第267回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2018年2月14日(水)14:30~17:23

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    高委員長、池本委員長代理、大森委員、蟹瀬委員、鹿野委員、長田委員、樋口委員、増田委員、山本委員
    (高委員長の「高」は、正しくは「はしごだか」)
  • 【説明者】
    厚生労働省榎本医政局総務課長
    厚生労働省長房医政局医療政策企画官
    厚生労働省医政局担当者
    消費者庁河内消費者政策課長
    消費者庁澤野消費者政策課企画調整官
    消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長
    消費者庁消費者教育・地方協力課担当者
  • 【事務局】
    黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 医療広告規制の検討状況と今後の取組について
  3. 消費者基本計画工程表の改定素案について
  4. 地方消費者行政の充実に向けた取組について
  5. その他
  6. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○高委員長 定刻となりましたので、ただいまから「消費者委員会第267回本会議」を開催いたします。

本日は皆様、お忙しいところを御参集いただきまして、ありがとうございます。

本日は受田委員が御欠席となります。

それでは、配付資料の確認につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

○丸山参事官 お手元の議事次第の下部に配付資料一覧を記載しております。資料1-1から1-4、資料2-1から2-3、資料3-1から3-3、参考資料1、2となっております。もし不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますようよろしくお願いいたします。


≪2.医療広告規制の検討状況と今後の取組について≫

○高委員長 本日は議題を三つ用意させていただいております。最初の議題は「医療広告規制の検討状況と今後の取組について」でございます。

本件については、平成27年7月に医療機関のホームページにおける情報提供の適正化を図るため、医療機関のホームページについて、是正命令や命令に違反した場合の措置などを設けることにより医療機関に対する指導監督の実効性が確保されるよう、法令の改正に向けた検討を行うことを内容とする「美容医療サービスに係るホームページ及び事前説明・同意に関する建議」を当委員会において発出いたしました。これを受け、厚生労働省において検討が進められ、医療機関のウェブサイトなどについても虚偽・誇大等の不適切な表示を禁止し、中止・是正命令及び罰則を課すことができることなどを規定するなど、医療法の改正が行われ、平成29年6月に公布されたところでございます。

その後、厚生労働省において施行に向けて本法に係る省令やガイドラインの検討が行われたということですので、本日はその検討状況や今後の取組について御説明をいただきまして、その後、意見交換を行いたいと思っております。

厚生労働省医政局榎本総務課長、長房医療政策企画官にお越しいただいております。お忙しいところ御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。

それでは、内容につきまして、15分程度で御説明をお願いいたします。

○厚生労働省榎本医政局総務課長 厚生労働省医政局総務課長の榎本でございます。本日はどうぞよろしくお願いしたいと思います。

早速、本日はお手元の資料1-1で御説明をさせていただきたいと存じます。

3ページ、今、委員長から御紹介がございましたように、もともとこの委員会におきまして、美容医療サービスに関する消費者トラブルの相談件数が増加したことを契機として、一昨年27年7月に建議を頂戴したということでございます。その中で2点ございまして、1点目は、医療機関のホームページ、これは今までは「広告」に含まれないという整理をしておりましたけれども、それを「広告」に含めて規制の対象とするということ。2点目は、虚偽・誇大広告につきましては、医療機関のホームページについてもこれを禁止するということ。この二つを要請いただいているということでございます。

これを踏まえまして、私ども厚生労働省におきましては、平成28年の前半に医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会におきまして、4回ほど議論を重ねてまいりました。その結果、現行は、ウェブについては広告としては取り扱わないというのがこれまでの取扱いでございましたけれども、新たな規制の見直しということで、医療機関のウェブサイト等につきましても、虚偽・誇大等の不適切な表示を禁止し、中止・是正命令や罰則を課すことができるように措置をするということで、医療法の改正という方向になったところでございます。

2ページにお戻りいただいて恐縮でございますが、これを受けまして、昨年、医療法等の一部を改正する法律というものを、私ども厚生労働省から閣法として提案をさせていただきまして、この中に幾つか項目がございますけれども、三つ目の項目にございますように、医療に関する広告規制の見直しということで、消費者トラブルの相談件数の増加などを踏まえまして、医療機関のウェブサイトなどを適正化するために、虚偽または誇大などの不適切な内容を禁止するといった内容で、法律の改正をしていただいたところでございます。

これにつきましてはその下の※にございますように、昨年の6月14日に公布をいたしまして、それから起算して1年を超えない範囲内で、政令で定める日から施行することにしております。スケジュールについては後ほど御説明申し上げますが、政令をこの3月末に制定いたしまして、6月1日から施行というつもりで考えているところでございます。

4ページにまた飛ばさせていただいて恐縮でございますけれども、具体的にどういう見直しをしたかということでございますが、医療に関する広告規制の見直しということで、現行と見直し後を対比させていただいております。こちらを御覧いただきますように、現行でございますけれども、医療法上の広告規制、点線の左半分のほうにございますけれども、折込広告とかテレビCMとか看板といったことについては、医療法の世界の中でいろいろと規制を行っております。ただ、ウェブサイトなどにつきましては、これらはそういった広告規制の対象外ということで、従来、ホームページガイドラインに基づいて行政指導を行うということで対応してまいりました。そういう意味で、指導ベースでございますので、罰則等の適用がないというのがこれまでの取扱いであったということでございます。

これを見直し後にございますが、法律上「広告」の中にこのウェブも含むという整理をいたしまして、その折込広告、テレビCM、看板と並んで、ウェブサイトも含めて広告その他の表示ということで、規制の網を掛ける形になってきております。

ただ、一方で、広告可能事項の限定等が一番下にございますけれども、ウェブなどについては、患者さんが自ら求めていく情報であるということもあって、一部限定を解除するということも、法律上、織り込んでいるところでございます。一定の条件を満たす場合には、その広告可能事項の限定を解除可能というのが※2にございますけれども、そういった取扱いを今回の法律改正の中で行っておりまして、具体的にそれをどうするのかというところが、施行に向けて整理をするべき事項ということに一つなっております。

5ページ、これまで、この医療法の成立を受けまして、施行に向けて検討を行ってまいりました。右隅にございますけれども、これまで第5回から第8回まで、この医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会におきまして、施行に向けた具体的な省令やガイドラインの在り方につきまして、御議論をいただいてきたところでございます。本日はその概要を後ほど御紹介させていただきたいと考えております。

6ページ、具体的な構造ですけれども、今回の医療法の改正のイメージを整理させていただいております。1点目は、今回の改正で医療法上の広告に該当する範囲を拡大するということで、下にボックス図を描いておりますけれども、従来の医療法上の広告というのは、左半分にございますテレビCM、看板、折込広告などということに限定されておりましたが、今回法律改正を行うことによって、新たにウェブサイト、メルマガ、申込みによる詳細なパンフレットなどといったものも、医療法上の広告に該当することになるということで、法律の網が掛かる形になってまいります。

そういった中で、広告禁止事項というものを一律法律で定めておりまして、今回の改正の中では、虚偽・誇大・比較優良・公序良俗違反その他省令で定めるものといったものが、広告してはならないものとなってまいります。

広告可能事項の限定というものがございまして、医療機関が広告を行うときに、その広告できる事項を、もともと医療法では縛りを入れていたところでございますけれども、一方で、患者さんの立場からすると情報を検索する、ウェブを調べるということは、情報を集めるためによくやるわけでございますから、そういった医療に関する適切な選択が阻害されるおそれが少ない場合には、広告可能な事項は限定されず、幅広く情報提供することを可能にするということが、一方で必要になってまいります。

このため、具体的にどういうときにそういったことが認められるかというのを省令で定めることとしておりまして、省令で定める事項としては大きく二つ、一律広告を禁止するべき事項というものが省令マル1、そういった縛りを掛ける限定を外す省令マル2、この二つを具体的に議論する必要があったということでございます。詳しくは順次御説明申し上げます。

7ページに、スケジュールを載せております。これまでこの検討会で御議論いただきまして、昨年の年末から1月にかけまして、パブリックコメントを実施しております。これは省令案、それから、ガイドライン案につきまして、両方パブリックコメントで御意見を聴取いたしたところでございます。その上で、1月24日に検討会を開催いたしまして、そのパブリックコメントへの返し方も含めて、そこでいただいた御意見を適宜反映したものを御議論いただいて、検討会としての了解をいただいているところでございます。

その上で、今後、2月下旬に私どもの社会保障審議会がございますけれども、そこの医療部会というところに、この医療広告の省令やガイドライン案につきましてお諮りをいたしまして、御意見を頂戴した上で、正式に確定をさせていただきたいと思っております。

その上で、今年の3月に改正省令の公布を行っていきたい。それと併せて、施行期日の政令も定めることになろうかと思っております。新たな医療広告のガイドラインにつきましても、通知で各都道府県、市町村に対して発出をしていきたいと思っております。30年6月1日に、実際に施行する、こういったスケジューリングで、今、考えているところでございます。

それでは、この法律改正の中で、省令で検討するべき事項とされておりました大きく二つの事項につきまして、御説明申し上げたいと思います。

9ページ、広告禁止事項の見取図がございます。今回の医療法の改正によりまして、従来は虚偽広告が、法律上一律に明確に禁止されておりましたけれども、これに加えて、誇大広告、比較優良広告、公序良俗違反というものも、これは従来省令で規定しておったのですけれども、それを法律に引き上げて、法律上も明確にこれを禁止する形になっているところでございます。

このほか、具体的にどういったものを省令で一律禁止するべき事項として定めるのかというところで、議論をいただいたところでございます。

今回、具体的な内容としては、この見取図にありますように、下の二つにございますが、治療等の内容・効果に関する体験談ということと、治療等の内容・効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前後の写真、我々はビフォー・アフターと言っておりますけれども、そういった写真の掲載について、省令上、これは一律禁止する事項ということで挙げていってはどうだろうかということになっております。

10ページ、これまでの具体的な考え方でございますけれども、まず、体験談の関係でございます。もともと体験談につきましては、今回法令改正を行う以前には、医療広告ガイドラインの上では客観的に証明できない事項ということで、これは明確に禁止されるものだということを言ってきているところでございます。ホームページガイドラインの上では、意図的な取捨選択は内容が誇大なものということで禁止をするということで、これも明示をしてきたところでございます。

こういったような取扱いを踏まえつつ、ここをどう整理していくのかというところを議論いただいたわけですけれども、考え方といたしましては、体験談というものは個人の主観に基づく評価ということになりますので、その情報の有用性が非常に限定的ではないかということがございます。

そういった中でも、特に治療内容や効果についての体験談というのは、患者さん御自身で効果があるかどうかという観点でいろいろとお調べになりますので、そういった意味で特に影響が大きいのではないかと考えられます。

また、そうした主観的な性質がございますので、客観的にそれが本当に正しいのかどうかということをなかなか証明しづらい、そういった治療内容とか効果の体験談につきましては、これをそのまま認めるということになりますと著しい誤認を生じさせることになりまして、患者さんの適切な医療の選択を阻害するおそれがあるのではないかということで、検討会でもいろいろと御意見を頂戴いたしましたけれども、結論としては、患者の主観または伝聞に基づく治療の内容・効果に関する体験談の広告については、これはしてはならないということで、禁止事項として省令に規定するようにしてはどうかということになったところでございます。

ただ、よくあるのは、個人の運営するウェブとか、SNSの個人のページとか、あるいは口コミサイトといったようなものもあるわけでございますので、そういったものについては、医療機関が特に例えばお金を払ってこういう記事を載せてくれといったものがないということであれば誘引性が認められないということになりますので、それは広告に該当しないという整理で、実務上の折り合いを付けるということで、ガイドラインの中でこれを整理することにしたところでございます。

一律禁止する事項の2点目として、術前術後の写真ということで、術前術後、ビフォー・アフターの写真ということがございます。これの取扱いにつきましては、医療広告ガイドラインの上では、そういった効果に関する事項は、一つは広告可能な事項とはされていないという状況でございます。ホームページガイドラインの中では撮影条件を変更したり、あるいは加工したりして、内容が虚偽・誇大なものに分類される場合には禁止されるということを明示しているところでございます。

そういった取扱いを踏まえてどう考えるのかということでございますけれども、術前術後の写真につきましては、個々の患者さんの状態によりまして、当然にその結果というものは異なってまいります。ですから、写真でうまくいったから必ずそうなるという話ではないということでございます。ただ、一方で、そういう誤解を生じる面があるわけですけれども、患者さんとしては、こういった手術などを受けるとどうなるのかということを、写真は非常にメッセージが多いものでございますので、具体的なイメージが把握できるといったメリットもあるということがございます。

こういったことで、検討会でも喧々諤々(けんけんごうごう)議論がございましたけれども、治療などの内容・効果について、患者さんなどを誤認させるおそれがあるような治療の前後の写真の広告はしてはならないということで、省令に禁止事項として挙げるということで結論をいただいたところでございます。

12ページ、また、こういったときに、何も説明を付けずに前後だけを載せると、自分もこうなるのではないかと誤解を生ずる可能性が非常に高いということがございますので、こういった写真を載せる場合には詳細な説明を付けていただくということで、通常必要とされますような治療内容や費用に関して、あるいは、治療による主なリスクとか副作用といったものについて詳細な説明を付せばこういった術前術後の写真を掲載することは可能であるということを、ガイドライン上に掲載するようにしてはどうかと考えているところでございます。

13ページ以降、省令で定めるべき事項の二つ目でございます。一律こういった禁止事項に該当するものについては掲載をしてはならないということになってまいりますと、一方で、14ページにございますように、患者さんが自ら情報を集めるために入手する情報ということもございますので、そういった情報が円滑に集められるようにする必要があるということもございます。このため、特にウェブを念頭に置いておりますけれども、患者さんが自ら選ぶような情報といったものについては、一定の緩和をする必要があるのではないかということで、どういうときにそういったものを認めていくのかということを議論していただいたところです。

結論といたしましては、下にマル1からマル4ということで枠を入れておりますけれども、こういった事項を全て満たす場合に、患者さんの適切な選択が阻害されるおそれが少ないという整理にしようということになっております。

具体的には、ウェブサイトのように患者さんが自ら求めて入手する情報であって、医師あるいは医療機関が自ら医療機関について、適切な選択に資するということで提供する情報、そういったようなものである場合にはいいのではないかというのが1点目です。

2点目としては、そういった情報について、これは一方的に提供されるだけになりますので、もし分からない点、あるいは確認をしてみたいということがあったときには、問合せすることが可能になるということも必要でございますので、問合せ先の記載などをしていただいて、内容の照会が容易になっているといった場合にも、そういったことが認められることになるのではないか。

その上で、特にこれは美容医療などの場合が想定されますが、自由診療の場合については、その治療の内容や費用についてはちゃんと情報を提供するということ、それから、4点目、主なリスクや副作用などについても情報を提供するといったようなこと。そういったことも併せて満たしていただく場合には、患者さんが適切な選択を阻害される要素が少ない場合ということで考えていいのではないかということになったところでございます。

15ページ、広告可能な事項ということで、これは今回の法改正では特段は変わっておりませんけれども、従来から広告可能事項は限定列挙しているところでございますので、こういった形で引き続き整理をさせていただいているところでございます。

以上が、今回の医療法の改正に伴います医療広告規制の見直しの主な状況でございます。

こういった動きと併せまして、特に患者さん方への適切なウェブの情報提供を進めていく必要がございますので、厚生労働省におきましても、いわゆるネットパトロールということで、ウェブサイトの監視体制の強化を平成29年度から進めているところでございます。

17ページ、29年度は4,154万円という予算を持って、また、今年30年度につきましては、現在国会で議論中でございますけれども、約5,060万円の予算案ということで計上しておりまして、こういったネットパトロールの実施を進めているところでございます。

具体的には、厚生労働省から事業者さんに委託をいたしまして、ウェブの監視をしていただく。その医療広告規制の法律、あるいは省令、ガイドラインといったものに違反しているものがないかどうか、これはしっかりと監視を行っていくことにしております。

その監視をしている中で不適切な記載があるということが認められた場合には、その医療機関に対してこういった規制なり、あるいは指導がガイドラインで定められているといった趣旨を周知いたしまして、その該当するページについての自主的な見直しを促進することにしております。

その上で、なお改善が認められないといった場合には、その医療機関を所管している自治体に対して、情報提供を行うことにしております。これは委託事業者から自治体に情報提供を行うということになってまいります。

自治体としては、そういった情報を受けまして、それぞれの自治体の権限に基づいて、その医療機関への指導などを行っていただくことにしております。その上で、このウェブサイトのネットパトロールをやっていただいている事業者さんにおいても、自治体に情報提供した後、それが改善されているかどうかということを引き続いて調査を行うということで、対応してきているところでございます。こういったことをやることによって、ウェブの監視体制強化ということで、医療機関のウェブの適正化を進めてまいっているところでございます。

こういったパトロールにつきましては、事業者で見つけるだけではなくて、国民の皆様からいろいろな通報をいただくということも重要でございます。このため、18ページにございますように、相談室ということで電話番号等を設けまして、こちらに通報いただくような、情報をいただく窓口を設けているところでございます。この窓口に国民の皆様から情報をいただいて、そういったものも監視対象として指導につなげていくような取組を進めていただいているといったところでございます。現在、事業者につきましても、これは毎年の予算で行ってまいりますので、入札の事業者の公募を進めているところでございます。

19ページ、これまでの進捗でございますが、昨年の8月からスタートしております。そういった中で、審査件数としては、ウェブのサイトの数は730ということになっております。これらは順次不適切かどうかということを確認して、お知らせを各医療機関に対して行っているところでございますが、この中でも不適切な表示ということで確認できたものが85サイトございます。それに対して、これまで通知を行った件数が112という状況でございます。これはまだ現在進行形で順次手続を進めているものがございますので、そういったものは含まれておりませんけれども、現在のところ、この12月までの間でこういったような状況で進めているところでございます。私ども厚生労働省としても、引き続き、ここはしっかりと力を入れて取り組んでまいりたいと思っているところでございます。

最後にその他ということでございますが、今後の普及啓発に向けた取組ということでございます。これまで関係者に対しましても、法改正内容の周知とか、あるいは適正化に向けた依頼などを進めてきているところでございます。いろいろな学会における講演でありますとか、昨年の6月には法改正の内容につきまして、自治体に向けて通知を行っております。また、消費生活相談員の研修などでもお話をさせていただいたり、あるいは美容医療関係団体の協議会における議論の中でも、私どもからお話をさせていただいりしているところでございます。また、今後は都道府県等に対してもよく周知をしていくことが重要でございますので、昨年の法改正がなされた段階で、まずは通知をさせていただいております。

それから、ネットパトロールが昨年の8月にスタートしておりますので、そういったことが始まって、こういった窓口もあるということも含めて周知をさせていただいております。

また、今年の1月にも全国の都道府県の部局長会議がございましたので、そういった場においても周知しておりますし、また、今後都道府県等の担当者会議を全国7ブロックで開催する予定にしておりますが、そちらにそれぞれ私どもの担当が出向きまして、直接御説明をさせていただいて、また、現場のいろいろな御意見をお聞きしていきたいと考えております。

また、今年の3月には、今度は全国主管課長会議もございますので、改めて各都道府県等の課長さん方にお集まりをいただいて、しっかりと周知をして、こういった取組の促進をしていくようにしていきたいと思っているところでございます。

大変駆け足でございましたが、これまでの取組と今後の予定を説明申し上げました。どうぞ、先生方の御意見をよろしくお願いしたいと思います。

○高委員長 どうもありがとうございます。

ただいま厚生労働省から、医療法の改正と改正医療法施行に向けての取組について御説明をいただきました。御質問、御意見がございましたら、どうぞ御発言ください。

池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 御説明ありがとうございました。

今回の医療法の改正で、当委員会から建議として申し上げていましたホームページを医療法上の広告に含めて規制の対象として対応していただくというところを正面から受け止めていただいて、この改正につなげ、虚偽・誇大広告の禁止ということを措置されたという点は本当に評価できるところですし、感謝申し上げたいと思います。

問題は、これを実際に対処していく都道府県できちんと周知して、問題広告について措置をしていくということ、あるいは指導していくことが期待されるところですが、先ほどネットパトロールによってその情報を都道府県に通報するということであろうかと思うのですが、それを受けた都道府県としての対処方法、あるいは都道府県が独自に地域における問題事案の調査、対処ということについて何か検討されるのか。特に厚労省から都道府県の担当課に向けてどのような働き掛けをされているのかという点についてお伺いできればと思います。

○厚生労働省榎本医政局総務課長 ありがとうございます。

今、池本委員長代理から、17ページにございますウェブ監視の話について問題提起をいただいているところでございます。おっしゃるとおり、各都道府県、また、保健所設置市、中核市といったところにもしっかり協力をしていただくということは非常に重要な課題だと思っております。このため、私どもとしても、このウェブサイトのパトロール自体はまず一つのツールだと思っておりますけれども、ここの中で具体的に挙がってくる事例を、しっかりと通報を受けたところには受け止めていただくことが必要だと思っております。そのため、今回、特にこの夏から開始をしたときに改めて通知を出させていただいて、適切な対応をしっかりとそれぞれの県なり市で指導していただきたいということをお願いしているところでございます。

ここのところは我々としてもしっかりフォローする必要があるかと思っております。このフロー図の中にもございますように、自治体に提供した後、どう改善しているかということも含めてウォッチしていくことが重要だと思っておりますので、そういったところも徹底していくように引き続き取り組んでまいりたいと思います。

○池本委員長代理 こういったネットパトロールを通じての取組が、こういった新しい法制度を周知していき、あるいは都道府県でも取り組んでいただく大きなきっかけになるという意味で期待しているところですが、それだけではなくて、例えば都道府県の消費生活センター、これは消費生活相談員研修でも取り上げていただいているということですが、消費生活センターなどで問題事案を見つけたときに、個別案件の消費者からの相談についての解決は消費生活センターでやるとしても、事業者の不適正な広告の改善というと、これは事業者の側に対する担当部署からの指導が不可欠かと思うのです。その辺りは、例えば消費生活センターから都道府県の担当課へ情報提供して対処していただくとか、そういうようなルートも含めて今後都道府県で受け止めていただけるという理解でよろしいのでしょうか。

○厚生労働省榎本医政局総務課長 おっしゃること、よく分かります。県の中でも消費生活部局と医療部局と分かれているところではございますので、そこの連携をどうするかというのは非常に重要だというのは、全く先生の御指摘のとおりだと思っております。

そういう意味で、そこの連携をしっかりとするということは、私どもとしてもしっかりとまた今後とも呼び掛けていきたいと思いますし、今回策定するガイドラインの中でも、そういったところとの連携ということも、改めてしっかりと書き起こさせていただいておりますので、改めてそういったことも全国のブロック会議などを通じまして周知をしていきたいと思います。ありがとうございます。

○高委員長 ほか、ございますでしょうか。

私から1点よろしいですか。先ほどの説明資料の14ページのところの広告可能事項の限定解除についてと。医療法における広告規制というのは非常に厳格なものがあって安心しているのですけれども、特に問題のある美容医療とか、そういうものを考えたときに、この四つの要件を挙げておられるのですが、特にマル1とマル2を読んだときに、これで何ができるのか、どれぐらい美容医療のところに対して規制をかけることができるのかなと。もちろん、この四つの要件を全てと書いているのですけれども、マル3とマル4はまた独立の要件だと私は読んで感じたのです。これも教育されるとき、あるいは啓発されるとき、指導されるときに、どういう具体例をもって、これがマル1に当たるのですとか、マル2に当たるのですという説明をされるのか。参考があれば教えていただきたいのです。

○厚生労働省榎本医政局総務課長 ありがとうございます。

今、高委員長に御指摘いただきましたように、ここには両面考えなければならない要素があるかと思っておりまして、一つは、通常の普通の保険診療などで提供している医療機関についてのいろいろな情報を提供するという求めがある一方で、今、委員長に御指摘いただいたように、正にこの委員会からも建議をいただいておりますように、美容医療のように表現が必ずしも適切ではないようなケースも事例として出てきている。そういったところをどうはじいていくのかというところになってくるかと思います。

このため、今回の議論の中では、この四つの要件ということにしておりますが、特に美容医療といった場合には、このマル1マル2だけではなくてマル3マル4も含めてこういった要件を満たしていただくということが必要になってくると考えております。高委員長がおっしゃったように全てということになっておりますが、そういったものも、今回私どもとしては、新しく1-4でお配りをしておりますガイドラインで具体的な考え方なども詳細をお示ししながら、周知をしていく必要があるのではないかと思っております。これだけで見てもなかなか分かりづらいというのはおっしゃるとおりだと思いますので、周知などをしていくときには、どういったケースが当たるのかといったことを、もうちょっといろいろな資料を付けてお知らせしていくようにしてきたいと思っております。

○高委員長 ありがとうございます。

そういう意味では、医療に関する適切な選択に資する情報というのがマル3マル4とか、こういった内容ですよということを言わんとしているのですね。

○厚生労働省榎本医政局総務課長 はい。

○高委員長 ありがとうございます。

ほか、御質問はございますでしょうか。

蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 説明ありがとうございました。大変良い方向に動いているかと思います。

一つだけ質問なのですが、ネットパトロールは730件のうち85件と、今、ここにあるのですが、審査件数730件、これの抽出の仕方と、その後通知をして改善されたかどうかのフォローアップがされているかどうか。

それから、730件ですが、ウェブサイトは何十万件あるわけです。もう一つの問題は、ウェブサイトは印刷物と違いますから、検査されるときはすぐ変えられるのですけれども、またもとへ戻せるという非常に簡単な広告媒体なので、その辺りのところをどう見ていらっしゃるのかをお聞かせください。

○厚生労働省榎本医政局総務課長 ありがとうございます。

この審査については、おっしゃるとおり、まだ大海の中の一部だと思っています。ただ、今回初めてこういった形でやらせていただいておりますけれども、いろいろな事例が見えてきているところでもございますので、いずれそういったものをまとめて整理していくということも今後必要になってくるのではないかと思います。そういったものを具体的に情報提供しながら、発信に当たり気を付けていっていただくということも、取組として今後必要になってくるのではないかと思っております。

そういう意味では、今、蟹瀬委員に御指摘いただいたような、その後にどうなっているのかというフォローも、私どもとしても引き続きそこはよく考えていくようにしていきたいと思っております。御指摘ありがとうございます。

○蟹瀬委員 よろしくお願いします。

○高委員長 ありがとうございました。

ほか、ございますでしょうか。

大森委員、どうぞ。

○大森委員 広告規制が随分進んでよかったなと思っているのですけれども、広告で簡単に誘引されるのは防げたとしても、これは普通の医療ではなくて緊急性は低いので、いかにきっちりと情報提供されて、消費者が判断する時間を持てるかがとても大事な部分になると思うのです。今後の課題にはなるかと思うのですけれども、初めて医療機関を訪れたときに、説明をきっちりやるようなフォーマットみたいなものを渡して、まずは当日施術ということはなく1日目以降にするとか、そういうルール作りなどを進めていっていただけたらといいなと思うのですけれども、難しいでしょうか。

○厚生労働省榎本医政局総務課長 ありがとうございます。

大森委員のおっしゃることもよく分かります。要は、判断する時間的な余裕を持たせて、冷静な気分になってほしいという御指摘ですね。そういう意味で、自由診療については、インフォームド・コンセントが非常に大事だと思います。平成28年3月に事務連絡を一つ私どもの課から出させていただいておりまして、その中でQ&Aをお出ししております。そういった中で、今、先生に御指摘いただいたことも検討してみてほしいということをお伝えしているところでございます。ありがとうございます。

○高委員長 蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 別のことなのですけれども、最近テレビで、先生みたいな方が出ていらして、しみ取りが8,500円ですと安さで美容整形を売っていらっしゃるところが増えてきて、しかも、それはテレビで流れているのです。こういう時代になったのかと。そうすると、8,500円でしみが取れるのだったら私も行こうかなとか、結構そういうように思わせてしまう広告が最近ずっと流れています。

ちょっと話は違うのですが、美容医療って、これは医療じゃなく、美容セールスみたいな感じがするのですが、そういうところの規制は現状どうなっているのか。要するに、ぎりぎりのところで全部オーケーなのでしょうとは思うのですが、美容医療は高いと思っているところが安いと言われるとそこへみんな行ってしまって、その技術がちゃんとしているかどうかは分からないというようなことが起こりはしないかというのが懸念だったので、せっかくいらっしゃるのでお聞きしたいと思います。

○高委員長 広告ですか。宣伝、CMですか。

○蟹瀬委員 CMです。

○高委員長 そうすると、これは規制の対象になるということですね。

○蟹瀬委員 ただ、値段だからならないわけですね。

○高委員長 そうか。

お願いします。

○厚生労働省榎本医政局総務課長 御指摘ありがとうございます。

おっしゃるように、この夏お勧めとか、いろいろなパターンがあるところはございます。物によっては、費用を過度に強調するような広告になってまいりますと、品位を損ねる内容の広告ということで、ガイドライン上問題があるということで、そこは指摘をしていくことが必要になってくるのではないかとは思っております。

費用の置き方も、いろいろと幅を持って示すということであればそういったことは差し支えないというのは、実はガイドラインの中でもこれまでもお示ししているところではありますけれども、単純にこれがすごく安いのだという形でお見せをしたりすると、そこはやり方として問題が生じてくる可能性はあると考えております。そこは具体的な物を見ながら判断する必要があると思います。

○蟹瀬委員 ありがとうございます。

○高委員長 ほかはよろしいですか。

鹿野委員、どうぞ。

○鹿野委員 今、蟹瀬委員から御質問があった件について、更に質問させてください。

先ほど、テレビの広告でしみ取りが8,500円というケースが出てきました。私は直接見ていないので分からないのですが、おそらくしみ取りといってもいろいろなパターンがあって、8,500円で治療が全部可能という場合だけではないと思うのです。そのときに、一番安い価格が強調され、例えば8,500円と伝えられると、安いから行ってみようということになって、行ってみたところあなたの場合は何万円ですと言われると、そのときにすぐにやめるということはなかなか難しいところがあるのではないかと思います。仮にそのようなものであった場合、これはやはり誤認を招くことになってきますので、一定対応していただけると認識してよろしいでしょうか。

○厚生労働省榎本医政局総務課長 ありがとうございます。

まさに個別の話になってくると、個別に具体的に見た上で正式に言わないとという話になってまいりますが、一般論として申し上げますと、費用面を過度に強調したりとか、あるいはそれによって効果が上がるようなことを過度に表現したりという形になると、内容によっては誇大な広告になる可能性もあるかと思います。それは具体的な表現によって判断しなければならないのですけれども、そういった誇大広告の可能性でありますとか、場合によっては虚偽にもつながってくる可能性もあるかと思います。また、場合によっては、ガイドラインで言っておりますように、品位を損ねる内容ということにも該当する可能性もありますので、いろいろと引っ掛かり得る要素はあるのではないかと思います。そういったことも実態をよく見ながらちゃんと指導していくことがこれから必要かと思っております。ありがとうございます。

○鹿野委員 ありがとうございました。

○高委員長 増田委員、どうぞ。

○増田委員 価格のこともそうなのですけれども、手段についての説明ですね。今、二重まぶたを自分で作るのは大変ですが、簡単に手術でできますという広告がされています。それにはとてもリスクがあるにも関わらず、自分でのりを付けて二重にするのと同じ程度の手軽さでできるかのような表現になっています。メリット・デメリットを両方必ず表記するようなことは広告の原則だと思いますので、そういうところも含めて対応していただきたい。それがだめだと判断したのなら、広くそれを広報していただくことが必要だと思いますので、是非よろしくお願いします。

○厚生労働省榎本医政局総務課長 今、増田委員に御指摘いただいたように、手術、手技とか、それが誰でも大丈夫ですとか、誰でもこんな効果になりますみたいな話になると、これも一般論でございますけれども、そういった表現をすると、場合によっては不実の記載ということになってくる可能性もある。絶対に安全とか誰でもそうなりますというのは、今の医学の世界では個々の状態に応じて変わってき得るものでございますので、そこの表現ぶりは場合によっては過度なものになってしまうのではないかという判断にはなり得るのではないかと考えております。

○高委員長 ほかはよろしいでしょうか。

それでは、まとめさせていただきます。

今回の医療法改正によりまして、医療機関のウェブサイトなどが医療法の規定に基づく「広告」に位置付けられたこと、それから、体験談や手術前と手術後の写真を使用した広告について、禁止事項として省令に規定されること、こういうことにつきまして、私どもは大変有意義だと考えております。

今後、改正医療法の円滑な施行に向けて、その周知や規制範囲の拡大に伴う監視体制の強化が重要な課題であると考えておりまして、先ほど委員からもいろいろ御指摘がありましたが、誇大広告そのものは禁止の対象ということになっておりますけれども、具体的なケース、例えば先ほど言った価格とか手段とか、曖昧な表現、これを徹底する上では、もう一段の努力が必要になってくるのではないかと考えております。

これを徹底する上で、先ほど指摘がありましたけれども、厚労省だけではなくて、都道府県、消費生活センター等々の連携、これもしっかり考えていっていただきたいと思います。

たまたま今回のこの報告を聞く前に、平成23年の12月に出した消費者委員会の建議を見ておりまして、その後、厚生労働省で「医療機関ホームページガイドライン」というものを作成いただいて対応していただいたのですけれども、結果的に、その後PIO-NETなどに入ってくる苦情といったものがかなり増えていったということがございます。ですから、今回もこうやって法律の整理、省令、ガイドラインを整理していただいたわけですけれども、徹底する上で、執行する上で、一段の努力をお願いしたいと思っております。委員会としましても、今後もこの取組を引き続き注視していきたいと思っております。

本日はお忙しいところ、御出席、御説明いただきまして、ありがとうございました。

○厚生労働省榎本医政局総務課長 どうもありがとうございました。

(厚生労働省退席)

(消費者庁消費者政策課着席)

≪3.消費者基本計画工程表の改定素案について≫

○高委員長 第2の議題は「消費者基本計画工程表の改定素案について」でございます。

消費者基本計画の工程表につきましては、昨年6月に一度その改定が行われて以降、委員会では、これまで当委員会が発出してきた建議や、最近の消費者被害の実態なども踏まえてヒアリングを行うなど、調査審議を進めてまいりました。それらの結果を踏まえ、計画の実施状況に関する検証・評価において、特に留意すべき事項や計画工程表の見直しに向けて具体的に検討すべき課題について、昨年12月に委員会として意見表明を行ったところでございます。

その後、消費者庁を始めとする関係府省庁などでは、この意見も踏まえつつ、工程表の検証・評価及び見直し作業を行い、この度工程表の改定素案が取りまとめられたところでございます。

本日は、工程表の改定素案の内容について消費者庁から御説明をいただいた上で、意見交換をさせていただきたいと思っております。消費者庁河内消費者政策課長、澤野企画調整官にお忙しいところ御出席をいただいております。

御説明は20分程度でございますけれども、よろしくお願いいたします。

○消費者庁河内消費者政策課長 消費者政策課長の河内でございます。

お手元に資料2-1から2-3まで3種類あると思います。工程表それ自体は2-3ということで、非常に大部の資料になってございます。まずは資料2-1に沿って御説明いたします。毎年そうなのですが、消費者基本計画自体、この資料2-3は非常に大部のものでございますので、大体我々は政務三役ですとか、あるいは国会議員の先生方に御説明するときに、資料2-1のようなダイジェスト版のようなものを毎年作っておりますので、これに沿って簡単に御説明したいと思います。

資料2-1の表紙をめくっていただきまして、1ページ、消費者基本計画工程表は何かということが書いてございます。消費者基本法に基づきまして、消費者基本計画というもの、大体これは5年計画で作っております。5年ごとに消費者基本計画を見直しているわけですが、現行の第3期の基本計画から、5年間の中でそれぞれの施策の実施状況を進捗管理するために工程表を毎年見直しているということでございます。ですから、1期、2期の基本計画のときには、こういう工程表というものはなかったのですが、現行の基本計画になってから作り始めたということで、今回は3年目の基本計画工程表の改定ということになります。

2ページ、これが工程表の目次のようなものでございまして、まず左側に「1 消費者の安全の確保」から「6 国や地方の消費者行政の体制整備」というものまで、これが現行の第3期基本計画の6本柱ということになっております。この6本柱全てについて説明するのは非常に長くなりますので、今回、この資料にまとめさせていただいた項目としまして、右に黄色い吹き出しで記載した今回新たに記述している項目を始めとして、入っていないものもいっぱいあるのですが、個々の項目が大体工程表のどの項目に対応しているかということで作った目次のようなものでございます。

3ページ、今年の概要版の目次でございます。それぞれの中身について、御説明は割愛いたしますが、今年の概要版をどう作ったかということで、3ページの目次で御説明いたします。まずA、B、C、D、Eということで、五つの大きな話に分けてございます。

一つ目のAはSDGsの推進に関する取組ということで、御案内のとおり、これは国連でSDGsという持続可能な開発目標というものを作成しました。日本国政府としましても、これに非常に熱心に取り組んでいるところでございまして、SDGs推進のための閣僚会議を設けまして、その閣僚会議決定ということで、日本国政府としてのSDGsの取組方針をまとめたところでございます。

ただ、現行基本計画を作成したときには、SDGsはまだございませんでしたので、中身を見ますと、非常に幅広い網羅的なものではございますが、消費者行政に関わる内容も多々含まれておりますので、このSDGsに関連する項目をまとめたというのが、このAということでございます。内容的には子どもの事故防止、高齢者被害の防止、倫理的消費、食品ロス、消費者志向経営ということで、必ずしも国連のSDGsそのものに書いてあるわけではないものも入っているのですが、国連のSDGsを受けまして、日本国政府としてまとめた施策集の中に入っているものをまとめたものがAということで御理解いただければと思います。

Bは政府としての重要施策の推進に関する取組ということで、三つ挙げてございます。一つ目は、成年年齢引下げへの対応ということで、今国会で法務省から成年年齢引下げについての民法改正法案を出すべく準備していると聞いておりますが、成年年齢を引き下げた際に、消費者被害の増加が懸念されるということで、それについて消費者行政としてどういう対応をするのかをまとめたのが、この1でございます。

二つ目、ギャンブル等依存症対策の強化ということで、これはIR法案、IRの基本法が成立しまして、実施のための法案はこれから議論されることになると思うのですが、IRですので、複合的施設ということなのですが、カジノも含まれるということで、そうした状況も念頭に置きながら、政府としてギャンブル等依存症対策を推進していきます。ギャンブル依存症自体は、いわゆる疾病ということなので、直接消費者行政としてそれを治すことはもちろんできないわけです。ただ、多重債務問題などと密接に関連しまして、消費生活センターなどへ、ギャンブル依存症の方が多重債務ということで相談に来られることも多いということなので、もちろん多重債務問題についての助言ということはするのですが、あるいは、厚生労働省がやっているような、いわゆるギャンブル依存症そのものの治療・回復に関することだとか、ほかの関係行政機関で対応すべき内容ということもあります。そういったときには、そちらの連絡先を速やかに教えてあげるというような形で、各省連携してギャンブル等依存症対策に取り組むということになっていますので、そういったものをまとめてここに入れてございます。

最後、観光先進国ということで、政府としての重要政策は観光先進国だけではなくていろいろあるのですが、消費者行政に関係しそうなものが含まれているということで、観光先進国とのくくりでまとめています。政府全体の話で言いますと民泊の制度についての法律が成立し、施行準備を進めている話もありますし、あるいは訪日外国人が日本に来て消費生活相談をしたい場合の相談体制の整備ということで、消費者庁は観光庁と連携して取り組もうとしておりますので、そういった内容を入れているのがBでございます。

Cは高度情報社会の実現に関する取組ということで、二つ書いてございます。一つ目は、電気通信サービスに係る消費者保護ということで、これは基本的には総務省中心でございますが、現行、電気通信サービスについての様々な消費者行政というものを段階的に計画的に総務省で進めておりますので、そういったことについてまとめているということでございます。

二つ目が、決済手段の高度化に関する取組ということで、例えば仮想通貨ですとかクレジットカード、サーバ型電子マネーといったような決済手段の高度化ということも高度情報社会の進展に応じて起こる。これに対する消費者行政の取組というものも近年進んでおりますので、高度情報社会に関する取組という中で、これについてまとめているということでございます。

Dは食品に関する取組でございます。去年にもございまして、食品については国民の御関心が非常に高いということで、食品の安全・安心の確保、食品ロスの削減、食品表示の充実といった、項目も去年と一緒ですが、毎年編集を変えて目新しくして皆さんに御関心を持ってもらおうとは思っておるのですが、ここは去年と全く同じ内容のものを挙げてございます。

最後のEは消費生活における安全・安心の実現に関する取組ということでございます。施策の粒度によってまちまちなのですが、一つ目が、事業者におけるガバナンスの確保等に関する取組。発端は例のてるみくらぶの問題がございまして、その問題を受けまして、観光庁で検討会を開いて、消費者庁からもオブザーバー参加したのですが、旅行代理店としてのガバナンスの在り方をどうすべきかという検討会を開いて、結論が出ましたので、そういった中身でガバナンスの確保ということでまとめたものです。その文脈でいきますと、JIS法の話ですとか、他の項目もありますので、それらをまとめてガバナンス確保として整理しています。もちろん公益通報者保護関係の話もございますので、そういう様々なものをまとめているのが一つ目でございます。

二つ目が、消費者行政における執行力の充実に関する取組ということで、我々消費者庁、もちろん消費者契約法のようないろいろな制度も持っておりますが、特商法とか、様々な執行機関でもございまして、執行力の充実ということも消費者庁の大きな課題でございますので、消費者行政における執行力の充実に関する取組というものを今回ひとまとめにしてお見せするということで、二つ目にまとめてございます。

三つ目と四つ目は個別事案の対応になっておりまして、その時期に非常に世間の関心を集めた個別事案について、消費者行政としてどう対応していたのかということは去年にもまとめてございます。今年も臍帯血の話と美容医療、美容医療は去年もあったのですが、美容医療については世間の関心も大きいかなということで、Eの中にまとめておる次第でございます。

簡単ですが、資料2-1については以上のような説明でございます。

次に、資料2-2を御覧いただきまして、先ほど委員長の冒頭の御発言にもございましたが、去年の12月20日付で消費者委員会からの御意見を頂戴しまして、そのいただいた御意見についての対応関係をまとめてございます。これも中身が非常に膨大でございますので、内容は御覧いただければと思います。

若干補足いたしまして「1.民法の成年年齢引下げに対する対応について」の対応状況ということでございます。いただいた御意見では、民法改正を待たずに直ちに取組を始められる事項については、その取組等の内容、スケジュール等を工程表に記載されたいという御意見をいただいております。

工程表該当部分ということで、括弧書きの中に幾つか書いてございますが、幾つか簡単に御紹介します。資料2-3でございます。125ページに工程表の線表がありまして、4の(2)のマル2でございます。線表の字が黒字と青字でございますが、これの上から2段目のところ、青字で、今年追加した項目ですが「消費者教育推進計画の内容の充実及び消費者教育推進地域協議会の取組の充実の支援・促進」ということで、30年度から消費者庁と文科省で取り組むという記載を新たに追加しております。

126ページ、(2)のマル4です。中央辺りに「教材を使用した授業の実施」という1年分の矢印があって、その横に「試行の検証を踏まえた全国での活躍の推進について方策の検討・実施」ということで、これだけ読んでもよく分かりませんけれども、消費者教育のための高校生用の教材というものを消費者庁で開発しまして、徳島県の消費者行政新未来創造オフィスというものがありますので、徳島県庁の御協力も得まして、その教材を使った消費者教育というものを、今年度、徳島県下の全ての高等学校で実施してもらっているところです。その実施した結果を踏まえたフィードバックをもとに、また教材の内容、あるいはその使い方みたいなところ、これは教科書でよくある先生用の指導用の冊子も併せて作っていますので、そういう教材と指導用冊子の検証を踏まえた改良も行いながら、来年度以降、全国展開していきたいと考えていますので、その項目についてより詳しく今年度の工程表には書いているところでございます。

これで最後ですが、128ページでございます。4の(2)のマル6、一番上の参考の部分ですが、文部科学省で新学習指導要領というものを改訂しまして、これが順次32年度以降実施されるということで、その分を追加しているということと、上から3本目の矢印でございますが「現職教員研修や教員養成課程等における消費者教育に関する取組についての実態把握及び各実施主体への情報提供」ということで、これは成年年齢引下げについて、消費者委員会からいただいた提言にもこういう内容が盛り込まれていたと思います。消費者教育というものを成年年齢引下げに併せて充実させていく中で、もちろん先ほど申し上げた教材の開発みたいなものもありますし、あるいは外部実務者の学校での講座の促進といったこともある。あとは実際の学校の先生方についても消費者教育について習熟していただくためのカリキュラムを充実させるということで、研修とか教員養成課程といったところで、そこで消費者教育について学んでいただくような機会を増やすということで、追加しているということでございます。

最後に「2.食品表示について」というところでいただいた御意見の中で、食品表示制度の理解度に関する指標ということと、理解度の定義についてということで、それを明確にKPIとして適切に設定されたいという御意見をいただきましたが、これについては担当で検討中でございまして、今、ここでこういう定義でこういうKPIを設定しましたというのはまだ御説明できませんが、その点は御容赦をいただきたいと思っております。

あとは、この資料2-2に書いたような形で、いただいた御意見については対応しているというところでございます。

簡単ですが、私からの説明は以上でございます。

○高委員長 ありがとうございました。

ただいまの説明に関しまして、御意見、御質問はございますでしょうか。

増田委員、どうぞ。

○増田委員 私から、以前よりしつこく申し上げて申し訳ないのですけれども、ギャンブル等依存症対策の強化ということが取り上げられているのですが、これだけが非常に目立つ項目となっているのが、消費生活センターに勤務する者としては非常に違和感があります。多重債務にも直結していますので、それについては分かるのですが、多重債務に関しましては、既にしっかりと消費生活センターでは対応しているということと、研修も積み重ねているという状況からすれば、こういう精神的な問題を抱える御相談者に対する対応というくくりのほうがむしろいいのではないか。

例えばギャンブルだけに限らず、オンラインゲームに依存してしまうとか、いろいろな依存というものがありまして、どこかにつなげるということだけであれば非常に詳細なマニュアルなどというものは必要ないわけですので、精神的な問題を抱えている人に対する対応というようなところまで広げたものとして展開していただくというのが実質的な効果につながるのではないかと思います。是非是非、その辺りはお考えいただければと思います。

○消費者庁河内消費者政策課長 御意見は承りました。例えばゲーム依存症みたいな話があったように、おっしゃるとおり、いろいろありまして、幅広く物質依存や行動上の嗜癖を取り上げるというのもまとめ方の一つの考え方だと思うのですが、ここでは、IRも念頭に置く中で、ギャンブル等依存症対策のような今の政府の大方針に関連するものを取り上げましたという編集方針です。おっしゃるような編集方針はもちろん非常に有効だとは思いますが、これについては、現在の政府の施策に深く関係するものということでまとめてみましたという一つの考え方ということで御理解いただければと。ただ、いただいた御意見はまた来年度以降、よく検討したいと思います。

○高委員長 ありがとうございました。

大森委員、どうぞ。

○大森委員 成年年齢引下げの対応なのですけれども、スピード感がもう少し必要ではないかという気がしています。引下げが決まることが目の前にあるのに学校現場では消費者教育が苦手で余りされていないとか、いろいろな状況があって、文科省の教育指導要領に任せていては不十分ではないかと思います。

学校の先生も大変お忙しいので、タイムリーな消費者被害とか、そういうことに対応するためには、消費生活センターとの連携が不可欠になりますので、そういうコーディネートできるような方策とか、学校のカリキュラムの枠にとらわれなく実施できるようなこととか、そういうことをもうちょっと具体的に進めていかないと間に合わないのではないかと大変危惧しています。

質問なのですけれども、高校の教材はできて、徳島でいろいろ実験されていて、今度全国展開するということで、地方での実績は徳島が非常に協力的なのでいろいろ集まると思うのですが、都会でやる場合はどういう形で実施する予定なのか、その辺りを具体的に考えていかないといけないのではないかと思っています。そこをお聞きしたいです。

小中学校の教材も検討、作るという長い帯表になっていますが、高校と並行して進めないと間に合わないと思うのです。子供は順調に大きくなってくるので、それも同時進行でもう少し具体的に詰めていかないといけないのではないかと思っているので、その辺りのお考えをお聞かせください。

○消費者庁河内消費者政策課長 おっしゃるとおりで、徳島県は協力的なので今年度は非常にうまくいったのですけれども、では、これからどう全国展開するのかというのが重要なところです。これは学校でやることですから、文部科学省の御協力無しにはできないということで、今、具体的に何年度にはこうやって、次の年度にはこうなってというようにお示しできればいいのですが、まだそこまでは行っていない状況でして、どういうやり方でやるかというのは、担当と文部科学省で鋭意調整中と聞いております。調整結果があればここに書いているのですが、今、こういう記載になっているということは、そうした具体の内容は今後固まってくるということなのです。ただ、法案が今国会にも出るべく準備しているということですので、そこは対応をより具体化して進めていくように、担当には申しておきたいと思います。

○高委員長 私も関連して発言させてもらっていいですか。これまで河内課長のほうでいろいろ我々の意見を受けて対応いただいているかと思うのですけれども、12月に出した意見は七つありました。その中の一番最初に挙げたものは、特に力を入れてやっていただきたいのです。今、大森委員からも指摘があったのですけれども、とにかくすぐにアクションを起こさなければいけない。そういう観点で、先ほどの126ページ、128ページもそうですね。これを見ていくと、例えば128ページの下のほうに「教材を使用した授業の実施」というものが29年度のところにあります。30年度に入って、また今度は検討して、それが検討と実施と、ずっと続くわけです。これでは全く我々が提言した第1の意見に応え切れていないなと思います。何をやっていいのかよく分からないとお答えしましたけれども、それを考えてこれに書き込むのが工程表でやるべきことだと考えます。厳しいのですけれども、そこをやっていただきたいと思います。

それから、最初にいただいた2-1の資料でいくと14ページになるのですけれども、これは我々の12月の意見では申し上げていなかったのですが、下から4行目ぐらいに「適格消費者団体及び特定適格消費者団体に対する支援」云々という記載があるのです。これはいただいている分厚い資料の171ページを見ても、支援のところは「の在り方の検討」というのを消して「に関する取組」とされているのですが、もうそろそろ積極的にこの団体をどう活用していくかを考えていただきたいと思っております。

さらに、一番下のところに「加害者の財産の隠匿又は散逸の防止」云々という長いバーがあるのですけれども、今回の預託商法などの話を考えていくと、もうここには書き込むべきことがあるのではないか。どういうことを議論しなければいけないのか、そういうものもここに書き込んでいただけないかというのが、二つ目です。

三つ目が、私どもが意見を提出しておりました紙でいきますと、机上に配付している資料なのですけれども、3ページの特定商取引法の適用除外とされている法令等というので、これはこちらでも御対応いただいて、この資料の215ページに、適用除外となっている法令については各省庁で対応していますという一覧をもらっているのですけれども、我々が申し上げたかったのは、適用除外となっているところがどのように対応されているのかという話ではなくて、消費者庁とどう連携をしていくのかというところ、それをまた工程表の中に明示していただきたいというのが意図でございましたので、この点も御検討いただけないかと思っております。よろしいですか。

○消費者庁河内消費者政策課長 ありがとうございます。

成年年齢の話と適格消費者団体の話、おっしゃるとおりで、我々もこれを作るときには、より具体的な内容をちゃんと、せっかくこういう線表にしているわけですから矢印にして書いてくださいというお願いをしているのですが、なかなか担当ではうまくやっていただけない部分がございます。変な言い訳をしても仕方がないのですが、我々もそういうつもりでやっておりますので、そこはなるべくそうした記載になるように。

○高委員長 スケジュールの中に入れていただきたいです。お願いいたします。

○消費者庁河内消費者政策課長 そのようにより働き掛けていきたいと思っております。

最後の特商法の適用除外の話は、おっしゃった趣旨に沿って前向きに検討させていただければと思います。

○高委員長 よろしくお願いします。

○消費者庁澤野消費者政策課企画調整官 補足させていただくと、本文の178ページなのですけれども、いわゆる支援の在り方についてにじみ出している記述もございますので、この辺りを含めながら、帯表に少し盛り込めるように検討してまいりたいと思います。

今、課長からも申していただいたのですが、別表1-1の関係、個別法で、自治体で執行しているようなところもあったりしますので、各省との連携について少し作戦を練りながら対応していければと考えております。いただいた御意見を踏まえて取組の進め方を整理してまいりたいと思います。

○高委員長 よろしくお願いいたします。

ほかに御意見はございますか。

池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 池本です。

今の高委員長の発言とも少し重なるところなのですが、今回の出されたもの、これまで当委員会からもいろいろ議論をしていた中で、今の制度の中での運用として、こういうことは努力しますというところは見えるのですが、もう一歩踏み込んで、法制度の枠組み自体の見直し検討をしてみる。それを踏まえて、また一歩先へ進めるという部分がどうも踏み切れていないのかなという気がするのです。

先ほど、適格消費者団体の話がありましたが、例えばインターネットの被害が、今、非常に増えているが、消費者庁はできるけれども、都道府県は自分の都道府県の中で違法な行為をするなということを処分で行う権限はあるけれども、全国に自動的に展開しているネット取引については手の施しようがない。そうすると適格消費者団体、最近も幾つかの団体がやっていますが、ネット広告画面での不適正な表示について、虚偽・誇大広告の差止めという形で取り組んでいて、効果を上げていたりするのですが、適格消費者団体に与えられている権限について、見直しの必要がもっとあるのではないか。委員長から出た合理的根拠資料の提出要求、みなし規定のようなものもその一例なのですが、これをこう変えますということを何も議論しないで書くことは当然できませんが、もうちょっと広げた、そのことについての権限を含めた見直しを検討するというようなところを、内部的な議論をしていただく必要があるのではないかということ。

同じようなことになると思うのですが、これは212ページの、都道府県における法執行強化、これは昨年の消費者庁の中の検討会では、財政支援、警察OBや法曹専門家の登用についての支援というところがあって、それは今回の強化交付金の中で項目として出ているという点は評価できます。ただ、もっと根本的には、実は昨年の夏の当委員会から提言を出したところですが、根本的に職員の配置をどう増やしていくかということも含めて、具体的に何をこうしろということまではまだ私たちも決め打ちはできていないのですが、そういった制度枠組みや消費者庁としての取組の在り方自体の検討を、検討会を開くなりしてもう一歩踏み込んだ議論が必要ではないか。例えばこの法執行の強化というところでは、そういうことも含めた制度枠組みの見直しが必要ではないかということも問題提起してきたつもりなのです。

ただ、そういうところが、今の制度枠組みの下でのこれをやりますというところは担当課で簡単に書けるけれども、制度の見直しというところはなかなか踏み込めていない。多少抽象化してでも今後それについて検討するというような方向性だけでも打ち出せるものはないのだろうかということを投げ掛けていただければと思います。

○消費者庁河内消費者政策課長 ありがとうございます。

工程表ですので、やっていないことを書くわけにはいきませんので、ただ、こういう形でお示ししたからこそ、そういう不満点みたいなものが見えて御意見をいただいたということで、それが工程表を作る意味だろうと思いますので、いただいた御意見は担当にしっかりと伝えたいと思います。

○高委員長 よろしくお願いします。

ほか、ございますでしょうか。

鹿野委員、どうぞ。

○鹿野委員 個別の点について、Cの2の決済手段の高度化に関わるところのうち、特に仮想通貨について一言申し上げたいと思います。

御存じのとおり、先日コインチェックにおける仮想通貨の流出ということが報道されまして、それによって利用者の仮想通貨市場に対する不安、不審が増大したと認識しているところでございます。この個別の案件については、恐らく金融庁が対応しているところだと思うのですけれども、今後に向けて、このようなセキュリティーの脆弱性による利用者の被害、ないし利用者にもたらされる困難について、それを未然に防止あるいは、被害が生じたときには適切に対応するというようなことについても、特に消費者保護の観点から考えていく必要があるのではないかと思います。

仮想通貨については、消費者委員会から既に12月に出させていただいた意見の中でも、資料2-2の7ページに書いてあるように言及がありました。そして今回、資料2-3の95ページに、これに対応する記述を入れていただいたところです。けれども、その後にこのような問題が起こりました。95ページのところでは、詐欺的行為をする事業者が出てきたということと、仮想通貨が投機対象として取引されているということなどを踏まえて、消費者保護上の問題が生じているかをモニタリングするということが書かれているのですが、今、私が申し上げた点は、またちょっと違います。詐欺的事業者というわけでもなく、あるいは投機だからというのともちょっと違う観点だと思いますので、是非、その辺りについても一言盛り込んでいただければと思います。

○消費者庁澤野消費者政策課企画調整官 お答え申し上げます。

仮想通貨の関係でございますけれども、95ページから96ページにかけて、私どもと金融庁、それから、警察庁の3庁連携の注意喚起の資料を出させていただいたときにも、特にいわゆるサイバーセキュリティーリスクに留意していただきたいということを、取引を利用される方々に特に重点を置いてお伝えしているところなのです。その辺りも出るように少し本文なども工夫をさせていただくのと、基本的には金融庁のお話になるのかもしれないのですが、たしか直近で審査基準の改正やガイドラインの策定もされていたように承知をしているので、パブリックコメントをかけさせていただくのと並行して、そういった時点更新を不断にこなしていく観点から記述を精査してまいれればと思います。

○鹿野委員 よろしくお願いします。

○高委員長 蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 前にこれを見せていただいたときに、どうして二つあるのだろうと思っているところがあったのですが、食品ロスの削減国民運動と食品ロス削減推進、これはわざと二つ挙がっているのですが、それは意図的に挙がっているのか。この中で見ると1カ所で全部説明されているのですが。

○消費者庁澤野消費者政策課企画調整官 12ページの最初のほうのタイトルの部分のところということですね。そこなのですが、D-2の部分につきましては、昨年以来使っていた、より包括的な見出しを使わせていただいておりまして、4ページから5ページにかけてのSDGsのところを御紹介している部分の項目ベースの記述が3ページにも書かれているわけですけれども、ここについては工程表の見出しをそのまま持ってくる形で転記していたものですから、現時点で不統一が生じているものでありますので、分かりやすさを追求してそろえる形も含めて対応させていただければと思います。

○蟹瀬委員 このたったの1ページの中に二つ載っていると、どのぐらいすごいことをやっているのみたいな感じがするのですが、食品に関しての取組をずっとなっている中のロス削減というものがあるのですが、もしSDGsでここに書かれている各省庁がすごく頑張ってやってくださっているのであればそこだけ残して、食品のほうは外していくやり方もあると思うのです。これは安全性の問題を言っているものもありますけれども、この分厚いほうがすごくよく出来ているために混乱を招いてしまいます。

○消費者庁澤野消費者政策課企画調整官 SDGsのところについては、先ほど課長からも申し上げたように、SDGsの性格を4ページの上の灰色の箱書きにも書かせていただいているのですが、国際的な戦略目標だというところも踏まえて、比較的再掲感があるのですけれども、全体の分量を圧縮しながら、この4ページの一番下の「1 子どもの事故防止」から始まって、次のページの「5 消費者志向経営」までかなり圧縮しながらダイジェスト的にお見せしている格好です。特に食品の関係は、先ほど課長が申したように、個別のかなり細かな施策の実施部分まで御関心が強いので食品ロスが再掲になってしまっている形になっているのですけれども、別途ページを設けさせていただいているという形でありまして、ページ間のクロスレファレンスの関係を整理するような形で、いただいた御指摘をこなさせていただければと思います。

○蟹瀬委員 是非お願いします。小さな問題が大きな問題のところのレベルにいってしまっていると、それをすごく大事にしているのかなという工程表に見えてしまうので、全部大事なのですけれども、強弱を見せていただければ分かりやすいかなと思います。

○消費者庁澤野消費者政策課企画調整官 分かりました。

○高委員長 ほかはよろしいですか。

長田委員、どうぞ。

○長田委員 まず一つ目は、昨年も御意見を申し上げて、先ほど食品表示の理解度のところでは検討中というお返事でしたけれども、全体的にKPIをアウトカム指標で追加設定を検討していただきたいと言って、検討していただいた結果、変わったところを教えてください。

こちらの改定素案について3ページのところを見ていると、A、B、C、D、Eは、それぞれ取組名は大きいのですけれども、書いてあるものが非常に個別的だし、政府として、例えば高度情報社会の実現に関する取組で、電気通信サービスに係る消費者保護と決済手段がメインだと考えていると取られてしまうと思います。現在、高度情報社会の実現に関する取組といえば、実際にいろいろ省庁でやっていらっしゃるAIとかIoTとか、個人情報保護法ができた後の様々な履歴情報をどう使っていくかということで、私は余り名前が好きではありませんが、情報銀行の検討も実際に行っている。そういうものが書かれなければ、先ほど政務や議員の皆さんに御説明なさるとおっしゃいましたけれども、このペーパーを作っている意味がないと私は思いました。

とにかく、アウトカム指標に変わったところを教えてください。

○高委員長 食品表示の話だけではなくて、全体についてですか。

○長田委員 食品表示だけではなくて全体で、食品表示は検討中というのは承りましたが、それ以外で。

○消費者庁澤野消費者政策課企画調整官 済みません。今、個別具体に何ページというところは失念しておりますが。

○長田委員 ページ数はいいので、例えばどういう施策のところはアウトカムに変わりましたというぐらいでいいです。探しますから。

加えれば、線表のバーが細かくなりましたよとか、先ほどの御説明のどこかにあった適格消費者団体を支援する基金の広報・周知をしますだけ、たしか本文も書いてあるのですけれども、それは具体的に何をするのかを書くのがこの計画だと思うのです。しますではなくて、何をいつするのかを書くという作業をして、この間に何か変えられたものという成果を教えていただきたいのです。

○高委員長 多分、非常に難しいことを我々は申し上げているのですけれども、12月に出させていただいた意見の最後の部分は、そこなのです。漠とアウトプットはこういうものになるのでしょうではなくて、アウトカムとしてここを目指すのだというものを示していただきたいという意味で、今、長田委員から御発言があったのだと思います。

○長田委員 重ねて言えば、これは2回目なので、前回、去年の工程表のときにも同じどこか変わりましたかという質問をして、なかなか各省庁が実現できていないというようなお話でお返事をいただきました。それは1年前の話ですので、この1年間の努力の結果を是非教えていただきたいです。

○高委員長 突然言われてなかなかお答えできないかもしれませんが。

○消費者庁澤野消費者政策課企画調整官 アウトプットとアウトカムの区分がなかなか悩ましいところも正直なところありまして、一概にこれがということが申し上げづらく恐縮なのですけれども、消費者庁が特にという世界でなくて、先ほど若干遠いのではないかとおっしゃっていた176ページの依存症の関係などですと、数値目標というのが、何かをやった回数という形に、そこが直裁につながるのかというところはあるのですけれども、例えば消費生活相談の件数という形で、できるだけ誘導指標で持っていけないかというようなことで掲載をさせていただいています。

あるいは、上のほうにあるような、相談体制をできるだけ津々浦々という中で、消費生活相談窓口の設置状況であるとか、比較的、より広い高次の目標に沿うように、特に新しく立てたものはそうなるように努力はしているつもりではあるのですけれども、なかなかどうしても拾いやすい数値ですとか、実績というところで指標が構築されている部分があるところから、なかなか改善し切れておらずというところがあるかもしれませんが、不断に見直しながら対応してまいりたいと思います。

先ほどおっしゃっていただいた、個別の特にAIですとか、そういった辺りを入れたほうがよいのではないかというお話なのですけれども、確かに個別の話としてAIを活用していくという政策課題が、AIの活用が重要だというようなところだとか、生産性革命というところに意を用いていく必要があるという形で、政府全体でも政策的な戦略が構築されているところではあるのですけれども、個別の消費者施策という中で、情報量の格差を中心とするようなところに、個別具体の施策ツールとしてAIあるいはビッグデータというところが予算とか制度上の措置という形で導入され、具体のマイルストーンが明らかになるところまでいっているものを承知し切れていない状態であります。

今後、御案内かとは思うのですけれども、新たな消費者基本計画についても、当庁で、今、在り方の議論をいただいているところでございまして、次の計画は2020年を初年度とするという中で、東京オリパラを迎える年に初年度を迎えるという時代の転換期でもありますので、そういった状況をふまえて、大所高所から世の中の捉え方から御議論いただいているところでございます。また進捗状況に応じて、消費者委員会にも御報告等々させていただきながら進めてまいれればと。その中で盛り込みながら工夫してまいりたいと考えております。

○長田委員 では、せめて、徳島で高校の授業を全校でやりました、やりましたではなくて、やった結果、高校生たちがどうだったかなどということを評価の中に入れた上で、全国に展開できるのかどうかというのが読み取れるような検証・評価を平成30年度にはやっていただいて、その結果を書き込んでいただきたいと思います。

○高委員長 大森委員、どうぞ。

○大森委員 この素案の3ページのAのSDGsの推進関連なのですけれども、この「1 子どもの事故防止」とか「4 食品ロス削減国民運動」などは、運動とか展開とか、そういうことを5年間書いているのですけれども、実は、このAに書いてある五つの項目とも、一番キーになっているのが消費者教育だと思うのです。具体的に消費者教育のことを書かない限り、これは進まないと思います。消費者基本法で、全ての国民が消費者教育を受ける権利があるということはうたわれていますし、消費者教育推進法もできているにも関わらず、普通の会社員とか普通のお母さん、ほとんど消費者教育を受けていません。ここは是非線表の中に具体的な消費者教育を盛り込んでいただきたいと思います。お願いします。

○消費者庁河内消費者政策課長 検討させてください。これはいかにも役人的に、工程表にあったものをまとめただけと言ってしまえば詮ないのですが、どうしてもそういう形で作ったものですから、SDGsの中に消費者教育をどう位置付けるべきか。こちら自体はもちろん消費者基本計画に入っているのですが、SDGsという形でまとめたときにどう位置付けるべきかということは、内部で検討させていただければと思います。

○高委員長 ほか、よろしいですか。

鹿野委員、どうぞ。

○鹿野委員 先ほど長田委員がおっしゃったAIに関してですけれども、今回は具体的な形でこの工程表に盛り込むことは難しいというお返事でした。ただ、AI社会の進展というのは日々刻々と進んでいるので、それが進んでから消費者保護を考えればいいというわけではなく、それと同時並行的に消費者に対する影響がどうなのかということを検討していくことが必要なのだと思います。

先ほどのお返事では、少なくとも次回には具体的に工程表に盛り込んでいただけるのだと受け止めました。本当はここに言葉を書き加えていただくことをなお願ってはいるところなのですけれども、仮に今回の工程表に明確な形で盛り込まれないとしても、今後に向けて取組を是非進めていただきたいと思っております。

○消費者庁河内消費者政策課長 その問題意識は我々も共有しているつもりでして、こういう高度情報社会の実現に関する取組というCという項目を立てたのも、そういうことを盛り込めないかという幹部の思いがあったのですが、どうしてもここに書いてあることをこちらに載せるしかできませんので、もちろんAI、ロボット、IoTについての取組は各省様々やっているのですが、それを消費者行政という切り口で捉えるとなると、なかなか各省でそういう意識がないので、そういう切り口でここに載せるということはなかなか御理解が得られないということで、ここに載せられないということなのです。

とはいっても、そういったものについての消費者行政、政府の取組はどうなっているのだという国民の御関心はもちろんあろうかと思います。ただ、相手がある話ですので、引き続き関係省庁にはそういう形で取りまとめをしたいのだということで働き掛けはしていきたいと思いますが、なかなかお約束するのは難しいのですが、問題意識は共有しておりますので、そういう形でやっていきたいと思います。

○高委員長 山本委員、どうぞ。

○山本委員 AIに関して申し上げれば、一番足元の問題としては、昨年ですか。消費者委員会の専門調査会で、事故情報の活用に関して、もう少しいろいろな情報技術を活用することが考えられるのではないかという報告書をまとめました。そういうこともありますので、今回盛り込めるか、あるいはその次になるか分かりませんけれども、まず足元の消費者行政の在り方に関して、AIを活用していくということを少しお考えいただければと思います。

○高委員長 ほか、よろしいですか。

今日、もうちょっと意見を収束させようかと思ったのですけれども、いろいろな意見が出まして、そちらも対応は大変かと思いますけれども、とりあえず今日いただいた改定素案をもう一度我々委員の間で精査させていただきまして、もちろん、今日いろいろ委員の方々から意見がありましたので、そちらも対応できるところは対応していただきたいのですけれども、我々としても、もう一度改めてこれを精査させていただいて、この後、個別の施策で、地方消費者行政の充実に向けた取組、この話も伺うことになっておりますので、それを踏まえた上で、改めてまた意見表明をさせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

今日はありがとうございました。

○消費者庁河内消費者政策課長 ありがとうございました。

(消費者庁消費者政策課退席)

(消費者庁消費者教育・地方協力課着席)

≪4.地方消費者行政の充実に向けた取組について≫

○高委員長 最後の議題は「地方消費者行政の充実に向けた取組について」となります。

地方消費者行政につきましては、これまで地方消費者行政推進交付金などによる支援が行われており、消費生活センターの整備や消費生活相談員の配置・増員や、消費者教育などの面において、消費者行政の充実に寄与してきたところでございます。

消費者行政の充実・強化には、こうした支援の果たす役割は重要なものと考えられます。消費者庁においては、平成30年度予算案において、これまでの地方消費者行政推進交付金に代わって地方消費者行政強化交付金を打ち出したところでございますが、本日はこの新たな交付金の仕組みや今後の地方消費者行政の充実に向けた取組全体について、消費者庁から説明をいただいた上で意見交換をさせていただきたく思います。

消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長にお越しいただいているところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

20分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 消費者庁消費者教育・地方協力課長の尾原でございます。本日は地方消費者行政の充実に関しまして、説明の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。

それでは、本日事前に事務局からヒアリングに当たり、三つのことについて主に御説明いただきたいといただいております。一つ目は、今、委員長から御説明のありました地方消費者行政強化交付金に来年度変わるわけですが、その仕組みについてという話。あわせて、その中で地方の消費者行政の後退を防ぐために、特に例えば消費者委員会からも提言をいただいている法執行の充実・強化ですとか、あるいは消費生活相談体制の整備についてというところが一つ目のところかと思います。

二つ目は、地方の消費者行政強化作戦でございます。我々も先ほどの説明にありました当庁の消費者政策課が担当した基本計画の現計画において、27年度のところから、誰一人、どこに住んでいても質の高い消費相談、あるいはあっせん等のサービスが受けられるということで、都道府県と一緒になって地方消費者行政強化作戦に取り組んでおるところでございます。それが二つ目でございます。

三つ目が、地方公共団体における消費者行政における自主財源の充実について、消費者庁としてどのような取組をしているか。この三つについて、お手元の資料を引用させていただきながら、御説明をしたいと思います。

まず一つ目の地方消費者行政の強化交付金はどういうものかというところから御説明をいたします。お手元の資料3-1を御覧いただいてもよろしいでしょうか。字が小さくて大変申し訳ありません。制度自体は、今年度までは地方消費者行政の推進の交付金というものでございます。この考え方としては、消費者庁が設立されたときに、地方の消費者行政の充実・強化のためのスタートアップ支援として、地方の消費者行政の活性化基金というものが作られました。ちょうど今日お配りさせていただいているところの右側の上のところでございます。初めは消費者庁ができた当初のところでスタートした活性化交付金でございますが、その後、平成26年度補正からは地方消費者行政推進交付金となり、当初予算化されたという経緯がございます。

この形で、これまで平成29年度まで累計で540億円の予算を講じてきたところでございます。ただ、この制度自体は、26年度の推進交付金に変わっております。また、事業ごとに、メニューごとに活用期間というものが決まっております。例えば事業メニューの中にあります左側の1.の消費生活センターの立ち上げであれば3年間とか、あるいは消費生活相談員に係る研修、人件費等については7年間など、メニューごとに応じて、事業ごとに応じて活用期限が初めから決まっておるものでございます。

あわせまして、今年度が一つの区切りとなる年でございます。これはどういうものかと申しますと、地方消費者行政の活性化交付基金で始まったもともとの経緯が、スタートアップ支援というものでございました。ですから、国からの地方消費者行政という、まさに自治事務、住民サービスの支援である消費者行政を支援するスタートアップ支援で行っていたものが、29年度がその新規事業としての最終年度というお約束になっております。

ですから、29年度が新規事業を立ち上げる最終年度でございますので、30年度でいきなりゼロになるわけではないのですけれども、今後は自治事務である地方消費者行政の充実・強化のために地方の自主財源の充実を図っていただいて、円滑なバトンタッチをしていくのが重要な課題となっております。

我々としても、昨年度から本日委員として御参加いただいている山本委員の御指導も賜りながら、庁内で地方消費者行政の充実・強化に向けた今後の支援の在り方等に関する検討会を開催いたしまして、その中で我々として、今後国として、消費者庁としてどのように消費者行政を支援していくのが望ましいかということを庁内で議論させていただいて、その議論を踏まえた上で、新しい仕組みとして重要な施策については、国としてもきっちり支援すべきという考え方、あるいは、自主財源化のことも含めて、そういう考え方の下で新しく来年度地方消費者行政の強化交付金というものを予算要求したものでございます。

資料3-2、次のページを御覧いただいてもよろしゅうございますでしょうか。来年度の地方消費者行政の強化交付金でございますが、これは今までの地方の消費者行政の推進交付金でやっていた事業と、もう一つ、国として取り組むべき重要な消費者行政の推進、また、国の政策推進等への対応ということで、ここの部分について新しく地方消費者行政の強化事業も含めて一本という形で、地方消費者行政の強化交付金ということで来年度24億円の予算を予算案として計上させていただいておるところでございます。

具体的には、ここにつきましてはどういう位置付けになっているかと申しますと、これまでの地方消費者行政の推進交付金でやっていた事業が下側でございまして、これまでも地方消費者行政の推進交付金で活用して行ってきたものの新規事業は、29年度までが原則として最終年度なのですけれども、当然、安定的にそれを国として支援する必要がありますものですから、そこについては引き続き事業ごとで定められている活用期間のところについて、我々としても安定的な支援ができるように頑張っていきたいと思っております。

それと同時に上側、四角でいくと真ん中のところでございますけれども、地方消費者行政の強化事業でございます。これが新しい事業という形になります。具体的には、国として取り組むべき重要消費者政策、また、国の政策推進等への対応ということでございます。これは具体的にはどういうものかというところで、考え方としては、右側に書いてありますように、国として取り組むべき重要消費者政策への取組ということで、地方公共団体において国として重要な消費者政策の推進ということで、中期的・計画的な取組を支援する。具体的には3年程度の取組について支援する。それでPDCAサイクルにおいて進捗管理を行うというのがございます。

また、国の政策推進等ということで、直接的には消費者問題固有の問題ではないのですけれども、例えば成年年齢の引下げという国の政策推進への取組、あるいはアダルトビデオ出演の強要問題等、国として取り組むべきところで、一人でトラブルを抱え込まずにすぐに相談する、どこに住んでいてもその相談体制をという形で、消費生活センターの対応力を強化する。相談を受けたときに、消費生活相談員のスキルを上げていく必要がございます。国としても、重要政策課題に対して消費生活センターできちんと応えられる体制作りも重要政策についてはありますものですから、研修の参加等について支援をしていく、そういう必要がございます。

具体的に挙げている項目はもう少し細かく見たほうがよろしいかと思いますので、もう一枚ほどおめくりいただいてもよろしゅうございますでしょうか。資料3-3、具体的な実施メニューの案でございます。大きく分けて二つございます。字が小さくて大変申し訳申し訳ありません。

1.のところ、大きく分けて二つのうちの一つは重要消費者政策に関するところということで、我々のくくりから言うとSDGsという、まさに誰一人取り残さないということで、消費者庁としては平成30年度の予算要求のときに、安全・安心の確保として誰一人取り残さないというのを基本方針と掲げておるわけです。

その中で、SDGsへの対応ということで、具体的には消費者安全確保地域協議会の構築、消費者安全法に基づく高齢者等の見守りネットワークの構築等に関する経費ですとか、あるいはマル2の障害者の方に対する消費生活相談の整備、また、SDGsの考え方の中にある食品ロス削減の取組、また、倫理的消費の普及・促進に関する取組、マル5が消費者志向経営の普及・促進ということで、SDGsという概念は大変広うございます。その中で、根本となる考え方である誰一人取り残さないという考えの下で、我々として重要であると考えているこれらの幾つかの実施メニュー案について、地方公共団体のほうから手挙げ方式で事業ごとに採択ではございます。それについて我々としても支援していくこととなっております。

もう一つは、国の制度改正等に対応した重要消費者政策というところで、この中には若年者への消費者教育の推進、これは成年年齢の引下げの議論に関わらず、若年者への消費者教育は大変重要だと考えております。また、これは事前にいただいておりました御質問事項にもありましたけれども、消費者委員会からも御意見をいただいておる法執行体制の強化に対して、この強化交付金できちんと手当てができるように予算的な措置をしておるところでございます。また、訪日、在日外国人に対する相談窓口の整備等につきましても、今後どんどん観光でいらっしゃる方だけではなくて、日本でビジネスをする、生活をする、定住される外国人の方に対する相談窓口の整備も大変重要だと思っております。そういう観点からも、そういう取組をされる自治体に対して、我々としても支援をしていきたいと思っております。

マル4の風評被害の防止のための取組でございます。これは震災から月日がたってきて、課題になっておるのは、被災された地域だけではなくて、消費地に近いところで、しっかりと風評被害に対して正しいことを、正しいというのは、情報をしっかり把握した上で判断ができる消費者の支援でございます。消費地に近いところで取組をされる地方公共団体さんに対して支援もできるような仕組みにしております。

また、公益通報者保護制度の推進、あるいは適格消費者団体、特定適格消費者団体の設立に向けた支援等、大変消費者行政上重要な施策に対する支援もやってきたいというように、この強化交付金のメニューの中に入れておるところでございます。

また、消費者が選べる形にするためには、きちんとこういう原産地表示の普及啓発等も大変重要だと思っております。こういった取組を地方公共団体が行うに当たって、国としても、消費者庁としても、強化交付金できちんと手当てをしていきたいと思っております。

2.は、国の重要政策に係る消費生活相談員レベルアップ事業でございます。これは先ほどの基本的な考え方のところで御説明しましたけれども、問題を抱え込んだ人が一人でトラブルを抱え込まずに、まずは、我々としては消費生活センターに相談していただきたい。相談していただくということが重要だということは、当然受ける相談員さんのレベルアップも図っていく必要がございます。

本当に問題が多種多様になってきておりまして、先ほど申し上げた若者だけではなくて、本当にそれこそどんどんトラブル等は複雑化、高度化しております。あるいは、これまで消費者行政という、いわゆる消費者トラブルのところの範疇のまさにど真ん中のところというよりは、それに関連したところで出てくるような相談事業に対して、適切に相談員さんが対応する必要がございます。そういったところについて、国ができることは、相談員さんのスキルを上げていく。そのために、国が指定する研修の参加等と、こういうメニューを設けまして、全国の830カ所ほどございます消費生活センターの消費生活相談員のレベルアップにも積極的に取り組んでいきたいと思っております。

以上が一つ目の新しくなった消費者行政の強化交付金の内容と、その中である体制整備及び法執行の充実等についての御説明でございます。

二つ目、地方消費者行政強化作戦における達成状況でございます。我々としては、平成27年度から、地方消費者行政の強化作戦ということで、この交付金等を使いながら、都道府県さん、あるいはその下の管轄の中にある市町村まで含めて、一緒になって消費者行政の充実・強化に努めてきたところでございます。確かに現状から見ると、例えばその中で掲げている体制整備のところでいきますと、この中には入れていなくて申し訳ないのですけれども、資料3-1の事業メニューのところでいきますと、消費生活センターの整備というところからいくと、我々としては人口5万人以上の全ての町には消費生活センターを設置してくださいということで都道府県にお願いしております。平成29年の4月1日現在の時点で9割まで来ているというところで、我々としては100%を目指したいと。

もう一つは、5万人未満の中小のまちについては、何とか都道府県の管轄の中で半分は設けてくださいという形でお願いをしておるわけですけれども、なかなか5万人未満のところの体制整備がおくれているというところがございます。ただ、我々としては、全ての各まちに1つというわけではなくて、幾つかの広域連携みたいな形で、要は、お住まいになっている消費者の方々にきちんと相談窓口ができるような体制を作ってくださいという形で、形式にこだわらず、広域連携についてもいかがですかという形で都道府県さんにも御説明はさせていただいておるところでございます。

また、地方消費者行政強化交付金の中にも入れております、高齢者の見守りネットワークの状況でございます。これも改正消費者安全法に基づいて、我々としては、この強化作戦において、人口5万人以上の市町には全て作ってくださいという形でお願いしています。もちろん形だけではなくて、今まである、例えば社会福祉部局のあるところに消費者安全法に基づくこのスキームがうまく入り込めませんかという形です。要は、協議会を作ること自体は目的ではございません。高齢者の見守り等のネットワークが既にあるところであれば、その中に消費者行政部局も入れていただいて、大事なのは、そういうところで顔が見える関係を作る。高齢者等、年齢が上がるに従って判断能力もどうしても落ちざるを得ない。元気なおじいちゃん、おばあちゃんもいらっしゃいます。他方でどんどん高齢化が進む中で、周り、特に御家族だけではなくて近隣の方、あるいはそれぞれそこに関わる地域の皆様が一体となっての高齢者等の見守り、おじいちゃん、おばあちゃんの見守りは、大変重要だと思っております。

そういうような取組からいくと、まだ残念ながら道半ばというところでございます。人口5万人以上というと日本国内には550ほどございますけれども、現時点においてその1割にも満たないところが現状でございます。我々としては引き続き地方消費者行政の強化作戦に掲げているような高齢者等の見守りにも積極的に取り組んでいきたい、また、関係府省とも連携していきたいと思っております。

最後、三つ目でございます。地方公共団体における地域の消費者行政に関わる自主財源の充実でございます。初めの御説明にもまた繰り返しになってしまいますけれども、今後消費者行政、特にこれまで地方の推進の交付金で手当てしていたところは、これからどんどんそれぞれの活用期間が来ると、地方の自治事務として、その予算の確保を地方公共団体にきちんとバトンタッチさせていただく必要があると思っております。

ここで大事なのは、地域の住民サービスとして、いかに地方の消費者行政を充実・強化させるかということでございます。我々も、この1月には江崎大臣が愛知県の県知事に地方消費者行政の充実を図るために是非自主財源化に取り組んでいただきたいという旨をお話をさせていただいているのを初め、当庁の幹部も含めて、今後、既に幾つかの県にはそれぞれの都道府県さんに、地方交付税の自主財源のところでしっかりつけていただくことによって、国と地方が一緒になって地方の消費者行政を維持・強化していかなくてはいけないなということで、働き掛けをしておるところでございます。

大事なのは、国と地方が一緒になってやっていく。要するに、地方側から見て、国がやってくれないとやれないという、そういう種類の業務ではないと思っています。自治事務、住民サービスでございますから、住民にとって、消費者被害を防ぐために、是非我々としても国の安定的な財源確保に向けて引き続き地方消費者行政強化交付金等を使って取り組んでいきたいと思っておりますし、また、地方におかれては、自主財源化のところで充実・強化をしていただければと思っております。我々としては、その働き掛けを今後も引き続きやっていきたいと思っております。

以上、1点目は地方消費者行政交付金の内容及びその中で体制の整備、特に法執行の充実・強化という話、2点目は地方の消費者行政の強化作戦における実施状況、現状のところ、3点目は地方公共団体における消費者行政に係る自主財源の充実について御説明をさせていただきました。よろしくお願いいたします。

○高委員長 ありがとうございました。

それでは、今の説明に関しまして、御質問、御意見がございましたら、どうぞ御発言をお願いします。

増田委員、どうぞ。

○増田委員 地方消費者行政強化交付金の御説明の中の、国の政策推進等への対応ということで、四つほど挙げていらっしゃるのですが、これが実際どういうことをやるのかということで、消費生活センターの機能の維持・充実のほうに矢印が右に向いているのですけれども、具体的なことが分からない。

資料3-3に事業メニューが挙げられているのですが、これが実際の事業メニューとしてお考えいただいているものだろうと思うのですけれども、このギャンブル、AV、軽減税率がどこにも入ってきていないわけですね。資料と資料との関係がよく分からないので理解ができないのですけれども、済みません。これは具体的な例示ではないのですか。

○消費者庁消費者教育・地方協力課担当者 御質問ありがとうございます。

まず、資料の関係で、確かに分かりにくいところがあるかと思うのですけれども、資料3-2と資料3-3をお手元に御準備いただければと思います。資料3-3に、重要消費者政策に対応する地方消費者行政の充実・強化という形で書かせていただいておりますけれども、こちらがこの資料3-2で言うところの、国として取り組むべき重要消費者政策に対応している形になっております。こちらのほうが、具体的に言うとプロジェクトという形で、地方公共団体で、この資料3-3に記載しているSDGsへの対応と国の制度改正等に対応した重要消費者施策というところに対応しており、プロジェクト型で地方公共団体に取り組んでもらうというようなことになっております。

それから、国の政策推進等への対応ということで、資料3-2の二つ目の●のところで、AV出演強要問題、ギャンブル等依存症対策等が書いてございますけれども、こちらがこの資料3-3で言うところの2.の国の重要政策に係る消費生活相談員のレベルアップ事業というところに対応している形になってございます。この2.のところは、具体的には、国民生活センターの研修に消費生活相談員が参加していただくための費用ということで、考えております。具体的には、国が指定する研修への参加を費用として措置しようというわけなのですけれども、指定する研修の内容というのが、この資料3-2で言うところのギャンブル等依存症対策であったりとか、AV出演強要問題であったりとか、そういうようなところの研修を受けていただいて、現場の消費生活相談員さんに対応力を高めていただく。分かりにくい資料になっていて恐縮ですが、対応関係ということで言えばそういう形になってございます。

○高委員長 増田委員、どうぞ。

○増田委員 私は相談員なので、これについてどういう研修をしていただくのか、具体的にどういう研修内容になるのか想像を絶しています。ギャンブル等依存症に関しては、多重債務対応であるとか、どこかにつなぐとかということは分かりました。それがどれだけ研修が必要なのかという問題ですが、現状、多重債務関係は十分研修していますので、更に必要な部分がよく分からない。お金を掛けてやらなければならないのかという、必要性の問題があります。

実際には、AV出演強要問題というのは、今まで相談を受けたことはなく、恐らくほとんど消費生活センターというよりは警察に行く話なのではないだろうかと。万が一来たときにどう対応するのか、非常にレアなケースの研修になるのではないかという想像もしますし、軽減税率の導入に関して知識として身に付けるという意味では必要かと思うですけれども、消費生活センターに相談をいただくケースは、非常に少ないと思われます。そのために研修をしなければならないのかという疑問が出てくるのです。

ほかにいっぱいお金を使うところがあるので、ここにお金を使っていいのか。たくさんある中でやるのはいいのですけれども、ない中でやらなくてはいけないということから非常に懸念を感じています。

○消費者庁消費者教育・地方協力課担当者 御質問ありがとうございます。

個々の研修の内容ということに関しましては、これから国民生活センターですとか、そういったところで考えていくことになろうかと思います。この交付金という形で国が地方公共団体を支援するという枠組みの中で言うと、これで例示させていただいているのは、関係省庁の連絡会議であるとか、国の施策としてギャンブル等依存症対策をしましょうですとか、このAV出演強要問題に対して対応しましょうということが決まっております。

その中で、消費生活センターもその窓口の一つとしてということで、具体的な話で言うと、恐らく関係の機関の窓口につないでいただくということが一つだとは思いますけれども、それに対する前提となる知識というものを、まず学んでいただくという話であるとか、AV出演強要問題に関して言えば、消費者契約法の範囲内というのはかなり限られてくるとは思いますけれども、消費者契約法で対応できる範囲はどこまでなのかとか、実際法テラスなど、適切な窓口に相談できるようにつなげるようにということで研修を行っていくのだと理解はしております。具体の研修内容はこれから詰めていくことになろうかと思っております。

○高委員長 樋口委員、どうぞ。

○樋口委員 今までのお話を伺っていると、来年度は重大な制度変更がなされたのではないかという疑念を持たざるを得ないのです。どういうことかといいますと、これまで、全国的に、消費者被害が非常に多いという中で、自治体を中心にして消費生活センターという形でその被害を受け止めて、この問題を解決するために制度が発足したわけです。こうした実態をふまえて法制度も整備されてきた、条例も整備されてきたという長い歴史があるわけなのですが、今回の国の政策への対応というのは、それとは少し考え方が違っていまして、全国に消費生活相談員の方がおられるので、そういう方に守備範囲を広げていただいて、消費生活相談、消費者トラブルの解決だけではなくて、程度はいろいろあると思いますけれども、幅広い分野で、その地域の連絡役としての役割を果たしてもらいたいという国の要請だと考えられるわけです。

こうした連絡役的な役割を担うことの是非の前に、消費者トラブルに対する現実の認識が非常に重要だと思っています。地方の消費生活センターに寄せられているトラブルというのは、決して数が減ってきてもう仕事がなくなっているという状況ではないわけなのです。まさに、現在、消費者の被害防止に関連して法執行を強化しようとか、法令を見直そうということに取り組んできているわけなので、選択と集中という意味で言えば、消費生活センターの業務は、そういうところにまず政策資源を集中することが重要ではないかと思います。また、センターは、今回、消費者教育という非常に重要な仕事も担う拠点にもなるわけです。

その上で、もちろんいろいろな問題で消費生活センターに来られた方に適切な場所を御案内するというのは、これは研修というよりは本来的に自治体等が担う業務の一環であって、あえてそこを政策の柱にするのはいかがなものかという疑問を持ちました。これは誤解であればいいのですが、そうでなくて、そのとおりだということであれば、是非その政策の考え方が変わった背景なり、なぜそういう新しい方向性を出すのかということについて御説明をいただく必要があるのではないかと思います。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 御質問ありがとうございます。

まず、消費者行政に関する資源を集中するべきではないかという御質問をいただきました。我々としては、通常ある業務、当然消費者トラブルはここ10年ほど横ばい、残念ながら減っていないということがございます。そこについてはしっかりやっていく必要がありますし、我々としては、従来の消費者行政の推進事業のところで見ているところ、体制整備のところも、今年度が最後で来年度がゼロになる話ではないので、そこは十分見ているということがございます。

他方で、国として取り組むべき重要政策課題の中に、若年者への消費者教育、あるいは外国人対応、これまでの従来の消費者相談の中で考えられたものよりも、これは消費者行政か消費者行政ではないかと言ったら、多分消費者行政だと思うのですけれども、ただ、その対象が、どんどん新しい話が出てきているかと思います。

例えば若者への消費者教育の推進ということで、消費者被害、トラブルに遭ってから相談を受けるということより、更に一歩進んで、消費者被害を防ぐためには教育をしっかりやっていく必要がある。その中で、国としても重要政策課題として、若者への消費者教育をやっていく必要があるというところでございます。

また、外国人向けの相談窓口の整備ということにつきましても、どんどん国際化が進む中で、従来の相談窓口であればほとんど日本語対応だけで十分だったものが、それが難しくなっていく。更に言えば、インバウンドで外国から日本にいらっしゃる方がどんどん増えてく状況の中で、その部分について、新たに手当てする必要がある。

こういう予算の説明をすると、どうしても新規のところを中心に説明してしまうので、そちらに政策転換がなされたのではないかという御懸念を持たれたかもしれませんが、基本的な考え方としては、消費者トラブルを減らすということがあります。ですから、そこの体制整備はしっかりやっていく。ただ、それに加えて、従来の消費者相談では扱わなかったような、例えば外国人対応というか、これからある意味で定住の方も含めて、どんどんそういう地域が増えているのが実態だと思います。そういうところにきちんと手当てするときに、国としても支援する必要があるのではないかという形で、新しく強化事業を設けたというところがあります。

また、国の政策推進のところまで、新しい業務までふやして、これで本来業務との関係がどうなるか、二つ目の本来業務のところをどうするかというところがあります。ですから、本来的なところは、これまでの住民サービスの、どこに住んでいても相談が受けられるサービスの確保、体制整備のところが従来ございます。それに加えて、どうしてもギャンブル等依存症対策、あるいはAV出演強要とか、新しく出たところについて、そこの部分についても、いきなり自治事務だから地方公共団体さんで見てくださいねというわけではなくて、国として重要な施策なので国も半分は支援しますよという形で新たに予算要求をして、今回予算案として手当てをしたということであります。

何ら従来型の体制整備のところの重要性については、重要性が落ちていたり、政策転換をするということではないと我々は考えております。

○高委員長 長田委員、どうぞ。

○長田委員 それでは、その従来型の地方消費者行政推進事業のところ、この3-2の資料を見ると、地方消費者行政強化交付金のグリーンのところに24億円と書いてありますね。この推進事業のところは、去年が当初30億、補正が12億円ですね。それが確保されていると考えてよろしいのでしょうか。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 御質問ありがとうございます。

我々は来年度予算要求のときに、この二つの消費者行政の従来の推進交付金と強化交付金と、合わせて40億円の予算要求をしております。結果としては、来年度当初予算で24億、TPP関連という形で平成29年度の補正予算で12億ということで、合わせて36億。補正予算については、もう既に国会で議決され、来年度予算案については国会で御審議いただいております。

今、委員から50億に比べてどうかというお話をいただきました。金額だけを言えば、それは予算要求時から40億で要求をしておるところでありまして、そこについては確かに減ってはおるのですけれども、我々としては先ほど御説明させていただいたとおり、地方消費者行政の正にバトンタッチのときになります。新規事業は今年度が最終年度になりますので、そこについては、きちんと徐々に地方公共団体さんにバトンタッチしていく必要がございます。

また、繰り返しになりますけれども、平成26年度から、この当初予算化したときに、事業ごとに活用期間がございます。例えば消費生活センターの立ち上げで言えば3年、あるいは消費生活相談員の人件費等では7年と決まっております。ですから、この仕組み自体が、ずっと恒久的に消費者庁が地方公共団体を整備するために財源化していた成り立ちではございません。そこが十分かと言われると、我々としては財源で要求する中で、できるだけ40億に近づくだけの結果として、補正も含めて36億円かと思っています。

大事なのは、国だけではなくて地方公共団体も一緒になって、地方消費者行政の充実・強化のために連携して確保していく。要するに、国の予算が取れなかったら、地方公共団体で消費者行政が減退するという形にならないように、そこは一緒になって取り組んでいく必要があると思っております。

○長田委員 では、具体的にどうやったら地方消費者行政で予算が確保できるのか。バトンタッチというのは、相手がきちんと準備ができているからこそバトンタッチができるのであって、この事業を始めたときはそういう想定でやられたかもしれないけれども、現在の地方の状態を見たら、国の予算が途切れれば、地方は続けられないと悲鳴を上げているところはいっぱいあると思うのです。そのことをどうお考えなのか。当初そうだったとしたら、検証してこなかったから、相手がいないのにバトンタッチできると思い込んでいらっしゃるだけではないかと私は思うのです。

今年度はもうどうしようもないということなのかもしれませんけれども、31年度の予算に関しては本当にきちんと地方の現状を見直して、さらから考え直していただかないといけないのではないかと強く思います。国の予算がなくなったから地方もなくすということにはならないようにとおっしゃいますけれども、私は地方47都道府県に会員団体がある組織として見ていて、例えば国で一つ課の名前が変わっただけでも、地方もすぐそれに倣う。それはもう良いのだと思われる。予算が減らされれば、そこはもう良いのかとなるというのが地方に住んでいる人たちの常識で、それはとても重要なことだと考えていると思います。だから、本当にバトンタッチできるほど自治体で予算が確保できると考えた上でバトンタッチとおっしゃっているのかどうか、もう一度真意を伺いたいです。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 消費者行政は自治事務です。ですから、当然ながらバトンタッチができるようにしなければいけないし、我々としてもそうなるような形で地方公共団体に働き掛けをしておるところでございます。冒頭、御説明をさせていただいたとおり、大臣を初め、当庁幹部がそれぞれの都道府県に働き掛けをやっておるところでございます。

ただ、こういう場で申し上げて僭越かもしれませんけれども、国も頑張っていきますが、地方公共団体さんも、国からのお金がないとだめなのか、本当に消費者行政を地域で担うにはどういうことをやるのがいいのかというのは、一緒になって考えていく必要があるなと思っています。当然それは地方公共団体さんの消費者行政部局への働き掛けでなくて、消費者行政を担っていただく多くの関係者の方の本当の協力のもと、消費者行政の重要性を広く、広くというのは、多くの方々に消費者行政は大事だねという形に認識を上げていただく。ある意味で、言い方は悪いかもしれませんけれども、もし仮に消費者行政の優先度が県庁内で低いのであれば、消費者行政の重要性を高めるような形の取組を消費者庁としてもやっていきたいと思いますし、また、関係団体の皆さんも消費者庁に言えば何とかしてくれるというわけではなくて、その地域地域に根差した団体さんからも、是非地方公共団体に働き掛けをしていただいて、地方公共団体における消費者行政の優先度を高めていただければと思っておるところでございます。

○高委員長 池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 今回のこの予算の枠組みの中で、それをどう理解し、この中でも更に調整できるところがあるかという強化交付金の理解の問題と自主財源の確保の問題、2点質問させていただきます。

まず、理解の問題としては、強化交付金という大きな名前があって、24億円。そこに強化事業というものと推進事業というものがあります。それから、補正予算で先般12億円ついているとお聞きしています。補正予算の12億円は専ら推進事業の対象だというのは分かるのですが、この24億円は強化事業と推進事業での割り振りというのは予定されているものなのか。それとも、地方からの手を挙げた中身によって割り付けるのかという点が一つです。

それに関連して、これは専ら理解の確認の問題ですが、強化事業というのは、補助率2分の1、これは各自治体、あるいはこの事業単位で自主財源を半分手当てし、半分を交付金によって賄うという理解でよろしいのか。その場合、従来からの推進交付金は、都道府県単位でまとめて、既存の独自予算との割合で2分の1になっていれば個別の自治体の個別の事業は全額でもいい、要するに、全額交付金が利用できるという意味で新規の立ち上げがしやすかったと思うのですが、その枠組みは推進事業については今後も維持されているのか。

それと、この推進事業は、従来の国の財政措置に関する一般準則ですか。それによって原則7年間、立ち上げからですから、残り5年のところもあれば6年のところもいろいろあるでしょうが、それは今回のこの強化交付金という名前の中の推進事業となったときにも、今後5年とか7年とかの期間は継続できると理解して良いのかどうか。この辺りが理解の問題として確認したいことなのです。

その上で問題は、これまではどちらかというと推進交付金は相談体制の整備、相談員の確保にまず重点が置かれて、それから、啓発事業とか、地域の見守りネットワークとか、様々な事業に使われてきたと思うのですが、今回総額が少し圧縮されてきて、これまでの推進事業でやっているところの相談員の体制維持プラスその他の推進交付金によって立ち上げた事業が維持できる数字なのかどうか、その辺りの見通しがどうかというのをお伺いしたいところです。

○高委員長 では、一旦ここで切ってもらって、お願いします。

○消費者庁消費者教育・地方協力課担当者 御質問ありがとうございます。

まず1点目、平成30年度の予算で24億円という形でついているものの割り振りということでございますけれども、これは実際にかちっと決めてというようなことではなくて、少し需要を見ながら、弾力的な運用ということには最終的にはなろうかと思います。

今のところで、ただ、予定しているところは額としては2対1ぐらいの割合で考えているというようなところで、そういう意味では8億と16億というようなぐらいの規模感では考えておりますが、これは今のところの予定でございまして、ここは少し需要も見ながら弾力的に考えていくということにはなろうかとは思います。

○高委員長 推進に16億ということですか。

○消費者庁消費者教育・地方協力課担当者 推進に16億です。それで、強化に8億ということで、今のところは考えております。先ほどから繰り返しになりますけれども、これはかちっとした数字というわけではなくて、まだこれから少し弾力的な運用というものはあり得るということで、御理解いただければと思います。

2点目、強化事業の話ですね。この補助率が2分の1ということの考え方でございますけれども、この資料3-2に書いてございますが、上のほうは正に補助率が2分の1と書かせていただいていて、下の今までの推進事業というのは、補助率は定額と書かせていただいております。なので、池本委員長代理から今、お話しいただいたとおりで、今までの推進交付金というもののスキームで言うと、市町村などに100%定額で付けることができたわけですけれども、今回の強化事業に関しては、プロジェクトごとで、例えば市町村が、この中のSDGsへの対応ということで、エシカル消費の事業に取り組みたいとA市が言った場合においては、そのA市で、その2分の1の自主財源を持っていただかなければならない。いわゆる通常の補助金での補助率2分の1という考え方と同じようなスキームに強化事業のほうはなるということでございます。

もう一つ、一般準則、活用期間ということでございますけれども、推進事業に関しては、今までの活用期間というものの適用をそのまま受けるということでございますので、例えば29年度に始めた事業であれば、そこから7年間の分は、金額の範囲内ということになりますけれども、続けられるということになります。

○池本委員長代理 ありがとうございます。

資料3-2の強化交付金の矢印の右側のところに、中期的・計画的な取組を支援するというので、複数年(3年程度)の取組という言葉があるのですが、これは強化交付金についても、何か支援期間の準則のようなものを予定されているのか。ここが分からないという点が1点です。

先ほど御質問した一番最後のところで、推進事業の推進交付金の枠組みの中で、従来の相談体制維持のための交付金の活用とそれ以外の啓発とか、他の事業との兼ね合いで、相談体制の維持が確保できるのか。あるいは、それを確保した場合には、それ以外のところは外れてしまった場合に、強化交付金となると、これは項目がかなり絞られているのです。

そこで、最後にお伺いしたいのが、強化交付金の項目が国として取り組む重要施策を自治体が受け止めてやる場合という考え方で、推進交付金では、省庁的には先駆的プログラムにあったように、各自治体で様々な創意工夫をして手を挙げてください、そこへ支援しますということだったのですが、この強化交付金の使途、3-3ですね。ここのメニューの書きぶりによってできるだけ幅広くしていく余地は、今後残されているのかどうか。先ほど研修のところで、どの研修ならばいいのですかというのがありましたけれども、この辺りの書きぶりをもう少し柔軟にしていくことでできるだけ維持する余地があるのかどうか。そうしていただきたいという思いを込めて申し上げているのですが、どうなのでしょうか。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 御質問ありがとうございます。

まず初めに、強化交付金事業の3年が中期的・計画的な取組の支援というところの意味でございます。もちろん予算は単年度主義でございますので、毎年度予算要求になりますけれども、消費者庁としては、地方公共団体さんで安定的に取り組んでいただく必要がありますので、我々としては、3年程度はこの事業の予算要求していくつもりであるということで、初年度からこういう言いぶりをしている。同時にPDCAサイクルによって進捗管理、しっかりとその効果についても測っていくというのをセットで、もう予算要求時からお願いをしているところでございます。

もう一つ、推進事業、特に消費者行政のいわゆる旧推進交付金事業のところの扱いで、まずは体制整備で、プラスアルファ啓発ということになると、では、今後どういうように維持できるかというところでございます。そこについては、当然地方自治の原則がございますので、どういう配分にするかというのは、それぞれの地方公共団体さんの判断だとは思いますけれども、一般的に言えば、基礎となる消費生活センターさんの維持・強化、体制整備のところが重要になってくるのではないかと我々は考えています。

その上で、では、啓発事業のところがだんだんと、当然、予算が限られる中で、どういう啓発をしたら効果的になるか。その辺りも含めて、消費者庁としてもどう効果的な啓発ができるかということも地方公共団体さんと一緒になって考えていくことによって、できるだけ現体制が維持できるように、少なくとも、これが減ったことによって消費生活センターが減っていくとか、そういうことにならないように、一緒になって知恵を出していきたいと考えております。

○消費者庁消費者教育・地方協力課担当者 もう一つ、強化交付金のメニューについて、ある程度弾力的にできるかということでございます。こちらについては、今のところのメニューということでは、こちらを準備させていただいておりますけれども、今後例えば何か新しい問題が生じたときなどに、やらなければならない。最近で言うと仮想通貨のお話ですとか、そういったところがかなり消費生活相談の中でも出てくるだろうという話もあろうかと思います。そういうところも研修が国として必要だということで認められれば、この指定の研修の中にメニューとして、今のところは入れていないわけなのですけれども、入れていくとか、そういうところの対応はあり得ると思います。

一方で、全てオーケーかと言われると、なかなかそこは難しいところがあって、今までのいわゆる推進交付金で行ってきたようなところの、本来自治事務であるというところのセンターの整備であるとか、相談員の人件費とか、そういったところに充てるなどはなかなか難しいとは思います。

若者への消費者教育などで言うと、消費者教育コーディネーターなどをきちんと配置しましょうとか、そういうところを我々としても推進していきたい。ほかにもそういった何か新しいものが出てくれば、多少弾力的にということはあり得るとは思います。

先ほど御質問であったところに、一点補足ですが、今後きちんと地方公共団体でこれを手当てしていけるかということに関して言えば、もともと自治事務であるという中で交付税措置という形である程度の額が措置されているという中で言えば、そこの範囲内でまずきちんと手当てが自治体の中でなされれば、その分の額は確保できるというようなところかと思っております。そういった現状を見ながら、地方自治体には、我々としてもきちんと財源を確保できるように取り組んでいただきたいとお願いしていきたいと思っているところでございます。

○高委員長 大森委員、どうぞ。

○大森委員 これまでの交付金と違うところが大きく二つあるということですね。メニューが決まっているということと補助が半分、50%ということだと思うのです。これは全て国の行政の方針というか、政策を手伝えば、半分お金をあげるよというスタイルだと思うのですけれども、大都会もあれば、すごい過疎地もある。地域によって事情が違うと思うのです。これまでの交付金のような自主性が全然発揮できないというところは、大変大きな問題だと思います。消費者市民社会とか自主性を育てていくという流れで来たところが、トップダウン形式でやるというのは、大変大きな方向転換だなと、とても不満に思います。

50%、半分のお金を用意できないところは、では、しないのかということになります。この若者への消費者教育の推進とか成年年齢引下げの問題は、これはどんなところでも国が責任を持ってやらないといけない事業なので、お金のないところはできないというようなことではないと思うので、これはとても問題だと思っています。

先ほど消費者行政を理解して、もっと推進したいと。私もその気持ちはすごく強いです。でも、世の中一般は、お金が付くとそういう雰囲気が盛り上がって、今、こういうことに国は力を注いでいるのだなと思いますけれども、お金がなくなるということは、もうそのブームは去ったのだなと。世の中はそういうように動くのではないかととても心配な方針だと思っています。

○高委員長 池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 時間が押している中申し訳ありません。1点、先ほど御説明があった中の、もともと自主財源用の措置として地方交付税措置があり、基準財政需要額の金額が、今、270億ですか。それがそのまま各自治体で確保されれば、現在の自主財源約100億と交付金40~50億よりはるかに多くなるのですが、地域の実態では基準財政需要額は具体的な縛りとしてではない単なる目安で、しかも消費者行政の担当職員がうちの自治体で幾らになるのかという計算式もよく分からないというような状況だと地域で聞いています。

その辺りを消費者庁として、この基準財政需要額の計算方法だとか、実額まで出せるのかどうか分かりませんが、そういうものを行政の職員とか、あるいは地域でこういう働き掛けをする消費者団体とか、そういうところへ示すということはできないものなのでしょうか。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 御質問ありがとうございます。

今、池本委員長代理から御質問をいただいたとおり、地方交付税交付措置という形で、標準額というのは算定根拠も単価が示された上で示されています。現実問題として、一国全体で見ると270億、計算上は標準額として出る形になっているのに対して、現在はその半分をちょっと切っているというところがあります。

実態を見るということになると、一つ留意するに当たっては、地方自治の原則があります。標準額というのは、本当に地域の特性を考えずに標準的な170万人の県民がいたときにこれぐらいですねとか、市レベルでの10万人の標準的なところ。別に地域の特性とかはなくて、その辺りで作っているという、そういう額であるとこれぐらいになりますねという額になります。なので、これを仮に消費者行政だけではなくて、ほかのところでも、もし仮に詳細情報を示していくと、逆に地域の特性を考慮せずに総務省さんが示す標準的なところに収束され、まさに地方自治の原則との関係で難しくなるという話があります。

ただ、池本委員長代理からいただいた問題意識は大変重要だと思っています。その中で、特に地方公共団体で働く消費者行政部局の方々に、それぞれの県では理論的にはこうなりますねと、どういう形でその情報をお伝えできるのかというのは、我々も考えないといけないと思っております。その中でどういうことができるのか、引き続き我々としても課題として考えさせていただければと思います。ありがとうございます。

○高委員長 ありがとうございました。

山本委員、どうぞ。

○山本委員 少し関わったものですから、若干の意見を申し上げたいと思います。

三つございます。一つ目は、先ほどから少しお話が出ている点です。国として取り組むべき重要消費者政策等々と絡めて、今回この強化事業を考えるということなのですけれども、検討会で議論をしたときに、一つは、国からお金を出していただくというときに、どういう理由で出していただくのかということを考えなくてはいけない。そのときに、国の施策と地方消費者行政とが連関をしているのだと。先ほどから自治事務だからという話が出ていますけれども、自治事務で地方公共団体がそれぞれの課題をそれぞれに解決しているというだけではなく、国の政策とつながっていて、それによって消費者行政に新たにいろいろな課題が課されていく部分があるのだと。そこのところは国が責任を持って財源まで考えなくてはいけないのではないかということが一つある。

ただ、他方で、それではこの事業というものが全く基本的な消費者行政の組織や体制の在り方と独立に、ギャンブル依存症対策のためのお金であるとか、あるいは若年者への消費者教育の推進といったような形で、単独でプロジェクトが存在をしているというのではなくて、これをやるのには基本的な消費者行政の組織ができていないといけない。ですから、ここのところも、それぞれの政策課題と基本的な消費者行政、相談体制等々の在り方とが全く切り離された状態で存在するのではなくて、こういうような国として取り組むべき重要政策を地方公共団体においても実施するためには、自治体の基本的な消費者行政の組織体制ができていなくてはいけない。そこのところは十分認識する必要がある。

更に言えば、現在の事業、あるいは今後行われる事業に関してもそうですけれども、とにかく打ち上げ花火式にぼんぼんとプロジェクトを立ち上げるとそれでお金が付いてそれで終わりというのでは、やはり意味がないだろうと。それが継続的な消費者行政の体制の強化というところに結び付いていかなくてはいけないはずだと。その観点からも、何か単発的なプロジェクトを打ち出せばそれでお金が付くというのではどうだろうかということが、従来からの取組との関係で、いろいろ指摘をされたところだと思います。

したがいまして、そういったところに十分留意して、新しいスキームを運営していっていただきたい。これは検討会のときに随分議論されたところですので、そこのところは留意をしていただきたいということが一つです。

二つ目は、この国として取り組むべき重要消費者政策等と並んでいるのですけれども、もう一つ、基本的にあるのは人口減少社会、高齢化の問題で、そこにおいて正に持続可能な地域を維持していくというところが大きな課題で、つまり、従来の地方公共団体が行っていたサービスもそのままではもう成り立たない状況になっている。特に小規模市町村等々ですね。そういうことがあるので、それも支えていくということが、ある程度国の施策として言えるのではないだろうか。このことも考慮して十分運営をしていただきたい。これは先ほどからいろいろ出ていますけれども、十分地域の持続可能性ということも考えて、それを考えると従来の行政サービスもなかなか維持するのが難しくなっている地域が多く存在することも認識していただきたいということが二つ目です。

三つ目は、先ほどから話が出ていますけれども、結局地方交付税交付金の基準財政需要額をマスとして見てしまうと、それを使い切っていないではないかと。それでなぜ更に必要なのだという議論になってしまうのですけれども、これは自治体によって取組がばらばらなのです。非常に熱心にやっておられる自治体はすごく熱心にやっておられるけれども、残念ながら、そうでない自治体がかなりの数ある。そこを今後どうするかということが非常に大きな問題なので、そこを考えていただきたい。

先ほどから少し話が出ていますけれども、大きいのはトップの認識です。自治体の首長がどういうように認識をしているのかというところが一つ大きいというのと、もう一つは、情報公開によって国民あるいは住民に、どこは頑張っている、どこはまだまだ進んでいない、あるいは、どういった分野がまだまだ弱いといったことを積極的に情報公開していくことによって、国民や住民がもっとここのところを頑張って欲しいという声を上げられるようにしていくことが重要なのではないかと思います。

特に三つ目の問題は、非常に前々から認識をされていることなのですけれども、いまだに解決されていない非常に難しい問題で、地方自治の考え方がありますので、強制的に国がこれをやれ、あれをやれと言うわけにはいかないとしたらどうしたらいいかということを考えていかなくてはいけないのではないかと思います。

○高委員長 ほか、よろしいですか。

蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 いろいろお聞きしていて、消費者問題はすごく大きくいろいろなものが出てきて、来年はもっと大変になるという認識が少し弱いような気がするのです。SDGsのことをこの工程表でも言われました。いろいろなところでそれを言われます。というのは、今までそういうことはなかったわけで、政府が言い出して、右へ倣えでやらなければいけなくなってきた。そうすると、誰一人取り残さないと掲げているわけです。5万人以下のところに生活相談員がいないという現実もいっぱいある。そうしたときに、予算がこれだけしかなくて減っていくというのは、現実的には有り得ないですね。SDGsをやろうとしたらもっと付けていかないとできないわけです。

いろいろな宿題は出てくるのだけれども、あなたたち80%になっちゃったのだけれども、我慢してやってくれると、それは、私は国として施策が成り立っていないと思うので、その辺りのところで新しいテーマが出てきて、消費者をそういうようにして一人でも助けていこうという方針が出た瞬間から、そこに予算が付いてこなければいけないと思います。

ですから、来年度は50億と言わず、60億でも80億でも100億でもいいのですけれども、この国がやろうとしていることを地方にお願いをするのであれば、それはそれなりに予算をきちんと付けて、消費者を守っていくという方針が必要ではないかと思ったので、一言言わせていただきます。

○高委員長 いろいろと意見はあろうかと思いますが、もう時間も過ぎておりますので、ここで終えさせていただきたいと思います。

若干の確認だけさせてもらいますけれども、3-2の資料を見て地方消費者行政、これは大きくシフトするのかという質問がありましたけれども、基本的にはそういうものではないという理解でよろしいですね。

真ん中のところの下の○の国の政策推進等への対応というもので、ギャンブルとかAVとか、こう出ているけれども、これは新たなものとして強調する意味でここに書いただけであって、これが柱になるという話ではないという理解でよろしいですね。

交付金の内容についても、強化交付金でもって、従来の推進交付金、そちらが一切途絶えてしまって、残り3年とか4年ある事業を全部ストップするわけではないという理解でよろしいかと思います。

もう一つ、3-3の資料で御説明いただいて、今回の強化交付金というのは国が推進する事業に云々という話だったのですけれども、国が推進するというのは、3-3のところの資料の特に(2)を見ると、これは解釈もいろいろあるのでしょうけれども、従来のような取組をしても基本的に問題ないという解釈ですね。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 新規で充実・強化のために使うという事業であれば事業ごとに採択になるかと思います。

○高委員長 はっきり言えないのかもしれませんけれども、かなり柔軟に考えれば、この重要消費者政策云々の(2)を見れば、いろいろな運用の仕方があるのだろうと。先ほど山本委員が御指摘されて、余りこういう発言はよくないのでしょうけれども、予算を取ってくるためにいろいろな方法をとられたのだろうと私のほうでは解釈をさせていただきました。

この問題については、まだまだ委員の間でいろいろな意見がございますので、この後、消費者団体からの意見なども聞いた上で、また改めてこういう場を設けて意見交換をさせていただければと思います。

本日は長時間ありがとうございました。以上でこの第3の議題を終了させていただきます。

○消費者庁尾原消費者教育・地方協力課長 ありがとうございました。

(消費者庁消費者教育・地方協力課退席)

≪5.その他≫

○高委員長 次に、議題「その他」といたしまして、公益通報者保護専門調査会の委員についてです。

公益通報者保護専門調査会については、第265回委員会において再開することを御確認いただいたところですが、先般、内閣総理大臣より専門委員が任命されました。公益通報者保護専門調査会の設置・運営規程の第2条第2項及び第3項では、専門調査会に属すべき構成員や座長については委員長が指名することとなっておりますので、参考資料1のとおり、これらの専門委員を公益通報者保護専門調査会の構成員とするとともに、座長については山本委員にお願いする旨の指名を行いました。そして、既にではありますけれども、1月26日に再開第1回となる専門調査会が開催されたところでございます。

なお、当委員会から、鹿野委員に担当委員として専門調査会にオブザーバーとして御参加いただいておりますので、その旨を御報告いたします。


≪6.閉会≫

○高委員長 本日の議題は以上でございます。

最後に事務局より、今後の予定について御説明をお願いいたします。

○丸山参事官 次回の本会議の日程や議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページ等を通じてお知らせさせていただきます。

○高委員長 本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところ御参集いただきまして、ありがとうございました。

(以上)