消費者団体ほか関係団体等との意見交換会 議事録

日時

2016年12月8日(木)13:30~15:24

場所

消費者委員会会議室

出席者

【委員】
河上委員長、樋口委員、増田委員
【消費者団体ほか関係団体】
消費者関連専門家会議
坂倉 忠夫 理事長
佐藤 喜次 専務理事
全国公民科・社会科教育研究会
篠田 健一郎 事務局長
全国消費生活相談委員協会
吉川 萬里子 理事長
日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会
高橋 徹 副会長(正しくは「はしご高」)
有山 雅子 理事
【事務局】
黒木事務局長、丸山参事官、友行企画官、稲生参事官補佐、大濱参事官補佐(正しくは「濱の異体字」)、木村参事官補佐

議事次第

  1. 開会
  2. 消費者団体ほか関係団体等との意見交換について
    消費者関連専門家会議
    坂倉 忠夫 理事長
    佐藤 喜次 専務理事
    全国公民科・社会科教育研究会
    篠田 健一郎 事務局長
    全国消費生活相談員協会
    吉川 萬里子 理事長
    日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会
    高橋 徹 副会長
    有山 雅子 理事
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○河上委員長 それでは、時間になりましたので、始めさせていただきます。

本日は皆様、お忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会委員と消費者団体ほか関係団体等との意見交換会」を開催いたします。

本日は、なかなかうまく日程が合わなくて、阿久澤委員、池本委員、大森委員、蟹瀬委員、鹿野委員、長田委員、中原委員が欠席となっております。

まず初めに配付資料の確認につきまして、事務局からお願いいたします。

○丸山参事官 配付資料につきましては、お手元の議事次第下部に一覧を掲載しております。

本日の資料につきましては、資料1~5、参考資料となっております。もし不足がございましたら事務局までお申し出いただきますよう、よろしくお願いいたします。


≪2.消費者団体ほか関係団体等との意見交換について≫

○河上委員長 それでは、議事に入ります。消費者委員会では委員会の運営改善などの参考とすることを目的に、消費者団体ほか関係諸団体から御意見、御要望を伺うとともに、委員との意見交換を定期的に行っております。

本日は、消費者関連専門家会議から坂倉忠夫理事長、佐藤喜次専務理事。

全国公民科・社会科教育研究会から篠田健一郎事務局長。

全国消費生活相談員協会から吉川萬里子理事長。

日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会から高橋徹副会長、有山雅子理事にお越しいただいております。

皆様方におかれましては、師走に入ってお忙しい中を御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

なお、今回の意見交換会には御出席いただいておりませんけれども、日本消費者教育学会からは意見書の提出をいただいております。

本日の意見交換会ですけれども、そのテーマといたしまして成年年齢が引き下げられた場合の各団体の考え方というか、取組状況等についてお伺いしたいということにいたしました。本年9月に消費者庁の長官から、消費者委員会に対して民法の成年年齢が引き下げられた場合、新たに成年となる者の消費者被害の防止、救済のための対応策についてという意見が求められたわけでございます。

これを受けまして消費者委員会においては、成年年齢引下げ対応検討ワーキンググループを設置して、特に18、19歳あたりのいわゆる若年者の消費者保護という観点から御検討いただいているところですけれども、本意見交換会の場でも、この機会に消費者団体ほか関係諸団体の皆様から忌憚のない御意見を伺いたいと思った次第でございます。

最初に参加いただいた団体の皆様から説明、御意見を大変短くて恐縮ですけれども、おのおの15分程度でお伺いをし、その後、委員との意見交換をさせていただきたいと思います。

それでは、最初に消費者関連専門家会議、ACAPから御説明をお願いいたします。説明は15分程度でお願いいたします。

○消費者関連専門家会議坂倉理事長 ただいま御紹介いただきましたが、私は消費者関連専門家会議、ACAPの理事長をしております、キリン株式会社の坂倉でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

私どもACAPという団体は、企業や団体の消費者関連部門の責任者あるいは担当者が集う公益社団法人でございまして、現在、会員数が約900名、会員企業数は約600社でございます。1980年に設立をいたしまして、今、丸36年たっているという歴史がございます。

主な活動としては3つございまして、1つは消費者に対する消費者教育、消費者啓発の活動。

2番目が、企業の特に消費者関連部門の方の資質向上に資する活動。

3番目が、消費者、事業者、行政の架け橋となる活動。この3つを中心に行っております。

今日は、事業者団体の立場から成年年齢を引き下げることについて、特に企業の消費者対応の観点で現時点における意見を申し上げます。

お手元に資料を裏表で1枚御用意していますので、この順に沿って御説明をいたします。

まず全体の要旨でございますが、私どもといたしましては、成年年齢の引下げにつきましてはいろいろな課題や懸念点も多々ございますので、各方面の方の意見を十分に聞いて、慎重な検討が必要なのではないかと考えております。そして、仮にもし実施することになったとしても、今の環境がすぐに20歳から18歳に引き下げて、対応がスムーズにできるとは思っておりません。消費者教育あるいは関連法規など、各種体制の整備を行うことが必要だと思いますので、そのための十分な準備期間あるいは猶予期間が必要であると考えております。

引下げということでもちろんよい点というか、意義もあるかと存じます。まずは若年層の方に大人としての意識、そして大人としての行動への責任を持たせることで、自立を促すという意義があるかと思います。また、海外を見ますと既に多くの国で成年年齢を18歳以上としておりますので、国際社会の流れに沿っているということは意義として言えるかと思います。

一方、引き下げた場合の懸念もございます。特に一番懸念として考えられるのは、未成年者の契約の取消権の喪失による消費者被害の拡大ということが懸念をされます。御承知のように、現在は親権者の同意がなくて未成年者が契約行為、法律行為を行った場合は取り消すことができることになっていますが、そういった保護を受けられなくなるということで、消費者被害が増大するのではないか。ここが一番大きな懸念です。特に悪徳商法などによる被害の増加が懸念をされるかと思います。

もう一つは、この民法以外の法律あるいは民法に絡んだいろいろな法律や制度において、成年年齢あるいは20歳と明記をされているものがございますが、ここをどうしていくかということでございます。例えば公営ギャンブル、更には飲酒や喫煙、少年法の問題、裁判員制度、離婚された方の片方の親御さんに対しての養育費の支払い終了時期など、それぞれ一律に果たして18歳でいいものかどうかというのは疑問のものも多々あるかと思いますので、この辺についても十分に検討すべき内容かと思っております。

仮にもし引き下げることになった場合、では何が必要なのかということで私どもから3点申し上げたいと思います。

1点目は、消費者教育の充実であります。特に18歳から成年年齢になりますので、この場合には学校教育における消費者教育の充実、特に18歳までの最終教育の場となる高等教育、高校での教育の充実が必要であると思っております。また、事業者にとっても自治体等との連携により、更に消費者教育の活動を充実させる必要が出てくると思います。

2番目が消費者相談体制の充実でございます。いろいろな被害に遭う、あるいは困ったことがある、相談をしたいという時に、相談の窓口が若年層に対する相談を受け付ける体制として充実していくことが必要だと思います。特に若年層の場合はネット世代でもございますので、電話だけではなくてウェブ、SNSでの相談の受付体制というのが必要になってくるかと思います。

3番目が事業者による丁寧な説明でございます。特に18歳、19歳に対しては、事業者はより丁寧な説明をしていく必要がございますし、また、お客様相談窓口も十分そういったことを意識して社内の教育を徹底し体制を充実していく。この3つが必要になるかと思います。

続いて、仮にもし成年年齢が引き下げになった場合、私どもACAPとしてはどういったことをしなければいけないか、更にACAPの会員企業に対して、現在どういう取組を若年層にしているか。そして、今後もし引き下げられた場合どのようなことが想定されるかということについてアンケートもとってまいりましたので、その結果も含めて専務理事の佐藤より御説明をさせていただきます。

○消費者関連専門家会議佐藤専務理事 専務理事の佐藤でございます。

後を引き継ぎまして、実際に引下げが実施された場合の必要な対応というのは、一体何があるだろうかというところでございます。

資料で言いますと5番目のところ。ACAPでどういうことをやるかというところです。

私どもは企業のお客様対応、消費者対応の責任者の横断的なネットワークですが、ここにポツが幾つかございますけれども、まず各企業、会員企業がどういう対応をしていて、どういう事例があり、どういう困ったことがあるかという情報、事例を収集したいと思っており、そして、課題が何であるのかということもぜひ把握していきたいと考えております。

それから、毎月東京や大阪で例会を実施しておりますけれども、そこで、それらの事例の情報提供であるとか、課題を共有していきたい。また、企業によってこういうことをやっている。これはいいことだねという推奨的な行動や取組を会員同士で共有していきたいと考えております。

私どもACAPでは、お客様満足であるとか、いろいろなテーマを掲げての自主研究会を実施しておりますが、その事例研究の中でぜひ会員企業の課題であるとか、推奨事例でありますとか、そういったものをフィードバックし、情報共有していくということを考えております。

それから、ACAPでは行政、自治体の要請、御依頼により講師派遣を実施しているのですが、その講師派遣のところで、もちろん聴衆といいますか、聞いていただける方の対象によりますが、ぜひ若年層、これから課題になってくるであろう若年層の方に対しての消費者啓発というものを講義の中に入れていきたいと思っております。

それから、ACAPでは、大学を対象とする出前講座も実施しているのですが、それこそ大学ですと対象は18歳から22歳前後ということで、課題となる年齢だと思うのですけれども、そこで企業のことをお話しするほかに、それぞれ講師が、自分たちの企業の立場で社会に巣立っていく人たちに対して情報提供をしなければいけないところを、テーマとして盛り込んでいく形をとっていきたいと考えております。

今、理事長からお話がありましたように、ACAPでは簡便なミニアンケートを一部の会員を対象に実施いたしました。実際まだ法案がこれからの話になるので、会社としてはなかなか答え辛いところがありますが、まずお客様対応部門として今どういうふうに考えているのか、どのような対応をしているのかということをアンケートで聞きました。

あくまでもお客様対応部門にいる会員個人の声ですけれども、今、若者等、若年層に対してどういう配慮をしているのかというのを情報収集いたしました。ここにざっと主立ったものを掲載しております。例えば専門用語を控えるとか、パンフレット等でできるだけ分かりやすい説明資料にするよう努力をしているという企業がございました。国内の食品のところを書きましたけれども、特に金融などは専門用語と言われる部分が非常に多いのではないかと思うのですが、それを分かりやすく掲載したカタログなどです。

それから、流通関係では、やはり酒・たばこの販売です。証明等で年齢の確認など非常に工夫をしている、というところがございました。

3つ目、これも飲料関係ですけれども、工場見学での試飲です。工場見学をいただきますと試飲していただくわけですが、年齢を確認して未成年者についてはアルコールを出さず、清涼飲料水を出している。これは配慮といいますか、そういった工夫をしていますという声がありました。

業界の自主基準で、ノンアルコールであっても未成年者の飲用はお断りしている。これはこのとおりでございます。

大学のほうからよくイベント等で商品の提供や協賛などの要望はあるようですが、少なくとも酒類の商品協賛は行わないという報告もございました。

職場のルート販売で、未成年者契約は取り消しが可能ですよ、未成年者の取消権があるのですよということを営業担当者には、しっかり教育しているという、当たり前のことでありますけれども、営業担当者に制度内容について教育しているという声もございました。

若年層の商品の情報収集の方法は主にネットでありますので、若年層を対象にした商品については、ホームページのQAを充実させたいということで今、動いているという企業もございます。

若年層には特定の事情を確認することなくして高額商品は勧めない。その辺のことを配慮して営業活動の教育をしているという声もございました。

お客様相談の窓口等に寄せられる、これは中学生ではないかと思われる連絡については、声だけで判断するのは難しいのですが、保護者に連絡するなど、適宜の対応をとっているという声もございました。

18歳、19歳のクレジットカードの所持については、親権者への確認を実施している。これが配慮と言っていいかどうか分かりませんが、金融関係ではそのような声もございました。

あと、アンケートでは消費者対応等に関して心配することはありますかということを聞きました。これもあくまで、会員個人の印象ですけれども、飲料のメーカーからはアルコール飲料の年齢制限の行方が非常に気がかりだということでした。

酒類に関する動向によって、ラベルの全部貼り替えがある。CMやポスターなど、会社としては非常に大変な労力がかかるよねという声がございました。

金融関係では、システムの関係。大分大掛かりにいろいろあるのでしょうけれども、申込書であるとか、規約であるとか、案内書であるとか、いろいろな大規模な見直しが、これは食品と同じでしょうが、必要となります。

あと、アルバイト等で支払い能力がありローンが組める18歳や19歳については、契約内容によって親御さんからのクレームや相談が非常に増えてきやしないか。これは懸念という言い方はおかしいですが、その可能性があるのではないか。これは繊維関係、金融関係からも出ております。

また、アンケートの声として情報共有していただければと思われるものが6項ほどございます。

まず世界的な趨勢であって、日本でも経済が活性化されるではないかという声もございました。

若年層の社会参加が進むので、日本の社会にとってはプラスであるという声もございました。

理事長から話があったかもしれませんが、大人としての責任を自覚してもらうためにはいいんだという声もございました。

社会への参画と財産形成の意識から、商品ニーズが増大される。商品開発も進み、啓発活動も活性化されるという意見も金融関係からありました。損保か生保かと思いますが、商品へのニーズが増えるということで、商品開発が進むという話もございました。

それから、18歳、19歳を狙った悪質商法等によって新たな消費者問題の発生が懸念されるよねという声がございました。

これもストレートな言い方ですけれども、若年層におけるカードローン地獄の可能性を含んでいるのではないかという声は複数ございました。

ざっとですが、アンケートの中で会員から寄せられた声の御紹介でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

引き続きまして、全国公民科・社会科教育研究会から御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○全国公民科・社会科教育研究会篠田事務局長 今、御紹介にあずかりました、全国公民科・社会科教育研究会事務局長の篠田でございます。今日はよろしくお願いいたします。

本務校は都立西高校でございます。政治経済をしておりますが、公民科ということで皆さんのおなじみの科目で言うと現代社会、倫理、政治経済という科目を主に教えるという教員の研究団体でございます。

そもそも第二次世界大変が終わって新しい日本の民主教育が始まりまして、社会科教育全国協議会というところが最初生まれました。そのときは地理も歴史も今で言う公民も、それから、小学校から大学までいろいろな先生方が集まった団体と聞いております。そこからスタートして、まず小中高大と分かれて、それから、高等学校でも地理、歴史などは順番に分かれていって、結局、社会科教育全国協議会という名前ではあったのですが、主に倫理とか政治経済を担当する教員が残ってしまいまして、それでなおかつ倫理社会が倫理に変わるときに、倫理の先生方が全国の倫理の研究会を分けて作った関係もありまして、社会科教育全国協議会といっても政経畑の先生が残ったような形になりました。その後、いろいろな紆余曲折がありまして、今の全国公民科・社会科教育研究会という名前になりました。ですから70年余りの歴史がある団体でございます。教科教育の指導内容と指導方法の研究を中心にしている団体でございまして、特に政治的な立ち位置がどうということはございません。あくまで中立的な団体でございます。

今日は後期中等教育の現場で公民科、今の科目で言うと現代社会とか倫理とか政治経済という科目を担当している教員としての立場からということで、若干お話をさせていただきます。

こういう会は慣れていなかったものですから、レジュメの書き方が今一つピリッとしなくて、結論部分がレジュメの3のところにあるように、正論は正論なのですけれども、なかなか難しいのではないかというのが基本的な立ち位置でございます。十分話し合いを進められて、多くの皆さんがこれでいこうということになって、実現されるべきものではないかと。闇雲に反対するとか賛成するとかではなくて、非常に慎重なお話し合いなり、時間をかけて調整することが必要なのではないかと考えております。

高等学校ですと、こういう消費者教育その他にかかわる部分というのは家庭科もそうなのですけれども、家庭科とのすみ分けは、家庭科は分かりやすく言えばだまされちゃだめよということなわけです。私どもの公民科の場合はもちろんそれもあるのですけれども、例えば今回の話で言うとそもそも契約とはどういうことなのだろうか、つまり硬い表現になってしまいますが、独立した個人と個人が結ぶ約束だとすると、社会の全体は1人ずつ個人が独立している人間で成り立っているという社会です。そういう社会はどこが原点かというと近代ヨーロッパだというふうに考えれば、市民革命以降の近代ヨーロッパの社会の仕組みなどをたどりながら、それが実際には皆さんにも高等学校のときの勉強を振り返っていただくと分かると思いますが、例えば近代民主制度はどのように発展してきたのだろうかというようなお話、授業であったと思います。そういう形の中で政治も経済も社会の仕組みを勉強して、その中で契約というのは成り立っているんですよね。例えばそのような形で理解をしていくことになります。ですから家庭科の先生方と立ち位置は大分違うと思います。

分かりやすい例でいきますと、例えばコマーシャルみたいなものが一番分かりやすいでしょうか。テレビとかで30秒とかで流れます。例えば家庭科の先生の立場からいけば、いいことしか言わないからだまされちゃだめよという、例えばそういう形になると思います。でも政治経済の教員からすると、もちろんその面もありますけれども、その企業がこの商品について一番言いたいことを30秒でまとめてプレゼンしているわけです。そのぐらい立ち位置としては違います。ですから理解がいかない生徒からすると、同じ先生なのに全然違うことを言っている、あの先生は本当のことを言っているのかしらと言われることもあります。でもそれは1つの面をいろいろな面から見ていれば、当然、生徒から見ればそういう形になって、ではそれはいけない教育かというと、そうではなくて、多面的、多角的に物が考えられる有為な公民としての資質を備えた高校生を育てるという意味では、いろいろな見方があるんですよということを知らしめることが、実は巡り巡って公民の教育目標でもありますし、社会に出ていく前提としての消費者教育になるのだろうと思います。

そういう点でいきますと、先ほど申し上げましたように20歳から18歳へ引き下げるということは、まさしく正論ではあるのだと思いますが、なかなか高等学校の現場からいきますと、すぐにいきなり「はい、どうぞ」というわけにはいかないだろうと考えております。

レジュメの2番の消費者教育についてと書いたのは、今、言ったように皆さん方が家庭科の内容だけを高等学校での消費者教育とお考えになってしまうと、少し偏りが出てしまうなということもありましたし、同じ消費者教育でも科目によって扱いが大分違うんだということを理解してもらいたくて用意した部分でございます。

3に成年年齢引下げについてということで幾つか示しましたけれども、例えば3年とか5年とか10年とか年限を区切って準備をして、さあスタートと言ったときに、本当にそれでうまくいくかということについてなのですけれども、高等学校の教員ですからやれと言われれば、それはもう主権者教育もそうでしたが、必死でやります。私たちは善かれ悪しかれ真面目な人間ですので、真面目な先生が多いので、一生懸命やります。ただ、それで本当に大丈夫なのかということは正直あります。それはどういうことかというと、教育というのは学校教育だけではもちろんなくて、社会教育、家庭教育、学校教育がうまくかみ合って初めてできることなので、学校教育だけでできるという限界はもちろんあります。

例えば主権者教育と今、申し上げましたけれども、それと対比して考えていただけるとよく分かると思うのですが、この夏から18歳投票制になりました。東京都の18歳投票率は60%を超えております。片や山陰のほうは三十何%といったところもございます。公表はされておりませんが、各学校の主立った新聞を発行している学校の新聞部に連絡を取ったところ、8割、9割ぐらいの高校3年生はちゃんと行っているのではないか。六十何%というのはうそではないかと高校生が言ったぐらい、現場ではかなり徹底できているのではないかとひそかに自負はしております。もちろんこれは主立ったデータではありませんので、ここだけの話ですが、それはいきなり主権者教育を去年、今年とやったから、そういう高い数字が出たというわけではなくて、皆さん方が小学校、中学校、高等学校を過ごされたときにも、20歳から参政権ですけれども、ちゃんと教科書にも書いてありましたし、授業でも小中高と学んでこられたわけです。そういうずっと戦後70年の歴史と伝統があった上で、それで20歳から18歳になりましたよという、その文脈で一定程度成果が出たのだろうと思います。

ただ、政治学的に言いますと、参政権が広がりますと必ず投票率は下がるので、全体的に見ればその傾向は当然だったわけですけれども、ただ、主権者教育に関して言うと、今までの長い歴史と伝統があって、それでここ数年の動きがあるということなわけです。そうすると消費者教育、例えば今回の20歳から18歳についてどうするかということを考えたときに、高等学校だけでできるか、あるいは中高でいいのかとか考えると、なかなかそれは難しいのではないか。つまり学校教育でいけば小学校から中学校、高等学校それぞれの発達段階に応じてきちんとやらなくてはいけません。それから、社会教育や家庭教育においても、つまり社会全体がそれぞれの持ち場で皆さんが若い人たちにきちんと接する中で、自然とトレーニングされていく、あるいは社会のありようそのものについても視野を広げながら、大人になっていく中で18歳のときに初めて自分の意思で行動できる、消費者として行動できる人間になるのではないかと考えている次第でございます。

以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

引き続きまして、全国消費生活相談員協会から御説明をお願いいたします。

○全国消費生活相談員協会吉川理事長 全国消費生活相談員協会の吉川と申します。

私どもは資料3と参考資料をつけています。資料3は私どもの協会の活動を紹介しております。私どもは全国の消費生活相談員を束ねている団体でもあり、団体訴訟制度の適格消費者団体でもあります。活動の基礎となるものとして消費生活相談を週末に実施しています。週末電話相談あるいは電話110番で得られた情報が年間約3,000件。それは国民生活センターのPIO-NETの内容とほぼ同じになっておりますので、消費生活相談の傾向はつかめているものと思っておりますし、20万人ぐらいの都市が月曜から金曜まで開いている相談窓口の相談件数とほぼ同じぐらいの件数をこなしていると思っていますので、それをもとにいろいろ啓発とか消費者教育をしております。

私どもが参考資料としてつけております「民法の成年年齢を18歳に引き下げることについて反対する意見書」をご覧ください。まず民法成年年齢を引き下げることについては反対します。これも現在、現状では反対しますということでお読みいただきたいのです。先ほど申し上げましたうちの週末相談に寄せられる27年度の相談件数2,845件のうち、契約当事者が10歳代は131件、20歳代は437件となっています。これは契約当事者であって、相談をしてきた人を見ますと、10歳代でしたら131件に対して相談者は50件。つまり、131件のうち自分で相談してきた人は50件しかない。20歳代も437件を受けておりますが、実際に当事者として相談してきたのは377件と、10歳代は小学生とかの相談もありますが、未成年者は自分でなかなか相談してこない、残念ながら契約当事者としての自覚もないのではないかという傾向が読み取れる。

10歳代、20歳代については相談者が契約当事者よりも半分ぐらい少ない数字になっています。30代、40代、50代はほぼ同じ数字です。当事者が相談もしてきている。それが更に数字が上がり60歳代、70歳代、80歳代になると、当事者は相談してきません。つまり未成年者と同じ傾向になるのだろうと思うのです。つまり、それをどういうふうに読むかということなのです。

18歳はほぼ大学生ですよね。社会に出る人もありますけれども、18歳から大学生である22歳の間が一人前の人間として大人なのかどうかというのが非常に気になるということでして、一人前として本人たちは思っているかもしれないけれども、契約の場面では保護されている。なぜ保護されているかといいますと、やはり大人としての教育が十分でない、あるいはお酒についても先ほどACAPからお話がありましたけれども、体に与える影響とかいろいろ考えれば喫煙とかも18歳では吸ってはだめよ、飲んではだめよとなっているのと同じで、大人なのか子供なのか保護される対象なのかどうかがはっきりしない今の状況では、引き下げるということについては無理があると考えています。

私どもは若年層に対していろいろ消費者教育というのか、啓発を今までしてきています。その中で特に最近、消費者教育ということについて、これまで以上に真剣に取り組みたいと考えていまして、その理由は大人なのか子供なのかというところの議論から始まりまして、大人なのか子供なのかというよりも、人はみな幼稚園ぐらいから物を自分で買ったりはしているわけですから、契約ということについて消費者教育をしていかないといけない。そのためにはやはり子供のときから契約をメーンにした消費者教育をしていかないといけないというふうに考える。

私どものほうではこういう紙芝居なども最近作っていますけれども、つまり、幼児期は契約とは言わずに約束というようなことで考えられると思いますが、そういうことをきっちり幼児のときから取り組んでいく必要があると考えています。特に契約行為は実は子供のときからたくさんしているのだけれども、契約行為をしているという認識が余りないまま大人になっている。ただし、18歳で大学に行くとか、社会に出て親元を離れると、いろいろな契約トラブルに巻き込まれるということなので、18歳を成年年齢に引き下げるというよりは、契約トラブルに巻き込まれないための消費者教育を早くからしておかないといけない、それは幼児期から始めないとだめだと私は思っています。

契約するにはいろいろなことを知らないといけない。契約は単に売りました、買いましたで成立するのだけれども、その選択をするためには、それこそ表示の見方から、その食品はどういうものなのかとか、そういう商品選択のための知識が必要で、それがつまり消費者教育。だからそういうことを基本に据えた消費者教育をこれからやっていかないと、トラブルに巻き込まれる人がますます増えるし、大人なのか子供なのか自分で分からない行為を常に繰り返して、特に最近はインターネットというツールを与えられましたので、親が規制していると言っても、親の規制を超えて全部ネットでいろいろなところと契約できるようになってしまっている。それが18歳に引き下げられると、更にその危険性が増すということもあります。つまり、契約についての基本を幼児のころから消費者教育として十分するべきだと思います。そうしたら今の民法の成年年齢を18歳に引き下げるということについては、当然、今の段階ではだめだと思っています。

それが何年ならいいのかということは、少し考えていかないと、18歳の人が成人になるまでの2年か3年とか、あるいは6年とか、いろいろな考え方があると思いますけれども、それはいろいろなことを考慮して決めていけばいいことだと思いますが、基本的にはうちの協会としては消費者教育に充実した、それも一元的なものではなく、契約をメーンに据えて、契約をするためには何が必要なのか。つまりいろいろな知識が必要なんだということで、暮らし、生きるためのいろいろなツールについての情報選択の仕方とか、そのようなことを中心にした消費者教育をしていきたいと思っています。だからそういうものが熟したときに18歳であれ、あるいはこれがもっと下がっていいとは思いませんが、18歳になるのだろうと思っています。そうは言っても18歳と決められているわけですから、一応それに合うような社会の体制を整えていく必要があると思っています。

最後に、私は消費者教育科というものが必要と考えています。つまり家庭科とか何かというよりは、社会科とか数学科というふうに学科があるように、消費者教育科というあれで基本的にいろいろなものを、契約から始まっていろいろなものを教える。暮らすための知恵として教えるのが消費者教育科だと見据えた教育を展開していくのが、これから未成年者云々を含めて、みんなが生きていく力のもとになるのでなはいかと考えています。

以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、日本消費生活アドバイザー・コンサルタントからお願いいたします。

○日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会高橋副会長 公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント相談員協会、通称NACSと呼んでおりますが、副会長の高橋でございます。

皆さん御承知だと思うのですが、NACSは三本柱ということで活動をさせていただいておりまして、1つは消費者相談、もう一つは消費者教育、更には消費者と行政、事業者の連携、この3つを中心に全国7支部、全国組織で約300名の専門家団体ということでございます。

私どもの資料をつけさせていただいておりまして、資料4を御参照いただければと思います。ここに先般、私どものほうから民法の成年年齢の引下げに関します意見書という形で出させていただいているものをもとに、お話をさせていただきたいと思います。

18歳の年齢に20歳から引き下げるというところの動きで言いますと、よく言われるところはいわゆる少年犯罪の増加ですとか、あるいは近々で言いますと選挙年齢が18歳になった。そういう権利義務関係の動きの中で、20歳から18歳に年齢を下げたらいかがかという動きであろうと理解しております。一方で、よく言われることですけれども、世界的に見ると例えばサミットの参加国の中で成年年齢が18歳でないのは日本だけですとか、あるいは世界の趨勢として成年年齢は18歳だといわれます。

それはそうなのですが、ただ1つ忘れてはいけないのは、もともと諸外国で20歳から18歳へ成年年齢が下げられてきた経緯、特に私はイギリス等々の話では、当時私はイギリスにおりましたのでよく知っているのですが、1960年代、若者が権利を主張して、その動きの中で20歳から18歳へという動きがあったのです。一方で今、18歳に引き下げましょうというところが、そういう動きと同じかというとちょっと違う。そこは考えなければいけないところであると私は思っています。

18歳に下げるというところで考えた場合、特に先ほど申し上げましたNACSで消費者相談とか、あるいは消費者教育というところで気になるところに絞ってお話をさせていただくとすれば、この意見書の中の記と書いた下のところ。現時点において、直ちに法整備を行うことは相当でなく、契約年齢、特に財産管理年齢について慎重にという意見を出させていただいております。

特に契約の年齢です。成年年齢が親権者の同意なく確定的に契約時の法律行為を行うことのできる年齢、これが一律に18歳というところには、なかなか今の情勢がなっていないのではないか。ここにも書いてございますようにSNS等を通じてのネットワークビジネス、そうした勧誘ですとか、あるいはエステティック、美容医療の継続的役務提供契約など、若者特有の問題契約、これまでも数限りなくありました。そういう部分に対して未成年者の取消権というものが、実際には日本の世の中において、従来、若者への不当勧誘の抑止力となってきた。これは疑いのない事実だと思います。  そうした中で、今まで特に今回の例で言いますと18歳、19歳という若者に与えられた未成年者取消権がなくなるということになりまして、この消費者被害の拡大というところが問題ではないかと考えております。

裏面も御参照いただきますと、そうしますと趨勢として時期はともかくとして、あるいは様々な諸施策というものをやったとして、やはり年齢は下げるのです、18歳になるのですといった場合に、今、何が必要か、何が求められるかということを、NACSとしてここにまとめさせていただいております。

まず1つは先ほど来、出ておりますけれども、必要な知識を身につけるためのいわゆる消費者教育、もっと言うと金融教育に特化する部分もあるのかもしれませんが、これを充実させることが何にも増して重要でございましょう。それから、実際に専門の相談窓口、ここは各地と漠然と書いておるのですけれども、特に高校、大学です。ここできちんと相談できる窓口があって、そこのスタッフがきちんとスキルを持っているということが重要ではないかと思っています。

さらに、これも先ほど来、出ておりますけれども、事業者に対する勧誘あるいは表示、このあたりの理解あるいはやっていただく必要な諸施策の徹底、そういうものをきちんとすることによって、更に言うとある意味で重い説明義務を課すような施策があるべきではないかと思います。

これは消費者教育のところでよく言われる消費者市民社会の形成云々というところにもつながるのですけれども、消費者保護という中で、消費者がきちんと判断、選択ができるという仕組みを作ることがあって、初めてこういう年齢の制限引下げがあるのではないかと考えております。

以下、いろいろ書いてございますが、ここではこういう概略的なお話だけではなくて、NACSで長年消費者相談の責任者をやっております有山理事から、実例を踏まえてお話をさせていただきたいと思います。

○日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会有山理事 有山です。消費者相談室を開いておりまして、土曜日に大阪で、日曜日に東京で相談を受けております。全体としては年間1,500件程度の相談ですが、先ほど吉川さんがおっしゃったように、私どもは、件数は少ないのですが、大体国民生活センター等で注意喚起されるような内容の相談を受けております。

今までも大体20歳を過ぎたところで様々な勧誘が行われる。恋人商法的なもの、ネットワークビジネスのようなもの、そういうものが勧誘されている状況があります。それが高校生、18歳に引き下げられたときにどうなるのかなというふうに考えますと、高校を卒業する、新しい生活が始まる時期にちょうど環境が変わるので、勧誘を受けます。マルチやネットワークビジネスの勧誘の際に、契約をためらうような若い相談者の方も多く見られますが、大体その方たちに何を言われるかというと、「もう大人でしょう。自分でよく考えなさい」、親に相談をしようとすると、「親に今更その年齢になって相談するの。自分で決めるということが大人の第一歩なんだ」と契約を急がされるようなことがあります。

また、大学生で20歳を超えたような方たちには、大学のサークルでちょっとビジネスっぽいことをやるようなサークルもあるようですが、業務提供誘因販売や起業家セミナーとか、起業コンサルティングなどの勧誘を行い、消費者金融に借りに行かせたり、または銀行に借りに行かせるなどの相談が入ります。ノウハウを教えて、それで100万、200万というお金を借りてこさせるというような実情を見ますと、それが18歳でちょうど社会的な環境が変わる時期と重なることに大変相談員としては危惧を覚えています。

ちょうど何とか社会的で大人としてやっていこうという前向きな時期に、「この時期だから英会話を勉強しておかなければいけないよ」と言って高額な契約を結ばされるとか、大人として第一歩を踏み出そうというときに勧誘が行われる。これが悪質業者にとっては効果があるということだと思いますし、真っ当な業者さんは多分、収入とかそういうものも鑑みて支払える範囲での勧誘をなさるのだと思いますが、特に悪質業者は高額な勧誘をするという形になってくると思います。

また、未成年者の方が学生ローンで10万円ぐらい、何とか遊びの資金を借り、親御さんから「息子が10万の借金を作ったようだけれども、逃げ回ってしまって話し合えない」、要するに住民票は親御さんのところに残していて、親から言うと10万円だったら何とか解決する方法もあるだろうと思うのですが、そこが未成年者の知識不足なのでしょうか、逃げ回ってしまっていて所在も分からない。どうも友達のところを転々としているようで、消費者金融業者からはお子さんについてどこにいるか教えてほしいみたいな請求があったという相談もありまして、その辺の高額である問題点と、少額であるけれども、解決する方法を見出せずに逃げ回ってしまうという社会経験の少なさ。そういうものを日常的に見ておりますと、消費者教育の充実、それから、自分が置かれている立場についてどういう状況か分析して、適切なところに相談に行くことができていない。何とかその対応策を考えていきたいと思っています。

学生生活による変化ということで様々な相談がありますけれども、私どももSNSで会ったというようなことでだまされたとか、いろいろな形もあります。健康食品、ダイエット食品、そういうようなものについて契約してしまったなんていう御相談もあります。

そういう中で何が本当で、何を自分たちが調べなければいけないかということ。それから、相談してきた若い人たちに契約書はどうなっているのと見ると、大体高齢者の場合、中高年の場合でもそうですけれども、それはあったはずだということで探し出すことも多いのです。契約書というときょとんとしてしまうような方たちもたくさんいる。内容について契約書によって自分が縛られるという感覚がないというような状況も見られます。そういう中で私どもは適切なところに救済を求める、知識を求めるというような教育とともに、消費者教育を充実させて、自分たちが置かれた状況を自分と公的な相談機関も含めまして、解決するノウハウを身につけていただきたいと考えております。

以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

なお、本日は御出席いただいておりませんが、日本消費者教育学会の東会長より意見書の提出をいただいておりますので、これは事務局から紹介をお願いいたします。

○丸山参事官 お手元に資料5という形で付されている資料があるかと思います。こちらは日本消費者教育学会の東会長から御提出いただいた要望、意見となっております。

以下、御紹介させていただきます。

民法の成年年齢の引下げについては、若年者の消費者被害の現状に鑑み、契約年齢の引下げに伴う18歳、19歳の未成年者取消権の喪失という点において、慎重に検討されるべきであると考えます。その上で、民法の成年年齢が引き下げられた場合の対応策に関する要望について、消費者教育に関連する事項を中心に、以下の意見を提出いたします。

1.高等学校における消費者教育の拡充

1)機会の拡充

成年年齢の引下げに伴い、最も懸念されるのは、言うまでもなく18歳、19歳の若年成人の消費者被害の拡大である。現在、未成年者の取消権が行使できなくなる20歳の若者をターゲットとした契約トラブルが多く発生していることから、成年年齢が引き下げられれば、同じ状況が18歳に移行することになる。消費者委員会による「若年層を中心とした消費者教育の効果的な推進に関する提言」(平成28年6月)にもあるとおり、「成年年齢が18歳に引き下げられた場合には、高校生であっても契約の責任を自ら負うことが考えられる」ことから、今後は、多くの若者が18歳を迎える高等学校という場において、批判的思考力や判断力、意思決定のスキルを高める消費者教育が一層推進される必要がある。現在の高等学校における消費者教育は、家庭科、公民科などを中心に実施されているが、新教科「公民」やその他の教科、活動などを含め、学校教育全体を通じて生徒一人ひとりに消費者市民リテラシーを涵養することが喫緊の課題である。

2)主権者教育と連携した消費者教育の推進

高等学校における消費者教育の拡充に際して、特に重視されるべき点は、主権者教育と連携した消費者教育の推進である。文部科学省の「『主権者教育の推進に関する検討チーム』最終まとめ」(平成28年6月)によれば、「『深い学び』『対話的な学び』『主体的な学び』のアクティブ・ラーニングの3つの視点に立って学び全体を改善することは、(中略)『社会の中で自立し、他者と連携・協働しながら、社会を生き抜く力や地域の課題解決を社会の構成員の一人として主体的に担うことができる力を養う』という主権者教育の目的にも資するものであり、その一層の推進を図ることが期待される。」とある。これまで消費者教育は、法教育などと連携してきたが、主権者教育との具体的なつながりは不十分である。今後は、主権者教育の一環として、消費者の権利学習を明確に位置づけていく必要がある。また、先進的な取組として、生徒会活動等と連携した生徒たちによる消費者委員会の設置や情報発信、ならびにそれを教育委員会等が評価し奨励する仕組みづくりなども求められよう。

2.若年成人のための消費生活相談体制の確保

1)高等学校における消費生活相談体制の整備

高校生成人が誕生するようになると、消費者被害が高等学校の内部で広がることが懸念される。特に、マルチ商法の被害などは友人関係をくずしかねず、学校現場が、水面下の被害の温床にもなりかねない。そこで、従来の生徒指導とも連携しながら、校内の消費者問題の早期発見や、被害を相談できる環境の確保が不可欠となる。いつでも相談可能な相談窓口を設置するとともに、その窓口を有効に活用するために、すべての教員に対し、消費者問題や消費者教育に関するリテラシーを育む学内研修などを行う必要がある。

2)地域における若年消費者のための消費生活相談体制の拡充

地域の消費生活センター等においても、消費生活相談体制を、より若年者に利用しやすいかたちに整えていく必要がある。若年者に対し、消費生活相談窓口の存在を周知徹底し、気軽に相談できるようにするために、インターネットやSNSなどを一層活用した新たな仕組みづくりが求められる。また、高等学校と連携し、「出張学校相談日」を開設することも、若年成人の消費者被害の早期解決のために有効な手段と考えられる。

3.文部科学省と消費者庁、教育委員会と消費生活センター等の連携による成年年齢の引き下げに関する取り組み

1)教材の開発

消費者教育用教材については、すでに様々な機関によって多種多様なものが作成され「消費者教育ポータルサイト」において公表されているが、成年年齢の引き下げというテーマを中心に取り扱うものは見られない。成年年齢が引き下げられるのであれば、その移行期において、この問題を正面から取り扱い、消費者として理解すべき知識はもとより、実践的な消費者スキルがマスターできるような教材が求められる。文部科学省と消費者庁の連携により、高校生向けの分かりやすい教材が開発されるとともに、その配布にあたっては、各地の教育委員会と消費生活センター等が連携し、内容が周知徹底されるような方法を工夫するべきである。

2)広報・イベント等の実施

成年年齢の引き下げに伴う若年消費者の被害防止と主権者意識の醸成のためには、その社会的周知が不可欠である。国民全体に対する大規模なキャンペーン的活動を文部科学省、消費者庁、法務省等関連する省庁の連携の下で展開するとともに、各地において、教育委員会や消費生活センター等が中心となり、地域の実態に応じたイベントを、高校生を巻き込みながら展開するなどして、この問題を社会的なムーヴメントに高めていく必要があろう。

以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの御意見、御発表を前提にして御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。

増田委員、どうぞ。

○増田委員 皆様の御説明ありがとうございました。

まず全国公民科・社会科教育研究会様に質問をさせていただきます。

現状、社会科、教員のお立場として、これだけ消費者教育と言われていますが、取り組むことが可能かどうか、率直にお伺いしたいことが1つ。

もう一つなのですけれども、社会科と家庭科という両方のアプローチがあろうかと思いますが、先生方においてはそこの切り分けがしっかりおできになっているのかなと思いますが、例えば消費者教育といった場合、環境を考えた商品サービスの選択であるとか、インターネットリテラシーという問題から始まって、あとは契約の知識とか、非常に融合した教育が必要だと思います。先ほど吉川様がおっしゃったように消費者教育科という形で展開をするのが望ましいのかなと思うのですが、そういう2つの方向からのアプローチが実際に効果的に機能しているのかどうかということについて、2点お教えいただければと思います。

○全国公民科・社会科教育研究会篠田事務局長 御質問ありがとうございます。お答えします。

まず現場の教員として取り組めるかという最初の御質問ですが、それは時間的な意味とかマンパワーという意味ですよね。無理です。我々は一生懸命やっています。我が校でも今ちょうど後期中間考査の最中ですが、泊まってまで問題を作り、採点し、生徒に返さなければいけませんので、目いっぱい頑張っています。

やれと言われれば当然私たちは先ほど申し上げたとおりやりますが、現状で、となるとどこかを削らないと多分だめだと思います。選択と集中、何と言ったらいいですかね。スクラップ・アンド・ビルドと言ったらいいでしょうか。これを入れるためには何かを削らないと、ということは正直申し上げてあると思います。ただ、現場にいる目の前の生徒が困ることは私たちの本意ではありませんので、それがないように全力を挙げることになります。

それは多分、2つ目の御質問とつながると思うのですけれども、例えば今の学習指導要領ですと総合的な学習の時間というものがございます。これは科目横断的なものということで各学校に今ある程度自由裁量が認められておりますので、例えば今の消費者教育に関する問題ということであれば、御指摘がありましたように先ほどのお話ですと情報という科目もございまして、例えば現代社会と情報と家庭科がリンクして、それぞれの科目のプログラムの体系立った年間のカリキュラムがありますが、それもやりますけれども、それとは別に1つのテーマで科目横断的に横に突き抜ける形でプログラムを組んで対応することは当然考えられますし、むしろそのために総合的な学習の時間ができた経緯がございますので、現場とすれば知恵を絞って、いわゆる真面目に公民科でこれをやりましょう、家庭科でこれをやりましょう、情報科でこれをやりましょうというとパンクしてしまうので、今ある資源を有効に使って、知恵を絞って効率よく消費者教育なら消費者教育に当たるというときに、例えば総合の時間を使うとか、あるいはホームルームの時間を使うということも十分可能ではあると思います。工夫は現場の私たちの知恵の出しどころだと思います。

○河上委員長 ありがとうございました。

よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。樋口委員、どうぞ。

○樋口委員 今のことに関連して、個人のお立場で結構なのですが、今の小中高という教育制度との関係で、高校3年生の段階で成年年齢に達した方と達しない方が出てくるということ自体に問題があるのではないかという気もするのです。

例えば学校の教育制度自体を見直す。例えば高校を卒業した後に例えば成年年齢に達するというような考え方もあり得るのではないかと思うのですが、教育の場で今は無理というお話がありましたので、根本的な対応策を含めて考えていかなければならないのではないかと思うわけなので、そういった点についても十分議論していく必要があると思いますが、もし個人的な御見解でも結構ですが、そういった点についてどのような感想をお持ちか。

もう一点、それに関連して現行制度を前提とした場合に非常に難しい課題になるわけですが、これは経過措置として何年かの猶予期間はありそうだということなのですが、実際どのくらいの、無理とおっしゃっているのに何年と聞くのもおかしいかもしれませんが、どのくらいの期間があればある程度の体制ができ得るのか。その辺も感覚の問題としてどう感じておられるか。もし感想を聞かせていただければと思います。

○全国公民科・社会科教育研究会篠田事務局長 前後してしまいますが、高等学校だけで対応策を考えろと言われた場合、高等学校は3年間あります。3年時間を与えればいいかというと、実は高校1年生で入った子が3年間で卒業するので、高校1年生で入った子を3年間どう育てるかというプログラムを作る時間がどうしても必要になります。そうすると、入る前の1年前から計画を立てるとすると4年かかります。それから、それに向けて制度をどうするかによりますけれども、人を集めるとなると人事の問題が絡むので、もう一年前からスタートしないとだめだということがあります。

それから、もしかして例えば今、先ほど申し上げたように総合的な学習の時間の中で取り扱うのであれば、科目は変わりませんけれども、看板を書き換えることになると、中学生に対してうちの高校はこういうことをやりますよと言わなければいけないので、その周知の時間も必要になります。どのような形で取り組むかによって年数は違いますが、少なくとも看板を掛け替えないで中身の運用で変えるとしても、今の感覚で言いますと5年はかかるのではないかという気がします。

高校3年生の教室に成人と成人でない人間が混在することについては、例えばこの夏の投票の問題なんか一番分かりやすいのだと思うのですけれども、大変微妙ではあります。ただ、学校によって大分違いますけれども、それで大きな混乱が起きたということは聞いておりません。それは私ども教員がかなり神経を遣いまして、学校の中に政治を持ち込まないようにということをかなり強く意識して、もちろんこれは微妙なのですけれども、個人の自由の問題を言ったらば、生徒は行動したり発言したりする自由があるので、それを保障しなければいけないのですけれども、でもここは学ぶところですよね、学ぶところとしてあなたの行動はふさわしいですかという問いかけです。

つまりこれは生徒指導となるのですけれども、学校によっては生活指導とも言います。生活指導の文脈の中で今ここにいるあなたにとってこの行為は、あなたにとってはいいかもしれませんけれども、ほかの生徒さんにとってどうなのでしょうかという形で、訴える形しかとれないのですが、そういう形で功は奏しているかと思います。あと、周りの方々、例えば部活動などで指導に来てくださる社会人の方などについても、不用意な発言は避けていただきたいなどなど、かなり校長を通じて要望を出したりして、無防備な生徒が政治に巻き込まれないような工夫をかなりしているのが本当のところだと思います。

ですから対応次第で、成人年齢が下がったからといって混乱するかというと、そこは運用で何とかできるかとは思います。ただ、いろいろ御指摘があったみたいに政治の論理と経済の論理は違うので、商品とかいろいろな誘惑のことを考えると、政治の誘惑は、今の高校生は政治に関してはむしろ距離を置いているので余り魅力は感じませんけれども、経済の論理に巻き込まれていくと意外と脆弱なような気はします。

あと、感想でもいいということだったので、18歳参政権のときに西高、私の本務校で実際、少し前から国会などに動きがあったので、まさにアクティブ・ラーニングよろしく双方向性の授業を大事にする本校なので、生徒に率直にどう思うと聞いたりしてディスカッションの授業をしたのですけれども、ある生徒は、西高の場合は大学院まで行く先輩が多いので、院生なんかも結局自活できていないわけですから、20歳になろうが何歳になろうが、自立していなければ選挙権は与えなくていいのではないかという声があったり、逆に中学校を出てちゃんと働いている人は選挙権がないとおかしいのではないかとか、そういう声もありましたし、いやいや結婚していれば幾つでもいいのではないかとか、実は多様な意見を生徒は持っています。

ただ、そのときにどこで主権者として有意な行動をとるに値するか、どう線を引くかという、結局政治の問題なのですけれども、線を引くということは線の外側を排除することになるので、そこをどうするか。そこを配慮しなければいけないというのは、結論はないわけですけれども、そのようなディスカッションの授業はしたことがありますが、生徒のほうがむしろ私たちよりも柔軟に、多様に物事を捉えていて、私たちも参考になったという経験がございます。これで回答になりますでしょうか。

○樋口委員 ありがとうございます。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。高橋副会長、どうぞ。

○日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会高橋副会長 今、周知期間というところについての御意見が出たのですが、先ほどNACSからの御説明の中で、そこの部分は説明をさせていただいていないのですけれども、私どもの意見書の中には、周知期間を3年程度とするのは短いと考えますというところまでなのですが、実は私どもNACSの中で消費者教育を担当している委員会があります。その中に当然、学校の先生もいらっしゃいますし、教育委員会の方もいらっしゃるのです。やはりそのときに今、篠田先生から御意見が出たように、学校で何かを教える、その仕組みを作るというところに準備期間が当然要ります。高校教育例えば3年で教える課程の場合に、まずカリキュラムを組むところが前の年から始まって、そして施行実施状況を見る。そう考えると今の先生の御意見と全く同じなのですが、5年の周知期間というのが教育現場からすると相当なのかなということがございました。

以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

ほかには何か御意見ございますか。増田委員、どうぞ。

○増田委員 ACAPさんから消費者教育の充実ということで、学校教育における消費者教育を実際におやりになられていると思うのですけれども、学校教育をするに当たってはなかなか難しいことが多いかと思いますが、どういうアプローチをされて実施しているのか。そして、課題です。これから更に数多くやっていく必要があるとお考えだと思いますが、それをするに当たっての課題を教えていただきたいのと、それについて、それを受け付けなければいけないという立場の高校の篠田事務局長のほうで、例えば外部講師を利用する、連携するといった場合の受け入れ態勢というものが作れるのかどうかをお教えいただければと思います。

○消費者関連専門家会議佐藤専務理事 御質問ありがとうございます。

今の御質問は、学校教育は私ども今、出前講座であるとか、大学へのということで御報告しましたが、その部分でということでよろしゅうございますか。

できるだけ広くいろいろな大学にお声かけして、講師として呼んでいただけるように努力はしておりますが、今回は食品、今回は金融と、自分と違う分野を講義することはできませんので、自社における日頃の消費者からの照会や御相談の中で誤解されているとか、分かってもらえていないとか、我々が思っているところが伝わっていないということを各企業は収集しており、講義では自分の会社で苦労をしている、そういう部分を講義しております。まずはそこしか手がつけられないのが実情ですが、それが大切だと思いますし、それがまたACAPのやるべきことだと思っております。自分の持ち分での精いっぱいの努力。また、講師として行く者も会社としての課題をできるだけ収集し、自分が相談窓口で苦労していることや、会社として消費者の誤解があると思われる問題を講義していくことが必要だと思います。

もう一つは、これは話からそれるかもしれませんが、ACAPの講座としてお声をかけていただく大学なりの教育現場との接触に我々も努力せねばなりません。各先生方も実学といいますか、実際に苦労していること等を学生たちに教えるといいますか、そういう機会を見つけて我々にお声かけをいただけるということ。我々も門戸を広げてはいるのですが、そういう機会として大学との接点がもっと増えていけばいいなと。

もし補充がありましたら。

○消費者関連専門家会議坂倉理事長 若干補足しますと、なかなか学校教育に企業が入っていくのは難しいところがございまして、商品の宣伝と誤解されてしまうこともあって、企業単独ではなかなか入っていけないので、そういう意味ではACAPのように事業者団体として講義を請負させていただくというのは、企業単独よりははるかに入りやすいのかなと思っております。

ただ、そうは言っても我々は、私も含めてみんな企業の仕事をやりながら、ボランティアの形でやっていますので、どうしても限界があるのが事実でございます。今、関東地方で定期的にACAPとして講座を持って大学で授業をさせていただいているのは、3大学ぐらいでございまして、なかなかそれをもっと広げよう、あるいは更に別の高校とか中学に広げようとなると、体制的には十分賄えない状況であるというのが現状と言えます。

以上でございます。

○河上委員長 では篠田事務局長。

○全国公民科・社会科教育研究会篠田事務局長 まず私ども学校教育の現場は、生徒と教員だけで成り立っているわけではなくて、一種のステークホルダーの考え方なのですけれども、社会でいろいろな方々の御厚意に支えられていることは言うまでもありません。ですから先ほどお話をいただいたように、企業の皆さんなどの御厚意に甘えている部分はたくさんあります。また、そうでないと画一的な授業しかできませんので、そうなりますと例えばキリンさんがこんなことをやっているというのを私たちが知らないと、ジョイントして授業ができないわけです。ではどうやってつなぐのかというのが常に問題になります。つまりこれだけ情報社会なのに、本当に必要な情報が企業さんにも学校の現状が伝わっていないと同じように、逆の意味で私たちも企業さんの本当のことが分からないわけです。ですから今、御指摘があったみたいに企業が入ると物を売りに来たのではないかという誤解がある。

典型的な例は、金融経済教育でございまして、例えば私は政経の教員なので株式とかそういった実践的な授業も入れるわけですけれども、そうすると保護者のほうから投資教育をするんですかというクレームがつく場合があります。投資家教育をするのではなくて、あくまで経済を理解する手がかりとして、現実の株の動きなんかを教材として使うんですと説明はするのですけれども、それでも散々クレームをつけられて嫌な思いをする教員もたくさんいます。

ですからそういう点で考えると仲立ちになる機関、例えば私どもの研究会で毎年全国大会をやりますけれども、そこで企業さんとタイアップしてこういう消費者教育をやりましたなどということを年に1回必ず、さりげなく入れ込むことで全国の先生方に刷り込んでいって、それで自然と消費者教育が大々的なイベントではないにしても、ごく普通の営みの中で高校に浸透していくなどという作戦をとることは可能かとは思います。

実際に私どもからしますと、今の西高の場合は3月の学年末試験が終わった後は、授業はしなくていいことになっています。なぜかというと授業数が多いので3月頭までに法定時数を超えるまでやっているので、東京都教育委員会もあとはよきにはからえということをしてくださる。そうすると、ワークショップ形式のアクティブ・ラーニング的なものを前からどんどん入れているのですけれども、そういうところで例えば企業の方に来てもらうとかして、いろいろな仕込みはできるわけです。ただ、こういう学校は非常に少のうございまして、時間割の中に入れるとなりますと、例えば1学年6クラスの学校だとすると、6回の授業をやらなければいけないわけです。そうすると企業の方に来ていただくときに同じ内容を6回展開してもらえますかとなりますと、なかなか難しいわけです。皆さん善意で動いていても、なかなか実現できないという物理的なハードルもあるのが現状でございます。

ただ、これは私見になりますが、創意工夫で実はいかようにも取り組むことはできると私は思います。また、そのために私ども教員がいるわけですし、教科書を教えるのではなくて、教科書で教えるわけですから、そうするとプラスアルファどこまで自分の色を出せるか、それで生徒の気持ちを探れるか、そして生徒にきちんと物を考える基礎を作るかということになりますね。きちんと物を考える基礎ができれば消費者問題にしても、法律の問題にしても、実は様々な社会問題についても自分の言葉で考える基礎ができてきますから、結果的にはそれが保護教育になったり主権者教育になったり消費者教育になったりということになるのだと考えています。

ただ、もう一つ難しいことがありまして、高等学校で実施する場合に私たちが主導権を握らせていただかないと、なかなか難しいわけです。企業の方の前でこういうことを申し上げるのは大変失礼なのですけれども、率直に申し上げると、善意の方がたくさん来るのですけれども、その善意があり余ってしまって、ものすごい勢いでかき回してしまって、学校教育の枠がぼろぼろになってしまうという例も実はあるわけです。皆さん善意でやっていらっしゃるので、それを否定するわけにはいかないのですけれども、あくまで教員が主導権を握り、その学校のプログラムなり、その先生の授業のプログラムの中でうまく生かさないと、結果的にはいい影響は出ないので、そういった微妙なバランスがあります。

そうすると、結局それは私たち教員の力量の問題なのです。私たちが普段から研修を積んで、自分の力を高めて、うまく皆さんの力を融合していくようなコーディネーターと言うのでしょうか、ファシリテーターと言うのでしょうか、そのような力をつけておかないと、せっかくの皆さんの善意が空回りで終わってしまう例も実はたくさんございます。ですからその意味ではできるのかという御質問に対してはできるし、できるように私たちは修業しなければいけないと私は考えています。

以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。

樋口委員、どうぞ。

○樋口委員 ACAPさんにお伺いしたいのですが、ACAPさんの事業の範囲を超えているのかもしれないのですが、現在でも学生に関しては別に20歳ということではなくて、学生に関してはいろいろ自主的な取組を各企業さんされておられるのではないかと思うのです。それで18歳に仮に年齢が引き下げられた場合に、この皆さんのアンケートの意見を読んでいると、そこのところがいろいろな方がおられるんだなと。新しいマーケットが大きく広がると見ておられる人もいるし、ですが、今、大学生について例えば自主的なルールをやっておられるのであれば、例えば若年消費者ということで対応しておられるのであれば、それが、対象に高校生が入ったからといって、その基本的な方向性は、本当は変わらないのではないかと私は個人的には考えるのですが、若年消費者対策としてそういう自主的な、法律とかで別に義務はないわけですが、いろいろ工夫をされて、若年消費者あるいは学生という身分だとお金がない、実際には自分で稼いでいるわけではないですから、そのようなことに関していろいろ配慮されたことが、もしこういう引下げということがあったときにちゃんと維持していただけるのかどうかというところが非常に重要なポイントになると思うのですが、これも今の段階でACAPさんがまとめられてということではないかもしれませんが、御感想で結構なのですが、これまでのいろいろな各企業の取組との関係で言うと、そういったものも基本的には継続していただけるのか。学生に関する措置をですね。なおかつ、高校生を今度含めてそういう措置をしっかり、自主的に取り組んでいただけるかどうか。そういうところについても御意見をお聞かせ願えればと思います。

○消費者関連専門家会議佐藤専務理事 引き続きますますこういった動き、保護といいますか、手厚い対応はするだろうと考えます。その裏には会社としてもガードしなければなりませんし、会社としては危ないことになってはいけませんし、いろいろなトラブル等に巻き込まれたくないという言い方はおかしいですけれども、やはりしっかりそこをやっておかないと大変なことになるということで、ますます手厚い対応、配慮は各企業が更に工夫をしていくのではないだろうかと感じております。

それから、先ほども話がありましたけれども、例えば18歳から22歳ぐらいになってくると、引っ越しもすれば旅行もするし、現在の成人と同じ活動もしているわけですけれども、立場は大学生であって無茶な酒を飲んでいるかと思えば、契約もする。なんだかアンバランスな非常に中間的なところでありますので、そういったところの学生、大学生と限定するわけではないですけれども、そういう人たちに何かがあってはいけない。企業もそれに巻き込まれたくはないという意味で、こういう手厚い対応といいますか、配慮はますますしていくだろうと思います。

このアンケートもあくまでも会社としての意見を求めたのではなく、会員として今どう思いますかということを聞いているわけですけれども、ためらいながらも、出てきたのがこういった意見でした。もう少し掘り起こしていけば、実はこういうこともやっているとか、こういうことをやっていかなければいけないだろうという意見が出てくるだろうと感じております。

○河上委員長 理事長、補足はありますか。

○消費者関連専門家会議坂倉理事長 現在、企業は20歳になったら成年年齢になりますから、当然20歳、21歳あたりに対しては手厚くというか、通常の成人よりも注意して御対応している企業も多いと思うのです。今度それが18歳に変わるから、それを18歳に対しても下げていけばいいではないかという形になると思うのですが、それはもちろんそうしなくてはいけないと思うのですが、ただ、より丁寧にやっていかなければいけなくなると思うのです。20歳と18歳では経験も不足していますし、学習も不足していますし、更に身体の成長過程の途中でもあるということがありますから、今、20歳に対してやっていることをそのまま18歳まで対象を下げるだけではなくて、更にそこに踏み込んで丁寧にやっていく必要があるので、そこが大きく違います。そこが今すぐできる環境にはないのではないかというのが私の考えでございます。

以上でございます。

○樋口委員 ありがとうございます。

○河上委員長 私は司会役ですけれども、ついでにACAPさんがせっかく言ってくれたからうれしくて言うのですけれども、私は法律を教えているのですが、老人会のところで話をするときには、おじいさんに分かるように説明をしてあげないと、なかなか後見制度の話なんかをしても分かってもらえないのです。中学生、高校生に話をするときは、また余り法律用語をべらべらと使っても分かってもらえない。学生に話すとき、一般の人に話すとき、それぞれにやはり相手を見て物を説くことが、教育者としては当然要求されることなのですけれども、事業者として見たときの事業者倫理というか、そういう観点から見て、顧客を見て、つまり顧客の年齢であるとか、そういう属性を見ながら説明の仕方というものについて配慮していくというか、丁寧にやっていくといったような、そういう倫理的な要請というものが事業者の方々にとって一般論として受け入れられる事柄でしょうか。それとも、そういうものを一般論として言われると、また嫌だということになるのでしょうか。

○消費者関連専門家会議坂倉理事長 今、委員長のおっしゃった件でございますが、企業としては幅広い年代層の方、幅広いお客様に対応していかなければいけないので、当然、一律の御対応だけをしている時代ではないと思います。

最近、特に企業が工夫し始めたのは高齢者向けの対応だと思うのです。高齢化社会ということもありますし、高齢者の方の消費者トラブルや御質問も多いので、通常のお客様に比べて高齢者の方には例えばパンフレットの文字を大きくするとか、電話での対応も確認をとりながらゆっくりとしゃべるとか、あるいはホームページを見られるという環境はないことを前提に対応するとか、高齢者に向けての対応の仕方を今、企業もいろいろ工夫していると思うのです。それと同じように若年層に対しても当然、企業はしていかなければならないと思うのですが、ただ、まだ18歳、19歳の方々に対して何をやっていけばいいのだろうということが、私も丁寧にとは言っていますけれども、具体的にどうするんだというイメージもまだ詳しく持っていないし、多分、会員企業もそんなに持っていないので、こういうアンケート結果になっているのかなという気はいたします。

○消費者関連専門家会議佐藤専務理事 私どもACAPのほうでいろいろディスカッション等をすると、多くの企業の方がお客様の立場に立ってという表現を使われます。もともとそうでなければいけないのでしょうけれども、高齢者には高齢者なりに言葉をゆっくりとか、そのようなことにつながっていきますし、それが言葉の中に出てくるということは、私どものほうでそれがだんだんと進んできたなという気はしております。

私は生命保険会社から出向していますけれども、やはり高齢者に対しては一度のお話で御契約をしてはいけないとか、必ず御家族の方に同席してもらう努力をして御契約をしていただくとか、そういった形で結局、相手の立場なり年齢なりいろいろなものを考えた上で行動する方向に、各企業がなってきているという感じはいたします。それは継続していくだろうと思います。

○河上委員長 例えば年齢であるとか、経験の有無というのは、ある程度相手の情報が分からないと、企業としてもそれに十分対応することが難しいということがあります。それを考えると、例えば18歳、19歳のために特別な手当てをしてくださいねと言っても、年齢を一々聞くんですかということは普通、反論として出てくると思うのですけれども、その辺はどうなのですか。相手からの情報というのは通常の事業者としての注意を尽くしていれば分かる程度の注意ならば、これはやってもそんなに負担ではないということになりましょうか。

○消費者関連専門家会議坂倉理事長 具体的に年齢を聞く商取引がどういうものがあるかというと、1つは契約関係、例えば生命保険会社での契約だとか、そういったものは年齢を聞きます。もう一つは法律で何歳と決められているものです。アルコールであれば20歳以上の証明書を見せてくださいということをやったりしていますが、そうではない商品であれば聞いていないわけです。ですから、年齢の確認をしない商取引も結構ありますので、そこは難しいかもしれません。今、年齢をお聞きするのも結構嫌がられる方も多いので、なかなかお聞きしておりません。契約関係は必ず聞くでしょうから、年齢を聞いて、では注意しなければいけないというきっかけにはなるかと思います。

○河上委員長 ありがとうございました。

また追々と聞くことにして、樋口委員、どうぞ。

○樋口委員 NACSの方に伺いたいのですけれども、いただいたメモの中の裏側のほうですが、上から3行目のところで、法制審議会の答申にあるように契約年齢を含めた民法の成年年齢の引下げが実施される場合には、以下のようなことを検討すべきだということがあって、この中のマル3で、取引する事業者に勧誘の制限や重い説明義務を課すということをお書きになっているのですが、ほかのところに関して教育を充実させるとか、相談窓口を設けるとか、消費者保護の様々な政策を実施するところについては比較的理解しやすかったのですが、勧誘の制限とか重い説明義務というのは具体的にこういうことだということがあれば、御紹介いただければと思うのですが。

○日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会高橋副会長 具体的には例えば先ほど来、生命保険の契約とか、いろいろな契約条項の話が出ていましたけれども、ああいうときに、今は一般的になりましたが、重要事項説明書みたいなものがございます。それを例えば18歳、19歳の年齢の方については経過措置でもいいのですが、事業者に義務づけたらどうか。そういうある程度縛りを設けるような施策も考えたらどうかというのがこの当時、この提言を作った担当のほうから出ておりました。

それがなじむのかどうかということはともかくとして、やはり18歳、19歳の方が特に先ほど来、申し上げているいわゆる契約というところに入り込んでいきますので、その場合に経過的な措置でもよろしいのですけれども、当初こういう施策も重点的にやることが必要ではないかということです。

○日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会有山理事 特に若い方はインターネットでの契約も多いので、そういう中の表示の部分もこの中に入っているのだと思うのです。一般的に契約の部分と、悪質業者のインターネット上の広告は何ら精査されているところもないまま、関心を持つ若い人たちに届けられるという状況も含めて、このような文言が入ったと考えております。

○樋口委員 これを通して読むと、前のページでは契約年齢の引下げには反対が7割と書いてあって、20歳と現状を維持していくことが必要だけれども、もし引き下げるということであればというふうに書いておられるのですが、そこからすると財産管理年齢、契約年齢については、一定の成熟した判断が必要だということを言っておられるのかなと思うのですが、私は勧誘の制限とか重い説明義務の今のお話のところについては、実効性の問題、これはあらゆる産業についてそういう制限を課すということであれば、かなり重い措置なので、それがきちんと守られるかどうか。それも担保していかなければいけないという問題になりますから、実効性の問題については議論があるのかなと思いましたが、改めて読み直してみると、上のほうに20歳とする、現状を維持していくべきだけれども、それが実現しないのであれば、何らかの事業者に対する重い措置が必要だ、歯止めになる措置が必要だという趣旨であるということでしたら理解できるのですが、そんな理解でよろしいでしょうか。

○日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会高橋副会長 そういうことです。要は先ほど申し上げましたけれども、いまいま国民全体といいますか、消費者の状況を考えると、18歳、19歳の皆さんが積極的に運動として今、契約年齢を引き下げてくださいという動きがあってこうということではないわけで、そういうことで考えますと、逆に言いますと今までの権利がある程度制限といいますか、取消権がないということであれば、それに類するような諸施策があって当然ではないかという御意見が中心です。

以上です。

○樋口委員 全国消費生活相談員協会さんにも伺いたいのですが、参考資料の意見書では18歳に引き下げることに反対ということで、特にお話の中では契約という問題、しっかり教育すべきであるというお話がありましたが、NACSさんと切り口は違いますけれども、やはりこのまま、現行のままでしっかりした教育とか制度整備がないままで引き下げることが、特に契約の関連などについては大きな問題を生じる可能性がある。学校教育に関しても消費者教育科というお話がありましたけれども、かなり思い切ったそういう制度改革もしなければいけないということで理解してよろしいでしょうか。特に契約の部分、先ほどのNACSさんの考え方とも共通する点があるのかなと思ったのですが。

○全国消費生活相談員協会吉川理事長 ここに書かせていただいていますように、基本的には現状では反対です。移行するためには十分な準備が必要でしょう。先ほどNACSさんのところでも御質問されていたのですけれども、適合性の原則とか、そういうところで現場であれば対応するのかなと思っていますが、やはり現状では反対です。少なくとも5年間の準備期間は必要でしょう。もっと言えば、それこそ幼児のときからの消費者教育というふうにお話はさせていただいております。

○樋口委員 ありがとうございました。

○河上委員長 では増田委員、どうぞ。

○増田委員 全相協さんに、18歳、19歳ということだけでなく、大人か子供か分からない人たちがいろいろな被害、トラブルが発生しているという、そこの発言が非常に私は重要な指摘だと思っておりまして、要は年齢によってどこかで区切らなければいけないというのはあるかもしれませんけれども、教育が与えられていない、与えられたとか、いろいろな環境によって成熟していない人たちというのはそのままいるわけなので、そういう考え方でいくと、ある意味そういう知識、財産などの適応性がないとかいうような場合についての何らかの一定の手当だとか、そういうものが必要かどうかという、その点についてもう少し補足意見がありましたら教えてください。

○全国消費生活相談員協会吉川理事長 私が申し上げたのは、大人か子供か、あるいは契約行為は本当はやっているわけです。先ほども言いましたが、子供がお菓子を買いに行くとか、そういうことも含めてきっちりした、子供の行為であっても、それはちゃんとした大人というのか、1人の人間としての契約だよということを、それぞれ今後教育をつけていくことが必要だという意味で、大人か子供かというのは年齢的にどうこうというよりは、一人の人間としてどう教育を捉えていくかということが、今回のこの問題を契機にもっと議論されるようになり、なおかつ消費者教育あるいは社会で生きていくための教育が必要だと考えましたので、そういう言い方にしましたけれども、大人か子供か分からないというのは年齢では区切られない。ただし、だからこそ早くから教育が必要ですということを申し上げたいです。

○河上委員長 ありがとうございました。

恐らく今まで20歳でばちっと成人と未成年というのを分けていましたけれども、本当は成熟度から言うときちんと分けられるようなことではなくて、そこには一定の幅があるのだろう。ですから今まで20歳だったけれども、18歳になったからといってそんなに大きく変わるわけではなくて、18歳あたりから22、23歳ぐらいまでの間は、かなり幅として捉えなければいけない時代になっているのかなという気がします。

私は1つ、篠田先生にお伺いしたかったのですけれども、今の子供の、いわば精神的な成熟度といいますか、先生は長い間、学生たちを見てこられて、どうなのですか。選挙権年齢という観点から見たときのある種の判断能力というか、責任感のようなものと、それから、自分の財産を管理するときの財産管理能力といいますか、そういうものとか、何が自分にとって必要な品物なのかということを市場で決定する力のような、そういう精神的な成熟度という観点から言うと、傾向としては昔よりも下がっているのか上がっているのかという辺りはどうですか。

○全国公民科・社会科教育研究会篠田事務局長 お答えします。一言で言うならば、より幼くなっています。昔の高校生だったらこれはできるだろう、このぐらい考えられるだろうということができていないというのは、西高でさえも言えることだと思います。

もう少し補足するならば、先ほど申し上げたように主権者教育ということでいくと、逆にそういうものは意識が高いです。それから、経済教育とか環境教育とかそれぞれの時代の流行がありまして、その影響があるので、例えば経済に関する目というのはむしろ前よりも開かれていると思いますけれども、今、御指摘いただいた財産管理とか契約ということになると、これはむしろ逆に御家庭でそういう経験が少ないのだと思いますが、親が一生懸命抱え込んでいるせいかもしれないのですけれども、幼くなっています。だから先ほど申し上げたように、教育というのは学校教育だけではなくて、家庭教育、社会教育、それから学校教育。3つがうまく絡まらないとだめだというのは、そういう意識も背景にはございます。

○河上委員長 ありがとうございます。

私も実は大学で同じような感覚を持っていて、年々幼くなってくるなという感触を東京大学でも持っております。

もう一つは、カードを使うことの習慣があるものですから、金銭に対する感覚というのが、これはかなり我々の世代とも違うものが若い人にはあるので、金銭教育が大事だということは先ほどNACSからもお話がありましたが、これは教育の中ではかなり大事なことで、人間として生きていくときの人間力というのは、単なる知識だけではないので、その意味では確かに現場では時間もないし、カリキュラムも混んでいるし大変だ、ということなのだけれども、優先順位から言うと結構高いところに「消費者力を養う」ということはあるのではないかということは感じておるところです。

実は予定していた時間が余りなくなってしまったので、大変申し訳ないのですけれども、最後に何か一言だけでも言いたいという人、では吉川さんどうぞ。

○全国消費生活相談員協会吉川理事長 一言ではないのですが、先ほどのカードの話から、現場で私どもも幼児教育をしていて、これは何で払うと言ったら、普通だったらお金と言うのですが、最近の子供はカードというふうに答えが返ってきて、実はうちのほうではそういうのを用意していなくて、お金は○円とか書いたものを用意していたのですけれども、というのが最近、現場でありますので、本当に親がスーパーで払うのを見ていて、カードで払って現金感覚というのがなくなっているのが、非常に低年齢化というのか、そういう現場を御報告だけしたかったということです。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

今日お話をいろいろいただいてありがたかったのですけれども、未成年から成年へという成人期の移行プロセスというものが非常に長期化しているし、しかも複雑化しているということで、人によって非常に多様でもあるということになりますから、若年成人ということを一言で言っても、その幅はかなりあるということは考えておかないといけないのだろうと思います。ただ、市場へ出ていくときに、我々は車で道に出ていくときには、車に乗るための免許証を手に入れますけれども、言ってみれば成人というのは免許証を手に入れるという行為で、最初に走るときの2、3年は若葉マークを付けておいたほうが周りの人にとっても安心だ。事業者にとっても安心。ある程度歳をとってきたらもみじマークは付けてもらったほうがいいし、場合によって危なくなったら返納していただいたほうがいいかもしれないというようなことがあるのですけれども、市場でも同じことがあるのではないか。やはり経験が少ない、そういう人たちが、あるいは判断力が通常よりも少し劣っているというか、保護に値するという人たちに対して何らかの保護の必要性があるのではないかという点では、恐らく余り異論がないのではないか。事業者の方にとってもそうだろうという気がいたしました。

1つの重要な課題は、消費者教育の問題であるということについても今、お話をいただいたところでして、根本的には幼児期から金銭教育を含めて少しずつ積み上げていかないといけないということでして、発達段階に応じてという篠田先生からのお話もあったとおり、段階に応じて教えていかないといけないし、それを教えるだけの人を育てないといけないということについても、今日お話の中で出てきたのではないかと思います。

トラブルに巻き込まれてしまったときの駆け込み寺というか、相談をする相手、これは事業者の相談窓口もそうですし、消費者相談をするセンターなんかの窓口でもそうですけれども、相談を気軽にできる、今までは先ほどの話ですと本人がなかなか来られないというか、年寄りになっても来られなくなるわけですが、若い人が最初の芽のうちにちょっと不安に思ったら相談に行けるような相談窓口を事業者の相談窓口にも欲しいですし、センターの相談窓口にも欲しいなということについても、先ほどのお話の中で感じさせられました。

成年年齢引下げというのは、それ自体に対する慎重論が今、一方であることは確かですけれども、仮にこれを成年年齢引下げということを法律で考えるという方向にかじを切ったとした場合には、その移行のための一定の猶予期間というのはどうしても必要で、この中では大体5年ぐらいというのが1つの数字として表れてきたというのも印象的でした。これは教育に携わっている方にとっても最低5年は必要だという準備期間を含めてのお話でしたし、一定の効果が出るまでは5年ぐらいは要るのではないかということがありました。

そんなわけで、完全な成人期になるまで社会全体で見守るためのいろいろな方策をこれからも具体的に考えていかないといけないということで、実は成年年齢の引下げに対する消費者委員会のワーキンググループは樋口委員が座長をなさっておりまして、今、検討させていただいているところでございますけれども、今日は皆様からいただいた貴重な御意見を大いに参考にさせていただきまして、今後のワーキンググループにおける検討の中で是非生かしていきたいと思います。


≪3.閉会≫

○河上委員長 今日は本当にお忙しいところ、ありがとうございました。

それでは、これにて閉会とさせていただきます。寒いところ、どうもありがとうございました。

(以上)

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