第245回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2017年4月18日(火)13:00~15:23

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    河上委員長、池本委員長代理、阿久澤委員、大森委員、鹿野委員、中原委員、樋口委員、増田委員
  • 【説明者】
    消費者庁赤崎食品表示企画課長
    消費者庁食品表示企画課担当者
    消費者庁三上表示対策課食品表示対策室長
    公共料金等専門調査会古城座長
  • 【消費者庁】
    消費者調査課担当者
  • 【事務局】
    黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 機能性表示食品制度について
  3. 電気料金値上げ後のフォローアップについて
  4. その他
  5. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○河上委員長 時間になりましたので、始めさせていただきます。

皆様、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから「消費者委員会」第245回本会議を開催いたします。

本日は、蟹瀬委員、長田委員が御欠席となります。

それでは、配付資料の確認につきまして、事務局からお願いいたします。

○丸山参事官 お手元の議事次第の下部のほうに配付資料一覧を記載しております。資料1から資料2、参考資料1から参考資料3となっております。

もし不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますよう、よろしくお願いいたします。


≪2.機能性表示食品制度について≫

○河上委員長 それでは、最初の議題「機能性表示食品制度について」であります。

本日は消費者庁が示した消費者基本計画工程表の改定素案に更に反映させるべき点があるかの検討の一環として、運用状況についてお聞きしたいと思います。

この制度については、昨年9月にも一度運用状況についてのヒアリングを行いました。その際、販売前の製品情報の公表期間や平成27年度に実施された調査事業で見つかった疑義案件に対する対応状況などについて、委員からかなり厳しい意見が出されたところであります。消費者庁と質疑を行いましたけれども、調査中または対応中ということで未回答となった部分も多かったことから、本日、その後の状況確認をしつつ、さまざまな課題への今後の対応方針についても確認をしていきたいと思います。

消費者庁におかれましては、お忙しいところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

それでは、20分程度で説明をよろしくお願いいたします。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 消費者庁食品表示企画課長でございます。

それでは、お手元の資料1に即して御説明をさせていただきます。

先ほど委員長からもお話がありましたけれども、昨年の9月20日の消費者委員会で制度の運用状況についての説明をしております。本日は、その後の取組や実績に力点を置いて説明をいたします。

1ページ、「食品の機能性表示制度」です。今、国の制度としましては、特保、機能性表示食品、栄養機能食品の3つがございます。それぞれ要件、うたえる機能などが異なっており、それぞれの特徴を生かしてニーズに合った表示をしていただいております。本日はこのうち、機能性表示食品について御説明させていただきます。

2ページ、「機能性表示食品の届出状況について」でございます。4月12日時点で834件となっております。最新のデータだと4月17日時点で842件となっております。なお、昨年9月20日に御説明させていただいたときは431件となっておりました。431件と比べますと、倍増しております。その意味では、2年ちょっとたった制度ですけれども、この7カ月でまさに倍になっているということでございます。

3ページ、「適切な届出書類の確認に向けた消費者庁の主な取組」です。消費者目線からは、安全性・有効性のエビデンスがしっかりした届出をしていただくことが大事ですが、あわせて、事業者に不必要な事務の負担をかけないことも大事だと思っております。そういう観点から、上にあります「適切な届出資料を出してもらうための文書の発出」を随時やっております。

あわせて、「届出方法の合理化」ということで、データベースの運用を昨年4月からやっております。これに伴って、消費者はキーワード検索ができることになっています。

1番下、「届出資料の確認体制の強化」ということで、昨年度の補正予算で、昨年の11月から専門的な知見を有する政策調査員を6名増員しております。その効果が4ページでございます。

まず、「公表件数」で比較いたします。増員前、これは平成27年4月の制度のスタートから昨年の10月までの平均で見ますと、月平均25.7件の届出を公表しております。それが、昨年の11月、12月、今年の1月、3カ月平均で見ますと月平均60.7件ということで、届出公表件数は約2.4倍になっております。ちなみに、今年の2月の月間の届出件数が70件、今年の3月が82件となっております。

その下、「届出資料の確認状況」でございます。そこに差戻しというものがございます。これは事業者から提出いただいた書類に不備があって指摘を付けてお返しをしているということでございます。増員前の昨年10月時点で見ますと、不備の指摘までに92日かかっておりました。具体的には、10月末の時点で不備の指摘をしたのは7月31日に当庁に出していただいた書類、差引き92日後に不備の指摘をしていたということですが、今年の1月末時点では、不備の指摘に要する期間は56日に短縮されております。3月末の時点で見ましても、おおむね同じ期間となっております。その意味では、不備の指摘に要する期間は、この3カ月で36日短縮されているということでございます。

ちなみに、今、不備の指摘について御説明しましたが、問題のない届出資料につきましてはウェブサイトに載せております。それにつきまして、従前から60日以内に問題がないものはウェブサイトに載せるという運用をしておりまして、今、大体55日後に正式に受理をして、ウェブサイトに載せているという運用になっております。先ほど河上委員長からも販売前公表期間のお話がございましたけれども、届出いただいて55日後にウェブサイトに載せるとなりますと、制度上は問題のない書類を出してから60日後に販売が可能となっていますので、差引き5日間しかないというように単純計算ではなりますけれども、実際は書類を届出いただいて、おおむね55日後にウェブサイトに載せた時点で、その時点で初めて届出番号が付与されることになります。その届出番号が付与された後に包材の印刷を始めて量産化し、その後、店頭に並ぶことになります。結果的に公表日から販売まで60日程度は確保されておるという実態でございます。ただ、この点、実際に公表日からどれくらいで販売されているのか、それは今、業界団体に調査を依頼しております。その結果も見た上で、また今後いろいろな検討の素材として活用したいと考えております。

5ページ、「公表期間確保及び届出者の予見可能性向上のための取組」でございます。今後の取組の方向性ということで整理をしております。まず、左上になります「業界団体との連携及び消費者庁の体制整備」でございます。今、届出事業者数は、既に250ぐらいとなっています。したがって、そういうところから個別にいろいろな質問を受けたり、逆にこちらからいろいろな情報発信をすると当然相手方は250ということになりますので、そういう意味で、うまく業界団体と連携したいというのがこの趣旨でございます。当然、業界団体の下にはいろいろな傘下の事業者が入っております。業界団体のほうでも、いろいろな書類作成の面で知見も持っておりますので、そういうところと連携をし、例えば書類作成上の質問、これは個々の事業者から直接消費者庁にいただくのではなくて、一旦事業者団体を経由し、そこで整理をいただいて、我々が事業者団体とやりとりをする。それは下から上がってくる場合ですが、逆にいろいろな情報発信も業界団体の機能を活用するということもあるのではないか。その関係では、業界団体対応窓口といったものの整備も考えたいと思っております。

その下、「適切な届出資料を提出していただくための取組」ということで、この点につきましては、今、ガイドラインに基づく制度運用をしておりますが、ガイドラインを補足するものとしてのQ&Aを消費者庁として作りたいと考えております。内容については、2つ目のポツにあります。これまでの2年の取組の中で届出者から問合せの多い事項、あと、ガイドラインで分かりにくいと考えられる事項等々、こういったようなものを我々で整理をして、それに対する見解をお示ししたものを広く公表しまして、書類提出の際の参考にしていただきたいということでございます。

あわせて、届出様式、書式の簡略化の検討もしたいと思っております。現場の関係者の声をいろいろ伺って、重複している等々の御指摘があって、簡略化できる余地があれば、そういった点については書類の見直しをしていきたいということです。

1番下、「届出資料確認状況の公表」につきましては、消費者庁のウェブサイトで今後一定期間ごとに処理実績を公表したいということでございます。このような取組は右にあります届出者の観点から見ますと、予見可能性が向上し、結果、届出資料のやりとりの回数の縮減になると思っております。それは消費者の側から見ますと、届出日から販売開始日までの公表期間の圧縮につながりますし、また、ウェブサイトに載せております届出資料の安全性・有効性に関する質の向上にもつながると考えております。

6ページ以降、検証事業の関係でございます。これも先ほど河上委員長から、昨年9月、当方から御説明をしたときにいろいろと疑義があったというお話がございました。その点、いろいろと状況の進展がございましたので、その御説明をさせていただきます。

6ページ、この検証事業の目的ということで、1行目に「機能性関与成分の分析方法に関する検証」、2行目に「機能性表示食品の買上調査」の実施について言及があります。機能性表示食品制度は事後チェック制ということで、その意味では、一般に販売されているものについて、きちんとマーケットで買い上げて成分が入っておるのか調査をすることが極めて大事だと思っております。その意味で平成27年度、28年度に検証事業を実施し、29年度も同様に分析方法の検証、買上調査を行うこととしております。結果は7ページ以降になります。

7ページ、「機能性関与成分の分析方法に関する検証(平成27年度)」事業の結果でございます。1.2.3.これは昨年9月20日の時点で資料としてお示ししたものと同じでございます。もう一度簡単にポイントだけ述べますと、対象は27年の4月のスタートから同年9月末までの間に届け出された146品、これを全て対象に検証しています。

検証事項について、あらかじめ事業者から消費者庁に分析方法の届出をしていただくことになっています。公表はまだしていません。ただ、届出のあった分析方法について、定性確認ができるのか、定量確認ができるのかというのを、公的な機関のお力をいただいて事後の検証を消費者庁が行ったということでございます。

その結果が3.に出ておりますけれども、定性確認、定量確認、これはそれぞれ1番上、例えば定性確認だと特異性が高い分析法、これは問題がないということで、それ以下はやや問題があるということ。定量確認も、そのまま分析可能と考えられるものは読んで字のごとく問題がないのですが、やや問題があるものがそれより下にあるという形になっています。

昨年9月の時点では、届出情報が不十分な場合は追加で資料を求めるとだけ御説明をしておりました。結果を今回4.という形でまとめています。具体的には、追加の資料提出を都合68件について我々から求めました。そのうち57件につきましては、追加で出していただいた資料で定性確認、定量確認は可能と判断し、これについては変更届の提出を全ての事業者に求めております。残りの11件はとなりますと、これは定性確認、定量確認が可能かどうかについて、更に資料を求めて追加の分析をしているところということでございます。

もう平成29年度になって、27年度の結果となりますと1年以上たっています。遅いのではないかとお思いなるかもしれませんが、この点につきましては、この11件の中には分析方法だけでなくて分析方法の詳細、これを求める過程で生じた機能性の科学的根拠についての疑義も射程に入れて、今、事業者とやりとりをしているものもございます。そういう事情もあるということを付言させていただきます。

8ページ、「機能性表示食品の買上調査(平成27年度)」の結果でございます。これも1.の対象、2.の検証方法、3.の検討結果については、昨年9月の時点で御説明をさせていただいたそのとおりでございます。具体的には、1.の対象にありますように、全部で17件を対象に買上調査をしております。これも公的な機関のお力をいただいて、そこと連携しながら実際に調査をいたしました。その結果は3.にございます。まず、関与成分の含有量が表示値を下回っている、または過剰、ばらつきが大きい、全部でこれは合計5件ございました。この5件につきまして、4.にございます追加資料の提出を求めました。より詳細な分析方法を記した書面を我々に出していただいたということで、その結果、改めて届出をして追加で出していただいた資料を基に、確認・分析をしました結果、5件について表示値を下回っている等の問題はみられなかったということになっております。

9ページ、10ページ、これは平成28年度に同様の分析方法の検証、また買上調査を行っております。分析方法の検証は一通り全てというコンセプトでやっていますので、28年度につきましては、27年の10月から昨年の9月30日までに届出があったものを全て対象に検証しております。

買上調査につきましては、制度スタートの平成27年4月から昨年9月末までの間の届出のうち、今回、3倍の51件を対象に買上調査をしております。これについても現時点で幾つか問題と見込まれるものもございますので、こういうものにつきましては、27年度と同様に事業者に追加資料の提出等を求めて、更に検証を進めていきたいと思っております。

その次、時間の関係で、11ページ以下になります。「機能性表示食品制度における関与成分の取扱い等に関する検討会」の報告内容でございます。

11ページ、これは昨年の1月から昨年の11月まで有識者の方にお集まりをいただいて、検討いただきました。検討項目は11ページの左にあります「(1)栄養成分の取扱い」、ビタミン、ミネラル等々、これは今、制度の対象に入っておりません。これをどうするのかということと、あと「(2)機能性関与成分が明確でない食品の取扱い」、その2点でございます。

具体的には、12ページ以下になります。検討会設置の背景というものがございます。この検討は閣議決定由来で、上にございます平成27年3月に閣議決定された「消費者基本計画」の中で「残された検討課題についても施行後速やかに検討に着手」となっておりました。そのために17名の有識者にお集まりいただいて検討したということでございます。

検討の結果でございます。まず「検討課題マル1栄養成分の取扱い」というところですが、今、糖質、糖類、ビタミン、ミネラルについて対象外になっておりますが、糖質、糖類については、機能性表示食品制度の対象にする方向で考えております。ただ、これにつきましては、主としてエネルギー源とされる成分、例えばぶどう糖、でんぷんといったものは引き続き対象外、それ以外の例えば特保でも対象となっておりますオリゴ糖とかキシリトール、こういったものをまず対象に加えてはどうかという内容でございます。

また、ビタミン、ミネラルにつきましては、別に栄養機能食品制度というものがございます。これは1ページに概要が出ております。後で御覧になっていただければと思っております。その意味では、ビタミン、ミネラルをこの機能性表示食品制度に入れるというのではなくて、まずは別制度である栄養機能食品の中で別途考えようというのがこの報告書の結論となっております。

2点目の課題、「機能性関与成分が明確でない食品の取扱い」ということで、これは具体的にどういうものかというと、エキスを想定しております。これにつきましては14ページで簡単に御説明をさせていただければと思います。

左に現行ガイドラインの考え方がございます。例で成分Aというものがあります。まさに、この成分Aで機能性の全てが説明できるといったようなものです。具体的にはDHA、EPAとか、ヒアルロン酸とか、難消化性デキストリン、いろいろな成分がありますが、その成分が一定量入っていれば、まさに機能性が発現するといったことがエビデンスとして確立している。したがって、ある成分が一定量入っているかどうかだけチェックをすれば、この制度の運用という面では担保はされます。

今回議論しました「機能性関与成分が明確でない食品の取扱い」というのは、この真ん中の例を見ていただければと思います。●●エキスとなっています。これは上にありますように、このエキス全体で見ると機能性の全ては当然説明できます。ただ、このエキスの中のどの成分がいわゆる機能性の基になっているのか、それが1対1対応では分からない。この例だと、上のポツが3つある中の1番下にあります特定の成分のみでは機能性の全ての説明はできないと。ただ、定量確認、定性確認可能な特定の一部の成分で、機能性の一部は説明できる。要は、こういったようなもので、分かりやすく言うと、漢方薬のようなものをイメージしていただければと思います。食品と薬は違うといえば違いますが、漢方というのは生薬全体で見ると効果はありますが、更に細かく分けて個々の成分ごとに落としていくと、どの成分がどれだけ効いているのか必ずしも定かでない。こういったものだと承知しています。まさにそれの食品版ということでございます。こういったものについても一定のエビデンスベースの説明ができるようなものを取り込んでいくというのが、今回の整理でございます。

具体的なやり方は、中ほどにありますエキスの中に成分A、B、Cというものがあります。そういった特定の成分を我々は指標成分と呼んでおりますが、この特定の指標成分で見ると、まず機能性の一部を説明することができる。あと、問題は同等性ということになります。エキス全体で見ると効果はあるのですが、エビデンスとしてのエキスというのと、消費者が手にとる商品が同一かどうかの判断が難しい。左の典型例だと、特定の固有の成分が一定量入っていたら同等性は担保されますが、真ん中はエキスとして効果があっても、どの成分がどれだけ効き目があるのか必ずしも定かでないという意味では、目の前に売られている商品とエビデンスが本当に同等なのかどうか、ここの見極めが難しい。ここが最大の論点でございましたが、その点につきましては、当然指標成分の定量確認のほか、科学的なアプローチでパターン分析、クロマトグラム等々の定性確認も使って、エビデンスベースで見て合理的な説明がつくという限りで、今回認めることとしております。あわせて、このエキスが錠剤、カプセルの場合には、崩壊性試験、溶出試験といったこれまでにない要件の上乗せもかけることによって、ある程度説明がつくようなものはこの制度の中に取り込んでいくという大きな方向性を報告書の中でいただいています。

右に××エキスというものがついています。右の場合は対象外になります。真ん中と何が違うかというと、エキス全体で効果があるとしても、特定の指標成分A、B、Cで見てもおよそ機能性の説明がつかない。こういったようなものは、今回制度の対象外という整理をしております。

12ページ、今、言いました大きな検討課題のマル1マル2、こういう方向性を報告書の中でいただいておりますが、その他というものがございます。これまで非公開とされていた機能性関与成分の分析方法、これは事業者から届出はいただいていましたが、ウェブサイトには載せておりませんでした。こういったようなものは、この検討を通じてですけれども、既に受けているものも含めて原則として公開していこうという整理にしております。原則といいますのは、知財でプロテクトされたものを除いてということです。その意味では、新しい課題に対応した成分のみならず既存のものも含めて、分析がきちんとできるというのはこの制度の命ですので、そういう点、きちんと情報開示をしていくというのもこの報告の中で打ち出しております。

あわせて、1番下、国の関与等というものがあります。今言いました課題、先ほどの方向性に沿って制度の見直しをしていくにしても、消費者庁における体制の整備、健康被害情報の収集・評価の標準化、消費者教育、事業者の責務の明確化、こういったようなものとセットで併せて見直しをしていくということでございます。

以上が報告書の概要でございます。

機能性表示食品制度につきまして、できて2年ばかりたちました。今後はまずこの2年間の施行状況をきちんと検証したいと思っています。先ほど言いましたQ&Aを作るとか体制整備を図るのと基本的な問題意識は同じですけれども、そういう検証をし、まず状況を踏まえた上でこの制度の見直しについても改めてまた必要な検討をし、具体化に向けて取り組んでいきたいということが今の消費者庁の考えです。見直しの方向性としては、事後チェック制度の極めて重要な要素で分析方法、ここをしっかりしたものにし情報開示をしていくといったようなことになり、特保でも昨年いたしました販売状況のチェックも今後の課題になるのではないかと思っています。届出までの期間をできるだけ短縮して、これは前回9月20日にもいろいろと御指摘いただいた、できるだけ早期に届出資料を公表して、販売までの間、消費者にきちんと判断いただく時間を確保する。こういったようなことが論点かと思っております。まずはこの2年の取組を検証し、必要な検討をした上で、その上で必要な見直しにも乗り出していきたいと考えております。

以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。

それでは、御質問、御意見のある方は御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。

阿久澤委員、お願いします。

○阿久澤委員 どうも御説明ありがとうございました。

この制度を適正に運用するためにという観点から、まずこの制度のある意味一番不安に感じるところに、安全性ということがあるかと思うのです。その安全性を担保するためにも、今御報告いただいた事後チェックということがありますが、それに関連して、まず報告の中で、事後チェックとして6種類の関与成分を含む17件、そして、27年の4月から9月については51件に増やして買上調査をしているということですが、その適正な数はどの程度とお考えでしょうか。4月から9月については、関与成分を多くしての16種類ということなのですけれども、その関与成分の種類、そして、買取りの件数との関連、その辺りも含めてどのぐらいが適正とお考えなのか。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 まず、買上調査の件数でございます。これは特保のときにも同様の御質問がありまして、大体全商品の1割ぐらいを本年度にやりたいというお話をさせていただきましたが、機能性につきましては、もう既に800件を超える届出を公表しておりますので、まずは予算の範囲で認められる限り、できるだけ多くの件数を対象に、今年度は買上調査を行いたいと思っています。平成28年度は、予算の制約で51件になってしまいました。

数に加えて、その51件をどうやって選んだのかという点も併せて御説明をさせていただくと、今回はアトランダムというわけではございません。ある程度重点化といいますか、いろいろな機能性関与成分が出ている中、物によっては特保でもう既に許可をしているものもある、そうでないものもある。その意味では、特保で一般的なものよりも機能性で初めて出てきたようなものに力点を置きつつ、選定に当たっては、実は専門家の意見も聞いております。実際、分析いただく公的な機関にいろいろな相談もさせていただき、51件を選んでおります。

最初の質問に戻ります。どれぐらいの件数をやればいいのかという点でございますけれども、我々としては、特保でも1割という御説明をさせていただいておりますので、実際販売ベースで見た1割というものを念頭に置いておりますが、まず、平成28年度は予算の制約等々ありまして51件ということです。あとは、今後もこの買上調査はやっていくべきものと思っておりますので、その中で、これまでの買上調査の結果も見つつ、できるだけたくさんやるほうが望ましいという問題意識を持っています。その中で件数は適宜設定をして、今後対応していきたいと思っております。

○阿久澤委員 特保では全製品の1割だということで、それに近づける形かと思いますが、特保とは制度が違いますし、特保のほうが安全性は確保されているものという観点からすると、予算の都合もというお話ですけれども、これはできるだけ多くの買取りでの事後チェックが必要ではないかと思います。

それと、安全性に関連してなのですが、今般、目のピント調節の機能性表示食品が、担当医の所見によると、この機能性表示食品による薬物性肝炎を発症させたという事例が報道されておりますが、機能性表示食品制度においてはこういったことが懸念されてきたわけです。それで、実際にこのように起こっているということなのですが、この辺りの健康被害、説明資料の15ページにも書いてありますが、被害情報の収集、そして、評価ですね。これらについて、今般の対応はどのようにされているのでしょうか。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 まず、安全性の関係の被害情報収集でございますが、この資料の15ページに「マル2健康被害情報の収集・評価」という項目がございます。実は昨年度の調査事業の1つで、この健康被害情報の収集に当たっての標準化について調査をしておりまして、まだ結果をまとめているところですが、その意味では、その結果がまとまり次第、その成果を踏まえて制度に反映していきたいと思っております。

個別のお話で申しますと、今、阿久澤先生がおっしゃったピント調節の案件は、最近東京都が「『危害』の消費生活相談の概要」という中で公表されたものだと承知しておりますけれども、今の機能性のガイドラインで見ましても、健康被害が起きたと事業者が把握をしましたら、一定の要件を満たすようなものは消費者庁に報告をいただくという形になっております。実際、どの商品の健康被害情報を我々が報告を受けたのかというのは、これは個々の話ですので、公表を差し控えておるところです。我々としましては、このガイドラインの報告規定に基づいて事業者から報告を受ける場合もあります。あとはPIO-NET等々、消費生活センター、国民生活センター経由から来る情報、保健所から来る情報、いろいろな情報が我々のほうに寄せられますので、そういう形で情報提供がありましたら、個別に我々が事後対応の一環で、必要に応じて事業者の方と事実関係について確認といいますか、相談をさせていただいて、その結果、問題なしとなりましたら当然それまでになりますが、問題があるとなれば法令の規定に基づいたいろいろな対応をとるという形でやっております。個々のこの案件という形であれば、まだきちんとした事実関係も定かでないということなので、事業者名や商品名は公にしないという運用をしておりますので、その点は御理解いただければありがたいと思っております。

○阿久澤委員 この内容について確認中ということですね。確認ができたら何らかの法令に基づいて対応するとおっしゃったのですが、それはどういうことなのですか。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 これも一般論になりますけれども、健康被害情報という形で、ガイドラインに基づいて我々に情報提供があったといたします。そうしますと、事実関係がどうなのかというのを当然事業者なり関係の方に確認をさせていただいて、その結果、これは商品そのものに内在する許容しがたいリスクだと判断して、安全性という観点から見て、これは一般販売にふさわしくないと判断すれば、ガイドライン上、撤回届の提出を求めるとなっておりまして、まずはそういう形で事業者にお勧めをする。向こうから合理的な説明があって、なるほどと我々を納得させられず、撤回届を出していただけない場合は、食品表示法に基づく指示・公表というものをさせていただくことになります。当然、指示を打つときに事業者名、商品名も含めての公表をいたしまして、その指示・公表を出してもきちんとした反応がない場合には、更に命令を発出する。その命令に従わない場合には、罰則も法律で担保されておりますのでそちらの対応になると、こういう手続に乗るということでございます。

○河上委員長 個別の案件に関しては報告は差し控えたいということのようですけれども、この東京都が出している目の遠近調整機能に働きかけるというという機能性表示食品の問題ですね。それに関しての製品事故については、消費者庁に事業者から届出はあったのですか。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 今の委員長の御指摘でございます。ガイドラインの規定に基づいて、健康被害情報ということで、深刻な被害が発生したということを事業者が把握したときには、我々に報告することになっています。報告をしなければ、これはガイドライン違反ということになりますので、行政上のいろいろなペナルティーといいますか、そういう措置の対象になります。まさにそのルールにのっとる形で我々としては対応をいたしております。

○河上委員長 届出はあったのですか。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 東京都の案件についてということでございますか。

○河上委員長 はい。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 そのことについては、個々の話になりますので。

○河上委員長 個々の話ではなくて、実際にそういうような案件が出てきたときに、消費者庁のところにそうした情報がきちんと届いているのかどうかということを確認したいのです。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 我々としては、これは東京都のほうで公表もされている事案ですし、その意味では、まさに中身としては報道も含めていろいろな形で把握をし、承知をしておりますので、その中で適切に対応をしておるということだけ申し添えさせていただきます。

○阿久澤委員 要するに、把握をしたのはよそからの情報によって把握したというように受け取れるのですが。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 情報の把握につきましては、東京都が発表されたものもございますし、消費者庁ですと消費者安全法というものがありまして、消費者事故、重大事故等については、いろいろな形で吸い上げるパイプもあります。いろいろな情報を吸い上げるパイプの中で、我々としてはいろいろな情報を収集して、個々の事案に応じた適切な対応をとっておりますので、そういう中で本件も御理解をいただければと思います。

○阿久澤委員 そうすると、届出はなかったということですね。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 報告があったかなかったかということそのものは、私としては個々の話なのでなかなか申し上げにくいのですけれども、ただ、そこはガイドラインの規定なり、ほかの法令の規定、先ほど言いましたように、情報収集といいますのはPIO-NETもありますし、国民生活センター、消費生活センター、あとは保健所等々、いろいろな形でありますので、その中でいろいろな形で情報を吸い上げて個々の事案に応じた対応というものもさせていただいております。

事業者名の公表等々につきましては、法令の規定に基づいて公表するという形の規定が発動される場合は、当然それに基づいて適切に発表もさせていただくということでございます。

○河上委員長 いろいろなルートで情報が入ってくることは分かるのですけれども、結局、事業者には一定の事故があったときには届出をする義務があるわけですね。ですから、その義務違反に対してはきちんと対応しないといけないなということなのだろうと思います。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 おっしゃるとおりでして、このガイドラインに定められた報告といいますのは、まさに制度の根幹部分の大事な規定でございます。その意味では、この規定の趣旨に反して消費者庁への報告がなされないという事態が起きましたら、それは委員長が言われるとおり、ゆゆしき事態だと思っております。当然、我々はそれも念頭に置いて制度を運用しております。今後ともそういう形で運用したいと思っております。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。

増田委員、お願いします。

○増田委員 ありがとうございます。

7ページの4.ですけれども、結果を踏まえた対応ということで、追加資料の提出を求めていらっしゃる案件で、未提出のものについては現在もまだ販売をされている状況なのでしょうか。また、未提出の猶予期間はどの程度となっているでしょう。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 今の増田委員の御指摘でございます。この11件については、今でも販売しておりますといいますか、販売の禁止・停止ということはこちらから命じることはできませんので、なされているものも当然あると思っております。

猶予期間といいますか、これはいろいろな形で事業者ともやりとりをさせていただいております。書類のやりとりというのは1往復、2往復、物によってはそれ以上やっております。その中で必要な期間、こちらもいろいろな確認事項というものを事業者に投げて、きちんとしたものを出していただくというようにやりとりをさせていただいておりますので、その中である程度合理的な形でやりとりの提出期間といいますか、設定はしております。

○河上委員長 増田委員、よろしいですか。

○増田委員 何事も決まっていない状況の中で運用されているのだろうと思うのですけれども、この辺りのところはガイドラインでもいいのですが、とりあえず決めていただく必要があると思います。合理的な根拠の資料の提出というのは景表法においても特商法においてもありますが、提出する期間が決まっています。そういう提出期間を決めていただく必要があるのではないかと思います。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 今の御指摘もごもっともだと思っておりまして、我々も平成27年度の調査結果の検証というのを29年度やっておるというのは、ややじくじたる思いを持っております。一方で、個々の事案ということで事業者側にもいろいろな事情がありまして、いろいろなやりとりをしていく上で、確認をすべき点が、残っておれば、そこを丁寧にやっております。ただ、我々としても無制限で期間を設定しているわけではなくて、やりとりのたびごとに合理的な期間を設定しながらやっておるということです。ただ、今回27年度のこの検証は初めてでございましたので、そこで得られた教訓といいますか、知見というものは、今後の同様の検証の中には反映させていきたいと思っております。

○河上委員長 池本委員長代理、お願いします。

○池本委員長代理 今の増田委員の質問とつながってくるのですが、もともと機能性表示食品は、科学的な根拠が資料によって裏づけられていますということで、そういう材料があるということで届出をし、もちろん許可制ではないので、形式的に資料が提出されれば受けることになるのでしょうが、それが事後的に見て科学的な根拠資料としては不十分だったということは、それはむしろさかのぼって届け出て販売していたこと自体が違反であった、不適正であった。だとすれば、一旦撤回をしていただいて、きちんとした根拠資料がそろった時点で改めて届出をして、もう一度その表示をつけ直して販売するというのが機能性表示食品制度の私は根幹ではないかと思うのです。

先ほど、景品表示法の場合には、合理的根拠資料の提出要求はおおむね15日程度が目安だと運用されていると思うのですが、科学的根拠資料があるといって提出して届け出たにもかかわらずそれが不十分だったというときに、期間の定めが非常に曖昧であるし、現実にはもう何カ月も、半年も1年もたっても更に追加して求めているというのは、これはいわゆる指導行政で水面下でいろいろちゃんとやってくださいと善導を求めるべき分野であればともかく、事後チェックの分野の行政の手法とは違うのではないか。むしろ明確にそこの期限を定め、消費者委員会でも以前からもともとスタートでも申し上げていた、そういう不適切であった、違反があったものについては、速やかに撤回させるなり処分するなりという、そういう制度担保がないことが今のことにあらわれているのではないかと思うのですが、そのあたりの運用の面はどうお考えなのでしょうか。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 今、池本委員長代理からお話がありましたように、機能性表示食品制度は科学的な根拠、エビデンスに基づくものということで、その意味では、いわゆる安全性、それから、機能性に当たる有効性、それぞれいただいておる根拠に不備があるとなれば速やかに事後チェックの中で対応すべきで、それは委員のおっしゃるとおりだと思っています。

今回我々がやっております分析方法の検証なり買上調査、特に分析方法の検証につきましては、直接機能性があるかないかというよりも、定められた成分がきちんと後追いで検出できるか。そういう観点から今回検証しています。いずれにせよ事後チェック制というからには、後で追試ができず、確認ができないとなると同等性・同一性の担保ができない。その意味では、これは直接有効か、それとも安全かというのとはやや違う切り口で、成分が定量入っておる、それがエビデンスベースであり、ちゃんと後追いで誰でも検証ができますかという観点で、平成27年度以降、分析方法に関する検証をしております。これは件数だけ見ますと、7ページ、定性確認、定量確認で、先ほど当方から評価項目が幾つかありますけれども、1番目だけはいいのですが、2番目、3番目はやや不十分と言いましたが、例えばこれはそれぞれが即機能性という観点から見て疑義がある、もしくは安全性という観点から見て問題というよりも、検証の後追いをする上で、再現性という面でやや問題ではないか、こういう観点でチェックしております。繰り返しになりますが、今、委員がおっしゃった本来的にこの根拠がないとなりましたら、これは分析方法以前の中身の問題として、我々は適切に対応という形のいろいろな形の取組をさせていただくことになろうかと思っております。

○池本委員長代理 私はその科学的根拠、効能効果そのものについての否定材料があったかどうかではなくて、御説明があったように、科学的根拠資料があるとして届け出されたということは、まさに追試可能なものとして出されているはずものが、それができないという時点で、これは科学的根拠資料としての要件を欠くのだということが、まず言えるのではないか。最終的には、効能効果がありますという別の科学的根拠資料を出してくるかどうかは、それは事業者の別途の判断ですが、そういうところが制度枠組みではないかということをお伺いしたいのです。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 今の御指摘でございます。確かにこの分析方法等々で見て、およそ全く再現性がないといいますか、合理的な形で追試ができないようなものがもしもあるとしましたら、今、委員がおっしゃったように、場合によってはいろいろな対応も視野に置いてということもあろうかと思います。

ただ、物によっては一部の情報が欠落しているところを埋め合わせていただければ、それである程度再現性がある分析ができるものもございます。実際に、この7ページの3.の(2)の下に*で書いていますけれども、一部の情報、これは前後から類推できるものも中にはありますが、再現性という観点から見ると我々は前後からのコンテクストの類推ではなくて、きちんと書き込むのが適当だということで、ややそこは厳しめの評価もしておるところなのです。こういったようなものと、本当に先生が問題意識を持っておられます、およそ再現性といっても皆目やりようがないといったようなもの、それは分けてやっております。本当にこの有効性・安全性という面から見て根拠がないようなもの、もしくは後で実験しようと思っても、多少補う以前の問題としておよそ言うとおりにやっても、とてもではないが実験の成果が得られない、もしもそういったものがあれば、当然厳しい対応ということになるものとは思います。

○池本委員長代理 これは質問というか希望、意見になるかもしれませんが、この間、事業者の側から見て届出をして販売開始に至るまでの期間短縮については、人員の増員やあるいはその手続などを合理化して進めていただいたと思うのですが、事後チェック制度についての、どういう場合にはこれでは不備だということで撤回を勧告しますとか、あるいはいつまでに出さなければ、どれだけの期間内に出さなければ、それは合理的根拠資料としては要件を欠くものとして処理しますという事後チェックの側の手順表もきちんと決めて期間も決めて処理をするということ、先に出すことによって事業者も対応可能、まさに予見可能な制度になるのではないかと思いますので、その点はぜひ検討いただきたいと思います。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 おっしゃるとおりだと思います。我々は合理的な期間を定めていろいろなやりとりを事業者とさせていただいておりますが、それをもっと一般化し公表することによって、お互いが了解したルールの中でやりとりをしていくことが大事だと、そういう御指摘だと思っております。その意味では、我々は今回の取組を踏まえて、いろいろな見直しをする際には、そういう観点から検討を進めていきたいと思います。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。

鹿野委員、お願いします。

○鹿野委員 私も今の7ページに関する点については同じような考えを持っております。余りにも期間が長過ぎて、これでは、機能が確認できていないのに機能性表示が残ったまま市場に長く売られているという状態を許すことになって、それは適切性を欠くと考えております。

それから、期間を定めることが重要だという御指摘があり、私もそのように思うのですけれども、具体的にこの7ページの4.のマル2に関して、先ほど、追加分析が必要ということで追加分析の実施を求めているものがあり、その中には科学的根拠について疑義があるものもあるというようなお話だったのですけれども、これについては今後どういう見通しを立てていらっしゃるのでしょうか。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 今の点でございます。科学的根拠に疑義がある。これを今射程に入れて、この11件については対応しているものもあるというお話をしましたが、本当に科学的根拠に疑義があって、その疑義が晴れない場合には撤回をしていただくことになります。

○鹿野委員 先ほども今の限度では御説明があったのですけれども、それがより具体的にいつ頃までに、どういう対応をとる予定で行われているのかについても、計画があればお話をいただければと思います。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 申しわけございませんが、今時点、いつまでにという明確なスケジュールはございません。平成27年度の調査事業の検証ですので、我々としても何度も事業者とやりとりを重ねておりますので、その意味では、できるだけ速やかにある程度の結論を出して、問題がないのであればさておき、本当に問題があって科学的根拠について疑義があるというのであれば、まさにそれにのっとった対応を求めていきたい。できるだけ速やかにと思っております。

○鹿野委員 繰り返しになってしまいますけれども、そのやりとりをしている事業者のほうでも、もともとはこういう形で検証可能な機能があるということで提出されているのですから、それは再現できるはずだということができると思います。

それから、やりとりをして、いつまでも待ってくれるというような奇妙な期待があると、更にずるずると時間がかかることになってしまうのではないかと思います。ですから、事業者に対する対応として、少なくとも今後は、最初からある程度の期間を決めてやるということが必要なのだと思います。

別の点でもう一つお聞きしていいですか。14ページのところで、従来は1番左の考え方をとってきたけれども、これに加えて真ん中に書いてあるようなものを追加することになったということで御説明をいただいたのですが、これによってチェックの方法に違いが出てくるのですか。例えば事後的なチェックの在り方というものにどういう影響を及ぼすのでしょうか。

それから、この変更前に機能性食品ということで届け出られたものについては、この真ん中の基準ないし方法はとっていなかったわけですね。だから、従来既に届け出られたものについてはあくまでも従来示されたような分析方法でチェックがされるということになるのでしょうか。これを改めるときにどういう影響を及ぼすのかということについてお聞かせください。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 今の御指摘でございます。機能性関与成分が明確でない食品を、この制度に取り組む場合に事後チェックにどのような影響を与えるかですけれども、定性的には事後確認は難しくなるといいますか、言い方を変えますと、新たに提出いただく書類もあると思っております。その分の確認はこれまではなかったのですが、今後出てくると思っております。

今までは特定の成分、1番左にありますように、その成分が入っているかどうかにだけ着目をすればよかったのですが、新しく取り組む真ん中の場合は、指標成分というものを介在して、あとはいろいろな要件をかけることによってエビデンス、提出をいただいたエキスと目の前で消費者が手にとって買うエキス、商品の同等性を担保する、それはこれまでにはなかった新たな要件になります。先ほど言いましたように、厳しい品質管理ということで議論の中ではGMPのようなものをしっかりとっていただくべきではないかという御意見もありました。かつ、錠剤、カプセルといったようなものは崩壊性試験とか溶出試験といった、要は個体で摂取した場合には、溶けて摂取されないとだめですから、そういう観点のいろいろな試験もして、当然そういうデータも出していただくべきという御意見がありました。

今からまたいろいろな関係者の知見もいただきながらガイドライン改正をしていきますので、その中で具体的にこれまでとどういう違う要件をかけるのか、どういう書類を新たに求めることになるのか決めていきますので、まだ具体的にこれだけ大変になると確定的に申し上げることは難しいのです。ただ、今、委員からお話があったように、これまでと地合いが違うものを制度の中に入れることになりますので、当然事後チェックとしても定性的な確認等々で、より丁寧に時間をかけてということもあり得ると思っています。

そういうこともありまして、最後のページに国の関与ということもございますけれども、当然機能性関与成分の拡大によって商品数も増加しますし、いろいろ難しさも定性的には増すということで、それに応じた体制の在り方も考えるべきと、こういう御提言をいただいたということでございます。

○河上委員長 大森委員、お願いします。

○大森委員 機能性表示食品などは、一般消費者にとっては非常に分かりにくい難しい制度なのです。どうして買うかといったら、消費者庁に対する信頼だけなのです。ですから、エビデンスがそろわない場合は直ちに販売を止めていただきたいと思います。これはお願いです。

あと、消費者教育なのですけれども、どのような形でされているのか余り目に浮かんでこないのです。逆に特保などでもコマーシャルなどがやたら目につくものですから、こういう油っこいものを食べたかったらこれを飲んでおけばいいやみたいな感じで、食事のつじつま合わせに使われているような気がするのです。何年か前に食育基本法というものが出来まして、知育とか体育とかよりもとに食育というのは非常に大切で、朝御飯を食べよう運動などをなされたと思うのです。大学でも朝御飯を用意するとか、あれはどうなったのですか。その後進んでいるような感じが全然見えなくて、特保や機能性表示食品などに押されて、どんどん食育基本法が影を潜めているのではないかという気がしているのですが、この食育基本法は今どういう形で進められているのか、御存じであればそれと、消費者教育などをどう具体的に考えおられるか、その2点をお願いします。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 消費者教育をどう進めていくのかの総論は私から説明させていただきます。

基本的には、これは機能性表示食品も特保も同じだと思っておりますけれども、賢く使っていただく。それは今、お話にもありましたように、規則正しい食生活等々と組み合わせて初めて効果が出るものであって、まさに消費者教育につきましては、この商品そのものがどういうものかの周知と併せて、健康食品との正しい付き合い方といった観点で、我々はきちんと消費者にいろいろな御説明をさせていただきたいと思っております。

特保の御説明のときにもお話をさせていただきましたが、現時点で消費者庁としては栄養成分表示というものを一つの切り口として消費者教育を進めたいと思っています。平成32年度から栄養成分表示が義務化されます。やはりPFC、カロリー、これらはみんな当然関心がありますので、そういう消費者が身近に受けとめられるようなものを切り口にして、特保や機能性表示食品等の特定の商品だけに頼るというよりも、全体としてバランスの良い食生活がまずあって、その中の一つのきっかけづくりとして、この機能性表示食品制度もあるのだと。その意味では、まず、そういう健康食品の正しい活用方法といったことに力点を置きつつ、あわせて、当然この機能性表示食品という制度もございますから、これがどういうものかも相互補完的に念頭に置いて、消費者が身近に受けとめてくれやすい栄養成分表示等々、こういったものを基本的な切り口として御理解いただく。こういう形で、本年度も徳島予算を計上してまずモデル事業を進めるようにしています。その結果の全国展開も将来的には念頭に置いておりますが、まず、そういう形で消費者啓発を進めていきたいと思っております。

○河上委員長 池本委員長代理、お願いします。

○池本委員長代理 質問です。先ほどの機能性関与成分の概念を拡大するというガイドラインの改定を予定されているということですが、これはスケジュール的にはいつごろの予定なのでしょうか。それから、パブリックコメントは予定されているのでしょうか。

もう一点は、私が先ほど質問した、事後チェックについても一定の目安なり期間なりも明確化すべきではないかと申し上げて、検討したい旨の御回答をいただいたのですが、これは平成29年度中に実施する予定は現時点でお持ちなのでしょうか。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 今の御指摘でございます。昨年の有識者検討会の報告書を踏まえた制度の具体化、そのスケジュールでございますけれども、まず、ガイドライン改正につきましては、今年度中にある程度形にしたいと思っています。形にしたいといいますのは、ガイドラインの改正だけでは実は不十分で、今はデータベースを作りまして、事業者のいろいろな書類の提出をオンライン化しておりますので、ガイドラインの改正と併せてオンラインの改修もしないと、実際に事業者からの届出の書類を我々は受け付けられないようになっています。その意味では、ガイドラインの改正の規模によってデータベースをどの程度改修するのか、時間もお金も変わってきます。

昨年の有識者検討会のときには、いきなり制度改正、即施行というよりも、モデル事業的な取組をして、一回オン・ザ・スポットにお試し的な運用をすべきではないか、こういう御意見もありました。その意味では、まず今年度中にガイドライン改正、これはいろいろな有識者の御意見も伺いながら形にした上で、同時並行的に、この改正であればどれぐらいのデータベースの改修、時間もお金も要するのか見極めもつけながら、最終的に少額で短期間で済むのであれば全体の施行は前倒しになるでしょうし、先ほど御説明したように、機能性関与成分が明確でないものはこれまでと大きく変わるような要素もありますので、そういう観点から、ガイドラインも大改正で結果データベースの改修もやや大がかりになるというのであれば、またきちんと予算を計上することにもなるのかと思っております。

ガイドラインの改正に当たってのパブコメは、今のところ考えておりません。これはガイドラインを平成27年4月の施行に先立って作りましたときにも、いわゆるパブリックコメントはやっていないと聞いております。ただ、この点につきましては、昨年の報告書の中でも、いろいろな有識者の意見を聞いてこのガイドラインの改正を行うということになっておりますので、当然いろいろな関係の方々の御意見を聞く形でこのガイドラインの改正作業は進めていきたいと思っております。

また、事後チェックの在り方ということで、これも先ほど御説明しましたが、当然、この検討会報告を踏まえた制度の見直しをするとなると国の体制整備も必要になりますし、その一環で安全性情報の収集も標準化すべきという御意見もいただいております。そういったようなものは、できるものは当然速やかに対応していきたいと思っております。ただ、事後チェックの大きな柱の一つに国の体制強化というものがありまして、例えば組織とか定員に係るものも中には当然あります。ただ、組織・定員につきましては、もう今年度分は昨年の夏に実は要求をして、昨年の冬に決定となっておりますので、直ちに今年度の国の人員を大幅に増やすようなことは難しい。そこは運用でいろいろな形でどこまで弾力的に対応できるのかというのがまず当面で、平成30年度の組織・定員要求といったようなものは、今年の夏に我々要求官庁として一定の要求を出すことになりますので、その中でまたいろいろなことも踏まえながら所要の要求を出していくことになると考えております。

以上でございます。

○河上委員長 ガイドラインなどは大体今年度中という話だとすると、それは基本計画の工程表の中に書き込む覚悟はあるのですか。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 これはもう昨年12月に報告書をいただいておりますので、今年度中にある程度形にするということを、当然まずは基本に今後のスケジュールは組み立てるべきと考えております。

全体の工程表がどういうたてつけになるのかということはありますけれども、中身の話としては今言ったスケジュール感でというのが消費者庁の考えでございます。工程表の作業も今後あると思っておりますが、そういう考え方に沿って対応していくことになると考えております。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。

樋口委員、お願いします。

○樋口委員 事後チェックの予算とか定員のことなのですけれども、これは今どうこうということではないのですが、私は経済学が専門なので経済学の観点から言うと、受益者負担の原則を検討してみてはどうかと思います。買上調査や事後チェックのための人員はますます増加していく可能性があるわけで、例えば機能性表示食品で利益を受けている方々が負担をして、常に一定割合については必ず予算と人員を確保して、申請された方の分をチェックするような仕組みが将来考えられないかという気がします。そうでないと、これだけ厳しい財政事情の中で、ほかにも優先順位の高いものもあろうかと思いますから、買上調査であるとか定員の確保がなかなか難しいということもあり得るのではないかと思います。ぜひ中長期的な課題としては、そういう仕組みのことも考えていただけたらと思います。

○河上委員長 増田委員、お願いします。

○増田委員 その点にも関係すると思うのですけれども、業界団体と連携をして、今後Q&Aなども作っていくというお話だったのですが、分析方法なども、今後業界団体が資料の確認などをする段階で蓄積されていくのではないかとも思います。そういう意味で、分析方法が一般的な方法なのか、あるいは適切な方法として結果につながるようなものなのかなど、一定の判断をしてもらうようなことまで業界団体にお願いすることも考えられるのではないかと思うのですが、その辺りのところはいかがでしょうか。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 先ほどの樋口委員と増田委員からの御発言でございますけれども、樋口委員がおっしゃいましたように、受益者負担ということは大事なことだと思っております。結局、消費者庁のいろいろな確認作業は税金でやっておりますから、国民全体がどこまで負担するかという問題は当然大きな論点だと我々も思っております。中長期的にはいろいろなことがあり得ると思っています。増田委員からもお話がありました業界団体のとの連携というのは、できるだけ業界で前さばきの業務をしていただくというのは結果的に我々のほうの負担軽減ということもあり、その意味では将来的な在り方を考える上で現時点で対応する一つのやり方として今回考えていきたいと思っております。

分析方法についてのお話がございましたけれども、分析方法についてはできるだけ公表していきたいと思っています。今、我々に届出していただいて公表はしておりませんが、制度運営を2年間やってみて、事後チェック制が制度の根幹だとすると、いろいろな方が分析できるインフラづくりが大事なのだろうと思っています。その意味では、知的財産として保護された、公開すると特定の事業者の権利を侵害するものを除いては、既に受けているものも含めてできるだけ分析関係情報は出していくという方向で考えたいと思っております。当然、その中には事業者団体も排除するものではありませんので、いろいろな形で事業者団体ともそういう観点から御協力いただける余地があるのであれば、我々としても前向きに考える必要があると思っております。

○河上委員長 大体よろしいですか。

阿久澤委員、お願いします。

○阿久澤委員 先ほど税金でやっているという話もありましたけれども、誰のための制度であるかということをお考えいただければ、どこに力を注ぐか、お金を使うかというところはお分かりだと思います。この制度は、ここでもいろいろな意見が出ているように、多くの問題点があるわけでして、それについての見直しをしていくとも言っております。その見直しのスケジュールについては、どのようにお考えでしょうか。また、どのようにやっていくのでしょう。その内容も含めて、もし現時点で分かればお願いします。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 制度の大きな見直しのスケジュールということでございました。この点につきましては、ちょうど2年間の制度を運営してきた知見といいますか、経験値ということもありますので、まず今年度は、その結果をしっかり検証するところから始めたいと思っております。これまでもいろいろな調査事業をしておりましたが、今年度も検証という観点から新たにいろいろなこと、まだこれは具体的なものはないですが、当然取り組んでいきたいと思っております。

また、これは食品表示法に基づく制度ですが、法律の附則19条に3年たった時点で見直しをするという規定もあると承知しておりますので、当然それに結びつけていく形で、まず今の状況をきちんと把握をし、先ほど申しましたようなQ&Aを作るような点は、我々としても急いでやるべきだと思っております。それをやる過程でもいろいろな方々の御意見も聞いていきますので、またいろいろ見えてくる問題点もあるだろうと思っております。そういうものを見た上で、時期は定かなことはまだ言えませんけれども、どこかの時点で阿久澤委員が言われたような見直しというものに我々はつなげていきたいと考えております。

○河上委員長 大体よろしいでしょうか。

機能性表示食品の制度を導入するときに、消費者委員会から9つほどの条件を出させていただいており、改めて申し上げるまでもないことなのですけれども、この制度を実現させることで、科学的根拠に基づく機能性を表示した製品群が消費者に選択されることによって、科学的根拠のない製品群が市場から淘汰されることを強く期待したいと申し上げました。そのためには、容器包装への表示のみならず、科学的根拠のないイメージ広告に対する景表法、健康増進法に基づく行政処分をより強化すべきだということも申し上げたところであります。

その意味では、事後チェックの体制をきちんととるということが非常に大事で、確かに水際作戦で、さまざまな資料が整っていないということで不備を指摘しながらそこでチェックをかけていきたいということは分かるのですが、それには限界がある。そこに人員を配置するぐらいであれば、むしろ事後チェックのところにきちんと人員を配置する。そして、場合によっては、例えば事前の調整については民間の力を借りて、民間の団体を指定団体にでもして、そこに準備させる。行政文書を出すときに、行政書士の方があらかじめいろいろな書類をチェックしてくれて、最終的に提出しますね。あれと同じように、指定民間団体がチェックをして、今、消費者庁がやっているような作業をやってくれるような仕掛けを考えて、消費者庁の主力は事後チェックにかけるというようなこともあってもいいのではないかと思います。

もう今日は時間なのでここまでにしたいと思いますけれども、残念ながらこの制度は事後チェックの機能が依然として十分に働いていないのではないかという疑念があります。その点、早く見直す必要があるということを改めて強く感じたところです。

届け出られた製品について、事後チェックを迅速に行い、問題がある場合には速やかに行政処分に移行することができるように運用を改善していかないと、消費者の選択に資する制度にはならないのではないか。各委員が何度も指摘しておることですけれども、科学的エビデンスがあるということが前提で自らの責任で届出をしているということは、この科学的エビデンスに疑義があるという状態は、それ自体、機能性表示の適正性を欠くということを意味しております。その事実をもって、一旦表示を止めさせるぐらいのことをしないと、本来であれば、いつまでも機能性表示があるのだけれども疑義がある状態と並行しているということになってしまいますので、その辺りの運用も含めて、消費者の選択に資する制度に本当になるような運用をぜひお願いしたいと思います。

現在の消費者基本計画工程表の改定素案には、本日御説明をいただいた今後の対応に関する記載も特段ないという状況でありますので、消費者委員会としては、今回の工程表改定素案に対する意見表明を行って、本件に関するしかるべき対応を確実に行っていただくことを求めたいと思います。その際は、ぜひまた御協力をいただければありがたいと思います。

消費者庁におかれましては、お忙しい中審議に御協力をいただきまして、誠にありがとうございました。

さて、この後も議題がございますけれども、都合によりまして、暫時休憩とさせていただきたいと思います。再開は15時をめどといたします。委員におかれましては、この間、若干の委員間打ち合わせを行いますので、一旦委員室にお集まりをいただければと思います。

では、15時まで休憩といたします。

(休憩)

≪3.電気料金値上げ後のフォローアップについて≫

○河上委員長 お待たせいたしました。本会議を再開いたします。

次の議題は「電気料金値上げ後のフォローアップについて」です。

消費者委員会は、本年3月1日付で北海道電力、東北電力、関西電力、四国電力及び九州電力に対する原価算定期間終了後の事後評価について、消費者庁より付議を受けました。本件については、これまで公共料金等専門調査会において検討が重ねられ、今般、同専門調査会としての意見が取りまとめられたところであります。本日は公共料金等専門調査会の古城誠座長にお越しいただいております。古城座長におかれましては、お忙しいところ御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。

最初に審議経過及び意見の内容について簡単に御説明をいただきたいと思います。その後、意見交換を行った上で、当委員会としての意見を取りまとめたいと思います。

それでは、古城座長、よろしくお願いいたします。

○公共料金等専門調査会古城座長 ありがとうございます。

北海道電力、東北、関西、四国、九州の各電力会社による電気料金値上げ後のフォローアップにつきましては、公共料金等専門調査会において各電力会社及び電力・ガス取引監視等委員会事務局からヒアリングを行うなど、検討を重ねてまいりました。これらを受けて、4月13日の専門調査会において議論を行い、意見の取りまとめを行いましたので、今般御報告させていただく次第です。

専門調査会の調査内容につきましては、事務局より説明をお願いいたします。

○丸山参事官 それでは、事務局から意見について御説明をさせていただきます。

まず、前文からこちらのほうで記述をしておりまして、構成といたしましては、「1.全体的な評価」、「2.個別の原価項目についての記述」、「3.今後の課題」という形で整理しております。

まず、前書きの部分ですけれども、こちらのほうは委員長からお話がありましたように、「3月1日付で消費者庁から北海道、東北、関西、四国、九州、各電力会社に対する原価算定期間終了後の事後評価についての付議を受けた」ということで記述をしております。

これを受けて、公共料金等専門調査会においては、3月17日に北海道電力、関西電力、23日には東北電力、四国電力、九州電力からヒアリングを行うとともに、両日とも経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会からも各社に対する監視委員会の事後評価についての聴取を行いました。

その結果を踏まえまして、この付議に対しまして、専門調査会としての意見は以下のとおりということで整理をしております。

まず「1.全体的な評価」でございます。こちらは監視等委員会による事後評価についての、この専門調査会についての評価ということになっております。1つ目の「○」ですけれども、こちらのほうは、「公共料金等専門調査会による事後評価に先立ちまして、この監視等委員会の審査専門会合におきまして、2月1日から3月1日にかけて行われた」といったことについて記述しております。その際、「この同会合におきましては、こちらのほう、消費者庁のいわゆる値上げを行った際に発出しました意見等を踏まえまして、いわゆる料金原価と実績原価についての差異、それから、大口部門を中心とする規制部門と家庭部門を中心とする自由化部門の利益率の差異、それから、経営効率化への取組等について検証がされた」ということで記してございます。

この会合においての評価ですけれども、同会合においては各社の供給エリアの消費者からそれぞれ意見を求め、消費者の視点を取り入れた検証への取組を充実させるといった点ですとか、あるいは電力会社が経営効率化の取組状況につき新たに修繕費等の緊急的な支出抑制ですとか繰延べの額を明示するといったことなど、昨年4月の消費者委員会の意見、これは東電のフォローアップについての意見ですけれども、こちらを踏まえた分かりやすい分析がなされている点については、「積極的に評価をしたい」ということで記述をしております。

2ページ目、この現行料金、5社についての妥当性ということで総括的に述べてございます。

まず1つ目の「○」でございますけれども、いわゆる原価算定期間の実績値につきましては、改定時のときの想定原価と比較をすると、「燃料費、購入電力料については上回る一方で、修繕費が下回るということで、実績と想定原価が近いものになっている例が多く見られた」ということで記述をしております。「この燃料費と購入電力料についての増加については、原発の停止が長引いて火力による発電が増加したためである」ということで記している一方で、「修繕費の圧縮については、こうした燃料費や購入電力料のコスト増を相殺するために行われた修繕工事の繰延べによるところが大きい」ということで記述しております。原油価格ですとか為替レートの変動による影響も含めて、事業者の裁量の範囲を超える部分が大きいとみられることから、現在のところ、総括的な評価ですけれども、「現行の料金原価を変更すべき事情はない」ということで記述しております。

「他方、今後原発の再稼働が進展した場合には、燃料費、購入電力料の減少が見込まれる。電力会社5社の料金値上げについては、原発停止によるコスト増を主な理由とするものであったことから、そのコストが縮減した場合には、原則としてコスト減に対応した値下げが行われなければならない」ということで記述をしてございます。

「燃料費、それから、購入電力料以外の項目のコスト増を理由に料金値上げを回避したり、値下げ幅を縮小する場合には、電力会社がその理由を十分に説明すること、また、その説明内容を消費者が妥当だと納得できることが必要である」というようなことで記述をしております。

以下、2.については個別の原価項目についての評価について述べてございます。

1つ目が燃料費、それから、購入電力料です。「燃料費につきましては、北海道電力を除く4社で実績が想定を上回り、購入電力料については、東北電力を除く4社で実績値が上回った」ということで記述しております。「これらは我が国の原発の再稼働が料金改定時の想定よりも遅れたということ、料金原価の前提としての原子力利用率が料金改定時の想定と比べて低くとどまったことを主な背景にする」ということで記述しております。

2つ目の「○」について、購入電力料について述べています。繰り返しになりますけれども、「東北電力を除く4社で実績値が想定原価を上回ったが、超過幅については4%から70%と、非常に斑模様の結果となっている。これについては、各社において算定時に想定をしていた原発の稼働量の見込みの相違ですとか、原子力以外の自社発電能力の状況等の影響を受けて、他社等からの購入電力料に差異が生じたことによるものである」ということで記述しております。

「昨年4月に全面自由化された小売部門のみならず、発電部門のほうでも競争が活発化するとともに、卸市場の整備など電源調達の多様な手段の整備も予定されているところ、各社は自社電源のみならず多様な電源市場の動向を注視した上で収益改善につながる最適な調達手段の選定ですとか、料金交渉の強化等を更に進めて、安値での調達に引き続き努力すべきである」ということで述べてございます。

2つ目の原価項目としては、人件費です。こちらにつきましては、「北海道電力を除く4社について人件費が想定原価を上回りました。各社においては、人材の質の確保ですとかモチベーションの維持に考慮し、適正な人件費の支出を確保しつつも、料金原価の対象から除かれた出向者への給与負担等の項目を中心に、可能な限り人件費の効率化努力を行うべきである」というようなことで述べてございます。

3つ目は修繕費です。「修繕費については、5社いずれも実績値が想定原価を大きく下回りました。これは、燃料費の高止まりに伴う営業費用の増加分を相殺するため、修繕工事について緊急避難的な繰延べが数多く行われたことによるものと考えられる」ということで述べてございます。「この繰延べのうち、どの程度が恒久的なものとなって経営効率化につながるのか、現時点では定量的な把握は困難ですが、電力各社は安全の確保を最優先としつつ、今回行われた修繕費の効率化の取組を可能な限り恒久化ということで務めるべきである」ということで述べてございます。

「その際、安定供給ですとか安全確保の側面から、経営効率化の目標の達成等の経営目的により、必要以上の削減圧力がかかることがないよう、繰延べに伴う設備面のリスク判断について、内部監査等を通じて、計画段階のみならず、事後も含めて継続的に社内において独立的な観点からモニタリングを行うことが重要である」ということで述べてございます。

「なお、各社の修繕費に関するコスト削減の見通しについて、消費者に対して更に分かりやすく情報提供及び説明を行うべきである」ということについても付言しております。

原価項目の関連では、利益使途ということで、最後に述べてございます。こちらにつきましては、「経済産業省の平成24年度報告書では、料金改定を行わない場合には、これまでの利益の使途について具体的に事業者より説明がなされることが、料金の妥当性評価のために適当である」ということで述べてございます。「必要以上の内部留保の積み増しですとか株主配当によって、料金引下げへの取組が後退しているのではないかといった懸念を取り除くためにも、各社は利益の使途、それから、その必要性について消費者の理解を得るよう具体的な説明を行うべきである」というようなことで付言しております。

最後、今後の課題ということです。

こちら、まず1つ目の「○」でございますけれども、昨年4月以降、小売の自由化ということでなされましたが、各社の自由料金メニューですとか、新電力からの供給への切替えが進みつつありますが、現状では既存の規制料金で電力サービスを享受されている消費者が相当数に上る状況にございます。これは実際、数字といたしましては、下のほうの注5で7.2%という形で、数字を現状確認しております。このため、「各社における経営効率化ですとか原発の再稼働に伴う費用の低減が、規制料金のメニューにも適切に反映されるよう、監視等委員会は継続的な監視を行うとともに、いわゆる電気事業法に基づく料金変更認可申請命令に係る基準、こちらについて、基準に照らして経営状況等に変化が生じた電力会社がある場合には、公開の場で状況の検証を行うべきである」ということで付言しております。

その次の「○」ですけれども、このいわゆる料金変更認可申請命令に係る基準、問題点について述べてございます。具体的には、「規制部門の利益率の水準が一定の基準以内であれば命令が発動されないこととなっておりますが、こちらの利益率については、事業者のほうでコストを膨らませることによって低く抑えることが可能との指摘もあるということですので、その基準の適正性について必要に応じた検討を行うことが適当である」ということについても述べてございます。

その次、「なお、今回の事後評価におきましては、この申請命令に係る基準には達しておりませんが、一部の電力会社では利益率が比較的高い数字」となっておりました。これは注のところで記してございますけれども、具体的に東北電力ですとか関西電力のところでは一部高い利益率が見られました。ただ、「この利益率につきましては、短期的には燃料費調整制度によるタイムラグ等の一時的な収支改善効果が影響しているということですので、利益率に関する的確な判断をするためには、平成28年度以降の動向も含めて今後検証する必要がある」ということについて述べてございます。

最後、こちらのほうの「○」ですけれども、消費者基本計画におきましては、来年度についても値上げ後のフォローアップを行うことが定められておりますが、その際、「監視等委員会において、各電力会社に対しまして、原価算定期間後の事後評価が実施される際には、この意見の趣旨を踏まえて、厳正な審査が行われることが必要である」ということについて述べてございます。

2つ加えておりますけれども、1つ上の「○」のほうですが、「なお、昨年以降の事後評価の対象となっている各社の料金値上げについては、主に大震災後の原子力利用率の低下を理由とするものであったため、原発再稼働の進展によりその理由が失われた際に規制料金の引下げが適切に行われるかについて、監視等委員会よる適切な監視が行われることが必要である」ということについて述べてございます。その際、「消費者委員会は消費者庁とともにこの状況を注視して、必要に応じてフォローアップを行うこととしたい」というようなことで述べてございます。

最後、「各社、それから、監視等委員会においては、料金の透明性確保のために、今回も含めた事後評価の結果について、消費者への分かりやすい情報提供を更に推進すべきである」というようなことで結んでございます。

意見についての説明については以上になります。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、御質問、御意見のある方には発言をお願いしたいと思いますが、何か古城座長から追加的にコメントはございませんか。

○公共料金等専門調査会古城座長 特にございません。

○河上委員長 それでは、委員の方からお願いします。いかがでしょうか。

大森委員、お願いします。

○大森委員 電力は私たち消費者にとってはなくてはならないもので、その値段が適正に保たれるということで、調査会の方々の御努力、感謝しています。

ちょっとひっかかるのが、私の個人的な考え方なのですけれども、原発が使えるようになると値段が下がるということなので、そのことを反映していただくこと自体はありがたいのですが、本来ならば、事故を起こしたときの引当金などを見込んで高く設定しないといけないのではないかと思うのです。事故が起こらないという前提で安く価格設定していますが、実際、事故も起こったことですし、本来ならば事故引当金などを見込んだ価格設定が必要ではないかと一つ思います。

あと、電力の自由化が導入されて、私たちは契約先を選ぶことはできるのですけれども、電力そのものを、こういうものを使いたいというところまでなかなか選べない現状がありますので、消費者が本当に欲しい電力を適正な価格で買えるようにやっていただけるといいなと思っています。

○河上委員長 何かございますか。

○公共料金等専門調査会古城座長 おっしゃるとおりだと思います。後のほうの点については、電力の自由化についても検討を進めていますので、そのときに要望として盛り込みたいと思っております。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。

これは、電力自由化によって得られたコスト減あるいは利益などは反映しない前提ですね。

○公共料金等専門調査会古城座長 今のところ、まだこの3年間の結果に基づいたフォローアップなので、この3年間の基本的な特徴は、自由化も去年やっただけですので、消費者にも余り影響はなくて、むしろ原発が想定より遅くなったので、燃料費をたき増して、燃料費が上がってしまった。本当は赤字になりそうなところを、修繕費を次期に繰り上げることによって形式上は収支を整えたという局面で、委員長がおっしゃるように、これから自由化によって効率化してコストが下がってくるのは、次のフォローアップとか、そういうときに注意していかなければいけないということで、まだ好影響は出ていない状態です。

○河上委員長 ありがとうございます。

ほかに何かございますでしょうか。特によろしいですか。

では、調査会からの報告に基づいて、委員会としての意見案を作成したいと思いますが、案がございますので、配付願います。

(意見案配付)

○河上委員長 行き渡りましたでしょうか。ちょっとそっけないのであれですけれども「消費者委員会は、本日、公共料金等専門調査会から、本件に関する意見の報告を受けた。本意見を踏まえ、消費者庁において意見表明を検討することを求める」ということで、専門調査会からの意見というものを、消費者庁に確実に踏まえて意見表明をしていただきたいということを委員会としての意見とすることにしたいと思いますが、よろしゅうございますか。

では、どうもありがとうございました。ここに日付を入れていただいて、(案)を取って意見ということにしたいと思います。

それでは、古城座長におかれましては、お忙しいところ審議に御協力をいただきまして、誠にありがとうございました。また今後ともよろしくお願いいたします。

≪4.その他≫

○河上委員長 それでは、議題「その他」といたしまして、新開発食品調査部会から報告事項がございます。これは阿久澤部会長から御報告をお願いいたします。

○阿久澤委員 それでは、特定保健用食品の表示許可に係る答申について、私から御報告いたします。

平成29年1月10日に開催した第38回新開発食品調査部会及び平成29年4月7日に開催した第40回新開発食品調査部会の議決について、新開発食品調査部会設置・運営規程第7条に基づき、委員長の同意を得て、委員会の議決とし、3月22日付及び4月12日付で内閣総理大臣へ答申を行いました。

まず、参考資料1の答申書を御覧ください。この品目について、内閣総理大臣より諮問を受けて、第38回新開発食品調査部会において安全性及び効果について審議を行った結果、特定保健用食品として認めることといたしました。

次に、参考資料2の答申書を御覧ください。この品目について、内閣総理大臣より諮問を受けて、第40回新開発食品調査部会において安全性及び効果について審議を行った結果、特定保健用食品として認めることといたしました。

私からの報告は以上となります。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

これは委員長のほうで同意をすればよいということになっておりますので、部会からの報告を受けたということで、この会としてはおしまいにしたいと思います。どうもありがとうございました。


≪5.閉会≫

○河上委員長 本日の議題は以上になります。

最後に、事務局から今後の予定について説明をお願いいたします。

○丸山参事官 次回の本会議につきましては、日程が決まり次第、委員会ホームページ等を通じてお知らせさせていただきます。

なお、この後委員間打ち合わせがございますので、委員の皆様は委員室までお集まりいただきますよう、よろしくお願いします。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)