消費者団体ほか関係団体等との意見交換会 議事録(2016年3月9日)
日時
2016年3月9日(水)13:00~15:00
場所
消費者委員会会議室
出席者
- 【委員】
- 阿久澤委員、大森委員、蟹瀬委員、長田委員、中原委員、樋口委員
- 【説明者】
- 主婦連合会
- 有田芳子会長
- 消費者関連専門家会議
- 長谷川公彦専務理事
- 中村 哲理事
- 全国消費生活相談員協会
- 柳川淑子常務理事
- 阿部一恵常務理事
- 日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会
- 有山雅子理事・消費者相談室長
- 日本弁護士連合会
- 大迫惠美子消費者問題対策委員会副委員長・弁護士
- 中村新造消費者問題対策委員会副委員長・弁護士
- 【事務局】
- 黒木事務局長、丸山参事官
議事次第
- 開会
- 消費者団体ほか関係団体等との意見交換について
- 主婦連合会
- 有田 芳子 会長
- 消費者関連専門家会議
- 長谷川 公彦 専務理事
- 中村 哲 理事
- 全国消費生活相談員協会
- 柳川 淑子 常務理事
- 阿部 一恵 常務理事
- 日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会
- 有山 雅子 理事・消費者相談室長
- 日本弁護士連合会
- 大迫 惠美子 消費者問題対策委員会副委員長・弁護士
- 中村 新造 消費者問題対策委員会副委員長・弁護士
- 閉会
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
- 議事次第(PDF形式:10KB)
- 【資料1】 消費者関連専門家会議提出資料
- 【資料2】 全国消費生活相談員協会提出資料(PDF形式:266KB)
- 【資料3】 日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会提出資料(PDF形式:21KB)
- 【資料4】 日本弁護士連合会提出資料(PDF形式:184KB)
- 【資料5】 主婦連合会提出資料(PDF形式:295KB)
≪1.開会≫
○樋口委員 本日は、皆様お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。
ただいまから「消費者委員会委員と消費者団体ほか関係団体等との意見交換会」を開催いたします。
本日は、所用により、河上委員長、池本委員長代理が不在のため、私、樋口が本意見交換会の議長を務めさせていただきます。なお、鹿野委員、増田委員が欠席となっております。
まず初めに、配付資料の確認につきまして、事務局よりお願いいたします。
○丸山参事官 お手元の議事次第の下部に配付資料一覧を記載しております。
資料1 消費者関連専門家会議提出資料。
資料2 全国消費生活相談員協会提出資料。
資料3 日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会提出資料。
資料4 日本弁護士連合会提出資料。
となっております。
それから、資料1、2、3という形でナンバリングを右肩にしておりませんけれども、主婦連合会からの提出資料ということで追加配付しております。
不足がございましたら、事務局のほうまでお申し出いただきますようよろしくお願いいたします。
≪2.消費者委員会委員と消費者団体ほか関係団体との意見交換について≫
○樋口委員 それでは、議事に入ります。
消費者委員会では、委員会の運営改善などの参考とすることを目的に、消費者団体ほか関係団体等から御意見、御要望を伺うとともに、委員との意見交換を行っております。
本日は、主婦連合会有田芳子会長、消費者関連専門家会議長谷川公彦専務理事、中村哲理事、全国消費生活相談員協会柳川淑子常務理事、阿部一恵常務理事、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会有山雅子理事・消費者相談室長、日本弁護士連合会大迫惠美子弁護士、中村新造弁護士にお越しいただいております。皆様におかれましては、お忙しいところ御出席いただき、まことにありがとうございます。
本日の意見交換会のテーマでございますが、「官民連携の具体的なアイデアについて」ということで提示させていただきました。これは、昨年8月、第3次消費者委員会で取りまとめ、公表いたしました「消費者行政における新たな官民連携の在り方に関する調査報告」で指摘させていただきましたように、当委員会では、今後の地方消費者行政を含む消費者行政の発展には官民連携が不可欠な要素、キーワードであると考えております。
今日、複雑化いたします消費者問題、多様化する消費者の価値観に対応していくためには、財政の厳しさはもとより、人的資源、専門的知見等においても行政機関だけでなく民間の活躍が必須であると考えております。民間の力、とりわけ消費者団体や事業者団体の皆様の力が不可欠だと考えております。そして、行政におきましても、民間の皆様が活躍できる環境を整備していくことが喫緊の課題であると考えております。
そこで、本日御参加いただきました皆様には、日ごろの御活動の中で、公益のために、ともに助けるという意味での共助の取り組みや、そこにおける工夫を御紹介いただきたいと考えております。また、より積極的に新たな取り組みを進めるために行政にどのような環境整備を求めるのかということについても御意見を伺えたらと考えております。
第3次の報告を総論としまして、私ども第4次消費者委員会におきましては、これを具体化する各論化を目指しております。総論だけでは言いっ放しになってしまいますので、実際に現場の状況に即してしっかり各論を作っていきたいと思っております。本日、皆様から御意見を伺いまして、今後の委員会活動に活かさせていただきたいと考えております。
早速でございますが、参加団体の皆様より、まず御説明、御意見をそれぞれ15分程度でお伺いしまして、その後、委員との意見交換という段取りにさせていただきたいと思います。
それでは初めに、主婦連合会から御説明をお願いいたします。なお、大変恐縮ですが、説明はおおむね15分以内でお願いできればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○主婦連合会有田会長 改めて、主婦連合会の有田と申します。よろしくお願いいたします。
資料の締め切りに間に合わなくて大変申しわけなく当日配付ということになりましたが、A41枚程度で、ここには書いておりませんことも含めて少しお話をさせていただきたいと思います。今日のナンバリングしておりません資料を主に読み上げまして、提案とさせていただきたいと思います。
ここ2、3年、資料後半は、10年ほどのスパンでも書いておりますけれども、消費者に対する普及啓発活動を行っております。各地域の主婦連合会の会員団体、それ以外の、例えば自分がかかわっていた生活協同組合のところでも学習会を開催しています。その中で、特にここ2、3年は洗濯絵表示と子ども服の安全性、それは標準化という考え方も含めて、なぜこの標準化が必要なのかということをテーマにしています。消費者庁や経済産業省が作成したパンフレットを使用しながら、標準化とは何か、規格の内容と必要性について学習会を行っております。暮らしにどのように役立っているかということです。非常口などのピクトグラムは案外御存じないのですね。学習会で消費者運動をやっていらっしゃる方もそうなのですが、そういうことをお伝えすることで関心を持って、またそれを地域の中で広げていくという取り組みです。
子ども服は、どちらかというとJISの標準化で、法律とは直接結びついていないのですが、日本では子どもの安全という視点が弱いということです。長いひもは、出っ張ったところや滑り台などに引っかかるということで危ない。標準化されて以降、売り場も調査しました。随分とそれは改善されていましたが、フリーマーケットなどでは、10センチ以上のひものついた以前の子ども服があって、規格は7.5センチ以内と決まっていますので、フリマでも気をつけてひもを抜くなどしてください。もし、バザーなどで売るときにはそういうことも皆さんにお教えしてくださいといった情報提供をすることで官民連携を実施しております。
東京都と主婦連合会との連携ということでは、消費者団体、事業者の方も「交流フェスタTOKYOくらしの情報広場」に毎年10月に参加しまして、今年はトランス脂肪酸、昨年は防炎品ということで展示しながら、一般の方が関心を持って参加されたときに現状などをお伝えするということも行なっています。
それから、東京都の消費者団体連絡会に参加して、千代田区消費生活センターと消費者行政についての懇談もしております。これは東京を中心に書いておりますけれども、私は神奈川に住んでいまして、神奈川県でも自治体のアンケート調査をしながらヒアリングを行なったり、それから私は神奈川県の「消費者支援かながわ」というところの理事もしています。そういう分野でも地方の消費者団体とともに行っています。
国民生活センターとの連携という意味では、国民生活センターの出版物の委託販売を行っておりまして、会員外の地方の方からの申し込みなどもあります。国民生活センターの新人研修の受け入れも行なっておりまして、消費者運動の歴史や現在の運動の状況などの講師も務めています。
国民生活センターの全国消費者フォーラムにも参加して、研究の成果や多様な取り組みの報告もしています。食品リサイクルサロンは、数年、農水省や関連の事業者の方と主婦連の環境部で四谷の主婦連合会会議室で試食品などを作りながら、食と環境に関連した取り組みを行ってきました。今年はトランス脂肪酸の現状と、どういうふうに食生活に気をつけたらいいかということをお伝えしました。
行政、企業、団体への提言ということでは、意見書や要望書、パブコメを提出しております。
行政からの情報提供及び意見交換は、各省庁から見えて現状の説明を受けたり、また、それを受けて会員の方と学習会、意見交換会なども実施しています。
消費者相談ということでは、専門の相談員の方がいます。それほど電話がたくさんかかってくるわけではありませんけれども、電話がかかってきた内容は機関誌を通じて情報提供して、こういうことに気をつけましょうという啓発を行っています。
これは、ここ2年ぐらいは行っていないのですが、海外調査ということで、海外の消費者団体の方と交流をしながら、危ない玩具などがないか試買調査も行っておりますし、韓国やマレーシアの消費者団体の方と子供用のパーソナルケア用品の売り場調査や意識調査も行って、行政への情報提供と改善なども行っています。
先ほど食品リサイクルサロンのことを申し上げましたが、他にも、直接、主婦連合会という名前を表に出していないもので、大学の公開講座の企画に協力しリスクコミュニケーション、食の安全など企画、協力をして、食品安全委員会の先生等に講師をお願いして、お話しいただくことも行っています。
そういう状況ですので、現在も官民連携という立場で動いていますが、新たなということで言えば、なかなかアイデアは難しくて、今の状況をさらに細やかに行っていくということと、ほかの方の資料を事前に拝見させていただいた中でも、やはり消費者団体というのは、人件費というよりも、試買調査を行いたいと思ってもそれを購入するそのもの自体を捻出するのが大変だという状況ですので、そういうことも考えていただければと思っております。
15分はかかっていないと思いますが、以上です。
○樋口委員 ありがとうございました。
引き続きまして、消費者関連専門家会議から御説明をお願いいたします。
○消費者関連専門家会議中村理事 ありがとうございます。今御紹介いただきました消費者関連専門家会議です。通称ACAPの理事をしております中村でございます。所属の企業は日本生命保険でございます。前回7月にもこういった機会を与えていただきまして、今回、二度目ということでありがとうございます。
ペーパーを見ていただければと思いますが、前回報告してから以降についての活動についてまずは書かせていただいております。まさに官民連携の事例としましては、7月から9月にかけまして、消費者庁、国民生活センター、消費者委員会に新しく配属された方に、私どもACAPの約580社ある企業の中で受け入れをするという企業が10社ぐらいありまして、そこにおいでいただいて、主にコールセンター等で1日研修をしていただいた、こんな事例がございます。
3番目に書いておりますのは、消費者関連法に改正等動きがあった場合につきましては、真っ先にそういったテーマについて関連の部署に来ていただいて、私ども会員企業並びに会員企業に関連するセクションの者について講義や勉強会を実施させていただいております。
地方という意味では、2番目の中京地区といいますのは、ACAP自体の活動の中心は東京、大阪ですが、名古屋の中京地区、九州の福岡にもそういった分会がございまして、そういった地区の活動にも力を入れております。地域の消費者団体等の連合の集まりの中に消費者庁の方に来ていただいて、講演会、勉強会も実施させていただきました。
4番目の北海道についても同様の趣旨で実施しております。
後半の中で特に大きな行事としては、5番目に書いてあります消費者庁幹部と会員企業の役員との懇談会です。ACAPは約580社ある企業が加盟しているわけですが、主に消費者関連のお客様対応部門の責任担当者から構成されております。会社としての動きということになりますとやはり会社のトップの人間がこういった活動についていかに理解していただくか、こういったところにこの3年ぐらい力を入れておりまして、消費者庁長官以下の幹部の方、我々の執行役員以上の方、今回も二十数社集まりましたが、最近の消費者行政の動きや企業の動向など、率直な意見交換会をやらせていただいております。
同じような趣旨で、9番目の消費者志向経営トップセミナー、これは経団連とさらに組みまして、消費者庁にも後援をいただいて、これも今年3年目になります。いわゆる消費者志向経営を目指してというテーマの中で、こういった形の実施が今年3回目になりまして、今回も2月に実施したときに二百数十名参加いただきまして、執行役員以上の参加も50名ぐらいとなっております。
特にこれからお話しします行政への要望とも関連していますが、前回の報告書の中では消費者志向経営の重要性という中で、あえてACAPという風に書いていただいて、消費者志向経営を進めようという事業者団体の活動についてさらにバックアップしたいということが前の報告書に書いてありましたが、やっていることについては、前回7月の御報告と同じような内容なので、今日は本音ベースでお話しさせていただければと思っております。
まずは、消費者志向経営に向けてということの中で、全国各地でのセミナー、シンポジウム、これもACAP単独で従来から北海道や広島、仙台、さまざまな地域で実施してきたわけですけれども、そういった部門の責任担当者が東京、大阪ということもありまして、またそういったイベント事をするには、あけすけな言い方ですと旅費自体もそれぞれの会社の手弁当というところもあって、そういった活動についての広がりというのはそれぞれの会員企業の理解があって初めて成り立つ、こんな運営になっております。
そういう中にあって、数年前から、消費者庁が主催されていた公益通報の法制度の普及についての全国セミナーがございまして、その中の一こまをACAPがもらって、私もその中でお話をさせていただきました。そんな形でコラボをしていただくと、地方に行く出張ということにおいても、もちろん旅費について会社の負担ということもあるわけですが、そういうことでも非常にやりやすい。本来業務と違う形で、地方で何かをするということについての抵抗感が正直なところそれぞれの会社でありますので、こんな形で官が後押ししているのだということを示していただくと、こういった活動がACAPの中でうまく行えるのではないかと感じております。
同じく商工会議所等についての取り組みについても、これも従来、熊谷や一部の商工会議所とコラボをやってまいりましたが、地域密着型というところがACAP加盟企業ではそう多くないものですから、こういったものについても官の後押しの中でACAPの一つのこまをいただきながら進めていくということが非常に有効ではないかと実感として思っております。
それから、消費者志向経営の取り組みということで、恐らく今日もそういった検討会が消費者庁の場で行われているように聞いておりますけれども、消費者庁が後押しをする、賞でる、こういった取り組みが、消費者志向経営、我々の具体的な活動にドライブがかかっていくのではないかと思っております。もちろん悪質な事業者はとことん規制していただければいいわけですが、よい企業については賞でていく。しかも、消費者志向経営という非常に口当たりのいい言葉はどなたも賛成するわけですが、ただ各論として見た場合、どういった企業が賞でられるのか、そういったものが少しずつわかっていくことによって、いわゆる企業の経営者にとってもっと頑張っていこうというモチベーションにもなっていきます。いいことというのは進めることとまた違うので、そんな工夫にぜひ取り組んでいただければと思っております。
消費者行政における課題と事業者・事業者団体との連携アイデアというのもありますが、この中で例を挙げさせていただきますと、ISO10002という苦情対応マネジメントシステムという国際規格がございます。ACAPもその推進に向けて、この規格ができたときから取り組んでおりまして、昨年もそれに対応する形で経済産業省からの大臣表彰もいただきました。消費者志向や苦情対応という非常に抽象的なものの中で、ISOという規格がもっと積極的に評価されていいのではないか、しかもそういったことを先ほど申し上げた表彰の基準等にでも織り込んでいただくと、さらにこういったものについて本気を出して取り組んでいこうということになるのではないかと思います。今のところ、ISO10002で認証を受けた、自己適合宣言ですけれども、93社と聞いております。私どもACAPの企業は約580社ですので、そういう意味でもまだまだなのですが、こういったものについて官も非常に評価しているという後押しがあると、進むことができるのではないかと思っております。
官民連携の情報ということですが、こういった委員会で私も三度か四度は言っておりますが、PIO‐NETの情報についてはもともと開示を予定されているものではなく消費者相談において使われるもの、それはよくわかります。企業においても全く同じことで、例えば私どもの会社で数字を出しての公表はちょっとあれなのですが、消費生活センターから連携いただく数字は年間70件ぐらいです。私どもの会社で消費生活センターに受け付けた件数、これだけは教えてくれまして、900件ぐらいあるわけです。残りの830件はどうしたのかというと、これはセンターの方が解決していただいた内容だったり、それで終わっている内容ではないかと思います。正直なところ、そういった情報を私どもの会社は欲しいわけです。消費生活センターにどんなお問い合わせがあって、どんな対応をしていたのか。いつもこの議論をすると、他社のことを教えられないというお話です。他社が難しければ自社だけでも結構なのですが、せっかく消費生活センターに入ってきた情報をそれぞれの企業がもっと十分に活かせるように、今までいつも同じ理屈で、それはできませんというお話でしたが、もう一つ進めていただくと、行政もそれぞれの消費者志向を目指す企業においてもウィンウィンの関係になるのではなかろうかと思います。ここは5、6年前から言っていることなので、少し踏み出していただくと大変ありがたいと思っております。
円卓会議等についてはプラットホームを作って進めていただく、御趣旨の通りかと思っております。
消費者に向けての啓発活動ということで、ACAPの取り組みとしましては、これもたまたまコネクションがある学校ということではあったのですが、小学校への出前授業を実施しています。大学とは従来からやっておりますが、そういった活動や、提言、論文募集、これについても今まで大学生以上でしたが、中学生まで裾野を広げたり、それから、会員企業の新入社員向けの消費者啓発講座、これは東京都さんが熱心におやりになられているので、ACAPが仲介させていただきながら、具体的にそれぞれの新入社員の啓発講座もお願いしておりました。
昨年5月についてはACAP消費者月間ということで、文科省の方にも例会に来ていただいて、土曜学習応援団もACAPが積極的に参加させていただいていますが、これも手を挙げたものの、さっぱり声がかからなかったりするので、文科省の方も形を作るだけではなくて、せっかく手を挙げた企業に対してもっと学校側にもアピールしていただければもう少しいいのではないかと、これも個人的な見解が入っておりますが、率直に思っております。
以上、概略でございますが、ACAPからの発表とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○樋口委員 ありがとうございました。
引き続きまして、全国消費生活相談員協会から御説明をお願いします。説明は15分以内ということでございます。よろしくお願いします。
○全国消費生活相談員協会柳川常務理事 全国消費生活相談員協会の柳川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
初めに私どもの活動を御説明させていただいて、それを踏まえた官民の連携について考えを述べさせていただきます。事前に私どもの協会案内をお配りしておりますが、ご覧いただけますでしょうか。私どもは、この協会案内の一番最後のページにありますような活動をしております。具体的には、電話相談110番、適格消費者団体としての活動、研修講座、調査報告書作成、消費者教育啓発活動、公開シンポジウム、それから週末電話相談を20年以上に渡って行っております。
適格消費者団体については、これまで16件の差し止め請求を行って、そのうち現在継続中の3件を除いた13件については終結して、全て私どものホームページにアップしております。
それから、東京都消費生活総合センターと覚書を取り交わして協力を得ております。そちらからの情報も活用させていただいております。
今まで取り扱った事例というのは、適格消費者団体のところに書いてありますが、老人ホーム、クリーニング業者、スポーツクラブ等、多岐に渡って差し止め請求を行っております。
こちらには載っておりませんけれども、週末電話相談を行政の窓口のあいていない週末に、20年以上になると思いますが、息長くやっております。ここでは昨年度2,666件の相談を受け付けております。東京の本部事務所で土日、大阪、北海道で土日の1日ずつという、そんなに開設日は多くないのですが、約3,000件に近い相談件数がコンスタントにあります。それらの相談を集計し分析して一般に配布する「こんな相談ありました」という冊子も毎年作っております。今、印刷に入っている段階ですが、これで16冊できることになります。相談員の目で見て一般消費者が気をつけなければいけないという旬の情報をコンパクトに書いておりますが、啓発活動等に持って歩きまして、わかりやすいと大変好評を得ております。
週末相談は、皆さんの苦情を集めて集計し、分析し、バックするというだけではなくて、消費生活相談員の実地訓練の場所にもなっております。というのは、ひとり窓口とか経験の浅い相談員もおりますが、行政の中でトレーニングするという機会が少ないので、手探りで相談を受けているような状況になります。私どものところでは、ベテランの運営メンバーと経験者がほかの2人の新人を手とり足とり懇切丁寧に、聞き取りから対応の仕方、カードの書き方から、優しくも厳しい指導をしております。相談窓口にいて、漠然として何がわからないのかわからなかったけれども、ここに来たら自分がわからないことがわかった、先輩の方から直接お話が聞けるので心強く思っている、そういう御意見もいただいています。私どものところでトレーニング、勉強していただいた方たちがまた地元の消費生活センターに戻ってお仕事をしていただきますので、非常にいい循環ができているのではないかと考えております。
それから、年1、2回ですが、そのときのタイムリーなテーマを捉えて電話相談110番もやっております。電話相談110番の結果については、要望書という形で各方面に情報発信させていただいています。2014年は「冠婚葬祭互助会110番」を行いました。2015年は「訪問販売・電話勧誘販売110番」を実施して、不招請勧誘や電話勧誘による過量販売等の問題、消費者契約法の見直しに向けて問題になる事例等を集めて、苦情の収集と個別相談への対応、情報発信を行っております。
そのほか、今年は啓発活動に力を入れてやりました。見守りの必要性は非常に言われていますが、地方の自治体ではそこまで手が回らないこともありまして、私どもでは非常に財政が厳しい中、これを放っておくわけにいかないということで、私どもで自前の冊子を作りまして、それを持って地方に出かけ、皆さんと交流を深めながら啓発活動を行っております。
それから、消費生活相談員資格試験に対する講座もやっております。相談員になるためには3つの資格が必要ですが、それを持っていない方もいらっしゃいますし、相談員としてぜひ頑張りたいという方もいらっしゃいますので、そういう方たちに向けての対策講座が今までなかったものですから、3年前から、国民生活センターの理事長が認定する消費生活専門相談員試験の対策講座を私どもでテキストを作り、通学・通信講座を行って受験していただいています。非常に高い合格率を示していて、皆さんから次年度はいつやるのかというお問い合わせを多く受けております。
それから、支部、本部でやっているのですが、現役の相談員のレベルアップのために、タイムリーな、旬な、これから相談が来そうなという相談をピックアップして、小回りがきくものですから、例えば通信関係のこういう制度が始まった、具体的に光卸等なのですが、これについては相談が来る、相談者をがっかりさせないような対応を取るためにいち早く勉強しようということで、業界団体の方をお招きして早く勉強会をスタートさせましたので、現場で混乱なく処理ができたとも聞いております。
さまざまな活動をしているのですが、これらの活動を踏まえて、官民の連携ということに入らせていただきますが、非常に難しいテーマであると思っております。というのは、まず私ども自身が、青写真がはっきり見えていないので、どういう形でこれに取り組んでいけばいいのかというところが見えない心配があります。ただ行政のスリム化のため、民間のボランティア精神に依存した官民連携では意味がないと思いますので、ここのところはよろしくお願いしたいと思います。
ペーパーには書いていませんが、官民連携に先駆けて行政機関内の連携もよろしくお願いしたいと思います。行政内部の連携をスムーズにして道をすっきりさせていただいて、そこに民間の知恵とパワーを投入していただけると非常に流れがよくなるのではないかと考えております。
先ほど、大変難しいのではないか、とても問題が山積していると申し上げましたが、たくさんの民間団体があります。どのあたりをイメージするのかよくわからないところがありますけれども、どこの団体も非常に経営難、資金繰りが苦しい中で、その活動をするための資金をそれぞれの団体がどのように調達していくのか、先ほども情報の収集のところで話が出ていましたが、どのように情報を収集していくのか、さまざまな団体に守秘義務をどうやってかけていくのか、たくさんの団体の中から官民連携の任を担う団体をどのように選別していくのか、非常にたくさんの問題があるように思います。
次は、現在うまく循環しているところについてはさらなる支援をお願いしたいと思っています。ACAPさんからも非常にうまく循環しているというお話がありましたけれども、私どもが例として挙げた週末電話相談についても、行政の相談員として私どもの民間の事業に参加したり、週末電話相談に参加したりして、また新たな視点が植えつけられるわけです。それを現場に持って帰って、また一回り大きくなった相談員として仕事をしていますので、そういう活動が継続的に長くできるように、うまくいっているところについてはさらにうまくいくようにぜひ御支援をお願いしたいと思っています。
関連するのですが、やはり何をするのにもお金がかかって、事務所を維持する、活動のための拠点を維持するだけでも非常に費用がかかります。私どものところは、全相協の活動と志を同じくする人たちのボランティア精神で回っているところが多々あります。実際、運営していくためには、会費だけではとてもやれませんので、事業をしなければいけないのですが、例えば各自治体等の入札があると聞くと、そのために資料を準備したり時間をかけてチャレンジしている状態です。そうしますと、もっと皆さんの役に立つ仕事をしたいのですが、そういう仕事に手が回らなくなってしまう現状があります。
民間の団体、例えば見守りを必要とする方たちにその人たちの目線に立って話もできる能力を持った相談員がたくさんいると思いますので、わかりやすくポイントをお伝えすることができる相談員たちがそういう場に速やかに行って啓発活動ができるように、そういう流れを作っていただきたいと思います。経営をするためにさまざまな事業が必要にはなるのですが、それで時間を取られて、本来私たちが持っている強みがうまく発揮できていない点が見受けられますので、それは非常に残念だと思っています。私たちは、官と民がそれぞれの強みを発揮して連携していくことは非常に大事だと思っています。問題はたくさんあると思いますが、ぜひ御一緒に考えていく機会をいただければ大変ありがたいと思っています。ありがとうございました。
○樋口委員 ありがとうございました。
引き続きまして、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会から御説明をお願いいたします。
○日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会有山理事 すごく長い名前なので通常はNACSと呼んでいただいております。
本日は、最近の活動ということと、創立25年以来の活動に分けて、資料3でお話しさせていただきたいと思います。
最近の官民連携の活動としては、消費生活サポーターの連携推進と地域への消費生活情報伝達仕組み作りがあります。千葉県と私どもNACS東日本支部が連携して、消費生活に関する情報の提供や啓発活動を行う消費生活サポーターが千葉県内全域で広く活動し、持続的な消費生活情報の発信や共有等が図られるようになることを視野に、平成26年に立ち上げました。消費生活サポーターネットという地域のモデルを拡大して、サポーター間及び地域の連携や情報共有などを行っています。具体的には、自治会の定例会などを活用して、定期的、継続的に消費生活情報を住民に提供することなどにより地域における消費者の自立や消費者被害の防止に寄与するという活動です。消費者安全法の地域の見守りネットワークをどういうふうに広げていこうかという中で、私ども自治体の消費生活相談員と、企業の相談室等に勤務していた者、リタイアした企業の人たち、主婦の人たち、いろいろな立場の方がいますので、活発に活動していただいております。情報についても、企業的な発想と、消費者目線での相談員の発想を連携してやっていきたいということで、千葉県で頑張って活動しております。
もう一つは消費者問題推進員育成支援ということです。港区がNACSと連携して活動しています。港区におきましては、消費者問題推進員が教養を高め、より実践的に役立つ知識を獲得するための学習会の開講、運営会議の開催及び消費者問題普及啓発活動、出前講座などの企画運営を行い、推進員を育成することを目的とした支援活動を行っています。なお、推進員は、港区が開講する消費者力検定講座及び教養講座に参加した者ということで、地域の見守りネットワークの中で協力していただけるような、消費者情報を啓発していくような人たちを作るとともに、その人たちが地域に入っていって、お互い顔の見える関係で地域での活動をしていっていただけたらということで、港区とも連携して頑張って活動しております。
もう一つ、これは次回の会議でも出てくると思いますが、特定適格消費者団体への基金作りということで、これはまだ準備ということで、確実に設立していませんが、そういうことで活動しています。
それから、「家庭向け電力自由化なんでも110番」を行います。電力取引監視等委員会の委任で、今度の日曜日です。テレビでもいろんなところで電力小売りのコマーシャルが出てきております。例年なんでも110番は別のテーマで年1回行っていますけれども、今回は特別の「110番」ということで行っております。電話番号も入れましたので、お知りあいで何かありましたら、ぜひ御連絡していただけたらと思います。
最近の活動の中では、ここ5年ぐらい、各大学からインターンシップの受け入れを依頼されておりまして、消費者団体としては珍しいと思いながら、インターンシップを受け付けております。当然、日本人の学生さんもいらっしゃるのですが、それ以外に、留学生も相談室に見学に来られます。向学心に燃えた留学生から質問攻めに遭って、とてもおもしろい経験をいたしております。樋口先生の法政大学からも見学に来ていただいておりますが、大学生、大学院生に向けて、消費者相談はこういうものですよという発信になったらいいなと思っています。消費者目線についてどこまで御理解いただけるかわかりませんが、企業に入っていく前段階や、樋口先生のところの政策立案に関しての勉強などにお役に立てたらと思いまして、学生さん向けてオープンにしております。
次ページの継続的なものとしては、「ウイークエンド・テレホン」ということで、毎週日曜日は本部消費者相談室、土曜日は西日本支部にて消費者相談を受け付けております。
本部に入った消費者相談の中から、特定商取引法関連トラブルの裁判外紛争解決ということで、ADRを設けております。今日お配りしたのが私どものADRの考え方を御説明した冊子です。
それから、「なんでも110番」では、27年度は「高齢者・障がい者消費者トラブルなんでも110番」ということで、たくさんの御相談を受けております。件数等について今日は持ってきていないのですが、いろんな提案をこれからしていければということで、先ほど相談員協会さんのほうでも資金が大変というお話はされておりましたが、私たちも資金と人材確保に大変苦労しております。消費者相談員の方が週4日働いておりますので、週末ご協力いただくのも皆さんくたびれているという状況でございます。でも、熱心に自分たちのレベルアップとお互いの情報交換という意味合いも含めて頑張って活動していただいております。
そして、消費者教育ですが、学校への講師派遣事業というのは設立以来25年以上実施しておりまして、全国で2,000校を超え、受講者は延べ30万人に到達ということで、いろんな分野において活動しております。
本日も消費者教育の冊子についての御案内のパンフレットもありますが、中でも小学生向けに作った、情報化社会ということで「ケータイやスマホを安全に使おう」については大変御好評をいただいています。有料にもかかわらずたくさん申し込みをいただいております。情報化社会ということで出会い系サイトも含めていろんな問題点があるのですが、どうしても筋を考えて皆さんに理解してもらおうと思うと映像化ということが増えております。映像ですと画面が暗くなりますので、その中で明るい画面をと思って、全部イラストです。皆さんそのイラストを使って、シナリオになっていますのでご自分でシナリオを書き換えることもできるということで好評をいただいております。
最近ですが、「特定商取引法を身近に 法改正に向けて」ということで、消費者啓発ツールとしてシナリオ集を出しておりまして、これからいろんな方に利用していただこうと思っております。
また、行政、企業、団体との連携では消費者視点を活かした連携ということで、行政への提言活動、省庁へのパブリックコメント参加、企業・業界団体との連携、あと、消費者団体との連携ということで全国消費者団体連絡会に加盟し、適格消費者団体の消費者機構日本の中で会員の皆さんに活動していただいております。
長くなりましたが、以上でございます。ありがとうございます。
○樋口委員 ありがとうございました。
では、最後に日本弁護士連合会から御説明を15分程度でお願いいたします。
○日本弁護士連合会消費者問題対策委員会大迫副委員長 日本弁護士連合会消費者問題対策委員会の副委員長大迫と申します。隣は副委員長の中村でございます。本日、委員長野々山が差し支えのため、私どもが代わって参りました。
御承知のように、日本弁護士連合会は在野の法曹の強制加入団体でございますので、唯一の法曹の民間団体という位置づけでございます。民間団体の私ども自身の消費者問題の解決のための官民連携と申しますと、これは弁護士会の性質上、人材を各官の委員会等に提供いたしまして、人的資源として活用していただくというような活動が主な官民連携の中心になろうかと思っております。日ごろの活動も、消費者問題に関しては政策形成に向けての意見提言など、そういった分野で官の活動に影響を与えるということでございますので、今日は、日弁連自身の官民連携の活動ということではなくて、本来の仕事に立ち返りまして、意見の表明をさせていただきたいと思います。
まず、消費者問題の解決のために、行政機関や消費者団体、弁護士会などの民間機関がそれぞれ取り組むだけではなくて連携が必要だということについては、私どもも全く共通の認識を有しております。
近時、重要な課題となっております高齢者の消費者被害の増加、急激に進む情報化社会の進展における消費者問題、また、これらに対応する消費者市民社会形成のための消費者教育と適格消費者団体など消費者団体の活動の強化のための官民連携、これが差し迫って特に必要であるということで、その具体化が求められております。
また、その連携が単なる民営化や、あるいはアウトソーシング、丸投げというようなものではいけないということは、平成27年8月の「消費者行政における新たな官民連携の在り方に関する調査報告」、これは報告書と呼ばせていただきますが、ここに指摘されている通りであります。これについては日弁連も全く同じ考え方を持っているところでございます。
ただ、民間と申しましても、消費者の場合は、どうしても民間の中に事業者と消費者、それぞれの立場の存在を前提にしておりますので、民間というときに何を指すのか、この中で事業者が消費者の権利の拡大に強い拒否反応を示す例が見られるなど、消費者利益の拡大とか消費者からの信頼を得るということが実は事業者の利益に資するものだという認識がまだ十分浸透していないのではないか、こういった実情について日弁連としては若干懸念しておりまして、官民の連携というときには、民の中同士の実情について、これを前提とした対応が求められていると理解しております。それから、官民連携というときに、それが具体的に何を指すのか、どのような課題解決のために具体的にどんな連携をするのかということが非常に重要な問題ですので、そこは精緻に事細かく検討していく必要があると認識しております。
特に今、差し迫って官民連携が必要だと思われる分野について申し上げますと、高齢者問題における官民連携は喫緊の課題であろうと思っております。消費者被害が高齢者にシフトしておりまして、その対策が急務であり、かつ被害の中身が非常に犯罪的であったり、大きなものであったり、高齢者の生活を破壊するようなものであるという意味で、大変重大な問題を含んでいるところです。しかも、高齢者を今まで支えてきた地域社会あるいは親族、こういった見守りの機能が非常に弱体化しているという現実の中で、官民連携による新たな見守り機能の強化ということが必要だと考えております。
高齢消費者被害防止のための見守りネットワークについては、近時、非常に意識されてきておりまして、この構築に向けて各地方団体の中でも動きがあることはあるのですが、地方の実情によってはまだまだ不十分なところもたくさんございます。東京とか比較的進んでいるところもある一方で、全国各地を見渡しますと全くそういった動きのないところもまだ多数見られます。日弁連は全国の弁護士会の連合体でございますので、各地の実情を調査いたしますと、全くそのような動きがないというところもまだまだたくさんあるということを私どもは認識しております。
高齢消費者被害防止のための見守りネットワークをどのように作っていくのかということですが、これは当然、既存の地域ネットワークの活用が欠かせないということになるわけです。この地域ネットワークの中には、官によるものと民間のものがあるわけですけれども、これらがまだばらばらに存在していて、ネットワークを担うべき組織の連携さえも十分ではないと考えております。
まず、高齢消費者被害防止のための見守りネットワーク構築のためには、最初に官の中で官官連携が先立ってできるべきではないかと思われるところがたくさんあります。そういった官官連携がかなりできてきたところで、それぞれの官が持っている民間の組織とのつながりを今度は横に根を張っていかせるといいますか、各官が下にぶら下がっている民間団体と縦の結びだけを持っておりますと、結局、官のところだけが連携していても、それが民の段階におりたときには横の連携ができないというような問題になりますので、各段階での横への連携ということを意識していく必要があるだろうと思います。そういったことによって多層に結びついたネットワークができていくことが強い地域ネットワークの発展につながっていくと認識しております。
このような観点からはまだまだ不十分な地域がたくさんございまして、しかも、官も基礎自治体である市町村、東京都の場合ですと23区があるわけですけれども、こういった市区町村が重点的に施策として実際のネットワークを利用して高齢者を見守っていく分野について責任を持つべきだと思いますが、その市区町村だけでは解決できない分野については、広域自治体である都道府県において市区町村の実効的なネットワーク作りを行うのに必要な情報や資料を提供したり、あるいはガイドラインを提供するとか、基礎自治体の施策に対する協力、支援の取り組みを行うことが必要だろうと考えます。
ただ、このネットワーク推進に向けた協議を実施するということだけを申しましても、結局は行政内部における縦割りの壁の厚さを実感していると各地から報告されているところです。例えば大阪弁護士会などでは、官官連携をしてもらうべく弁護士会から地域見守りネットワークの構築に向けて地元自治体に呼びかけを行っているのですが、呼びかけによっての合同の会議はできたとしても、いざ具体的に連携とか要綱作りということになると、それぞれがそれぞれの立場を主張してなかなかうまくできていかない、こういう実情がございます。そうしますと、形だけ合同会議のようなものを作っても少しも連携が進んでいかないということになりますので、これを打破するために、どの段階でどのレベルでこういった問題を解決するような仕組みを作るのか、これを早急に検討していただきたいと考えているところです。また、首長の意識改革というようなことも必要であろうと考えております。
高齢者が非常に多数になる中で、孤立化しているという実態がございます。これは見守りだけで足りるのかという問題も生まれているところです。行政のサービス等が提供される分野に関しては一定の基準があって、例えば体が動かないとか、そういう人に対しては外からこういうサービスを提供することができるというような基準があるとしても、そういう基準に満たないながらも、もう少し緩やかにサービスの提供を細やかにお願いしたいという実情があるわけです。
例えば認知症とか精神疾患を持つ人に対して、その人が預金を自分で下ろしに行けないというようなことで、日常的な金銭管理サービスなどを提供する自立支援事業が、有料ですけれども、預金をおろしてきて本人に渡すというようなサービスを提供しています。これが一定程度広がってくれば、認知症ではないが、精神疾患とまでは言えないが、足腰が悪くて、車椅子とまでもいかないのだけれども、なかなか歩いていくのが大変だというような人がこういったサービスを利用できるところまで拡大できる、そういったことが可能になっていけば、さらにその中での見守り機能が強化されていくことにつながっていくのではないかと思っております。
官民連携による高齢者の日常生活自立支援事業の充実ということが、結局は支援する人によって見守りの充実につながって、消費者被害を予防することにつながる可能性があると理解しております。
次に、情報化社会における官民連携のアイデアとしまして、日弁連のほうで考えておりますことは、現在のパーソナルコンピューターやスマートフォンの普及、インターネット取引の増加によって、消費者に情報力向上の可能性と消費の利便性が与えられていることはもちろん肯定的に評価できるわけですが、一方で、消費者が急速な技術発展についていけず、誤認を招く広告や情報の存在もあって、電子商取引の相手の匿名性や容易な国際取引などによる消費者被害が非常に増加しております。この情報化社会においても官民連携による対応が求められていると日弁連は考えております。
電子商取引の公正に向けては、技術の発展に伴いまして、それに対抗するだけの技術が必要になってくるわけですが、現在でも消費者庁において電子商取引監視調査システムを稼働させて、同庁が委嘱した電子商取引表示調査員がネットパトロールを実施しているようですが、これが足りているのかどうかという問題があろうかと思います。
ネット情報が非常に膨大で、しかもこの調査員の方は50名に過ぎないと伺っておりますので、実効性のあるネットパトロールができるためにはまだまだ人的な分野でも足りないのではないかという懸念があります。このためには、民間による日常的な情報収集と、これが行政へフィードバックされる必要があろうかと思います。このような取り組みは、やはり消費者団体が行政・事業者と消費者の仲介役を果たすという報告書の考え方にも沿うことですので、民間の専門的な、特殊な能力だろうと思いますが、こういうものを活用する仕組みを考えたほうがよろしいかと思います。
それから、消費者団体の中には、ネット上の広告に問題意識を持つところも少なくないところでございますが、こういう適格消費者団体は景表法の差し止め請求などを意識して情報収集するところもございます。したがって、一般のネットユーザーから提供される情報を消費者団体が集約して、これを行政に伝達するなどの官民連携の手法も考えられるところでございます。
それから、消費者教育における官民連携のアイデアを申し上げたいと思います。消費者被害の予防には消費者教育は不可欠であるとともに、さらに被害防止という観点だけではなくて、公正な社会を形成し持続させるためにも消費者教育というのは大変重要でございます。次世代の消費を担いながら国を築いていく市民を形成するために消費者教育は非常に重要でありますし、今も学校教育の中にもこれが重要なものとして位置づけられていることは御承知の通りです。消費者教育における官民連携の本格化ということが求められてきているところだろうと思います。
2012年12月に消費者教育推進法が施行されまして、各地の消費生活相談窓口の量的な拡大が実現しつつある一方で、有資格者の相談窓口配備や、相談窓口と他の行政部署や市民との連携といった質的向上が大きな課題となっております。その課題への対応として、消費者市民サポーターの、これは仮称でございますが、各地域での育成とその活動の支援を求める意見書というものを公表しております。
その内容は、小中学校の通学区域といった消費者の生活圏内に限定された地域の中で、当該市町村の委託を受けて消費者問題に中心的に取り組む人材、これが消費者市民サポーターの定義でございますが、消費生活相談窓口と連携しつつ、地域のさまざまな団体の橋渡し役となって、消費者被害の予防や被害の掘り起こしを行うとともに、みずから考え行動する消費者市民の推進役として活動する人材を育成することを実施するよう求めたものです。
各市町村は、消費者市民サポーターを市町村内の各地域に配置し、その活動を支援すること、各都道府県は、消費者市民サポーターを育成するとともに、消費者市民サポーターの人材情報を収集し、市町村に情報提供を行うこと、各市町村及び各都道府県は、上記1及び2を推進し、その実施状況を把握するため、消費者教育推進法に基づく消費者教育推進地域協議会を設置すること、国は、消費者市民サポーターの推進を図るため、人材育成のための研修カリキュラムの整備、研修費等の財政援助、簡易な資格認定制度の整備等の必要な支援を行うこと、こういった意見書を出しております。
それから、官民連携の前提として行政間の連携の必要があると日弁連では考えております。消費者教育においては、高齢化の問題と同様に、単に消費者行政部門と民間が連携するという発想では不十分であり、行政における消費者行政部門と教育委員会等の教育行政部門との官官連携が先立って必要である。その上で民間における地域ネットワークの担い手団体と連携を図る必要があると考えております。
消費者教育だけでなく、消費者行政が多様化し、もはや一つの消費者行政部門単独では担い切れない側面を持つに至っておりますので、官民連携の前提としては官官連携の必要性は非常に高まっております。これは高齢者のところで申し上げた通りでございます。報告書では、行政内部の問題として問題解決のための協力体制を作ることが重要とされ、縦割りの排除が指摘されておりますが、現実にそういった組織を作ろうとするときには、この縦割りが大きな阻害事由になっているということがございます。
事業者・事業者団体との連携についてです。報告書の中では「消費者啓発講座を事業者が実施することに難色を示す地方公共団体や学校もあるようである。行政としては、事業者も消費者に対する啓発活動の担い手として受け入れられる環境作りに努め」というふうにございますが、この点に関しましては、事業者が行う消費者教育については、消費者に対する商品の宣伝・広告となっていないか、事業者目線で消費者にも一定の責任を求めようとしていないかといった懸念が消費者の側からは根強くある問題でございますので、地方公共団体や学校がどのような理由でそういう難色を示しているのかについては丁寧に確認するとともに、その理由を事業者団体側にも伝えて講座の内容や方法の改善を求めていくということも必要であると考えております。
事業者・事業者団体の消費者教育という場合には、教育の担い手としてだけではなく、自社の従業員に対する教育など教育の受け手としても重要であるということは忘れてはならない観点だろうと思っております。
大学教育については、大学との連携においても、大学生は消費者であるとともに、近い将来、事業者として消費者被害の加害者側になってしまう可能性もあり、未来の被害者・加害者を生まないためにも、社会に出る前の消費者教育もまた重要であるとしております。事業者として消費者被害の加害者側という言葉に対して若干のアレルギーをお持ちになる方もいるかもしれませんが、これは、近時、若年者による悪質被害の加害者側に関与して最終的には逮捕というようなことに至る例が散見されますので、そういった場面を想定して申し上げているところでございます。一般の大学生についてはこれでよいとしましても、教育学部など教育者の育成部門では学生が未来の教育者として消費者教育の専門家になっていくという可能性もありますので、こういった分野については特に必要なカリキュラムを作るということも必要だろうと考えております。
それから、民間と官との連携というときに消費者団体への支援ということが大変重要であろうと考えております。差し迫っては、消費者団体はこれからの消費者問題の取り組みにとって重要なわけですけれども、消費者裁判手続特例法が2016年10月1日から施行されるところですが、適格消費者団体や特定適格消費者団体への支援が不可欠であり、急務であると理解しております。現在、消費者庁で支援のあり方も検討されているようですが、まだ十分に実施されているとは言えないと考えております。
当連合会は、2012年8月31日付「集団的消費者被害回復に係る訴訟制度案」に対する意見書などで繰り返し適格消費者団体への支援の必要を求めておりますけれども、具体的な支援は官民連携の根幹とも言える問題と思っておりますので、それが諸外国に比べて大きく遅れているという実情は非常に注意を要するところだと理解しております。
現在の適格消費者団体は、会員からの会費と運営に携わる消費生活相談員、弁護士、司法書士、学者等の専門家を初めとする会員のボランティアによって支えられている実情でございます。差し止め請求業務のみならず、集合訴訟制度が導入された場合、業務量が格段に増加するだけでなく、簡易確定手続のための通知・公告費用を団体が負担することになるのであれば、多発する消費者被害救済の必要性に十分応えるには財政基盤の充実が必要であることは言うまでもございません。新しい集合訴訟制度が消費者被害を生まない社会の形成に寄与する公益性の高い制度であることに照らせば、担い手となる適格消費者団体及び特定適格消費者団体に対して、相応の財政的支援を含む積極的な支援がなされてしかるべきであると考えております。
以上が本日の日弁連からの意見でございます。
○樋口委員 ありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は御発言をお願いいたします。
○大森委員 ACAPさんにお願いがあるのですが、資料1の3枚目の右側の下のところに「当会の消費者に向けた啓発活動における行政の連携事例」という中で、3番目に「会員企業の新入社員向けの消費者啓発講座への協力」ということで、これは企業の新人研修のときに東京都から講師を派遣してもらって新人研修の中で消費者教育を取り入れたという事例ですね。これはすばらしいことで、いろんなところでやっていただけたらいいと思っています。市町村でも、中小企業とかは新人研修のための予算がないので、消費生活センターの出前講座を活用して新人研修の中に消費者教育を入れたりしているところもあります。ところが、大企業になりますと新人研修のためのプログラムを外部委託して、ワンパッケージで経理とか英語とか、何か難しい本当の勉強みたいなもので固められて、なかなか消費者教育が入れていない状況がありますので、会員企業は新人研修の中に一こまは消費者教育を入れるというようなことをぜひうたっていただけたらと思うのです。
企業としても新人をどういうふうに育てるかというのは最大の問題で、せっかくいいかなと思って採用した新人がサラ金に追われて仕事どころではなくなったりとか、ネットトラブルで企業の信用を害したりとか、企業自身の信用を失墜することにもなりかねないし、消費者被害を受けることもあれば加害者にもなり得るという企業としては非常に大切な部分だと思うので、ぜひ入れていただきたいと思います。
新人研修だけではなくて、管理職研修やリタイア前の研修、そういうときも、消費者情報というのは日々変わって、去年まで当たり前でやっていたことが今は社会的な批判を受けるというような状況も間々あるので、管理職研修だとかに入れていただきたいということと、あと、ずっと企業の中にいるということは、逆に主婦ほどいろいろ消費者トラブルとか、そういう経験がない場合が多いので、リタイアするときにたくさんの退職金を持って投資とかやっていた人に電話がかかってきてという被害も多いので、そういうポイントポイントで消費者教育を上手に連携してやっていただけたらなと思います。お願いです。
○樋口委員 どうぞ。
○消費者関連専門家会議中村理事 ありがとうございます。会員企業の声からは、例えば新入社員で特に工場などを持っているところは東京都ではなくて群馬県だったり地域のことが多いので、この取り組みは東京都が先頭を走ってやっておられますけれども、もう少し横展で広げていただくと、会員企業の中でも今おっしゃっていただいたようなことのPRや波及効果が出てくるのではないかと思っております。
○樋口委員 どうぞ。
○大森委員 これはたまたま東京都でしたけれども、市町村でも都道府県でも啓発のための予算はありますし、今日来られている相談員協会さんとかもいろんな支部で出前講座もされていますし、私の所属するNPOも消費者教育をやっていますので、相談されたらどこででもできると思います。よろしくお願いします。
○消費者関連専門家会議中村理事 ありがとうございます。
○樋口委員 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。蟹瀬委員、お願いします。
○蟹瀬委員 長い間といいますか、消費者のために活動していただいていて、大変ありがたいと思います。私自身は1978年に立ち上がった日本ヒーブ協議会の第14期会長の経験がありまして、そのとき、ACAPさんと国民生活センターさんと横串で情報交換をたくさんさせていただきました。
そのときの私の経験から見ますと、皆さん20年以上経っていらっしゃる団体ばかりなのですけれども、横串という形で情報をもう少し交換したり、あるいは印刷物の製作に当たってのことを一緒に考えるようなことが今後あるのかどうかお聞きしたいのですが、今、お聞きしていますと必ず最後に財政面というのが入ってきて、丸投げはだめといってもやはり丸投げされたところにお金がどうしても行ってしまうという現状があります。そういう現状を超えていくためには、せっかく消費者のためにという一つのキーワードで皆さんが活動なさっていますので、消費者のためにといいながら、前を向いて手をつないでいる状況ではなくて、背中を向けて手をつないでいる状況に見えてしまう。皆さんはそうではないのだとおっしゃるかもしれないけれども、見えてしまうという現状がある中で、やはりそこをどうしていったらいいのだろうと思いながら今ずっと聞かせていただきました。
おのおのの方がすごく一生懸命正しいことを消費者のためにやってくださっていますので、それに対しては本当に頭が下がるのですが、やはりお金の面ですごく大変だと思います。それを国からだけとっていくということは非常に難しいでしょうから、何か皆さんで横ネットを使って、今見せていただいた印刷物でも同じテーマで全然違う柄で出てくるわけですが、例えば10なら10の団体が一緒になって、持ち回りで編集責任をとって、一緒にお金を出し合って同じものを作っていく。見守りにしても何にしてもテーマは一緒ですね。地域性はあったとしても、その地域性は別としても大きなテーマが一緒であるならば、そこのところを作っていく。あるいは今こちらのほうの消費者委員会でもそういうものを印刷して作っていらっしゃいますから、そういうものが活用できないかと思います。ヒーブ協議会もそうですが、古ければ古いほど横ネットというのはすごく作りにくい。作りにくいがゆえに財政が疲弊しているというような形がどうしてもあります。そこをクリアする方法はないかなと思いながら聞かせていただきました。
皆さんお一人お一人にお聞きしたいのですが、今、挙げられた提案あるいは皆さんの活動の中で一番大事だと思っていらっしゃることだけ、1グループで1つずつ挙げていただけますでしょうか。もちろん全部大事なのですけれども、それを言っていただけたら、順位が決まるというとおかしいのですが、ここから突破口が見つかるかもしれないので、1つずつ挙げていただければと思います。
○樋口委員 ただいま蟹瀬委員から重要だと思うことというお話がありました。いろいろお立場もあろうかと思いますが、重要な点、特にこれだということがございましたら、お話しいただければと思います。いかがでしょうか。
○主婦連合会有田会長 その質問と関連してですが、私が先ほど報告した活動概要でパンフレットは、NACSさんが作った子ども服のひものパンフレット、消費者庁が作ったもの、経済産業省のもの、それを活用して、もちろん自分たちの独自のパワーポイントを作って学習会には臨むのですが、それは印刷しないのです。欲しいといった方には渡しています。そういう活用はしていますし、ネットワークも行っています。2014年度はNACSさんと一緒に回って、私はワークショップなどファシリテーターの経験を活かし、意見を聞くというような方法で、主に講師をNACSの方にしていただくというようなことで、おっしゃったようなことは既に実施しています。
それから、主婦連合会も、全国消費者団体連絡会の理事として私も参加していますので、そういうところでいろんな問題は共有化しながら情報発信などもしていますし、先ほど少し申し上げましたように、私は神奈川県の消費者団体にも入っていて、それから適格消費者団体にも入っています。つまり、私は主婦連として出てきていますけれども、地域やいろんなところで網の目のようにつながっているわけです。例えば高齢者の見守りについて私は書いていませんが、私が所属している生活協同組合は見守りのこともやっていますし、「ちょボラ」といってちょっとしたボランティア、お買い物とか、そういうこともかかわっています。それぞれの団体がその団体の立場で出てきて活動報告していますが、実はほかのところでは地域の中でもいろんな活動をしているということです。
先ほども弁護士連合会からも出された事業者を講師にといったときに、主婦連合会では事業者からこういう学習会を一緒にやっていただけないかと申し入れがあったときには、資料については意見を申し上げています。こういうことは事業者の宣伝になるのでやめてほしい、こういうことを伝えるのだったら一緒にやりましょう、そういう連携も含めて既に行っています。
質問に直接答える形になっていなくて申しわけないのですが、最後に申し上げますが、例えば海外調査は、韓国、マレーシアの調査のときは、韓国の消費者団体から実は一緒にやりませんかと言って来ました。韓国政府、国から出ているお金で調査を行なう。契約書を交わしたときにはこの金額であれば何とかできると思ったのですけれども、レートが変わりますね。結局、私、ポケットマネーを出さないと足りませんでした。韓国だけでなくEUなどでも海外の消費者団体は、政府から資金が出ています。そういう状況でいくとお金が欲しいというよりも、必要経費として海外は国から、管理はされないけれども、お金は出してもらっています。活発にやってくださいという状況もあるのですが、日本は欲しがるばかりというふうに思われているのがちょっと残念だなと思っています。お金がかからない連携、そういうことで言いますと、やはり事業者、行政も含めていろいろな情報発信が一番大事だと思っています。
以上です。
○樋口委員 ありがとうございました。ACAPさん。
○消費者関連専門家会議長谷川専務理事 それでは、ACAPのほうから専務理事の長谷川でございます。
先ほどの蟹瀬委員の御意見なのですが、横の連携というのは確かに必要なのですけれども、やはり各組織・団体というのはそれなりのミッションもあり、機能も違うので、そういう機能を総合的にいかに有効に発揮できるかという視点での取り組みが必要なのではないかと思っております。そういう意味では、横の連携という表現なのでしょうけれども、みんなで一緒に同じようなことをやるというよりは、同じ目標に対してそれぞれの役割を十分に認識しながら、自分たちのミッションをしっかりと仕上げていくことの結果として目標の達成があるのではないか、そういうスタイルの連携なり考え方を強化していくべきではないかと思っています。報告書にあります通り、各組織層のプラットホーム的な協議体とかがありますが、こういう場での情報交換なり共有なり、あるいは役割分担の確認、そういう活動はもっともっと活発化されてもいいのではないかと思っております。
ACAPとしての最大のミッションというのは、やはり消費者志向の取り組み、経営を実践していくことだと思っておりまして、もちろん、それだけで健全な消費社会ができるわけではないのですが、企業がそのような責任を果たさない限りはなし得ないわけなので、少なくともその分についてはきちっと責任をとれるような取り組みを、従来もやってきておりますが、消費者基本計画の中でもうたわれていましたので、しっかり自覚しながら取り組んでいくのがこれから大事ではないかと思っています。もちろん、ほかの団体とのいろんな情報交換なり連携については前向きに考えていきたいと思っております。
○樋口委員 ありがとうございました。では、相談員協会さん、お願いします。
○全国消費生活相談員協会柳川常務理事 私どもは消費生活相談員を主たるとする団体ですので、消費生活相談の最前線にいる者たちだと思っています。最前線にいますので、生身の相談者であり、消費者であり、生活者である、その方たちの実態がわかるということではないかと思います。その実態を踏まえて相談処理をしたり、啓発活動をしたり、情報発信をしたり、また、相談者であり、消費者であり、生活者である方たちの目線に合わせてさまざまな情報提供をしていける。多分これが一番大事ではないか、そこからいろんな事業が始まるのではないかと思っております。
○樋口委員 ありがとうございます。NACSさん。
○日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会有山理事 私どもは長年いろんな活動をしておりまして、先ほども申し上げたように、企業をリタイアした者とか人材は豊富です。今、重点的に考えているのは最近の活動ということで、福祉の関係の方、民生委員の方、そういう方たちと連携して、消費者情報に明るい地域住民を育成し、それを広げていく。私たちNACSとしては、全国消団連、COJ、そういうところにも入って活動しています。COJには弁護士さんや司法書士さんなどもいらっしゃいますので、できるだけネットワークを多層的に持って複合的に連携を結んでいきたいと思っています。まだ地域の見守りについては福祉のほうが先行しておりますので、そこの中に消費者情報を持った養成された人たちに入っていただき、日常の信頼関係を結ぶということが重要ではないかと思っています。今この2つの試みをNACSは充実していきたいと思っています。
まだ種をまいた状態で、これからどういうふうに発展していくかというのは、この2つの活動を通して見守っていきたいと考えております。先ほど申しあげたようにミッションを持ったいろんな団体が緩やかに結合できて、顔が見える関係を結ぶことが地域の安全を守ることだと考えております。
○樋口委員 ありがとうございました。日弁連さん、お願いします。
○日本弁護士連合会消費者問題対策委員会大迫副委員長 私どもは今日の意見交換会の中で、これは「消費者団体ほか関係団体」という題になっておりますが、消費者団体ではないので関係団体ということだろうと思います。
私のほうから見まして、各消費者団体が背中を向け合っていると感じたことは一度もございません。いつも消費者問題、さまざまな問題があるときにはそれぞれにお声がけをして、日弁連と一緒に活動していただくことをお願いすることも非常に多いですし、それに対してお断りされたこともございませんので、いつも一緒にそれぞれの団体がそれぞれのお立場で御参加いただいて、日弁連と一緒にやっていただいていると理解しております。今日御出席の各団体について横の連携はかなり十分にできているのではないかと理解しております。
財政が厳しいのは、たくさんあるから、小分けになっているからというようなことではなくて、やはり日本のこういった団体がすべて共通に持っている問題としては、恐らく高齢化の問題であるとか、若年者の組織化をどう図ったらいいのか、若年者に対して組織の情報をどういうふうに伝達していったらいいのか、そういった部分について十分な解決策をどの団体も持ち得ていないという問題だと思います。
印刷物等の繰り回しというようなことはそう難しい問題ではなくて、やろうと思ってやっている部分もあるということですので、それはそれほど大きな問題ではなくて、むしろ団体の組織化ということが、我が国全体が持っている問題としてかなり重要な部分になっているのではないか。新人の組織化が図れないとしたら資金をどこから提供するべきなのか、もちろん公的資金には使い道について非常に厳格な取り決めがございますので、それを逸脱することはできません。
例えば、私にとっても非常に昔のことで、聞いている範囲ではございますけれども、主婦連などが大きな力を発揮した時代、これは東京都との関係というのが非常に大きかったと聞いております。東京都がそういう団体の育成に非常に力を注いだということがあって主婦連が飛躍的に発展して、子供心に、しゃもじのデモというような象徴的な活動があったわけですけれども、あれも一主婦たちが一人一人集まってできたというような、そんな純朴な話ではなくて、ちゃんと組織として立ち上げるべくして立ち上がったということがあって、それに対する公的な資金の一定の援助があっての成果だと理解しております。
そうしますと、団体の自助努力でそれぞれの財布を一つにしたらいいのではないかというようなことでは解決できないような問題が既にあって、我々が今の法制度を変えるのか変えないのかということも含めて、どう打開していくのかを真剣に考えなくてはいけないときなのではないかと理解しているところです。
今日の課題の中から1つ選べということですけれども、私どもとしては選んで3つ持ってきたつもりですので、このうちの1つというのは大変厳しい問題でございます。読んでいただければおわかりのように、まず、高齢者の問題は大変喫緊の問題でございます。これは現に重大な被害が日々発生している問題ですので、これを何とかしなければならないというのは日本中が共通に持っている考えだと思います。この問題に取り組む一方で、次の世代が被害に遭っているネットの問題をどうするのか、これを後回しにするとこの世代が置いてきぼりになって、そのまま高齢者になって、また今度はネットで高齢者が被害に遭うような事態になってしまうだろうということです。
さらに、この国で発生している陰の部分としまして、高齢者を食い物にする若年者の存在をどうするのか、これは高齢者被害の実は陰の部分でございます。誰がこれをやっているかといえば、我が国の若年世代に集中している。これは教育を抜きにして解決できない問題ですので、これも喫緊に取り組まなければいけない。小学生のところから加害者にならない教育ということは絶対に必要であろうと思います。加害者にならなければいいという問題ではなくて、賢い消費者として我が国を健全に築いていく、次世代の国民を作っていくという意味でも、消費者教育は非常に重要ですし、すぐ取り組むべき問題だと思っておりますので、このうちの1つを選べというのはなかなか難しい問題だろうと思っております。
○蟹瀬委員 テーマを選べという話ではなかったので、テーマは全部皆さんと共有しています。済みません。私の話を皆さん誤解されたかもしれませんが、ここは交換の場であって、日ごろ皆様が交換できない情報を、例えば私たちはこういうのに強いとか、ああいうのに強いというお話を具体的にするのは現実には余りないでしょうから、ここで一回この場で出していただいて、そしてお互いに認識していただいたら、私たちが一緒に何かやらせていただくことがあるかなと思ってお話を伺いました。
今お話を伺ってよくわかったのは、ACAPさんが言われたように、役割分担が非常に明確になっている。その中で、一緒に教育をしていきましょうとか、そういうことに今からもっと強くなっていくのだろうとお聞きして思いました。
テーマについては、高齢者も若者に関しても非常に大きな問題になっていますので、それは問題としてちゃんと取り上げていこうということだと思うのです。
私が最初に聞いた、背中合わせになっていませんかというのは、これは印象です。ボランティアをなさっている世界の中で、こちらのボランティアとこちらのボランティアは同じことをやっていらっしゃるのだったら、手をつなげばもうちょっと大きな運動として政府を動かせたり、官官を動かせたりするのにと思うことが多々あるのです。多々あることが自分の実感としてあります。
大迫さんが言われた官官連携というのはすごく大事で、その話もここの中で話題になっています。取り上げられています。
それから、民民連携ということもすごく大事です。官からおりていったときに民民連携の中にどうやって情報が出ていくかということもすごく大事な時代になってきています。ネットでも何でも流れていく時代になりましたので、そういうことがちょっと速度を持ってなされると私たちも皆さんの意見を吸い上げて一緒に動きやすいということがあってお聞きしました。大変勉強になりました。ありがとうございました。
○主婦連合会有田会長 追加でよろしいでしょうか。
○樋口委員 どうぞ。
○主婦連合会有田会長 高齢者の問題でいいますと、先ほど網の目のようにと言ったのですが、実は相談室に、高齢者の施設に入りたいけれども、契約は大丈夫だろうかという質問も来ます。そのときには、私が知っているそういう施設であるとか、実際に地域のNPO法人で介護事業を行なっているところに相談をお願いしたりします。それが十分だという意味ではないのですけれども、弱い部分は専門性の高いところとつながっています。先週の日曜日も、神奈川県内だけですが、そういう方たちのフォーラムがありました。そこで、例えば主婦連合会の運動の紹介をすることで今の問題点を情報共有して、その方たちが訪問して介護するときに何かちょっとお話をするときの話題提供もしております。もう一度申し上げますと、これが十分だということではなくて、ペーパー上では見えてこないこともたくさんありますということで、つけ加えさせていただきます。
○樋口委員 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。お願いします。
○大森委員 主婦連合会様にお聞きします。若者というか、企業の新入社員研修と同じように、子育て世代の主婦に対する啓発というのが今とても大切と思っています。活動の御報告を聞くと、子供服の安全だとか、おもちゃの安全だとか、まさに子育て世代の主婦にとって必要な情報を調査研究されていると思うのですが、これを使って子育て世代のお母さん方に啓発とかが進んでいるのかどうか、その辺をお聞かせください。
○主婦連合会有田会長 進んでいるかといえば十分とは言えませんけれども、九州や、神奈川県などで、まだ幼稚園にも行かないというような親子が集まってサークルみたいなものを作っているところがあります。そういうところで、幼児用玩具、幼児用パーソナルケア用品の試買調査についてお伝えして、ただ単に危ないというのではなく、表示を見ながらどういう基準で選ぶかというような学習会の講師も行っています。
○樋口委員 よろしいですか。
○大森委員 はい。
○樋口委員 ほかにいかがでしょうか。お願いします。
○長田委員 ありがとうございます。今日お話しいただいた中で、全相協さんと日弁連さんが官官連携のことをおっしゃったと思いますが、多分ほかの方々も同意をなさる重要な課題かと私も聞いていて思いました。特に私どもみたいな団体は地域にあるので、地域にある組織にそれぞれの縦のラインからいろんなものが要求されてくるというのが実態です。そこはもうちょっと出してくる前に連携したらどうかと思うようなことがいっぱいあると思うのです。
もう一つは、今、消費庁を中心に国として消費者行政を横串で、消費者庁の司令塔機能ということで、そこはまとまってこういう施策を取ると決まったとしても、それが自治体におりるとまた縦割りに戻ってしまうところがあるのではないかという懸念がありますが、何か活動の中で思っていらっしゃることがあったら教えていただきたいと思います。
○樋口委員 いかがでしょうか。どなたからでも結構ですが、お願いします。
○主婦連合会有田会長 まさにおっしゃる通りで、県や市それぞれ特色があって一様ではないのですけれども、例えば東京都さんが行なっていることを見ながら、神奈川県はそれを参考にして県の方針などを決めたりもします。そこをうまく活用してくださいと言うのですけれども、ただ、通り一遍でこういう情報が流れたからお知らせしますとかいうような形で、うまく活性化されていないかなと思いながら、私たちも一応意見は出しています。主婦連というより県民としての意見ですが、そういうことは本当におっしゃる通りです。
○樋口委員 よろしくお願いします。
○消費者関連専門家会議長谷川専務理事 官官連携というよりは効率性みたいなところで、例えば消費者教育のことを見てみますと、もちろん消費者庁が音頭をとります。文部科学省も学校教育ということで関連します。経済産業省も最近ACAPのほうに、小学生向けの安全教育をやるので仲介みたいなものはできないかみたいな話があって、それぞれ取り組みがあります。それはそれでいいのですが、市などの消費生活審議会に行きますと、そういう各中央行政の政策の受け手は一つになってしまうのです。時間的にも労力的にも非常に大変だという状況があって、かなりバックアップするということもありまして、それが大問題ということではないのですが、そういうのをもう少し整理するようなスマートな発想もあっていいのかなというのが一つです。
それから、消費者教育推進法が施行されたときに、学校と地域社会と職域という大きな分野が設定されていますね。職域については、これは我々企業としての責任もありますので、先ほど大森委員の話もあった通り、いわゆる企業の取り組みの中に消費者教育をいかに入れるかということはやらなくてはいけないわけです。同じように、学校はどこがやるのか、地域社会はどこがやるのかということも、そういうことをやるのであれば責任主体を明確にして、その責任主体は必死になってやるぐらいのメカニズムがないとこういう行政というのはなかなか進まないのではないかと思っています。そのあたりを、プラットホームでもいいのですけれども、逃げ場のないところでしっかり論議するような取り組みがあっていいのではないかという感想を持っています。
○樋口委員 よろしいですか。お願いします。
○日本弁護士連合会消費者問題対策委員会大迫副委員長 実はこの問題につきまして、近ごろの問題といたしまして、廃棄食品の話が出ておりますけれども、これについて消費者庁のほうでどのように取り組んでおられますかということを日弁連のほうからお尋ねしましたときに、消費者庁のほうでは、既にこのように横串を通す役割として各省庁にいろいろと指示を出していますという御回答をいただいたのです。その御回答の結果を見ますと、今度は各省庁がそれぞれ下部の地方におろしていくわけですけれども、そのときにはもう既に縦串になってしまっていて、各省庁は横につながったとしても、その下がそれぞれくしの歯のように縦に真っすぐ下りているだけですので、結局、地方に行ったときには横の連携は全くない状態のまま、この問題が対応されるのだろうということが問題意識としてわかってきたわけなのです。
やはり消費者庁がやるべき消費者地方行政、自分たちが中央省庁にあって中央省庁の横串を通すという役割を果たすことは重要なことなのですが、地方行政の中でもそういう役割を担うところを持って、消費者庁の支所でしょうか、消費者庁の何か下部組織でしょうか、そういったところが各地方団体の中にあって、そこで司令塔機能を発揮するようなものを構築しないと、上だけ司令塔になってもだめなのではないかということを日弁連で議論しております。そういった政策提言も今後考えていくべきなのではないかと思っております。
現在、消費者庁を徳島県に移すというお話がありますけれども、確かに地方に消費者庁の政策が十分行き渡るようにしていくということは非常に重要だと思いますが、それは一徳島県の話ではなくて、各都道府県全体に対して消費者庁の支所というか、何という言葉かわかりませんけれども、司令塔機能を受けて、そこでさらに司令塔機能を発揮するような部署を設置する。むしろ徳島移転ではなくて、徳島支所設置、香川支所設置、そこが小さ過ぎるとしたら四国支所設置でもいいですけれども、そういった地方への消費者行政の展開というようなものとして今回の徳島移転というものも一つ考えてみる必要があるのではないか。これも日弁連の政策提言の中で今後できるかどうか、意見交換していかなければいけない問題ではないかと考えているところです。中央に司令塔としての消費者庁を置くということが我々の重大なテーゼだとしましても、それを実際に機能させるためには、もっと地方へ消費者行政が行き渡る仕組みを今この機に作らなければいけないのではないかと私ども今感じているところです。これは官官連携との兼ね合いでも、今後我々が、もしかしたら内閣府消費者委員会も意見をまとめられるような大きな課題なのではないかと思っております。
○樋口委員 ありがとうございました。どうぞ。
○日本弁護士連合会消費者問題対策委員会中村副委員長 日弁連の中村です。
今の長田委員からの御指摘はまさにそうだなと思っています。個人の体験に基づくお話なのですが、東京に3つある弁護士会で23区を回って、高齢者の見守りネットワークについて何か一緒に取り組んでいきませんかという試みを去年ぐらいからやっています。私は東京都の大田区の担当をして、ほかの弁護士がほかの区を担当してやったのです。要するに、お手紙を出して、高齢者に関する福祉部門と消費者の部門の人に会ってお話をさせてくださいということで行ったのですが、これは余りうまくいきませんでした。
一つは、おっしゃられたように、区役所の中で福祉部門と消費者部門というのが余りうまく連携ができていなくて、どちらかが消極的であればその企画はポシャるという感じで、お話しに行った後に3カ月ぐらい経ってから、あのお話はどうですかと言ったら、いや、結構ですみたいな感じで、連携していくという動きにどの区も共通してうまくはなかなかいかない、非常に難しい問題なのだと思いました。
これを打破するためにどうするかというのは難しい問題ですけれども、消費者安全法とか消費者教育推進法などで地域に協議会を作ってやっていきなさいというのがもっともっと強く進んでいくと、場合によっては連携せざるを得ないということになるのではないかと思います。もう法律はあるわけですから、それをどう進めていくのかということですけれども、官官連携を進めていくには官の上からの力がかなり必要なのではないかと思いました。それがいいことかどうかわかりませんけれども、それは手っ取り早いやり方なのだろうと、そのとき私の体験では思いました。
○樋口委員 ありがとうございました。よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。
○全国消費生活相談員協会阿部常務理事 今、中村弁護士の意見を受けて、私は全相協ですけれども、現場で新宿の消費生活センターに勤めております。地域協議会は、笛吹けど踊ったのがうちとどこかだけだったのではないですかね。それで協議会ができました。その協議会に私ども相談員も入って、地域のいろんな住民も入って、活動を始めてまだ2回ぐらいです。
もちろん官の強い力で下にという状況はよくわかるのですが、私たちが今やっているのは、消費生活センターのマンパワーの問題がすごくあると思うのですけれども、それこそ高齢者相談センターとか地域の社会福祉協議会の人たちと連携して、高齢者の自宅に直接出向きます。その現実を知ってもらって、高齢者福祉のところとか、そういう方たちと話し合いをして、これをどう解決していくかというところまでやっています。消費生活センターが下という言い方は変ですけれども、そういう働きかけを上にしていくという力も非常に大事ではないかと思っております。本当に残念なことに、地域協議会というのは少なかったのです。さっき先生がおっしゃったように、なかなか反応が鈍い。それはなぜかということをもっとしっかりとやっていかないと絵に描いた餅になってしまうのではないかと思って、私どもは非常に危惧しております。
高齢者の見守りに関して現場を見ると、その悲惨さというか、絶句します。認知症の方の被害の状況を見ると、こんな言い方をしては失礼なのですが、家の中に汚れがひどくて入れないような状況です。そこでも民生委員の皆さんとか見守りをしている。皆さん声高におっしゃって、お題目のように言っていらっしゃいますけれども、個人のプライバシー場の問題とか、そういうことがあって現場に踏み込めないという現状があるのですが、見守りの方に何度か行っていただいて、心を開いていただいて、いろんな通報をいただいて、消費生活相談員が現場に出向いているという現実、私どもはこれを広げていく。ただ、非常にマンパワーが要ります。相談員が不足しています。できる地域というのは本当に限られている。それをどうにか広げていっていただければありがたいと現場の相談員としては非常に思います。
以上です。
○樋口委員 ありがとうございます。
○日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会有山理事 新宿区と同じように、私が勤務している下町地区で、生活保護課、高齢福祉課、地域包括の方たちと連携をとって活動しています。高齢者の方たちがここにいるのかというようなところにおいても、高齢者の財産を狙っているという勧誘者がいる。そういう実態を見ますと、この先、どうしたらいいのかと心配です。地域包括支援センターの方たちに動いていただくという状況もあります。最近、都のセンターから私どもの地域包括支援センターに「高齢者が被害に遭っているので調査に行ってください」というような要請をいただきました。地域包括支援センターのケアマネとしては、東京都のセンターとはいいながらも、顔を知らない消費生活相談員から電話一本で高齢者宅の契約書を持ってきてください、調査してくださいと言われると信頼関係もないので、非常に動きづらいというようなお話もありました。
都の相談員の方から「私ども地区の相談員が高齢者宅に行くことを了解いただいているのですか」というお話をすると、その了解はまだとっていない、高齢者の言っていることがわからないので実際に契約書等を調べてきてほしいという要請でした。都の相談員さんの気持ちはとてもよくわかるのですが、日常的に人間関係ができていない地域包括支援センターの人が、救済しなくてはいけない、高齢者をお助けしたいからといって訪問を要請されても、高齢者の方はドアを開けてくれない。私たちは、ドアを開けてもらうためには何度となく電話をして、ご相談者の言い分を繰り返し聞いて、人間関係を作ってからでないと当然踏み込めません。そういう顔の見える関係が日常的にできているということが重要ですし、行政同士と私どもの連携、官官の連携ということも非常に重要ですが、そういう目的のかたい会議ではなく事例研究みたいな形で、こんな場合どうしましょうかという話が気軽にできるといいのかなと思います。ケアマネの方もヘルパーの方も大変忙しいので、自分たちはやはり命を守るために活動しているということで、財産被害はその後だという思いは多分おありになるのではないかと思うのです。それをどうやって克服していくかというのが私どもの今後の課題かと思っております。
○樋口委員 ありがとうございました。何かいかがでしょうか。
それでは、非常に残念ですが、予定の時間になりましたので、これでまとめにしたいと思います。
≪3.閉会≫
○樋口委員 今、各団体の方から非常に重要な問題提起をいただきました。その中で、多く議論になったところでは、連携の具体的な中身に加えて、官民連携というテーマなのですけれども、実際には官官連携の問題もあるし、民民連携についての議論もあり得るという指摘がありました。民というのは、事業者の方と消費者団体の方、そういう間の連携もいろいろ議論があり得るということなので、もう少しきめ細かく私どもとしても考えていかなければいけない。また、最後に、阿部理事と有山理事からは高齢者の見守りの現場でのお話をいただきました。
私もちょっと個人的に感想を言いますと、確かに官官の問題とか官民の問題もあるのですが、例えば私は長野にずっとおりましたけれども、長野の場合も最後は市町村になりますと担当は全部一つなのです。頑張っている方は特定されてしまうのです。ですから、都会とか大きなところでのいろいろな役割分担の問題と、全国の中山間地とか、そういうところでの問題解決の仕方の違いの問題もあるのではないかと思います。それから、最後にお二人からお話がありましたように、現場で実際に活動しておられる方をどういうふうに応援していくのか、そういった問題もあるのではないかと思います。そういう意味で、今日、委員会のほうに大変大きな課題をいただいたということで、私どももこれから勉強を続けていきたいと考えております。非常に残念ですが、時間になりましたので、後はまた個別にいろいろ御指導いただければと思います。
皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただき、貴重な御意見を本当にありがとうございました。本日いただきました御意見、御要望につきましては、今後の消費者委員会活動の参考にさせていただきたいと思っております。
それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところ、お集まりいただきまして、まことにありがとうございました。
(以上)