第208回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2015年12月8日(火)12:59~15:04

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

  • 【委員】
    河上委員長、池本委員長代理、阿久澤委員、大森委員、蟹瀬委員、鹿野委員、 長田委員、中原委員、増田委員
  • 【説明者】
    消費者庁 菅久審議官、真渕表示対策課長、表示対策課担当者
    総務省 総合通信基盤局電気通信事業部 湯本消費者行政課長
    総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課 吉田電気通信利用者情報政策室長
    総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課 電気通信利用者情報政策室担当者
  • 【事務局】
    黒木事務局長、小野審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 景品表示法への課徴金制度導入に関する政令・内閣府令・ガイドラインについて
  3. 消費者基本計画の検証・評価・監視について
  4. その他
  5. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○河上委員長 皆さんお揃いですので、始めさせていただきます。

本日は、皆様、お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。ただいまから「消費者委員会第208回本会議」を開催いたします。

また、本日は、所用によりまして、樋口委員が欠席の予定となっております。

それでは、配付資料の確認をお願いいたします。

○丸山参事官 事務局でございます。

お手元、議事次第の下部に配付資料一覧を記してございます。

資料1-1から資料1-7までが景表法に関する資料、資料2が電気通信事業法関係の資料となっております。

それから、参考資料1、2ということで付けております。

もし、不足がございましたら、事務局のほうまでお申し出いただきますよう、よろしくお願いいたします。


≪2.景品表示法への課徴金制度導入に関する政令・内閣府令・ガイドラインについて≫

○河上委員長 最初の議題は「景品表示法への課徴金制度導入に関する政令・内閣府令・ガイドラインについて」であります。

平成26年の臨時国会におきまして、課徴金制度を導入するとともに、被害回復を促進するという観点から、返金による課徴金額の減額等の措置を講ずることとした改正景品表示法が成立いたしました。

本改正法について、当委員会は平成25年12月に、内閣総理大臣から諮問を受け、委員会のもとに専門調査会を設置して調査審議を行い、平成26年6月に答申を取りまとめました。

消費者庁におかれましては、概ね答申の趣旨を踏まえ、法改正を行っていただいた経緯がございます。

本改正の施行に伴い、消費者庁では政令の改正及び内閣府令とガイドラインの制定作業をしているところでございますが、本日はその内容について説明をいただき、議論を行いたいと思います。

消費者庁におかれましては、お忙しいところ、御出席いただきましてまことにありがとうございます。

それでは、政令・内閣府令・ガイドラインそれぞれの内容について、短いですけれども全体で20分程度で説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

○消費者庁菅久審議官 消費者庁審議官の菅久でございます。よろしくお願いいたします。

では、資料に基づきまして御説明いたします。資料はいろいろございますが、資料1-3以下は政令などのそのものの資料でございますけれども、資料1-1と1-2に基づきまして御説明いたします。

まず、資料1-1を御覧ください。今、委員長からお話がありましたとおり、昨年11月に改正法が成立いたしました。この改正法の内容を簡単に御説明いたします。

左側に「課徴金納付命令」とありますが、課徴金の対象となる行為は、優良誤認表示、有利誤認表示と書いておりますけれども、景品表示法で禁止されている不当表示、これをした場合に、その下に課徴金額の算定とありますけれども、不当表示の対象である商品・役務の売上額を算定いたしまして、それに3%を掛けた額が課徴金となるということであります。ただ、その2つ下に主観的要素とありますが、違反事業者が相当の注意を怠ったものでないと認められるとき、要は、表示をする際にきちんと注意をしていたということであれば、課徴金は課されないという規定でありますとか、また、その下に「課徴金対象行為該当事実の報告による課徴金額の減額」とありますけれども、消費者庁などの調査を受ける前に、事実を報告した事業者に対しては2分の1の減額をする。そういう規定もあります。

さらに、この景品表示法の課徴金制度の最大の特色が右側でございまして、事業者が返金をきちんとしたということであれば、課徴金を命じない又は減額する。具体的には、返金の計画を出してもらって、それに沿って返金措置を実施した場合には、返金した額の分を減額する、それが課徴金額を超えた場合には納付を命じないと、そういう規定でございます。

資料1-2を御覧いただければと思います。1ページ「景品表示法への課徴金制度導入についての準備状況」でございます。

これまで事業者、事業者団体、また、関係省庁などからのご意見も伺いつつ、必要な政令・内閣府令・ガイドラインの準備を進めてまいりました。政令につきましては、10月19日にパブリックコメント手続を開始しておりまして、11月18日を期限として意見募集をしております。それから、内閣府令とガイドラインにつきましては、11月25日にパブリックコメント手続を開始いたしまして、意見提出の締切は12月24日となっております。

これらの主な内容につきまして、資料に沿って次のページから御説明いたします。

2ページ、まず、政令ですが、課徴金算定のもととなります「売上額」につきまして、原則として引き渡し基準、すなわち課徴金の対象となる期間に引き渡された商品(役務)の対価を合計するというやり方を原則といたしまして、一方、例えば戸建て住宅でありますとか、マンションのように、契約してから実際に引き渡しがあるまで通常かなりの時間を要するものにつきましては、契約時点の対価を合計する、いわゆる契約基準とするという規定でございます。この定め方というのは、既に課徴金制度のあります独占禁止法の政令と同じということでございます。

次の3ページ、減額の対象となりますのは、課徴金対象期間内に不当表示の対象である商品、役務を購入した消費者への返金額ということでございますので、それに該当する消費者かどうかということをどのように特定するかということについてです。

最初の丸の(b)にありますように、領収書や契約書などを課徴金対象期間に購入した消費者であるという事実を証する資料により特定された者とするという規定であります。これによりまして、事業者の持っている顧客名簿でありますとか、消費者が提示するレシートなどによる特定の方法も可能ということになります。

その次の丸は、個々の消費者の購入額ということでございますけれども、これは先ほど御説明いたしました「売上額」と同じ方法にするという規定であります。

次の4ページ、これは改正法自体の中で、課徴金対象行為をした事業者が合併でありますとか、事業譲渡をしたことによって消滅した場合には、事業を承継した事業者に課徴金納付命令をすることができるようにするという規定が定められておりまして、この規定によりまして、いわゆる合併などによって課徴金逃れをすることを防ぐことができるわけですが、この改正の規定を受けまして、政令ではこのような場合の取扱いについて、いろいろ細かく規定をしております。不実証広告規制についてした行為は残った人がしたものとみなしますよとか、そういう細かな規定を置いているというものでございます。

次の5ページ、ここからは内閣府令ですけれども、まずは、いわゆる自主申告の際の報告書でありますとか、返金措置に関する申請書など、各種の様式を定めております。

それから、その次の一般消費者の誤認の恐れの解消措置ですけれども、これは課徴金対象期間がいつまでかということに関係するものでありまして、課徴金対象期間はこの図にありますように、まずは左側から、不当表示行為を開始した日から、真ん中あたりの不当表示行為をやめた日までということですけれども、その後も、不当表示の対象であります商品・役務を販売し続けた場合には、販売をやめるまで。やめない場合には(a)にありますように最長6か月までという規定なのですが、(b)にありますように、それまでの間に一般消費者の誤認の恐れの解消措置をとった場合にはその日までということであります。

そこで、一般消費者の誤認の恐れの解消措置につきまして、その事業者の表示が8条1項1号又は2号に該当する表示、すなわち、実際のものと異なる表示であるということでありますとか、事実に相違する表示であるということを、ここに「時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙」とありますが、すなわち日刊の一般紙ということですけれども、これに掲載する方法を例示いたしまして、その他の相当な方法により一般消費者に周知する措置という規定を置いているというものでございます。

その次の6ページ、最初の丸の不実証広告規制の手続ですけれども、これは既に現行の措置命令に関して規定がありますので、課徴金に関しても同じ内容を規定しているというものです。

その次の丸ですが、まず、返金措置の実施期間につきましては、実施する予定の返金措置計画を提出してから4か月以内、延長する必要が生じた場合でもプラス1か月以内という定めを置いております。

また、イの課徴金額から減額する額につきましては、マル1のように事業者が消費者に返金した額、これは当然なのですけれども、マル2のように、仮に消費者の購入額を上回る額をその消費者に返金しても、その消費者の購入額までしか減額しませんという規定であります。

その次の7ページ、その他督促状でありますとか、執行の命令書については送達という手続をとるということ。

また、その次の2番目の丸は、事業者が課徴金を期限までに払わずに延滞金が発生するようになった場合、そのような場合に課徴金と延滞額の合計額、そのまま払ってくれればいいのですが、それを下回る額の納付がまずあったというときには、延滞金のほうではなくて、元本である課徴金のほうから減らしていきますという規定でございます。

8ページからがガイドラインです。このガイドラインでは、課徴金制度の基本的な考え方をわかりやすく説明するために、目次にありますように、表示自体についての基本的な考え方から、不実証広告規制に関することまで記載しておりますけれども、中心は太字の部分でありまして、この太字の部分が法案審議の中などでもガイドラインでわかりやすくお示ししますということを言っていた部分の2つの点であります。

第4の課徴金の算定方法、特に課徴金算定の基礎となります売上額の考え方、第5のどのような場合に相当の注意をしたと言えるのかということにつきまして、想定例を示しながらできる限りわかりやすく説明しているというものであります。

次の9ページ、課徴金の算定方法と、先ほど御説明いたしました課徴金対象期間について説明をしている部分の紙でございますが、同じ図を載せております。続いて、この次の10ページ、11ページのように、想定例を挙げて説明しているというものであります。

10ページの例は、商品xにつきまして、不当表示の内容のあるポスターを掲示していた。このポスターを掲示していた期間は下の図にも期間を書いていますが、4月1日から9月30日までポスターを掲示していた。その後、12月31日まで商品xを販売していました、という場合には、課徴金算定のもととなる売上額を計算する期間である課徴金対象期間は、4月1日から12月31日までとなりますよという例であります。

一方、次の11ページのほうは、商品yについて同じように不当表示の内容のある、この例ではウェブサイトとしておりますけれども、これで11月1日から4月30日まで公開、表示をしていた。商品yはその後、9月30日まで販売していたのだけれども、その途中の7月31日に日刊の一般紙に掲載することその他の方法によって、一般消費者の誤認の恐れの解消措置をとった。このような場合には、課徴金対象期間というのは11月1日から7月31日までとなりますという例であります。

その次の12ページ、これは不当表示の対象の商品・役務が、例えば全国で販売しているものであっても、具体的な表示の内容などによっては一部の地域でありますとか、店舗でありますとか、そこでの売上だけが対象になるという例であります。

まず、12ページにある例は、全国の店舗でウナギ加工食品をある事業者が販売していた。ただ、この事業者が北海道内で配布した北海道版と明記したチラシで、国産ウナギという表示をしたのだけれども、これが不当表示であった。この場合は全国ではなくて、不当表示で、消費者が誤認したのが北海道内の店舗ということでございますので、全国ではなくて、北海道内の店舗で販売されたウナギ加工食品の売上額をもとに課徴金が算定されますというものであります。

さらに、次の13ページ、この例は、テレビCMで、例えばスーツ全品半額という表示をしていた。実際にはお店では2万円未満のスーツは半額対象外であったという場合でありますけれども、この場合には、2万円以上のスーツを実際に買った人というのはまさに半額だったわけですので、表示と違って実際には半額ではなかった2万円未満のスーツの売上額をもとに課徴金を算定することになりますというものであります。

次の14ページからが、相当の注意についての部分です。

相当の注意を怠ったものでないと認められるかどうかということにつきましては、上の丸の下のところに、太字も含めて書いておりますけれども、表示をする際に、当該表示の根拠となる情報を確認するなど、正常な商慣習に照らし、必要とされる注意をしていたか否かにより、個別事案ごとに判断されると、これが基本的な考え方ということなのですけれども、では、実際にどの程度のことをしていたら、相当の注意をしていたことになるのかということを想定例を示しながら説明をしております。

次の15ページの例は、小売業者が卸売業者から仕入れた健康食品につきまして、店頭のPOPに「アセロラ由来のビタミンC含有」ということを記載して販売をした。ただ、この小売業者はこの表示をするに際しては、その健康食品のパッケージ自体に「アセロラ由来のビタミンC含有」と書かれていたので、そのことを見て、確認して、そのようにPOPに書いたということです。ただ、後日、消費者庁から質問を受けたので、すぐにメーカーのほうに聞いたら、そうではなかったということがわかったので、すぐにその表示をやめましたと。そのような場合には、相当の注意を怠ったものでないと認められる、すなわち、こういう場合には課徴金の納付は命じられないという例でございます。小売業者は仕入れたもののパッケージに書いてあれば、それを確認して信じる分にはしようがないでしょうということであります。

最後、16ページの例は、小売業者がメーカーから仕入れた布団につきまして、通信販売をするということですけれども、「カシミヤ80%」などと表示をして販売をしていた。ただ、この小売業者はこの表示をする際にはメーカーから検査結果報告を提出させて、その内容を確認していました。しかし、後日、自社で抜き打ち検査を行ったところ、事実に反することがわかったので、すぐにその表示をやめましたというような場合には、これも同じく相当の注意を怠ったものではないと認められる、課徴金は命じられないという例であります。

このように、ガイドラインでは、いろいろ例を入れながら、わかりやすく説明しています。

今後の予定ですけれども、政令につきましては今月中には閣議決定をすることを目指して今、作業中というところでございます。それから、内閣府令とガイドラインにつきましては、12月24日が意見提出の締切ですので、その後、速やかに検討しまして、来年1月にはできれば成案を得て公表するという方向で進めていきたいと考えております。

その後、政令等の内容も含めまして、本改正法の周知のために、全国で説明会を開催することなどを予定しております。

以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。

それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。

長田委員、どうぞ。

○長田委員 資料1-2の5ページ、「日刊新聞に掲載する方法その他の相当な方法」の「その他の相当な方法」はどういうものを想定されていらっしゃいますでしょうか。

○消費者庁菅久審議官 一般消費者の誤認の恐れの解消措置というのは、現在でも措置命令をした場合に求めている内容でありまして、したがいまして、基本的には、現在、措置命令で求めているようなことと同じ程度のことをしたら、終期が来るということを考えております。

ですので、日刊紙に掲載する方法以外ですと、例えば自社のウェブサイト上にそのことを掲載するとか、場合によっては店頭のポップなどに掲載したり、通販などですと、カタログを送って通販をやっているのだったら、そこにも書いてもらうとか、そういう商品ごとに、その商品の購入者である消費者の目に届く、100%確認するわけにはいきませんけれども、そういう消費者の目に届くような方法を十分とってもらう。措置命令のときに相当するようなことをとれば、そこで終期が来ますということであります。

○河上委員長 よろしいですか。

少なくとも自分が広告宣伝をしたのと同じものを使ってやることは最低限必要なことだと考えてよろしいですかね。

○消費者庁菅久審議官 はい。今でもまずはそういうことになります。広告宣伝した媒体だけでは普通済まなくて、そこからより広くということで、日刊紙などにも掲載をしてもらっているということになります。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。

鹿野委員。

○鹿野委員 確認的な質問になると思いますけれども、資料1-2の6ページの下のほうに、課徴金額から減額する額の計算方法が記載されています。それのイの最後のところに、マル2として「返金措置の対象者の取引に係る商品又は役務の購入額を上回る金額を交付した場合」ということが書いてあるのですけれども、ここで想定されている事態について御説明いただきたいのと、それとも関連するのですが、ここで上回るというのは個々の消費者の購入した商品等について、個別に判断するということで理解してよろしいでしょうか。

その2点をお願いします。

○消費者庁菅久審議官 ありがとうございます。

まず、後半のほうはそのとおりでございまして、返金はその商品を買った消費者に返すわけですので、その消費者ごとに考えていくということになります。

それから、ここで想定している事態は、法案を作るときもそういう議論があって、それに対応しているということなのですけれども、特定の人だけにいっぱい返して、返金額を増やすことによって減額を増やそうという行為を防ぐ。つまり、買った消費者に対してはそれぞれ全部同じように返さなければいけませんよ、申出のあった消費者には全部返さなければいけないということをきちんとしてもらうために、そういう一部の人に余計返すというのをしたとしても、それは減額しませんというための規定ということであります。

○鹿野委員 わかりました。理解していたとおりということで、ありがとうございます。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。

大森委員、どうぞ。

○大森委員 課徴金の算定なのですけれども、売上額に3%を乗じるということなのですが、これは業者にとっては大きなダメージになる額と想定できるのでしょうか。悪質な業者で、通常的にすごく大儲けしていて、たまに捕まって3%乗じるというのは、ランニングコストとしては安いのではないかというケースはないのでしょうか。この課徴金と併せて営業停止命令とか、そういうものもあるのですか。

○消費者庁菅久審議官 ありがとうございます。

不当表示があって、違反になった場合には、まずは措置命令という命令を出します。それによって、再発防止措置などをとってもらうとともに、そのときにもちろん公表されることになりますが、現在はそこまでなのですけれども、それだけでは抑止力が足りないだろうということで、今回のプラス課徴金制度というのを入れたということであります。

3%がどうかという話は、法案審議のときから、作るときからずっとありまして、ある意味一律ですので、ケースごとにその事業者によって、言ってみれば痛みが違うというのはある程度あると思います。ですので、もし、この3%というのが余り有効ではない、これがあったとしても不当表示が終わらないようであれば、更に検討するということが法案審議の際も、大臣も含め言っていたことであります。

ただ、3%にした理由というのは、過去の違反事業者のそのときの営業利益率の平均をとったということなのですけれども、とにかく今は課徴金制度がないので、まずは入れてやってみましょうということですので、ないところからあるようになりますから、そういう意味では、現状と比べれば抑止力は高まるのではないかと期待をしております。

あと、確かに実際の議論の中でも事案ごとに課徴金率とか課徴金額を変えるという考え、御提案みたいなものももちろんあったのですけれども、それをし始めると、今度は逆にその執行が非常に大変になって、執行がむしろできなくなって、難しくなって執行力が衰えるということもあるのではないかということで、まずは一律3%という仕組みでやってみようということであります。

○河上委員長 蟹瀬委員。

○蟹瀬委員 ちょっと説明をお願いしたいのですが、11ページと10ページに課徴金の算定の方法がありますが、その中で、11ページのほうで、一般消費者に誤認の恐れのある解消措置をとった場合がありますね。とりました、でも、その後続けて売っていました。そこまでのところは課徴されませんよということであった場合に、お客様がこれを見ていない、でも、買いました。でも、嘘だったので返したいのですけれどもということに対してはどういう措置がされるのかというのをちょっとお聞きしたいのですが。

○消費者庁菅久審議官 ありがとうございます。

ある意味では、見ていません、返しますに対して、事業者の方がそれに対応する、返すのを受け付けるのはもちろん構わないことでありまして、それはしていただいて全然構わないのですけれども、それについて返したとしても、そこは課徴金の売上とかそちらの範囲には入ってこないということで。

○蟹瀬委員 返さないと言われた場合は。返品は無理ですと。報告しているから、それを見て買っているという前提になった場合に、課徴金とちょっと離れるのですが。

○消費者庁菅久審議官 そもそも返品をするかどうかというのは事業者の方が決める話でありまして、そこを返品しろと我々が命じることはできないわけです。

今回の課徴金制度はむしろ、もし、課徴金がかかった場合に、課徴金対象期間に買った消費者に対する返金をすれば、その分減額しますということによって、返金を促す仕組みではあるのですけれども、そもそも最初から促す仕組みがあっても、返金しなくて課徴金を払いますという人がいたら、それはそれでどうしようもないということであります。

ただ、これも法案の策定の過程の議論の中でもあったのですけれども、そもそもそう考えている事業者は多分今でも返金しないでしょうから、そういう事業者に関しては、返金しない代わりに課徴金はきちんといただきますということで、抑止力を高めようということであります。

○蟹瀬委員 ありがとうございました。

○河上委員長 ほかには。

中原委員、どうぞ。

○中原委員 資料1-2の3ページの一般消費者の特定というところですけれども、領収書、契約書その他の当該事実を証する資料により特定されたものとされていますが、具体的にどの程度の資料があればよいのかについて、例えばレシートはなくしたけれども、購入したということについて詳しい説明があれば認めるとか、そういったことについては、計画の認定の際に、事業者のほうからこの程度の申出があれば返金しますというような計画を立てて、それを認定するという形になるのでしょうか。

○消費者庁真渕表示対策課長 今の点は、計画の認定申請の際に、どういった資料に基づいて特定をして返金するかということも、記載していただくことになっておりますので、それを受けて認定を行う際の我々のほうの考慮の要素ということになってまいります。

○消費者庁菅久審議官 特定の方法は、多分いろいろ事業者によってあると思います。例えば通信販売業者の方々の御意見ですと、通信販売をしていれば自分たちのリストでわかりますということですので、特に消費者から出してもらう必要はないとか、一方、スーパーマーケットみたいなところですと、多分持っていないので、今度はレシートを持ってきた人に、レシートと本人の確認をして特定するというやり方もあるでしょうし、それぞれ商品と業態によって違うと思います。

事前に書いてもらうのと、最終的に、こういう人にこういう資料で返しましたということが出されますので、そこで十分特定できるかどうかというのをまた判断していくことになろうかと思います。

○河上委員長 蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 今の中で、今、カード決済が結構多いのですが、カード決済の通知が来たりすると、そこに事実が残っていますね。そういうものも事実を証明する資料として認められていくと考えてよろしいですか。

○消費者庁菅久審議官 それはそういうことだと思います。

それから、事業者のほうでも、今度はポイントカードなどを使ってやっていたり、わかる場合もありまして、その場合はそちらのほうで特定できるということもあろうかと思います。

○蟹瀬委員 ありがとうございます。

○河上委員長 池本委員、どうぞ。

○池本委員長代理 池本でございます。

基本的な枠組みのことの確認です。不当表示があるという措置命令を出し、その中で課徴金を課すということになると思うのですが、課徴金を課す対象があったときに、先ほどの返金措置を実施したときには、その額が、資料1-1の右下で見ていただくのが一番わかり易いのかもしれませんが、返金額が課徴金額以上の場合には、納付は命じない。それ未満の場合は減額するとなっていますが、この場合、例えば課徴金額以上となった場合であっても、基本の排除措置の執行というのは生きているという理解でよろしいのかどうか、まず、その点をお願いします。

○消費者庁菅久審議官 いろんな手続の流れが実際に起きるかもしれませんが、基本的に想定しているのは、調査をして、違反の事実を確定した段階で、まず、措置命令を出します。それ以降、更に課徴金のほうの手続にいきまして、課徴金納付命令の、通常は案の段階で弁明の機会の付与をするのですが、そのときから、事業者の方は弁明のほうの手続をするとともに、返金をする人は返金措置計画というものを出して、返金をする。ただ、返金自体はそこから始めるというよりは、その前から当然やっているということも前提にしつつ、そこから計画を出して、返金をして、最終的に返金をした額というのが出てきますので、そこで上回っているかどうかを見て、上回っていれば次の納付命令はもう出さない。そういう流れを考えております。

○池本委員長代理 もう1点、今の返金と、先ほどの鹿野委員からの質問でも少し話題に出たところですが、例えば3%ではなくて購入額そのものを、もう解約して全額を返金するという形で対応するというのは、不当表示で購入したから、民法的にいうと無効であるとか、あるいは不実の表示で誤認して契約したのだから、それについて取り消すとか、そういう契約の効力を解消して、その分を全額返すという場合を想定するのか、それとも、契約の効力はともかく、迷惑をかけたから一定割合、例えば1割とか3%とかを返すという、返金の仕方をどういう基準でやるかということは何かルールの中では想定しているのでしょうか。

○消費者庁菅久審議官 事業者が返金をすると決めたときに、どれだけ返すかということについては、法律では最低だけを決めていて、最低は課徴金率が3%なので、さすがにそれを下回るのはいかがかということで、3%以上ということで決めております。

そこから上はどこまで返すかというのは、事業者の方々の自由ということなのですけれども、これも法案審議の前に、それまで返金をした人たちがどれだけ返していたかということを調べたことはあるのですが、それでいうと、少なくとも返金すると決めた以上は、8割ないし10割返しているのが通常のようでしたので、我々としてはさすがに返金すると言いながら3%返すというのではなくて、通常は返金する以上は一定の額を返すのだろうと思っております。

また、そのようにすれば、消費者から申出があったら必ず返すというやり方になりますので、消費者のほうから申出のない場合もあり得るでしょうし、わからない場合もあるでしょうが、これも我々のあくまでも想定ということになりますけれども、少なくとも返金すると決めれば、課徴金額は売上額の3%ですので、多くの場合、超えるだろうと考えておりまして、返金をどんどんしていくほうにいくことをむしろ期待しているというものです。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。

長田委員、どうぞ。

○長田委員 資料1-1の今の返金措置の説明の、右側の米印のところなのですけれども、3%を乗じた額以上の金銭を交付する措置と書いてあるのですが、法律の概要の説明資料なのですが、何となく誤解を与える。返金措置そのものが3%以上返せば返金ですと、一般的に、消費者庁が言っているようにも読めるのですが、今更のお話ですけれども、ちょっとここは本当は表現に工夫が必要だったのではないかと思いました。

○消費者庁菅久審議官 ありがとうございます。

法律上、そういう規定になっているので書いたということでありまして、でも、思っているのはむしろそうではないといいますか、先ほどのようなことでございまして、また事業者の方は多分、返金するというのはそれなりのコストもかかり、手間もかかる話でありまして、こう言っては何ですけれども、わざわざ課徴金納付命令をされて、課徴金を払えばある意味では済むという話のところを、返金をするということは、お客様の信頼を回復するためにやっているのでしょうから、それでわざわざ3%だと、逆に反感を買うのではないかと思っておりまして、よほどのことがない限り、3%返すとか、4%返すとか、そういうことはないのだろうと思っているのですが、法律的には最低を決めないといけないなということで、こう決めたということだけでありまして、いわゆるベストプラクティスとしてはもちろんこういうことではないと考えております。

○河上委員長 池本委員。

○池本委員長代理 池本です。

もう1件、執行体制なり執行の方針等の関係で、この課徴金の位置付けを確認したいのですが、不当表示の情報が入手でき、調査して、措置命令を出すという、これまでの調査執行の体制の中に、この課徴金を実施するというのは、不当表示がある場合は原則としてこれを想定しながら、例えば金額が150万円に至らない、ごく少額であるとか、一定の場合には除外する。しかし、原則は課徴金を視野に入れておくということになるのか、それとも、調査し、措置命令を出すという過程の中で、課徴金対象になる可能性の高いものがあったときに、初めてこちらのための金額とか調査に入るということになるのか。これは執行体制の問題と、方針の問題と、両方あるかと思うのですが、その辺りはいかがでしょうか。

○消費者庁菅久審議官 基本的には、違反があった場合には、課徴金は課さなければいけないことになっています。また、資料1-1に規模基準というものがございまして、課徴金額150万円未満となる場合は賦課しないと規定があります。ということは、商品・役務とすれば5,000万円以上ということになりますので、ここは意識するだろうと思っております。

5,000万円を超えそうだということであれば、措置命令に至る調査の過程でも当然課徴金のことも意識して、必要な調査、売上額の調査とか、商品の範囲のより厳密な特定とか、そういうことをしなくてはいけませんので、そういうことも並行して意識しつつ、調査をしていくということになると思います。

明らかに5,000万円を下回るという話であれば、そちらよりも早く措置命令を出してという話になるかもしれませんが、基本的にはあらゆるケースで、規模基準のところ、この辺を少なくとも上回りそうだということになれば、最初から課徴金を意識しながら調査していくということを考えております。

○池本委員長代理 今の続きなのですが、恐らくそういう形で原則的には進めていくとなると、執行体制として相当な事務量が付加されてくることになると思います。そうすると、これまでの従来の執行体制だと実施件数そのものが絞られてくることになっていって、手を付けたものについては措置命令から課徴金まで重たい手続に進めるけれども、全然手を付けられないのが増えるということになってしまうのか、それとも、そこは執行体制なり強化して、これまで従前どおり、もしくはそれ以上にきちんと情報を集め、着手していくということになりそうなのか、その辺りは方向としてどうなのでしょう。

○消費者庁菅久審議官 この規模基準を決めたときに、おおよその目安というのがこれまでの措置命令の半分程度が対象になるということを想定しておりましたので、その半分程度は課徴金納付ができるようにしっかりと体制を整え、審査官の能力を上げ、執行マニュアルなどもきちんと作ってやっていこうと思います。

ただ、もちろん、独占禁止法とかそういうところには課徴金制度はありますが、景品表示法としては初めて入る制度でありますので、そういう意味では、審査官の慣れとか、そういうところはもちろん少し長い目で温かく見守っていただければというところもあります。

もう1つは、まさに規模基準がありますので、例えば来年度5月までのどこかの時点で施行されたとして、そこからの売上が対象になりますので、ちょっと考えても半年や1年ぐらい経って以降でないと、多分、課徴金納付命令の対象になるような案件は生まれてこないと思いますので、施行してすぐ1か月、2か月で、ないではないか的なことは是非言わないようにしていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○河上委員長 ほか、よろしいですか。

私からも若干あるのですけれども、返金の額の話なのですが、減額措置をとるときは、返金額全額を減額の対象にして計算するということになりますね。そうすると、一番ひどい状態で二束三文のものを1万円で売ったというときには、100人のうち3人に返金してしまえば3%になってしまうということでいいのですね。

○消費者庁菅久審議官 仕組み上、消費者から申出があった人には全て返さなければいけないということにしていますので、そこで3人で打ち切ってしまったら、そもそも減額の対象に全額ならないということになります。

○河上委員長 打ち切った時点というのが、いろいろあり得ることですから、1週間なら1週間のうちに打ち切ってしまったら、そういうことも可能にはならないのですか。

○消費者庁菅久審議官 1週間、2週間というのだと、そもそも措置計画が来た段階で、計画の認定の段階でそれは実効性がないということで、多分認められないと思いますので、そこは大丈夫だと思います。

○河上委員長 では、よろしいですか。

これに関しては申し上げたいことが沢山あるのですけれども、景品表示法の課徴金制度の導入に関しては、政令・内閣府令の規定、ガイドラインを通じて、事業者の方々に法改正の趣旨とその内容についてきちんと理解していただくということが大事ですので、そのような措置を十分講じていただきたいというのが第1点であります。

また、改正法の施行ですけれども、執行を担う消費者庁などにおいて、法の趣旨に従った厳正な執行を是非お願いしたいというのが第2点目であります。

さらに、第3点目ですけれども、この改正法による課徴金制度というのを実行あるものにするためには、施行後も不当表示による消費者被害の実態あるいは執行の状況等を検証して、その結果、必要があれば手続や考え方の見直しなどについても検討を速やかにしていただきたいということであります。

私などは課徴金については3割4割は当たり前と言っていた人間なので、その意味では3%で本当に大丈夫なのかというような気持ちもあります。

それから、裾切りも5,000万円という額になっておりますけれども、中小企業とか個人事業者がこういうことをやってしまったというときには、5,000万円まで達しないというケースが相当出てくるだろうという気がいたします。悪意ある事業者の場合に、そのまま放置していいかという問題も審議のところでは随分話題になりました。ただ、これでとりあえず始めてみてということでしたので、必要があれば、また手続や考え方の見直しなどについても是非御検討いただければと思います。

本件につきましては、当委員会としても、引き続き注意してまいります。2か月ぐらいで文句は言いませんけれども、やはりある程度時間が経ってもなかなかうまくいっていないということであれば、また文句を言わせていただくかもしれませんが、よろしくお願いいたします。

消費者庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。

(消費者庁退席、総務省着席)

≪3.消費者基本計画の検証・評価・監視について≫

○河上委員長 次の議題は「消費者基本計画の検証・評価・監視について」であります。

11月12日の消費者委員会本会議で消費者基本計画の工程表に記載された、施策に関する年度途中の進捗状況について、関係府省庁に照会した結果を消費者庁よりヒアリングしたところであります。その際、私のほうから、工程表の施策の追加、拡充や、整理などの観点から、消費者基本計画の検証・評価・監視のための関係省庁等ヒアリングを実施すると申し上げたところでありますけれども、今回は、そのヒアリングの最初のテーマといたしまして、電気通信サービスに係る消費者保護について、総務省より説明をいただいて、議論を行いたいと思います。

この電気通信サービスにつきましては、平成24年に電気通信事業者の販売勧誘方法の改善に関する提言というものを公表しておりまして、本年3月に決定された消費者基本計画工程表において、電気通信事業法の改正も含め、所要の制度整備を行うとともに、法令及びガイドライン等の遵守を徹底させるなど、消費者保護を図るということが定められております。

平成27年の5月には、改正電気通信事業法が成立、公布されまして、それに伴い、総務省におかれましては、11月に電気通信事業の利用者保護に関する部分について、省令の案をパブリックコメントに寄せられております。

本日は、総務省より、改正予定の省令案につきまして説明をいただき、議論を行いたいと思います。総務省におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、まことにありがとうございます。

それでは、省令の概要について、20分程度で説明をお願いいたします。

○総務省総合通信基盤局電気通信事業部湯本消費者行政課長 ただいま御紹介いただきました、総務省消費者行政課長の湯本でございます。

本日は、このような説明の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。

今、委員長からお話がございましたとおり、本年の5月に電気通信事業法等の一部を改正する法律によりまして、お手元の資料2の2ページにあるような、利用者保護規律を導入したところでございます。施行日としましては政令で定めることとしておりますが、現在のところ、来年5月21日、公布からちょうど1年後を予定しているところでございます。

今般、この具体的な改正法に基づく省令につきましては、私どものほうのICTサービス安心・安全研究会の下に設けられております消費者保護ルールの見直し・充実に関するワーキング・グループで御議論をいただいております。具体的にはお手元の資料の3ページにございますように、このような構成員方、座長は新美先生にお願いをして、左側の(1)から(3)に記載している事項を中心に検討をして、ワーキング・グループを合計4回開催いたしまして、議論の取りまとめを行いました。

このような議論の取りまとめに基づきまして、先ほどお話がございましたように、改正法の施行に必要な省令・告示案について、本年11月24日に情報通信行政・郵政行政審議会に諮問を行い、翌日11月25日よりパブリックコメントを開始しているところでございます。

本日は、この内容を中心に御説明をしたいと思います。具体的な説明は隣におります吉田室長から御説明をしたいと思います。

○総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課吉田電気通信利用者情報政策室長 総務省の吉田でございます。本日はお時間をいただきまして、まことにありがとうございます。

私のほうからは、省令と告示の案について、御説明をさせていただきたいと思います。

資料2の4ページから御説明をさせていただきたいと思います。

今般、省令改正案等の概要ということで、4ページと5ページにわたりまして、まず、ポイントをまとめさせていただきました。大きく5点、5つの柱というところになってございます。この後、1つずつそれぞれ御説明をさせていただきたいと思います。

まず、1点目でございますが、「説明義務の充実」でございます。現行法上も電気通信事業者等は契約締結の際に、契約しようとするときは、その電気通信サービスの内容等について説明をしなければいけないということになってございます。今回、法律上はその部分は変わっておりませんが、省令で幾つか規定を追加させていただいています。

ポイントといたしまして、1点目の丸でございますが、高齢者・障害者等、配慮が必要となる利用者に対して、その知識、経験、契約目的に配意した説明を行うことを義務付けております。いわゆる適合性の原則というものを今般の省令で規定してございます。

2点目の丸でございますが、携帯電話サービスのいわゆる「2年縛り」に代表されます期間拘束、そういったものが付いている契約につきましては、自動更新されるときに利用者に事前通知をするということを事業者に義務付けをさせていただいております。

2つ目の柱が「書面の交付義務の導入」でございます。これは今般の法改正によりまして、新しく入った規律でございます。法改正の部分はこちらに書いてございますように、契約が成立した後は遅滞なく契約内容を明らかにする書面を利用者に交付しなければならないということでございます。

ポイントは3点ございまして、通信サービスの種類、料金の内訳、支払時期・方法、解約条件又はフィルタリング等、通信制限等の記載を義務付けております。

また、昨今、端末契約と通信サービス契約の関係性が複雑なのではないかという御指摘もございまして、複雑な料金割引の仕組みについて、利用者にわかりやすいように、例えば図示するといったことも義務付けてございます。

また、3点目は、先ほど御紹介させていただきましたワーキングの中でもいろいろと御議論をいただいたところでございますが、いわゆるオプションサービスというものが、利用者の方々におかれましてはわかりにくいですとか、いろいろなトラブルを発生させているということを踏まえまして、通信契約に付随します有料オプションサービスにつきましても、名称ですとか料金あるいは解約条件、そういったものを義務付けるということを今般、規定させていただいております。

3点目が「初期契約解除制度の導入」でございます。こちらにつきましては、また後ほど御説明させていただきますが、対象サービスを今般の告示のほうで指定させていただいております。

また、解約、解除時における対価請求の範囲につきましても、省令等で規定をさせていただいているところでございます。後ほど御説明させていただきます。

4点目、実際、電気通信サービスとは、今、御承知のように、ほとんど代理店で販売されているという現状を踏まえまして、代理店に対する電気通信事業者の指導等措置の導入ということも、今般の法律改正で規定をされました。

では、具体的にどういう措置を講じてもらうのかということにつきまして、最初の丸のところに書いてございますような措置を今般の省令で入れさせていただいております。

また、2つ目の丸のところでございます。後ほどこれも御説明させていただきますが、代理店が独自で販売されますオプション、これもいろいろとトラブルの原因になっているということがワーキング・グループでもかなり議論となりまして、それについてもこの代理店に対する指導措置のところで何らかの担保ができるのではないかということで、省令に規定させていただいております。
最後、5点目「勧誘継続等行為の禁止」につきましては、法改正でそういう行為を禁止していますが、法令の中で、利用者保護に反しないという範囲の中で、適用除外、例外の場合を規定するということが書いてございまして、軽微な変更といった場合は例外として省令で規定をさせていただいております。

6ページから1つずつ御説明させていただきたいと思います。

まず、1点目「説明義務の充実」のところでございます。

省令のほうでは、大きく3点今回規定をさせていただいております。

1点目が、真ん中の箱の(1)のところでございます。右側に現行の説明事項に加えて以下の事項を規定するということでございます。現行法上も電気通信サービスの内容、料金、割引の条件、解約条件等、幅広い事項について説明をしなくてはいけないということになっておりますが、今般の法律改正等を受けまして、マル1の初期契約解除制度に関する事項、これは対象サービスとなっている場合でございますが、それをきちんと説明するということ。また、マル2、ここは確認措置に関する事項ということで、これは後ほど初期契約解除制度のところで御説明をさせていただきたいと思います。この措置の対象になっている場合は、このことについてもきちっと説明をするということでございます。

2点目、先ほど言及させていただきました、いわゆる2年縛りのときの事前通知でございますが、自動更新されようすとる場合に、自動更新しようとする旨、あるいは契約の期間、違約金の額、そういったものをしっかりと利用者に通知しなさいということを省令上規定いたしました。

(2)のところは適合性の原則のところでございます。先ほど御説明したとおりでございます。

(3)の適用除外の部分でございますが、これも現行法の説明義務の対象外となっております、法人向けサービスですとか、都度契約ですとか、性質上、適用除外としているものにつきましては、それを引き継いで規定をしております。

ただ、1点、上の中点のところでございますが、法人向けの契約につきましては、ワーキングの中でも、単に形式的に法人格がある、ないということで判断するのではなくて、営業性ですとか、事業性ですとか、そういうことを思っているかということをもって、しっかりと判断すべきであるという御指摘を踏まえて、そのような形で省令も規定させていただいてございます。

7ページ目、「説明義務の対象サービス」でございます。現行法上も説明義務の対象につきましては、省令で規定を別にさせていただいております。

今回の法改正によりまして、説明義務を初め、新たに入りました義務の対象となるサービスにつきましては、別途告示で定めるということが法律上求められておるところでございます。そういう意味で、説明義務の対象サービスにつきましても、今回、新たに告示で定めるということにさせていただいております。その具体的なサービスというのが、7ページの表に書いてある全てのサービスでございます。このサービス自体は現行の説明義務の対象サービスと変更はございません。同じものが対象となっていると御理解いただければと思います。

後ほど、これから御説明させていただきます書面交付義務、あるいは勧誘継続行為の禁止、その対象サービス等もこの説明義務と同じ範囲ということでございます。我々としましては、一般的に提供されております電気通信サービスにつきましては、網羅的にカバーされていると理解をしてございます。

ただ、1点、初期契約解除制度の対象サービスにつきましては、この表の具体的には上2段のところは対象となります。そのことにつきましては、また後ろのところで御説明をさせていただきたいと思います。

説明義務につきましては以上でございます。

8ページから「書面の交付義務」でございます。

一番上のところは法改正の概要ということで、今の表の対象サービスについて、全て、契約が成立したら、遅滞なく書面を交付しなさいということになってございます。

米印のところでございますが、利用者の明示的な承諾があったという場合は、電磁的方法による書面の交付も可能ということで、この電磁的方法というのはメールでの送信ですとか、ウェブサイトでの閲覧といったことを規定してございます。

では、書面にどういったことを具体的に規定していくのかというところでございますが、左下の部分になります。「(1)書面の記載事項」、緑色になってございますが、その1)から6)の事項について、しっかりと書面書面に書きなさいということにさせていただいております。

ポイントを申し上げますと、1)の部分で、既に説明義務となっている説明事項についてはサービスの内容、料金、解約条件等々ちゃんと書きなさいと。あと、「2)契約を特定するに足りる事項」でございますが、問題が起きたときにきちんと契約がいつ成立して、どういうIDを振られてというか、そういうのがすぐわかるように、特定に足りる事項というのも今回、規定しております。

また、料金の支払時期・方法、サービス提供の開始予定時期、先ほど言及させていただきましたオプションサービスの内容を明らかにする名称、料金、変更・解除の条件等、又は6番目といたしまして、この書面の内容を十分に読むべきといったこと等を規定してございます。

加えまして、今の左欄のものに加えまして、右側を見ていただければと思いますが、現状、起きておりますいろいろなトラブル等も踏まえまして、更に追加的な事項も規定してございます。

1点目といたしまして、ほかの契約を条件として料金が減免される場合というのが、これは例えば端末の契約というのを想定しておりますが、そういう場合は減免期間経過前後の総支払額の算定方法、要は料金の内訳ですね。そういうものをきちっと図示するということで、これはもし、お時間があれば後ほどと思いますけれども、10ページに、例えば料金の割引の図示イメージを付けさせていただきましたが、そういったものをちゃんと書面で図示しなさいと、それによりまして、利用者は自分の支払っている料金がどういう構造になっている、あるいはなっていくということがわかるということでございます。

あと、右側の下のところでございますが、料金の減免に相当する経済的利益、例えばキャッシュバックですとかポイント、そういったものを提供する場合はその内容、あるいは提供条件がある場合はその条件についても記載すべしということにさせていただいております。

おめくりいただきまして、9ページ、「(2)契約変更の場合の書面交付」ということで、今般、例えば料金プランが変わるといった契約変更の場合も、書面をきちっと交付しなさいということにさせていただいております。それが大原則でございます。ただし、次の場合は例外とするということで、例えば2)事業者からの申出により利用者に有利な変更のみ、例えば速度が同じ料金で早くなりますとか、そういった場合は不要ということで、幾つか例外を設けさせていただいています。

また、「(3)書面交付義務の適用除外となる場合」ということで、これまでの説明義務の部分同様、法人契約ですとか、ローミング等の契約、あるいは都度契約等については対象外ということにさせていただいております。

また、「(4)書面を電子交付するための電磁的方法」といたしましては、電子メールやウェブサイト等の方法を規定してございます。

10ページは先ほど申し上げたとおりでございます。

11ページ、ワーキングの中で議論いただいた資料でございますけれども、さまざまなオプションというのが今、提供されている中で、どの範囲で書面交付義務を課していくのかということで、いろいろ御議論いただいたところでございます。

1番上のところで、大きく2つに分かれておりまして、電気通信事業者自身が提供あるいは媒介しているものと、右側の代理店が独自に提供しているものと分かれていくだろうと。書面交付義務自身は電気通信事業者に課せられているものでございますので、その書面交付義務の中で措置ができるものといたしましては、この電気通信事業者が提供・媒介するものの中で、特に書面交付でしっかり利用者に理解していただく必要のある、有償の継続的な役務ということを、今回、整理させていただいたということでございます。

他方、代理店が独自に提供されているものにつきましては、後ほど御説明させていただく代理店の指導措置の中で担保していくということが適切だろうという御意見もワーキングのほうではいただいたところでございます。

12ページ、3つ目の柱でございます「初期契約解除制度」についてでございます。

今般、法改正によりまして、初期契約解除制度が導入されたということでございます。ただ、法律上、対象サービスにつきましては、総務大臣が告示で指定するということになってございます。

その対象サービスでございますが、左側の下のところでございます。大きく移動通信と固定通信に分かれてございます。

移動通信の部分につきましては、マル1、これは携帯電話及び携帯インターネット接続サービスと書いておりますが、いわゆるスマホですとか、フィーチャーフォン、一般的な携帯電話を想定していただければと思います。それを使った音声サービスですとか、データ通信、インターネット接続サービスということで御理解いただければと思います。

マル2、携帯ネットワークを用いるマル1以外のインターネット接続サービスでございますが、これはいわゆるモバイルデータ通信ということで、携帯ネットワークを使っているのですけれども、タブレットですとか、モバイルWi-Fiルーター、そういったものを使っている場合。法技術的に書き分けていくことが必要でございまして、このような形になってございます。

マル3のところは、BWAという規格ですね。正式には広帯域移動無線アクセスシステムと呼んでおりますけれども、そういった無線システムを用いた高速データ通信を、これはまた個別に規定しているということでございます。代表的には、2.5ギガヘルツを使いましたWiMAXのサービスというのがこのBWAサービスとして提供されてございます。マル3とマル4がセットで提供されているというのが一般的ですが、法技術的な観点でそこを書き分けているということでございます。

これにつきましては、初期契約解除制度の対象になるということでございますが、右側の縦に青い箱がございますように「確認措置」の認定を受けた場合には、適用除外ということで、後ほど次のページで御説明させていただきたいと思います。

固定通信、下のほうですが、マル1のFTTHサービスというのはいわゆる光ファイバーを使ったインターネットサービスでございます。あと、2番はケーブルテレビを使ったインターネット接続サービスで、大体マル1とマル3を組み合わせたり、マル2とマル3を組み合わせて提供されている。あと、マル4はADSL向けのインターネット接続サービスということで、DSL契約を解除しないで変更可能なものというのも、苦情等の多さを踏まえまして、入れておるということでございます。

対象サービスにつきましては、このように整理をさせていただきましたうえで、右側でございますが、契約解除時に利用者が支払うべき対価請求の額といたしまして、マル1からマル3で整理させていただいております。

1点目がサービス提供の対価、これが通信料等でございます。また、2点目といたしまして、特に固定通信の場合、工事費が実際に発生した場合の額、あるいは3番目が事務手数料の額でございますが、これもワーキングで、やはり高額な不当請求を防いでいく手立てとしてどうすべきかということで、これは業界の協力を得て実態調査等をして、しっかりと告示で上限を定めていくということを予定してございます。そういう意味ではまた別途、マル2とマル3につきましては、総務大臣が告示する額ということで予定をしてございます。

13ページに、初期契約解除制度の対象範囲の考え方というのを、御理解いただければと思いまして、付けさせていただきました。

もともと固定通信につきましては、サービスと端末が分離しているという実態なので、仮にサービスを、光ファイバーのインターネット接続サービスを初期契約解除した場合も、PCは汎用的なものなので、今度は違うサービスに乗り換えても利用者にとって不便はないだろうと。

また、後ほど出てきますが、販売形態を問わず、非常に苦情が多い、また、増えているということもございまして、これはそういうところを踏まえまして、右側にございますように、初期契約解除制度の対象とすべきだろうというのが我々の判断でございました。

それに対しまして、移動通信、こちらも本当にワーキングの中でもいろいろ侃侃諤諤(かんかんがくがく)の御議論をいただいたところでございますが、やはり出発点といたしまして、現状、サービスと端末は一体として提供されているということがあろうかと思います。

その中でも、ここは販売形態で訪問販売、電話勧誘でみた場合に、割合的には契約初期に係る苦情が1つ多い。あと、やはり販売形態といたしまして、不意打ち性は高いのであろうということもございました。なので、契約初期の苦情が多いということにもなっているのかと思いました。

もう1つ、端末につきましては、特定商取引法等によりまして、仮にサービスをここで、電気通信事業法で解除できるとなりました場合に、端末は手元に残ります。でも、その端末も特定商取引法等で解除できるということになれば、利用者の方にとってはそれは問題はないというか、不都合が何か大きく発生するということではないだろうということで、そのもろもろを勘案いたしまして、初期契約解除制度の対象ということで考えております。

他方、店頭販売の場合は、一般的には、いろいろとトラブルは起きているだろうという御指摘もあるかもしれませんが、能動的に行っているという中で不意打ち性が比較的低い販売形態ではないかということと、端末については、電気通信事業法の初期契約解除制度の対象外になっている。特定商取引法等上も対象外ということで、仮にそのサービスを解除されたとしたときに、高額な端末の残債がそのときに残る。手元に端末は残ってしまうということは、利用者の方にとってみると、かえっていかがなものかという議論がかなりございまして、右側にございますように、電気通信事業者、キャリアが代替的取組、我々は確認措置と今回、省令案では規定させていただいていますけれども、これを講じて認定を受ける。ちゃんと端末も含めて返せるという確認措置を講じている場合につきましては、初期契約解除制度に代えて、この措置を適用するということを今回、規定させていただいたところでございます。

もちろん、要件等もしっかりと省令で書かせていただいておりまして、電波状況ですとか、法令等の遵守、そういうことがされていないといったときは、端末も含めて解除できる措置である。そういう意味では、利用者の利益に適うものだと考えておりますし、また、認定をしてまいりますので、この措置につきまして、苦情が多くなれば認定を取り消していくということにもなります。それは総務大臣の権限でそういたします。あと、一定期間内、これもワーキングで御指摘をいただいたところでございますけれども、モニタリングをしながら一定期間内に実施状況の評価等を行うということにしてございます。

14ページ、「確認措置」のところでございます。今、申し上げたところを具体的に書かせていただいておりますが、上の3行にございますように、初期契約解除制度の対象として指定される移動通信役務のうち、電波の繋がり具合ですとか、事業者による説明が不十分であれば、端末も含めて解約できる代替的措置、これを確認措置と呼んでいますが、それが講じられているものであって、利用者の利益が保護されているとして、すみません、抜けていますが、総務大臣の認定を受けた役務については、確認措置を適用ということでございます。

この確認措置の要件を左側のマル1からマル5まで省令のほうに書き下ろしております。ポイントといたしましてはマル2とマル3の部分だと思います。関連契約も解除できるということで、端末ですとかオプション契約ですとか、そういったものを、電波が繋がらない場合ですとか、事業者の説明等が不十分であった場合は解除できると。これによりまして、店舗販売におきましても、より利用者保護に適うと考えております。

また、右側のところで、真ん中の部分でございます、認定制度の運用というところで付記させていただきましたが、マル1のところで、主に店舗販売等について認定するということを想定しております。先ほど御説明させていただきましたように、訪問販売、電話勧誘につきましては、認定することは想定してございません。

あと、マル2のところですが、もし、支障があれば、認定の取消しも当然に想定してございます。

15ページ、16ページ、17ページはワーキングでのこの部分に関します議論の取りまとめの資料を付記させていただきました。時間の関係で割愛させていただきます。

また、18ページ、「苦情・相談の発生状況」といたしまして、データを掲載させていただきました。これはPIO-NETの情報をいただきながら、我々のほうでも分析等を加えたものでございますが、マル1、左側のほうでございますが、苦情・相談の全体件数といたしましては、やはり固定系、光ファイバー等を中心に苦情が非常に増えているということを認識しております。携帯電話も決して少ないということは申し上げませんが、横ばいというか、若干ということ。それに比べまして、光等は非常に増えている。

右側でございますが、契約初期に発生したと推測される苦情というのも、固定系というのは非常に多いと理解をしてございます。

19ページ、「勧誘継続行為の禁止」、これは法律でそういう行為を禁止するという規定が入っておりまして、利用者の利益の保護に支障がない範囲で省令で対象外となる部分を規定するとなっておりまして、法人契約の締結ですとか、軽微な変更の勧誘、これは例えば住所が変わったとか、そういった場合を想定しておりまして、それ以上のもので特段現時点で何か想定しているものではございません。あくまでも利用者の利益の保護に反しない、支障がない範囲でという法律上の縛りがありますので、その範囲の中のものだろうと認識しております。

20ページ、最後「代理店(媒介等業務受託者)に対する指導等の措置」のところでございまして、電気通信事業者に対しまして、左側の箱にございますように、次の各措置を講じるようにということを省令で規定しております。

マル1は適切な者に代理、委託をしていくことですとか、マル2、監督責任者をちゃんと選任すること。マル3、業務マニュアル、この中に、例えば代理店で独自オプションを売った場合はちゃんと書面を出すこと。そういったことも含んだうえでのマニュアルでございますが、そういったものの作成。マル4の実施状況の確認、検証。マル5は苦情が発生した場合は、ちゃんと適切に処理すること。マル6、トラブルが発生したら契約の解除等も含めて検討という、もろもろの措置を規定しております。これは、2次代理店、3次代理店、4次代理店とツリー構造になってございますけれども、そういったことも含めて全体としてしっかりと措置をとっていくということを想定してございます。

右側でございますが、何か大きなトラブルが発生する恐れがあるときは、総務大臣に報告することも併せて入れてございます。

最後「各行政規律の担保措置」ということでございまして、基本的には電気通信事業者・代理店に対しまして、行政規律違反というものがございますれば、報告徴収、行政指導、更には業務改善命令等といったことを想定してございます。ただし、初期契約解除制度につきましては、民事法ということでございます。

長くなりましたが、以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、御質問、御意見のある方は、御発言お願いいたします。

いかがでしょうか。

増田委員、どうぞ。

○増田委員 御説明ありがとうございました。

確認措置についてですけれども、店舗販売等の「等」の部分というのは、具体的に、例えば通信販売も含むと考えてよろしいのでしょうか。

○総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課吉田電気通信利用者情報政策室長 はい。この「等」というのは御指摘のとおり、通信販売を想定してございます。現状、通信販売につきましても、やはり特約が設けられている場合、端末が手元に残るという問題は、店舗販売同様生じると考えておりまして、通信販売につきましては確認措置をきちっと講じられている場合でも、そちらということになりますし、別にそこは講じられていないということになれば、それは初期契約解除の対象ということになると理解しております。

○河上委員長 よろしいですか。

ほかにはいかがでしょうか。

鹿野委員、どうぞ。

○鹿野委員 2点質問させていただきたいと思います。

まずは、資料の6ページ、自動更新の場合の事前の通知に関してです。私個人はそもそも消費者が気付かないうちに自動的に更新されるということ自体に疑問を感ずるものではありますけれども、今回は、自動更新自体は否定まではしないということを前提に、ただ、消費者が気付かないうちに更新されるという事態をできるだけ防ごうということで、この事前通知というものを組み込まれたと理解しているのですけれども、その理解でよろしいでしょうか。

もう1つは、その点に関して、「事前に」ということについて具体的に何か定めがあるのかということについて、お聞きしたいと思います。通知が来て、忙しいからちょっと置いておいたら、自動更新されてしまったというようなことになっても困るでしょう。更新を拒絶できる期間がどれぐらいなのかは重要です。通知時期についても、その期間に該当するよりずっと前にこの期間に拒絶はできるのですというようなことを言われても、また忘れてしまうというような事態も生ずるかもしれません。そこで、その事前にというところについての具体的な内容を教えていただければと思います。

それから、もう1つは、また別のテーマなのですけれども、続けてよろしいですか。

○河上委員長 どうぞ。

○鹿野委員 19ページ、勧誘継続行為の禁止というところでありまして、これは消費者が契約の締結又は勧誘の継続を拒否したというときに、なお勧誘を継続することは原則禁止するということだと思うのですが、それには2つの例外があって、1つは法人契約の締結を勧誘する行為です。これは消費者保護というところからは外れるということだと思うのですけれども、さらに、軽微な変更を勧誘する行為というのが2つめの例外、適用対象外ということでここに書かれております。その趣旨について、御説明いただきたいのと、軽微かどうかということについて、具体的にどういう基準でそれを判断するのかということ、より具体的にはどういう例を想定していらっしゃるのかということをお聞きしたいと思います。

私個人は、そもそも勧誘を拒否したのに勧誘を続けられるということ自体が消費者にとって不利益な行為なのではないかとも感じるのですけれども、それについての適用除外をどういう趣旨で定めたのかということについての質問です。

以上です。

○総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課吉田電気通信利用者情報政策室長 まず、自動更新のほうでございます。いわゆる自動更新、2年ごとに更新されていくということ自体に対して、いろいろ議論があるということをまず承知をしております。

そのうえで、総務省のほうでもいろいろと議論がありまして、研究会のほうでも提言が出て、今、事業者のその辺りの動きは注視しているという段階にございますが、他方で、プッシュ通知の話につきましては、実際、事業者が自主的に表明をされて、今年の夏ぐらいから3社のほうでそれぞれされている。ただ、我々の今回の問題意識は、その中で、委員がおっしゃいましたように、何となく気付かないうちに、あるいはほかの広告的なメールと紛れて、何かも知らないうちに更新されていたですとか、自動更新に係る必要な判断材料となる、必要な情報がきちっと届かないということでは、なかなかそれは利用者保護に適わないのではないかというのが、問題意識としてございまして、そういう問題意識のもとで、事業者は自主的に始められていた部分ではあるのですけれども、今回、そこはあえて省令でまず規定をしたということが問題意識としてはございます。

そのうえで、省令の中でも、こういうことを書いてください、最低限、こういうことは通知の中で記載してくださいということで、自動更新されますよということですね。あと、契約期間が2年間、これから拘束されていきます。あるいは、違約金の額、途中で解約すれば、違約金がこれだけ発生しますよと。いつまで、この月の間であれば、違約金なしで解除できますよといったことをしっかりと通知していただきたいと。そうすれば、利用者の方は、それで十分かと、いろいろな御議論あるかもしれませんが、少なくとも自分のが来て、いついつまでやらないと違約金がかかって、解除できなくなるんだとか、そういう判断ができるだろうということで、今回、このような規定を置かせていただいたということでございます。

○鹿野委員 通知をするということについて、判断材料も含めて知らせなくてはいけないということは今、御説明いただいたのですけれども、私は、さらに、どれぐらいの時期及び期間でということについてもお聞きしたいのです。例えばこの期間は解約手数料が要らなくて解約ができますよ、更新はされませんよという通知があったとしても、余りにもその期間が短すぎるということであれば、結局はいつの間にか手続を経ることができずに自動更新されるというような事態が生ずることが予想されると思いますし、そのような期間とか、あるいはそれを知らせる時期とかについて具体的に何か定めが予定されているのかどうかという点についても、質問させていただきました。

○総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課吉田電気通信利用者情報政策室長 補足させていただきます。

現状は、違約金なしで解約できる期間というのは3事業者とも現状1か月ということになってございます。ただ、それを今、1か月から2か月に延長しようということを従前、表明されておりまして、今、その準備を進められていると認識しております。そのことは省令上、更新月を、例えば2か月にすることですとか、あと、いつ通知するのですかという御質問があったかと思うのですけれども、その部分は省令ですので、更新をしようとするときと、そこは一般的な規定になっておりますが、今後はこの省令等を踏まえまして、また消費者保護のガイドラインというものを我々は持っておりまして、それも今回、大幅に見直していく必要がございますので、例えば今、委員が御指摘のような、何か月も前に言っても意味がないではないかとか、もちろんおっしゃるとおりだと思いますので、そこは適切な形を我々なりにまた御指摘を踏まえて、ガイドラインで、例えばどういうふうに書いていけるのかということは検討させていただきたいと思います。ただ、省令上は、しようとするときとしか現時点では書いていないということでございます。

あと、19ページ、軽微な変更というのは、先ほど申し上げましたように、現時点では利用者の方の住所が変わったとか、それでどうしても連絡をとらないといけないと、かえって連絡がとれない状態が続いてしまうと不都合になるのではないかという以上の具体例を、すみませんが、特段持ち合わせている状況ではありません。あくまで法律にこの省令に委任されている範囲といたしまして、利用者の利益の保護に支障がないということがしっかり法律のほうに書かれておりますので、そこをこの資料上も少し補足しておけばよかったのですが、そういうことになってございますので、仮に軽微なものだ、これは軽微ではないかと事業者が言ってきて、何か利用者の方にとってそれが困る事態、それはどうみても別に利用者保護に適わないということになれば、それは全くここに当たらない。ただ、具体例として想定しているのはそれぐらいのものでございます。

○鹿野委員 御説明ありがとうございました。

○河上委員長 大森委員、蟹瀬委員、池本委員の順でお願いします。

○大森委員 2点あります。

1点目は、適合性の原則のことなのですけれども、6ページの省令等の規定案というところで「提供条件の説明は、利用者の知識、経験、契約の締結の目的に照らして、利用者に理解されるために必要な方法・程度によることが必要である旨(適合性原則)を規定する」となっているのですけれども、これで事業者の方は、高齢者にはこういう勧誘をしてはいけないとか、知的障害のある人にはこういう伝え方をしないといけないということがわかるのでしょうか。具体例が入るのですかね。

○総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課吉田電気通信利用者情報政策室長 御指摘の点、この省令自体は、他法の省令等を参考にいたしまして、適合性の原則は書いてございます。そういう意味では非常に抽象的だというのは我々も認識として持っております。

この適合性の部分、やはり具体例をどうしていくのだという御指摘はワーキングのほうでもございまして、実際に高齢者の方々に対してこういうトラブルが発生しているという御指摘も踏まえて、そういう事例をどうしていくんだという御指摘をいただいておりまして、ワーキングの議論の取りまとめの中でも、先ほど御紹介させていただきましたガイドラインのほうで、適切な例、不適切な例、両方上がってきているものというのをしっかりと記載していくべきだろうという御指摘をいただいていますので、そこは我々もガイドラインの中で、我々が一から十まで全てを書き下ろせるかどうかというのはもちろんございますけれども、ガイドライン上もこれだけがぽんとあるということにはならないようにしてまいりたいと思っております。

○大森委員 もう1点、フィルタリングのことなのですけれども、今、どんどん利用者が低年齢化していって、小学校低学年でもスマホを持っている子供たちがすごく多いのですけれども、保護者が外してもいいよと言わない限りは付けないといけないという原則なのですが、使い勝手が悪いとか、フィルタリングの使い勝手の面でなかなか徹底されずに外してしまう家が多いということと、あと、いろんな形で携帯を購入するスタイルが増えてきていますね。そういうことに対して、フィルタリングのことをどう計画されているか、ちょっとお聞かせください。

○総務省総合通信基盤局電気通信事業部湯本消費者行政課長 今、委員から御指摘があったことでございまして、私どものほうでも今、関係省庁等といろいろ話をしているのですが、現実問題として、スマホのフィルタリング率が低下しているという切実な問題がございます。

原因はさまざまあるのですけれども、今、御指摘があったように、1つはフィルタリングの中身をより実態に即したものとするということが必要だと思っていまして、その点につきましては、今、関係者間で話を進めるとともに、特に最近、スマホになって起きているのが、以前はネットワークのほうでフィルタリングをかければよかったのが、現在はスマホの場合、特にスマホ自体に、一言で言うといろんな仕掛けをしなくては、必ずしも100%フィルタリングがかからないという事情があって、その点についてもどうしていくか。

特に、その点について、大事なポイントは2つあると思っていまして、1つは、今回の改正でも入れておりますが、どうしても販売代理店等で購入する場が最も接する場なので、そこできちんとした説明を行っていただくということ。今回、新たに義務付けしておりますけれども、それを引き続きやってもらうということと、リテラシーの教育が非常に大事だと思っていまして、この点につきましては、今、私どものほうも文科省であるとか、いろんなところと話をしていますが、本人に加えて、特に保護者に対して説明をこれからやっていくということで、学校教育であるとか、あるいはPTAも含めて協力を仰がなければいけないのではないかと思っていまして、全国津々浦々範囲が広くて大変であると思いますが、引き続きやっていきたいと思っております。

○河上委員長 湯本課長は2時半ぐらいから御用だということで、適当なところで御退席ください。

○総務省総合通信基盤局電気通信事業部湯本消費者行政課長 では、適当なところで。

○河上委員長 大森委員、もうよろしいですか。

○大森委員 ありがとうございました。

○河上委員長 では、蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 2点、小さいのですが、1つは、12ページに載っています書面が届いてから8日間以内にキャンセルできますというのと、14ページに、使い始めて8日間以内に不具合があったらと、両方8日間なのですが、どちらが、要するに、書面が届くほうが遅いと私は考えているのですが、そうした場合に、使い出して不具合がちょっと感じられなかった、8日間過ぎてしまったのだけれども、書類が届くのが遅かったので、実際に使い出して13日経っていた。キャンセルできますかという話になったときに、それはオーケーなのかどうかというのを教えていただきたい。これは非常にわかりにくくて、私が消費者であれば、使い出して不具合が、電波が悪いとわからなかったのだけれども、書面を見て、契約書を見て、地方に行ったら繋がらない。でも、書面を貰っているからそれからでいいねとしたときに、もう使って10日以上経っていますよということになったときに、消費者に対してはどういうことになっていくのかというのが1つ。

それから、書面と電子でもって交付してもいいですよということになっていますが、書面の場合は有料なのか、義務なので無料なのか。よく電気会社は、こういう書面を送りますが、電子で送れる場合はただでいいですよと言って、有料になることを告げずに書面で送ってきて、それを後から電気料金に付加しているとか、あるいは電子で来るとわかりにくいので、読むのだけれどもキャンセルする方法がわからないとか、手元に残らないとか、いろんなことが起こると思うのですが、その辺のところが討論されていらっしゃるのかというのが2点目です。

最後に、書面の記載の方法なのですが、ややもするとよく私もあるのですけれども、保険の契約書などが来て、余り小さ過ぎて読めないというのが結構あるのですが、いいことは大きく書いてあって、よくないことは小さく書いてあると、結構そういうことで消費者は困っていらっしゃる。特に、私みたいに老眼鏡が必要になった人達は読めなくて、読まなかったという方が増えてくると思うのですが、その辺のいろんな会社の記載法を貰って、今後、それについても検討する予定があるのかどうかというのをお聞かせください。

○総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課吉田電気通信利用者情報政策室長 少し簡単なほうからでよろしいでしょうか。

2点目の紙だと有料なのかという御質問でございますけれども、すみません、正直、余り想定をしていなくて、当然、事業者さんは負担のない形でやっていただけるのであろうと、認識不足でおりました。

事業者の方々には、何か利用者の方に対して、負担になるような形での紙だったら店に取りに来なくてはいけない、絶対それ以外渡せないだとか、そういうのはだめなのですよということも申し上げていますので、すみません、必要であればそういうことも少しガイドラインに向けて検討していきたいと思いますが、何か負担というものが発生するということは想定をしておりません。

○蟹瀬委員 現実に、そういう形で動いているものがたくさんありますので。

○総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課吉田電気通信利用者情報政策室長 御指摘を踏まえてしっかり勉強させていただきたいと思います。

あと、フォントのポイントの件、我々も字が小さいとかも、今回、省令の中で、8ポイント以上という規定をこの中には記載させていただいていないのですけれども、書面に記載する事項についてはフォントのサイズ8ポイント以上をということは規定として入れさせていただきました。事業者には余り評判がよくない部分もあるようですけれども、それはそのように入れさせていただいています。

あと、様式が事業者によってばらばらということまでは法律ではさすがにあれなのですけれども、ガイドラインの中で特に大事な事項とか、一覧性を持って見せていったほうがいいですよとか、そういうことは我々のガイドラインの中でまた少し見本みたいな形で規定をしていくという方向で考えていきたいと思っております。

あと、1点目のところ、初期契約解除と確認措置の起算点の話でございます。初期契約解除制度のほうは、書面を受領した日、もしくはサービスが開始された日のいずれか遅いほう。これは法律で決まっているところでございますが、今、御指摘いただきました確認措置のところ、ちょっと今後、運用の詳細を詰めていくということになりますので、そこは検討をさせていただきたいと思います。

○蟹瀬委員 ありがとうございます。

○河上委員長 いずれか遅いほうと言ってしまったのだから、結局遅いほうで決まるのではないですか。

○総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課吉田電気通信利用者情報政策室長 普通に考えるとそうですね。

○河上委員長 それはある意味では決まっているのではないですか。

○総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課電気通信利用者情報政策室担当者 認定の部分なのですけれども、もちろんこうした要件を満たすことが認定の要件ですので、当然、利用開始から8日間確認ができることというのは最低限なわけですけれども、事業者によってそれを延ばすというのは全く不合理なことではなくて、その辺の工夫も含めてこちら側で審査するということは十分考えられるということでございます。

○河上委員長 クーリングオフなどでも同じ考え方で動いていますから。

池本委員、どうぞ。

○池本委員長代理 池本でございます。

20ページの代理店に対する指導のことに関連して幾つか質問します。

この分野で非常にトラブルが多いのは、やはり複数次にわたる代理店という構成で、全然監督ができていないというところにあると思って、ここは非常に関心を持っているところです。

そこで、まず1つ、例えば代理店側が独自サービスを附帯させるというケースがあるかと思います。例えばサポートサービスのようなものを附帯させて。私が接したケースでは、本体は2年縛りなのですが、サポートサービスは3年縛りにしてあって、両方が切れるタイミングがないというようなものも見たことがあります。

この代理店は、先ほどの資料の御説明の中で、説明義務は電気通信事業者とその代理店の両方が義務主体となっていますが、書面交付義務は電気通信事業者だけになっていますね。そうすると、代理店の独自サービスは法律上の書面交付義務主体ではないのか。先ほど御説明の中で、独自サービスについても書面を交付させるようにとおっしゃったのは、指導監督の中でそうさせなさいという意味なのか。その場合、どういう附帯サービスを付けているのかということを報告させたり、あるいはそういう書面を提出させたり、把握するための手立てというのはどう想定されているのかという点が、まず第1点です。

それから、今のことにも関連するかもしれませんが、今度は勧誘、説明の問題については、直接的には顧客からの苦情を受け付けて対処するという、苦情の適切、迅速処理という義務の中で対処することになるのだろうと思いますが、これはある期間内で何件苦情を受け、どう対処したということは、何か受付体制を確立させて、それを行政的に監督するということを想定されているのか、あるいはこういった苦情というのは公表も含めて客観的に検証できる方法を想定されているのか。これが2点目です。

3点目に、代理店というのが直接委託したところだけではなくて、2次、3次、4次とたくさんあります。そこに向けての適正な代理店に委託するための措置というのは、2次、3次、4次の場合は誰がやるのか。あるいは、監督責任者といっても、2次、3次、4次も監督する責任者という意味になるのかどうか。複数次にわたる代理店の場合の監督あるいは実態把握の措置というのはどう想定されているのかという辺りをお願いします。

○総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課吉田電気通信利用者情報政策室長 まず、1点目でございます。説明義務は、電気通信事業者と代理店の双方にかかっております。それに対しまして、書面交付義務というのはあくまで電気通信事業者にかかっている。

この部分で、ワーキングの中でもいろいろと御議論がありました。今、委員がおっしゃったような、代理店のサポートサービス、そういうものが付随、一体として何か提供されているときにどうするんだと、それを利用者が結局何の書面も残らず、何をどう契約させられた、したのかわからないという状態では困るだろうと。ただ、他方で、書面交付義務の中でそれを担保するのは法的に難しいだろうということは意見の一致をみたところです。

では、代理店指導措置の中で何らか担保していけるのではないかということで、少なくとも、代理店は独自サービスあるいは独自オプションを販売したときは、書面できちっと利用者の方に渡す。それは、電気通信事業者が渡す書面とは別書面になろうかと思いますけれども、少なくともそういう形をとることが必要であろうということまでは議論がされて、我々もそのように想定しているというところでございます。

他方で、それを例えば何を売っている、報告させるですとか、これは売っていい、これは売ってはいけない、それは逆に代理店に対する携帯キャリアの立場としては非常に難しいものがあると。優越的地位を何か用いている、濫用しているということになりかねない部分も、その代理店に独自に紙を出させるといったときも、若干ワーキングの中でもそういう議論がございまして、現時点、我々のほうとして、全ての代理店におけるオプションを何か把握しろですとか、こういうものは売っていい、こういうものは売ってよくないという判断をしろとか、そういうことを現時点でそこまで想定しているというものではありません。

あと、苦情のところでございますが、今、電気通信事業者自身は現行法でも苦情の適切な処理が規定されております。それに対しまして、今回、その趣旨に鑑みて、実際に販売されているのは代理店だということで、やはり代理店においてもきちんと適切に処理していくということを指導しなさいというところまでは入れておりますが、例えばそれを公表しなさいですとか、報告しなさいというところまでは今回は入れてございません。

現在、業界は、今年の4月でしたか、業界団体で新たに苦情の受付の窓口を作っておりまして、まだ数は少ない状態でございますが、そういったところに苦情が寄せられて、きちっと処理されていくというスキームを想定しておりまして、現時点、何か報告を電気通信事業者にさせるとか、あるいは総務省にしていただくとか、そこまで想定しているものではありません。

ただ、もちろん、事業者がそういう措置をとっていくということもあり得る話なのかなと思っております。ただ、それを省令にまで事業者は代理店に対してこういう措置をとりなさいというところまでは規定はしてございません。

3点目が、複数の階層に分かれているというところでございますが、これは、今回の件は決して1次から2次の間だけ見ればいいというものではございません。これは事業者に説明をしておりまして、どうしてもそこは間接的なものになっていくとは思いますが、ちゃんと自分の末端まで責任を持って指導が行き渡るようにしなさいという意味で規定をしております。自分の電気通信事業者を1次代理店だけ見ておけば、3次、4次で何が起ころうとも関係ないということではございません。仮に、例えば4次代理店で何かトラブルが発生したといったときも、ちゃんとどういう指導をしていたのかということを、大元の電気通信事業者自身に対して我々は問うていくということになります。

○河上委員長 よろしいですか。

よくわからないのですが、代理店というのは事業者を代理するのではないのですか。

○総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課吉田電気通信利用者情報政策室長 委託を受けているのですが。

○河上委員長 委託を受けて、契約代理権を行使したりしているわけですね。

○総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課吉田電気通信利用者情報政策室長 そうですね。

○河上委員長 そうすると、履行もやっているとすると、履行補助者でもあるし、結局信義則上、普通は代理店というのは事業者と同視し得る債務を負っているというか、立場に立っているのではないのですか。

○総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課吉田電気通信利用者情報政策室長 そうですね。ただ、代理店が委託を受けている範囲の中ではもちろんあれですけれども、例えばこういうサービスも売りたいとか、別にキャリアから委託を受けていない範囲でこういうセキュリティーサービスを売りたいですとか、こういうものを売りたいですとか、そういうことが一般的に禁止もされていないということでございます。

○河上委員長 その場合は、事業者としてもそういうサービスを受けているとは評価されないのですか。

○総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課吉田電気通信利用者情報政策室長 すみません、それは代理店が委託の範囲を超えた外で何かをやって、それは電気通信事業の委託の範囲外だと認識をしております。

○河上委員長 民法をやっている人間にとってみると、代理店が委託の範囲を超えようが超えまいが、やった行為は信義則上、電気通信事業者がやったのと同視されますという理解のほうが普通ですが。

○総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課電気通信利用者情報政策室担当者 恐らくその点は、この電気通信事業法にこの契約代理店の規定を入れたときに議論されたと若干聞いておりますが、おっしゃるとおり、電気通信事業者と委託先の代理店が同一視され得るという議論もあったと。ただし、実態を見てみると、代理店というのが独自に販売等の行為を行っていると評価され得る場面も結構多いのではないかという議論があって、代理店に関する規定を入れることによって明確化して、法の安定的な運用を図るという議論があったとは聞いておりますが、ちょっと民法との関係でどうかというのは、申し訳ございません。

○河上委員長 一般論としては、代理店のやった行為というのは基本的には本店の行為と同視できるので、そういうところで自分のところとは知らないと切ること自体のほうが異常なことだなという気がしたのです。

ですから、それは復代理になろうが、さらに復々代理になろうが、2次、4次となっても変わりはないはずなのでということを感じたのです。

蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 ここにMVNOを除くと書いてありますが、このMVNOとは基本的に私たちはドコモだとかauとかソフトバンクに行って実際に買うよりも、MVNOの中に入っている人たちのところに行って契約することは結構ありますね。この方たちは代理店という考え方なのですか。それは違うのですか。

○総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課吉田電気通信利用者情報政策室長 それは違います。MVNOは電気通信事業者という位置付けになってございます。

○蟹瀬委員 それを除くということになっているのですか。提供しているサービスを除く。その理由というのは何ですか。入っているということ。

○河上委員長 契約解除に関してですね。

○蟹瀬委員 入っている。

○総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課吉田電気通信利用者情報政策室長 御説明させていただきます。

MVNOと一般的に言いましても、幾つか類型がございまして、この初期契約解除の12ページ、対象サービスのところを見ていただきたいと思いますけれども、いわゆる最近格安スマホとか、格安SIMとか言われている、そのMVNOというのは、このマル1のパターンですね。ドコモですとかKDDIですとかからネットワークを借りて、卸してもらって、自分たちのサービスとして売っているというサービスです。ちょっと個社を出していいのかあれですが、IIJとか、楽天とか、だんだん少しずつ増えてきている。ただ、まだまだシェアは非常に低いという状態でございます。

そういうMVNOというのは、いわゆる期間拘束というのが一般的に今、ないのですね。データ通信と音声をセットで提供されていたり、データ通信がメインでという形でされているのですけれども、データ通信に関しては、いつでも離脱できるという形で、非常に安く提供されている。そこが多分競争というところでもあるのだと思います。若干音声は異なる部分はありますが、基本的にそういうものとして捉えております。

片や、マル3のBWA、最近光インターネットに代わる非常に便利なサービスとして使われている、無線の高速インターネットのサービスなのですけれども、これもMVNO、BWAのネットワークを持っているところからネットワークを卸してもらって、自分のサービスとして提供するMVNOというのが結構いらっしゃる。ここは一般的に期間拘束されている。苦情も消費者センター、全相協のほうからいただいたりとかで、何か繋がりにくいとか、解約できないですとか、いろいろなトラブルが発生しているということで、MVNOもちょっと幾つかそういう中で類型があるという中で、この上の「除く」となっているのは、いわゆる格安SIM、期間拘束がまだ一般的にないパターンの部分については、苦情の状況等も踏まえて、総合的に判断して、ここは現時点では対象にしないという選択をいたしました。

それに対しまして、マル3マル4の、あえてここは対象になっているので、MVNOを入れるとかは書いていないのですけれども、そこは対象にすると。ただ、あくまで、御理解いただきたいのは、今回、法律で初期契約解除制度の対象サービスを規定したわけではないのです。あくまで告示になっている。ワーキングでもあれでして、我々もそこは思っておりますのは、今後、MVNO、格安スマホに関しての苦情が、普及に伴って右肩上がりになっていくということになっていけば、あるいは期間拘束が付いてくる。そういうのが一般的になってきますれば、我々もその状況をしっかりと拝見して、またそれを告示内でガイドラインをどうしていくのかということは機動的に見ていかなくてはいけないと考えております。ただ、現状、少しMVNOもいろんな類型がある関係で少しわかりにくくなっているという状況でございます。

○総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課吉田電気通信利用者情報政策室長 ほかにはいかがでしょうか。

鹿野委員。

○鹿野委員 先ほどの自動更新のところについてもう1つだけ質問させてください。

事前通知の義務を課することになると思うのですけれども、義務を怠った場合の具体的な効果というのは何か予定されているのでしょうか。

あるいは、通知がなかったというときには、事業者としては自動更新がなされたのだという主張ができないというようなことになるかどうかというのは、むしろ民法等の一般法理に委ねられているという理解でよろしいのでしょうか。

○総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課吉田電気通信利用者情報政策室長 今の個別の契約に関しては、御指摘のとおりだと思います。他方で、21ページのところにございますように、各行政規律の担保措置といたしまして、もし、仮におよそ想定しておりませんが、通知が来ないとか、そういう話が苦情としていろいろ寄せられるようになりますれば、どうなっているのですかということで、報告徴収あるいは説明義務違反ということで、業務改善命令という流れになっていくというのが想定している流れでございます。

○河上委員長 結局、民事の効果としては解除ができるのですか。

○鹿野委員 具体的には規定していないけれども、それは解釈の問題としてということですね。

○河上委員長 解釈としては要件を満たしていないからできるということでしょうか。

○鹿野委員 できる可能性があるのではないかと私は思って質問したのですが。

○総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課電気通信利用者情報政策室担当者 すみません。私どもとしてお答えできる立場に本当はないのだろうと思うのですけれども、電気通信事業法のうえでは、説明義務違反があったときは、我々は行政処分等のアクションをとれると。個々の契約につきまして、それが解除可能かどうかは、先ほどどなたかがおっしゃったとおり、恐らく民事の一般法理に従って判断されるのではないかと私は推測しております。

○河上委員長 私も、解除できると思います。

ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

今回、取りまとめられた電気通信事業の利用者保護に関する省令等の整備案、これは適合性原則に則った説明義務の充実だとか、あるいは書面交付義務の導入、勧誘継続行為の禁止、更に代理店に対する指導監督等の措置の導入といったようなものが盛り込まれておりますし、また、初期契約解除制度については、店頭販売において確認した利用場所、状況等について十分でないときに、電気通信役務契約だけではなくて、オプション契約や端末の契約についても解除できるという仕組みを盛り込んでおられるといった点ですね。消費者保護のための措置というものがかなり講じられる内容となっているということで、高く評価したいと思います。

当委員会からもいろいろな提言をしたり、意見を述べさせていただきましたけれども、かなり反映していただいているということで、お礼を申し上げたいと思います。

総務省におかれましては、この制度改正が実施された場合には、事業者において適切に対応されるということで、消費者保護が図られるように、制度の実効性の確保に是非努めていただきたいと思います。

先ほどガイドラインを更に策定してということをおっしゃっていましたけれども、またガイドラインができ上がりましたら、是非消費者委員会のほうにも情報をいただければありがたいと思います。

この件につきましては、当委員会において、引き続き注視してまいりたいと思いますので、どうぞ頑張ってください。どうもありがとうございました。

本日は、電気通信サービスの分野についてヒアリングを行いましたけれども、このほかの施策についてもヒアリングを継続して行い、消費者委員会として基本計画工程表の改定に当たって、どのような意見をまとめるか、よく検討していきたいと思います。

総務省におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。

○総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課吉田電気通信利用者情報政策室長 ありがとうございました。

≪4.その他≫

○河上委員長 続きまして、議題その他としまして、去る11月14日に実施しました「消費者問題シンポジウムin松江」の実施報告を事務局からお願いいたします。

○黒木事務局長 それでは、参考資料1に基づきまして、もうお時間も過ぎているようでございますので、簡単に御説明させていただきます。

平成27年11月14日に「消費者問題シンポジウムin松江」を島根県生活協同組合連合会と消費者委員会の共催で開催いたしました。この件についての御報告でございます。

当日は、島根県及び松江市を初め、近隣の市の消費者行政担当者の方々、あるいは相談員の方々、消費者団体、弁護士、一般消費者など、約40名の御参加をいただきました。

シンポジウムのテーマでございますけれども、「消費者被害をなくすために」というテーマで行いまして、冒頭、島根県生活協同組合連合会の鎌田会長理事に開会の御挨拶をいただき、当委員会の池本委員長代理に基調講演を、また、私のほうで消費者委員会の活動について御報告を申し上げました。

その後、パネルディスカッションを行ったということでございます。パネルディスカッションでは、コーディネーターを増田委員にしていただきまして、パネリストとして消費者庁の日下部参事官、島根県環境生活総務課消費とくらしの安全室河原室長、島根県消費者センターの久保消費生活相談員、地域つながりセンターの野津事務局長、基調講演をいただきました池本委員長代理に御出席をいただきまして、それぞれの取組や必要となる体制などについて討論をいただいたところでございます。

また、シンポジウムと別にでございますけれども、池本委員長代理には、前日、11月13日に松江市の松浦市長、島根県の新田環境生活部長にそれぞれ表敬訪問をしていただいております。

以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。

パネルディスカッションのコーディネーターとして御参加いただいた増田委員、基調講演とパネルディスカッションのパネリストとして御参加いただいた池本委員長代理、それぞれ一言お話をいただければと思います。

○増田委員 被害回復についてどういう体制になっているかという点と、被害の未然防止の体制についてということが大きく2点あったかと思いますけれども、必ずしも人口5万人以下の相談窓口を設置するということではなく、その地域の特性に合わせたやり方をしたいということとか、地域のネットワーク作りを既に始めているということを知りました。今回のシンポジウムにおきましては、私ども、それから島根県の方々が、現在の実情、制度が既になされているということについて、確認できたと思います。

今後についてどうすべきかということで、舞台的な問題というのも明らかになったのではないかと感じました。

以上です。

○河上委員長 池本委員長代理、お願いします。

○池本委員長代理 島根県は、人口減少と高齢化ということに非常に、全ての分野の施策で大変重たい課題として取り組んでおられましたが、そういう中でも、例えば消費生活相談の件数を、人口1万人当たりの件数というので全国をならしてみると、全国平均は1万人当たり80件なのですが、島根県は82件、むしろ平均よりちょっといいのです。それから、出前講座とか啓発活動も非常に熱心にやっておられます。しかも、担い手も元気な高齢者の人が地域での担い手になろうということで、高齢者の見守りのいろんなネットワーク作りの中に消費者問題もどう組み込んでいくかという問題意識で取り組んでおられて、その意味では、全国的にこの課題は非常に重たい課題ですが、むしろ先駆的に取り組んでおられると、非常に参考になるなという感想を持ちました。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

島根県で参加していただいた方々にも心からお礼を申し上げます。


≪5.閉会≫

○河上委員長 最後に、事務局のほうから、今後の予定について説明をお願いします。

○丸山参事官 次回の本会議の日程、議題については決まり次第委員会のホームページ等を通じてお知らせさせていただきます。

なお、この後、委員間打合わせを開催いたしますので、委員の皆様におかれましては、委員室のほうに御移動をいただくよう、よろしくお願いいたします。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございました。

(以上)