第85回 消費者委員会 議事録

日時

2012年4月10日(火)16:00~16:35

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 河上委員長、山口委員長代理、稲継委員、小幡委員、川戸委員、
 田島委員、夏目委員、細川委員、村井委員、吉田委員
【説明者】
 厚生労働省 中井川医薬食品局監視指導・麻薬対策課長
【事務局】
 原事務局長、小田審議官

議事次第

1.開会
2.違法ドラッグについて
○説明者: 厚生労働省 中井川医薬食品局監視指導・麻薬対策課長
3.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:7KB)
【資料1】 違法ドラッグに関する説明資料(PDF形式:535KB)
【参考資料1】 委員間打合せ概要(PDF形式:65KB)

≪1.開会≫

○河上委員長 本日は皆様、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。
ただいまから第85回「消費者委員会」会合を開催いたします。
配付資料の確認の方をお願いいたします。

○原事務局長 今日は議題が1つということで、短い時間ということで予定をしておりますので、資料1といたしまして「違法ドラッグに関する説明資料」、参考資料1といたしまして、この間、3月29日に委員間打合せを行っておりますので、その概要をお付けしております。
よろしくお願いいたします。

○河上委員長 それでは、議題に移りたいと思いますが、議題に入る前に皆様に1点御報告をいたします。
3月27日に開催いたしました第84回「消費者委員会」で、住宅用太陽光発電システムの販売等に係る消費者問題についてということで、提言をとりまとめさせていただき、これを消費者担当大臣並びに経済産業大臣あてに提出してまいりましたが、これに関連して、去る3月29日に埼玉県、茨城県、栃木県、群馬県の4県が連携いたしまして合同調査を行い、違反行為をした太陽光発電システムの訪問販売業者に対して一斉処分を行ったということでございます。
消費者委員会の提言がもし後押しになったとしますと、大変うれしいことだと思いますので、御報告いたします。

≪2.違法ドラッグについて≫

○河上委員長 それでは、議題に入ります。本日の議題は「違法ドラッグについて」でございます。違法ドラッグについては、いろいろな形でメディアでも取り上げられておりますように、場合によっては未成年者も含みますが、青少年のいわゆる入門薬物、ゲートウエードラッグとして、その社会的影響が大変心配されるところであり、消費者委員会としましても重大な関心を持って検討を行ってきております。
都内でもこの違法ドラッグを販売する店舗が数十店に上るということでして、若者の間で健康被害を受けた者も出ておりますし、名古屋ではいわゆる「脱法ハーブ」とか「合法ハーブ」とか言われるハーブを吸ったことによると強く疑われる死者も出ているということです。
既に厚生労働省を始め関係省庁が一体となった取組みを行うことを始めておりまして、特に厚労省においては、本年度から違法ドラッグに関する情報の一元化などの新たな取組みを開始されております。
そこで、本日は厚生労働省においでいただいて、本件に関する対応状況について御説明をいただき、議論を行いたいと思います。
それでは、説明をお願いいたします。

○厚生労働省医薬食品局中井川監視指導・麻薬対策課長 厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長でございます。今日は説明の機会をお与えいただきまして、ありがとうございます。
では、座って説明をさせていただきます。
お手元の資料1に基づきまして、説明をさせていただきます。
まず、開けていただきまして、1ページ目でございます。「違法ドラッグ」というふうに私どもがタイトルを付けてございますが、これは私どもの制度上の概念ではございません。これはさまざまな呼び名が巷間言われております。最近では合法ハーブなどという呼び方がされているわけでございますが、私どもは、後ほど説明いたします規制対象以外のものでも同じような危険性があるという形で情報提供を行っていく過程で、従来より違法ドラッグという呼称で呼んでいるということでございます。
昔で申し上げますと、真ん中にございますビデオクリーナーと称して販売をし、それで幻覚剤類似成分をその中に混入させて、いわゆる多幸感ですとか幻覚等の作用を催すという、これも一種のブームのようなものがあるわけでございます。
最近、合法ハーブという形で話題になっておりますのが、資料の左側でございます。いわゆる通常のお香、ハーブに幻覚作用を生じさせるさまざまな薬物をまぶすような形で販売がなされているという形態でございます。
先ほど委員長からもお話がございましたように、ゲートウエードラッグ、いわゆる入門薬として、そこから例えば麻薬とか、さまざまな薬物の登竜門といいますか、通り道になる恐れというものが指摘されているところでございます。
厚労省といたしましては、そういうものを指定薬物という形で指定させていただきまして、県の薬事監視員、これは県の行政職員でございますが、彼らによって監視・指導をしていく。法に触れる、違法性があるものにつきましては、後ほど御説明いたしますが、警察への刑事告発等をしていくという形でやっております。
制度上の説明は後ほど申し上げます。
今の実態でございますが、実態の把握というのは非常に難しいところがございます。そう申しますのは、販売の形態としてインターネットの形を取っているですとか、あとはお店の形を取っているわけでございますが、当然一度何らかの形で調査に入りますと、そのお店がすぐ畳まれてしまって、また別のところで開かれる。ある意味では神出鬼没的なところもございます。
そういう中で、各都道府県の薬務担当部局を通じて、1月時点で把握したところの数字というのが左下に記載されているところでございます。全国で212か所でございますが、そういう意味で、これは少なくとも確認できたものが212か所と御理解いただければと思います。
内訳を見ますと、これは17都府県ということでございまして、では、残りの府県にないのかというと、必ずしもそうでもない。把握している範囲では17都府県が1月の時点で把握し得たということでございます。
例えば東京都さんなんかの場合ですと84、大阪21、福岡21、沖縄33と、やはり把握が進んでいるところではそれなりの件数が出てきているというところでございます。
もう既に4月に入っておりますので、その後、各薬務担当部局の方でそれなりの調査が進展しておりますので、また相当数が恐らく実態として把握されているのではないかというところでございます。
右側は健康被害です。これはただ、因果関係については必ずしも定かではございませんので、あえて報道事例という形で集計したものでございますが、104例という形で、健康被害という形での報道がなされている数を把握しておりまして、症状につきましては、ここに記載のとおり意識障害、嘔吐、けいれん、呼吸困難等の症状が報告されているところでございます。
次のページでございます。現在の、いわゆる違法ドラッグ対策についての規制の手法でございます。
右側の違法ドラッグは、先ほど言いましたように特に概念がございませんが、皆様御案内のとおり、乱用薬物としては麻薬、覚せい剤、大麻等が一番有名でございますが、私どもはそれを、ある意味では一番強制的、強い規制という形で制度上取り締まっているところでございまして、麻薬、覚せい剤につきましては精神毒性が強い、依存性が強い、乱用されるという一定の要件、これは麻薬関係の法律、麻薬取締法におきまして法律指定をされているわけでございますが、その中でも現行の麻薬と同じような乱用の恐れ、同じような有害作用のあるものについては政令で、いわゆる行政サイドでの指定ができるという形でございますので、基本的に私どもは政令で指定するときは、現行の麻薬と同種・同等の乱用なり精神毒性なりを見て指定しているというのが、現行の制度でございます。
そういう形で、非常に社会的にも危険性が大きいという形で、麻薬につきましては左下にございますように輸入、製造、販売のほか、所持ですとか使用についても規制をかけているということでございます。
それから、医療用麻薬です。これはがんの疼痛等で、モルヒネなんかをよく疼痛緩和で使うわけでございますが、そういうものにつきましても許可制によりまして、厳正な管理をしているところでございます。
それ以外のものにつきましては、今度は上の方に戻りますけれども、人体への影響を目的として販売されるもので、いわゆる医薬品の製造の承認を受けていないものは無承認・無許可医薬品としての取締りが現行上可能となっております。
ただし、最近のこういう違法ドラッグの売り方というのは、人体への適用を目的・標榜としない形で売られているケースが非常に多いという形でございまして、そういう意味では、医薬品であるということを立証するのが非常に難しくなっているということでございます。
具体的に申し上げますと、吸引を目的としている、例えば、これは吸うといい心地がしますという形を広告として表示した上で販売すれば、仮に麻薬ではなくても無承認・無許可医薬品という形で取り締まることは可能ですが、最近はそういう制度の裏をかく形で、これは絶対吸ってはいけませんと言いながら勧めるという形での販売方法になりますと、これは無承認・無許可医薬品としての取締りが難しいということでございます。
指定薬物につきましては真ん中にございますけれども、精神毒性について、やはり一定の危害が生じる恐れがあるというものでありますが、麻薬に指定するまではまだ至らないというものにつきましては、輸入、製造、販売を規制することによりまして取締りをする。当然、輸入、製造、販売をした者については行政処分の対象となりますし、罰則の対象となるという制度になっているわけでございます。
次が3ページ目でございます。
指定薬物と違法ドラッグということでの最近の課題という点につきまして記載させていただいております。
1点目は、もうこれは従来よりの共通でございますけれども、麻薬も含めてでございますが、従来は直接販売の形式を取っていたものが、インターネット販売という形で組織化・広域化する。インターネット販売ということになりますと、非常に一般の方が購入しやすい、アクセスしやすいような環境になってきているということがございます。
2点目でございますけれども、販売に暴力団等の組織犯罪グループが関与しているケースもございますので、なかなか行政職員での監視・指導には限界が出てきているという点がございます。
第3点目は、新たな乱用薬物が次々と導入されているということでございます。これはすなわち、私どもが指定薬物という形で規制対象とした直後に、その当該薬物につきましては店頭からきれいに消える。それで、構造式をちょっと変えただけの類似物を新たな薬物として販売する。それについては、指定薬物に指定されていないがゆえに合法である、それで合法ハーブであるという言い方でございます。それで使っても罰せられないから合法なんだという言い方をしております。
合法という名称が、健康にも危害がないのではないかという、ある意味では誤解を生じさせているところがありまして、合法イコール安全という思い込みで、安易に購入をされる方がいらっしゃるということでございまして、乱用による健康への影響について、国民の皆様にまだ十分理解をいただいていないというのが現状でございます。
厚生労働省の現行の対応、それから今後の対応の方向性でございますが、まず、1番目といたしましては制度改正です。これは直接的には薬事法の改正を検討しているということでございますが、1番目といたしましては、やはり都道府県の行政職員では限界があるということで、国に所属しております麻薬取締官、これは麻薬専門の取締り、いわゆる麻薬Gメンでございますが、麻薬取締官による取締り対象にするために法律改正をすることが考えられるということです。
もう一つは、指定薬物の疑いがあるものについて処分性を持った、あらかじめ強制的に取締りができる、例えば収去をするということを今、検討をしているところでございます。
3番目といたしましては、先ほど委員長からも御紹介がありましたが、やはり国民の皆様に、現在誤った認識を持たれている方がいらっしゃるだろうということでございまして、違法ドラッグの健康被害の事例でございますとか、乱用による健康影響についての正しい情報を提供するための情報収集、提供の仕組み、普及啓発の仕組みを、平成24年度の予算において新たに実施するという形にしております。
4番目でございますが、これはマスコミ等で報道されておりますけれども、先ほどのイタチごっこへの対応という形で、指定薬物というものを包括的に、まだ現に健康被害がないものについてもあらかじめ投網をかけるような形で指定してはどうかということを、実は厚生科学審議会の制度改正検討部会での御提言をいただいたところでございますので、本件につきましては、また関係有識者の意見を聞きながら、これから検討を進めていくという形になろうかと思います。
最近でございますが、3月30日付で警察庁と厚生労働省が連名で通達を出させていただいております。これは都道府県の薬務主管担当者、先ほどで言うところの薬事監視員でございますが、薬事監視員と警察が合同で各販売店の方に調査に入る。それで一定の警告をする。一緒に行くことによって非常に警告的な意味合いが出てくると思うんですけれども、それで必要に応じて、先ほど申しました法規制体系の中での規制なり取締りをやっていくという形の通達を出しましたので、今後その成果が期待されるところでございます。
以上、雑駁でございますが、私からの説明は終わります。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 ちょっと説明がよくわからなかった部分がありますので、教えていただきたいのですが、2枚目の表のページで、真ん中に指定薬物というのがありまして、その右側に違法ドラッグと書いてありますが、指定薬物というのは、要するに害毒性があるということで、厚労省の方で指定薬物に該当するものとして指定したものかと思うんですが、それ以外の指定していないものが違法ドラッグということで、指定がなくても違法ドラッグということで輸入、製造、販売が禁止されているのかどうかです。

○厚生労働省医薬食品局中井川監視指導・麻薬対策課長 まず、これは私どものネーミングのあれかもしれませんけれども、違法ドラッグということは、ある意味では違法ドラッグ全体が一定の、例えば薬事法とか、そういう法律に全部が違反しているというものでは必ずしもないわけなんです。それで、指定薬物でない違法ドラッグの中で、吸ってくださいとか、飲んでくださいとか、そういう形で体に吸引、要するに体に取り込んで、一定に体に影響することを目的としているということになると、それは一義的に医薬品という扱いにできるわけなんです。
医薬品というのは御案内のとおり、承認の出たものでないと販売してはいけませんので、ここに書いてございます「輸入、製造、販売等を禁止」というのは、いわゆる指定薬物であるから禁止するのではなくて、指定薬物ではないけれども、そういう形で、医薬品ならば本来承認をとらなければいけないのに、取っていないからいけませんということを右側で申し上げているということでございます。

○山口委員長代理 わかりました。そうすると、そういうものについては、先ほど説明があったようにビデオクリーナーだとか、あるいは、中には消臭剤とかいろいろな形で売られるようですが、そういうものは該当しないということになるわけですね。

○厚生労働省医薬食品局中井川監視指導・麻薬対策課長 そこが悩ましいところなんですが、このビデオクリーナーなんかも、例えば店頭で販売するときですとか、インターネットで販売するときですと、例えば吸引すると気持ちがよくなりますとか、そういう言い方をして当初は販売していたわけです。そうすると、もう売るときに、摂取してくださいということを目的としていますから、そうなると無承認医薬品で取り締まることができるんですが、我々がそういう取締り方をすると、今度は表示のところに、吸ってはいけませんと書くわけです。
しかし、やはり値段とか、そういうものを購入したいという方は、その辺はあうんの呼吸で、そういうふうに書いてあるけれども、これはそういうものなんだなということで購入される。店頭で販売する場合でも、昔はそれこそ、これはこうやって吸うんですよと吸い方を教えたりして売っていたわけなんですけれども、最近は店員さんが、吸ってはいけませんと言いながら販売をする。そういうことになりますと、これは体への吸引・摂取を目的として販売をしているものではないので、我々としても無承認・無許可ということでの立証が難しいということでございます。

○河上委員長 ほかには、いかがでしょうか。
村井委員、どうぞ。

○村井委員 御説明の最後のページの中にも書いてございますけれども、こういう店を摘発してもすぐ次の店をつくるだとか、化学式を少し変えて持ってくるなど、かなり大がかりな組織がやっているのではないかと想像いたします。
警察も含めて、取締りの強化ということですが、麻薬だとなかなか販売も厳しい中で、違う形で同じようなことをやっていると思われます。そうなりますと、取締りも大事ですが、やはりそれを使わせない、買わせないという啓蒙活動が重要です。例えば大学や企業や医療機関等に、啓蒙の依頼文書を出すとか、学生さんにこういうものに手を出さないように、あるいは企業でも、社員にそういうものに一切手を出さないように注意喚起をするなど、早急にできることからやっていきませんと、こういったことは習慣性も高いでしょうし、一度はまるとなかなか抜けられないと聞きます。その辺はいかがお考えでしょうか。

○厚生労働省医薬食品局中井川監視指導・麻薬対策課長 特に学生さんに対してでございますが、実は従来から麻薬に関しましては、健康への危害の大きさですとか影響ですとか、そういうことを啓発するための読本ですとか冊子を配布したり、国ベースではそうですし、各都道府県でもそういう活動が行われていますので、そこにいわゆる違法ドラッグについても危険性を認識してもらうような啓発というのは、今回の24年度の予算をきっかけに進めてまいりたいと考えております。

○河上委員長 ほかには、いかがでしょうか。
田島委員、どうぞ。

○田島委員 最後の包括的な指定のお話で、これはこの間も申し上げたんですけれども、食品衛生法で食品添加物の指定ということをされていますけれども、食品添加物の指定は包括的指定をしているんです。本来だったら食品添加物は個別の物質ごとに安全性を立証しなければいけないんですが、包括的指定をしてしまえばそれを省けるというので、業者にとっては非常にありがたい制度なんです。
そういうことで、同じ厚生労働省の法律ですので、何とか包括的指定ができるように努力していただきたいと思います。
以上です。

○河上委員長 包括的指定のネックになっている問題というのはどういうところにあるかということを、少し御説明いただければと思います。

○厚生労働省医薬食品局中井川監視指導・麻薬対策課長 大きく申し上げまして、2点ございます。1つは科学的な合理性ということでございます。
従来、私どもが個別の物質を指定する場合には、乱用の実態があり、なおかつ、その物質自体が実験等によりまして、既存の麻薬に近いような形での健康影響ができるということを科学的に立証した上で、当然指定してきたわけでございますが、1つはそれを類似の構造式であることを理由に、要するに、まだ実際に流通はしていないけれども、この似たような物質で健康被害が出るんだから、この類似の構造物でも健康被害が出るであろうということを、ある意味では科学的に推定した上で指定することになりますので、その辺が科学的合理性があるのかということは、それはまさに包括の範囲にもなりますけれども、これは専門家の方々にどこまでできるのかということを御議論していただく必要があるだろうということがひとつございます。
もう一つは罪刑法定主義の観点から、包括的になりますと、より記載がアバウトになりますので、それによって、この物質を販売することが法に触れるのかということが、構成要件が明確になっていなければいけないということがございますので、この辺は、関係省庁がございますので、そういうところとまた相談しながら、どこまでが可能なのかということを議論しなければいけない。
あとは実態の問題で申し上げますと、この指定薬物なり違法ドラッグに該当するような構造式を持った物質といいますか、そういうものはほかの用途で使っている場合もあるわけでございます。例えば、研究者の方が物質の研究のために、ちょっとこういう物質を使いたいとか、今はございませんけれども、昔であればそれを用いて、何らかの製品を事業者の方が、メーカーさんや何かが使うとかという用途も想定されるわけでございますので、その辺の方々にとってみれば、ある意味では営業の自由なり研究の自由というものを法律で規制することにもなりますので、その辺の手続といいますか、その辺にも配慮しながらやっていかなければいけないということが課題だと認識しております。

○河上委員長 小幡委員、どうぞ。

○小幡委員 おっしゃるように、多分技術的にいろいろ難しさはあると思うのですが、特に販売の仕方が、さまざまな販売のされ方をするので、捕まえ方が難しいというのわかりますが、ただ、包括的な指定をするように転換していかないと、指定されていないから合法であるという売られ方をするのが一番怖いと思います。要するに買う方も、これは指定されていないから合法であると言って吸ってしまう、使ってしまう。それが入り口になるという話になるわけでして、何とか、指定されていないから合法であって許されるという方向を逆にするような包括指定をしないと、なかなかこの問題は、まさにイタチごっこになり続けるのではないかという感じがするのです。
ですから、今、言われたことについては、正当な目的で使う場合は当然許されるという形の規定を置いておくことによってクリアーできると思うので、何とか規制方法を、合法という言われ方についての転換をしていただきたいと思います。

○川戸委員 よろしいですか。

○河上委員長 川戸委員、どうぞ。

○川戸委員 この対策の方向性というのは、それぞれのところについて、どの程度進んでいるんですか。

○厚生労働省医薬食品局中井川監視指導・麻薬対策課長 対策の方向性の(1)(2)につきましては、法律改正が当然必要になってまいりますので、それは今、法律全体、これ以外にも薬事法の抱える課題は幾つかございますので、そういうものも含めて速やかな検討を行っておりまして、状況が可能になれば国会に出していきたいとは思っておりますが、まだその時期については未定でございます。
情報提供、啓発につきましては、先ほど言いましたように、もう24年度予算でこの前成立いたしましたので、これはもう具体化に向けて実務的な検討に入っているのが、今の状況でございます。
最後の包括指定につきましては、先ほど言いましたような問題点で、私どももまさに厚生科学審議会で問題提起をしていただいたという状況ですので、これはできるかできないかの検討をこれからしていかなければいけませんので、その辺は指定薬物部会、関係の先生方の御意見とか、時間的な感覚というか、どれぐらい時間がかかるのかということは、まさにこれからお諮りする話ですので、そこはもう少しお時間をいただければと思っております。

○河上委員長 夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 先ほど包括指定のところで2つ問題点があるという御説明でございました。ですけれども、既に海外では違法ドラッグに対しまして包括指定をしている国もあるわけですね。ですから、全くできないことではないだろうと思いますけれども、その辺の海外、とりわけイギリス辺りでは、この包括指定を実施したけれども、やはり更にまた違法ドラッグが出てくるんだというお話も聞いてはおりますけれども、そういった海外の事情を少し御説明いただければと思います。

○厚生労働省医薬食品局中井川監視指導・麻薬対策課長 まず、アメリカでございますが、アメリカは麻薬という中で、いわゆる規制薬物の類似するようなものについて包括的な指定をしているという例があるようでございます。
イギリスについてでございますが、いわゆる誘導体と言われるものです。要するに、同じものですけれども、ここをちょっと置き換えたものですとか、そういうものについて規制対象となっているようでございますが、今、先生の御指摘のとおり、なかなか進まないという形でございますので、イギリスなんかはむしろ暫定的に例えば規制したらどうかとか、迅速に指定したらどうかとか、いろいろな手法を考えているようでございますが、それもうまくいっているかどうかということについては、正確な情報はまだ得られていないというところでございます。

○河上委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 これは平成18年にドラッグ対策の法律改正があったときに、既に違法ドラッグの所持とか使用の禁止ができないのかという議論があって、そのときにも同じような毒性の立証が科学的にもなかなか難しいので、そこまでは踏み込めないんだというお話もありました。
それから、薬事監視員は都道府県に3,590人いるんだけれども、不足ではないか、実際に目が届かないのではないかという指摘があって、そういう問題が5、6年経った今も同じように残っていると思うんです。
そういう意味では、川戸委員が質問した意味合いと同じなんですが、麻薬取締官つまり麻薬Gメンによる取締りは、本当にだれも反対する者はいないと思いますので、予算の問題はあるかと思うんですが、本当になぜ通常国会に間に合わせないのかと思うんです。是非やっていただきたい。
もう一つ、弁護士的感覚から率直に言うと、指定薬物の疑いがある物品への迅速な対応というところになると、疑いがある物品を予防的な観点から、違法な事例の取締りにつながる仕組みについてということになると、これは指定されていなくても、疑いがある場合には没収か何かして、収去して、検査対象にできるようにできないのかどうかです。
もしそういうことが一定の要件をもってできるのであれば、包括指定との絡みで、もう少し罪刑法定主義に反しない限度で網をかけるということもできるのではないかと思うんですが、そこら辺は(2)の問題と包括指定の関係がどうなっているのか。
それから、なぜもう少し早くできないのかの説明をお願いします。

○厚生労働省医薬食品局中井川監視指導・麻薬対策課長 まず、前者についてでございますが、まさに委員の御指摘のとおりでございまして、これは全部持っていくというよりも、まさに委員がおっしゃるとおり、怪しいものについては一定の物品をもって、それを具体的に検査にかけていくということを想定しておりまして、例えば食品衛生法にも同じような事例があるわけでございますけれども、そういうものを参考にしながらやっていくということでございます。
ただ、包括指定の場合は、収去をした場合、もしも該当すれば、当然対象になってくるということはあり得るということでございます。
2つ目につきましては、私どもといたしましては、ほかのテーマも含めて、指定薬物以外も含めて薬事法はさまざまな課題を抱えておりますので、その全部について内容が詰まった段階で速やかに国会に提出したいと考えている次第でございますので、そこは御理解いただければと思います。

○河上委員長 よろしいですか。ほかにはいかがですか。
これは犯罪だということで、消費者問題とは一線を画するのではないかという意見もありますけれども、我々としては、オープンマーケットに市場適合商品であるかのような様相を呈して、そういうものが売られているということで、一般の消費者がそこに安易に接近ができる状態にあるということ自体、大変危険な状態であると憂慮しております。
その意味でも、消費者委員会としては一定の関心を持たざるを得ないということであります。
厚生労働省としても随分頑張って、いろいろな対策を打っておられるようだし、立法に向けた努力もされているということですので、消費者委員会としてはそれをできるだけ後押しをしたいという気持ちでおります。
更に、今の段階で仮に何らかの新たな立法的規制ができないとしても、国民全体に対して一定の危険情報についてのメッセージを送ることは重要な課題であろうと思います。予算が少々足りなくてもやれることはあると思いますので、もし可能であれば、一緒にそうしたキャンペーンを張ってみたいと思います。是非協力をお願いしたいと思います。
違法ドラッグ問題に関しましては、今後とも消費者委員会として引き続き調査・審議を行って、できましたら4月末を目途に委員会としての考え方をまとめたいと思っています。
本日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。

≪3.閉会≫

○河上委員長 最後に事務局から、今後の予定等について御説明をお願いしたいと思います。

○原事務局長 ありがとうございました。
次回の委員会につきましては4月24日、火曜日の16時からを予定しております。議題については決まり次第、また御連絡をしたいと思います。
以上です。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)