第60回 消費者委員会 議事録

日時

2011年7月1日(金)15:00~17:13

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 松本委員長、池田委員、川戸委員、佐野委員、
 下谷内委員、田島委員、日和佐委員、山口委員
【説明者】
 消費者庁  福嶋長官
林地方協力課長
 独立行政法人国民生活センター  野々山理事長
山形理事
【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.国民生活センターの在り方について
○説明者: 消費者庁 福嶋長官、林地方協力課長
独立行政法人国民生活センター 野々山理事長、山形理事
3.閉 会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:7KB)
【資料1】 国民生活センターの在り方関連資料 【資料2】 消費者基本計画修正案(国セン見直し)(消費者庁提出資料)(PDF形式:10KB)
【資料3】 国民生活センターの在り方見直しについて(中村委員提出資料)(PDF形式:15KB)
【参考資料1】 国民生活センターの在り方関連資料 【追加資料】 国民生活センター情報提供「貴金属等の買い取りサービス」に関する消費者庁との調整経緯(概要)(PDF形式:11KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、時間がまいりましたので、始めさせていただきたいと思います。
本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第60回)」の会合を開催いたします。よろしくお願いいたします。

≪2.国民生活センターの在り方について≫

○松本委員長 それでは、議題に入ります。
本日の議題は、「国民生活センターの在り方について」です。国民生活センターの在り方につきましては、これまで、第57回の消費者委員会におきまして、「国民生活センターの在り方の見直しに係るタスクフォース中間整理」についての意見を取りまとめ、第58回及び第59回の委員会においては、消費者庁、国民生活センターにおいでいただき議論を行ったところです。本日も、引き続き、消費者庁から福嶋長官、国民生活センターから野々山理事長においでいただいておりますので、議論を行いたいと思います。
前回の第59回委員会におきましては、タスクフォースの中間整理についての消費者委員会の意見で示された懸念事項やこれに関連する確認事項に関しまして、消費者庁から御説明をいただきました。本日は、この消費者庁からの御説明につきまして、これまでの議論を踏まえた当委員会としての考え方を事前にまとめてございますので、山口委員から御説明をお願いいたします。

○山口委員 今、委員長がお話ししましたように、前回、直前に庁から考え方が示されまして、口頭で林課長から説明があった部分もございますが、消費者委員会としての意見を十分に尽くせませんでしたので、資料1-1及び1-2という形で委員会としての考え方をまとめました。これは議論の前提になる重要なところだと思いますので、かいつまんで御説明をさせていただきたいと思います。
まず、資料1-1、「情報提供」の重複等についての論点でございます。一番右側の欄に沿って説明させていただきます。
まず、消費者庁による一般的な情報提供を否定するものではありません。ただ、それが消費者庁の最も重要かつ多様な事務の一つであるかのように考えられている点については、議論の余地があるのではないかと考えております。国民生活センターに情報提供を行わせるという役割分担もあり得るのではないでしょうか。
なお、委員会としては、国民生活センターに対して個別事案の情報提供を「させる」ことも、消費者庁としての基本的政策の「推進」にあたるのではないかと考えられると思っております。
また、消費者庁のそのような情報提供と、国民生活センターの情報提供が「法制的に重なっている」か否かについては、委員会としては、法制的に必然・不可避的に重複するとは考えておりません。
なお、「この点は、6月9日の消費者委員会事務局長から消費者庁長官宛ての文書においても認められているところ」、こういう消費者庁側の文書に記述がございました。しかしながら、委員会事務局は、消費者庁の考え方について「認めた」ということではございませんで、消費者庁の見解について委員の確認が得られるよう努めるということを、当該書面において明確にしたものであります。これにつきましては58回の委員会の議論の中でも委員としてのさまざまな意見を申し述べさせていただいているところでございまして、この点については、やや誤導めいた記述があるのではないかと考えております。
58回の消費者委員会では、情報提供を求める消費者庁の権限につきまして、消費者安全法14条1項を挙げておりまして、その次の59回では、同項の規定に基づく事業者に対する資料提出要求について、消費者庁から104件行使したという御報告がありました。
ただ、これは事業者に対する資料提出要求として104件の行使がなされたのかどうか、この点はあいまいな表現だったと思います。いずれにしても、この104件のうち、財産事案について、いわゆる悪質な販売方法などを用いている事業者にこの権限を行使し、その結果実際に注意喚起につながったものはないと聞いておりますが、あるのでしょうか。
また、消費者安全法14条1項の規定は、事業者は消費者庁からの当該規定の求めに対応しなくとも、法律上は何らの不利益処分もないために、注意喚起にあたって、いわゆる悪質事業者に対して情報提供を求める権限として有効に機能するとは考えがたいと思いますが、いかがでしょうか。
2枚目に移ります。後述するとおり、消費者庁による情報発信は、他省庁との調整が不可避であると考えます。このため従来の国民生活センターよりも情報提供が遅れるのは不可避であると考えておりますが、いかがでしょうか。
一元化した場合、消費者庁による情報提供が、これまでよりも内容が充実することは期待できますけれども、これまでの国民生活センター・消費者庁による二元的な情報提供よりも、消費者庁による一元的な情報提供の方が、内容・スピードともに充実するのかという点につきましては、再三指摘しておりますように、過去の実例を見てもなお大きな疑問がありまして、この点については十分検討がなされていないのではないかと言わざるを得ません。
また、「情報発信機能の一元化により調査権限、執行権限も含めて消費者庁が有するツールを事案に応じて選択的に行使していくことが可能となり」、こう記載されております。しかし、こうした調査権限・執行権限を情報発信のために一体的に利用することによって、執行機能の中立性・公平性が阻害されるとともに、情報発信も一方で遅れる可能性が大きく、この点については十分な配慮が必要であると思います。事業者もこの点を懸念していることについて、具体的な説明がきちんとなされていないと考えております。
また,一元化によらずとも、国民生活センターの相談部署は、PIO-Alertなどを通じて、消費者庁に対して悪質事業者の情報を迅速に提供しておりまして、このような連携を更に強化することによって、国センが収集・分析した情報を消費者庁が有効活用することが、十分可能ではないかと思いますが、これではなぜだめなのか、なお理解できません。
更に、「現場のさまざまな相談情報を生かす」という観点からは、国民生活センターの直接相談機能(またはこれに代わる機能)の一層の拡充が必要と思われるところですけれども、現状ではそのような計画は示されておりませんので、矛盾するのではないかと心配しております。
消費者基本法2条に定められている、もろもろの基本理念にのっとった事務は、非常に広範かつ抽象的でありまして、これで読み込める事務をすべて消費者庁自らが行うべきと解することはできないのではないでしょうか。むしろ国民生活センターにやらせることで十分足りる部分があるのではないかと思われます。
このうち、何を消費者庁自らが行うべきかという判断は、まさに政策判断ですが、この事務として読み込めるもののうち、国民生活センターに「実施させる」ことも、消費者庁の事務に含まれると理解しております。
なお、これまで国民生活センターは、消費者団体や弁護士などへの情報開示について不十分ではないかという批判がございました。これが消費者庁に情報管理が一元化された場合、これまで以上に情報開示が過度に慎重になるのではないかと懸念しております。
次に3ページですが、あっせんと法執行についての関係です。あっせんとは何かということについては、相互に考え方を提示しているところであります。法執行についての関係で述べます。あっせんにあたって、「自分の意見を述べて」「あっせん案を提示」するためには、関係法令の規定を踏まえて、両者が納得できる案を示さなければ、有効なあっせんを行うことは難しく、その点では法律の規定を個別事案に適用する側面は否定できないはずです。
所管法令以外の事案においては、個別事案の解決であっても、業界全体に影響を及ぼす可能性もあり、所管省庁との間で何らかの調整が必要になる局面が発生することは避けられないのではないかと考えます。
行政処分を行うことができる省庁から、「意見」や「あっせん案」が示されれば、事業者側は当然に重く受けとめ、行政指導と見られる可能性もあります。タスクフォースなどで事業者団体から実際にその懸念が示されております。この懸念を解消するための工夫がなお必要と考えますが、いかがでしょうか。
また、そもそも、役所の行政指導が効力を持つのは、強力な執行権限を背景としたものであるということをどう考えておられるのか。この点も気になります。
次に4ページですが、あっせん・ADR・商品テスト(苦情処理テスト)の関連であります。委員会の6月10日の意見では、「行政庁の立場で、消費者側に軸足を置いたあっせんやADRを実施することが可能か」と述べておりますが、まさに、消費者が情報の質・量・交渉力の格差にかんがみて、不利な立場にあることを踏まえて、さまざまな便宜を供与している実態がこれから変わってしまうのではないかと懸念している次第であります。
なお、前回も少し議論がありましたけれども、国土交通省の中央建設工事紛争審査会、あるいは文化庁の著作権に係るあっせんに関しましても、これは基本的には事業者同士の紛争が中心であると理解します。
とりわけ、中央建設工事紛争審査会につきましては、林課長からも御説明がありました。、しかしながら、なおこれは関係の法令をベースとした契約・制度の中でのあっせんでありまして、国民生活センターが行うような広範囲な、あるいは多種多様なトラブルを対象とする制度ではないということで、単純比較はできないのではないかと思っております。
なお、国土交通省の審査会におきましては、契約関係の問題については、国土交通省は業務停止命令などの職務をほとんど行っていないのが実態だと理解しております。特商法や景品表示法などで厳正な処分を行っている消費者庁とは、これもまた単純な比較はできないのではないかと考えられますが、いかがでしょうか。
これらの法執行部署と施設等機関の間の相互の情報の取り扱いなど、一定のルールを設けることを検討しているという消費者庁の説明でありましたけれども、具体的にどのようなルールを検討されるのか。これは御説明を求めたいと思います。
次に、5ページの情報発信につきまして、幾つかございます。これまでの事例を見る限り、情報発信が一元化によって早くなるか否かは定かでない。むしろ遅くなるのではないかと憂慮しております。具体的に幾つかの事例を申し述べさせていただきましたので、是非その具体的な事案について、消費者庁あるいは国民生活センターから御説明をいただければと思います。
また、国民生活センターの公表事案のすべてについて「事前の調整」を行う必要があるのかという点については、なお疑問を感じております。
なお、今日、資料として添付させていただいておりますが、参考資料1-4という資料がございます。これは前回提示した資料ですが、今回も配布資料に入っています。これを見ますと、国民生活センターと消費者庁が、同じ日に注意喚起を実施しているケースがかなりございます。茶色で色塗りしている部分がそれです。

○原事務局長 傍聴の方もいらっしゃいますので、クリップで参考資料をとめておりますけれども、その中の参考資料1-4としている部分です。表になっています。

○山口委員 これにつきましては、あえて調整してやられたということかと思いますが、2つの組織が同時にやれることで効果的な面もあるかもしれませんが、むしろ調整なしでもっと早く、国民生活センターあるいは消費者庁が注意喚起、被害の抑止に期することができたのではないかと思われます。この点についても、今後、一元化されると、すべてがこういう事態になってしまった場合にどうなのだろうか、ということを心配しております。
次に、国家行政組織法2条2項では、「国の行政機関は、内閣府の統括の下に、その政策について自ら評価し、企画及び立案を行い、並びに国の行政機関相互の調整を図るとともに、その相互の連絡を図り、すべて、一体として、行政機能を発揮するようにしなければならない。内閣府との政策についての調整及び連絡についても、同様とする」、こう規定されております。
この「内閣府一体の原則」を踏まえますと、消費者庁として情報発信を行う場合に、他省庁も関係する内容であれば、他省庁との調整を行って、その了解を得た上で、対外的な文書を発することは、行政機関の業務の進め方として当然のことではないかと思われます。
したがいまして、国民生活センターが消費者庁の中に入ってしまいますと、このような他省庁との調整が正式に行われることになってしまいまして、情報発信が遅れることは不可避ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
次に、6ページのこれまでの行政改革との整合性の関係であります。消費者庁による一般的な情報提供を否定するものではございません。ただ、それが「消費者庁の最も重要(かつ多様な)事務」であるか否かにつきましては、先ほども述べましたが、議論の余地があると考えております。
5つ目のポツですが、また、国民生活センターの機能と消費者庁の権限が結びつくことや、国民生活センターが行政の一部局となることによって生じるさまざまな懸念に、やはり前提として対応することが求められると思いますが、いかがでしょうか。
下の2つのポツについてコメントいたします。
一般論として、独立行政法人の予算に厳しい削減が課されているところは認識しております。しかし、一元化した方が、一元化しないよりも、現行の国民生活センターの関連事務の予算が確保される、という説明にはなっておりません。その論証は難しいのではないでしょうか。むしろ、一元化した後に、近い将来、大幅に削減されてしまうことについての憂慮、これは否定しがたいものがございます。
なお、過去に独立行政法人消防研究所が施設等機関である消防大学校の下部機関に統合された際は、「緊急事態対応等公務員が担うことが真に必要な業務について厳しく精査の上、その業務を担う要員に限ることとし、移行する要員数については5割を目途に削減を行う」ということがありました。こういうことを考えますと、一元化したから充実ということについては、本当に大丈夫なのかということについて心配しております。
最後に、7ページでありますが、独立行政法人国民生活センターの在り方の見直しにあたっても、政府における新しい「公」の姿の検討を踏まえた上で、行政庁への一元化と比較検討すべきではないかと思われます。
ここに、文書は配られませんでしたけれども、非常に重要な資料がございますので、コメントさせていただきたいと思います。実は昨年の4月28日に、評判になりました、行政刷新会議ワーキンググループの事業仕分けの議論がございました。当時、野々山理事長は理事長になったばかりでした。まだ福嶋長官ではなく、前の内田長官と田中次長のときでした。田中次長が御出席なさって発言しております。
この中で、実はこういうやり取りがあります。当時の仕分け担当の枝野大臣がこういう質問をしました。「やっていないならちょうどいいんですけど、国民生活センターにお尋ねしますが、従来、消費者庁ができるまで、消費者に対する広報啓発は国センでやってきたんです。だから、金が足りているかどうかというのは別としても、国民生活センターとしては、消費者に対しての広報啓発は基本的には能力・役割としてはできるという理解でいいですか」というふうに枝野さんが質問されたところで、国民生活センター、恐らくこれは野々山理事長だと思いますが「そうです」と答えられました。
それを踏まえて当時の枝野大臣は、「だとしたら、消費者庁がやるのは補完的業務であるということです。つまり、消費者庁が今後、国センがやっていることと同じようなことをやったら、それはだめですよという話になります。そういう整理でいいですか」というふうに聞かれまして、当時の田中次長が「結構です」と答えられているんですよ。
まさに今、消費者委員会として、なぜ、何でもかんでも国センではなくて消費者庁がやらないといけないのか。特に広報等について、国センができるなら国センにやらせればいいではないかという点について、事業仕分けの中ではまさに去年の4月の段階でこういう議論があるわけです。これがなぜ急に、庁がやらなければいけないというふうに変わるのかについては、なお説明が必要ではないかと思います。
資料1-2につきましては、アプローチが違う形で述べておりますが、ほとんど重複いたしますので省略させていただきますけれども、6ページの部分だけ簡単にコメントさせていただきます。
確認事項マル1で、「一元化することに伴う組織運営上の効率性」という点ですが、6ページの右側に委員会の考え方を少し述べさせていただいております。国民生活センターの人材・ノウハウの活用のために、施設等機関や内部部局に配属される国民生活センターの職員のキャリアアップについては、どのように考えているのかという点です。
過去に環境庁、金融庁などが設立された際には、民間等からのプロパー職員の積極的な採用や、他省庁の人材をノーリターンで獲得した例もあると聞いております。勿論、先般の原口大臣のときに、厳しい定員制限がかかってきていることは認識しておりますけれども、それでもなお金融庁などの例を見ますと、前回の林課長の説明にとらわれることなく、特段の措置を検討してもいいのではないかと思われます。
また、「プロパー職員の採用・国民生活センターとの更なる人事交流・国民生活センターとの連携強化」では、諸課題が解決できないことの十分な説明が未だなされていないというふうに考えます。
以上、委員会として緊急に考え方をまとめてみましたので、是非このような点をたたき台にして議論が深められ、前向きの議論になればと思います。よろしくお願いします。

○松本委員長 ありがとうございました。
なお、本日欠席されておられます中村委員長代理より、資料3のとおりの意見書が提出されておりますので、これにつきまして、事務局から紹介をお願いいたします。

○原事務局長 本日、中村委員は御欠席ですが、是非意見は述べたいということで文書で提出されております。代読いたしますけれども、語尾も含めて言葉を補わせていただきます点は御了承ください。

(「資料3」代読)

以上です。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、先ほど山口委員から説明をいただきました当委員会の考え方につきまして、どうぞ、消費者庁としての考え方、御意見等の御説明をお願いいたします。

○消費者庁福嶋長官 これ全体についてきちっとお答えするというのは、今、やるというのは、まさかそういうことを言われているわけではないですね。

○松本委員長 勿論、そうです。

○消費者庁福嶋長官 前回、6月24日ですか、消費者委員会から指摘された点について消費者庁でお答えをこの場でさせていただいたわけです。6月24日のものを検討されて、今日、示されたわけですから、今日示されたものを、今、答えろというのはそれはちょっと無理だと思います。ただ、ではこれで終わって来週、という話ではもったいない話なので、幾つかの点でお話しできるところはお話をして、深めた上で、また改めてトータルな考え方をいずれかの方法で示していきたいと思っております。ということで、幾つかの点になりますけれども、まず、私の方からお話をして、また課長や国民生活センターの方からもあるかと思いますので、そういった形で述べさせていただきたいと思います。
一つは、消費者庁が法律上、全部やらなければいけないか、国民生活センターにやらせることができるのではないかと。独法はそういう構造で仕事をしているわけですね。独法の仕事の大宗、多くの部分は、消費者庁の仕事を実施の部分で担っているという理解をしています。だから、それができないということはあり得ないわけです、独法の存在自体がなくなってしまいますので。だから、法律上、消費者庁が全部やらなくてはいけない、そういう義務があるということを申し上げているのでは最初からないわけです。ただ、重なりますよと。まさに判断で、どういう体制でやるのが消費者にとって一番いいのかという議論をしているつもりです。法律上、消費者庁が全部やらなければいけないという話をしているわけではない、ということです。
それから、別にここで論争するとか、またこれで、ああでもないこうでもない、言った言わないの話にはしたくないと思いますけれども、委員会の事務局が6月9日に出された文書で、これは「認めた」ということではないというお話ですが、この文書、もともとというのは、消費者委員会と消費者庁、いろいろ意見が食い違っているけれども、共通理解部分をちゃんとつくろうという趣旨で、この文章の作成はそもそもあったと理解をしています。
だから、事務局と消費者庁の連名の文書であった過程もあります、作成過程では。連名でいいという話になろうとしていたのですけれども、連名の文章の場合は公表できない。少なくとも当面の公表はできないという消費者委員会事務局からのお話だったので、別に消費者庁も、どこに公表したいとかいう予定があるわけではないですが、公表しない、何か内密の文書みたいなものになるのはよくないという判断をして、それでは公表できる形ということで最終的な形になったと理解しています。勿論、事務局は最終決定にはならないので、消費者委員会の委員の皆さんにお話をしてという手続が必要だと。それは消費者庁も十分理解するという形で定まった文章という理解をしています。
それから、一気に飛ぶのですが、具体的な事例でお話をした方がいいという提起もあって、私もそのとおりだと思いますので、今日、資料としては貴金属の買い取りサービスの資料だけ出させていただいているんですかね。まだですか。

○原事務局長 今日は中村委員が御欠席なので、次の場がいいだろうということで、そういう御案内だと思います。

○消費者庁福嶋長官 では、また議論の中でお話をします。

○齋藤審議官 今日は使わないでくれという御要望でしたが、消費者庁の方で。

○消費者庁福嶋長官 いや、別に使って構いませんけれども。

○齋藤審議官 でしたら、今、用意はしていないんです。

○消費者庁福嶋長官 そうですか。では、ほかの事例もありますので、別に配付はいいです。貴金属の買い取りサービス。情報発信が遅れるか、遅れないかと、一つポイントになっていますので、そのスピードのことで言えば、国民生活センターの当初の公表予定日と実際の公表予定日が、貴金属の買い取りサービスについて予定したものと実際が同日だということで、遅れたということはないということを確認しています。内容についていろいろ議論をして、情報発信をよりいいものにしていかなければいけないので、いいものになったのかどうかということが問われるのだろうと思います。消費者庁が何か言って、あるいは、各省庁とも国民生活センターは調整をされていますから、その中で情報発信が消費者にとって悪くなったら、私はおかしいと思うんですね。調整することによって、よりいいものにしないといけないだろうと思います。その基準で判断をする必要があるかなと思っています。
では、全部調整する必要があるのかという御指摘は、私はごもっともな部分があると思っていて、今までの言葉では、手口公表ですとか、こういう情報が集まっている、事故が多いところはもっとストレートに出せる仕組みが必要だと思っていて、一元化した場合も、そういう仕組みをちゃんとつくりたいと思って、これからのタスクフォースで更に深めていきたいと思っています。
余り長くしゃべってもあれでしょうから、やり取りの方がいいと思いますので、とりあえず私の方は。

○松本委員長 長官は、今、3点おっしゃいました。順次やっていった方が、議論があちこちに飛んで何にもできなくなるよりはよいと思いますので、順次やっていきます。
1つ目におっしゃった点は、恐らく消費者委員会の認識と一致しているだろうと思います。「できる」ということと、すべて当該省庁がしなければならないということはイコールでないことであって、非常に大きな枠の「できる」ということの中から、どれを本体が行い、どれを独法にやらせ、どれを民間が自発的にやるように仕向けるか等は、まさに政策判断である。そこは一致していると思います。
ただ、第2点の文書の性質につきましては、これはかなり重要な問題だと思います。ここをはっきりさせないと先の議論が進まないような気がいたしますので、消費者委員会の事務局の側から、今の長官の認識と一致しているのかどうか、御説明ください。どうぞ。

○原事務局長 この文書については、6月17日の委員会でもお示ししていますけれども、なぜこういう文書が出てきたかというところです。消費者委員会は、6月10日に意見と報告を取りまとめて出すという過程で、事実について間違いがないかどうかを消費者庁とも精査してほしいというお話があって、その作業を前日やっておりました。その過程の中で出てきた文書で、この1から4については、消費者庁の基本的な考え方として、消費者委員会の委員の方には理解を求めたいということでした。
先ほど、長官の発言の中に「連名で」というお話がありました。当初、消費者庁と消費者委員会事務局連名でこの文書というふうに言われたのですが、ちょっとそれはおかしいと。事務局は判断主体ではありませんから、判断を持つものではありませんから、「そういう書き方はおかしいです」とその場で申し上げたところです。こちらとしては、事務局は単純にメッセンジャーとして正確にこの用件を伝える役割を果たすということで、この文言を受け取って消費者委員会委員に報告をさせていただいたということで、あくまでも判断主体ではありません。

○松本委員長 ということですから、消費者委員会事務局の意思と、消費者庁の意思といいましょうか、理解が、この文言をめぐって全然一致していないということです。それははっきりしました。

○消費者庁福嶋長官 それは、言った言わないの議論をしていても不毛だと思いますので、今、意見、認識が違うならば、違うということで先に進めばいいと思うのですが、事務局長が言われたことは、私は、事実と全く違うんです、と思っています。事務局長は、最後、消費者庁と議論をしている場にいらっしゃいませんでした。消費者庁が公開を当面しなくてもいいですという非公開を了解すれば、連名の文書になっていました。齋藤審議官はいらっしゃって、もう連名の文書で合意するというところまで行っていて、ただし、公開できませんと言われたので、これでは困りますと私どもが申し上げた。それは最後の交渉の場で、事務局長はいらっしゃらなかった。という経過があったので、事実経過としては私はちょっと違うと思うのですが、いずれにせよ、言った言わないの議論をしても仕方ありませんので、今の段階で認識が違うということで先に進むしかないのではないでしょうか。

○松本委員長 私は霞が関の人間ではないので、何でこんな文書を取り交わさなければならないのか、というのが全く理解できません。こういう文書が出てくるのは、恐らく前提として、消費者庁長官側が消費者委員会の事務局側に、こういう文書を出せというふうに要求されたのだと思います。要求もしないのにこんな文書がなぜ出てくるのか、普通は理解できないわけですから、求められたのだと思うんですね。違いますか。求めないのに、こんなのがヒョロヒョロッと出てきたのですか。これ、どういう性質の文書なのか、私は全く理解できないのですが。
もちろん、意味は理解できるんです。文章を素直に読めば、できるんです。ただ、長官がおっしゃったような趣旨には理解できないのです。つまり、事務局が消費者庁の主張に全く同意見ですというような文書を、なぜ連名で、秘密にするにせよ、公開で一方的な差し入れ文書にするにせよ、なぜこういう文書をつくらなければならないのか、ということがわからないのです。消費者委員会に伝達しますということであればわかるんです、私は。だから、消費者委員会としては、消費者庁のこれらの主張についての審議を今まで2回やりましたし、今日も3回目、これからやろうとしております。それ以上の秘密の約束があるのだとして、なぜそんな秘密の約束が必要なのかという、霞が関の論理というものが全く理解できないのです。

○消費者庁福嶋長官 お言葉ですが、消費者庁は、秘密の約束は困りますということで、公開にできる文書でなければ困りますと、消費者庁が申し上げたわけです。消費者委員会の事務局が、公開しない、できないというふうにおっしゃったので、秘密の約束というのは、ちょっとそれは違います。

○松本委員長 わかりました。

○消費者庁福嶋長官 それから、これはこういう経過だと私は理解しています。与党のPTですとか、いろんな外向けの場面で、消費者庁と消費者委員会が意見が違うということが外にはっきり見えるような形になりました。意見が違うのは勿論いいですが、お互いが何かいがみ合っているような印象を与えてしまった。これは消費者庁も反省しておりますし、全体として改めることだと思っています。当然、意見が違うところはあっていいけれども、共通のところは何なのか。それから、意見の違いがあるなら、どういう手続でこれからやっていくのか。そういうところはきちっとお互い政府の機関として示す必要があるだろうということで、政治の側からも求められました。そういう中でこの文書をつくることにしたというふうに、消費者庁としては、私としては理解をしています。

○松本委員長 意見の違いがあるというのは、制度上、当然なのであって、消費者委員会は行政機関を監視するのが役割だから、意見の違いは織り込み済みであると。その点は長官も了解されておりますし、どこに意見の違いがあるかをクリアーにしていくことが必要であるということで、我々はこの間、これで3回目になりますけれども、こういう形で論点をクリアーにするという作業を続けさせていただいているわけです。そういう点では、国民あるいは与党・野党等の国会議員の皆様の要請に対しては、真摯に応えているところでありますが、そのプロセス、すなわち組織としての消費者委員会と、組織としての消費者庁との真摯な対応とは別に、消費者委員会の事務局が消費者庁との間で、密約ではないとおっしゃいましたけれども、こういう文書を取り交わさなければならないということが私は理解できないわけです。
なぜ、事務局レベルでそういうことをしないと議論が進まないのか。主体は消費者委員会ですから、意見を述べる権限は委員にあるわけであって、事務局はそれを補佐するにすぎないわけです。事務局が、消費者委員会の意図を全く無視して、消費者委員会の委員はあんな勝手なことを言っているけれども、私は消費者庁の言い分が正しいと思っていますなんていう文書を出すとすれば、それは組織として全くおかしな話だと思います。個人としてどう思っておられるかは全く別です。消費者委員会の事務局の職員の方にも、個人的にはいろんな考えをお持ちの方もいらっしゃるだろうし、当然、消費者庁の職員の方にも、個人の考えとしては、ひょっとしたら消費者委員会の意見の方が正しいのではないかと思っておられる方もいらっしゃるかもしれないけれども、組織の論理としてはそういうわけにいかないだろうと思います。事務局が、長官がおっしゃったとおりの意図を仮に持っていたとしても、それをこういう文書で出すということは全く私は理解ができません。

○消費者庁福嶋長官 消費者庁が言うことではないのかもしれませんが、事務局が全く独自でということは難しいだろうと私どもも思っていて、それで、当日、委員長もいらっしゃるということで、「委員長にも文面はお見せしました」ということを事務局からは聞いています。消費者委員会の事務局からは、同意したとかいうことではありませんよ、委員長もちゃんと文面を見ておられますということを確認しました、消費者庁として。更に、いらっしゃるということでしたから、私が直接委員長にお話をしたいというふうに申し上げたのですが、それはやらないでくださいというふうに事務局から言われました。
ということもあって、決して委員さんを無視して、事務局でこれを確認してくださいという姿勢でいたわけではありません。委員会の中のやり取りはわかりませんけれども、私どもはそういうふうに考えていました。

○松本委員長 わかりました。私が委員長ですが、委員長は、委員会が決めるべきことを代わりに決めるという権限は全くありません。当日、何か私は用事があって確かに委員会に来ておったわけで、この文書を見ております。委員会に報告し、確認が得られるように努めるという文言に、いろいろな経緯があってなってきたという話も聞いております。この文言であれば、別に事務局が消費者庁の言い分を、そのとおりでございますと認めた確認書とは読めない、まさに消費者委員会に消費者庁の一番言いたい4点を伝えている文書だというふうに私はこれは理解しております。消費者庁として消費者委員会事務局に対して、消費者委員会の各委員に、消費者庁の一番言いたいことをきちんと伝えてくれ、という文章だというふうに理解をしております。まさに、この読んだとおりの理解をしておるわけで、それ以上の意味は全く理解しておりませんでした。そうでしょう? まさにそうとしか書いていないわけですから。違いますか。

○消費者庁福嶋長官 理解が得られるように努めるということですから、単に横から横に文章だけ正確に伝えますという意味ではないと。もう余り言いたくはないのですが、その場で事務局がいろいろ言われた発言、そういうことも考慮すれば、私どもは違った理解をしていましたけれども、受けとめ方が違っていたということで、お会いできなかったのが残念だなというふうに思います。

○松本委員長 もしも長官がそういう趣旨でこの文章を理解されているのだとすれば、それは、大きな誤りだということを私ははっきり申し上げただろうと思います。私は、ここに書いてある文章は理解できます。ただ、賛成はできません。という意味で理解はできております。

○消費者庁福嶋長官 もうそれ以上、申し上げてもしょうがないと思います。

○松本委員長 ほかの委員の方から、今の点について御意見ございますか。
どうぞ、下谷内委員。

○下谷内委員 当初、これを見ましたときに、なぜ事務局長が差し入れ文書をつくらなくてはいけないのかというのはわからなかった。確かにこの4点につきましては、消費者庁さんのお考えであろうということはわかります。でも、それは、事務局が消費者委員に、ここに書いてあるように「確認が得られるよう努める」というだけのことであって、強制的に何かしろということでもないし、右から左の説明でもよかったのだろうと思います。お考えはわかります。ただ、今、委員長もおっしゃいましたように、それを私たちがどう考えるかというのはまた別の話だと思うんですね。だから、こういう形式で差し入れ文書を出すというのは、私はやはり納得できません。
例えばこれが、長官が消費者委員会事務局に、こういうように努力してほしいということであれば、そうなのかなと。意見としてはわかりますけれども、それを肯定するかどうかは別の話です。でも、こういう差し入れ文書というのは、私は、「何なんだろう、これ」と。消費者委員会というのは消費者庁の下にいるのかな、でも、外にいるんだよね、というふうに思ったんですね。ですから、やはりこういう文書というのは私は納得しかねます。書いてあること云々ではなく。

○消費者庁福嶋長官 一応投げかけられましたからお話しすると、両機関の基本的な認識のところは共通理解にしないと、実のある議論にならないというふうに考えたのです。少なくとも消費者庁は、この項目は共通理解になるだろうと思っていました。今は、ならなかったということは理解していますけれども、その時点では、少なくともこの認識は共通理解になるだろうと思っていました。単に事務局がメッセンジャーで、ただ単に文書を届けるだけであれば、事務局にこういう文書をつくっていただく必要はないというのは全くおっしゃったとおりだと思います。でも、連名の文書とか、さっきお話ししたようにいろいろな経過があります。
それで、ちょっとそういうふうに言われると言わざるを得ないのですが、消費者庁は、事務局が、努める、努力すると言われるけれども、事務局自身はこの文書を理解されたのですか、というふうに何回か聞きました。そうしましたら、ちゃんと事務局が理解しないと消費者委員会の委員さんを説得することはできません、ちゃんとお話して納得してもらうことはできませんと。その場に事務局長はいらっしゃらなかったのですけれども、そういうことをおっしゃったので、こういう文章で我々も了解をしたのです。
ただ、理解したという意味が、単に文章がこういう内容だということを理解したのであって、理解と同意は違うとかいう話も、この場ではないですが、聞いたので、それは、いろいろなとり方があるなあと改めて思いましたけれども、私どもはそういう経過の中でこの文書をお願いしたということです。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 長官のおっしゃること、よくわかります。そうであるならば、消費者庁長官から消費者委員会宛てにこの文書は出されるべきであったと思うわけです。この頭の2行を見ますと、私たちは当日の朝、これを初めて見たという経過で、そのときに非常に違和感があったのですが、何でこういうことになっているのかについて議論をする時間がなかった。したがって、内容について意見を言っただけなのですけれども、後でよくよく考えると、この宛先と最初の2行がいかにも不自然である。
どのように読めるかというと、この4つの事項について消費者庁としては消費者委員会に理解を求めている。それはいいと思います、理解を求めるのは。理解を求めているがゆえに、消費者委員会の事務局長は、消費者委員会に対してこれをちゃんと確認して理解をしてもらえるように努めますと、どうしてもそう書いてあるわけです。でも、事務局長が消費者委員会に対してこのような要請をすること自体、私はおかしいと。消費者委員会の主体ではないわけですから。ですから、これは長官から消費者委員会に宛てて、是非議論して共通認識にしたいのですが、いかがでしょうかと、ストレートにおっしゃるべきだったと思います。

○松本委員長 どうぞ。

○消費者庁福嶋長官 その日に、共通理解として政務に説明を求められていました。ですけれども、消費者委員会を緊急に招集することはできないでしょうし、委員長さんはいらっしゃいましたけれども、委員長さんが一人で判断するということも、消費者委員会の在り方としてはないでしょうから、事務局と共通理解をとって、後に委員会の委員の皆さんには、事務局から理解をしてもらうように努めますとまとめたというふうに、少なくとも消費者庁は理解をしていました。

○松本委員長 どうぞ。

○川戸委員 やはりどう考えてもおかしいですね。だって、消費者庁としては、この4つの項目について、消費者庁はこう考えていることを私たちに理解してほしいという文書のはずですね、バックとかそういうのは全然関係なしに。そうしたら、これはそもそも、日和佐さんがおっしゃったように、消費者庁長官が私たちに対してお願いを出すのが筋ではないですか。ほかの文書はみんなそうなっています。だから、そもそも宛先、上の2項、こういう書き方が私は全く発想が違うと思います。

○松本委員長 どうぞ。

○消費者庁福嶋長官 何回も言っていますが、そもそもは連名の文書だったのです。両方でこれを確認するという文書だったのです。ですけれども、それでは公開にできないと。だめだ、じゃないですよ。公開できないということでしたので。

○原事務局長 そこは違うと思います。「公開できない」ではなくて、私が判断したのは連名にできないというときです。

○消費者庁福嶋長官 事務局長さん、その場にいらっしゃらなくて。

○川戸委員 では、その場にいらした方、齋藤さんですか。

○消費者庁福嶋長官 後で聞いてください。

○川戸委員 いえいえ、大事なところですよ。

○消費者庁福嶋長官 連名の文書でした。しかし、それでは公開はできないということだったので、そんな秘密文書をつくるということは消費者庁としてはできないので、公開できる文書にしてほしいということで、それで頭の文面が変わったということです。

○川戸委員 ただ、その事実関係が、原さんはいなかったからとおっしゃるのだったら、では、いた人はどういうふうに答えたのですか。そこ、認識が違うのですか。いた方、どの方がおっしゃったんですか、公開できないと。

○消費者庁福嶋長官 いた方は認めざるを得ないと思いますが。

○松本委員長 私は先ほども言いましたけれども、霞が関の論理がわからないというのは、なぜ、事務局と消費者庁の連名の文書がそんなに大きな意味を持つのか。事務局というのは消費者庁と同格なんですか。全然違うと思いますけれども、事務局の個人的判断でそんな大切な、大変な文書を出していいのですか。霞が関の論理だといいのかもしれないですけれども、私は理解できません。民間人としては、全く理解できません。そんなことあり得ないと思うのですが。

○消費者庁福嶋長官 よろしいですか。

○松本委員長 どうぞ。

○消費者庁福嶋長官 だから、同格だということではありません。事務局と消費者庁が同格だというふうには考えていません。委員会で最終的には考えを決められるということだというのは、勿論、理解をしています。ただ、私たちの認識として、この項目は当たり前のことだというふうに認識をしていましたので、前段で事務局と確認をし、事務局は当然、委員会に諮って、更に委員会としての意思を確認されるという手続だと思っていました。だから、委員会の委員に理解してもらうように努めるという文面に変えるところも、理解をしたわけです。

○松本委員長 わかりました。余りにも当然過ぎることだから、当然、委員も了解できるだろうし、事務局においてをや、ということでした。そうであれば、なぜこんな文書にしてわざわざ残さなければならないのか。余りにも当然のことであれば、我々はそんなことを文書になんかして残しません。例えば消費者行政を強化することが必要だ、これは文書になんか残しません、当然のことですから。もしもこの4点がだれが見ても当然だということであれば、なぜ、わざわざこういう文書にして、差し入れ文書にして、しかも趣旨は、事務局としては消費者庁のこの言い分は正しい、私は全面的に賛成です、消費者委員に説得しますという趣旨、とは読めないですけれども、そういう趣旨だと消費者庁がおっしゃる文言をなぜ残すのですか。

○消費者庁福嶋長官 それは、消費者委員会からの意見が、読み方によってはこの項目を了解していない意見とも読める、という余地がある。実際に、そうではないかというふうに読んでおられる方もいる。

○松本委員長 それは消費者庁内部でですか。

○消費者庁福嶋長官 消費者庁内部ではありません。敬語を使っていますから、外の話です。だから、ここは消費者庁としては当たり前のことだけれども、やはりちゃんと確認をしなければいけないだろうというふうに考えたということです。

○松本委員長 それであれば、消費者委員会委員と確認しないと全く意味がないわけですね。これは消費者委員会の文書であって、事務局の文書として我々は意見書を出しているわけではないので、事務局の理解が、消費者庁が考えている当たり前の理解と全く同じだったということを文書で確認しても、それは何の意味もないということになりますから、やはりちょっと文書の性質が理解できない。素直に読めば、消費者庁の言い分を正確に伝えて、違いをなくしていこうというふうに行政機関の事務局としては考えるのは当然であって、そのとおりのことを書かれているんだというふうに読むしかないと思いますが。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 お互いのスタンスの違いはわかりましたので、この問題はこの程度にして、具体的な公表とか、その辺の問題について、それぞれの具体的な話を聞いたらどうかと思いますが。

○消費者庁福嶋長官 私もそうお願いしたいと思います。堂々巡りで何回も同じことを言っていますので。

○松本委員長 ただ、非常に重要なところですから、毎回これが引用されると、我々としては毎回、そうではないですよと言わざるを得なくなる。もし正確に書かれるなら、この文書にはそう書いてはいないけれども、口頭で消費者委員会の事務局のだれかがこうこう言ったというふうにお書きいただければ、それは我々は確認のしようがない。そうかもしれないし、そうでないかもしれないということで、それ以上追及はできませんが、この文章を引用してこういう趣旨だと言われると、文章からはそうは読めないという反論を毎回せざるを得ないということです。以上です。
それでは、3点目の件、どうぞ。

○山口委員 今、消費者庁から、中村委員からも指摘があった貴金属の買い取りサービスに関する経緯の概要の報告文書が配られました。私の方でこの件について一つ聞いているのは、警察庁にもこれについて事前の調整をした上で、警察庁の考え方があったものだから、国民生活センターの案がトーンダウンしたといいますか、言いたいことの一つが削られたという話も聞いています。あるいは、美容医療サービス等についての実例はどうだったか。その辺を国民生活センターからお話しいただければと思います。勿論、庁からも何かあれば。

○消費者庁福嶋長官 警察庁の話は、むしろ直接話をしていただいた方が。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 わかりました。第58回の消費者委員会で、4点ほど、山口委員から御指摘があったので、その経過について私どもも調査をしました。情報発信、注意喚起において、一元化するときに一つの懸念があることについては、私どもも前から申し上げているところです。その懸念というのは、スピードの問題は勿論あります。それと、特に問題点の指摘と、その改善策をどうしていくのかについての中身の問題があります。その中で、4点、折りたたみ自転車のハンドルの固定力不足が問題になった事案、りんごやみかんの押し売りの事案、美容医療サービスの事案、貴金属の訪問買い取りの事案ということであります。
この中で、国民生活センターの方で予定をしていた公表が遅れたというのが、折りたたみ自転車と美容医療サービスであります。先ほど長官からも御指摘がありましたが、りんご・みかんと貴金属の問題は、遅れたわけではありません。当初私どもが予定していたものから遅れたわけではありませんが、内容的なところにおいて幾つかのやり取りがあったということです。4点全部を言うのは時間の関係もありますので、御指摘のあった2点についてお話をしたいと思います。
まず、貴金属の訪問買い取りサービスの問題については、法的な問題点としては2つの法律にかかわることであったわけです。一つは、特定商取引法の適用があるか、ないかという問題です。もう一つは、古物の売買に当たるので古物営業法が問題になってくるということでありまして、その点の改善の方向性を我々としては認識しながら、注意喚起に取り組んできたということであります。
その中で特商法の問題につきましては、当初は、特商法の適用がされてクーリングオフができるかどうかということで、特商法の適用のある解釈ができるかがまず一つ問題になったわけです。最終的にはこれはできないということになったわけですが、その過程の中で、そのことをどれだけ前面に出すかということについて若干のやり取りがありました。今日お配りしているものは実際の文章のやり取りですけれども、特商法のクーリングオフができないということを示すことはやり取りの中で残りましたので、そこは特に変更になっていないわけですが、解釈の点は、無理だということで落としたところであります。
古物営業法との関係では、いろいろないきさつがありますけれども、最終的には警察庁と協議をして、結局、触れることについては否定的であったので、それはもうほとんど落としたという経緯があります。これは、多くのものがそうですけれども、私どもが直接他省庁とやり取りをすることはありません。基本的には消費者庁を通じて行うということですので、警察庁との関係も基本的には消費者庁の方で行って、結果的に私どもが意図していたものにはならなかったというところであります。その是非は勿論あるかと思います。それが正しいかどうかの問題はあるかと思います。
それと、中村委員からの質問、今日、お配りになったものの中に、昨年の12月21日に貴金属の公表をいたしまして、その後の件数がわかれば教えてほしいということでありました。調べてきましたので、そのことを御報告いたします。
公表時の件数は、昨年の8月で69件、9月で110件、10月が133件ということになっております。これは、PIO-NETに登録されていくことがありますので、タイムラグがあります。現時点では更に増えているので、現時点での正確な件数を申し上げますと、昨年の8月で76件、9月で123件、10月で187件、11月で283件、公表した12月で289件です。公表したことによって減っていけばよかったわけですけれども、本年1月は291件、2月は424件、3月は585件ということで、現実には増えてきています。
増えた原因は、いろいろな要素があると思います。震災の関係でこの種のものが非常に増えてきたということがありますし、あとは、反響効果というのがあるんですね。手口紹介をしますとむしろ相談件数が増える傾向が一般的にあるわけでして、そういうことも考えざるを得ないと思います。ただ、この種の販売方法が減少している状況はないとなると、やはりこれは何らかの対策が必要であるということです。この7月1日にこれに対応する委員会ができたことは、私たちとしては喜ばしいことだと思っております。
美容医療の問題については、結果的には、私どもが考えていた公表時期については若干遅れたのですけれども、幾つかの問題点があって、法律上の問題は、特商法と医療法上のさまざまな広告規制の問題が絡んできたわけです。特商法としては、私たちの問題意識としては、特定継続的役務提供等の販売方法に加えるということで、特商法の一つの特定取引に当たる形での方向性を念頭に置いて考えていたところであります。
それと、この被害は、きっかけはインターネットの医療のホームページの内容で、そこでかなり安い金額が指摘されまして、そこを見て施術に行くと高くなってしまう、こういう事案が多くあるわけです。そういう中でこれらについて、一般の広告ではなく、ホームページの内容について規制の網をかぶせる。医療法では、ホームページの内容は医療法上の広告規制には当たらない。これはいわゆる情報提供である、広告ではないということで、そういうことを改善することを将来的なスタンスとして公表をやっていったわけであります。
現実問題としては、特定継続的役務に当たらないためにクーリングオフや中途契約は難しいという文言を入れていたわけですが、それは突っ込み過ぎであるということで、それを落としたという経緯があります。美容医療サービスは出向いて契約することがほとんどであることから、特定商取引法の適用にならない。特定商取引法の適用にならない理由が、店舗販売だからということで表現が変わってきたということがあります。
医療広告については、厚労省との関係の中で、ホームページに、医療広告に当たることまでを意識するような形になることについては、なかなか難しい面があったということで、この調整にだいぶ時間がかかったというところであります。私どもとしてはそういう方向性を持っていたわけですけれども、最終的な文言もかなり抽象的になってきているということであります。
先ほどの議論の中で、一つは、消費者庁に一元化したら、内容とスピードが本当に早くなるのかということでありますけれども、私はそこは、組織の立て方の問題の中でカバーできる面があると思っております。あとは他省庁に対する調整が、我々から見ると、弱腰というんですか、もう少し強く出てもいいのではないかと思うところがある。そういう姿勢の問題が、重要なポイントとしてあるだろうというふうに私どもは理解しているところであります。
一点だけ、訂正があります。先ほど他省庁との関係で、調整は消費者庁がやっていると、これは原則の問題です。原則の問題で、調整が難しいというときに、最後、我々に他省庁との調整を直接やらせてくれということで、当センターが、直接やることはあります。この貴金属の関係では、直接やっても難しかったということです。すみません、訂正だけさせてもらいます、事実関係ですので。

○松本委員長 どうぞ。

○山口委員 今のエステ問題一つをとっても、仮に消費者庁の下の施設等機関であれば、当然、厚労省の医政局総務課辺りにその点はどうなのかと確認をした上で、厚労省の方で難しいという話になれば、にもかかわらず押し込んでいくという、その辺のスタンスというのは、今の消費者庁に期待するのは難しいのではないかと思います。それは、現場の被害相談を聞いている立場に近いところの国民生活センターであれば、現実にこんなに被害が出ているのだから、役所の方が難しいと言おうが何しようが、やはり現場でこんな問題があるから気をつけましょう、なおかつ役所の方でも何とかしてくださいと、そのような声は出ると思うんですね。しかし、施設等機関ということになれば、宿命的にその辺は他省庁と調整せざるを得ない。しかも、消費者庁には厚労省から担当者が来ています。2、3年のタームで。そうすると、やはりどうしてもそこでトーンダウンになるし、調整は必要になってくるしということで、時間もかかるし、内容もトーンダウンになることは避けられないと思います。この辺は今までのタスクフォースの議論の中でも、どうしても不安、疑問として払拭できないところですが、どうでしょうか。

○松本委員長 どうぞ。

○消費者庁福嶋長官 これも問題だと山口委員は指摘されたわけですけれども、今も他省庁と調整をしているわけです。先ほど理事長が言われたように、消費者庁が通常はやるけれども、消費者庁がつないで国民生活センターが直接やることもあるわけです、先ほどの例のように。消費者庁が他省庁の窓口になるときも、今の時点では消費者庁の担当課がやっています。でも、そういうやり方ではなく、ちゃんと政策的な提起をしないといけない、他省庁にものを言わないといけないときは、今のところの中間整理で言えば、調整チームですとか、政策レビュー会議ですとか、そういうところで庁としてきちっとものを言っていく。単に、所管をする独法がこういうことをやりたいと言っているけれども、どうかとつないで、というような話ではなく、ちゃんと消費者庁として各省庁に働きかけていく。
その働きかけが弱いというのは、私も感じています。もっと強くきちっと言っていかなければいけないだろう。そのためにはきちっと現場とつながらないといけないと思います。強く言っていけないということが前提なら、消費者庁なんかない方がいいと思いますよ、私は。それを前提にしてしまうならば、そもそもつくる必要はなかっただろう。それは、ちゃんと消費者庁が言っていけるようにならないといけないと思うんですね。そのときに、ちゃんと現場とつながって言っていくことが大事だというふうに思っています。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 今まで、パブリックコメント、公開ヒアリング、できるだけ私も傍聴したり、また、パブコメの結果を出されているのを読んだりしてきました。消費者委員会からは懸念として意見を出し、報告書も出しています。このタスクフォースは、前回の消費者委員会から今週の消費者委員会まで、2回お開きになりました。1回目が消費者団体と地方自治体、2回目が事業者の方々。私は両方とも傍聴させていただきましたが、皆さん、懸念を表明されておられました。事業者の方は特にほとんどの時間を使って、ADRとあっせんについていろいろ意見をおっしゃっておりました。
私は今の段階で、皆さんの懸念、それから反対の意見をお聞きになった後、もう一度お聞きしたいのですが、福嶋長官、野々山理事長、どのような御感想をお持ちになっているのか。ほとんどの方が反対の中で、更にそれより突き進むようなイメージが非常に強いんですけれども、その2回のタスクフォースを終えた後、どのような御感想をお持ちになっているのか。いかがでしょうか。御感想を聞かせてください。

○松本委員長 では、長官。

○消費者庁福嶋長官 ADRとかあっせんは、今、情報発信のところで言われているので。

○佐野委員 細かいところでなく、御感想で結構です。反対とか懸念の意見がたくさんあった中で。

○消費者庁福嶋長官 反対というか、懸念の意見というふうに理解をしています。情報発信について言えば、むしろ自治体からは、もっと法執行とちゃんと結びつけていく、法的な権限と相談を結びつけていくことが必要だという御意見もありました、賛成とか反対ではなく。今までタスクフォースでは出されなかった意見も出てきたと思います。それから、事業者団体の皆さんからはADRに対する懸念が出された。この懸念をどう分析するかということはとても重要なことだと思っていますけれども、この2つだけではなく、出された御意見を踏まえて、更にタスクフォースで深めていきたいと思っています。

○佐野委員 野々山理事長にもご感想をお願い致します。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 タスクフォース議論というのは、最初と中間で少し論点が変わってきた。変わってきたところで一元化ということが提案されてきて、それについて議論をしている。その際に、懸念として私どもが申し上げてきたことが、皆さんも懸念として出している。つけ加えていることもあるというふうに思っていますけれども、このタスクフォースの議論の中では私どもが出した懸念に対して、いろいろな議論をしてきております。その中で、最初の試案というものから中間整理まで変わってきている。それから、中間整理から更に今の取りまとめ原案ということで変わってきている中で、私たちの中では、幾つかの懸念が軽減されてきている面もあると思っています。
ただ、現時点で皆さんのお話を聞く中では、今、議論になっている情報発信の関係と、前回のタスクフォースで議論になった事業者の方の懸念。あっせんもADRももし庁に入ったら、行く気をなくす。というか、呼ばれても行きませんというようなことでした。本当にそうなのかという思いが個人的には私は持っていますけれども、それはきちんと考えていかなければいけないと思っています。そういう意味では議論の中で軽減された面とまだ残っている面があって、そこを一定慎重に議論すべき段階に来ているというふうに、私は、今、思っています。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 今の話を情報発信の関係に引きつけて言いますと、理事長に一つお聞きしたいのは、前回もお聞きしましたけれども、調整というのは、少なくとも消費者庁ができる前は、国民生活センターと内閣府の国民生活局で調整していたという話を聞かないわけです。それが、庁ができたおかげで、かえって調整をすることによって公表手続がややこしくなったし、また、トーンダウンをしなければいけなくなったし、遅れたりしているのではないか。まさに長官が言ったように、それだったら消費者庁なんか要らないよという意見だって十分あり得るぐらい、あえて言葉を選ばずに言えば、体たらくではないかと思っているわけです。消費者庁に一本化することによってその体たらくが固定化してしまうというのは、ものすごく危機感を感じるわけです。国センとして、公表ということについてどう考えているのか。これは、相談現場から来る情報に基づいて、こういう情報があるからみんな気をつけましょうね、こうやるわけじゃないですか。それが役所の論理に入ったら、遅れるのではないか。ここは本当に大丈夫なのか、ということを一つ聞きたいです。
それから、前々回の議論の中で、すべて内部部局に統合されてしまうと、相談や研修などの場面においても有権解釈に限定された対応しかできないのではないかと、野々山さんは言っています。それに対して深まった議論がなされていないんですね。ここのところは、理事長はぽろっと本音を言ってしまったのかもしれないけれども、すべてにおいて役所の論理で、有権解釈的な発想で、情報発信あるいは相談や研修などの分野でも施設等機関においてやるという話になれば、これは一元化によって、何だこりゃという事態になることを私は本当に心配します。その2つ、それぞれお聞きしたいです。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 今の山口委員の問題提起は、なぜ消費者庁をつくったのかということの問題提起だと私は思いますけれども、消費者庁ができるまでは国民生活センターは特に司令塔もなく、かなり自由な形でやっていました。それはもう全く権限のない、といいますか、情報発信だけやってきて、しかも、各省庁に対しても直接対応していました。省庁の受けとめ方も、まさに権限のない、言いっぱなしというのはおかしいですけれども、言いっぱなし、聞きっぱなしみたいなところが非常に強かったものであります。そういう意味ではかなり自由なことができたということがあります。
そういう消費者行政でいいのかどうかということがまさに問われて、それで消費者庁というものがつくられていく。司令塔として、他の省庁にも強いもの、自らも強い権限を持っていくものができてきたのだろうというふうに私は推測しています。ですから、今、国民生活センターの一元化の問題が出てくる、あるいは情報発信に対して懸念が出てくるというのは、まさに消費者庁ができたからだと私は思っています。消費者庁というものは、その構想の中で消費者行政を一元化し、執行部門、企画・立案を、国の中心にきちっと位置づけていく、重要な柱を持っていくということが期待されてつくられてきた。また、期待してつくってきたのだろうというふうに思っています。

○山口委員 ちょっといいですか。前回のタスクフォースの議論を踏まえてくださいよ。全相協の理事長の丹野さんが、消費者庁に期待したのは権力的業務だ。非権力的業務は国センで十分やっているではないか。非権力的業務は国センでもっと頑張ってやればいいんだ、消費者庁に期待したのは権力的業務ですと言っていますよ。それを踏まえて、どうなのか。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 その中で消費者庁というものが司令塔としてつくられてきているわけです。司令塔というのは、消費者行政について一元的にそこで情報を集めて、いろいろな権限もやっていくということでつくられてきたと私は認識しています。情報発信の過程の中で、省庁との調整も窓口は基本的には消費者庁がやっているわけです。当センターがこれまで自由にやってきたことが、司令塔を通じてやるべきだという形になってきているわけです。そういうことでのやり方として、今、できてきているわけです。

○佐野委員 私、国民生活センターが、今まで自由にすべてやってきたというふうに思っていないのですが。内閣府の国民生活局というのは一体何をしていたのですか。内閣府と常に連携して、常に相談してやってきたのではないですか。以前は自由だった、消費者庁になってからは違うというのは、ちょっと違うと思います、今までの認識と。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 相対的な意味でというふうに言わざるを得ないかもしれませんけれども、かつては直接の調整も全て当センターがやっていました。今ですと、各省庁との関係のこととか、あるいは、所管法の解釈の問題というのは、全部消費者庁に一本化されて、そこで議論をして、そこからの有権解釈についての指示を受けてくる、こういう関係になってきているわけです。勿論、国民生活局との間の調整はしていましたけれども、そこ自体が何か有権解釈的な権限を持っているというのはほとんどなかったわけですので、その辺がやはり違うということは感じています。それと、監督する姿勢も、内閣府の国民生活局のときと消費者庁になってからは違うというのは、私は認識しているところであります。ですから、そういう形のものができているというのが、一つ、今のものですね。前と同じように自由にやれるということについては、消費者行政を基本的につかさどっているのが消費者庁だという位置づけとして、今、動いているわけですから、その中で全く独立して自由にできるかというと、今の私のやっている業務の中の実感としては、それができるというふうには全く思っていないです。
それから、有権解釈の問題ですけれども、相談あるいは研修、ADR等について、すべてを有権解釈を同じようにそろえることになってしまったら、それぞれの機能ができなくなることは明らかです。そうであるなら、それは完全な機能の低下になるということです。そのこと自体は、タスクフォースの中で私どももそういう懸念について申し上げています。それの一つの工夫が施設等機関であるというふうに考えていますし、それから、国民生活センターのADRも、現在では独立した紛争解決委員会という形で処理されております。当センターは事務局をつかさどっているだけの関係でありますので、そういうものが同じように位置づけられるという説明を受けておりますので、そういうものが維持されていくだろうと私は思っている、ということであります。

○松本委員長 長官、どうぞ。

○消費者庁福嶋長官 全相協の理事長さんが、消費者庁に期待したのは権力的な業務だ、非権力的な業務は国センがやればいいと。それを前提にして議論すべきだとおっしゃるのですけれども、それは、一人の方が何を期待されるかというのはいろいろあると思いますが、少なくとも法律で整理された消費者庁の役割、あるいは発足のときに整理された、閣議決定や計画で明確にされた消費者庁の役割は、両方をやるという整理だというのはこれまで申し上げてきたことです。それを前提にして両方やるわけですから、全部有権解釈で消費者庁はやる、ましてや相談やADR、あっせんを全部有権解釈でやるということは、あり得ないというふうに私も理解しています。それは、今、理事長が言われたことと同じです。
監督官庁という位置づけではない、所管の官庁なんですけれども、協議をするときに、協議が全部悪かというと、協議の結果、よりいい情報発信になっていたり、より改善の方向で動く協議で行われていればいいわけですね。勿論、それで遅れるということがあったらいけないと思います。だから、協議の中身が問われているのだろうと思います。過去の協議の例を見ると、確かによくないものもあるかもしれません。断定するのは、もう少しちゃんと把握してから言わないといけないと思いますが、個人的な意見で言えば、必ずしも適切な協議ではなかったものもあるように思います。出ているもので言えば、りんご・みかんと言っているものを果物に変えたというのは、りんご、みかんなのだから、りんご・みかんと具体的に言った方がいいに決まっていると私は思います。わかりやすい単純な例で言えばね。だから、協議の中身が問われるのだと思います。それと、繰り返しですが、協議しなくて出していいものは、出せばいいと思います。そういう仕組みは是非つくりたいと思っています。
先ほど、山口委員でしたか、委員長でしたか、同日やっているので、遅い方に合わせているのではないかと。今回の温泉付き有料老人ホームの利用権についても、一緒に取り組んできたんですね。だから、同日にやっています。それは、消費者庁だけでも最後できただろうとか、別々にやってもできただろうといえばそうかもしれませんが、一緒に取り組んできたので一緒にやったのです。これは遅い方に合わせたのではありません。早い方に合わせました。今回の場合は、手続的な問題から消費者庁の方が早かったです。だから、国民生活センターにはちょっと汗をかいていただいて、早いほうに合わせました。これからも、一緒にやるときは早い方に合わせないといけないと思います。国民生活センターの方が早いケースが多かったとすれば、国民生活センターのペースに合わせなければいけないというふうに思っています。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 お二人の御意見を伺っていると、すごくすばらしいことばかりなんですけれども、私は、国民生活センターをまるまる消費者庁の中に入れて、本当に消費者行政が強化されるのかというのがどうしても見えないんです。なぜ消費者団体も事業者もみんな反対しているのか、懸念を持っているのかというのを払拭させてくださらないわけで、それなのにどうしてこう強引に突き進めるのか、もう少し丁寧な議論が必要です。ここ3回やっていますけれども、同じような話ばかり行ったり来たり、行ったり来たりで、本当に進んでいるように感じません。もう少しお互いにわかりやすく、具体的にこうなったらこうなると。長官も野々山さんも全く懸念をお持ちでないわけではないと思います。その辺りを、もう少しわかりやすくお互いに意見交換ができないかという思いが非常にあります。
先ほど長官が、この間のヒアリングでは地方自治体からいろいろ御意見があったとおっしゃいました。消費者委員会の調査では、地方自治体から本当に懸念は出ておりますし、一元化の検討が別ものとしてイメージをされているような感じもあります。それから、消費者委員会には地方消費者行政専門調査会というのがあり、意見を報告書としてまとめています。それももう少し反映させるような形で是非議論を進めていきたいし、もう少し実りあることをお互いにできないかなと、今、非常に感じています。
それから、国民生活センターがいろいろお出しになっている情報というのは、消費者団体、消費委員にとっては非常に有効なものであって、私たちはきちんと活用しています。それが違う形になってしまうというのは、私たちにとっては非常にマイナスになるのではないかと思います。私には今、一元化して消費者行政が強化されるという方向が見えない。お二人がそうお思いになるのだったら、もう少し私たちにわかりやすく示していただけないものかなと思います。何となく行ったり来たり、行ったり来たり、同じような話ばかりしていていますが、私たちのことを説得、何かもう少しできないものでしょうか。いつまで続けたらこの話が終わるのか、全然先が見えないのですけれども、もう少しお互いにわかりやすい議論をさせていただきたいと思います。

○松本委員長 それは、ここにいる皆さん同じ意見だと思いますから、もう少し実りのある議論ができるように、消費者委員会として今後の議論の仕方は工夫したいと思います。
池田委員が発言されます。どうぞ。

○池田委員 野々山理事長にお伺いしたいのですけれども、一元化のタスクフォースを進められて、当初、懸念されていたことが、タスクフォースによってわかってきた、あるいは改善されたという御理解で、前回もそういうお話をなさいましたし、今日もいろいろお話をなさいました。私がお聞きしたいのは、一つは、国センの現在の職員は、消費者庁と一元化することについて、最初の反応と今の反応が全く同じなのか、いろいろ違ってきたのか、その辺はどういう変化があったのかを教えていただきたい。もし変化したとすれば、それは、例えば野々山理事長なり他の理事さんがタスクフォースのことを説明されて、職員の方が納得されたというようなことだろうと思いますけれども、その辺を少し具体的なことでお話しいただけないかと思っております。
それから、これはお二方どちらでも結構です。あっせんとかADRについて、先ほど山口さんの質問にも、消費者庁が施設等機関という組織になるにしても、国センが行っていたときと比べて、消費者庁、行政機関が行う場合には、事業者と消費者の情報の必要さを補うことが、行政庁が所管することによって本当にできるかという懸念がありました。前回も少し言いましたけれども、先ほど野々山さんは、今もADRについては国センの中で紛争委員会が実質的にはおこなっているのであって、国センは事務局をやっているにすぎない。施設等機関になっても、第三者委員会をつくって事務局が消費者庁になるだけだと説明されています。しかし、そこが一番違うのではないかと思うのです。権限とかいろいろ言いますけれども、お役所が事務局をやっている紛争委員会と、国センが持っている第三者委員会は、消費者にとっても事業者にとっても全くイーブンに受け取られるのか懸念があります。工夫をなされるとおっしゃっていますけれども、私から見えているのは、単に組織を施設等機関に移すということにすぎないと思います。施設等機関という言葉云々はあるにしても、それがどれぐらい消費者庁と遮断されるのか、どうなのか。そこは非常に心配で、そういうところはタスクフォースの中で随分クリアーされてきたのかもしれないけれども、まだ見えません。
先ほど佐野さんも言いましたし、松本委員長も言われました。前回、私も言いましたけれども、皆さんがタスクフォースでいろんなヒアリングをなさって懸念がたくさん出ている。反対ではないが、懸念が出てきていると。タスクフォースで懸念をなくそうとして話し合っておられると思いますけれども、そうしますと、一元化することによって、見える化ですね、具体的な成果はどういうことを皆さん方は目指しているのか。それが全く見えないのです。前回も言いましたけれども、消費者庁の力不足を、国センを一緒にすることによって一挙に解決できるというふうにしか見えないのです。その力不足な部分は具体的に何ですか。今、どういうところを緊急に底上げしなければいけないから拡充したい、ということがあるはずです。こうやることによってできるところを一つでも二つでも、具体的なアウトプットを公表し、実体を出さなければ、ずっと懸念はいろいろなところから出るんじゃないでしょうか。そうすると、これは不毛の議論をずっとやっているようなものではないか、そういうふうに思います。
もう一つ、一元化することによって、職員さんはそのまま全員転籍できるかどうか。それはなかなか言えないでしょうけれども、そういう方向で行っているのかどうか、その辺も聞かせてほしいと思います。

○松本委員長 では、野々山理事長から、どうぞ。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 職員の皆さんには、いろんなエポックといいますか、このタスクフォースが始まるとき、中間整理をされるとき、それから、その前の試案が出たとき、それぞれ私の方から、それが持つ意味や、今後の検討すべき中身というのは全部発信させてもらっています、センター内のいろいろな発信機関を使って。それから、職員の皆さんからのこれに対する意見も徴収して書面でいただいて、それはそれで私の方でも把握しながら、今、これをやっております。
ただ、それはさまざまな意見があります。一体的ではない。あと、組合からも意見はいただいているわけですけれども、不安がある方も勿論いる。自分たちが今やっていることを消費者庁の中でやっていくという意見もありますし、それから、消費者庁がない時代に戻すべきだという意見もあります。いろいろな意見があるわけですけれども、総じて今のものを非常に注目して見ていますし、身分の問題もありますから、不安も持ちながら見ているというふうに私は見ております。
意見に大きな変化があるかというと、毎回意見を徴収しているわけではありませんので、今の状況の中で、一元化について一つの方向性で議論されているという認識を持って、それに対する見通しを持ちながら、不安を持っているというのが今の状況だと思います。そういうふうにしか私は言えませんけれども、具体的な意見はいただいておりますから、そういうものは、私が述べている意見の中にも反映させていますし、組織形態をいろいろ議論する中でも、勿論現場があるわけですから、現場の意見を聞きながら対応しているところであります。
それから、一体化において身分がどうなるかというのは、現時点では、職員が皆さん消費者庁の方に行くという理解を私はしておりますし、そのように話は進んでいるというふうに認識しています。

○松本委員長 長官、どうぞ。

○消費者庁福嶋長官 ADRですが、第三者委員会がやり、事務局は今は独立行政法人の国民生活センター、一元化という体制になれば、施設等機関である国民生活センターということになります。前回のタスクフォースでも出ていましたけれども、今も委員は総理大臣が任命するという構造の中でやっていて、全く性格が変わってしまうということはない。今のまま基本的に移すという理解をしています。ちょっと課長から補足があれば、させます。
それと、具体的なことで議論をするというのは、私もそれが必要だと思っています。先ほど佐野委員がおっしゃったことにも通じると思いますが、そうでないと、結局、同じことの繰り返しをお互いしていると。私も強くそう思っているんですね。今日、出た議論の中で具体的な話といえば、例えば貴金属の訪問買い取りの話も国民生活センターが早い時期で注意喚起された。クーリングオフがない、特商法の適用にならないからということも注意喚起の中で提起されているわけです。ところが、残念ながら、そこから法改正をして何とか新しい法的措置をつくっていこうという動きにはなっていなかったのです、現実として。今日これから、終わったら私はすぐ行くのですが、法的措置の検討をするために第1回の研究会をやります。それは、規制仕分けというきっかけがあって初めてこうなりました。
ただ、念のために言っておけば、規制仕分けというのは事業仕分けと違って、攻める側と守る側みたいな関係ではなく、規制をどうしていくのか。むしろ規制強化のところでは特にですが、それぞれが知恵を出し合う。ですから、消費者庁も、ちゃんと強化をしたいということで、規制仕分けに行く過程では随分努力をしたわけです。そうやって行政の方が、消費者庁なりほかの省庁が動かないとそれにはつながっていかないわけです。国民生活センターは確かに早い時期で問題提起されたけれども、そこからは動いていなかった。だけど、問題提起をされています。ここをちゃんと結びつける体制が必要なのではないか。念のために言っておけば、一元化したから必ず動くようになるということではありませんよ。一元化したって知らん顔をしてしまえば、それで終わってしまうかもしれないけれども、少なくともそういう環境、そういう組織のベースができるというふうに私は思っています。

○松本委員長 まだまだ論点が出てくるかと思いますけれども、時間の都合もございますので、続きまして、国民生活センターに関する消費者基本計画の見直しについて、議論を行いたいと思います。
消費者基本計画の見直しにつきましては、第58回の委員会において、消費者庁から消費者基本計画改定案の御説明をいただきましたが、その中の国民生活センターの在り方に係る部分の記載について、当委員会の委員から、見直すべきであるとの意見が多数出されたところでございます。その後、消費者庁におかれまして、消費者基本計画改定案について修正案を作成されているということでございますので、本日は、それについて御報告をいただきたいと思います。
それでは、消費者庁より御説明をお願いいたします。

○消費者庁林地方協力課長 それでは、私の方から、お手元に配付されております資料2に基づきまして御説明させていただきたいと思います。
前回、御議論いただきましたときの基本計画の改定案が、上のボックスに入っている表現でございます。当時は、「国民生活センターについては、消費者庁の機能を強化する中で、消費者行政全体の機能強化の観点から、各機能を消費者庁へ一元化する方向で必要な検討を進めます」という記述をしておりました。この記述内容について、やはり一元化ありきになるのではないか、そういうふうに読めるのではないかという御指摘もいただきました。下の方に参考として、昨年の年末に閣議決定されました、「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」を掲載させていただいております。この年末の閣議決定の内容を踏まえて、更にその議論をする上で、一元化ありきではなく、他の選択肢も含めて検討を進めるという趣旨を明らかにするための修正案を提示させていただきました。
閣議決定の内容と比較しながら御説明させていただきますと、年末の閣議決定では、「必要な機能を消費者庁に一元化して法人を廃止することを含め」ということになっておりました。当時は、その前段の「消費生活センター及び消費者団体の状況等も見つつ」という表現でもありますように、自治体で担える機能はないか、あるいは民間で担える機能はないか、こういった視点からそれぞれ地方や民間の状況も見ながら、その上で必要な機能を消費者庁に一元化するかどうか、また、法人を廃止するのかどうかといったことも含めて検討すべしとされておりました。この間のタスクフォースで、自治体に移譲することが可能かどうか、民営化することが可能かどうかという議論は尽くしてまいりました上で、方向性としては、国民生活センターが担っている機能それぞれについて、当時は「国サイド」という表現を使っておりましたけれども、国として維持をしていかなければいけない。その上で、今、タスクフォースの中の議論としては、中間整理でお示しさせていただきましたように、消費者庁に一元化するという案を一つ提示させていただいております。こうしたことを踏まえて、「必要な機能を」という表現ではなく、「各機能を消費者庁へ一元化することを含め」という表現にさせていただきました。
その際には、当然のことでありますけれども、もともと消費者行政全体の機能強化の観点、これは、国民生活センターの在り方の見直しを検討する上で最も大事な視点として、当初から維持をしてまいりました視点でございますので、この表現は引き続き入れさせていただいております。変更のポイントは、「消費者庁へ一元化する方向で」という部分を、「消費者庁へ一元化することを含め」という閣議決定の際の表現のレベルにそろえたということでございます。よろしければ、私からの説明は以上とさせていただきたいと思います。

○松本委員長 それでは、委員の皆様から、御意見、御質問がございましたら。
日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 意見です。ここで一元化という文言が入ると、どうしてもこの文言にとらわれてしまいがちになりますので、やはり私は一元化という文言は削除した方がいいと思います。なぜかといいますと、閣議決定は勿論されています。それは尊重しなければいけないのですけれども、その閣議決定に基づいて議論を進めてきた結果、一元化に対して賛成、大賛成という声はないわけですね。ほとんどのヒアリングでも、パブリックコメントでも懸念が示されているという状況。その状況をやはりきちんと受けとめてやらなければ、国民の声、消費者の声は一体どうなっているのかということになると思います。ですから、検討を始めたけれども、現状はそうスムーズにはいかない、一元化に対してたくさんの懸念の声が寄せられている現状の中で、更に一元化に固執してこの文言を入れるということについては反対です。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 私も同じ意見で、「各機能を消費者庁へ一元化することを含め」というところを削除していただきたい。これだけ多くの消費者団体、それから事業者も含め懸念を示している中で、どうして一元化という言葉をここに載せなければならないかという意味がよくわからないです。みんなが納得するのは、「国民生活センターについては、消費者庁の機能を強化する中で、消費者行政全体の機能強化の観点から、法人の在り方を更に検討する」という、これに尽きると思います。よって、一元化するということを削除していただきたい。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 私は全く同じ意見であります。やはりここに一元化ということを入れますと、どうしてもそちらの方向に行ってしまう。というのは、今までタスクの中でも、こうあるからだというのは前提で話されておりましたので、できればこういうものは今回は削除していただきたいと思います。パブリックコメントも、消費者委員会の調査もそうですし、タスクでのヒアリングでもそうですけれども、先ほど日和佐委員が申し上げましたように、賛成という意見がなかなか見当たらない。私は、全然見当たらなかったわけですね。そういう中でこのような文言を入れられるということは、消費者行政に対して、何か軽んじられているのではないかなと私は思います。ふだん相談を受けている者たちにとっては、非常に大きな問題であります。消費者行政全体の機能強化については賛成です。その上で国センの在り方を考えるということであれば、賛成はいたしますが、この一元化というものについては、できればここから削除していただけるような方向でお願いしたいと思っています。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 時間の制限があると思いますので、簡単に申し上げます。22年12月7日の閣議決定の内容をもう一回よく見てみますと、相談事業については、「法人の事業としての廃止を含めて検討を行い、23年度夏までに結論を得る」と書いてありますが、組織の見直しについては「22年度から実施」ということで、いつまでにこの法人の在り方の見直しをしなさいというタイムリミットはないんですね。正直言って私自身も、今年の夏までに決めたらいいのではないかと思っていましたし、委員会の中でそういう議論もしたことがありますが、一回、国センをつぶしてしまうといいますか、一元化してしまうと、5年後、10年後にもう一回つくろうといっても、できないです。だから、今年の夏までに何かしたいという気持ちはわかるけれども、一遍やってしまうと覆水は盆に返りません。その辺を考えると、やはりもう少し慎重に議論をしていただいた方がいいのではないかというふうに私も思います。
今日は時間がありませんでしたけれども、商品テストなどについても、やはり心配だなというところも具体的な事実でお聞きしたかったところもあります。その辺も、今後の議論の中でお聞きしていきたいと思っています。

○松本委員長 川戸委員、どうぞ。

○川戸委員 「消費者庁の機能を強化する」、大賛成です。しかし、「各機能を消費者庁へ一元化することを含め」、ここは削除していただきたいと思います。

○松本委員長 私は1点、質問があるのですが、「消費者行政推進基本計画」という閣議決定の文章を参考資料として付けてあります。参考資料1-3の6ページに黄色のカラーをつけておりますが、これは閣議決定です。「国民生活センターは、国の中核的実施機関として、消費者相談(国民生活センターへの直接相談や、消費生活センターから持ち込まれる困難事案の解決支援)、相談員等を対象とした研修、商品テスト等を拡充するとともに」云々と書かれております。
昨年12月の閣議決定で先ほどの文言が出てきたわけですけれども、その昨年12月の閣議決定では、国民生活センターは、地方の消費生活センターを支援するために相談、支援等は行うけれども、現行の直接相談については廃止するということがはっきり書かれています。同じ閣議決定でも、内容が違う。これは内閣が違うのだから、考え方が変わったのだと言われればそれまでなのですが、昨年の12月の内閣がまだ続いている状況下で、今回、中間的な取りまとめの報告の中で、特に相談現場の生の情報を、消費者庁の持っている企画・立案、法執行、他省庁に対する要請、調整、そういうことに有機的に使うために国民生活センターを吸収する必要がある、ということを大変強調されているという印象を受けました。
そうしますと、相談現場の生の情報を消費者庁ができるだけたくさん得るためには、やはり直接相談が必要ということになるのではないか。つまり、吸収した国民生活センターが、もっとたくさん直接相談をやって生の現場情報に触れる。そして職員も(みんな職員ですが)、その他の規制行政等をやっている職員も、そこに触れるのがねらいだというふうに理解をしました。そうしますと、昨年12月の閣議決定の、直接相談は廃止するということとどうつじつまが合うのかという辺りを、少し御説明いただけますでしょうか。

○消費者庁福嶋長官 皆さんの御意見は、今、お聞きしました。消費者庁として基本計画をどうしていくかということですけれども、修正案としてお示ししたものは、先ほどの繰り返しですが、昨年12月の閣議決定のベースです。少なくとも今の時点では、民間とか自治体というのはないという確認をタスクフォースでしましたので、なくしていますが、一元化するという選択肢をなくしたわけではありません。逆に、中間整理では一元化ということで整理をしています。それで検討をしているわけです。ですから、「含め」というところのことですけれども、閣議決定まで戻すというのは、一番スタートのところまでここの点は戻した表現にしていますので、皆さんの御意見は御意見として承りますが、政府の機関として、12月の閣議決定をスタートにして検討してきましたから、一元化は、検討の結果、選択肢から除きましたということであれば落としますけれども、そうでなければ、言葉を取ってしまうということはできないと思っております。そういうことで、皆さんは違う御意見をお持ちだということはわかりましたけれども、政府の機関として閣議決定をベースにしたところまで戻しているので、その点はご承知をいただけたらと思っています。
直接相談の廃止の件ですけれども、これは同じ閣議決定で既に実施をしたわけです。これも消費者委員会で、前回、説明はさせていただいていますけれども、直接相談を受けますから、どうぞ相談してください、という看板を掲げてやるものを直接相談と言っているわけです。これはなくすけれども、相談支援の中で、土日の相談もやってきたし、更に平日のバックアップ相談もやる。そういう中で、実際に相談者から直接相談を受けることは引き続きやっていきます。実施状況を見ながらまた考えなければいけないと思いますが、直接相談と同じボリュームぐらいはできるのではないかという見通しを持っています。そういう中で、これだけではないですけれども、相談現場との結びつきを更に確保していきたい。今は国民生活センター、独立行政法人でやられていますから、その中でちゃんと確保していただきたいと思っています。

○松本委員長 どうぞ。

○佐野委員 閣議決定は確かにされました。ですけれども、今の段階で多くの消費者が懸念を持っている。消費者の権利として、「消費者の意見が反映される」ということも消費者庁の所掌の中に入っていると思います。私が申し上げたいのは、消費者の考え方として、今、一元化はまだみんなが納得できていないのだから、ここは取らせてくれないかと、長官が反対に私たちを閉じ込めるのではなく、長官自ら大臣に伝えていく。別に私たちも、「一元化することを含め」という文言を取ったからといって、その先、一元化になるか、ならないかというのはまだわからないわけです。「機能強化の観点から、法人の在り方を更に検討します」ということも、一元化は含まれると考えられるわけですから、それでいいのではないですかというのを、是非長官から大臣に伝えていただきたい。それが消費者の声だということで伝えることはできないのでしょうか。閣議決定した、したとおっしゃられても、納得できない閣議決定だったら、あくまで長官は消費者に押しつけるという形になるのでしょうか。

○消費者庁福嶋長官 消費者というのは全国民ですので、今のいろいろな御意見をいただいていることを大事にするのは当然ですけれども、消費者の利益、あるいは消費者の意思、意見というものがどこにあるのかというのは、これから更に議論をしていくことだと思っています。取っても同じでしょうということもおっしゃっているわけですが、であれば、「一元化を含め、法人の在り方を更に検討します」ですので、あえて「一元化を含め」の一元化まで取る必要はないと、私自身、判断をしています。
つまり、繰り返しですが、「消費生活センターや消費者団体の状況」というのは取ったんですね。それは、そういう選択肢はないだろうというタスクフォースの検討の結果を踏まえて、取っています。でも、一元化は、もうこれはあり得ないという判断をしていませんので、「一元化を含め」という表現はスタートの閣議決定のままにしたということで、御承知いただければと思います。

○佐野委員 一元化はあり得ないという選択肢がないということは、一元化をするということを既に決めておられるということですか。

○消費者庁福嶋長官 すみません、ちょっと意味がわかりません。

○佐野委員 今、一元化はあり得ないという選択肢はない、とおっしゃったのです。

○消費者庁福嶋長官 一元化は選択としてあり得ないという結論をタスクフォースの中で持っているならば、一元化をはずすということはある。つまり、国民生活センター全体の機能を自治体に移したり、民間に移すということは、今の状況であり得ないだろうという判断はタスクフォースの中でしているわけです。だから、その部分ははずしましたけれども、一元化はあり得ないという判断はしていませんので、一元化もあり得る。一元化をまさに含めてあり得るというふうに判断をしていますので、今の時点で、スタートの閣議決定を変更することは考えていないということなのです。

○佐野委員 要するに、未来はわからないということですね。一元化もあり得るし、あり得ないかもわからない。でしたら、一元化するというのを削除したからといってそんなに変わらないのではないか。それでみんなが納得するのだったら、別に削っていただいてもいいのではないでしょうか。

○松本委員長 恐らくこれは、これ以上議論をしても実りはないと思いますから、消費者委員会の委員としてはこういう意向を持っている人が大変多いということを御理解いただいた上で、更に今後の検討を、消費者庁において進めていっていただきたいと思います。国民生活センターの在り方につきましては、引き続き、消費者委員会として議論を深めてまいりたいと思います。
本日は、消費者庁、国民生活センターにおかれましては、大変お忙しい中を審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。
本日の議題は以上でございます。
前回の委員会におきまして、委員から、事務局担当者の出席が制限されたことにつきまして、説明を求めるとの発言がございましたので、事務局から、この点について報告をお願いいたします。

○齋藤審議官 6月24日の消費者委員会におきまして、池田委員から、国民生活センターの在り方の見直しについての担当者が、消費者委員会に出席を控えるように要請があったことについて説明を求められておりましたところ、その経緯を含めて報告いたします。
先般、6月17日に開催されました民主党の消費者問題PTにおきまして、国民生活センターの在り方の見直しに関する消費者庁・消費者委員会からのヒアリングが行われました。その際、消費者庁・消費者委員会の担当者の発言の態様が、円滑な議事の進行上、御迷惑をおかけしたということで、この報告を受けた政務から、本件は極めて重要な課題であり、丁寧な議論を進めていくことが重要であるとの認識の下、説明は部局組織を代表する方々に一本化し、それぞれの当事者には出席を控えるようにとの要請がありました。
なお、この要請を受けた後、6月24日に開催されました民主党消費者問題PT及び消費者委員会に、当事者は出席を控えまして、議事も混乱することなく進んだという状況でございました。こうした状況を踏まえまして、政務からは、出席を控えることを解消してもよい旨の伝達があったところでございます。
以上、その後の経緯を含めまして、御説明させていただきました。

○松本委員長 よろしいでしょうか。
それでは、最後に事務局より、今後の予定について御説明をお願いいたします。

≪3.閉会≫

○原事務局長 どうもありがとうございました。次回の委員会は、来週、7月8日(金曜日)15時から行う予定です。
議題としましては、民法改正(債権関係)に関する関係団体からのヒアリングを予定しております。そのほかの議題については、決まり次第、御連絡させていただきたいと思います。
以上です。

○松本委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。予定の時間を若干超過して行いました。お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございました。

(以上)