第240回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2017年1月10日(火)15:30~16:37

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    河上委員長、池本委員長代理、大森委員、鹿野委員、長田委員、中原委員、樋口委員、増田委員
  • 【消費者庁】
    消費者庁河内消費者政策課長
    消費者庁消費者政策課担当者
  • 【事務局】
    黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 成年年齢引下げ対応検討WGの報告
  3. その他
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○河上委員長 それでは、時間になりましたので、始めさせていただきます。

皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。

ただ今から「消費者委員会 第240回本会議」を開催いたします。

本日は阿久澤委員、蟹瀬委員が御欠席となります。

それでは、配付資料の確認につきまして、事務局からお願いいたします。

○丸山参事官 お手元の議事次第の下部のほうに配付資料一覧を記載しております。

資料については、ワーキング・グループの報告書、それから、参考資料1、参考資料2が付いております。

もし不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますようよろしくお願いいたします。


≪2.成年年齢引下げ対応検討WGの報告≫

○河上委員長 本日の議題は「成年年齢引下げ対応検討WGの報告」であります。

成年年齢引下げ検討ワーキング・グループにつきましては、昨年の9月に消費者庁の長官から、民法の成年年齢が引き下げられた場合の新たな成年となる者の消費者被害の防止・救済のための対応策について、意見の求めがありまして、同月の第232回委員会本会議におきまして、この設置を決定いたしました。座長は樋口委員にお願いをして、本日までの間に計14回の会合を開催して議論を行っていただきまして、つい先ほど報告書を取りまとめていただきました。

本日は、ワーキング・グループの調査審議に御協力いただいた消費者庁にもお越しいただいております。消費者庁におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

最初に、座長を務めていただいた樋口委員及び事務局から審議経過及び意見の内容について、簡単に御説明をいただきたいと思います。その後、意見交換を行った上で、当委員会としての意見を取りまとめたいと思います。

それでは、樋口委員、よろしくお願いいたします。

○樋口委員 成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループにおきましては、ただ今委員長から御紹介がありましたとおり、昨年9月に消費者庁より意見の求めを受けまして、事業者団体等の関係団体、関係省庁、学識経験者等からヒアリングを行い、調査審議を重ねてまいりました。これらを受けまして、昨年12月13日以降はワーキング・グループにおいて報告書について議論を行い、今般、先ほど、報告書の取りまとめを行いましたので、本日、御報告をさせていただく次第でございます。

具体的な内容につきましては事務局より説明をお願いしますが、報告書を御覧いただきますと、報告書には審議の経緯が最後のほうに載っておりまして、先ほど委員長からもお話がありましたが、今日を入れて14回の審議がございました。30人を超える幅広い関係者の方から御意見を伺って、できるだけ皆様の御意見を集約するということも踏まえまして、意見の取りまとめを行ってまいりました。この報告書につきまして、是非委員会の場でも御議論いただいた上、実効のある報告書として位置付けをしていただければと思っております。

では、具体的な中身につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○丸山参事官 事務局から、報告書の概要について説明させていただきます。

まず、目次を御覧になっていただければと思います。こちらのほう、大きく3つから構成されております。

「はじめに」というところと、第1といたしまして「現状と課題」という形で整理しております。「現状と課題」につきましては、若者の実態と課題、被害の動向、若年者保護のための制度の現状、消費者教育における現状と課題、本報告書が対象とする若者の範囲という形で整理をしております。

第2につきましては「望ましい対応策」という形で整理をさせていただきました。「1.若年成人の消費者被害の防止・救済のための制度整備」、「2.処分等」、これは特商法を主として対象としていますけれども、こちらの執行の強化です。それから、「3.消費者教育の充実」、「4.若年成人に向けた消費者被害対応の充実」、「5.事業者の自主的取組の促進」、「6.その他」という形になっております。

以下、続けて、それぞれの内容について御説明させていただきます。

まず1ページ目の「はじめに」のところを御覧になっていただければと思います。

こちらにつきましては、大きく3点指摘をしているという形で御理解をいただければと思います。

まず、第1パラグラフを御覧になっていただければと思います。こちらで「民法の成年年齢が引き下げられた場合」ということで、消費者庁長官からは、新たに成年となる者、18歳、19歳の消費者被害の防止・救済の対応策という形で求められているということですので、こちらで端的に、そのためにはということで記しております。「本報告書を踏まえた消費者教育などの充実や制度整備等が検討されることが必要である」という形で大きくこちらで記しているところでございます。

2点目でございますけれども、一番下のほうの下から2つ目のパラグラフを御覧になっていただければと思います。こちらのほう「成年年齢を引き下げるものとする民法改正を実施する場合」ということですけれども、新たに成年となる者に対しまして、十分な消費者教育がされるまでの準備期間を確保ということと、消費者被害の防止・救済のためのその他の措置が実施されるために必要な期間を確保することが重要という形で記載しております。

その後ですが、「なお」ということですけれども、制度整備に関してということですが「成年年齢が引き下げられるものとする改正民法が施行されることを踏まえ、国民的コンセンサスを得つつ検討が進められることを期待したい」という形で記しているところでございます。

続きまして、2ページ目を御覧になっていただければと思います。こちらは第1といたしまして、「現状と課題」、1つ目の若者の実態と課題という形で書いております。

1パラ目のところを御覧になっていただければと思います。最近の成人という形への移行期というところでは、具体的な移行期につきましては、長期化している。それから、個別化・多様化・流動化していることが指摘されているということを1パラ目のところで述べてございます。

続きまして、3パラ目のところを御覧になっていただければと思います。4行目のところ辺りですけれども、18歳という年齢については、多くの者にとって高校を卒業し、大学へ進学したり、就職したりするなど、生活環境が大きく変わる時期であるということについて記してございます。

3ページ目、1つ目のパラグラフ「このように」という形で記しているところで、成熟した成人として十分な知識、経験、判断能力が身に付いているとは、現状、言えないという形で、若者に対して特徴的なことが指摘されるということですので、結論といたしましてということで、そのパラグラフの最後のところですが、例えばクレジット被害などの回復不能なダメージからは保護をしつつ「段階的に経験を積んで成熟した成人に成長することができる社会環境を整備し、若者の成長を支える必要がある」という形で結んでいるということでございます。

2つ目、若年者の消費者被害の動向ということでございます。

1つ目のポツのところで書いてありますように、まず、18歳、19歳の相談件数と比べて、20歳以降の相談件数は増加しているということ、3つ目のポツのところですけれども、個別の商品・役務の中身について見ると、18歳、19歳と比較して、20歳から22歳では、具体的には男性ではマルチ、フリーローン・サラ金、女性ではエステ、医療サービスが特徴的となっているということを記してございます。

次のポツですけれども、契約の購入金額ということで、こちらは平均について、18歳、19歳の金額と比べて、20歳から22歳以降については、男性は39万円、女性は27万円ということで、かなり高額になっているということについて、特徴を記してございます。

4ページ目、3つ目は、若年者保護のための具体的措置に関する制度の現状というところでございます。

「(1)民法」ですけれども、こちらについては当然ですが、いわゆる未成年者が法定代理人の同意を得ずに行った法律行為については、未成年者取消権ということで、現状、取り消すことができるということ。

「(2)特定商取引法」につきましては、具体的にはこちらのほう、3行目辺りですけれども、例えば訪問販売につきましては、老人その他の判断力の不足に乗じ、訪問販売に係る売買契約又はサービスの提供契約を締結させることが指示対象行為とされているということでなっておりますけれども、ただ、ここでは老人その他という形になっているということで、若年成人が対象となることは、規定上、明らかになっていないということについて記してございます。

「(3)貸金業法」のところですけれども、5ページ目の2行目ですが、いわゆる返済計画その他の返済能力の調査をしなければならないということでなっているということ。

「(4)割賦販売法」のところの2行目のところですけれども、年収等の確認による支払可能見込額の調査が義務付けられているという現状について記してございます。

「4.消費者教育における現状と課題」ということでございます。

こちらについては、2行目のところの後半から、小中高等学校については、家庭科、社会科、公民科などを中心に消費者教育が実施されているということ。しかしながらということで、5ページのラストの行でございますけれども、こういった科目においては、実際に消費者教育に割かれている授業時間が少ないという指摘があるということですとか、あるいは、消費生活の分野は変化が激しくて、教育を担当される学校教員の方にとっても指導への負担が大きくて、適切な教材に関する情報提供も十分でないという指摘もあるということについて述べてございます。

また、大学においては、新入生ガイダンスでの啓発などについてされておる例がありますけれども、実際には大学等によってばらつきが大きく、全体的に言えば、その取組は十分とは言い難い状況にあるということで記してございます。

また、消費者教育の担い手である教員の養成課程についてですけれども、こちらについては、家庭科の教員の教員養成課程については、履修者の方が「消費者教育」に関する成果が確実に身に付いているとは言い難い状況にあるといったことについて記してございます。

また、その次のパラグラフでは研修について述べてございます。大学等において開講されている教員免許更新の講習についても消費者教育を取り扱うものはごく僅かといったことですとか、あるいは公立の小学校等の教諭等に対して実施されることとなっている初任者研修等についても、消費者教育が必須となっている割合は低い状況となっているということについて記してございます。

「5.本報告書が対象とする若者の範囲」ということですけれども、先ほど述べました若者の実態ということを踏まえまして、1つ目のパラのところの下から5行目のところ、「その結果」以降のところですが、18歳、19歳について消費者契約における新たな取消権を設けるなど、年齢のみによって画一的に処理するのではなくて、個人の知識、経験等に応じた対応をしつつ、「若者が成熟した成人として社会に参画することができるようになるための支援の必要性が確認」という形で記してございます。

また、現在では、大学進学率は5割、それから、専門学校の進学者を加えると7割以上の者が18歳を超えても学業を継続しているということで、まだまだ社会のところに出ていく状況ではないことを記してございます。

7ページ目のところでございますけれども、2パラ目のところですが、「そこで」以降でございます。本報告書では18歳から22歳を念頭に「若年成人」ということで、この消費者被害の防止・救済の観点から望ましい対応策について以下に述べるという形で記してございます。

ただしでございますけれども、その後でございますが、具体的な制度整備や消費者教育などの実施に当たっては、個々の制度、それから、施策の実態に応じて対象とする「若年成人」の年齢、それから属性を検討し、各々に則した対応をすべきという形で記してございます。

「なお」ということで書いておりますけれども、それ以降につきましては、具体的な対象が18歳、19歳を超えていることということで「若年成人」ということについて、今回整理させていただいたということですので、その内容については、消費者庁長官からの意見の求めということでは18歳、19歳ということが対象となっておりますので、そこの対象範囲を超えるということもあり、調整等が未了のところもあり、国民的コンセンサスが得られていないので、その点を踏まえて取り扱う必要があるということも留意点ということで述べているということでございます。

続きまして、8ページ目以降が「望ましい対応策」という形で整理させていただいたものでございます。

まず1つ目でございますけれども、消費者被害の防止・救済のための制度整備ということで、「(1)消費者契約法」ということで記してございます。

ここでは、2つということで、こちらの報告書の提案を盛り込ませていただいております。

まず、「ア 若年成人に対する配慮に努める義務」ということです。こちらは消費者契約を締結するに際して、消費者の年齢ですとか、消費生活に関する知識、経験、それから、消費生活における能力に応じて、適切な形で情報提供をするということ。それから、消費者の需要、資力に適した商品又はサービスの提供について、必要かつ合理的な配慮をするよう努めるものとすることが考えられるということで記してございます。

ただしではございますけれども、9ページ目のイのところの上のところの行でございますが、こちらについて「事業者が努める規定の必要性等については、消費者契約法専門調査会等において、別途検討することが望まれる」ということについても記してございます。

「イ 不当勧誘に対する取消権」、いわゆるつけ込み型に対する取消権ということですけれども、こちらの提案内容といたしまして「事業者が若年成人の知識、経験不足等の合理的な判断をすることができない事情に乗じることにより締結させた、当該若年成人にとって合理性・必要性を欠く消費者契約を取り消すことができる制度を検討することが考えられる」ということで提示をしております。11ページの「(2)特定商取引法」の上の行のところを御覧になっていただければと思いますが、こちらについても同じような形で「対象を若年成人に限定しない場合も含め、消費者契約法専門調査会において更に検討すべきである」ということについても記しているところでございます。

続きまして、「(2)特定商取引法」のところでございます。

まず、特定商取引法につきましては、柱書きのところですが、積極的に執行をすることが重要であるということについて触れた後、制度面においても成年年齢が引き下げられるまでに、少なくとも以下の点を整備すべきということで記してございます。

まず、アのところでございますけれども、これは連鎖販売取引ということでございますが「若年成人の判断力の不足に乗じて契約を締結させる行為を行政処分の対象とすること」としております。現行のところでは、こちらのほう、未成年ということについては特出しをした例示がなされているわけですけれども、若年成人ということについて、どこまで範囲になっているのかということについては、明確ではないということがありますので、これらを明確にということを記してございます。

12ページのイのところでございますけれども、こちらについては、訪問販売のところについて触れております。提案内容でございますけれども「訪問販売において、若年成人の判断力の不足に乗じて売買契約又は役務提供契約を締結させることが行政処分の対象行為となることを規定上、明確にすべきである」という形で記してございます。現行のほうでは、いわゆる老人その他ということについては明示をされておるわけですけれども、こちらについて、いわゆる若年成人の扱いについて明確にすべきということについて記しているということでございます。

続きまして、13ページ、「2.処分等の執行の強化」、特定商取引法の執行の強化ということで、こちらのほう、記してございます。

まず(1)でございますけれども、こちらの提案内容でございますが、クレジット契約等について、いわゆる主務省令を改正した上で、指示の対象行為として明確に位置付けるとともに、販売業者が若年成人に収入等の虚偽記載を唆すような行為に対しては、積極的に処分等の執行をすべきであるという形で記してございます。

14ページ、(2)のところでございますが、こちらにつきましては、訪問販売でございますけれども、若年成人を対象とした形で、判断力の不足に乗じた売買契約等の締結に関した事例について、執行の強化をということで述べております。

(3)におきましては、若年成人に被害が多い商品等に関する執行ということで、下のほうの理由で記しております連鎖販売取引ですとか、エステ関連等の継続的役務取引における執行ということをイメージして書いておるということでございます。

15ページ、「3.消費者教育の充実」ということで書いております。

「(1)小中高等学校」でございますが、「ア 消費者教育の機会の充実」というところでございます。提案内容といたしましては、まずは家庭科、社会科等において、それから、教科横断的な視点から消費者教育を系統的、体系的に着実に取り組むべきであるということを記してございます。また、新しい科目であります「公共(仮称)」でありますけれども、こちらの内容について、消費者教育に関して充実を図るべきであるということですとか、あるいはその下ですけれども、新たに成年ということで、18歳が対象になるということになりますと、クラスの中で成人とそうでない方が混在するということもありますので、そういったことで、消費者被害の防止の取組ということで、クラスの中のところで、指導の充実を図るべきであるということについて記しているということでございます。

最後の3つ目の矢印のところでは、ヒアリングのところで「学校家庭クラブ活動」の取組について、消費者教育について御紹介がありましたので、これを積極的に推進すべきであるという形で記してございます。

17ページのところについては、人材開発、教員の方の能力の資質の向上ということでございます。

提案内容といたしましては、初任者・中堅教諭の研修において、消費者教育に関わる資料の活用を促すということで、こちらについて、教育委員会等に消費者庁、文科省が連携して働きかけるべきであるという形で記してございます。また、こちらのほう、消費者教育については、なかなか消費生活の変化は激しいということもありましたので、外部講師ですとか、消費者教育コーディネーターなど、幅広い人材を求めて学校現場で活動の支援をすべきであるという形で記してございます。

18ページのところは、具体的には、教材あるいは教育の手法について記してございます。

初めの提案内容のところにつきましては、アクティブ・ラーニングという形の重要性について記しているとともに、e-Learning等、ICTに対応した教材の情報提供、2つ目の矢印のところでは、自治体では消費者教育の推進地域協議会の枠組みが設定されているところがございますので、こういったところの枠組みを通じて、学校現場と消費生活センターとの積極的な連携を図るべきということについて記してございます。

また、最後の矢印のところでは、地域や学校の実態に応じた消費者教育プログラム、具体的には理由のところにも書いてございますけれども、進学とか就職等、今後の将来の方向性によって、消費者教育の内容とは異なってくるということもございますので、そういった特性も踏まえた上での消費者教育のプログラムの開発ですとか、あるいは、高校生自身が啓発活動に参加するというような工夫を凝らしたプログラムを開発すべきであるということで記してございます。

19ページの「エ その他」につきましては、主権者教育、キャリア教育との連携、児童養護施設等での消費者教育支援についてのプログラムを検討すべきといったことについても記してございます。

20ページ、小中高に続きまして、大学・専門学校等でございます。

まず、アのところにつきましては、これは教員養成課程について述べてございます。教育養成課程において「消費者教育」という形でなされているわけですが、こちらについて、その重要性について、大学等において認識してもらうように働きかけるべきであるという形で記してございます。

21ページのイのところでございますけれども、いわゆる教育委員会につきましては、自治体の部局ということで、消費者行政の部局との連携は従前から図られているわけですけれども、大学という形になりますと、なかなか自治体のほうの消費者行政との連携ということについて難しいという御指摘もありましたので、こういった自治体と大学・専門学校等との連携の枠組みを構築すべきであるという形で記してございます。

その下の「ウ 学生相談室等を通じた消費者教育・啓発強化」ということで、例えば大学においてはメールですとかSNSなどを活用した被害の防止に関する喚起ということ、それから、次の22ページのところですけれども、いわゆる大学の学生相談室等に従事されている方向けに、国民生活センターと学生支援機構のほうで協力をした上で研修の機会を活用して充実を、ということを記してございます。

新入生ガイダンスというのは、非常に大学の中の消費者啓発のところで重要な機会ということでございますけれども、そういったところの点について、大学関係団体、具体的にはこれは大学生協を想定しておりますけれども、こういったものと大学当局とが協力をした上で啓発・教育に取り組むべきであるという形で記してございます。

また、専門学校につきましては、大学と比較いたしまして、なかなか消費者教育について、取組について、まず状況が把握できていないところもありますので、実態把握を行った上で、今後対応策を検討すべきであるという形で記してございます。

23ページ目の(3)につきまして、法教育・金融経済教育ですけれども、こちらについては、法教育については法務省、金融経済教育については金融庁、それから、日銀、金融広報中央委員会と連携を通じて消費者教育に取り組むべきであるという形で記してございます。

24ページ、4.消費者被害対応の充実というところでございます。

まず、「(1)相談体制の強化・拡充」ということで、アといたしまして、まず、こういった若者に対して、消費生活センターが知られていないということが指摘をされておりますので、まず、その存在と役割について知らしめるべき。「188」の利用方法ですとか、あるいは、若者ということで、SNSなどについて活用するということで、広報を積極的にということを記載しております。

25ページの相談体制の強化のところですけれども、例えば、提案内容のところで書かれておりますが、定期的に若者向けの相談110番ということですとか、あるいは、高校、大学、それから、成人式といったような場所、機会を捉まえて、出張相談窓口というものについて開設すべきといったこと。それから、SNSやメール等で相談ができるということについて、整備をすべきということについて記してございます。

「ウ 若者支援機関との連携」ということでございますけれども、地域におきましては、「地域若者サポートステーション」ということで、若者の支援機関が設置されている場合がありますが、こういった機関と連携した上で消費者対応ということで、ワンストップ対応という形の仕組みを作るべきであるということも提言しております。

26ページでございますけれども、こちらのほう、情報の充実、活用ということでございます。

27ページのアのところで、まずは、消費生活センターと大学・専門学校等との間で情報交換、いわゆる被害事例についての情報交換を行うべきということについて記してございます。

イのところでは、大学・専門学校間のところで情報交換を行うべきであるということを記してございます。

28ページ、これは事業者の自主的取組の促進というところでございますけれども、(1)といたしましては、業界での未成年者、それから、若年成人に配慮した自主行動基準の堅持・強化ということを記してございます。具体的には、下のほうの提案内容のところで、消費者保護の工夫を堅持・強化するという形で記しているところでございます。

30ページのところでは、(2)といたしまして、若年成人に配慮した「消費者志向経営」、具体的には例えばアといたしまして、優良経営認証制度といったものの推進ですとか、イといたしまして、若者、若年成人に配慮した顧客対応窓口の強化、それから、ウといたしまして、従業員の方への研修の徹底、あるいは、事業者の方独自による消費者教育の推進といったことについてということで記してございます。

31ページの(3)では、いわゆるクレジットの問題について記してございます。

若年成人に対する健全な与信のための取組という形で記しております。アといたしましては、いわゆる信用供与についての健全性確保。それから、33ページにつきましては、トラブルに遭った場合ということで、業界団体において相談窓口を設置したり、いわゆるカウンセリング等の支援を推進するといったことについて記しているところでございます。

最後でございますけれども、34ページでございますが、「その他」というところで記してございます。

提案内容といたしましては、ヒアリングの過程の中のところで、消費者被害の防止のための啓発活動をしている若者団体、これの活動の支援のためのものについて考えるべきではないかということで議論がございました。例えば施設貸与の面で支援をといったことについて記しているといったことですとか、あるいは、成年年齢の引下げに伴う消費者被害防止のための社会的周知のための国民キャンペーンを実施という形で、こちらのほうを提案しているということがございます。

中身については、以上、説明したとおりですけれども、それ以降、参考資料といたしましては、具体的には消費者庁長官からの意見の聴取、それから、ワーキング・グループについての設置・運営規程、それから、審議経過ということと、最後に構成員の名簿という形で、付録という形で、こちらについても取り込んでいるということでございます。

長くなりましたけれども、ワーキング・グループの概要については、以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、ただ今の説明の内容について、御質問、御意見のある方は、発言をお願いいたします。いかがでしょうか。

大森委員、どうぞ。

○大森委員 「若年成人」という言葉を私たちの議論の中で生み出したわけですけれども、この言葉に対しては、御意見をいろいろ頂戴しまして、ワーキング・グループの勇み足であるとか、そういう御意見もあったのです。実際にヒアリングの中で、今の若者たちが非常に自立しにくい状況であるということを伺いました。成人して、30歳に近くなってもその子の負債の肩代わりをする親もいれば、逆に子供のお給料を当てにする親がいて、その親と自分のお給料の取り合いになるものですから、逆に浪費に走ったりするというように、両極端に分かれながらも、それぞれに親子で依存関係があって、なかなか自立した消費者になれていないという状況があったものですから、何歳になって、ぽんと成人というのはなかなか難しい。社会全体で自立した消費者になるように、そういう機会を設けていかないといけないということで「若年成人」という言葉を提案したわけです。これは勇み足というよりも、ワーキング・グループの成果だと私は思っています。

○河上委員長 ありがとうございました。

ほかにはいかがでしょうか。

増田委員、どうぞ。

○増田委員 ワーキング・グループの際にもお伝えしたのですけれども、消費者教育が長く課題とされてきたわけですが、消費者庁と文科省との連携がまだ十分ではなかったということで、今回、いろいろな具体的な提案がなされたということでは、成果のある報告書になったのではないかと思います。

ヒアリングの中で、事業者、事業者団体の方々の取組として、自主行動基準であるとか、今後民法改正がなされた場合の18歳、19歳に対する配慮をこうしたいという御意見もいただき、具体的に明らかになり、それが報告書に記載されたということは、やはり、世の中、社会全体に対してのアピールにもなるかと思いますので、そういう意味では、非常に効果的で成果があったと思います。

○河上委員長 池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 池本でございます。

先ほど、大森委員から「若年成人」という考え方はこのワーキング・グループで生み出したものという言葉がありました。むしろ、この考え方は私たちが初めて言い出したということではないと、私は受け止めています。

といいますのが、成年年齢を20歳から18歳に引き下げるに当たり、18歳、19歳の人に対してどういう手当が必要なのかを考え、18歳、19歳の人に対して、例えばクーリングオフのような制度を延長するのかとか、その年齢に特化してこういう手当てをしてはどうかという意見も確かにこのヒアリングの過程でも幾つか意見があったと思います。そういう画一的な年齢で何か手当てをするのではなくて、まだ判断力や経験の未熟な人だという実態を前提にしながら、だからといって社会に出さないのではなくて、支援しながら社会に送り出していく。こういう基本的な考え方をとるのかどうかという根本の判断の問題だと思います。

そして、そのことは、実は平成21年10月の法制審議会の民法成年年齢部会の中で出ているのです。この報告書では、8ページの脚注12のところで紹介してありますが、当時の法制審議会の報告書の中にも若年者の特性に応じて事業者に重い説明義務を課すこと、あるいは若年者の社会的経験の乏しさによる判断力不足に乗じた契約の取消権を付与することなどが消費者保護施策の具体例として考えられるということが、既にそのときに提案されていたわけです。

今回、様々な分野の方のヒアリングを重ねた上で、基本的に若年者を支援、保護していかなければいけない必要性があることは変わりがない。だとすれば、どういう制度が必要か、画一的な線引きで何か手当てをするのではなくて、実態に鑑みて考えていったらどうかとなると、法制度的な手当は、実は平成21年の提案とほとんど同じことを今回、もう少し踏み込んで具体的に提起をしているということであります。

むしろ、私は一番気掛かりなのは、幾つか事業者側から出た意見書などの中に、成年年齢を引き下げるということは、18歳、19歳は社会人として一人前だと評価することなのだから、法的な手当は必要ないではないか、あとは、消費者教育があればよいではないかという意見が若干含まれていた。これは根本の考え方の違いの問題であります。そこをどう考えるのかということを正面から議論していく必要がありますし、実は、この今回出す取りまとめは、成年年齢は引き下げる、引き下げる代わりにどういう手当が必要かで議論しましたが、そもそも引下げが相当なのかどうかという、そこの議論をしていくところで、今のような根本の価値判断の問題が問われるのだと思うのです。ここでの議論はある意味、引下げを前提にして議論したのですが、むしろ社会の中で本当に正面から議論するとすれば、大前提の基本の方向性をどうするのかということを含めて、更に広く議論していただく必要がありますし、仮に引下げを行うのであれば、ここで提起したような方策を早急に準備して、それとセットで出すということでなければならないのだろうと思います。

以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。

ほかにはいかがでしょうか。

長田委員、どうぞ。

○長田委員 難しい議論を、すごく回数を重ねてワーキング・グループで御議論をいただいたこの報告書、読ませていただきまして、特に私は3ページのところに書いてある「回復不能なダメージから保護しつつ、段階的に経験を積んで成熟した成人に成長することができる社会環境を整備」というところは本当に大切なことだと思いますし、これが実現すれば、全体に成熟した社会というものが出来上がっていくのだろうと思います。そのために何をしなければいけないのかということの中に、制度の問題というものは当然入ってきていると考えています。

今回、いろいろな御意見が沢山出ているということは承知しているのですけれども、むしろ、それを難しいと言ってしまうのではなく、現状、若年成人のいろいろな課題があるということをみんなで共有しつつ、それぞれがそれぞれの立場で何ができるのかを積極的に事業者や事業者団体の皆さんたちも是非御提案として出していっていただいて、今後、また新たな検討の場でそれをきちんと検討していけば、1ページにあったのでしょうか、国民的なコンセンサスというものは当然得られることになるのではないかと、報告書を読ませていただいて、私は感じました。

是非、建設的な議論に、大勢のいろいろな立場の方々が参加していただけるといいなと思いました。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

ほかにはいかがでしょうか。

樋口委員、どうぞ。

○樋口委員 ワーキング・グループの中では取りまとめの座長ということで余り発言の機会がありませんでしたが、報告書を見ていただきますと、事務局からも説明がありましたけれども、「望ましい対応策」ということで、1.から6.までの対応策が提案されているわけでありまして、今、委員の方からもお話がありましたが、それぞれが非常に重い内容だと思います。

制度の整備ということはもちろん最重要課題でありますが、制度を整備するということだけでは問題は解決しないという側面もあるわけでありまして、例えば、事業者の方に関わる制度が多いようですが、事業者の方が自主的にこの問題を解決していく場合に、どういう考え方で取組をしていくのかということもとても重要なことかと思います。あるいは消費者教育について、これは決して簡単なことではなくて、教育をしてもその教育効果ということについてもきちんと確認をしながら対応をしていく必要がある。あるいは、行政の側で言えば、処分の執行の強化、この部分も、制度はあってもそれがきちんと活用されなければうまくいかないということで、この対応策はいずれについてもしっかり実際に実行していくことができれば、この報告書の意義が出てくるのではないかと思います。

そういう意味では、様々な立場の方々が、この報告書の考え方を参考にしていただいて、既に取組を始めていただいている方もいるわけですが、きちんと体制を作っていく。そのことによって、民法の成年年齢の引下げの問題ということについての方向性も見えてくるのではないかと感じておりました。そのように発言する場は特にありませんでしたが、今回、報告書がまとまり、座長の荷が下りましたので、そのようなことを申し上げたいと思います。

是非、委員会におかれましても、ここに記載された全ての事項について、これを実効性のあるものとしていただくようお願いできればと。特に、法制面については専門調査会での議論ということも書かれていますが、ここで提案された趣旨を専門調査会でも是非尊重していただいて、御検討をいただければありがたいと思います。

以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。

樋口委員には座長として随分御苦労いただいたということで、お礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

ほかにはいかがでしょうか。

池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 消費者教育の関係で一点だけ発言を追加させていただきます。

報告書で言いますと、21ページに該当するところなのですが、消費者教育といっても、中高生であれば、文科省を通じて、学習指導要領というものが整備されていて学習指導要領の中身を更に充実させる。あるいは家庭科など、消費者教育を科目の中で触れるのはどこの分野がやるということがある程度方向付けができていますから、その人材を更に育成を強化していくということで見えているのですが、一番悩ましいのは、大学・専門学校なわけです。しかも、この分野はそれぞれ専門の教員はいるけれども、消費者教育とか、そういう総合的なことをやる担当は、およそないわけです。

そこに向けては、大学・専門学校に関しては、21ページに自治体と大学との連携をしてくださいということと、学生相談室を通じて消費者教育を進めてくださいということを記述してあるのですが、ヒアリングの中でも幾つかヒントになる例はありましたけれども、それで十分かと言われると、極めて不十分。例えば新入生のガイダンスのところで30分か50分、消費生活センターから講師を招いて講演してもらっていますとか、パンフレットを置いて消費生活センターと連携していますというようなことは聞くのですが、それで本当に十分かと言われると、とてもとてもそれでは賄えていないと思います。

この部分は、一つには文科省から大学・専門学校にもお声をお掛けしていただくこと、あるいは、消費者庁から地方自治体に対して声掛けをする、そういう施策を推進するように働きかけてもらうということもですが、何よりも地方自治体がこれまでやっていた若者向けの一般的な消費者教育・啓発ではなく、格段に力を入れて、それぞれの地元の大学・専門学校に確実に入り込んでいくような取組を速やかにスタートさせなければいけない。しかも、それでは、どうやればいいのかというのは、実は、この報告書でもまだまだ描けていないところだと思います。そういう辺りのことを本気でやっていくためには、今回、この準備期間5年程度と意見の中でもいろいろ出ているのが紹介されていますが、それでも十分と言えるのかどうか、私は不安があります。そういう辺りのところをしっかりと関係機関、これは自治体も含めて、関係機関で深刻な問題として受け止めていただきたいと思います。

以上です。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。

先ほど、池本委員長代理がおっしゃったことですけれども、どういう基本的な姿勢で若年成人に対して社会が臨むのかという哲学そのものを理解していただく必要があると思います。私どもが、「若年成人」という言葉を使って、一定の幅のある存在として、社会に出たての人たちに対して、社会全体がどういう姿勢で臨むかについて検討した、その成果ということになります。

私は何度も例として挙げているのですが、未成年の場合は未成年者取消権があるわけですね。ですから、一般的に守られている。ところが、成年になった途端に一丁前の契約をして、そのまま責任を負うという立場に立つわけで、言ってみれば、市場という道路に出ていくための免許証を手に入れるようなものです。そのときに、免許証取りたての人には若葉マークを付けて、みんなで守ってやろうではないか、見守ってやろうではないかという発想で、その道路の秩序というものを考える。場合によっては、年をとってきてしまえば、今度はもみじマークが必要になるのかもしれません。

そういうように、市場で独立して活動することについて、まだ慣れていないとか、あるいは経験が陳腐化したり、また、未経験であったりというようなことで、判断力が危ぶまれる人に対して、市場が一人で頑張れと言うだけではなくて、ある程度、セーフティーネットを張ることによって市場全体を健全化するという、そういう思想で、今後、消費者問題を扱う必要がある。その辺りの問題なのだろうと思います。

私にも息子や娘がいるのですけれども、ほとんどの事業者の方も含めて、息子さんやお嬢さんがいらっしゃるわけで、その人たちが成人になった途端にお前はもう一丁前なのだから、責任を100%とれと言うのがいいのか、それとも、はじめの内はみんなで見守ろうということをある程度の幅を持って考えるほうがいいのかというように、事業者対消費者の問題というよりも社会全体の在り方の問題として考えていただくということが大事なことなのではないかと思います。

それから、議長が余り言ってはいけないと思うのですけれども、ワーキング・グループのときに少しテンションを上げてしゃべってしまったので、ここでも少しだけお話をします。この報告書を読まれて、ちょっと歯切れが悪いなとか、あるいはいろいろ留保が付いているなと思われたかもしれない点についてです。例えば1ページ目のところに、終わりには「国民的コンセンサスを得つつ検討が進められることを期待したい」とか、その次に「国民的コンセンサスが得られておらず、その点を踏まえて取り扱う必要がある」、しつこいほど国民的コンセンサスうんぬんということが書かれています。7ページ目のところにも同じように、最後のところに「国民的コンセンサスが得られておらず、その点を踏まえて、取り扱う必要がある」。国民的コンセンサスを得ているというのは、国会で承認された法律でないと無理ですね。その意味では、国民的コンセンサスを得られなければ、何も語れないというようなことでは困るので、本当は、この表現は私は大変まずいかなと感じがしていたわけです。

ただ、事業者の方々から、今回のワーキング・グループの作業に対して非常に強い関心が示され、その手続や方向性に対して非常に大きな懸念が示されてきたことは事実であります。他方で、ほかの団体からは、その方向で頑張れと言ってくださった方もいらっしゃるのですが、例えば18歳から22歳というレンジでもって若年成人を考えて、そこでいろいろなことを議論するというやり方そのものについては賛否があったわけでして、そうした部分については、なお、十分な理解が得られていないということを表現するために、「国民的コンセンサス」という言葉が使われております。個人的には、そうした懸念を持たれた事業者の御意見を、一つずつ検討しましたけれども、ある意味では誤解に基づくものとか、疑心暗鬼でいろいろ心配されている部分が少なくない感じがしましたので、その点については、丁寧に今後説明をしていく必要があろうかと考えております。

もう一点、消費者契約法との関係がやや微妙になっております。意見では消費者契約法上の制度的整備の一つとして、情報提供における年齢配慮の問題と、つけ込み型勧誘についての考え方を提示しております。これは実はワーキング・グループで提示する問題と、消費者契約法の専門調査会で考えていただく問題が重なっている部分が若干あるということでして、ワーキング・グループとしては、少なくとも18歳、19歳の新成人、あるいは若年成人に関しては、こういう考え方でやっていただくのがありがたいということで意見をまとめました。しかし、消費者契約法のほうは、むしろ若年成人に限らない、消費者のいわばぜい弱な、例えば高齢者であるとか、障害者であるとか、外国人であるとか、そうした消費者全般における判断力の低下であったり、状況的に判断が難しい人たちに対する支援を包括的に考えていただく必要があります。そこは完全にバッティングしていたり、お互いに一方の方向付けをするという話ではない。これは、池本委員長代理が先ほどおっしゃったとおりであります。意見書のスコープが広過ぎるということに対する疑念もあって、当初の案からはいろいろ限定した書き方をしておりますけれども、ワーキング・グループとしては、一貫してこの点は両者の関係を見ながら、少なくても若年成人に関してはこうあるべきだという判断をしてここまで持ってきたということになります。

若年成人に関する取扱い方について、これまで、これ程包括的にいろいろな問題を整理したという報告書を、私は知りません。その意味では、自画自賛になりますが、非常に画期的な報告書となっているのではないかと思っておりまして、今後これをいろいろな形で活用していただいて、もちろん、消費者契約法の専門調査会における審議の中でもこれを尊重していただき、議論を進めていただきたいと考えているところです。

ほかに何かございますか。

樋口委員は座長としてずっとなさってきて、これだけはこの報告書について言っておきたいということがありましたら、付け加えていただけるとありがたいのですが、いかがですか。

○樋口委員 残念ながら、報告書にはまだ課題が残っておりまして、課題の中で、今、委員長からお話がありました消費者契約法の問題ももちろん課題ですが、実は一つ一つ読むと非常に大きな課題がそれぞれ残っていますので、今、お話がありましたが、是非、この課題を丁寧に解決していくようことで、委員会の委員としてもお手伝いをしていければと願っております。

ワーキング・グループの取りまとめは、与えられた検討期間が3か月弱ということでありましたので、そこで残された課題は、物によっては、更に詳細な検討にかなり時間がかかることもあろうかと思いますが、是非粘り強く問題を解決していくことが必要ではないかと思います。

○河上委員長 ありがとうございます。

各論的課題は、一歩一歩前に進めていかないと、一足飛びにはなかなかいかない。おっしゃるとおりであろうと思います。

修正点はできればないほうがいいのですが、ほかには何かございますか。よろしゅうございますか。

それでは、報告書の内容についての御報告、そして、それについての意見交換はここまでとさせていただきまして、ただ今の意見交換、御報告を踏まえまして、委員会意見についての検討に入りたいと思います。

答申案を配付していただけますか。

(答申案配付)

○河上委員長 よろしいでしょうか。

回答ということで「平成28年9月1日付け消政策第431号をもって当委員会に意見を求められた標記の件について、下記のとおり回答する」ということで、具体的には、別添「成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループ報告書」、ただ今御承認いただいたものですが、この報告書の内容を踏まえ「成年年齢を引き下げるものとする民法改正が実施される場合には、消費者教育、制度整備及びその他の措置について、新たに成年となる者の消費者被害の防止・救済の観点から、消費者庁において必要な取組を進めることが適当である」という文章で、この報告書を付けて回答したいと思います。いかがでしょうか。よろしいですか。

どうもありがとうございました。では、これを意見ということにいたします。これで、今日決定いただきましたので、消費者庁長官に宛てて発出したいと思います。

消費者庁におかれましても、お忙しい中、審議に御協力をいただきまして、ありがとうございました。消費者庁がいろいろやることは、これからですので、よろしくお願いいたします。

≪3.その他≫

○河上委員長 続きまして、議題「その他」としまして、昨年12月10日に実施しました「消費者問題シンポジウム in 甲府」について、実施報告を事務局からお願いいたします。

○黒木事務局長 それでは、平成28年12月10日土曜日に「消費者問題シンポジウム in 甲府」を、あしたの山梨を創る生活運動協会と本消費者委員会との共催で開催をいたしましたので、その旨、御報告をさせていだきます。

資料を御覧いただければと思います。参考資料1ということになっております。

当日でございますけれども、山梨県、甲府市をはじめ、近隣の市の消費者行政御担当の方々、あるいは相談員の方々、また、消費者団体、事業者、一般消費者など、90名の参加をいただきました。

シンポジウムのテーマでございますけれども、「消費者市民社会の構築にむけて~山梨県における消費者教育の取組~」というテーマで開催をさせていただきまして、冒頭共催団体でありますあしたの山梨を創る生活運動協会の飯窪さかえ会長に開会の御挨拶をいただき、その後、河上委員長に基調講演、山梨県県民生活部消費生活安全課の杉田真一課長に「山梨県消費者基本計画における消費者教育の推進」について、御報告をいただきました。

その後、パネルディスカッションを行わせていただきました。パネルディスカッションでは「消費者市民社会の構築にむけて~山梨県における消費者教育の取組~」をテーマに、コーディネーターを大森節子消費者委員会委員にお務めいただきまして、パネリストとして、消費者庁の金子消費者教育・地方協力課長、山梨県の教育委員会高等教育課の數野浩司主査・指導主事、それから、開会の御挨拶をいただきました飯窪会長、御報告をいただきました杉田課長に御出席をいただき、それぞれのお取組や、必要となる体制などについて討論をいただきました。

なお、河上委員長におかれましては、12月9日、前日でございますけれども、この9日金曜日に、山梨県の後藤斎知事、甲府市の樋口雄一市長を表敬訪問していただいております。

以上でございます。

○河上委員長 パネルの世話をしていただいた大森委員、何か付け加えることがありましたら、お願いします。

○大森委員 山梨県は非常に連携が進んでおりまして、行政と消費者団体が連携して条例を作ったり、消費者教育を進めたり、また、大学のほうで、高校で使えるような教材を作るなど、行政と大学と消費者団体が非常に連携できていまして、参加された方々も非常に積極的にいろいろ意見を言っていただいて、コーディネーターとしては大変楽でした。

出た意見は、参加されている方は既に消費者市民社会のリーダーである、私たちの仲間を増やしたい、では、どうしたら仲間が増えるかということで、消費者教育の教材を家庭で子供さんとお母さんに取り組んでもらうといいのではないかというような具体的な案が出て、とても楽しかったです。

以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

主催された方がキーワードのようにおっしゃっていたのが、家庭教育と学校教育と社会教育、これが連携しないと消費者教育というものは完成しないというお話でした。実は、先ほど承認をいただいた成年年齢の引下げの問題の中でも、消費者教育ということが大事だという話の中で、この山梨での成果を入れさせていただいております。

もう一つ、どうでもいいことですけれども、午前中に山梨の県立美術館に連れていってもらいました。行かれた方は御存じかと思いますが、あそこには、ミレーの「種をまく人」がいるのです。これはいいなと思って、最後に使わせていただきました。消費者教育に携わる方は「種をまく人」みたいなもので、ここにいらっしゃる方100人が種をまいていけば、10人に種が届けば1,000人、その人がまた種をまいてくれれば1万人と広がっていく。その意味では、消費者教育は一人一人が広げていくことによってどんどん普及していくものなのだという話をさせていただきました。参考資料1のところに、そのパネルの概要やコメントが書いてありますので、また参考にしていただければと思います。


≪4.閉会≫

○河上委員長 今日は、以上になるかと思います。

最後に、事務局から今後の予定について説明をお願いいたします。

○丸山参事官 次回の本会議の日程や議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページ等を通じてお知らせさせていただきます。

なお、この後、委員間打合せを行いますので、委員の皆様方におかれましては、委員室にお集まりください。

さらに、本日18時30分をめどに、当本会議室におきまして、報道機関の皆様を対象とした委員長記者会見を予定しておりますので、御案内させていただきます。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)