第94回 消費者委員会 議事録

日時

2012年6月26日(火)16:00~18:37

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 河上委員長、山口委員長代理、小幡委員、
 田島委員、夏目委員、細川委員、吉田委員
【説明者】
 消費者庁  林地方協力課長
黒田消費者政策課長
 河村真紀子  全国消費者行政ウォッチねっと事務局次長
 丸山善弘  消費者会議かながわ代表幹事
 岩本 諭  佐賀大学副学長・経済学部教授
【事務局】
 原事務局長、小田審議官

議事次第

1.開会
2.地方消費者行政について
 (1) 地方消費者行政の充実・強化のための指針について
○説明者: 消費者庁  林地方協力課長
 (2) 有識者からのヒアリング
○説明者: 河村真紀子 全国消費者行政ウォッチねっと事務局次長
丸山善弘 消費者会議かながわ代表幹事
岩本諭 佐賀大学副学長・経済学部教授
3.消費者基本計画改定原案について
○説明者: 消費者庁  黒田消費者政策課長
4.その他
5.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:8KB)
【資料1】 地方消費者行政の充実・強化のための指針について(消費者庁提出資料) 【資料2】 地方消費者行政の充実に対するウォッチねっとの取組みと要望事項(全国消費者行政ウォッチねっと提出資料) 【資料3】 地方消費者行政に関するヒアリング関連資料(消費者会議かながわ提出資料) 【資料4】 「地方消費者行政に関する委員会ヒアリング」発言概要(岩本教授提出資料)(PDF形式:198KB)
【資料5】 消費者基本計画改定原案関連資料(消費者庁提出資料) 【資料6】 東京電力の家庭用電気料金値上げ認可申請に関する消費者委員会としての現時点の考え方」について(PDF形式:115KB)
【参考資料】 委員間打合せ概要(PDF形式:85KB)

≪1.開会≫

○河上委員長 本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第94回)」会合を開催いたします。
本日は、所用により、稲継委員、村井委員、川戸委員が欠席の予定となっております。
最初に、配付資料の確認をお願いいたします。

○原事務局長 配付資料ですけれども、議事次第と書かれた紙の下に一覧を載せております。
資料1といたしまして、消費者庁から御準備いただきました、「地方消費者行政の充実・強化のための指針について」の関連資料です。
資料2、3、4につきましては、その後、予定しております地方消費者行政充実のための有識者ヒアリングの資料です。
資料5ですけれども、「消費者基本計画改定原案関連資料」ということで、消費者庁に御準備いただいた資料になります。
資料6といたしまして、「東京電力の家庭用電気料金値上げ認可申請に関する消費者委員会としての現時点の考え方」ということで、6月19日に文章化したものをつけております。
参考資料1といたしまして、この間、委員間打合せを6月19日に開催していますので、その概要をおつけしております。
不足ございましたら、審議の途中でお申し出いただければと思います。
それでは、どうぞよろしくお願いいたします。

≪2.地方消費者行政について≫

○河上委員長 それでは、議題に入ります。
第1の議題は「地方消費者行政について」ということです。本議題につきましては二部構成としております。前半は、消費者庁においでいただきまして、「地方消費者行政の充実・強化のための指針」について、ヒアリングを行いたいと思います。後半は、それを前提に有識者の皆様からヒアリングを行いたいと考えております。


1) 地方消費者行政の充実・強化のための指針について

○河上委員長 まず、「地方消費者行政の充実・強化のための指針」についてということで、消費者庁におかれましては、お忙しいところを御出席いただき、誠にありがとうございます。よろしくお願いいたします。
消費者委員会では、平成23年4月に「地方消費者行政の活性化に向けた対応策についての建議」を発出いたしまして、その後も、消費者庁の対応状況等について継続的にフォローアップを実施してきているところでございます。特に、委員会としては、今年度末で期限を迎える地方消費者行政活性化基金につきましては、基金終了後も各自治体の取組が充実し、後退することがないように、制度、財政、人材等の面から支援が必要であると考えております。
消費者庁におきましては、基金終了後における地方消費者行政の充実・強化に向けた指針をとりまとめているということでございまして、本日は、その指針の原案につきまして御報告をいただき、議論を行いたいと考えております。
それでは、御説明をお願いいたします。

○消費者庁林地方協力課長 それでは、お手元の資料に基づきまして御説明をさせていただきたいと思います。資料は1-11-2ということで、概要ペーパーと原案本体をお配りさせていただいております。
中身に入ります前に、原案の前半部分に、現況調査を通じて把握した、この間の消費者行政体制あるいは予算の推移のデータを載せておりますので、まず、指針本体の1ページをごらんいただきたいと思います。消費者委員会の提言の中でも、この間の基金や光交付金といったさまざまな財政支援措置の効果について、検証・評価を行った上で、基金後の財政支援措置の在り方について検討すべきだという御指摘をいただいておりました。23年度までだった基金の活用期限も、1年間延長ということになりまして、47自治体すべて、24年度まで延長しておりますので、今年度が全国的には最終年度になるということでございます。
表1に、メニュー別の基金の活用状況を載せております。もともとこの基金をスタートいたしましたときには、いろいろ御批判もいただきましたけれども、人件費には使えないという形でスタートしたわけです。その後、新規増員あるいは処遇改善分について、人件費にも活用可能という形にした関係上、このメニュー別の活用状況をごらんいただきますと、下から2つ目の一元化相談窓口緊急整備事業、これが人件費に充当しているメニューでございます。ここは21年度、開始当初は4.8%でございましたけれども、22年度、23年度と推移をごらんいただきますと、徐々に比率が上がってまいりまして、23年度では2割程度の基金を活用していただいています。これは金額ベースですので、全体の中に占める割合がこのぐらいのオーダーになっているということです。
一方、消費者行政予算全体の推移も次のページの表2に載せております。すべての自治体の合計が上の方に載っておりまして、22年度、23年度と210億円規模。平成24年度は当初予算の数字になっていますので、今後の推移がありますけれども、200億円弱という形になっております。特に一番下に市町村等の基金以外の予算を載せております。上の欄には基金の額を載せているわけですが、基金の活用が進んで、これが呼び水効果にもなって、自主財源も、徐々にではありますけれども、拡充されてきているという状況が伺えるかと思います。
更に、表3で消費生活センター数の推移を載せております。もともと501か所でスタートしたわけですが、220か所程度増えて、721という数になっております。次のページには相談員の方の数も載せておりますが、これも2,800名でスタートして3,351名まで伸びてまいりました。
この背景は、表5、表6にあります、市町村における相談窓口の設置状況や相談員の配置状況、これが進んだことが大きな要因になっています。相談窓口の設置状況は、消費生活センターに格上げされたものがありますので、若干出入りがありますけれども、特に表5の相談窓口がない市町村の数が、平成21年には413あったものが、154まで減り、1割を切っているということです。相談員の配置の状況につきましても、窓口はあるけれども専門的な人材の配置がない市町村の数が、従前、47.3%あったわけですけれども、これも4割を切ってきて、徐々に相談員の配置が進んでいる。県によっては、すべての市町村に窓口を設置して、相談員の配置もされているといった状況にまで拡充されてきたということでございます。
一方、実際の予算構成については、表7に基金の占める割合を人口規模別で示しております。全体では3割強が基金の占める割合、平成24年度ではそういう数字になっていますけれども、大規模な市町村ほどその占める比率は低いという状況になっておりまして、特に人口5万人未満のところになると基金の占める割合が5割を超えてくる。
特に23年度と24年度の数字を比較していただきたいと思いますが、23年度の方が数字が大きくなっています。24年度は基金の最終年度ということもあって、人件費に充当する際には自主財源を2分の1充ててくださいというルールにしています。これはある種、激変緩和措置的にそういうルールで運用されています。ですから、全体として小規模な市町村でも比較的数字は小さく出ていますけれども、22年度、23年度を見ていただきますと、特に1万人未満のところでは7割を超える数字になっておりまして、やはり基金への依存が非常に大きいことがうかがえます。特にこの間の財政支援措置で体制を整備し、それによって維持がされてきました。24年度は、県とのそういったルールもありまして、自主財源の確保を何とかしながら体制の維持がされてきているという状況かと思います。
こうしたことを踏まえて、今後、体制をどう整備をしていくかということが重要なポイントになってくるのではないかと認識しております。基金が呼び水効果になって、予算的にも体制的にも、徐々にではありますけれども、地方の消費者行政体制は充実の方向にありますが、25年度以降、この体制を維持、更に強化していくためにはやはり継続的な支援が欠かせないのではないか。特に今の予算構成の状況を見ますと、特に小規模な市町村ほど財源の確保に苦しんでいるのが実態でございますので、ここをどうしていくのか。
同時に、県と市町村の役割分担というのも一方で大きな課題だと思っております。全国的には、都道府県や市町村にこだわることなく、専門的な高度な知識を有する人材の養成に取り組んでいる自治体もありますので、こうした全国に波及の及ぶような先進的な取組も支援させていただきながら、基本的には市町村の基礎的な消費者行政体制をいかに支えていくかというのが、今後のポイントなのではないかと思っております。
こうした実態を踏まえて、今回の「地方消費者行政の充実・強化のための指針」につきましては、財政制約や人的な資源の限界がある中で、地方の現場でも工夫をされて体制の確保や新たな取組をされていることがありますので、地方でも、また国においても、必要な人員・予算の確保に向けて、参考となるような事項を、できる限り地方の声を受けとめながらとりまとめさせていただいて、提言として示させていただきたいというふうに思っているところであります。
この指針につきましては、6月12日に、まずは素案という形で、自治体の担当者の皆さんには東京に集まっていただいて説明会を開催いたしました。実質的には、原案を作成する過程でも既に地方の意見は吸い上げを行っておりまして、できる限り反映させていただいております。更に、19日から意見募集ということでいわゆるパブコメをかけて、この金曜日まで意見募集をさせていただきたいと思っております。このことも踏まえて、更に絞り込みといいますか、ブラッシュアップをしていきたい。
手続的には、先週22日の与党民主党のPTに、この原案をかけて御説明をさせていただきました。今後、29日まで意見募集をする予定にしていますので、そのことを踏まえて修正をさせていただいた上で、7月6日、民主党のPTは定例日が毎週金曜日の朝開かれますので、ここで了承をいただく形で、とりまとめの方向に持っていければと思っております。いずれにしましても、党との関係では、国会日程もにらみながらということになりますが、スケジュール感としてはそういう方向で考えております。
指針の内容については、時間もございませんので、資料1-1に従いまして御説明させていただきたいと思います。
構成としては、基本的な方向性を示しながら、現実に地方の現場で行われている取組を踏まえながら、自治体への期待ということで提言をとりまとめた上で、これを支援する消費者庁の取組も併せて示させていただきたいと思っております。
基本的な方向性は3点を考えております。最も基礎的な、地方消費者行政の核になる消費生活相談体制をいかにつくっていくかということで、「どこに住んでいても消費生活相談を受けられる体制づくり」を、1つ目の柱にしております。
更に、地方での法執行の強化という観点から、「法の厳正な執行と連携強化」を2本目の柱にさせていただきました。この柱の中には、今、国会で審議をお願いしております、消費者安全法の改正による新たな事故調査機関の創設も内容として含んでいるものでございます。
3点目として、「地域社会の消費者問題解決力の向上」ということで、消費者団体をはじめとする多様な主体との連携による、総合力の向上をこの項目の柱にさせていただいております。この中には、先日、参議院で法案を審議していただきましたけれども、消費者教育推進法といったものが議員立法で動きが出ております。この中には地方での取組は当然予定されているものですから、こうしたことも視野に入れながら、この項目については検討しているところでございます。
中身の話ですけれども、「どこにいても消費生活相談を受けられる体制づくり」につきましては、この3年間で、人口カバー率で言いますと、そもそも窓口のない市町村が1割を切ったわけです。人口カバー率で見ると、99%くらいまで、相談窓口でカバーをしている人口は増えてまいりました。しかし、限界的なところがある程度出てきておりまして、人口密度の薄いところや島嶼部は、なかなか独立で持つことができないという状況も見えてきております。
こうした中で、広域連携による取組なども既に50を超える実例が出てきておりますので、さまざまな工夫による相談体制の整備、それと同時に、都道府県と役割分担、連携をすることも大事だと思っております。内容面でのバックアップも含めて、実際に地元の町村で独立した窓口を設けることが難しいところでは、都道府県のサブセンターの役割も重要になってくると思いますので、そういったこともこの中に位置づけをさせていただきたいと思っております。
相談体制の基盤整備との関係では、従前から、雇止めの問題をはじめとして処遇の改善が指摘されています。自治体によっては、専門的な知識を有する資格者の確保が難しい中で、資格取得を要件として雇止めを適用除外にするといった事例も出てきていますから、こういったことも御紹介させていただきながら、とりまとめをさせていただきたいと思っております。
2点目の法執行の関係については、人員体制の問題で、従前から何度も御紹介しておりますけれども、執行力を確保するという意味で、経験のある現職の警察官やOBの方を受け入れることが有効である、あるいは、広域的な事情に対応するために、日常的に隣県との複数県による協働・連携といった取組が非常に重要だと思っておりまして、こういったことも御紹介させていただきたいと思っております。
3点目です。従来から言われておりますように、知事、市町村長といった首長に、消費者行政の重要性に対する認識を深めていただくことも大事なポイントだと思っております。また、そのためのわかりやすい指標の提示も考えていかなければいけないことだと思っております。
指針につきましては、今、事務担当者で手分けをして、地方六団体の事務局にもお示しして、是非連携させていただきたいといった申入れもしております。また、先ほど御紹介させていただきました雇止めの問題につきましても、総務省の担当者と今の状況について意見交換をさせていただきました。なかなか新しい動きというのはすぐに出てくる状況ではないようですけれども、少なくとも、一律の雇止めといった問題が今の運用として問題であることについては、認識を共有させていただいた。ここについては総務省も同じような考えを持っていますので、できる限り連携・協力をしていきたいというふうに思っております。
消費者教育の関係では、今の消費者教育推進法では、地方でも、協議会組織などをつくって体系的な取組をするといったことが盛り込まれる予定になっています。こうした観点から、地方ともいかに連携していくのかといったことも今後の新しい課題なのではないかと思っております。
その上で、消費者庁の取組として、従来から継続的に行ってまいりました支援と合わせて、自治体の方の一番の関心事は、25年度予算をはじめとして、今後、いかに国が支援を継続していくのかといったことが重要なポイントになるかと思っております。恐らくここにつきましては、この委員会でもいろいろ御指摘をいただくことになると思いますけれども、できる限りこの段階で方向性を示せるように努力していきたいと思っております。
この指針のエッセンスにつきましては、今、改定作業を進めている消費者基本計画の中にも盛り込みまして、併せて閣議決定をできるように調整を進めている状況です。それに加えまして、相談員資格の問題、PIO-NETの刷新ということで、並行して取り組んでいる課題についても示したいと思っております。そのほか、現在、いずれも国会で審議をお願いしている事項ですけれども、特商法の改正、消安法の改正、食品表示の一元化といった問題についても、新たな取組ということをここの中で位置づけをさせていただきたいと思っております。
最終的な決定の手続といいますか、段取りにつきましては、政務三役も含めて御相談をさせていただいた上で、しかるべき手続をとって決定という段取りにさせていただきたいと思っております。
私からの説明は以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
ただいま御説明いただきました内容について、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
吉田委員、お願いいたします。

○吉田委員 意見といいますか、要望になります。自治体においては、来年度予算に向けて、基金で膨らんだ分をどう一般財源化していくかという、自治体内部での闘いに入っていきます。私がヒアリングをした限りでは、この指針がその後押しになればいいなと思っていますけれども、なかなかこれでは人事・財政と闘えないという話をよく聞きます。一方で、国の財政的な支援が来年度はどうなるかということも大きな関心事で、それをもって人事・財政と闘っていくことになるかと思いますので、いろいろ調整をされて大変だと思いますが、なるべく早く国の財政の支援のありようを見せていただいて、地方が元気をもって人事・財政と闘っていけるよう、指針や財政支援のあり方がある種武器のような形になればありがたいと思います。
それから、指針を随時改定されていくと伺っておりますので、どんどんブラッシュアップして地方が使えるものになっていけばいいなということで、感想というか、お願いです。
以上です。

○河上委員長 何かございますか。

○消費者庁林地方協力課長 実は私のところにも自治体の方から、これは期待という言葉で書いていますけれども、もう少しあるべき論として示してもらえないかといった声もありまして、どういう位置づけで、どの程度の記述ぶりがいいのかというのはちょっと悩ましいなと思っているところです。今、パブコメなどを通じて意見の吸い上げを行っているところですので、最終的にどういう書きぶりにするのかというのは、また考えさせていただきたいと思います。
この指針については、先ほど申し上げた基本計画との関係もありますので、財務省とは内々調整をさせていただいております。その関係もありまして、やわらかいというか、丸い表現になっています。逆に言うと、この時点でこういう支援が必要だということについては、政府部内でも認知されて、基本計画の内容としても盛り込まれることができれば、一応この段階での位置づけができることになるのではないかと思っております。財務省との関係で言いますと、財政のような言葉が入っているだけで非常にピリピリされるので、なかなか気を使うところではありますけれども、できる限り調整をさせていただいた上で、具体像が浮かぶような内容にこれからも努力をしていきたいと思います。

○河上委員長 夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 大変すばらしい数字を上げていただきまして、基金の利用状況が本当にわかるということで、ありがたい数字だと思います。
一点、お伺いしたいのは、窓口の未設置割合のところは人口カバー率で99%まで達成している。これは本当にすばらしいとは思うのですけれども、ただ、数字で言いますと、相談窓口がない市町村はやはり8.9%で、154ある。恐らく山間部とか、島嶼部とか、大変難しい状況のところかと思いますけれども、カバー率と、実際の市町村の窓口がなしというところを考えましたときに、例えば154のなしの市町村、数字だけではなく、市町村がどのようにお考えなのか。人的にも財源的にも無理なので今後も設置できないという状況なのかどうか。調査をした中でおわかりであれば、お話をいただきたいと思います。
併せて、未配置のところで、相談員の配置がないという割合は37.4%で、高い数字が出ております。その辺の調査した段階での御感想とか、聞き取った内容でおわかりになったら、教えていただきたいと思います。

○消費者庁林地方協力課長 私どもも、県を通じて市町村の担当者を集めていただいて意見交換をしている中では、実はそこに来ている人たちは窓口を既に設置をしているところです。もうちょっと言いますと、相談員の配置も済んでいるところが実は多かったです。未配置の自治体の方もいらっしゃっても、県の人の配慮もあってなかなか声が出ないことが多くて、指名をして声を聞いたりということをやっていました。特に窓口を設置して相談員が未配置いうところは、県によっても随分違いますけれども、自治体というのは横を見るので、県内の市町村で残り一つ、二つという状況になってくると、変な話ですが、耐えきれなくなって相談員の配置をするということが傾向としては多くあります。
一方で、本当にまだ窓口もないところもあります。ここは、参加していただいた自治体もかなりありますけれども、なかなか出口は見えていないというのが私の受けた印象です。これは恐らく、自治体の方からヒアリングをしていただくと更に明らかになると思います。私も10県程度回って話を聞いてきましたけれども、どこの県も、この3年間は、評価はいろいろあると思いますが、各市町村、特に首長や副市長のところに直接行って、窓口設置についての働きかけを熱心にやられているところが相当あります。その中でもなかなか取組ができていないところについては、やはり一つきっかけが要るのではないかという感じを持っております。従前の取組だけでは、今、できていないところがこれからできるかというと、難しいところがあるなという感じを受けております。
理想は、やはりすべての市町村に窓口を設けていただく。少なくとも専門的な窓口につなげるような窓口を設けていただくことは必要だと思いますけれども、それでも難しいところは、県との連携も考えないといけないのではないかという感じも持っております。これは地域によって相当差がありますので、一律ではありませんけれども、やはり地域の実情に応じて、いろいろな工夫で実行上カバーをしていくという方法をとらざるを得ないのではないか。
東京都で言いますと、島嶼部というのはかなりあって、当然のことながら、ここは窓口がありません。東京都の意向を聞いてみたことがありますけれども、そこに人的な窓口をつくって例えば来所で相談を受けられる体制ができるかというと、それはなかなか難しい。詰まるところ、都センで電話で相談を受けることでカバーしていかざるを得ないというのが現状認識でして、こういったところも含めて考えますと、最近は出前相談のようなことをやられているところもあるので、そういったことも含めて、できる限り需要を受けとめるやり方を工夫してくということも併せて考えていかないといけないのではないかと思っております。

○河上委員長 山口委員。

○山口委員長代理 私は、消費者庁の取組がどういうふうになるのかということに注目しているのですが、吉田委員がいつもいうように、地方消費者行政の充実は人と資金的な手当に尽きると思いますけれども、消費者庁の方で財政的な措置をちゃんとやるから、地方もしっかりやるようにと。どうもそれが余り見えてこないような感じがして、もう少しすっきりと、財政措置を講じるから地方もしっかりやりなさいよというふうに変えてほしいなと思います。
一生懸命読むと、19ページの基本的な考え方の本文の5行目辺りに、「また、基金が終了する平成25年度以降においても、積極的に取り組む自治体を積極的に支援し、下支えできるよう、財源確保に向け、最低限の努力をしていきます」とあります。しかし、これだけでは抽象的でよくわからない。でも、やっていただけるのかなという感じはするのですが、23ページの下の方には、「一括交付金化の動きは進んでおらず、過渡的な措置として新たな財政支援を設けることが必要と考えます」ということで、「基金終了後の新たな財政支援は、次の2つの柱によります」と書いてあります。財政支援の規模とか、その他、基金の水準を下回らない程度にやるからちゃんとやりなさいという、その辺の財源のレベルが見える書きぶりができないのか。これが1点目です。
2点目は、人の関係です。20ページの真ん中辺りに、相談員処遇の改善の働きかけということが書かれていますし、24ページには、相談員資格の法的位置づけの明確化が書かれていますが、これも、単に自治体の首長に働きかけていきます、あるいは、相談員資格を法的に位置づけることで期待していますと。しかし、「働きかけ」「期待する」だけではどうなのかなと思います。具体的に研修の資金的手当もして、継続的な研修なり、その他をきちんと裏打ちしながら、法的な資格制度を位置づけるとか、処遇改善についても何らかの手当をすると。勿論、消費者委員会としても雇止めについては建議の対象に入れているわけですから、総務省との関係でもどういうふうにするのかということについて、庁に頑張ってと言うだけでは済まない。消費者委員会としても具体的に検討して、雇止めの問題等についてはどうするのかという建設的なことを発信しなければいけないと思いますが、この辺について、もう一歩踏み込んだ言い方ができないのかというのが2点目です。
最後に、PIO-NETの関係ですが、24ページの(3)に「刷新」だけ書かれています。これは消費者委員会として、PIO-NETの入力の手間がかなり相談員の作業の重圧になっている、サービス残業でPIO-NET入力をしているという実情について、何とかなりませんかということを繰り返し言ってきました。これは、交付税措置で講じているのだから二重に出すわけにいかないということでしたが、交付税措置の交付金は、地方消費者行政の相談員の人件費に回っていないという現実を踏まえて、どうするのかというのがあります。
もう一つ、地方のヒアリングをしてわかったのは、入力をしたPIO-NET情報を都道府県の行政の職員がチェックしています。このチェックに1人、2人、ほとんど常駐でかかりきりでやっているという話を聞くと、チェックの作業の人件費を考える余地はないのでしょうか。そこもちょっと言いたくなるのですが、PIO-NETの入力あるいはチェックのための費用について、何とかなりませんか。3点目はそれです。お願いします。

○消費者庁林地方協力課長 まず、1点目の規模感の話です。この時期、先ほど申し上げたような基本計画との関係も含めて、規模を示すというのは、申し訳ありませんが、無理だと思います。多分それを書くと、書いた瞬間に消されるだけで、財政支援という言葉も本当は相当センシティブで、財務省の認識からすれば、これは予算折衝の前の過程ですので、基本はゼロからのスタート。要求官庁としての姿勢を示すというのは一つあるかもしれませんが、それにしてもこの時期に数字を出す、あるいは規模感を示すというのは非常に難しいと思います。
その意味で随時改定と申し上げているのは、例えば消費者庁としても要求を出してしまえば、それは要求数字として堂々と書けるわけです。ですが、今の時期は、どの規模で出すかを消費者庁としても決定できていないわけです。それを出すことは、財務省との関係も勿論ありますし、消費者庁としてもなかなか難しいことなのかなというふうに思っています。
処遇の問題については、確かにダイレクトに効く手立てがなくて、雇止めの問題も、いろいろなルートで総務省にも働きかけをしたいと思っていますけれども、究極的には自治体の任用上の判断ということがある。今の総務省から出ている文書なども、よく見ると、任用回数に制限を入れているといっても、それは公募によらない再任用の話で、例えば回数制限5回といっても、公募にかけた上で同じ人を採用してもいいわけです。例えばそういったことも自治体は認識がないのだと思います。ですから、今の制度の運用の中でどういうことができて、どういうことができないのかということを、丁寧にきちんと説明することも大事なポイントなのではないかと思っております。また、この指針を定めさせていただくタイミングで、これは大臣とも相談ですけれども、改めて雇止めの問題については、自治体に対してきちんと文書で示すことも大事なことだと思っております。
給与の水準の問題については、適正水準的なことを示せていないというのは御指摘のとおりで、今の交付税の体系からすれば、年額300万円という数字になっているわけですけれども、そんな数字には全然達していないのが実態です。では、どういう額が妥当なのかというのを、もう少し精査をした上で示せるといいのかなという気はしています。その意味ではまだまだ検討不足のところがあると思います。
3点目PIO-NETの話ですけれども、PIO-NETのダブルチェックの問題というのは、私も従前からこれは問題だと思っています、いろいろな意味で。というのは、PIO-NETの従前の仕組みが、県のメインセンターでしか情報入力ができないというシステム構成になっていまして、市町村に入った相談情報は実は紙ベースで県に寄せられて、それを県の予算で外部委託してパンチで打ち込ませていたというのが実態です。それを直接入力方式に切りかえたときに、県のメインセンターが基本全部チェックするという仕組みだけ、今でも確かに残っています。
これは、そもそも個人情報保護条例との関係でも、その条例を所管している自治体の内部決裁が終わっているのに、本来上下関係でもない都道府県がダブルチェックをするというのは、いろいろな意味でおかしいと思います。ですから、今のPIO-NETの刷新の検討会でも、ダブルチェックについては手間の問題もあるので、基本的には義務化はしない、やめたいところはやめてくださいということにしたいと思っております。
入力支援の問題については、私も、PIO-NETの刷新の検討会を通じていろいろな方の御意見を伺っていて非常に思ったのは、PIO-NETというのは、情報をためて、それを後から分析する機能は非常に充実している部分がありますけれども、相談員の方からすると単に入力するための機械になっていて、相談を処理するための支援ツールが全くないということです。今回のPIO-NETの刷新については、今は情報システムの技術が進んでいますので、入力そのものの手間を減らす技術的な刷新も行いたいと思っていますけれども、同時に、特に若手や中堅の相談員さんの仕事を考えると、内容的に相談処理を支援できる機能、例えばマニュアル化とか、FAQを用意するといった機能が必要だと思っています。単に情報をためる箱ではなく、本当に相談処理に役立つシステムにしなければいけないと思っております。
最後の入力負担の話ですけれども、これはもう従前からの繰り返しになってしまうので、同じ答えをさせていただくしかないのですが、交付税措置をされているということ以前に、もともと国と地方との関係で言いますと、先ほど、かつてのシステムの話をさせていただきました。かつてのシステムのときは県に集約するから、県にサーバーがあったわけです。国民生活センターはホストコンピュータを持って、そこに県から送られてくるデータを集約していた。システム構成からいくと、県は県の負担をしていたわけです。入力の外部委託費に対して、国は補助をするという形をとっていました。ですから、端末にしても、ネットワーク回線にしても応分の負担をしていたわけです。
三位一体改革のときに何があったかというと、人件費の問題というのは実は残った最後のポイントなわけですが、そもそも相談処理をしてそれをPIO-NETに入力をする過程、システム運営に伴う経費、これについて地方が負担している部分について、国が補助をするというやり方を一切やめて、すべての外部的に発生する経費は国が負担しますというやり方に変えたわけです。ですから、これも繰り返しになりますが、今は、端末のリースも、回線利用料も、果てはプリンタに使用している紙代も国民生活センターが負担しています。唯一、地方が負担しているかもしれないと感じているのは相談員の人件費なわけですけれども、相談員の人件費については、従来から人件費負担はしていないということになっていまして、逆に言うと交付税措置がされているという整理です。
私は、この理屈で、国が地方に対して経費負担をするのは無理だと思っています。この認識は今でも変わっていません。あの理屈で人件費をストレートに負担しにいくというのは、私は無理だと思います。
ただ、そのこととは別に、地方消費者行政を支えていく上で、相談員さんの体制を維持し確保していくことは重要な課題です。ですから、人件費を負担することよりも、むしろ地方消費者行政全体の体制を支援する視点から、人件費にも使える、そういう予算を確保することが大事なポイントだと思っています。その意味で25年度の予算案というのは、そういうことにも使える必要な予算を確保していかなければいけないというふうに思っております。

○河上委員長 吉田委員。

○吉田委員 一つ、質問です。「自治体への期待」の2の(1)で、都道府県の法執行の整備のところで、職員の専任化を期待するという書きぶりですけれども、現実的には担当者が1年、2年でコロコロ代わってしまうというところで、なかなか専任化ができていないという問題があると思います。専任化とあえて書いたその心として、ベストプラクティスがどこかにあるのか、あるいは、林課長としては、こういうふうにしたら専任化できるのではないかみたいなアイデアがあれば、是非教えていただきたいと思います。

○消費者庁林地方協力課長 これは、組織の持ち方というのもあるのだろうと思います。今は、法執行担当課と消費生活センターが組織的に分離されていたり、あまり連携がなかったり、一方で県によっては、あえて一緒にして組織自体はコンパクトにしながら、専任化をしているところもあります。職員全体の状況を見ますと、相変わらず消費者行政に携わる職員の状況は非常に厳しいものがありますけれども、若干ではありますが、数が増えて専任の比率が増えてきている。ほんのちょっとですけれども、そういう傾向もあるので、このことにブレーキをかけないように、なるべく体制の充実、専任化を進めていただきたいということも含めて、こういう項目を設けさせていただきました。

○河上委員長 どうぞ。

○山口委員長代理 時間の制約があるので簡単にしますが、2点あります。
一つは、ダブルチェックです。私は、県がダブルチェックをしないと、国が使えるような整合性のある情報になっていないという実情を聞くので、ダブルチェックをやめたらめちゃくちゃになるのではないかというふうに思います。今は。
2番目は、13ページ。先ほど、法執行を担う体制整備のことで警察官の導入等のことをおっしゃいましたが、文章に入っていません。私はそれは必要だと思いますので、文章にはっきり書かれたらどうかと思います。その2点です。

○消費者庁林地方協力課長 ダブルチェックの問題については、別に一律にやめろというわけではないのです。ただ、今はダブルチェックを義務的にやらせているわけです。すべて必ずやれということにしています。例えば東京都で言うと、東京都自体の相談は4万件です。その外に9万件あるわけです。ですから、全部で13万件を東京都は見なければいけないわけです。自治体によっては恐らくレベルがあるはずで、それをすべて一律に都道府県がチェックしないとだめな水準なのか、ということだと思います。
こういう例を挙げていいかどうかわかりませんけれども、例えば岩手で言うと、岩手県は盛岡市の分もダブルチェックしています。これが本当に一律でいいのかということだと思います。そのために、代理が言われたように、人も割き、時間も割いているわけです。それで入力が遅れるぐらいだったら、信用できるところは信用して、むしろほかに人員を回していただいた方がいいのではないか。そのことによって早期登録が実現するのであれば、むしろその方が妥当ではないかというのが、今の検討会の中での検討の方向性です。
ですから、一律に全部やめろというわけではありません。きのう今日できたセンターあるいは窓口で、PIO-NETに入力していただいている相談員さんは慣れていないところがありますので、そういう方たちの入力された内容が、本当に妥当なものなのかどうかというのはやはりチェックも必要だと思います。
もう一つ、なぜダブルチェックが必要になるかというポイントは、記載された内容というのが大きいわけですが、実は、県が市町村の相談内容をチェックするときに原票を持っているわけではありませんし、相談員がいるわけではありませんから、本当の意味での内容チェックというのはできません。何をやっているかというと、相談内容に応じて振られたキーワードが適切なのかというチェックをやっているわけです。今のPIO-NETの刷新の検討の中では、キーワードの数というのは既に3,000以上にのぼっていますので、非常にこれが負担になっている。ですから、キーワードについては、本当に相談処理に必要な内容に絞り込んだ上で、後から検索するときに困らないように、フリーワードの検索を充実させようという方向性になっています。その意味でもダブルチェックのウエート感というのは、今よりは少し軽くできるのではないかと思っております。
警察との関係の記載についての指摘については、改めて確認させていただいた上で、もし落ちているようだったら、新たに記載するようにします。すみません。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
次のヒアリングの予定もございますので、この辺りでということにしたいと思います。基本的な課題については、今回のお話は委員の間でもほぼ共有している問題ばかりでございます。要は、それを具体的にどういう実践にもっていくか。特に基金が終わった後の消費者行政の充実・強化のために、まだまだ安定した財政的な支援というのは不可欠だという認識でありますし、そのほかに幾つかの連携事項についても考えるべき点はございますので、また、消費者庁とも協力していろいろ作業をやっていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
消費者庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。

2) 有識者からのヒアリング

○河上委員長 続きまして、地方消費者行政についての有識者の皆様からのヒアリングを行いたいと思います。有識者の皆様におかれましては、お忙しいところ、また、遠方より御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
消費者委員会におきましては、先ほど、消費者庁より説明いただいた指針の内容を受けて、基金の終了後における地方消費者行政の充実・強化に向けた委員会としての建議ないし提言を、できましたら7月中を目途にとりまとめていく予定です。現在、地方の消費者行政の実情を把握するために、担当委員と事務局とが複数の自治体を直接訪問いたしまして、ヒアリングを実施しております。併せて、本日と次回の委員会におきまして、有識者の皆様にお越しいただいて、地方消費者行政活性化基金の評価、あるいは、基金終了後における必要な支援策等について、御意見を伺うこととしております。
本日は、全国消費者行政ウォッチねっとから河村真紀子事務局次長、消費者会議かながわから丸山善弘代表幹事、岩本諭佐賀大学副学長・経済学部教授にお越しいただいておりますので、以上のような諸点について皆様から御説明をいただき、その後、議論を行いたいと考えております。
説明時間は、短くて恐縮ではございますけれども、それぞれの方に10分程度でお願いできればと思います。
最初に、河村真紀子全国消費者行政ウォッチねっと事務局次長からお願いいたします。

○全国消費者行政ウォッチねっと河村真紀子事務局次長 全国消費者行政ウォッチねっとの河村でございます。ヒアリングの機会をいただきまして、ありがとうございます。地方消費者行政の充実に関しまして、ウォッチねっとの意見を述べたいと思います。
資料2-1に「ウォッチねっとの取組と要望事項」というのがございますので、これに沿って説明いたします。
第1の「これまでの取組」のところは、簡単に御説明しますと、1番として「地方でのネットワークグループ作りの推進」に取り組んでおります。これは、まだグループ作りの途上にある段階と言っていいかと思います。
2番が「関係団体連絡会への参加」ということで、関係団体連絡会は、ウォッチねっと以外に、消団連、中央労福協、日本司法書士会連合会、日弁連の計五団体で構成されています。日弁連に関しましては組織としてではなく、有志の方の御参加ということになっておりますが、このようなメンバーで地方消費者行政充実のための関係団体連絡会をつくっております。
3番、「地方議会請願活動の推進」でございますけれども、地方議会に対して、地方消費者行政強化のための意見書を国に向けて提出することをお願いするという請願運動でございます。
4番の「院内集会等国会への働きかけ」ですけれども、直近では今年の2月28日に、「活性化基金の延長を」と題して院内集会をいたしました。
5番の「地方消費者行政充実に向けた連続シンポジウム」でございますが、この間、3回目が6月9日に行われました。河上委員長にもお越しいただきまして、最後まで御参加いただき、ありがとうございました。
このような取組をしております。
第2は「地方消費者行政充実に向けた国への要望事項」でございます。この番号に沿って御説明いたしますが、資料2-2の「具体的施策を求める提言」と照らし合わせながら、ちょっと順番が違っておりまして不手際ですが、要望事項の順番で申し上げたいと思います。
要望事項の1番、「実効的な財政措置を速やかに」ということですが、資料2-2の2ページの2.がそれに対応しています。(1)で、消費生活相談窓口の整備など、地方における基本的な消費者行政の体制が整うまでの相当期間にわたり、地方消費者行政活性化基金型の消費者行政施策に限定された財政措置を講ずることを私たちは求めております。その際、既存の相談員や消費者行政担当職員の人件費にも使えるよう、現在の活性化基金よりも更に使途・期間を広げることを要望しております。
(2)といたしまして、PIO-NET入力費用や執行手続を担当する職員の人件費など、国の事務としての側面を有する費用につきましては、地方財政法10条の改正による恒久的な補助金を支給することを要望しております。
要望事項の2番では、「相談窓口機能の確認と各相談窓口機能を検証できる環境整備」を求めています。これは、2-2の提言の方でいきますと2つの項目に分かれています。1ページ目の1.(1)「消費生活相談窓口が果たすべき主な機能・役割の確認」というところが前半部分でございまして、消費生活相談窓口には、消費者の権利の確保という観点から、高度な専門性を前提にした被害者救済機能が要求されることを確認したい。その中心は「あっせん」解決機能であることを確認したいということです。
(2)では、消費者被害情報をタイムリーに共有し、事業者規制や法制度の改善に結びつけるセンサー機能も重要であることを確認したいとしております。(3)そのような窓口は原則として全市町村への設置が必要です。単独で窓口設置が難しい自治体については、広域連合などの広域的な連携の工夫を行うことを要望しております。
2番の後半部分、「機能を検証できる環境整備を」といいますのは、2-2で言いますと、4ページ目の5.になります。「消費生活相談窓口の被害者救済機能の検証について」というところですが、これはどういうことかといいますと、地方消費者行政の充実を考えるに当たりましては、単に消費生活相談窓口が設置されたかどうかという点だけではなく、それが住民に信頼されるに足るだけの機能を果たしているかどうかという点が、不可欠の視点となると考えております。これまでは、あっせんとは何かという定義が、相談窓口、自治体によって不統一であること、あっせん重視の処理方針が不徹底であること、また、継続的な助言による解決がデータに反映されないことなど、相談窓口の被害救済機能が果たされているかどうかを適切に検証することができていませんでした。
そこで、あっせんや助言等の定義を明確化、統一化した上で、あっせん、助言などの相談処理の目安を整備し、全国どこでも適切な救済が受けられるよう、機能面での検証ができるようにする必要があると我々は考えております。
要望事項の3番にまいりまして、「消費生活相談員の地位・待遇の向上を」というところでございますが、2-2の方で言いますと、3ページの上の3.でございます。消費生活相談員のあっせん解決機能を向上するために必要な能力・ノウハウは、一朝一夕に身につくものではなく、一定のレベルに達するには相当の実務経験年数を要するものです。したがって、短期間の雇用しか継続できない現在の制度の下では、せっかく身についた能力・ノウハウを十分に活かすことができず、結果として消費者が不利益を被っています。消費生活相談員の地位の向上を図るためには、安定雇用が不可欠であって、常勤型・短時間勤務型の双方に利用できる、任期の定めのない専門職任用制度の導入が必要だと考えております。
消費者庁は、雇止めは望ましくないとする通知を地方自治体に送付しておられますけれども、雇止めの増加は、そのような文書のみで抜本的に解決するとは考えられず、総務省を含めた専門職任用制度の見直しの議論を進める必要があると考えております。
要望事項の4番は、「消費者行政担当職員の確保と研修充実のための方策を」ということで、提言の方では、4ページの一番下の6.で、本文は5ページ目でございます。地方消費者行政の充実のためには、執行機能や企画立案機能、庁内連携機能などを担う消費者行政担当職員の人員確保や、質の向上も重要です。それにもかかわらず消費者行政担当職員が減少傾向にあることには、強い危惧を我々は抱いております。現状の基金のルールでは、消費者行政担当職員の人件費に利用できず、その結果、職員数の減少を止められなかったという現実を直視し、適切な財政措置を講ずる必要があると考えております。あわせまして、消費者行政担当職員向けの研修なども十分に行って、質の向上を目指すべきだと考えております。
要望事項の5番は、「民間営利企業に対する相談業務の委託問題への対応を」ということで、提言で言いますと、3ページの4.になります。消費生活相談窓口は高度な専門性と継続性が求められる、行政との緊密な連携が求められる、よりセンシティブな個人情報を取り扱うといった特性を有することに加えまして、企業が受託すると相談者との間に利益相反を生じる可能性があることから、民間営利企業への委託、指定管理者制度による民間委託の導入については、慎重を期すべきと我々は考えております。
消費生活相談業務は、高度な専門性と継続性が求められることから、一定期間ごとの選定が義務づけられた上に、複数の申請者に事業計画書を提出させることが推奨されている指定管理者制度にはそぐわないと考えております。よって、安易な指定管理者制度の導入は控えるべきだと考えております。
要望事項の最後、6番は、「消費者行政充実のための住民の活動を促進するための手当を」ということです。これは提言の方にはないのですけれども、今の活性化基金の使い方の中にも、地方の消費者グループですとか、消費者たちが、例えばシンポジウムを開くにもいろいろ費用がかかるわけですが、そのような活動の費用を自治体から基金を使って手当してもらったり、啓発を行ったりということが行われています。そのような住民や消費者グループの地域での活動を促進するためのアイデアを、消費者委員会からも出していただいて、提言していただくことを我々は要望しております。
以上でございます。

○河上委員長 続きまして、丸山善弘消費者会議かながわ代表幹事からお願いいたします。

○消費者会議かながわ丸山善弘代表幹事 機会を与えていただきまして、ありがとうございます。消費者会議かながわの丸山と申します。
私からは、資料3-1になりますが、ページがついていません。ごめんなさい。
神奈川県内では、消費者団体のところで、今年を含めると11年前から、県内33の市町村に対して、毎年毎年、消費者行政の中身について、ほぼ同じ項目でアンケート活動をやってまいりました。それとあわせて、アンケートも踏まえながら、実際にどうなのかということと、窓口だとか、働いている場だとか、市民、町民、村民の方たちが相談に行ったりするところが、実際にこの数年間どう変わったのかということを、見て確認することと、お互いに会話をする中で、言いづらいことも含めて実際に体感温度で把握するということのために、この3年間、実際に訪問をしてというようなことをやってまいりました。
最初の2年間は、全33市町村を歩いてヒアリングをしました。昨年は、村は行きませんでしたが、14の市町で、人口の規模ごとに分けてヒアリングをいたしました。本日は、自治体訪問のまとめの実際に行った部分と、ヒアリングのペーパーでいただいた部分を中心に、具体的な中身でこうだということしかお話しできませんけれども、お話をさせていただきたいと思います。
神奈川県全体で言いますと、半年で3万5,000件ぐらいの相談が寄せられていると行政側の資料には載っています。ほかの地方自治体と同様に、この間の、県全体の消費者行政に関する予算は縮小を極めております。この10年間で大体半分になったというのが神奈川県の実態でもあります。そういう中でいろいろ見てみると、組織の中での発言力であったり、影響力であったり、そういう部分が弱いところが一番削られている。削られ度合いが高いというのが実感されます。県全体では、県民1人当たりで見ますと、日本の中でもかなり低い方だということでもあります。
そういう中でも更に調査をしてみますと、地域の格差が拡大しているということです。最大の政令市であります横浜市を抱えており、一方で村までありますけれども、県民がどこに住んでいるかによって、消費者行政という一つの切り口をとってみても、住民サービスと申しましょうか、それについての格差がますます広がっているのが実感されます。それは、1人当たりの消費者行政予算を人口で割算してみると、大きな差があるということでもあろうかと思います。
そういう中でも、集中育成・強化の期間であります活性化基金については本当に使っていただきました。実際に写真に撮って記録をしていても、随分変わりました。初年度、回ったときには、こういうのができたので是非活用してください、活用しましょうという働きかけも兼ねて全市町村を回りました。2年目は、その効果も含めて、応援もさせていただいた中で、大変充実したということでもあります。
特に、市民の方が相談をされるときに相談されやすいようにと。今までは、区分けもない本当に平場のところで、後ろを人が通るようなところで相談を受けざるを得なかったところから、パーテーションもできたり、やっとパソコンが買えるようになったとか、聞いていると涙が出るようなことも含めて、本当に活用していただいたということであります。相談室の設置、機器の購入ということで本当に活用がされたり、小さいことで言えば、相談しやすいようにカーテンだとか、そういうことも含めて本当に心こまやかに活用されたということでは、私たちとしてもヒアリングをし、実際に見て評価をしております。
先ほど、格差というお話をさせていただきましたが、実際のところで言いますと、消費者相談というのは、相談員さんの努力と善意で現在の体制が成り立っているというのは本当によくわかります。そういう状況というのは無理があります。いつまでも長く続くというものでもありませんので、早急に安心して働ける状態をつくってほしいと思います。
例えば研修を一つとっても、人数が複数、何人かいないと交代で研修にも行けない。研修制度を県でやっていたとしても、そこに参加できないということは、特に小規模のところではあります。同じように、職員でも、苦情担当者会議のようなところに実際行けるという状況はないということもあって、仕事はしたいけれども、レベルを維持する、向上させるという点については何らかの形の支援が必要なのではないか。来てくださいと言うこともなかなか難しいということで、行って、いろいろとフォローすることもやっていかなくてはいけないだろうというようなことがありました。
実際に私たちが行く中でわかったことは、例えば広域連携ということを考えたときに、例えば、この市とこの近所にある市、町で連携をというふうに考えても、幹線道路がどう通っていて、バスの路線が連携をしているところとつながっていればいいですが、実は昔からそうではないとか、そんな不具合もあったりします。そういうようなことも含めていろいろと考えていく必要があるだろうということを、すごく感じました。
活性化基金が終了した後のところで、心配事はたくさんあるわけですけれども、皆さん方が言われているのは、今の体制がどうなるのか。このままでは、とりあえずはいろいろと要望もあって相談体制は強化したけれども、その相談体制が維持できないという問題。それから、相談員の研修を意欲的にやったけれども、もう今後はできないという話だとか、啓発もとりあえず頑張ってやったけれども、この後のところはもう計画ができないと。消費者教育も、講座だとか、団体の支援であるとか、提案事業のようなものもできないということを、率直に行政の担当者が答えていただいています。
特に活性化基金と従来の財源との関係で言いますと、全体を含めた中での活性化基金の割合が、1割ぐらいという小さいところから、大きく3割を超えている、または過半数近いところまであります。積極的に使ったという意味ではすごく評価をしますけれども、その後のところについては、今までのようなことはできないというのを、率直に言われているというのが中身であります。
最後に、一つつけ加えておきますと、どういうお金の出され方であれば、実際の現場がそれを活用できるかといいますと、光交付金のようなものであると、こういうものが出たので、是非みんなのところで申請してほしいということを、県内の自治体、生協の組合員たちにお願いをして、全部直接当たっていただいたわけです。要望書を書いたりする状況でもないし、消費者行政というピンポイントで使えるものでないと、自分たちのところに欲しいということで番が回ってこない、というようなことも率直に言われています。
そんな状況ですということを、自治体訪問及びアンケートのところで御報告させていただきたいと思います。後ろの方には、ページが振ってなくて申し訳ないですけれども、具体的にどんなふうに活性化基金を使ったのかというのを、2010年、2011年、それから、率直に会話の中で表明をしていただいたもので、後退する可能性があるものとして、こんなものということで出されておりますので、見ていただければと思います。
もう一度、強調して報告しておきますと、まず、相談員の人数が減るということ、啓発事業を減らさざるを得ないということ。相談員のレベルをアップする、そういう相談員の研修が今後はできなくなるという話。それから、啓発の関係でのグッズ、冊子、研修というようなものについては、できない、難しいと。頑張って体制を補強して人数を増やしたけれども、そこについて減らさざるを得ないとか、日数を減らさざるを得ないとか、窓口開設も日数を減らしたというところで、後退することがやむを得ないというふうに担当職員が言われているのが、とても印象に残りました。
以上です。

○河上委員長 最後に、岩本諭佐賀大学副学長・経済学部教授から、お話をいただければと思います。

○佐賀大学岩本諭副学長・経済学部教授 本日は、機会をいただきまして、ありがとうございます。私は研究者の立場でございますけれども、もう一つ、NPO法人佐賀消費者フォーラムの代表も務めております。
今回、資料4にありますように、事務局から、こういうことでということで課題をいただきましたけれども、既に前のお二人がすべて話されたので、私は話すことがなくなってしまったような感じがいたします。私の感想めいたことでございますけれども、大きく分けて、現状認識と、それに対する対応ということで資料はつくらせていただいております。
皆さん言われましたけれども、基金を契機として、センターの多忙恒常化は極まっている一方で、自治体の消費者行政そのものは総体として停滞化している。ただ、もともとのことを言いますと、今、それぞれおっしゃられた地方の問題点は、基金の以前、あるいは消費者庁ができる以前から状況は余り変わっていないといえる。基金によって、一時、バブル的になったという状況がある中で、この基金が終わろうとしているなかで自治体はどうしますかという問いかけが、今、なされているのだろうと思っております。
一つには、国レベルにおきましては、消費者庁・消費者委員会が設置され、消費者行政の明確化がなされましたけれども、それに対する受け皿が自治体の方はできていないということがあります。特に安全行政の強化の部分については、自治体は従前から全く変わっていない状況にあります。
また、単に体制整備だけではなく、消費者庁ができたことによって何が変わったかという問いかけに対しては、消費者庁の先ほどの指針の中にもありましたけれども、自治体の意識は全く変わっていないということがございます。端的なのは、私の資料の1ページの終わりから2ページにかけてでございますけれども、自治体の条例なども、消費者基本法が制定されたことによって横並び的に整備されましたが、自治体の条例執行率は極めて乏しい状況にある。また、自治体の重要な意思決定にかかわる審議会につきましても、年1回開くか、開かないかという中で、審議会の配布資料といいますと、1年間の件数、消費者教育の開催、啓発活動をこんなことをしましたということだけで、一体その自治体において自分たちの消費者行政がどういうポジションにあって、どういうことをやってきて、どういう課題を抱えているかということが全く示されない、形骸化した審議会という実態が今でも続いています。
相談員の業務につきましては、さまざまな角度から議論されてきましたので、ここにつきましては省略いたしますが、ただ、問題の基本には、消費者行政における、あるいは実際の消費者政策の中における相談員の位置づけがやはり不明確になっているのだろうという点は指摘できると思います。これは、亡くなられた正田(彬)先生の『消費者の権利 新版』(2010年)にも書かれていますけれども、相談業務というのは、日本の場合、自治体の消費者行政の基本として位置付けられています。相談業務というのは自治体にとっては消費者行政の一部分であって、そこのウエートがはっきりしない中で予算等に振り回されているということもありますし、また、直接雇用の問題、委託の問題、その形態は議論いたしませんけれども、直接委託をしても、結局、嘱託のような扱いをしている実態もあります。ですから、相談員の位置づけや相談業務そのものの意味を、もう一回問い直してみる必要があるのではないかと思っております。
活性化基金につきましては、非常に大型の基金でありまして、恐らく日本の消費者行政始まって以来の大きなものだったということで、期待もありましたけれども、既にさまざまな方からも指摘されていますように、最初の使い勝手の悪さもありましたし、一時期、余ったというような実態もありました。
そのことはさておき、そうした大型の基金を使う際に、自治体においても、あるいは国立大学においてもそうですけれども、仮に基金であったとしても、年度年度のチェックを行う、すなわち自己評価も含めたPDCAサイクルを行っていくところが普通なのですけれども、果たして今回のこの基金の中でPDCAサイクルが機能したのかどうか。P→Dまでは行ったかもしれませんけれども、肝心のC→Aまで行っているかどうかというと、はっきりしない部分があります。
活性化基金が終わることによって、これも皆様から御指摘されていますように、非常に危機的な状況にあります。既に佐賀県におきましても、来年度、2人体制が1人体制になる、1人体制で毎日やっているところが、隔日になりますというところがあることについて、相談業務を受託している団体(NPO法人)において、既に数字を弾き出しております。ですから、財政の影響というのが、ダイレクトに地方自治体、特に佐賀のような小規模なところには非常にダイレクトに影響してくるところがあります。
もう一つは、自治体の温度差の問題があり、神奈川県のような、我々から見て先進県に見えるところであっても、先の丸山幹事の御説明資料の中でも温度差があるという状況が見られます。ただ、これも昔から言われていたことで、これが基金によってどう変わったのかということの検証も、十分まだなされていないと私は感じるところでございます。
消費者行政の基本となる目標は、そして常に求められているのは、日本の消費者行政の質と水準をどう上げるかというところです。これは先生方の前で言うべきことではありませんけれども、例えばEUの基本条約において、消費者行政の質の向上と水準を高めるということが、長年、EUの基本的な方針になっている。日本においては、成果(アウトカム)としての、あるいは究極目的としての消費者行政の質、あるいは水準を向上させるという共通認識にまだ至っていないのかなというところでございます。
消費者教育につきましては、私の配布資料では6月19日になっていますが、21日に参議院で終了いたしまして、衆議院の方を待つばかりということになっています。これは、横浜国立大学の西村隆男先生はじめ多くの方々のお力で法案がうまくいっているところでございますが、実際にこれができた後、消費者教育がすぐ実施できるという現実にないことは皆様も御存じだと思います。学校教育の場合につきましては、当然、文部科学省との協議が必要になってくるものでございますけれども、この辺りがどうなっていくのか。先ほどの指針の中でもその辺りのことが触れられていないところは、ちょっと気になる部分でございます。
もう一つ、消費者教育推進法の中には、社会一般を対象とした消費者教育の実施ということも書かれています。ここで重要なのは、消費者基本法は以前から、啓発活動と消費者教育の推進ということを分けて規定しています。その中で、啓発と違う消費者教育がどこまでできるのかというところはやはり関心がありますし、また、実際にどうするのだろうかということは、至急考えていくべきことだろうと思っております。
以上の問題認識と課題を踏まえた上で、私の資料の中の「活性化に向けて」という、日本の消費者行政の底上げを企図して、以下の私見を述べさせて頂きます。
初めに、消費生活センターの中核機能の強化でございますが、これは2つの意味がございます。一つは、市民、県民、国民に対して、消費者センターを見える状況に位置づけることが必要であるという点です。被害に遭っている方や、特にここにいらっしゃる方々や関係者から見ると、センターの機能というのははっきりしていますけれども、それぞれの市民、国民から見るとまだまだわかっていない部分があります。
今回、その辺りを明確にしようとされている消費者庁の先ほどの指針について、私は賛同する部分がございます。中核的な機能、センター・オブ・センターズという考え方については共鳴いたしますけれども、それが実際に、窓口・情報の受発信の一元化、相談の一元化というところで、例えば、これは悪徳事業者だけの問題ではない、表示も含めたすべての窓口になるということがおそらく求められるのだろうと。ただ、そこまでまだ議論が尽くされていないような感じがいたします。
もう一つは、自治体の意識の低さということも関連いたしますが、自治体内部における消費生活センターの位置づけというのはいまだに不明確です。よく、センターを「別館」というふうに言う人もいますし、あるいは、あそこは外注箇所であると自治体の職員が平気で言うような部分があります。ですから、消費生活センターの中が自治体から見えないところがあると思います。特に消費生活条例につきましては、あれはセンターの条例でしょうということで、条例の中に安全の条文があったとしても、それはセンターのものであるということで、例えば農業・畜産の部分については、全然そこを見ていこうとしないということで、内部の連携が全然できていない。いわゆる縦割りの弊害がはっきりしている部分が、まだまだ感じられるところがございます。
それから、基金終了後についての問題点は繰り返しませんが、私が一番感じているところは、基金が投入されたことにより結局当該自治体の消費者行政はどうなったのかということです。先ほどの指針の中にも、成果を検証しているという幾つかの表が出ておりました。相談員の数がこう増えた、センターの数はこう増えたという部分は、正確に言いますと、それはアウトプットの話であって、アウトカムではないのではないか。目的は、消費者行政の質と水準をどう上げるかという部分ですけれども、アウトカム、実際の成果がどうだったのかというところの検証が、私がまだ資料に接していないだけかもしれませんが、そこがまだ十分ではないというところでございます。
次の3にかかわってきますけれども、それを「見せる」ということが重要だと思っています。財政支援という言葉を使うと財務省が、というふうに先ほども言われましたけれども、財政がどこから出るか。国から出るか、自治体が自主的にやるかという部分もありますけれども、いかに財源を確保するか。財源なしで消費者行政ができれば一番いいわけですけれども、それが期待できない以上、基本的には財源が必要である。ただ、今の状況からしますと、国民目線から見て説得的に説明できないと、財源確保はできないという状況にあるということだろうと思います。特に国民目線から消費者行政が見えないという部分があります。そうしたところと、もう一つ、地域間格差という、長年ずっと抱えている問題を解決するために、やはり見せる努力をすることが必要だろうと思っています。これは、行政からすると「見せる義務」です。国民からすると、「見える化」をしてほしいという部分だと思います。
逆手にとるわけではありませんが、自治体は横並び的な性格を持っています。コピー条例にもあらわれていますし、ほかがやればうちもやろうということになります。見える化をすることによってその自治体のポジションを明確にすることと、それがほかの自治体から見てどうなのかということが比較可能な状況に、消費者行政を置くことが必要だろうと思っております。
その際には、これも既にやられていることと思いますけれども、消費者安全法における、都道府県のセンターと市町村の役割、ミッションの明確化、あるいは再確認をすることが当然伴ってくると思っております。その上で見える化をすることによって、更にPDCAサイクルをそこに組み合わせることによって、「影響機能」と私は6ページに書いていますけれども、ちゃんとしているところにちゃんとした評価をすることが重要であると同時に、やっていないところについては、やらざるを得ない状況に追い込む必要があると思っています。それによって初めて、質が上がっていくというか、嫌々ながらでも上がっていくだろうということがありますので、企業ではある程度普及している「インスティチューショナル・リサーチ(IR)」という手法を消費者行政に取り込むことによって、見える化を図っていくことと検証を徹底していく。その上で財源の確保に使っていくことが必要だろうと考えている次第でございます。PDCAサイクルもIRというのも基本的に手段です。目的は、消費者行政の日本の水準、質を上げていくところにあることを確認しながら、そうした作業を進めていっていただきたいと思っています。
消費者教育については、インフラ整備が重要である、一体どうやるのかというところでございますが、やはり基本は人材の部分であります。同時に、学校教育におきましてはカリキュラムの問題は当然伴ってまいります。その辺りの調整を一体どこでやるのか。恐らく協議会を設けてということになってくると思いますけれども、果たしてそれで「実質的な」消費者教育になるのか。消費者教育を始めましたという段階は当然あると思いますが、そこから実質化していくという段階にどう結びつけていくのかということは、インフラ整備にかかってくるだろうと思っています。
社会人向け、一般向け、生涯教育というレベルでの消費者教育も、啓発活動か、あるいは教育か、線引きはできない部分ですけれども、人材は地方にいるわけです。大学もそうでございますし、弁護士会、司法書士会といった専門職や、NPO法人、消費者団体等各種のものがございます。そういう中で、市民向けのものについてはやっていくことができるだろうと考えているところでございます。
(テキストを提示して)手前みそでございますけれども、実は大学の経費をいただきまして、こういうのを数年前からつくっております。これは初年度で、これがその次の年で、2010年、2011年、今年2012年と。これは大学生がつくっています。大学生が自分たちでつくって、自分たちで教えに行く。質の保証をするために、地元の弁護士会や司法書士会、あるいは相談員の方に全部チェックしてもらった上で、実際にすべての県内の高校には何冊かずつ配っています。消費者委員会様にも一度送らせていただきましたし、消費者庁、文部科学省はじめ関係各省にも送らせていただいています。大学を基点として地域社会における市民向けの講座を行うことができるだろうと思っております。
ちなみに今年度は、これを3,000部、佐賀県の予算で、例えば県立高校の特定の学年にすべて配って、消費者教育を実践するという御協力はいただいたところでございますが、これも単年度のものでございますので、これをどう継続させていくのか、逆に言うと、来年どうするのだろうかということも抱えながらやってきているわけでございます。一つの参考事例でございます。
こういうような形で、消費者教育について、いくらでも考え方はあると思いますけれども、一つのやり方もあるだろうと。これはご参考までにということで御紹介させていただきました。
表現が適切でない部分もあったかもしれませんが、お許しください。ありがとうございました。

○河上委員長 ありがとうございました。
それでは、委員の方々から、御質問、御意見をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 ありがとうございました。丸山さんと岩本さんに少しお聞きしたいと思いますが、まず丸山さんの方は、神奈川県の具体的な実情についてデータをいただいております。ペーパーで言うと、3枚目の裏に神奈川県の消費者行政予算が出ていますが、基本的な県の行政予算は増えていない。その中で基金で2010年と2011年はピンとはね上がっているように見えるわけですが、今後の見通しはどうなっているのか、お聞かせいただければと思います。
先ほど岩本先生もおっしゃいましたが、神奈川県というのは消費者行政の先進県かなと思っていました。その図の下の棒グラフを見ると、東京都や群馬県に比べると1人当たりの消費者行政予算は随分少ないのですが、これはなぜですか。予算が多ければいいというものではないのかもしれませんが、ちょっとこの少なさは気になります。
1枚めくっていただきまして、7番目に、平日消費生活相談開催日数が書いてあります。14番目の葉山町まで書いてありますけれども、神奈川県の市町村は、次の2枚後ろを見ると、33番目の清川村まで含めて33自治体がありますが、14までしかないのか。残りの19の自治体は消費生活相談窓口は開いていないのでしょうか。わかれば教えてください。
それから、岩本先生にお聞かせいただきたいのですが、私自身もよくわかっていないし、消費者の皆さんにもわかるように教えていただくという点から言うと、6ページの5行目、7行目に「PDCAサイクルの実質化」という言葉が出てきますが、これは何ですかということと、その2行下に「消費者行政版IR」とあります。これは何かということを、少し丁寧に教えていただければと思います。
4ページの関係で、自治体に消費生活センターが内部化されていないといいますか、連携が不足しているという御指摘がありました。まさにそのとおりだと思いますけれども、どうやったら克服できると先生はお考えなのか、お聞かせいただければと思います。

○河上委員長 それでは、丸山代表幹事からお願いします。

○消費者会議かながわ丸山善弘代表幹事 まず、神奈川県の消費者行政予算の状況ですが、本当にこのグラフそのものであります。活性化基金のところで、今まで足りなかった部分、我慢していた部分を活用して、のどが渇いたところに水をゴクンと飲んだというようなイメージだと思います。そういう意味で言えば、一生懸命活用しようとしたことは事実だと思います。
では、その後はどうなるのかというと、御承知でしょうか。神奈川県は現在、すべての財政出動について見直しをするということを表明しておりまして、検討の最中であります。そういう点からすると、一番弱い立場、組織の中での弱いところはどうなるのだろうかということも大変気になるところであります。
ただ、率直に申し上げて、このグラフが底状態。1999年からそんなにヘコんでいないのは、消費者行政のところで本当に最低限のことしかやれていないというのが実態で、これ以上削りたくても削りようもないというのが中身、というふうに評価をした方がいいのかもしれません。
その下の、県民(都民)1人当たりの消費者行政予算の話です。よく、こういう言い方で言い訳をします。神奈川県というのは東京に隣接していて、神奈川県に住んでいるけれども東京で働いている。人間が多い分、お金はその分かかるけれども、その分の税収はないという言い方をしております。つまり、法人税的な収入の部分は東京都に入り、出費の方が多い。だからやむを得ない、これ以上どうしょうもない、逆にどうにかしてくれ、みたいな感じで言われている中身でもあります。
もう一つ、平日の消費生活相談の開催日数です。ここは14の自治体訪問のまとめですので、神奈川県内33の市町村の状況は、次の次の紙をめくっていただきますと、上が1人当たり消費者行政予算、下が消費生活相談業務についての相談窓口の形態です。これは、33市町村について、週7日開いている、5日、4日、3日、2日、1日ということと、窓口がどういう形になっているのか。例えば市内に3か所置いているところ、1か所。1か所ですが、出張相談もやっているとか、窓口が別にあるとか、センターとしては持っていないけれども相談コーナーとしてはあるとか、隣のところと委託をお互いに連携してやっていると。例えば、A市の人がB町に行って相談もできるし、B町の人がA市に行って相談もできるという連携をしているところも含めてあります。
また、委託丸投げをしていて、お金は若干出して、うちはやっているというふうに言っているところもあります。わが町からどういう相談事が出ていて、それについてどんな対応がされているとか、どんな傾向があるかということについて、委託をしているところは全く興味、関心もありませんということははっきりわかりました。
以上です。

○河上委員長 では、岩本先生、お願いします。

○佐賀大学岩本諭副学長・経済学部教授 PDCAサイクルというのは、税金とか公的資金が入っているセクターにおいて、効率的かつ無駄がない形で事業を執行する際の一つの手法でございます。Pはplan、Dがdo、Cがcheck、Aがactionということで、これがまたAからPに戻るわけですけれども、そうしたサイクルを実質化していくということで、先ほど述べさせていただきました。
要するに、Pというのは計画を立てて実行する。これはどこでもやれることです。どこでもやっているわけですけれども、問題はその後なのです。そこでどうチェックをするか、どう次のアクションにつなげていくか、改善点をどうするかの際に、特にチェックの部分で先ほど述べましたのは、例えば、こういうお金を投入したからセンターが何個できた。あるいは、何人相談員が増えたか、あるいは何人合格したかということでいいのですけれども、それはあくまでも産出量であって、アウトプットの方です。問題はそこから先で、アウトカム、つまり、それがどう成果につながったのか。
そもそもは、消費者行政の質や水準を確保する目的から見て、それはどうだったのかというところの検証が必要である。例えばその場合、養成講座で何人相談員が合格しましたというアウトプットは示されているのですが、では、何人が実際に配置されて、配置されなかったのは何人ですか、あるいは、窓口はそれによって充実しましたかと。または、実際に市民からアンケートをとって(とらなくてもいいですが)、評価が高まっています、あっせん率が高まっていますという、そこにつなげていくサイクルができ上がっているかどうか。アウトプットだけで、こういうことをやりました、受講生何人来ましたで終わってしまって、もう一回やりましょうというのではなく、PDCAサイクルをまさに実質化していくことが求められているのだろうということでございます。
IRというのは、まさにそうしたことを企業バージョンでやっている。ちょっと説明は簡略すぎますけれども、企業の各部門においても、例えば財務諸表があって、貸借対照表がある。数字の羅列はありますけれども、それからは見えないわけです。それによってどういう成果があったのかということと、現状はどうかというのをわかりやすく見えるようにすることが、企業において盛んに行われているわけでございます。最近は国立大学にもそうした取組例があるわけですけれども、そうした制度的な分析、あるいは管理的・ガバナンス的視点からの組織分析ということで、企業ではよく行われているものでございます。
もう一つ、連携は、どことの連携の御質問でございましたでしょうか。

○山口委員長代理 消費生活センターと行政部局です。

○佐賀大学岩本諭副学長・経済学部教授 要するに、自治体内部におけるセンターの位置づけを明確にするということですね。これは一つには、首長やリーダーの資質、スタンスによってかなり左右される部分があります。自分の県を取り上げるのはちょっと語弊があるかもしれませんけれども、例えば現在の知事はその辺は非常に理解があって、すぐフラット化をしました。各部門、例えば福祉部門、消費生活部門、警察部門、教育部門、そうしたものを一堂に集めて問題解決するというフラット化をして解決する。ただ、これも恒常的な組織かというと、そうではなくて、何かがあったときにつくるような形でフラット化をする努力はしております。
ただ、これもやはり継続的な連携の確保というものではないわけでございます。今、山口委員の御指摘のことは以前から言われてきたことでありまして、そこでいろいろな取組がされているわけです。各団体もされていますし、各地域でもいろいろなことをされているわけです。なかなかそれがフラット化しない、連携が強化できないということで、私が今日お話しさせていただいたのは、自治体がほかではこんなことをやっているということで、見せる化をすることによって波及効果を及ぼそうと。それが、先ほど言った影響機能であって、ほかはこんなことをやっている、こういうところに予算がつくということになれば、どこもやる方向に進むわけです。効果ははっきりしてくると思います。
これは、連携強化という直接の問題解決ではなくて、連携強化させるための手段としてお話しさせていただきましたけれども、今、私が考えられるのはそのくらいなのかなと。自治体の長、消費生活センターのセンター長、あるいはその専門の係長、参事とか、そういうところの個々の質にもかかわってくるものでありまして、なかなか変数が多い。その辺は難しい部分があることは、既に皆さん言われたところでございます。ちょっと答えになっておりませんけれども、内部的な連携の強化はなかなか難しいので、見える化、見せる化をさせることによって何らかの刺激を与えていこう、影響機能を与えていこうというのが、一つの解決策なのではないかということをお話しさせていただきました。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
吉田委員、どうぞ。

○吉田委員 皆さんの御指摘は本当にごもっともだと思っております。その中で岩本先生から、消費者行政の質と水準の向上を目指すというお話があって、私もまさにそうだと思います。例えば、このくらいの規模の自治体であるならば、何人くらいの職員専任がいて、相談件数は恐らくこのくらいはあるだろうとか、例えば啓発が毎年何人に対して行われてみたいに、目指すべき姿をまず見せることが必要かとも思います。それを行うためには、これだけの人がいるのだから、当然、お金はこのぐらいかかるということで、財政規模みたいなものもその中に織り込んで示す必要があるのではないかと思っておりまして、質と水準の最低ラインをある程度出したらいいのではないかなというふうにも思っています。
その一つの目安として考えているのが、これは私が個人的に思っているだけなのですが、地方交付税措置の財政需要の積算があって、今、225億だと国が言っていまして、都道府県と市町村と按分をすると、簡単に計算して、市町村の場合、1人当たり125円になります。人口1人あたり125円を掛けることを最低基準だとすれば、人口10万人の都市であれば1,250万円の予算規模になりますから、専任の正職員を1人配置し、非常勤であっても相談員を配置し、なおかつ、事業費として200~300万確保できるくらいの予算規模になります。10万人の都市であるならば、その中で目指すべき姿はこうだ、というふうにもできるかと思います。
丸山さんのところの調査によると、125円以上かけている自治体が、実は神奈川県では1つぐらいしかないという結果が出ています。125というのがそもそも適切なのかどうかという辺りは、私も判断に迷うところはありますが、丸山さんにお聞きしたいのは、調査した結果、私がお話ししたように、125円掛ければ最低限のラインはできるのか、できないのか。もしかして感覚的な部分になるかもしれませんが、その辺の御意見をいただければと思いますし、もしもよろしければ岩本先生から、今のお話についてコメントをいただければありがたいと思います。

○消費者会議かながわ丸山善弘代表幹事 1人当たりの消費者行政予算のお話だと思いますけれども、難しいと思います。何が難しいかというと、行政がすべてを一から十まで自らやることを前提に考えるのか、そうではなく、消費者行政のもう一つの柱である、例えば消費者団体とか、消費者リーダーということを一方で育てながら連携してやっていくということでは、お金のかかり方は違うと思います。ですから、幾らぐらいだったらいいというようなことは言えないし、また、行政がすべて一から十までやることが市民にとって幸せなのかといえば、そうでもないというふうに思います。
今、一番遅れているのは、とにかく人づくり。消費者グループ、消費者団体、消費者リーダーの人づくりの、そもそもの場の提供だとか、きっかけづくりということについて、活性化基金の期間の間でもほとんどやれていない。なぜやれていないかというと、その後が切れているから継続的なことはやれないわけです。そういうことも含めてやっていない。単発的な何とか講座とかいうのは、どこかの先生を呼んできてというのはできて、それはそれでやった、人も来たというふうになりますけれども、先を見越して長期的な種をまいて、水をあげて育てて、それが結果として地域に生きてくるという部分は、今回、できていない。それの一番のものは「人」だと思います。ですから、お金の関係で言えばちょっと答えられません。ごめんなさい。

○河上委員長 岩本先生はいかがですか。

○佐賀大学岩本諭副学長・経済学部教授 今回、基金という一つの特殊なものがあったので、先ほど申し上げたベンチマークとして、実際の基金ベースで幾らだったのかということも見て、両方突き合わせて見てから、今、先生が言われたような議論を始めるべきではないかということでございます。

○河上委員長 夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 ただいまの吉田委員の質問にも関連しますけれども、消費者行政の質と水準の地域間格差という問題です。とりわけ自治体の長、専任職員の意識、相談員の意識とか、私どもも地方でヒアリングをさせていただいたときに、現況で活発な活動をしている自治体、または消費生活センターもそうですが、そこを見ますと、頑張る相談員、頑張る自治体の職員、プラス、理解ある首長さん、更にそこに加わってくる民間団体のネットワーク、そういうものがあって初めて、今、頑張っている、活性化しているという状況が見えてきたわけです。ですが、首長は代わる、人も代わっていく。ですから、個人の頑張りとか努力に頼っていると、継続性は保たれないというのがはっきり見えているわけです。それを何とかシステムに変えていかなければならないだろうということを強く感じてきたのですけれども、先ほど岩本先生から、見える化という一つの方向性の御示唆もいただきました。今日は、岩本先生のほかに河村さんと丸山さんもお見えになっておりますので、消費者行政の質と水準を上げていく、地域間格差をなくしていく上での具体的な施策、もし見えるものがあったら御意見をいただきたいと思います。
もう一つは、温度差を是正していく方向性が見えないというお話も岩本先生からされましたけれども、では、その方向性というのは誰が示すべきでしょうか。例えば国が示すべきものか、それとも自治体でそれぞれがつくり上げていくものか。これは岩本先生に教えていただきたいと思います。
以上です。よろしくお願いいたします。

○河上委員長 では、河村さんからお願いできますか。

○全国消費者行政ウォッチねっと河村真紀子事務局次長 お答えになっているかどうかわかりませんけれども、先ほどの発表の中にありました、相談窓口の機能の検証というところは、私たちがすごく議論したところです。いろいろ議論した中でやっと検証という言葉に落ち着きました。今のように何人だとか、何日だとか、予算だとか、数字的には出てくるわけですが、それが本当に消費者・住民のためになっていると言うためには、何か客観的な指標が必要だろうというところから、まず定義を統一しましょう。あっせんという言葉自体も、自治体によって、何をもってあっせんと言うかが違っていたりしますから、定義をつくる。それから検証しましょうと。この検証という言葉はすごく議論をして決めたのですけれども、余り上から目線で評価だの、比較だのとならないように書いたつもりです。要するに格差がある状態を見える化して、客観的にどこになにが足りないのかということがわかっていくことによって、格差をなくしていく。つまり、どういう質の差があるかが今はわからないではないかというのが、私たちの意見でございます。お答えになっているかどうかわかりません。

○消費者会議かながわ丸山善弘代表幹事 自治体の格差の関係で、確かに神奈川県内でもしっかりやっているところは、例えば消費生活に携わっている職員が一生懸命やっているということだけではなく、そこに必ず消費者団体もあり、しっかりとした消費生活条例もあり、消費生活審議会も活発に活動している、そういうのを合わせてだというふうに思っています。特に鎌倉市のようなところはしっかりやられていると思います。
それをどういうふうに担保したらいいかということで言うと、一つは、実際に消費生活の窓口にヒアリングに行く。特に今年行って、去年も行って、一昨年も行ってといいますと、それなりにうちとけてきて、いろいろな話をしてくれます。そういうところでわかりまして、やはり相談員と職員との溝がすごく大きい。言いかえれば、仕事の上で、パートナーシップという点で言えば取れていないという感じがします。どうせ異動してしまうということも思いとしてあるでしょうし、どうせ相談してもわからないと。私が言っていることについて職員の方が理解できないというところも実際あって、相談員さんと、消費生活の窓口の方のところに対しての部分があるということでもあります。
実際に受けている、また、発生しているものというのはどんどん高度化もしております。専門化というふうに言った方がいいでしょうか、知識も広範囲に、かつ深いものが必要になってきております。そういう点で言えば、現在のように2年または3年で職員が異動してしまう中で、それを一方の軸として支えるのは、ほかの自治体の部局よりは無理があるのではないかというふうに思います。そういう点で言えば、専門職的な位置づけの中で職員を育てることが必要ということでもあります。
相談員さんのところは、どのくらいの人口に対してどのくらいの配置が適当であるかというのは、はっきりお示しした方がいいのではないかと思います。勿論、その裏付けは必要ですけれども、その辺のところが必要ではないかなというふうに私は思います。

○佐賀大学岩本諭副学長・経済学部教授 御質問、ありがとうございます。大変難しい御質問をいただきましたが、一つは、自治事務であるということがありますし、また、これはグランドデザインから始まった、要するに消費者行政の理念からしまして、自治体が消費者行政のスタンスを決めてマインドを醸成していくのが基本だろうと思っています。ただ、その前提として、そもそも自分の自治体が、温度差があるか、ないか、低い方なのかと、わかっているかどうかがまず問題です。ですから、そこで見える化をすることによって、影響機能を与えることによって、底上げをしていこうというのがあると思います。
先ほど吉田委員から、その一つの目安として、金額ベースでということで御指摘がありました。それも当然必要だと思っていますが、もう一つは、予算以外の質や水準の最大限をはかる指標はできるかどうかということについては、恐らく一つではなくて、幾つかの指標が基本的なものとして出てくるのだろうと思います。ただ、では何かと言われると、答えは持ち合わせておりませんけれども、それは消費者庁や消費者委員会の方で、これが日本の消費者行政の水準です、あるいは質を示すものですということを、もし作成していただければ、そこを一つの実態的な部分のベンチマークとする。これがないからまずい、というようなことができていけば、それと財源との組み合わせということで一つの活性化の方向はあるかもしれませんが、ちょっと難しいことを言っているかもしれません。答えになっていません。ありがとうございます。

○河上委員長 ほかにいかがですか。
小幡委員、どうぞ。

○小幡委員 いろいろ貴重な御意見を伺えまして、ありがとうございました。今、まさにそういう議論になっていますが、組織とか、お金がどういうふうに使われたかということだけでなく、実際にそれが機能しているのかということが大事だという御発言、いただきましたが、私もまさにそう思います。
岩本先生の資料4の3ページの3のところで、自治体内部における消費者問題に関する情報共有、政策協働の不在というお話がございまして、例えば、「高齢者や障がい者の消費者被害への行政対応は、被害情報がどのルートで自治体に到達したかによって差が生じやすい」とあります。これは、高齢者にかかわっている部局、障がい者にかかわっている部局がそのような情報を入手した場合、それを、消費者問題といいますか、重大な被害だということを認識せずに、放置される可能性があるということで理解してよろしいでしょうか。

○佐賀大学岩本諭副学長・経済学部教授 御質問、ありがとうございます。私の書き方が雑駁で申し訳ありません。まさに先生御指摘のとおりで、これはリアルケースで何件もあるケースで、障がい者や高齢者が実際に被害に遭っていることについて、例えば、それがすぐ民生委員に行ってしまって、そこで何とか解決しようとしてそこで終わってしまうようなケースもあります。
そこで問題なのは、情報がセンターに出ていっていないケースが非常に多かったということです。ただ、最近はそういうことはなくなってきていますし、佐賀県の場合で言いますと、知事が、フラット化をして情報共有が図られたことによって、すぐ回しますということになっていますが、ほかの自治体ではまだそういうふうになっていない部分がある。九州のある市町では、消費生活センターを設置していない中で、結局、福祉担当課の職員中が自分たちがやらなければならないということで、やろうとして空回りしてしまったというケースもございました。そうした実例を踏まえてということでございましたが、ちょっと表現が稚拙で申し訳ありません。

○小幡委員 地域間格差の中には、消費者に特化した専門的な機関があるかないかというのは、勿論そうですけれども、自治体の首長によると思いますが、全体の底上げといいますか、消費者問題についてのアンテナの張り具合で、自治体の職員に対する全体の教育とか、そういう必要性もあるという理解でよろしいでしょうか。

○佐賀大学岩本諭副学長・経済学部教授 先ほど、二人の方から御指摘もありました。また、消費者庁の指針の中にもありましたけれども、自治体と消費者庁との交流はもう少しあってもいいのかと思いますが、今のところ比較的多いのは、自治体から消費者庁に行くケースがありますが、逆に消費者庁の方から自治体にどんどん現場に入ってもらって、実態を把握してもらうことも必要なのではないかということでございます。
では、そうしたことがあれば小幡先生が言われたようなものは解決していくのかというと、自治体内部のセクショナリズムというのはまだ強いものがあります。先ほどの話は高齢者被害だけの場合ですが、例えば食品の表示の問題となると、農林の方で押さえてしまってセンターに回ってこない。あるいは消費者センターの方でも、例えば、表示の問題とか商品の問題になるとすぐ回してしまって、回した後、どうなっていくかフォローができていない。後でPIO-NET入力の紙が回ってきて書くようなこともありますけれども、結局、センターの方でどうなったか、最終的な把握もできていないこともあります。せっかく国の方で一元化した部分がありますので、それに対応する組織とマネジメントがまだできていないのではないかということだと思います。

○河上委員長 吉田委員、どうぞ。

○吉田委員 今、市町村の消費者窓口の実態として、多重債務者対策が進んだこともあって、経済的困窮を端緒に、いろいろな市民の問題が舞い込んでくる現状があると思います。そうすると、狭い意味での消費者行政だけをそこでやっていればいいということではなく、まさに基礎自治体としての役所の総合力をもって、市民が抱える問題に対応していく、いわば総合力のハブみたいな役割を場合によっては消費者行政が担うケースもあり得るし、実際そんなことをやっている自治体もあるかと思います。
そこの現象をとらえて、そこを活性化の種みたいにできないものかというアイデアも漠然と私は持っていますけれども、岩本先生はその辺のお考えで、先ほどの質問にも若干関連するかもわかりませんが、縦割りを排除していくきっかけに消費者行政がなっていく可能性もある。そこを切り開いていくことによって活性化ができないかというアイデアなのですが、その辺のお考え、もしもあれば教えていただければと思います。

○佐賀大学岩本諭副学長・経済学部教授 御質問、ありがとうございます。多重債務につきましては、この場にいらっしゃる先生方の方がお詳しいと思いますけれども、セーフティネットをいかにやるかということについても、実はセンターがやっていることもあります。小幡先生が言われましたように、ようやく福祉の部門が重い腰を上げて、連携協働してフラット化をすることに対応していくという、政策ごとの取組はやっていると思いますけれども、例えば多重債務の問題を契機として、この問題を中心にしてセンターがセンター・オブ・センターズになっていけるかどうか、私はそこまで明確な答えは持ち合わせていません。
ただし、多重債務のアフターケアまで全部含めてどこまでやれるかというと、マンパワーでやっている部分、個人の資質とか、相談員さんの個人的努力頼みで、福祉がやってくれないから私がやりますというケースも少なくないわけで、それを契機にというところまでは、今、その芽は芽生えていないのかなという実態はございます。

○河上委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 ウォッチねっとの河村さんに伺いたいのですが、資料2-2の3ページの3項、「消費生活相談員の地位の安定化・向上について」の6~7行目辺りですが、「消費生活相談員の地位の向上を図るために、常勤型・短時間勤務型の双方に利用できる任期の定めのない専門職任用制度の導入が必要」と書いてあります。御存じのとおり図書館の司書も専門職ですが、なかなか実現しない。そういう中で、総務省も巻き込んでこういう導入のためにどうしたらいいか、その辺について何かアイデアがあればお聞かせいただければと思います。

○全国消費者行政ウォッチねっと河村真紀子事務局次長 大変難しく、この議論をするたびに、消費生活相談員だけなぜという質問に答えられるかということの議論の繰り返しになります。お答えは十分にできませんけれども、ここに書いてあるとおり、一朝一夕に身につくものではなく、経験が非常に大切になってくる。要するに、住民の利益を考えると、経験のある人が辞めていかなければいけないということが大きな損失ですから、その辺を強調していくというぐらいの意見しか言えないのですが。ほかの職種を全部、私は存じ上げているわけではないですけれども、消費生活相談員に関しては、長年の経験というものが直接、解決への力になることがはっきりわかっているので、その辺をどういうふうに打ち出していくか、大変難しい問題だと思っております。十分なお答えができなくてすみません。

○河上委員長 どうもありがとうございました。それは河村さんに聞くよりも、我々がきちんと考えて、突破口を切り開かないといけないのかもしれないですね。
ほかにいかがですか。よろしいですか。
大体、予定していた時間がまいりました。まとめるまでもないことですが、消費者行政の基本は現場にあるということで、地方消費者行政を担っている自治体が頑張ってやっていただくことが、すべての消費者政策を考える上での出発点だと思います。ただ、基金の終了後にそれぞれの自治体が置かれた状況は、今日伺った限りでも相当危機的な状況であって、場合によっては地方の消費者行政が尻すぼみになってしまいかねない。お話をうかがいながら、問題点等々についてもよく理解できました。また、有識者の方々の分析からは、今後の進むべき方向、あるいは留意点についても明らかになったかと思います。
とりわけ個人的には、地方消費者行政を支える「人づくり」がとにかく大事なことだということを痛感させられました。それは、「現在いる人」、相談員の方、職員の方ばかりではなく、「将来の人」、これから地方を担っていく人をつくり上げていく。そして、その人たちの間のネットワークをうまくつくっていくということ、これは大変大事なことで、自治体、相談員、消費者団体のメンバー、それぞれについて、これを担っていくだけの熱意のある人を、今後、育てていく方策を真剣に考えないといけないとあらためて痛感いたしました。
有識者の皆様におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。また、皆様の御意見を参考にして、消費者委員会としても十分検討していきたいと思います。どうもありがとうございました。

≪3.消費者基本計画改定原案について≫

○河上委員長 続きまして、「消費者基本計画の改定原案について」、お願いいたしたいと思います。
消費者庁におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、誠にありがとうございます。消費者基本計画の改定につきましては、5月の委員会におきまして、関係省庁から計3回にわたってヒアリングを行いまして、その結果を踏まえて、5月29日に委員会としての意見を、「消費者基本計画の改定素案(平成24年4月)等に対する意見」という形でとりまとめをさせていただきました。
その後、消費者庁におかれましては、委員会からの意見、あるいはパブリックコメントの結果等を踏まえて、計画の改定原案(素案から原案に名前が変わりますが)を策定されています。本日は、消費者庁にお越しいただきまして、消費者委員会の意見が計画の改定原案にどういうふうに反映されたのかという辺りを中心に、御報告をいただきまして、若干の議論を行いたいと思います。
それでは、説明をお願いいたします。

○消費者庁黒田消費者政策課長 消費者庁消費者政策課長の黒田です。よろしくお願いします。
お手元の資料5-1、5-2、5-3に基づきまして、説明させていただきたいと思います。
まず、改定原案という言葉の意味ですが、素案に加えて、先ほど委員長から御説明をいただきましたとおり、パブリックコメントでいただいた意見と委員会の御意見等を反映して改定している状況にありまして、今、この案で最終的に調整しています。これがこのまま通れば、閣議決定にしたいという意味で原案ということでございます。資料5-1は、主な変わった部分についてまとめたもので、5-2が原案そのものでございまして、5-3は現行の計画と原案の新旧対照表です。
資料5-1で説明させていただきたいと思います。
検証・評価の部分には、何を実施したかということを記載しており、主に制度、規制等が変わったという部分について、消費者庁関係と各省関係それぞれ別にまとめております。これは実施した部分ですけれども、今回の主な見直しということで、今、関係省庁と協議をしている最中でございます。
まず、パブリックコメントですけれども、全部で280件近くの意見をいただきました。多かった部分について言えば、例えばPIO-NET端末の適格消費者団体への配置についてとか、あとは、地方消費者行政を引き続き支援してほしいとか、そういった意見をいただいております。その辺りを踏まえまして、この改定ですが、消費者庁関係で言えば、地方消費者行政支援ということで、「地方消費者行政活性化基金の終了後においても地方消費者行政における地方公共団体の積極的な取組を下支えする支援の在り方を検討するとともに、財源の確保に向けて検討を行う」という部分を加えまして、今、調整をしているということです。
国民生活センターの国への移行の部分については、現在検討中でございますから、その状況をそのまま記述したものとなっています。
預託法の運用見直しについては、政省令・通達などで速やかに対応する。
消費生活相談員の法的位置付けについても、現時点での検討状況を反映した形で、今年の夏を目途に、今後の方向性について一定の結論を得た上で更に具体化の検討を進める、ということでございます。
各省関係については、すべて素案から項目としては追加になっております。これは、委員会の御意見の中で具体的な記述を明記されたいとされていたものについて、全て反映したというわけではないですが、追加した部分はすべて、御意見を反映させていただいたものでございます。違法ドラッグ対策、自由診療分野における取引適正化、まつ毛エクステンションによる被害への対応、以下、ここに書いてあるとおりでございます。
基本的に今の状況を申しますと、付け加えた部分について、削除ということはない形で何とか調整が終えられそうだという状況です。あとは言葉の問題と、後ろに具体的な現時点での記述がございますが、2枚目に「自由診療分野における取引適正化」という部分が左の方にあります。この部分の表現については、今、若干調整しておりまして、特に「指針を整備し」ということについては、既に指針はあるということですので、周知を行うことについては特に意見の相違はないのですけれども、ここについて文言を調整しています。
公共料金に関する施策については、公共料金と言った場合、どこまで入れるのかといった部分について、今、議論しているということでございます。
残されているのはそのぐらいで、ここにあるような記述を中心に終わっています。残っている部分はかなり限定されておりまして、ここにある記述、もしくは、説明としては時間の関係もあるので省略しましたけれども、この新旧対照表にある記述で大体おさまるという状況でございます。
簡単ですが、説明は以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
では、これについて、御質問、御意見のある方はお願いいたします。
委員間打合せでも御説明をいただきましたし、前にも御説明をいただいたときに、こちらから出しました意見を相当取り入れていただいているということですので、あまり問題はないかと思いますが、これだけはというのがまだありましたらお願いします。
山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 いろいろ御尽力いただきまして、ありがとうございました。今までのいきさつもございますので、抜本的なことはなかなか申し上げにくいと思いますが、4つ。
37-2の違法ドラッグのところで、「関係省庁等」と書いてあります。これは明らかに厚生労働省と警察庁ではないかと思いますが、なぜ関係省庁等と書いてあるのか、御説明いただければと思います。
次のページの39-2で、初めて自由診療について何らかの形で着手するということで、これは非常に意味が大きいと思いますけれども、美容医療、歯科インプラント等についての自由診療について何らかの形でやるという、この記述は是非残すようにしていただきたい。指針等を整備するというところで、何らかの形で表現が変わるのはしょうがないかもしれませんが、そこのところをお願いしたい。
17ページの60項ですけれども、未公開株、社債、ファンド取引等の被害の問題です。ファンドについては内閣府令の見直しが4月1日になされておりまして、それについての見直し後の効果を見守って、不足があれば更にプッシュすることは当然だと思われるのですが、内閣府令の改正を踏まえた記述になっていないのは残念です。何らかの改訂をした方が、より具体性があるのではないかと思いますが、どうでしょうか。
最後に、37ページの、インターネットをはじめとする高度情報通信技術を活用した事業者との取引に関する防止です。6点並んでいますが、いずれも「継続的に実施」としか書いていないのですが、時期を限って何をやるのか、もうちょっとはっきりできないのか。
難しいかもしれませんが、以上、4点、御説明いただければと思います。

○消費者庁黒田消費者政策課長 3つ目は何でしたか。

○山口委員長代理 17ページの60項に、ファンド取引を利用した云々ということで割と抽象的な書き方になっています。ただ、ファンド取引については、金商法に伴う内閣府令の改正が今年の4月1日になされています。それを踏まえた記述をしないのですかということです。

○消費者庁黒田消費者政策課長 答えられるものから言います。違法ドラッグについては、若干、文言でまだ調整中の部分があります。
関係省庁については、厚生労働省は明記するということで調整しております。あとは関係省庁等という形で、「厚生労働省、関係省庁等」ということでやろうとしております。

○山口委員長代理 警察庁は入れないのですか。

○消費者庁黒田消費者政策課長 警察は関係省庁等の中に入るということです。
自由診療は、記述は残るということで、今、調整中でございまして、インターネットは、次々と新しいことが出てきますけれども、それは適宜対応するということで、そのために連絡会を運営しているという認識でおります。個別のことを書き始めると細かくなるので、そこは適宜、運用のなかで対応したいと思っていまして、必要があれば、委員会に呼んでいただければ御報告したいと思っております。
3つ目は、具体的に委員御指摘の内閣府令がすぐに分かりませんが、実施状況については、今日はお配りしていないのですけれども、別途、検証・評価の分厚い冊子の中で記述することになっています。内閣府特例の見直しは今年の4月1日ですか。

○山口委員長代理 はい。

○消費者庁黒田消費者政策課長 昨年度の実施状況に基づいているものですから、今年度のものについては、多分、来年度の実施状況の中に入ってくるのではないかと思っております。実施したことについては検証・評価の中でやっていくということなので、例えば改正によって、取組の内容自体が変わってこなければいけないということであれば、直さないといけないかもしれないですけれども、全体として読める範囲の中であれば、その検証をどうするという部分については、今年度もだいぶ過ぎていまして、全体のスキームとしては、来年度のフォローアップの中でその効果について見ていく。今年の4月に施行されたということであれば、そういったこともあって、反映されていない部分はあるということだと御了解いただければと思います。

○河上委員長 山口委員がおっしゃったのは、4月の内閣府令を踏まえてというような表現が入った方が、むしろ推進力があるのではないかという御趣旨ですね。

○山口委員長代理 そういう趣旨です。

○消費者庁黒田消費者政策課長 不勉強で申し訳ないのですけれども、具体的に何が変わったのですか。

○山口委員長代理 登録の内容の真実性をより確実にするように、届出者の氏名住所、その他の真実性の確認を強化したことです。それから、投資家の同一性の確認等のチェックを厳しくするように内閣府令が改正されまして、いいかげんなファンドの登録を受け付けない、そういう運用に改善されました。それが、どこまでファンド被害を抑止するようになるか、今、ちょうど経過観察の状況なものですから、その辺を盛り込んでいただくと、より具体性があるかなと思ったのです。ファンド被害は非常に増えていましたので、その辺の対策がこれからどうとられるか、注目されるところだと思っています。

○消費者庁黒田消費者政策課長 お伺いしているお話ですと、我々の整理で言えば、実施状況の方にしっかり来年度のフォローアップの中で記述して、そういった部分をその後、検証した上で、更に直す必要があれば、また次の改定のときに考えるということでスケジュールとしては考えられます。今の施策という意味では、基本的には一般的に書いてありますけれども、そういうことも含めて、詐欺的商法について、情報集約から取締りまで一貫して、かつ、迅速に行う体制を強化していく一環と理解できるのではないかと思います。
逆にそういうことで言えば、この計画をやり始めてから、細かな実施についてはいろいろなことを行ってきていますけれども、それについては、検証・評価の中で実施状況を記述をしていって、それをフォローして、必要に応じて施策の中身を書きかえる必要があれば書いていく、ということでやりたいと思っています。

○河上委員長 最後に、インターネットの問題で、実施時期について書き込むことはできないかというお話がありましたが、これはどうですか。

○消費者庁黒田消費者政策課長 実施時期を書くような中身を、実は今の中では書いていないというか、最初の研究会でこれをやりますと言ったことを現に実施しているということで、継続的に実施するということで今の記述は書いてあります。また、インターネット取引連絡会の運営を行っていく中で、新しい問題があって、更にここに記述した上で、いつまでに何かやらないといけないということがあれば当然記述しますが、今のところはこの記載でやっていきます。例えば監視活動というのも、いつまでというのはなくて、ずっとやっていかなければいけない話ですし、ここに書いてある部分について、この中身は、現時点で期日を切っていつまでにやるという性質のものではないということで、御理解いただければと思います。

○河上委員長 ほかには、よろしいですか。
かなり頑張ってくださっているということは、よくわかりました。消費者委員会としても応援しておりますので、是非、これからの折衝もよろしくお願いしたいと思います。
消費者庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。

≪4.その他≫

○河上委員長 最後に、「その他」といたしまして、資料6に「東京電力の家庭用電気料金値上げ認可申請に関する消費者委員会としての現時点の考え方」という文書があるかと思います。この点について、御報告をさせていただきます。
6月19日の委員会における経済産業省及び東京電力からのヒアリングの終了後、これまでの一連のヒアリングにおいて、委員から指摘のあった主な疑問点及び課題等について整理をしたところであります。委員会の終了後に、その内容をこのような「考え方」としてとりまとめまして、即日公表しております。
また、この考え方につきましては、6月20日、翌日に開催されました経済産業省の電気料金審査専門委員会におきまして、ここにおられる細川委員から御説明をいただきまして、専門委員会で御検討いただいた上で、料金審査への反映状況を改めて消費者委員会に御報告いただくことになっております。
以上、事後報告になりましたけれども、報告をさせていただきたいと思います。
どうぞ。

○山口委員長代理 経産省の下の専門委員会の検討の報道がなされておりますけれども、何だかもう結論が出そうな、そんな話です。けれども、私どもからすればとんでもない話で、まだなお検討しなければいけないテーマがたくさんあると思います。28日には消費者団体から意見を聞かれるそうですけれども、その後の専門委員会の検討の状況を、注視して見守らなければならないと思います。
もう一点、消費者庁の方で審査の基準の検討をされていました。その中で、これは重大な問題だなと思いましたのは、今年の3月末に、経済産業省が審査基準、いわゆる省令の改定をいたしまして、その省令の改定を前提にして、今、審査がなされているわけです。ところが、前提となっている審査基準の中には、事業報酬の決め方がこうあるべしというところがあるのですが、その事業報酬の決め方が果たしていいのかという問題。
それから、燃料費調整制度というのがありますが、これは平成8年辺りにできた制度だそうで、現状とだいぶ違ってきている中で、燃料費調整制度は今のままでいいのかという問題。
3つ目は、自由化部門と規制部門の経費や利益の分け方についても、審査基準で基準が一定あるわけですが、これも平成15年ごろの議論で、今のままではまずいのではないかという議論もあったようですけれども、そのままここに来ているわけです。それが審査基準に盛り込まれているのですが、それが今のままでいいのかどうか。
これらの問題は、今回の東京電力の値上げの問題に直接結びつかないかもしれませんが、この審議の中で明らかになってきた問題ですので、更に委員会としても検討する余地があるのではないか。今回の値上げと切り離して検討しなければいけないのかもしれませんが、かなり重大な問題として出てきているのではないかというふうに痛感しております。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
細川委員、何かコメントはございますか。

○細川委員 今のお話は、公共料金そのものに対していろいろな問題がある。これは、消費者委員会でも建議を出したところで、そのフォローアップにもつながると思いますけれども、東電という大きい問題があったからこそ現在の総括原価方式の下での問題が明らかになってきたわけで、これは決して東京電力だけの問題ではない。ほかの電力会社にもそういう構造もあるし、電気だけではない、ガスあるいは鉄道という問題もあるわけですから、やはり消費者委員会としては、公共料金については、部会をつくるとかそういうことにして、消費者本意の社会の実現のための一定の役割を果すべきではないかというふうに私は思います。

○河上委員長 いろいろと懸案事項がございまして、将来的に、消費者委員会の下で部会をつくる方向を考えないといけないということでございます。委員会としても、事務局を通じて少しスケジュール感を詰めて考えていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
どうぞ。

○夏目委員 消費者委員会の6月19日のペーパーは、経済産業省のところには反映されていくだろうと思いますけれども、一方、消費者庁では更に東電に関しまして、チェックポイントを検証するという、検討会でしょうか、検討チームというのを立ち上げて、実際に明日が3回目です。そういう形で検証されています。もともとがワーキングチームで、チェックポイント13というのは出されたようなものがありますので、反映されるようなことがあれば、山口委員がおっしゃったような細部にわたってのことも、すべてそこで今、議論されていると聞いておりますので、是非お願いしたいと思います。

○河上委員長 消費者庁ともきちんと連携して、やるべきことはやっていくということをお願いしたいと思います。

○小幡委員 消費者庁の方にやはりきちんと伝える方がよいと思います。別々でやっていてもしょうがないです。

○河上委員長 伝わっているはずですが。

○原事務局長 委員が説明には伺っていませんけれども、資料自体は、参考資料という形ですぐに提供はしているところです。

○小幡委員 説明はされていないのですか。

○原事務局長 説明は求められなかったので。

○小幡委員 委員間には、それは資料として全部配付されていますか。

○原事務局長 配付されています。向こうも2回しか開かないとかいうので、非常にタイトだから、消費者庁の委員の方々の意見を聞きたいというのが主だから、というふうに言われたというところです。ただ、明日また3回目を開かれるというところなので、消費者庁とまた相談したいと思います。

○山口委員長代理 私も傍聴いたしましたが、大変有意義な、充実した議論をなさっていました。その中で、慶応大学の井出先生から御指摘があったのですが、消費者委員会のこの意見については、非常に重視すべきで、有意義だという御指摘と同時に、ちょっと言葉は正確ではないのですが、消費者委員会のこの考え方はやや評論家的ではないかと。もっと積極的に具体的に、「こう考える」というようなスタンスが望ましいのだけどなというお話がございまして、今後、ちゃんと仕事をしなさいというような言い方に聞こえまして、その後、井出先生とちょっと話したところでした。

○河上委員長 消費者委員会の役割とも関係してまいりますけれども、これは明日の問題ということで引き取りたいと思います。
それでは、本日の議題は以上でございます。お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

≪5.閉会≫

○河上委員長 最後に、事務局から、今後の予定等について御説明をお願いいたします。

○原事務局長 長時間にわたり、ありがとうございました。
次回の委員会につきましては、7月10日(火曜)の16時からを予定しております。
議題につきましては、今日に引き続きまして、地方消費者行政について有識者ヒアリングを行いたいと考えております。つけ加える議題がございますようでしたら、また改めて御案内いたします。
以上です。

○河上委員長 それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。どうも長時間、お忙しいところをありがとうございました。

(以上)