第255回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2017年8月29日(火)13:45~15:39

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    河上委員長、池本委員長代理、阿久澤委員、大森委員、蟹瀬委員、鹿野委員、長田委員、中原委員、樋口委員、増田委員
  • 【消費者庁】
    岡村長官
  • 【国民生活センター】
    松本理事長
  • 【事務局】
    黒木事務局長、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 消費者行政における執行力の充実について
  3. その他
  4. 次期消費者委員会への移行に当たっての留意事項について
  5. 岡村消費者庁長官、松本国民生活センター理事長御挨拶
  6. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○河上委員長 皆様、お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会第255回本会議」を開催いたします。

今回は、第4次の消費者委員会としては最終会合になります。また、本日は、岡村消費者庁長官がお越しになられております。長官には、後ほど御挨拶を頂戴したいと考えております。それから、国民生活センターの松本理事長にも後ほどお越しいただけるということですので、また、そのときに御挨拶を頂戴しようかと考えているところでございます。

それでは、配付資料の確認をお願いいたします。

○丸山参事官 お手元の議事次第下部に配付資料一覧を記載しております。

資料1-1から資料2-5、それから参考資料1から3となっております。

もし不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますよう、よろしくお願いいたします。


≪2.消費者行政における執行力の充実について≫

○河上委員長 それでは、最初の議題でございますが、「消費者行政における執行力の充実」というものであります。

本件につきましては、今月1日、第252回の消費者委員会におきまして、調査を開始した背景とか当委員会の問題意識について御報告をさせていただいたほか、法政大学の菅富美枝教授から、イギリスの消費者行政における法執行についてヒアリングを行ったところであります。

当委員会は、これまでに行いました有識者、関係行政機関及び都道府県からのヒアリングやアンケートを含む調査審議の結果を踏まえて、消費者行政における執行力の充実に関する課題解決に向けた提言案を取りまとめました。本日は、この提言案について若干議論頂いた上で、取りまとめの作業を行いたいと思います。

担当委員は、池本委員長代理、中原委員、樋口委員でございました。

それでは、中原委員のほうから提言案の内容についての説明をお願いいたします。

○中原委員 それでは、提言案の内容につきまして、資料1-2に沿って御説明いたします。

まず、1ページを御覧ください。

近年、社会経済の構造変化に伴い、消費者被害は複雑化・多様化しており、消費生活相談件数は依然として高水準で推移しています。

中でも、特定商取引に関する法律、以下「特商法」と申し上げますけれども、この特商法の規制対象である取引類型に関する消費生活相談の総件数は、PI0-NETに登録されている消費生活相談の総件数の約半数を占める状況にあります。

違法な事業活動を繰り返す悪質事業者による消費者被害を防止し、取引の公正さを確保するためには、法制度の整備に加え、適切な執行権限の行使、すなわち制度面と執行面との両面により対応することが必要と言えます。制度面においては、これまでも法改正が行われ、悪質事業者への対応措置が様々な形で盛り込まれましたが、現状では、消費生活相談件数が大きく減少するには至っておりません。

他方、執行面においては、ここ数年、国及び都道府県による行政処分の合計件数は減少しております。その背景には、事業者の手口が複雑化・巧妙化していること、被害者の高齢化等により、違反認定のための証拠確保が困難となっていること。また、行政処分に対する訴訟リスクの高まりを視野に入れた対応も必要となっていることなどから、執行業務の困難さが増していることがあるとみられます。

特商法の執行業務については、国だけでなく都道府県にもその権限が付与されていますが、近年、特に都道府県による処分件数が減少しており、その執行を支える消費者行政担当職員数も減少傾向にあり、都道府県の執行力充実の必要性は高いと言えます。

消費者行政における執行業務については、特商法の他にも様々なものがあり、いずれも重要ではありますけれども、当委員会は、以上の状況を踏まえ、ここでは地方消費者行政における特商法の執行力を高めるための方策に着目し、「消費者行政における執行力の充実に関する提言」を取りまとめることといたしました。

では、次に3ページを御覧ください。

第1は、現状と課題です。

まず、現状について御説明します。

全国の消費生活センター等に寄せられ、PI0-NETに登録された消費生活相談件数については、図表1のとおり、横ばいの状況にございます。

また、図表2に示す取引類型別の消費生活相談件数についても、それぞれおおむね横ばいとなっております。

では、次に5ページを御覧ください。

執行業務の流れですが、特商法における行政執行は、一般に、消費生活相談情報や消費者等からの申出等を端緒として調査を開始し、行政調査の結果、特商法に違反する行為があると認められる場合に、行政処分と事業者名の公表を行うという手順で実施されています。

執行状況については、6ページの図表3、横長の資料のとおりでありまして、全体の執行件数は平成22年度をピークに減少していること、また、都道府県により執行件数に差異があることが分かります。

また、取引類型別の執行件数については、7ページの図表4のとおり、国では電話勧誘販売、訪問販売が多くを占めているのに対し、都道府県では訪問販売が多数を占め、次いで電話勧誘販売の順となっています。

次に、8ページを御覧ください。

課題について御説明いたします。

課題の1つ目は、執行体制です。図表5のとおり、執行の基本となる特商法担当職員数は必ずしも十分ではなく、多くの都道府県において特商法の執行業務以外の業務も兼務していることが多く、体制への不安を抱え、執行ノウハウの蓄積に苦慮しています。

9ページを御覧ください。

2つ目は、悪質事業者への対応です。近年、事業者の手口が複雑化・巧妙化していることから、調査に当たる中で、以前に比較して悪質事業者への対応の困難さが増していると考えられます。

3つ目は、国と都道府県の連携及び役割分担です。これまでの執行状況を見ると、都道府県や国がそれぞれ単独で執行を行う場合のほかに、複数の都道府県が同一の事業者に対して同時に処分を行うケースや、国と都道府県が同一の事業者に対して共同で処分を行うケースがありますが、都道府県による処分のみでは、事業者が区域外で違反行為を継続することを抑止できないという問題があるほか、被害が複数の都道府県の区域にわたる個々の事案について、都道府県と国のいずれが対処すべきかが必ずしも明確でないといった指摘もあります。

次に、11ページを御覧ください。

第2は、提言です。

当委員会では、地方消費者行政における特商法の執行力を高めるための方策に関し、有識者、関係行政機関及び都道府県からのヒアリングを含む調査審議を行ってまいりました。

この調査審議の結果に基づき、消費者行政における執行力の充実に関する課題の解決に向けた提言を申し述べます。

本提言を踏まえ、消費者庁は、適切な取組を進めるべきであり、また、都道府県においても、執行力の充実に向けた取組を行うことが期待されます。さらに、都道府県のこのような取組に対し、消費者庁は必要な支援を行うべきと考えます。

提言の1つ目は、執行体制に係る課題への対応です。特商法の執行を行うに当たっては、執行担当職員の専門性の向上を図るとともに、調査、法律、処分の専門的知識やノウハウを有する専門人材を活用し、それらの者と行政機関が一体となって実行することが重要です。

こういった課題に対し、執行ノウハウの整備・共有が必要と考えます。国は、都道府県の執行担当職員が活用できるよう、法令解釈、調査手続、訴訟リスクへの対応に関する情報について、マニュアル又はデータベース化して整備し、都道府県と共有することや、実践的な研修を量的・質的に、できる限り拡充することを検討すべきです。

次に、13ページを御覧ください。

執行業務の特殊性・専門性を踏まえ、執行業務に携わる職員に「執行専門官」といった職名を付すなど、その地位を明確化することも考えられます。

さらに、警察関係者等の専門性を有する非常勤職員の関与の拡大も望ましいと考えます。現在、ほぼ全ての都道府県において、執行業務に関する様々なノウハウを有する警察関係者との連携がみられますが、ノウハウと経験の蓄積・承継や、迅速かつ適切な悪質事業者への対応のためにも、継続的な人材確保や増員を図り、警察関係者等の専門性を有する非常勤職員の関与を更に拡大していくことが必要です。

なお、こうした専門性を有する非常勤職員の活用に際しては、業務の特殊性に応じた報酬の設定が望ましく、これに地方消費者行政推進交付金を活用することも考えられます。

14ページを御覧ください。

専門人材を積極的に活用し、官民連携を進めていくことも重要です。執行業務における事実認定や法令解釈について専門的知識を有する弁護士等のほか、公認会計士や建築士等、事案に応じ、様々な専門人材との連携も積極的に行うことが考えられます。こうした専門人材との連携に当たっては、地方消費者行政推進交付金を活用することも考えられます。

さらに、適格消費者団体等からの情報提供等による連携も重要です。

15ページを御覧ください。提言の2つ目は、悪質事業者への対応です。

まず、消費生活センターの役割の重要性の高まりです。法執行を念頭においた相談対応や特商法に関連する相談を把握できるようなPI0-NET入力の工夫、消費生活センターと執行部局との情報連携の仕組みの構築など、消費生活センターにおける役割の重要性が高まっていると考えられます。

次に、16ページを御覧ください。

特商法執行ネットに入力される情報の充実や、特商法第66条第3項に規定する関連先への資料提供要求権の具体的な活用方法等を都道府県に示すとともに、関連先への同条項の周知を図ること、さらには、消費者からの情報収集についても一層力を入れるべきです。

提言の3つ目は、国と都道府県の連携及び役割分担です。17ページを御覧ください。

まず、近隣都道府県及び国との連携です。特商法では、都道府県による行政処分の効力は、当該都道府県の区域を越えて及ばないとされておりますが、都道府県が執行を行う際には、近隣都道府県間での緊密な情報交換を行い、図表6の事例にみられますように、必要に応じて複数の都道府県が連携して処分を行うことにより、悪質事業者に対応することが重要です。

また、18ページの図表7の事例にみられますように、処分の効力が全国に及ぶ国との共同処分も積極的に検討されるべきです。

現在、19ページの図表8に示しましたとおり、ほぼ全ての都道府県において連絡会議が設置されておりますが、こうした仕組みの有用性を一層高めるために、例えば国や警察の参加や連絡会議の開催頻度を増やすことなどが考えられます。

20ページを御覧ください。

被害が広域に及ぶ事案における国と都道府県の役割分担の問題です。被害が複数の都道府県の区域にわたる個々の事案について、都道府県と国のいずれが対処すべきかなどについて、必ずしも明確でないとの指摘があることから、消費者庁は国と都道府県の役割分担について基本的な考え方を明示し、国及び都道府県は、できる限りその考え方に基づいて着実に執行を行うことが望ましいと言えます。

また、都道府県の立入検査等への支援として、国が立入検査を行う際に、対象となる事業所の所在地である都道府県の職員に協力を要請することや、都道府県からの立入検査同行依頼に対して積極的に応ずるといった取組を、国は一層進めていくべきです。

さらに、国と都道府県の両方が処分を行えることについて、二重行政との指摘がなされることがあり、特商法の法執行に関する考え方を適切に周知する必要があります。

21ページを御覧ください。第3は、今後に向けてです。

ここでは、直ちに対応を求めるものではありませんが、地方消費者行政における執行力の充実の観点から、重要な論点になり得ると考えられる点について申し述べます。

消費者庁においては、以下の点について今後も引き続いて着目し、検討を深めるべきです。また、都道府県においても、以下の点について今後執行力の充実に取り組む上での参考にしていただきたいと思います。

まず、適切なタイミングでの行政処分の実行です。

都道府県においては、特商法違反とみられる情報を入手した場合には、迅速に調査を進め、違反が認められた場合には行政処分を行うことが原則ですが、執行の現場では、行政処分よりも迅速に実施することが可能な行政指導による対応が行われている場面もみられます。

迅速な被害拡大防止の観点から、悪質性の低い、また小規模な事案について行政指導を行うことは必ずしも否定的な面ばかりではありませんが、悪質性の高い、また深刻な被害が生じていると思われる事案に対しては、行政指導ではなく、行政処分により対処すべきです。

次に、悪質事業者に対する制度的対応です。

平成28年の特商法改正により、一度処分を受けた事業者が、法人の作り替えを行うこと等により実質的に業務を継続し、違反行為を繰り返す事案に対して、制度的な対処が可能となったため、今後、こうした事案については、法の着実な運用により対処していくことが重要であり、引き続き法の実効性について注視していくべきです。

さらに、警察との連携強化です。22ページを御覧ください。

悪質事業者の特商法違反行為に対しては、行政執行手続だけでなく、警察による刑事手続が同時に進められる場合があり得ますが、例えばイギリスでは、消費者法の執行を担う行政官が刑事手続に係る権限も有しており、今後、こうした行政機関と警察との更に一歩踏み出した緊密な連携の可能性を模索することも有用と思われます。

また、同一の特商法違反事案について行政処分と刑事罰の両方を科す場合において、行政目的で収集した証拠と刑事手続で収集した証拠の利用の仕方についても、今後、必要に応じて検討することも考えられます。

最後に、職員の専門性の充実です。

執行力の充実に向け、各都道府県において悪質事業者の一掃を目指す専門職員の配置等が行われ、その行政体制が強化されることについては、特に期待をしています。このため、業務の特殊性を踏まえた研修や人事ローテーション等の職員育成の仕組みの必要性についても検討を行うべきことを付言します。

また、国は、都道府県において職員体制の拡充が進展するよう、地方自治体が担う消費者行政の重要性について、積極的に説明することが必要と考えます。

説明は以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの御説明の内容について、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。

増田委員、どうぞ。

○増田委員 ありがとうございます。

こうした執行力の充実に関して提言をまとめていただくということは、各自治体においては大変有益なことですし、今後について期待されると思います。

消費生活相談の中で得られた情報をきちんとPI0-NETに入力するということが、今後ますます重要になるということも改めて認識したわけですけれども、私も正しくそう思っておりまして、たまたま昨日ですが、ある自治体の講座に出向きまして、このお話をしたところです。消費生活センターは、行政サービスの中で個別の相談者の被害救済を目指すところですので、それに尽力するわけですけれども、同時に、そこで得られた情報を行政サービスとして広く住民に還元するということも含めて役割を担っています。消費生活相談員として理解はしているのですが、まだ十分にできていないという部分も否定できないと思っております。

そういう意味で、今回の提言を広く自治体に理解していただいて、そこまで波及するということを期待しています。これまで執行する職員の方と、なかなか連携がとれず、あるいは執行する件数が少ないところから、消費生活センターの現場との温度差があって、共同、連携の部分が手薄になっていたのかなと思います。そういう意味で、非常勤ではありますけれども、公務員教育の一つとして消費生活相談員の役割というものをきちんと研修する必要があって、それは国センの研修ももちろんですけれども、それだけではなくて、自治体の中で消費生活相談員の研修をする際には、そういう行政サービスの一端を担うものであるという研修を今後していく必要があるということを改めて思っております。

ありがとうございました。

○河上委員長 他には、いかがですか。

池本委員どうぞ。

○池本委員長代理 池本でございます。今回の調査を担当したうちの一人として感じたところを少し述べさせていただきたいと思います。

この報告書の1ページ目の「はじめに」の一番下あたり、先ほども中原委員から口頭で紹介がありましたが、事業者の手口が複雑化・巧妙化している。被害者の高齢化によって、消費者を聴取することによって証拠を確保することがなかなか困難になっている。訴訟リスクが高まっている、ということなどがさらっと書いてあるのですが、実は今回のこの報告書に向けて、都道府県のうち、11の自治体の担当職員の方のヒアリングを、それぞれ1カ所1時間以上かけてお話を聞いたり、あるいはそれ以外のところもアンケート調査を実施したりして、かなり踏み込んで、いろいろなことをお聞きしました。

それ自体、生の事実を報告書に掲載するというのは性質上まずいので、本当にごくごく抽象的な提言にとどまってはいるのですが、高齢者に向けた悪質商法できちんと証拠を整え、処分につなげていくというのは非常に大変であるし、何よりいろいろな部署を回ってきた自治体の行政職員が、立入検査をして証拠を集める、あるいは事情聴取をして供述調書を作るという、正に警察の捜索・押収、取調べと同じような作業をするというのは、全く経験のない分野で、手探りで、先輩がやっているものを見よう見まねでやっているということをお聞きしました。そのあたりを、この報告書の中でも、警察との連携がうまくいって、そのノウハウが職員のほうにも伝えられるというケースも紹介しています。

ただ、警察の捜査というのは直接の強制権がありますが、行政処分の場合の立入検査は間接的な制裁があるだけで、直接の強制権限ではないし、警察の方も特定商取引法というものの専門家ではありませんから、警察の人が全部担えば済むということでもない。非常に難しい綱渡りをしながら、特定商取引法の執行をどう強化するかという課題の難しさということを感じとってきたところです。

そういう中で、幾つかの提言は、かなり細部にわたる、細かい、例えばこういうことはどうか、こういうことはどうかというところから、いろいろ書き起こしています。例えば、警察との連携といっても、ただ1人いればいい、2人いればいいではない。警察は警察の中でのノウハウが伝授されるような体制が必要だし、それがまた職員との間で共有される必要があるかと。あるいは、弁護士が助言をする体制というのが、消費生活センターの相談業務ではアドバイザー制度というものが全国的に広がっているのですが、法執行に対する助言体制というのはまだまだ広がっていないということも分かりました。

そういういろいろ細かなところも提言しているので、是非そのあたりは消費者庁でも受け止めていただきたいし、そのより細かなところはどんなことだ、例えばどういうふうにやっているのかという情報、報告書になかなか書き切れない情報をたくさん持っていますので、事務局に記録がありますので、消費者庁でも是非それは生かしていただきたい。しかも、この問題は消費者庁だけではない、都道府県に向けても私たちは発信していくことが重要だろうと思います。都道府県に対して、この間の調査の成果をどうやって伝えていくかというのは、我々委員会の課題でもあると思っています。

報告書の一番最後の22ページで、職員の専門性の充実ということに触れてあるのですが、御承知のとおり、あるいは先ほど中原委員からの指摘もあったように、相談や啓発に向けた事業予算というのは、交付金によって以前に比べれば5割増しになっていますが、消費者行政担当職員は、消費者庁ができた以降も約1割減っているのです。

そこは、一般職員は交付金の対象ではない、あるいは人員の配置は国から命ずる性質ではない。原則論で言えばそのとおりですが、被害を防止するために、消費者啓発とか個別相談による救済よりも、一番根本は悪質業者をどう排除するかです。執行体制強化に向けた、職員の配置や専門性の充実ということをどうやっていくのか。私は、ここが手間はかかるけれども、一番核になる今後の課題であると考えています。このあたりは、私たちも検討していきますが、消費者庁におかれましても重要な課題として、是非検討を進めていただきたいと思います。

以上です。

○河上委員長 他にはいかがでしょう。

樋口委員、どうぞ。

○樋口委員 ただいま池本委員からもお話が出ましたけれども、私もヒアリング等に参加し、各県の担当の方からいろいろ実情を伺う機会がありました。この報告書は、今後議論しなければいけない課題を含めて、そういったものが細部に含まれた内容になっているのではないかと思いますので、全体として、是非消費者庁や都道府県においても検討頂ければと思います。

具体的に申し上げますと、例えば13ページに「(2)執行業務に携わる職員の地位の明確化」というところがありまして、『非常勤職員も含めて、執行業務に携わる職員に、例えば「執行専門官」といった職名を付すなどして、その位置づけを明確にし、対外的にもその職権を明示する等の工夫を検討することも考えられる。』という記述があります。これは、最後の部分の専門性とも関係してくるのですが、消費者にとって、特に高齢の方も多い状況の中で、法執行を担当している方が明確に責任と自覚を持って、その職を務められるような体制をきちんと作り、かつ、それを明示することが大事ではないかと思っております。

まだ、ちょっと良い知恵がないのですけれども、例えば「悪徳商法対策Gメン」とか、「悪徳商法スーパーバイザー」とか、報告書には載りませんでしたけれども、「執行専門官」の名称をいろいろ考えてみました。というのは、都道府県には、「食品表示Gメン」という職が現にあるのです。お年寄りも含めて、被害を受けた方、あるいは相談したい方にとって、分かりやすいような職を明示するということが、まず第一歩ではないかと思っております。

さらに、そういった方が責任と自覚を持って、長くその職を務める、専門性を持っていくということも、都道府県の現在の仕組みの中から考えると非常に重要な点ではないかということで、これは22ページの、今、池本先生も言及されましたけれども、一番最後のところに職員の専門性の充実ということが書いてあります。実は、こういうまとめになった一つの背景として、8月1日の本委員会におきまして、イギリスの例について法政大学の菅先生からお話がありまして、私自身、イギリスでは執行力強化の先進的な事例があるということで、大変感動しました。

というのは、イギリスの場合には、正に消費者被害を受けた方に寄り添って、様々なレベルで行政が対応していく。最後は、警察的なことも含めて、ワンストップでサービスを提供していく仕組みがあるというお話でありまして、この点は、これから超高齢社会ということになるわけですから、そういった状況の下で様々な被害が発生する中で、それをきちんとワンストップサービスで対応していける。しかも専門性が非常に高くて、きちんと問題の核心を把握できるような職員の方がどんどん増えていくということが重要ではないか。

私の個人的な希望としては、法律というのは基本的には消費者のためにあるわけでありますので、今日は長官もお見えですから、報告書には「イギリスとは法制も違い」と書いてありますが、法制が違うからやらないのではなくて、消費者被害の救済のために必要な制度であれば、私は法律家ではありませんから敢えて申し上げるのですが、法制の枠を乗り越えてでも被害救済に役に立つ仕組みというものを、消費者庁あるいは都道府県で是非御検討頂ければと思っております。私も現場の11の都道府県の方のお話を聞いて、これは非常に御苦労されながら取り組んでいるということを実感いたしました。

以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。

長田委員、その次に、蟹瀬委員、お願いします。

○長田委員 ありがとうございます。

今回、地方消費者行政の執行力強化のための提言がいろいろ出ているわけですが、加えて、国の消費者庁の執行力をどう強化していくのかというのも非常に重要ではないかと考えています。今回、出されている提言がそのまま国に当てはまるところもたくさんあるのではないかと思っておりまして、国がお手本としての法執行をどんどんしていくということが、地方を引っ張っていくことにもつながるのではないかと思いますので、これを機会に是非御検討頂ければと思います。

以上です。

○河上委員長 蟹瀬委員、お願いします。

○蟹瀬委員 執行力の充実に向けての提案が非常によく網羅されていると思います。私は、これからの問題は、消費者庁ができた理由というのがあると思います。というのは、消費者被害が非常に多くなってきて消費者庁というものができてきた。であれば、これからこの提言に対してスピードを持って対応していただかなければならないとなりますと、優先順位を付けなければいけないと思います。これだけ網羅されていると、例えば細かいところですぐ直っていくものだと、例えばPI0-NETの中に入れる入力ワードを同一にしていくということだけでもPI0-NETがいやすくなるのですが、そういうことにどうしてもとどまりがちになってしまう。

そうすると、大きいところでなかなか解決できなくなってきますので、優先順位を付けていただいて、速やかに解決していくという中で、今、樋口委員がおっしゃいましたけれども、私もなぜこういうことが起こるのかということを考えますと、執行専門官の育成ということを早急に考える必要があるだろうと思っています。これだけではなくて、多分、専門家の育成と、そのコミュニケーションあるいは連携の大切さ、この2つの点で攻めていくことが大事だと思いますが、6ページを見ていただくと、地方自治体で大変うまくいっている静岡とか香川とかがあるわけですね。これは、定量調査の中でも出てきていて、定性の中で調査対象になっている県であります。

ですので、こういう調査対象になっている県もモニタリングしていただいて、彼らが何を武器として、非常に強いところとしてたくさんの結果を出していっているのかというのを、もっと皆さんに知らしめていく。その中で、国としてはこの専門官というものを作っていく。地域としては、各地方自治体でうまくいっていることを導入してみるということがスピードを上げるのではないかと思っておりますので、是非次期委員会でも非常に強く述べていただいて、消費者庁のほうでも検討頂ければうれしいなと思っております。

以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。

岡村長官、後で御挨拶していただくことになっているのですが、執行には大変強い関心をお持ちであるということですので、今、もし何かふつふつと沸いてきたものがあって、お話しされたいことがございましたら、是非お願いします。

○消費者庁岡村長官 本日は、先生方の、正しく、そして熱い思いをありがとうございます。消費者庁としても、地方における特商法の執行力の充実は大変重要な課題だと認識しております。消費者庁としては、今回の御提言を受けて、都道府県の主体的な努力を前提としつつも、可能なサポートを行うことを、じっくり、しっかり取り組んでまいります。

都道府県の行う執行力の充実に資する環境整備としての御提言、本当に細やかな御提言にも感謝いたしますし、執行ノウハウの整備・共有などについては、消費者庁としても従来から取り組んでいるところでございますので、今般の御提言を踏まえて、なお一層の取組の深化を検討してまいりたいと思います。いずれにしましても、私どもも努力いたします。そして、都道府県の執行力の充実に向けては、消費者委員会におかれても、都道府県に対して本提言の趣旨の積極的な啓発・周知をお願いできれば有り難いと思います。

何とぞよろしくお願いいたします。

○河上委員長 踏み込んでいただいた発言、どうもありがとうございました。

○消費者庁岡村長官 それでも大変です。本当に全国での課題が山積みで、また地域によって状況が違うという、委員会の本当にきめ細やかな調査の結果は重く受け止めなければならないと思っております。そして、大変な課題だからこそ全員で目標を共有して、少しずつでも退化することのないように、長く続けていかなければならない課題だと思っています。

○河上委員長 ちょうど予算の時期でもありますので、頑張って考えていただければと思います。

私も、この専門調査会、大体参加させていただいて拝見していたのですけれども、頑張って数値を上げているところは、まだまだ個人技という印象です。非常に熱心な職員の方がいらっしゃったり、ノウハウをかなり蓄えた警察OBの方が連続して作業してくださったり。その職員の個人技の部分を組織の力にしていかないといけないので、そのために必要なことは何かということを随分考えさせられた記憶がございます。

委員の皆様からは、特段の修正の御意見はないようですので、原案どおり提言として取りまとめたいと思います。消費生活相談件数の高まりの状態が続く中で、悪質事業者の手口はますます複雑化・巧妙化しておりまして、特に特商法の執行業務の困難さは日々高まっていると言ってよいかと思います。これに対し、都道府県において、その執行を支える消費者行政担当職員数も減少傾向にあるということであります。こうした中で、消費者行政における執行力の充実のためには、被害が生じている現場に近い地方における特商法の執行力を高めていくということが極めて重要であると認識しております。

当委員会といたしましては、この課題について、今後も注視して、必要に応じて消費者庁の取組状況等について御報告を求めるといった対応をしてまいりたいと考えております。

どうぞよろしくお願いいたします。

≪3.その他≫

○河上委員長 次に、議事が前後いたしますけれども、順番を入れ替えまして、「その他」を先に扱って、その後で「第5次委員会への留意事項」を扱うことにしたいと思います。

まず、新開発食品調査部会から報告事項がございます。阿久澤部会長から御報告をお願いいたします。

○阿久澤委員 それでは、特定保健用食品の表示許可に係る答申について、私から報告いたします。

平成29年3月24日に開催した第39回新開発食品調査部会、及び平成29年6月30日に開催した第41回新開発食品調査部会の議決について、新開発食品調査部会設置運営規程第7条に基づき、委員長の同意を得て委員会の議決とし、8月23日付けで内閣総理大臣へ答申を行いました。

参考資料1の答申書を御覧ください。内閣総理大臣より諮問を受けて、第39回及び第41回新開発食品調査部会において安全性及び効果について審査を行った結果、指摘事項を確認の上、了承することが部会長に一任され、申請者からの回答書を確認し、特定保健用食品として認めることといたしました。

なお、その指摘事項の内容は、パッケージイメージや表示内容に関することでした。

私からの報告は以上になります。

○河上委員長 ありがとうございました。

これは、私の同意でもって答申ができることになっておりますので、御報告ということでございます。

続きまして、8月19日に実施いたしました「消費者問題シンポジウムin新潟」について、実施報告をお願いしたいと思います。

コーディネーターとして参加された樋口委員からお願いできればと思います。

○樋口委員 それでは、お手元の参考資料2を御覧頂きたいと思いますけれども、今、委員長から御紹介がありましたように、8月19日に「消費者問題シンポジウムin新潟」をNPO法人消費生活ネットワーク新潟と共催で開催いたしましたので、一言御報告いたします。

当日は、新潟県、新潟市をはじめ、近隣の市の消費者行政担当者や相談員のほか、消費者団体、事業者、一般消費者など約90名の参加がありました。

シンポジウムのテーマは、「これからの消費者教育を考えよう」ということで、冒頭、共催団体のNPO法人消費生活ネットワーク新潟の長谷川理事長に開会の御挨拶を頂きました。

続きまして、河上委員長に基調講演を、そして新潟県消費者行政課の田中課長に報告を頂き、その後、パネルディスカッションを行いました。

パネルディスカッションでは、「これからの消費者教育を考えよう」をテーマに、私がコーディネーターを務めまして、パネリストとしては、消費者庁消費者教育・地方協力課の青山室長、消費生活ネットワーク新潟理事の江花弁護士、新潟大学教育学部長の柴田教授、新潟県消費者協会の高杉事務局長、新潟県立新潟県央工業高等学校の俣倉教諭、新潟県県民生活・環境部消費者行政課の田中課長に御参加頂き、討論を行いました。

ディスカッションの中では、幾つか大きな論点がございました。

1つは、情報化社会の中で生徒がいろいろな問題に直面し、消費者問題も次から次へと変わっていくので、消費者教育の現場において変化に対応できるような教材等を是非開発して提供していただけると有り難いという、実務的な面での要望がございました。

それから、消費者教育を進めるに当たっては、学校教育と消費者行政との連携が特に大切であるという、パネリストの皆様からの御指摘がありました。各方面と有機的に連携して、個々の取組を結びつける方策や人材などを育てていく必要があるということでございます。

3つ目に、今後の消費者教育の重要事項の一つとして、コーディネーター機能というものを強化していく必要がある。多様な主体、そして教育を必要としている人、教育に関していろいろなノウハウ、知識を提供できる人をいかにうまくつないでいくのか。消費者教育のコーディネーター役を担う方を是非育成していただきたいという御指摘もございました。

以上のような形でディスカッションを終えまして、会の最後には河上委員長よりコメントがございました。「消費者教育の問題は奥が深く、難しい問題がたくさんあるということを改めて考えさせられました。いろいろな社会情勢の中で、消費者教育の充実・強化が必要な状況というものが現在あるわけです。超高齢化社会、それから成年年齢の引下げの問題などを例に引くまでもなく、消費者教育で対応していかなければいけないという部分が非常に大きい。いろいろな方々が手を携えて消費者教育について考えていくことが必要だと思います」という総括のコメントを頂きました。

なお、当日の配付資料は、消費者委員会ホームページに掲載が完了しておりますことを併せて御報告いたします。

以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

この件に関して、大森委員には全体の司会をお願いしていたのですけれども、何かありましたらお願いします。

○大森委員 樋口先生がコーディネーターをされると、アダム・スミスの「神の手」の解釈論など飛び出しまして、非常にアカデミックな、格調の高いシンポジウムになったと感激しております。

私、個人的には、会場の方の御質問も、1つのことを熱心に取り組んでいる方の着目すべき内容がありまして、特に印象に残ったのが、消費者教育と言われても、若者の貧困でそれどころではないという状況があるというお話がありました。そのときに私が思い出したのは、成年年齢引下げのワーキング・グループで、放送大学の宮本先生からも、イギリスではワンストップで、エイズの問題から貧困の問題から消費者問題まで、若者向けの相談窓口があるというお話を聞きまして、今後そういうことを考えていかないといけないのかなと思いました。

○河上委員長 ありがとうございます。

今、大森委員がおっしゃったように、会場からの御意見だったと思うのですけれども、消費者契約のところだけではなくて、生活全般を見て、その中での消費者教育ということを考えてもらわないと、1点だけを見ていたのでは結果的にはうまくいかないのだということを会場から逆に言われて、みんなちょっと考えさせられたという記憶がございます。

消費者教育が大事だということは、一般論として、皆さん、そうだとおっしゃるのですが、教育の現場というのはそんなにゆとりがあるわけではなくて、特に受験を控えた学生たちを抱えている中学・高校などでは、消費者教育のために総合教育とか一定のことに時間を割くのは結構大変なことのようであります。私は基調講演の中で、消費者教育と言って余り肩肘を張らないで、これは人間を育てるというのと同じことだから、通常の教育の中で消費者教育というものが実現されていかないといけないのだと逆に申し上げていたのですけれども、いずれにしても、教育の問題というのは難しいということはよく分かりました。

新潟のNPO法人消費生活ネットワーク新潟というのは、実は新たに適格消費者団体を目指している団体でありまして、非常に勢いがあるところで、熱心に議論していただいたのと、そのネットワークの理事長をなさっている、最初に挨拶をしてくださった長谷川さんという方は学校で校長先生をなさっていた教育者でもあります。その意味でも教育ということについて非常に高い関心をお持ちだそうです。いずれにしても、今回のシンポジウムも大変勉強になりました。また、シンポジウムでの公表資料などを皆さんも見ていただければ有り難いと思います。

どうもありがとうございました。

それでは、これで「その他」の部分を終わりまして、次に第4次消費者委員会のこれまでの活動と今後についてということで、少しお話をしたいと思います。

まず、第4次消費者委員会の成果についてであります。第4次消費者委員会は平成27年9月に発足して以降、各種の消費者問題について、手前味噌ですけれども、精一杯頑張って調査審議を行ってまいりました。今月末に、その任期満了を迎えることになりまして、本日の会合が第4次としては最後の会合になります。

そこで、まずはこの2年間にわたる第4次消費者委員会の活動の成果といいますか、どんなことをやってきたかということについて、事務局のほうから御報告をお願いいたします。

○丸山参事官 事務局のほうから説明させていただきます。お手元の資料2-1から資料2-4という関連資料を御用意させていただいておりますけれども、本日は資料2-1「第4次消費者委員会のこれまでの活動」の資料で御説明させていただきたいと思います。

まず、1ポツは、委員会の審議テーマに従いまして、消費者基本計画、消費者安全等々、分野別の形で、各回でどのようなものがあったのかというものを整理したものでございます。具体的にこちらを説明するよりは、むしろ2ポツの建議以下で、消費者委員会の今次の成果物の観点から、これまでどのような取組成果があったのかということで説明させていただければと思います。

恐縮ですけれども、3ページを御覧になっていただければと思います。

まず、2.建議でございますけれども、第4次委員会といたしまして、建議は2件。

1件目は、健康食品の表示・広告の適正化等に向けた建議。

(2)は、身元保証等高齢者サポート事業に関する建議ということで、発出させていただきました。

それから、3.提言及び意見で、全16件ですが、多くは消費者基本計画の検証・評価・監視関係。それから、公共料金の関係の意見・提言ということになっております。

それ以外は、例えば(5)「若年層を中心とした消費者教育の効果的な推進に関する提言」。

それから、(6)「消費者庁等における各種試行を踏まえた今後の取組に関する意見」。

あるいは、(7)「スマホゲームに関する消費者問題についての意見」。

それから、(9)は、健康食品の表示・広告の適正化に向けた対応策等との建議の実施報告に対する意見。

それから、(14)といたしまして、「不動産特定共同事業法に基づく小規模不動産特定共同事業に対する意見」ということ。

それから、(15)といたしまして、「事故情報の更なる活用に向けた提言」。

それから、本日の執行力の充実・強化といったものがあろうかと思います。

それから、4ページの4.答申(33件)となっておりますけれども、多くの部分は特定保健用食品の表示許可に関するものがメインでございますけれども、例えば(2)といたしまして、本消費者委員会で必ず審議しなければいけない事項の関係で、「住宅の品質確保の促進等に関する法律に係る告示改正」等々といったものについても答申を行っているということでございます。

それ以外のものといたしましては、例えば(8)「消費者契約法の規律の在り方について」。

それから、(9)「特定商取引法の規律の在り方について」。

あるいは、(17)「電力託送料金の査定方法等」についての答申。

それから、次の5ページの(32)「消費者契約法の規律の在り方について」、いわゆる第2次答申。

あるいは、(33)「食品表示基準の一部改正」、いわゆる加工食品の原料原産地に係る食品表示基準についてのものになっております。

それから、5.建議等に関するフォローアップということで、まず1つ目は「教育・保育施設等における事故情報の収集及び活用に関する建議」のフォローアップ。

2つ目は、身元保証等高齢者サポート事業に関する建議のフォローアップということになっております。

それから、6はちょっと飛ばしまして、7の報告書・調査等ということでございますけれども、初めの「特定商取引法専門調査会報告書」につきましては、答申等に伴いまして、付随的な形でまとめました報告書でございますので、省略させていただきます。

例えば、7の主要なものでは、3ポツ目の「地方消費者行政についての調査報告書」。

あるいは、5ポツ目の「高齢者の消費者被害防止のための官民連携による見守りの在り方調査報告書」。

あるいは、6ポツ目の「成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループ報告書」。

それから、8ポツ目「子ども向け広告の在り方について考えるシンポジウム報告書」。

このようなものが取りまとまっているということでございます。

4次の成果といたしましては、概括、以上となっております。

○河上委員長 ありがとうございました。

こうして見ると、自画自賛ですが、よくやった方ではないかと個人的には思います。

≪4.次期消費者委員会への移行に当たっての留意事項について≫

○河上委員長 続きまして、9月1日に発足する第5次消費者委員会において、留意して調査・審議していただきたい事項等について、これは資料2-5にまとめさせていただいております。事務局から、これも説明をお願いします。

○丸山参事官 右肩に資料2-5ということで、タイトルといたしまして「次期消費者委員会への移行に当たっての留意事項(案)」となっております。

まず、柱書きでございますけれども、第4次の委員会におきましては、一昨年9月の発足以降、各種の消費者問題について精力的に調査審議を行ってきましたが、この8月末に任期満了ということでございます。この間、建議・提言等々、計19件、それから諮問に応じた答申については計33件ということで成果を出しているということでございます。これを受けて、関係省庁等において制度の見直しや運用の改善が図られるなど、確かな成果が得られたところです。

他方、継続的な取組やフォローアップ等が必要な課題。それから、今次の委員会の任期中では十分に審議を尽くせなかった課題。それから、第5次の委員会の発足後、新たに対応が必要となることが見込まれる課題等も存在しています。

このため、第4次委員会といたしまして、この9月に発足する第5次委員会において、これらの課題への適切な対応のため、下記の点に留意して調査審議を行っていただくことを期待するということで記してございます。

「記」以下でございますけれども、大きく1から4ということで整理してございます。

まず、1.下部組織の運営についてということです。以下に掲げる部会、それから専門調査会においては、第5次委員会の発足後、審議体制を整備することが必要であると述べてございます。また、新たに専門的な事項等を調査審議する場合には、必要に応じて、既存の下部組織を再開あるいは新たな下部組織を設置していただきたいということで述べてございます。

具体的には、(1)から(4)ということで述べてございますが、(1)は新開発食品調査部会で、特保に関しまして消費者庁より恒常的に諮問を受けることから、諮問に応じた調査審議の実施体制を常時備えている必要があるということです。

それから、(2)食品表示部会でございますけれども、こちらは食品の表示基準の改正等に向けて、消費者庁より同様に諮問を受けた際への対応のため、調査審議の実施体制を継続することが必要であるという旨を述べてございます。

(3)公共料金等専門調査会でございますけれども、各省庁が所管する公共料金等について、料金の適正性の確保等に向けた課題を検討するため、調査審議の実施体制を継続することが必要であるということを述べてございます。

それから、次のページ、(4)徳島県における取組の検証のための専門調査会です。こちらにつきましては、28年9月のまち・ひと・しごと本部決定におきまして、消費者委員会は、消費者庁や国民生活センターの徳島県での取組について、専門調査会の開催等を通じて、成果の検証及び提言・助言を行うこととなっております。本年7月に消費者庁が徳島県に「新未来創造オフィス」を開設したことを受けて、委員会においても新たな専門調査会を速やかに立ち上げて、オフィスの取組についてフォローを開始する必要があるということで述べてございます。

続きまして、2.当面の課題でございます。以下に掲げる課題については、既存の下部組織等の再開、あるいは新たな下部組織の設置を含めて、引き続き関係省庁等の取組の監視を行う必要があると述べてございます。以下、(1)から(3)ということで、3つ整理してございます。

まず、(1)脆弱な消費者の保護ということです。

1ポツ目でございますけれども、現下の社会情勢等を踏まえると、高齢者・若年成人等の脆弱な消費者への保護対応は喫緊の課題である。本年8月の消費者契約法に係る本委員会の付言を付した答申への対応について、残された課題の検討を含め、消費者庁の取組を注視する必要があると述べてございます。

2ポツ目、加えてということで、「成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループ報告書」の提言を踏まえた消費者教育の充実、消費者被害対応の充実等が検討されるよう、関係省庁等の取組を継続的にフォローする必要があると述べてございます。

3つ目のポツでございますけれども、地域で高齢者を見守るためのいわゆる見守り協議会の設置状況が非常に低調であることから、自治体における設置促進のための取組が強化されるよう、消費者庁による対応状況を注視する必要があるということで整理してございます。

(2)は、食品表示でございます。

加工食品の原料原産地表示に係る食品表示基準について、本年8月に発出した答申書に関して、前提条件あるいは附帯意見ということにしたわけですが、こちらの対応に向けた関係省庁の取組を確認していく必要があるということで述べてございます。

それから、特保につきましては、本委員会が平成28年4月に発出いたしました建議への実効性ある対応の実施に向けて、平成29年1月に発出した建議の実施報告に対する意見も踏まえて、消費者庁の取組を継続的にフォローする必要があると述べてございます。

3つ目のポツは、食品の機能性に関する表示を認める保健機能食品制度については、不断の検証を行うことが重要であると述べた後、特にということで、機能性表示食品制度については、制度の運用状況や制度に対する消費者の理解度等を踏まえ、改善に向けた見直しが行われることが重要であり、そのための消費者庁の取組を継続的にフォローする必要があると述べてございます。

次のページ、(3)公共料金でございますが、1ポツ目といたしまして、自由化が行われました電力・ガス市場におきまして、2020年以降に見込まれる経過措置料金規制の解除、特に電力のほうでございますけれども、こちらに向けまして、自由化が消費者にもたらす影響についてフォローアップを行う必要があるということ。

2ポツ目でございますが、26年に行われた中部電力の電気料金引上げにつきまして、原価算定期間終了後のフォローアップを平成29年度内に行う必要があるということ。

それから、3ポツ目でございますが、29年1月の東京都区部のタクシー運賃の組替えにつきまして、組替え後3年以内に事後検証を行う必要があるということで述べてございます。

それから、3.その他の主な継続的課題ということで若干整理してございます。

まず、1ポツ目でございますが、地方消費者行政推進交付金の適用対象が平成29年度までの新規事業に限定されているということですので、平成30年度以降の消費者行政の充実・強化が適切に行われていくのか、関係省庁等の取組を注視する必要があると述べてございます。

それから、2つ目でございますが、身元保証等高齢者サポート事業に関する建議内容について、関係省庁が取組をきちんと行うよう、引き続きフォローアップしていく必要があるということ。

それから、3ポツ目でございますけれども、本年8月に提言した消費者行政における、正に今日でございますけれども、執行の充実・強化、それから事故情報の一層の活用による事故の未然防止等の課題、その他、銀行カードローンの問題、あるいは電子マネーに関する消費者被害等を含むネット社会の発展に伴う消費者問題等の課題について、関係省庁の取組を注視していく必要があるということで整理してございます。

最後、4.その他でございます。

1ポツ目につきましては、消費者委員会ではシンポジウム、それから消費者団体等との意見交換を行っているわけでございますが、こうした地方や関係団体から直接意見を聴取することによって、現場との結び付きの強化を継続するということが重要であるということ。「また」以降でございますけれども、各種の民間団体等との連携を取りつつ、一般消費者の参画も得たフォーラム、具体的には、今次の委員会では官民連携に関してのシンポジウムとか、子ども広告についてのシンポジウム等を開催いたしましたが、こうした開催等を通じて消費者委員会の取組の成果等を共有していくことが重要であると述べてございます。

それから、2つ目のポツでございますけれども、委員会の事務局体制についてでございますが、引き続きの充実・強化を図ることが重要であるということ。

3ポツ目でございますけれども、委員会の活動の成果の認知度向上ということで、新たな広報手段の活用等を含めた工夫を図ることが重要であると述べてございます。

説明については以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。

それでは、前に説明のあった第4次委員会の取組や成果などを踏まえまして、御意見のある方は御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。

池本委員、どうぞ。

○池本委員長代理 池本です。

全体像をまとめていただくと、本当に様々な分野に取り組んできたなということと、消費者委員会というものが、それぞれの担当する省庁の担当部署の方に向けて直接質問したり、意見を述べたりという意味で、非常に責任重大な役割だということを痛感するわけです。その意味で、留意事項に関わってくるのですが、その他のところにシンポジウムや意見交換の開催を通じて地方や関係団体から直接意見を聴取する、現場との結び付きを強化する、ということの必要性というものを、改めて次の期に向けて伝える必要があると思っています。

私自身も、ある分野については自分なりに一生懸命取り組んできて、それについては自分なりに考え、担当部署に対して質問したり、意見を述べられるのですが、本当に様々な分野がありますから、資料提供されたものを自分なりに読んで質問していっても、本当に踏み込んだ、その一歩先、あるべき論のところが十分な意見交換になっているかというと、本当に心もとないところは否定できません。

その意味では、公開の形での意見交換とか、あるいは大きなシンポジウムにするとちょっと重いと思うのですが、単発のヒアリングの形ででも、その分野に取り組んでいる人たちの話をもっと聞く機会を増やしていく。それで私たち自身の力量を高め、それをまた担当部署の方と意見交換するというサイクルを、少し忙しくなるかもしれませんが、作っていく必要があるのかなということを、次期に向けて引き継ぐという趣旨で、その他のところの記載を伝えていく必要があると考えています。

○河上委員長 ありがとうございました。

その他にはいかがでしょう。

大森委員どうぞ。

○大森委員 資料2-1のこれまでの活動の2ページの9番に消費者教育関係とありまして、ポツが1つで、若年層を中心にした消費者教育についてという1行があるのですけれども、とても寂しいなと思っています。これ自体は成果があったとは思うのですけれども、いろいろなところで消費者教育が必要だと言われる割に、これだけだったのかと思うと、とても寂しい気がしています。消費者教育を充実させて、それぞれの消費者が力を持つということで、消費者庁も力を持つし、バランスのとれた社会につながっていくと思うので、消費者教育というのはとても大切だなと思っています。

それで、私、2年間、消費者委員会委員を担当させていただきまして、とても勉強になったのですね。私みたいなおばあちゃんが勉強しても、これから先、生かす時間がないのに、もっと若い人、これを勉強できないかなといつも考えているのですね。消費者委員会委員というのは、ある程度人生経験がないと発言しにくい部分もありますけれども、できたらそのジュニア部隊みたいなものを作って、委員間打合せとかは一緒に会議して、委員会のときは傍聴するという形でリーダーになる人を育てる場所にもならないかなと、2年間やってみて、感じたところです。また御検討頂ければと思います。

○河上委員長 ありがとうございました。決して大森委員はおばあちゃんではありません。

他にはいかがでしょうか。

いろいろな消費者団体の方から意見書をいただいて、その意見書の中には、ここに書かれていないけれども、相当数の多様なテーマが上がっております。それらは、引継ぎのためにここに書くかどうかという話とは別の問題として、次の5次の委員の方には、情報としてしっかり引き継いでいくことにいたします。今回、出している「留意事項」は、もう既に取り掛かっているもので、このまま続けていっていただきたいと考えているものでありますとか、近々来ることが分かっているので、準備しておいてくださいという引継ぎ事項だけが示されているということで御了解頂ければと思います。

この中で、いろいろ最後に言っておきたいことが皆さんあるのではないかと思いますので、発言されていない方、もしよろしければ一言ずつでも。

鹿野委員、どうぞ。

○鹿野委員 ありがとうございます。

どれも重要な問題・課題で、是非次期で取り組んでいただきたいと思うのですけれども、この留意事項、資料2-5の2ページに書かれている2の(1)脆弱な消費者の保護というところについては、特に是非引き続き御検討頂ければと思っているところです。ここにも書かれていますけれども、高齢者・若年成人等の脆弱な消費者への保護対策、被害を予防し、あるいは救済を図るという対策については、正に喫緊の課題と言うことができると思います。

私、消費者契約法の専門調査会にオブザーバーとして参加させていただいていました。そしてこの点もそこで課題として取り上げられはしたのですが、結局、最終的な報告書には、コンセンサスが得られなかったということで、合理的な判断ができない事情を利用して契約を締結させるという類型を取消し類型の一つとして盛り込むことは断念されたという経緯がございました。この専門調査会における消費者契約法の検討は、一旦は終わったということかもしれませんけれども、この問題が喫緊の課題であるということ自体は、消費者契約法の専門調査会でも共通の認識があったと理解しておりますし、この問題への対策について引き続き検討を進めていただきたい。

特に、場合によっては、この秋の臨時国会において成年年齢の引下げに関する法案が提出されるかもしれないということも聞いております。そうしますと、若年成人ということについても、現実的に消費者問題の一つとして大きな課題になってくると思いますので、是非その点を強調したいと思って一言申し上げました。

○河上委員長 ありがとうございました。

他にはいかがでしょうか。

鹿野委員が言ってくださったので、この際申し上げますけれども、消費者契約法の専門調査会が出してくださった報告書に対して、消費者委員会が一定の「付言」を付して、これを答申したということは、皆さん御承知のとおりであります。それで、ある事業者系の新聞の中には、消費者委員会の親委員会による「ちゃぶ台返しか」という表題が出ておりました。専門調査会の結論をちゃぶ台返しをするように、こんなものはだめだと言って親が怒っている様子が表現されておりまして、表題として悪くはないと思ったのですが、これは間違いであります。

専門調査会というところは、別に国連の安保理みたいなところでなくて、拒否権を発動するような場所でもなければ、多数決で何かを決める場所でもないわけであります。むしろ、事業者の方、それから消費者団体の方、法律家、皆さんが集まって、周知を集めて、消費者取引の中での適正なルールとは何かということについて、意見を述べ合って、そこでコンセンサスとしてまとまった部分については、これを報告書にするけれども、そこまでまとまり切らなかったものについては意見が分かれたという形で報告書から落としていくということをやった。その意味では、非常に忠実に専門調査会の役目を果たされたと認識しております。

それに対し、親委員会として、それを受けたときに、現下の立法状況とか社会状況を考えたときに、何が優先的に取り掛かるべきものであるか、必要なことであるかということについての親委員会の考え方というものを踏まえて、報告書を補充して答申中の付言の3つを立てたということであります。その3つは、親委員会としては、正に答申の中の一部として喫緊の課題と方向性をお示ししたわけでありまして、ここから先は消費者庁のお仕事になるわけですけれども、少なくとも超高齢社会の中で判断力の落ちているような人に対して、つけ込んで不当な利益を追求しようとする事業者があって、そのことによって、不利な契約を締結させられている場合には、これは取消権を与えるのは当然だとしたわけでございます。

さらに、第2番目に問題となりますのは成年年齢の引下げでありまして、18~19歳の若者が、これまでは未成年者取消権で保護されていたところ、もし仮に成年年齢引下げの法案が通った場合には、未成年者取消権を失うことになる。これをそのまま放置しておけば、高校にまでその被害が蔓延することが容易に予想されます。

専門調査会で、その部分についての問題意識が深刻に共有されたかどうか分かりませんが、意見が分かれたということですけれども、喫緊に迫っているそういう危険な状態に対し、消費者委員会として何の手も打たないのは責任放棄であろうと考えて、そうした年齢等による精神的な判断力の脆弱さにつけ込んで暴利を貪るような営業行為は、これは許さないということをきちんと明示してほしいということでありました。

第3点目が民法改正であります。これもかなり大事な問題であって、約款の問題が民法の中で規定が「定型約款」という形で規律された。その規律の中に非常に分かりにくい条文がある。それは、定型約款の準備者が自分の準備した約款によるからと一言言っておけば、相手に対して約款を事前に提示しなくても、相手が要求しない限りは見せなくても、それが契約内容になるとみなされるのだと言わぬばかりの規定が入ったわけです。

法務省は、決してそんなことを言いたかったのではないとおっしゃるかと思いますけれども、条文を素直に読めば、約款は事前に見せなくてもいいのだねと誰もが考えてしまいかねない民法の規定ぶりです。このことを考えれば、消費者に対する適切な情報提供・説明義務の充実ということをずっと要求してきた消費者契約法の趣旨からも、事前の約款開示は、努力義務でもいいからきちんとやってくださいということを明示して、新民法が発しかねない誤ったメッセージを正しておくことが必要だろうということで、これは、親委員会の中で、皆さん全員一致で要求した内容であります。

これを消費者庁がどう受けて、今後消契法の改正として対応していくかということについては、これは消費者庁のお考えによるわけであります。ただ、パブコメが既に始まりまして、委員会の答申の「付言」の部分に一切触れられておらず、答申そのものさえ参考資料に挙げられていないという事態に対しては、私は、大変不満を持っております。それは消費者庁なりのお考えがあってのことだろうと思いますが、あまりに後ろ向きな姿勢にいささか失望しています。

正に、この秋の臨時国会に成年年齢の引下げ等がかかる可能性が高いと新しい法務大臣がおっしゃっていました。民法はもう改正されて施行を待つばかりになりました。ですから、新しいルールが何年か後には動くこともはっきりしている。この時点で、消費者委員会としては、もうこれ以上待ったなしの状態であるという深刻な認識を持っているということを、本日はちょうど岡村長官が出席しておられるし、是非言っておきたいと思っておりましたので、あえて申し上げます。

他にいかがですか。

阿久澤委員、どうぞ。

○阿久澤委員 それでは、消費者庁に一言よろしいでしょうか。消費者委員会の事務局には、少人数ながら、積極的かつ緻密な作業、対応していただいておりますので、その対応ぶりに敬意を表するとともに感謝しているところです。

私の委員会での活動は、食品関連の課題が中心でした。この4次の委員会では、平成27年4月1日の新食品表示基準施行と同時に、性急に創設された機能性表示食品制度施行への懸念点をウォッチしつつ、一方、特定保健用食品の在り方について検討してまいりました。さらに、新食品表示制度への移行が完成途上にある中、全加工食品に原産地を表示するといった内容の諮問に対し、検討したところです。

これらの機能性表示食品制度、また原産地表示にみる最近の諮問は、私の専門分野である食品科学の視点によると、かなりハードルの高い、難しい内容であったと感じております。最近の食品に係る新たな制度の制定や基準の改正を見ると、科学的根拠が希薄であるものや、あるいは必要としないものへと変化してきているのではないかと感じております。食料資源や、それらを原料にした食品は、科学的要素を多く有しております。その上に成り立っているのが食品ということになります。それらの科学的要素と向き合っての制度・基準は、適正・公正で、安全性や、また品質確保がなされていきます。

逆に、最近の諮問の内容のように、科学的な視点・要素を除外しての食品に関する制度や基準は、食品のあるべき姿を変えかねないと危惧しております。当局は消費者庁、今回、農水も含まれましたが、本来の食品としてのあるべき姿を考慮しつつ、または考慮できる体制へと整備され、先ほども執行力の充実に関する提言の中においてもありました職員の専門性の充実というように、より専門性を持った職員の配置を促進し、より一層充実した食に関する行政がなされることを期待しております。

よろしくお願いいたします。

○河上委員長 ありがとうございました。他にはいかがでしょうか。最後の会ですから、言いたいことを何でもおっしゃってください。

長田委員、どうぞ。

○長田委員 もう皆さんもおっしゃったことなのですけれども、消費者委員会が非常に幅広いテーマを取り上げる中で、それぞれ初めて遭遇するようなテーマもあったりして、2年間、なかなか大変だったなという思いがあります。

消費者委員会は2年ごとに1次、2次と変わっていっているわけですが、その継続性というのも、この後は重要視していかなければいけないのではないかという気もしているのです。10人の委員の総意でいろいろなテーマに取り組んでいくわけですけれども、それが2年で完結していくものではなくなってきているので、人は変わりつつも、どうやって継続していくのかというのは、多分、それは行政と同じようなテーマでもあるような気がしております。行政職員が変わっていっても、消費者委員会というものの意思みたいなものをどう継続させていくのかというところも、数年経ってきて5次ということになるわけですから、それもまた一つの課題になるのではないかなと個人的には思っております。

以上です。

○河上委員長 蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 私、2年間、委員をやらせていただいて、その前に公共料金専門調査会におりました。ですので、公共料金専門調査会を引き続いて関係するということで、専門的にはこの消費者委員会活動が多かったのですが、入っていろいろな課題を見ていくうちに、私が一番びっくりしたのは食品関係でした。食品の表示に関して、あるいは私、委員でさえも、特保と機能性食品と栄養補助食品の違いをはっきり述べよと言われると、最初のころ、全然分からなくて、一生懸命勉強しなくてはいけない。これは、専門家でないからこそ初めて気がついたことですが、消費者であれば更に分からないことです。こういうことを解決しないでいいのだろうかというのが、私の中に非常に大きく残った問題です。

特に、食の問題は人を作る問題ですので、食べたものが全て人の体になるという問題なので、今後、食品関係、公共料金の中から入ってきたのですけれども、私は食に非常に興味があって、こんなものが世の中に出ていっていいのだろうかと思うことが多々ありました。ですので、私は1人の消費者として、食の関係に対してももう一度対峙していきたいと思っておりますので、次期消費者委員会でも、この辺りは是非もう一度整理して、機能性食品って何と聞いたら、小学生でもこういうことですと分かるぐらいの商品をきちんと世に出していくということを、私たちはウォッチしなくてはいけないのではないかと思っていますので、是非5次委員会のほうでお願いしたい課題だと思っています。

以上、意見でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

実は、段取りでは、最後に5次委員会への期待について順番に発言することになっていたのですけれども、もう始まっていますので、これから後は、まだ発言されていない委員の方に一言ずつお願いしたいと思いますけれども、長田委員はよろしいですか。言いたいことを言いましたか。

○長田委員 申し上げました。

○河上委員長 では、中原委員、樋口委員、増田委員の順番でお願いします。

○中原委員 私は行政法の研究者ですけれども、この2年間、消費者委員会に携わらせていただきまして、まず、消費者問題というのは、本当にありとあらゆる問題、人間が生きていく上でのほとんど全ての問題を含んでいるということを知りまして、大変驚きましたし、勉強になりました。そういった幅広い問題を扱う中で、具体的な問題を発見し、それを吸い上げて、関係する各省庁に働きかけて対策を実現していくのを目の当たりにしまして、その中には、どの役所の問題か分からないような、何が問題かということ自体を委員会で詰めていかなければいけないようなテーマもたくさんある中で、それを一つ一つ詰めて実現していくプロセスを実際に見ることができたのは、大変勉強になりました。

特に、今日テーマになりました執行力の充実についてですが、行政法では、一般に、行政法規が執行されていないということが、最近は非常に問題意識として持たれております。これは、決して特商法だけではなくて、ほとんどの分野で、行政法規はたくさんありますけれども、執行はあまり行われていないということが認識されています。その原因がどこにあるのか、また、改善するにはどうすればよいのかといったことも、学会で議論されています。特に、特商法の分野というのは、今日も脆弱な消費者の保護という話がございましたけれども、行政がきっちり執行していかないと、自分の努力で被害を防止するのがなかなか難しい分野だと思います。

そういった中で、各自治体からヒアリングをして、ほとんど執行されていないところもあれば、担当者がかなり奮闘して、積極的に執行されているところもあり、その要因がどこにあるのかということも分かってきました。今日、報告書を出させていただきましたけれども、是非これを活用して、今後も脆弱な消費者の保護のためにしっかりと執行していただければと思います。

ありがとうございました。

○河上委員長 樋口委員、お願いします。

○樋口委員 私は、第4次の委員会では成年年齢の引下げ対応検討ワーキング・グループ、それから今、中原委員からもお話のありました執行の問題あるいは食品表示の問題等を担当させていただきました。

全体を通じてですけれども、私、大学では、経済学を教えていますが、市場経済のシステムは今、大きな変化が起きているのではないかと痛感しております。若年成人の話にとどまらず、脆弱な消費者ということで、超高齢社会が到来し、消費者問題というものの本質が大きく変わってきているのではないかなと痛感しております。そういう中での新たなルールづくりということで、今、鹿野委員や委員長からもお話がありましたけれども、新しい市場経済に即した、新しい発想に基づいたルールというものを作っていかないと、経済システムはうまく動かなくなるのではないかと懸念しております。

それは、実は法律だけにとどまらず、様々な形で、いわゆるソフトローと言われている分野もありますし、また消費者自身の行動、これは行動経済学とか、最近はいろいろな動きがありますけれども、そういったことも含めてトータルで考えなければいけない。そういう意味では、消費者委員会での検討課題は非常に重い課題であったと痛感いたしました。

また、執行の話は、これまでの委員会での議論とはちょっと質の違う問題であったと思います。特に、今回は11県の現場で実際に法の執行に当たられている方から実務面でのお話を伺うことができました。私どもは、新しい法律ができたときに、法律ができたことで問題が解決したと、つい思いがちでありますけれども、実際にはその法がしっかり執行されないと意味がないわけです。

せっかく法律を作る以上、それに魂を入れるという意味で、執行をしっかりやっていく体制づくりを併せて進めていくということが重要ではないかということを委員会の中で学ばせていただきました。今後とも、そういった点をしっかり充実させていくことが大事ではないかと思っております。

以上です。

○河上委員長 では、増田委員、お願いします。

○増田委員 普段から改正すべき点と思いながら消費生活相談業務を行ってまいりましたので、消費者契約法、特商法の審議の場に参加できたことは大変うれしく思っておりました。ただ、十分役割を果たせたかどうかというのは大変疑問で、残念な部分もありました。それでも重要な点について改正がなされたことは大変よかったと思っております。今度は、それを消費生活相談の現場でどうやって運用するかということが重要なことになりますので、それについては、消費生活相談員の会のトップになりましたので、今後、私自身、本協会の役割として相談員の研修などをしていきたいと思っております。

いろいろな法律ができて、制度ができて、そして相談者も事業者も様々な中で、消費生活相談員は本当に大変な状況になってきました。そういう知識を身につけると同時に、あとは聞き取り能力とかコミュニケーション能力とか説明力、そしてPI0-NETに入力するための文章力というものも非常に重要なものになってまいります。今回のこういう審議に参加したことを背景に、相談員に対して研鑽の必要性を訴えていきたいと思います。

そして、消費者委員会は、これまで美容医療とか医療機関のホームページとか電子マネーとか、様々なことに取り組んで、それが今回の第4次消費者委員会でかなり成果として出せたのではないかと思います。こういう形で、先ほど長田委員もおっしゃいましたけれども、継続した審議を重ねることによって、いつかは成し遂げられるだろうということを思いましたので、今後についても期待したいと思います。

○河上委員長 ありがとうございました。

池本委員は、最初にお話しされたので、恐らく、そろそろ何か言いたくなったのではないかと思いますが、いかがですか。

○池本委員長代理 皆さんのお話を聞いて、私も冒頭に申し上げたことの感想だけではなくて、この消費者委員会の役割の大きさということを、今後の運営体制のことも含めて考えていく必要があるという意味で申し上げたのですが、ちょうど同じことが長田委員からも発言がありました。それぞれの分野の方が関心を持って議論していくに当たり、それぞれの行政の担当部署のお忙しい中で、これをどうやって位置付けるか、それなりの情報を集めて検討しておられるところで、何が動き、何が動かないのか、ということまで見て議論していかなければいけない。

単なるあるべき論だけでは足りない。現場も知りながら、どう動かしていくかという、先ほどの法執行のこともそうですし、全く議論が始まっていないところでどう問題提起して、しかも検討を始めてもらうかというときの難しさという、それぞれの課題で、政府の中あるいは地方自治体も含めて、消費者行政が着実に動いていくために、どういうふうに議論を広げていくか、あるいはそれをまたウォッチしていくかということが大事だなというのを実感しました。

消費者委員会は、例えば建議を出すと、おおむね半年前後を目安にフォローアップでヒアリングをやる。これは、建議の名宛人となった担当部署としては大変重い荷物で、それまでに何らかの動きを作らなければいけない、大変そうな様子が報告のところでも感じとれるぐらいです。それは、私たちもどうなりましたかというのを一方的に聞くのではなくて、その間の動きを改めて、例えば国民生活センターからも聞く、現場からも聞く。こちらも情報を蓄え、受け止めかたを私たちなりに考えながら、また担当部署の人と対等に意見交換をしていく。そういう形で、私たち、この委員会の委員そのものも力量をつけるための運営の仕方を考えていただきたい。

それから、各担当分野の消費者団体とか研究者という方々との交流を、テーマごとにもう少し頻繁にやっていくということも進行の中で考えていく必要がある。いろいろな課題があり、そういうことを含めて、次期につないでいただく必要があると感じました。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

もう5次の委員候補の方の名簿は公表されたのですか。

○丸山参事官 公表されております。

○河上委員長 そうですか。

では、私も最後に一言だけ申し上げます。もう公表されているというので申し上げますけれども、私自身はこれで任期が終わり、再任されることはございません。2次、3次、4次と、3期6年間、委員長として皆さんに支えていただいたということで、心から御礼を申し上げます。自分は民法の世界で勉強してきたのですが、消費者問題というのはそこだけからはどうしても見えなかった部分がたくさんあったということで、無理やり目を開かされた部分がたくさんありました。しかし、それが一つ一つ本当に勉強になった。しかも、委員の方々、皆さん、大変な才能をお持ちの方ばかりで、自分自身で考えも及ばなかったようなこともたくさんあって、この間、実に得がたい経験をしたなと思います。

この2次、3次、4次の間に、消費者問題についての大きな基本的制度枠組みは法律としても何とか出来上がったと思います。消安法、特商法とか景表法、消費者教育推進法そして最後は消費者契約法の改正、いろいろなものが出来上がって枠組みはできつつあるのだけれども、今度は、その枠組みをうまく動かしていくという血肉になる部分が課題で、今からまだやらないといけない部分がたくさんある。その意味では、先ほども話題になりました執行というのは、今後の大きな課題の一つになるのではないかと個人的にも思っておりますので、5次の委員会には、この執行部分にもきちんと光を当てて検討していただきたいと思っております。

もう一つは、消費者像が変わりつつあるのではないかという感触を強く持ちました。以前は、マスとしての消費者が念頭にあって、そこでの客観的な、平均的な消費者像を念頭に置いた施策について議論をしていたのに対して、ここ数年になって、もう少し具体的な消費者像、例えば老人であったり、子供であったり、女性であったり、若年者であったりと、様々な脆弱さをそれぞれに持った消費者像があって、そうした具体的な消費者像を対象として国が消費者政策を打ち出していかないといけないのではないかということであります。

個人的には、「消費者契約法に適合性原則を」と標語的に申し上げたこともありましたけれども、時期尚早という感じで意見が割れて、明文化は見送られました。しかし、マスとしての消費者しか見ていない事業者は、現代ではもういないと思います。ターゲティング広告もそうですけれども、個別の一定の類型の中に落とし込まれた様々な特質を持った消費者を相手にして取引をする時代になっていることは明らかでして、消費者法の問題も、今後更に具体的な消費者像を考える中で展開していくことが必要なのではないかという気がいたしております。

いずれにしましても、消費者問題というのは国民の生活の全方位でかかわってくる問題で、私は外交問題と防衛問題以外は全部だと思っていましたが、外交もTPP問題がありますから、それも入ることが分かってきました。様々なところを全方位で、公正できちんとしたルールに基づいて、事業者と消費者が安全・安心な社会を作れるようにということで、5次以降もしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

宣伝になって恐縮ですが、実はある出版社さんで「消費者委員会の挑戦」という本を作らせていただき、この6年間の間に私自身が書き溜めたものをまとめさせていただきました。本当にたくさんの問題が扱われてきたのだなと痛感いたします。この書物は、実は消費者委員会というものの遺伝子を確立したいという私の気持ちの表れでもありますので、また暇があったら読んでいただければと思います。

どうもありがとうございました。

≪5.岡村消費者庁長官、松本国民生活センター理事長御挨拶≫

○河上委員長 それでは、最後になりますけれども、本日は岡村消費者庁長官と松本国民生活センター理事長にお越しいただいておりますので、御挨拶を頂戴できればと思います。

まずは、岡村消費者庁長官からお願いいたします。

○消費者庁岡村長官 河上委員長をはじめとする委員の先生の皆様方には、これまで2年間、先ほども発表のありましたとおり、様々な課題について建設的な御議論をいただき、数多くの建議や答申を頂きましたこと、消費者庁としても本当に深く感謝申し上げるところでございます。

消費者行政は、変化し続ける社会経済環境に対応していく必要がありますので、その効果的な対応のためには、様々な分野の知見を有する消費者委員会の委員の先生方の御意見が不可欠でございます。消費者庁としては、これからも消費者委員会の委員の皆様、国民生活センターとしっかりと連携して、消費者の安全・安心の確保に全力を挙げてまいる所存でございます。

最後に、いま一度、第4次消費者委員会の委員の先生方に厚く御礼申し上げます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

では、続きまして、松本国民生活センター理事長から御挨拶を頂きます。

○国民生活センター松本理事長 河上委員長を初めといたしまして、第4次の消費者委員会の皆様、本当に御苦労さまでございました。この2年間、熱心にご審議頂き、多くの建議や提言をお出しいただいたことに対しまして、国民生活センターを代表して感謝を申し上げます。

消費者委員会と国民生活センターは、いろいろなレベルにおきまして協力してまいりました。一番トップレベルでは、消費者庁長官、消費者委員会委員長、国センの理事長のスリートップで月に1回、お昼御飯を一緒に食べながら、議題を決めないで意見交換をするという三者懇談会を行ってまいりましたし、また、消費者委員会の専門調査会や部会の委員あるいはオブザーバーとして、国センの役職員が参加したケースも多数ございます。

また、専門調査会や本委員会で国セン職員が参考人として説明するということも多数ありました。

さらに、表に出てこないですけれども、委員間打合せで国センの職員が説明することもございましたし、消費者委員会事務局と国センとの間の言わば組織間における事務レベルでの情報交換というのも多数行っております。

国民生活センターの機能を我々は3つに整理しておりまして、1つ目は、行政機関や事業者、事業者団体への要請・情報提供。2つ目が、地方の消費者行政の支援。3つ目が、国民・消費者への注意喚起、情報提供というもので、この1つ目の行政や事業者、事業者団体への要請・要望・情報提供を毎月のように多数行っております。間もなく、また新しく1件、行いますけれども、その中で、消費者委員会事務局はほとんどの場合に情報提供先として入っております。特定の業を所管するということではなくて、消費者行政全般に関してのことですから、これは当然のことと言えば当然でございます。

国民生活センターは、関係省庁に対しても要望を行いますけれども、この要望は法的な拘束力がございません。お願いにすぎないわけであります。しかし、消費者委員会の建議は法律上の根拠を持って、一定の拘束力があるものでございます。そこで、我々として、権限のある関係省庁への要望がなかなか受け入れてもらえないというような残念な場合には、消費者委員会のほうから建議を出してもらいたいと思うことがございます。

今次の第4次消費者委員会との関係では、このような国民生活センターが問題提起して、消費者委員会がそのバトンを受けて、より強い立場から一定の見解を出すという典型的な事例というのは、調べてもらったのですけれども、なかったということでございます。もっとも、消費者委員会が出された多くの建議や提言の中に、情報提供を通じて国民生活センターが様々な形で関与してきたということも事実でございますし、これは我々としても喜びとしておるところでございます。第5次の消費者委員会におきましても、両組織の効果的な関係を維持していきたいと考えております。

本当に御苦労様でございました。

○河上委員長 どうもありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。


≪6.閉会≫

○河上委員長 本日の議題は以上になります。

最後に、事務局から、今後の予定についての説明をお願いいたします。

○丸山参事官 次回の本会議の日程、議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページ等を通じて、お知らせさせていただきます。

なお、この後、委員間打合せを行いますので、委員の皆様におかれましては、委員室のほうまでお集まりください。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございました。

委員間打合せは、45分からということでよろしいでしょうか。よろしくお願いします。

(以上)