第264回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2017年12月20日(水)10:00~11:18

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    高委員長、池本委員長代理、蟹瀬委員、長田委員、樋口委員、増田委員、山本委員
    (高委員長の「高」は、正しくは「はしごだか」)
  • 【説明者】
    公益社団法人日本訪問販売協会大森専務理事
    公益社団法人日本訪問販売協会小田井事務局次長
    公益社団法人日本訪問販売協会丸山主任研究員
    消費者委員会事務局担当者
  • 【事務局】
    黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 事業者団体における法令遵守の自主的取組について
  3. 食品衛生規制等の見直しに関する意見について
  4. 消費者基本計画工程表の改定に向けた意見について
  5. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○高委員長  皆さん、おはようございます。定刻になりましたので「消費者委員会第264回本会議」を開催させていただきます。

皆様、お忙しいところを御参集いただきまして、ありがとうございます。

本日は、受田委員、大森委員、鹿野委員が欠席でございまして、長田委員が若干遅れるということになっております。

それでは、配付資料の確認につきまして、事務局よりお願いいたします。

○丸山参事官  お手元の議事次第の下部に配付資料一覧を記載しております。資料1-1から1-4、資料2及び3となっております。それから、参考資料ということです。もし不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますようよろしくお願いいたします。

○高委員長  ありがとうございました。


≪2.事業者団体における法令遵守の自主的取組について≫

○高委員長  最初の議題は「事業者団体における法令遵守等の自主的取組について」でございます。

特定商取引法専門調査会におきまして、特定商取引に関する法律の施行状況を踏まえた購入者などの利益の保護及び特定商取引の適正化を図るための規律の在り方について調査審議を行い、平成27年12月に報告書を取りまとめ、平成28年1月に同報告書の内容を踏まえた消費者委員会の答申を発出し、その内容を受けて、特定商取引法が改正され、本年12月1日から施行されているところでございます。

同専門調査会報告書においては、特定商取引法上の自主規制団体に対して、法令遵守を始め、種々の取組を進めることを求めております。

本日は、公益社団法人日本訪問販売協会から協会における法令遵守等に向けた自主的取組について御説明をいただき、意見交換を行いたく思っております。公益社団法人日本訪問販売協会から、大森専務理事、小田井事務局次長、丸山主任研究員に御出席をいただいております。

日本訪問販売協会におかれましては、お忙しい中御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。

それでは、貴協会の自主的取組の内容につきまして、15分程度で御説明をお願いいたします。

○日本訪問販売協会大森専務理事  皆様方、改めまして、おはようございます。本日は大変貴重なお時間を頂戴し、協会の取組について御説明をさせていただくことになり、大変ありがとうございました。

今、委員長から御指摘がございましたとおり15分で大体御説明を終わりたいと思います。中心的には、後ろのほうにあります現在の課題につきましてお話を向けさせていただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。

まず、資料1-1でございます。2ページ、訪問販売協会の概要がございまして、設立は約40年近くたっております。あと2年ほどしますと40周年を迎える団体でございます。購入者の利益保護と業界の健全発展が目標でございます。

事業につきましては(12)までございますけれども、訪問販売に関することはテーマに掲げて何でも対応していこうという趣旨でございます。下線を引いてあるところが、以後、中心的に御説明をさせていただくもの、現在の会員数は御覧のとおりでございます。

3ページ、倫理綱領の策定ということで、自主行動基準を定めております。今日資料として添付しておりますけれども、中身は相談室で受けた事例を分析しまして、こういったことを守れば、こういったことを禁止すれば、お客様は喜んでいただけるだろうという観点から文字にしたものでございます。

これには、通常過量に当たらないという分量の目安というものを、平成20年過量契約解除制度が入ったときに業界の自主制度として取り入れたものを、この自主行動基準は後ろに添付してございます。

次に「一、特商法3条の2等の遵守アンケート調査」、これは特定商取引法専門調査会の中でも特に議論のあった3条の2について、断っている意思が明確になっていない消費者もいて、それがトラブルになっているのだということがありました。それにつきまして、私どもが従前自主行動基準、この参考の四角の中に囲ってありますけれども、既に3.(2)マル2のところのイ、ウで、なるべく広く意思を取り上げるようにするような形で自主行動基準を定めておりますので、こういったものを会員の皆さんたちが既に採用されているかどうかについて調査をいたしました。大変多くの方たちが既に採用されているということを受けまして、それを全会員に周知し、今後引き続き同様の調査を不定期にやっていこうかとしております。

私どもの協会は、消費者にとって良いと考えられる仕組みを会員の中で広めていくのが非常に重要な役割だと思っております。したがって、この後に出てきます会員の増加は大変重要な課題でございます。会員が増えないと、なかなか自主規制は効果がないということになります。

「二、基準の強化」でございますけれども、高齢者等弱者に対する保護の強化ということで、3.(1)エ、これは配慮義務と言いまして、販売員さんがこれからセールスをするときに、自分の前に座っている人に本当に自分のこれから話そうとしていることが分かってもらえるのかどうか。そういうことをもし不適切に確認をしていれば、後でそのリスクは自分ないしは会社にかかってくるのだという認識を持っていただくために、こういう規定を添えました。

4ページ、3.(3)サでございます。この三つのポツ、分量、金額、回数、一定の年齢、生活の糧を年金に頼っている、これがトラブルの原因になっています。訪販協では従前こういったものを目指していろいろな規定を中に配分しているのですけれども、さらに社内で幾らお得意様といってもずっと販売員の言うことを聞いて買い続けている。それが結果的に数年の間に1,000万買ってしまった。例えば呉服だとかアクセサリーだとかバッグだとか、そういう嗜好品などで買い続けて、結果的には全部キャンセルしたいというような事例も出てきています。ですから、お得意様であっても、どこかの時点で社内の体制の中でチェックをする機能を持っていただく。そのようなところのことを規定として置いたというものでございます。

以下、自主行動基準を守らなかったときに、罰則はついておりませんので、倫理審査委員会という第三者委員会で改善勧告とか権利の停止、除名とか過怠金などを措置として判断いたします。

次に教育ですけれども、これはトラブルを起こさないための事前措置ということで、販売員の登録制度、JDSA認定教育登録証を36万8,000人の方々が現在持っていて、右にあります指導者資格というのは、そういう販売員さんたちを教育していただく人のために資格制度を協会がやっています。累積でございますけれども、約4,000人近くの方が資格に受かっている形でございます。右にあるポスターは、これはA3よりもちょっと大きいのですけれども、こういったポスターを配って、企業とか消費者センターの方に知っていただこうというものでございます。

5ページにございます一覧は、事前の教育という中で言えば、広く協会の会員に向けて、また非会員の人たちに向けて、法律の遵守徹底を特にしていただくことで、特に27年、28年辺りからは、3条の2の協会の取組について、このように広く読み取る、断る気持ちをはっきり言える人たちばかりではないのだということを念頭に置いた活動をしていただきたいことを周知したセミナーなどを開いております。

平成26年度にあります真ん中やや下に「消費者志向体制調査」がございますけれども、これは後々説明いたします企業の中にある消費者志向の体制をチェックする、これは自己点検なのですけれども、不定期でございますけれども、それについて2~3年に1回こういう調査をして、過去の自分たちの体制がどう違っているのか、また、全体の中で見たときにどう自分たちが劣っているのか、または成果が上がっているのか、そのようなことが見られるような調査になっております。

以下「資料」と書いてありますけれども、これは改正特商法が12月1日で施行されておりますので、それめがけて簡単な冊子を作ったり、従前の教育用テキストを改訂して、既に発行のところまで来ております。括弧内は発行部数でございますので、今後更にこれを周知するために配布に努めていきたいと思います。

6ページ、苦情の解決ということで、これは特商法の中で協会の業務で位置づけられている大変重要なミッションでございます。ホットラインという名目のもとで苦情相談を受けています。そこで解決がつかない場合には、苦情検討会、その上の紛争処理委員会ということで、全てあっせんでございます。あっせん案を作って、そこで提示していくということでございます。上二つは弁護士の先生たちが控えていることになります。私ども協会としては、とにかく相談室で解決するという意気込みで進めているのが実態でございます。

下に○が書いてありますけれども、参考で、平成20年の改正以降、28年度までに会員が45%減という状態になっていて、協会の相談室の相談件数ですけれども、73.4%減とになっている。ただし、その下のところの原因になってくる下線部分、特に「消費者志向が不十分」というのは、私どもは大変ここに主眼を置いていまして、法律以前の問題だということ、この辺りを課題として上げて、右に国民生活センターさんのデータがございますけれども、これも訪問販売については、特商法の訪問販売以外のものも中には含まれておりますけれども、19.1%の減。

しかしながら、これも下に書いてある最近の行政処分の状況を見ますと、28年度、29年度のこの9月までを足しますと、75件、この数字の中には、この下にある問題の認定された行為、最初に何を売りに来たかということとか、売ったものについての記載をした書面不備、交付しなかったことも含めて、それから、不実告知、事実でないこと。迷惑勧誘というのは、再勧誘の禁止と足すものでありまして、むしろ最初はオーケーしたのだけれども、途中で嫌だと言って、それが結果的に迷惑勧誘になるのですけれども、実質上、これは再勧誘の禁止とオーバーラップする部分だと私どもは考えておりますので、この下線を引いているところには、四角囲みで※が書いてありますが、今後、私どもはここに視点を置いた活動をしていくということになります。

救済措置のところにつきましては、これも法律中のことでございますけれども、会員が行った訪問販売の取引について、契約の解除ないしは取消しがあったときに、既払金の返還ができない場合、正当な理由があるかないかを判断する第三者委員会の決定に基づいて協会が基金より返金をすることになります。これは事実確認をしていきますので、簡単には右から左に行くものではないだろうということになります。

7ページ、消費者啓発でございます。これもいろいろなところの自治体さんから連絡があって、相談員さんの研修とか、一般消費者への啓発などというものがございます。下に書いてある資料は一部でございますけれども、ステッカーだとか、先ほどの登録制度の周知をするために、この左側にありますけれども、小さくて申しわけありませんが、緑色のJDSAの認定登録証を知っていますかというのは、下のほうに四角囲いにしてありますが、このシールがはがれるようになっています。はがれるシールを来訪者の目の付くところに貼っていただく、そういう作業をしております。訪問販売お断りというステッカーが、今、あちらこちらで出ておりますけれども、私どもの協会としてはこういったことをやって、以前調査をしたときには、全く何の影響もなかったという方が1割、あとの方たちはマナーが良くなったとか、苦情を出すような人が来なくなったとか、もしくは全く販売員が来なくなってしまったとか、そういうような結果が出ております。

8ページ、29年度以降の重点的活動ということで、まず法律の周知ということで、テキスト類の変更、この規約の変更というのは、過怠金を取ることになっていまして、法違反が認定された企業には会費の何倍かというルールを決めております。これは計算方式がありまして、その規定を早速変更いたしました。今般、改正特定商取引法施行に伴い、業務停止期間が1年から2年に延びましたので、規定を変えた形にしたものでございます。

消費者志向体制調査というのは先ほど申し上げたものです。これは29年度、来年2月か3月ぐらいに調査票を配り、実は、この「その他」のところに書いてあります調査項目に下記の内容を追加、先ほど自主行動基準で追加した二つ、これが1年ほどの期間が経過しておりますので、会員の皆さんたちにこれがどのぐらい浸透しているかということを含めて調査したいと思っているので、今日お出しした参考資料にはまだ入れておりませんけれども、これを入れて調査することにしております。

大方、この中で言っていることは、一つ大きな狙いとしてあるのは、苦情を起こしたときにそれを記録に残し、それを再発防止の手当てにどれだけ注力し、実積を上げているか。この辺りが大変重要な問題だと我々は捉えているのです。しかも、そういった情報を部署間で共有する。例えば、このA販売員が問題であれば再教育をする、もしくは営業の停止をする、場合によっては辞めていただく。そういったところの問題を起こした後に問題を起こさないための措置をどうするかということが、このチェックリストの中の中枢を担っている部分でございます。後ほどチェックリストを御覧いただければと思っております。

若者向けのパンフレットは、今後成年年齢の引下げもございまして、前に大学生さんを中心に資料などをいっぱい作っていたこともあって、大学に行って話をしたこともあるのですけれども、最近は高齢者の問題がクローズアップされていて、そちらに注力していたような状態で、改めて中身をまたリライトして、また御要望があれば大学等に行ってお話をさせていただく。

会員の増加の取組でございますけれども、表から見た訪販協はどう思われているのか分かりませんが、民間団体が民間企業に対して強く自主規制をしていると見えているのかもしれません。負担もそう安くはございません。小さな業者が加入しやすいということで言えば、会費の額を安くして入りやすくしたり、入会基準の一部を見直したり、加入業者にとってメリットにつながるような活動を行うよう努めてきました。

この国民生活センターさんとは、3か年の苦情件数をいただき、そして、そのうち50件の苦情の内容を教えていただくという連携をしています。したがって、私どもの協会でいただいた情報を加工してどのような苦情が当該企業に傾向としてあるのか。そのトレンドとともに、当会相談室からみた改善点をまとめた提言書を共有を希望した会社にお渡しします。そして、これに対する対応方針をまとめたものを会社から協会に提出していただく。それを協会で管理していき、その後の状況を見守っていくというような取組をしております。国民生活センターさんとしては、データを調べるという都合からいくと年間10社というお約束の基に動いていますので、今後はもう少しこれを広げていく。情報の中身も、例えば地域を特定した情報とか、そういった連携が強化されていくといいなと思っております。

最後のところでございますが、消費者志向活動表彰制度の検討でございます。これは40周年を迎えるまでに、消費者利益というものを企業がどう考え、現実にそういった動きをとり、どういう成果を上げているか。その企業を評価するというよりは、そういう活動を評価するという取組をやったらどうかというようなことで検討を開始したところでございます。ですから、この数年の間にやれるかどうかも含めて検討を進め、できましたら40周年のときに披露ができたらいいなと思っています。

最後のところに書いてありますのは、協会の自主的取組ということで、会員が法律以上にどういう取組をしているかということ、それから、社会貢献ということで(2)に書いてございます。また、訪問販売は利用されて喜ばれているのかという御意見をいただくことがあって、やはりトラブルを前提に置きますと、その現象だけに従っておられると、どうしてもトラブルが多いね、規制の強化だねということになり得るのですけれども、協会のメンバーを通じて入ってきたお客様の声を参考までにお知らせしたものでございます。

以上でございます。

○高委員長  ありがとうございました。

それでは、委員の方々から、御質問、御意見がございましたら、御発言をお願いします。

池本委員長代理、お願いします。

○池本委員長代理  池本でございます。

御説明ありがとうございました。従来から自主行動基準を作り、会員に向けて研修などをしておられるということは承知していたのですが、特に消費者志向チェックリストというものを作って体制も含めて調査されているというのは、非常に素晴らしい取組だと感じました。

これについて少しお伺いしたいと思うのですが、この資料1-4の消費者志向チェックリストの中で、先ほどの御説明にもありましたが、法令を遵守するという行動基準を守りますという宣言だけでは不十分で、それを社内できちんと体制として確立しているかどうかが非常に重要だろうと思うのです。例えばこの中で見ますと、番号で申し上げますと「(2)担当部署」の2-13、2-14などで「コンプライアンスの担当部署(担当者)を設置している」「経験・専門性を配慮した人事配置をしている」と、このようなところがチェックリストで調査された中でどのぐらいの実施率なのか。同じように、もう少し後ろですが、先ほども御説明にありました4-61の「苦情の申出の内容・調査経緯・解決結果を記録し管理している」というようなところ、この辺りの実施率がどのくらいに及んでいるのかという辺りの数字が、概要でも分かれば教えていただきたいのですが。

○日本訪問販売協会大森専務理事  今日、調査結果を手元に持ってきていないので、ざっくりとしたことで大変申し訳ないのですけれども、調査に応じている会員が全てということではないという前提で申しますと、まず最初に4-61の解決の結果を記録管理しているというのは、濃淡がありますけれども、ほとんどの会員さんがやっておられるというのが実情です。これはもともと経済産業省さんで、産業界における消費者志向体制、苦情対応ということは我々協会の設立のときから言っていたことでございますので、我々からすると、今更ながらリスクマネジメントについて強く言う必要はないのだろうと思っているのです。ただ、一つ言えるのは、濃淡があり、記録が十分にとられていないということがあります。

1番目のほうは、手持ち資料がなく今すぐに回答をするにしては余りにも不安定なものですから、実施率についてははっきりとお答えができない状況でございます。

○高委員長  ありがとうございました。

池本委員長代理、お願いします。

○池本委員長代理  もう1点質問させてください。御説明の中でも会員の拡大、ハードルを高くすれば参加が思うようにいかないというまさにジレンマがあろうかと思うのですが、ここ2~3年で新規の入会と退会、あるいは処分などを含めて、その出入りの様子はどのような感じなのか。入ればある程度定着していくのか、入るけれどもついていけなくて退会するというのが頻繁にあるのか、あるいは、それがこういったハードルを上げていることに関係するのか。それから、御説明の中でも、中小の事業者を入れるために少し負担金や入会のハードルを下げる工夫をなさっているということですが、そういうところが入会数あるいはその後の退会という動きにどう影響しているのか。入会の面と退会なり処分なりの面との出入りというところで見るとどうなるのでしょうか。

○日本訪問販売協会大森専務理事  正直言うと、入会をすると退会をしていくという、こういう状態がしばらく続いています。先ほど会員の数が大幅に減っているところを見ていただいたのですけれども、20年改正のときに、特商法の改正とともに割販法の改正が行われました。基本的に高額な商品を売る立場の人たちは、ある程度限定されるわけです。しかも、相手が高齢者ということになると、そういった商品を売る立場の人たちというのは信販会社の管理が大変厳しくなってきていまして、そもそも加盟店としての契約を当時解除されたという動きがあったことは多分皆様方は承知していると思うのですけれども、それが今はまだ続いていて、特に訪販協のメンバーの中でも、ある一定の商品を扱う事業者について当時平成20年前後に一気に抜けていったような状況があります。

これは池本委員長代理御指摘のとおり、自主行動基準等について文字としてはかなり厳しいものが書かれていて、今日は出していませんけれども、商品の禁止行為というものが、実は10品目についているのです。これについては、事業者の皆さんにとってみると、ここまで書かれるのかという言い方をされたことがあって、大変細かく手とり足とりやってはいけないことが書いてあるのです。それは私が先ほど申し上げたとおり、苦情の中身を分析した結果、ここまでやらないとなくならないねという観点なのです。そういうことをやっていく中で基金が出来上がって、1社60万の負担。それ以外に入会金10万、それぞれの月の会費、ランニングコストが掛かってくる。こういうことに加えて、協会の規定の中に除名処分とか、過怠金とか、他の団体さんにないような非常に厳しい言葉がちりばめられているわけです。それに該当するかしないかというのは、個々の企業さんの取引にもよるのですけれども、協会にいて、指導を受けて、問題があるのだけれども、改善していきたいと思うような方たちにとっては、こういった言葉が大変厳しく映るというのもあるのだろうとは思うのです。となると、新規に協会に入ろうとしたときに、そういう金銭的な負担もそうであるけれども、そこまでの負担をして協会に入っていくことがどういうことなのかというような思いというのが、多分あるのだろうと思うのです。

したがって、私どもとしては、問題性が余り高いものを入れるというのは基金の管理から言ってリスクが高いというのもありますので、むしろ小さくてもちゃんと長年この訪問販売をやっている方たち、もしくは、非常に圧倒的に大きな企業でも健全にやっているからこそ訪販協に入っていただきたいというところ、そういうような思いは常に持っていて、活動を続けているというのが実態でございます。

○高委員長  ほかはございますでしょうか。

蟹瀬委員、お願いします。

○蟹瀬委員  50年間活動していただいて、ありがとうございます。大変長い時間だと思うのですが、この間、すごく訪問販売という形が変わってきたと思います。

二つ質問があるのですが、1点目は、池本委員長代理がおっしゃった6ページの会員数の計が8年間で45%減っている。この主な理由はどう分析なさっているのかというのと、相談件数も73.4%と非常に減っております。これは訪問販売についてのいろいろな情報が行き渡って、訪問販売する側がちゃんと遵守しているということでこのように減っているのか、あるいは訪問販売自体が減ってこのように減っているのかという分析をどうなさっているかをお聞かせいただきたい。

2点目は、4ページに不当訪問などをした場合の改善勧告、正会員の権利の停止みたいなものが書いてあるのですが、8ページに、これから強化したいというところに罰則の強化というものがあります。罰則なきものは基本的に余り守られていかないというのが大体普通なのですけれども、罰則的なものはまだ作っていらっしゃらないのでこれから作る。そうすると、ここの会員が減っていく。二律背反するようなことが起こると思うのですけれども、そういった場合に協会のミッションとして、会員はどういうことを今から期待をなさっていて、協会としてはどういうことをやっていこうかなと思っていらっしゃるかをお聞かせください。

以上、2点です。

○日本訪問販売協会大森専務理事  まず一つ目の御質問でございます。苦情の件数は、実はここに書いてありませんけれども、一時、一番多いときに6,400~6,500件ありました。ほとんどが一般の消費者がダイレクトにうちにかかってくるケースです。この広報は今も昔も変わっていません。NTTさんが出す特別なタウンページなどという公的機関等の相談番号が載っている特別な冊子、地域ごとに出ているのですけれども、それに訪問販売に関する苦情相談はということで載せさせていただいているのです。これを見てきたというのが、過去の私どものヒアリングで分かっています。

ところが、今、減少している原因というのは、もちろん市場の縮小がございます。売上高については、今年、一昨日ですか、公表いたしましたけれども、ようやく0.4%伸びた。この数年、少し改善傾向にあるのですけれども、ずっとこれまではマイナスだったのです。この十数年間ずっとマイナスを続けてまいりました。20年度の改正以後も、市場の縮小というものはあったわけです。そういった意味でいうと、国民生活センターさんのデータなども苦情の件数はここに反映されているのだと思うのですけれども、ただ、悪質の度合いの高い者は当然いるわけでありまして、そこは着目していかなければならないというのはございます。そういった意味からいうと、苦情相談というものも大分少なくなってきているのかなと思われます。

二つ目の会員の指導でございますが、私が聞き取れないところでもしありましたらまた御質問いただきたいのですけれども、倫理審査委員会で措置を確定するということで、委員長が改善勧告書を出すということになって、その改善勧告を出していただいたときに、協会の相談室はその後の動向というものを見守っていくわけです。そこで出てきた問題を見ていたときに、どういう具体的な問題を見るかというと、先ほどちょっと私は触れましたけれども、その企業さんがなぜそういう重大な問題を起こしたかというときに、苦情相談室はどういう機能を果たしていたのか、記録がどう書かれているのか。しかも、起きた苦情についてどういう解決が図られていて、原因は何か、それについて再発の防止の手当てをどうされていたか。そういう記録の在り方を見せていただくのです。

これがむしろ、数が少なくても一生懸命協会に入ってやっていこうとお思いであれば、協会の持っている標準的なものに持っていくということについて御協力をいただかないと、会員として一緒に活動はできないですねというようなことになるわけです。それをそのまま放置していくと、例えばうちの相談室も今、アンテナが大変低いですから、情報が入ってこないままに行政処分を受けることも中にはあるわけです。そのときに初めてそこで何が起きているかが分かっていくわけですね。場合によっては、処分をされる前に私どものほうに情報が入って、当該企業にいろいろなことを申し上げたりなどするのですけれども、それは倫理審査委員会以外の活動として相談室から個別の企業に対して早期警戒という形で改善を促すということもやっています。

こういう一つの相談室の解決の仕方、解決の結果みたいなストライクゾーンがありますね。それを大きく外れたりするのは、協会の会員としては、いては困りますみたいな話に当然なるわけです。入会のときにも、そういうものを見ながらやっていくことになるわけです。だから、言い方は悪いですけれども、うちの相談室と付き合っていかれるのかなというような感じでもって入会審査をするというような感じでございます。これで御質問に答えられていますか。

会員の減少につきましては、直接的な原因がどうかということを私どもが根掘り葉掘り聞くことはないのですけれども、想像から申し上げますと、協会の直接的なメリットをどういう感じで捉えているのか、その費用と効果というものを考えたときにどうなのだろうかという判断をされる方たちもいらっしゃるのではないかと思うのです。割とそれが新規に入られた方たちの中に傾向として出てきている。協会に入ってみたのだけれども、何かちょっと雰囲気が違ったと言って退会される方がいるのです。その辺りをもう少し私どもが探って、何が会員のメリットになるのかということを探り当てて、それについて何かやっていくことになるのですが、どうもそこには事業者の皆さんと我々の考えていることには多少そごがあるのではないかという気がするのです。国民生活センターさんのデータにしても、特別に訪販協の会員であれば50件苦情がもらえるという連携を組んでいますと言っても、それは手を挙げてくださいと言ってもなかなか手が挙がらない事態も実はあるのです。それはどういう事情なのか分かりませんけれども、私どもが中を介在していきますので、そういうことから言うと、私どもが考えているメリットを仮に当ててみても、それは事業者にとってみたら必ずしもメリットではないのではないかということがあります。

○高委員長  ありがとうございました。

ほか、ございますでしょうか。

長田委員、お願いします。

○長田委員  相談が今のところ354件、例えば平成28年度で、会員の会社の相談と会員外の方の相談も受けていらっしゃると思うのですけれども、その割合みたいなものは分かりますか。

○日本訪問販売協会大森専務理事  今は会員に限っては3割か4割くらいでしょうか。昔に比べると増えています。なぜならば、会員の取引で交付する契約書面等に協会の相談室の番号を記載する活動を今、やっているのです。製品のことなどの細かい相談がうちに入ってくることは避けたいので、当該会員会社の相談対応に御不満があれば当会の相談室にお電話くださいというようなフレーズで書かせていただいて、うちに入ってくるというようなことをやっていますので、商品によっては偏りがありますけれども、全ての事業者がまだやっているわけではありませんので、だんだん増えてくればその分協会に入ってくるものが増えてくる感じになりますね。

○長田委員  会員外の会社の御相談については、あっせんについて、どうしていらっしゃるのですか。

○日本訪問販売協会大森専務理事  基本的には受けます。特に問題性が高いと相談員が判断したときには、なるべく中に入っていく。結果的には仲介をいたします。かつては協会が昭和63年のときに法律に業務が規定される前は、インもアウトも関係なく受けていたのです。それは中にはとんでもなくひどい人たちもいましたけれども、入っていったことがありました。ところが、協会は会員の苦情を受けるという規定をされたので、そちらに特化していったことが一時期ございました。今は苦情件数がそれほど多くはございませんので、全体のレベルを上げていく展開を考えたときに、かなり問題性のあるものについては中へ入っていって対応するということにしております。

○高委員長  増田委員、お願いします。

○増田委員  ありがとうございます。

会員の方のメリットということはすごく重要で、これから会員を増やさなくてはいけないと思うのですけれども、そのためには消費者にこの訪販協さんの活動を理解していただかないとメリットにつながらないと思うのです。一般消費者の方にはどのような形で周知・広報されているのかを教えてください。

○日本訪問販売協会大森専務理事  そこは大変弱い部分でもあるのですけれども、広報費に絡んでくることでございますので、どうしても私どもは全国に1,000を超えた消費者センターさんのお力を借りざるを得ないのです。ですから、先ほどの登録証のPRシールなども、そういったセンターの方たちとか、地域の包括センターも1,000ぐらいの数があるらしいですけれども、高齢者の方たちはそこに苦情を持っていくということを聞いていますので、そういったところにも資料を配り、また、センターの方たちだけではなくて、自治会、婦人団体、そういったところにもお声をかけてお配りするということをしています。かつては、例えばこういうリーフレットもふんだんにあって、それを200なら200、こちらから一方的に送ってしまった時代もあったのですけれども、今は必要なところに必要な部数を配るというやり方をしていますので、見本をお配りして、お声の掛かったところにはなるべく希望に応じた部数を無料で配布するという活動をしています。その配布したところから、協会の講師を呼んで消費者啓発をしてほしいというところが、先ほどの資料の中に展開をしているということでございます。

訪問販売協会があるということを知っていただくのはなかなか難しいのですが、もう一つ、今はやっていませんけれども、数年前は例えば福岡ならば福岡に行って、訪問販売110番ということも毎年1回やり続けた時期がありました。そのときには新聞、テレビの方たちに来ていただいて広報をさせていただいたというのがあります。それをやるとテレビに出ますね。瞬間風速みたいにわっと来ると一気に40件ぐらい入ってくるのですけれども、どうも最近はそういうものではなくなってきた感じがいたしています。ですから、そういう110番をやる意味みたいなものも少しずつ薄れていってしまった感じがいたしております。

以上でございます。

○高委員長  ほかはございますでしょうか。よろしいですか。

私もよろしいですか。先ほどから委員の方々からもいろいろ出ておりましたけれども、協会のメリットですね。今、入ってくる会員さんは余りそのメリットを感じない方が多いのではないかと大森専務理事はおっしゃったのですけれども、ここに入らない事業者はいろいろな問題を起こす可能性は高いと思うのです。もちろん会員の方も苦情が3割から4割あるということですけれども、その方々は、この取組を聞いておりますと、基本的に問題があればそれをただしていこうという姿勢で取り組んでおられるわけですね。そういう意味で、もっと会員が増えたほうが良いと思うのですけれども、余りメリットがないとおっしゃったのですね。例えばこういうことを考えてもらえれば会員が増えてくるであろうというような、なかなか会員の方の意向を聞くのは難しいですけれども、個人的な意見でも結構ですので、我々が政策を考える上で、何か意見があればお願いしたいのです。

○日本訪問販売協会大森専務理事  なかなか難しい御質問で、私どもはいつも自問自答をしていて、一体何があったら協会に目を向けてくれるのかという思いはあるのですけれども、一つ申し上げたいのは、問題性が高いところをむしろ協会に加入させてほしいという声が多いのです。消費者の方たちの意見は、ほとんど異口同音にそうおっしゃいます。むしろ問題のある人たちを入れて、そこで是正をした上でやっていくことが協会の役割としては大事なのではないかとおっしゃるのですけれども、うちがリスクを抱えていくと、基金の問題も出てきますし、余りレベルを外れた方たちを入れるのは難しいです。入会審査は理事会で行いますので、我々がいろいろなところで調べたデータを持ってきたときに、本当は入れたいのです。事務方にしてみたら入れて、何かやっていけそうだろうなと思うわけです。いっときは10社の申請企業があっても1社しか入れなかったときもありましたので、本当は入れて広げていくということをやりたいのですけれども、なかなか持っている我々の現状の規約とかでいくと加入は難しいとなるわけです。ですから、例えばそれをやってでも訪販協に入れるということになったら、多分義務です。協会にいなければ訪問販売できないという義務がない限りは、なかなか果たせることではないのではないかと思うのです。

これから私どもが消費者志向ということを考えたときに、規約で縛るばかりではなくて、訪問販売でやっている、そこで生きている、根づいている、昔からやっている、本当に適正で正しい人たちの活動を評価していくという意味で、私は先ほどの活動表彰というものを考えているのです。そういった値がつけば、例えば消費者庁さんでもそういった取組をされておられますが、我々はダイレクトセリングの世界でこれをやりたい。そのときに何かこれを支援していただくようなことがあれば、企業としてもこれでやっていてよかったなと思えるようなことがあれば、それは一つ方策としてはあるのではないかと私どもは思っております。

○高委員長  ありがとうございました。

池本委員長代理、お願いします。

○池本委員長代理  池本です。

今、話のあった、法律で一定の業界団体へ入れという義務づけをダイレクトに入れるというのはなかなか難しいかと思うのです。ただ、やっておられるこういった法令遵守の行動基準を明確に定め、あるいは一定の体制整備をするというようなことを義務づけて、それをちゃんと遵守するにはどうしたらいいのか。書面交付義務ならばどこかのをコピーしてくれば済みますけれども、本当の意味の体制整備となれば、一定の業界団体の中で継続的に一定の水準をどう保つかというようなことで、そこへ所属してしっかり体制整備を学んでいこうというようなことができるのではないか。これは多少思い付き的なことなのですが、加入義務ではない何か別の方策ということは考えられないでしょうか。

○日本訪問販売協会大森専務理事  そこの点は今、私は忘れておりました。実は教育体制、これは教育をできる人間がいなければなりません。そして、その後事後に出てきた苦情を整理する。これも人的資源は大変貴重なのです。先ほど苦情受付の書き方の問題もありましたけれども、それは苦情のシステム化なのです。カードで書いて、私どもは古いときは棒に刺してやっていたことがありましたけれども、今は機械化が進んでやっているのですが、そういうものを作ること自体大変なわけです。それが例えば教育と苦情対応、強いて言えば再発防止の手当てについて、その会社の中でどうやって構築していくかというのを一つのセットにして、パッケージにしてうちがやっていくことができれば良いと思ってはいるのですけれども、当協会が全て端から端まで対応することは現状ではなかなか難しいです。具体的なものを提示しないと、特に苦情の記録の仕方が分からないという企業さんなどは手とり足とり、全てフォーマットは決まっていてそれをなぞらえるようにやれるのだったら良いだろうということになるわけです。そういうマネジメントみたいなことを訪販協ができれば、一つのやり方としては良いのかということはありますね。

○高委員長  ありがとうございました。

蟹瀬委員、お願いします。

○蟹瀬委員  高委員長がおっしゃったことなのですけれども、問題を起こしているところが会員になりたいと言ってもなかなかなれないのが現状だと思うのですが、例えば10社来て1社しか入れないところ、9社を準会員扱いみたいなことをして、今は駄目かもしれないけれども、いろいろな情報を渡して教育して、教育の場は出ていいよ、そのかわり相談は受けないよみたいな話です。ある程度ルールを決めて、これだけいろいろなたくさんの勉強会をなさっていますので、そういうところに入っていって勉強できるチャンスを差し上げたりして、2~3年勉強して会社がちゃんとした姿になったら準会員から会員に入るとか、そういうことは考えられないのですか。結構そういうところは多いのです。協会以外にもスポーツのところでもどこでもそうですが、行いが悪い人はしばらく待っていなさいみたいなものがあって、行いがよくなってから入るみたいなところが結構あるのですが、それは情報がないからこそ、何をやったら良いか分からないからこそ、そこに入って勉強したいという方がひょっとしていらっしゃったら、今の形ではなくて何年後かを見据えてのチャンスをあげることは考えられないのですか。

○日本訪問販売協会大森専務理事  長期ビジョンで考えたときに、そういった方針で動くことは可能だと思います。今回それに関連して、国民生活センターさんのデータをいただきましたね。この中に、それなりの件数があったり、ほとんど全くなかったりということが実はあったりするのです。どちらにしても、その中にあった苦情を見たときに、ここはあなたのところは改善しなければ駄目ですね、仮に5件しかなくても、ベストプラクティスは求めていかなくてはならないですねとなったときに、更に上を目指していこうといったときに、最初は協会がやっているから手を挙げてやってみようかなと思っていた方たちも、実はそこでいろいろな発見があって、役員会にかけてみたら結構これは重要な問題だねという気づきがあった会社もあります。これは我々としては広げていく価値はあると思います。どんどん協会の中で広げていき、今ある問題を大なり小なり押さえていく。実際押さえていく必要があるのだと思っていただくことが大事なのだろうと思うのです。そして、協会の中でなるべく不祥事が出てこないような形にしていくことが大事なのではないかと思っております。

○高委員長  ありがとうございました。

ほかはよろしいですか。

長田委員、お願いします。

○長田委員  今、ずっとお話を伺っていて、御苦労なさっているなと思いながら、全然別の業界ですけれども、携帯電話の販売代理店さんが会員さんの中で「あんしんショップ」というものを、それぞれ自己宣言していただいて研修を積んでいただく仕組みをとっているのです。つまり、協会の会員さんで宣言をしたところとそうでないところと差別化していくというのですか。見える形で、お店の店頭にマークが貼ってあるという形、そこでもちろん相談が上がってくれば今度は協会からさまざまな提案をして直していくとか、いろいろな体制をとっていらっしゃるのです。見えるものというので、先ほどの登録証みたいなものも、よりみんなの目に触れることが大切だと思って、消費者委員会としても何ができるかということはあるかもしれませんけれども、例えば消費者団体も御協力できるところはあるかもしれないので、またいろいろなお話をさせていただければいいのかなと思いました。

○日本訪問販売協会大森専務理事  ありがとうございます。

今の御意見に触れさせていただくと、協会のメンバーの交付する契約書には必ず訪販協のマークが入っているとか、何かあったときに訪販協が中へ入っていく、ちゃんと間に入って対応する、そういう能力のある会社なのだということを知っていただくためには、契約に至らないところの情報が実はセンターさんに堆積されているわけですね。そこには消費者の不平不満がたまっているわけです。そういうものをセンターの皆さんたちに、御苦労されて大変申し訳ないのですけれども、例えば訪販協の会員だと分かったら重要な問題であれば御一報いただくというような、そういうシステムがあったら有り難いなとも思っております。

○高委員長  ありがとうございます。

ほか、よろしいですか。

まとめさせていただきます。改正特定商取引法の趣旨を踏まえた自主行動基準の策定、それから、苦情情報の共有、さらには、先ほど説明がありましたけれども、特商法第三条の二の遵守についても、かなり細かい教育を徹底しておられるようで、当協会における活動は高く評価できると、今日感じた次第でございます。

それから、悪質な事業者を市場から排除するために、法令違反によって不当な利益を得ることができない状況を作り出すことが我々は重要だと考えておりまして、そのためにもまず事業者の法令遵守に向けた取組は欠かせないと感じております。

加えまして、消費者保護の取組や苦情対応、それから、苦情相談情報の共有・連携などの活動や法令遵守に向けた取組を、これは難しいかもしれませんけれども、業界全体に広げていくことが重要であります。そういった意味で、事業者団体の役割は非常に大きいと感じております。

日本訪問販売協会におかれましては、引き続き法令遵守の徹底に向け、積極的に取り組んでいただければと思います。

また、当委員会としても、事業者における法令遵守等の取組について、引き続き注視するとともに、今日そちらからいただいた意見も踏まえまして、政策として何ができるのかということもしっかり考えていこうと思っております。

以上をもちまして、第一の議題を終了させていただきます。

日本訪問販売協会におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、ありがとうございました。

○日本訪問販売協会大森専務理事  どうもありがとうございました。

(日本訪問販売協会退席)

(消費者委員会事務局担当者着席)

≪3.食品衛生規制等の見直しに関する意見について≫

○高委員長  次の議題は「食品衛生規制等の見直しに関する意見について」でございます。

本件については、12月13日の第263回委員会において、厚生労働省から、食品衛生規制等の見直しに向けた検討状況について御説明いただきました。本日はその内容や議論を踏まえ、今後食品の安全を取り巻く環境の変化を踏まえた対応が必要であると考えられることから、食品衛生規制等の見直しに当たって取り組むべき事項を、当委員会の意見として取りまとめたいと思っております。

お手元に資料として「食品衛生規制等の見直しに関する意見(案)」を配付しておりますので、意見案について、事務局から説明をお願いいたします。

○消費者委員会事務局担当者  お手元の資料2を御覧いただけますでしょうか。今、委員長からもありましたとおり、本議題につきましては、前回、第263回の委員会におきまして、厚生労働省による説明の後、消費者庁も交えて御議論をいただきました。前文にもございますとおり、食品の安全を取り巻く環境の変化を踏まえた対応が必要であると考えられますことから、厚生労働省及び消費者庁に対し、関係省庁と連携した取組を求めるべく、委員会の場におきまして、委員から言及の多かった3点につきまして、当委員会による意見案として整理させていただきました。その3点について、具体的に申し上げます。

1点目、HACCP導入に関するものでございまして、制度導入の結果として、消費者が享受する衛生の水準が同等となるようにすることを求めるものでございます。また、その際には中小・零細企業への配慮についても指摘しております。

2点目、リスクの高い成分を含むいわゆる「健康食品」等による健康被害を防止する対策をしっかりと講じるようにとの指摘となっております。その際の留意点についても触れております。

最後の3点目、食品リコール情報の把握に関するものです。食品表示法違反によるリコールにおいても、アレルゲン等の安全性に関わる理由による場合には、食品衛生法のスキームと同じようになることを指摘しております。

事務局からの説明は以上でございます。

○高委員長  ありがとうございます。

ただいま説明をいただきましたけれども、御意見、御質問のある方は御発言をお願いいたします。

いわゆる「健康食品」のところもこれでよろしいですか。

山本委員、お願いします。

○山本委員  2.の第2段落の部分は、前回の委員会で受田委員が指摘された部分だと思います。つまり「健康食品」として何か効用があるといったようなことについてお墨つきを与える、それを認めるといった趣旨の制度ではない。あくまでタイトルの部分、あるいは中にありますように、リスクの高い成分を含むというところに着眼をして、それに見合った規律を行うための制度であるということをはっきり意識して、消費者の方、あるいは事業者の方にもよく意識してもらえるように制度を作り、あるいは制度を運用すべきだということだと思います。この点、第2段落はなかなか表現が難しかったところだと思うのですけれども、趣旨としては、そういう意味であるということを確認しておきたいと思います。

同じいわゆる「健康食品」等に関わる第1段落の部分は、前回厚労省の担当部局の方から御説明がございましたけれども、まだ若干具体性に欠けている部分もありまして、余りここについて具体的に意見を書くことはできなかったということかと思いますけれども、リスクの高い成分を含む食品について、現在でもある程度のことは行われているという説明で、それでも問題がいろいろ起きているので、今後それよりも更に一段階高いレベルの規律を行うということですので、その趣旨が徹底するような形で実効性のある制度を作っていただきたいということです。

○高委員長  ありがとうございます。

今の趣旨が2番目の最後の二行に含まれているということですけれども、特に異論はないということですね。ありがとうございます。

よろしいでしょうか。

それでは、この意見案につきましては、皆様方の御了解をいただいたということで、厚生労働省及び消費者庁宛てに発出したいと思います。ありがとうございました。

今後、食品衛生規制等の見直しに向けまして、具体的なスキームについて検討がなされるかと思っておりますけれども、その際には、両省庁において、当委員会の意見にも十分留意した上で検討を進めていただくことを期待しております。

また、改正等に向けた検討状況や改正後の運用状況などにつきましても、引き続き委員会として注視していきたく思います。

≪4.消費者基本計画工程表の改定に向けた意見について≫

最後の議題に進みます。最後の議題は「消費者基本計画工程表の改定に向けた意見について」でございます。

消費者基本法においては、消費者基本計画の検証・評価・監視について、それらの結果の取りまとめを行おうとする場合は、消費者委員会の意見を聞かなければならないとされています。そのため、当委員会としては、計画の実施状況や計画に盛り込むべき新たな課題などに関わる検討を、調査審議の重要な柱の一つと位置づけております。

平成27年3月に閣議決定された第3期の消費者基本計画においても「消費者委員会は、消費者行政全般に対する監視機能を最大限に発揮しつつ、本計画に基づく施策の実施状況について、随時確認し、KPIも含めて検証・評価・監視を行う」とされています。

本日は、最近当委員会より発出した建議などの意見表明や関係省庁へのヒアリングの結果などを踏まえ、計画工程表の改定に向けた、当委員会の意見を取りまとめたいと思っております。

資料として意見案を用意しておりますので、事務局から説明をお願いいたします。

○丸山参事官  お手元の右肩の資料3ということで「消費者基本計画の実施状況に関する検証・評価及び計画工程表の改定に向けての意見(案)」となっております。

まず柱書きの部分でございますけれども、1段落目、2段落目については、先ほど委員長からお話のあったとおりのことで、省略をさせていただきます。3段落目以降ですけれども、消費者委員会といたしましては、これまで発出してきた建議等、あるいは最近の被害の実態等を踏まえ、特に留意すべき事項や計画工程表の見直しに向けて、具体的に検討すべき課題についてということで、記以下に意見を述べるということで述べてございます。この項目について十分検討の上、可能な限り計画工程表の改定素案等に反映されたいということで述べてございます。

また、「加えて」ということでございますけれども、消費者委員会で今年8月に発出いたしました「消費者契約法の規律の在り方についての答申」ですとか、「消費者行政における執行力の充実に関する提言」、それから「事故情報の更なる活用に向けた提言」等で指摘した内容についても留意の上、可能な限り工程表の改定素案に反映されたいということも述べてございます。

「なお」以下では、当委員会としては、状況に応じ、今後、消費者庁で策定される改定素案に対して、さらなる意見表明を行うことを予定しているということで述べてございます。

以下、記以下で具体的な項目について書いております。具体的には「7.その他」も含めまして7点ということで述べております。

まず1.それから、2.の(2)につきましては、実は今年5月の消費者委員会からの工程表への意見出しのところでも既に述べたものでございますけれども、今回同じ趣旨のものについて改めて述べ直しているものでございます。具体的には「1.民法の成年年齢引下げに対する対応について」ということで、成年年齢が引下げられた場合、新たに成年となる18、19の者の消費者被害防止・救済のために、消費者教育の充実、制度整備等が必要であるということで、民法改正を待たずに直ちに取組を始められる事項については、その取組等の内容、スケジュール等を工程表に記載されたいということを述べてございます。

「2.食品表示について」ですけれども、先に「(2)機能性表示食品制度について」ということで、こちらについては、27年4月から既に制度として施行されているわけですけれども、施行後2年がたち、平成29年度に施行後2年間の施行状況について検証し、その状況を踏まえた上で必要な見直し等について検討するということになっておりましたが、その検討の取組、それから、今後のスケジュールについて工程表に明記されたいということを述べてございます。

1.でございますけれども、こちらと3.4.5.につきましては、今回関係省庁のほうをお呼びして、消費者委員会のほうでヒアリングをした、そちらの結果を踏まえての意見出しということでございます。

まず2.の「(1)食品表示制度の理解、周知に係る取組状況について」ということでございます。こちらは、食品表示法に基づく表示制度に関しまして、消費者の理解がどの程度かを示す指標をKPIとして記載するとともに、その理解にかかわる定義についても十分に検討の上、適切に設定されたいということを述べてございます。

「加えて」ということで、今年8月に発出した加工食品の原料原産地表示に係る答申において言及した消費者、それから、事業者への周知についても具体的な取組について記載をし、理解度の定義についても検討の上、適切な指標を設定ということを述べております。

それから、消費者等への周知に当たっては、都道府県との一層の連携強化を図るなど、効果的な周知の方法について検討の上、その取組状況についても記載されたいということを述べております。

「3.電気通信サービスにかかる消費者保護の推進」ということでございますけれども、平成28年度に電気通信サービスに係るモニタリング結果を踏まえて、消費者保護ルールの実施の徹底に向けて、制度あるいは運用面における改善の取組について、以下の事項を含め、工程表に明記をされたいということを述べております。

具体的には、FTTH、Fiber To The Home、具体的には光ファイバーに代表されるインターネットサービスでございますけれども、これに係る電話勧誘のトラブル等を内容とする苦情相談の件数が依然として相当数あるということで、この分析結果を踏まえた取組ということ。それから、販売現場における料金プラン、解約費用の説明不足といった定期調査における電気通信事業者への指摘事項等について、実効性を確保するための取組ということ。あるいは、トラブルの未然防止に向けた、リーフレット等による効果的な周知方法をということで述べております。

「4.サーバ型電子マネーについて」でございますけれども、こちらにつきましては、平成28年5月に資金決済法の改正ということで、苦情処理体制の明確化等ということで内容が盛り込まれたわけですけれども、その後におきましても、サーバ型電子マネーを購入させて、IDを詐取する等の消費者被害が増加している状況を踏まえて、店舗における被害防止の取組ですとか、消費者保護の実効性確保に向けた取組について、工程表に明記をということで述べております。

「5.仮想通貨について」は、平成28年5月に業者の登録制度などを導入した資金決済法の改正などがなされましたが、こういった制度整備ですとか、あるいは監督官庁による事業者の業務運営の体制整備状況についてモニタリングが行われるところですけれども、現状としては詐欺的行為を行う事業者による消費者被害が発生していること、それから、仮想通貨が投機対象として取引されている実態を踏まえて、消費者保護の実効性確保に向けた取組について、工程表に明記をということで述べてございます。

6.については、関係省庁等のヒアリングをしているわけではございませんけれども、直近、消費者委員会で特定商取引法の適用除外ということで、具体的には、民泊に関わる規定を整備しております住宅宿泊事業法ですとか、あるいは古民家再生などをターゲットといたします不動産特定共同事業法、こういったものについて特商法の適用除外ということで答申をさせていただきました。こういったことについて、制度を悪用した消費者被害、消費者トラブルを防止するために、制度を所管する省庁、それとともに、司令塔の役割を持っている消費者庁が、相互の協力のもとでこういう法律の運用実態ですとか、被害の発生状況等について的確に把握することなど、被害未然防止に向けた取組について、工程表に明示されたいということも述べてございます。

「7.その他」でございますけれども、こちらにつきましては、従前、5月の工程表への意見出しというところでも既に述べているものでございますが、具体的にはKPIにつきまして、例えばアウトプット指標だけではなくアウトカム指標の追加設定などを検討するといったことですとか、あるいは、工程表のところに記載されています具体的には帯表と言われているもの、予定等を記したものについて、取組について具体的にした上で、取組ごとに期限を明確に設定した上で、図示する等を留意の上、工程表改定素案に反映されたいということで、従前述べました1.から6.の点について、こういったことについても配慮をということで付言しているということでございます。

事務局からの説明は以上です。

○高委員長  ありがとうございました。

ただいまの内容につきまして、御質問、御意見のある方は、どうぞ御発言をお願いいたします。

池本委員長代理、お願いします。

○池本委員長代理  意見の結論としてはここに出ていることに賛成する前提で、その趣旨なり思いなりを少し補足させていただきたいと思います。

2点あります。一つ目は成年年齢の引下げに関するところです。民法改正がそもそも法案でいつ出るのかもまだ明確にはされておりませんが、それが出て方向が決まったら、施行までにそれから動き始めるということではもう決定的に遅いということは、この消費者委員会あるいは、その前の成年年齢引下げ対応検討ワーキングの中でも繰り返し議論してきたところです。

そもそも平成21年の法制審議会の答申では、まず先に消費者教育、あるいは関連法制度の改善をして、それを実施し、実施状況を踏まえ、国民の理解を得て、それから改正の時期を考えるとなっていたわけです。1年前の当委員会から発出した意見も本当はそれが望ましいけれども、少なくとも同時進行かあるいは施行までにはきちんとそういう整備が必要で、速やかに動き始めなければいけないということで意見を発出したわけですが、残念ながらこの1年間、具体的な動きとしては出てきていないのではないか。その意味では、引下げの民法改正案がいつ出るのかを待つのではなく、速やかに具体的な取組の中身、スケジュール等を明確にしていただきたい。

一つ補足しますと、実は成年年齢の引下げは、内閣府が世論調査を平成20年と25年に実施しています。5年ごととなると30年が実施のタイミングのはずです。そういうこともきちんとやって、国民世論が今、どういう理解をしているのかということも見極めつつ、法改正の結論を判断するということであっていただきたいと思います。そういうことも含めて、ここで言う取組の内容、スケジュール等を明確にしてほしいということは、さまざまな課題が含まれているということをあわせて申し上げたいと思います。それが1点です。

それから、4.5.のサーバ型電子マネーと仮想通貨のことですが、先般のヒアリングのときにもちょっとだけ意見として申し上げたのですが、例えば電子マネーのことは、ここはIDを詐取するパターンを前提に、そこが特に深刻な問題なのでそこに絞って、しかも、資金決済法に基づく対応ということで、金融庁だけを対象にしています。仮想通貨についても、資金決済法上の措置という意味で金融庁を相手方としておりますが、実は電子マネーや仮想通貨はそれを利用する店舗、サイトも含めて、今、非常に広がっているわけで、そこに向けた加盟店管理の問題もありますし、あるいは加盟店そのものの対応の向上ということもあるわけで、そうなってくると金融庁の対応すべき範囲も広いし、あるいは経済産業省も今度は流通加盟店、サイト業者に対する対応も必要になる。ここで書いてある以外の非常に幅の広い課題であることも留意していただきたいと思います。

以上です。

○高委員長  補足説明、ありがとうございます。

ほか、意見はございますでしょうか。

サーバ型電子マネーのところについては、確かに金融庁向けに書いているのですけれども、流通との関係も言及したほうがいいですか。金融庁を通じてということでも。

○池本委員長代理  工程表の案が出てきたときに、またその中身によって更に踏み込んで議論していくこともできますので、今回はこれでよろしいかと思います。

○高委員長  ほか、ございますでしょうか。

それでは、特に反対意見はなかったと理解いたしまして、皆様方の御了解をいただいたということにいたしまして、原案どおり決定し、消費者庁長官及び関係府省庁宛てにこれを発出したいと思います。


≪5.閉会≫

○高委員長  本日の議題は以上となります。

最後に事務局より今後の予定について説明をお願いいたします。

○丸山参事官  次回の本会議の日程、議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページ等を通じてお知らせさせていただきます。なお、この後委員間打合せを行いますので、委員の皆様におかれましては、委員室までお集まりください。

○高委員長  それでは、本日はこれにて閉会といたします。

お忙しいところを御参集いただきまして、ありがとうございました。

(以上)