第74回 消費者委員会 議事録

日時

2011年11月24日(木)14:00~15:53

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 河上委員長、山口委員長代理、稲継委員、小幡委員、川戸委員、
 田島委員、夏目委員、細川委員、村井委員、吉田委員
【説明者】
 消費者庁  畑野取引対策課長、鈴木取引対策課企画官
片桐表示対策課長
増田食品表示課長
山崎総務課長
原嶋消費生活情報課長
地方協力課担当者
 公正取引委員会  経済取引局取引部取引企画課担当者
 文部科学省  笹井生涯学習政策局男女共同参画学習課長
平林初等中等教育局教育課程課長
伊藤生涯学習政策局参事官(学習情報政策担当)付情報政策室長
 総務省  齋藤総合通信基盤局データ通信課長
【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.消費者基本計画の検証・評価・監視について
○説明者: 消費者庁  畑野取引対策課長、鈴木取引対策課企画官
片桐表示対策課長
増田食品表示課長
山崎総務課長
原嶋消費生活情報課長
地方協力課担当者
公正取引委員会  経済取引局取引部取引企画課担当者
文部科学省  笹井生涯学習政策局男女共同参画学習課長
平林初等中等教育局教育課程課長
伊藤生涯学習政策局参事官(学習情報政策担当)付情報政策室長
総務省  齋藤総合通信基盤局データ通信課長
3.閉 会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:8KB)
【資料1】 消費者基本計画の検証・評価・監視にかかるヒアリング対象施策及び施策におけるヒアリング項目(PDF形式:25KB)
【資料2】 消費者基本計画(施策番号41, 80, 131, 124, 134)関連資料(消費者庁提出資料) 【資料3】 消費者基本計画(施策番号87, 90)関連資料(消費者庁提出資料) 【資料4】 消費者基本計画(施策番号87, 90, 93)関連資料(文部科学省提出資料) 【資料5】 消費者基本計画(施策番号102)関連資料(総務省・文部科学省提出資料)(PDF形式:152KB)
【参考資料1】 委員間打合せ概要(PDF形式:23KB)

≪1.開会≫

○河上委員長 時間になりましたので、ただいまから、「消費者委員会(第74回)」の会合を開催いたします。
本日は、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。
なお、本日は、所用により、川戸委員が若干遅れてお見えになることになっております。
最初に、配付資料の確認につきまして、事務局から説明をお願いします。

○原事務局長 配付資料ですけれども、議事次第と書かれた裏面に一覧を載せております。
資料1といたしましては、消費者基本計画の検証・評価・監視に係るヒアリング対象施策ということで、本日のものについてまとめております。
資料2、3、4、5については、本日、法執行についてと消費者教育についてのヒアリングを予定しております。その関連ということで、消費者庁、公正取引委員会、文部科学省、総務省からの資料ということで、御提出いただいたものをまとめております。
最後に、参考資料1といたしまして、11月15日に委員間打合せを開催しておりまして、その概要をまとめておりますので、ごらんいただければと思います。
事務局からは以上です。

≪2.消費者基本計画の検証・評価・監視について≫

○河上委員長 それでは、早速、議題に入りたいと思います。
本日の議題は、「消費者基本計画の検証・評価・監視について」であります。消費者基本計画の検証・評価・監視につきましては、消費者委員会として重要課題であると考える項目の今年度の施策の実施状況等について、第71回の委員会からヒアリングを行っているところであります。本日はその4回目ということで、資料1にありますように、法執行等に関する施策である41番、80番、131番、124番、134番、更に、消費者教育に関する施策である87番、90番、93番、102番について、それぞれ関係省庁においでいただいておりますので、ヒアリングを行いたいと思います。
ヒアリングの進め方としましては、初めに、法執行に関する施策について、関連する施策ですので併せて御説明をいただき、その後、質疑を行いたいと思います。その後、消費者教育に関する施策について同様にヒアリングを行いたいと考えております。
なお、資料1にありますように、委員会でお伺いしたい内容をあらかじめヒアリング項目としてまとめ、各省庁にお伝えしておりますので、こちらも念頭に置いた上で御説明をいただきたいと思います。
初めに、法執行に関連する施策についてでございますけれども、本日は消費者庁、公正取引委員会においでいただいております。初めに各施策についてまとめて御説明をいただきまして、その後、まとめて質疑を行いたいと思います。
それでは、説明をお願いいたします。消費者庁からよろしくお願いします。

○消費者庁畑野取引対策課長 消費者庁の取引対策課長の畑野でございます。本日はありがとうございます。
では、施策番号の41、80という順番で担当課長から御説明を申し上げます。取引対策課の部分は施策番号の41番でございます。具体的な施策といたしましては、「高齢者などを狙った悪質商法対策の充実・強化を図るため、改正特定商取引法の改正の趣旨及び消費者被害の実態を踏まえ、同法の厳正な執行を行います」。これについて今の取組みということでございます。
あらかじめいただいておりますヒアリング項目は、22、23年度の処分実情とその傾向、高齢者対策、将来の課題とも絡むと思いますけれども、両替の問題あるいは権利の問題、高齢者対策の問題といったような形で指摘をいただいておりますので、極力これらの御質問にお答えする形で資料の御説明をさせていただきたいと思っております。
資料2-1、施策番号41番の資料をお開きいただければと思います。時間の関係もありますので全部は説明いたしません。御了承ください。
1ページめくっていただきまして、右下にページが振ってありますが、2ページでございます。執行の件数でございますけれども、平成16年度からこの8年間ぐらいの処分実績、件数を記させていただきました。消費者庁ができましたのが21年の半ば、9月でございます。その辺から見ていただきますと、おかげさまで特に昨年度につきましては、処分件数ということで言えば、かなり多い件数について実績を上げたかなというふうに考えております。それに比べますと、23年度は、まだ途中でございます。去年に比べると少し実績が落ち込んでいることがございますので、残された期間において、巻き直せるところはきちんと巻き直しをしてまいりたいと考えております。
一方、改正特定商取引法というところで、PRと申しますか、御説明をさせていただきたいと思いますけれども、3ページをお開きいただきますでしょうか。「特定商取引法の改正について」ということで、釈迦に説法で大変恐縮でございますけれども、一昨年の12月から、改正特定商取引法の施行ということでかなり大がかりな改正を行ったわけでございます。何と申し上げましても最大の目玉は、「規制の抜け穴の解消」ということで、商品のサービス、これを従前、指定制ということで、政令に列挙してある商品・サービスを規制対象とするのを、原則すべての商品・サービスを規制対象にしますといった形で衣替えをいたしました。
法執行の観点から申し上げますと、「再勧誘の禁止」という規定。これはもう一度申し上げますけれども、その後の処分に当たりましては、大変効果を生んでいるのかなというふうに考えております。
通信販売規制の方では、迷惑メール規制ということで、いわゆるオプトイン規制、消費者があらかじめ承諾・請求しない限りは電子メール広告はできない。こういった規制措置についても、かなりの効果を上げているのではないかというふうに考えております。
その下の箱のところは、今、申し上げましたように特商法の改正といったものが非常にその効果をもたらして、処分が可能になった。明確に申し上げれば、この改正なかりせば、処分には残念ながら至らなかったであろうといった事業者でございますけれども、そこに書いてあるような数になっております。
最も注目すべき指定商品・役務制の撤廃ということで、どんな悪質商法がとらえられたかということで、次のページをお開きいただきますと、4ページのところでございます。指定商品・役務制を廃止したことによって処分が可能となった事例ということで、かなり悪質巧妙なやり口についても処分が可能になったのではないかと、改めてこの法改正の効果の大きさを感じているところでございます。
一つひとつ説明は省きますけれども、不用品の回収業でありますとか、あるいは、今年もかなり被害があるのが残念ですけれども、カニの販売でありますとか、それから、保証人です。これも大変悪質なやり方だと思いますけれども、保証人になってくれる人がいないということで、保証人を求める人と保証人になってもいいですという人をマッチングさせるサービス、これについての処分。
高齢者対策というところで後でもう一回御説明することになると思いますけれども、いわゆる「褒めあげ商法」ということで、絵画とか短歌の作品につきまして、事業者自らが設営するホームページや新聞に載せませんかとその掲載料をせしめる、こういったような商法。こういったものが、法律改正の効果で処分が可能になったということでございます。
中の方のページは飛ばしまして、今の話の関連で、高齢者というのが前回の特商法の改正から続くキーワードになっているわけでございますけれども、高齢者を狙った特商法の違反の最近の例ということで、この資料の最後の7ページをお開きいただきますと、今、申し上げましたものも含めまして、高齢者を狙っていることがうかがえる例ということで紹介をさせていただきたいと思います。
短歌、俳句、書道、こういったことを趣味とされておられるので、どちらかといえば高齢者がターゲットになってくるわけでございますけれども、そういった人たちをターゲットにして、かつて発表した絵画とか短歌を自分のホームページに載せませんか、といった形での勧誘を行っている褒めあげ商法。
それから、紳士録の販売商法ということで、これは紳士録をつくるわけでございますけれども、それにあなたのお名前を掲載しませんかと。会社、あるいはいろいろなところで名を上げた方を中心に、これも、当然そういったことでございますので、比較的高齢者がターゲットになる。紳士録販売といったようなもので悪質商法を行っていた例。
代表的な例ということで一番最後に掲げさせていただきましたけれども、健康食品です。これは、電話勧誘販売で高齢者の方に電話をかける。大変失礼な言い方になるかと思いますけれども、高齢者になるにつれて、必ずどこかしら体の不具合を訴える人が多いわけでございますが、この薬を飲めば、例えば腰が痛いといえば腰に効きます。最近血圧が高いといえば、これを飲めば血圧が下がりますと、そういったような効能がないにもかかわらず、今、申し上げましたような形で巧みに高齢者が抱えている身体上の問題と申しますか、悩みにつけ込んだ形で電話勧誘販売で健康食品を売りつける、こういったやり口が高齢者をターゲットにしている。
PIO-NETでこういった相談を寄せてきた被害者の年齢を単純に平均いたしましても、70歳代半ばということで、実際に処分する際にいろいろな形でそのお話を聞いたわけでございますけれども、やはり高齢者がターゲットになっていたというようなことを申しておりました。こういった商法が最近は見られるということでございます。褒めあげ商法は、その中では改正特定商取引法の効果が上がっているかなというふうに感じているところでございます。
今の御説明から抜けたもののうち、あらかじめ事務局を通じて委員会から御質問ということでお話がありましたものは、Q3、Q4、一部Q5というところになりますでしょうか。いずれにしましても、今、発生している問題について、今後、特定商取引法の中でどういうことを検討していくのか、あるいは検討していくべきではないか、といったようなことにかかわるものではないかと思います。
具体的に御指摘がございましたのは、イラクあるいはアフガニスタンの通貨を買ってみないかといったような悪質商法にどう対処していくのか。老人ホーム入居権といった、いわゆる特定商取引法の指定権利といったものの見直しを考える必要がないのかどうかといった話。高齢者について、より対策を強化すべきではないかといった話かと思います。
この点につきましては、まず感謝申し上げますのは、消費者委員会でも大変熱心に御議論をいただいておりまして、先般、11月11日には、具体的に「提言」という形で私ども消費者庁長官に宛てて御提言をいただきました。この御提言を出される前に10月の上旬、大阪弁護士会の方からもヒアリングをされたというふうに承知しております。熱心に御議論いただきまして私どもにいろいろ御指示をいただくこと、大変ありがたいというふうに考えております。
提言につきましては、既に御承知かと思いますけれども、先週の水曜日に福嶋長官から定例の記者会見の場で、委員会で御提言があった換金性の乏しい外国通貨の取引、温泉付き有料老人ホームの利用権の勧誘、これにつきましては、現時点でも、消費者安全法に基づいて事業者名公表を伴う注意喚起を行っているという点。こういったすき間事案について、御提言のとおり、後追い的になることがないように体制を整えておく必要があるということで、財産事案のすき間事案に対応する法的仕組みの整備ということで、来年の通常国会に向けて消費者安全法の改正といったことを念頭に置いて、現在、有識者による研究会を開催していますといったことを、先週の記者会見の場でお話をいただいております。
併せて、先般の提言のときに記者会見で、委員長あるいは委員長代理からもお話をいただいたようでございますけれども、特定商取引法の関係で申し上げますと、5年後の見直しといった規定が平成20年の改正の際に法律の附則でついてきております。先般、この場で貴金属等の訪問買取りについての研究の今のところの状況を御説明させていただきました。正直申し上げますと、今はこの点で手一杯というところがあるのも事実でございますけれども、そういったことに甘えることもなく、平成21年12月の施行から5年の期間の中できちんと見直しをせよといった形で、法律の附則でうたわれております。こういった課題につきましても、これをあえて外して検討を進めるわけにもいかないと思います。その中でもどういったことができるのかということにつきまして、しっかり検討は進めていきたいと考えているところでございます。
お時間もありますので、また質疑応答で補足をさせていただくことになるかと思います。ありがとうございました。

○消費者庁片桐表示対策課長 続きまして、施策の80番、131番について御説明を申し上げたいと思います。表示対策課長の片桐でございます。
施策80番、131番は、当課が所管しております景品表示法の関係ということで、資料2-2でございます。施策の80番でございますけれども、景品表示法を厳正に運用するとともに、必要に応じ同法の執行体制の拡充を図りますといった具体的施策のものでございます。
まず、景品表示法の執行状況ということで、厳正に運用するということでございますけれども、調査件数等載っております真ん中のちょっと下の方に、措置命令ということで、こちらは景品表示法に基づく違反行為に対する行政処分ということでございます。ごらんいただきますとおり、平成21年度、22年度、措置命令件数はそれぞれ11件、20件となっております。平成23年度、10月末時点ということで、7か月のものでございますけれども、18件。21年、消費者庁が発足した年でございますけれども、増加傾向にあるということでございます。
措置命令を行った個々の事案でございますけれども、全体的な傾向は、平成22年度におきまして主な事件といたしましては、クーポン共同購入サイトにおけるおせち料理に係る表示の事案、あるいはペニーオークションの事案ということで、インターネットで最近伸長著しい取引関係についての特色ある事件。平成22年度につきましては、これは従来の傾向ですけれども、食品関係のものが11件の措置命令ということで、食品を中心として国民の関心の高い分野における事案を手がけてきているということでございます。
平成23年10月末時点の数字でございますけれども、22年度に引き続きまして、例えば事案といたしましては、大手紳士服メーカーの価格表示の事案ですとか、食品表示の事案というものも相も変わらずございます。こういった消費生活に密接に関係する不当表示事案について、対応してきているといったことでございます。
ページをおめくりいただきますと、景品表示法は、消費者庁、国だけではなく、違反行為に対して都道府県の知事が指示をできる規定になってございます。その関係で、景品表示法に基づく法的措置ということで、各都道府県の指示の状況を年度ごとに一覧表にしたものでございます。ちょっと数字が小さくて恐縮でございます。平成21年、上から3段目のところに都道府県の全部の数字が載っておりますけれども、26件の指示、22年度は36件、23年度は10月末時点ですけれども、10件ということで、各都道府県において違反事件に対して厳正に対処しているということでございます。
景品表示法の執行体制の拡充を図りますということで、資料の3ページをごらんいただきたいと思いますけれども、「景品表示法の執行体制の強化に向けた取組」ということで、機構・定員要求の状況につきまして、簡単に御説明させていただきたいと思います。
まず、機構の方ですけれども、事件担当の上席景品・表示調査官ということで、景品表示法違反被疑情報の処理を専門に行う管理職クラスとして要求をしているということでございます。現状、被疑情報の処理と事件の調査の指揮、措置命令なり行政措置についての執行ということで管理職クラスの者がおりますけれども、情報処理について、特に専門的な管理職クラスを要求することによりまして、全体的に法執行体制を強化したいという趣旨でございます。
定員の方は、景品・表示法調査官、情報管理が2人と、事件担当、調査の担当が6人ということで、これは現在、1年間の時限ということでつけていただいているものでございます。処理体制の拡充、維持、充実ということで、情報管理2名と事件担当・調査担当の6名につきまして、1年後に引き揚げるということではなく、引き続き定員として確保していただくように、1年後の見直しの解除について要求させていただいているということでございます。
企画担当の係長1人は、表示の適正化ということで、個別事案の処理ということは必ずしもございませんけれども、景品表示法の違反事件の未然防止といった観点も含めまして、表示の適正化に関するさまざまな施策について、企画・立案を図ることで増員を要求しているというものでございます。
それから、施策80番に関連して幾つか事前にヒアリングということで伺っております。今の説明で漏れたものといたしましては、特に健康食品についての景品表示法の運用状況についてということでございまして、食品について、平成22年度において11件の措置命令ということでやっております。23年度については、食品関係は現在のところ、3件の措置命令になっております。
健康食品そのものということでございますけれども、実は近々、行政処分ということで公表予定案件がございますけれども、まだ公表前ということで、詳細についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。いずれにしましても、健康食品も含めて食品関係、国民の関心の高い分野について、引き続き厳正に法執行をしてまいりたいと考えているところでございます。
Qの3番目は、健康増進法の関係で執行の実を上げる工夫をしているか。Qの4番目は、薬事法関係で法執行上の工夫や連携ということで、やりにくさなどを感じている点がないかどうかといったことをお尋ねでございます。健康増進法は消費者庁内の関係課との連携、薬事法については省庁またいでの連携ということでございますけれども、端緒段階、調査の過程におきまして、それぞれ関係部局と連絡を密にいたしまして、当課で情報に接したものにつきまして、また、調査の過程におきまして適宜連携をとって、景品表示法で処理することが適当であると思われる事案につきましては、当然、当課で景品表示法に基づいて厳正に対応するということでございます。そうでない、他法なりで処理をすることが適当であると考えられたものにつきましては、関係部局と連絡をとって情報を回付するなどして対応しているということでございます。
医療分野での景表法事件について、状況はどうなっているのかというお尋ね、Q5でございますけれども、問題のある事案につきましては、景品表示法にのっとって厳正に対処していきたいということでございます。業法の関係が、景表法の執行との関係で何か影響があるのかどうかということですけれども、これはケースバイケースで何とも言えませんが、いずれにしましても事実関係に基いて、法に照らして厳正に対応していきたいと考えて執行しているところでございます。
以上、簡単ですけれども、施策80番についてでございました。
引き続きまして、施策131番、公正競争規約について御説明申し上げます。資料で申しますと、2-3でございます。「不当な顧客の誘引を防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択及び事業者間の公正な競争を確保するため、公正競争規約(景品表示法11条に基づく協定、規約)の積極的な活用、円滑な運用が行われるよう引き続き関連団体等を支援します」といったことでございます。
公正競争規約でございますけれども、資料2-3の1ページ目をごらんください。公正競争規約の意義といたしまして、表示、景品提供の適正化を図るということで、消費者の適正な選択を確保するために、景品表示法に基づく業界の自主ルールを、消費者庁長官、公正取引委員会が認定要件に照らして認定しているというものでございます。
認定要件は、不当な顧客の誘引を防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択、事業者間の公正な競争を確保するために適切なものであること等々でございます。
認定に際しましては、消費者団体を含め広く意見を徴して、認定の可否について判断をさせていただいているといった状況にございます。
2の公正競争規約の特徴でございますけれども、「著しく優良」等の一般的な要件につきまして、商品・サービスの内容等を踏まえて具体化をしているということでございます。業界の自主ルールということで、業界のさまざまな商品・サービスの類型、業界ごとの自主的なルールということで、それぞれの商品・サービスの特長を踏まえて、例えば不動産の例が載っておりますけれども、「徒歩○分」は1分80メートルで換算するといった、それぞれの業界の商品・サービスの特長に応じたルールを定めているというものでございます。
次の必要表示事項ということで、商品パッケージやチラシに必ず記載する事項、特定事項の表示基準といったルールを設定し、消費者への情報提供の充実を図っているといった内容でございます。
「表示関係法令の規定を取り込み」ということでございますけれども、景品表示法に限らず、例えば食品関係の規約ですと、JAS法、食品衛生法、その他の法律に基づくそれぞれの業界のルールを規約に取り込んでいるといったことでございます。およそ関連する法律について取り込んでいるということで、規約を遵守することによってこういった関連法令の遵守が図られるといったような関係にございます。
公正マークというのは、これはすべての業種ということではございませんけれども、例えば牛乳とか観光土産品につきまして、この規約を守っているということで公正マークをつけ、消費者の方に信頼していただいて、安心していただいた上で選んでいただけるといったような活動をしているところでございます。
3のところで、協議会の活動でございます。規約の運用団体といたしまして、一般的に公正取引協議会という名称の運用団体が、この規約のルールについてそれぞれの業界において運用しているということでございます。具体的にはマルのところで書いてございますけれども、規約ないし景品表示法の周知・普及、規約についての相談・指導をさせていただいております。それから、試買検査会といったものを実施いたしまして、その業界の関連する商品の試買検査を行うことによって、規約違反に対して対応を図っているということでございます。
全国公正取引協議会連合会というものがございまして、公正取引協議会という各業界のものがございますけれども、連合会に参加いたしておりまして、連合会におきまして各協議会のこういった取組を支援しているといった関係にございます。
1枚めくっていただきまして、「公正競争規約一覧」ということで書かせていただいております。こちらに書いてありますように、平成23年の11月時点におきまして、表示の規約が67件、景品の規約37件ということで、合計104件の公正競争規約が、ここに書いてございますような、食品、酒類をはじめとして、自動車、不動産などさまざまな分野において設定されているということでございます。これらにつきまして、公正取引協議会、規約の運用団体ということですけれども、81の団体において規約の運用を行っている状況にございます。
今年度の取組といたしまして、現在、複数の業界、業界団体等から、新規の規約の設定をしたいということですとか、既存の規約はありますけれども、その時代の状況の変化によって変更の申し出といったような相談が来ております。こういった申し出に対しまして共同認定機関ということで、公正取引委員会もございますけれども、公取委とともに適宜相談に対応しておりまして、規約の設定、変更の手続をとり進めているといった状況にございます。規約の設定・変更に限らず、日常の業務につきまして、規約を運用している各公正取引協議会の担当者と連絡を取り合いまして、規約の適正な運用等について必要な助言等を行っております。
普及啓発ということで、協議会が主催する研修会等に講師を派遣したり、規約の積極的な活用、円滑な運用のために必要な支援ということで、各会合で普及啓発活動に対する支援も行ってきているところでございます。
80番と131番についての説明は以上でございます。

○消費者庁地方協力課担当者 続きまして、124番について御説明いたします。施策番号124番は、「都道府県における法執行強化を図るため、地方からの研修員受入れ、執行研修の充実等を通じた人材強化、都道府県との連絡会議の開催等を通じた国と都道府県の連携などの支援を行います」というものでございます。
資料2-4に基づいて、まず、地方協力課での取組を御紹介いたします。「平成23年度執行研修について」というのが1枚目にございますが、平成23年度において、執行初任者研修と執行専門研修をそれぞれ1回ずつ開催しております。それぞれの対象者は、執行初任者研修については都道府県等における執行業務担当者、いわゆる初任者を対象として行っているものでございまして、特定商取引法・景品表示法の執行実務に必要となる基本的な知識等について研修をしているものでございます。
執行専門研修については9月に1週間かけて実施しております。都道府県・経済産業局等における執行業務担当者を対象としておりまして、特定商取引法や景品表示法の執行に関する具体的な実務知識ということで、より専門性の高い研修内容としているところでございます。
次のページにまいりまして、国と地方との連絡会議の場ということで、平成23年度においても「消費者行政ブロック会議」を全国で6回開催しております。この会議の中で、自治体のそれぞれの消費者行政部局の担当課長にもおいでいただきまして、そのほかにも、各都道府県の県警、地方出先機関ということで経済産業局等の地方機関、そういったところに御出席をいただきながら開催しているものでございます。
今年度のテーマは3つございますけれども、そのうちの1つとして「法執行の強化」を挙げて取り組んでいるところでございます。
こういったブロック会議の場で、各都道府県における具体的な法執行の取組について御紹介いただくとか、それについて県警の方にコメントをいただくとか、そういったことを通じて連携強化の場としているところでございます。
地方協力課からは以上でございます。
続きまして、各執行課から取組について説明を申し上げます。

○消費者庁畑野取引対策課長 では、再び取引対策課から、特定商取引法の執行の場面におきまして、地方自治体あるいは経済産業省の地方経済産業局との関係で、どういうことになっているのかという点。それから、これは前の消費者委員会のときに、特定商取引法は都道府県で処分可能ですけれども、都道府県が処分した後にほかの都道府県で更に悪質行為を繰り広げる、こういった事業者に対してもきちんと対応をとるようにといった御提言もいただいておりますので、その点も念頭に置きまして、1、2分で簡単に紹介させていただきたいと思っております。
今、地方協力課から説明のありました、資料2-4の6ページ、7ページのところだけ御説明をさせていただきます。
6ページは、特定商取引法は処分権者としては消費者庁と経済産業省の各地方経済産業局、都道府県知事になるわけですけれども、消費者庁と都道府県で処分をした例もございますし、都道府県が共同して処分をした例もございます。ここでは、地方経済産業局と都道府県が共同で処分をした例を御紹介しながら、局と都道府県、処分というところが最もハイライトになるわけでございますけれども、日ごろからの協力連携の果実がそういった形で浮かんできているということかと思いますが、6ページに2つ例を掲げさせていただきました。
最初の例は、昨年の12月でございますけれども、住宅リフォームの関係の悪質商法ということで、「ネクスト」「クラフト」という大阪の会社です。これは、近畿経産局と大阪府、兵庫県。大阪府と兵庫県で相当被害が出ていわけですけれども、この3つの処分庁主体が共同して同日付けで処分を行ったという例でございます。
それから、今年の10月ということで、そういった意味ではホットな処分でございますけれども、これもたまたま住宅リフォーム系の会社です。「ユトリホーム」という、会社自身は九州の福岡にあった会社でございますけれども、西日本、中国・四国地方を中心にして営業活動を行っていたということで、中国経済産業局と愛媛県が主体で共同で6か月の処分をしたといったものでございます。
今、地方協力課から紹介がございましたように、執行も含め、各ブロックごとに各都道府県の行政担当者、経済産業局の方にも入っていただきまして連絡会議をやっていますことと並行して、特定商取引法という法律の執行におきましても、各経済産業局がいわばハブとなって、それぞれのエリアの都道府県の方とかなり頻繁に意見交換、情報の交換をしております。執行ネットというものも通じまして、今、お互いにどういった処分を狙って調査をしているのかといったことについても、常日ごろ情報が共有できる形になっております。そういったものの成果がこういう形であらわれてきているのではないかということで、今後ともますます充実した取組を心がけていきたいと思っております。
7ページでございますが、各都道府県で処分をして、そのあと他県や国が処分をした例ということでございます。22年度、23年度の例ということを御指摘いただきましたので、そこに2つの例を掲げさせていただきました。いずれも、ほかのAという県で処分をした後にBという県で処分をした。こういった例を22年度、23年度、見つけることができました。
21年度のところまで例をお示しすることをお許しいただければ、「ビズインターナショナル」というのは連鎖販売取引をやっていた会社ですけれども、21年9月に宮城県で、それから余り間を置かずして消費者庁で処分をしたということでございます。1つの県で処分をした後に、間を置いている例もございますし、すかさずと言っていいぐらいのタイミングで、国あるいは他の県で処分をしたといった例がございます。
この消費者委員会の場でも御議論をしていただいておりますけれども、都道府県で処分した後、ほかの県で同様な悪質商法を繰り広げているといった事例につきましては、基本的には国の方できちんと責任をもって処分をするといったことで取組を行っております。これは、地方消費者行政専門調査会等々の場でいろいろ御議論をいただいて、新しい課題、こういった形での処分を行うということで御示唆をいただき、誠にありがたいというふうに思っております。
私ども処分をする際には、一方で、PIO-NETで苦情・相談件数が相当上がってきているものを中心にして調査に入ることが多いわけですけれども、そういった観点のみならず、都道府県で処分して、その後、ほかの地域に出ていって同様の行為を繰り広げるといった業者であれば、たとえPIO-NET件数的にはそれほど多くはなくても、やはりこういったことを許すわけにはいきません。こういった観点からもちゃんと調査をし、今後、ますます取組を充実してまいりたいというふうに考えているところでございます。

○消費者庁片桐表示対策課長 続きまして、景品表示法における取組について、同じ資料の8ページ以降で、8ページは表紙でございますので、9ページをごらんいただきたいと思います。「景品表示法執行における都道府県との連携強化に向けた取組み」ということでございます。現在の取組ということで書かせていただいておりますが、最初は研修会でございます。先ほどもちょっとお話がございましたけれども、都道府県等で景品表示法の執行実務に従事している職員に対して研修会ということで、景品表示法についてのさまざまな情報について研修を実施しているということでございます。
それから、都道府県担当者からの相談への対応ということで、法令解釈、事業者からの事前相談への対応方針等々書いてございますけれども、事業者から企画の段階で、「景品表示法に触れることがないでしょうか」という点でさまざまな相談が寄せられます。景品表示法の担当ということで、各都道府県において御担当がいらっしゃいますけれども、そういった相談への対応ということで、法令解釈、かなりぎりぎりの事例がございますので、そういった点について御紹介を受けて、それに対応させていただいているといった関係がございます。
都道府県の方は、事件の調査ということで担当していただいているわけでございますけれども、事件の調査に際しての解釈・事実確認上の問題といったことで相談を受けておりまして、こういったものに対して随時対応させていただいているといったことでございます。
景品表示法ブロック会議は、景品表示法の運用の核となる都道府県の御担当の方、私ども消費者庁、各地方で景品表示法の調査、相談対応も委任しております公正取引委員会の各ブロックの地方の担当者の方ということでお集まりいただいて、各ブロックごとに会合をして、意見交換、情報交換、連携を図っているところでございます。本年度につきましても、10月の関東甲信越ブロックの会合を皮切りにいたしまして、順次、各ブロックでこういった形での会合を実施しているところでございます。
今後実施予定ものということで、景品表示法執行ネットワークというのを平成24年度運用開始予定でございます。都道府県、私ども消費者庁、公正取引委員会で、景品表示法違反被疑事件に対する調査をやっております。それぞれがばらばらでやっているということですと、前提として、景品表示法違反事件についての効果的な法執行というところでそごが出てくることもございます。先ほどのブロック会議等で日ごろから連携を図っておりますし、情報交換を密にはいたしておりますけれども、より迅速に効果的に情報交換そのものを行うことによりまして、全体的な法執行について、より効率的に行っていけるようにするという趣旨で、ネットでこういった調査関係の関係者をつないでしまおうということでございます。情報共有を密にすることによって、より効率的な景品表示法の執行を行えるようにネットワークを構築ということで、来年度当初からその運用を開始するべく、現在、システムの構築作業を急いでいるところでございます。こういったネットワークで霞ケ関WANとか地方のWANをつなぎまして、調査事例、相談事例等の情報について共有を図る取組を進めているところでございます。
簡単ではございますけれども、景品表示法関係は以上でございます。

○消費者庁増田食品表示課長 食品表示課の増田でございます。
執行関係、JAS法の関係でございますが、11ページを見ていただきますと、JAS法の執行体制を図式化しております。権限関係については御承知のとおりかと思いますが、基本的にJAS法については、主たる事務所、工場、店舗が1県内にある場合には県が監督することになっています。それが2県以上にまたがる場合は国ということで、国の場合は、消費者庁と農林水産省が共同または単独で指示を行うことになっております。
また、県の事業者につきましては、県が指示・命令まで一貫してやるということで、途中で県の事務が国に引き継がれることはJAS法においてはございません。
連絡体制については、国レベルで消費者庁、警察庁、農林水産省、オブザーバーとして厚生労働省ということで、4省庁における連絡会議を設けて定期的な会合を開いております。それ以外に個別の案件等に絡みまして、法令解釈の確認等、特に農林水産省が人的な面でかなりの部分を持っておりますので、消費者庁と農水省の間で法令解釈の確認等日常的な連絡調整、連携強化を図っているところでございます。
このほかに地方レベルでも、食品という関係も、JAS法以外でも食品衛生法に基づく表示の規制もありますし、任意の記載等については景品表示法に基づく優良誤認に当たるということもございます。そういったことから、関係の担当部局、地方農政事務所等による地方レベルの食品表示監視協議会がつくられておりまして、当方からも必要に応じて出席している状況でございます。この連絡会議につきましては、22年の数字でございますけれども、全体で28回という実績になっております。
以上です。

○消費者庁山崎総務課長 続きまして、基本計画の134番でございます。総務課長の山崎でございます。よろしくお願いいたします。
御指摘いただいている2つの質問がございます。既に行われている点検評価の結果について具体的に報告ということで、お手元に資料2-5を用意させていただいております。各法律の執行状況につきましては各担当課から既に説明しておりますので、私どもが移管された法律について評価するに当たって、具体的な移管の在り方に差異がありますので、先にそれを説明したいと思います。
お手元の資料2-5の4枚目と5枚目をめくっていただきたいのですが、消費者庁に29本の法律が移管されておりまして、大きく分けまして、表示に関する法律、取引に関する法律、安全に関する法律、その他というふうに括らせていただいております。それぞれが専管のものもあれば共管のものもございます。説明の都合上、更にめくっていただきたいのですが、恐縮です、9ページ目でざっと御説明したいのですが、消費者庁は企画・立案の部分で関与をする部分がございます。専管の部分については法の執行まできちっと行っているわけですが、関与の度合いについて、左側に「高」と「低」と赤字で書いてございます。
関与の度合いについては、消費者庁が基準を独自に策定するもの、景品表示法等、表示の事例がそうです。内容については表示の基準を自ら定めております。
それから、消費者庁が基準を策定し共管省庁へ協議するものがございます。これにつきましては、JAS法、食衛法、健康増進法があるわけですが、基準につきまして、政策の業を所管している官庁の政策の立案事務の必要性がございますので、逆に協議という形をとっております。
それから、消費者庁と共管省庁が共同で基準を策定するものがあります。例示的に言いますと、割販法、貸金業法、宅建業法、旅行業法、住宅品質確保法等がございます。これについては、業を所管している省庁での政策の立案の企画の部分と、我々が任としております消費者の権利の保護という部分と均衡するような状況がございます。そういったものについては、共管という形で共同作業でつくるという観点にしております。
共管省庁が基準を策定し消費者庁へ協議するものがございます。そこにございますように、消費生活用製品安全法、有害物質含有家庭用品規制法等がございます。
政策の意図によって、消費者の権利保護の部分との均衡ということで、法律において多少共管の性格が違うものを我々は所管させていただいているということでございます。
戻っていただきたいと思います。先ほど、担当課から御説明させていただいたものは、ほとんど私どもが専管に近い形で法を運用している部分でございます。したがいまして、法の執行という形では、処分案件等について実質的に私どもが立入調査もした上で公表していくというプロセスを踏んでいるものでございます。実は今日、事前に用意がしきれればよかったのですが、法律29本のうち、今、申し上げましたように関与の度合いが違うものがございます。この委員会の場で私どもが御説明させていただいているものは、我々が法執行を担当しているものが多いと思います。そのほか、例えば基準の策定について協議をしたり、例えば貸金業法で言いますと、金融庁が処分をするものについて私どもが協議を受けているものがございますので、お許しいただければ、この場に間に合わなかったので、後ほど整理の紙を配付させていただければと思います。その方が御参考になるのではないかと思います。
その上に立ちまして、私ども政策を評価するに当たって、毎年毎年、消費者庁の政策評価基本計画というのを改定いたしております。それとともに評価の実施計画を毎年度策定しておりまして、それに従って各担当課の施策ごとに評価を年に一度実施しております。その評価に基づきまして、実質的に移管された法律の運用状況がどうであるかとか、体制が十分であるのかとか、執行するに当たっての課題があるのかということで、主に予算面、機構・定員ということで評価させていただいた上で、各年度、それらについて予算要求・要望、もしくは機構・定員要求の方につなげさせていただいているところでございます。
具体的に申し上げますと、平成23年度のとき、現在のものを昨年度要求したわけでございますけれども、法執行の部分で24名の増、身体・生命分野における事故情報対応のために14名の増、法制面ということで、被害者救済制度の法制面において6名の増員要求がされております。そういう意味で、各法の執行の状況を見ながら機構・定員の要求をさせていただいている実態がございます。予算につきましても、今年度の予算要求をする時点においては、各省庁厳しい中で私どもは微増ということで予算が獲得されております。
個別法について移管されているものにつきましては、現状において、まず私ども消費者庁として体制の整備、もしくは地方と消費者庁との執行の在り方について、個別的な課題についてつぶしているというのが実態でございます。
2つ目の質問でございますが、移管にならなかった法律について、今後移管した方がよいと考えられる法令はどうかということでございます。移管になっていない29本以外の法律の議論が消費者庁設立以前にございました。現状においての対応につきましては、移管法律の個別の事案のつぶしということと、関係省庁、他省庁において、まさにサービスを提供する者(事業者)と利用する者、消費者との間の権利義務関係を規定する法律が検討されます。そういう場合には、関係省庁の中で実務的な協議をさせていただいて、実態的に消費者庁がどこまでを関与すべきかについて、消費者の利益の擁護・保護という観点から立案作業に加わっております。
具体的に申し上げると、資料8ページと10ページです。いわゆる「高齢者住まい法」という法律の部分につきまして、基準の策定等について私どもに協議が来ることにさせていただいております。10ページ目につきましては、追い出し屋法案という法案でございますが、これは私どもも一定の関与をする形をとっております。
もう1点、15ページの再生可能エネルギー法案につきましては、買取価格について、価格の決定と期間について定めるときに、関係省庁ということで私どもに協議が来るという形で、消費者の利益保護という観点で関与させていただく。政府全体として、消費者とサービスを提供する事業者との間の新しい規制を策定するときには、私どもが一定の関与をしていくということで臨んでおります。
そのほか、JAS法の関係で言いますと、資料の11ページ目につけておりますが、都道府県が改善措置をした場合、名前の公表をどうするかという点につきまして運用上の改善を求めております。具体的には、今まで不公表だったものにつきまして、指導した場合に自ら消費者に公表をしない場合には、行政庁できちっと公表するようにというふうに改めたものでございます。今、申し上げましたように、現状におきまして、私どもの取組とすればそれに限っているということでございます。
以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方、発言をお願いいたします。
山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 盛り沢山で、時間の制約もございますので、幾つか簡単にお答えいただければと思います。
まず、取引対策課にお聞きしたいのは、経済産業省との関係ですけれども、経済産業省のデータを見ますと、毎年1万件以上の相談が経済産業省の方に来ているようです。特定商取引法関係でも相当件数が来ているようですけれども、その辺の経済産業省との連携といいますか、情報交換はどういうふうになさっているのか。これを教えていただければと思います。
表示対策課につきましては、施策番号131について、質問を2つ、予めエステティックサロンについて、及び蜂蜜の表示偽装問題などについてお聞きしていますが、先ほどお話がなかったので、御説明いただければと思います。
最近、被害相談で表示の関係で多いのがフリーペーパーです。東京都内あるいは都市部には、かなりのところで駅にただでもらえるタウン誌が置いてありますが、その冊子に、あえて言えばいい加減な業者のかなり問題のある表示があって、被害のきっかけになっているようなのです。その辺について何かお気づきの点、あるいは取り組んでおられる点があれば、教えていただければと思います。
特商法については、県のデータを少し詳しめにいただいていますが、景表法の関係でも、県で熱心に取り組んで指示をなさっている県と、全くその辺の動きが見えない県とある。勿論、これは人員の不足、その他あるので、指示が全くなければ問題かというとそうでもないと思いますが、いわゆる取締り、あるいは景品表示法についての対処の県によるレベルの差がかなりあるように思えるものですから、景表法の対応についての平準化についてどういう工夫をなさっているのか。その辺について、わかる範囲で教えていただければと思います。
それと、移管にならなかった法令について今後どうするかというのは、これはまさに消費者委員会でも検討しなければいけないテーマなのかもしれないのですが、一つだけ、具体的にお聞きしますと、お医者さんがどこまで広告できるかということが医療法で決められるようになっています。今、消費者委員会で、具体的に美容医療等についての分野で広告のあり方を検討しています。また、自由診療についての広告なども検討していますが、消費者の利益にかかわる広告の在り方についてですから、消費者庁の目が入ってもいいのかなと思います。その辺、「今、何もやっていません」でしたらそれでもいいし、これから私どもも検討したいところの一つなものですから、差し支えのない範囲で何かあれば教えていただければと思います。

○河上委員長 よろしくお願いします。

○消費者庁畑野取引対策課長 ありがとうございます。御指摘いただいた順番で、まず最初に、消費者庁と経済産業省の消費者相談室との関係の御指摘がございました。定期的に消費者庁と相談室の方でミーティングをさせていただきまして、特に消費者庁で特定商取引法の調査の端緒という形では情報源としては有用に活用させていただいております。詳しくは鈴木企画官からお答えいたします。

○消費者庁鈴木取引対策課企画官 鈴木でございます。よろしくお願いします。
私どもでは、毎月、月1で定期的に、その1か月間に消費者相談室で受けたいわゆるトラブル事例の紹介ということで、意見交換を行っております。
それから、実際に行政処分を行うに当たって、PIO-NETで情報収集をするとともに、案件について個別に、そこは不定期に案件ごとに、相談室で実際に相談を受け付けたペーパーを拝見してそこで意見交換を行うということで、処分の方に反映させていただいております。

○消費者庁片桐表示対策課長 次に、私の方から、何点か御指摘がございましたので、お答えしたいと思います。
初めに、施策131番について再度お尋ねでございまして、大変失礼いたしました。先ほどの説明で詳しくお答え申し上げなかった点について、まずおわびいたします。
エステティック、カイロプラクティック、整体等の業界の規約、通信分野の規約がどうか、どのような状況かというお尋ねでございました。規約については、一般については先ほどお話申し上げたとおりでございまして、規約の設定変更について、必要な支援・指導等を行っているということでございますけれども、現在のところ、御指摘のエステティックとか通信分野も含めて、公正競争規約といったものはございません。消費者の関心、業界の問題意識、こういったものを踏まえまして、あくまで公正競争規約、先ほど申したように業界の自主ルールというものについて、消費者庁、公正取引委員会が認定するといった性格のものでございまして、そういった問題意識を踏まえて、仮に業界の自主ルールということで、業界の方から策定の相談があった場合には、当然、消費者利益の確保という観点から、消費者庁といたしましても積極的に対応していきたいと考えているものでございます。
2つ目でございますけれども、蜂蜜の表示偽装問題で指摘をされていまして、お尋ねといたしましては公正取引協議会ですけれども、事業者側に立っていて、消費者の権利、利益の保護の観点といったものが乏しいのではないかと思われるような状況もあるということでございます。こういった点も踏まえて、公正競争規約の設定、その運用において、消費者の参画、消費者視点での運用というのはどんな工夫をしているのかというお尋ねでございました。これにつきましては、公正競争規約の設定、変更に際して、消費者庁・公正取引委員会で認定に向けての作業を行うわけでございますけれども、認定の過程において認定の可否を判断する際に、パブリックコメントということで規約の変更案、申請案について意見を聴取するといった手続を踏んでおります。
そもそも、これは業界の方で自主的な取組ということでありますけれども、規約案の策定の段階で消費者の意見を聞くという趣旨もあって、表示連絡会というものを開いて、その場で規約案を示して消費者団体等から御意見を賜る。その上で案の策定作業を進める、といった段取りを踏んでいるといった点がございます。
その規約案の新規策定等が、変更のフェーズに限らず日常的な公正競争規約の運用の場面において、消費者なり消費者団体の関与といいますか、参画、こちらにつきましては、各協議会のこれも取組ですけれども、消費者との意見交換を開いたり、いろいろな場面で消費者団体との接触を図って消費者意見の集約を図っているといったことがございます。消費者庁といたしましても、規約の運用ということで業界の自主的に行うものではございますけれども、協議会に対して話をする、消費者目線での規約の運用の重要性について、日ごろからその機会をとらえて指導しているといった状況にございます。
フリーペーパーについてのお尋ねでございます。まず、景品表示法上の表示ということで、いろいろな媒体における広告宣伝が表示の対象になり得るわけですけれども、他方で、事業者制といいますか、自己の供給する商品・サービスについての主体であることが景品表示法の対象になるわけです。ちょっと切り口は違いますが、先だって公表したインターネットにおける景品表示法上の問題、留意事項においても、例えば口コミサイトにおいていろいろな宣伝広告がなされておりますけれども、その内容について、景品表示法の優良誤認、有利誤認とか、不当表示のおそれがあるといったものについては、広告主が景品表示法の責めを負うものであるといった考え方を出しております。
いずれにしましても、こういったフリーペーパーのようなものも含めまして、インターネットも含めていろんな形態のものが出てきておりまして、そういったところにも我々消費者庁の表示対策課といたしまして、アンテナを張って関心を持って見てまいりたい。これは言うまでもないですけれども、当然のことながら、景品表示法に触れるようなことがあれば法にのっとって厳正に対処するわけです。注意喚起という意味でそういった考え方も出しているということですので、切り口は若干違いますけれども、御紹介をさせていただきたいというふうに思います。
長くなって恐縮ですけれども、最後、景表法の県の指示ということで、先ほど表を出しましたけれども、指示件数であるなしということで、各県ごとに対応についてレベル差があるということでございました。これについて平準化というか、これは各都道府県からの御要望もいただいているのですけれども、景品表示法の措置の基準について、消費者庁として明確なガイドラインなり指針といったものを都道府県の担当に示してもらいたいというふうに言われております。景品表示法の違反というのは、優良誤認にしろ有利誤認にしろ、実際のものよりも著しく優良であるという、個別的な定性的な判断になることもあるので、なかなか画一的な基準を示すというのは難しいわけです。
逆に言えば、平準化ということでなかなか文章でかっちりしたものをお示しするのは難しいということもございますが、そういった点を補う意味もあって、先ほどのブロック会議等々で事例を紹介するとか、我々のとった措置について、措置命令なら措置命令ということで、どういう判断で措置レベルになったのかといった点も含めて、各都道府県に御説明を申し上げるといったことでやらせていただいている。また、各都道府県ごとの取組の御判断についても、ブロック会議の場などで御披露いただいておりまして、そういった方法で、各都道府県の間での情報交換といいますか、景品表示法を運用する際に参考にしていただけるような情報交換もとり行っているところでございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

○消費者庁山崎総務課長 最後に一言。大変難しい質問だと思います。一つに、医療の広告の在り方については、これまでも規制緩和してきている経緯はあるわけですけれども、消費者が広告によって知ることによってサービスがそれで評価できるかどうか、選択に資するのかどうかが大事なのだろうと。医療制度そのものの根幹的な話で、受診するための点数制で料金というのはある意味では法定化されているような世界ですから、サービスの質によって料金体系が違う、まさに山口委員がおっしゃるような、自由診療制になった場合には、やはり消費者が選択できるような情報が必要になってくるのでしょう。
現状においてどうであるかというのは、むしろ医療制度の側でもう少し御議論が欲しいということと、消費者がそれを選択するために必要な情報が足りているかどうかということでの検討は、もしかしたら一つあってもよろしいのかとは思いますけれども、私は具体的にそれ以上踏み込んで中で議論をしたことがないので、そこまでにとどめたいと思います。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 公正取引協議会の件につきまして少しお伺いしたいのは、確かに業界の自主ルールですので、それは業界にお任せということなのだろうと思いますけれども、消費者から見ましたときに、公正競争規約を持っている協議会というのは、ある意味良心的な事業者さんたちなのかなというふうに思うのです。そして、消費者団体として、規約の策定、改正または通常の運用につきましても、できるだけ多くの接点を持つように努力をしているところでございますけれども、さまざまな公正取引協議会の接点のところで出てくるのは、要するに公正取引協議会そのものに入らない事業者が非常に多いということなのでございます。そういう事業者が多いということは、そこでむしろ問題が発生することが非常に多くて、そこの指導なり網かけはどこがなさるのだろうかということがふだんから疑問に思っているところでございます。消費者庁の管轄なのか経産省なのか、よくわかりませんけれども、その辺のところで、より良心的な事業者を増やしていくための御努力というのをどんなふうにされているのか、お話を聞かせていただければと思います。

○河上委員長 いかがですか。

○消費者庁片桐表示対策課長 お答えいたします。規約に入っていない、いわゆるアウトサイダーの規約違反なり不適切な表示についてどう対応するかということでございますけれども、端的に言ってしまうと、業界の自主ルールが及ばないので、あとは景品表示法にのっとって、法に触れれば消費者庁が対応することになるわけでございます。他方で、業界の自主ルールではございますけれども、消費者の適正な商品選択に資する観点から消費者庁が認定をしているものでございます。したがって、表示の内容について、消費者の利益を慮って決められているルールということで、これは協議会の活動を通じてですけれども、普及啓発ということで、こういうルールがありますので、こういうルールに従っていくとアウトサイダーも消費者からの信頼を得て商取引、営業を続けていくことができるということになりますので、そういったことでアウトサイダーに対する働きかけといいますか、規約の内容についての周知活動についても積極的に取組むようにということで、各協議会に話をしてきているといった状況にございます。

○河上委員長 ほかによろしいですか。
どうもありがとうございました。法執行の問題はなかなか難しいですけれども、今日伺っている限りでも、非常に頑張っていらっしゃるということで安心いたしました。ただ、現実問題として見ると、高齢者被害もそうですし、不当表示による誤認トラブルなども決して減っていないわけでして、やはりそこはまだまだ頑張らなくてはいけないという気がするわけです。幾つか対応策はあると思いますけれども、例えば特商法の場合でも、行政がやるだけではなく、民事実体法の部分で一般の顧客を支援する方法はないものかということを考えていただきたいということ。
それから、広域でトラブルが生じている場面で、現在の広域連携の仕組みを更に強化すること、今、既にブロック会議とかいろいろなさっているということですけれども、更に情報交換、意見交換をしっかりやっていただいて連携を固めていただきたい。その段階で実際上の規制基準などの判断のスタンダードをつくりづらいということはわかるのですけれども、ばらつきが余り多いようでもまずいので、なぜそれを判断していったのかという判断についての共通了解をできるだけつくれるように心がけていただきたい。また、事件が大きくなってからというのではなくて、芽の段階でむしろ積極的に動いていくという姿勢で臨んでいただければありがたいと思います。
今日は、消費者庁、公正取引委員会におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。
続きまして、消費者教育に関する施策についてですけれども、本日は、関係省庁として、消費者庁、文部科学省、総務省においでいただいております。消費者庁、文部科学省、総務省の順に関連する施策について御説明をいただいて、その後、まとめて質疑を行いたいと思います。
では、消費者庁からお願いいたします。

○消費者庁原嶋消費生活情報課長 それでは、御説明申し上げます。
施策番号87でございますけれども、お手元の資料3-1にございますように、消費者教育推進会議を通じて施策を行っているところでございます。消費者教育推進会議につきましては、先日、本委員会で中間整理の取りまとめについてヒアリングをしていただいたところでございます。そのときにも御説明したのでございますけれども、現在、「体系化」に関する分科会、「学校での教育」に関する分科会、「社会での教育」に関する3つの分科会を年内に合計7回開催することとしておりまして、現在、半分ぐらい経過したところでございます。消費者教育を行う主体の整理につきましては、現在、「体系化」の分科会の中でいろいろ検討しているところでございます。
また、質問でございますけれども、「全国のさまざまな実施主体が持っている教材やノウハウを今後どのように整理していくのか」ということでございます。これに関しましては、3つ目の「社会での教育」の分科会の中で、現在、検討しているところでございまして、消費者教育ポータルサイト、その他の媒体、ツールも通じて、優良な実践事例等を集約整理して普及していくことについてどのような方法があるのか、検討していただいているところでございます。
消費者教育推進会議と文部科学省の消費者教育推進委員会との関係についてということでございますけれども、基本的に消費者庁の行う消費者教育推進会議は、文部科学省にも参加いただきまして、今、関係省庁など広く政府全体としてどのように行っていくのかということを、検討していただく場としてやらせていただいているものでございます。これはまた後で文部科学省から御説明があると思いますが、消費者教育推進委員会は、基本的に文部科学省の中で実施する消費者教育についてのものというふうに理解しているところでございます。
法制についてどう考えるのかということでございますけれども、御承知のように、現在、消費者教育の推進に関する法律につきましては議員立法として検討されているところで、与党である民主党などから説明が求められれば、説明しているところでございます。ただ、基本的に議員立法でございますので、内容について踏み込んだ形でここでコメントすることは、差し控えさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
質問の4番目でございますけれども、「ポータルサイトについて、どのように使われているか検証を聞きたい」ということでございます。現在、消費者教育ポータルサイトはいろいろ運用しているところでございますが、アクセス件数は月に40~50万件でございます。この数字が多いのか少ないのかはいろいろ御意見があるかと思いますが、今後もいろいろな改善をしていきたいと思っておりまして、そうしたことも含めて、今後も検証あるいは工夫を続けていきたいと思っております。
なお、先ほども申し上げましたが、消費者教育推進会議の分科会の3つ目の「社会での教育」の分科会におきまして、ポータルサイトの活用も含めて優良な事例をいかに普及していくか、あるいは、集めて普及していくのかということを御検討いただいているところでございます。そういう御検討をいただいたものを踏まえて、更に改善をしていきたいと考えているところでございます。
施策番号90番でございます。これに関しましては、昨年度は御案内のとおり、文部科学省において、地方公共団体における教育委員会と消費者行政担当部局との連携状況等の調査を実施し、文部科学省の方で実施させていただいた消費者教育フェスタにおいて先進事例を紹介し、連携の推進を促してきたところでございます。引き続き、こうした消費者教育フェスタなどにより、連携の推進を促してまいりたいというふうに考えているところでございます。
消費者庁からは以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。
続きまして、文部科学省から御説明をお願いいたします。

○文部科学省笹井生涯学習政策局男女共同参画学習課長 文部科学省の男女共同参画学習課長の笹井と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
私の方からは、施策番号87番と90番について御説明をさせていただきます。施策番号の87番につきまして、文部科学省の消費者教育推進委員会と消費者庁の消費者教育推進会議との関係でございますとか、具体的な施策への反映について御質問をいただいておりますので、まず、その点に関してでございます。
先ほども原嶋課長からお話がありましたように、消費者教育推進委員会は、私どもの予算事項でございます消費者教育推進事業を実施するために置かれている委員会でございます。文部科学省における消費者教育の内容について、特に社会教育に関して、この消費者教育推進委員会で検討をしていただいているということでございます。
具体的には、私ども文部科学省からの配付資料、資料4-1をごらんいただきたいと思います。1ページに、今年度の消費者教育推進委員会の設置要綱がございます。先ほども申し上げましたように、私どもの予算事項でございます内容について、消費者教育推進委員会で御検討いただくことにしているものでございまして、2ページは委員一覧となっております。
昨年度でございますが、大学及び社会教育における消費者教育の在り方について、指針を策定したところでございます。今年度は、親子で学ぶ消費者教育についてを中心に御検討をいただいているということでございます。
続きまして、施策番号90番でございます。90番につきましては、消費者教育フェスタの先進事例の紹介の後、具体的にどのような推進策を行っているのかということが第1点目。それから、地方公共団体における教育委員会と消費者行政担当部局との連携に課題があるのではないか、これについてどのような働きかけを行っていくのかということの2点、御質問をいただいているところでございます。
資料4-1の3ページをごらんいただきたいと思いますが、先ほども原嶋課長からお話がありましたように、これは平成22年度に文部科学省で調査をした内容でございます。ごらんいただきますとおわかりのように、教育委員会と消費生活センターとの連携、あるいは消費者担当部局との連携というものにつきまして、特に市町村レベルになりますとなかなか連携がうまくいっていないところがございます。こういったことにつきましては、昨年度、消費者教育フェスタでの情報提供もさせていただいたところでございますが、先ほど申し上げました「大学等及び社会教育における消費者教育の指針」の中でも、教育委員会と消費者担当部局との連携は非常に重要であるということも記述しておりまして、働きかけや周知を行っているところでございます。
また、来年度、24年度の概算要求でございますが、資料の4ページをごらんいただきたいと思います。平成24年度につきましては、特に社会教育関係者が、消費者団体や担当部局との連携をどうやって図っていくかについて、消費者教育推進事業の中で対応したいと考えて概算要求をしているところでございます。
また、学校教育につきましては、5ページをごらんいただきたいと思います。文部科学省における消費者教育に関する協議会、あるいは指導事例集の作成ということもございますほか、教育委員会に委託をいたしまして、関係者が連携して、消費者教育推進のための調査研究も行っていきたいと考えているところでございます。
なお、消費者教育フェスタについてでございますが、今年度につきましては2か所で予定をしております。東京のほか地方でも開催して、その場で、連携を図るような事例についても紹介をしていきたいと考えているところでございます。
以上でございます。

○文部科学省平林初等中等教育局教育課程課長 文科省の教育課程課長をしております平林でございます。施策番号の93関連につきまして、お答えしたいと思います。
学校のカリキュラムの基準となる大綱的基準につきまして、学習指導要領と申しまして、それにつきましては資料の6ページ以降のとおり、今年の4月から小学校、来年は中学校、そして高校と、順次実施してまいります。その中で、消費者教育についてもやはり重視しようということで、9ページ目ですが、今回、それぞれ新規の事項も含めて内容を充実しているところでございます。
その上でお答えしたいと思います。まず初めに、消費者教育について、指導力の向上についてのお尋ねでございます。資料をおつけしておりませんけれども、消費者教育を今回充実するということで、先生方の指導力を向上するため、昨年度、今年度にわたりまして、事業として「消費者教育指導者養成講座」というものを実施しているところでございます。事業の実績としては、昨年度14件、今年度は13件となってございます。数が少ないのではないかと思われることもありますが、確認したところ、都道府県の教育委員会だけではなく、知事部局等における研修という形で、大半のところで研修が実施されていると伺ってございます。
また、私どもの指導者養成講座につきましても、アンケートをとることにしております。それを見ますと、研修の内容が参考になったということで、「授業に取り入れたい」とか、「校内研修で広めていきたい」という御意見をいただいているところでございます。
国におきましては、説明会等は勿論開いてございまして、それを受けて各都道府県あるいは市町村におきましても、新しい学習指導要領の趣旨についての説明会を開催いたしまして、特に社会科、家庭科において今回充実しているわけですけれども、そこにおける消費者教育に関する指導力向上に向けた取組が進められる体制になっていると考えております。
2点目でございますが、周知と授業時数についてのお尋ねでございます。新しく指導要領を改訂したということで、その周知をいろいろな場所で図っているところでございますが、毎年、都道府県教育委員会等で社会科、家庭科など消費者教育に関わる教科を指導される指導主事の先生方を集めた連絡協議会というものを開催しております。つい先日も11月半ばに、小・中学校の指導主事の連絡協議会を開催いたしまして、社会科、家庭科などの部会におきまして、消費者教育の推進方策あるいは推進方法について説明するとともに、それぞれの都道府県市のところでの消費者教育の事例を発表していただきまして、そこで情報交換を行ったところでございます。各県あるいは指定都市におきましては、そういった協議会での事例を参考にして消費者教育の推進に努めていくものと考えております。
消費者教育につきましては、社会科、家庭科を中心に、学習指導要領の内容がお手元資料の9ページにございます。これは、小・中・高それぞれ、高校の場合は生徒が選択する科目によって内容に違いはございますけれども、すべての学校において消費者教育に関する授業が実施されるもので、あとはそれぞれの学校の創意工夫において実施していただくということでございます。どの程度消費者教育を実施するかにつきましては、それぞれの学校の実態であるとか、児童・生徒等の発達段階を考慮して適切な教育課程を編成するものと考えているところでございます。
なお、特に小・中学校の家庭科、技術・家庭科の授業時数は変わってはございませんが、中学校社会科におきまして、来年度から全面実施になりますが、その授業時数について増加いたしまして、3年間で295時間から350時間に増加することになっております。資料4-2の中に授業時数を載せてございます。その中で消費者教育につきましては公民的分野で扱うことになりますが、その授業時数につきましても、85時間から100時間に増加する予定にしております。増加した時間数の中で、消費者教育を推進していただければということを考えてございます。
以上です。

○総務省齋藤総合通信基盤局データ通信課長 続きまして、施策番号102番につきまして、こちらは総務省と文科省の連携施策でございます。総務省のデータ通信課長をしております齋藤と申します。資料5に基づいて御説明を申し上げます。
まず、1ページ目。最初の2枚ほどで、e-ネットキャラバンの概要について簡単に御説明申し上げた後、質問1と2については3ページ目、4ページ目で御回答したいと思います。
e-ネットキャラバンの概要ですけれども、子どもたちのインターネットの安全な利用を目的に、インターネットの「影」の部分、ネットいじめ、携帯依存とか、ネット詐欺、出会い系、いろいろな問題がございます。それら「影」の部分の存在も理解して適切に対応できるための講座を、情報通信分野の企業あるいは団体に総務省と文科省が協力して開催しているところでございます。各企業あるいは団体の方々は、職員を無償で講師に派遣等していただいております。CSR活動として参画していただいているところでございます。
講座の対象者は、従来、保護者、教職員等を対象としてきたのですが、今年度からは児童生徒も対象にしております。協力団体は通信事業者を中心に、お手元の資料にございますように、全体で273の者・団体に御協力をいただいているところであります。講師としましては、認定講師として1,588名を数えております。講演内容は、子どもに迫るネット危機の実態と、その対策方法等につきまして、ネット安全教育を行うこととしております。平成18年4月から実施しておりまして、これまでのところ、合計4,418回の開催実績がございます。
続いて2ページ目、e-ネットキャラバンの推進体制でございます。保護者、教職員、児童生徒等を対象としておりますが、財団法人のマルチメディア振興センター(FMMC)が主体となりまして講座の受講希望を受け付けます。それに対して講師の派遣を行うということで、通信関係団体、総務省及び文科省等で構成されるe-ネットキャラバン協議会というものを組織して、総務省、文科省がそちらに講師を派遣したり、運営に関しての協力をしているところでございます。
国の役割としましては、講師を派遣したり、講師の講習会を開催したり、講師派遣の調整事務を行ったり、あるいは、こういった事業が行われているということにつきまして、自治体や学校教育関係者の方々に周知を行っているところでございます。これまでの受講者数は、50万人を超えているところでございます。
御質問の1つ目、児童生徒向けの講座の概要と実施状況です。まず、概要につきましては、3ページにございますように、講座の受講者の方々のニーズに基づきまして講座を行っているところでございます。これまで保護者、教職員向けに作成していたテキストに加えて、小中学生向け、中高生向けの教材も作成しております。サンプルとして資料3ページに2枚、これは小・中学生向けのスライドの例でございます。そして、学校からの派遣要請に応じて出前講座的に実施しているところであります。
特徴といたしまして、児童生徒の方々の集中力がもたないということで、資料にございますように、講座の時間は学年×5~10分ぐらいが目安とされています。6年生であれば30分~1時間ぐらいが限度ということでございます。集中力を欠かさないように、質問を多くしたり、事例をたくさん出すといった工夫をしているところでございます。
そのほか講座の実施前には、あらかじめ学校から必要な情報を集めておくことが重要で、その学校の生徒さんたちの携帯の所持率とか、校則はどうなっているのかとか、過去にどういった事例があったのかとか、NGワードは何ですかとか、そういったものを聞いておきます。また、プレゼンに当たっては、大切なことから話すとか、スライドの文字は小さくするとか、こういったところに気を遣っているようでございます。
次のページに実施状況を挙げております。御質問の児童生徒向けの講座の実施状況ですが、2ポツの下の段にあります。今年度からの実施ですので、統計上、4月から10月までのものしか記載しておりませんが、264件です。上段が保護者・教職員向けですので、従来行ってまいりました保護者・教職員向けの講座よりも、児童生徒向けの方が多く希望されているというところでございます。
2つ目の御質問、保護者・教職員を対象とした啓発講座実施から見える課題とその対策例ということでございます。まず、こういった実施講座につきましてアンケートを行っておりまして、その結果としましては、受講者の9割以上から「インターネットの安全な利用に役立つ」という回答をいただいております。
課題については、実施主体のFMMCに聞きましたところ、実際に稼働している講師が不足していて、その手配が大変だということであります。そこで講師講習会というものを実施しまして、講師に就いていただける方を増やす努力をしたり、通信事業者の方々等民間団体に、是非講師の協力をお願いしたいという要請を行っているところであります。
もう一つの課題といたしましては、講座の中に最新の事例を取り込むことが難しいということであります。この点につきましても、FMMCからメルマガを2週間に1回、講師の方々向けに配信しておりまして、最新の事件、各種のアンケート、調査結果などを御案内しているということでございます。あるいは講座テキストについても、逐次アップデートを図っているという状況でございます。
私からは以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いします。
川戸委員、どうぞ。

○川戸委員 総務省のe-ネットキャラバンですか、こういう試みは本当にすばらしいと思いますので、もっと民間団体の協力要請なども行って、あとはPRで、こういうことをやりたいという申し込みがあったら、是非これは広げていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
もう一つ、教育委員会と消費生活センターとの連携についてですけれども、連携数が非常に少ないと。これは原因はどういうことなのか。また、これを解消するために一体どういう施策をなさっているのか。その辺のことをお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

○文部科学省笹井生涯学習政策局男女共同参画学習課長 原因につきましては、いろいろあろうかと思います。もともと教育委員会で行っている社会教育ですと、公民館などの社会教育施設でのいろいろな取組の中で、消費者教育に実際に取り組んでいらっしゃる市町村も多いのですが、片や、消費者部局で同じように消費者教育に取り組まれているところもございます。そのような点で連携が図れていないといいますか、消費者関係についてはそちらにお願いをすると。社会教育の方は、人手や予算の面などで限られておりますので、そのようなところもあるのではないかというふうに思われます。

○川戸委員 任せてしまうということですね。

○文部科学省笹井生涯学習政策局男女共同参画学習課長 はい。

○川戸委員 ただ、やはりどこかで連携をとった方がうまくいく。逆に言えば、任せた方がいいとか、そういう意味での指導とか、うまいやり方とか、そういうことは国として指導はなさっているのですか。

○文部科学省笹井生涯学習政策局男女共同参画学習課長 まさに今、消費者教育推進委員会で、例えば今年度は「親子で学ぶ」というコンセプトでやっており、特に保護者の方に対して、教育委員会が社会教育で行うときにどのようなアプローチ方法があるのかということについて、これは消費者担当部局の方などにも入っていただいて、どのように連携を図っていくかということを検討しているところでございます。それらの結果についてもまた普及を図っていきたいと思っております。

○川戸委員 もう一つ、いろいろなことを自主性に任せてということをおっしゃいました。それは、学校は学校としてのやり方があるでしょうけれども、そのときにもう少し推進事業か何かでプッシュするとか、何かそういうことは考えていらっしゃいますか。

○文部科学省笹井生涯学習政策局男女共同参画学習課長 例えば、先ほど御紹介いたしました消費者教育フェスタですとか、そういうところで、先進事例といいますか、いい事例を御紹介して、そういうものを参考にしていただくという取組を行っているところでございます。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。

○稲継委員 e-ネットキャラバンについてお尋ねしたいのですけれども、件数の推移を見ますと、平成20年度は1,208件ありまして、その後、減少の一途で、23年度も保護者・教職員だけを対象にすると、このペースでいくと400件程度になると思います。この減少の原因をどのようにとらえておられて、どのように対策を考えておられるのかを教えてください。

○総務省齋藤総合通信基盤局データ通信課長 この事業は当初3年間の予定ということでスタートしたのですが、事業自体が非常に好評であったということで、その結果としまして、改めて4年目、5年目、引き続きやっていますということを周知したのですが、ただ、前の段階で、3年間で終わってしまうのではないかという認識があったので、ちょっと減ってしまったのではないかなというふうに思っております。それに対しましては、文科省と総務省で連名で文書を各自治体にも出しまして、こういったことを引き続きやっていますという周知を図っているところでございます。
今年度は、10月までの数を載せておりますが、1月までの今の申込件数で約640件ですので、3月までには700~800件ぐらいはいくのではないかというふうに思っております。

○河上委員長 吉田委員、どうぞ。

○吉田委員 消費者市民社会の実現のために、この消費者教育というのは肝になる施策ではないかというふうに思っておりまして、今まで余り日の当たらないところで細々とやっていた消費者教育がこういうふうに推進されているのは、非常にうれしく思っております。
一つ、消費者庁にお伺いしたいのですけれども、私たちが市で消費者教育をやっていたときに、学校の子どもたちと高齢者は比較的やりやすかったのですが、稼働年齢層に対する消費者教育啓発がなかなかできずに、難しさを感じていました。ある種戦略的なところですが、例えば学校教育でがっちりやるのだから、稼働年齢層はそんなにやらなくても、薄くても大丈夫だろうとか、稼働年齢者層に対する教育啓発に対する戦略のようなお考えがあれば、教えていただければというふうに思います。

○消費者庁原嶋消費生活情報課長 消費者教育につきましては、先ほど申し上げましたように、消費者教育推進会議で3つの分科会に分けて御検討をいただいている中で、「体系化」というところが一つの分科会ということで御検討をいただいているところでございます。その中では、おっしゃられましたように、若い人、子ども、高齢者ということもありますが、成年期も含めて、それぞれの段階においてどういうことを行うべきかということも御検討いただいているところでございます。確かに稼働年齢の方に対して弱い面があるのではないかという気はしておりますので、今後どういうふうにしていくのか、御検討を踏まえた上で、また検討してまいりたいというふうに思っております。

○吉田委員 ありがとうございます。そこに課題があるのではないかと私も思っていましたので、是非、その辺を加味していただければありがたいと思います。

○河上委員長 ほかによろしいですか。
私も実は地方の消費者委員会にいたときに、教育委員会の方を呼んで話をしたいと言ったのですが、なかなか来てくれなかったり、あるいはいろいろ言っても、それはPTAからの要望もあって、教育委員会としては消費者教育なんかに時間はなかなか割けないんです、というような話をしきりにされた時代がありました。状況は少しずつ変わっているのかなとは思いますけれども、なかなかメンタリティが、教育の現場にいる人の子どもたちに対する消費者教育というのが、まさに教育の理念である子どもの「生きる力」の基本に「消費者力」というのがあることを、きちんと理解してくれていないのではないかという気がしてならないわけです。
さまざまな機会に申し上げているのですけれども、消費者教育というのは、今後の消費者の権利擁護にとって中核となる施策であると認識しておりますので、今後とも文部科学省さんも力を合わせて頑張っていただければと思います。今日はどうもありがとうございました。

≪3.閉会≫

○河上委員長 本日の議題はすべて終了いたしましたけれども、最後に、事務局から今後の予定等について、御説明をお願いいたします。

○原事務局長 長時間、どうもありがとうございました。
次回の委員会につきましては、日程が決まり次第、内容も含めてですけれども、追って御連絡をしたいと思います。
事務局からは以上です。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)