第204回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2015年10月27日(火)13:00~13:44

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

  • 河野内閣府特命担当大臣、松本内閣府副大臣、酒井内閣府大臣政務官
  • 【委員】
    河上委員長、池本委員長代理、阿久澤委員、大森委員、鹿野委員、長田委員、 中原委員、樋口委員、増田委員
  • 【事務局】
    黒木事務局長、小野審議官、丸山参事官、友行企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 河野内閣府特命担当大臣、松本内閣府副大臣、酒井内閣府大臣政務官御挨拶
  3. 調査審議テーマについて
  4. その他
  5. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○河上委員長 それでは、時間になりましたので、始めさせていただきます。

本日は皆様、お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございます。

ただいまから「第204回消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日は、所用によりまして、蟹瀬委員が御欠席ということになっております。


≪2.河野内閣府特命担当大臣、松本内閣府副大臣、酒井内閣府大臣政務官御挨拶≫

○河上委員長 本日は、河野内閣府特命担当大臣、松本内閣府副大臣、酒井内閣府大臣政務官、消費者関係の政務三役の先生がお越しになっておられます。

まずは、開会に当たりまして、河野大臣より御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○河野大臣 このたび、消費者担当となりました河野太郎でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

初めて衆議院に当選しましたのが1996年でございまして、当選して最初にやらせていただいたことが遺伝子組み換え食品の表示の問題でございました。当時、自民党で余りそんな問題をやっている人がいなくて、今の外務大臣の岸田文雄さんと一緒にいろいろとやらせていただきまして、消費者庁をどうする、消費者委員会をどうするという時にも、いろいろ絡ませていただいたわけでございます。

消費者、そして、食品安全担当ということを命ぜられまして、少し幅が広いなと正直思っております。先般も、山口組の分裂問題で国家公安委員長と言われてテレビの番組に出ましたら、山口組の話になる前にマンションのくい打ちの問題になりまして、消費者担当の大臣としてどうなんだと、いきなり弾が飛んできたり、今朝も買ったばかりの掃除機が我が家で壊れて、女房から消費者担当大臣としてこういうのはどうなんだと、いろいろなところから弾が来るなと、正直びっくりしているところでございます。

日本の経済の6割近いところは個人消費でございます。アベノミクスを前に進めるためにも、消費者の皆さんが安心して消費ができる状況を作っていかなければ、経済も好転をしてまいりません。そういう意味で、消費者委員会の皆様に寄せられる期待は非常に大きいと思っております。

もともと消費者保護法と言っていたものを、消費者基本法にする時に、これはもともと議員立法だから議員立法で直せと言われて、随分いろいろな議論をやりました。その時に、消費者の責務という条文のタイトルを巡って与野党で随分対立をいたしまして、事業者に責務をかけるのは当然だけれども、消費者に責務なんてないのではないか。いや、消費者にも応分の責任があるのではないか。結局議論がまとまらなくて、消費者基本法の6条、7条、8条だったかは、条文のタイトルでもめるのだったら、いっそ条文のタイトルをなくしてしまえと言って、3条ぐらい条文のタイトルを削除して議員立法をやったという経験がございますが、その頃からいろいろな角度から1つ、これをこちらの側から見るのか、向こう側から見るのかで、いろいろなことが議論になることが多々ございます。

同じ消費者だって、会社に行けばものを生産し、それを供給する側ですし、事業者の方も家に帰れば消費者であったりというわけで、本来立場は違わないはずなのですけれども、どうしても議論になるとあちら側、こちら側といとうことになりがちでございます。多くの方は両側の立場を多かれ少なかれ持っていらっしゃるはずでございますので、そうしたことを乗り越えて、何がこの国のためになるのか、何がこの国の国民の皆様のためになるのかということをしっかり御議論いただきたいと思っております。

日本はどうも東京に一極集中をしているとよく言われますが、北海道から沖縄まで消費者はいろいろなところにいるわけで、それこそ与那国島から、択捉には今、日本人の消費者はいないかもしれませんけれども、あらゆるところに消費者がいらっしゃるわけで、そういう消費者一人ひとりにきちんとした情報の提供をし、また、きちんとした対応をしていかなければならないわけでございますので、こういう高齢化もし、国際化もし、あるいは高度情報化もしている中で、消費者問題をどう議論していったらいいのか、少し時代も変わり目にあるのかもしれません。

どうぞ闊達(かったつ)な御議論をお願い申し上げ、皆様から何か御注文があれば、どうぞ遠慮なく言っていただいて、しっかり対応したいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

消費者委員会のミッションを改めて指摘されたような、身の引き締まる思いがいたしました。

それでは、松本副大臣から御挨拶をいただきたいと思います。

○松本副大臣 河野大臣の御下命のもとで、消費者行政にしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

私は東京都議会議員が長かったわけでございまして、この国に消費者に関わる法制度がまだ十分でなかった時代に、東京都民、消費者から寄せられる苦情相談窓口というものを最初に立ち上げた自治体が東京都だったと考えておりますが、いまだに河野大臣の奥様の今朝の御意見といいましょうか、こういうものをストレートに受ける相談窓口の皆さんを支援し、この消費者の皆さんに寄り添う消費者行政でなければならぬのではないかと思っておりますので、何なりとお申し付けをいただいて、御意見をお寄せいただきますことをお願いをして、挨拶といたします。

ありがとうございました。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、続きまして、酒井大臣政務官から御挨拶をいただきます。

○酒井政務官 皆様、こんにちは。今般、消費者問題の担当になりました酒井庸行でございます。

河野大臣と松本副大臣からお話がございましたけれども、この委員会の委員の皆様におかれましては、責任も重い大変なお役目だと思っております。ぜひとも活発な御議論をいただきたいと思います。

私も以前はサラリーマンをやっておりましたので、ものを売るという立場にいたこともありました。その意味でもいろいろな御議論をいただきながら、私もしっかり勉強させていただきたいと存じます。消費者行政というのは本当に大切なものだと思っておりますので、率直な御意見をいただけますよう、皆様にお願いをしたいと思っております。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

○河上委員長 よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

消費者委員会としても、今後も一層充実した調査審議を行っていきたいと思います。

三役の先生方は、時間の許す限りここにいらっしゃるということです。ちょうどいい機会ですので、現時点での問題意識などを聞いていただくということもできるかと思います。

≪3.調査審議テーマについて≫

○河上委員長 それでは、配付資料の確認につきまして、事務局からお願いいたします。

○丸山参事官 事務局でございます。

お手元の議事次第の下部のほうに配付資料一覧を記しております。

資料1といたしまして「消費者委員会における当面の主要課題(案)」。

資料2といたしまして「消費者委員会に寄せられた要望書・意見書・声明文等一覧」。

資料3といたしまして「特定保健用食品の表示許可に係る答申について」。

参考資料といたしまして「委員間打合せ概要」となっております。

もし、不足がございましたら、事務局のほうまでお申し出いただきますよう、お願いいたします。

○河上委員長 それでは、早速議事に入りたいと思いますけれども、本日の議題は、消費者委員会における当面の主要課題ということでございます。第4次の消費者委員会では、これまで第3次消費者委員会から第4次消費者委員への留意事項等を踏まえまして、各委員の関心事項について委員間打合せで意見交換を行ってまいりました。

資料1の「消費者委員会における当面の主要課題(案)」というのは、委員間での意見交換の結果を踏まえまして、今後、委員会として調査審議を行う主要な課題として、候補を取りまとめた案でございます。

本日は、今後の調査審議の進め方などについて、意見交換をしたいと思います。

まずは、事務局のほうから説明をお願いいたします。

○黒木事務局長 それでは、資料1に基づきまして、御説明をさせていただきます。

当面の主要課題でございますけれども、大きく2つに分けて、本会議の課題、2として下部組織の課題ということで分けさせていただいております。2の下部組織の課題につきましては、既に9月7日の前回本会議におきまして、2つの食品関係の部会、それから、4つの専門調査会を第3次に引き続いて維持し、それを運営していくということで、御確認をいただいているところでございますので、本日は1の本会議の課題のほうを中心に御説明させていただきます。

まず(1)といたしまして、消費者委員会の機能で、自ら調査をし、あるいは審議をして、建議や提言につなげていくという機能がございますが、主にそちらのテーマになろうかと思いますけれども、建議及び提言・意見に関するテーマとして3つ挙げてございます。消費者教育、それから、地方消費者行政、官民連携という3点でございます。

それから、(2)消費者基本計画の検証・評価・監視です。消費者基本計画は昨年度新しい5年計画ができておりますけれども、その工程表等改定に向けた見直しが毎年されていくということでございますので、第1回目の見直しに向けて、消費者委員会としても意見を表明していってはどうか。それに当たりましては、必要に応じて、関係省庁からヒアリング等を実施してはどうかという点でございます。

(3)といたしまして、3次までの過去の建議のフォローアップということでございます。消費者委員会では、過去、建議という形で出したものにつきましては、ほぼ半年後をめどにフォローアップをしております。4次の委員会におかれましても、引き続きこのフォローアップの活動を続けていただきたいということで、具体的には「美容医療サービスに係るホームページ及び事前説明・同意に関する建議」「電子マネーに関する消費者問題についての建議」「商業施設内の遊戯施設における消費者安全に関する建議」と、この3点を、年明けになりますが、2月、3月ごろにフォローアップしていただくということでどうかということでございます。

それから、その他の課題といたしまして、さまざまな消費者政策上の重要課題が日々起こってまいりますので、適時適切に取り上げて、必要に応じて意見表明あるいはフォローアップ等していただくということでどうかという案でございます。

私からは以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。

今後の調査審議の進め方や、特に調査及び検討を行いたい項目等について、御意見のある方がおられましたら、発言をお願いしたいと思います。

これはスタート時の計画ですから、もちろんその都度その都度何かしら弾が飛んできますので、ほかにも対応していかないといけない問題というのはあるのですが、まずはこういう形で作業を進めていってはどうかということです。皆様から御意見を頂戴したいと思いますが、どうでしょうか。

池本委員。

○池本委員長代理 池本でございます。

3つのテーマ、いずれも今、重要な課題で、並行して取り組んでいく必要があると思うのですが、特に私は地方消費者行政の問題は、消費者庁と消費者委員会がそれこそ総力を挙げて、自治体に働きかけていくという意味で重要だと考えています。

つまり、消費者庁ができ、消費者行政の活性化交付金がそれまでの4割増しぐらいに財源が入って、相談窓口ができました。そして、行政が消費者に向けて被害防止の発信をするというところまではやってきたけれども、それでは到底情報は届かないということで、地域連携、地域における官民連携を進めようということなのですが、高齢者福祉の部門とか、ほかの部門ではそういう地域での連携があり、そこで消費者行政も食い込んでいくということまではある程度議論が進んでいますが、実は、消費者問題では地域で連携する先の主体がそもそも十分育っていないという意味で、地域連携を作るための育成をし、連携をするということを、全国のいい取組や情報を集めて、それを発信するということが1つあります。

それから、それを進める上で最もネックになっているのは、予算は4割増えたけれども、消費者行政担当職員は全然増えていないどころか、この6年間で減っているのです。だから、本当の意味で自治体が消費者行政を重視しようという政策転換ができていないのではないか。だから、そこに対してどう働きかけるかという根本のことを含めて、この消費者委員会で議論をし、発信をしていく必要があるのではないか。また、消費者庁と一緒になって働きかけをする必要があるのではないかと考えています。

以上です。

○河上委員長 地方消費者行政の話は何度も出てきている議論ですけれども、この件に関してほかに御意見ございましたら、いかがでしょうか。

樋口委員。

○樋口委員 私は信州大学におりましたので、地方の消費者行政に直接関わる場面も多かったのですが、現場での感じで言いますと、消費者庁を中心にしていろいろ仕組みが整備されてきましたけれども、まだこれから、特に市町村ですが、具体的にどういう取組をしていくのかということでは、なかなか方向が定まらず、困っているところも多いと聞いています。

消費者行政というと、つい消費者被害のことだけに目が行きがちですけれども、これは緊急の課題ではありますが、被害を減らすためにも、例えば、今、池本委員からもお話がありましたけれども、地域における連携を強めて、消費者教育をしっかりしていく。あるいは、持続可能性ということもありますけれども、もう少し広い視点で取組をしていくということも大事だと思います。

特に痛感しておりますのは、行政というのはついつかさつかさということで、縦割りになりがちですけれども、消費者庁もいろいろ努力はされているのですけれども、消費者委員会でより広い視点で、場合によっては政府の外の民間との連携でありますとか、そういったところも含めて議論を広げていくこともとても大事ではないか。官民連携ということもテーマになっていますが、これらのテーマは一体的に考えていかなければいけない部分がかなりあるのではないかと思っております。

○河上委員長 ありがとうございました。

ほかにはいかがでしょうか。

まずは、きちんと実態を調査しないといけない部分もあるのかなという気がいたします。

消費者庁の話では、センターは一応100%設置ができたと言っているのですけれども、実際にはそこに相談員がきちんと張り付いていないのですね。具体的には、週に何回かぐらいしか行けていないとか、あるいは、相談員そのものがいなくて職員が兼任でそこにときどき顔を出している程度のところもある。その意味では、窓口の充実といいますか、相談員の育成とその質の向上というのがかなり大事な作業になるのです。きちんとやっている自治体と、それがうまくいっていない自治体というのはかなり温度差がありますので、その辺を調査して、なぜうまくいっていないのかという原因を突きとめないといけないだろうと思います。

それから、課題も、地域ごとによってかなり違う。信州なら信州の課題というのはあるでしょうし、北海道はまた燃料の何とかといういろいろ問題があったりして、地域ごとの特色ある課題も多いので、そういう点にも配慮して、まずは実態調査をして、そこでの問題点を洗い出してみるということから作業を始めていく必要があるのではないかと思います。

地方消費者行政の話は以上として、ほかに何か。

大森委員、どうぞ。

○大森委員 私はこの3つのテーマはそれぞれ独立しているものではなくて、すごく大事な連携関係にあると思います。

私が一番関心があるのは消費者教育なのですけれども、例えばその消費者教育も、地方行政の中できっちり位置付けて進めていく必要がありますし、そのためには官民連携が必要ということで、互いに関係し合うテーマだと思っています。

特に、消費者教育は推進法ができて、学校とか、高齢者被害があるので高齢者のための消費者教育は相談員協会の出前講座などで結構実施されてきましたけれども、子育て中とか、働いている人とかに行き渡っていないという問題があるので、今後、その辺を、成人年齢の引下げもありますし、消費者市民社会を担うような、自分の不利益だけではなくて、社会全体のことを考えて動けるような消費者を育成していくためには、契約者、当事者になりやすい若い世代を中心にやっていく必要があるかと思います。

○河上委員長 もし、18歳に成人年齢が下がるということになると、高校卒業したぐらいの人が契約の主体になるということですね。大学生は皆さんそうですから、若年者層の消費者問題というのを少し意識して掘り下げて見る必要があるということでしょうかね。加害者になる場合もありますしね。

長田委員、どうぞ。

○長田委員 ありがとうございます。

若年層だけではないのですけれども、今、これまでちょっといわゆる消費者委員会なり消費者行政がまだ取り組めていなかった1つの分野として、インターネット上のゲームやその他もろもろ、どんどん新しく創出されているサービスというのでしょうか、そういうものについての課金の仕組みや、サービスの在り方の仕組みみたいなもののルールがまだまだ足りないのではないかと懸念するところがあります。特に、グローバルに展開されているもので、アメリカ等のいろいろな影響も受けながら、日本でもアプリやいろいろなものが提供されていますけれども、日本だけが非常に独自のルールになっていて、消費者保護がちょっと足りないところがあるのではないかという指摘も、その業界の関心を持っていらっしゃる方々から出ているようですので、少しそこもぜひ調査していただいて、消費者教育というだけの取組ではなく、調査の結果、何かルール作りが提言できるということであれば、そのように取り組んでいくべきではないかと考えています。

○河上委員長 インターネットは、前に電子マネーの消費者問題の建議をやって、今度フォローアップをやりますけれども、それとも絡んだ問題なので、場合によってはフォローアップしながら問題点を少し整理して、どういう形で議論ができるか、考えてみたいと思います。

グローバル化すると、国外のブランドを経由した消費者取引についても、何らかのルール作りが必要なのでしょうけれどもね。

○長田委員 国外のというのもあると思うのですけれども、例えばアップストアで売られているようなアプリについても、欧米でのルールと日本でのルールが少し違っているのではないかという指摘もありまして、日本の独特なルールというのができているということもあるようですので、その辺はきちんと調べていくべきだと思いますし、そういうルール作りは考えていけばいいのではないか。そうすると、その場合、相手が国外の事業者であるということはあるかもしれないと思います。

○河上委員長 増田委員、どうぞ。

○増田委員 今の件ですが、例えばアップルとグーグルとで対応が違う。解決はするにしてもそのプロセスが違うということもありまして、解決の手段として、それがマニュアルとして広く行き渡っていないので、解決できない消費生活センターもあるのではないかと思います。その辺のところを調査するということも1つ意味があると思いました。

それから、18歳への引下げに関しましては、今、発生している20歳ぐらいのトラブルがそのまま下におりることになると思いますので、現状の被害実態をよく調査して、それを見据えた対処をすることが必要なのではないかと思います。それを教員の方々に材料として提供して、御理解いただくということが必要ではないかと思います。

もう一点、高齢者に関しましては、事業者の方の御協力として、最近は事業者の方からの通報というのも増えてきている状況がありますが、その窓口がたくさんあるようで、どこに通報していいかわからない。自治体によっては受付ができないでいるという声が聞こえてきます。やはり官民連携の在り方と、官民連携しなくてはいけないのですよと、個人情報の取扱いが消費者安全法によって変わってきているということを自治体職員の方によく理解していただくとか、そういうことが大変重要ではないかと考えています。

○河上委員長 ありがとうございました。

ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。

鹿野委員、どうぞ。

○鹿野委員 先ほど、教育のことが出てきましたので、私もひと言申し上げたいと思います。学校での消費者教育は、次第に進みつつあるのだとは思います。ただ、大学に勤めている者として、学生を見ていますと、大学に入る前の段階で、消費者としての最低限の注意点やルールなどを理解している人たちがどれほどいるかというと、なおかなり厳しい状況です。

この問題は、個々の学校の自主性に任せておくだけではなかなか改善しないのではないかと思います。そういう意味で、教育のシステムを見直し、システムの中により積極的に組み込んでいくということが1つありうる方向かと思います。

それにも関連して、もう1つ、指導者をどうやって育てるかということも重要だと思います。学校において先生方の理解を促すこともそうですが、さらに、地域においても、リーダー的な役割を担っていくような人たちを育てていくこと、そしてそこと行政との連携を図っていくことなども考える必要があると思います。

○河上委員長 指導者を育てるのは結構大変ですね。

○鹿野委員 そうですね。大変ではありますけれども、必要なことだと思います。

○河上委員長 大学に来ると、大体アパートに住む、賃貸借契約の問題と、カードも利用されることが多いので、カード取引に最初に参入するということがあります。アルバイトをし始めると、そちらのほうとの関係でもいろんな取引に関わるということですかね。

大学に入るぐらいの手前か、あるいは入った直後ぐらいにきっちりと教えられるような体制というものを考えないといけないのかもしれないですね。

○鹿野委員 ひとり暮らしを始めた場合、あるいはそれ以外でも日常的な取引に関する基本的な知識くらいは必要だという点もありますが、その他にも、例えば、大学生の間ではひそかに、いわゆるマルチ取引被害なども少なからずあるようです。この場合、自分が被害者になりうるだけではなく、加害者にもなり、人間関係が壊れていくということもあるようです。そういう点も含めて、18歳ぐらいまでの間に教育する必要があると思います。

○河上委員長 これは文科省とも相談しながらやらないといけないかもしれないですね。板東さんは文科省の御出身だからちょうどいいかも知れない。

樋口さん、どうぞ。

○樋口委員 一言だけ。

高校生に向けて大学の学生を連れて出前講座ということをいろいろ実際にやった経験があるのですけれども、やはり高校の中できちっと位置付けがまだされていないところがあって、家庭科の先生の一部が協力してくれるという程度の実態なのです。悪い冗談を言えば、入学試験の問題に出せば、すぐばっと広がると言えないこともありませんが、これは別としても、やはりしっかり学校の側にも位置付けていただくということで、教育委員会なども働きかけたのですが、なかなかこれは既存の仕組みの中に入っていくのは難しい面もありますので、ぜひ板東長官にも一役買っていただければと思います。

○河上委員長 大体予定していた時間もまいりましたので、このぐらいにしたいと思います。建議及び提言・意見に向けたテーマとして、消費者教育と地方消費者行政、官民連携の在り方の3つは、全て連関しているという話ですけれども、差し当たってこれらを中心に検討をしていくということにいたします。

委員会が取り組む課題はほかにもたくさんあって、山積みしておりますけれども、優先順位を付けながら、めりはりのきいた活動を行って、消費者の利益の擁護、増進のために着実に成果を上げていきたいと思います。委員の皆様におかれましては、御協力のほどよろしくお願いいたします。

≪4.その他≫

○河上委員長 続きまして、議題に掲げておりますのが、その他の消費者委員会に寄せられた意見等の概況についてということであります。消費者委員会では、随時意見を一般の方からいただいているわけですけれども、それを、意見を出したのに全然聞いてもらっているかどうかわからないと以前に指摘されまして、消費者委員会として、これをどう扱っているのかというのを少し見えるようにということで、3か月ぐらいに1度意見を取りまとめて、皆様の前にお示ししております。

この7月から9月分に関しまして、消費者委員会に寄せられた意見等の概況について、事務局から報告をしていただいて、委員の間で若干のコメントを述べるということにしたいと思います。

では、よろしくお願いします。

○丸山参事官 お手元に配付されている資料の中に、資料2ということで横組みの資料があるかと思います。そちらのほうを御覧になっていただければと思います。

先ほど委員長がおっしゃっておりましたように、本年7月~9月までに委員会に寄せられた要望書・意見書・声明文の一覧となっております。こちらのほう、定期的に公表する資料となっております。

この間、委員会のほうに寄せられました要望書等につきましては、合計で59件となっております。1ページ目の上のほうの注のところを御覧になっていただければと思いますけれども、ただしですが、9月1日~30日まで別途実施いたしました消費者契約法の専門調査会「中間取りまとめ」、特定商取引法専門調査会の「中間整理」に関する意見につきましては、別途整理ということでカウントしておりますので、こちらの集計には含まれておりません。

概況のほう、ざっとですけれども、御紹介させていただきます。その下の「<取引・契約関係>」のところを御覧になっていただければと思います。「(消費者契約法)」となっております。こちらのほうは今回は7件となっております。

1ページめくっていただきまして、真ん中辺りですが「<取引・契約関係(特定商取引法)>」、こちらのほうにつきましては、34件となっております。

2枚めくっていただきまして、2枚目の裏側ですけれども、「<取引・契約関係(消契法・特商法以外)>」ということで1件、こちらのほうはクレジットカード現金化対策の推進ということで寄せられております。

その下でございますけれども、「<集団的消費者被害救済制度>」ということで2件寄せられてございます。

次のページ、「<公益通報者保護制度>」ということで3件。

その下ですが、「<料金・物価関係>」ということで2件、これは具体的には、電力小売自由化に当たって電源構成の表示の義務化を求めるといったような意見が寄せられております。

その下でございますけれども、「<地方消費者行政関係>」が2件ということ。

めくっていただきまして、「<食品表示関係>」につきましては4件ということ。

最後のページですけれども、「<消費者安全関係>」ということで2件。これは具体的には、製品事故関係でPL法、製造物責任法の改正を求めるような意見となっております。

それから、「<その他>」の2件となっております。

御報告は以上です。

○河上委員長 消費者契約法と特定商取引法についての集中的な意見書に関しては、この中に数は入っていないという前提ですね。数値だけ教えていただけますか。

○丸山参事官 具体的には、消費者契約法につきましては2,500件程度、特定商取引法につきましては4万件強となっております。

以上です。

○河上委員長 思いがけずたくさんの意見書が来て、ちょっと整理に手間取るというか、時間がかかっておりますけれども、ここに来ておりますのは、集中期間の意見書といいますか、「中間取りまとめ」とか「中間整理」に対する意見以外に、消費者契約法に対してあるいは特定商取引法に対して意見が来ているものがここに残っているという状態ですね。

もう既に委員間打合せでも議論は若干いたしましたし、メールであらかじめ皆さんのところには届いていますので、御承知かと思いますが、何かこの段階でコメントをしたほうがよいものがありましたら、お願いします。

トランス脂肪酸の話は、阿久澤先生、いかがでしょうか。

○阿久澤委員 トランス脂肪酸につきましては、この委員会の食品ワーキンググループでトランス脂肪酸に対する考え方についてまとめています。

その中で言及していますように、若年層、特に多くの女性が摂取する食品の加工素材に含まれる割合が多いようですが、企業努力によって加工素材に含まれるトランス脂肪酸量は漸減傾向にあるようです。引き続き過剰摂取についての注意、及び、監視し続けることが重要ではないかと、考えております。

○河上委員長 諸外国では随分規制が進んでいるということで、ただ、日本人の食生活でいうとまだ安全圏にあるという言われ方をしていますね。

○阿久澤委員 そうですけれども、油断をしないほうがいいと、私個人的にはそう考えています。

○河上委員長 食生活が変わっていますからね。

何かほかにこの意見の中で。

池本委員。

○池本委員長代理 時間も押していますから、手短にお話しします。

今、机上に配付されている団体からの意見というのは、それぞれ論点について丁寧に論拠も示して記載されているもので、参考になるのですが、集中期間内で、先ほど4万件とか、意見が出たものの概要を、先般、専門調査会で配付されたものを見たのですが、ちょっとこれは消費者側、事業者側、両方気を付けなければいけないことだと思うのですが、営業活動を一律に禁止するようなものは反対だとか、そもそもこういう迷惑なものはやめるべきだという、百かゼロかのような意見が少し傾向として強くなっているかなという気がします。

実際には、本当に守るべきものをどう守るかということで、そのために要件も絞るべきだし、事業者側も守るべき人たちのためにどう営業活動を軌道修正するかという形で、調整可能なところ、持続可能な事業活動に向けてどうするかというきめ細かな議論に入ろうとしているところで、余り両極端な意見の数で競うということにはならないように、ちょっと気を付ける必要があるのかなと思っています。

○河上委員長 ありがとうございました。

鹿野委員、どうぞ。

○鹿野委員 今の点とも関連してひと言申し上げたいと思います。まだ意見書の内容をつぶさに見たというわけではないのですが、ざっと見ましたところ、特に特定商取引法、消費者契約法に対する意見の中には、どうも内容を誤解されていて、その誤解に基づいて反対意見を出されているのではないかと思われるようなものも見受けられました。

これを受けて、今後、もっとわかりやすくというか、正しい理解が得られるような形で説明をしていく必要があると感じました。

以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。

委員会に寄せられた意見書、要望書については今後とも全委員で情報共有をするとともに、定期的に委員間で意見交換を行う機会を作ってまいりたいと思います。

また、今月20日と本日午前中に消費者団体ほか関係団体等との意見交換会を開催し、今後、当委員会で取り上げるべき調査審議のテーマについて意見交換を行ったところであります。今後もこうした意見交換会を定期的に行っていきたいと思います。

最後に、新開発食品の調査部会から報告がありますので、阿久澤部会長から説明をお願いします。

○阿久澤委員 それでは、「特定保健用食品の表示許可に係る答申について」、私から御報告いたします。

平成27年8月24日に開催した第27回新開発食品調査部会の議決について、新開発食品調査部会設置・運営規程第7条に基づき、委員長の同意を得て、委員会の議決とし、9月9日付で内閣総理大臣へ答申を行いました。

資料3の答申書と、その裏面に書かれております別添を御覧いただければと思います。

内閣総理大臣より諮問を受けて、第27回新開発食品調査部会において、安全性及び効果について審議を行った結果、特定の保健が期待できる旨の表示内容につきまして、関与成分の作用の意味が消費者にわかりにくく、かつ、断定的であるとする指摘事項がございました。その指摘事項を確認の上、了承することが部会長に一任され、申請者からの回答書を確認し、特定保健用食品として認めることといたしました。

私からの報告は以上になります。

○河上委員長 ありがとうございました。

これは委員長の決裁で確認ということになりますので、御報告を受けたということになります。


≪5.閉会≫

○河上委員長 本日の議題は以上でございます。

本日は大変豪華なお客様に来ていただきまして、河野大臣、松本副大臣、酒井大臣政務官、おいでいただきまして、まことにありがとうございました。

御三方が御退出になられます。本日はお忙しい中、御出席いただきまして、まことにありがとうございました。

(河野大臣、松本副大臣、酒井政務官退室)

○河上委員長 最後に、事務局より今後の予定について説明をお願いいたします。

○丸山参事官 次回の本会議の日程、議題につきましては、決まり次第委員会のホームページ等を通じてお知らせいたしたいと思います。

なお、明日11時を目途に消費者庁記者会見室におきまして、報道機関の皆様を対象とする委員長記者会見を行いますので、お知らせいたします。

さらに、この後、委員間打合せを開催いたしますので、委員の皆様におかれましては、委員室のほうに御移動をよろしくお願いいたします。

以上です。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)