第254回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2017年8月22日(火)14:00~16:24

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 江崎内閣府特命担当大臣、ふくだ内閣府副大臣、山下内閣府大臣政務官
    (江崎大臣の「崎」は、正しくは立つ崎)
  • 【委員】
    河上委員長、池本委員長代理、阿久澤委員、大森委員、蟹瀬委員、鹿野委員、長田委員、中原委員、樋口委員、増田委員
  • 【説明者】
    厚生労働省榎本医政局総務課長
    厚生労働省武井老健局高齢者支援課長
    厚生労働省込山老健局振興課長
    国土交通省石坂住宅局安心居住推進課長
    消費者庁河内消費者政策課長
    消費者庁金子消費者教育・地方協力課長
    消費者庁消費者教育・地方協力課担当者
    国民生活センター紛争解決委員会事務局担当者
    公共料金等専門調査会古城座長
  • 【事務局】
    黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 身元保証等高齢者サポート事業に関する消費者問題についての建議のフォローアップについて
  3. 国民生活センターADRの実施状況に関する検討会報告書について
  4. 関西電力株式会社による電気料金の値下げに関するフォローアップについて
  5. その他
  6. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○河上委員長 皆様、お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会第254回本会議」を開催いたします。

本日は、山下雄平内閣府大臣政務官に御出席いただいております。なお、ふくだ峰之内閣府副大臣は14時40分ごろをめどに、江崎鐵磨内閣府特命担当大臣は16時15分をめどにお越しいただいて御挨拶を頂く予定でございます。

まずは開会に当たりまして、山下内閣府大臣政務官より御挨拶を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

○山下政務官 皆さん、こんにちは。初めまして、山下雄平と申します。

この度、内閣府大臣政務官を拝命いたしました。浅学非才ではありますけれども、ふくだ副大臣とともに、江崎大臣を支えて、消費者行政の推進を図ってまいりたいと思っております。

私ごとですけれども、この度消費者行政を担当する政務官の任を頂いたことに、いささか感慨を覚えております。私、政治家になる前は新聞記者をしておりました。福田康夫内閣のもと、消費者行政の強化を打ち出されたときは、まさに国民生活局を中心とした消費者行政の担当をしておりました。その後、消費者庁の新設だったり、そして、国会審議を通じて国民の消費者の視点で監視をしなければならないということでこの消費者委員会の設置を決められたとき、その経過をそばで見てまいりました。だからこそ、国民の皆さんが安心した生活を送れるのは皆さんの努力あってのことだということを認識しております。私も微力でありますけれども、皆さんとともに力を尽くしてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

大変力強いお言葉を頂戴して、身の引き締まる思いがいたしました。委員会として、今後もより一層充実した調査審議を行っていきたいと思います。

山下政務官は引き続きしばらくの間は御出席をいただけるということなので、よろしくお願いいたします。

それでは、配付資料の確認をお願いいたします。

○丸山参事官 配付資料につきましては、お手元の議事次第の下部に、配付資料一覧を記載しております。

資料1-1から資料3、参考資料については1、2となっております。

もし不足がございましたら、お申しつけいただきますよう、よろしくお願いいたします。


≪2.身元保証等高齢者サポート事業に関する消費者問題についての建議のフォローアップについて≫

○河上委員長 それでは、最初の議題でございますが、身元保証等高齢者サポート事業に関する消費者問題についての建議の実施報告についてということでございます。

当委員会では、今年の1月「身元保証等高齢者サポート事業に関する消費者問題についての建議」を取りまとめまして、消費者担当大臣、厚生労働大臣及び国土交通大臣にこの建議を発出いたしました。この建議では、当該事業に関する実態の把握及びそれを踏まえた必要な措置の実施、高齢者が安心して病院・福祉施設等に入院・入所できるための取組並びに消費者への情報提供について、その対応を求めております。

本日は、この建議への対応について、その実施状況を報告していただきたいと思います。消費者庁、厚生労働省及び国土交通省におかれましては、お忙しいところ御出席いただきまして、ありがとうございます。

それでは、消費者庁、厚生労働省、国土交通省の順で、それぞれ10分程度で御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○消費者庁河内消費者政策課長 消費者庁でございます。

お手元の資料1-1と1-2で御説明いたします。資料1-1は先月末に文書で消費者委員会に御報告したものでございます。資料1-2はその後の実施状況、最新の状況を踏まえて情報を追加したものでございますので、資料1-2に沿って御説明いたします。

まず左側、建議事項1、(1)から(3)までございますが、これについての消費者庁の実施状況ということで、右側でございます。まずは速やかな実態把握の着手に向けて、厚生労働省との間で情報共有や意見交換を実施しているところでございます。

2つ目の「・」でございます。今後厚生労働省のほうで本格的な調査が始まると思いますが、私ども消費者庁としましても、まずはヒアリングできるところから始めて実態把握に努めているところでございまして、ここに書いてございますが、国民生活センター以下、こういった消費生活相談団体等にヒアリングをして、この高齢者サポート事業に関する消費生活相談等の実態の把握に努めたということでございます。株式会社長谷工総合研究所と独立行政法人都市再生機構に下線が引いてございますが、この2つは、先月末の文書による報告の後、更にヒアリングを行った法人でございます。

その下に「※」印で書いてございますが、もともと例の日本ライフ協会の経営破綻が建議を出す一つのきっかけになったと思いますが、その日本ライフ協会のような破綻事案がほかに発生しているという状況は、今のところ確認していない状況でございます。

次に、3つ目の「・」の「また」以下でございますが、PIO-NETの消費生活相談事例もいろいろ検索しておりますが、この対象となるサービス、特に死後の葬儀のサポートサービスでございますが、その解約に関するトラブルで幾つか相談が寄せられているということで、これが何か措置を要するほどのものかどうかというところまでは中身を詰めているわけではございませんが、例えば、解約金が高額ではないかという相談や、解約したいがなかなか解約できないという相談が幾つか寄せられているということは把握してございますので、今後の実態調査と併せて、そういった相談事例の中身の詳細についても詰めていきたいと考えております。

次に、建議事項3でございます。これは建議事項1の(3)と同じなのですが、今後、消費者がこの高齢者サポートサービスを安心して利用できるような必要な措置を講ずる、あるいは消費者がサービスを選択するに当たり有用と思われる情報提供を積極的に行うといった建議を頂いております。この2つ、いずれにしましても、この右側の下の四角でございますが、今後厚労省において行われる実態把握の結果がまとまった段階で、情報提供の実施を含め、必要な措置については改めて検討したいということで、現状では実態調査の結果を待っている状況で、その結果を見て、関係省庁と協議して検討していきたいと考えております。

消費者庁の現状の実施状況の説明は以上でございます。

○厚生労働省込山老健局振興課長 続きまして、厚生労働省から御報告申し上げます。

同様に資料1-3と1-4を御用意しております。資料1-3につきましては、7月31日付で厚労大臣から委員長宛てに御報告している内容でございます。資料1-4につきましては、ただいま申し上げた大臣からの御報告の内容とともに、若干、例えば調査の内容等について詳しめに資料を作成しておりますので、こちらの資料1-4を使って御説明申し上げます。

資料1-4、2ページ目を御覧ください。建議事項1といたしまして、(2)厚生労働省は、関係行政機関と連携をして、身元保証等高齢者サポート事業において、消費者問題が発生していることを踏まえ、事業者に対してヒアリングを行うなど、その実態把握を行うこととの御指摘を頂戴しているところでございます。

また、(3)におきまして、消費者庁及び厚生労働省は、関係行政機関と連携して、前記(2)を踏まえ、消費者が安心して身元保証等高齢者サポートサービスを利用できるよう、必要な措置を講じることと頂戴してございます。

こちらの(2)に関する回答でございますが、7月31日付の御報告といたしまして、現在、厚生労働省におきましては、老人保健健康増進等事業の枠組みを使いまして「身元保証サービスの実態調査に関する調査研究」を実施しているところでございます。

具体的に、この調査研究では、まず一つ目といたしまして、こういったサポート事業を提供する事業者さんに対する、事業内容に関するヒアリング調査、また、二つ目といたしまして、サポート事業に関する消費者被害等の実態調査を行うことを予定しておりまして、年度内をめどに報告書を取りまとめる予定でございます。

ただいま申し上げました調査の内容でございますけれども、若干、具体的内容を御説明いたします。3ページ以降でございます。1.事業者に対する、事業内容に関する調査でございます。まず、調査対象の事業者でございますが、消費者委員会から御提供いただきました74の事業者、また、ホームページ情報などでこういったサポート事業を提供しているということが確認できた事業者が現在のところ14事業者ございました。若干重複がございますので、合計76事業者に対しまして調査を行いたいと考えております。

まず最初の調査方法でございますが、ヒアリング調査といたしまして、8月、特に9月にかけまして実施したいと考えております。この76事業者全体に対するアンケート調査に先立ちまして、そのアンケートの内容を効果的に実施するために、まず最初に10程度の事業者に対してヒアリング調査を実施したいと考えております。

そのヒアリング調査において、大まかな事業内容や特徴等をつかんだ上で、具体的に76事業者全体に対してマル2のアンケート調査を実施したいと考えております。ただ、このアンケート調査の調査項目などにつきましては、「※」印にございますように、学識経験者の方、弁護士の先生、ケアマネジャー、自治体関係者、消費者団体関係者の方々による有識者委員会を設置いたしまして、そちらでアンケート調査の調査設計といったこともお願いしたいと考えているところでございます。

ということで、調査内容につきましてはこれから検討していくところでございますが、御建議でいただいた例示された点などを踏まえますと、以下の表に書いてあるような内容になるのではないかと現在のところは考えております。

マル1契約内容の適正化、費用体系の明確化に関すること、マル2預託金の保全措置に関すること、マル3第三者が契約の履行を確認する仕組みがあるかどうかといったこと、マル4利用者からの苦情相談に対する対応、マル5事業者さんの特色がございますので、それぞれの事業者の概要、マル6事業規模、マル7提供しているサービスの内容、さらに、マル8契約後のフォロー、こういったことを中心に調査したいと考えております。

5ページの2.でございますが、一方、こういったサポート事業を御利用された消費者の方から寄せられた相談であったり、場合によっては被害があるかもしれませんが、そういった相談事例等につきまして、実態調査を行いたいと思っております。ただ、これも限りがあるもので恐縮なのでございますが、事業者が所在している市町村、これも全部を網羅することはなかなか難しいのですが、人口の規模だったりとか地域的な偏り、また、事業者さんが所在する数などを勘案して対象市町村をピックアップしたいと思っています。その市町村に対しまして、何かそういった相談の事例があったかどうか。あったとすれば、どういったサービスを利用されたかどうかといったようなことについて調査をしたいと思っています。

3.でございますけれども、それ以外にこういったサポート事業に関連する事項につきまして知見のある自治体、例えばサポート事業を自ら実施されているような市町村や社会福祉協議会の事例も教えていただいておりますので、そういったところにこういったヒアリング調査というものを実施したいと思っております。

こういった点を踏まえまして、今後のスケジュールでございますけれども、3月末までにはその調査報告書を提出できるように、鋭意進めてまいりたいと考えております。

6ページ、(3)でございます。必要な措置を講ずることという御建議を頂いておりますが、こういった調査研究の結果を踏まえまして、消費者の方が安心してサポートサービスを利用できるようにするための必要な措置、これにつきましては、消費者庁を初めとする関係省庁と連携して検討してまいりたいと考えております。

先へ進んで恐縮でございますが、最後の13ページ、同様でございます。建議事項3という形で、情報提供を積極的に行うことという御建議も頂いております。この点につきましても、調査研究などを踏まえまして、その情報提供の仕方などについて検討してまいりたいと考えております。

私からは以上でございますが、引き続きまして、医政局から御説明させていただきます。

○厚生労働省榎本医政局総務課長 医政局総務課長でございます。

続きまして、7ページから、建議の2では、病院・福祉施設等の絡みで御指摘を頂いております。私どものほうでは、まず、病院について私から御報告をさせていただいて、続いて福祉施設等については老健局からまた御説明させていただくようにしたいと思っております。

まず7ページですけれども、医療機関についてです。入院・入所に当たって身元保証人のいないことのみを理由として拒むことはないようにということで建議を頂いておりますが、医療機関に対しましては、身元保証人等がいないことのみを理由として医療機関への入院を拒むということは、医師法19条に規定しております「正当な事由」には該当しないと私どもは考えておりますので、そういった旨を関係団体と調整した上で、都道府県などに周知をしていくようにしてまいりたいと考えております。この点は、先般7月にお答えしたものよりも、その後の先生方から指摘いただいたことを踏まえて整理をし直させていただいたところです。

8ページ、今度は医療機関における身元保証人等に求める役割等の実態を把握するということで、私どものほうでは、医療機関について実態を把握するために、29年度の厚生労働科学研究の中で、この研究を行う研究班を6月13日に立ち上げたところです。この研究班におきましては、まずはアンケート調査を実施するということと、アンケートを踏まえた調査を行うということを想定しておりまして、まずはそのアンケート調査の中身の検討をしているところです。年度内をめどに調査報告書の取りまとめをしてまいりたいと考えております。

さらに、建議におきましては、身元保証人の方々などに求められる役割の必要性、あるいは、その役割に対応することが可能な既存の制度及びサービスについて把握をするということが求められておるところですので、その実態把握をしっかりとしてまいりたいと思っております。その上で、調査結果などを踏まえまして、利用可能な既存の制度やサービスにつきまして、都道府県などに対してしっかりと周知徹底をするということで進めてまいりたいと考えております。

具体的な研究の中身は9ページ以降にございます。研究事業名はこういった名称で、目的はこういったことです。研究班の班員としては、この1から4にございます先生方に分担をしていただきながら進めていただくということにしております。これと併せて、一方で、法学的な観点も恐らく必要であろうかと思いますので、法学者の方あるいは弁護士の方にも研究協力者として参画していただきながら、研究をしっかり進めてまいりたいと思っているところです。

10ページでは、調査対象ということですが、医療機関と一口に申しましても、病院、診療所がございます。そのうちの幾つかをピックアップする形で、特に診療所についてはベッドを持っていない診療所もありますので、ベッドを持っている診療所を中心として調べるということで考えてまいりたいと思っております。

調査内容としては、御指摘を頂いているようなことですが、身元保証人の必要性、理由、もし身元保証人がおられない患者さんがおられたときに御利用の案内をしているような既存の制度・サービスはどういうことか、そして、そういった案内をしたときの課題としてはどういうものがあるのか。そして、また、既存の制度・サービスにおける課題、あるいは新たな制度・サービスで求めることはどういうことかといったことを明らかにしてもらいたいと考えております。

今後のスケジュールですけれども、今月中には具体的な調査票の業者を選定、そして対象医療機関を選定した上で、9月には調査を実施してまいりたいと思っております。11月、12月で集計、解析、結果の検討を行った上で、年明けに取りまとめの検討ということです。この点も7月に御報告した段階よりも、あの段階では5月末を考えておりましたが、年度内に取りまとめがなされるようにこの研究もしっかりと進めてまいりたいと考えているところです。

私からは以上です。

○厚生労働省武井老健局高齢者支援課長 厚生労働省老健局高齢者支援課長でございます。

お手元資料の11ページをお開きください。実態把握に関しまして、介護施設などに関する項目でございます。11ページの下の箱の部分に現在の実施状況について記載をしております。

厚生労働省としましては、介護施設などにおける身元保証人等に関する調査研究事業を今年度実施することとしておりまして、2つ目の「○」でございますが、現在、この事業を行うに当たりまして、いろいろな専門家の方から構成される委員会の立ち上げ、今、それを準備しておりまして、施設運営者を対象としたアンケート調査、また、アンケート調査を踏まえたヒアリング調査を行いまして、年度内をめどに調査研究報告書を取りまとめる予定としております。

3つ目の「○」でございますけれども、身元保証人に求められる役割の必要性、また、その役割に対応することが可能な既存の制度やサービスについて、福祉施設などへの情報提供が求められているということがございますので、この調査の結果を踏まえまして、その必要性や役割に対応することが可能な制度やサービスの実態把握に努めてまいります。

また、身元保証人がいないことのみを理由に介護保険施設への入所を拒むことが法令上認められる正当な理由には当たらないということに関しましては、平成28年3月の担当課長会議で周知したところでございますけれども、今後も今回実施します調査の結果などを踏まえまして、引き続き適切に周知をしてまいりたいと考えております。

12ページをお開きください。こちらに関しましては、調査研究内容につきまして記載しておるものでございます。(5)調査方法でございますけれども、現在調整しておりますが、有識者による検討会を実施した上で、施設向けのアンケート調査、また、施設向けのヒアリングや保証会社に対するヒアリングなども調査内容として含んでおります。

今後のスケジュールでございますが、9月から検討会の実施を進めてまいりたいと思っております。その後、アンケートやヒアリングなどを踏まえまして、今年度中には報告書を適切に取りまとめていきたいと考えております。

以上でございます。

○国土交通省石坂住宅局安心居住推進課長 続きまして、国土交通省から御説明させていただきます。

資料1-5を御覧いただければと思います。裏面でございますけれども、こちらに現在の実施状況が書いてございます。国交省では、現在一般財団法人高齢者住宅財団、こちらで家賃債務保証事業をやってございます。この事業につきましては、各地域で設立されております居住支援協議会、そうした場を通じて情報提供を行っておりまして、今後とも引き続き情報提供等を推進していきたいと考えてございます。

また、「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」、これは住宅セーフティーネット法と通称で呼ばれているものでございますけれども、これにつきましては、前回の通常国会で改正法を成立させていただきまして、これに基づきまして、高齢者を含めた住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅の入居の円滑化を図るために、適切に家賃債務保証の業務を行うことができる者について国に登録する制度、こちらを新たに設けたところでございます。この法律につきましては、本年の10月末頃の施行に向けて、現在準備を行っているところでございます。この登録が始まりましたら、こうした情報についてもしっかり情報提供を行ってまいりたいと考えてございます。

具体的には、次の資料1-6を御覧いただければと思います。新たに創設いたします家賃債務保証業者の登録制度の概要ということで1枚添付させていただいております。この家賃債務保証業者の登録制度でございますけれども、この登録制度は任意の制度でございます。この登録をしなければ家賃債務保証業を営んではいけないということではなくて、現在の制度立てといたしましては、任意の登録制度となってございます。ただ、家賃債務保証業を適切に実施していただく方をきちんと登録させていただいて、国のほうでちゃんと指導等も行うということを通じて、健全な業の推進も確保してまいりたいと考えてございます。登録の基準や業務の適正化のルール、こうしたことをきっちり定めて、安心できる業者さんに登録していただきたいと考えているところでございます。

以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

議事の途中でございますけれども、ここで山下政務官は御退席となります。

お忙しいところ御出席いただきまして、誠にありがとうございました。

○山下政務官 またよろしくお願いします。

(山下政務官退席)

○河上委員長 それでは、議事に戻りたいと思います。大変恐縮ですけれども、もう一度改めて今の御説明を前提として御質問あるいは御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。

池本委員長代理、お願いします。

○池本委員長代理 池本でございます。

それぞれ御報告をしていただき、この委員会からの建議について、きちんとそれぞれ調査等を開始していただいて、感謝申し上げたいと思います。

幾つかあるのですが、まずは消費者庁に質問させていただきます。関係団体等、国民生活センター、その他団体にヒアリングをされたということで、その結果として、破綻案件についてはほかに発生している状況はなかったということです。これは非常にうれしいことだと思うのですが、それ以外にも、この高齢者サポートの問題については、契約条件、契約内容に関するものなど苦情が寄せられているのかどうか。その辺りについて、ヒアリングの結果、何か特徴的なことがあったかどうか。また、それについては厚生労働省や国土交通省との情報交換に向けた資料等にされているのかどうか。その2点、相談内容の特徴と情報交換に向けた資料化についてお伺いしたいと思います。

○消費者庁河内消費者政策課長 消費者庁でございます。

破綻案件は確認できなかったということ。事業実態等については、先ほど申し上げましたが、これはヒアリングというよりPIO-NETの中で解約に関するトラブルがあったということで、あとは事業実態についてというよりは、ヒアリングした団体からは、高齢者サポートサービスは今後非常に需要が伸びていくだろうということで、そういった意味でも、今はこの建議に基づいてやっているようなことをしっかりやってもらいたいという意見を多くの消費者団体等から頂いたところでございます。

○池本委員長代理 わかりました。ただ、国民生活センターがここに加わっております。私どもも委員会の中で検討していくスタートの時点では、国民生活センターから情報を提供してもらいそれを踏まえて議論していたのです。その後、特に今年に入ってから最近までの状況を国民生活センターの相談情報の分析まで含めてヒアリングをなさったのか、それとも国民生活センターとしての当面の受け止めや要望という限度で確認されたということなのか、その辺りの感触をお伺いできればと思います。

○消費者庁河内消費者政策課長 今の池本委員長代理の御指摘の後者のほうでございまして、現在の受けとめというか、そういうところについてヒアリングしたところでございます。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。

長田委員、お願いします。

○長田委員 消費者庁にお伺いしたいのですけれども、いろいろな団体とヒアリングをなさって、このサービスはいずれニーズがあるだろうという見解があったとおっしゃったと思うのですけれども、身元保証に消費者が求めるものというか、どういうものが必要とされるのかがつかめてこそ、この後の厚労省さんなどの調査やヒアリングの結果とのマッチングというか、どういう制度が必要なのかを組み立てていくのにはとても必要だと思うのです。その辺りについて、どういう調査やヒアリングをなさる御予定があるのかをお伺いしたいです。

それから、厚労省さんとの情報共有、意見交換とずっと書いてあるのですけれども、どういうところで何かすみ分けをしようとしていらっしゃるのか、そして、何を一緒にやろうとしていらっしゃるのかも教えていただければと思います。

○消費者庁河内消費者政策課長 おっしゃるとおりでして、消費者がこういうサービスに何を求めているかということで、消費者の御意見を聞かないと把握できないのではないかと思っておりまして、今のところは消費者団体等のヒアリングですので、なかなかそこまでつかみ切れておりませんので、具体的な計画があるわけではありません。そういう消費者サイドの、消費者がこういうサービスに何を求めているかといったようなところも今後調査していきたいと思っております。

特にPIO-NETなどの相談情報を見れば、先ほど解約の話をしましたが、そういうところで解約に関してのトラブルがどうも幾つかあるようだということであれば、解約金が高い、解約できない、解約の条件が厳しいといったような実態もあるようなので、そういったことについても実態調査を進めていくのかなと思っております。

厚生労働省との切り分けについては、非常に所掌の曖昧なところですので、余り役所仕事のようにすることなく、お互い相談しながらやっていきたいと思っております。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。

池本委員長代理、お願いします。

○池本委員長代理 池本でございます。

今のお話に少し関連するのですが、これは厚労省老健局振興課の資料1-4に関連してお伺いしたいと思います。5ページのところで、これも調査研究、実態把握に向けて調査を具体的に進めていただくということで非常に適切な進め方だと思いますが、2.の消費者から寄せられる相談の実態調査というところが、「市町村や法テラス等に対し、ヒアリング調査を実施する」とある「市町村」というのはどちらの部署になるのか。

それから、私たちがこの委員会としてスタートの頃には、先ほどもお話しした消費生活センターに寄せられた相談を一つの手掛かりにしていたところがあるのですが、それはヒアリングの対象あるいはデータ分析の対象に含まれているのか。もしくは、その点については消費者庁なり、そちらとの連携によってカバーするとされているのか。この辺りの御予定をお伺いしたいと思います。

○厚生労働省込山老健局振興課長 お答え申し上げます。

私どもとしては、基本的に高齢者の方への情報提供という観点でこの調査を実施したいと思いましたので、市町村の部局としては、基本的には高齢者担当部局を考えております。ただ、前回御相談申し上げたときに、法テラスさんなどにもお聞きすることが適当ではないかという御意見も頂きましたので、法テラスさんなどにもヒアリングができればと考えております。

ただ、今、また池本委員長代理から消費生活センターということもあるのではないかと御指摘を頂きました。その点も含めて検討は進めたいと思っております。

○河上委員長 ありがとうございました。

私からも少し基本的なことを伺いたいのですが、例えば賃貸住宅に入っていくときに、身元保証人とか連帯保証もよく請求されますけれども、高齢者の場合に、こういうものをやめてしまうということは方向としてはないのですか。

○国土交通省石坂住宅局安心居住推進課長 民間の賃貸借契約に関するものですから、なかなか国がこうしろと言うのは難しいところがあるかと思います。

ただ、今回の住宅セーフティーネット法の改正におきまして、先ほど申し上げた家賃債務保証だけではなくて、高齢者の方が入るとなると、家賃の問題だけではなくて、健康上とか、様々な課題を抱えていらっしゃるのだと思います。そういう意味では、家賃債務保証業者の登録制度だけではございませんで、居住支援法人という制度を新たに設けまして、こちらは例えば入居者の生活相談とか、入居相談、入居支援とか、入居後の対応までやっていただけるような、そうしたNPOさんなどがいらっしゃいますけれども、そういう方々と連携がとれるように居住支援法人を都道府県が指定できる制度も今般盛り込んでおります。ですから、家賃だけではなくて幅広くサポートする、これは現在厚労省さんとも一緒に進めていまして、そうした幅広い支援をやることによって、大家さんも安心して貸せるようにする環境を作っていくことが大事ではないかと考えてございます。

○河上委員長 そのときもできるだけ費用面の問題などいろいろしないと、独居の高齢者が入っていくというときに保証人になってくれる人がいない場面が一番怖いので、安い値段でそういう形で連携できるような場面等をぜひ考えていただければありがたいと思います。

○国土交通省石坂住宅局安心居住推進課長 引き続き努力してまいりたいと思っております。

○河上委員長 もう一つ、医療機関の場合も入院をするときに身元保証人を要求されることがままあるのですけれども、もちろん意識がなくなってしまった後のこととか、あるいは亡くなってしまった後の遺体の引取りとか、いろいろな問題があることは想像がつくのです。しかし、独居高齢者の場合にそういう人を求めることができない場面で、なかなか医療を受けられないということがあっては困る。締約強制がありますから本来であればそういうものがなくてもお世話するということはあってもいいのでしょうけれども、その辺りは方向性としてはどうなのでしょうか。

○厚生労働省榎本医政局総務課長 今、河上委員長から御指摘ありましたように、身元保証で求められていることは確かにいろいろな側面があると思います。まさに入院費の支払いの問題から始まって、御指摘がありましたような亡くなった後の処理の問題も含めて、医療機関側としても一人だとどうなのかという懸念も恐らくあるかと思います。

こういったことに対しては、一方で、例えば葬祭などであれば葬祭サービスでありますとか、あるいは市町村での葬祭、お一人で所得水準が低い方は、生活保護の中で葬祭の扶助などの仕組みもあります。あるいは、なかなか遺体の引取り手がないような場合には墓地埋葬法での規定などもございますので、そういったいろいろな公的な仕組みがあるということを周知していくこともこれから重要になってくるのではないか。こういう仕組みがある、こういうことを利用していただくことでお互い安心して入院ができるような形にすることを併せて検討して、周知をしていく方向で考えるのではないかと思っております。

○河上委員長 入院する段階で、そういう保証人がなかなか手に入れられないという方がいたときに、そのことを理由に入院を受け付けないなどということはないように、何とか対応方お願いしたいと思います。

○厚生労働省榎本医政局総務課長 御指摘を踏まえて、この辺りは医師法との関係もございますので、医師法の取り扱いなどについては、担当のほうからしっかりと周知をしてまいるようにしてまいりたいと思っております。

○河上委員長 よろしくお願いします。

ほかに何かこの際という方、いらっしゃいますか。

蟹瀬委員、お願いします。

○蟹瀬委員 いろいろありがとうございます。

調査を早めていただいて、3月末に大体結果が出るということで、早くやっていただくのは大変大事だと思います。調査研究で質問票をお作りになるときに、仮説をお立てになると思うのです。皆さんプロなので、どういう状況が起こっているのかは御存じだと思うのですが、その仮説によってどういう措置が今後発生してくるか同時進行でそちらの仮説も立てていくことが可能でしょうか。

もしそれが可能であれば、今、おっしゃったように、調査の結果が出てすぐに業者側と消費者側にいろいろなものを周知させていくことができるのではないかと思うのです。一刻も早くそれをやらなければ、いっぱい高齢者は増えてきていますので、やりながら直していくことが大事だと思います。その辺りができるかどうかを検討いただければと思います。1個終わって次に行くということではなくて、同時進行でやっていただく可能性についてお答えいただけますか。

○厚生労働省込山老健局振興課長 おっしゃるとおりでございまして、この調査研究自体も、御建議でも頂いているとおり、必要な措置を講ずるための材料として実施するものでございますので、調査の枠組みの中でもどういった措置が今後考えられるかということも念頭に置きながら、そういった組立てができるように心がけたいと思います。

○河上委員長 ほかによろしいでしょうか。

それでは、ここまでということにしたいと思いますが、各省におかれましては、建議に示した事項を踏まえて、それぞれ対応を行っていただいているということで、お礼を申し上げたいと思います。

身元保証人等高齢者サポート事業の実態や、病院・福祉施設等が身元保証人等に求める役割についての実態を把握することは、いずれもその後必要な措置を講ずるための重要な足掛かりとなるものでございます。必要に応じて関係省庁とも連携しながら実態把握を進めていただき、実効的な措置が講じられることを期待しているところでございます。

また、消費者が身元保証等高齢者サポートサービスを安心して利用できるようにするための情報提供については、引き続き実効性のある取組を進めていただくとともに、今後、実態把握を踏まえて講じられる措置内容も含め、ぜひ積極的に周知していただきたいと思います。

本件に係る取組は、消費者基本計画工程表にも盛り込んでおりますので、当委員会としては、本件について引き続き注視してまいりたいと思います。

(ふくだ副大臣着席)

○河上委員長 議事の途中でございますけれども、ふくだ内閣府副大臣がお越しになられておりますので、御挨拶を頂戴できればと思います。よろしくお願いいたします。

○ふくだ副大臣 皆さん、御苦労さまでございます。この度内閣府の副大臣を拝命いたしました、衆議院議員のふくだ峰之でございます。

江崎大臣をしっかりとお支えして、消費者行政を着実に推進してまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

消費者を取り巻く状況というのは、随分変わってきたのかなと思っています。この消費者行政が直面する諸課題に適切に対処するには、委員の皆様方に積極的に建議などを行っていただいて、私たちにいろいろなことをサジェスチョンしていただくことが重要なのかなと思っています。委員の皆様におかれましては、これまでも様々な専門的な見地から御意見を賜っていると伺っておりますが、今後も調査審議をしっかりと行っていただきたいと思っています。

これまでの御支援、御協力にまず感謝を申し上げたいと思いますし、引き続き皆さんの知見、経験をぜひ私たちに教えていただきたいということをお願い申し上げまして、就任に際しましてのふくだの御挨拶とさせていただきたいと思います。

今後とも御指導いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

ふくだ副大臣は、所用によりまして、ここで御退席となります。

今日は本当にどうもありがとうございました。

○ふくだ副大臣 引き続きよろしくお願いいたします。

○河上委員長 こちらこそよろしくお願いいたします。

(ふくだ副大臣退席)

○河上委員長 途中で出入りがありまして、どうも失礼いたしました。大体私から申し上げたいことは申し上げたところでございまして、これまでの取組を更に進めていただいて、基本計画の工程表の中であるように着実に施策を進めていただければと思います。

先ほど蟹瀬委員からありましたけれども、大変かもしれませんが、少し走りながら考えるぐらいのつもりでやっていただきたいと思います。今、独居高齢者というのはどんどん増えておりまして、その人たちが安心して住んだり、あるいは病院に行ったり、何かがあったときのための安心を得る。これは大事なビジネスではあるのですが、そのビジネスが逆にまたつけ込まれてしまう材料になっても困りますので、その意味でも余り時間的余裕はございませんので、ぜひ頑張っていただければと思います。

今日は本当にどうもありがとうございました。

(消費者庁、厚生労働省、国土交通省退席)

≪3.国民生活センターADRの実施状況に関する検討会報告書について≫

○河上委員長 次の議題に移りたいと思います。次の議題は、独立行政法人国民生活センターADRの実施状況に関する検討会の報告書についてであります。

国民生活センターでは、平成20年の国民生活センター法等の改正によりまして、国民生活センターの目的及び業務に関する規定の中に「重要消費者紛争の解決を図ること」という項目が追加されたということでして、これを受けて、改正法が施行された平成21年4月から、裁判外紛争解決手続、いわゆるADRが実施されております。

改正法の附則には、法律の施行後5年を経過した場合に、法の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは所要の措置を講ずることということが定められております。そのため、消費者庁では本年3月から7月まで「国民生活センターADRの実施状況に関する検討会」を開催し、国民生活センターが実施するADRの状況を点検して、実施状況を踏まえた課題あるいは今後の対応策について、7月28日に報告書を取りまとめて公表されたということでございます。

本日は消費者庁及び国民生活センターにお越しいただきまして、この報告書の概要を伺った後、意見交換を行いたいと考えております。

(消費者庁、国民生活センター着席)

○河上委員長 どうも慌ただしくお願いして済みません。今、これまでの状況等、それから、今回の検討会の報告がまとめられた事情等については、私からお話をさせていただいたところでございます。報告書ができたということで、その概要をお話しいただいて、その後で若干意見交換をしたいということでございます。

大変恐縮ですけれども、15分程度で御説明をお願いできればと思います。

○消費者庁金子消費者教育・地方協力課長 それでは、お手元の資料、資料2-1と2-2が今回の発表に係るものということになりますけれども、時間の制約もございますので、基本的に2-1、1枚の横長の紙で御説明をしたいと思います。

まず、この報告書の冒頭の第I章のところに、既にお話のあったことなのかもしれないのですけれども、改正の経緯、趣旨に関することが書いてございます。平成20年に国民生活センター法を改正しまして、このADRの機能を追加したときの附則の中で5年後の見直しの規定がついておったということでございまして、これに併せて、特定適格消費者団体による被害救済、裁判による被害救済のルートも新たにできたので、それとの関係の整理といいますか、そういったことをやらなければいけないという問題意識も、また一方では我々のほうにございました。ですから、それを整理するのにこの5年後見直しの規定を使って検討してみてはどうだろうということで行ったというのが、今回の検討会ということになります。

第II章のところでございますけれども、これまでの取組の状況についてまとめたところでございます。法改正に至る経緯のところは既に御承知のとおりのことだと思いますけれども、消費者被害の特性、被害額が少額であるとか、消費者や事業者との間の情報力・交渉力の格差を踏まえたような被害救済の手段が求められている中でこの機能が国民生活センターに置かれることになって、そういったことも踏まえて、ADRの特徴として、最初の「◆」のところに消費者のための後見的役割ということが書いてございますけれども、事業者の方と粘り強く交渉をしてテーブルについていただくようにといったことであるとか、できるだけ消費者の被害の救済に資するような形での運用をしているということ、そういう立て付けになっているということでございます。

これまでの取組の状況、データを幾つかまとめてございます。その中で特徴的な話としましては、和解率が約6割ということでございまして、これは報告書の中には明示的には書かなかったのですけれども、検討会の議論の中では、他のADRに比して比較的高いのではないだろうかといった御意見も頂いていたところでございます。

もう一つ、「義務履行の勧告」に関することについて、三つ目の「◆」で書いてございます。ADRの和解に至った後に、その義務を履行しなかったときに勧告をすることができる。そういう制度があるわけでございますけれども、8年間で22件ほどその勧告を行ったということであります。その22件のうち特に必要ということで事業者名を公表したものが9件、その中で実際に履行に応じたものは1件にとどまるということでございまして、この義務履行の勧告の制度はあるのですけれども、そういう状態になったときには、例えば既に事業者の側と連絡が取りにくいような状態になっていたり、そもそも資金がないような状態になっていて履行が難しいような状態になっていることが往々にしてあるものですから、そういう状況に至る前に何らかの手当てをしなければいけないという問題意識も、この取組の現状を整理する中で出てきたということであります。

その上で、今後の対応策として四つの方向性をまとめたということです。一つ目は、より利用しやすいような形で運用を改善していこうということで、例えば申請手続をできるだけ簡素化するであるとか、あるいは現在も必ずしも「期日」と言われているあっせんの話合いの開催場所を東京に限定しているわけではないのですけれども、そういった開催場所であるとか、開催時間も例えば勤務時間後の夕方に開くとか、現状もやっているのですが、そういったことをより柔軟に対応していくということでニーズの掘り起こしを更にやる余地があるのではないか。そういうポイントをまとめてございます。

二つ目のADRの結果の相談業務への活用の推進でございますけれども、これは特に検討会の委員の方々から強く言われたポイントでもあったわけなのですが、国民生活センターのADRが扱っている案件は、その多くが消費生活センターであっせんがうまくいかなかった事案が持ち込まれている。そういう案件が多いわけでございますけれども、それを担当した消費生活センター等の相談員の方からすると、その後、どうそれが解決したのかとか解決するためのポイント、何に気を付ければもっとうまくいったのだろうと、そういう結果を知りたいというニーズがあることが特に言われておりました。現状でも終了した後に結果の概要という形で多くのものは公表しておるのですけれども、それに上乗せした情報といいますか、更に詳細な情報を、その担当した相談員さんであるとか消費生活センターの方にフィードバックするような方法はないのだろうか。そういう観点からの検討をしたということになります。

一つは、「付添い」という名称で仮に記載してございますけれども、「期日」の場に相談員の方々が同席することを認めるように検討してはどうだろうと。その結果、知り得た情報は、ADRは非公開が原則になりますので、その情報の取扱いに気を付けていただかなければいけないのですけれども、例えば担当したセンター内での利用にとどめるという形でより詳細なフィードバックをする。適用の情報の範囲であるとか、共有していい対象者の範囲であるとか、そういったことは今後国民生活センターでより具体的な制度にする上では詰めていただかなければいけないのですけれども、そういったことを検討してはどうだろうと、そういったことをこの報告書の中でまとめたということであります。

三つ目、和解内容の履行確保でございますが、先ほど勧告をした段階では既に遅いということを申し上げたのですけれども、例えばそういう履行に心配があるような事案について必要に応じて和解書を執行証書化しておくとか、和解として「期日」の話合いを進めているのだけれども、両者の合意が得られたところで仲裁に移行するとか、そういった形で、より執行力といいますか、より強制力の強い形の合意にしておくとか、そういったことも考えなければいけないのではないかといったことを考えたということであります。

四つ目、消費者裁判手続特例法との関係という部分については二つほど書いてございますけれども、一つ目が、施行前事案の手続の整理ということで書いてございますが、基本的にこの消費者裁判手続特例法の対象になっているものは、その特例法が施行された以降のものについてということになっているので、施行前のものについては、引き続き国民生活センターのADR等で別途裁判以外の方法で解決を図っていくことになっているわけであります。その一方で、同じ事業者さんが特例法における裁判とADRの案件を同時に抱えてしまったときに、裁判のほうの決着がつかないと国民生活センターのADRの手続にも応じられないよということは往々にして想定されるわけで、現状のルールのままでいきますと、そういう形で事業者が応じないまま一定の日数がたってしまいますと、そこであっせん不調という形で処理せざるを得なくなるということなので、そうならないように手続を中断するような手続をあらかじめ整理しておく必要があるのではないか。そういったことをまとめたということです。

二つ目は、特例法の施行後の案件については、原則はこの裁判の手続で解決を図るということではあるのですけれども、コストが掛かることを嫌って国民生活センターのADRのほうを選びたいと言われる消費者の方は想定されるのだろうと。そういったときに、もちろんそういう考え方もあり得るのかもしれないのですけれども、ただ、ADRというのは裁判のような強制力のある手続ではないので、後になってそんなはずではなかったということがあっては、それも消費者の方々にとってよくないのであろうということで、メリットであるとかデメリットに関するような情報をちゃんと情報提供した上で適切に選んでいただく必要があるのではないか。そういったことをまとめていただいたということであります。

これをもとに、今後国民生活センターで必要な整理をした上で、恐らく内規の整備ということになるのだと思いますけれども、それができたところで具体的な、例えば先ほど申し上げた相談員の方の同席であるとか、そういったことが今後認められるように準備を進めていく予定でございます。

説明は以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、ただ今の説明の内容について、御質問、御意見がある方は発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

増田委員、お願いします。

○増田委員 消費生活相談員等の「期日」への同席等についての質問なのですけれども、現状の傍聴以外に付添いを認める方向性を御検討いただいたということだと思いますが、その前提条件として、委員の許可のほか、相手方の許可、同意などに関してはどういうことになるのでしょうか。

○消費者庁金子消費者教育・地方協力課長 これについては、どういった要件で付添いを認めるかも併せて検討の対象かと思いますけれども、今の考えでは、関係者の同意は必要なのかなと思っています。

○増田委員 私も基本的にはそういう考え方がよいのではないかと思います。私も消費生活相談員ですけれども、消費生活センターにおいてあっせん不調になったり膠着状態が続いてしまっている状況で国民生活センターのADRに上げさせていただくことが多いのだろうと思います。そうしたときに、かなり相手方と交渉を尽くしていますので、ADRという違うステージに上がった場合に、そういう状況がADRに影響がないよう配慮したほうがいいのではないかと考えております。

○消費者庁金子消費者教育・地方協力課長 これについては我々も同じような問題意識でして、要は、手続非公開の原則があるから事業者の方々に同じテーブルについていただけるような面もあるので、そういったことの妨げにならないようなルール作りは当然していかなければならないだろうとは思っています。

その上で、消費生活センターであっせんをしていたときの情報を、この国民生活センターのADRにおける「期日」で、現行法の制約の中でどの程度活用できるのかとか、ADRにおける結果を消費生活センターでどの程度活用することができるか、そういったことを整理した上で制度を走らせていく。それが仮称でございますけれども、今回の付添人という制度の趣旨でございます。

○河上委員長 よろしいですか。

ほかにはいかがでしょうか。

樋口委員、お願いします。

○樋口委員 今回の報告書を拝見しまして、地方の消費者行政、消費者被害の救済という観点から御質問したいと思います。国民生活センターのADRは、地方にとっても大変重要なものであると思っています。私自身は長野県の消費者被害救済委員会の会長を6年間務めておりましたが、その際にも、また、各県の消費者被害救済委員会のメンバー、あるいはそれに携わる事務局の方々からお話が出ていたことなのですが、地方においてきちんと国民生活センターのADRの仕組みが活用されるような流れがあるのかどうか、というところを非常に心配しておりました。といいますのは、報告書の8ページの(2)で「開催場所や開催時間の柔軟化」ということで、東京事務所以外での開催もあるという記述がありますけれども、この辺りが実態としてどのような状況にあるのか。例えば32回開催されていると言いますが、これは一体どこで開催をされているのか。その辺り、もし今お分かりであれば、ぜひ聞かせていただきたいと思います。

実際、国民生活センターのADRをお願いしようと思っても、地方の場合には、電話で問合せをすることはできても、消費者が実際に国民生活センターに伺うことは非常に難しいという物理的な制約もあります。例えば、開催場所を全国の各ブロックにするなど、いろいろ運用を工夫できないかと思っています。裁判を受けるということになれば地域ごとに裁判所があるわけですから、ADRについても事案によるとは思いますけれども、事案に併せて地方で弾力的に開催できるような体制を組んでいただくとか、そういう点は非常に重要ではないかと思います。あるいは、各県にある条例で設置されている苦情処理委員会とか被害救済委員会と連携するということも重要ではないかと思います。地方で消費者被害救済委員会に携わっていた立場から言うと、こうした点を痛感しているわけですが、現在、実態がどのようになっているのか、今後どのような御方針をお持ちなのか、お聞かせいただければと思います。

○消費者庁金子消費者教育・地方協力課長 現状については、細かなデータは今、手元にはないのですけれども、基本的には大阪であるとか九州の大都市圏とか、そういったところでの開催が地方での開催では多いということであります。それをどこまで全国津々浦々できるようになるかというのはなかなか難しいところではあるのですけれども、できるだけ柔軟に地方での開催を進めていこうということでございます。

○樋口委員 もちろん、全国津々浦々で開催するというのは物理的にも難しいと思うのですが、せっかくいい仕組みができて、それについて見直しもされているわけですので、例えばブロックごとであるとか、あるいは交通の便を考えると、少なくともある程度は地域性を持たせた開催を考えていただいた方が良いと思います。それをやらないと逆に事案が出てこないというか、国民生活センターのADRは東京周辺であるという認識で各地域の消費生活センターが考えている限りにおいては、事案はなかなか出てこないということになってしまうという気がします。

もう一つは、先ほど申し上げたように、各県の被害救済委員会や苦情処理委員会などの仕組みとの連携などもぜひ前向きに検討していただくといいのではないかと思います。地方にもそういう条例に基づく仕組みはあるのですけれども、それは必ずしも活用されていないということも事実だと思いますので、これは報告書の外の話かもしれませんが、全体の体制作りの話として、ぜひ5年見直しを機に体制の充実・強化ということも考えていただけたらと思います。

○消費者庁金子消費者教育・地方協力課長 御指摘の趣旨を踏まえて、できるだけ開催場所を幅広くということで、少なくともブロック単位で1カ所程度ぐらいまでには広げたほうがという御趣旨だと思いますので、できるだけその御趣旨に添えるような形で今後検討を進めていきたいと思います。

地方の自治体等が設置されているADRとの連携ということも併せて御意見をいただいたところですけれども、そういったことも併せて考えていかなければいけなくて、例えばこれは条例等で設置されているものなので、自治体によって非常にしっかりしたADR機関を持たれているところとそうでないところはどうしてもあるわけなのですけれども、できるだけそういったところとの連携も図っていかなければいけません。

もう一つ、これは報告書の中でも少し触れてはいるのですけれども、消費生活センター等の相談員の方に、この国センのADRの機能がどこまで知られているかという問題意識も一方であるわけで、例えば少し古いアンケートデータにはなるのですけれども、国民生活センターのADRで受理される事案かどうかが判断できないとか、そういう情報不足を答えられたアンケートも把握してございますので、どういった事案が処理できるのかとか、情報提供については今以上にしっかりとやった上で、消費生活センターであっせん不調になったものについて、こういう方法もあるのだよと勧めていただけるように、そういったことは考えていかなければいけないと思っております。

○河上委員長 池本委員長代理、お願いします。

○池本委員長代理 池本です。

今の質疑に少し関連するのですが、報告書の8ページで東京事務所での開催が229回に対し、東京事務所以外が32回という東京以外の場所での開催は数字が書いてありますが、国民生活センターのADRは地方の関係者、これは申請人であったり相手方事業者について、電話会議システムあるいはテレビ会議システムというものを利用して「期日」を開くこともあるはずです。それの件数は、今、確認することはできませんか。

○国民生活センター紛争解決委員会事務局担当者 事務局から回答いたします。

電話会議、ウエブ会議を使って「期日」を開催することはもちろんございます。感覚的には半分ぐらいが電話会議なりウエブ会議を併用した「期日」の開催ということになろうかとは思いますけれども、厳密に何件が電話会議を使用したという統計はとっておりませんので、件数についてはお答えができかねます。

○池本委員長代理 ありがとうございます。

実は私もADRの委員の一人でありまして、電話会議は結構頻繁に使っているなという印象があったので確認をしたところです。その意味で、申請人あるいは相手方事業者の所在地域等も精査した上で、全国的な利用のバランスがどうなっているのかを見ていく必要があるのかなと思います。

それから、先ほどの樋口委員からの質問の趣旨の関係で、もう一歩踏み込んだところについて、これは今回の国センADRの問題というよりは地方消費者行政支援の問題として、全国の都道府県には被害救済委員会あるいは苦情処理委員会があるけれども、東京あるいは幾つかの自治体で若干使われる程度で、東京は非常に活発に使っておられますが、ほかは年に1件とか、あるいは大半のところは全く開店休業だと聞いております。地元の消費生活センターの相談処理の解決水準を高めるという意味も含めて、自治体の苦情処理委員会の活性化も地方支援の重要な視点として入れていくべきではないかと思うのです。その辺りは何か今後のこととしてお考えがあればお伺いしたいと思います。今日の直接の課題でなくて申しわけないのですが。

○消費者庁金子消費者教育・地方協力課長 全国でトラブルの解決水準を向上させていかなければいけないというのは我々の問題意識でありますので、現段階で具体的にお話しできる対応策はないわけでありますけれども、引き続き問題意識を持って検討していきたいと思います。

○河上委員長 ありがとうございました。

ほかにはいかがでしょうか。

増田委員、お願いします。

○増田委員 12ページの(3)消費者による裁判への積極的な支援ということで、資料等の情報提供など、そういう形での支援ということが記載されております。弁護士の先生によって裁判は大きく左右されると思うのですけれども、消費者問題を深く取り組んでいらっしゃる先生方の御紹介であるとか、つなぎ方など、そういうことについては、何かお考えはあるのでしょうか。

○消費者庁金子消費者教育・地方協力課長 具体的には弁護士の方々とのつなぎといいますと、どういったことを想定されているのでしょうか。

○増田委員 今、弁護士さんもいろいろな先生がいらっしゃいますので、消費者が自分の裁判に一番適切な、消費者問題に関してよく理解していただいている先生を探すというのは結構大変なことで、そこのところで裁判のハードルが高くなっている状況があります。そういうところでの支援があるのかどうか。例えば日弁連などの消費者問題の委員会の先生につなぐとか、そういう橋渡しができるのかということです。

○消費者庁金子消費者教育・地方協力課長 現状では、こういった弁護士さんがいらっしゃるという形での御紹介はしていないということではあるのです。ただ、もちろん例えば法テラスなどを紹介するとかといったことはありますね。そういう形でのサポートはしております。

ここで言っておりますのは、国センADRの「期日」の中でどういった話合いが行われたという経緯について、手続非公開の制約の中で対応できる限りで必要な情報上のサポートをしていく。そういったことを書いているということであります。

○河上委員長 よろしいですか。

長田委員、お願いします。

○長田委員 この概要の課題と今後の対応策の一番初めのところに書いてある、申請手続の簡素化というところなのですけれども、報告書でも申請手続について複雑だという記載があったと思うのですが、どの部分を複雑という御指摘で、簡素化というのは、どういうことを想定してこの議論がされたのかを教えていただければと思います。

○消費者庁金子消費者教育・地方協力課長 問題意識としましては、先ほども申し上げたように、多くのケースにおいては消費生活センターで一度あっせんをした上で、国民生活センターに持ち込まれているものが多いということなのですけれども、消費者の方々からすると、もう一度同じ話をしなければいけないということになると負担ではないか。ただ、そうは言いつつも、自治体と国民生活センターの間で自由に個人情報のやり取りもできないという法令上の制約もあります。そういった中で、なかなか自治体との間でのやり取りというのは難しいところはあるのですけれども、例えば先ほど「期日」の中に担当した相談員の方が同席できるような制度を整理しようということを申し上げたのですが、そういったところで聞き取ればいいような話であれば、そこは申請の手続書類の中には余り細かく書いていただかなくていいようにするとか、そういうフォーマットの簡素化を想定しているところであります。

○長田委員 現在の申請書は記入例もついていて、相手方の名前を書いて、何々の工事でとか、経緯もそんなに複雑に書かなくても書ける。記入例もあって、相談も国民生活センターのほうでここに電話をすればいいというのもあったりして、申請手続というところだけは国民生活センターの中でも多少手直しをこれまでもされてきていると思うのですが、その上で具体的に、もっと何も書かないで申請ができるようにということを指しておられるということなのか。そうなると、今度は受け取った側は、それがADRにふさわしいのかどうか全然判断ができないことになると思うのですが、これ以上の申請手続の簡素化は何を求めておられるのかがもうちょっと具体的でないと、受けた側も検討が非常に難しい。国民生活センターのほうでの見直しがすごく難しいなと思って、今回この検討は非公開で行われているので、どういう議論でこれが書かれてきているのかもなかなか把握しづらいところがあるので、何が難しいとおっしゃっているのかより具体的に示さなければ、この後の改善がすごく難しいのではないかと思いました。

もう一つだけ、今、おっしゃっていた「期日」のときの相談員さんの同席でいろいろ御説明をというお話がありましたけれども、報告書の中に、それは「業務の一環として」と書いてあったと思うのです。業務の一環としてそういうことができるようにするためには、それぞれ都道府県や各政令指定都市でいろいろな条例の中で相談員さんたちのお仕事もあるのかなと思うのですけれども、これは業務ですと決めればすぐできるようになる、出張費とか手当とか、いろいろなことが付随していると思うのですが、それはそんなに難しくなくできるということなのでしょうか。

○消費者庁金子消費者教育・地方協力課長 最初の点でありますけれども、フォーマットを今でも十分必要最低限になっているということであれば確かにそれでいいのですが、仮に手続が煩雑だということが消費者の方々が敬遠されている原因になっているということになるとそれは問題なので、今一度、本当にこの情報は必要なのかという観点から見直してくださいということをこの報告書の中で書いたということで、具体的にここが要らないのではないかとか、そういうところまで議論したわけではないということでございます。

○長田委員 手続が煩雑とおっしゃるのは、どこかで調査してそういう声が集まっていると理解していいわけですか。

○消費者庁金子消費者教育・地方協力課長 先ほど申し上げた古いADR、平成23年度に行ったアンケートが国民生活センターであるのですけれども、その中でも手続が煩雑という声はあったということでありますので、可能性としてそういうこともあり得るのだという目で見てくださいということを申し上げて、確かに抽象的と言われるとそのとおりなのですが、そういう趣旨であります。

○長田委員 こだわって済みません。国民生活センターさんにお伺いしたいのですが、23年の指摘以降、手続を見直したという事実はないのでしょうか。

○国民生活センター紛争解決委員会事務局担当者 23年以降かどうかわからないのですけれども、一度申請書の様式を若干変えたということはあります。

○消費者庁金子消費者教育・地方協力課長 もう一つのところで、相談員の方の「期日」への同席について、業務としてとした部分でございますけれども、先ほど増田委員からもありましたように、現状でも調停委員の方々の同意があれば傍聴はできることになっているのですが、傍聴ということになると業務の一環という形で自治体で処理していただけるのかどうかという問題意識もあったというわけであります。ですから、必要な助言をするとか、そういう役割を求められていて、仕事として行くので出張費を出してくださいということが言えるような参画の仕方というものを何かルートとして作ったほうがいいよねという問題意識です。その上で、我々としてはちゃんと業務だと整理をしたつもりではあるのですけれども、おっしゃるとおり、出張の扱いになるかどうかは、自治体の規定によるところはもちろん残っているとは思います。

○河上委員長 蟹瀬委員、お願いします。

○蟹瀬委員 同じことに関してですが、7ページに申請に至る経緯が、消費生活センター経由が7割で、個人的な経由しないものが3割と書いてあります。消費生活センターで解決できなかったものがADRに上がってくる場合に、個人の人は、もう一度自分でしか申請ができないということですか。それとも、さんざん消費生活センターとやり合っていただいている状況は消費生活センターの方が一番御存じです。書き方を教えていますみたいな教育の仕方はあるのですが、実際にネットで入れるときに、どういう経緯でこれがこうなりましたということを一番御存じの消費生活センターの方にそれをそのままADRに申請したいのですと例えば私が言った場合に、そのまま書いていただいて私が署名して申請することは不可能なのですか。

○消費者庁金子消費者教育・地方協力課長 現状のルール上は、消費生活センターからの申請ということにはできないので、個人の名前で個人からの申請しか受けられないルールであります。そうは言いましても、もちろん相談員の方が、これは個人で申請していただくしかないのでという形で突き放しているわけでは実態上はないわけで、相談員の方々は丁寧にこういうように書いたらどうかという助言などをしていただいていると我々としては理解しています。

○蟹瀬委員 ルールとしてはそうかもしれないのですけれども、さんざん一緒にやっていただいた方、普通弁護士がいれば、弁護士がきちんと状況を説明されますね。そうすると、突然書いたらいいのではないのというアドバイスだけでは、さんざんやってうまくいかなくて傷ついた人がもう一回やってくださいと言われても、結構ついていくのは大変だと思うのです。ですから、その辺りの解決策というのは、ただ指導しているというだけではなくて、個人がもう一回ADRにやっていきたいといった場合には、消費生活センターの担当者がきちんと一緒に申請していいのですよということは、現実的にはできないのですか。そういうものをルールとして作れないかということなのですけれども。

○消費者庁金子消費者教育・地方協力課長 それは中長期的に考えていかなければいけないことなのかもしれないのですけれども、現状であれば、たとえ行政の間であっても個人情報にかかわることを自由にやり取りしてはいけないわけで、そういう意味で、これは消費生活センターが書きましたという形には少なくともできないという、それを申し上げているところです。申請人である消費者の方は、当然自分に係る情報であってももちろん書いていただいていいですよ、国民生活センターに伝えていいですよという形で言っていただけるのでしょうけれども、ただ、恐らくそれぞれの自治体のあっせんの現場においてもやりとりの詳細を外部に漏らさないことを前提に交渉はしていると思います。そうしますと、事業者の側がそういう話ではなかったということになると、消費生活センターでのあっせん業務に支障が出てくることにもなるかもしれない。そういったことを慎重に考えながら、仮にルール化するということになると考えなければいけないのかなと思います。

○河上委員長 鹿野委員、お願いします。

○鹿野委員 別の点について教えていただきたいのですけれども、消費者裁判手続特例法との関係について整理がされているところについてです。これは新しい制度ですが、それこそ国民生活センターのADRにしても、あるいは各地の消費者センター等のADRにしても、消費者被害の救済を図ることを狙いとしてきましたし、一方、この消費者裁判手続特例法の手続も、こちらは集団的な形ですが、消費者の被害救済の実効性を図ることを目的としているということで、大きな目的は重なっております。また、12ページにも書いてありますように、対象事案としても一部重複することになろうかと思います。この報告書には、この消費者裁判手続特例法に基づく訴訟が提起された後の取り扱いについての整理が書いてあるのですが、この訴訟が提起される前において、国センと特定適格消費者団体との間で情報交換とか、そういうことはあり得るのでしょうか。それとも個人情報などの問題からなかなかそういうことは難しいという整理になっているのでしょうか。

それから、国センのADRの手続が開始された、あるいは少なくとも申請があった後に、当該事案に関して、例えばまだ第一段階の手続ではあっても、この消費者裁判手続特例法による訴え提起がありましたというときの情報提供についてです。報告書では、事業者が判決等が確定するまで対応しないというようなことを言ってきたときにどうするかは検討されているのですが、消費者への対応はどうされるのか。消費者にもよるかもしれませんけれども、消費者は、そういう訴えが提起されたこと自体も当然に知るわけではないでしょうが、そこら辺の情報というのは、消費者に提供されるような形になるのでしょうか。消費者としても、どういう対応をとるのが自分にとってメリットなのかを考えて行動を選択するという、そういう利益はあると思うのです。その2点について教えていただければと思います。

○消費者庁金子消費者教育・地方協力課長 まず、特定適格消費者団体との情報共有の点についてなのですけれども、これについては、一般論としてはもちろん国民生活センターと特定適格消費者団体との間の意見交換は日頃から行ってはいるわけなのですけれども、個別の事案についてどこまでということは、実際に具体的な事案が出てきたときにどういうようにやっていくのか、今後の課題なのかなとは思います。

もう一つの消費者への情報提供についてでありますけれども、手続を保留にするといったときに、裁判のほうの手続が並行しているからということは、持ち込まれた消費者の方にはもちろんお話しすることになると思います。

消費者の方々にそれぞれの制度のメリット、デメリットをよく理解していただいた上で選んでいただけるようにというもう一つの観点のほう、13ページの後半で書いてある部分ですけれども、それは先ほど委員がおっしゃったような趣旨から書いているようなところなので、情報提供もしっかりやっていかなければならないと考えています。

○河上委員長 よろしいでしょうか。

樋口委員、お願いします。

○樋口委員 この検討会は非公表という形で行われたのでしょうか。それについての質問なのですが、全て非公表ということですか。委員のお名前は公表されているのですか。

○消費者庁金子消費者教育・地方協力課長 委員のお名前は公表しておりますし、議事概要も公表はしてございます。ただ、資料や議事録の詳細ということになりますと、具体的な事業者の名前や個別の事案の情報が出てきますので、それは勘弁いただいたということでございます。

○樋口委員 制度にかかわることがいろいろありそうな気がするので、個別事案を中心とした検討あるいは実施状況の点検ということであれば、特に個別事案に係るところは公表できないことはよく分かるのですが、制度の在り方であるとか基本的な法律の運用にかかわるところであるとすると、せっかくすばらしい先生方に検討していただいたのですけれども、国民生活センターの検討会の中だけで議論をとどめてしまうのは非常にもったいない感じもします。消費者の皆さんが参加する機会も十分にないということになってしまいますので、点検の部分は点検として、行政が点検結果を把握するということでいいと思うのですが、もしいろいろ制度にかかわる部分、今後も基本的なことにかかわる部分があるのであれば、検討会を作れというところまで言うつもりはありませんが、何らかの形で行政の中でオープンな議論ができるような流れは考えておく必要があるのではないかと思います。特に後ろのほうをいろいろ拝見していると、これまで5年間の点検という枠の外の問題がいろいろあるような気がします。私が申し上げたこともそうなのですが、そういったことについては、また何らかの機会を捉えて、この報告書を踏まえつつ検討を進めていただければいいのではないかと思います。

○消費者庁金子消費者教育・地方協力課長 御指摘を踏まえて、今後引き続き取り組んでいこうと思います。

今回については、個別の事案というのが、例えば義務履行の勧告をしたものが8年で22件など、そういう形で申し上げましたけれども、この義務履行の勧告、全てが事業者名を公表しているわけではないので、そういったところですね。少ない事案なものですから、わかる人には自分のことだということがわかってしまうとか、そういったことが起き得るかなということが懸念としてあって、なかなか資料まで公表はできないかなという判断をしたわけでありますが、今後検討するときにもできるだけ公開という面で検討した上で、問題がないところであればより幅広い情報が出せるような検討の体制は考えたいと思います。

○河上委員長 よろしいですか。

全部で4回でしたか。これだけ大きな制度について4回の検討で報告書までというのはかなり大変なことで、本当にできたのかなという心配もあり、つまり、本格的に検討するのであれば制度的なものまで含めて、きっちりとある程度公開の場で議論もしながらやっていかなければいけないのではないか。特に先ほど問題になった相談員の参画の要件の問題であるとか、あるいは県の消費者被害の苦情処理委員会とか被害対策委員会といったものとの関係、国全体が消費者トラブルの仲裁あるいはADRにどういう方向で臨もうとしているのかという基本方針がはっきりしない状態で国センのADRだけに着目した議論に特化しているので、議論としてなかなか見通しがよくない部分があって、できれば今後も更に制度の見直しとして議論を続けていただければありがたいということを考えていた次第でございます。

国民生活センターのADRというのは、各地の消費生活センター等の消費生活相談におけるあっせん不調が増大したことへの対応として、その救済のための信頼できる受皿として実現したということはあります。逆に言えば、相談員が常に付き添うとなると、結果的にこれは同意レベルの問題ですから、また同じ相談員がいるではないかということになって、あっせんが不調に終わるということもあるわけです。ですから、制度として非常に重要な意義を持つ割にいろいろな問題点が含まれている。

さらに、消費者裁判手続特例法が一方でできたときのその役割、それぞれの関係といったこともあります。施行から9年目になりまして、解決の内容等の面では着実な成果が上がっている一方で、制度の利用のしやすさについてもいろいろな課題も見られるというようなことであります。消費者庁及び国民生活センターにおかれましては、本検討会の成果をもとに、これは一里塚ですから、これをもとにして、ここで掲げられた課題に対する対応策なども積極的に実行していただいて、今後も制度の趣旨を生かしていく、それを更に改善していくということのために努力を続けていただくよう期待しているところでございます。

消費者庁及び国民生活センターにおかれましては、お忙しいところ、誠にありがとうございました。

(消費者庁、国民生活センター退席)

(公共料金等専門調査会古城座長着席)

≪4.関西電力株式会社による電気料金の値下げに関するフォローアップについて≫

○河上委員長 次の議題でございます。次の議題は、関西電力株式会社による電気料金の値下げに関するフォローアップについてというものであります。

関西電力株式会社は、高浜原子力発電所3・4号機の再稼働に伴いまして、8月1日より電気料金の値下げを実施したということを受けて、8月9日の公共料金等専門調査会において、適正な値下げが実施されているか確認・検証するという観点から審議を行ったものであります。その内容を踏まえまして、今般専門調査会において意見案を取りまとめられたということでございます。

本日は、公共料金等専門調査会の古城誠座長にお越しいただいております。古城座長におかれましては、いつものことで本当に申しわけないですけれども、お忙しいところありがとうございます。

最初に取りまとめの内容について簡単に御説明をいただきたいと思います。その後、意見交換を行った上で当委員会としての意見を取りまとめたいと思います。

古城座長、よろしくお願いいたします。

○公共料金等専門調査会古城座長 関西電力株式会社は、高浜原子力発電所3・4号機の再稼働に伴い、電力・ガス取引監視等委員会の審議を経て、8月1日より電気料金の値下げを行いました。

関西電力の電気料金につきましては、東日本大震災後、これまで2回にわたり原発再稼働のおくれを理由とする値上げが行われており、平成27年6月に行われた前回の値上げの認可に際しては、消費者委員会は、原発再稼働後の値下げを条件づけるよう求めておりました。

こうした経緯に鑑み、当専門調査会としては、今回の関西電力による電気料金の値下げについて、適正な値下げが実施されているかどうか確認・検証する観点から、フォローアップとしての同社及び電力・ガス取引監視等委員会事務局に対してヒアリングを行い、審議を行いました。これを受けて、今般、値下げについての評価や今後の課題などを内容とする「関西電力による高浜原子力発電所3・4号機の再稼働に伴う電気料金値下げ後のフォローアップに関する専門調査会意見」をまとめましたので、御報告させていただく次第です。

後で報告書について詳しく御説明いたしますけれども、今回の値下げの内容を大ざっぱに言いますと、まず値下げ分の第1は、原発が動いたので火力発電所を止めることができて、火力発電所の燃料を節約できる。これが値下げの原資になってその分の値下げがあります。

ただ、値下げはそれだけでなくて、もう一つありまして、前回の料金査定後に電力会社が効率化努力をいたしまして、査定時に予定した効率化を超過達成しております。その超過達成分を値下げに回してきておりますので、大体、今度の値下げ分の半分半分です。

第3は隠れておりますけれども、もしほかの条件が同じですともっと大幅に値下げできたのですけれども、前回の査定時から今回までに関西電力の電力需要が20%減っているのです。したがって、その部分だけ単価を上げなければいけないということになっておりますので、この部分で値下げ効果が減殺されている。こういう作りになって、一応三つの内容が含まれているということです。

○丸山参事官 それでは、事務局から意見につきまして説明させていただきます。

お手元の右肩に資料3という形で振られているこちらについて、私のほうで説明させていただければと思います。構成につきましてですけれども、今、古城座長からお話がありましたように、「1.経緯」「2.値下げについての評価」「3.今後の課題」という形で整理をさせていただきました。

「1.経緯」でございますけれども、若干丁寧目にこちらを記述しております。関西電力におきまして、高浜3・4号機の再稼働を受けまして、本年8月1日より平均4.29%ということで、電気料金の値下げを行いました。

こちらの料金につきましては、これまで原発再稼働の遅れを理由に2度にわたり値上げがされており、前回、平成27年6月の値上げの認可に際しましては、消費者委員会の審議等を踏まえ、消費者庁がチェックポイントを取りまとめました。こちらにおきましては、原価算定期間終了後に原発再稼働した場合の値下げについては、各号機の再稼働に応じて順次速やかに再稼働による原価低減分の値下げを行うことを確保する措置がとられているか、それから、再稼働時期に応じて原価低減分や値下げ幅が消費者に分かるよう、事例などを用いて具体的に情報開示を行っているかということで示されているところであります。

これらの経緯を踏まえまして、経産省における査定方針におきましては、原価算定期間終了後に再稼働する場合には、原則、1基再稼働するごとに値下げを行うべきである。この場合、原価算定期間内に値下げをする場合と同様に、再稼働の翌々月までを値下げの実施時期とすべきであるとされております。

それから、値下げの実施時期、値下げ率等の適正性を確認・検証するとともに、広く情報を公開する観点から、値下げの時期を問わず、電気料金の審査専門会合におけるフォローアップが必要であるという条件が盛り込まれました。

こうした経緯を鑑みまして、消費者委員会の公共料金等専門調査会におきましては、本年8月9日にフォローアップとして、関西電力と電力・ガス取引監視等委員会事務局から、値下げの内容の適正性等についてヒアリングを行ったということでございます。

「2.値下げについての評価」でございますが、今回のヒアリングを踏まえた専門調査会としての評価につき、4点整理しております。

1点目でございますけれども、再稼働が行われた際には、過去、再稼働の遅れを理由として認可された燃料費等の追加費用について、値上げの原因となった事象の解消が進むことに伴って、確実に削減される必要があるということを述べてございます。

2点目といたしまして、値下げにおいて高浜の3・4号機の稼働期間に応じて算出された原子力利用率と、従前の料金の前提として算出されておりました利用率の差分に基づいて、こちらのほう、火力の燃料費の削減分が原価に反映されて、値下げの原資となっていることが確認されたということを述べてございます。

3点目でございますけれども、こちらは古城座長の御説明のとおりですが、過去に緊急避難的に繰り延べられた修繕工事の費用の原価への上乗せを行わず、経営努力による原価の削減が行われ、火力燃料費の削減分を上回る値下げが経営効率化によってもたらされることが確認されたということを整理しております。

4点目でございますけれども、なお、電気料金の値下げに関しまして、原発再稼働に伴う火力の燃料費の削減のみならず、経営効率化の深掘りの成果であるものなど、消費者に分かりやすく情報提供が行われることが重要であると考えられるということも述べております。

「3.今後の課題」でございますけれども、まず1パラ目で、規制部門における料金の適正性の確保のためには、透明性が担保されることが重要であるということを述べております。

その上で、監視等委員会、消費者庁においては、今回のフォローアップを踏まえ、関電に対し、今回の値下げに関する消費者への一層の分かりやすい情報提供を求めるとともに、大飯原発を初めとする今後の原発再稼働に伴う関電及びその他の電力会社による料金の値下げ届出の確認を行う際は、引き続き丁寧な検証を行うことを期待するということを述べてございます。

なお書きでありますけれども、消費者委員会においては、規制料金に関する経過措置が図られつつ電力小売自由化が進展する中で、電力各社による経営効率化等の成果が自由化部門の電気料金の低廉化にのみ反映されるのではなく、規制部門の電気料金の引下げにも反映されるよう特に注視していくということを付言しております。

説明については以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、御質問、御意見のある方は、御発言をお願いしたいと思います。

この委員会の初めにもお話ししましたけれども、大臣がお越しになる予定でございまして、16時ぐらいをめどにということですので、議論の途中になるかもしれませんけれども、そこはお許しいただきたいと思います。

それでは、自由に御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。

古城座長、先ほど電力需要が減ったこととの関係で、本来であれば値上げしそうになっているところを値上げしないで済んだという意味での圧縮もこの中にはあるのだという話をされていたかと思うのですが。

○公共料金等専門調査会古城座長 電力需要が減ると、収入は変わりませんから、単価を上げなければいけない。それを今回は原発再稼働と効率化の中で吸収されているということです。

○河上委員長 全部吸収したと。今後も電力の節約などの話になったら、逆に電力料金は上がる可能性があるのですか。

○公共料金等専門調査会古城座長 理屈上はそうです。だから、それは効率化努力で吸収してもらわないといけません。それから、非常に潜在的で深く検討しなければいけない問題としては、電力会社は競争に負けて需要が減ると料金が上がってくるという問題がありますから、それは料金に転嫁されると困るので、検討する必要がありますね。

○河上委員長 適正な電力需要の見通しを立てて、それに併せてインフラを用意していくというのは、事業者としての経営努力ではないのですか。

○公共料金等専門調査会古城座長 それは非常に大きいポイントで、おっしゃるとおりで、不可抗力なのか、それとも経営ミスなのかという問題が潜在的には含まれていますね。需要が予想どおり減ったという場合、電力会社は、この投資は規制官庁が認めてくれたのだから規制官庁も我々と同じ責任があるでしょうというので、不可抗力だと言うのです。

○河上委員長 なるほど。

蟹瀬委員、お願いします。

○蟹瀬委員 規制部門と自由化部門がありますね。今回は規制部門の値下げですか。

○公共料金等専門調査会古城座長 自由化部門もです。

○蟹瀬委員 両方ですね。今、全体的に自由化部門のほうが増えている。

○公共料金等専門調査会古城座長 ウエートは増えています。

○蟹瀬委員 ということは、基本的にだんだんもうからなくなってきている形にはなるのですか。

○公共料金等専門調査会古城座長 全体としてはもうからなくなってきていますね。電力会社が強ければ自由化部門でもうけてくれるのですけれども、基本的には自由化部門はもうからなくなって、今、規制部門ほどもうけていませんからね。

○蟹瀬委員 ということは、電力の自由化というのは、いずれいわゆる電力会社、関西電力みたいな方々は、事業者としてきちんと独立した努力をして、単体で成り立つような経営をしていかなければいけないということですね。

○公共料金等専門調査会古城座長 そういうことですね。

○蟹瀬委員 自由化がなければ国のせいにはできるのですけれども、自由化になった段階で国のせいにはできないと私は思っているので、もう少し厳しく言ってもいいかなと。

○公共料金等専門調査会古城座長 インフラについてでしょう。

○蟹瀬委員 はい。

○公共料金等専門調査会古城座長 これは日本だけでなく世界的に問題になるところなのです。インフラが余分になってしまったというと、誰の責任だという議論になり、電力会社の経営ミスではないかという意見と、政府が認めてくれたではないかという意見で必ず問題になる。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。

大森委員、お願いします。

○大森委員 福島の原発事故の後、世界的にかなり風力や太陽エネルギーにシフトして、設備費もすごく下がってきて、実際に成功している国がすごく増えているにもかかわらず、大手の電力会社の電力源のウエートを見ると、火力、原発、あと水力とか、新しいエネルギーが少しという状態が以前のままなのです。電気会社自体がもう少し経営を見直して、自分たちがやってきたことの反省も踏まえてもう少し考えてほしいなということが、私も含めて一般消費者が多く考えていると思うのです。国も大手の電力会社だけをすごく保護しているなという印象を受けかねないので、その辺りが一般消費者にも理解しやすい形に、経営努力も含めて変わっていただけるといいなと思います。

○公共料金等専門調査会古城座長 専門調査会の会合でもそういった御意見も多くあり、今度の値下げは原発が動いたから大幅に値下げしたという話で受け取られないように、効率化も半分ぐらい貢献しているのだから、原発再稼働と効率化の成果で今回の値下げがあるという説明をすべきという御意見が出たので、そういうまとめになっております。

○河上委員長 原発再稼働があったから値下げがこれだけあったのだということになると、話がおかしな方向へ行きますからね。

どうもありがとうございました。

(江崎大臣着席)

○河上委員長 それでは、議事の途中ではございますけれども、江崎大臣がお越しになりましたので、御挨拶を頂戴できればと思います。よろしくお願いします。

○江崎大臣 委員長のお許しをいただいて、入ってきてすぐの御挨拶で大変恐縮に思っております。御紹介いただきました、この度消費者及び食品安全担当の大臣を拝命いたしました、江崎鐵磨です。

消費者委員会に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。

組閣に際し、安倍総理から、真に消費者目線に立った行政機能の強化を図るとともに、主体的に自立した消費者を育成し、公正で持続可能な社会環境作りに励むよう、指示を受けました。消費者問題については、私自身も衆議院消費者問題特別委員会の委員長として、昨年の消費者契約法の改正や特定商取引法の改正法に取り組んでまいりましたが、消費者を主役とする政府のかじ取りが大変重要であると考えております。

消費者目線に立った行政機能の強化を図っていくためには、消費者委員会が消費者行政全般に対する監視機能を最大に発揮していただき、消費者行政が直面する諸課題について専門的な見地から積極的に調査審議を行い、建議などを行っていただくことが重要であります。私といたしましても、多くの課題を解決するため、皆様方の御提言を生かせるようリーダーシップを発揮してまいりたいと思っております。

特に河上委員長を初め、委員の皆様におかれましては、御支援、御協力を賜りますよう申し上げ、一言御挨拶とさせていただきます。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

委員会としても頑張りたいと思いますので、大臣にはいろいろな形でまた御支援をお願いしたいと思います。すぐにも消費者契約法の改正の問題がございまして、この間委員会から付言もつけた形で答申を出させていただきました。どうぞ消費者庁の尻をひっぱたいて、いい法案を出していただけるようによろしくお願いいたします。

江崎大臣はお忙しい方なので、ここでもう所用があって御退席されなくてはいけないということで、大変残念なのですが、また機会を見てぜひお願いいたします。

ありがとうございました。

○江崎大臣 委員長、本当にありがとうございます。また、先生方のいろいろな御示唆をいただきますよう、しっかり受け止めて頑張り抜いてまいりますので、よろしくお願いを申し上げます。

(江崎大臣退席)

○河上委員長 では、議事に戻ります。この報告について、何かほかに御意見等はございませんか。

特になければ、調査会からの報告について委員会として意見案をまとめましたので、それを配付したいと思います。よろしくお願いします。

(追加資料配付)

○河上委員長 よろしいでしょうか。

今、配付したのが、消費者委員会意見案でございます。そっけなくて寂しいのですけれども、

「消費者委員会は、本日、公共料金等専門調査会から、本件に関する意見の報告を受けた。電力・ガス取引監視等委員会及び消費者庁には、本意見で示された今後の課題への積極的な対応を期待する。」という形での意見でございます。いかがでしょうか。よろしゅうございますか。

御異存がないということですので、(案)を取らせていただいて、今日の日付を入れて、意見を発出したいと思います。

古城座長におかれましては、本当にお忙しい中をありがとうございました。

(公共料金等専門調査会古城座長退席)

≪5.その他≫

○河上委員長 最後、その他でございます。

食品表示部会の報告をいただきたいと思います。

阿久澤委員から、お願いします。

○阿久澤委員 それでは、食品表示基準の一部改正に係る答申について、私から御報告いたします。

食品表示部会では、平成29年3月22日に、当委員会が諮問を受けた加工食品の原料原産地表示制度に係る食品表示基準の一部改正について、3月以降、5回にわたり審議を行いました。7月28日に開催した第43回食品表示部会において、本件に係る答申書案について審議を行い、内容を部会長一任で修正することとなったものの、大筋では議決に至りました。その後、私のほうで答申書案の修正を行い、各委員に事務局経由で内容を確認していただいた上で、食品表示部会設置・運営規程7条に基づき、委員長の同意を得て、委員会の議決とし、8月10日に内閣総理大臣へ答申を行いました。

参考資料がお手元にあるかと思いますが、1の答申書を御覧ください。まず、1ページ目の「記」の下ですが「食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)の加工食品の原料原産地表示制度に係る規定及び別表の一部改正について、以下(1)(2)を除き、別紙1の1.~10.の実施を前提として、諮問された改正案(別添)のとおりとすることが適当とする」とされました。

3ページ目ですが、別紙1として前提条件を10項目記載しております。かいつまんで御説明いたします。

まず1番目の前提条件といたしまして、消費者・事業者の理解状況に関する目標値の設定を行うことを記載いたしました。1.の1行目の後ろからですが、この制度は消費者の商品の合理的選択の確保から構想されており、消費者が表示の意味を正しく理解し活用しなければ、制度を導入する目的が達せられません。また、制度導入に当たっては、事業者が制度を正しく理解し、理解不足による誤表示が発生しないよう十分に行政が周知を行うことは必須です。このため、消費者への普及・啓発、事業者への制度周知に当たっては、あらかじめ理解度等に関して達成すべき目標値を設定し、達成状況を適宜確認しつつ、周知活動を行うことを条件としております。

2.以降は、制度の理解を深めるための対応として、消費者への普及・啓発、事業者への周知、そして、事業者向けQ&Aの充実について記載しております。

次のページには、経過措置期間中の周知状況に関する状況把握・分析、監視、そして、別表第15への品目の追加基準の明確化、さらに、例外表示の検証、次ページに理解度調査等の実施を記載しております。

ここまでの内容の説明は割愛させていただき、最後の制度の見直しの項目について、簡単に御紹介いたします。10.ということで、5ページ目になりますが、今回の原料原産地表示制度は「全ての加工食品」を対象としたことによりまして、事業者の実行可能性を担保するために複雑な制度になっていると述べております。この記述は、本制度は加工食品を製造する際の原材料について、重量順第1位の材料に原産国を記述する。そのことを原則としますが、この原則表示ができない製品は、例外規定に従って、「A国またはB国」といった、どちらかの国もしくは両方の国の原材料が入っていることを示す表示や、原材料が加工品である場合には、原材料の国名を表示する代わりにに「○○国製造」といった加工地情報を記載することができることを示唆しています。

このような例外表示が、消費者にとって活用できる表示となるかという点について、随分議論となりました。答申書の続きですが、2行目の後ろから御覧ください。「また、消費者に提供する情報量の拡大というメリットがある一方で、中小事業者への負担増、食品産業の競争力の低下などのデメリットが生じる恐れもある」と記載しております。これも先ほど紹介した議論の中で出された御意見です。

続いて、「このことから、経過措置期間終了から2年後をめどとして、上記8.9.の調査を含む各種調査結果等に基づき、表示に対する消費者ニーズの変化状況や事業者の状況等を確認し、制度導入の効果について検証を行い、必要に応じて、制度の拡大や廃止も含めて、幅広く見直しを実施すること」という前提条件を付しております。この「経過措置期間」とは、制度の周知期間や事業者の準備期間として、制度施行後、平成34年3月31日まで、制度の完全施行を猶予する期間のことです。この期間満了後、この制度導入によって、消費者はどのように便利になったか、あるいはうまく活用できずに事業者のコスト増の転嫁を受けてしまい、かえって不利益を被っていないかといったことを検証し、必要に応じて見直しを行うことを求めました。

続いて、別紙2です。諮問後に消費者庁が内容の修正を自ら提案した箇所に関する記述となっております。先ほど申し上げた経過措置期間に関しても(2)に記載しております。

続いて、別紙3です。これは附帯意見を記載しております。1番目の意見を紹介します。現在、平成27年4月の栄養成分表示の義務化も含めて、製品のパッケージに表示しなければならない文字はかなり多くなっています。今後更に義務化される表示がふえれば、結果として表示される文字の大きさが小さくなってしまうことも考えられ、消費者がアレルゲンなどの安全性に係る表示を見落としてしまう要因にもなりかねないという御意見が出されました。このため、現在の食品表示は製品上への表示が対象ですが、インターネットでの表示を表示制度の枠組みに組み入れて活用する方策検討も含めて、今後、表示の在り方や食品表示間の優先順位について総合的に検討すべきことを意見として付しております。食品表示全体のバランスを考えることは、その表示を利用する消費者にとって非常に大切なことだと考えますので、この附帯意見をつけております。

最後に、今回の答申に前提条件や附帯意見をつけた理由について御説明いたします。答申書の2ページ目を御覧ください。本件の審議では、本制度において「例外表示」が消費者の誤認を招かず、商品選択に十分活用されるものとなるか、科学的検証ではなく帳簿検査といった社会的検証が監視方法の中心となる本制度で、不正表示を故意に行う事業者がいた場合に、その事実を的確に把握できるかなどについて、多くの懸念・疑念が示されました。それに対して消費者庁及び農林水産省から、制度導入後の制度運用に関し様々な説明がなされ、一定の評価をされたことから本答申を発出するに至ったところです。しかし、本制度が新たな制度であることや、上述のとおり多くの懸念・疑念が示された審議経過を踏まえ、本答申には多くの前提条件や附帯意見を付すこととなりました。

今回、制度導入は適当であると判断する前提として多くの条件や附帯意見をつけておりますので、制度施行後、消費者委員会は、本答申につけた前提条件や附帯意見に対する対応状況について確認を行っていく必要があることから、そのことについても記述させていただきました。

私からの報告は以上となります。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

先ほど阿久澤委員から御説明がありましたように、これは委員長の同意を得て答申となるということになっているわけですけれども、問題が問題ですので、もし何か御意見、御質問等があれば、少しここでお伺いしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。

池本委員長代理、お願いします。

○池本委員長代理 池本でございます。

非常に様々な方面から多様な意見が出てきた中を、こういった答申を取りまとめられたのは、大変だったのだろうと思います。お伺いしたいのは、前提条件として幾つか気になった中で、理解度の調査、さらには経過期間終了から2年の調査による制度の見直しなど、実施まで、それから実施後でそれぞれ実情をきちんと調査するようにということが条件付けられておりますが、その辺りについて、これを進める消費者庁の側ではこういった辺りはどういうように臨むという意見を表明しておられたのか。いかがでしょうか。

○阿久澤委員 その件に関しては、様々な疑念を払拭するために理解度調査が必要でしょうということで意見や、質問があり、それに対して消費者庁からは、調査方法など検討した上で調査をやっていくという回答を得ておりますので、こういった前提を付けております。

○河上委員長 ほかにいかがでしょうか。

大森委員、お願いします。

○大森委員 制度の見直しについてなのですけれども、前提として、一生懸命啓発をして、ルールを周知して、結局のところ、またルールが見直しになる可能性があるわけですね。そういうことがすごく多くて、一般の消費者も高齢化が進んで理解力も低下していますし、国際化でいろいろな方が来られたりということがあるので、今後、可能であれば事前に十分審議して確実なところから導入していただいて、余りルールが変わることのないようにしていただくことはできないものでしょうかと思うのですが。

○阿久澤委員 まさにそこが会の中でも一番難しい内容として議論したところでして、全加工食品にこのような原産地表示をするということが、ある意味、何か軸を置いて議論をということで、諮問の内容になっておりました全加工食品への表示、そこを軸に議論していくと、どうしてもそこには多くの例外表示を認めることになり、理解しにくくなるということで、様々な意見を交わした結果、やってみて、それに対する効果等も含めて理解がどれだけ進んだのか。進んでないのであれば、またもとに戻せばよいという内容の前提を付し最終的にまとめたということになります。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。

消費者にとっては、表示が充実して品物の選択のときに原産地が分かるようになりやすくなるというのは、一般論としてはいいことなのですね。いいことなのですが、実際には、それを具体的に実施に移すとなってくると、全ての商品ということになると大変なことで、それは例外表示のところとしても詰めていくと複雑になるというのは仕方がない部分があることは確かなのだろうと思います。今回、加工食品について原則は原産地表示をするのだという旗を立てたこと自体がかなり重要なことですので、これをうまく使い勝手のいい形に今後見直して改善していくという方向で推し進めるほかないのではないかと私は見ております。

そのようなことで、今回食品表示部会でこういう決定を出していただいたということで御理解をいただければと思います。

阿久澤委員、本当に今度の取りまとめでは大変な思いをされたということで、どうもありがとうございました。

阿久澤委員、お願いします。

○阿久澤委員 非常にわかりにくいということも含めて、今回の議論の中で、今まで22食品群と4品目に原料原産地をつけている。それらに徐々に原料原産地が科学的にも証明される形のものから少しずつ増やしていったらいいのではないかという意見もありました。しかし、先ほども言いましたように、今回この議論が非常に複雑になった経緯の中には、全加工食品にという諮問内容、そこを軸にして議論したということにあったのかなと思っております。

○蟹瀬委員 例えば化粧品業界は、加工した場所が生産国になるのです。成分に関しては全部どこでとれたというのは書かれないのです。例えば加工した国というのは表記されていくものなのですか。

○阿久澤委員 一部、そういったことも例外の中で表記できることになっております。

○蟹瀬委員 しなければいけないということではなく。

○阿久澤委員 はい。中間加工品についてであり、物によって違うという非常にわかりにくい内容かと思います。

○河上委員長 どこが原産かということ自体からして既に怪しいところが随分あるわけでして、なかなか難しい問題が山ほどあるなと思いましたけれどもね。

どうもありがとうございました。

本日の議題は以上になります。


≪6.閉会≫

○河上委員長 最後に事務局から今後の予定について説明をお願いいたします。

○丸山参事官 次回の本会議の日程や議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページ等を通じてお知らせさせていただきます。

なお、この後委員間打合せを行いますので、委員の皆様におかれましては、委員室までお集まりください。

○河上委員長 パブコメのことは何か話されるのですか。

○丸山参事官 委員間打合せのところで。

○河上委員長 委員間打合せのところで話されるのですか。

それでは、30分までに委員間打合せを始めますので、また委員会室にお集まりいただくということで、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

どうもお忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)