第109回 消費者委員会 議事録

日時

2012年12月25日(火)16:00~18:41

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
河上委員長、山口委員長代理、稲継委員、小幡委員、田島委員、夏目委員、細川委員、村井委員、吉田委員
【説明者】
厚生労働省 中井川 監視指導・麻薬対策課長
警察庁 組織犯罪対策部薬物銃器対策課担当者
経済産業省 苗村 商務情報政策局商務流通保安グループ商取引監督課長
経済産業省 村上資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部新エネルギー対策課長
消費者庁 神宮司 審議官
消費者庁 村山 消費者政策課長
消費者庁 山下 取引対策課長
消費者庁 鈴木 取引対策課企画官
消費者庁 片桐 表示対策課長
【事務局】
原事務局長、小田審議官

議事次第

1.開会
2.消費者基本計画の検証・評価・監視について
 (1) 脱法(違法)ドラッグ(施策番号37-2)
○説明者: 厚生労働省  中井川 監視指導・麻薬対策課長
消費者庁  村山 消費者政策課長
警察庁  組織犯罪対策部薬物銃器対策課担当者
 (2) 住宅用太陽光発電システム(施策番号40、41、45、80)
○説明者: 消費者庁  山下 取引対策課長
鈴木 取引対策課企画官
片桐 表示対策課長
経済産業省  苗村 商務情報政策局 商務流通保安グループ商取引監督課長
村上資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部新エネルギー対策課長
 (3) 特定商取引法(施策番号41、43、44-2)
○説明者: 消費者庁  神宮司 審議官
山下 取引対策課長
鈴木 取引対策課企画官
村山 消費者政策課長
3.消費者教育について
4.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:9KB)
【資料1】 消費者基本計画の平成24年度前半の実施状況に関する検証・評価・監視 関係省庁ヒアリングの対象施策・対象省庁及びヒアリング項目(PDF形式:100KB)
【資料2】 消費者基本計画(脱法(違法)ドラッグ)関連資料(消費者庁提出資料)(PDF形式:140KB)
【資料3】 消費者基本計画(脱法(違法)ドラッグ)関連資料(厚生労働省提出資料)(PDF形式:185KB)
【資料4】 消費者基本計画(住宅用太陽光発電システム)関連資料(消費者庁提出資料) 【資料5】 消費者基本計画(住宅用太陽光発電システム)関連資料(経済産業省提出資料) 参考: 住宅用太陽光発電システムの販売等に係る消費者問題についての提言(PDF形式:193KB)
【資料6】 消費者基本計画(特定商取引法)関連資料(消費者庁提出資料) 【資料7】 消費者教育の推進に関する基本方針の策定に向けた意見(案)(PDF形式:164KB)
【参考資料】 委員間打合せ概要(PDF形式:57KB)

≪1.開会≫

○河上委員長 それでは、時間になりましたので、始めさせていただきます。
本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第109回)」会合を開催いたします。
本日は、所用によりまして、川戸委員が御欠席、小幡委員、稲継委員が若干おくれて出席の予定となっております。
それでは、配付資料の確認について、事務局からお願いいたします。

○原事務局長 配付資料の一覧は、議事次第と書かれた紙の後ろに載せております。
資料1といたしまして、消費者基本計画の本年度前半の実施状況に関する検証・評価・監視関係省庁ヒアリング、本日の対象施策と対象省庁及びヒアリング項目を掲載しております。
資料2といたしまして、脱法ドラッグの関連資料、消費者庁から御提出いただいた資料です。
資料3は、同じく厚生労働省から御提出いただいた資料になっております。
厚資料4といたしまして、住宅用太陽光発電システムの関連資料で、消費者庁から御提出をいただいたものです。
資料5といたしまして、経済産業省から御提出いただいた資料です。資料4には別添1、別添2とついておりますので、その後ろ、5の関連が経済産業省から御提出いただいた資料です。
資料6といたしまして、特定商取引法の関連資料ということで消費者庁から御提出をいただいております。
資料7といたしまして、「消費者教育の推進に関する基本方針の策定に向けた意見」を、本日、取りまとめたいと考えておりますので、その案を御提出しております。
参考資料といたしまして、委員間打合せをこの間、12月18日に開催しておりますので、その概要をおつけしております。
審議の途中で、不足がありましたら、お申し出いただければと思います。
それでは、よろしくお願いいたします。

≪2.消費者基本計画の検証・評価・監視について≫

○河上委員長 それでは、議題に入りたいと思います。本日の議題は、「消費者基本計画の検証・評価・監視について」であります。
消費者基本法においては、消費者政策会議が行う消費者基本計画の検証・評価・監視について、それらの結果の取りまとめを行おうとする際には、消費者委員会の意見を聞かなければならないとされております。このため、消費者委員会においては、毎年春と年末の2回にわたり、計画中の具体的施策の進捗状況等について、関係省庁に対してヒアリングを実施し、計画の改定に向けた意見表明を行ってきているところであります。
本日は、その第4回目といたしまして、資料1(PDF形式:100KB)PDFを別ウィンドウで開きますに掲載されている脱法(違法)対策、第2に住宅用太陽光発電システム、第3に特定商取引法のそれぞれについて、関係省庁からヒアリングを行いたいと思います。
なお、関係省庁ヒアリングの実施期間中は、消費者基本計画の改定作業を担当している消費者庁消費者政策課の村山課長にも御出席いただくこととしております。計画の内容等について、必要が生じた場合には適宜御説明をいただければと思います。

1)脱法(違法)ドラッグ(施策番号37-2)

○河上委員長 初めに、脱法(違法)ドラッグについてであります。消費者庁、厚生労働省、警察庁におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
本件につきましては、青少年を中心に違法ドラッグ、いわゆる「脱法ドラッグ」の乱用が広がり、重篤な中毒被害症状などの健康被害が多発し、薬物中毒による死者が発生することなどが社会問題化している状況を受け、平成24年4月に、消費者委員会として「違法ドラッグ対策に関する提言」を取りまとめ、市場から違法ドラッグを排除するため、第1に、成分構造が類似していれば、薬事法違反として一括して規制の対象にできる包括指定の導入、第2に、麻薬取締官に指定薬物を独自に捜査摘発できる司法警察職員としての取締権限を持たせるなどの、体制強化の検討等を要請したところであります。
これを受けて、本年7月に改定された消費者基本計画の具体的施策に、取締体制の強化等や消費者への情報提供・啓発の実施が盛り込まれたほか、本年11月には厚生労働省の薬事・食品衛生審議会指定薬物部会において、指定薬物の包括指定制度の導入についての答申が取りまとめられたと伺っております。
本日は、違法ドラッグをめぐる現状等について、厚生労働省、消費者庁から御報告をいただきたいと考えております。
それでは、厚生労働省から説明をお願いしたいと思います。説明時間については、短くて恐縮ですが、10分程度でお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○厚生労働省中井川監視指導・麻薬対策課長 ただいま御紹介いただきました、厚生労働省の監視指導・麻薬対策課長でございます。
では、私どものほうから、資料3(PDF形式:185KB)PDFを別ウィンドウで開きますに基づきまして御説明申し上げたいと存じます。
消費者基本計画におきましては、いわゆる脱法ドラッグ(違法ドラッグを含む)の取締り体制等の強化等を推進するとともに、消費者への情報提供・啓発活動を実施するという位置づけがございます。特に消費者委員会から私どもに対して、違法ドラッグ問題につきましては提言をいただいているところでございまして、それについての進捗状況と、先ほど委員長からも言及がございましたが、その内容について御説明申し上げたいと思います。
消費者委員会からいただきました御提言は、一つは、薬事法上の指定薬物への指定の迅速化、「包括指定」の導入、麻薬取締官への指定薬物の取締権限の付与、取締当局との連携、指定薬物もしくは脱法ドラッグに関する実態把握と情報提供・啓発の強化という点でございます。
以下、資料に基づきまして、順次、御説明申し上げたいと存じます。
まず、第1点目の指定薬物への指定の迅速化でございます。記載のとおり、従来は指定薬物部会は年に1、2回の開催頻度でございましたが、特に24年度につきましては、11月までに既に4回開催してございます。4月、8月、10月、11月でございます。このうち、11月につきましては、後ほど御説明いたします包括指定について御結論を得るということで、個別指定につきましては、今まで都合3回開きまして、34物質を指定してございます。これによりまして、現段階での指定薬物の個別指定の数は98物質という形になってございます。
このうち8物質につきましては、いわゆる海外での流通実態を踏まえた指定を、いわゆる国内で流通する前に予防的に指定をしております。これについては、また後ほど御説明いたします。
この資料には言及ございませんが、いわゆる指定薬物に指定した後の話でございます。指定薬物に指定した場合、通常であれば、いたちごっこという言葉を前々から申し上げたとおり、本来であれば別の物質に置きかわるということで、流通は止まるのが普通でございますが、その中でも一部の物質につきましては、引き続き流通の実態があります。その物質につきましては、私どもは、いわゆる実験の成果が得られ次第、麻薬への指定を行ってございます。これにつきましては、4物質を、8月3日付で新たに指定薬物から麻薬へ指定。いわゆる移しかえといいますか、そういうことを行っておりますし、去る11月にも、新たに6物質について関係検討会において一応結論を得て、新たに指定する方向で、現在、パブリックコメントをかけているという状況でございます。
2番目の取締り強化のための方策としての包括指定につきましては、後ほど、資料に基づきまして具体的に御説明申し上げたいと存じます。
麻薬取締官による指定薬物の取締り、及び薬事監視員による指定薬物の疑いがある物品の収去についてのいわゆる薬事法改正でございますが、これは、去る臨時国会には諸事情により提出には至りませんでしたので、次期通常国会で薬事法改正法案の中に盛り込む。前回の御説明でも、薬事法改正の中で、いわゆる政府提案でやることを申し上げたと思いますが、その方針が通常国会にずれ込んだという形でございます。
薬事法の改正は、例えば再生医療製品の話ですとか、医療機器の話ですとか、添付文書の話ですとか、その他、現下の薬事法が抱える諸課題についての制度改正を予定しております。その内容を盛り込む中に、重要課題として指定薬物関係の規制関係も入れるという対応でやってまいりたいと存じます。
規制に関する関係省庁との連携は、3月30日付で警察庁と共同で通達を出して、都道府県の薬事監視と都道府県警との、いわゆる監視指導と取締りの連動した活動をお願いしているところでございます。その活動を、引き続き、現在も行っているという状況でございます。
後ほど御説明いたします、海外で流通の実態があり、国内において流通の実態のない指定薬物につきましては、関税局に従来より情報提供を行っていますが、特に今回は、こういうものについて指定しましたということで注意喚起を行っている状況でございます。
啓発活動、情報提供につきましては、個人輸入・指定薬物等適正化対策事業。これは平成24年度の新規事業ですが、若干スタートがおくれておりまして、年明けには開催できるようにしたいと存じ上げております。具体的には、コールセンターで相談を受けながら情報を収集するとともに、独自のホームページをアップすることによる情報提供、行政機関との情報交換、海外情報の入手提供を業務の役割にしております。
啓発事業につきましては、私どもは従来から、小学校6年生の保護者、高校3年生本人、青少年向けの読本をつくっていますが、今年度から全面改訂いたしまして、違法ドラッグの危険性について周知するため、特に強調するような形でスペースを割く、強調するという形での改訂を行っている状況でございます。
2ページ目でございます。海外の流通情報、海外での各種の毒性の試験結果をもとに、国内でまだ流通はしていないが、予防的に指定されたものでございます。上の5つが第1弾ということで、10月17日公布・11月16日施行、下が第2弾ということで、12月17日公布で1月16日の施行を予定しているものでございます。
これらにつきましては、もちろん必要なものは日本において再度確認のための実験を行いますが、基本的には海外。今回の場合は特にヨーロッパが多かったわけでございますが、海外での流通実態の情報、海外での毒性試験結果、そういうものを踏まえた上で、国内で審議会、関係部会にかけた上で必要なものを指定した物質でございます。
次のページでございます。先ほど委員長からも御紹介いただきましたが、包括指定をしましたので、その内容について御説明申し上げたいと存じます。
この考え方といたしましては、真ん中にございますが、ナフトイルインドール骨格と申しまして、考え方としては、まず一つの基本骨格がございます。その基本骨格の、各吹き出しの矢印の先がございますが、その矢印の先のところがいろいろな構造に置きかわる。置換場所と言いますけれども、置きかわる場所を3か所特定いたしまして、3か所の各場所におきまして、吹き出しの例えば左側であれば、12種類の置換基がぶら下がっていくという姿にしております。
ということですので、単純に申し上げますと、各置換場所ですべての構造が置きかわるという意味で、順列組み合わせの関係と考えていただければよろしいわけでございます。例えば左側であれば、12種類置きかわる置換基があって、あとは置きかわらない場合があるということで、13通り。真ん中の場合は、メチル基が結合する場合としない場合で2通り。右の場合は31種類。ただ、この中でもそれぞれ場合分けがありますので、単純に掛け算でその数字にはなりませんけれども、基本的な考え方としては順列組み合わせで、全部掛け算をした数。そこから、麻薬・指定薬物に指定されているものですとか、あとは毒性が確認されないものを個別に除外する形で、合計775物質を、今回、指定対象にしたということでございます。
これは、具体的にたどっていけば、個々の物質は確実に特定されるという形になりますので、前の懸念事項として挙げられておりました罪刑法定主義の観点から、規制対象があいまいであるという御批判は一切いただかないような形での指定という形になってございます。
この中で、この世に存在が確認されている物質は61物質しかございません。およそ700の物質は、まだこの世に存在が確認されていない物質でございますので、私どもの政策的意図といたしましては、置換して新しい物質を製造する前に、あらかじめ予防的に規制の対象にする形にしているということでございます。包括指定につきましては、現在、パブリックコメントをかけておりまして、特に今回の場合、今までの個別指定とは性格を異にいたしますので、どんな意見が出てくるかは予断を許さない状況でございますが、早ければ1月の中旬には公布して、2月の中旬には施行していきたいと考えている次第でございます。
私からの説明は以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
引き続きまして、消費者庁からの御説明をお願いいたします。

○消費者庁村山消費者政策課長 本件、乱用実態、健康被害の実態把握と消費者への情報提供・啓発の強化という事項かと了解しております。資料は資料2(PDF形式:140KB)PDFを別ウィンドウで開きますになります。
消費者庁といたしましては、全国の消費生活センターから寄せられる消費者相談の情報を集約いたしましたPIO-NETに寄せられた情報を活用するため、9月28日付で、都道府県・政令指定都市の消費者行政担当課長、厚生労働省の担当課長宛てに、「消費者から寄せられたいわゆる脱法ドラッグに関する情報への対応について」というものを発出しております。こちらは、消費者から寄せられました情報が、都道府県の薬務担当部局に確実に届くようにというものでございます。都道府県の消費者行政担当部局に一度集約してから、情報提供をしていただくように依頼したものでございます。
消費者への情報提供・啓発についてということですけれども、政府部内で、関係各省等が作成したチラシを、都道府県等を通じて消費生活センターへ配布を行いまして、啓発に役立てていただいているところでございます。同様に、ポスターにつきましても自治体に配布し、啓発に役立っているというところでございます。
以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
警察庁につきましては、本日は質疑対応ということであります。
それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。
田島委員、どうぞ。

○田島委員 包括指定を消費者委員会が提言として出したところ、早速対応していただきまして、どうもありがとうございます。
3ページ目の包括指定の範囲のイメージをつらつらながめていますと、余りよくわからない。細かいことになりますけれども、一番右側に「31種類の置換基のいずれかが必ず結合する」、例として直鎖状アルキル基、これはいいのですけれども、末端に塩素などが結合したと。「など」となると、例えば、塩素ではなくてプロムなどがついた場合も考えられるとなると、果たして775でおさまるのか、よくわからない。イメージだからいいのかもしれませんけれども、言いたいことは何かといいますと、包括指定を実効性のあるものにしていただきたい。これからパブリックコメントをかけて、さまざまな問題が多分出てくると思います。それを精査して、せっかく包括指定を取り上げるのでしたらば、是非、実効性のあるものにしていただきたいとお願いいたします。

○厚生労働省中井川監視指導・麻薬対策課長 御指摘を踏まえて、対応したいと思います。「など」と書いてありますが、この「など」は別にその他大勢ということではなくて、特定の物質をやっておりますし、要は、31の中に、例えば何とかという物質が個々に特定されているものです。あくまでも31の範囲内におさまるということですので、775の範囲でいけるということでございます。

○河上委員長 ほかにいかがでしょうか。
山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 委員長見解としても、厚労省のほうでよくやっていただいているので、文書でも感謝申し上げているわけですが、基礎的なところで教えていただきたい。この包括指定で、法令のどの部分をどういうふうにいじることになるのか。その具体的な条文等を教えていただければと思います。
それから、先ほど、4物質については麻薬に指定したというお話がありましたが、これも、どの条文をどういうふうに解釈してそういう形になるのか。具体的に教えていただければと思います。

○厚生労働省中井川監視指導・麻薬対策課長 前者につきましては、もともと指定薬物は省令指定でございますので、まさにこの仕組みどおりの形で省令を新たに書き下ろす形になります。全体で書き下ろした上で、毒性のないことが確認されているものとか麻薬に該当するものは、個別の物質として除外するという規定方法になります。
麻薬は政令で規定されますので、麻薬に昇格、という言い方はちょっと不適切ですが、麻薬になった場合は、当然、指定薬物としての規制対象から除かれますので、指定薬物からは除外されるという形になります。一つの例として、包括指定の範囲に入っているものが麻薬になった場合は、包括規制を、省令の中から個別物質という形で、麻薬に該当するものは除外するというような規定の仕方になります。

○山口委員長代理 これは報道された内容で、実際にどうなったか、もし御存じであれば教えていただければと思います。和歌山県が、いわゆる監視製品を販売する業者の届出を義務化して、購入者も販売業者に、いわゆる吸入のような形で人体に使わないという誓約書の提出を義務づけるという条例案を考えられている、そういう報道まではされました。その後、どうなっているかというのはよくわからないのですが、自治体でもそういう工夫をされているというのは大変心強いところですが、その状況がわかっていれば、あるいは、その後の広がりなどがわかれば、教えていただければと思います。

○厚生労働省中井川監視指導・麻薬対策課長 和歌山の条例につきましては、御指摘のとおり、特定のものにつきまして事前に誓約書等を出させて、流通そのものを行政で規制といいますか、把握といいますか、そういうことをしていこうというアプローチであると聞いております。
それにつきまして、12月議会に上程を予定しているというところまで私どもは把握しておりますが、その後、上程された事実ですとか、その後の状況については、申しわけありませんが、現段階で私どもは把握しておりません。
ほかの地方公共団体の状況は、東京都は前々から条例という形で規定されていますが、新たに条例を既に制定したのが、大阪府、愛知県、兵庫県、徳島県、4つについて私どもは把握しているところでございます。
大阪府は、御案内のとおり、府が自ら指定した対象の薬物については、単純所持規制をかけるという条例をつくられたということ。愛知県の条例は、東京都の条例と内容はほぼ同じ形であるということ。兵庫県の場合は、青少年愛護条例の一部改正という形で、指定薬物の製造販売に場所を提供したり、場所の提供のあっせんをした者について直罰をかけるという内容、徳島県は東京都と同じ内容、そういうふうに承知しております。
以上です。

○河上委員長 ほかにいかがでしょうか。
前に議論があったときに、指定薬物であることを突き止めるといいますか、分析するのにある程度時間がかかるというお話がありました。今回、こういうふうに数が増えることになった場合、実際に該当するということを突き止める体制はどういう形で行われていますか。

○厚生労働省中井川監視指導・麻薬対策課長 私どもの基本的な方針といたしましては、個別に指定しているものは、日本国内において流通実態が認められているものですので、それを分析するための、標準品と申しておりますが、そういうものについては、各都道府県、各県警のほうで、原則としては準備していただくのが筋ではないか。ただ、検挙等で緊急を要する場合については、私ども国衛研という組織がございますけれども、そちらのほうで必要な支援をしていく。そういうスタンスに立っているところでございます。
その一方で、海外の情報に基づいたものですとか、今回の包括指定、まだ国内で流通実態が認められていないものにつきましては、それを各現場、現場でそろえるというのは、組織内で、予算要求とかあれしなければいけないときに、流通の実態がないものを何でそろえるのかという形で、当然、なかなかそろえにくいです。特に今回、この世に存在しない物質までそろえろというのは、自ら標準品をつくらなければいけないという話になりますので、それも物理的に不可能だという認識がございます。
そういうところでございますので、仮に国内流通実態以外の形での分析結果が出た場合は、国衛研に御相談していただければ、国衛研のほうで、当該物質の標準品を例えばぶつけるなりして同定をする作業は協力は惜しまないというスタンスでやっていきたいと考えております。いずれにしても、各都道府県と各県警とは、それぞれ、これからどういう体制がいいのかというのは相談をしていきたいと思っております。

○河上委員長 ほかにいかがでしょうか。
夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 御説明、ありがとうございました。厚生労働省におかれましては、包括指定なり薬事法の改正に向かって御検討いただいているということで、大変ありがたく思います。きょうは警察庁がお見えですので、厚労省のお取組みとは別に、警察庁としての独自の取締り強化とか、そういった対応策についてお聞かせいただければと思います。今、お話がございましたように、県でも条例を定めて対応しているにもかかわらず、脱法ドラッグがもとになっている事件の報道は後が絶えないわけでございますので、その辺のお話をいただければと思います。

○警察庁組織犯罪対策部薬物銃器対策課担当者 警察庁でございます。
今、お問い合わせがありました件でございます。警察におきましては、脱法ドラッグの問題に関しましては、幾つかの柱を持って対処してございます。まず、先ほどお話が厚労省からありました、本年3月30日付で、都道府県警察に対して指示をしておりますけれども、まずは県の薬務当局と都道府県警察が連携しての脱法ドラッグの販売店舗等の把握、そして、指導・警告を行っている。その中で、例えば扱っている脱法ドラッグの中に麻薬や指定薬物が含有されているような場合には、麻薬取締法違反あるいは薬事法違反ということで、検挙に向けた捜査を進めているところでございます。
あわせて、教育委員会等と連携いたしますとともに、ライオンズクラブ等、関係機関とも連携しまして、さまざまな広報・啓発を行っているところでございます。広報・啓発におきましては、厚生労働省、消費者庁、内閣府と連携して取組みを進めているところでございます。
また、お問合せのさまざまな事件でございます。これにつきましては、麻薬取締法違反あるいは指定薬物としての薬事法違反で、検挙しているものが大部分でございますけれども、中には、例えば脱法ドラッグを使用して自動車を運転して事故を起こした者、これにつきましては、業務上過失致死傷あるいは危険運転致死といった罪名を適用して取締りを行っているところでございます。
粗々でございますが、以上でございます。

○河上委員長 ほかにはよろしゅうございますか。
細川委員、どうぞ。

○細川委員 今、警察庁の取組みを御紹介いただきました。ちょうど担当者がお越しですけれども、組織名を見ると組織犯罪対策部薬物銃器対策課ということで、まさにこのイメージは、暴力団の資金源になるという視点で、組織犯罪の中で薬物、そして銃器を所掌されているというふうに私は理解しています。そういう意味で言うと、今回のこの問題は、暴力団とか、一部の人々が使っているというよりも、市場に流通してしまって、通常の商品であるかのように物が売られているところが問題になっているわけですから、取締りも、警察でどういう仕組みになっているかわかりませんが、暴力団対策とかいう視点ではなく、生活安全とか、特商法違反とか、そういうものも取り締まる中でやっていただきたい。そういうマインドも、警察官の意識といいますか、やっていると思いますけれども、そういうふうな視点を持っていただきたいと思います。
それと、麻薬取締官というのがおりますが、今、240名ぐらいですか。

○厚生労働省中井川監視指導・麻薬対策課長 270名です。

○細川委員 それは全国なわけですね。麻薬取締官と一般の警察との地方での連携はうまくいっているのか。その辺も気になるのですけれども、御紹介いただければと思います。所掌のすみわけがあるのですか。あるいは協力するなど。

○警察庁組織犯罪対策部薬物銃器対策課担当者 所掌に関しましては、薬物に関しては、警察は、覚醒剤、大麻から麻薬、薬事法上の指定薬物までが取締りの対象となっております。一方で麻薬取締官につきましては、指定薬物も、今後、取締りの対象にされるということで、薬物の取締りを主にやっていらっしゃるということではありますけれども、現場におきましては、都道府県警察の薬務部門と現場の麻薬取締官の間では、時に例えば密輸事件ですとか、さまざまな事件で合同して捜査を行うことも多々あるところでございます。現場におきましても、それぞれ協力できるところは協力して捜査を進めていっているものと承知しております。

○厚生労働省中井川監視指導・麻薬対策課長 警察庁が言われたのとほぼ同じですが、まず、大きな制度上の違いというのは、今は麻薬取締官は指定薬物は取締り権限がないので、そこは全部警察にお任せするしかないというのが現状です。
実際の麻薬、覚醒剤についてはどうかと申しますと、これは個別の事件ごとに、こういう言い方はあれですけれども、事件はそれぞれ個性がありますし、その時々の動きであれですので、必要があれば、警察と合同捜査等で協力体制、情報交換等もいたします。ある意味では、独自で動いたほうが検挙しやすいというパターンもありますので、これはまさに個別の事件によってという形の対応になります。

○河上委員長 よろしゅうございますか。
違法ドラッグ対策につきましては、当委員会で提言を行って以降、厚生労働省を中心に警察庁も協力をして、非常に精力的に取り組んでいただいているということで、この点については、12月4日の第106回委員会における委員長発言という形で、いつも注文するばかりであれですが、今回は高く評価させていただいたところでございます。
しかし、残念ながら、いまだに興味本位で違法ドラッグを吸引した若者が、呼吸困難に陥ったり死亡した例もございます。あるいは、交通事故等を引き起こして他人に危害を加えたという報道が後を絶ちません。市場から違法ドラッグを排除し、青少年を違法ドラッグから守るために、新しい成分に対して素早く対応できるための包括指定、一般消費者が容易に入手しにくくなる販売規制の導入など、必要な法整備を具体的かつ早急に進めていただくとともに、警察庁とも協力して強力な取締りを行っていただければと希望しております。よろしくお願いいたします。
厚生労働省、消費者庁、警察庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。

2)住宅用太陽光発電システム(施策番号40、41、45、80)

○河上委員長 続きまして、住宅用太陽光発電システムについてです。消費者庁と経済産業省にお越しいただいております。まことにありがとうございます。
本件については、近年における住宅用太陽光発電システムの急速な普及に伴い、販売に係る相談件数が増加している状況を受け、消費者委員会として、「住宅用太陽光発電システムの販売等に係る消費者問題についての提言」を平成24年3月に取りまとめ、第1に、特定商取引法や景品表示法による行政処分等の厳格な実施。第2、割賦販売法の厳格な運用によるクレジット会社の厳格な加盟店管理の推進。第3、業界団体を通じた販売方法の適正化、品質の向上のための取組みの要請。第4、余剰電力買取り制度や補助金といった支援制度等に関するわかりやすい情報提供について、関係省庁における取組みを求めたところであります。本日は、その後の取組み状況も踏まえまして、御説明をいただきたいと考えております。
それでは、最初に消費者庁から説明をお願いしたいと思います。説明時間につきましては、10分程度でお願いいたします。

○消費者庁山下取引対策課長 取引対策課の山下でございます。
3点、項目をいただいております。まず、1点目と2点目をまとめて御説明させていただきます。
太陽光発電システムやこれに類する太陽熱の温水器、あるいはヒートポンプ、こういったものを取り扱う事業者に対しまして、都道府県も含めて次に述べるような行政処分を行ってきております。事案は6つございます。
1つ目、平成20年10月20日、高知県が、訪問販売業者であるたくみ住設(個人事業者でしたので)こと水田清一に対して、指示を実施しております。
2つ目、平成21年11月26日、北海道が、訪問販売業者である株式会社ワールドエナジー、株式会社サン・ビックプライスに対しまして、12か月の業停を実施しております。
3つ目、平成23年9月20日、和歌山県が、訪問販売業者であります株式会社K.R.Cに対しまして、6か月の業停及び指示を実施しております。
4つ目、平成23年10月25日、消費者庁でございますが、訪問販売業者であります朝日ソーラー株式会社に対しまして、指示を行っております。
5つ目、23年3月29日、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県が、訪問販売業者であります株式会社コーエイ・アールシーに対しまして、3か月の業停を合同で実施しております。
最後、6つ目の事案になりますけれども、24年4月27日、香川県が、訪販業者であります株式会社アルファーシステムに対しまして、3か月の業停を実施しております。
過去の処分例について、総じて言いますと、環境問題、エネルギー問題等に対する近年の消費者の問題意識の高まりなどを背景に、太陽光発電システム等の環境にやさしいとされる機器について悪質な勧誘を行っていたものでございます。具体的には、例えば「モデル施工をさせてくれる家を探している」などと販売目的を告げずに勧誘を行った例、あるいは、「設置費はすべて無料である」などと、不実のことを告げて行うことがなされておりました。そのほかにも、書面の記載不備、あるいは執拗な勧誘を行うといった迷惑勧誘行為等も見られたところでございます。
3つ目の、「都道府県に対し、特商法の執行強化のためにどのような要請を行ったのか」ということでございますが、特商法に関しましては、特商法ブロック会議という会議がございます。これは各経済産業局が主催しまして、都道府県等も交えた会議になっているわけでございますが、ことしの3月に消費者委員会からいただいた提言を踏まえまして、本年度、9回にわたり特商法ブロック会議を開催しております。その場におきまして、特商法に違反する事業者に対して、引き続き、厳正に対処することを都道府県等に要請しているところでございます。
簡単ですが、私からは以上です。

○消費者庁片桐表示対策課長 景品表示法の取組み状況について、引き続き、御説明を申し上げます。
資料4(PDF形式:56KB)PDFを別ウィンドウで開きますになります。こちらに「景品表示法に基づく行政処分等の状況」ということで記載しております。消費者庁が景品表示法に基づいて行政処分を行った実績、1ポツのところでございます。最初のものが平成23年7月15日の日本ホットライフ、これは九州の事案です。また、平成24年10月30日の三光ホームに関するものでございます。
それぞれ別添で新聞発表分を掲載しておりますが、別添1(PDF形式:669KB)PDFを別ウィンドウで開きます日本ホットライフは、措置命令の概要のところをごらんいただければと思います。住宅用太陽光発電システムを売り込むということで、チラシ等の表示におきまして、電力買取で19万2,000円の節約、単純利回り8.0%、回収期間13年となっています。この数字のもとになっているのは、全量買取をもとにして試算したものでございまして、その半分程度を買取をするというのが実際でございますので、そこで実際と表示から受ける印象に乖離があったというものでございます。
別添2(PDF形式:772KB)PDFを別ウィンドウで開きますは三光ホームのものでございますけれども、これも、太陽光発電システムに係る利益についての不当表示でございます。例えば5ページ目の別紙1になりますけれども、赤い矢印があるところでございます。この発電システムを購入すると、合わせて月々25,631円の得ということでございます。これが、実際にはこれほどの利益を得られるものではなかったということで、こういったチラシ等の表示について措置命令をとったものでございます。
言うまでもなく、太陽光発電システムを一般消費者が選択するに際しまして、利益率、回収年限は、買うか買わないかの判断の重要な要素になるものでございます。そういった点につきまして、係る不当な表示が行われていたということでございまして、このような景品表示法の違反事例に対しましては、引き続き、厳正に対処したいと考えているものでございます。
恐縮ですが、資料4に戻っていただきまして、法執行強化のための都道府県等に対して行った対応というお尋ねでございます。これについては、まず、消費者庁所管の法令の執行担当研修というものが行われております。それから、行政ブロック会議ということで、全国7ブロックにおきまして開催しているブロック別の会議がございます。こういった場を通じまして、太陽光発電システムに係る不適切な表示、広告を行う事業者に対しまして、厳選な法執行に取り組んでいただくよう要請を行っているところでございます。
私からは以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。
引き続きまして、経済産業省資源エネルギー庁から説明をお願いします。説明時間は、あわせて10分程度でお願いいたします。

○経産省資源エネルギー庁村上省エネルギー・新エネルギー部新エネルギー対策課長 資料的に前後しますが、資料5-2(PDF形式:307KB)PDFを別ウィンドウで開きます資料5-3(PDF形式:251KB)PDFを別ウィンドウで開きます、あわせてごらんください。前半は前回の御報告にも一部重なるところがありますので、駆け足でやらせていただきます。
まず、足元の販売状況でございます。今年度の4月に100万件を突破して以降、住宅用太陽光については前から余剰の買取制度がございましたので、ことし話題になっています固定価格買取制度後も、住宅用に関して特に大きな制度変化があったわけではないのですが、順調に増えてございまして、恐らく本年度で約34万件、累積では132万件になるだろうという状況でございます。
3ページ目、導入支援策でございます。これも御案内のとおり、補助金制度と買取制度とございます。補助金制度につきましては、来年度で一たん、今の補助制度は終わることになります。これは民主党政権時代の仕分けの結果、そういう結論になってございますので、来年は補助金額もかなり下がることになるのではないかと思いますが、来年度まではこの二本立て体制。その後どうするかについては、新政権後、また議論ということだと思います。
買取制度の現状は、1キロワット当たり42円。先ほど、全量売るという不実告知があったということがございますが、大ざっぱに言うと半分くらい売れますので、月々の電気料金約7,000円の御家庭の場合、電気料金が3,660円に下がって、なお、余剰分を売ると9,000程度の収入。これが標準的でございます。当然でございますが、これは御家庭によって変わるということでございます。
ちなみに、補助金が下がりますと、その分、買取制度の価格を上げる。逆に言うと、補助金と買取価格がだぶらないように調整してございますので、遠い先ではございますが、補助金制度が仮になくなったとか、下がったという場合の消費者の方の実入りが、長期的に見れば実質的に変わるわけではございません。ただ、初期投入、初期費用負担というのは大きい問題でございますので、その辺、消費者の方がどう感じられるか。いろいろな感じ方があるだろうということでございますが、制度回りはそのような状況になってございます。
次に、消費者相談の状況。これは、消費生活センターから教えていただいた情報ベースでございますが、23年度で4,000件弱、24年度は12月19日の時点で約2,700件台程度ということでございますが、恐らく伸びるだろうと。先ほども見ていただきましたが、全体で約34万件の新規の導入案件に対して3,000件台でございます。おおむね1%程度の問い合わせ案件、相談件数が、全体との割合で見ると、上がりも減りもしていないという状況でございます。何とかこれを、比率で見ても減らす方向について頑張らなければいけない、こういう状況でございます。
次のページに、消費者相談の具体例ということでございますが、典型的には3分野でございまして、1つ目が不実告知。先ほど処分の御紹介がございましたが、発電量と発電収入について過大に言う、もしくは、補助金について確証がないまま、絶対大丈夫だからといったようなことを言う。こういった類型の話が多いように見受けられます。施工等に関する相談ということで、工事がずさん、配管等々ということ。それから、迷惑な勧誘方法ということでございます。
大別して不実告知の部分と勧誘方法の部分につきましては、弊省としてはとにかく業界団体と連携して、正確な知識の普及・広報に努めることかと思ってございます。消費者庁におかれては、厳しい案件についてきちっとした御指導をいただいて、私ども大変感謝をしております。広報の内容としましては、個々には御紹介いたしませんが、こういったさまざまな形での広報活動はかなり集中的に打っているつもりでございます。
例えばということで、資料5-3として1枚ペラを表裏お配りしてございます。これは先月つくりまして、主要な販売店、メーカー等、とにかく希望していただける方がいれば全社に希望枚数をお届けする。裏面には、実際に不実告知や勧誘方法に関する相談、施工に関する相談等々につきまして、改めて、連絡先も含めてこういった対応だということをやらせていただいております。業界団体の相談窓口もきちっとフル稼働できるようにということで、努力をしているつもりでございます。
最後、「PV施工技術者制度の創設」というページがございます。不実告知と勧誘のところにつきましては、私どもとしては、こういった広報や問い合わせの強化がメインの対策となるわけでございますが、施工品質につきましては、ようやくPV施工技術者制度を創設するのが平成25年3月からという運びになりました。前は、太陽光発電システム、PVメーカー個別に技術者に対して施工IDというのを与えて、我が社のパネルを扱う場合は是非このIDを持っている方を通じてというような、ばらばらのことでやっていたわけでございますが、太陽光発電協会のほうで、実質的には経済産業省の委託により実施した研修事業のカリキュラムをベースに、業界横断的な研修認定制度としてのPV施工技術者制度を立ち上げることになりました。
このたび、カリキュラムも徹底して見直しいたしまして、ここに合格をした人には認定証が発行される。認定証の有無及び認定者につきましては、ウェブ等でも確認できるようにするといったところから、信頼できる施工者が誰かということについて、消費者からも容易に確認ができる制度を構築していきたいと考えてございます。研修のペースがございますので、初回の認定者数は800人程度を見込むということでございますが、本制度のPRと修了者を早期に育成いたしまして、施工の面でも底上げを図りたい、かような状況で、現在、取組みを進めているところでございます。
私からは以上でございます。

○経済産業省苗村商務情報政策局商務流通保安グループ商取引監督課長 経済産業省商取引監督課長の苗村でございます。私のほうから、資料5-1(PDF形式:132KB)PDFを別ウィンドウで開きます、ワードの縦長の資料でございますけれども、これに基づきまして、太陽光発電装置等の販売に係る割賦販売法の適切な運用に向けた取組み状況について、御説明をさせていただきます。
まず、1番でございます。割賦販売に関するこれまでの対応状況でございます。(1)は、割賦販売法平成20年改正における措置ということで、施行自体は平成21年の12月になりますけれども、マル1については、個別クレジット事業者を、これまでなかった登録制度の対象にするということ。行政による監督規定の導入を行いました。
マル2については、個別クレジット業者が訪問販売等、いわゆる特商法5類型の取引を行う加盟店の行為について、その調査を義務づけることを行いまして、不適切な勧誘があった場合には、割賦販売法に基づいて消費者への与信を禁止する。具体的には、加盟店を契約するときの調査、与信契約を個々にするときの調査、苦情対応の調査を法律に盛り込んでございます。
(2)は、社団法人日本クレジット協会を通じた措置ということで、ここに書いてあるような要請を行っております。マル2について御説明しますと、消費者トラブルへの対応として、加盟店加入のために一層の取組みですとか、苦情相談への対応の充実、協会だけではなく、協会会員事業者に対する苦情相談への対応の充実ということになります。
2番でございますけれども、今回、その要請から時間がたったこともありますので、日本クレジット協会に依頼いたしまして、個別の事業者の取組み状況について確認をしております。裏ページに出典が書いてございますけれども、個別信用購入あっせん事業者149社を対象として調査をさせていただいております。この中で、この資料には書いてありませんけれども、太陽光発電システム関係の取扱いがある事業者が34社ございますので、全社を調査しましたが、実質的には34社分ということになります。
(1)加盟店の数につきましては、平成22年度から24年度上期までです。傾向がわかると思いますけれども、延べでこのような形で増加傾向にございます。工務店ですとか、専業でない人たちも含めて調査をしておりますので、数が非常に多くなっているということでございます。
取扱件数につきましても、平成22年度9万1,926件から、平成24年度上期、半年分で6万5,739件というふうに増加傾向にございます。
裏面ですけれども、(2)割賦販売法に基づく加盟店審査の状況について御説明します。平成21年10月以降、加盟店契約の締結を見送った件数は延べ461件。(3)契約時の調査、加盟店自体と契約を結ばないというスクリーニングを超えても、まだ全部拾いきれていないものがありますので、実際の勧誘時の適切性、ちゃんとした説明が行われたのか、不実告知は行われなかったかというようなことを、個別信用購入あっせん事業者が確認した結果、与信を見送ったケース。これについては若干少ないと私も思っておりますけれども、32件。
(4)ですけれども、契約締結後、クーリングオフ、抗弁の申立に関する支払い停止。こちらについてはかなり数が多くございまして、クーリングオフと抗弁申立、それぞれ書いてございます。クーリングオフについて、与信契約、売買契約と書いてありますが、若干補足させていただきますと、与信契約というのは、個別信用購入あっせん事業者に対して解約の申出があったもの。売買契約のほうは、販売店のほうに解約の申出があったものでございます。若干重なりがあろうかと思いますけれども、それぞれこのような形になっております。
苦情対応件数は、日本クレジット協会ではなく、個々の各社の苦情受付件数ですけれども、こちらについても、平成22年度192件から平成24年度上期半年で134件と、増加傾向にございます。苦情に伴う「加盟店情報交換制度」への登録件数についても、24年度上期に増えているという状況でございます。
引き続き、その状況を注視しながら対応を講じていきたいと考えております。
以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 ご説明ありがとうございます。提言をまとめるときにも議論をしたところですが、消費者にとっては、補助金が幾らになるのか、実際に現場の日当たりの具合で幾らの売電ができるのかという見通し、実際の工事の内容などがわかりにくいために、消費者としても安心して太陽光パネルを設置することが難しいということで、本来ならもっと伸びてもいいところが、なかなか伸びないという実情があったかと思います。消費者庁のほうでも、特商法あるいは景表法レベルで摘発の実績を上げておられますし、何とかこれで需要が伸びればいいなと思うところです。
ただ、実際に業界の状況を聞きますと、PV施工士が決定的に不足しているということです。ところが、今は求職が非常に厳しい状態ですね。なぜ、そういう人材の供給のアンバランスになってしまうのか。それは経産省に聞いてもしょうがないのかもしれませんけれども、技術水準を持った人の数がもっと伸びてもいいのではないかと思いますけれども、もう一歩伸びないわけです。業界の元気ももう一歩ないなというところがあるのですが、その辺どういう状況なのか、お聞かせいただければと思います。
一つあるのは、日本のメーカーではなくて、海外のメーカーのほうが安くていい商品が出るものだから、どうも日本の経済の活性化に結びついていないところもあるやに聞きますが、その辺はどうなのでしょうか。

○経済産業省資源エネルギー庁村上省エネルギー・新エネルギー部新エネルギー対策課長 施工士の数不足は御指摘のとおりでございます。そもそも、制度自身がこれから始める制度でございますので、とにかく数を増やさなければいけないという制度の問題と、一般論として、広い意味での施工できる立派な人がそもそも足りないという問題と、両方あろうかと思います。
まず、制度的に施工士の育成を急ぐというところは、これはとにかく何とかしたい。後段のほうにつきましては、一般の電気工事に強い方とか、地元の建設屋さんという方が、今、そもそも市場として苦しいという実情がございます。PV施工士だけでは残念ながら飯は食えないものですから、結果的には地元の電気屋さんだったり、ホームメーカー、土建屋さんなどでやっていただいていることが多いです。そもそも、レディメードの家が普及しているでありますとか、集合住宅がどんどん比率が増えているということで言えば、地元の電気工事に強い方とか、家のあれに強い方とか、大工さんとか、全体的には数が減っている状況にございます。その中で良質な人を、いかに設置工事もできる方としてうまく確保していけるかというのは、実は、メーカーも各流通業者も、自身の問題として大変苦労されているところでございます。
ただ、明るいニュースかもしれないということで言えば、固定価格買取制度が始まって以降、むしろこの分野に新規参入される方は増えていらっしゃいます。特に、今まで太陽光に見向きもされてこなかった一部の電気工事士の皆さんとか、場合によっては地元のガス屋さんとか、そういった方々がこの分野への参入を考えているというケースがございます。この中には電気系の資格取得者も多い。基本的には市場の競争の中でということにはなってまいりますけれども、PV施工士という制度の普及も含めて、是非、そこはクオリティを上げるように何とかしていきたいと思っています。概観を申し上げますと、そのような状況でございます。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。

○細川委員 消費者庁、経産省、それぞれ対応していただきまして、どうもありがとうございました。ただ、私のほうが問題提起した後、またちょっと違う状況に接しまして、皆さんもそうだと思いますけれども、自宅で新聞をとっていると不動産広告がいっぱい入ってきます。この前、マンションの広告が入ってきまして、それを見たら、太陽光発電システム付きマンションなのです。マンションの屋上に大きいのが載る、そういうマンションを売るらしくて、年間170万ぐらい売電でお金が入ります、10年で千何百万円入りますと。その帰属はまだ決めていなくて、入居者が管理組合をつくったら、それをどう使うか決めていただきますみたいな感じでしたけれども、マンションを売る大きなポイントとして太陽光発電システムをうたっているわけです。
そうなってくると、発電システムの売買、あるいは特商法の問題、割販法の問題、景表法の問題だけではなく、不動産広告として適正かどうかという視点も当然入ってきます。例えば、建売りで既に太陽光発電機がついているとか、マンションということもあるので、そうなってくると、後から不当表示を取り締まるというだけでなく、事前に不当表示を防ぐという方法も必要だと思います。例えば不動産の公正取引協議会辺りで何か基準をつくるとか、あるいは表現、そういうところを事前に業界で定めるとか、そういうこともやっていかないと、ますますそういうものが増えていくという感じがします。あるいは経産省も、不動産の中でそういうものが扱われた場合、国交省の話だということになるのか。それぞれ、御意見があればお聞きしたいと思います。

○経済産業省資源エネルギー庁村上省エネルギー・新エネルギー部新エネルギー対策課長 御指摘のように、集合住宅に載せるケースが増えてきているのは事実でございます。当然、この世界でございますから、ゼロということは絶対にあり得ないと思いますが、今のところ、幸いにして、余り大きな問題にまだなっていないと思っていますのは、大手ディベロッパーさん、具体的に言うと三井不動産とか、ああいうところがその手のタイプをやっていますが、今は実は彼らの販促費用の内数から持ち出しでやっていまして、太陽光がついていること自身では余りもうかっていない状況にございます。実質的には管理組合の共用部分に使うケースがほとんどでございます。
もちろん、小割りにして、かつ、割り当てた家ごとに補助金も取っていただくという形もないわけではないのですけれども、マンションの戸数にもよりますが、パネル0.5枚分くらいをみんなで分け合うような形になってしまうものですから、実質的にはそれをメリットとしては説明しにくいと。ディベロッパーに聞いても、太陽光パネルをつけている部分についての追加費用はほとんど実質的には販売価格には転嫁できていない。販促費用でコストをやっています。それだけに、モデレートにやっていらっしゃるということなのだと思います。
今後、案件の物件を二次流通させるときに、ディベロッパー自身ではなく、別な方が流通でかんできたときに、変なことを言わないかとか、それから、今の時点ではお金がかかるものですから、弱いディベロッパーは、パネルを載せた案件を開発する力がそもそもないと思われるので、少ないとは思います。今後、弱いディベロッパーの中でそういうことをやる方が出始めると、委員の御指摘のようなケースが出てくる可能性はあるという意味では、是非、消費者庁とも、あらかじめできる相談はし始めておくにしくはないということだと思います。自分が把握している雰囲気で申し上げますと、現状は申し上げたような感じでございます。

○消費者庁片桐表示対策課長 規約の話でございますけれども、御指摘は非常に大事な点だと思います。規約ですので、あくまで事業者の自主的な取組みではありますけれども、問題意識はしっかり伝えるようにしたいと思います。
実は、この三光ホームは協議会の会員でもありますけれども、景表法の観点から、やはりこれは非常に問題であるということで措置をとったものでございます。引き続き、こういうものについては積極的に消費者庁としても取り組んでいきたいと思います。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。
先ほどの細川委員の話ですけれども、例えば分譲マンションの広告に太陽光発電の利用に関する事項が含まれていたときには監督官庁はどこですか。経産省ではなくなるのですか。

○経済産業省資源エネルギー庁村上省エネルギー・新エネルギー部新エネルギー対策課長 不動産取引直接になりますと国土交通省になろうかと思いますが、いずれにせよ、この手の表示とか、その性能をどう表現するかというのは、やはり業界の問題ですので、それに関する正確な広報ということについては弊省に責任があると思っております。

○河上委員長 よろしいですか。
住宅用太陽光発電システムの販売については、提言でもお示ししましたとおり、特商法、景表法、割販法といった関係法令の厳正な執行、厳格な運用が必要であろうと思われます。本年の10月末にも、消費者庁が景表法に基づく措置命令を出され、当委員会の提言も踏まえて、鋭意取組みをいただいているところで、この点についてはお礼を申し上げたいと思います。今後、引き続き、関係省庁及び地方自治体における一層の厳正な法執行をお願いしたいと思います。
さらに、今も少し話題になりましたけれども、二次流通のところで問題が起きる可能性もございますので、その辺も視野におさめて、協力体制をつくっていただければありがたいと思います。
PV施工士認定制度については本年の11月に創設されたということで、その具体的な効果はまだわかりませんけれども、今後、同制度の適切な運用によりまして、業界全体の施工品質の水準の確保・向上が図られますように、経産省におかれましては、引き続き、同制度の運用に対し必要な支援を行っていただくようお願い申し上げます。
消費者庁、経済産業省におかれましては、お忙しいところ、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

3)特定商取引法(施策番号41、43、44-2)

○河上委員長 引き続きまして、特定商取引法についてであります。消費者庁におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
本件については、訪問購入に係る消費者被害を防止するため、訪問購入業者に対する各種行為規制の導入や、売り主による一定期間内のクーリングオフを認めるなど、所要の措置を講ずるための改正法案が本年8月に成立いたしました。消費者庁においては、来年2月の施行に向け、当該規制の適用除外となる物品または取引対応を規定する政令案の策定作業を進めており、去る12月14日には、内閣総理大臣より当委員会に対しても同政令案についての諮問が行われたところであります。
本日は、消費者庁から、改正特定商取引法の政令案に係る検討状況、内容、今後の予定等についても御説明をいただくとともに、あわせて、同法の執行力強化や抜本見直しといった中期的な課題、これはヒアリング項目2番~4番に対応しますが、こういうものについても御説明をいただきたいと考えております。
本議題につきましては、説明及び質疑応答を、ヒアリング項目1とヒアリング項目の2~4の2つの部分に分けて議論を行わせていただきたいと思います。
それでは、まず、ヒアリング項目1について説明をお願いします。政令案の概要については、先週の委員間打合せで事前に御説明をいただいておりますので、説明についてはポイントを絞って10分程度でお願いできればと思います。よろしくお願いします。

○消費者庁神宮司審議官 消費者庁の神宮司でございます。
今、委員長から概要についての御説明がございましたので、私からの説明は簡潔にさせていただきたいと思います。
私が、御説明いたしますヒアリング項目1に関する資料は、資料6-1、6-2、6-3になります。今回の特定商取引法の施行令の改正は、ことしの8月に成立いたしました特商法の一部改正を受けてのものでございますけれども、改正法の内容自体については資料6-2(PDF形式:200KB)PDFを別ウィンドウで開きますを御参照いただきたいと思います。政令の具体的内容だけを御説明させていただきたいと思います。
政令の改正内容につきましては、資料6-1(PDF形式:118KB)PDFを別ウィンドウで開きますの諮問書の後ろについております別紙に、その概要を書いてございますけれども、実質的な内容の改正と言えるものにつきましては、別紙1のうち、2と3になります。
まず、2につきましては、今回の特商法の改正におきまして、訪問購入という規制対象類型に入る物品につきましては、法律のほうで原則としてすべての物品という形になりまして、規制の対象としない物品につきましては、政令で除外することになったところでございます。政令で除外する要件として、法律に2つあります。
1つは、(ア)のところにございますけれども、簡単に申し上げれば、消費者の利益を損なうおそれがないと認められるか、あるいは、流通が著しく害されるおそれがあると認められるか。いずれかの要件を満たす場合は、政令で除外することができるとされていることを受けて、この要件に該当するかどうかを検討した結果として、(ア)、すなわち、消費者の利益を損なうおそれがないという観点から見て、(1)大型の家電及び(2)家具については除外が相当と考えているところでございます。
大型の家電と家具につきましては、いずれも日常生活において使うものであることから、通常の場合には、買い替えを想定して新しい商品を用意した上で現在使っている商品を売却するケースが多いかと考えます。したがいまして、消費者として売却することを考えた時点で、その大型の家電、家具につきましては不要であるという判断をしているかと思いますので、必要な物品を、意に反して売り離してしまうおそれは比較的小さいかと考えております。現に大型の家電、家具につきましては、トラブルはほとんどない実態にあるというふうに理解しております。
また、消費者の目から見ましたときに、大型の家電と家具については、店舗に持ち込んで売却をすることが容易な商品ではございません。今回の訪問購入の規制によって、訪問購入のサービスの供給量が減少する、あるいは、なくなるということになっていった場合には、かえって一般消費者の利益を阻害するおそれもあろうかと考えております。
次に(イ)、流通が著しく害されるおそれがあると認められる商品に該当すると考えられるものとして、自動車(ただし二輪のものを除く)、及び書籍並びにCD、DVD及びゲームソフト類、そして有価証券という3類型が除外相当と考えております。
自動車につきましては、道路運送車両法上、登録制度というものが、実質的には所有権を公示する機能を有している実態にあるものと認められますので、法律の制度上、そのような公示機能を有する制度ないしシステムが存在するときに、特商法の規定を導入することで、特にクーリングオフ制度等によって登録と所有権が乖離する実態があるということであれば、そのことについては流通を著しく阻害するおそれがあるというふうに認められるかと考えております。
書籍、CD、DVD、ゲームソフト類については、書籍について典型的に見られますように、束になってまとめて流通するという実態がございます。クーリングオフあるいは書面交付義務といった義務をかけることによって、個々の一点一点の書籍についてそういった権利が行使されることを考えるのは現実的ではなく、束になって流通することを前提としている現行のシステムを阻害するおそれがあろうかと考えております。
有価証券につきましては、主として商品券等を前提にしておりますけれども、商法の制度におきまして、これらを取得した第三者の保護を手厚くすることによって、取引の安全を図るということが既に法制度として存在しておりますので、これにつきまして、特定商取引法のクーリングオフ等の制度が導入されることによって、流通が著しく阻害するおそれがあると考えているところでございます。
続きまして、3のところでございますけれども、規制の適用除外とする取引類型を政令で定めることができます。ただし、こちらにつきましては一部適用除外ということで、氏名等の明示義務、勧誘意思の確認義務、再勧誘の禁止については適用になり、他方、クーリングオフなどの規制につきましては適用が除外されることになるものでございます。
これにつきましては、こちらでも法律上の要件として2つ定められておりますけれども、一つは、自宅などにおいて契約することが通例であること、あわせて、消費者の利益を損なうおそれがないと認められるという、この両方の要件を満たしている必要がございます。
これに該当するものといたしまして、一つは、(1)、(2)の御用聞き、常連取引。これにつきましては、おおむねお得意様向けの取引ということで、信頼関係のある消費者に対する販売が対象になっておりますけれども、既に訪問販売においても同種の適用除外が設けられておりますことから、消費者保護の観点から特段の問題が生じるとは考えにくいと思っております。
もう一つ、(3)につきましては、転居に際して行われる訪問購入でございます。これは、現実に存在するサービスとしましては、単身赴任などの事情で地方に暮らしている者が東京等に再度転居するような場合、単身赴任先等の家の中にある家財一式をリユース等を業とする事業者が買い取っていくサービスでございます。これも転居ということがございますので、その段階で消費者側としては、必要なものと不要なものの区別はした上で、不要となる物品の処分を行うためにこういった事業者のサービスを利用するということでございます。これにつきましても、不要な物を処分してしまうものですので、消費者の利益が害されることになるおそれは少なかろうかと考えているところでございます。
その他の点、1につきましては確認的な改正、4につきましては、どちらかというと専門技術的な改正ということで、1につきましては、訪問販売と訪問購入との定義規定についての均衡をとるかどうかということに関するものでございます。4につきましては、報告徴収を行う場合の相手方の範囲、報告徴収等を行う事項の範囲に関するものでございますので、専門技術的な改正と考えております。
以上、諮問させていただきました政令の概要でございます。この後につきましては、新年になりまして、経済産業省で消費経済審議会が開催される予定になっております。また、消費者委員会におきましても、今回の諮問に対して、答申のための審議を是非お願いしたいと思っております。
時間が切迫しておりまして、まことに申しわけないのでございますけれども、8月22日に公布いたしまして、6か月以内に施行しなければならないという状況にございますので、来年の2月半ばぐらいには施行しなければならないと考えております。一応、適用除外を中心とする改正ではありますけれども、罰則等の構成要件にかかわる部分もございますので、一定の周知期間は必要だろうと思っております。1月のできるだけ早いうちに公布はしたいと思っておりますので、よろしく御審議をお願いしたいと思います。
私からの説明は以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、ヒアリング項目の1について、御質問、御意見のある方は発言をお願いします。質疑の目安時間は15分程度でお願いしたいと思います。
いかがでしょうか。

○山口委員長代理 幾つか質問があります。まず、ア、イで例外と予定されている物品の中に家具がありますが、家具の中にも、先祖代々引き継いでいる貴重な黒檀のタンスとか、いろいろ高価なものがあり得ると思います。あるいは、有価証券といった場合には、商品券のことをおっしゃいましたが、例えば切手とか、収集したテレホンカードとか、いろいろな収集品もあるかと思います。そういう収集品及び骨董品のようなものはどうなるのか。これが一つです。
2つ目は、現実にこれは国民生活センターの被害情報なども出てきているかと思いますが、自動車については、特に中古車のいわゆる押し買い的な強引な買取りが、震災直後からかなり頻発していたと思います。そういう意味では、被害が実際に起こっているものについてなぜ適用除外になさるのか。先ほど、登録と所有権が乖離するようなことになると困るとおっしゃいましたが、現実にそういう乖離はこれまでにも全くないわけではない。消費者被害の防止という観点から言うと、わざわざ適用除外にする必要はないのではないか。むしろ適用対象にして、中古車の強引な買取りを防ぐという視点があっていいのではないか。これが2番目です。
3番目は、わざわざ有価証券を適用除外にされることの理由がよくわからない。なぜならば、先ほど商品券を例に挙げられましたけれども、商品券が押し買いの対象になる可能性は私はあると思います。現在、非常に問題になっております詐欺的投資勧誘の中では、買え買え商法とか、その他、お手持ちの金目のものを買い取りますというきっかけをつくってわけのわからないカギ括弧付きの権利を買ってしまう。そういう被害が横行しているわけです。有価証券が適用除外になることによってそういう被害のきっかけになりはしないか。これを適用除外にしなかったからということで取引業界に問題が起こるとはとても思えないけれども、なぜ、わざわざ取引除外にされるのか。
以上、3点、お願いします。

○消費者庁神宮司審議官 それでは、お答えいたします。
まず、第1点でございますけれども、収集品、骨董品につきましては、ここで言っている家具なり有価証券に該当するようなものであったとしても、それにつきましては、ここで言う適用除外の範囲には入らず、今回の訪問購入の規制対象類型の範囲に入ってくるということになります。

○山口委員長代理 それはどういう条文建てでやられるのですか。

○消費者庁神宮司審議官 今回の改正につきまして、政令での文言としては家具という形で書いていくことになりますけれども、現行の標準商品分類上も、例えば収集品の中で古家具といったものにつきましては収集品のほうに分類されて、家具のほうには入ってこないという形になっております。切手につきましては、定義上、有価証券に入らないということになりますが、テレホンカードなどでもし有価証券性のあるものがあるとすれば、それが券面額の価値を上回るものであれば、収集品に入ってくるという形になります。
これについては、政令の文言の条文上は単純に家具という書き方で書いていくことになります。収集品とか骨董品がそこに入らないということは、解釈の問題ということになりますけれども、その点は、現在の商品分類の形を前提とすれば、文言上は明確なことになろうかということがあります。

○山口委員長代理 済みません。収集品、骨董品は、家具とか有識者とまた別の範疇ということになるわけですか。

○消費者庁神宮司審議官 そうです。現在のところでは商品分類上、別の範疇、具体的には商品分類の番号で言うと、94の2という番号、骨董品が94の3になるようですけれども、そこに入っております。そして、御指摘のございました切手のほか、古家具といったもの、それから、テレホンカードはその他の収集品という扱いになるかと思います。
2点目は、自動車についてでございます。自動車につきましては、除外する理由は、あくまで流通に著しい阻害をもたらすおそれがあるという理由によるものでございます。確かに自動車につきましては、国民生活センターでも震災直後から、訪問購入をめぐるトラブルが報告されているところでございます。ただ、多くのトラブルの内容は、一括の査定システムを消費者のほうからアクセスすることをきっかけとして、自動車の買取業者のほうがその消費者に対して勧誘をかけてくる。それがしつこい、という形でのトラブルが主たるものかと思います。発生した時期、トラブルの内容等から見ましても、貴金属の訪問買取りにおいて用いられた、いわゆる押し買いとは社会的実態は少し違うものになっているのではないかと思っております。
登録と所有権の乖離が生じたとしても問題がないかどうかですけれども、ここについては、登録があるということ、そこに登録されている者は所有者であるということを信頼して中古自動車の取引がなされている。取引の安全が確保されている上に中古自動車のオークション市場が展開されているという関係にあります。これは一種のシステムでございますので、一度こういった規制がかかることによってシステム自体が阻害されてしまうことになると、それは後で回復することが難しい場合も出てくるかと思います。
来年の2月までの施行という段階におきまして、そこの部分について、システムを阻害してもいいというところまで踏み切ることは、私どものほうとしてはなし難いところがございましたので、流通阻害ということを重く見まして、除外が相当と考えているということでございます。
有価証券について、買いかえ商法との関係の御質問だったかと思います。これについては、買いかえ商法をやるような事業者は、特定物が欲しいわけではなく、彼らは金銭が欲しいわけでございます。その意味では取引の流れとしては、消費者のほうから買いかえ商法をやっている事業者に対して金銭が流れる取引ということになります。訪問購入は、取引の流れとしては、事業者が売り主である消費者に対してお金を出すほうの取引という形になりますので、社会的実態としては、買いかえ商法と訪問購入とは別の社会的事象ということで、一応、この問題は切り離してよいのではないかと思います。
実態的にも買いかえ商法の問題点というのは、何らかの権利を買うといって買わないことがむしろ問題でございますので、例えば特定物が失われるとか、そういう意味での問題点がそこで生じているわけではございません。
訪問購入の規制の目的は、消費者にとっては唯一のものである特定物が、意に反する買い取り行為によって失われてしまうことを防止するためのものでございます。そういった観点から見たときには、買いかえ商法との問題とは切り離していいのではないかと思っております。
有価証券については、トラブルを生じさせるきっかけになるかどうかということですけれども、先ほどのテレホンカードのように、券面額よりも上の価値を持つような物の買取りに関しては、確かにトラブルはございます。これは、貴金属の訪問買取りのきっかけになるということは当然あるかと思いますけれども、ここで適用除外いたしますのは、先ほど御説明いたしましたように、券面額相当、あるいは、それ以下で買い取るほうのものでございますので、それが貴金属等の訪問買取りのトラブルのきっかけになることはないのではないかと考えておりますし、現実にも、券面額、あるいはそれに近い数字で商品券を買い取るものに関して、トラブルが報告されているわけではないということでございます。

○河上委員長 小幡委員、どうぞ。

○小幡委員 今回、訪問購入について、ポジティブリストではない形でこのように法律ができた。したがって、消費者被害が今後出ないような形で運用されればよいと思うのですが、そうするとここの適用除外の定め方が重要になります。法律は、これとこれとこれという形の定め方ではなくて、全部にかかるものなので、適用除外のものをここで決めるということなのです。国会でせっかく成立したものでございますので、パブコメにかけるということですが、この辺り、消費者庁としては慎重に御判断いただければと思います。
今、山口委員長代理からのお話にございましたように、私も何点か思うのですが、例えば家具は分類表があるということですが、その分類表というのはどこにどうあるのかわからないのですが、家具という中にも、古家具とか、骨董品とかありましたけれども、飾り物がついている場合、それは古ければ古家具なのですか。その辺は非常にわかりにくいですね。おっしゃっているのは、大型の家具は確かにそれほどすぐは持っていけないし、普段使っているものを買いかえるような形であれば余り問題はないと思いますけれども、買取りの訪問に来た業者が、これ高くとれますよと言って、スツールのような小さなイスでも、実は高い値がつくものかもしれない。これは骨董品には当たらないかもしれませんし、何が古家具なのか、その辺は非常にわかりにくいですね。そういうものもあるので、家具とここに書かれますと非常に広いので、適用除外になるのが大きくなりすぎるのではないかという感じがいたします。
家電のほうは、携行が容易なものは除くとなっていますが、大型の家具であれば用意が要るかと思いますが、家具の中には小さなものもあるかもしれない。何も括弧書きがない家具ということなので、後で通達等で明示するというお話でしたが、古家具はどこまで古家具なのか、骨董品はどこまで骨董品なのか、なかなか家具との分類分けというのはわかりにくいように思います。
有価証券の話ですが、商品券等の場合、確かに小切手法、商法との関係が難しいことはわかりますが、無理やり消費者がかなり損をさせられる形で、訪問して買い取られることがあり得ないかというと、今は余りないということで、規制の必要はないという御判断のようですが、そもそも商品券のようなものはある程度値引かれることは皆わかっていて、問題は、買い取られるときにどのぐらい値引かれるか。そんな感じではないかと思うので、例えば、これをどこかに持っていけば半分ですが、6割で買い取ってあげますと言って信じたりすることも、絶対ないかというと、そうも言いきれないと思うのです。
ですから、取引の安全のほうの小切手法から来る話というのは、わからないでもないのですが、何か消費者被害の事態が生じた場合には、そこは、取引の安全を保護したいという一般法があり、しかし、特商法で、こういう訪問買取りについては消費者を保護するべきだということで新しく法律ができたわけで、どちらを優先すべきかという話になろうかと思いますので、今後の状況を見て、もし何か被害があるようであれば、そこは直されるという可能性はあるのでしょうか。家具と今の2点、お願いします。

○消費者庁神宮司審議官 家具についてでございますけれども、過去には、家具の範囲はどういうものかということについて、訪問販売に指定商品制がとられていた時代に例示が書いてあるものがあります。長くなりますが読み上げますと、「たんす、戸棚、本箱、書棚、飾り棚、下駄箱、衣装整理箱、裁縫箱、レコードキャビネット、机、テーブル、鏡台、調理台、流し台、ガス代、座椅子、スツール、イス、ベッド、マットレス」という形になっております。
したがいまして、特に携行が容易なものを除くということを書いておりませんのは、今、見た限りのものに関して言えば、もちろん少し小さいものはないわけではないですが、貴金属の訪問買取りの事業者たちというのは、普通の乗用車で買取りをやっていた実態がございます。その意味で言えば、普通の車内に持ち込むことができるレベルの大きさの物しか、貴金属の訪問買取り業者は対応できないかなと思っております。その観点から言えば、特に携行が容易なものを除くという形にしなくても、除外する物のイメージの範囲は大体カバーできるというか、イメージどおりのものがカバーできているのではないかと思っております。
古家具については、日常的に使っているものであれば、キズ等がついたりして、収集品としての価値がなくなっていくことになるのではないかと思いますので、そこはちょっと、御懸念ほど不明確であるということではないかと思います。必要があれば通達等で収集品の範囲を明らかにしておけば、もともと規制しようとしているのが貴金属の訪問買取りだったというところからすると、特にそこで脱法が出てくるということは、余りないのではないかなというふうに思っております。

○小幡委員 小さいキャビネットなどは家具なのでしょうか。

○消費者庁神宮司審議官 小さいというのはどれぐらいのことかわかりませんけれども、レコードキャビネットが例示で挙げられていますので、それと同じぐらいの大きさの物であれば一応家具には入るかと思います。ただ、それを普通の乗用車の中に持ち込むのは、普通はあり得ないというふうに考えております。
有価証券ですけれども、訪問してそれらを買いたたかれることはないかという御質問だったかと思います。券面額よりもどれぐらい割り引いて買い取るかということに関して、消費者側と事業者との間で思惑が違うことはあるかと思いますけれども、もともと訪問購入というのは、特定物というのを取り戻さなければならないという観点から、クーリングオフだけでなく、引き渡しの拒絶権から第三者に対する所有権の対抗まで、いろいろな規定を設けているというところがございます。有価証券についてそういう意味でのトラブルがあったとしても、それは、特定物を取り戻さなければならないという意味でのトラブルなのかというと、それはちょっと違うのではないかと思います。
商法のほうが一般法ですから、特商法で別の取引上の制度を設けても理論的に問題ないことは私たちもわかっていますが、問題は、議員修正の過程までを含めた今回の法律改正の中で、既存の道路運送車両法といったような別の法律の制度まで引っ繰り返すつもりで、そこまで明確に視野に入れて今回の法律改正がなされたかというと、議員修正の過程等、そのほか、いろいろ御意見をお伺いする中で、それはどうもなかったろうなというところではございます。政令で除外をしないという決断をすることは、政令改正というレベルのところで既存の法律の制度を引っ繰り返してしまうことになります。やはりそれが必要ということであれば、将来において何らかの深刻なトラブルが発生してという立法事実のもとに、今度はほかの法律も制度も引っ繰り返すこともやむを得ないという政策判断を経た上で、そのときには政令の改正を行っていけばよいのではないかと思っております。
もちろん政令ですので、法律改正に比べれば機動的にはできます。何らかの形で貴金属の訪問買取り業者による脱法が行われる、あるいは、貴金属の訪問買取りとは別の深刻な消費者トラブルが出てくるということがあれば、そのときは機動的に政令改正を諮問させていただきたいと思いますので、その際はよろしくお願いしたいと思います。

○河上委員長 夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 ただいま、議員修正でこういった法律になるというところにつきまして、既存の訪問購入については、考えていなかったのではないかという御発言がありましたけれども、結果として、原則としてすべての物品というふうに法律がなったわけです。押し買い、つまり不招請、招いていないにもかかわらず押し寄せてきて強引に買取りをする訪問形態というものは、あらゆる物品に派生する可能性があるということで、原則としてすべての物品について法律を適用するということではなかったのでしょうか、ということが一点。
ですから、原則としてすべての物品を対象にしているのであれば、アまたはイの要件を満たすものとして、適用除外をこのように当初から設けることについてはもっと慎重にしていただきたいと思っております。かといって2月の法律の施行をおくらせては、せっかくの特商法の改正という大きな仕事をなさったわけですので、その点は微妙なところなのですけれども、その上でもう一点、自動車についてお伺いします。
自動車の適用除外のところで「二輪のものを除く」というのが入っておりまして、先ほどから登録と所有権の乖離とか、登録制度の話が出てきますけれども、軽自動車は登録制度はないわけでございます。二輪もないわけでございます。軽自動車を入れて二輪を省いた。これは販売形態が違うとか、理由はおありかと思いますけれども、本当にそこで必要なのかどうか。自動車の中に普通乗用車、それから軽自動車も入れて除外しなければ、流通形態を著しく阻害するかどうかというところは、やはり慎重に御判断いただくべきではないかと思います。その辺のお考えをお聞かせください。

○消費者庁神宮司審議官 まず、一点目の不招請の勧誘、あるいは、不招請の訪問と言ったほうが正確かと思いますけれども、そのことについてお答えいたします。今度の特商法による訪問購入の規制を導入することが、どういうことを意味するかということについて言えば、契約締結を請求するという形を除いては、消費者が招請して、事業者が消費者の自宅を訪問するという場合でも、例えば査定などのために呼んだ場合は訪問購入の規制類型に入ってきてしまうことになります。訪問購入という規制類型に入るということは、消費者が招請した場合であっても、クーリングオフの規定は適用になるわけです。
ですから、例えば自動車でも、基本的には査定の要求をして、それを受けて自動車の買取り業者が訪問する形態が多いかとは思いますけれども、そういった形で招請訪問型のものまで規制対象になってしまうことから、逆に除外のことを考えなければならないという問題が発生しているということでございます。
その場合、クーリングオフ制度だけの適用除外というのがあって、例えば不招請勧誘の禁止規定のほうは別にかかるとか、不当勧誘行為の規制だけは別にかかるとか、もっと細かい形で法律のほうで適用除外類型が分かれていれば、今、御指摘があったようなイメージに近い形での適用除外の定め方もあるかとは思います。ただ、今度の法律の適用除外のやり方を前提にすれば、招請の訪問型で、かつ、消費者にとって有益なサービスのようなもの、あるいは流通システムとしては非常に重要なものがあったとしても、規制の対象になってしまうことがあるので、そこは、逆に除外することが相当であると考えたということでございます。
「慎重に」ということについては、もちろん慎重に考えていきたいとは思いますが、プロセスといたしましては、任意のパブリックコメントで意見募集をしたときには、非常に多くの物品が除外してほしいという意見が寄せられた中で、慎重に、慎重に考えて、現在の物品のリストに至っている。かなり絞った結果であるということは、是非、御理解をいただきたいと思っております。むしろ議員修正の過程でも、そういったまだよくわからない実態の訪問購入があった場合に備えて、調整弁として、政令によるネガティブリストを設ける余地を残しておこうという形での判断がなされた。それは間違いないと申し上げておきます。
軽自動車のお話については、私の説明に漏れておりましたけれども、御指摘のとおり、軽自動車については道路運送車両法上の登録制度はございませんので、軽自動車自体について、登録と所有権の乖離の問題が生じるわけではございません。しかしながら、現在の中古自動車の流通につきましては、多くの場合、インターネットオークションが介在して取引がなされております。インターネットオークションで表示されるものについては、通常の四輪の普通乗用車も軽自動車も区別されない形で掲示され、流通に付されているわけでございます。その意味で、軽自動車とそれ以外の四輪の自動車を分ける形で規制をかけることは、何を意味するかといいますと、インターネットオークション上、掲示されている物品のうち一部についてはクーリングオフの可能性がある、一部についてはクーリングオフの可能性がないという形になってきてしまいますので、それは流通の混乱を招くだろうという判断をしたということでございます。
二輪につきましては、道路運送車両法上の登録制度がないことだけではなく、流通のシステムとしても四輪の自動車とは別の流通システムのもとに置かれています。その意味では、流通の著しい混乱を招くというところまでは言えませんので、除外する理由がないというふうに考えているところでございます。

○河上委員長 山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 2つあります。一つは、条文が配られていますけれども、58条の17の2項第1号に、「その住居において売買契約の申込みをし又は売買契約を締結することを請求した者に対して行う訪問購入」とあります。消費者が、「うちに家具があるから、これを買って」といって業者が訪問した場合には、適用しないとなっています。その範囲がどの程度なのかというのは、確定的にきちんと説明いただいたほうがいいのではないかと思いますが、うちに売ってもいいかもしれない自動車があるから、幾らでお宅は買ってくれるのか、見積りに来てほしいと言って見積りに来てもらったところで、強引に持っていかれたという場合には、この適用除外が適用になるのか、ならないのか。どういう場合に2項の1号は適用しないということになるのか。これが一つ、説明を求めたい。
もう一つは、先ほど来の議論でもだんだん出てきたと思いますが、端的に言うと、自宅で押し買いの被害に遭うかもしれない消費者と、転得者、中古車をその事業者から買う人。あるいは有価証券を事業者から買う転得者と持って行かれた消費者と、どちらを保護するかという比較衡量の問題だと思うのです。
もう一回聞きますけれども、自動車の場合、事業者が消費者から強引に買い取って持っていったものを、1週間か2週間、売ってはいけませんという規制をかけても、全く問題はないのではないかと思いますけれども、そんなに転得者を保護しなければいけないのか。適用除外しないと、中古車自動車の流通業界がそんなに困るとは思えない。しつこいようですが、なぜ転得者をそれほど保護しなければいけないのか。その辺の説明がもう一歩よくわからないので、お願いします。

○消費者庁神宮司審議官 1点目につきましては、現在の特定商取引法のうち、訪問販売につきましても、26条第2項第1号においてほぼ同様の適用除外規定が置かれています。したがいまして、訪問購入と訪問販売とで同じように解釈をしなければならないと思います。
そして、訪問販売においてどういう解釈がとられているかということでございます。ちょっと長くなりますが、正確にということでしたので、東京高判平成21年4月15日の裁判例では、消費者への関心を喚起するために見積り等を行うと事業者が考え、まず見積りを求める消費者も想定されるということですけれども、「そのような者が住居への来訪を認めたことが、契約の申込み、または締結の意思の表示に当たるということは困難である」というふうに判示されております。これをやや一般化したものとしては、「顧客が取引意思を有しないまま契約準備に当たる行為のために事業者に自宅への来訪を求めても、同号の請求に当たるとは解されない」、すなわち、適用除外の範囲になるとは解されないというふうになっております。
これを受けまして、平成21年の通達で改正をしていますけれども、ここでも、商品等について単なる問い合わせまたは資料の郵送の依頼等を行った際に、販売業者等より訪問して説明をしたい旨の申し出があり、これを消費者が承諾した場合には、消費者から請求を行ったとは言えないということで、適用除外にはならないと考えております。
したがいまして、58条の17の第2項第1号の解釈におきましても、まだ取引の意思というものが確定していない状況で、とりあえず査定をしてもらって、値段を聞いてから売却するかどうかを考えるという形で消費者が自宅への訪問を要請したとしても、第58条の17第2項第1号の適用除外には当たらないと考えております。
先ほどの裁判例で、詳細まで決まっていることは要しないとまでは言っておりましたので、その趣旨は、訪問購入の適用除外の解釈についても生きると思いますけれども、売却する物が決まっていて、かつ、誰に売却するのかということが決まっているということでないと、なかなかこの適用除外の範囲に入るというふうに解することはできないのではないかと思っております。ここを緩く解しますと、訪問販売のほうでも脱法が出かねませんので、先ほどの東京高判の趣旨を踏まえれば、訪問購入においてもここは厳格に解釈していくべきであると思っております。
長々申し上げましたけれども、結論として、現在、中古自動車について行われている、一般消費者が一括査定システムにアプローチする形で査定を求め、それに応じて査定のために事業者が来訪するという形態につきましては、58条の17の第2項第1号の適用除外には当たらず、したがって、このままでは訪問購入の規制を受けることになるということでございます。したがって、政令での除外を検討せざるを得ないということでございます。
もう一つの御質問で、訪問購入業者から転得した別の第三者と消費者との比較衡量において、転得者のほうが常に優位にいなければならないのかどうかということです。この点につきましては、厳密に言えば、消費者たる売り主と転得者との個々の利益を比較衡量しているということではなく、そういった取引の安全を保護することによる利益と売り主の個別の利益というものの比較衡量において、取引の安全を確保するための制度が何らかのシステムの基礎になっているということだとすれば、それは、より広くの利害関係者が関わっているシステムのほうを守らなければならない、という判断をすべきなのではないかと考えているというところでございます。
例えば、そういった転得者たちが買おうとしている中古自動車の中には、場合によっては店舗で買取りがなされたものも入り得るわけです。なぜかというと、こういったオークションのシステムの中では、店舗で買い取ったものも訪問買取りで買い取ったものも区別なく全部のっかっていますから、そこから購入してくる人たち、転得する人たちというのは、そういった中古自動車も含めての転得者ということになります。そういった極めてすそ野の広い転得者の人たちにとって、登録があることが、事実上、所有権がある人だろうという信頼をもとに取引をしているので、その信頼を保護しなければならない、そういうことでございます。
業界が困るかどうかというお話がありましたけれども、法律の要件というのは、業界が困るかどうかということではなく、あくまで流通への阻害ということなので、一応そこでは、システムを守る利益と売り主たる消費者との利益との比較衡量をしているつもりでございます。

○河上委員長 予定していた時間を随分超えてしまいましたので、そろそろ締めたいと思いますけれども、クーリングオフができる商品であるかどうかの通知はするわけですから、それを見れば、ある程度わかることはわかるわけですから信頼保護の問題はあまり理由にはならないでしょうね。問題は流通システムということでしょうか。私からも、今日はいろいろ伺いたいことがありますけれども、時間なので、ここまでにしたいと思います。
神宮司審議官におかれましては、所用のためにここで退席ということでございます。お忙しいところを、まことにありがとうございました。
続きまして、ヒアリング項目2~4について、説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○消費者庁村山消費者政策課長 引き続き、ヒアリング項目2、3、4につきまして、簡単に御説明したいと思います。私からは、ヒアリング項目3につきまして御説明したいと思います。
ヒアリング項目3、「指定権利制のすき間や適用除外業種における消費者トラブルの発生状況について、どのように認識しているか」ということでございます。資料は、資料6-4(PDF形式:64KB)PDFを別ウィンドウで開きます6-5(PDF形式:227KB)PDFを別ウィンドウで開きますでございます。
特商法の適用除外業種ということで、適用除外業種を中心に御説明させていただきたいと思います。
特商法におきましては、他の法律で、消費者の利益を保護することができる商品の販売または役務の提供につきまして、法第2節~第4節の規定の適用除外とされております。この「他の法律」を一覧にしたものが資料6-4の法律でございます。
この表に関しましては、一応、成立順に並べてあります。あえて分類をいたしますと、1つには、貸金業法、金融商品取引法といった金融取引に関するもの。2つには、電気通信事業法、放送法といった通信・放送分野のもの。3つには、道路運送法、航空法といった運輸分野のもの。4つには、公認会計士法、司法書士法とございますが、国家資格を得て行う業務に関するもの。その他、以上の分類に属さないもの等に分けられるかと思います。便宜的に申して、ということでございます。
こうした適用除外となっている商品・役務に係るトラブルの状況につきまして、PIO-NETに寄せられている相談件数が多いものをピックアップしてまとめたものが、資料6-5でございます。
これは、国民生活センターが公表しております、「PIO-NETに見る2011年度の消費生活相談」という資料がありますが、その中で、商品・役務別に見て相談件数が多い順に25位までを公表しているものでございます。そのうち、特商法適用除外となっている商品・役務につきまして、相談件数の推移、主な相談事例をまとめたものでございます。
まず、サラ金・フリーローンでございます。こちらは、22年の改正貸金業法完全施行の効果もあると考えられますが、相談件数は大きく減少しております。相談内容といたしましては、債務整理など、今後の債務返済についての相談が多いように見受けられます。
続きまして、賃貸アパート・マンションでございます。相談件数を見ますと、ほぼ横ばいと見受けられます。退去時の原状復帰や敷金に関する相談が多いと見受けられます。ほとんどが店舗購入での契約であり、訪問販売、電話勧誘、通信販売に係る相談事例は少ないと考えられます。
続きまして、ファンド型投資商品。23年度は安愚楽牧場の事案の関係で急増していますけれども、24年度は減少しています。相談事例を見ますと、海外への投資あるいは実体の不明な権利への投資といった、詐欺的な投資勧誘と見られる事案についての相談事例が多く見受けられます。
移動通信サービス、インターネット接続回線、放送サービスと続きますが、移動通信サービスに関しましては、相談件数は足元では増加傾向と見受けられます。携帯電話やモバイルデータ通信サービス等の勧誘時の説明や、契約後の対応(解約等も含まれる)、こういったものに係る相談事例が多いようです。
インターネット接続回線も同様に相談件数は増加と見受けられます。プロバイダ契約、光回線の契約の勧誘方法、あるいは勧誘時の説明、契約後の対応に係る相談事例が多く見受けられます。
放送サービスでございますが、相談件数は23年度までは増加傾向にございました。23年7月の地デジ化完全実施にかかわるところが大きいようでございます。多くは、衛星放送、ワンセグといった公共放送の受信料の制度そのものに起因する相談や、その勧誘方法に係る相談が多いようでございます。
続きまして、公社債、株でございますが、公社債につきましては、相談件数は24年度に入ってから減少傾向にあるようです。ファンド型投資商品同様、詐欺的な投資勧誘と見られる事案に係る相談事例は課題として残っているようです。
株に関してでございます。相談件数は22年度をピークに、23年、24年と減少傾向に見てとれます。相談事例としては、引き続き、未公開株の勧誘に関する相談が課題としては残っております。
続きまして、生命保険でございます。相談件数は減少傾向にあるようです。相談事例を見ますと、給付額が少ないといったものや、契約時の説明不足によりトラブルになったものなどがございます。
以上のようなPIO-NET上の相談の状況を簡単にまとめてみますと、一つ、電気通信分野に関しましては、勧誘方法や勧誘時の説明、契約後の対応等に係る相談件数が増えておりまして、まさに先日の消費者委員会の提言においても示されたような状況が見てとれます。
2つ目といたしまして、金融分野に関しましては、行政当局あるいは関係の事業者等の取組みもありまして、相談件数で見れば、足元では一定の改善が見られております。しかしながら、引き続き、詐欺的な投資勧誘にかかわるトラブルが問題となっている状況でございます。
私からは、簡単ですが以上です。

○消費者庁山下取引対策課長 取引対策課でございますが、私からはヒアリング項目の2と4をあわせて御説明させていただきます。
まず、2でございます。「執行体制の強化に向けた取組み」ということですが、これまでも、限られたリソースの中ではございますが、国、経済産業局、都道府県の間で、執行面における連携あるいは法解釈の共有によりまして執行体制の強化を図ってまいりました。具体的には、消費者庁、経産局、都道府県の間で相互に立入検査を実施する、人員を派遣するということを行っております。それによりましてノウハウの共有を図ろうとしております。このような協力は平成23年度は3件、今年度は、これまでのところ5件実施されております。都道府県からも要請の高い分野でありますので、我々としても積極的に応えようとしている状況でございます。
これ以外にも、年2回、それぞれ70名程度の陣容で執行に係る研修を行っておりますし、また、特商法の分野、執行ネットというネットワークを構築しております。そこにおきまして、処分事例やその法解釈などにつきまして、突っ込んだ議論、あるいは情報共有を図っているところでございます。
人員に限りのある分野でございますが、以上、申し上げたような取組みを鋭意行っているという状況でございます。
項目4については、前回の消費者委員会で私のほうから申し上げましたように、指定権利制の廃止につきましては、現行の制度の建付けはどうなっているかと申しますと、実体のある役務提供にひもづけされている権利、これの販売が前提となっている。したがいまして、実体のない権利一般、役務の提供とひもづかない権利一般の売買を規制する、そういう建付けになっていないということでございますので、もしこれを広げるのであれば、それは新たな立法上の視点となると、前回、申し上げたところでございます。
他方、現行の枠組みにおきましても、例えば権利と言われるもの、通常ですと特商法の規制にならないわけですが、事業者が消費者に直接提供している場合にあっては、役務の提供として認定できる可能性があるということ。また、指定権利以外の権利の販売であっても、いわゆる手数料等を徴収して販売代行を行うような事案につきましては、販売代行という役務の提供ととらまえて規制の対象となる。これも前回申し上げたところでございます。我々としましては、指定権利制の廃止につきましては、被害の実態、運用上の工夫、こういったことを重ねて、今後、検討してまいりたい、こんなふうに思っているところでございます。
また、適用除外業種の見直しにつきまして、現行の法律の建付けとしましては、特定の適用除外業種につきましては、他の法令において消費者保護が図られていることが前提となっているわけでございます。その前提で申しますれば、引き続き、その法律を所管する関係省庁におきまして厳正な法執行を行っていただく。場合によっては、必要な対応、法改正だったり、ガイドラインの整備だったり、こういったことを行っていただくことが重要であろうかと考えておりまして、引き続き消費者庁としましても、関係省庁と密接に連携しながら取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、ヒアリング項目2~4について、御質問、御意見のある方はお願いいたします。

○山口委員長代理 御説明、ありがとうございました。今の指定権利制の問題、それから、その前に村山課長が説明されたすき間事案の問題をあわせて考えますと、資料6-5から見ても、サラ金・フリーローンなどの問題、宅建業法の関連の問題、それから、金商法適用になるのかならないか、微妙なところもありますが、その問題と、電気通信事業の問題、大きくこの4つの分野で多くの被害があるように思います。
いずれもかねてより問題になっている分野ではありますけれども、特に電気通信事業については、消費者委員会として提言もし、自主基準を業界ではつくられてはいますが、今、激しいシェア競争の中で、行き過ぎた代理店の行為がなかなか減らないという状況があって、来年3月には自主基準の浸透状況を集約して、それが減っていないようであれば、特商法の適用除外の廃止も含めて幅広に検討することをお願いしているわけです。
その種の検討をお願いしなければいけない分野として、宅建業もあるのではないか。さらには、金商法絡みのいわゆる金融商品についての適用除外もあるのではないかと思いますけれども、この辺の適用除外をどうするかという検討作業は、どういうタイムスケジュールですか。特商法の大幅改正の後、平成21年の施行から5年を目途にその検証をすることになっているかと思いますが、その辺の作業との関係で、適用除外の見直しについてはどういうタイムスケジュールで考えておられるのか、あるいは、どういう作業になるのか。その辺を御説明いただければと思います。

○消費者庁山下取引対策課長 今、山口委員長代理からありましたように、電気通信事業法につきましては御提言をいただいているわけでございまして、我々事務局としては、来年3月までの自主基準の改善、こういった状況を見ながら、今後、検討につなげていきたいと考えております。御指摘のように、平成20年の大改正におきまして、附則で5年後見直しという条項が入ったわけでございますので、我々としても当然こういったことを視野に入れながら、今後、検討していくかどうかも含めて中で議論していくことには間違いありません。

○山口委員長代理 具体的なタイムスケジュールが決まっているわけではないですね。

○消費者庁山下取引対策課長 これから検討しようと思います。

○河上委員長 ほかにいかがでしょうか。

○細川委員 先ほどの適用除外の考え方といいますか、村山さんから、ほかの法律で消費者保護が可能な分野、あるいは、いわゆる資格制度があってそこで消費者保護ができる分野というお話がありましたけれども、可能性があるというだけで適用除外をしていると、消費者被害は防げないですね。ほかの法律で消費者保護が図られているから適用除外するならわかりますけれども、ほかの法律があってそれがやれそうだから、特商法ではいじりませんというのであれば、そちらのある法律で消費者保護を十分図る対策をしなければいけないわけで、それは各省庁、規制官庁の責任ですよということになるような感じもしないでもない。
ただ、消費者庁がつくられた趣旨は、司令塔になりなさいということ、そして、消費者委員会は監視役ということで来たわけですから、消費者庁としては、苦情が多い分野については、それを持っている省庁に対して、二者択一で、お宅がやるか、やらなければうちが適用除外を外しますということを明言すればいい話ではないでしょうか。一定の期限をつけて様子を見る。その省庁がやれば特商法は外してもいいし、やらないのだったら、きちっと消費者庁が適用除外を外してやる。それがまさに消費者庁ができた趣旨であり、私は消費者庁のミッションだと思いますけれども、今、資料6-5を説明されて、多いですと言ってそれで終わり。その後は、ではどうしますというところが全然ないのも、ちょっとどうかなというふうに思うのですけれども、どうなのでしょうか。

○消費者庁山下取引対策課長 若干説明が重複してしまうかもしれませんが、現行法の制度を建付けにした場合、他法令で消費者保護が図られているという前提で適用除外となっているわけでございますので、筋を通せば、そこの法強化を図っていくことになるだろうと思っております。したがいまして、電気通信事業法については、今、動いているわけですけれども、他の適用除外法令におきましても、被害実態が深刻化していくのであれば、関係省庁で集まって議論をしていくことは必要になろうかと思っております。その上でどうするか。適用除外制度を廃止するかどうかを含めて再考していくのだろうというのが、私の今の考えでございます。

○細川委員 それは当たり前の話ですね。それをスピード感をもってスケジュールを定めてやっていかないと、ずっとそのまま続いて、時たま減るような現象があると、いや、減っています、様子見ますなんていう話にもなってしまうわけです。例えば、3万件が2万5,000件になっても、2万5,000件の消費者被害はあるわけです。何か消費者目線ではないというか、第三者的に、減っていますというような視点だけで判断しているような感じがして、毎回、この話になるとじれったいのですけれども、もう少ししっかりやるべきだと思うし、消費者委員会もしっかり、もっとほかの分野でも言うべきことは言うべきではないかと思います。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。よろしいですか。
もう神宮司さんはいらっしゃらないのですけれども、訪問購入の問題で、消費者トラブルを防止するためには、特に高齢者のところへ来て物を買い取っていく。ほとんど脅しに近い状況で持っていくわけです。ですから、まずは来させないということが大事だろうという話だったわけで、こういうトラブルを防止するためには、訪問購入規制の適用除外となる物品、あるいは、取引態様の範囲はできるだけ限定的であることが望ましいことは、言うまでもないことであります。あえて立法の過程で指定商品制を外して包括的な形に変えた、その立法の精神というのはやはり大事にしないといけないだろうと思います。その意味では、果たして適用除外として挙げられたものが、これで本当に適切なのかどうかということについては、さらに慎重に考えないといけない。委員の間でも随分懸念が示されているところであります。
ただ、今、御説明があったように、取引の円滑化に支障をもたらすという問題とか、消費者の利益をかえって損ねるという御配慮があるということでした。少なくとも、個別分野ごとに、消費者トラブル等の発生状況、取引実態などを踏まえて、今後、適切に処理することが必要であろうと思います。
当委員会としては、本日の消費者庁からの説明、あるいは委員からの発言等を踏まえまして、年明けの委員会において諮問に対する答申を行う予定であります。
また、消費者基本計画の関係省庁ヒアリングにおけるその他の議題、詐欺的投資勧誘、あるいは住宅用太陽光発電システム等などでも指摘いたしましたように、各種の消費者トラブルを迅速かつ適切に対処していくためには、都道府県、国の間での特商法の執行体制の強化とともに、指定権利制、適用除外業種の在り方等について、抜本的な見直しをすることが必要ではないかと思われます。先ほど、5年後の改正ということも話題になっておりましたけれども、これから立ち入った検討をしないといけないのではないかと思われます。
今回のヒアリングで、本件についての消費者庁としての問題意識や今後の見通しについてはある程度御説明をいただいたところですので、今後、さらに進んだ対応のための具体的な検討を、是非、進めていっていただければと思います。
消費者庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。

≪3.消費者教育について≫

○河上委員長 続きまして、「消費者教育について」であります。
本件につきましては、「消費者教育推進会議」が発足し、消費者教育の推進に関する基本方針の案の作成に向けた検討に着手するのに先駆けて、消費者委員会として一定の意見表明を行うことといたしております。このため、第104回の委員会(11月13日)で消費者教育に関する有識者からヒアリングを行い、第105回委員会(11月27日)において、消費者教育に積極的に取り組んでおられる消費者団体と地方自治体の方から、それぞれヒアリングを行うとともに、消費者基本計画の関係省庁ヒアリングの一環として、消費者庁と文部科学省より現在の取組み状況についての御報告をいただいたところであります。
本日は、これまでの議論を踏まえまして、今後、政府が基本方針の案を作成するに当たって特に重視するべきではないかと考えられる事項を、委員会の意見として取りまとめたいと思います。お手元に、資料7(PDF形式:164KB)PDFを別ウィンドウで開きますといたしまして、「消費者教育の推進に関する基本方針の策定に向けた意見(案)」を配付いたしておりますので、意見案について、夏目委員から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○夏目委員 それでは、資料7に基づいて、「消費者教育の推進に関する基本方針の策定に向けた意見(案)」を述べさせていただきます。
この意見案を述べるに当たっての消費者委員会の取組みは、今、委員長から御説明があったとおりでございますので、1ページのところは省きまして、具体的に私どもの意見を2ページから述べさせていただきます。
1つ目は、推進会議においてご留意いただきたい事項でございます。2つございます。
「(1)実質的かつ有効な調査審議の実施」をしていただきたいということでございます。消費者教育を総合的、体系的かつ効果的に推進していくためには、基本方針の案の作成に際して、消費者教育にかかわる多様な主体がこれまでの活動を通じて蓄積してきた経験、知見、ノウハウ等を最大限に活用していくことが重要であります。このため、推進会議において基本方針の案を検討するに際しては、十分な開催回数・審議時間を確保するとともに、委員間で実質的かつ有効な調査審議が行われるよう十分に配慮されたい。
なお、推進会議による以上のような活動を支えるため、消費者庁における消費者教育施策担当部署の拡充・強化を図るとともに、消費者庁や文部科学省をはじめとする関係省庁間における実効的な連携体制を構築されたい。
「(2)現場の実情に即した調査審議の実施」。推進会議において基本方針の案を検討するに際しては、学校や地域等の現場の実情を十分に踏まえた形で調査審議を進められたい。特に、各地方自治体の消費者行政担当部局や教育委員会、学校等が実際にどの程度消費者教育・啓発活動に取り組み、どのような課題を抱えているのか等について実態の把握を行い、その現実的な改善策を策定することが重要であります。
2番、「基本方針の案を検討する際に議論を深めていただきたい論点」でございます。こちらは6項目ございます。
「(1)消費者教育の意義・理念の周知・浸透」。推進法に「消費者市民社会」の概念が初めて明記され、消費者教育の基本理念が明確化されたことを踏まえ、これらの意義や理念を広く周知・浸透させるための具体的かつ効果的な方策について検討されたい。
「(2)消費者教育の内容・実施方法等の速やかな具体化」。推進法の成立を機に消費者教育を着実に前進させるためには、その内容や実施方法等について早期に具体化を図ることが必要です。このため、消費者教育を通じて優先的に提供すべき知識・情報等を明確にし、モデルとなる具体的指導事例の収集・提供の在り方等について検討されたい。
また、消費者教育の現場の観点に立てば、環境教育、食育、金融経済教育、法教育、国際理解教育等の関連分野と有機的な連携を図りつつ実施することが、効率的かつ効果的であることから、これを実現するための関係機関間の連携の在り方や教材・指導方法の在り方等について検討されたい。
3ページでございます。「(3)消費者教育を実施する担い手の育成・確保」。消費者教育の現場における課題として、指導者や講師となる人材が不足しているほか、教員の関心が必ずしも高くない等の問題が指摘されている。このため、消費者教育に係る教員育成カリキュラムの創設や研修の充実、消費生活相談員の講師への活用等、消費者教育に対して高い意欲を有する担い手を育成・確保するための効果的な方策について検討されたい。
「(4)学校教育分野における関係部局の連携強化」。学校教育分野における消費者教育を進展させるためには、各地方自治体の消費者行政担当部局と教育委員会等の間の連携強化が不可欠であるが、現状では積極的に連携を図るための取組みや仕組みが必ずしも十分であるとは言えない。特に推進法施行の初期段階においては、国が責任をもって推進法の趣旨や重要性について各地方自治体の関係部局に理解を求めるとともに、関係部局間での連携を促進するための措置を講ずることが必要と考えられることから、これを具体的かつ効果的に行うための方策について検討されたい。
「(5)地域協議会を実効的に機能させるための仕組みの構築」。推進法により、各地方自治体に消費者教育推進地域協議会の設置についての努力義務が課せられたが、多くの地方自治体や学校教育の現場では、恒常的に財源・人員不足の問題に直面しており、新たに地域協議会を立ち上げることによる負担の増加や、地域協議会による取組みの実効性について懸念する声が聞かれる。
このような現場の実情を踏まえ、既存の取組・枠組等の有効活用や地域協議会の活動への支援等、地域協議会を実効的に機能させるための方策について検討されたい。
また、地域における取組を通じて、現在、学校等において教育を受けていない消費者(幼児、成人、高齢者等)に対して、消費者教育・啓発を行うための効果的な方策についてもあわせて検討されたい。
「(6)消費者教育・啓発に係る自治体間格差を生じさせないための支援」。消費者教育・啓発分野では、これまでに具体的取組みを行ってこなかった地方自治体もあり、先導的な取組を行っている自治体との間には大きな格差が存在する。取組みが不十分な自治体を底上げし、自治体間格差を是正するため、教材や指導方法、担い手の育成・確保等の各面において、必要な支援策を検討されたい。
4ページでございます。また、消費者教育・啓発の現場である市区町村や学校、関連団体等への支援を行うに当たっては、国・都道府県間の役割分担の在り方について十分に検討されたい。
1ページにお戻りください。最後の段落でございます。
なお、推進法は、政府が基本方針の案を作成しようとするときには、当委員会等の意見を聞かなければならない旨を規定している。このため当委員会としては、作成された基本方針の案について政府に報告を求めるとともに、以下の指摘事項について十分な対応がなされているか検証を行った上で、再度意見を述べることとする。また、基本方針の策定後においても、これに基づく取組みが十分かつ効果的に行われているかについて引き続き注視し、必要に応じて意見表明を行う予定である。
本日の意見案は、以上のとおりでございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
この意見案について、御意見のある方は発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
細川委員、どうぞ。

○細川委員 中身の話ではなくて、これの意味というか、今後の役割ということになりますけれども、消費者教育推進会議というのが法律で定められたわけですけれども、よく言う八条委員会で、いわゆる審議会的な位置づけであって、これがどのぐらいの頻度で開催されるかという辺りもよくわからない。年2回ぐらいしか開催しないようなものになってしまうのではないか、そういう危惧もございます。そういう意味で言うと、消費者安全委員会も八条委員会ですし、我々消費者委員会も審議会レベルの八条委員会ということで、いろいろ問題がある中途半端な制度ではあります。
そうした中ではありますけれども、消費者委員会というのは、夏目委員が最後に読まれたように、基本方針の案を作成しようとするときは、政府からこちらに意見を聞くという立場です。事務局的には、八条委員会と八条委員会だから、こちらが意見を言う言い方も控えめにとか、そんな議論もあったような気がしますけれども、私は、そういうところはしっかり言うべきことは言ったほうがいいと思います。やはり消費者庁は独立した位置づけにあって、消費者行政全体の監視役という機能を負っているわけですから、今後も的確にもの申していくというスタンスは持ったほうがいいと思います。
ただ、専門調査会みたいなものをつくるということになると、消費者教育推進会議とだぶりがあると思います。そこまではできないとしても、消費者教育は重要だということも委員長が就任以来言われていることですので、今後も適宜適切に消費者教育については、消費者行政の監視機能としての消費者委員会は積極的にもの申すべきだと思います。その土台というか、基本的な考え方がきょうのこれに表明されているというふうに私は理解しております。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。
山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 消費者委員会で2回ヒアリングさせていただきましたけれども、やはり一番危機感を感じたのは、法律はできたけれども、自治体の現場のほうではなお様子見で、ここにもありますが、地域間格差もかなりあるという実態を踏まえますと、推進会議あるいは消費者庁の担当事務局が頑張って自治体に働きかけ、また自治体でも、担当のほうで関心をもって連携していただかないと、絵に描いた餅になりかねないと非常に危惧感を感じております。
その意味では、消費者委員会の意見を新しくできる政府のほうにもきちんと届けて働きかける。これは超党派でできた推進法ですので、何党がどうなろうと、推進しなければいけないことに変わりないわけですから、この方針で消費者委員会としてもやっていくし、消費者庁にも頑張っていただきたい。文部科学省にも頑張っていただきたいし、各自治体にも本当に頑張っていただくように、我々としても見守るようにしたい。その第1弾として非常に重要だと思います。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。
お二人の御発言に関しては、特に修正を求めるということではないと理解してよろしいですね。
それでは、ほかにもし御意見がなければ、この意見案については皆様の御了解をいただいたということで、「案」をとりまして、今後、消費者庁、文部科学省宛てに発出したいと思います。先ほど、細川委員が指摘してくださいましたが、消費者委員会ができた後、消費者教育の問題と地方消費者行政の活性化というのは、我々の委員会にとって非常に大きな課題であって、ずっと関心を抱き続けたことでもあります。今回、この法律ができ上がって新しく協議会ができ上がる。同じ八条委員会同士で、別に上から何かを言うつもりは全くございませんけれども、しかし、消費者委員会として監視機能を果たしながら、言うべきことはきちんと言うということで、今後とも頑張ってモニターをしていきたいと思っているところでございます。
基本方針の案につきましては、今後、消費者教育推進会議における議論を踏まえて政府が作成することになりますけれども、その際には、当委員会からの意見にも十分留意して検討を進めていただくことを、心から期待いたします。
また、推進法の規定によって、政府が基本方針の案を作成する際には当委員会の意見を聞かなくてはならないとされております。当委員会としては、この意見における指摘事項について、十分な対応がなされているかどうかといった辺りを検証しつつ、再度、正式に意見を述べることにいたします。
本日の議題は以上でございます。
お忙しい中、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。

≪4.閉会≫

○河上委員長 最後に、事務局から今後の予定についての説明をお願いいたします。

○原事務局長 本日も長時間、ありがとうございました。
消費者基本計画の検証・評価・監視のヒアリングは本日で終了ということで、年明け、意見をまとめていく作業をお願いしたいと思っております。
傍聴の方も、年末、本当にありがとうございました。
次回の委員会につきましては、年明け1月15日(火曜日)の16時からを予定しております。
議題につきましては、決まり次第、委員会のホームページにも掲載させていただきたいと思います。
事務局からは以上です。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。
お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)