。だから、複数の信用情報機関に照会、登録をさせていただきますという形で同意を取っているということでございます。

○蟹瀬委員 分かりました。ありがとうございます。

○高委員長 池本委員、どうぞ。

○池本委員長代理 今後の対応に関連して2点御質問をいたします。4ページの末尾に「銀行カードローンを取り扱っている全先に対し、検査を含めたモニタリングを継続していく」とございます。昨年の申し合わせ以降、カードローンを取り扱っているところの中でまず取扱い額が多い12行を選んで、そこについては、もう検査まで進められたという、ここまでのスピード感のある対応は本当に評価できると思っています。

問題は、これを他の金融機関も含めて広げていくことだと思うのですが、申し合わせ以降、あるいは秋の時点でも、あるいは現時点でも良いのですが、銀行カードローンを取り扱っている金融機関が何行くらいあると把握しておられるのか。

それから、これはむしろ銀行協会の側の取組なのかもしれないのですが、申し合わせ以降、それぞれが独自の審査モデルを導入しているかどうか、あるいは、融資上限枠を具体的にどう設けているかということは、銀行側の独自のアンケート調査などで実施率は把握できているのではないかと思うのですが、その辺り、いかがなのでしょうか。もし把握できているとすれば、その数字を教えていただければ有り難いのです。

そして、今のことにも関連するのですが、他の金融機関について、たくさんあると、これは全部一斉に検査に入るわけにもいかないでしょうから、その実施状況や実情に応じて、モニタリングというところで更にヒアリングをするのか、あるいはデータとしてアンケート的にデータを出してもらうことなのか。順次やって、本当に必要なところは検査までする必要があると思うのですが、具体的なスケジュール感としては、いつ頃をめどに他の金融機関について実施されようとしているのか。

最後に、2ページの下のところに貸倒損失率の推移というものがあります。昨年来の銀行の申し合わせ、業界での申し合わせ、金融庁の検査ということは非常に評価できるのですけれども、それが具体的な貸倒損失率にあらわれるとなると、また1年くらい先でないと数字が出てこないということになるのか。例えば2016年度の数字というものは、半年後、夏過ぎ頃に出るのか、それとも秋、冬頃に出るのか、おおよその見通しというものがもしお分かりであれば教えていただきたい。

以上です。

○金融庁監督局栗田参事官 幾つか御質問がありましたが、1番目のカードローンを取り扱っている銀行でございますが、これは29年、昨年の11月の全銀協の調査では123行と承知しております。我々としては、この全ての銀行に今後速やかにアンケート調査を実施したいと考えております。それは基本的には、今、検査で見てきたような項目についてアンケートを行って、お話のありましたどういう審査をやっているのか、きちんとした審査基準はあるのかというようなことは、特に重要なポイントになってくるのだと考えております。

それを踏まえまして、その結果を見て、あるいはその他、我々が開設していますカードローンホットラインなどの情報も踏まえて、もし問題が大きいと考えられる銀行があれば、そこについては検査を行うというような段取りになっていくのだと考えております。

貸倒損失率の数字でございますが、これについては、決算発表のときに大体出てきますので、おおむね貸金業者はちょっと遅くなるかと思いますけれども、大体6月とか、そういうころには数字が出てきて、それを取りまとめる期間を含めても夏頃には分かると考えております。

○高委員長 2番目の具体的なスケジュールというのは分かりますか。2018年度中にもうやってしまうということですね。

○金融庁監督局栗田参事官 アンケートはもうすぐに始めて、当然、回収は春頃にはやってしまうということになります。それから分析をしないといけないでしょうけれども、それを含めて、恐らく問題がありそうなものの抽出は、夏とかそれよりもう少し早いぐらいのイメージでいくのだと思っております。

ただ、それは問題の程度次第で、幾つの銀行に立ち入りをするのかということは、そのときの判断になってくるかとは思います。

○高委員長 ありがとうございました。

ほか、ございますでしょうか。よろしいですか。

 本日御説明をいただきまして、いろいろな面で改善が見られると感じました。まず審査基準、これは各行において改善されている。年収証明書の取得基準についても金額引下げ、広告・宣伝についても、貸金業における自主規制ガイドラインに準じた運用がなされているなどで改善が見られる。このように理解させていただきました。

 他方、委員からもいろいろ御指摘がありましたけれども、顧客の状況変化を把握するための途上管理については、まだ改善の余地はあるだろうということ。それから、他行・自行、その他貸金業者からの借入れ、それを全部合わせて総額上限枠が2分の1であるということで、これは安心したのですけれども、信用情報機関に登録される情報そのものがまだそれほど精度が高くない。登録頻度も適正かというと、まだ検討の余地がある。こういう課題が残っているということでございました。この問題は非常に重要ですので、引き続き、積極的に取り組んでいただければと思います。

また、今後カードローン、その他の個人への融資、こういったものも含めて取り扱っている金融機関、先ほどおっしゃった123に対して、検査を含めたモニタリングをきちんとやっていかれる。大体結果は夏ぐらいまでだろうなということでございますので、是非ともよろしくお願いいたします。

先ほど言いましたように、非常に重要な課題でございますので、この取組につきましては、消費者委員会としても引き続き注視してまいりますので、よろしくお願いいたします。

以上をもちまして、第2の議題を終了させていただきます。

金融庁におかれましては、お忙しい中、御説明、審議に御協力をいただきまして、ありがとうございました。

(金融庁退席)


≪4.閉会≫

○高委員長 本日の議題は以上となります。

最後に事務局より、今後の予定について説明をお願いいたします。

○丸山参事官 次回の本会議の日程や議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページ等を通じてお知らせさせていただきます。

なお、この後委員間打合わせを行いますので、委員の皆様におかれましては、委員室までお集まりください。

○高委員長 本日はこれにて閉会といたします。

ありがとうございました。

(以上)