第234回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2016年10月25日(火)14:00~14:55

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    河上委員長、池本委員長代理、大森委員、蟹瀬委員、鹿野委員、長田委員、中原委員、樋口委員、増田委員
  • 【説明者】
    国民生活センター鈴木相談情報部長
    国民生活センター伊東相談情報部相談第1課長
    国民生活センター三澤総務部企画課長
  • 【事務局】
    黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 大規模災害時における国民生活センターの取組
  3. その他
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○河上委員長 皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会第234回本会議」を開催いたします。

本日は阿久澤委員が御欠席となります。

それでは、配付資料の確認につきまして、事務局からお願いいたします。

○丸山参事官 お手元の議事次第の下部のほうに配付資料一覧を記載しております。

資料1、資料2につきまして、大規模災害時における国民生活センターの取組の関連資料となっております。

参考資料については1から4となっております。

不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますようよろしくお願いいたします。


≪2.大規模災害時における国民生活センターの取組≫

○河上委員長 最初の議題は「大規模災害時における国民生活センターの取組」というものであります。

先日も鳥取で大変大きな地震がございましたけれども、大規模な災害が起きたときに、消費生活センターには地震による被害に関連した相談が寄せられます。例えば熊本地震などでは、まだ住める状態の借家から早く出ていってほしいと言われたとか、あるいは屋根の修理について強引で不要な工事を契約させられたといった相談が来ているという話も伺っております。

国民生活センターでは、こうした大規模災害時には、地元の消費生活センターなどのバックアップのために電話相談窓口の開設などの取組をされたということですけれども、本日は、こうした取組について御説明をいただきまして、若干の意見交換を行いたいと考えております。

国民生活センターにおかれましては、お忙しいところをお越しいただきまして、ありがとうございます。

それでは、大変恐縮ですけれども、20分程度で御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○国民生活センター三澤総務部企画課長 国民生活センター総務部企画課の三澤と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

国民生活センターでは、今、河上委員長にも御紹介いただきましたとおり、大規模災害時に様々な取組を行っております。特に、平成28年4月に発生しました熊本地震発生時の取組を中心に御説明をしたいと考えております。よろしくお願いいたします。

まず、全体的な取組につきまして、私から概略を御説明いたします。その後、今回の取組の中心的なところでございます、「熊本地震消費者トラブル110番」につきまして、相談情報部から詳しく御説明したいと考えております。

それでは、まず全体的な取組ということで、資料1の1ページを御参照ください。

熊本地震に限らず、国民生活センターでは、災害が発生したときに大きく2つに分かれる業務を行っております。まず、災害に関連しました消費者トラブルの未然防止・拡大防止を図るために情報収集・情報提供を行い、特に義援金詐欺など、災害発生直後に発生する不審な電話等に対応するということで、全国的な被害に対する取組。それから、もう一つが被災自治体のニーズに応じた支援を行っております。

以下、熊本地震の関係の取組ですけれども、資料の左側の「情報収集・消費者への情報提供」を御覧ください。

このうち、丸を付けております、一番最初から4番目までが主に情報収集ということで取り組んでいるものでございます。

最初に行いましたのが、震災直後の被災自治体の状況の把握ということで、私どもで相談窓口等を把握している自治体それぞれに直接お電話をさせていただきまして、特に建物の被害状況、それから、消費生活相談等の窓口体制が今、どうなっているのか、PIO-NETの状況はどうですかといったようなことで、状況の確認をさせていただきました。

熊本の地震は震度7規模のものが2回発生していましたけれども、1回目のときには影響はほとんどないですという自治体も多かったのですが、2回目の地震が発生した後はかなりダメージを受けていらっしゃるところが増えていて、被害の深刻さを肌で感じたところでございます。

それと並行しまして、次の丸でございますけれども、センター内で緊急会議を開催しております。震災発生の翌朝、震災の発生が夜でしたので、その翌朝に即座に理事長が理事や関係部長を招集いたしまして、対応策の検討に入りました。自治体の状況など最新情報の情報共有ということで、緊急会議を随時開催していったところでございます。

続きまして実施しましたのが、消費者庁との連携・情報共有ということで、消費者庁の地震対応チームの会合に私どもの担当理事等が出席をしまして、情報交換に努めたところでございます。

それから、更に消費者庁へは震災関連の相談の受付状況の報告を、休日相談と、「熊本地震消費者トラブル110番」も含めて毎日報告をさせていただきました。

それから、熊本県下のPIO-NETの登録状況、こちらを見ることで、現在PIO-NETの登録がなされているのかどうかということで、間接的に自治体の状況がわかることもございましたので、平日毎日報告をしていたところでございます。

続きまして、自治体への協力要請ですけれども、震災関連の相談受付情報の提供をお願いしております。こちらにつきましては、いち早く震災関連に便乗した問題商法等を把握して、情報提供につなげるためにこうした情報提供を呼び掛けております。

さらに、PIO-NETにも早期に登録をしてほしいと呼び掛け、それから、PIO-NET上で「平成28年熊本地震」という特設のキーワードを付与することによって、いろいろな商品・サービスで地震関連のものを横断的に一括で検索でき、現在地震関連でどのようなトラブルが発生しているのかを瞬時に把握できるようにということで、こうした指定ワードの付与もお願いしたところでございます。これらが情報収集として主に取り組んだことでございます。

続きまして、消費者への情報提供ですけれども、主なものが2点、まず、ホームページによる情報提供、こちらにつきましては、従来、災害関連の注意情報ということで、そのコーナーがホームページ上にございますけれども、熊本地震のバナーをトップページに掲載して、そこに直接飛ぶようにしました。そこのページにつきまして、熊本地震関連の関係機関の被災者支援情報や、地方自治体へのリンクなどを随時追加していって、情報を充実していきました。

注意喚起情報の発信ですけれども、こちらにつきましては、主に相談情報部が取りまとめた情報になります。まず、熊本地震関連のトラブル速報、特に地震に便乗した不審な電話や訪問、メール等に関する注意喚起情報、これを3件発信しております。

「熊本地震消費者トラブル110番」、後ほど御説明をしますけれども、こちらの受付状況につきましても随時3回報告しております。

「平成28年熊本地震」で寄せられた消費生活相談情報ということで、これはPIO-NETの情報を取りまとめたものですけれども、こちらにつきましても、2回取りまとめをして公表しております。

ここには記載していないのですけれども、今回の熊本地震でも屋外に設置している給湯器の貯湯タンクの転倒がかなり多く見られておりますので、そちらにつきましても、10月に入りまして、注意喚起情報として公表しているところでございます。

以上が、「情報収集・消費者への情報提供」という取組でございます。

もう一つの柱としまして、「被災自治体ニーズに応じた取組み」を御説明させていただきます。

資料の右側の箱を御覧ください。

被災自治体の消費者トラブルを防止するために、特に熊本県・熊本市から対面や電話によって被災状況を随時確認しまして、具体的な支援策等についての要望を聞き取りまして、以下の事業を実施したところでございます。

まず、一番大きなものが、「熊本地震消費者トラブル110番」の開設ということで、こちらにつきましては、後ほど詳しく説明をいたしますけれども、発生直後、特に消費生活相談が増えることもございますし、自治体窓口自体もダメージを受けていることもございますので、「熊本地震消費者トラブル110番」によって、国民生活センターでもそうした消費生活相談の受け皿を用意したというところでございます。

続きまして、専門家派遣事業、こちらは消費者庁との共同事業として実施したものですけれども、これは東日本大震災の際にも実施した事業ですが、自治体の相談窓口の機能の維持と、生活再建に伴う消費生活相談への対応ということで、熊本県の弁護士会、熊本県司法書士会、それから、全国消費生活相談員協会の御協力をいただき、熊本県・熊本市の相談窓口に専門家を派遣する事業でございます。資料には「5月から実施」と書いておりますけれども、このスキームを作ったのが5月で、6月3日に熊本県に弁護士を派遣したのが最初でございます。

実際の回数等は具体的にこちらにありますとおり、まず、熊本市の相談受付業務の直接支援ということで、熊本市から東日本大震災で相談対応を経験した消費生活相談員をどなたか派遣していただけないかという要請がございましたので、消費生活相談員の方を6月から7月に18回派遣したところでございます。

弁護士・司法書士につきましては、9月末時点の回数を記載してございますが、現在も継続しているところでございます。

最後になりますが、消費者向けリーフレットの提供につきましても、自治体から特に避難所等で注意喚起をするために情報が欲しいというお話がございましたので、従来私どものほうで「見守り新鮮情報」として作成したものを再編集しました「震災消費者トラブル注意報」、今、お手元に参考に資料2としてお配りいただいているものですけれども、こちらを各500部印刷しまして、熊本県・熊本市にお送りしまして、すぐに使えるような形で御提供いたしました。

以上が、熊本地震発生時の対応ということでございます。

続きまして、「消費者トラブル110番」について、御説明をします。

○国民生活センター鈴木相談情報部長 相談情報部の鈴木と申します。よろしくお願いします。

では、2ページになりますが、「消費者トラブル110番」の設置・運営についてということで、御説明いたします。

この目的は主に2つありまして、1つ目は被災地のセンター支援ということで、センターの中には庁舎自体が被災しているところ、あるいはPIO-NET端末が使えなくなるなど機能しなくなってしまうところもあります。そうした業務ができなくなってしまったセンターの相談業務を多少なりとも肩代わりすることということがあります。

2つ目は、相談から得た情報を分析して注意喚起を行うということは、私どもの従来の役割ですけれども、こうした災害時には災害特有の消費者トラブルが出てきます。これまでの例で言えば、震災に乗じた詐欺的なメールが出てきますし、また、冒頭に河上委員長からお話がありましたような悪質な屋根工事の勧誘が頻繁に行われるなども出てきます。先ほど三澤からも御説明しましたが、先日20日の木曜日に公表したばかりですが、こうした大きな地震があって初めてわかる給湯器の転倒、いわゆるエコキュートなどに代表される給湯器の貯湯タンクの転倒の問題もあります。これは東日本大震災のときにも多数発生しまして、私どもで注意喚起するとともに、国土交通省にも情報提供しました。その結果、国交省でも建築基準法施行令を受けた告示を改正して、各事業者団体からメーカーに告知したのですけれども、東日本大震災の教訓が生かされず、熊本地震でも多数の貯湯器の転倒が見られました。また、今回鳥取地震でも同じような転倒事例があったとの報道もあったと聞いています。そういったことで注意喚起したのですが、このような大きな地震があって初めてわかった情報の提供です。

一方、被災地ではない地域には、被災地支援をうたった悪質なセールスなどが必ず出てきます。このように、110番窓口の開設には、被災地センターの支援、消費者トラブルの拡大防止・未然防止を図るための注意喚起という2つの目的があります。

続いて、この窓口設置までの流れを説明します。これは事務的なことになりますが、まず、部内に急いで「熊本地震消費者トラブル110番」対応チームを作り、役割分担をすることから始まります。フリーダイヤルの手配、会場設営、そして、各種マニュアルの作成、マスコミへの協力依頼などを行います。その準備の中で、回線の規模に合わせて相談員を確保することが一番難しくなるのですが、その調整や手配などを行います。

続いて、3ページを御覧ください。ここからは「熊本地震消費者トラブル110番」の概要について御説明いたします。

実施期間は、地震が発生したのは4月14日と16日ということでしたけれども、その災害の規模からすぐ支援が必要と判断いたしまして、「熊本地震消費者トラブル110番」を行うことを決定しました。それから、フリーダイヤルの手配、相談員の確保などを済ませて、4月28日から受付を開始いたしました。

相談受付件数の推移等、これは7ページに相談件数の推移がありますが、一番初めは多くて、段々少なくなっていきます。それは被災地のセンターが回復してくることにもつながってくるのですが、こうした件数の推移を見て、地震発生の3か月後に当たる7月14日まで77日間、土日祝日も含めて実施いたしました。

受付体制は2回線で、沖縄県を除く九州地域の各県からフリーダイヤルでつながる受付番号を設置、ここに載せましたチラシも作って、熊本県を中心に配布いたしました。また、相談員は国民生活センター内部の相談員とともに、全国消費生活相談員協会に協力をお願いいたしまして、特にベテランの相談員を要請しました。なぜベテランの相談員かといいますと、これはまた東日本大震災のときの「消費者トラブル110番」で経験したことなのですけれども、こうした大規模災害時には、通常の相談とは違って相談者もかなり感情的になって電話をかけてくることが非常に多くあります。そういったときには、通常の相談処理に加えたプラスアルファが必要になってくると感じております。被災者の心に寄り添って丁寧に話を聞き取って、相談の中身を相談者と一緒に整理できるというのは、やはり経験がものを言ってくると思いますので、経験豊富な相談員が求められます。ちなみに、東日本大震災の「消費者トラブル110番」のときにも、阪神・淡路大震災時の同様の110番を経験した相談員が1週間「消費者トラブル110番」の窓口に同席してくれました。本当にすごく助かった経験がありますので、そういった経験から、ベテランの相談員を要請いたしました。

4ページ、「熊本地震消費者トラブル110番」の運営です。これは6ページの参考1も御覧いただきながら聞いていただければと思います。

まず、マニュアルの作成を行います。電話の操作方法などの運営マニュアルとともに、特に災害時に予想されるトラブルを項目別にしたもの、例えば住宅建築関係では応急危険度判定で赤のステッカーが貼られたけれども、どうしたらよいかとか、外側が壊れてしまった電子レンジがあるのだけれども、それは使えるのかなどの品質関係、それから、携帯電話の取扱いなどの通信関係、ローンなどの金融関係などなど、予想される相談内容について一般的な回答を書いたQ&A方式のマニュアルを作成いたしました。これは私どもの「熊本地震消費者トラブル110番」の窓口で使うとともに、被災地のセンターにも送りました。今回、また鳥取で地震が発生しましたが、被災地のセンターから要請がありまして、この熊本地震で使ったマニュアルをお送りしたところです。

続いて、情報収集ですが、こうしたときは通常より情報が刻々と変わりますので、情報収集が欠かせなくなります。消費者庁はもちろんのこと、定期的に被災地である熊本県及び熊本市のセンターと連絡をとって、その際、必要な情報はありませんかというニーズなども確認いたしました。

それから、地元のことは地元紙が一番詳しい情報を載せていますので、今回熊本地震については熊本日日新聞を取り寄せまして、情報を収集いたしました。それとともに、これも要請があったのですけれども、被災地ではこの新聞記事をスクラップしている時間も全くないということで、関連記事をスクラップして、逆にお送りするなどのこともいたしました。

続いて、専門家へのヒアリングですが、普段から週2回行っている弁護士への法律相談とともに、住宅関係のトラブルが非常に多くなってきますので、通常は月2回行っておりますけれども、今回は週に1回1級建築士に来ていただいて住宅相談を行いました。東日本大震災のときには、津波で自動車が流れたり、水をかぶったりしました。そうした自動車は大丈夫なのかという御相談等々も非常に多くありましたので、自動車に関する専門相談も行いました。

次に行政との連携ですが、先ほどの三澤の話とも重なりますが、地元では相談員も被災者であることもありますので、相談員が足りないことから、全国消費生活相談員協会にご協力いただき、専門家派遣事業として熊本市にベテランの相談員を派遣いたしました。もちろん、相談受付状況は消費者庁を通じて関係省庁に随時報告いたしました。

最後、5ページ、これは「熊本地震消費者トラブル110番」に寄せられた相談に基づく注意喚起の例として、報道機関向けの公表資料とリーフレットによる注意喚起ということで2つ例を載せておりますけれども、先ほどの三澤の話とも重なりますが、今回は熊本地震関連トラブル速報、悪質メールに注意ですとか、そういった速報とともに、77日間の「熊本地震消費者トラブル110番」中、合計で875件の相談が寄せられましたが、その報告などを随時、合計8回情報発信いたしました。先ほど申し上げましたように、20日に「給湯器の貯湯タンクの転倒-大きな地震が起きて初めて見つかる設置不良『熊本地震の相談より』-」ということで、これは記者説明会で公表いたしました。

このリーフレットによる注意喚起は、避難所などでも掲示してもらって、被災者がすぐに見られるようにチラシ形式の「震災消費者トラブル注意報」を3点、熊本県及び熊本市に現物を500部ずつ提供いたしました。

あとは参考資料になります。私からの説明は以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの御説明の内容について御質問、御意見のある方は発言をお願いします。

いかがでしょうか。

池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 池本でございます。

非常に貴重な迅速な対応をなさっていると思いますし、相談件数も東日本のときよりも期間は短いけれども、相談件数が多いという意味では非常にうまく進められているのかなと思います。相談件数が、開設直後は非常に高い。そして、段々減っていくという意味では、更に1日でも2日でも早くなればいいのかなと、多少無理を承知で、いろいろ実情がどうかをお聞きしたいのです。2回目の4月16日でダメージが特に大きかったということで、開設するまでの日数が28日ですから、12日間ですね。恐らくベテランの適任の相談員を手配することが一番大変だろうとは思うのですが、例えばこの12日間を更に10日間や8日間などと縮めるための何か工夫や課題はどうなのか。あるいは、以前の阪神・淡路大震災、東日本大震災に比べて、地震発生から開設までの期間はどのような感じになっているのかをお伺いしたいということが第1点です。

2点目、これだけしっかりした体制を作っておられるということは、それを被災地、地元にきちんと広報して活用していただく必要があるのだろうと思います。その意味で、ホームページやプレス発表ということですが、直接の被災地、熊本に向けてマスメディアで取り上げていただいたり、あるいはいろいろな避難所など、自治体を通じての広報など、その辺りの工夫はどうなさったのか、あるいは課題として何か感じておられるところがあるのかという2点についてお伺いします。

○国民生活センター鈴木相談情報部長 まず、準備期間なのですけれども、本当におっしゃるとおりで、それは少しでも早くしたほうがいいと私どもも思っております。ただ、池本委員がおっしゃったように相談員の確保もありますが、実は、これが結構難題なのですが、私どもは通常の相談は無料ではないのですが、この「消費者トラブル110番」のときはフリーダイヤルを開設します。このフリーダイヤルの開設が結構手間がかかって、電話会社とのやり取りからになるのですけれども、これが実は日数がかかるということもあります。だから、これがもう少し早くなれば、周知やそういうものはその先のことで済むと思うのですけれども、それがまずあるかなということはあります。

○国民生活センター伊東相談情報部相談第1課長 ですから、そういったスピードを考えると、常にそういったものを用意しておくことが必要になるかと思います。そのために必要になるものはお金です。予算さえあれば、常に回線を持っていればいいわけです。それは一つ大きな課題だと思っています。

周知に関しては、圧倒的にNHKの報道で知った方が多く、報道の力、特に被災地でも聞くことができるということで、ラジオです。ラジオでかかっている。それから、テレビの横に常にテロップを出してくれたのです。朝の連ドラがやっているときも、横に「熊本地震消費者トラブル110番」の電話番号を出してくれた。いろいろなものが流れるので、その中の一つとして流れるのですけれども、それによって知った方が非常に多かったです。NHKの放送はラジオもテレビも含めまして、非常に大きかったと思っています。

○国民生活センター鈴木相談情報部長 NHKもそうなのですけれども、先ほど少し御説明しましたが、地元紙が、東京に住んでいるとなかなかイメージしにくいのですが、東日本大震災のときにも実は岩手と宮城と福島の地元紙を4紙とったのです。そこの新聞社に「消費者トラブル110番」の情報を流してもらったのです。そうしたら、その新聞を見てかけてきた方がいらっしゃいましたので、地元紙などとも連携をとるのも大切かと思います。

○国民生活センター伊東相談情報部第1課長 相談件数も開設してすぐが多くて、ずっときれいに下がってきたということではなくて、上がったり下がったりを繰り返しているのですが、それに関しても、地元紙の報道があった日やテレビで取り上げられた日は相談が少し増える傾向はありました。

○国民生活センター三澤総務部企画課長 マスコミ以外で本当にささやかな取組かもしれないのですけれども、資料の3ページ目の「熊本地震消費者トラブル110番」の概要のところにポスターのようなものを今、載せております。こちらも先ほどのリーフレットと同じように、熊本県・熊本市に印刷したものを直接お届けして、被災地の避難所等に貼っていただきました。

○河上委員長 池本委員長代理、どうぞ。

○池本委員長代理 実は、熊本県の職員や相談員、センターの中でも避難所にしばらく住んでいますという話もお聞きしたので、本当にこういう体制が不可欠だと思いますし、更に1日でも早く動きを作っていただくことは不可欠だと思うのですが、それだけではなくて、消費者庁や熊本県など、最新の情報をほかから仕入れて、それをまた情報提供することがアドバイスの上ではものすごく貴重なのだろうと思います。先ほど、幾つかそういうところと連絡をとったということがありましたが、例えばどういう新しい情報を仕入れることがあったのか、具体例でもし覚えておられるようなことがあれば教えていただきたいです。

○国民生活センター鈴木相談情報部長 被災地のセンターがいろいろ機能しなくなっていますが、段々回復してくる。今日閉じていたところが次の日はもう回線があけられましたというような感じなのです。状況が本当に毎日毎日変わるというところなので、そういった被災地のセンターの開所状況は、情報収集がいち早くできたということはあると思います。

○国民生活センター三澤総務部企画課長 付け加えまして、電話等での連絡も常時必要だと思うのですけれども、百聞は一見にしかずということもございますので、実際に出向いていって情報交換をさせていただきました。震災直後はなかなか難しいので、震災が発生して10日ぐらいたったところで、私どもの職員が1名、消費者庁に同行させていただきまして、情報を収集してきております。

また、専門家派遣事業が始まった時期、6月にも相談情報部の職員が1名、企画課の職員が1名行きまして、今後の専門家派遣事業のスキームなどの確認も含めまして、状況を見てまいりました。

○河上委員長 大森委員、どうぞ。

○大森委員 不幸なことに地震が定期的にあって、その都度ノウハウをきちんと引き継がれて、速やかに対応されているのだなと感服しました。

2点質問があるのですが、1点は、先ほど池本委員もおっしゃったように早く動き出せるといいなということで、フリーダイヤルの開設がネックになっているというお話でしたけれども、幾らぐらい費用がかかるのか。電話会社もこういう国民的な事件に対する社会的な貢献という部分で、普通の費用と同じようなことでなく、もう少し臨機応変に対応してもらえないかどうかという、そういうところが1点です。

あと、給湯器の転倒事故が以前にもあったと思うのですが、それが今回も起きたということで繰り返されているのですけれども、改善する余地はないのか、今後どういう対応が考えられるのか、その2点をお願いします。

○国民生活センター伊東相談情報部相談第1課長 フリーダイヤルの件、私の発言に誤解があったかもしれません。今回フリーダイヤルを引くのにお金がかかるのではなくて、常にフリーダイヤルをキープしておくのにお金がかかるということです。全く何も使わず、例えばこういったことがなければ一切使われないものに、毎月決まったお金を税金で支出するのはどうか。これはもう判断の問題になるかと思います。ですから、来年も地震があるとわかっていればもちろんそのままにしておきますが、10年、20年ないかもしれない状況で回線をキープしておくのかという問題です。実際、開いている間のお金がそんなにかかるわけではなくて、大体1か月1回線30万円を今回は見込んでおりまして、これはもちろんフリーダイヤルですから、ほとんどが通話料です。そういったことなので、この「消費者トラブル110番」の間のお金がそんなにかかるということではないのです。

2点目の給湯器の転倒ですけれども、これは東日本大震災の後、私どもは公表しまして、業界団体に要望したり、監督官庁であります国土交通省に情報提供したりしたのですけれども、かなりその後の動き、特に国土交通省は熱心に迅速な動きがありまして、建築基準法施行令に基づく告示の改正にまでつながったということで、かなりの動きはしてくれたと思っています。

ただ、いかんせん不幸だったのは、熊本県という今まで地震がない地域、台風はたくさんありましたから、台風に対する備えは熊本県はすごくされているのですけれども、地震に対する備えが十分ではなかったものですから、そういった地域の特性もあったのかなと思っています。

これも事業者の方に、もちろんプロですから、お願いすると同時に、消費者に対しても安全に対するコストということで覚悟してほしいと思う面はあるのですが、これも地震が起きなければ、この設置のコストはほとんど無駄なのです。貯湯タンク自体は自立するものですから、別に強い地震がなければ、別にちょっと触ったから倒れるとか、そういうものではない。震度6、7クラスの地震が来て初めて倒れるものなので、自分の身にそういうことが起きると思わなかった設置業者であり、消費者であったのかなと思っています。

今回、私どもは再度情報提供していまして、それを受けて既に各業界団体には国土交通省の担当課長から文書が出ております。ということで、再度、同じことをします。注意喚起した次の日に鳥取県で地震が起きている。そのニュースで給湯器の貯湯タンクが倒れている映像が映っていて、倒れていますというレポートがされていたので、今、どこで地震が起きても全く不思議はないものですから、日本全体でこういうことは起こり得るのだと。そうなった場合、最悪熱湯が何百リットルも入ったもの、何百キロというかなりの重さのものが人の体に当たるかもしれないという意識を持つ必要があることが再確認されたかなと思っています。

○河上委員長 では、蟹瀬委員、その次、増田委員、お願いします。

○蟹瀬委員 御苦労様です。

大変大切な取組だと思うのですが、実際にいろいろな被災をしたときに、昔から火事場泥棒というものがいっぱいいて、あるのだぞと思っていても、自分には起こらないと実はみんなが思っていますね。阪神・淡路大震災にしても、近年私たちが起きている間にすごく大きな地震が、新潟も含めて、鳥取にも起こった。そのときに、どうしてもトラブルの問題よりも、被災地に何を送ったらいいのかとか、そういったところに報道が偏りがちで、こんなになっているのだけれども、いまだ全然改善されていませんということを報道することがほとんどで、今、こういったトラブルが実際に起こるのですという情報が実は余り消費者のところに来ていないのが事実だと思うのです。

ですから、屋根の修理をしてもらいたい、壊れてしまった、どうしようという切羽詰まったところを狙ってくるわけですから、その辺のところの教育というのですか、日頃の備え。今の給湯器もそうですけれども、地震があったときに水が要るでしょう、だから、水を買っておきなさいと家の中に水をいっぱいタンクで買っていらっしゃるけれども、実はそれが凶器になるという逆のことも起こる。でも、一応タンクで貯めておきなさいとか、たんすを留めなさいなどといった注意喚起はものすごくなされてきて、実際に今、いろいろな方が家でなさっている。ところが、このトラブルに関しての情報が余りにも少ないので、起こったときだけではなくて、普通の生活の中で震災が起こるとこういう人災によるトラブルが起こりますというものを、もう少し国民生活センターでおまとめになってNHKが30分特集を組むとか、わかりませんけれども、消費者が、家が壊れるだけではなくて第2次災害がある、それは人による人災なのだとわかるような事例を出しながら、頭の中にインプットさせておくだけでもかなり心構えができるのではないかとお聞きしながら思っていました。ですから、実際に「消費者トラブル110番」もすごく大事なことなのですけれども、情報がなくて知識がないことによってだまされるお年寄り、私も年寄りの一人なのですが、ここにいるので情報が入ってきます。そういう人たちを助けるには、常日頃実際に起こっているトラブルをお伝えする方法があるといいのではないかとふと思っています。

例えば「熊本地震消費者トラブル」と書いてあるのですけれども、一般の方に「消費者トラブル」という言葉がどのぐらいわかるのかが問題で、地震が起こったときはどうしても自分のトラブルのことに一生懸命なので、多分どうやって家を建て直したらいいですかというようなお電話も入ってくると思います。それは消費者トラブルではなくて、自分のトラブルをどうやって直したらいいかということであって、ちょっと違うのだけれども、その辺が混在化しているものもあると思います。的確に助けてあげるための的確な情報の出し方、それから、早め早めに今の地震に対する準備をしておきなさいということは国で全部やっていますから、ああいう形で逆に人災トラブルに関しての情報を出していくということをもうちょっとお願いできたらと思っているのですけれども、それもお金の問題も絡んできますので、大変かなと思います。

○河上委員長 続いて、増田委員からも質問をいただいて、併せて答えていただきます。

○増田委員 いろいろお疲れ様でした。

施設の被害があって、各センターが大変だということと、そこで働く職員、相談員の自宅の被害などがある中で、普段の相談件数の何倍もの件数が寄せられて、消費生活センターの相談員たちが疲弊した状況があって応援に行く。これが非常にスムーズにできて大変よかったと思いました。これまでの蓄積が非常に役に立ったということと、その中で、いわゆる消費者トラブルだけではなく地震にまつわるいろいろな情報が少なくて、どこに相談していいのかわからない方たちの御相談もセンターに寄せられたので、全ての情報についてワンストップの形で消費生活センターが機能していたと報告を受けております。今後もそういう形での協力をしていっていただきたいと思います。実際にそこの場所に出向いたのは、相談員だけだったと思うのですけれども、私どもは送り出す側だったので、家族の方も含め、送り出す側の心配がありました。もし今後そういうことが発生したときには、そういうことも含めて御検討の中に入れていただくと助かると思っております。

○河上委員長 国民生活センターから、お願いします。

○国民生活センター鈴木相談情報部長 まず、蟹瀬委員からの御指摘なのですが、本当におっしゃるとおりなのですけれども、私どもはこういう大きな地震があると、ホームページをどれだけ読まれるのかということはありますが、必ずホームページのトップページに、参考にまず過去の震災でこのようなことがありましたということを載せます。

それから、「自然災害にみる消費者トラブル-被災した住宅の修理トラブルから、便乗商法まで-」ということで、平成27年8月27日に一括してまとめた注意情報を出したことがあります。それは割合にいろいろな政府広報や民放の番組などに取り上げられておりますので、またそういったことを、私どもだけではそれは無理なので、いろいろなところに御協力いただきながら引き続きそういうことはしていきたいと考えております。

増田委員の御指摘なのですけれども、もちろん相談員を派遣することは私どもも心配は心配だったのです。東日本のときもそうだったのですが、今回も職員も行って状況等を把握していますが、相談を受け対応するのは相談員しかできないので、もうそれは本当に相談員の力を頼るしかないかなと思っています。が、その相談員の御家族に対する御説明とか、そういうケアは今後しっかり私どもも考えていきたいと思います。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

まだまだいろいろ議論したいところもあるのですけれども、時間が来てしまいました。

恐らく消費者相談は、当初の一番ひどいときの救援期と、少したってからの復興期など、その時々によって質が違ってくる可能性もございますから、一概には言えないところがあるかと思います。ただ、消費者トラブルの未然防止あるいは拡大の防止を図るための取組として注意喚起情報をホームページで発信するなど情報提供をこれまで行ってこられた。また、被災地の相談窓口を支援するために国民生活センターで相談を受け付けるなど、被災地自治体のニーズに応じた取組をされてきたということで、こうした取組は、被害に遭った方や被災地の自治体の方にとっては大変心強いものだったであろうと想像いたします。御努力を高く評価したいと思いますし、敬意を表したいと思います。

ただ、今後も被災が起きることは避けられないわけでして、国民生活センターにおかれましては、どういう災害がいつ起きても迅速かつ適切に対応できるように、これまでの経験知を整理して、ある意味ではマニュアル化をしながら備えていくということをやっていただく必要があります。今のお話でも既にマニュアルを作成するなどの標準化を図っておられるということなのですけれども、現状に満足するのではなくて、実効性が高まるように、より高いレベルでの標準化を目指していただければ思います。

地震があったからこそ発見できる問題、先ほど給湯器の転倒の問題がありましたけれども、昔はブロック塀が地震で倒れたといった事件がございました。最近ですが、家具が転倒するということでアメリカでリコールが起きていますが、その家具がどういうメカニズムで転倒していくのかとか、いろいろと地震があったからこそ起きる危険の増幅についてもこの際一度考えてみて、日頃から対応できるものがあるのであれば、その対応についての情報を整理していただければありがたいと思います。

国民生活センターにおかれましては、大変お忙しいところを審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。

(国民生活センター退席)

≪3.その他≫

○河上委員長 次に、議題「その他」になりますけれども、消費者委員会に寄せられた意見等の概況について、事務局から御報告をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○丸山参事官 お手元の参考資料1、参考資料2を御覧になっていただければと思います。

こちらですけれども、本年4月1日から9月30日までに委員会に寄せられました要望書・意見書・声明文等の一覧となっております。

まず、参考資料1ですけれども、4月から6月までの分17件でございます。

詳細、こちらを御覧になっていただきますと、1ページ目、左肩のほうで分類があるかと思います。「<取引・契約関係>」につきましては11件となっております。

3ページ目、「<公益通報者保護制度>」の関係について1件、「<食品表示関係>」について1件となっております。

4ページ目、こちらは「<消費者安全関係>」について2件、「<その他>」、消費者庁移転に関するものについて2件ということになっております。

続きまして、参考資料2でございますけれども、こちらは7月から9月まで、合計26件でございます。

内訳につきましては、「<取引・契約関係>」について2件。

次のページ、「<食品表示関係>」が5件。

4ページ目、「<消費者安全関係>」について4件。

6ページ目、「<料金・物価関係>」、これは電力自由化の関係で1件です。それから、「<集団的消費者被害救済制度>」に関しまして4件。

8ページ目、「<その他>」ということで、消費者庁の移転に関する関係について合計10件となっております。

報告については以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

普段ですと少し意見交換をするところなのですけれども、時間との関係もございますので、今日は御報告をいただいたということにして、また機会を見て意見交換をしたいと思います。

この委員会に寄せられた意見書・要望書等ですけれども、大変貴重なものばかりでして、今後とも全委員で情報を共有しますとともに、定期的に委員間で意見交換を行う機会を作っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

最後に、新開発食品調査部会から報告事項がございます。

長田部会長代理から御報告をお願いいたします。

○長田委員 それでは、特定保健用食品の表示許可に係る答申について、本日阿久澤部会長が御欠席ですので、私から御報告いたします。

平成28年9月27日に開催した第36回新開発食品調査部会の議決について、新開発食品調査部会設置・運営規程第7条に基づき、委員長の同意を得て委員会の議決とし、10月5日付けで内閣総理大臣へ答申を行いました。

参考資料3の答申書を御覧ください。

内閣総理大臣より諮問を受けて、第36回新開発食品調査部会において安全性及び効果について審議を行った結果、特定保健用食品として認めることにいたしました。

私からの報告は以上となります。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

これは御報告を伺うということであります。


≪4.閉会≫

○河上委員長 本日の議題は以上でございます。

最後に事務局から今後の予定について説明をお願いいたします。

○丸山参事官 次回の本会議の日程や議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページ等を通じてお知らせさせていただきます。

この後、委員間打合せを行いますので、委員におかれましては委員室にお集まりいただきすようよろしくお願いします。

なお、明日26日の午前11時より、報道機関の皆様を対象とした委員長記者会見を予定しておりますので、お知らせさせていただきます。

○河上委員長 それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。

お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)