消費者団体ほか関係団体等との意見交換会 議事録(2017年11月10日)

日時

2017年11月10日(金)10:00~11:55

場所

消費者委員会会議室

出席者

【委員】
池本委員長代理、受田委員、大森委員、長田委員、樋口委員、増田委員、山本委員
【消費者団体ほか関係団体】
全国消費者団体連絡会
浦郷 由季 事務局長
小林 真一郎 事務局次長
消費者関連専門家会議
島谷 克史 理事長
清水 きよみ 事務局長
日本ヒーブ協議会
宮木 由貴子 代表理事
梶原 織梨江 副代表理事
主婦連合会
有田 芳子 会長
河村 真紀子 事務局長
日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会
高橋 徹 副会長(「高」は、正しくは「はしごだか」)
国民生活産業・消費者団体連合会
佐藤 聡司 事務局長
【事務局】
黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 消費者団体ほか関係団体等との意見交換について
    全国消費者団体連絡会
    浦郷 由季 事務局長
    小林 真一郎 事務局次長
    消費者関連専門家会議
    島谷 克史 理事長
    清水 きよみ 事務局長
    日本ヒーブ協議会
    宮木 由貴子 代表理事
    梶原 織梨江 副代表理事
    主婦連合会
    有田 芳子 会長
    河村 真紀子 事務局長
    日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会
    高橋 徹 副会長(「高」は、正しくは「はしごだか」)
    国民生活産業・消費者団体連合会
    佐藤 聡司 事務局長
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○池本委員長代理  本日は、皆様、お忙しい中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。

ただいまより「消費者団体ほか関係団体等との意見交換会」を開催いたします。

本日は、高委員長が所用により欠席のため、私、委員長代理の池本が進行させていただきますが、委員としては受田委員、大森委員、長田委員、樋口委員、増田委員、山本委員の合計7名で意見交換に臨ませていただきます。

まず、資料について事務局から確認をお願いできますか。

○丸山参事官  お手元の議事次第の下部に、配付資料一覧を記載しております。資料1から資料6となっております。消費者関連専門家会議から、「活動のご案内」及び「会員の所属する企業・団体」の資料をあわせていただいております。こちらについてはメインテーブルの皆様だけですけれども、お配りしております。もし不足等がございましたらお申し出をよろしくお願いいたします。


≪2.消費者団体ほか関係団体等との意見交換について≫

○池本委員長代理  それでは、早速議事に入りたいと思いますが、私ども消費者委員会では、委員会としての様々な課題、取組のことや、あるいは委員会そのものの運営改善も含めて、皆様からの御意見をお伺いするということで、消費者団体ほか関係団体の皆様と御意見・御要望を伺う機会を作り、意見交換をさせていただいております。

本日は、6つの団体から御参加いただきました。

一般社団法人全国消費者団体連絡会から、浦郷由季事務局長、小林真一郎事務局次長。

公益社団法人消費者関連専門家会議より、島谷克史理事長、清水きよみ事務局長。

一般社団法人日本ヒーブ協議会より、宮木由貴子代表理事、梶原織梨江副代表理事。

主婦連合会より、有田芳子会長、河村真紀子事務局長。

公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会より、高橋徹副会長。

日本生活産業・消費者団体連合会より、佐藤聡司事務局長。

以上の方々に御参加いただきました。

本日の意見交換のテーマといたしまして、現在、消費者庁でも議論が始まっております、そして、私たち消費者委員会としても年間を通じての非常に重要な課題であります消費者基本計画の工程表改定に向けて、皆様からの要望をお伺いすることをテーマとさせていただいております。各団体の皆様からも忌憚のない御意見をお伺いできればと思います。

それでは、全体の進行として、まず、御参加いただいた各団体の皆様からの御説明、御意見を順次お伺いして、その上で委員との意見交換という形で進行させていただきたいと思います。

最初に、全国消費者団体連絡会より御説明をお願いしますが、今日は6つの団体の方に御参加いただきましたし、後の意見交換の時間も確保したいと思いますので、各団体10分以内という目安でお願いできればと思います。

早速よろしくお願いします。

○全国消費者団体連絡会浦郷事務局長  全国消費者団体連絡会の浦郷と申します。よろしくお願いいたします。

資料1になります。「消費者基本計画工程表改定に向けた要望」ということで、資料に沿って御説明させていただきます。

まず初めに「1.消費者基本計画に関する全国消団連の取り組み」ということで、全国消団連は、消費者の権利と暮らしの向上を目的として、消費者問題を初め、食の安全、環境・エネルギーなど、暮らしにかかわる様々なテーマに取り組んでおります。そして、この消費者基本計画に関しては、私たちの中では最重要事項として取り組んでおります。

今年度は、工程表改定素案に対するパブリックコメント募集のさなかの4月20日に、全国消団連の機関会議の中の学習会において、消費者庁消費者政策課に来ていただきまして工程表改定素案について説明をしていただき、会員団体の皆さんと意見交換をいたしました。その模様は、2ページ、3ページのところに開催報告が載っておりますので、また後ほど御覧いただきたいと思います。

ここでの学習、意見交換をもとに全国消団連では幅広い分野に対しての意見・要望ということで、67項目にわたるパブリックコメントを提出しております。パブリックコメントのほうも後ろの7ページ以降のところにつけておりますので、また御覧いただきたいと思います。

消費者団体として、この消費者基本計画に対して正式に意見・要望を言えるのはこのパブリックコメントだけということなので、力を入れております。また、会員団体にもパブリックコメントの提出を呼びかけました。また、先月10月12日には、消費者庁消費者政策課より、次回の工程表改定を進めるに当たり消費者の意見を伺いたいということで依頼がありましたので、意見交換会をまた開催いたしました。そちらの模様は、5ページのところにまた開催報告を載せておりますので、御覧いただきたいと思います。

次に「2.消費者基本計画について課題と考えること」です。

まず、KPIの設定のあり方ですけれども、工程表の施策の達成度合い把握のために、全ての施策にKPIが設けられております。そして、施策の取組状況、実施状況、進捗状況などをKPIとしています。工程表の中では、KPIの現状ということで前年度の会議体の開催回数、参加人数、講師の派遣回数、資料の配布数量、被害の報告件数、処分件数などの数値を記載しているものが多くあります。しかし、その数値がその施策の達成度合いを測る指標としてのKPIとしてふさわしいのかどうかというところは疑問であります。また、現状の数値を入れていることが多いのですが、現状の数値だけではなく、できる限り目標値を入れるべきではないかと考えております。先月の意見交換会の中で出た意見ですけれども、子供の不慮の事故を防止するための取組で、KPIがそこでは「子ども安全メール」の登録件数、配信回数になっておりました。取組自身をKPIとするならばこれでいいと思うのですけれども、事故防止というところを重視するのであれば、メールの登録、配信の取組によって事故がどのぐらい減ったかというところがKPIになるのではないか。そういう御意見もいただいております。消費者委員会でも、毎年、工程表改定素案に対する意見の中で、例えば、消費者や事業者への周知状況についてKPIを設定するのであれば、広報資料の作成部数や説明会の回数をはかるのではなく、周知率ではかることを検討すべきなどということでKPIの見直しを求めていらっしゃいますけれども、そこが全然改善されていないと思います。消費者基本計画本文の中に記載されているKPIをあらわすものとして、何を数値化すればよいのか。そこをもっと検討してもらいたいと思っております。KPIの見直しがされれば、消費者基本計画の施策はさらに進むと考えております。

また、KPI達成に向けた毎年度施策の設定のあり方、これは工程表の中の図のところの線の引き方の話なのですけれども、この工程表の図についても、年限を区切らずに取り組むこととして5年間平板に矢印が引かれているだけという施策が多く見られます。これも消費者委員会のほうから意見として毎年出されておりますけれども、可能な限り具体的な取組に分けた上、取組ごとに期限を明確にして図に示すべきだと私どもも思っておりますので、そこはよろしくお願いしたいと思います。消費者基本計画に対する個別の施策については、資料についているパブコメ、意見書を御覧いただければと思います。

(3)消費者庁以外の省庁への施策への対応ということで、お話をさせていただきます。消費者政策は幅広く多岐にわたるため、消費者庁だけでなく多くの省庁がかかわってくることだと思います。そのため、消費者庁は消費者の視点に立って縦割りの行政に横串を刺し、課題を整理し、関係府省庁との連携をし、消費者行政の司令塔としての施策の一体的な実現に努める役割があると思っております。特にこの消費者基本計画においては、消費者庁以外の施策に対して司令塔として刺さり込み、前進させることが一番重要な点だと思っております。しかし、消費者庁と各府省庁との調整内容がオープンになることがないため、消費者団体のパブリックコメントを提出しても原案に反映されることがほとんどなく、そこのところはどうなっているのでしょうかということを質問しても、消費者庁は「担当省庁には伝えているが・・・」という返答が多く、消費者庁の力量に本当に疑問符がつかざるを得ないという感じがいたします。これが繰り返されると、消費者基本計画、そして、工程表が形骸化しているのではないかという思いに至ることもあります。かつて、消費者庁・消費者委員会発足前の消費者基本計画の検証・評価・監視においては、内閣府国民生活審議会の場に各省庁を呼び、公の場で審議会委員による検証・評価を行ったこともあったということを聞いております。現在、この機能は消費者委員会に引き継がれていると考えますが、これに加え、消費者庁自身が省庁間調整の模様を極力オープンにすることで、現状の改善につながるのではないか。また、消費者委員会のほうも検証・評価・監視に際し、自身が建議した事項のみならず、幅広い問題提起を行うべきではないかと考えております。

消費者委員会は第三者機関として消費者政策をしっかり見ていっていただきたいということで、私どもも期待しておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

以上です。

○池本委員長代理  どうもありがとうございました。

引き続きまして、消費者関連専門家会議より御説明をお願いします。

○消費者関連専門家会議島谷理事長  皆様、おはようございます。消費者関連専門家会議(ACAP)の理事長を拝命しております、消費科学研究所の島谷と申します。

ACAPは、公益社団法人でございまして、全国の企業のお客様相談室、消費者関連部門、こういったところの会員で構成をされております全国組織でございます。会員総数866名、参加されている企業につきましては577社を数えております。主な拠点といたしましては、東京、大阪、九州・福岡と、中部・名古屋に活動拠点を持っております。また、北のほうにつきましては、その都度、何かイベントを企画したり会合がございましたら参加をしているような状況でございます。設立は1980年、今年は37年を数えます。設立の目的としましては、もちろん全国の企業の消費者対応力のレベルアップ、それと消費者志向にかかわる経営の推進を目的として掲げております。具体的にはお手元のパンフレット等関連資料がございますので御参照ください。特に消費者志向経営につきましては、本年度の当会の重点課題でもございます。また、消費者庁が推進しております消費者志向経営の推進とも連携をいたしており、消費者志向自主宣言の募集及びそれのフォローアップ活動といったところと連携をして、当会もそういった活動に注力をしている次第でございます。こういったところを通じまして進めていっております。

詳細につきまして、本日のテーマでございます当会の意見の取りまとめにつきまして、大きく2つ、消費者委員会の運営全般にかかわる意見と消費者基本計画工程表の改定に向けての意見を当会で取りまとめて資料としてお配りいたしております。具体的には資料2でございますが、これに沿いまして事務局長の清水から詳細につきまして御説明をさせていただきたいと思います。

お願いします。

○消費者関連専門家会議清水事務局長  おはようございます。清水きよみでございます。よろしくお願いします。

今、お話がございましたように、委員会の運営と基本計画工程表についてということでお話しさせていただきます。ペーパーは提出していますのでかいつまんでお話しさせていただきますが、まず「I.消費者委員会の運営等に関して」ということで、1番目、消費者市民社会の構築に向けて機能を最大限に発揮していただきたいということ。第5次の消費者委員会でございますので、今までの活動を踏まえて、新たな課題や今日的な課題についてもスピーディーな対応をぜひともお願いしたいと思います。消費者被害の解決や防止はもちろんですが、それだけではなく持続可能な開発目標SDGsといったものも視野に入れて、誰も置き去りにしない活動を期待しております。消費者基本計画・工程表につきましては、監視・意見等は消費者委員会として必要なことでございますけれども、基本計画は5年ごとの作成ということですので中長期的な視点がどうも持ちにくいというようなこともございます。新たな課題が出てきた場合の対応なども必要ですが、将来を見据えた提言などについても大いに期待したいと思います。

機能発揮に向けた体制の確保ということで、皆様方10名の委員は各分野の専門家でございますけれども、それ以外にも様々な、消費者、事業者、市場の実態や状況を適切かつ現実的に把握しているような方たちからも幅広く意見を求めたり、参画するような必要があると思います。ヒアリングなども、専門家を招いているのはもちろんでございますけれども、企業であれば業態業種に偏りなく、消費者についても消費者団体だけではなく、各世代の方、若者とか、学生とか、いろいろな立場の人の意見を聞くような方策も検討いただきたいと思います。

3番目、事業者・事業者団体との連携ということですが、昨年、消費者庁が消費者志向経営の取組促進に関する検討会をしまして、消費者志向自主宣言が始まるなど、消費者志向経営に目が向けられております。事業者にとっては昔から当たり前のようにやっているではないかという話でもございますが、不祥事は毎年なくならないわけで、消費者委員会においても事業者との協働、連携にさらに努めていただきたいと思います。本日も「消費者団体ほか関係団体等との意見交換会」ということで、私どもは「ほか」なのか「等」なのか分かりませんけれども、一緒に招いていただいております。消費者視点を事業者にも広めるということもございますし、消費者問題の解決のために市場を把握するという意味でも、各業界の実態とか消費者関連の課題を把握できるよう様々な事業者・事業者団体との意見交換会というのも、「等」や「ほか」ではなく設けていただきたいと思います。消費者委員会に限らず、いろいろなところのシンポジウムなどにも「連携」と言われる割には事業者が登壇する機会というのはかなり少なくて、事業者、事業者団体もきちんと仲間に入れていただきたいと思います。

4番目、タイムリーで分かりやすい情報発信ということですけれども、建議とか提言などは消費者委員会のホームページに掲載されていますが、時系列に載せてありますので、その後の関係省庁の動きとか、法制化、フォローなどの様子が見えにくいという欠点がございます。内容ごとにまとめてその後の進捗まで確認できるような消費者委員会活動の「見える化」、消費者対策の「見える化」ということになりますが、そういった工夫をお願いしたいと思います。そういうことを進めますと分かりやすい情報源となりますので、事業者、消費者、社会、誰にとっても必要な情報がよく分かるようになるのではないかということで、さらなる広報の強化もお願いしたいと思います。

次、消費者基本計画工程表についてでございます。

まず、先ほども工程表は5年ごとということでお話ししましたが、新しい事案への対応ということで、昨年の工程表にも別表でSDGsなど幾つかまとめて書かれておりましたが、拝見しますと、SDGsのフォローすべき内容というところに食品ロスとか子供の安全とかが挙げられていまして、ちょっと偏っているような印象を受けました。項目を突然立てたからそういうことになるのだと思いますが、SDGsについては、大変重要な目標ですけれども、マスコミの取り上げも少なくて、まだまだ認知が少ないということもございます。推進のためには、消費者、事業者、行政、各主体の取組が必要ですので、基本計画の工程表にもきちんと組み込んで進めていただきたい。SDGsの実施指針というのも作成されていますが、それときっちりと連携した進め方を検討する必要があると思います。

2番、3番、4番に書かせていただいておりますのは、中小企業への対応などの課題、消費者への啓発などの項目でございます。

2番目、食品製造事業者のHACCPの件は、中小企業への導入促進が課題となっていますので、そのメリットなど、さらに理解を求めるような施策が重要だと思います。

3番目、表示について、洗濯表示が改定されました。製造業者のほうは対応しておりますけれども、これからはさらにクリーニング業者とか消費者の混乱が増えていくと思いますので、学校教育との連携とか、消費者に届くさまざまな啓発、宣伝活動を検討いただきたいと思います。

4番目、食品表示です。こちらも小規模事業者が特に食品事業者には多いですので、原産地表示の周知徹底とか、消費者に対しても丁寧な情報提供が必要だと思われます。

5番目、これは高齢者関連です。超高齢社会の到来により、高齢者サポート事業はどんどん市場も拡大していますので、いろいろ、有料老人ホーム、介護のトラブルなど、判断能力が低下する高齢者を狙った悪質事業者などの増加も阻止するために、いろいろと全体を俯瞰した対策が必要と思います。

6番目から9番目が、消費者教育関連です。こちらについては消費者委員会からも方針改定の意見が出されるようでございますけれども、幾つか申し上げたいと思います。まず、消費者教育全般については、被害の防止だけではなくて、情報の収集とか活用など消費者市民を育むような消費者教育というような具体的なメニューをどんどん作り、メディアなども活用して啓発していただきたい。高齢者につきましては、見守りがまずは先なのかもしれませんけれども、だまされないという方向だけではなくて、安全教育とか事故防止、情報リテラシーなども含めての対策も必要と思われます。それから、職域というものが書かれていますが、大人になってから消費者教育はなかなかする場面がありませんので、職域をうまく活用するということ。従業員教育につきましては、働き方改革と言われる中、事業に直結しない時間創出を新たに作るのは難しいということもありますので、持続可能な社会に向けてSDGsとかエシカル消費なども推奨するといったように、両方を進めることができるような方策があるのではないかと思います。

7番ですが、事業者・事業者団体への消費者教育の関与ですが、必要と分かっていてもどうやって取り組んだらいいか分からないという意見がかなり多くございますので、「消費者教育は、消費者志向経営の推進に向けて重要な活動の一つである」と盛り込んでいただいて、事業者が率先して対応できるようにしていただきたいと思います。消費者志向自主宣言の中に消費者教育の活動といったことも取り込み積極的に取り組む企業が優良事例として表彰されたりという動きがあるといいと思います。

次、倫理的消費については、まだまだ一般の消費者の方の認知が少ないのでさらに取組の強化をお願いしたいと思います。

9番目、食品ロスにつきましては、国民運動としてやるのはもちろんですけれども、もったいないといった精神論だけで走るのではなくて、事業者やサプライチェーンなどを全部巻き込んだ食品ロスの実行可能な効果的な対策の検討が急務と考えます。

10番目の消費者志向経営の推進ですが、消費者志向自主宣言はまだ55社しかしていません。うちACAP会員が42社ですが、地方とか中小企業などへの拡大が課題ですので、消費者庁だけではなく、経産省、中小企業庁などと連携してどんどん進めていくような方策が必要です。徳島県では商工会なども巻き込み推進組織が立ち上がったようですが、他地域でもブロック別とか各県別にもそういった活動を広げて、全国に広がるようにしていただければと思います。そうしていくうちに消費者志向自主宣言というものの名前が通り、自主宣言している企業には一定の信頼がおけるという流れを作っていただければ、宣言する企業もどんどん増えると思います。宣言した企業にヒアリングをいたしますと、社内の各部門の連携や体制の見直しがきちんとできたという声が多くあります。外に向けてPRできたということでなく、上から下まで、トップから従業員まで見直しができて意思統一ができたことがとてもメリットだと言われております。

そのほか、11番は書面の通り、12番は、前から申し上げていますが、PIO-NETに集められた消費者相談の情報がなかなか事業者には御提供いただけないということなのですけれども、条件などをつけ提供いただけるようになれば、消費者トラブルの早期解決とか、商品・サービスの改善に生かす情報となりますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。

以上でございます。

○池本委員長代理  ありがとうございました。

引き続きまして、日本ヒーブ協議会より御説明をお願いします。10分を目安でお願いします。

○日本ヒーブ協議会宮木代表理事  おはようございます。日本ヒーブ協議会代表理事の宮木由貴子と申します。

私から組織の活動趣旨につきまして簡単に御説明した後、副代表理事の梶原より具体的なお話をさせていただきたいと思います。

日本ヒーブ協議会と申しますのは、企業と生活者のパイプ役を果たすことを目的に、1978年に設立された団体でございます。企業の多様な部署に勤める女性が集って活動する団体でございまして、消費視点と就労視点の2つの視点を持っております。消費視点のほうでは消費者庁の消費者志向経営推進組織メンバーとして活動させていただいておりますし、就労視点というところでは昨今注目されております男女共同参画推進連携会議のところで団体推薦議員として意見を言わせていただいております。こうした活動を通じて、企業と生活者、消費者をつなげていくというのが団体の目的でございます。

2枚目のスライドでございます。今年度の活動テーマとして掲げておりますのが「三位一体で描く消費環境デザイン-消費者・企業・行政で紡ぐ次世代の消費社会-」です。私どもは、消費者志向と持続可能な社会に不可欠なのは、消費者がどう考えるか、次世代の消費や社会が今後どうなるかを見通すための知識と想像力であると考えております。いわばデザインする力です。非常に多様化した社会と多様化した消費者という中で、社会の実態把握が非常に難しいというところがございます。そうした中、社会の変化や課題に対応していくという姿勢だけではなくて、みずから目指す消費社会をデザインしていくという姿勢で、先を見通す力をつけていきたいと考えて行動し、活動しております。さらに、生活者と企業をつなぐ役割に加えて、異業種で構成されている事業者団体としての強みと生活者視点を生かして、生活者と企業だけではなくて、例えば、自社と他社、自分と他人、自分と自社、行政と企業、企業と社会といったところをそれぞれつなぎ、連携を推進することで、よりよい消費社会の未来につないでいこうという活動を行っております。

3枚目のスライドというのは、それらを図化したものでございます。

具体的な話につきまして、梶原より御報告申し上げます。

○日本ヒーブ協議会梶原副代表理事  梶原です。よろしくお願いいたします。

私からは、まず、基本計画工程表に沿って、今、当協議会で取り組んでいることを簡単に御紹介した上で、改定に向けた意見を述べさせていただきたいと思います。

資料の4枚目を御覧ください。工程表の1から4番を中心に、簡単に今の取組状況を御紹介させていただきます。

「1.経済の好循環形成と消費者の安全・安心確保」につきましては、安心・安全な消費生活と企業の持続的な発展・成長を同時並行かつ安定的に継続するためには、消費者志向経営の推進が必要です。ヒーブとしましては、先ほども話があったとおり、推進組織のメンバーとしてかかわっておりますので、企業活動の情報提供を含む消費者教育にも力を入れているところでございます。

「2.高齢化・独居化の進行」につきましては、高齢消費者の自立的かつ快適な消費生活を目指し、企業活動に資する情報発信を行っております。具体的には、昨年度、会員企業の事例を業種横断的にまとめた冊子を発信いたしました。また、イベントの開催時にはUDトークを導入したり、ユニバーサルコミュニケーションデザインの活用検討を行うなど、幅広い消費者へ伝わりやすい方法を検討し、ユニバーサルな情報発信のトライアルを始めているところでございます。

「3.女性の活躍の進展」につきまして、単なるワーク・ライフ・バランスではなく、今はワークとライフの相乗効果を目指した女性活躍推進です。具体的には、女性の生活者視点、私たちはこれを「ヒーブ視点」と呼んでいるのですが、こういったものを企業活動に生かすことに取り組んでおります。内閣府・男女共同参画推進連携会議と共催でイベントを開催しておりまして、昨年度は東京、今年度は大阪・九州、具体的には福岡や熊本なのですが、こういったところでイベントを開催して地域との連携にも取り組んでおり、男女共同参画と企業における消費者視点の活用についても社会発信をしているところです。

最後「4.高度情報社会の進展」についてですが、どの企業も、ICTとか、ビッグデータ、AIの活用が必須となっており、AI技術や将来を見通すシナリオプランニングなどの最新情報について会員同士で学び合いを行っており、今後の社会変化に対応できる人材育成にも力を入れているところでございます。

5枚目で、当協議会から消費者基本計画工程表改定に向けた意見を大きく3点述べさせていただきます。

1点目は、先ほどACAPもお話しされていますけれども「消費者志向経営のさらなる推進に向けて」でございます。今年度の重点課題は消費者志向経営の宣言とフォローアップ活動の促進となっておりますが、宣言企業数や業種はまだ限定的です。企業事例の積極的な共有や企業同士の連携による情報発信などを通じ、幅広い企業が参画するための仕組み作りが必要だと考えています。また、来年度、平成30年度以降に優良事例表彰が予定されていますが、そもそも宣言企業へのインセンティブが不明確で、取組の拡大には課題を感じております。例えば、消費者志向経営の効果を「見える化」する。それらが与える具体的なビジネスインパクトを社会に発信する。こういったことを経産省など関係省庁との連携を視野に入れて検討してはどうかと考えております。加えまして、消費者志向経営の推進にはトップダウンはもちろん重要なのですが、それを実効化するにはボトムアップが不可欠だと考えています。当協議会のように幅広い業種に就労する消費者視点を持った女性が中心となり、業種横断の優良事例を発信する、また、各企業における消費者志向経営の活動を活発化していくことが大切になってきます。こうした活動により、経営層のみならず、企業に所属する従業員一人一人における消費者志向の意識を高めることが期待されると考えております。

2点目の「適正な取引の実現」について、事業者及び事業者団体を通じた消費者教育を活性化させるために、企業内の消費者意識の喚起・知識向上、消費者視点の醸成を推進する必要があります。特にダイバーシティー、つまり、多様な視点、多様な人材が活躍する組織というのは、世の中の変化に柔軟に対応することができると言われております。多様化した消費社会に対応するためには、社内の多様な従業員、これは、性別、年齢だけではなくて、正規・非正規、障がいの有無、外国人なども含まれますが、こういったところにおける消費者教育を進めることで、様々な領域への教育効果の波及も期待できるので、この視点も欠かせないと考えております。

最後、3点目の「消費者が主役となって選択・行動できる社会の形成」について、まずは消費者の全体像を把握すること。先ほど宮木代表も申し上げましたけれども、消費者というのは一元的に捉えることが難しくて、立体的に把握することが必要になります。そのためには、多視点・多様性を持つ企業・行政・団体間で一層の情報共有が求められると思います。また、そこで共有した消費者情報につきましては、将来の社会変化、消費環境整備を見越した建設的な活用が求められると考えています。今後、人口減少が見込まれる日本におきましては、新たな市場を開拓すべく、ICT、ビッグデータ、AIの活用といったことも含めた企業間連携も進めていく必要があると考えております。

簡単ではございますが、以上になります。ありがとうございました。

○池本委員長代理  ありがとうございます。

引き続きまして、主婦連合会より御説明をお願いします。

○主婦連合会有田会長  主婦連合会は、資料4は工程表改定に向けた要望ということだけで、これに漏れた全体的なものもございますので、それを口頭で述べさせていただきたいと思います。

私から簡単にこの工程表に対しての要望ということで申し上げますけれども、まず、皆さん、ほかの団体がおっしゃったように、少しだけ団体の日ごろの取組をお話しさせていただきたいと思います。

日ごろ、消費者の権利を進めるということで活動しております。ですが、自供者団体とも敵対するわけではなく、意見交換をしながら同じ方向を向いてできるところはそういう形で行動しております。ただ、消費者団体は、企業と違いまして情報も少なく、意見を届けると言っても難しいところがありますので、一般企業と同じということではなくて、消費者委員会で意見を述べさせていただくことは非常にありがたいと思っております。日ごろの活動といいますと、SDGsに関連することもそうですが、洗濯絵表示も、ここ数年間、全国でいろいろ、今年も徳島のところで、洗濯絵表示、標準化の話をしてまいりました。徳島に初めてこういう学習会の場ができたということで、非常に喜んでいただけました。

それ以外にも、この工程表に書いてあるのは、ちょっと時間をとるとあれなのですが、見ていただければ非常に分かっていただけると思うのですが、後半、事務局長からこの資料に載っていないことについて発言もあると思いますので、トレーサビリティーのこととか、食品表示制度の円滑な施行、そういうことを御覧になっていただきたい。

私は、先ほどこれに沿って話しますと申し上げましたが、1つだけずっと言い続けていることを私の専門分野のところから申し上げたいと思うのですが、化学物質の政策のところがいつもリスクコミュニケーションのみで、化学物質アドバイザーが地方に行って今年は二十何件行いましたということなのですが、アドバイザー制度の立ち上げのときには私もかかわりました。その後がどういうことになっているか最近は分からないのですけれども、KPIという話も先ほど全国消団連の浦郷事務局長から出されましたが、それだけでは内容の質が分からないということもありまして、これは消費者庁や消費者委員会に要望なのですが、化学物質の教育というのは環境省が海外の調査をしています。その内容は日本とは全く違っていて、体系的にただ単に怖いもの・恐ろしいものということではなくて、教育の中に組み込まれているので、そういう視点が必要ではないかというのが、化学物質の政策の対話が各省庁も参加して行われている。そこに、消費者庁が出てきてくださらないので、その議論というのが、毎度の話になるのですが、そこの委員から消費者庁や文科省には出てきてもらえないものだろうかという話になるのですね。そういうことがありますので、海外、特にEUのほうでは化学物質の情報が消費者にすぐに分かるようなツールを、今年9月から、ToxFoxというものを開発したBUNDという市民団体がヨーロッパ全土に5年間かけて広めていくと。要するに、消費者がどうせ化学物質のことは分かりにくい、分からないだろうというのではなくて、そういうことも含めて情報を提供していくという視点に立っていることをぜひ分かっていただきたいと思って、書いていないのですが、工程表のことを説明しますと言ったのですが、どうしてもこれが発言したかったので、済みません。ちょっと飛ばしました。

事務局長のほうに回します。

○主婦連合会河村事務局長  事務局長の河村でございます。

資料4に基本計画への意見をリストアップしています。今年の春にパブコメに出したもののうち継続して訴えたいものに加えて新しい視点で盛り込んだものも含まれています。

時間も限られていますのでその中から3つピックアップいたしますと、3ページのところにあります食品の安全確保というところでは、カフェインの問題を挙げています。普通の飲料としてカフェインを含むものを飲む場合には一度に大量に飲めるものではありませんし、専門的なことは分かりませんが、コーヒーやお茶に含まれるカフェインを摂取する場合は、カフェインの成分だけを摂取するのと違い、体への悪影響が和らげられるということがあると聞いています。問題は、カフェインという成分を錠剤にしたようなものです。カフェインの錠剤は普通に「食品」として売られているものですが、おおむね50錠で致死量になる計算です。こういうリスクが野放しになっています。若い人たちの中で特にアルコールと一緒に摂取するのは大変リスクが高いです。その視点を食品の安全の項に入れていただきたいという意見をあげています。

消費者契約法については成年年齢の引き下げに関わる対応が法律改正の中に入るようにという意見をあげています。あとは、神戸製鋼、日産自動車などの問題が出ていますけれども、こういった企業不祥事が公益通報者保護法だけでうまくいくとは思いませんけれども、こういうことが最終的に内部通報や告発で明るみに出たとしても、長年放置されてきたということは、公益通報者を保護する制度が整備されていないということだと思いますので、ぜひ公益通報者保護法の実効性をあげるための法改正について基本計画に入れていただきたいということをあげています。

あと2、3分だけお願いします。

資料の参考資料というところにつけましたのは、著作権改革についてです。このテーマで先日院内集会を、私ども主婦連合会とインターネットユーザー協会という津田大介さんが共同代表を務めている団体が事務局を担って開催したところです。著作権法というのは今までずっと消費者問題のテーマの中に入ってこなかったものです。主婦連合会は長年取り組んでいるのですけれども、どうしても著作権者を守る法律みたいなイメージがあるのですが、そもそも法の目的は著作物の公正な利用と適切な保護、文化の発展が目的でございまして、昨今、情報通信技術が発達してきますと、コンテンツの使い方が本当に時々刻々変わっていくのですが、日本の著作権法はがちがちなので、一個一個法改正して、これ行為はよろしいと個別に権利制限規定を増やしていく方法となるのですが、法改正は時代に追いつきません。アメリカにはフェアユース規定というものがあり、ただ、この言葉を使うと物議を醸すので、柔軟な権利制限規定と呼んでいますが、公正な利用であれば許諾がいらないという柔軟な規定のことで、これを日本も著作権法に導入するべきという運動をしております。ここの参考資料に掲げましたのは、賛同者による連名で声明として公表したものです。ニュースでも話題になっております音楽教室で子供たちが楽曲を練習で弾くのに、演奏に関する許諾をとれ、著作権料を払えということを権利者団体が主張していますが、音楽教室の方は、民間の音楽教室は、長年公教育と並んで日本の子供たちの音楽教育に貢献したところを見てほしいと。ひとに聞かせるためというよりは練習するための演奏に、営利事業ということで権利者にお金を払うというのは、結局月謝などに反映されますので、これは消費者問題の一つかなと考えております。

もう一つは、学校教育の問題です。情報通信技術の発達に著作権法がついていっていないので、コンピューターやネットワークを用いた遠隔教育は規定が追い付かず、ちょっとずつ広げてはいくのですけれども、細かい要件があってそれが教育に通信を用いることの障害となっています。学校教育の現場は、これはグレーかもしれない、法律にひっかかる可能性があるかもしれないとなれば利用に対して萎縮し、せっかくの技術が生かされず通信を用いた遠隔教育が進んでいないという現状があります。過疎化が進んでいるので、こういうところも公正な利用ということで許諾をとらなくてもコンテンツ利用オーケーにするべきと私たちは主張しています。

医療の現場では、論文の著作権の壁があり副作用情報のスピーディーな伝達ができない問題が起きています。これも公正な利用として、柔軟な権利制限規定でカバーできるよう主張しています。

もう一つだけ、消費者にかかわる著作権の問題でお伝えしたいことは、皆さん、自分で買った著作物、本でも学術書でも法律書でも何でもいいのですけれども、また音楽でも古いレコードなどを持っている方もいると思うのですが、それらの著作物をメディア変換して、嵩があり重たい物体としてではなくデータにして持つことができたら、高齢化社会で、老人ホームに入るにしても、小さな住居に変わるにしても、くらしが豊かなものになると思います。それらは自分の財産ですし、お金を払ったコンテンツなのですが、それを自分で複製する場合は著作権法上私的複製ということで、無許諾でオーケーなのですが、誰か、例えば業者などにメディア変換を頼んだ途端に、これは私的複製ではなくなり、著作権者に許諾をとれという法律解釈になっています。これも時代に即した公正な利用ということで、自由にできるようにすることを求めています。消費者基本計画にもコンテンツの利用者としての消費者視点が盛り込まれたらいいと思いますし、消費者委員会のカバーするテーマの中にもぜひそういう視点も入れていただけたらと思っています。

ありがとうございました。

○池本委員長代理  ありがとうございます。

次に、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会より御説明をお願いいたします。

○日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会高橋副会長  おはようございます。長い名前なので「NACS」と普通は呼んでおります。よろしくお願いいたします。代表理事の高橋でございます。

皆さん御案内だと思うのですが、NACSは全国に3,000名の会員がございまして、それが全て消費生活アドバイザーあるいはコンサルタントの資格者という団体でございます。

私どもの活動では3本柱と呼んでおりまして、1つは消費者相談、具体的な救済ということになるかと思いますが、2番目が消費者教育、当然消費者問題は起きないほうがよろしいわけでその未然防止、3番目が行政とか各団体との連携、この3本柱でございます。その中で、今日御案内の消費者基本計画工程表へということで言いますと、非常に重要な意見交換の場と考えてございまして、こういう機会を与えていただいて、誠にありがとうございます。

私どもの御提出申し上げている資料5というところでございます。各団体の方から御意見が出ておりまして、それを伺っておりますが、私どものほうは、特にこの工程表のところにつきましては、具体的にこの点ですよということで今日は資料を提出しております。

まず、1番目で消費者の安全の確保というところでいきますと、子供さんの不慮の事故を防止するための取組についてなのですが、これは御案内の方もいらっしゃると思うのですが、NACSでは近時子供服の安全ということで、もともと国のPIO-NET等々ではなかなか情報として入ってこなかったものなのですが、私どもは全国の地方の支部の中で子供さんの服のひもが危ないということを独自にキャッチいたしまして、それをJIS化する取組をしたことがあります。それとも関連しまして、子供服を含めて、いろいろ子供の事故というのは当然起こります。その中で、子供の事故防止に関しては、特に重大事故の検証、意識調査の実施、関係省庁連絡会議の開催、こういうものが挙げられているのですが、問題だと思っておりますのは、その事故情報の提供とか、それに関する流れの中で、例えば「子ども安全メールfrom消費者庁」の配信サービスに関して、なかなかこれが増えておりません。子供さんが実際にいらっしゃる世帯への提供比率がかなり低いのではないでしょうか。パブリックコメントの中でも、具体的な広報の方法として、地方自治体経由で幼稚園児・保育園児の保護者、園だよりなど、こういうものを活用したらどうでしょうかという具体的な御意見とか、あるいは、未就園児に対する子育てサロン、子育てサークル、見守る民生委員・児童委員、こういう方々への広報も対象に加えて、地域住民に啓発を兼ねて広報する必要性、こういうものが挙げられていたのですが、ぜひこういうようなところも具体的な施策として入れるべきではないかと思います。

危険ドラッグは、いろいろな事故、問題点がございまして、ここにも書かせていただいたのですが、消費者庁でも特商法に基づく危険ドラッグの通販サイトに対する表示の是正要求等を行う。これは非常に評価に値することだと思いますけれども、この第5次の薬物乱用防止5カ年計画、この辺のところにつきましても厳しい監視体制をぜひお願いしたいと思っております。

さらに3番目なのですが、事故情報の収集、公表、注意喚起も、これは御案内のことかと思うのですけれども、収集した件数に対して注意喚起が決して多いとは言えないという状況があると思います。そこも実際に目に見える形でこういうところの強化をお願いしたいということでございます。

4番目で、国民生活センターにおける商品テスト、この徳島県を実証フィールドとした先駆的な商品テストのプロジェクトの実施、この辺のところも先駆的な商品テストと従来テストのどこが違うのですかとは言われていることなのですが、ここのところも明確化していただければと思います。

次に、表示に関することです。これは、近時、原料原産地表示の問題とか、ここに書いております機能性表示食品制度についても、消費者が理解しているか、分かっているかというところはなかなか疑問になるところでして、そこもぜひ抜本的にそういうところを明確にする時期に来ているのではないかと思います。

5番目なのですが、適正な取引の実現という項目でいくと、1つ、いわゆる仮想通貨ですね。後ほど先般行われました私どもの110番の相談の実例もお話ししようかと思うのですが、これは非常に新しいサービスだと思いますので、この辺のところについての消費者への周知徹底もお願いしたい。

その他ということで、成年年齢の引下げの関連なのですが、これもやはり問題になるべきところかなと。当然20歳が18歳ということになりますと、そこへのいろいろな周知あるいは啓発というところが重要だということになりますので、ぜひ実効性のあるものをお願いしたい。

SDGsです。持続可能な開発目標につきましても、倫理的消費の普及、エシカルとか、食品ロスへの対応など、継続的な対応をお願いしたいということです。

次に、消費者委員会への要望ということで、NACSはいつものことなのですが、これもまたかなり具体的なところが書いてございまして、例えば、加工食品の原料原産地表示なのですが、ここに書いてあるとおりでございまして、「つぶあん(北海道製造)」と書いてしまえば、消費者は北海道で栽培された原料でそのまま作られたと誤認する可能性もありますので、これが実際には中国ですということも当然あるわけなので、なかなかこの表示というのは全てということになりますと難しいところはあるのですけれども、検討の余地が残されているのではないでしょうか。

それから、先ほど触れましたけれども、その中で表示ということで言いますと、機能性表示食品というものといわゆる特保ですね。この辺のところも具体的なことが書いてございますが、一般の消費者が理解しているかということになると疑問のところもございますので、ここについても対応をお願いしたいということです。

さらに、私ども相談室のほうで最近もこういうものが出てきたのですが、かつて原野商法というものがはびこりましていろいろ問題があったのですが、またこういうものが出てきたということで、このようなところにもきちんと目を光らせていただければと思います。

先ほども触れましたが、成年年齢の引下げの関連ということです。具体的な施策を早急に実施していただきたい。

カジノのところにつきましても、これは特区ということでいろいろな形で広げるという取組ではあるのですけれども、当然それに伴う依存症の問題等々もあると思いますので、ここへの対応もお願いしたい。

遺伝子組換え表示についても、やはりここに書いてございますが、表示を含めてどういう対応が重要かということです。

最後のところにちょっと書いてありますが、これは消費者相談でもちょっとあったのですけれども、いわゆる柔軟剤とか化粧品に含まれる香りですね。これは「香害」と呼んでもいいのかもしれませんが、いわゆる香りの害ということなのです。この手のものは、かつて、実際、シックハウスなども、かなり業界の皆さんの開発あるいは御協力ということもあったかと思うのですが、きちんとした対応が図られたという実例もございますので、健康被害ということになるとこれは大きな問題ですので、ここへの対応をお願いしたいということです。

最後に、ちょうど先週、私どもNACSで「消費者トラブルなんでも110番」、これは来年NACSが創立30周年ということなのですが、設立以来取り組んでいる取組です。取組として、これまでは分野を絞ってなんでも110番というものを受けていました。今年はその分野を広げまして、特定のものに絞らなかった。これはなぜかと言いますと、NACSに入ってくる消費者相談というのはほとんどが2次的な相談なのですね。どこかで相談をしましたけれども、なかなか納得が得られない、説明がよく分からない、あるいは救済がなかなか図られないというものが来ることが多いので、今回はそういう形でやってみました。ちょっと特徴的なところで言いますと、最後のほうに数字も載っているのですが、全国で、2日間で100相談があって、いわゆる年齢別というところなのですが、これまでは10代、20代というのは余りいなかったのです。これが今年は2割弱ということなので、私どものこの110番というところに関しては、年齢層が増えたかなということと、実際にその中身的に見ても、相談事例のところに載っていますが、100円のサプリを申し込んだら定期購入になっていましたと。これは10代、高校生なのですね。今ですと取消しということにはなるのですけれども、これが法改正されてしまえば違う形になりますので、こういう実例も含めて、先ほど申し上げた成年年齢引き下げのところの対応というのは必要かなという実例でございます。

以上でございます。

○池本委員長代理  ありがとうございます。

それでは、最後になりますが、国民生活産業・消費者団体連合会より、御説明をお願いいたします。

○国民生活産業・消費者団体連合会佐藤事務局長  おはようございます。国民生活産業・消費者団体連合会、通称「生団連」と呼んでおります。そちらの佐藤でございます。

本日は、意見交換会に参加する機会を頂戴しまして、本当にありがとうございます。初めての参加でございますので、若干発言では団体の紹介のところが中心になりますが、最後に、全般的なこととして2点ばかり御要望ということで発言させていただければと思います。

まず、私ども生団連の紹介からさせていただきたいと思います。私ども生団連は、まだ設立して6年弱ということで、比較的歴史自体は浅い団体でございます。平成23年、2011年の3.11東日本大震災のときに、この生団連の創設者で、当時チェーンストア協会の会長あるいは日本小売業協会の会長ということで、流通サービス業のトップであり、また企業としては総合スーパーのライフコーポレーションの会長でいらっしゃいます清水信次氏が、3.11のときの被災地の生活者の非常に困難な被災状況を目の当たりにされまして、危うく終戦があと1か月遅ければ恐らく特攻隊員として命を失っておられたであろう清水信次氏が、焼け野原となった都会の姿と被災地のその姿をオーバーラップいたしまして、我が国には、自分が率いている業界団体あるいは経済団体が数多くありますが、真に国民の生活のためにという団体がどこにあろうかという熱い思いで、まずは流通サービス業を中心としながらも、そこに生活必需品であります消費財を中心に供給される食品メーカー等の生産者、さらには業界団体、そのトップの方にお声かけをして、団体設立に動かれました。そして、ここが生団連の最大の特徴なのですが、本日御出席されております全国消団連さんを含め、数多くの消費者団体の方にも直接会員として勧誘の声をかけられました。当時、まだ数年前ですけれども、企業と消費者というものが、口では連携とかよりよい社会と言いながらも、やはりどちらかと言うと対立軸で捉えられていた時代でもあったかと思いますが、その中で清水現名誉会長なのですけれども、いろいろ熱く説かれて、消費者団体、消費者、生活者の生の声をぜひ団体の活動に反映させていきたいということで勧誘しました結果、現在、企業団体が数多くありますが、550を超える企業、消費者団体を含むあるいは業界団体を含む会員の皆様から成っている団体となっています。

そこでの活動理念は、国民の生命・生活を守るという非常に高邁(こうまい)な思想なのですが、ここからは若干恥を忍んで申し上げますけれども、いろいろな立場の方が会員になられていることと、掲げた理念が非常に高邁過ぎて、この6年弱の間のところ、その活動については、どうしても皆さんの意見の最大公約数的なテーマでしか取り上げられなかったことが反省点となります。

こちらの資料6の生団連についてのところで、「設立趣旨」の半ば以降にありますけれども、テーマとしては、災害対策、食品廃棄削減、エネルギーと環境、人口減少と超高齢社会と大きく掲げたものの、例えば、災害においては、被災のマニュアル作り。食品廃棄については、もったいないゼロキャンペーンなどを、都道府県、自治体と推進。エネルギー環境と言っているのですが、中心となりますのはリサイクル。ただ、リサイクルにも本当にリサイクルすべきかといういろいろな議論もありますので、そこのところはリサイクルとはこういうことだよという啓発活動に終始していた。あるいは、最後の人口減少と超高齢社会は、これが解決できれば日本は何も問題がないと思うのですが、できてきたことといえば、これも地道な活動で、私は非常にいい活動だと思っているのですけれども、例えば、男の「ちょいカジ」マニュアル。まだ女性が家庭で家事を主にあずかっている。その女性が社会参画するために、男の人が少しでも家事を手伝っていこう。でも、いきなりで何をやるか分からないということで「ちょいカジ」マニュアルなんて作って、こういうものをマスコミなんかも取り上げられるようになってきました。

ただ、いかんせん、例えば、政官に対しての発言というところでは弱い面があったので、清水名誉会長は今年の1月に会長から名誉会長になられまして、2代目の会長として外食産業のトップであられますゼンショーホールディングス、牛丼のすき家さんなんかで有名ですけれども、そこの小川賢太郎会長が2代目会長として就任しまして、日ごろいろいろ霞が関や永田町を動かしていかないと、結局、最後は消費者の生活の向上につながらないよねということで、この熱い思いで、次のページなのですけれども、エッジのきいた、中には議論が分かれるものもしっかり議論してやっていこうということで、従来以上に、様々なそして具体的な課題に取り組む事業計画を策定しました。災害ということも、マニュアル作りだけではなくて、例えば、イオンさんとか、セブン&アイ・ホールディングスさんとか、実際に全国展開されている、各地域と災害協定を結んでおられるようなこんな大企業さんがせっかく会員でいらっしゃいますので、ここのネットワークを使って、実際に災害に対して、被災者に対して手を差し伸べられないか。そういったことをやっていこう。それから、分別・リサイクル、さっき言いましたように、こんなことを言ったら怒られるところもあるのですけれども、本当にリサイクルは必要なのかというそもそものところからスタートして、環境省、経産省ともいろいろ議論をさせていただいています。

今までなかったところでは、より政治色が出てくるのですが、税制の問題あるいは人手不足が大きくうたわれている中で、外国人の活用等々、もちろん女性・高齢者の活用は当たり前なのですけれども、こういったものも含めて労務問題といったものも取り組んでいこうということで、今年度は活動しております。

最後、私どもは月1回程度のタイミングでニュースレターを発行しておりまして、ちょうどこのニュースレターで書いているところに、先般の衆議院選挙がありました際に、選挙のときこそ各政権与党、野党も含めて、国会議員の先生方というか国会議員になろうとされている先生方が我々の声を聞いてくれるチャンスだと思いまして、財政・予算制度改革についての提言を出しました。消費増税反対とか賛成とかという形になりますと一連の政党の支持につながりますので、そういうことは別にして、我々としては、消費増税をするにしてもしないにしても、とにかく国民に対して透明性の高い財政・予算制度を構築してくれと。具体的には、独立財政機関等を設けるとか、そういったことを提言いたしましたところ、その提言後1週間の間に提出した全政党から回答がまいりました。それを私どものホームページにも掲載しながら、マスコミにも取り上げられております。また、御機会があれば見ていただければと思います。

こういったことで、まだわずかな力でありますが、政官にもしっかり訴えていくということをも忘れることなく、さっき言いました最初の我々の理念であります消費者・生活者と企業、今日御参加の団体様の多くがそういったかけ橋になるというお言葉を使われておられましたが、我々生団連も会員自体がそうなっていますので、ここのところに力を入れていきたいなと思っています。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

資料にはなっていないのですが、2点だけ一般的なところでの御要望を申し上げます。

先ほど言いました、消費者志向経営等々をうたわれる中で、各団体さんも皆さんおっしゃっていましたが、事業者の声もしっかり聞いていこうよという機会をしっかり持っていくべきだと思っています。生団連の中でも、理事会等々を開きましても、消費者団体は企業に遠慮して、企業も消費者団体の前ではなかなか本音がしゃべれないというようなことも実際あったりとか、そういった部分も実はあります。そういったことで、生団連の中でも、消費者部会、企業部会を別々に立ち上げてとか、そこでまた合同連絡会とかという組織作りもやっていますが、消費者委員会におかれましては、既に消費者と事業者は対立軸ではなく同じ共有の軸でよりよい社会を目指していく当事者、プレーヤーでありますから、そこが本当の本音でしゃべれる連携の機会をぜひ設けていただきたいなと思っています。これが1つ目。

最後になりますが、若干事業者側に偏った言い方になってしまうことがあれば、誤解を恐れず申し上げますけれども、「消費者視点」と言った場合のときに、限られた社会的な資源の投入、端的に言えばお金ですね。あるいは経営資源。事業者の経営資源が無限にあれば、それはやるべきかどうかという判断であればやったほうがいいよねというものはどんどんやっていけばいいと思うのですが、世の中には一定の合理的・社会的コストの範囲内であればやるべきだという、いわゆるコスト概念が必要なものも多分にあると思います。どんなにコストをかけても達成されなければいけない事業もあります。当然生命にかかわるような問題は、手段として合理的なものが必要ですけれども、その一方で、さっき例も挙がりましたけれども、途中からの参加というか、今日初めて参加して偉そうなのですけれども、先般の原料原産地の表示の問題は、非常に目的として支持できる部分もありますが、ここで結局達成されたレベルというのは、事業者に、例えば、食品メーカーにあれだけのコストを払わせてやるべきものが達成されたのでしょうか。多分いろいろな諮問委員会のときに、もっと本音でしゃべれるメーカー側の意見とか、あるいは実際にこれにかけてこれだけお金がかかるのですよということがもっと議論されればよかったのかなと思っています。

ちょっと主題とは変わりますが、先ほど申し上げた消費増税の中で、軽減税率の導入という問題は皆さん御存じかと思いますが、今、基本的には平成31年10月に消費税が8%から10%に上がった際に、食料品等におきましては軽減税率が導入される。多くの消費者団体の方も、聞いている中では、それは食料品なのだから軽減税率を導入してほしいよねというお気持ちも分かります。私もそうだと思います。しかし、8%と10%の差のこの2%を小売業等々が対応するために、レジ等のシステム改定等に数億円の費用がかかっているケースもあります。日ごろから消費者のためにということで少しでも安く、1%や2%のレベルではない、2割、3割引のお値段でやっている部分が、こういう形でどんどん小売にコストがかかるという話になれば、実際に最後は消費者のためにならないような価格設定にならざるをえないということもありえるのではないでしょうか。

何が言いたいかといいますと、要は社会的コストも考えながら、いわゆるウイン・ウインの関係で進めていけるにはどうするかといったことを議論していきたいなと。そういった部分の場であってほしいなという要望であります。

長くなりましたが、以上でございます。

○池本委員長代理  ありがとうございました。

各団体から、本当に様々な課題が提起されました。これから意見交換の質疑応答などに入っていきたいと思います。

まず、委員の方から御質問・御意見がある方、御発言をお願いします。いかがでしょうか。

○大森委員  皆さん、いろいろ細かく御意見をいただいてありがとうございます。

1つ、消費者庁とか消費者委員会がなかなか力を十分発揮できていなくて歯がゆい思いをされているという御意見もありましたけれども、私自身も感じるところではあるのですが、消費者庁、消費者委員会が力をつけるためには、消費者自身の力のアップが欠かせないと思うのです。一般の消費者の人が消費者力をアップして、消費者庁、消費者委員会に発言したり、その活動を見守るような姿勢ができてこないと、なかなか消費者庁とか消費者委員会の力が充実してこないのではないかと思っています。

そこでお願いなのですけれども、企業での消費者教育がとても大事になってくると思うのです。消費者志向経営とかSDGsとかの観点から、消費者教育を企業でもやったらどうかというような御提案もありましたけれども、ぜひ入るところから、新人研修でも管理職研修でもリタイア前の研修でも消費者教育を入れていただけないかと。今日は企業関連の方もかなり見えているので、その辺の御協力をお願いできないかといつも考えています。

消費者力をアップするということで、成年年齢の問題もありまして、社会人になっても消費者である、企業人になっても消費者であるわけで、加害者にも被害者にもなっては困るわけで、そういう意味で、企業における消費者教育というのはなかなか実施されていなくて大変大きな問題だと思っておりますので、今日来られた方々はその突破口になっていただける方々だと思っております。その辺はぜひ御協力をお願いできないかと思っています。

あと、食品ロスの問題なのですけれども、今日は企業の方もかなり来られていて、啓発はもちろんやっていて、消費者自身が食品ロスに関して減らすためには、新しいものばかり望んだりとか、ちょっとでも見かけのいいものを選ぶとか、そういう消費者自身も改めていかないといけない対応はあるのですけれども、企業でも、慣習となっている3分の1ルールを見直すとか、フードバンクと連携するとか、そういう企業の動きのほうも御協力いただけたらと思っています。

以上です。

○池本委員長代理  ありがとうございます。

今の点について、どなたか。

○主婦連合会有田会長  もちろんおっしゃるとおりだと思うのですが、消費者団体も企業だけではなくて企業と一緒に、主婦連合会は、5年以上になりますけれども、食品ロスの関係は、例えば、家庭から出る廃棄ロスも、自給率の問題も含めて、事業者、スーパーマーケットの方と行政の方とやってきています。そういう中で、例えば、地方の工場見学に行ったときに、パン工場であれば、さっきから出ていますように、従業員の方の教育を進めることで消費者教育になるのでぜひということで、最初に申し上げましたが、数年前からそういう取組もそうですねということで進めてくださっていますので、企業の方だけではなくて、消費者団体も一消費者もそういうことで進めているということで御理解をいただけたらと思いました。もちろん企業の方が積極的にしていただけるということが一番だとは思うのですけれども。

○池本委員長代理  企業関係で取り組んでおられる団体の方もいらっしゃいますが、今、2つ、従業員向けの消費者教育の推進ということと食品ロスの問題で企業としての取組という、逆に委員の側からこういったものはいかがかという趣旨の発言がありましたが、いかがでしょうか。

お願いします。

○日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会高橋副会長  いわゆる企業への消費者力アップのための教育ということでいきますと、NACSの場合には、当然この3,000名の会員の中には企業関連の方が多いわけですし、例えば、私自身も企業の経営にかかわる者なのですけれども、そこでの消費者力アップをするというのは、単に講習をやるとかということだけではなくて、そこの企業の従業員さんが自分の頭で考える機会を与えることが重要だとNACSは考えているのです。

ですので、一つの施策として、消費生活アドバイザーの資格を企業の中でたくさん取ってもらいましょうと。これは一つの指標になるのですね。当然のことながら、これは御案内のように国家資格でございますし、実際に今で言いますとなかなか難しくて合格率が2割と、これは私は逆に問題だと思っているのですけれども、そういうところも含めて、そういうハードルのところを超えるためのいろいろな施策をやっています。ただ受けろということだけではなくて、その受ける機会を与えるための準備、対応を企業さんと実際にタイアップして、出前の講座を設けたりとか、そういうこともやっています。

ですから、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、消費者問題は起こらないのが一番いいわけで、その未然防止は何ですかと言うと、そういうことはもう起こさないのだということが企業の中に根づく、これが重要なので、そういう対応をとっているということでございます。

○池本委員長代理  ありがとうございます。

ほか、いかがでしょうか。

どうぞ。

○日本ヒーブ協議会梶原副代表理事  今、消費生活アドバイザーの話が出たので、企業内の従業員教育について少しお話ししたいと思います。ヒーブ会員企業の中にも消費生活アドバイザー資格を持っている会員がたくさんおりまして、例えば、私の所属する企業でも消費生活アドバイザーの資格取得を長年推奨しております。

この意味するところは、試験に合格したら消費者視点が身に付くとか生活力がすぐにアップするというわけではなくて、学習を通じて学んだ知識を実際の生活や企業活動にどう生かすかが大切です。具体的には、資格を持った人が、全国の消費者センターに伺って意見交換したり、消費者視点を商品やサービスに生かす、それから、自身の日ごろの生活においても、それこそ男性も資格者は多いのですが、スーパーに行ったときに食品表示を見るようになるとか、こういったところも実は企業内の従業員教育として役立っているところですので、一つの事例として御紹介させていただきました。

○池本委員長代理  ありがとうございます。

ほか、いかがでしょうか。

どうぞ。

○消費者関連専門家会議島谷理事長  1つ、この消費者教育というところは我々の会員の中でもよく話は出るのですが、企業の中ではほとんど実行されていません。結局、目的がちょっと曖昧になっているのではないかと思います。消費者対応力とか消費者力のアップという話もありました。企業内消費者教育というのは、例えば、定年後にだまされないためにとか、新入社員が始めて給料をもらったらこういうところに気をつけましょうと非常に限定的な話になってしまいがち。今、ヒーブさんからもお話がありましたように、例えば、一人一人が企業人として、消費者として必要な様々な情報をもって自分がその企業の中で活動していくときに、企業人として社会に対してもいろいろな見方をして広めていこうというふうに持っていく。私は、どちらかというとそちらのほうではないのかなと。

我々ACAPの企業の中は、だまされないようにという知識は大半が持っていると思うのですね。特に大企業においては、ほとんどそういったところの意識というのは皆さん持っていると思います。消費者教育の目的を企業内においてどこに置くか、どういう知識を習得してどういうふうにしていくかというところを、もう少し我々ACAPの中でも議論していかないといけませんし、それぞれ、高齢者の方々、学生の方々、企業における消費者教育のあり方とか、様々なものは、ターゲットと言えるかどうか分かりませんが、シチュエーションとか場面において、消費者教育のあり方と目的、それと対象というものを整理して進めていく必要があるのではないかと思っています。

以上です。

○池本委員長代理  ありがとうございます。

委員の側、別の観点でも、ほかに御意見や御質問はいかがでしょうか。

どうぞ。

○増田委員  今日は、ありがとうございました。いろいろな視点での御意見を伺いまして、大変勉強になりました。

ACAPさんから、事業者の意見を聞く場面をもっと作ってほしいとか、中小企業の消費者志向経営を広めるための施策とか、消費者への周知ということで、消費者志向経営を次のステップに進めるためにはどういうインセンティブをつけたらいいのかということも含めて御意見をいただきましたし、ヒーブさんからは「見える化」という言葉もいただきました。消費者志向経営というのは、行政、国が、事業者の方々に対してこうやってほしいということをアピールしたという意味では、少し次元の違うことをしたということで私は大変評価しているところなのですけれども、それを次のステップに進めるためにはどうすべきか、ということを御示唆いただいたと思っております。

従業員教育ということについても、それぞれの方から御意見をいただいて、消費者志向経営プラス消費者教育、それから、消費者視点というもの全てに従業員教育というものはかかわってくるのだろうと思いますので、ぜひ進めていただきたいし、消費者委員会としてもどういう取組ができるかということを考えていきたいと思います。

また、主婦連合会さんから、化学物質とか著作権ということで余り広く取り上げられていない問題を御提起いただきまして、非常に重要な深い問題だということが分かりました。ありがとうございました。

最後に、生団連さんから取組や、どういう成り立ちであるかということもお伺いいたしました。事業者の方がアピールするというのはなかなかハードルがあって、こういう場で御発言される機会も少なく難しいと思うのですけれども、今日は思い切って御発言されたところもおありかと思うのですが、非常によく分かりました。ありがたいと思いました。

今日御意見いただいたことについて、私の感想ということでお伝えしたいと思います。

○池本委員長代理  ほかの委員の方、いかがでしょうか。

受田委員、どうぞ。

○受田委員  各団体の皆様におかれましては、本当に真剣な議論をされた結果をこちらで御披露していただきましたことに、まず、心より御礼を申し上げます。

私は、第5次からこの消費者委員会に参画をさせていただきました受田と申します。実はこういった団体の皆様との意見交換の場も私自身も初めてでございますので、生の声を拝聴できたというのは私にとっても非常に貴重な時間になっております。

特に今日拝聴したいろいろな分野の中では、私自身が食品関係の研究者であったり、あるいは企業の皆様との共同研究等をずっとやってきたという立場で、食に関する課題を特に注視をして伺っておりました。前年度までは食品表示部会の委員もしておりましたので、先ほどの原料原産地表示の企業におけるコストの問題、あるいは消費者の皆様から御覧になったときの分かりにくさの問題、いろいろ双方から問題が指摘されていることもその部会の中でしっかり議論を聞いておりました。また、それに対する改善策といいますか、成案に導いていく上でも、私なりの考え方もそこで披露させていただきました。

今日いろいろなお話を伺っていて改めて認識をしたのは、こういった食品に関係する様々な問題が山積していることと、そもそも論といいますか、何のために食品の表示があるのかというところに立ち返ってさらに議論をしていかなければいけないなということを強く感じました。

例えば、原料原産地表示の義務化においては、事業者の皆様はコストの問題で不満を持っておられるお話もよく出てきますし、先ほども伺いました。そして、消費者の皆さんの分かりにくさ。それでは、何のための表示なのか。実際にこれを導入することによって、どうあればいいのかというビジョンといいますか、そのゴールが見えていないというところを、それぞれのお立場で悶々としながら、あるべき姿を考えなければいけないというところにネックがあると思っています。

先ほど、冒頭、KPIのお話がございました。このKPIも消費者基本計画において今後盛り込んでいかなければいけないし、ここを明確にしていかなければいけないということは消費者委員会の委員としてもよく認識をしております。

ただ、先ほどの説明と重なっていくのですけれども、ゴールが明確になっていない。すなわち、今時に言うと「KGI」という言葉を時々使いますけれども、このKGIが明確になっていないがゆえに、KPIが何だか分からない。その数字自体の意味すら明確になっていないという、本末転倒の部分があることも認識をしております。

したがいまして、今のような御意見・御要望をしっかり我々も受け止めて、消費者の皆様、事業者の皆様、あるいは社会、地域にとって全ての方に対するオールウインをしっかり念頭に置きつつ、今後の議論あるいは検討に活用させていただきたいという思いでございます。

ほとんど感想ですけれども、以上です。

○池本委員長代理  ありがとうございます。

ほか、いかがでしょうか。

○長田委員  皆さん、ありがとうございました。

私自身も所属している全国消団連や、日ごろお付き合いのある主婦連さん、生団連さんにも私どもの加盟団体が参加させていただいていますし、NACSさんは同じ建物にありまして、ACAPさんはまた別のところで御一緒させていただいていて、ヒーブさんともいろいろなところでお会いしている御意見をまとめていろいろ伺わせていただいていて、ACAPさんの先ほどの御発言、私どもの加盟団体、大企業の者には、そういう意味での消費者教育は今のところは必要ないだろうという御発言だったと伺ったのですけれども、消費者教育というものが、だまされないためというか、それだけなのかというところはかなり議論があるところではないかと思います。消費者としての権利がどういうものなのか、それを達成していくために何を考えていくべきかというそもそものところを含めて、何と言っていましたか、人が生きていくための力みたいなものを、もともと消費者基本計画も求めて作られたものだと思いますし、消費者教育を進めていかなければいけないと言っている大きなものは、だまされないだけの人を作るのではないと思っていますので、そこは特に消費者志向宣言をしていらっしゃる企業を多く輩出していらっしゃる、メンバーにいらっしゃるACAPさんでは、むしろそういう考え方で消費者教育を、御自身のそれぞれが所属していらっしゃる企業の中での消費者教育を提言していっていただけたらいいのではないかと、本当に感想みたいになって申しわけないのですけれども、それはとても強く感じましたということです。

○消費者関連専門家会議島谷理事長  説明がまずかったので、済みません。

現実、今、企業の中でそういう形しか進んでいないというところを申し上げたかっただけで、最後に申し上げたように、企業の中で、ヒーブさんもおっしゃいましたけれども、そういういろいろな知識を入れながら企業人としてどういうように消費者力を上げてやっていくかというところを、企業の中の消費者教育として進めないといけないということを申し上げたかったのです。

現実にライフプランセミナーとか新入社員の教育みたいなところにとどまっているというのが今のところの実態ということを申し上げたかっただけで、おっしゃるとおり、そういう形で進めていくのが企業の側における消費者教育だとは、私も思います。誤解があったかも分かりません。申しわけありませんでした。

○長田委員  それでは、誤解でした。大変申し訳ございません。

いずれにしても、消費者教育の場面の一つとしての職域というのは、どこでどうやって、先ほど消費者委員会への御要望の中にもいろいろな年齢層の多様な人の意見を聞くべきという御意見があったと思いますけれども、ひっくり返せば消費者教育の場もいろいろな場が必要で、くくりとして職域というのは非常に大きい場だと思っていますので、それはぜひ思っていらっしゃるところで実現をしていっていただければありがたいなと思っています。それ以外の地域とか学校とかという場については、また消費者団体も様々な力を発揮していけると思いますので、そういうようにお互いにそれこそ力を合わせることができればいいのではないかと思いました。

また、各団体からいろいろいただいた具体的な課題については、ぜひ消費者委員会の中でも議論をさせていただければいいなと思っていますし、基本計画工程表そのものが非常に膨大で様々な項目がいっぱい載っているわけですけれども、基本計画というのは閣議決定と同じような決定がされるということで、この次の1年間何をするのかというものについてみんなでそれを見ることができるという非常に大切な場だと思っています。ですので、消費者庁が何をやるかだけではなく、全ての省庁が消費者政策として何をするかというのをチェックする場だと思っていますので、そういうところにもそれぞれの専門性を生かした御意見をたくさん寄せていただくというのは、委員会に寄せていただいた結果を委員会としての意見にも反映していくことができると思いますので、これからの御協力もお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○池本委員長代理  どうぞ。

○国民生活産業・消費者団体連合会佐藤事務局長  2点だけ、今の各委員の方からの発言の中でありましたので、従業員の教育といいますか、消費者教育という、今、私どもの団体は、企業の団体でもないわけなのですけれども、いわゆる生活産業というくくりでやっていますので、流通サービス業の企業さんも大変多い。第3次産業というよりは流通サービス産業というくくりでくくったほうがいいかもしれませんが、就業者、つまり給与所得者となりますかね。就業者の約7割はこの流通サービスに代表される第3次産業でカバーされているというのが、今の我が国の経済構造であります。これは多分に労働集約型産業であるがゆえにというところもあるのですが、国家が成熟していく、経済が成熟していく過程の中では、言ったような第3次産業、流通サービス業を中心としたところに人が集まってきますよと。特に小売の世界では、さっき言った外食も含めてですが、労働集約産業の典型みたいな形であります。

その中で言いますと、例えば、ゼンショーホールディングさんは、先ほども言いましたけれども、正社員は約10,000名弱なのですが、アルバイト・パートの方は約10万人以上、この方が、今、ゼンショー労連という労働組合で、今、10万人います。今、我が国では労働組合に参加されている方が1,000万人弱、990万人ですかね。そのうち10万人はゼンショー労連なのだなということで、ゼンショーの労働組合の委員長が100人に1人はゼンショーの組合員だなんて非常に自慢していらっしゃいましたけれども、いずれにしましても、生活者というところの接点になるのに、改めて思いますけれども、我々の団体の中でも、会員企業さんの中でも、第3次産業、特に小売の方には、チェーンストア協会とか日本小売業協会とも連携をとりながら、就業者を多く抱えるこの業界では、従業員教育、イコール、消費者教育になりますので、こういった部分もやっていかねばと。

1ついい事例が、消費者教育の観点ではないのですが、パートの方とかというのは、自分が働いていない間はフリーにしてほしいのですね。当たり前ですけれども。自分のやるべきことがありますから。だから、なかなか会社が給料を払わないのに呼べないのですよ。今度、本部でこういう勉強会をしますからと、それで出てくれるパートの方もなかなかいません。その中で、初めは、交通費の支給は当たり前なのですけれども、一定のほかのインセンティブを与える形でも呼ぶ形になると、これが今、広がってきまして、クルーミーティングという形なのですが、今ではぜひ次に行きたいわと、自分の声が経営に行かされるわという観点で来られるようになりました。そうすると、その中では別に経営のことだけではないです。日ごろ自分の生活の中で、消費者の観点からしたときに、小売業のあり方はこうだよね、でも、消費者庁はこういうことだよねと、そんな意見がたまに出ることがあります。こういったものを集約していくような機会をもっと設けていけばいいのではないかと思っています。

2つ目は、受田先生がおっしゃった今の「KGI」という言葉、最初に全国消団連さんからKPIの話がありましたけれども、多分にこれも消費行政にかかわるのですけれども、我が国の政策においては、まず、目的の水準が、あるいは目的の正しいといいますか、目的のよしあしの議論と、それに向けての手段が効率的であったか合理的であったかという評価がかなりごっちゃになることが多いわけですね。よく言われますけれども、ばらまき行政というのは、「ばらまき」と言うだけで、それは前に政権をとった党がやった単なるポピュリズムのものなんて評価されている。でも、ばらまきはばらまきで実は非常に効果がある政策でもある場面があると思うのですね。例えば、震災復興に関して、これに一体何十兆円の金が費やされたか。そのうち、今、実際に本当に復興のために回ったお金がそのうちの幾らか。あるいはこれを逆に被災者の方に直接資金として渡したらよかったのではないのか。そういった例もあるのです。

ちょっと話はそれましたけれども、私が申し上げたいことは、受田先生がおっしゃったとおり、消費者委員会においても、いろいろな政策について議論する場合には、おっしゃったKGI、目標、目的がどれだけ崇高なもので達成すべきものかということと、それに向けて今とられている手段が本当に合理的なのか、効率的なのかという、この目的と手段をきちんと峻別して議論していく姿勢が必要なのではないかと、今、思った次第であります。

以上になります。

○池本委員長代理  ありがとうございます。

ほか、いかがでしょうか。

私からも質問をさせていただきたいのです。これはどなたかいい知恵があればという程度のことなのですが、今、消費者基本計画の工程表見直しということが消費者庁で動き始めていて、ただ、それは一番最初に消団連さんからちょっと提起があったところですが、消費者庁が各省庁に照会をかけ、それが上がってきて、取りまとめて、2月か3月ごろ、パブリックコメントで約1か月間、皆さん、意見がありますかというように出して、その後、また少し調整をして最終案が出てくる。消費者委員会としても可能な限り意見を出すようにとはしているのですが、もっと「見える化」をしたらいいのではないかという御意見がありました。それぞれの団体の観点から見て、消費者基本計画の工程表、年に1回、関係する省庁から進捗状況と今後の予定を出してもらって、それに意見が述べられるという意味では非常に貴重な機会だと思うのですが、これにもっと意見を出しやすくする、あるいは「見える化」するためには、どの段階をどうすればいいのだろうかということが非常に問題意識として私はあるのです。何かいい知恵なりヒントなりをお伺いできればありがたいのですが、いかがでしょうか。

○消費者関連専門家会議清水事務局長  工程表は、各省庁に出して戻してというところで、先ほどのKPIの話もありますが、結局、どれがちゃんとできていてどれが進んでいないのかとか、どれが重要でどれがそれほどでもないからやっていないだけなのかとか、その濃淡が全く分からないです。どの項目も、やっています、何回やりましたと書いてありますが、それだけを見てもよく分からないので、濃淡がもっと分かるような方策がないのかなと思います。

それから、多分濃淡を考えた上で、別表にあったような今年のトピックというものが集められたのだと思いますが、後づけのトピックのように見えてしまいますので、そこら辺も何とかならないのかなと感じます。

達成度合いでABCみたいなものをつけ、これは急いでやるべきとか、そういったことが分かると、さらに何をすべきか、工程表のリニューアルというか、上書きができていくのではないか。

それから、我々のような者が見る場合に、冊子で言うと2センチぐらいありますね。全部を読んでいる人は日本国民でどれだけいるのかなと思いますが、そこに毎年基本計画の工程表が上塗りのようになってきているので、どこに入っているのだかよく分からないという感じになるのです。インデックスといいますか、今、世の中で話題になっているこの案件の対策は今年に入っているのだろうかとか、どこに入っているのかと。多分いろいろなところにばらまかれ、しかも各省庁がいろいろな項目で言っているから、探せないという感じがありますので、そういうことも、インデックスですとか、検索しやすいようにとか、ホームページの見せ方とか、そういったこともやっていただきたいなと思います。感想みたいなことですけれども。

○池本委員長代理  ありがとうございます。

ほか、いかがでしょうか。

消団連さん、どうぞ。

○全国消費者団体連絡会小林事務局長  全国消団連の小林と申します。

今の点なのですが、全国消団連も、会員団体の皆さんに手弁当で集まっていただきながら、できるだけ多くの意見を出すように毎年努力しているところでありますが、私どもとしては、まず、消費者委員会さんにぜひ幅広に意見を提出してほしいという願いを持っております。

また、先ほどプレゼンの中で消費者庁消費者委員会発足前の消費者基本計画の検証・評価・監視の例を述べさせていただいて、内閣府国民生活審議会の場で、要はオープンの場で他省庁を呼んで意見交換をすることで一定の「見える化」ができていたという例もありましたので、そういったやり方が一つあるのではないか。そのやり方は、今、消費者委員会に引き継がれていると思われますが、実際問題、消費者委員会のこの場で各省庁を呼ぶ対象施策というのは重要度が比較的高いものと思われます。全部できるに越したことはないのですけれども、いろいろな時間等の制約がありますから、重要度の高いものについては、この場で各省庁を直接呼んでやりとりをして、より前進を図っていくことが一つ考えられるかと思っています。

もう一点、それ以外のその他たくさんの施策に対する「見える化」として考えられるかなと思うところは、パブリックコメントの返し方のところですかね。パブリックコメントで寄せられた意見に対して、省庁のほうで御意見への回答という形でまとめて出しますが、消費者基本計画に限らないのですけれども、多くのパブコメの際の御意見への回答の欄を見ると、大体が御指摘の点については今後の施策の実施の参考にさせていただきますとかで終わってしまって、正直、出した側としてはとてもむなしい思いをすることがしばしばあるというわけです。

そこの欄などで、可能なものについては、各省庁と調整をした結果、こういう点で今回御指摘は入れられなかったのだけれども、このような形で今後の参考にできるのではないだろうかみたいな形で出していただけると、一定の「見える化」というか、なぜ出された意見が取り入れられなかったのかの説明にはなるのではないかと思っているところで、お願いしたいと思っております。

○池本委員長代理  ありがとうございます。

ほか、いかがでしょうか。

お願いします。

○日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会高橋副会長  「見える化」ということで言うと、先ほどもちょっと出ていましたけれども、これは検索と概要なのですね。皆さんお分かりだと思います。要は、検索はそのとおりなのですけれども、概要版というのは伝え方だと思うのです。NACSも全国の組織なので、本部が見えないとずっと言われ続けているのですよ。私などはしょっちゅう言われているのですけれども、そうすると、ここで気をつけるのは、いわゆる概要版の中で、今もちょっと出ていましたけれども、ここがちょっとだめなのですと具体的に載せるようにしています。恐らくぱっと見て分かるというのは「見える化」につながると思うので、そういう工夫をお出しになるときには必要かと思います。

○池本委員長代理  ありがとうございます。

ほかに、委員の側からでもいいですし、あるいは参加の団体の方からでも結構ですが、いかがでしょうか。

時間が余りなくなったので遠慮なさっているのかもしれませんが、よろしいでしょうか。

ほぼ予定の時間になりました。今日は、本当に様々な意見をありがとうございます。

私たち消費者委員会は、いろいろな団体で意見書、要望書を、消費者庁とか、あるいは他の省庁へお出しになったものの控えというか、消費者委員会にも意見書を同じものを出していただいている団体がたくさんあります。委員10名にはその意見書は全部回付されます。写しが全部送られてきます。中身の理由まで全部読み切れなくて趣旨のところだけでも何とか目を通そうと四苦八苦しているくらいなのですが、そうやって様々な団体から御意見をいただいたものの中でも、限られたスタッフと委員の中で課題はどれを取り上げようかと議論していますので、ぜひそれぞれの分野で要望書、意見書などをお出しになったときは写しを委員会にもお送りいただければ、私たちとしても非常に重要な情報源になりますし、その中で必要なものについては委員会としても取り上げようとなってきたものもこれまで幾つもありますので、ぜひお願いしたいと思います。消費者庁を含め、各省庁の消費者施策の推進と、民間の様々な意見のいわばパイプ役であるというのがこの消費者委員会だろうと思っていますので、ぜひお願いしたいと思います。

一番大きな、年に1回、全ての課題について意見を述べるチャンスがあるという意味でこの消費者基本計画の工程表見直しというものがあるわけで、これについても御意見があればどんどんお出しいただき、あるいは私たちにも教えていただきたいと思います。

ちなみにこの消費者委員会の場としても各省庁に対するヒアリングをもっとやってほしいという御要望をいただきまして、本当にごもっともだと思います。実はこの11月末から12月にかけて、幾つかの課題について、これについてヒアリングをしてみようと、それを何か月もかけてまとまった意見書にするという形ではないにしても、ちゃんと動いているのかどうか、動いていなければプッシュするためにというような課題でヒアリングをして、それを工程表に対する意見としてまとめるためのヒアリングを予定しております。またそれは御案内を差し上げたいと思いますので、ぜひ関心を向けていただければ幸いです。

今日の意見交換の中で、消費者教育の問題が取り上げられました。従業員向けの消費者教育が、単に被害に遭わない教育、もちろんそれも、学校教育から高齢者の教育、社会人の中での教育という中の一環として、それはそれで重要だと思うのですが、それだけではない、社会の中での消費者、SDGsのことも提起されましたし、企業の消費者志向経営ということを担っていく従業員になってもらうということも含めて、消費者教育というものをもっと幅広く目的意識を整理した上で取り組んでいくということは、きちんと議論していく必要があるということを感じました。その意味で、消費者教育の問題を議論していくというのは、実は企業の消費者志向経営の推進ということにも直接つながっていく重要な課題だと感じています。

そのほか、それぞれの10分の時間の中で、言葉でお話しいただけなかった中でも、事前にペーパーで出していただいている中にたくさん課題が盛り込まれておりますので、これは後で私たちも参考にさせていただきたいと思います。そうやって、私たちもまだまだ発信力が十分ではないのですが、ぜひ皆さんからの意見もいただき、私たちもまたそれを発信する。これは各省庁に向けての発信もですし、皆さんの各団体に向けても情報共有をしていく努力をしていきたいと思います。そのような形で、今日の意見交換の成果を私たちなりに受け止めていこうと思っています。

本日は、皆さん、お忙しい中、御出席いただき、しかも非常に貴重な御意見をいただき、ありがとうございました。本日の意見を今後の私たちの委員会の運営に生かしていこうと思います。


≪3.閉会≫

○池本委員長代理  それでは、本日は以上で閉会といたします。

どうも最後までありがとうございました。

(以上)