第89回 消費者委員会 議事録
日時
2012年5月22日(火)15:00~18:50
場所
消費者委員会大会議室1
出席者
【委員】河上委員長、山口委員長代理、稲継委員、小幡委員、川戸委員、
田島委員、夏目委員、細川委員、吉田委員
【説明者】
消費者庁 | 黒田消費者政策課長 山崎総務課長 川上財産被害対策室長 鈴木取引対策課企画官 長谷川消費生活情報課長 取引対策課担当者 |
警察庁 | 福田生活安全局生活経済対策管理官 刑事局捜査第二課特殊詐欺対策室担当者 刑事局組織犯罪対策部犯罪収益移転防止監理官付担当者 |
金融庁 | 増田総務企画局市場課市場機能強化室長 横尾総務企画局市場課企画官 有泉監督局証券課長 外崎証券取引等監視委員会事務局証券検査課長 古澤総務企画局市場課長 |
経済産業省 | 秋庭商務流通グループ商取引監督課長 商務流通グループ商取引・消費経済政策課担当者 資源エネルギー庁電力・ガス事業部電力市場整備課担当者 |
環境省 | 上田地球温暖化対策課市場メカニズム室長 |
総務省 | 玉田総合通信基盤局消費者行政課課長 二宮総合通信基盤局料金サービス課長 長塩情報流通行政局郵政行政部郵便課長 |
法務省 | 民事局商事課担当者 |
国土交通省 | 滝沢鉄道局安全・業務政策室旅客輸送業務監理室長 杉山運輸審議会審理室調査官 |
原事務局長、小田審議官
議事次第
1.開会2.消費者基本計画の検証・評価・監視について
(1) 投資詐欺対策(施策番号48、51、60、62関係)
○説明者: | 消費者庁 | 黒田消費者政策課長 山崎総務課長 |
警察庁 | 福田生活安全局生活経済対策管理官 刑事局捜査第二課特殊詐欺対策室担当者 刑事局組織犯罪対策部犯罪収益移転防止監理官付担当者 |
|
金融庁 | 増田総務企画局市場課市場機能強化室長 横尾総務企画局市場課企画官 有泉監督局証券課長 外崎証券取引等監視委員会事務局証券検査課長 |
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総務省 | 玉田総合通信基盤局消費者行政課長 | |
法務省 | 民事局商事課担当者 |
○説明者: | 消費者庁 | 川上財産被害対策室長 |
経済産業省 | 秋庭商務流通グループ商取引監視課長 | |
総務省 | 玉田総合通信基盤局消費者行政課長 |
○説明者: | 消費者庁 | 黒田消費者政策課長 鈴木取引対策課企画官 |
金融庁 | 古澤総務企画局市場課長 他 | |
経済産業省 | 商務流通グループ商取引・消費経済政策課担当者 | |
環境省 | 上田地球温暖化対策課市場メカニズム室長 |
○説明者: | 消費者庁 | 長谷川消費生活情報課長 |
国土交通省 | 滝沢鉄道局安全・業務政策室旅客輸送業務監理室長 杉山運輸審議会審理室調査官 |
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経済産業省 | 資源エネルギー庁電力・ガス事業部担当者 | |
総務省 | 二宮総合通信基盤局料金サービス課長 長塩情報流通行政局郵政行政部郵便課長 |
○説明者: | 消費者庁 | 鈴木取引対策課企画官 |
○説明者: | 消費者庁 | 取引対策課担当者 |
4.閉会
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
議事次第(PDF形式:10KB)【資料1】 消費者基本計画の平成23 年度の実施状況に関する検証・評価・監視 各省ヒアリングの対象施策・対象省庁及びヒアリング項目関連資料
(資料1-2) 平成23年度の具体的施策の実施状況に関する検証・評価及び計画の見直しの素案(抜粋)(PDF形式:110KB)
(資料2-2) 「医療機関債」の勧誘に関する注意喚起(PDF形式:352KB)
(資料2-3) 風力発電に係る「土地の権利」を巡る投資勧誘に関する注意喚起(PDF形式:484KB)
(資料2-4) 「太陽光発電事業」の「合同会社加盟店」の募集に関する注意喚起(PDF形式:232KB)
(資料2-5) 国内で取扱いの少ない「外国通貨の両替」の勧誘に関する注意喚起(PDF形式:244KB)
【資料4】 資料なし
【資料5】 消費者基本計画(施策番号48、51、60、62)関連資料(法務省提出資料)(PDF形式:882KB)
【資料6】 消費者基本計画(施策番号153-2、171)関連資料(消費者庁提出資料)
(資料6-2) 決済代行業者登録制度について~決済代行業者登録制度が7月1日から始まります!~(PDF形式:150KB)
(資料6-3) インターネットを通じた海外ショッピング時のトラブルと注意すべき5つのポイント~消費者庁越境消費者センター(CCJ)に寄せられた相談から~(PDF形式:285KB)
(資料6-4) 越境取引に関する消費者相談窓口「消費者庁越境消費者センター(CCJ)」を開設します~海外ショッピングでのトラブルについてご相談を受け付けます~(PDF形式:380KB)
(資料6-5) インターネット消費者取引連絡会(第2回)議事要旨(PDF形式:285KB)
【資料8】 消費者基本計画(施策番号153-2、171)関連資料(総務省提出資料)
(資料8-2) 「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」概要 他(PDF形式:251KB)
(資料9-2) CO2(二酸化炭素)排出権取引に関する儲け話のトラブル!-一般の消費者は手を出さないで-(PDF形式:384KB)
【資料11】 消費者基本計画(CO2排出権取引)関連資料(環境省提出資料)(PDF形式:254KB)
【資料12】 消費者基本計画(施策番号67-2)関連資料(消費者庁提出資料) 【資料13】 消費者基本計画(施策番号67-2)関連資料(総務省提出資料) 【参考資料1】 電気料金問題検討ワーキングチームの開催について(PDF形式:76KB)
【参考資料2】 委員間打合せ概要(PDF形式:81KB)
【参考配付】 サクラサイト商法被害撲滅キャンペーン概要(PDF形式:10KB)
【参考配付】 サクラサイト商法被害撲滅キャンペーンうちわ(PDF形式:166KB)
≪1.開会≫
○河上委員長 それでは、時間になりましたので始めさせていただきます。本日は皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。
ただいまから、「消費者委員会(第89回)」を開催いたします。
また、本日は所用により、村井委員が欠席、稲継委員、田島委員、小幡委員が若干遅れて出席の予定となっております。
続きまして、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
○原事務局長 配付資料ですけれども、議事次第と書かれましたものの裏の面に一覧を載せております。
資料1といたしまして、本日行います、「消費者基本計画の平成23年度の実施状況に関する検証・評価・監視、各省ヒアリングの対象施策・対象省庁及びヒアリング項目関連資料」をおつけしております。
資料2以下、本日行いますヒアリングの関連資料です。
資料4につきましては、当初予定をしておりましたけれども、準備が整いませんでしたので、欠番とさせていただきたいと思います。
参考資料1といたしまして、電気料金問題検討ワーキングチームについての資料。
参考資料2といたしまして、この間、委員間打合せを5月18日に行っておりますので、その打合せ概要をおつけしております。
審議の途中で不足ございましたら、お申出いただければと思います。
それでは、委員長、よろしくお願いいたします。
≪2.消費者基本計画の検証・評価・監視について≫
○河上委員長 本日の議題は、「消費者基本計画の検証・評価・監視について」であります。御承知のとおり、消費者基本法においては、消費者基本計画の検証・評価・監視について、それらの結果の取りまとめを行おうとする際には消費者委員会の意見を聞かなければならない、とされております。消費者委員会においては、本年3月27日に公表した委員会の意見に関連する施策を中心に、関係省庁に施策の進捗状況等に関するヒアリングを行い、計画の改定、素案に対する委員会としての意見を、5月下旬を目途に取りまとめたいと考えているところであります。
また、消費者庁及び消費者委員会設置法附則第3項に、法施行後3年以内に消費者被害の発生または拡大の状況等を勘案して、消費者の利益の擁護及び増進に関する法律についての消費者庁の関与の在り方を見直し、必要な措置を講ずるという旨が規定されていることを踏まえまして、各省庁ヒアリングにおいては、このような検討に資するための調査審議を併せて行うこととしております。
本日はその第3回目に当たりますが、資料1-1に掲載されている施策について、関係省庁からヒアリングを行いたいと考えております。
関係省庁からは、3月27日の委員会意見、資料1-1の左の欄でございますが、その意見等に対する考え方や、事前に提示させていただいたヒアリング項目、これに対する回答を中心に御説明をいただきたいと考えております。非常に内容がたくさんございますので、どうぞ御協力のほど、よろしくお願いいたします。
(1) 投資詐欺対策(施策番号48、51、60、62関係)
○河上委員長 初めに、投資詐欺対策に関連するもので、施策番号48、51、60、62に関連するところであります。
金融取引に関しましては、未公開株やファンド取引等における詐欺的な商法により、消費者にさまざまな被害が生じております。こうした状況を踏まえ、消費者委員会としては、平成22年4月に関係省庁に対する提言、「未公開株等投資詐欺被害対策について」を発出しております。また、消費者基本計画の検証・評価・監視に係る関係省庁ヒアリングにおいて、これを継続的にフォローしているところであります。
この間、金融商品取引法の改正や関係機関による対策の強化等、関係省庁におかれましても積極的に取り組んでいただいているところですが、いわゆる劇場型詐欺など、高齢者等を狙った新手の投資詐欺が増加しており、引き続き、取組の強化が必要であろうと考えております。本日は、消費者庁、警察庁、金融庁、総務省、法務省においでいただいておりまして、初めに消費者庁から総括的な御説明をいただき、関連項目について、警察庁、金融庁、総務省、法務省からそれぞれ補足的に御説明をいただければと存じております。
なお、金融庁におかれましては、消費者被害の抑止の観点から、金融商品取引法の関連規定に消費者庁が関与することについてどのように考えるのか、という点についても併せて御説明をいただければと思います。
項目がたくさんございますので、説明時間については、申し訳ございませんが、それぞれ5分程度を目安にお話をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
では、消費者庁からお願いします。
○消費者庁黒田消費者政策課長 消費者庁消費者政策課長の黒田と申します。よろしくお願いいたします。
御質問項目に関連して、お配りしております資料2-1、2-2、2-3、2-4、2-5までを用いまして、簡単に説明させていただきたいと思います。
大きく申しますと、関係省庁間でどう連携をしているのか。消費者庁が司令塔としてどのような役割を果たしているのか、ということだと思います。よく消費者庁は司令塔という言い方をしていただくのですが、最近できた一番新しい役所ですので、まずは自らしっかり汗をかいて、自分たちができることをしっかりやっていくというのが基本だと思っております。そうした上で、関連する分野、関係する省庁等の間では、しっかりと顔の見える関係をつくって、必要な情報を共有して、連携をとりながらやっていくことが基本的な考え方だと思っております。
最近の苦情・相談件数は資料2-1にございます。見ていただきますと、未公開株というのは23年度になって減少しておりますけれども、公社債とか、ファンド型投資商品というものは相談が急速に増えています。この表で言えば、下の方に手口がシフトしているということが言えると思います。
中身を見ますと、実際にお金を支払ってしまったという相談については、比率的にみれば減ってきていることは言えますけれども、まだまだ件数は増えている。消費者庁としては、利殖勧誘による被害の発生もしくは拡大の防止については、まずは、具体的な手口とか悪質な事業者名を消費者にしっかり周知して注意を喚起していくことが重要だと考えておりまして、個別の事業者について事業者名を挙げる公表なども行っております。資料2-2以下が具体的な事例でございます。
一方で、そういったときに関係省庁と情報共有したり、取組について、例えばどういった事業者についてこれから公表するといったことについては、関係機関に積極的に情報を提供するといったやり方で連携を図ってきております。資料2-1には、未公開株等の詐欺的商法については関係省庁でチームをつくりまして、大きく言うと、情報集約から取締りまでを一貫的かつ迅速に行う体制の構築、注意喚起・普及啓発の強化、制度の運用・整備の在り方を引き続き検討するといった、3つの柱でずっとやってきておりまして、個別具体的にどういうことをやっているかというのは、この資料にあるとおりでございます。とりわけ、高齢者が被害に遭うことが多いものですから、高齢者を見守っていらっしゃるような仕事をされている方々に対しても注意喚起を行っております。
また、実際にお金が振り込まれるということで、振り込みを誘導するような形で実際にお金を取られることもありますので、いわゆる振り込め詐欺救済法に基づく犯罪利用預金口座等に関する情報提供についても積極的に行うよう、また、地方の実際に相談を受けている自治体に対しても積極的な情報提供を要請して、地方とも連携して、この取組を進めてきているところでございます。
簡単ではございますが、消費者庁からは以上でございます。
○河上委員長 引き続いて、警察庁からお願いいたします。
○警察庁福田生活安全局生活経済対策管理官 警察庁生活経済対策管理官の福田です。どうかよろしくお願いいたします。
私からは、3点、御説明させていただきます。
まず1つ目は、ファンドへの投資を名目とした詐欺への対策についてでございます。平成23年中の利殖勧誘事犯の検挙状況についてでございますけれども、平成23年中は55事件、258人を検挙しております。事件数の内訳は、ファンド取引関係が21事件、未公開株関係が10事件、社債取引関係が12事件、外国通貨取引関係が1事件、架空権利取引関係が3事件、被害救済偽装関係8事件となっておりまして、平成22年中と比べまして、検挙事件数、検挙人員ともに増加してございます。
資料ですけれども、先ほど消費者庁が配られました資料2-1の、1枚めくっていただいた下の方に簡単な数字だけは掲げさせていただいております。
続きまして、本年の取組方針でございます。私どものところでは、利殖勧誘事犯のほかに、偽ブランド品、ゴミの不法投棄など、それ以外の生活経済関係の事犯も担当しているところでございますけれども、今年も利殖勧誘事犯を最優先で取り締まっていく方針でございます。また、その旨、警察内部の全国会議や通達において各都道府県警察に対し指示しているところでございます。
2点目は、犯罪摘発の実効性を上げるための関係機関の協力体制についてでございます。
まず1点目ですけれども、関係機関との連携状況については、警察では、現職警察官の出向・派遣、退職警察官の活用促進、あるいは、各種会議を通じて関係行政機関との間で連携体制の構築を図っているところでございます。簡単な数字でございますけれども、平成23年の4月1日現在で警察庁に報告がございましたもので、全国で約70名の現職警察官または退職警察官が、都道府県等の消費者行政の担当部局等に出向等しているところでございます。
2点目ですけれども、平成20年12月には、犯罪対策閣僚会議の下に消費生活侵害事犯対策ワーキングチームが設置されまして、平成21年6月には行政庁と警察の連携体制の確立等について、取りまとめを行っております。本ワーキングチームにおいては、平成23年の6月に関係省庁に寄せられた相談のうち犯罪被害の疑われる情報につきまして、相談者の同意が得られた場合、相談を受理した行政機関が警察へ速やかに情報提供をすることについて申合せをしたところでございます。本申合せを踏まえまして、平成23年中に関係省庁等から警察庁に対して約4,000件の情報が寄せられておりまして、当官において情報を分析した上、関係都道府県警察へ情報提供いたしまして、口座凍結や被疑者検挙に活用しているところでございます。
また、本ワーキングチームにおきましては、平成22年6月に、関係行政機関が犯罪利用預金口座凍結のための金融機関への情報提供を迅速かつ確実に実施することについても、申合せをしております。平成23年中でございますけれども、警察から金融機関に対しまして、未公開株等を利用して詐欺的商法事犯に利用され凍結された疑いがある口座につきまして、4,323件の情報を提供しているところでございます。
3点目でございますけれども、詐欺事犯ツールのうちバーチャルオフィスについてでございます。まず、実態把握についてでございますけれども、警察が平成23年中に、利殖勧誘事犯に利用された疑いがあるとして金融機関に凍結を求めた口座のうち約8割が法人名義口座でございました。更に、これらの口座名義人である法人のうち約2割が、金融機関に届けていた事務所の所在地はいわゆる郵便物受け取りサービス等を提供するバーチャルオフィスのものと同一でありました。ちなみに、利用されていたバーチャルオフィスの多くは信用獲得が目的だと思われますが、東京都の港区、中央区等の都心の一等地に所在しておりました。
また、同じような手法でバーチャルオフィス利用法人のバーチャルオフィス契約申込み者について調査したところ、契約申込み者の所在が不明であったものや、もともと面識のなかった相手方からの依頼により、報酬と引き換えにバーチャルオフィス契約や法人登記、口座開設を行ったと契約申込み者が認めた事例も確認できました。
利殖勧誘事犯の犯人側は、取引の相手方を信用させるために、代表取締役を仕立て上げた上で法人登記をするとともに、一等地に所在する金融機関の支店に法人名義の口座を開設するためにバーチャルオフィスを利用しているものと考えられるところでございます。
今のはとりあえずの実態把握でございますが、続きまして、対策の現状でございます。
金融機関におかれましては、バーチャルオフィスを利用しているかどうかも含めて、法人名義の口座開設の際に審査を厳格にしているところでございます。警察におきましては、株式会社ゆうちょ銀行、全国銀行協会に対しまして、法人名義口座の開設に当たりまして、審査期間の確保、本人確認書類の複写保管等を内容とする法人名義口座開設時審査の厳格化を要請しまして、これを受けまして金融機関におかれましては、審査が厳格化されているものと承知しております。また、これらの金融機関における審査の厳格化に資するため、警察が過去に凍結を求めました、利殖勧誘事犯に利用されました法人名義口座に係る情報を、ゆうちょ銀行と全国銀行協会に提供しているところでございます。
続きまして、今後の取組でございます。バーチャルオフィスの実態把握につきましては、概括的に調査を実施したところでございますけれども、もう少し範囲を広げて、利殖勧誘事犯に係るバーチャルオフィスの悪用実態の調査を進めまして、必要な対策の在り方を検討してまいりたいと考えているところでございます。
私からは以上でございます。
○警察庁刑事局捜査第二課特殊詐欺対策室担当者 警察庁刑事局捜査二課特殊詐欺対策室で課長補佐をしておりますタカオと申します。よろしくお願いいたします。
私からは、まず、レンタル電話、IP電話に関する実態把握の程度の関係と、劇場型詐欺被害及びその被害の予防、被害回復について、この2点について御説明したいと思います。
1点目のレンタル電話、IP電話に関する実態把握ですけれども、こういった事犯は私どもの方では特殊詐欺ということで、もともとあった振り込め詐欺のほかに、未公開株や社債等の取引、資産運用を装って現金を振り込ませたり、取りに行ったりする。こういった事犯の新たな手口の詐欺を合わせて特殊詐欺対策ということで対策をとっていますけれども、この詐欺においても、レンタル電話、IP電話ともに犯行に使用されているところでございます。
ただ、これが実際どの程度使われているかという話については、正確なところが把握できておりませんで、ちょっとお答えいたしかねるところでございます。ただ、手はこまねいておられませんので、対策としてとっているところですけれども、まず、この手の電話については、解約依頼を積極的にやるように都道府県警察に対してお願いしているところでございます。
具体的には、レンタル電話の場合ですと、実際に使っている方と名義の契約人が異なっておりますので、レンタルする会社に警察から、これは犯行に使われている電話なので解約してくださいという形の働きかけを行っているところでございます。また、IP電話、携帯電話も含めてですけれども、契約者確認の求めに基づいて、まず、電話会社等に電話を止めてくれというお願いをやっているところでございます。この期間について、すぐ止まるという場合もなかなかないものですから、例えば、止まるために電話会社で本人確認という行為がなされます。これに従来、結構期間がかかっていたのですけれども、電話を使われなくするために期間を短くしてほしい、こういった要請をすることによって、より、こういった電話が使われないような環境にできる働きかけをしているところでございます。
続きまして、劇場型詐欺被害及びその二次被害の関係でございますけれども、こちらでは、いわゆる投資詐欺対策ということで、大きく3点の対策をとっているところでございます。
1点目は、当然でございますけれども、徹底検挙でございます。いわゆる実行犯ですとかそういったもの以外にも、先ほどの電話等もございますが、こういったものをだまし取ったり、使われる口座も含めた、助長犯罪と申しておりますけれども、これを徹底検挙すること。これによって投資詐欺全体を取り締まるというのが1つ目でございます。
2つ目が、官民一体となった被害防止対策の推進でございます。検挙もそうですけれども、抑止ということで、さまざまな広報活動とか、被害者層に応じた働きかけをやることで止めているところでございます。また、金融機関等にも御協力をいただきまして、水際での阻止もやっているところでございます。
3点目は、犯行ツール遮断対策ということで、先ほどのIP電話、レンタル電話とも同じですが、預貯金口座、その他も合わせて積極的にこれを止めるように対策を推進しているところでございます。
これは投資詐欺の方ですけれども、劇場型詐欺被害に関して申し上げますと、大きく今のところ2点、進めているところでございます。
一つが、先ほども申し上げましたが、水際対策でございます。声かけによる被害阻止ということで対応をお願いしているところでございます。実際の場合、この手の事犯の被害に遭われる方は、現金を送金したり、手渡し等をしております。通常の場合、タンス預金ということもございますが、金融機関ですとか、そういったところから預金をおろす、場合によっては証券を解約する。こういった形で現金をまず手に入れて、そこから送金する、手渡しをします。このために、被害に遭う直前のところで、金融機関、郵便局、コンビニエンスストア等の窓口がございますけれども、この職員の方々等に、ちょっとおかしいなという事案があれば声かけをしていただく。これによって水際で犯行を止めるという形で、対策を推進しているところでございます。昨年中、こういった声かけによりまして1,709件の被害を阻止できたというところもございます。これについて、引き続き幅広くお願いを続けているところでございます。
2つ目は、被害の対象を考えると、ということになりますけれども、高齢者等に対する複線的な広報・啓発活動の推進でございます。被害者を分析しますと、高齢者の割合が非常に高いというところがございます。これまでも警察の場合、巡回連絡とか、そういった活動で直接的、またはほかの広報等で働きかけをやってきたところですけれども、昨年から、高齢者本人だけではなく、その子どもさん、もしくはお孫さん、こちらを通じて、家族の絆という形で家族の皆さんから働きかけをしてもらうと、直接我々が申し上げるよりも、より聞いていただけるのではないか。こういうところもあって、この観点からの広報活動を推進しているところでございます。
更に、高齢者の多くの場合は無職の方が多いというところもございます。無職の場合は、勤めていらした方が多いものですから、例えば、間もなく退職を迎える退職者研修会等の場があれば、そこの場において、こういった事犯が起きているというところを御説明して注意喚起をする、こういった取組も行っているところでございます。
更に申しますと、特にこういったいわゆる金融商品取引メーカーと申しておりますけれども、この種事犯につきましては、元本保証ですとか、絶対にもうかるといった文言が使われる場合が多いものですので、こういったところは禁止されているというところを説明しながら働きかけをしているところでございます。
特に本年、進めているところでございますけれども、押収名簿等を活用した注意喚起でございます。特にこの種事犯、いわゆる金融商品等取引メーカーの詐欺については、どうも犯行グループの方では一定の名簿を使って働きかけをやっているような状況がうかがえるところでございます。このため、都道府県警察等で、捜査の過程で押収された名簿等を活用いたしまして、いわゆる被害に遭われそうな方々にピンポイントに直接お電話を差し上げるなどして、犯罪が起きないように抑止したいということで働きかけているところでございます。
以上でございます。
○河上委員長 それでは、金融庁からお願いいたします。
○金融庁監督局有泉証券課長 金融庁証券課長の有泉でございます。
金融庁からは、まず、制度面を含めた取組と、集団投資スキームに係る連絡会議の状況、証券取引等監視委員会からの若干の御説明をさせていただきまして、その後、総務企画局の方から、消費者庁の関与を含めた点について御説明させていただきたいと思っております。資料は、資料2-1、資料3に基づきまして、御説明させていただきたいと思っております。
まず、金融庁の対応でございます。制度整備の面につきまして、未公開株等を利用した詐欺的な商法に対する制度整備といたしまして、改正の金商法の中で、資料2-1の最後のページのマル4でございますが、無登録の業者が非上場の株券等を売付けをした場合には、売買契約自体を原則無効にするといったルールの創設、あるいは、無登録業者による広告・勧誘行為の禁止、併せまして、罰則の引上げなどを行っております。これらにつきましては、順次、施行されているところでございます。
こうした制度整備に合わせまして、国民の皆様方への注意喚起、あるいは金商法の周知徹底を図る観点から、資料2-1の最後のページ、上のところでございますけれども、リーフレット「こんな『うまい話』にご用心!」を、警察庁、消費者庁、国民生活センター、日弁連、各種金融機関の御協力もいただきまして、200万枚を全国に配布しているところでございます。
ファンドを用いた詐欺に対する制度整備といたしましては、私どもの所管の業者の中で、適格機関投資家等特例業務、これはプロの投資家プラス少人数の投資家を相手にする業務です。こういった業務は届出であるわけですけれども、こうした要件を充足しないファンドを運営する悪質な業者自体を排除する観点から、所要の法令の改正、これは内閣府令の改正を行いました。併せて、届け出を受理する際のチェック項目につきまして、監督上の対応として、監督指針にその留意点を追加させていただいておりまして、これも今年の4月から対応させていただいているところでございます。
また、こうした投資者の被害が多発しているということでございますので、私どもとしては一般投資家に対して更に注意を促していく。あるいは、届出業者自体に対しても私どものこうした対応を周知していく。こうした問題については厳正に対応していくことを目的といたしまして、金融庁、証券取引等監視委員会のホームページ上に、適格機関投資家等特例業者に対する対応を強化するという旨、今、申し上げた内容を含んだものを、今年の2月から掲載させていただいている、こういう状況でございます。
また、現場での取組でございます。証券取引等監視委員会の取組につきましては、後ほど簡単に御説明いたしますけれども、金融庁といたしましても、無登録でこうした金融商品取引業を行っていた業者に対しましては、警告書を発出しております。また、平成22年1月より、社名などの公表を行うとともに警察への情報提供も行っているところでございます。ただ、社名を変えて詐欺的商法を行っている事例もあることから、今年の2月の私どもの監督指針の中では、更に代表者などの氏名も公表するという対応を取っているところでございます。
金融庁では、こういった点に加えまして、先ほど警察庁からも御説明がございましたが、預金口座を利用した悪質な事例が大きな社会問題になっているということでございますので、預金口座の不正利用に関する情報については、情報入手先から同意を得ている場合、そういった口座が開設されている金融機関への情報提供を速やかに実施しているところでございます。四半期ごとに、件数につきましては公表するという対応をとっているところでございます。引き続きこうした対応をとりまして、できるだけ消費者被害を少なくする方向で、私どもとしても努めていきたいというふうに考えております。
次に、資料3の最後のページ、「集団投資スキーム連絡協議会」について、簡単に御説明させていただきたいと思います。
一般の消費者から広く金銭を集めまして、何らかの事業投資を行って、その収益を出資者に分配する仕組み、これを集団投資スキームと呼んでいるわけですが、こうしたスキームを利用した投資者被害が非常に多くなっている。こうした場合には、金融商品取引法に加えまして、刑法、出資法、特定商取引法、いろいろな法律に違反する可能性が高いわけでございます。そういった点に照らしまして、平成19年の12月より集団投資スキームの連絡協議会を設置しておりまして、今、申し上げたような法律を所管している各省庁、あるいは関係機関が連携していく。定期的に情報交換・意見交換を行っていくということで、利用者被害の発生の防止、被害の拡大防止に取り組んできているところでございます。
同連絡協議会のメンバーは、消費者庁、警察庁、証券取引等監視委員会、国民生活センター及び金融庁となっています。これは平成19年12月から設置しておりますが、年に2回開催しておりまして、現在まで計9回開催しているところでございます。当協議会におきましては、関係省庁から直近の法改正の説明ですとか、最近の事例取組状況などについて、情報交換・意見交換を行っているところでございます。
若干、具体的に申し上げますと、直近に開催した第9回では、例えば消費者庁から、鉱山に関する権利についてのスキームの概要ですとか、被害者層ですとか、そういった事案の紹介がありましたほか、私どもからは特例業務に関する制度改正についての説明を行いまして、関係の皆さんとの間で意見交換を行っているということでございます。私どもとしては、こういった省庁間の連携は非常に大事だと思っておりますので、引き続き、集団投資スキームのこの連絡会議を活用させていただきながら、被害の防止に努めていくことが重要だと考えております。
引き続きまして、監視委員会からお願いいたします。
○金融庁外崎証券取引等監視委員会事務局証券検査課長 証券取引等監視委員会証券検査課長の外崎でございます。
私からは、監視委員会の取組について簡単に御説明いたします。
いただいているヒアリング項目の2番目、犯罪摘発の実効性を上げるため、関係機関は具体的にどのような協力体制をとっているかという項目に関連して、御説明をさせていただきます。
監視委員会では、犯罪摘発を行っているということではなく、権限・機能といたしましては法令違反行為の指摘を行っているところでございます。監視委員会が取り組んでおりますのは、金融商品取引法違反行為を行う者に対する裁判所への差止の命令の申立て、及びそのための調査の制度の活用でございます。これは、金商法上の登録を受けずに未公開株の販売等を行ったり、ファンド業者が金商法に違反する行為等を行っていないか、といったものを調査するものでございます。
具体的には、監視委員会や各情報受付機関に寄せられた情報等を収集・分析いたしまして、そういった情報をもとに、調査対象先を選定した上で調査を行い、調査の結果、金商法違反行為を認めた者については裁判所へその行為の禁止、停止の申立てを行うというものでございます。
資料3を準備させていただいておりますが、1枚めくっていただいてポンチ絵をごらんいただきたいと思います。このポンチ絵にこれまでの法律の改正の経緯を吹き出しで書いております。金商法以前の証取法時代から法律上の条文はございましたが、この権限が監視委員会に委任されたのが平成20年12月でございます。また、監視委員会がこの権限を使うに当たって、法律を改正をしていただいておりまして、22年6月施行で命令違反の罰則が強化されております。更には、昨年の11月から裁判管轄が拡大ということで、これまでは法人の所在地だけが裁判管轄でしたけれども、違法行為が行われた地も裁判管轄に含まれることになったものでございます。
これまでの事例は、1枚戻っていただいた表にまとめております。実質的にこの申立てを行ったのが22年度からでございまして、22年度、1、2番の2件、23年度は3件行ったというのが実績でございます。詳細は読んでいただければと思いますけれども、直近の5番目だけ、簡単に御紹介させていただきます。これまでの4件はいずれも無登録、あるいは無届けということで指摘していたものでございます。昨年12月に裁判所に申立てをいたしまして、命令をいただいた事案は、虚偽告知の禁止、すなわちファンド募集をしていた会社が顧客の勧誘に際して、顧客に交付したパンフレット等において表示が事実と著しく異なる、そういった点をとらえて裁判所へ申立てをして、その行為の禁止命令を出していただいたという事案でございます。
こういった監視委員会の取組に関しまして、関係機関との連携について、御説明を申し上げます。委員会における無登録業者等への対応に当たりましては、当委員会や財務局監視官部門に直接寄せられた情報だけではなく、金融庁や消費生活センター、日本証券業協会に寄せられた苦情・相談等の情報を活用しております。これらの情報受付機関に寄せられた情報が無登録業者の摘発の重要な端緒となることがございます。したがいまして、日ごろから各情報受付機関と緊密な連携を図っているところでございます。
監視委員会といたしましては、引き続き投資者保護の観点から、金融庁、消費者庁、警察庁との関係機関と連携して、いわゆる詐欺的な事犯抑止のための一助となればということで、無登録業者に対する対応を今後も続けていきたいと考えております。
私からは以上でございます。
○金融庁増田総務企画局市場課市場機能強化室長 総務企画局の市場機能強化室長をしております増田といいます。
委員からヒアリング項目で御提示いただきました、金融商品取引法における被害抑止のための規定について、消費者庁が関与する方向で見直すことについてどのように考えるかという御質問でございます。
先ほど来御説明させていただきましたように、金商法の所管官庁として、金融庁でもその改正等を通じまして、被害の抑止・救済に積極的に取り組んでいるところでございます。御質問の金融商品取引法につきましては、金融商品取引業者に関する業規制、行為規制、有価証券の発行者等に係る開示制度等々、諸規制が定められております。こういった諸規制につきましては、金融商品の取引の公正性の確保、有価証券の流通の円滑性確保、資本市場の機能の十全な発揮、国民経済の健全な発展及び投資者の保護などを目的とするものでございます。このような観点から、複合的な観点をもって企画・立案を進めていく必要があると考えております。
また、金融分野につきましては、従来の業態の垣根を越えた形で、金融の担い手の一体化、あるいは金融商品の一体化が急速に進展しているところでございます。このような実態を踏まえて、各業態の業務内容などをより一元的・一体的に制度設計をしていくためには、金融商品取引法に関しましても、銀行法、その他の金融機関に関する法制度全般の在り方を踏まえた上で、企画・立案を行っていく必要があると考えてございます。
このような点から、金融商品取引法の企画・立案などにつきましては、金融全般に対する専門的かつ横断的な知見を有する金融庁が所管することが適当であると考えております。むしろ金融庁と横断的に消費者行政に知見を有する消費者庁とが、実務面において、緊密に適切に連携を図っていくことが重要であると考えております。
○河上委員長 続きまして、総務省、お願いいたします。
○総務省玉田総合通信基盤局消費者行政課課長 総務省消費者行政課長の玉田でございます。よろしくお願いします。
私からは、御指摘のヒアリング項目にございます、詐欺事犯ツールとして使われるレンタル電話、IP電話に関連した部分について、御説明をさせていただきます。
レンタル電話につきましては、携帯電話不正利用防止法に基づきまして、貸与業者、いわゆるレンタル電話事業者が有償のレンタル契約を締結される際に本人確認を行う義務、本人確認書類の作成義務、本人確認書類の保存義務といった義務がございます。総務省といたしましては、携帯電話不正利用防止法に規定されている諸手続等につきまして、レンタル電話事業者あるいは一般にも周知するためのリーフレットを1万5,000部作成いたしまして、私ども総務省の地方の出先機関でございます総合通信局等を通じて、例えば地域の犯罪防止に関するイベント等での配布など、広く配布するとともに、また、WEBサイトを通じてごらんいただけるようにしているところでございます。
IP電話につきましては、平成24年3月末現在で、登録等をされ、また番号を付与されている事業者が27社おります。それらから卸しを受けてサービスを提供する事業者も多数おられるところでございまして、こういった事業者は携帯電話不正利用防止法の対象ではございませんけれども、私どもとしましても、大手の事業者を中心に、必要に応じてその運用状況を含めたサービス状況について聴取を行うことにより、引き続き、電気通信サービスの不適正利用の防止に向けて取り組んでまいりたいということでございます。
○河上委員長 それでは、法務省、お願いいたします。
○法務省民事局商事課担当者 法務省民事局商事課の局付の中嶋と申します。よろしくお願いいたします。
法務省に関しましては、ヒアリング項目といたしまして、「法人登記手続の簡略化によって詐欺事犯の摘発が難しくなっている面があるが、現行制度の問題点や見直しの必要性についてどのように考えているか」という点を御指摘いただいておりますので、この点について御説明申し上げます。
お手元の配付資料の資料5に法務省作成資料がございます。「商業登記について」と題する書面でございます。商業登記は、法人の成立、あるいはその状態の公示をするものでございまして、大きく分けまして、その状態がどのようなものかを公示するかという登記事項というカテゴリーと、その手続,どのようなものを公示するかについて真正な手続がとられているかという、真正手続の確保という大きな2つの柱がありますので、2つに分けて御説明申し上げます。
1点目の、何を公示するかという点でございます。会社、法人ですので、所在地、成立の年月日等々ございますけれども、詐欺事犯の摘発という観点でいきますと、実行行為をしている取締役の捕捉という点が問題となると思われますので、取締役について絞って御説明申し上げます。
まず、登記事項につきまして、取締役に関する登記事項については会社法911条に定められております。1の四角で囲んだものにありますとおり、特に911条3項の「第一項の登記において、次に掲げる事項を登記しなければならない」という中の13号、14号、平の取締役につきましては氏名を登記する。代表権を有する代表取締役につきましては氏名及び住所を登記する。15号といたしまして、会社が取締役会設置会社であるときにはその旨を登記する、ということが定められております。
他方、もう一つの柱であります登記手続のチェックという項目につきましては、2で記載してあるとおりでございまして、もともとは商業登記法に通則が書いてありますけれども、細かい添付書面は商業登記規則に定められております。このうち取締役の就任につきましては、取締役と会社は委任契約になっておりますので、委任契約を受けたということで就任承諾書というものをつけていただくのですけれども、この就任承諾書の内容が、本人であるか、適正なものであるかというのを確認するために、印鑑証明書を一定の場合においてつけていただくことになっております。
これが、商業登記規則61条に定めてあるところでございまして、特に2項、3項が今回の場合では重要となってくると思われますが、2項に、設立の登記の申請書には、設立時取締役が就任を承諾したことを証する書面(就任承諾書)の印鑑について、市区町村長の作成した証明書、いわゆる印鑑証明書を添付しなければならないとされておりまして、取締役の就任による変更の登記のときも同様であるというふうにされております。
次の3項ですけれども、このように取締役が就任するときには、就任承諾書に押した印鑑の印鑑証明書をつけていただくことで本人確認としていますけれども、取締役会設置会社という取締役会を設けている会社にあっては、代表取締役、すなわち代表権を有する者について、その適正を担保するために、代表権を有する者の就任承諾書に押した印鑑の印鑑証明書をつけていただくという規律となっております。
4項では、選び方についての議事録の印鑑証明書という規定がありますが、これは今回の取締役の適正という点では若干劣後しますので、ここでは省略いたしますけれども、そのように、1番の登記事項として何を登記するか、2番の登記手続として何をチェックするかという大きな柱があります。
この観点で、詐欺事犯の摘発が難しくなっているということで、真実性の確保でどのようなことがされているかというところです。近時の議論を見ますと、何を公示するかという点につきましては、3番に掲げました、取締役の登記をめぐる近時の動向のところにありますとおり、「規制改革推進のための3カ年計画」(閣議決定)におきまして、会社を代表する取締役・社員等の住所について、「法務局への届け出は行うが、訴訟手続等正当な目的のための開示を除き、非公開にすることを選択できる等の措置について検討する」ということで掲げられております。何を公示するかという観点では、代表権を有する代表取締役についても、住所は、最近はプライバシーの観点で、公開しない方がいいのではないかという観点で検討をすることが求められているところでございます。
他方、上記2番の就任承諾書とその印鑑証明の観点につきましては、各界からいろいろ御意見をいただいているところでございます。平成24年1月には、日本司法書士会連合会から御意見をいただいており、最近、24年4月13日には日本弁護士連合会からも御意見をいただいております。この御意見につきましては、取締役会設置会社については平の取締役についての就任承諾書に押した印鑑の印鑑証明書の添付は義務づけられていないところ、これを義務づける方向で見直してはどうかという御意見を御提案いただいているところでございます。
現在、法務省におきましては、これらの御提案や指摘を踏まえまして、最後の4番の検討すべき事項、こういう柱を掲げて検討しているところでございます。
1つ目は、真実性確保と申請人の負担というものでございます。きっちり印鑑証明書をつけていただくことで真実性は確保できますけれども、それを求めることによって、現在は添付を要しない書類をつけることになることで、負担が増えるのではないかという観点、それのバランスをどうとるかという点。
2つ目のプライバシーの点は、公示をすることでプライバシーの侵害になるのではないかという指摘についてどう考えるかという点。
3つ目の刑罰法令による抑止との関係という点でございますけれども、一般に登記については、ことさら虚偽の内容をした場合には、公正証書の原本不実記載、今は電磁的公正証書原本不実記録と言われますけれども、犯罪になるということで、そういうことをすることは一般予防として抑止されているという関係にありますので、刑事罰で、ことさら悪いことをして虚偽の登記をした者を処罰するという規律を越えて、更に手続面で負担を要求することをどう考えていくかという点、
4つ目の、改善策の内容とその効果の検証という点でございます。このように添付書面を例えば平の取締役について印鑑証明書を求めることにしたときに、それがどの程度、詐欺事犯の抑止、摘発に結びついていくのかという点の検証が、数値化することが難しいということもありまして、それをどのように考えるかという点について、今後、検討する必要があるというふうに考えております。
以上でございます。
○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御報告を前提に、御質問、御意見を承りたいと思います。よろしくお願いいたします。
○山口委員長代理 ありがとうございました。特に高齢者を中心にした投資詐欺が一向に減らない、むしろ増えているという実情を踏まえますと、今日おいでいただきました関係省庁には、より一層の御尽力を是非いただきたいと思います。消費者委員会でも、未公開株については提言いたしまして、先ほど金融庁からも御説明がありましたような法改正もいただきましたし、先ほど証券取引等監視委員会からお話があったような、裁判所への申立てによる実績も上げていただいている。法務省も、率直にいいますと重い腰をようやく上げて、登記の実務についても検討を始めていただいているというところで、少し期待するところはあるのですが、なお、それぞれの分野で努力していただかないと、投資詐欺の詐欺師連中は、どこに法律のすき間があるかをねらいながら次の手を考えておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
そこで、関係省庁に時間の制限もございますので、幾つかお聞きしたいと思います。まず、警察庁の福田管理官に伺いたいのは、現在の消費者問題というのは、従前の牧歌的なものから変化して、最初から詐欺を働く計画で行っています。はっきり言って、消費生活相談の相談員の女性たちの手に余る。最初からだますつもりでいますから、相談員の方が電話をしても開き直る。あるいは、電話してみると逃げていて連絡が取れないというような事犯がかなり多くなっていまして、正直言って手に余るという状態にあります。
そういう中では、先ほど御紹介がありましたように、地方消費者行政部局に執行の強化という観点から、取り調べあるいは執行のノウハウを持った警察官が、現職あるいはOBで働いていただいて、それなりの実績を上げているという例を、和歌山や秋田などで聞いております。正直言って個人的には、何でも警察というのは余り好きではないのですが、しかし、ここまで詐欺師の投資被害がまん延している以上、やはりこの段階では警察の方々に御尽力いただいて、あるいは、各都道府県の消費者行政部局においても、積極的に現職の警察官、あるいはOBを採用して、交渉力、執行力の強化を図る必要があると思いますが、それをちゅうちょする要素があるかどうかをお聞きしたいと思います。なければ、消費者委員会としても、なお一層積極的に執行力の強化の観点からもやっていく必要があると思います。それほど難しい質問ではないと思いますが、お願いいたします。
2番目は、先ほど警察庁からの御説明であったと思いますが、運用の点で教えていただきたいのは、金融機関に口座開設をするときの審査を厳しくするようにしているという御説明がありましたが、もう少し具体的にどういうふうに厳しくしているのか。本人確認としては何を出させているのか。金融機関によって違うのかもしれませんが、一応の目途をもう少し御説明いただけないでしょうか。それは、法務当局の登記における本人確認、その他の実務ともかかわってくると思います。金融機関ができることは、法務局の登記の窓口でもできるのではないかと思いますので、その辺の視点から、審査の厳格化というのは具体的にどのような形でなさっているのかという点について、伺わせていただければと思います。
3番目は、これは恐らく総務省にお聞きすることになるかと思いますが、高齢者の被害の特殊性は二次被害です。つまり、ここにガードの甘いお年寄りがいるということがわかって名簿化されますと、うるさいほどに次から次に電話がかかってきます。明らかにこれは詐欺師連中の中に情報ネットワークがあって、ガードの甘いお年寄りをカモにするネットワークがあると考えられます。なおかつ、そこで引っかかったなと思っているお年寄りに、今度はその被害を回復してあげるからということで、更にまた勧誘がかかってくる。あるいは、前に被った損害を頑張って一緒に取り戻しましょうということで、新しい加害者が電話をかけてくるというようなことがあります。
そこで御相談は、電話番号を迅速に変えるための手続を、特に70歳以上のお年寄りについては簡略化するという、その辺の実務的な改善ができないのかということです。電話番号の変更が簡略化するようなシステムがきちっとでき上がって、それが警察なり消費生活相談の窓口に周知されれば、一回引っかかったお年寄りについて、すぐに番号を変えるという段取りができると思うのです。お年寄りが一人で自分で番号を変えるというのはなかなか大変なものだから、場合によっては家族が電話番号を切ってしまうわけです。電話が使えない状態になってしまうということになりかねない。この辺はかなり深刻な問題なので、二次被害防止のために番号を変える、そういうことができないのか。総務省の方ではどうでしょうか、ということです。
総務省の関係でもう一つ伺いたいのは、これは私どもとしては苦言を呈したいと思いますが、今、IP電話の利用者数は非常に増えています。携帯電話について不正利用防止法で規制対象にしているというお話ですが、今のお話ですと、IP電話はその規制の対象から外れている。ここを明らかに利用した詐欺師連中が、IP電話を多用して電話をかけまくって劇場型の被害の発生をもたらしています。なぜこれを早く手を打ってくれないのかということです。
この間、東京地裁の判例がありまして、携帯電話についても不正利用防止法に基づく本人確認が徹底されていないということで、新しい被害が起こったことについて、これは携帯電話の会社に損害賠償の義務が認められました。それでもまだ携帯電話の場合には、本人確認のそういうツールがある。しかし、IP電話についてはそういうシステムがない。私は3年ぐらい前から、警察の関係者にどうなっているのかと聞くと、IP電話についてはかける電話の相手の方が確認できないものだから、それ以上の捜査は難しいということを聞いています。これは総務省には、知らないとは言わせませんよ。当然、知っているはずです。にもかかわらず、なぜ手を打たれないのか。ここは是非伺いたいと思います。
金融庁の関係は、今年の4月1日に政令を改正されて、あるいは執行を強化されて、被害の抑止がファンドについては相当実効性が上がったと聞いております。それはそれでよかったなと思うのですが、なお、こういう点はどうなのかというので2つだけ伺いたいと思います。
実際にファンドの届出の内容を被害者の実情に基づいて調査してみますと、こんないいかげんな届出を受け付けるのかと。事例としては、余り具体的なことは言えませんが、例えば中国人を人材として日本に来させて、日中友好の経済発展を期するんだということが漠然と書いてあって、中身は、何だこれはというような簡単な届出内容なのです。この年寄りが何千万円か出しているところで、一体何人ぐらい届出が出ているのか、その内容がどうなのかということを確認しようとしても、確認できないのです。その辺、届出内容をもう少し簡単にお年寄りが確認できる、あるいは、「おばあちゃん、引っかかってるんじゃないの?」と、家族が簡単に届出内容を閲覧できる。あるいは、50人未満に限定されているはずですが、今、何人がどれだけの資本を集めているのか。その辺も、本人なり、本人の家族がおばあちゃんを連れてどこか窓口に行けば、見られるような体制がつくれないのかという点を伺いたい。
それから、今日はデータをいただいていないのですが、ファンドの処分の件数と実例。一昨年はいただいと思います。どういうファンド業者について処分をしたのか、処分した業者が何人から幾らのお金を集めていたのかという一覧表をいただきました。今回はいただいていないのですが、昨年1年間に、何という業者を何件処分して、被害者が何人から幾ら集めていたのか。この一覧表は、今日ではなくて1週間後でも構いませんので、是非いただきたいと思います。今後、消費者委員会がこのファンド被害の抑止を考える上での参考にさせていただきたいと思いますので、データをお願いしたいと思います。
その観点で、先ほど、裁判所の申立てで処分した5件の例がありましたが、これにつきましても、何人が幾ら被害に遭っているのか。せめてそのぐらいのデータを、これは証券取引等監視委員会からもいただけないでしょうかというのがお願いです。
最後になりますが、法務省です。金融機関では本人確認で一定程度の実績を上げていただいております。全国に登記官がたくさんいて、忙しいのは痛いほどよくわかっていますが、少なくとも本人確認をもう少し徹底させることができないだろうか。それから、印鑑証明書を交付させてそれを一定期間保管するぐらいのことは、そんなに難しくないことだと思いますので、是非検討をお願いしたいと思います。
御存じだと思いますが、最近の投資詐欺は、1週間か2週間、ワッと年寄りに電話をかけまくってお金を集めたらサッと消えます。ですから、2、3年、登記原因証書を保管していただくだけで相当に意味があるのです。法人格の悪用はしにくくなるという面があります。そんなに5年も10年も保管しろとは言いませんが、その辺の実務の再検討のスピードアップを少しいただけないだろうかというところで、お願いします。
各省、すみませんが、よろしくお願いいたします。
○警察庁福田生活安全局生活経済対策管理官 警察庁からお答えさせていただきます。
人事交流の問題点ですけれども、基本的には問題ございませんので、拡大するようにしているところでございます。ただ、定数と予算と適任者の問題がございまして、現職とOB両方ありますけれども、そういった観点から、OBの方が数的には現職よりも多くなっているようでございます。
2点目、審査の厳格化でございます。これは、必ずしもすべての金融機関を網羅しているわけではございませんけれども、銀行ごとにおいて違いますが、厳格化には応じてもらっているところでございます。
要望した事項について簡単に御説明させていただきますと、例えば、審査期間確保のため法人名義口座を即日開設しないということを申しておりますし、審査の厳格化ということで、口座開設希望者に各種書類の提示を求めて、複写保管をするようにお願いしております。特に来店者、実際に来店に来られる方の公的な本人確認書類、これは原本で確認するようにお願いしております。口座開設希望者から聴取をお願いしたり、あるいは、私どもの提供させていただいております凍結口座の名義法人リストもそうですが、各種照合審査。それと、場所によってはなかなかできないところも多いみたいですが、実地調査などもできればということでお願いしているところでございます。各行でそれぞれ工夫してやられているみたいですけれども、こういった申入れをした結果、以前よりも厳格化はなされているというふうに聞いているところでございます。
私からは以上でございます。
○河上委員長 総務省、いかがですか。
○総務省玉田総合通信基盤局消費者行政課課長 御指摘2点いただいてございます。
まず、高齢者二次被害防止の観点から、電話番号の変更という御指摘があったと思います。私は本件はダイレクトに担当するところではございませんけれども、電話番号の変更に関しましては、例えば契約当事者が御本人である場合、あるいは御家族である場合、御高齢者御自身が契約者である場合でも、変更をするとなった場合の意味でありますとか、どういう中身の契約が必要か。そういったところをしっかり御理解いただいた上でやっていただくことになるのではないかと思っておりますけれども、事業者によって、電話番号の変更のポリシーですとか、そういったところの部分もございますので、担当しているところにこういった御指摘があった旨をお伝えしたいと思っております。
2点目のIP電話の関係でございます。IP電話につきましては、例えば、NTT東西が提供する光電話のような形とか、それ以外にも、IP電話用の番号が振られて提供されているものと、いわゆるスカイプのようにPCとPCでやられるものといろいろございます。後者はインターネット電話と呼ばれる場合も多いわけですけれども、こういういろいろな形態において、利用者の電話番号がどこまでわかるのかということも含めて、御指摘いただいた点を、関係する事業者からも事情をしっかり聞いてみたいというふうに思っております。
○河上委員長 IP電話などは、利用者の確定そのものが難しいということですか。
○総務省玉田総合通信基盤局消費者行政課課長 スカイプなどですと、PC to PCですので、例えばお使いになる側も、御高齢者がPCでスカイプを使われる場合は非常に少ないのではないかと思われます。それ以外の場合では、一定程度わかる部分でもあるのではないかと思われますので、そこをしっかりと確認をしたいと思います。
○河上委員長 金融庁、いかがでしょうか。
○金融庁有泉監督局証券課長 山口先生から御指摘を受けた点ですけれども、確かに届出を私どもは受ける立場でございます。ただ、監督当局といたしましては、届出についていろいろな項目が決まっておりますので、それについてヒアリングをするというのが、我々として最大限あり得る対応かと思っています。他方で、先生御指摘のように、例えば実際の投資スキームがあやふやであるとか、はっきり決まっていないとか、ケースによりましては未定というケースも実際問題としてあるわけでございます。そういった場合に、私どもとしてそれでは届出を受理しないのかと言われますと、今の全体の中で申しますと、スキーム自体がかっちり固まっていることが届出事項になっていないという状況でございます。
他方で、監督指針の改正を今年の春から行っているわけでございますけれども、例えば届出書に形式的な不備ですとか、届出内容の疑義などが認められる場合は、詳細な内容をお尋ねすることがありますということで、監督当局としては非常に悩みのあるところではございますけれども、そういった届出のタイミングを見て、できる限り非公式ベースで確認できることは確認させていただきたいと考えております。
いずれにいたしましても、届出という制度でございますので、先ほど先生から御指摘のありました、今、何人の投資家が投資しているのかとか、こういったことにつきましては、リアルタイムで私どもとして把握するのは、正直申し上げましてなかなか難しい面もある点は御理解いただければと、このように考えております。
それから、ファンドの処分の件数等でございますけれども、これについては手元にはございませんので、また後ほどということにさせていただきたいと思います。金額につきましては、例えば、処分の際にそういった事実の認定の中で出てまいりますれば、私ども、処分の勧告は監視委員会の事実認定に従って行うことがございますので、そういったものについては出していくということかと思います。
5件の申立ての部分につきましては、監視委員会から御説明させていただきたいと思います。
○山口委員長代理 ファンドは相当件数、処分されていますね。どこの業者を何件というのは出せますか。
○金融庁有泉監督局証券課長 これは手元に持ち合わせておりませんので、後ほど提出させていただきたいと思っております。
○金融庁外崎証券取引等監視委員会事務局証券検査課長 監視委員会に御依頼があった裁判所の申立ての被害者の人数と金額につきましては、今、手元にございませんので、持ち帰り検討させていただきます。
○金融庁横尾企画局市場課企画官 ちょっとよろしいでしょうか。今、証券課長より説明しました適格機関投資家等特例業務の件でございます。山口先生は勿論お詳しいわけですけれども、ほかの委員の皆様の審議の御参考のために申し上げますと、今、話題になりました、届出でファンドの運営が可能となっている制度でございますけれども、これは極めて特殊な制度でございます。通常、人からお金でファンドを運営するということであれば、金融商品取引業者ということで金融庁に登録を得て、金融庁の監督下に置いて監督されてお金を集める。そのためには最低資本金とか、管理体制とか、そういう厳しい要件が課されているわけでございます。
ただ、こうしたことをのべつ全部投資事業に当てはめるということになりますと、例えばベンチャーファンドでございますとか、あるいは、小規模な公共性の高い地域コミュニティのファンドですとか、そういうところが実際、資金調達ができなくなるということがございましたので、特例的に、金融庁に対して届出を出すだけ。金融庁の方では届出を受理するしかないわけですけれども、どこの某が金銭を集めているということだけを我々は把握するという下で、特例的に認めているファンドがございます。それが今回の適格機関投資家等特例業務でございます。
なぜ適格機関投資家等というふうに入っているかというと、およそ人から金を集めるのに対して、金融庁に届出一本でできるということだとやはり不十分である。かといって、先ほど申し上げたような重い規制を課すというのもなかなか現実難しい。となると、適格機関投資家、これは上場企業であるとか、金融機関とか、そういうところでございますけれども、そういう人が出資しているファンドであれば、金融庁になり代わってきちんとした運営の牽制を効かせることが期待できるかもしれない。それによって、金融庁になり代わって牽制効果を期待して届出だけで済ませているというものでございます。先生から御指摘ありましたように、これが悪用されている事例がございました。特に、適格機関投資家なんて実際はいないのに、金融庁に届出一本済ませて金を集めているという事例があったので、今回の改正では、ちゃんと適格機関投資家がいることを金融庁に届けるようという改正を行ったわけでございます。
ですから、先生がおっしゃったような、細かく事業のスキームを届け出させるとか、それを金融庁が判断するということになりますと、これは、ファンドの許可制のようなところまで及ぶ議論ではないかと思います。我々としてはそこまでは行かずに、適格機関投資家のガバナンスがちゃんと効いているファンドであれば、従来どおりの届出によって資金調達を可能にしていく。その基本線は考えながら、しかしながら、先ほど証券課長が申し上げたように、運営でできる面については、最大限、投資家利益を完遂できるかという観点から厳しくコンプライアンスを見ていく、こういうことだと思っております。
○山口委員長代理 今の点でどうしても納得できないのが、要するに届出をしたからということで、当局は届出を受け付けただけだからと、こう主張するけれども、お年寄りの方々は、詐欺的な投資会社が、金融庁にお届出番号何番とかいって麗々しく書かれていると、大丈夫なところなんだと思ってしまうわけです。
これは、別に中身まで審査しろとは言わないけれども、例えばタイに木材会社をつくって、現地と協力して何とかやりますと書いてある場合、タイのどこと書いてあるのか。幾らの資金を集めようとしているのか。最低限聞きたいことはわかるじゃないですか。そのぐらいのことは書いていなければだめと。もしそれが書いてあったら、明らかに詐欺だということを立件しやすいわけです。ところが、余りにも届出内容がいいかげんで、しかも漠としていて、それで金集めて、被害だ、詐欺だとやってみても、これは余りにも内容があいまいだし、お年寄りは何と説明を受けたかも覚えていないわけです。
やはりある程度具体的なことを要件として届け出させて、審査しろとは言いません、届出内容を要件的にきちっと当てはめる。届出内容は5、6行ではないですか。それで届出何号なんて番号が振られていること自体びっくりしますけれども、それで50人から何億円と集めるわけです。何なのこれはと思うけれども、少なくとも何千万円も集めるわけですから、届出条項をきちっと整備するぐらいのことはあっていいのではないですか。
○金融庁横尾企画局市場課企画官 まず前提として、届出は当局に出されますけれども、それを開示とか公衆縦覧とすることはございません。したがいまして、そこに細かく書かせても、勧誘の局面に当たって投資家が金融庁に届出内容を確認するということはできないと思います。むしろそれは投資家が、御本人としてファンドの方に聞かれるべき事項かなというふうに思います。
○山口委員長代理 なぜ開示、縦覧できないのですか。
○金融庁横尾企画局市場課企画官 それは行政情報として私どもはいただいておりますので、それ自体を、一般の方から照会があったときに公開させるということはやっておりません。もしやるとしたら、行政情報の情報公開請求とかそういった手続を踏む必要が出てくると思います。
他方、いいかげんな業者につきましては、コンタクトが取れなくなっているとか、我々が警告書を発出しても無視している業者、こういうものは、したがって外形的に恐らく怪しいファンドであろうということは、ホームページ上に公開しています。そういう意味での情報提供はやっております。
○河上委員長 法務省、お願いします。
○法務省民事局商事課担当者 法務省から、御指摘いただいた点について回答いたします。
2点あったかと思います。1点目が、本人確認について、金融機関のやり方を参考にしながら更に改善というお話で、もう1点は、書類の保存という点ですけれども、2点目の書類の保存につきましては、申請書類とその付属書類ということで、受付の日から5年間保存するということで商業登記規則の34条に規定がありまして、現場ではそのようにしております。ただ、誰でも見られるというわけではなく、利害関係を有する者がそれを疎明して閲覧の申請をしていただくという手続が必要ですけれども、少なくとも保存、置いてあるという意味では5年間置いてあることになっております。
○山口委員長代理 印鑑証明ですが。
○法務省民事局商事課担当者 印鑑証明も、代表取締役の就任による変更の登記をするときに添付されている代表取締役の市区町村長の印鑑証明書につきましては、添付付属書類ということで一式セットになって保存されております。これが保存の期間の点でございます。
もう一点の本人確認の点でございます。確かに金融機関が実施している方法で示唆を受けるところはございますので、参考にさせていただければと思うところではありますけれども、幾つか気になるところがあって、そのとおりうまくいくかどうか懸念されるところがございます。まず、金融機関の本人確認は契約における本人確認でございますけれども、登記は公法上の手続における本人確認でありまして、審査も形式的審査しかできないということが決まっております。その辺で同じ土俵で議論できるかどうか、更に検討が必要かなというところがございます。
その絡みで言いますと、公示すべき事項に必要な限度でチェックするということになっておりますので、本人確認も、登記によって公示することとの結びつきで必要な情報であれば当然取ることはできますけれども、必ずしもその説明がうまくつかなければ、ここも慎重な検討が必要かなというところであります。
公法上の手続ということで申し上げますと、例えば変更がございますと、変更の登記をしなければ、公法上の制裁、過料でお金を取るということで、制裁を加えて登記を義務づけております。そういう観点で、これから契約を結ぶという口座開設の場面とは、必ずしも同列に論じ得るかどうかは微妙なのではないかというところはございます。
いずれにせよ、本人確認のやり方というところに絞って議論いたしますと、参考にさせていただく部分もあるかと思いますので、更に今後、検討したいと思います。
○山口委員長代理 これから国際化に伴って、外国人が役員になることは増えると思います。ところが、今の登記実務ではその人が実在するかどうかさえわからないのです。せめて外国人登録証、今度法律が改正されて外国人にも住民票ができると思いますが、そのコピーぐらいは出させて保管していただかないと、代表取締役は名ばかり代表取締役。つまり、どこかのアパートに住んでいるような、三十何歳の、言葉を選ばずに言えば、お兄ちゃん。何をやっていたかわからないようなお兄ちゃんが名ばかり代表取締役。平取で出てくるのは、本人かどうかすらわからないような、そういう会社がごまんとあるわけです。それで被害に引っかかって、弁護士でも消費者センターでもいいけれども、会社の責任を追及しようと思っても全然できない。そんな被害が山ほどあるので、是非、検討をお願いいたします。
○法務省民事局商事課担当者 簡単に申し上げますと、外国人の場合も、代表権を有する者になる場合は、印鑑証明書が取れないことになりますので、サイン証明書ということで、本国官憲が認証したものを印鑑証明書の代わりに添付していただくことになっております。その関係でぎりぎりの確認は、今のところはできているということです。
○山口委員長代理 平取締役です。
○法務省民事局商事課担当者 平取締役につきましては、先ほど申し上げたとおり取締役会設置会社の平取締役ということで、現在の、日本人であっても印鑑証明書を求めていない部分に相当するところだと思います。これは、日本人について印鑑証明書を求めることになるかどうかという議論とパラレルに、外国人の平取締役についても、サイン証明書を求めるのかどうかという議論がされることになるのかなと思うところでございます。
○河上委員長 ほかにいかがでしょうか。
細川委員、どうぞ。
○細川委員 もう時間もないと思うので、意見だけですけれども、先ほど山口委員が言われたように、こういう時代に刑事法の活用というのは仕方ない状況になっているのではないかなと思います。そういう意味で言えば、日本では刑法典以外にも行政刑法というものがたくさんあります。直罰規定もあれば間接罰規定もある。そういったものの消費者被害における適用のトータルな検討というのが、今までなされていなかったのではないかというふうに思います。
そういう意味で言うと、消費者刑法とか、刑事消費者法というような視点で、エンフォースメントが本当に適切になされているのかという点で、登記制度も含めて、トータルに考える必要があるのではないかと前から思っています。例えば、消費者委員会でそういう研究をするとか、消費者庁の方で、刑事法規の消費者被害、あるいは国民の安全・安心のための制度の在り方のようなものを検証していかないと、個別に一つひとつたたいていってもなかなか進捗しないのではないかなと思います。今日の機会は、各省集まっていただいてこういう議論というのは、ある意味有意義だなと思いますので、こういったものが継続的に続く、そういうシステムが必要ではないかというふうに感じました。
○河上委員長 ほかに、よろしいですか。
随分話題になりましたように、各省庁で積極的に取組をしていただいて、それなりに成果も上がっていますけれども、それを越える被害が出ているという現実がございます。それぞれ越えるべき山はたくさんあるようで、例えばIPのことにしても、どういう形でそれを規制対象として取り込めるかという問題ですとか、届出なのだから事前審査は難しいというようなお話もありました。しかし、届出だからといって受理の要件を考えないで済むという話ではないので、その辺も工夫していただけないかとか、法務省でも、本人確認の部分についてコスト面とかいろいろな面をお考えで、慎重に検討したいとおっしゃっていますが、印鑑証明なんて、今、どこでも請求されるわけで、その程度の負担で問題が防げていくのであれば、前向きに取り組んでいただければと思います。ぜひ今後とも、取組を強化していただきたい。
この問題については、特に関係機関による連携を通じた取組が大変有効であると考えられます。これまでの関係省庁レベルでの連携に加えて、消費生活センター、警察といった現場レベルでの連携強化のための仕組みづくりを、是非、具体的に検討していただければありがたいと思います。
それから、詐欺的商法のツールとしてしばしば使われることが多いレンタル電話、IP電話バーチャルオフィスの対応、法人登記手続の簡略化の見直しといった問題については、是非とも具体的な方策を前向きに検討していただいて、可能なものに関しては、消費者基本計画の具体的施策の中に書き込んでいただきたいと思います。
なお、金融庁におかれましては、金融商品取引法の消費者被害の抑止・救済のための規定について、消費者庁の関与の在り方について、現在は実務面での連携が適当だとおっしゃったわけですけれども、場合によっては法律上の協議事項とするなど制度的な関与の在り方を前向きに検討していただければありがたいと思います。
追加的に一点だけ、小幡委員。
○小幡委員 先ほどの届出制度についてです。行政法的に言うと、届出というのは大変難しくて、なかなか受理しないということは難しいのですが、ただ、先ほどおっしゃったことで一言だけ申し上げたいのですが、それでは何のために届出制度があるかというと、せめて消費者に情報を与えて御自分で判断していただくところにメリットがあるのですから、山口委員長代理がおっしゃったように、情報を出していただかないと。届出情報というのは行政がそのために得ているわけですから、それを積極的に出して消費者の側で判断していただく、ということは是非とも必要ではないかと思います。
○河上委員長 ありがとうございました。その点についても、是非、御配慮をいただければと思います。消費者庁、警察庁、金融庁、総務省、法務省におかれましては、お忙しい中、ご協力いただきまして、大変ありがとうございました。
(2) 決済代行等インターネット消費者被害対策(施策番号153-2、171関係)
○河上委員長 続きまして、決済代行等に係るインターネット消費者被害対策について、議論したいと思います。
近年、インターネットによる各種取引に関する消費者被害が増加傾向にあります。中でも、決済代行業者を経由したクレジットカード決済による被害の解決が困難になっているという状況を受けまして、消費者委員会では平成22年10月に、関係省庁に対する提言、すなわち、「決済代行業者を経由したクレジットカード決済によるインターネット取引の被害対策に関する提言」を取りまとめ、消費者基本計画の検証・評価・監視に係る関係省庁ヒアリングにおいても継続的にフォローアップを行ってきております。本件については、決済代行業者の登録制度の創設など一定の取組が進んでいるところでございますが、越境取引に関するトラブルの解決など、なお難しい課題がございますので、更に取組を強化していく必要があると考えております。
また、インターネットによる消費者被害解決が困難化する背景の一つとして、悪徳業者がホームページ上に事業者名や連絡先等を掲載していなかったり、虚偽の情報を掲載したりするため、加害者の特定が困難であるという問題があります。このため、プロバイダ責任制限法、いわゆる特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律、いわゆるプロバイダ責任制限法の運用強化や、同法の消費者庁の関与の在り方を含めた見直しの必要性について、併せて御議論をいただきたいと思います。
本日は、消費者庁、経済産業省、総務省においでいただいております。初めに、決済代行関連について、消費者庁、経済産業省から御説明をいただき、引き続き、プロバイダ責任制限法関連について総務省から御説明をいただければと思います。
説明時間については、恐縮ですけれども、それぞれ5分程度でお願いできればと思います。では、よろしくお願いいたします。
○消費者庁川上財産被害対策室長 消費者庁消費者政策課の川上と申します。
私からは、昨年度から開始いたしました登録制度の状況、併せて、越境取引のトラブルについても説明させていただきたいと思います。資料6-1から6-5まで御用意させていただきました。
前回のヒアリングでも御説明いたしましたように、昨年の7月から、一昨年の消費者委員会の提言ですとか、昨年の3月のインターネット消費者取引研究会の取りまとめでも指摘しておりますが、そういったものを踏まえまして、消費者庁としてできるものということで、任意の制度ではございますけれども、昨年の7月から決済代行業者登録制度ということで、6-1に現在の状況を、「登録簿」、そのものでございますが、トップページを打ち出させていただいております。昨年度末で23社の登録をいただきました。各社をクリックしていただくと更に詳細な情報、連絡先の電話番号等、請求名称がどうであるか、そういったようなことがわかるようになっております。
23社という社数が多いか少ないかというところは、まだ広げる余地はあるのではないかと思いまして、今年度も実施させていただく予定でおりますけれども、引き続き参加を募るということ。あとは、昨年度はとにかくこういった制度を立ち上げるということで、制度発足時と、年末に、全国の消費生活センターにこういった制度の周知をさせていただきました。引き続きそういった情報提供を行っていくとともに、登録の表示情報とは直接関係ないかもしれませんけれども、登録された事業者の中で特に消費生活相談が多い事業者については、個別に状況等を聞かせていただく機会も、今年度は登録制度を取っかかりとしてアプローチをしていきたいと思っております。
資料6-2は、昨年の制度発足のときにプレスリリースをさせていただいたものであります。
越境取引のところに行く前に、本日の話だったので、資料の番号ということでは付しておりませんが、恐らくテーブルの方には配付させていただいていると思います。インターネット、特に出会い系サイト、サクラサイト、こういったもののトラブルの未然防止ということから言いますと、消費者への情報提供、啓発は非常に重要だと思っております。詐欺的サクラサイト商法被害撲滅キャンペーンということで、これは消費者庁始まって初めての取組ではありますけれども、実際にサクラサイトで語られている、そういった芸能人の方に1日国民生活センター長という形で委嘱いたしまして、今月は消費者月間でもございますので、いろいろと消費者の方々にわかりやすくPRをしていきたいというふうに考えてございます。
資料6-3、6-4の関係でございます。委員長からも御指摘がありましたように、いわゆる越境取引といいますか、インターネットを通じて海外のサイトから物を購入するときにまつわるトラブルが目立ってきていることもありまして、消費者庁としましては、昨年の11月から消費者庁越境消費者センターを開設いたしました。消費者の方からの越境取引に係るトラブルの情報をお受けいたしまして、それを海外の提携先の機関にも情報提供をして、クロスボーダーで海外の事業者にも当たりながらトラブル解決を図っていく取組を行ってまいりました。
資料6-3は、先月、消費者の方々への注意喚起ということで、注意すべき5つのポイントということで、わかりやすく要点を注意喚起させていただきました。昨年度、実質5か月間でしたけれども、700件を超える相談がありました。実際には、消費者の方々もこういう点に注意していただければ、未然に防げたであろうといった御相談の内容も多かったものですから、相談内容を取りまとめてポイントとしてお示しさせていただきました。今年度もこの事業は継続をしていく予定でございます。
消費者庁からは以上です。
○河上委員長 経済産業省、お願いいたします。
○経済産業省秋庭商務流通グループ商取引監督課長 経済産業省の商取引監督課長でございます。
決済代行と、日本にはチャージバックの制度がないのではないかという御質問をちょうだいしておりますので、併せて御説明させていただきたいと思います。お手元に「決済代行問題」というパワーポイントの資料を御用意させていただいております。
表紙をめくっていただきますと、どういうところに決済代行業者がいるのか、クレジットカードの決済の流れの中での位置づけが書いてございます。国内に決済代行業者が存在している場合は、販売店と位置づけが大きく変わらないということでございます。要は販売店を束ねてカード会社と契約を結んでいる。カード会社といっても、アクワイアラーという加盟店開拓の部門と、イシュアーというカードを発行している部門と2つ、大きく分かれるわけです。日本の場合は、カード会社が主に1社でこの両機能を持っているという整理になっておりまして、一部、アクワイアラー専業業者というのも1、2社いますけれども、基本的には同じ会社が両機能を担っているという仕組みになってございます。
2ページ目でございますけれども、国内である場合には、クレジットカード会社は加盟店管理を実施、特に通常業務の中で定期的にモニタリング。リアルな店舗であれば、その店舗についてたまに確認をするということ。サイトであれば、定期的にちゃんと契約している商品を扱っているかどうか、サイトを回って見るというようなモニタリングを実施しているわけでございます。それと、消費者からの苦情の申立てですとか、チャージバックが多量に発生する場合は、そのたびに加盟店について審査を再度行う。問題がある場合には加盟店契約を解除するといった制度になっております。
それから、クレジットカード協会というのがございまして、加盟店情報交換制度というのがございます。加盟店というのは、カード会社のA社との契約が切れてもB社に行くことが往々にして考えられるものですから、クレジット協会、クレジットカード会社の99%ぐらいが加盟している社団法人ですけれども、そこに加盟店情報交換制度というのがございまして、そこに、この加盟店については問題ありますということを載せております。会員たるカード会社はそこの状況を見ながら、新しく来た加盟店をどうするかというのを決めていくということになっております。
その中で決済代行業者というのも登録の対象になっておりまして、場合によっては、トラブルの多い加盟店を抱えている決済代行業者であれば、そこに登録をして、他のカード会社との契約を慎重になることを促すという制度になっております。平成23年度に私どもは国内の決済代行業者について調査を行いました。おおむね国内アクワイアラーは、決済代行業者に対してはきちんとした加盟店審査を行っている、もしくは、させているということが確認できたわけでございます。
1枚めくっていただきますと、海外決済代行の点がございます。国内のカード決済が結構厳しくなっているものですから、トラブルの多い加盟店はどういうふうになるかというと、一つは海外に逃げるという手と、あとは、現金の決済にしてしまうとか、代引きにしてしまうとか、カード以外の決済に逃げていくということが言われております。カードの関係で申し上げますと、海外決済代行を利用することが考えられるわけですが、3ページ、大まかな図でございますけれども、こういった仕組みで海外決済代行はワークしているのではないかということでございます。
カード会社には、加盟店開拓とカード発行と2つの機能があるわけです。海外決済代行というのは、国内の販売社ですけれども、これを海外へのアクワイアラーにつなげてしまうという形で、日本の法律の適用外に行ってしまうということでございます。この間をつないでおりますのが国際ブランドと呼ばれるビジネスでございまして、わかりやすく申し上げますと、ビザ、マスター、そういったものが国際ブランドと呼ばれているものでございます。国際ブランドはクロスボーダー規定というのがございまして、こういった海外のアクワイアラーとの契約は禁止しております。例えば、アメリカ軍の基地の中の店舗がクロスボーダーの規定をしている場合はクロスボーダー規定から除外するとか、幾つかの例外がございますけれども、基本的には海外とのクレジットカード決済の契約を禁じております。
1枚めくっていただきまして、今、私どもでどういったことをしているかと申しますと、消費者への啓発ということで、ホームページ等を通じまして、有料メール交換サイトを利用する場合にはこういった点について御注意くださいということを掲載しております。一つは、そのサイトはどういうルールで運営されているかを確認してほしいということ。それと、使い過ぎ。被害を聞いておりますと、これは特にチャットに多いのですけれども、いろいろやり取りをしている間にどんどんポイントを買って、会話を継続してしまって何十万円という請求が来てしまうことが間々あるようでございます。そういうことにならないように、使い過ぎに注意してほしいということを呼びかけております。それと、サイトで記載されている中身と実際の請求にそごがあった場合については、決済に利用したクレジットカード会社に相談をするようにということを呼びかけてございます。
カード会社に対しましては、苦情・相談に対して丁寧に対応するようにという要請を行っております。以前においては、有料メール交換サイト、これは俗に出会い系サイトと呼ばれているものですが、実は出会い系サイトという看板で運営しているサイトはほとんどなくて、多くがチャットの形態をとっているわけです。こういった場合、海外アクワイアラー、海外決済代行によって接続された場合は、うちは関係ありませんからといって相談に応じないケースが間々あったのですが、最近では、そういったことのないようにということで呼びかけをしております。
消費者が加盟店と交渉する場合には、そういったサポートをしてほしいということを呼びかけております。交渉の一定期間、カード使用料の請求を留保するとか、加盟店の連絡先を場合によっては調べて教えてあげるといった、サポートを行うようにということをお願いをしているわけでございます。
それと、国際ブランドに対して協力要請を行っております。国際ブランドに対して、クロスボーダーの取引を行っていることが疑われるものが出てきた場合、そういった情報を国際ブランドに提供して、国際ブランドの方でルール違反への対応を厳しく行ってほしいということを要請しております。この要請は始まったばかりでございまして、何件かそういった効果を上げているようです。何件切りましたということはさすがに国際ブランドの方も教えてくれないものですから、実数の把握はできておりませんけれども、何件か契約解除という行為があったと聞いております。
チャージバックについては、国際ブランドが、こういう理由である場合にはチャージバックをしなさいというルールを定めております。基本的にはこのルールに従って各国においてチャージバック制度が運用されておりますので、外国と日本においてチャージバックのルールが大きく違うといったことはないと。これは国際ブランドにも確認いたしましたけれども、チャージバックルールが、日本だけがとりたてて変だということは感じていないということを申しておりましたので、そういう意味ではいろいろシステムが異なる部分がございますので、感じ取る方が、ちょっと違うというふうに感じ取れる場合もあるようですが、一応、同様な制度として運用されているのが実態のようでございます。
私からは以上でございます。
○河上委員長 それでは、総務省、お願いいたします。
○総務省玉田総合通信基盤局消費者行政課課長 それでは、総務省から説明させていただきます。
私の方からは2点ございます。まず、プロバイダ責任制限法に係るところの運用の実績、2点目として、プロバイダ責任制限法の見直しに関する必要性、検討といったことでございます。
1点目の、対応状況等の実績ということでございます。まず、お手元の資料8-1によりまして、リマインド方々、この制度の概要について簡単に御説明させていただきます。インターネットの接続サービスを提供しているプロバイダは、他人の権利を侵害する情報を放置した場合には被権利侵害者から損害賠償請求の可能性。マル2にありますように、実際は権利を侵害していない情報を削除した場合には、発信者から損害賠償請求の可能性という形で、両面からの法的責任を問われるおそれがあるということで、被害者救済と発信者の「表現の自由」という重要な権利・利益のバランスに配慮した制度でございます。下の絵にありますような形で、免責要件を明確化するのが第3条、発信者情報開示請求について規定するのが第4条でございます。
これに関連しまして、削除の依頼につきましては、電気通信事業者団体が実施したアンケートの結果によりますと、平成23年6月1日から同年12月31日までの半年の間で、削除依頼を受けた旨回答した事業者は22ございますけれども、件数で言うと877件でございます。このうち、一部削除を含めて送信防止措置を講じたという回答をした者が75%、送信防止措置を講じなかったのが25%でございます。これは、技術的な理由ですとか、書類の不備といった理由でございます。
発信者情報開示、第4条関係につきましては、同じアンケートによりますと、同じ時期、昨年の9月1日から12月31日までの間で開示請求を受けた24の事業者について、合計199件でございます。そのうち、対応中のものを除きます178件について言いますと、一部開示を含めて発信者情報を開示したというのが約22%、開示をしていないというのが約76%でございます。
発信者情報不開示の理由はいろいろございますけれども、例えば権利侵害されたことが明らかだという、4条に規定します要件を満たしていないとか、あるいは、そもそも開示を請求されたプロバイダ等が発信者情報を保有していなかったという場合等がございます。
2点目の、法律に関する検討ということでございますけれども、お手元の資料8-2で説明をさせていただきます。こちらは、昨年、私どもで開催しました「ICTサービス諸問題研」と申しておりますけれども、こちらにワーキンググループを設置しまして、プロバイダ責任制限法検証ワーキンググループで一昨年秋から検討を進めてきたところでございます。
1枚めくっていただいて、「検討について」というもので、全8回にわたる検討を行ったところでございます。この過程におきましては、関係者からのヒアリングも多数行わせていただいた上で検討を進めた。昨年の夏に提言を取りまとめ、その後、対応しているところでございまして、その対応ぶりが次のページにございます。提言概要とフォローアップ状況ということです。この検討の過程で指摘された論点、いろいろございますけれども、まず全体として、法律制定から約10年という形でございますけれども、運用状況を踏まえ検証した結果、現時点で法改正の必要性は特段見受けられない。ただしということで、例えば携帯電話による通信においてIPアドレスが使われているわけですけれども、これはダイナミックに振られる場合もあるわけですから、開示する発信者情報の範囲という意味におきまして、開示の対象に、それまでの氏名、名称、住所、メールアドレス等々に加えて、携帯電話の個体識別番号を新たに追加するという改正を行ったところでございます。
もう1点、送信防止装置、すなわち削除等の対応でございます。これについて、具体的に送信防止措置を講ずる作為義務の範囲を明確化すべきかどうかといった検討もございましたけれども、こちらにつきましては、どういう情報を削除すべきかどうかを法制度によって規定することは、憲法上の要請でもございます「表現の自由」との関係もございまして、自主的な対応が望ましい。また、実際に個別の裁判例に基づいて対応が進められてきていることから、ガイドラインにおいて、新たな裁判例を追加することによって、プロバイダ等において判断が迅速に行えるような改正を行ったというところでございます。
以上でございます。
○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
山口委員長代理、どうぞ。
○山口委員長代理 御説明、ありがとうございました。消費者庁にお聞きしたいは、決済代行業者の登録制度は、業界が何社ぐらいを把握されていて、そのうちのどのくらいの割合が登録されているのか。それから、決済代行業者の登録制度によって、具体的にどの程度の被害抑止の実効性が上がっているのかという点について、お聞かせいただければと思います。
総務省の関係で、2つの角度からお聞きしたいのですが、一つは、先般、2ちゃんねるについて、警察から、被害が放置されているということが発表されました。私自身が実務でそれをやることはそれほど多くないのですが、実際にインターネットで名誉毀損を受けたとか、とんでない情報を発信された場合、削除請求はそれほど難しくないのですが、発信者情報開示請求というのは相当専門的な知識がないとできない。先ほどの件数でも、1年間に199件しか、インターネットによる被害について、誰が発信したのか、それを開示する件数が少なかった。異常なほど少ないと思いませんか。いかにこの手続が面倒か。しかも、その199件、名誉毀損なり、その他のとんでもない情報を誰が流したか発信者情報開示を請求しても、誰が情報源かということを教えた件数は20~30件というお話でした。それほど狭き門なんですよ。これで満足していたらとんでもないことになると思います。
インターネットによる名誉毀損やその他の被害を受けて、自殺まで追いやられたという例は少なくないわけでして、もう少しインターネットによる表現活動の適正化のために改善しなければいけないのではないか。実際、泣き寝入りしている人が山ほどいます。私自身もそういう被害者から相談を受けた場合、放っておいた方がいいと、弁護士としてあるまじき対応ですが、そういう対応をすることがはっきり言って多いです。費用倒れになりますから。やりたい放題というインターネットによる名誉毀損、その他の問題というのは、やはり問題ではないかという点について、既にワーキンググループで結論が出たような感じのことをおっしゃっていますが、何とかならないのかなと思います。
もう一つ、これもまたどうにもならない話なのですが、2年前から問題にしているのは、インターネットの発信自体で他人の権利を侵害する情報という場合ではなく、消費者被害の観点から言いますと、インターネットで、いわゆる優良誤認、有利誤認ではないですが、非常に誤解をもたらす宣伝をして、それによって被害を被ったという場合にはプロバイダ責任制限法の対象に入りません。インターネットを悪用して金銭被害を被った、そういう被害についてはプロバイダ責任制限法を改正したらどうですかということを申し上げていても、ワーキンググループでも改正しないことになりましたと、こうなっています。
そうなると、これは消費者庁に質問ですが、インターネットの被害による消費者被害の被害抑止を、総務省はやる気がないのだったら、消費者庁の方で手を打たれたらどうだろうか。つまり、インターネットによる消費者被害を抑止するために、特定商取引法的なインターネットによる被害抑止のための法制度を検討するという作業に着手される余地はないのだろうか。インターネットは総務省の金科玉条で、そのほかの省庁は手を触れてはいけませんということはないと思うのです。むしろ消費者被害がインターネットによってたくさん出ているという顕著な事実がある以上、消費者庁自ら、インターネットによる被害抑止のための法制度を整備するという視点の検討をなさったらどうかと思います。既に検討会をなさっているわけですが、どうもはっきりしない検討結果に終わっているようなので、一歩踏み出して、そういうことを始めたらどうですかということです。
以上です。
○河上委員長 いかがでしょうか。
○消費者庁川上財産被害対策室長 まず、消費者庁からお答え申し上げます。
登録制度でございますけれども、この業界というか、業界という形がないのが現状でありまして、何社ということは明確には恐らくどなたも承知されていないと思います。したがいまして、年度末、現在で23社というのが、大体こんなものだというレベルだというふうには申し上げられないのですが、PIO-NETで上げられる相談件数の中で、機械的にいわゆる決済代行というキーワードが振られている相談件数は、昨年度で5,900件ぐらいあります。ただ、これを精査していきますと、いわゆるイシュアーとしてのカード会社のカードの話であっても、それを決済代行というふうに振られているものもありますので、あくまでもアバウトな数字として御理解いただければと思います。そのうち、現在登録されている決済代行業者の名前が出てくる相談件数は大体半分になります。そういった意味では、一つの最低ラインというのはこの登録制度でカバーをしているのではないかと思っております。
どの程度の被害抑止に役立っているのかという点ですが、一昨年の消費者委員会の御提言でもいただきましたように、見覚えのない請求が来るとか、連絡がつきにくい、決済代行業者のどこに連絡していいかわからないといった御指摘を踏まえた対応としては、このような形で情報を開示させていただいております。相談件数の半分ぐらいをカバーしてきているという意味での情報提供インフラとしては、一定の役に立っていると思います。昨年度も行いましたけれども、引き続き消費生活センター等への情報提供を行ってまいります。
あとは、先ほど御説明いたしませんでしたけれども、こういった問題があるということは、今日ここでお呼びいただいている省庁以外にも関係する省庁はあると思いますので、昨年からインターネット消費者取引連絡会ということで、行政機関ですとか、消費生活相談の現場に立たれる方とか、いろいろな属性の方々を集めて情報共有をしています。例えばこういった問題につきましては、資料6-5にありますように、昨年度は9月末ですが、出会い系サイトのテーマで開催させていただきまして、実際に現場でこういったトラブルに対応されている弁護士の先生にもお出ましいただいて、いろいろと情報共有を図ってまいりました。そういった取組では、引き続きやってまいりたいと思っております。
○総務省玉田総合通信基盤局消費者行政課課長 総務省にいただいた点でございますが、一つは、発信者情報開示に関しての数字、先ほど報告した件についてでございます。件数が少ない、対応としていかがかということですけれども、こちらにつきましては、権利侵害情報がインターネット上に流通しているときに、原則的な対応は、削除という形をどうとるかということになろうかと思います。その場合、プロ責法で言いますと、3条にあります要件に合致する場合には、プロバイダは削除しても免責になるということが規定されています。
また、先ほど説明をしてございませんでしたけれども、違法情報、権利侵害情報が流通する場合の対応としましては、電気通信事業者の自主的な取組としまして、モデル契約約款というものを作成しております。この中で、もろもろの権利侵害情報、名誉毀損、信用毀損、知的財産権等の権利を侵害する情報が流通する場合において、事業者間の契約としてそういう行為をやめるように要求する、あるいは、表示された情報の削除を求めるとか、そういったことをモデル約款上、規定することによって対応してございます。
一番新しい動きとしましては、今年の4月のこのモデル約款の改定におきまして、青少年にとって有害な情報が流通する場合におきましては、そういった情報が発信されていることを周知するとか、青少年にとって有害な情報を削除することを含めて、もろもろの対応を関係事業者が取るべき旨をこの約款に追加して対応してございます。
それから、消費者庁への質問かもしれませんが、消費者被害の観点から、誤解をもたらす情報がプロ責法から外れている云々という話について、昨年のワーキンググループの中で、詐欺的な記載があった場合、情報として流通した場合において、その権利が直接侵害をされていない場合について、プロ責法の対象とすべきかどうかという検討もされているところでございます。例えばプロバイダとしましては、詐欺的記載があったことと、被害者がだまされたこととの因果関係がわかるのかどうかという観点から、ここでは適当でないという結論に至っているところでございます。いずれにしましても、本件は、プロバイダ責任制限法の検討のみで一定の結論を得るのは難しいのではないかというふうに言われております。
○消費者庁川上財産被害対策室長 今の総務省のお答えとの関連で申し上げますと、いわゆる詐欺的といいますか、事実にそぐわないインターネット上の表現をしているといったことでしたら、実際どのように処分をしていくかというところは、プロ責法というアプローチがいいのかどうかというのはありますが、特商法もございますし、あと、詐欺ということではないかもしれませんけれども、表示にまつわるということであれば、景表法というのもあるわけです。最近では、「食べログ」ではありませんけれども、口コミサイトで、景表法との関係での留意事項を出させていただいております。
特電法につきましては、これは電子メールの関係ですけれども、総務省と消費者庁とで共管という枠組みになっておりますので、できるところをしっかりやっていく。その上で、どういう問題があるのかというところを考えていきたいと思います。
○山口委員長代理 今の点で、例えば特商法でできる部分をそれでなさるのは結構ですが、Aという業者が、詐欺的なインターネットの情報である物を売ろうとしている場合、100万円か200万円払ってしまった。ところが、それが一体誰が発信した情報で、誰が不法行為者なのかよくわからないということがあり得ます。
そのときに今の法律では、それを誰が発信したのかということを追及するすべがないわけです。そこを総務省はやる気がないわけだから、要するにインターネット自体によって権利を侵害された人についてのプロバイダ責任制限法はあるけれども、インターネットによって詐欺被害に遭った、金銭被害に遭った人の発信者情報を探り出す方法は、今はないのです。それを消費者庁の所管で、新しい法律で、誰がその詐欺的な情報をインターネットで発信したのか、これを探り出す手立てを考えることはできませんか、ということです。
○消費者庁黒田消費者政策課長 総務省がやる気がないということをおっしゃっていますが、私どもは特段そのように認識してはおりません。
○山口委員長代理 総務省は、やる必要はないとおっしゃっているわけです。
○消費者庁黒田消費者政策課長 実際にどういうことが起こっているのかというのをしっかり見ながら、今、インターネット消費者取引連絡会もやっておりますので、どういう取組がいいかというのは、山口委員の御指摘も踏まえながら、今後も引き続きいろいろ検討していきたいと思います。
○河上委員長 ほかにはいかがですか。
細川委員、どうぞ。
○細川委員 経産省の御意見ですけれども、資料7の2ページにクレジット事業者による対応というのがあって、チャージバックの御説明がありました。ただ、チャージバックというのは事業者が余り広報をしていないのです。事業者は、チャージバックは消費者のためにやっているという意識がなくて、むしろ事業者間のトラブルがあったときの返金システムという位置づけでしかないような感じがします。
私自身も1回、個人的にクレームを言ったことがありますけれども、向こうからチャージバックという言葉は基本的に出さないです。こっちがチャージバックと言うと、よく御存じですねといって向こうが驚くような感じで、何か相手を見て、あるいは悪質な消費者を恐れているのかわかりませんけれども、ちゃんとチャージバックというシステム自体が消費者の視点から位置づけられていないと私は思います。そういう意味で言うと、ここに、参考として割賦販売法30条5の2がありますけれども、これも非常にあいまいな規定ですね。もう少し消費者の権利、利益の視点でこれらが見直されてもいいと思います。
ただ、先ほど、日本のチャージバックは、別に海外に劣っているわけではないというお話がありました。それでももし問題が起きているとすれば、日本では自動引き落としが当たり前ですけれども、アメリカは自動引き落としがほとんど発達していない。というか、それを消費者が拒否しているのかもしれませんけれども、請求があったときに、自分が納得した上でパーソナルチェック、小切手を切ってそれで引き落とされる。日本は引き落とされてしまって、これは問題だと思いますけれども、明細が来たときにすぐ電話しても、もう引き落としは止められませんと言われてしまうわけです。引き落とされた後、こっちからクレームを言うから、挙証責任が転嫁してしまったみたいになる。
日本というのは、事業者は善人である、たまには間違いがあるから、チャージバックがあるぐらいの感じの制度しかなくて、詐欺の手段にこういうものが使われるということでの制度設計にはなっていないと思いますので、根本的に姿勢を改めて、法律も改正しないとだめではないかなというふうに思います。私の意見です。
○河上委員長 経済産業省の方で何か御意見はありますか。
○経済産業省秋庭商務流通グループ商取引監督課長 細川委員のおっしゃるとおり、チャージバックというのは消費者保護のための制度ではありません。事業者間の取引の中で不公正な取引が行われた場合に、それを是正するためのものです。その流れの中で消費者というのが位置づけられていまして、例えば商品が来ていないのに立替払いが発生してしまっているとか、請求をしてしまっている。そういったことを是正するということでございます。そういう意味では、消費者のためではない、というのもやや言い過ぎでありまして、全体的な公正な取引を行うための制度と言う方が適切な表現かと思います。
チャージバックという言葉を消費者の方が御存じかどうかというのはおいといて、日本の場合、チャージバックをしてほしいという要請の中で比較的多いのは、チャットの中で、例えば誰かと会えるという前提で話をしたけれども、会えなかった。気がついてみたら20万円取られてしまいました。これをチャージバックしてほしいという請求があるのですが、これは事業者側からすると、チャットというサービスを既にあなたは使いましたと。使って、どういう会話がなされたかというのは事業者は関与できないものですから、それを戻してほしいと言われても、サービスを既に提供してしまったので、サービスの提供に対する支払いという処理をしてしまうということで、そこは、見解が違ってくるという事態がたくさん起こっているのではないかというふうに思っております。
もう一つ、御指摘になった引き落としの関係でございますが、確かに日本は自動引き落としが発達していて、基本的には自動引き落としでクレジットカードの利用代金が落とされていくということでございます。ただ、事前になるのか、事後になるのかというところで、一応クレームはきちんとカード会社の方で処理をしていくということでございますので、先に払ったので、結果的に同じ基準でお金を払わない、もしくは戻ってくるのであれば、期間の利益というのは消費者側にとって不利かもしれませんけれども、そこは戻ってくるのであれば、最終的には同じことになるかなという気もいたします。
ただ、自動引き落としではなくて、アメリカのようにチェックでお支払いする形がいいというたくさんの声が上がってくれば、これはカード会社の問題だけではなくて、銀行のシステムとの接続の問題でもありますけれども、そういった検討がなされていく可能性もあるとは思います。
○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。
これも、問題はなかなか複雑で大変ですけれども、決済代行をめぐる問題について、関係省庁におかれましては一定の取組を強化していただいているということで、それ自身は大変ありがたいと思います。ただ、現下の取組がこれで十分かというと、やはりまだまだ十分でない部分がございます。インターネット取引、とりわけ越境取引の増加に伴いまして、今後とも被害件数の増加や、問題の複雑化が見込まれるということでございまして、現在の施策をしっかり推進するとともに、新しい問題に対して対処する方策をしっかりと検討していただいて、当委員会としても、この問題に関しては検討状況をしっかりフォローしていきたいと思います。ICTの研究会の議論なども見ながら、今後とも一緒に勉強して、少しでもいい対応策を検討したいと思いますので、よろしくお願いします。
プロバイダ責任制限法に関しては、インターネットを利用した加害者の特定を容易にするために、発信者情報開示請求の対象や、開示請求可能な情報等を拡大する方向で見直しを是非お願いしたいと思います。委員の発言では総務省はやる気がないというような言い方をしてしまいましたけれども、やる気はあるのだろうとむしろ私は理解しております。そうだとしても、今の段階では仕方がないというような意見ではなく、そこは、きちっとやれる範囲のことをやる方向で見直していただきたいと思います。
また、消費者被害の抑止・救済の観点から、プロバイダ責任制限法の関連規定に対する消費者庁の関与の在り方ですけれども、総務省で完結させるということだけではなく、消費者目線でこういう問題があって、こういう形での改善が必要だということはたくさんございますので、場合によっては、消費者庁での新しい関与の在り方についても、引き続き検討していただきたいと思います。
先ほどちょっと出てきた話で、モデル契約約款などを使って当事者の間である程度牽制をかけていくとか、当事者の浄化作用を期待するというのは、これは一つの手段ですので、モデル契約約款の策定の過程でいろんな方の意見、声を盛り込んで、その契約約款でもってお互いに牽制し合う。場合によっては解除するなり、いろいろな手を打てるようにしていくのは有効な方法であって、免責が、プロバイダ責任制限法ではなかなか難しいところも、契約ベースで対応できる仕組みを考えていただくことも大事なのではないかと思います。
ほかにもたくさんございますけれども、時間も限られておりますので、この辺にいたしますが、消費者委員会としても引き続き、この問題を是非とも取り上げていきたいと思います。
消費者庁、経済産業省、総務省におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。
(3) CO2排出権取引に係る消費者問題(新規)
○河上委員長 続きまして、CO2排出権取引に係る消費者問題についてです。近年、CO2の排出権取引への投資に関する消費者トラブルが頻発しておりまして、PIO-NETに登録された相談件数もかなり多くなっております。この投資は、ハイリスクで複雑なデリバティブ取引でありますから、CO2排出権は、商品先物取引法での指定商品にも、あるいは金融商品取引法の金融商品、金融指標にも含まれていないことから、どちらの法律も適用されておりません。このため、商品先物取引法上、無許可、あるいは金融商品取引法上、無登録の業者が行っても、直ちに違法な販売勧誘とは言えず、問題のある勧誘が行われた結果、高齢者等が多額の損失を被るといったトラブルが絶えないわけです。
本日は、消費者庁、金融庁、経済産業省、環境省においでいただいておりますので、CO2排出権取引に係る消費者問題に対処するための法規制の在り方等について、御説明をいただければと思います。
説明時間については、恐縮ですが、5分程度でお願いできればと思います。
では、消費者庁からまずお願いいたします。
○消費者庁鈴木取引対策課企画官 消費者庁取引対策課の鈴木でございます。よろしくお願いします。
今日は、資料の方は用意しておりませんで、申し訳ございません。
CO2の排出権取引につきましては、基本的に取引の中身自体にもよるのでございますけれども、特商法上は、金融商品取引法の指定商品等になっていなければ、特商法のいわゆる取引類型に該当するのであれば、特商法で厳正に対処していく。必要があれば執行し、処分をさせていただくことになっております。他方、他の法律、金商法等で指定商品になれば、必然的に特商法から外れることにもなるわけでございます。
現在のCO2の排出権取引がどのような形で行われ、どのような被害があるのか。特商法上の違反があれば、それによって消費者の被害拡大を防止しなければならないということになれば、おのずと執行をさせていただくことになるかと思っております。したがいまして、現在、CO2について新たな規制の必要性について、特に緊急性を要した議論というものは考えていないという状況でございます。
○河上委員長 金融庁、お願いします。
○金融庁古澤総務企画課市場課長 金融庁の市場課長でございます。
お手元に説明資料、5月22日ということで資料10と振ってあるかと思います。準備させていただきました。
今、紹介もございましたが、1ページ目にございます、金商法では排出権取引をどのように取り扱っているかということでございます。金商法には排出権の定義が規定されてございまして、後でまた環境省からお話があるかもしれませんけれども、温暖化対策推進法の算定割当量を金商法の定義の中でもう取り込んでいる形になってございます。これで何をやっているかということでございますけれども、その次のマル、業規制における位置づけということで、金商業者が排出権の現物取引、デリバティブ取引を行う場合には届出が必要という建付けになっております。もう一つ、取引所規制におきましては、金融商品取引所が排出権取引市場を開設する場合には認可が必要だということでございます。
これはどういうことかと申しますと、2つ目の※印にございますように、排出権は、金商法の有価証券、金融商品に位置づけられているわけではございません。したがって、排出権取引を行うに当たって金商業者としての登録は求められていないわけですけれども、業規制におきまして、別の理由で登録をしている金商業者が排出権取引を行っていると。商売としてどういうふうに行っているかということにつきましては、我々はモニターをしているという建付けでございます。排出権取引というのは、金商法の世界の外にあるというより、今まさに金商業者というある枠の人たちが、排出権取引をどういうふうに行うかということにつきまして、届出という網をかぶせた上で、我々はそれをモニタリングしている形になっているという建付けでございます。
これは具体的にどういう背景かというのが、その次のページ、金融審における検討ということでございます。特に、2つ目の金融審の第一部会報告の平成19年12月の抜粋でございます。諸外国におきましては、排出権等についても取引所における取引が開始されている状況にある。排出権については、金融商品に近い側面を持つと考えられるものの、現状、その法的な位置づけや、価格評価方法等、必ずしも明確になっていないではないか。一方、今後、我が国おいても類似する取引が活発化することが考えられると。こういう中で、アンダーラインのところでございますけれども、「排出権の法的な位置づけや価格評価方法等の明確化が図られる等の状況が整ってくれば、その取引の具体的な態様も踏まえつつ、金融商品として取り扱うことについても、幅広く検討を行っていく必要がある」ということで、先ほど見ていただいたような、業規制の中で届出をしてもらって、金商業者が排出権をどういうふうに取り扱っているかということを、モニタリングする形になっているという建付けでございます。
こういう中で、また環境省からあろうかと思いますが、最後でございます。我々が見ている中で、京都メカニズムの議論というのが足元どんな状況になっていて、どういうふうに進んでいるのか。それを、先ほど見ていただいた金商業者がどういうふうに取り扱っているのかというところを見ながら、議論の熟度と申しますか、取引の熟度を見ながら、金商法に入れていくのかどうかを検討しなければいけない、という建付けになっているということだけ御紹介させていただきます。
以上でございます。
○河上委員長 それでは、経済産業省、お願いします。
○経済産業省商務流通グループ商取引・消費経済政策課担当者 経済産業省商取引政策課の大谷と申します。
商品先物取引法は、資料は用意しておりませんが、法律上の建付けは金商法と全く同様となっております。というのは、排出権そのものは商品とは位置づけておりませんが、商品先物取引を業として行う者が排出権取引を兼業業務として行う場合は、その者に対して届出を当省に対して行うことを義務づけております。同様に、商品取引所が兼業業務として排出権取引を行う場合は、我々の認可に係らしめているという状況でございます。
排出権そのものを商品として位置づけるか否かという論点があるかと思いますが、現状は、商先法上の商品は物品であることを要求しております。物品、つまり有体物であることを要件としているため、排出権取引そのものは、商先法上の規制対象としてはなじまないのではないかというふうに考えております。
以上です。
○河上委員長 では、環境省、お願いいたします。
○環境省上田地球温暖化対策課市場メカニズム室長 環境省市場メカニズム室の上田と申します。
お手元の資料11で、現在議論になっている排出量とは何かというものを簡単に説明しております。
排出量取引というのは、もともとは97年に採択された京都議定書に基づく制度でございまして、本来は取引主体にその排出総量、何トン排出してもいいですという枠を設定して、その目標を達成するために、不足する場合は他の取引主体から排出量を買うというのが制度の考え方でございます。また、京都議定書で定められているのは、国の約束ですから、日本であればマイナス6%が目標ですが、他の国から買うという国と国の取引が基本でございました。
下の絵に3つほどパターンが書いてありますけれども、グリーン投資スキームというのが特にそれに当たりまして、先進国の達成しているところと達成していないところが、国同士で取引をするというものでございます。ただ、それだけだと、達成のための排出量を円滑に確保するには取引の対象となる排出量が少なくなることも考えられるということで、削減義務のない途上国で削減活動を行ったものについても、その削減量を目標に活用できるというクリーン開発メカニズム(CDM)が京都メカニズムに加わっておりまして、事業者が途上国での削減活動に参加した場合、事業者がその排出量を獲得できて、それを販売できるという仕組みができたところでございます。
もう一つ、排出量取引といった場合、国際的な約束の達成のために用いられるものと、それぞれの国内で、温室効果ガスの排出削減を達成するための手段として、この制度を導入する場合がございます。一番古くから行われているのはEUで行われているもので、2005年から開始されておりますが、これは、国と国の約束を事業者に置きかえて、それぞれの事業者に対して何トン排出してもよい、それ以内の排出におさめなければならないという枠を設定します。その枠を達成できなかった場合には、超過達成した者からその排出量を買ってくるということで、事業者間の取引が行われるというものでございます。
このように国と国の約束と国内での取組というものと、2つの流れがございます。先ほど金融庁から、参考資料の3ページとして、閣僚委員会の言及がございましたが、日本において排出量取引を導入するかどうかについて議論を行った結果、引き続き慎重に検討を行うということで、現時点で、いつ導入するといったような決定は行っていないという状況にございます。したがって、国内で、今回議題となっている排出量の取引が行われているというのは、国内の制度に由来しているものではなく、例えば京都メカニズムに基づくCDMの排出量であるとか、EU域内で行われているものが対象になっているのかなというところでございます。
ちなみに、市場の見込みということを説明してくださいというお話が事務局からあったので、一言、言及します。基本的に排出量の枠はなるべく下げていこうということですから、全体に発行される排出量はだんだん小さくなっていくというところでございます。ただ、供給側と需要側、目標の厳しさと、最初に配分される供給量との関係で決まりますので、価格というのは幾つかの要素で変わってくるものと思いますが、今のところ、価格の傾向を見ると、制度発足当初から現在まで低下傾向にある。それはひとえに、最初は多めに配分がされたということと、景気が少し下がっていまして、経済活動が下がるとエネルギーの使用量は下がるので、CO2排出量も下がるということで、実際に必要な排出量が少なくなっているということ。更には、先ほどCDMに言及しましたが、途上国、義務のかかっていない国でのクレジットの創出がどんどんできていまして、供給量が増えているといったような状況が背景にございます。
以上でございます。
○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見、お願いいたします。いかがでしょうか。
山口委員、どうぞ。
○山口委員長代理 御説明、ありがとうございました。この問題ははっきりしていまして、金融商品取引法の第2条に、「この法律において有価証券とは次に掲げるものを言う」という条文がございまして、たくさんあるわけですが、その24項には、「この法律において、金融商品とは次に掲げるものを言う」とあって、その4号、「同一の種類のものが多数存在し、価格の変動が著しい資産であって、当該資産に係るデリバティブ取引について、投資者の保護を確保することが必要と認められるものとして、政令で定めるもの」という形になっています。政令にこの種の排出権、いわゆる投資の対象とするものを入れて、金融商品取引法の規制対象にすることを一日も早く実行することに尽きるのではないかと思います。
先ほどの御説明では、市場が熟していないとか、いろいろおっしゃったようですが、国民生活センターの資料9-2の被害実例を見てください。3ページに幾つかの事例がありますが、例えば事例2を見ていただきますと、「突然『今値上がりしているよい商品がある』と電話があり、後日、自宅を訪問され、CO2排出権取引の勧誘を受けた。その際、『元本は必ず戻る』『すぐ倍になる』などと言われ、『利益換算表』という書面を見せられたため、信用してしまった。3回に分けて200万を現金で手渡したが、すぐに『値段が下がったから追証が必要になった』と連絡があったので、支払ったお金がすべてなくなってしまったことがわかった」。
この種のものでして、要するに金融商品の先物取引とか、未公開株とか、その種の取引と客観的な態様は何ら変わらないです。ただ、それが排出権というものになったら、途端に法律の適用対象外ということで、結局、手が打てないというのはおかしい。どう考えてもすき間を業者はねらってやっています。私自身、グリーンエネルギーとかいうわけのわからない投資商品の被害者がいて、何百万円か出していたので、即、通知を出したけれども、すぐ正体は見えないまま、いなくなったのです。裁判を起こして判決は取りましたけれども、回収できませんでした。投資詐欺の事業者連中は、結局、法のすき間をねらってやっているわけです。
先ほどの金融庁の説明は明らかにおかしいですよ。権利性がはっきりしないからダメといわれた。しかし、そもそも権利性なんかあったものじゃないです、実態として。その中身がはっきりしないから適用の対象にしないということになったら、いくらでも事業者は考えますよ。だから、後追いでもしょうがないので、排出権でも何でもどんどん規制の対象に入れるべきです。こういう名目で投資したら、それによって利益が上がるというような利殖については、これは有価証券として広く見なして規制対象にするということが、なぜなされないのか。審議会で結論が出たとおっしゃっていますけれども、もうそんな事態ではないです。
今日も配られていますけれども、毎月50件のCO2排出権の被害相談があったということですが、背後には少なくともこの20倍以上の被害者がいるはずです。お年寄りですから、消費生活センターにも駆け込めないという実態ですから、早急に手を打っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。金融庁にお願いします。
○河上委員長 金融庁、どうぞ。
○金融庁古澤総務企画課市場課長 私が何か誤解していたら御指摘いただければと思いますけれども、排出権、○○権と名前のついている権利がやり取りされる場合を念頭に置いておられると思います。先生がおっしゃっておられるのは、○○権という名前で(××権でもいいですが)被害が生じたら、金商法の定義に、金融商品として扱ったらいいではないか、有価証券として扱ったらいいではないかということでしょうか。
○山口委員長代理 そうではないです。排出権を証券に化体させて投資を勧誘するという客観的な事実があるわけですから、それについて即、まず金融商品としての枠に入れたらどうですかということを申し上げているわけです。
○金融庁古澤総務企画課市場課長 金融庁で議論させていただいている排出権というのは、詐欺的な事案で○○権ということで取り扱われているものを、金商法に取り込むということではございませんで、まさに先生が御指摘になられた、金商法2条24項の4号で、ある一定の考え方で、こういうものはまさに金融商品の中に取り込んでいって、それを取り扱う人は金商業者として登録をしなければいけない、それから、不公正取引はこういうふうに取り扱わなければいけない、取引所で取り扱うときはこうだと、釈迦に説法で恐縮ですが、その枠組みの中に入るものはどういうものがいいのかという、金商法の法目的の目線での線引きをしております。
そういたしますと、法目的に合うのかどうかという目線からでの議論をさせていただいたのが、先ほど御紹介させていただいた2ページの部会報告で、そういう目での線引きから見たとき、今の時点でどう評価できるか、ということを議論させていただいた部分を御紹介させていただきました。そういう意味で、先生がおっしゃっているのは、この目線で見ていっても、これはもう線を越えているという御議論なのか、いや、金商法というのはもうちょっと違うものだということでしょうか。
○山口委員長代理 もう線を既に越えているということです。
○金融庁古澤総務企画課市場課長 その点については、環境省の議論も見ていただいた上で、私たちは、2ページ目の目線で見ると、今の線との関係を点検しモニタリングしているつもりです。この2ページ目のラインで考えたときに、どういうふうに考えるとの御趣旨だろうかというところは、すみません、私の理解が不足していて御趣旨が理解できないものですから。
○山口委員長代理 資料9-2の、先ほど読み上げました事例2のような勧誘の態様があるわけですね、現実に。国民生活センターでは、その次のページには、CO2排出権とはこういう形でやられているということで実情の説明もなされているわけです。こういう実態を踏まえても、金融庁としては、価格評価方法等の明確化が図られていないから規制の対象から外す、こうなるわけですか。今、古澤さんがおっしゃった考え方は、金融商品という何か上等なものがあって、その権利がどういう形で価格評価されて取引されるのか、というのが明確でなければ規制対象にしませんと聞こえるのですよ。
排出権取引を口実にして、お年寄りから金をふんだくろうと考えている投資詐欺の業者の人たちは、そんなこと考えていません、頭から。「とにかく絶対もうかります、これはお得ですよ」という。それについて「何ですか」と聞くと、CO2排出権の云々かんぬんと言っているわけです。その種の問題は、金融商品取引法の適用から外れるというふうにおっしゃっているように聞こえるわけです。そうすると、いわゆる新しい、グリーン未来権でも何でもいいですよ。あるいは地震対策権でも何でもいいです。そういうわけのわからない形で、もうかりますと言って証券に化体して売った場合には、おたくの金融庁の所管から外れるという認識なのですか。
○金融庁古澤総務企画課市場課長 別に上等とかいうことは全然考えているつもりはありません。先ほど先生が金商法をお聞きになられたので、金商法の法目的で見たときの、有価証券なり金融商品の線引きはどうなのかというところを申し上げたのですが、まさに先生がおっしゃったように、グリーンかもしれないし、レッドかもしれないし、イエローかもしれないし、私は先ほど、○○権とか、××権と申し上げましたけれども、××権ということで、ある事象が生じた場合には金商法に取り入れるのか。今度、三角になったら取り入れるのか、四角になったら取り入れるのかと。すみません、私が誤解しているのかもしれませんが、先生もそこを、○○というのが××となったら入れろとおっしゃっているのではなくて、それは金商法の法目的、考え方にのっとって、××権、グリーンだったら入るけれどもレッドだったら入らないということがあり、その線引きというのが、繰り返しで恐縮ですが、2ページの線引きでやっているということなのかなと理解しております。
○山口委員長代理 まさにここは、特定商取引法、消費者庁の所管である権利が指定権利になっているものだから、結局、こういうわけのわからない投資詐欺が適用から外れるという問題と、しかし、金融庁の金融商品取引法の規制対象にすれば、それで一定の被害抑止が図れるのではないかと。特商法で行くのか、金融商品取引法で行くのかという、この境の問題なのです、まさに。ただ、少なくともCO2排出権については、排出権という形で一定の定義ができているわけですから、政令を変えればそれで即、規制対象にできるわけですから、やったらどうですかと申し上げているわけです。
勿論、××権、○○権というので、わけのわからないものを何でもかんでも取り入れるべきだと言っているわけではないです。それは無理でしょう。ですが、少なくとも排出権取引については一定の枠がはっきりしているわけですから、それは金融商品取引法で政令改正して、対象になぜ入れないのですかと申し上げているわけです。
○金融庁古澤総務企画課市場課長 やや金融庁の枠を越えた、今、特商法の御指摘もあったので、特商法のものになじむかどうかというところを、まさにこの消費者委員会でも御議論いただくので、後ろの施策番号のところでも、指定権利制の御議論をされるとか、あと、確かに今回の資料の中でも、排出権の取引が、お年寄りが多いかとか、訪問販売とか、電話勧誘がどのぐらい行われているかという、特商法の施策となじむかどうかというところを御議論されているのかなと考えております。
○山口委員長代理 答えてくださいよ。なぜ政令改正しないのですか、と聞いているのです。
○金融庁古澤総務企画課市場課長 それは非常にシンプルで、先ほど申し上げましたように、政令改正をするためには、先ほどの2ページのラインに合うか、合わないかというところが我々が考えております線で、それを越えていると判断できるかどうかというところが基準だから、ということだと思います。
○河上委員長 なかなか議論が難しくなりますけれども、一定の相場変動を観念できる、そういうものを商品化してしまったときに、その実態がどうであるにせよ、それを金融商品として新たにとらえる仕組みができないのか、ということにもかかわってくると思います。金融商品として扱えるかどうか、そもそも今のスキームの中で扱えるかどうかという辺りの感覚が、かなり違うのかもしれないという気がします。
ここで決着をつけるというのはできないことですけれども、普通に考えれば、CO2の排出権そのものが取引されるということは、消費者問題のときにはあり得ないことでして、むしろそれを参考にしながら、価格相場を参照した、差金決済の商品化をねらったものだというだけの話です。それも基本的には、投資商品として実際に流通してしまっているということですので、それを金融庁の方で、うちは違うというふうに言ってしまうのがいいのか、それとも消費者庁と連携しながら、互いにカバーできる範囲を考えていただくというのがいいのか、ということが問題なのだろうと思います。素人には非常に仕組みがわかりにくい取引ですので、これについて事前の重要事項説明を徹底することとか、適合性原則を厳格に適用する必要があるのではないかという問題意識を、委員会としてはずっと持っているわけです。その際、取扱業者を一定の要件を満たす特定の業者にするとか、参入規制ができるかというのが一つの論点ですし、その前提として金融商品として扱えるかどうかという辺りが、次の論点になっていくことになろうかと思います。
最初からこれはだめだというふうに切ってしまわないで、関係省庁それぞれの立場から意見交換をしながら、できるだけすき間がないようにして、どこかから対応ができるように、効果的な対応策を引き続き検討いただければ、ありがたいということでございます。当委員会としても、投資商品に関しては、ほかのものも含めて更に検討するつもりでおりますし、また、関係省庁間での検討状況は是非フォローしていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
細川委員、どうぞ。
○細川委員 今、山口委員長代理と金融庁の課長のお話を聞いていて、私はむしろ逆で、金融庁の言い分の方が私は支持する気持ちはあるんですね。なぜかというと、金融商品として認めること自体がふさわしくないのではないかという視点があって、規制するということは、逆にそれを認めた上で規制していくということになります。例えば訪問販売を今の特商法、旧訪問販売法が認めたときに、そもそも訪問販売自体を認めるべきではない。あれは逆に言うと、訪問販売法で訪問販売を規定すること自体、それはありなんだということを認めることになると。そういう批判があったのと同じで、私は、こういうものが金融商品として登場すること自体、問題だなと思います。
ただ、いつもこういう議論になるのは、山口先生は弁護士なので、とにかく止めたいと。これだけ被害があるのだから、止める方法を考えたときに、その隣に金商法という法律があって、政令なりを改正すればやれるのだから、やった方がいいのではないかという、本当に被害者と一番接しているところでの御意見。私などは研究しているから、理念追求という部分があって、そこでどうするかということなわけですね。これだけ被害があるのだから、やはり知恵を絞って防止することを考えないと、日々被害者は出ているわけだから、それを何とかしようという、委員長がまとめられたことになると思いますけれども、その知恵は是非、政府全体で絞るべきだというふうに思います。
○河上委員長 ありがとうございます。
○山口委員長代理 かなり本質的な議論なので、一言だけ申し上げておきますが、2年前に未公開株の規制の在り方について議論をしたとき、まさに同じ議論があったのです。金融庁はどう言ったかというと、まず金商業者として登録をさせた上で、それをどう行儀よくさせていくかということで規制していくのが金融庁の仕事であって、無登録事業者なんていうのは金融庁の仕事外なんだというのが最初のお話だったのです。それはとんでもないと。金融商品を消費者に売って被害をもたらしているような事業者は、金融事業者とは言えないかもしれない。実質は投資詐欺ですが、金融商品なるものを消費者に売って、それで被害をもたらしている、そういうものについても、無登録事業者の未公開株なり社債の販売ということで、やはり金融商品取引法の規制対象にして規制するのが、あるべき姿ではないかということで、さんざん議論した上で、金融庁の方は一歩足を踏み出して、無登録事業者の、それこそ金融商品の建付けである、まず登録をさせて、それを規制するということではない、そういうものについても一歩踏み出していただいたわけです。
今回は、登録事業者でもない。かつ、これまでの金融商品としての枠からも外れているかもしれない。しかしながら、有価証券としての形も整っている形態になっている。そういうものはやはり金融商品取引法の規制対象にしたらどうですか、金融商品の枠を広げたらどうですかと、そういう意味では重大な議論をしているつもりです。この辺は本質的なところなので、また議論を深めていければと思います。
○金融庁古澤総務企画課市場課長 私の言葉が過ぎたところがあればおわびを申し上げたいのと、あと、委員長から御指摘がございましたように、よく各省庁連携しながらというところは肝に銘じたいと思います。
山口先生からございました、無登録株の問題、金商法の171条の2と申しますのは、あれはもともと未公開の有価証券になっているものを、無登録事業者が取り扱った場合、これは我々は民事効と言ってございます。民事上、原則無効にするという取扱いを、これは行政法といろいろある中で、民事、行政の境目がある中で手当てさせていただいたということで、参考にできるところがあれば参考にさせていただきたいと思いますけれども、ちょっと違うところもあるのかなという気もいたします。
○河上委員長 現在金商法が扱っている領域のすぐ隣の問題でもあるので、そこを、特商法などとのすき間ができないようにうまく調整して、使えるものは使って対応できる方がいいのではないかというふうに思いますので、是非、連携してやっていただきたい。この問題は、ロコロンドン金の取引の代わりに登場したにすぎないものでして、中身がどんどん変化しているだけです。それをつかまえるつもりがあるかどうかというところがミソだと思いますので、是非よろしくお願いします。
今後、委員会としても更にフォローしていきたいと思います。消費者庁、金融庁、経済産業省、環境省におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。
だいぶ時間が長引いてまいりましたので、5分ほど休憩を入れさせていただければと思います。
(休憩)
(4)公共料金(施策番号67-2関係)
○河上委員長 それでは、再開いたします。
続きまして、公共料金についてであります。施策番号67-2に関連するところですけれども、公共料金の決定は多くの消費者にとって重大な関心事項の一つであります。生活との密着性、公共事業の独占性、公共性といったことにかんがみまして、その決定内容と根拠について、透明性の確保と説明責任が果たされることが求められます。特に最近では、電気料金に関する一連の動き等を背景として消費者の公共料金に対する問題意識が高まっており、その重要性は更に増していると考えられます。
このため消費者委員会では、本年2月に、関係大臣に対して建議、すなわち、「公共料金問題についての建議」を行いまして、公共料金の決定過程の透明性及び消費者参画の機会の確保という観点から、各種の取組の推進を求めたところであります。また、この4月には消費者庁の公共料金に関する研究会が中間取りまとめを行い、消費者の観点から、公共料金の決定の在り方について課題を整理して、今後の方向性を提示しております。
本日は、消費者庁、国土交通省、経済産業省、総務省においでいただいておりますので、これらの課題を具体化するための方策について、御議論いただきたいと思います。
初めに、消費者庁から総括的な御説明をいただき、引き続き、国土交通省、経済産業省、総務省から、各省が所管する主要な公共料金分野における状況について、補足的に説明をしていただければと思います。
なお、一番関心の高い電気料金に関しては、委員会として別途、詳しく説明を聴取する機会を持つ予定にしておりますので、今回はごく基本的な考え方をお述べいただければ結構であります。
説明時間については、申し訳ございませんが、消費者庁は10分以内で、いただきたいということと、その他の各省については5分程度でお願いできればというふうに思います。
では、消費者庁からよろしくお願いいたします。
○消費者庁長谷川消費生活情報課長 消費者庁の消費生活情報課長の長谷川です。どうぞよろしくお願いします。
早速でございますが、お手元に資料12-1、12-2を準備させていただいております。
今、委員長からお話がありましたが、公共料金の決定の在り方について、中間取りまとめを4月16日にまとめさせていただきました。
背景といたしましては、まさに今、電気料金の値上げに関する懸念ということで、それが国民の間で広がっている。公共料金の重要性については改めて注目を浴びている。それから、デフレ下ということで、所得の伸び悩みが続く中、公共料金の価格の水準、動きというものが、他の財・サービスと比べてやや割高感というものがあって、そうしたものが消費者の負担感というものにつながっている。それから、規制改革・技術革新につきまして、公的機関が関与する諸前提が変わってきたのではないか。また、消費者基本法におきまして、消費者の権利という観点から、自主的かつ合理的な選択の機会の確保ですとか、情報提供の話とか、消費者政策への反映といったところが明記されているということでございます。
取りまとめのポイントをごらんいただきますと、初めに、料金改定の手続と継続的な検証ということで、いわゆるデュープロセス的なところを1つ目に挙げております。IIといたしまして、公共料金の水準・内容、IIIといたしまして、消費者への情報提供、IVといたしまして、制度改革と技術開発、Vといたしまして、さらなる制度改善のためにということで、主にこの5つのパーツからなっております。
今回、中間取りまとめにおきまして、IIIまでを中心に議論させていただきました。料金改定の手続と継続的な検証という点におきましては、規制当局におかれましては、原則、公聴会を開催し、また、参加者におけるデータの提供、通知について、時間的な余裕をもって消費者、参加者に配慮してもらいたい。また、参加者の質疑応答の機会は、一方通行ではなくてレスポンスを求めるということで、そういうコミュニケーションを確保してもらいたい。消費者の代表者の参加の確保ですとか、消費者委員会に料金の申請案、改定案について意見を求める。事業者の部門別・サービス種類別のセグメント情報、連結会計情報等の開示ということで、今、自由化部門がかなり進んでおりますので、規制部門と自由化部門の関係の情報についても、適切に出していただきたいということでございます。
継続的な検証、これが一つ、今回、私どもが研究会を立ち上げた理由の大きなものでございますが、料金が据え置かれた場合、あるいは下がる場合は、認可という手続は要らないということで、基本的には規制当局にとってもチェックが働かないという仕組みがございます。ですから、料金の水準の妥当性について、長い間、説明されてこない可能性があるということで、長期にわたって料金改定が行われないケースにおいては妥当性の点検を望ましいという話。その妥当性のチェック、継続的な確保の問題については、やはり検証方法を検討していただきたいということを、ここで記載させていただいております。また、認可申請等の書類の情報についても、原則公開ということを記載させていただいております。
料金の水準・内容につきましては、現在、消費者の目が非常に厳しいものがございます。そうした点から、消費者への説明責任、特に総括原価方式の下では、構成原価の範囲とか、原価ごとに算入すべき範囲の検証、そういうものについてもしっかりとした検証が必要ということ。それから、インセンティブ規制等の適切な導入といったところを掲載しております。
IIIといたしまして、消費者へのわかりやすい情報の公開。事業者の方は、届けている、届いているつもりでも、消費者には実際には届いていないというケースも多々ありますので、そうしたものに対する対応ということで、わかりやすい情報、サービスに関し、事業者間・地域間の比較情報を提供。繰り返しになりますが、据え置きの料金が行われても、事業者はその理由、根拠を説明してもらいたい。そういうことを基本的なベースとしております。
IVとVにつきましては、中間取りまとめ後に引き続き具体的に検討してまいりたいと思います。
67-2のヒアリングの項目ということでごらんいただきますと、中間報告を踏まえて、どのように施策の具体化を図ろうとするのかというところでございます。まだ中間取りまとめということで、これから具体的に詰めていくところは多かろうと思いますが、中間取りまとめの段階でも、各省の公共料金の担当部局につきましては中間取りまとめをお示ししておりまして、料金の決定、認可等に当たっては、この取りまとめに留意してもらいたいということはお示ししているところであります。
今後、中間取りまとめ以降、具体的な議論をし、最終的な取りまとめに当たっては、まさに報告書の中で、フォローアップの話とか、諸問題の対応をきっちりやるというところが一つの大きな課題になっていますので、そういう内容も踏まえた形で、関係各省に理解を得ながらその枠組みも検討してまいりたいと思っております。
2つ目のポツといたしまして、施策番号67のところで、公共料金の値上げ及び新設に際して消費者庁との協議等を行うこととされていたが、不十分だったからこういうことをやったのではないか、という提案をいただいたところでございます。この研究会については、不十分だからというよりは、ここ数年、実は公共料金について本格的な議論がなされていないということもございまして、網羅的な観点から今日的な課題を、今回、論点として検討するという点でございます。ですから、関係省庁と物価担当官会議等の申合せが不十分だったというよりは、より広い観点から検討したいという旨で、私どもの方では研究会を立ち上げたという次第であります。
簡単ではございますが、以上です。
○河上委員長 ありがとうございました。
では、国土交通省からお願いいたします。
○国土交通省滝沢鉄道局安全・業務政策室旅客輸送業務監理室長 国土交通省旅客輸送業務監理室長でございます。
私どもは、今年の春先、2月末でございますが、鉄道の運賃に係る建議をいただいたということでございます。その建議につきましては、建議の中で御指示がありましたように、8月までに実施状況の報告を求められている次第でございます。したがいまして、現在はどういう状況かと申し上げれば、それに向かいまして、いろいろな勉強でありますとか、検討をしている最中でございます。今日は、誠に恐縮ではございますが、何かお示しできる段階であればよろしいのでございますが、まだ検討の最中でございまして、御理解いただきたいと思います。
国土交通省といたしましては、建議の趣旨を真摯に受けとめまして、適切に対処してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○国土交通省杉山運輸審議会審理室調査官 若干補足させていただきます。基本的には、今、鉄道局から申し上げたとおりでございますが、建議の中で運輸審議会に関する御指摘もいただいております。当然、運輸審議会といたしましても、どこまで改善が可能かという点、今、検討しているところであり、建議の内容、あるいは、先般出されました消費者庁の研究会の中間取りまとめ、こういった内容を運輸審議会委員にも御説明をしているところでございます。8月の報告に向けて、現在、検討を進めているところでございます。
以上でございます。
○河上委員長 では、経済産業省、お願いします。
○経済産業省資源エネルギー庁電力・ガス事業部電力市場整備課担当者 経済産業省資源エネルギー庁電力市場整備課の迫田と申します。よろしくお願いいたします。
先ほど委員長からもお話がございましたが、電気料金につきましては、改めて詳細について説明させていただきますが、本日は、ごく簡単に基本的な方向性について御報告させていただければと思っております。
消費者委員会からは本年の2月に建議をいただきまして、また、5月10日は委員長声明という形で、消費者の立場からの御提言をいただいているところでございます。また、先ほど消費者庁からもお話がございましたが、公共料金に関する研究会においても、さまざまな観点での提言がなされているところであります。これらにつきまして、我々としましてはしっかりと受けとめて、基本的な対応をしていきたいと考えているところでございまして、5月11日に東京電力の電気料金の値上げ申請が行われた際にも、公聴会の手続の見直しであるとか、そういったことも含めて、一部、公表させていただいたところであります。具体的な公聴会の進め方等、現在、詰めているところでありますけれども、そういったところは、しっかりと対応していきたいと思っております。
また、審査につきましても、しっかりと透明性があるものでなければならないと思っておりまして、今回の東京電力の申請書類につきましても、申請後、即公表しているところであります。また、審査の中身につきましても、透明性を確保するため、有識者の方々から御意見をいただくために、現在、審議会で御議論をさせていただいておりますが、こちらも原則公開という形で進めさせていただいているところでございます。
今後も引き続き、消費者委員会、消費者庁とも連携を図りながら、公共料金の在り方、また、東京電力の料金値上げに対応していきたいと思っております。
以上でございます。
○河上委員長 それでは、総務省、お願いいたします。
○総務省二宮総合通信基盤局料金サービス課長 総務省総合通信基盤局料金サービス課の二宮でございます。
総務省といたしましては、通信の料金並びに郵便の料金について御説明させていただきたいと思いますけれども、まずは通信の料金の関係のお話をさせていただきます。お手元の資料13-1をごらんいただければと思います。
まず、電気通信分野における料金規制の基本的な考え方でございますけれども、昭和60年、電電公社の民営化・電気通信事業の参入自由化以降、競争原理の導入ということで、市場メカニズムを通じた料金の低廉化、サービスの向上を図ってきております。電気通信サービスの利用者料金につきましては、原則として事業者が自由に設定可能という形にしているところでございます。
他方、NTT東西の加入電話等の、競争の進展が不十分と考えられる分野におきましては、市場メカニズムを補完することが必要となりますので、その場合にも、事業者に経営効率化を進めるインセンティブを賦与することによりまして、料金の低廉化を促しているところでございます。インセンティブを賦与する方式といたしまして、一般的にコストキャップ方式、プライスキャップ方式とございますけれども、電気通信分野におきましては、事業者に柔軟かつ機動的な料金設定を可能とし、サービスの多様化を促進するという観点からプライスキャップ方式の採用いたしまして、平成12年から運用を実施しているところでございます。
制度の概要でございますけれども、料金水準の上限を定めまして、実質的な料金の低廉化を図ることにより、利用者利益を確保しながら、基準料金指数以下であれば届出のみで自由に料金設定してよいということで、事業者に経営効率化インセンティブを賦与するという形をとっているものでございます。その対象は、NTT東西の加入電話等でございます。
基準料金指数につきましては、毎年、NTT東西に通知をすることにしておりますけれども、基準料金指数の設定に当たって、3年ごとに定期的に合理的な将来原価の予測に基づく生産性向上見込率(X値)を設定することとしているところでございます。
次のページでございますが、課題の現状と今後の取組でございます。インセンティブを賦与するプライスキャップ制度におきましては、基準料金指数を超えない範囲であれば、経営判断により届出のみで、個々の料金の設定や変更が可能ですので、総務省が個々の料金について決定とか認可を行うものではございません。ただし、透明性を確保するという観点もございますので、基準料金指数を設定する際には、生産性向上見込率について3年ごとの見直しを行った上で、私どもの情報通信行政・郵政行政審議会に諮問をしているということでございます。
その諮問を踏まえて、専門的に御議論いただく電気通信事業部会の構成員の中には消費者団体の代表者が含まれておりまして、議事概要、資料は原則公開、更に、パブリックコメントが実施されて、消費者の御意見をちょうだいする機会を担保しているものでございます。
また、収支の状況につきましても、会計については詳細に公開をしているところでございます。今後、引き続き決定過程の透明性、消費者の参画等の機会の確保に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○総務省長塩情報流通行政局郵政行政部郵便課長 続きまして、郵便料金について御説明させていただきます。郵便課長の長塩でございます。
お手元の資料13-2でございます。1枚おめくりいただきまして、まず、郵便料金についてということでございまして、基本的には法律による規制がございます。郵便料金と申しますと、ここ数年、郵政事業の経営形態自体が大きく変わってきております。従来の国営から公社形態を経て、民営化となっているものでございまして、料金面の規制においても自由化の方向で動いてきておりますが、政策目的等から、規制を残しているところ、残していないところ、斑模様となってございます。
こういったことを現状にいたしまして、冒頭に基本的な考え方がございます。その次でございます。郵便料金は一種から四種に分けられてございまして、一種というのが一番おなじみかと思いますが、封書です。それから、はがきというもの。これらについては一定の制約もございますが、届出制にしてございます。三種、四種につきましては、それぞれ雑誌とか通信教育という、一定の政策目的を実現するということが背景にございまして、認可という少しきつい規制を残してございます。従来、国営時代はすべて法定、法律の制度の下にやったものを、順次、緩和してきているというものでございます。
ただ、一種料金の封書につきましても、一番国民生活に密接にかかわる分野かと思いますが、軽量の信書、いわゆる定形郵便物と言われるものにつきましては、省令で上限の額が定められてございまして、これが、現状の額でもございます80円という形で定まってございます。
もう少し補足させていただきますと、表中にございますが、こういう一定の上限があったり、二種のはがきでございますと、定形郵便物に比べて低い額ですとか、あるいは三種、四種は、認可の中でもそれぞれ相当する一種より低い額というさまざまな制約がございます。こういったもの全体として収支が賄えるようにという構造になってございます。
料金につきましては料金の変更命令が設けられてございまして、また、審議会の諮問という制度もございます。審議会の委員の中には、消費者団体の代表にも参画いただいてございますし、さまざまな公表手続もございます。それから、消費者庁等への御相談、あるいは命令といったもので全体を担保しているという構造でございます。
次のページでございます。また、収支につきましては、郵便事業の収支等を総務大臣に報告するとともに公表することが定められてございます。
以上、全体として、引き続き決定過程の透明性、消費者参画の確保等に努めていくという考えでございます。
以上でございます。
○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。
○山口委員、どうぞ。
○山口委員長代理 説明、ありがとうございました。とりわけ国交省、経産省には建議をさせていただいておりますので、その実現方、是非よろしくお願いいたします。
総務省の方で、資料13-1の関係で2つ伺いたいのですが、一つは、プライスキャップ制度についての簡単な御説明がありました。プライスキャップ制度の是非自体について伺いたいのですが、電気とか、鉄道などの装置産業ですと、原価計算が割とわかりやすいので、総括原価方式でそれなりのということがわからないでもないけれども、電気通信分野ということになりますと、なかなかその辺が目に見えにくい。総括原価方式をどういうふうに考えてやっておられるのか。
それから、プライスキャップについては両論ございまして、確かに値上げを抑止するには非常に役に立つけれども、上を決めるだけなので、一定の金額を固定化することになりかねないというところで、キャップをどう設定するのかという点については一定の判断が迫られると思いますが、その辺はどういうふうに考えて金額を設定されてきたのか。あるいは、されようとしているのか。可能な範囲で説明をいただければというのが一つです。
もう一点は、審議会のことでコメントがありましたけれども、情報通信郵政行政審議会は、審議会のメンバーはたしか20人近くいて、その中で消費者代表は地婦連の長田さんではないかと思います。学者やその他、事業者の団体の方がゾロッと並んでおられるので、いかにも1人では苦しそうだなというふうにメンバー構成を見て思ったのですが、もう少し人数は絞ったらどうですかというのが率直な意見ですが、それはともかくとして、消費者団体の関係者、あるいはユーザーの声をもう少し反映させるメンバー構成にできないのかという点。この2点をお願いします。
○総務省二宮総合通信基盤局料金サービス課長 2つ、御質問をいただいたと思っております。
まず、電気通信分野における料金算定における総括原価方式並びにプライスキャップの考え方という御質問だったと思いますけれども、最初に申し上げたいと思いますのは、私どもの電気通信分野での料金算定におきましては、いわゆる総括原価方式というものはとってございません。したがって、一定の利潤を保証するような形の積み上げ方式の料金水準を決める形にはなっておりませんで、通常3年間でございますが、3年間の算定期間、最終年度の収支が、生産性向上見込率を加味した上で、相償するような形で検討を行っているということでございます。その検討の過程におきましては、プライスキャップの運用に関する研究会というものを従来から開いておりまして、経済の先生方、統計の先生方、さまざまお集まりいただいて御議論をいただいているところでございます。
したがいまして、総括原価方式という前提での御議論であれば、それに対しましては、そうではございません、プライスキャップ方式で経営効率化を進めております。それ以外の競争が進展している分野につきましては、基本は競争に委ねる、市場原理に委ねるという発想で進めているところでございます。
2点目、料金が固定化されるのではないかという点についてでございます。この点については、今までどういう料金改定が行われてきたのかということを、簡単に申し上げるのが一番早かろうと思います。平成12年にプライスキャップ制を導入いたしましたけれども、12年10月、県内の市外通話料金を引下げということで、約40%値下げをしております。その翌年、13年1月は、市内通話料金を3分10円から9円に引下げ、更に5月には同じような引下げが行われておりますとともに、平成19年1月には、固定電話から携帯電話への通話について、10%弱の引下げが行われているという状況でございますので、必ずしもプライスキャップが料金の維持という形で働くということではなく、むしろ料金を引き下げる方向で機能しているのではないかと考えております。
○山口委員長代理 審議会の構成はどうですか。
○総務省二宮総合通信基盤局料金サービス課長 審議会の構成につきましては、確かに情報通信行政・郵政行政審議会全体ではかなり多くの先生方が入っていらっしゃいますけれども、電気通信事業部会におきましては、委員のメンバーは8名でございまして、そのうち地婦連の事務局次長の長田先生にお入りいただいているということでございます。御承知のとおり、長田先生は通信分野に大変お詳しゅうございまして、毎回、御議論に参加していただいて、積極的に議論に貢献していただいております。そういった意味で必ずしもこの構成が不適正だとは考えておりません。
○河上委員長 細川委員、どうぞ。
○細川委員 公共料金分野は、消費者庁、消費者委員会ができたこの時代であっても、かなり遅れている制度分野だなと思います。幸か不幸か、消費者の安全というのは、事故とか事件があると急速に進むわけですね。例えば高速バスの痛ましい事故がありましたけれども、あれをきっかけにいろんな制度が進んでいる。ところが、公共料金というのは、事件、事故が起きるような分野でないものですから、今まで、例えば経企庁、内閣府の時代はいろいろな議論がされて、物価安定政策会議でもいろいろな提言がされていて、非常にいい意見はありますけれども、経企庁、内閣府とも強力な権限がなくて、「あとは各省よろしく」というような形で進んできたわけです。そういった意味で言うと、これは本当に重要な今の時代のテーマだと思いますし、消費者庁、消費者委員会ができたからこそやれるべきことがあるのではないかと思います。
公共料金分野では消費者が蚊帳の外に置かれていまして、形としては、公聴会とかいろいろ手続はありますけれども、本当に形を取りつくっているだけという部分がありまして、まず、情報が不十分であって、その中で消費者が意見を述べても、結局、合理的な説明が十分できない。そうすると行政の方は、合理的な説明がなかったからといって、その意見を尊重しないという悪循環に陥っています。だからといって消費者あるいは消費者団体が、情報公開しても、ほぼ真っ黒、黒の墨で塗られてくる。それは事業者から任意に提出された情報であるからといって、行政は開示しない。では、事業者は開示するかというと、これは民間であって情報提供をする義務もないということで、消費者は蚊帳の外に置かれているというのが現状だと思います。
そういう意味で言うと、今回、建議も出しましたし、消費者庁の公共料金に関する研究会の中間まとめも非常に有意義だと思います。ただ、今までやってきたものに、もう一つ、報告書ができてもしょうがないわけで、消費者庁としては、今回は中間取りまとめですから、何か月後に最終取りまとめを出すと思いますが、これをどう各省庁に徹底してもらうかという仕組みづくりが必要なはずです。
私は、できればこれを受けて、消費者委員会が新たに例えば建議をするとか、あるいは、消費者庁の研究会で出てきた結果をもとに、閣議決定ぐらいしていただかないと、結局は今までどおりになってしまうのではないかというふうに危惧しますけれども、その辺、消費者庁としては、エンフォースメントの部分ですが、何かおありなのでしょうか。
○消費者庁長谷川消費生活情報課長 エンフォースメントの関係ですが、まさにこの研究会をやる理由になった、提言の内容について、内容がいいにもかかわらず言いっ放しのところがあったということもありました。しかも、フォローアップについて、ここ数年、やられていなかったということもあります。今後、7月ぐらいを目途に、あるいは8月になるかもしれませんけれども、取りまとめていきます。
閣議決定というのは、研究会の取りまとめでございますので、どこまでかというのはまた引き続き検討はあると思いますけれども、やはり各省の理解を得ながら、我々としてはその仕組みづくりについても、今後、検討していきたいということを考えています。少なくとも消費者庁について、実施のチェック、妥当性の検証というものは、この中間取りまとめにおいても御提示しているところでございますので、最低限はそれをやる。当然、各省においても、そのプロセスにおいてはきちんとコミットしてもらいたいというふうに思っております。
○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。
夏目委員、どうぞ。
○夏目委員 今回の公共料金に関して、非常に意欲的に取り組まれて、今まで問題があったところが明らかになり、それぞれの省庁におかれまして前向きに取り組んでくださるというのは、ある意味、一歩進んだことなのだろうと思います。先ほど、国交省、経産省が、8月の報告に向けて、今、検討中だとおっしゃいました。そうしますと、それを受けて、例えば消費者基本計画に具体的な新しい取組とか、例えば、いつまでにこういうところを変えていくという工程を盛り込むというところは検討しているかどうか、教えていただきたいと存じます。
○国土交通省滝沢鉄道局安全・業務政策室旅客輸送業務監理室長 消費者基本計画につきましては、正直申しますと、消費者庁の所管でございますので、消費者庁から正式な意見照会とか来ておりませんので、どうお答えしたらいいのか、今の段階では非常に難しいところでございます。
ただ、具体的にどういう状況か、今後どう進めていけるかということでございますので、今の状況を申し上げれば、先ほど委員の先生方からもお話がありましたように、多くの事業者の方々がいる中で、そういった事業者の意見も踏まえ、どういうふうに理解をしていただいて、どうまとめていくかということを、今後の進め方も含めて、今、いろいろ検討しているということでございますので、今日のところは、そういったところで御理解いただきたいというふうに考えてございます。
○経済産業省資源エネルギー庁電力・ガス事業部電力市場整備課担当者 経済産業省につきましては、先ほどもお話しさせていただきましたけれども、手続等については既に見直しをしているところもございます。今後も引き続き、いろいろな御意見、御提言をいただけることになるかと思いますけれども、その都度、東京電力の料金改定の中で対応させていただければというふうに思っております。
○河上委員長 ほかには、よろしいですか。
公共料金については、当委員会の建議や消費者庁研究会の中間取りまとめでも述べられておりますように、決定過程の透明性の向上のために、消費者に対してできるだけわかりやすい情報提供を行っていただくことと、消費者参画の機会を確保するために、決定手続において消費者の意見を反映する仕組みを構築していただくこと。そして、料金の妥当性について継続的な検証を行うとともに、経営効率化にインセンティブが働く仕組みを構築するといった諸点、すべて共通して大事な要素だろうと考えています。
消費者目線に立った公共料金を実現するために、公共料金を所管する各省庁におかれましては、そうした課題に、今後、前向きに取り組んでいただきたいと考えている次第でありまして、消費者庁におかれましては、各省庁によるこうした取組を常時モニタリングするとともに、その取組を後押しするような役割を果たしていただければありがたいと考えております。消費者庁と各省庁によるこうした取組については、その進捗状況等について、我々も継続的に検証・評価を行いたいと考えておりますので、取組の進捗状況、実施時期については、これを明確にした上で、今度の消費者基本計画の具体的施策の中に追加していただければありがたいと考えております。
これまで公共料金というのは確かにちょっと目立たないところにあって、しかも、問題を分析するための手がかりもない状態でした。そこを改善するだけでも随分違ってくるということですので、関係省庁におかれましては。是非、前向きに取り組んでいただければありがたいと思います。
消費者庁、国土交通省、経済産業省、総務省におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。
(5) 特定商取引法の見直し(施策番号41、43関係)
○河上委員長 続きまして、特定商取引法についてであります。本件については、貴金属等の訪問購入に係る消費者被害を防止するため、訪問購入業者に対する行為規制の導入や、売り主による一定期間内のクーリングオフを認めるなど、所要の措置を講ずるための改正法案が今国会に提出されたところであります。現在発生している消費者被害を防止するため、まずは法案の早期成立が望まれるところでありますが、特定商取引法の更なる実効性の確保に向けて、同法をめぐる将来の課題について検討を行っていくことが必要であると考えております。
本日は、消費者庁においでいただいておりますので、特定商取引法をめぐる課題について、御説明をいただきたいと考えております。
説明は5分から10分ぐらいでお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
○消費者庁鈴木取引対策課企画官 消費者庁取引対策課の鈴木でございます。
ざっくばらんに申し上げまして、現在、まさにこの見直しを先取りする形でいわゆる訪問買取りについて、先生方も御存じのように、今、国会で御審議いただいている状況でございまして、まずは、その法案を一日も早く通していただくということで専念させていただきたい。新たな課題等について、どのような検討項目で行うか、また、どんなスケジュールで行うかというところは、正直言いまして、全く白紙でございます。したがいまして、本日の御意見等も踏まえて、まずは法案が通った後に、順次、新たな見直しを行っていきたいということが私どもの今の考えでございます。
○河上委員長 余り時間もございませんが、これだけはというような御質問、御意見ございましたら、是非お願いいたします。
よろしいですか。
まずは立法、やはり一番問題になっているところですから、それを是非実現していただきたいと思います。消費者委員会からも幾つか意見を出して、特定商取引法の指定商品制の見直しであるとか、さまざまな将来的な課題があることは、ここでも議論させていただいたとおりでして、将来に向けて、これで満足しないで、改正に向けて検討を速やかに進めていただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
消費者庁におかれましては、お忙しいところ、御協力いただきまして、ありがとうございました。
(6) 預託法の見直し
○河上委員長 続きまして、預託法の見直しについてであります。これは、「特定商品等の預託等取引契約に関する法律」というものでありますけれども、これにつきましては、安愚楽牧場の経営破綻に関してさまざまな問題点が指摘されたところであります。その後、消費者庁におかれましても見直しに向けた検討が進められ、消費者基本計画の改定素案の中に、預託法及びその関連法令について制度面、運用面の問題点の整理を行い、政省令、通達などで対応可能なものは速やかに対応する、という旨の方針が新たに追加されたところであります。
本日は、消費者庁から、預託法の制度面、運用面の問題点や今後の見直しの方向性について、御説明をいただきたいと思います。
説明は手短にお願いしたいと思います。
○消費者庁取引対策課担当者 預託法については、新しく入ったということで、勿論、安愚楽の問題を踏まえて制度面、運用面について見直していく。安愚楽に関しては、安愚楽と預託契約を締結している契約者が所有する牛の頭数の内訳、繁殖牛とか、肥育牛とか、そういったものが開示されていなかったこととか、安愚楽が契約者に対して、預託契約期間終了後に返還することを約していた金額の総額が開示されていなかったといったことが、問題点として指摘されているところであります。
現在、こういった指摘も踏まえて、政省令、通達における見直しを、検討すべき論点について整理を行っているところでございます。本年度の上半期を目途に、対応可能なものについては対応していくというスタンスで臨むことを考えています。
制度面は、今、申し上げたとおりで、運用面につきましては、預託法を担当する職員の増員を行ったところです。現状は、預託法を担当している職員が1名、ほかの業務と兼任している形になっておりますが、3月から、公認会計士の方、10月1日から預託関係について2名の定員の増員ということで、今後、運用を強化していくことを考えております。
以上でございます。
○河上委員長 ありがとうございました。
それでは、今の御説明に対して、御質問、御意見がございましたら、お願いします。
よろしいですか。
では、これは引き続き制度面、運用面の問題点の整理をしっかり行っていただいて、制度の運用とか、政省令の通達などで対応可能なものについては、今年度上半期を目途にというお話がありましたけれども、できるだけ早い段階で対応をしていただくことをお願いしたいと思います。
消費者庁におかれましては、お忙しいところを審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。
≪3.その他≫
○河上委員長 最後に、その他といたしまして、「電気料金問題検討ワーキングチーム」の開催について御報告いたします。
消費者委員会においては、今般の東京電力による家庭用電気料金の値上げ申請について、5月10日付で委員長声明を発出して、適切な審査体制の確保、公聴会の適切な開催、適時・適切な情報提供を、経済産業省に対して求めたところでございます。
今後のプロセスにおいては、公共料金担当委員であります、小幡委員、細川委員、山口委員長代理を中心に、委員会の場における経済産業省へのヒアリング、消費者団体等との意見交換などを通じて、さきの声明に盛り込まれました内容に沿って、適切な対応がとられているかどうかをチェックしていく予定であります。
そのため、審査過程全体を見渡し、決定過程の透明性及び消費者参画の機会が適切に確保されているか、あるいは消費者にとって必要な情報が開示されているかといった手続面を中心に検討すべく、公共料金担当委員及び専門的知見を有する外部有識者によるワーキングチームを開催することといたします。
ワーキングチームの構成については、お手元に参考資料1という形で資料を配付しておりますので、これを御確認いただければと思います。
それでは、本日の議題は以上ということになります。
お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。
≪4.閉会≫
○河上委員長 最後に、事務局から、今後の予定等について説明をお願いいたします。
○原事務局長 長時間、お疲れさまでした。ありがとうございました。傍聴の方も本当にお疲れさまでした。
次回の委員会につきましては、5月29日(火曜日)、もとに戻しまして、16時からを予定しております。
消費者基本計画の検証・評価についての委員会としての意見を取りまとめることと、追加の案件が出てきましたら、また順次、御案内したいと思います。どうもありがとうございました。
○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会にさせていただきます。次回は5月29日の16時で、時間はもとに戻りますので、よろしくお願いいたします。
本日は、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。
(以上)