第59回 消費者委員会 議事録

日時

2011年6月24日(金)15:00~17:17

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 松本委員長、中村委員長代理、池田委員、佐野委員、
 下谷内委員、田島委員、日和佐委員、山口委員
【説明者】
 消費者庁  福嶋長官
田邊消費者情報課長
林地方協力課長
 独立行政法人国民生活センター  野々山理事長
古畑理事
【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.消費者安全法に基づく国会報告について
○説明者: 消費者庁 田邊消費者情報課長
3.国民生活センターの在り方について
○説明者: 消費者庁 福嶋長官、林地方協力課長
独立行政法人国民生活センター 野々山理事長、古畑理事
4.閉 会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:8KB)
【資料1】 消費者安全法に基づく国会報告について(消費者庁提出資料)(PDF形式:65KB)
【資料1別添資料】 消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果の報告
平成24年度以前についての情報は、国立国会図書館インターネット資料収集保存事業(WARP)サイトにて御覧いただけます。
消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果の報告(平成24年度以前)別ウィンドウで開きます
【リンク先のPDF 『消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果の報告 平成23年6月17日公表(平成22年10月1日~平成23年3月31日)[PDF:1.8MB]  』 を御参照ください】(平成30年10月リンク先更新)
【資料2】 「消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果の報告」に関する意見(案)(PDF形式:18KB)
【資料3】 「国民生活センターの在り方の見直しに係るタスクフォース取りまとめ」(原案)に対する確認事項(PDF形式:18KB)
【資料4】 国民生活センターの在り方関連資料(消費者庁提出資料)(PDF形式:21KB)
【参考資料1】 国民生活センターの在り方関連資料

≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、時間がまいりましたので、始めさせていただきたいと思います。
本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第59回)」の会合を開催いたします。

≪2.消費者安全法に基づく国会報告について≫

○松本委員長 それでは、議題に入ります。
本日は、当初予定しておりました「消費者安全法に基づく国会報告について」に加えまして、「国民生活センターの在り方について」を議題として取り上げたいと思います。
まず初めに、消費者安全法に基づく国会報告についてです。消費者安全法第13条では、「内閣総理大臣は、行政機関、地方公共団体等からの通知により得た情報、その他、消費者事故等に関する情報が消費者安全の確保を図るため有効に活用されるよう、迅速かつ的確に当該情報の集約及び分析を行い、その結果を取りまとめ、その取りまとめた結果を国会及び消費者委員会に報告すること」とされております。消費者庁におかれましては、昨年6月と本年2月に取りまとめを行っており、それぞれ消費者委員会におきまして御報告をいただいております。今回、第3回目となる取りまとめを行ったということですので、本日はそれについて御報告をいただきたいと思います。
それでは、消費者庁消費者情報課より御説明をお願いいたします。

○消費者庁田邊消費者情報課長 消費者庁消費者情報課長の田邊でございます。
お手元に、資料1と本体の冊子が別途配付されておりますが、この場では資料1に基づいて簡単に概要を御説明させていただきます。今回の国会報告ですが、先週の6月17日に閣議決定されまして、全国会議員に配付され国会報告をされたところでございます。
A3の紙で御説明いたします。タイトルの右上に今回の国会報告のデータ期間が記載されておりまして、平成22年10月1日~23年の3月末で、実はこの2月に第2回の報告をさせていただいて、それが平成22年度の上半期、今回は下半期のデータ期間を対象として3回目の報告をさせていただいたところでございます。
国会報告の構成でございますけれども、2章構成になっておりまして、前回の第2回目の報告を踏襲した構成となっております。具体的には、左側の「消費者事故等に関する情報の集約及び分析」、これが1章でございます。重大事故とか消費者事故の内訳を分類している、いわばデータ編でございます。2章が「消費者庁等の措置」で、消費者庁による法執行・行政処分の状況や注意喚起の件数等をまとめています。前回から特に我々としても、消費者庁の活動をできる限りわかりやすくお知らせするという形で2章の方の充実を心がけているところでございます。
では、中身について御説明いたします。まず、データ編の1章でございますが、データ編については3点ほど、第2回から比べて新しい点がございます。第1点といたしましては、3回目にしてデータの蓄積により前年との比較が可能になったということでございます。具体的に申し上げると、マル1の重大事故等は、死亡とか、30日以上の治療が必要なケガとか、そういったものでございますが、今回のデータ期間では赤字にありますように、391件の通知。括弧書きの264件というのは前年同期の数字でございまして、今回は前年に比べて130件ほど増えている。更に、その内訳としてその下に内容別という記載がございますが、これを見ていただくと、一番多いのが火災で265件。前年同期は107件ですので、主として火災の増加によって、今回、重大事故が前年より増えていることがわかる。このように前年同期との比較が可能になったというのが第1点目でございます。
第2点といたしましては、マル6に医療機関ネットワークの登録情報というのがございますが、これは、生命・身体の消費者事故が起きて、被害者の方が医療機関に行った場合に、その医療機関から今後の消費者事故防止に資する詳細な情報を収集するといったものでございます。昨年の12月から始まったといったことを記載させていただいております。
第3点目でございます。マル4の消費生活用製品安全法の重大製品事故の報告とありますが、この事例をフルリストで冊子に載せました。ページで言うと76ページ以降でございますけれども、マル1の消費者安全法に基づく重大事故の事例については第1回目から巻末に載せておりましたが、今回からマル4についても載せたといったところで、これによって冊子自体が大部になったといったところでございます。
このような3点の新しい点がございまして、実際に事故の状況をどのように見るかといったことでございますが、先ほど申し上げたように重大事故については前年と比べて増えている。一方、マル2の消費者事故等、これは重大事故を除く非重大で、生命・身体と財産事案に分けられるわけですが、生命・身体、財産事案ともに、マル2の非重大事故では減少しておりまして、重大事故は増えているけれども、非重大は減っているといった件数だけの状況です。
実際に中身を見ていただくと、マル1の重大事故については最も多い要因が火災で、次が転落・転倒・不安定。これは、典型的には乗合バスの中での転倒によるケガとか、そういったものが多数含まれておりますけれども、そういったものが多くなっている。これは実は第1回目、第2回目、第3回目と共通した傾向でございます。
一方、マル2の非重大の消費者事故についても、生命・身体について内訳を見ると、内容別で中毒が多くなっている。これは食中毒が一番多くなっている。これも第1回目、第2回目、第3回目と共通のことでございます。財産分野についても、商品等別では金融・保険サービスが最も多く、次に教養娯楽品となっております。これらの2つが1番、2番というのも3回とも共通した傾向で、このように件数自体は重大事故が増えて非重大は減っていますが、その中身を見ると、傾向は第1回目から変わっていない。これによって我々としては、事故の傾向は変わっていないと理解しております。
続きまして、右側の2章の消費者庁等の措置でございますが、これも前回の構成を踏襲して4項目についてまとめております。マル1が消費者庁の持っている法律の執行状況で、4つの法律の執行状況とその簡単な説明が書いてあります。
マル2が消費者への情報提供で、このうち上2つが、消費者安全法及び消費生活用製品安全法による重大製品事故の公表、定期公表の件数が書かれております。
次の2つのマルが、消費者安全法あるいは消費生活用製品安全法による情報に基づく情報提供。これらの2つの法律以外のデータソースに基づいた注意喚起、これは24件で、そういったものが情報提供ですが、注意喚起のものが2つ書かれております。
次に5つ目のマルですけれども、消費者庁として研究会にも力を注いで、この期間において3件の取りまとめを行いました。それが今回初めて、このような形で冊子の中にも記載させていただいております。
最後の6つ目のマルです。これは第2回の報告から記載されているものですけれども、毎週1回、「子ども安全メール」というのを配信しておりまして、これが当該期間で25件あった。
続きまして、マル3です。消費者庁以外に所管の省庁に対応を要請して、その所管の省庁がどういった対応をしたかというところまでを含めた記載を、要請等という形でまとめて、これが9件あった。
最後にマル4として、国民生活センターによる情報提供、注意喚起が32件あった、このようにまとめております。
この右側の方の理解でございますが、赤字と括弧書きの黒字を比べると、概ね赤字の方が増えていると見ております。これは消費者庁としての取り組みが、少しずつではありますが、進んでいる、前進しているといったことが数字的にもあらわれているのではないかというふうに我々として理解しているところでございます。
簡単ですが、説明は以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、どうぞ、御意見、御質問のある方はお出しください。
中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 ようやく前年比ができるようになったという御報告で、一般的に言うとその傾向は変わっていないという御報告だったのですが、そこで終わっていいのかというのが私はちょっと疑問を持っております。事故として一定の製品に関する事故が非常に多い。例えば報告の14ページに上位の品目が書いてありますけれども、こういう、いつまでたっても多いものをどうやって減らすかという分析はされていないのでしょうか。ずっと減っていないものは減っていない、多いものは多い、順位が変わっていない、だからいいんだということで放置しておいていいのだろうか。消費者庁の中において、せっかく集めた事故情報を分析して安全政策にどうやって生かすか、というところのつながりがいつもよく見えないので、その辺はどうしておられるのか、お聞きしたい。
特に14ページなどは、前年と余り傾向が変わっていないとおっしゃっているけれども、下の方の「その他」という製品で見ると、前回の報告では全然入ってきていなかった介護ベッド用手すりなんていうのが突然第2位に浮上してきているわけです。どうしてこうなったのか。こういうものは急いで何か対策をしなければいけないのではないか。確かに報告というか、注意喚起は一回出ていますけれども、これを減らすための技術的な方策も含めて、分析、対応をどうやっておられるのか。その辺、御説明をいただきたいと思います。

○消費者庁田邊消費者情報課長 御指摘の点でございます。前回の報告の中ではたしか記載されてあったと思いますけれども、事故情報対応チームを昨年つくって、重大事故以外のものについても機動的に対応できるという形で対応し、必要に応じて注意喚起なり各省への対応要請等を行っております。そういったものが結果的にこのような形の右のあれにもつながってくるということですが、個別の対応状況が書いていないのは、我々としてのこういった事故に対する対応がこの報告からはすぐにはわからないという御指摘は、確かにそういったところはあるかなと。ただ、そういう形で我々としても重大事故以外のものについても、できる限りきめ細かく対応していこうという姿勢でやっているというところをお答えしたいと思います。

○中村委員長代理 私の疑問は、例えば電気製品でいつまでも電気ストーブ、エアコンが1位、2位で、すごく多いのですが、この状況について、消費者目線から何かしなければいけないのではないかと思わないんですかね。それがどういう取り組みをされているかというところを聞きたい。まさに消費者庁ができて情報を一元化した本来の心というのはそういうところにあったと思うので、その辺をちょっと聞きたいということなのです。

○消費者庁田邊消費者情報課長 例えば電気ストーブとかこういったものによって火災なりが季節的に発生するようなことであれば、冬季においてそういったことを呼びかける注意喚起という形では対応してきております。それ以上に、今後、いろいろ対応を改善していく、そういった必要性もあろうかと思います。ただ、繰り返しになりますけれども、例えば電気ストーブによる火災が冬季において多いということであれば、そういったことに対する注意喚起なりは一定程度はしてきております。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 質問をしたいのですけれども、2つの法律から情報が一元的に入ってくるわけで、同じ事故が重複して伝えられるということが多々あると思います。それは、課の中でどのような形で合わせるというか、これは同じ事故ではないかとか、そういう突き合わせをしているのかどうかということを一つお聞きしたい。
もう一つ、今度新しく医療機関ネットワークという、いろいろな病院から情報が入るようになったのですけれども、それについてほとんど何も書かれていないというのが非常に残念です。これはたしか専門スタッフの方を各病院に置いて、それで情報を上げてくるという形になったと聞いていますが、その割には余りにも少ない情報かなと思います。もう少し中身がわかるような形にできないものですか。
もう一つ、言葉遣いで教えていただきたいのですけれども、今度新しく「追跡確認状況」というのが出るようになりました。一つが「対策実施」というので、対策しました。「原因分析着手」は原因分析をスタートしましたということだと思うのですが、「追跡確認未了」というのは、まだ手をつけていないという意味なのか。その言葉の遣い方を教えてください。

○消費者庁田邊消費者情報課長 消費者安全法による重大事故等、ここで言うとマル1とマル4のところだと思いますけれども、これは同じ担当課に情報が集約してくるので、当然、重複している、しないというのはきちんと把握できるようになっていて、把握できたものについては、定期公表している際にもそういった旨を付記するなりして対応しています。
2つ目の医療機関ネットワークについては、今回新しいあれでもあるので、できる限りいろいろな記載をしたいとは思っていたのですが、どういった形で情報をここに載せたらいいかといったところがうまくまとまらずに、今回はこのような形の記載にとどまっている。ただし、非常に重要な情報であるので、非常にいい形で、今後、ここについても国会報告の中で記載を改善していく必要性というのは十分理解しています。
3番目に、追跡確認で、特に附票の最後の方ではずっとあるわけで、これは、調査は進めているのですが、これは実は定期的に報告しているものをそれに基づいて記載しているもので、報告、公表に至っていない時点なのでこういう形での記載になっていると。作業は進めているのですが、まだ公表以前の段階なので、ここでもそういうステータスの表示になっているということです。

○佐野委員 原因分析着手とどういうふうに違うのですか。

○消費者庁消費者情報課 補足になるかわかりませんけれども、2ページに追跡確認情報が付されていまして、12月31日までに受領したものについては担当課でこのようにして分類されている。原因分析着手という状態については、関係機関により分析が着手予定のものという分類になっています。23年度1月1日~3月31日受領分については未掲載になっていますけれども、これは、担当課において定期的に行う追跡確認状況を各省にお願いしていて、その答えがこれを執筆する段階ではそろっておらず、現在の時点においても通知元に対して確認中のものがあって、それは載せていない。未掲載というステータスについて、追跡確認状況においては追跡確認未了というふうに記載しているところでございます。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 76ページ以下に重大製品事故がズラッと並んで、153ページまでおよそ80ページにわたって書いてありますが、4つ質問があります。1つは、事故発生から報告受理日、これが結構期間が長いものがあります。例えば153ページの自転車用幼児座席。これは事故発生から受理まで2年ぐらいかかっています。この辺の発生から受理まで期間がかかっているものについて、何らかの形で理由を報告すべきではないかと思いますが、その辺はどうなっているのか。
それから、これは極めてつまらない話ですが、76ページ以下のものを見ると、対象期間が10月1日からと書いてある。先ほどの説明ですが、10月1日より前のものもあるのは、前回載せなかったから今回載せているんだよという意味でいいのか。
3つ目は、機種と型式、事業者名、これが書いてあるのはとてもいいと思いますが、書いていないものがありますね。型式と事業者名を書いてあるものと書いていないものは、どういう区別になっているのか。
4つ目、これはちょっと意見めくのですが、恐らく報告受理日の順番に並べたということだと思いますけれども、この報告の趣旨から考えると、機械的に受理日の順番で並べるのではなく、製品の種類別に並べるとか、例えば介護用ベッドを並べるとか、エアコンを分類するとか、ガスレンジを分類するとか、そういうふうに製品別に並べると、なるほど介護用ベッドでこんな事故が多いんだなとか、自転車ではこういう事故が多いんだなと、傾向が見えてくると思うのです。表を全部載せるのはいいけれども、次年度はもう少し分類的なものを入れた方が、「なるほど、こういうものに気をつけよう」というふうになるのではないかと思います。
以上、4点。

○消費者庁田邊消費者情報課長 最後の点で言うと、実は報告書では紙ベースでこうなっていますけれども、ホームページ上はエクセルのシートで載せています。それはなぜ載せたかというと、まさにそういう需要があるのではないかと思って、それは任意でユーザーの方が並べかえられる形にしています。御指摘のように、例えば製品別より年代別の方がいいと言う人も当然いらっしゃると思うので、スタンダードとして紙ベースではこうやっている。ただし、ユーザーのニーズに応じてそうできるように公開しているということがございます。
製安法については、古いのもあるということですが、新しい事実なり公表すべきものがあったときには公表されて、その都度ここに載せているので、同じ事案について複数回ここに載るということがあります。
機種と事業者名がないということで、すべての事案について理由を確認しているわけではないのですが、基本的な考え方として機種なり事業者名の公表も事業者名なりの了解に基づいてなされているということなので、そこで了解してもらうことができなかった場合にこのような記載になっているというふうに私は理解しております。
最後に、事故発生と報告受理で、これも個別にはいろいろ理由があろうかとは思いますが、事故の原因が必ずしも明確でないと。例えば火災で言うと、場合によっては放火によるものもあるわけで、必ずしも製品起因であるかどうかとか、そういったことがわからない時点では報告に至らないことも場合によってはあるのではないか。それは個別事案ごとにも異なるので、ここで一概には申し上げられないのですけれども、そういった要因もあるというふうに理解しています。

○山口委員 例えば90ページをご覧ください。要するに、調査中だと業者名を書かないのかなと思ったら、調査中でも名前が出ているところがあります。恐らくこれは、今、田邊課長がおっしゃったことによると、業者が名前を出すことを了解したら載せて、載せないでくださいと言われたら載せない、こういうことなのかなと思うんだけれども、それはちょっと甘すぎやしませんか。特に重大事故であれば、例えば90ページの真ん中辺りには、名前が載っていないで、「重傷1名・当該製品を使用中、お湯が噴き出し火傷を負った。スチーム用の水を入れ過ぎていた可能性も含め、現在、原因を調査中」と。これは結構危ないから、こういうのは調査中であっても、業者が仮に名前を出さないでと言っても、出した方がいいのではないかと思います。この辺は消費者庁なりのスタンダードをつくって、業者がだめと言っても危ないものは載せるとか、基準をつくったらどうですか。

○消費者庁田邊消費者情報課長 御意見として賜りました。これは、私がつくるとも何ともそこはお答えできませんが、そういった問題意識は理解いたしました。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 それに関してお伺いしたいのですが、確かに重傷とか死亡とか、機種も事業者名も書かれていないのは、消費者庁では、機種も事業者名も把握しているけれども、事業者の了解が得られないから発表しないのか。そこまで調査をしていないのか、どちらなんでしょうか。

○消費者庁田邊消費者情報課長 個別には多分いろいろなタイプがあるので、そこはどちらかといったことは、必ずしも明確に私もすべて把握しておりませんが、基本的なスタンスは、まさに御指摘のようにできる限りすべて出すというスタンスでやっています。ただ、幾つかの理由によって出せないというようなことがこういう形で出ていますが、基本的にはまさに重大事故であるので、できる限り出さないといけないといった認識で、出す形でいろいろ法の運用もやっていますし、そういう形で進めているということです。

○下谷内委員 そうすると、消費者庁ではすべてこれを把握しているという理解でよろしいわけですね。だけど、了解が得られないからと。昔、確かにアロマの件で公表しようとしたら、議員さんからいろいろあったということはあったんです。それは重大事故でも何でもないことだったのですが、特に重大事故で重傷とか死亡とか、そういうものに関しては、美顔器なんていうのは公表できるものではないかと思うのですが。

○消費者庁消費者情報課 ちょっと補足になります。この公表事故の分類の考え方ですけれども、76ページのところに消費生活用製品安全法、消費者安全法についても36ページの方に考え方を書いてございます。ここは、端的に申し上げて、我々は週に2度公表している重大事故の内容をもとに一覧表として整理をしているということで、今、いただいた御質問は、その根元の、週に2回行っている重大事故の整理のところの考え方に少し踏み込んで御質問をいただいているところもあるので、ちょっと明確にお答えすることが不十分であった点もあるかもしれません。そこのところはまた、担当課に確認させていただきたいと思います。申し訳ございません。

○松本委員長 どうぞ。

○下谷内委員 資料1の左、マル6の医療機関ネットワークの登録情報ですが、昨年の12月からということであります。これは「国民生活センターと共同で開始」とありましたが、もともと国民生活センターは全国に、わずかな病院ですけれども、そういう情報提供のシステムをつくっていたわけです。それに追加していくのであれば、医療機関ネットワークのこの事故データバンクに入ってくるものは違った形になるのではないかと思いますが、全く新しいものを考えられたのでしょうか。もともとあったのですが、それは無視というか、それは横に置いといて新しいものをつくられたという理解をすればいいのでしょうか。

○消費者庁田邊消費者情報課長 制度・システムとしては新しいのですが、それまでにあったものをどの程度活用したかというと、そこまでは把握していないというお答えになります。システムとしては新しいのですが、当然それまでも蓄積があるので、そういったものを活用しているのではないかなと思っていますが、そこは正確な実情は把握していません。

○松本委員長 ほかにございませんでしょうか。
ございませんようでしたら、消費者委員会といたしましては、これまで消費者安全法に基づく国会報告におきまして、二度、意見を取りまとめて公表しております。今回、そのフォローアップという視点も含めて今回の報告に対する意見案をまとめておりますので、佐野委員から御紹介をお願いいたします。

○佐野委員 では、資料2をご覧ください。「『消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果の報告』に関する意見(案)」を提案いたします。今回、3回目となりますので、最初の部分は省略させていただきます。
I、まず、「改善された点」として3点挙げました。
ア、消費生活用製品安全法に基づく重大製品事故の事例が盛り込まれた。
イ、「追跡確認状況」のデータと重大事故事例のデータとの関連づけ、どの事故がどのように対処されたかなどを示す項目が追加された。
ウ、情報を受けての消費者庁等の措置状況がより詳しく掲載された。
アとイはこれまで消費者委員会として要望してきたことで、今回の報告では一定の改善が見られます。ウについては、消費者庁等による情報提供や行政処分等など、情報に対する措置について、その内容説明がより詳しく掲載されている点で改善が見られるということで、3点、改善された点を挙げました。
II番目に「課題が残された点」。「情報の一元化と社会的共有化への推進について」として6点挙げました。
「マル1『追跡確認状況』が報告期間内の重大事故例を網羅するものとなっていない」。つまり、すべての事故情報に追跡確認の状況が書かれていないということであります。
「マル2重大事故の発生日から消費者庁の通知受理日との間に長期間を要している例が依然として見受けられる」。先ほども意見でありましたように、中には1年以上も要しているものもありまして、重大事故情報の迅速収集に懸念があります。
「マル3『重大事故』と『重大製品事故』の公表項目が整合化されておらず、重複事故例がわかりにくい」。先ほど、重複事故はきちんと確認されているとのことでしたので、この報告書にもきちんとわかりやすく書いていただきたいと思います。それから、重大事故と重大製品事故の項目もわかりやすく整合化していただきたい。
「マル4昨年4月に稼働し1年が経過した『事故情報データバンク』、及び昨年12月に開始された『医療機関ネットワーク』に関する制度の運用実績と情報の活用状況に関する説明が不十分である」。
「マル5消費者安全法に基づき収集された重大事故例以外の、身体・生命に関する事故例についての分析・措置状況が明確ではない。その中で、最も件数の多い『食中毒』については、事例及び行政の対応が公開される必要があると考える」。消費者庁をはじめ関係行政機関がどのような分析・措置を講じたか、または講じなかったのか、明確にすることが必要と考えています。
「マル6『重大事故例』のうち、『相談者非公表希望の事例』がその概要すら公表されていない」。これについては、第1回目から毎回求めているのですけれども、事故情報は国民の共有財産であること、概要公表を含む公表の在り方を工夫するよう今回も再度求めます。
2番目、「わかりやすく使いやすい分類を」として2項目挙げました。
「マル1『事故内容』の分類がわかりにくいままとなっている」。これは分類の内容がわかりにくいので、是非工夫をしていただきたいと思います。
「マル2『商品別・サービス別分類」等がわかりにくいままとなっている」。これも毎回申し上げているのですが、大分類、中分類、商品等別分類の整合性がとれていないので、是非工夫していただきたいと思います。
III番目、「何のための国会報告か 再確認を」。国会報告は、事故関連情報の取りまとめ結果が、社会全体で、消費者安全の確保が図られるよう、収集・分析した情報が、消費者はもとより、事業者、地方公共団体等に、幅広く、積極的に活用され、消費者事故の未然・拡大防止に有効に活用できるようにすることを目的としています。また、消費者庁がどのように対応したか、そのプロセスをわかりやすく説明し、透明性を確保することも目的の一つであります。
そのためには、公表された情報の内容がわかりやすく、理解しやすいものであることが前提でありますが、消費者庁はこの点を確認していらっしゃるのでしょうか。これらを再確認し、今後、取りまとめるときに是非この点を考慮していただきたい。
IIで述べたとおり、残された課題は多岐にわたっております。消費者委員会は、これらの課題について、国会報告の意義と目的を重視し、検証・評価・監視を実施していきます。
なお、消費者庁による事故情報の収集・分析・公表・活用の状況全体については、消費者委員会消費者安全専門調査会が、現在、報告書を取りまとめ中でありますので、消費者委員会としては、報告書ができた時点で、改めて意見を表明する予定であります。
以上を提案いたします。

○松本委員長 ありがとうございました。この意見案につきまして、どうぞ、御意見のある方は御発言ください。
特に御異論がなければ、この内容で委員会としては意見を採択したいと思います。ありがとうございました。
なお、消費者庁といたしまして、ただいまの意見について、この場で御説明できることがございましたら御発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。追跡確認状況につきましては、先ほどの質疑の中でお答えいただいたかと思います。

○消費者庁田邊消費者情報課長 まず、基本的な国会報告に対する考え方ですが、今回も改善された点として記述していただいています。我々としては、少しずつでも、一遍に劇的によくというのは難しいかもしれませんが、できる限り改善していきたいと思っていて、そういった点では今回もスペシフィックに改善点等を御示唆いただいておりますので、こういった点を踏まえて、今後、改善を検討していきたいというのが基本的な考え方です。
その上で、今回、記載していただいた点について何点か申し上げると、先ほど、マル1では御質問があって、あのような回答でございますが、重大事故の通知と受理の話についても先ほどお話ししました。典型的には火災の例だと思いますが、消費者事故である以上、製品起因であるとか、そういったことがある程度わからないとそこは消費者事故にはならないので、どうしてもそこがわかるまで、直ちにということで最善の努力はするのですが、一定期間を要する場合があるというのはやはり御理解いただきたいなというふうに思っています。
マル3についても前回から御指摘をいただいておりまして、表記上で何らか工夫できて、うまくわかりやすくできればというようなことも考えております。
マル4については、今回、医療機関ネットワークについてアクセス数を加えたぐらいの記述しかできませんでしたけれども、ここも非常に大事な情報なので、うまい形で、わかりやすい情報提供ができればというふうに考えています。
マル5についてですが、事実関係として、少なくとも食中毒の事例そのものについては、都道府県とか政令市で公表はされているということがあって、それ以外にもいろいろ公開すべき御指摘だと思いますが、事実としてはそういったことであることをお伝えしておきます。
マル6についても毎回あって、これも我々的には、まさに国民の共有財産であるので、できる限り公表させていただきたいといったところで、相談者に個別個別にお伝えして、公表できるようにしていく努力を続けることかなと。
分類についてですが、これも前回、特にマル2についての御指摘をいただいています。ここは確かにわかりにくいというあれもあるので、長期的には検討課題を直していかなくてはいけないものかなというふうに考えております。
マル1についても、何らかの形でもうちょっとわかりやすく、内容がわかるように工夫できればと考えております。
繰り返しになりますけれども、こういったいただいた御意見、御指摘等を踏まえて、少しずつでもいいものにしていきたいというのが基本的な考え方でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
どうぞ。

○山口委員 半年後にまたこういうものをつくられると思いますが、今度の期間は、放射能汚染の食品等についての問題が一つと、例のユッケの死亡事故の件がありました。だから、ただ数字だけ並べるのではなく、特にその2件については、既に委員間協議の中でも申し上げましたが、消費者庁としてどういうふうに取り組んで、どういうふうに把握しているのかというところも、是非、ある程度読みごたえのある内容のものを工夫いただきたいと思います。よろしくお願いします。

○松本委員長 ありがとうございました。
消費者庁におかれましても、消費者事故等に関する情報の集約・分析、取りまとめ、結果の報告につきまして、毎回、少しずつ改善されているということですので、一層読みやすく、また、使いやすいものに改善の工夫を続いていっていただきたいと思います。
本日は、消費者庁におかれましては、審議に御協力いただきまして誠にありがとうございました。
それでは、次の議題までの間、一たん休憩をとって、16時に再開して、国民生活センターの在り方について審議を行いたいと思います。

(休 憩)

≪3.国民生活センターの在り方について≫

○松本委員長 それでは、再開させていただきます。
続きまして、国民生活センターの在り方についてです。国民生活センターの在り方につきましては、第57回の消費者委員会におきまして、「国民生活センターの在り方の見直しに係るタスクフォース」中間整理についての意見を当委員会として取りまとめ、前回の第58回委員会においては、消費者庁及び国民生活センターにおいでいただいて議論を行ったところです。
本日も、引き続き、消費者庁から福嶋長官、国民生活センターから野々山理事長においでいただいておりますので、議論を行いたいと思います。
本日の議論に先立ちまして、前回の議論を踏まえて消費者委員会として確認したい事項をまとめており、事前に消費者庁にお届けしております。この確認事項につきまして、事務局から簡単に御説明をお願いいたします。

○原事務局長資料3をご覧ください。傍聴の方もおられますので、消費者委員会から消費者庁にお願いいたしました事項でございます。御紹介させていただきたいと思います。
まず、1ですけれども、「消費者委員会が示した懸念への対応について」ということで、(1)として「情報発信の遅れについて」ということがございました。2つのことを更に重ねてお聞きしたいということでお願いしております。
1つ目は、第58回の消費者委員会で御発言がありましたけれども、「組織を一元化すれば、消費者庁の中の対等な議論になるので、確実に情報発信は早くなる」という旨の御説明がありましたけれども、委員会といたしましては、独立行政法人通則法第3条第3項、これは「業務運営における自主性は十分配慮しなければならない」という項目ですが、それを踏まえれば現在の事例の調整自体、問題があると考えるけれども、見解をお伺いしたいとしております。
2つ目は、タスクの取りまとめの3ページのところをちょっと引用しておりますけれども、これも前回の消費者委員会で「消費者庁からは、『資料の提出を求める権限』の規定について、消費者安全法第14条第1項を例に挙げる発言」がございました。この第14条第1項について、議論をまた深めさせていただけたらと考えております。
2ページ目ですが、(2)として「その他の懸念事項について」としております。消費者委員会の意見では幾つかの懸念を示しておりまして、全般的な懸念、全体についてということですけれども、消費者庁は前回の委員会の発言の中では、「一元化したら必ずこうなるということはいえないし、逆に一元化しなければ必ずこうなるということも言えないはず」という御発言でした。委員会としても、必ず懸念どおりというふうになるとしているわけではありませんけれども、法制上も、経験則上も、懸念についての蓋然性は相当高いと認識してあのような意見を出しております。そうした懸念が払拭されるような制度設計を求めておりますので、その後の検討状況を伺わせていただければと思います。
2つ目の大きい項目ですが、「消費者庁への情報の一元化について」です。確認事項としてはマル4としております。消費者安全法第15条第1項の規定、これは消費者への注意喚起について規定している部分ですが、これについても、消費者庁と委員会側でもう少し検討を深めてみる必要があるのではないかと思っておりますので、消費者庁の御見解をお伺いしたいと思っております。
マル5番目、ここはちょっと長い文章にはなっておりますけれども、迅速に情報発信を行うことができる国民生活センターとの間での一定の役割分担を図ることで、消費者庁内の人の配分の効率化を図ることができるものと考えておりますが、あえて消費者庁に国民生活センターの情報発信機能を吸収することにどのような利点があるのか、具体的にお示しをいただければというふうに思っております。
3ページ目に入りますが、3として、「一元化することに伴う組織運営上の効率性について」ということです。確認事項マル6といたしまして、消費者庁は、是非有用な人材にきていただきたいということで、そのことは消費者委員会も全く同感であります。ただ、専門性の部分については、今、各省庁からの出向者がそれぞれの出身省庁で培った専門性を持って対応しておられると思います。
更に消費者庁の人材を強化するという意味では、マル1とマル2に書きましたけれども、民間からのプロパー職員の中途採用を行うことも考えられるのではないか。それから、消費者庁と国民生活センターの職員を10名という規模で人事交流を行うことで、消費者問題への理解をお互いに深めていくことも考えられると思いますが、どのようにお考えでしょうか。
特に確認事項マル7番目に置いておりますけれども、なぜ民間等からのプロパー職員の採用ができないのかについては、前回、回答にまで至りませんでしたので、この点についても再度お願いしたいと思っております。
前回の消費者委員会での議論を踏まえまして、追加的にまた消費者庁にお答えいただけたらと思って準備をさせていただきました。
事務局からは以上です。

○松本委員長 それでは、7点の確認事項につきまして、消費者庁より御説明をお願いいたします。

○消費者庁林地方協力課長 それでは私から、順次、口頭で回答させていただきたいと思います。
まず、事前にいただいておりました確認事項のマル1でございます。御指摘をいただいております事前の調整については、消費者庁と国民生活センター双方の合意の下で情報共有、連絡調整を行っているものでありまして、消費者庁の権限を背景にした他省庁に対する効果的な働きかけ、あるいは、調査・分析における客観性や信頼性の一層の向上を図るといった観点から、独立行政法人の適正かつ効率的な業務運営、これは、独法通則法第3条第3項の前の第3条第1項で独立行政法人の業務の在り方について規定している部分ですが、こうした独法の適正かつ効率的な業務運営にも資するものであるというふうに評価をしております。
一方で、確かに御指摘をいただいた第3条第3項では、独法通則法、個別法の運用にあたって、「独法の業務運営における自主性は十分配慮されなければならない」、こうされております。こうした目で見たときに、事前の調整と申しますのは、国民生活センターを権限的に統制するといったものではなく、消費者庁と国民生活センター双方の合意の下に情報共有、連絡調整を行っていくことは、むしろ適正かつ効率的な業務運営に資するという意味で行っているというふうに認識をしておりまして、独法通則法第3条第3項との関係で問題になるものだとは認識しておりません。
続いて、確認事項マル2についてであります。消費者安全法第14条第1項について、これまで適用した事例は存在しないのではないかといった御指摘をいただいております。確かに国会報告等で公表しております事案だけを見ますと、悪質商法等の財産事案への適用といったものはございません。消費者安全法第14条第1項は、規定上は悪質商法等の財産事案に適用できるものでございまして、公表案件以外のものについて申し上げますと、内容的には非公表案件になっておりますし、調査の途中段階のものもありますので、公表は差し控えさせていただきたいと思いますが、実際に同項に基づいて資料の提出要求等を行った事例は、過去に104件、存在いたします。消費者庁といたしましては、むしろ消費者被害の拡大防止という観点からしますと、悪質商法等の財産事案に対しても、第14条第1項をより適切に今後とも適用していく必要があると考えております。
同項につきましては、もう一方で、そもそも行政機関等を念頭に置いているのではないかという御指摘もいただいております。実際に第14条第1項を使った事例の中では、公表しているものの中にも民間事業者に対して適用を行ったものもございまして、携帯の音楽プレーヤーの販売事業者、あるいはシンドラーエレベーター社といったところに対して資料の提出を求めております。
続きまして、確認事項マル3でございます。この3点目は、非常に広範な懸念事項について、そもそも制度設計上どう対応するのか、その後の検討状況を伺いたいということでございました。今日、関連資料の資料4として、消費者委員会の意見の中で大きく分けて6点ほどの懸念事項が示されているだろうということで、現時点での消費者庁の考え方を表として整理したものをお出ししております。これは、先日の自民党の消費者問題調査会の中でも、これらの懸念事項について、消費者庁の考え方、それに対する消費者委員会の考え方、それをもとに、今後、検討、調整をどう詰めていくのか、整理するようにという御指示もいただいておりましたので、消費者委員会事務局で御提示いただいた懸念事項の取りまとめに対応して、消費者庁としての考え方を整理させていただいたものでございます。若干、いただいた確認事項と重複する部分もあることはお許しいただいて、その内容について御説明させていただきたいと思います。
まず、1番目の「『情報提供』の重複等について」というところでございます。この点については、先日の委員会でも非常に議論になったところだと思いますが、消費者への情報提供については、消費者庁及び消費者委員会設置法第4条第1号等に基づく消費者庁の最も重要かつ多様な事務だと認識しております。その中には、消費者安全法第15条に基づく注意喚起というものがございますけれども、これに限られるものではないと考えております。この点については、6月9日に事務局からいただいた文書の中でも認められているというふうに私どもは理解しております。
一方、国民生活センターにおきましても、センター法第10条第1号、あるいは第42条第2項に基づいて情報提供を行っておりまして、法制的にも、また、実態面でも重複が見られるというふうに理解しております。
私どものタスクフォース5回目では、情報提供について、今の独法形態で行っていることのデメリット、これは、機能別検討の中で、私ども消費者庁と国民生活センターそれぞれで、現行の業務・機能の在り方についての評価を議論した際の資料でございますけれども、この中でも、「処分権限がなく悪質事業者に対する強制力が弱い」とか、「注意喚起はできても、法律改正や政策といった根本的な解決に結びつきにくい場合がある」といった見解が国民生活センターからも示されております。
情報発信機能の一元化につきましては、国民生活センターの情報発信機能の重要性や有効性を私どもとしても否定しているものではございません。これを、消費者庁が有する権限、まさに国センが自らの限界だと考えているところ、ここと結びつけることによって、更なる実効性の強化を図りたいと思っているところでございます。
今回の一元化の重要な目的の一つは、現場のさまざまな相談情報を生かして、注意喚起や法執行、あるいは制度改正や消費者教育と、一貫した体系を持った消費者行政の実現を図ることにあると考えております。情報発信機能の一元化によって、調査権限や執行権限も含めまして消費者庁が有するツールを、事案に応じて選択的に駆使していくことが可能になる。消費者被害の救済や未然防止・拡大防止のためにも効果的であると考えております。
更に加えて、施設等機関が発掘した案件を、迅速性、機動性といったことをどう確保していくのかという御指摘もございますので、迅速な情報提供につなげていくための仕組みを更に具体的に構築していきたいと考えております。
また、設置法第3条におきましては、消費者庁は、「消費者に対して必要な情報及び教育の機会が提供され、~ことが消費者の権利であることを尊重する」等の消費者基本法に定められた理念、これにのっとって事務を行うことが任務とされております。こうした役割が一般的に期待されている消費者庁には、消費者への迅速かつわかりやすい情報提供が実際にも求められております。
一つの例示として東日本大震災のお話を出しましたけれども、国会などでも、被災者の方々、消費者の方々に迅速な情報提供、正確な情報提供をやるべしということが、たびたび私ども消費者庁には投げかけられております。このことにも応えて、例えば東日本大震災に際しては、放射能や食品等の安全に関するQ&Aを作成して、注意喚起にとどまらない情報提供、あるいは消費者に対する教育・啓発を行っているというふうに理解しております。
また、2つ目、3つ目の懸念、特にあっせんと各省庁との調整、あるいはあっせんと法執行といった点について、調整を行うことによって停滞するのではないか、時間的に遅くなるのではないかといったようなことや、あっせんを通じて示される法解釈が、消費者庁としての有権解釈と誤解されるのではないかといった懸念もお示しいただいております。
これについては、釈迦に説法でございますけれども、「あっせん」について一般的な解釈を見ますと、「当事者間で交渉すべきこと、あるいは現に交渉はしているがまとまらないでいることの中に第三者が割って入って、双方の意見を聞いて、相手方に取り次ぎ、必要に応じて自分の意見も述べて、両者の意見の一致点を見出そうとするものである」ということになっております。その際に、「場合によっては、第三者が独自のあっせん案を作成して双方に提示することもある」、こうされておりまして、法律の規定を個別の事案に適用していくという性質のものではもともとない。現在、国センが行っている「あっせん」も同様のものであると理解しております。
そういう性格のものでございますので、個別のあっせん事案について、消費者庁は勿論ですけれども、各法律を所管されている省庁と事前に調整をすることは考えておりません。また、行政処分と異なって、あっせん案の受け入れが強制されるといった性格のものではございませんので、当事者間の合意を導くためのものであって、業者を指導するといったようなものでもございません。また、法執行を行う上で、具体的にあっせんにつながった法律の解釈・適用が法執行の前例となるものでもないというふうに理解をしております。
2ページ目をご覧いただきますと、これも同趣旨の質問かと思いますけれども、あっせん・ADR・商品テスト、これらの関係についてどうなのか。行政庁として消費者側に軸足を置いたあっせんやADRができるのか。事業者側への圧力が生じるのではないかといったこと、さまざま御指摘をいただいております。
それぞれについて整理をしたものが右側でございます。あっせんについての理解は先ほどのとおりでございまして、ADRについてADR法を見ますと、「訴訟手続によらずに民事上の紛争解決をしようとする紛争の当事者のため、公正な第三者が関与して、その解決を図る手続」と定義されております。消費者庁と事業者の間の紛争において考えますと、両者の情報の質、量あるいは交渉力に格差があることにかんがみまして、消費者に必要な情報提供や助言などを行いながら、当事者間の合意に導いていく。この際、あくまでも中立の立場で交渉を促すものであるというふうに理解しております。
消費者庁について見ますと、先ほどの「任務」のところの規定で、「消費者に被害が生じた場合には適切かつ迅速に救済されることが消費者の権利であることを尊重する」という消費者基本法の理念にのっとって、消費者の利益の擁護及び増進等の事務を行うことを任務としております。その第一の事務として、たびたび出てまいりますけれども、「消費者の利益の擁護及び増進に関する基本的な政策の企画・立案・推進」というものが規定されています。
消費者と事業者について見ますと、情報の質や量あるいは交渉力に格差があることを踏まえて、両者の間に立って紛争の自主的な解決を図ることが非常に重要であります。このため、消費者紛争に係るあっせんについても、潜在的には消費者庁の所掌事務の中に含まれていると考えております。現に行政機関について見ますと、国土交通省や文化庁といった国の行政機関でも、あっせんあるいはADR的な機能を担っている例もございます。
また、法執行部署とあっせんやADRの事務局機能を担う施設等機関については、組織上、別の部署が担うことと、今の取りまとめ原案ではしております。圧力が生じるようなことはないと考えておりまして、また、ADRについては、庁に機能を移管する場合にも、消費者庁職員自らが実施するというものではなく、第三者の委員から構成される合議制の組織を設けて対応してまいりたいという方向で検討しております。
また、行政庁が訴訟援助ができるのかという御指摘もございました。これも立法例が必ずしもたくさんあるというものではございませんけれども、ここに掲げてございますように、特殊海事損害の賠償請求に関する特別措置法等では国に訴訟援助を行うことが認められております。また、地方税法等でも、行政機関に訴訟援助を行うことが認められております。こういった立法例もあるということでございます。
法執行部署と施設等機関相互の情報の取り扱いといったことについては、御懸念をなるべく払拭できるように、一定のルールを設けることを検討してまいりたいと考えております。
5点目の「情報発信について」でございます。これは先ほどの確認事項マル1と重なるものでございます。前項は先ほど御説明した趣旨と同様でございます。更に、機動性や迅速性を図る観点から、中間整理案では「情報発信調整会議」を設けることとしておりましたけれども、取りまとめ原案では、「情報発信調整チーム」というものを活用することを考えておりまして、相談現場の生の情報を迅速かつ効果的な情報発信につなげていく、このことのための施設等機関と内部部局の連携の仕組みを設けさせていただきたい。現在は監督官庁と独立行政法人という関係でございますけれども、一元化によって消費者庁内の対等な部署同士の連携となる。このことを踏まえて、迅速な注意喚起を行うことが可能となると考えております。
また、相談現場の生の情報に加え、消費者安全法に基づく通知情報なども含めて分析していただくといったことや、消費者庁が有する権限を活用して情報収集なども行うことができます。こうして内容面でも充実を図ることができるのではないかと考えております。
最後に、「これまでの行政改革との整合性」という点についてでございます。消費者庁、国民生活センターそれぞれが、今、実施している事務についての評価がございまして、国民生活センターの事務を消費者庁が取り込むことは、形としてはこれまでの行政改革の流れとは逆ではないか。効率性を高めるには統合した方が合理的である旨の論証が必要であるといったこと。また、「国が自ら直接実施することが真に必要」とまでは言えないこれらの事務を、消費者庁の事務として取り込んだ場合、他の政策課題との関係や、財政状況の中で、予算配分の総枠の中で削減されるおそれがあるのではないか、こういった指摘をいただきました。
それについての考え方は右側に記載してございます。情報の一元的な収集・分析・対応を消費者庁の中核の事務として、行政処分などの権力的事務、あるいは情報提供・啓発などの非権力的事務双方を消費者庁は担っております。消費者への情報提供について見ますと、設置法4条1号等に基づく消費者庁の最も重要かつ多様な事務であると認識しておりまして、この点は先ほどと同様ですけれども、いただいた文書でもこの点についての理解を得られているものと思っております。
今回の一元化については、国センが有する機能を消費者庁が有する権限と結びつけることによって、各機能の更なる強化を図ろうとするものであります。一元化によって、現場のさまざまな相談情報を生かしながら、注意喚起や法執行あるいは制度改正や消費者教育といったものまで、一貫した体系を持った消費者行政の実現が可能となると考えております。
消費者行政の機能強化という観点から現行の国民生活センターの各機能について見ますと、私ども消費者庁も、国として大変重要であるというふうに認識しております。
他方、独立行政法人そのものの今の在り方について見ますと、実は予算面でも、一般管理費や事業費について、従来以上の効率化目標の設定が中期計画等で求められております。独立行政法人の予算そのものも、今、厳しい制限が課されている状況にあります。そのことを踏まえて、一元化することによって、現行の国センの良さが更に削減されるという見方は当たらないのではないかと考えております。
最後に、今回の国民生活センターの在り方の見直しについては、「行政と独立行政法人との関係の再整理を含め、『公』の新しい姿を構築するための改革」であるというふうに年末の閣議決定でもされておりまして、独立行政法人制度の抜本的見直しの一環として行っているものでございます。既存の国と独法の関係を所与の前提として検討を進めているものではない、ということを最後に述べさせていただきました。
この懸念に対する我々の考え方は以上でございます。
いただいておりました確認事項に戻っていただきまして、確認事項のマル4でございます。「消費者庁への情報の一元化について」というところでございますけれども、前回、消費者行政推進基本計画の内容を御紹介させていただきました。そのことについて、結果的に消費者安全法第15条第1項の規定となって結実しているのではないか。だからこそ国民生活センターの情報提供とは、法制上も性格・機能を異にするものではないか。このことについて消費者庁としての見解を伺いたいということでございました。
消費者行政推進基本計画を見ますと、当時は「新組織」というふうに書かれていたのではないかと思いますけれども、消費生活センターからの情報や、国民生活センターのPIO-NETあるいは事故情報データバンク、こういったものを通じた情報、更には保健所、警察、消防、病院といった関係機関からの情報なども一元的に収集・分析するというふうにされております。
他方、現状を見ますと、消費者庁には必ずしもこれらすべての情報が集約されているわけではございません。相談現場の生の情報については、国民生活センターに集約されているという形になってございます。今回の一元化は、相談現場の生の情報とその他集約された情報を有機的に結びつけることによって、繰り返しになりますけれども、一貫した体系を持った消費者行政の実現を図る。注意喚起や法執行から制度改正や消費者教育まで、一貫した消費者行政の体系を実現することを目的としているものであります。
消費者への情報提供につきましては、設置法第4条第1号等に基づく、最も重要かつ多様な事務であると認識しております。この点については、繰り返しになりますけれども、消費者委員会事務局からいただいた文書でも認識をされていると思っております。したがって、消費者行政推進基本計画で定められた内容が消費者安全法第15条第1項にのみ結実したというふうに理解をしているものではございません。
また、国民生活センターもセンター法の規定に基づいて情報提供を行っております。したがって、法制的にも情報提供が重なっていると認識しておりまして、実態面からも重複が見られるというふうに思っております。
確認事項のマル5についてでございます。消費者庁が幅広い情報提供を行っていること自体は評価するけれども、消費者庁の抱える課題が山積していることを踏まえると、センターとの一定の役割分担を図ることで、人的資源配分の効率化等を図ることができるのではないか。あえて国センの情報発信機能を吸収することにどういう利点があるのか、ということでございました。
まず、第5回のタスクフォース、これは先ほど少し御紹介したところでありますけれども、情報提供については、国民生活センター自体も現行の独法形態であるがゆえの限界として、処分権限がなくて悪質事業者に対する強制力が弱いとか、注意喚起はできても法改正や政策といった、根本的な解決に結びつきにくい場合があるといった理解が示されているところであります。情報発信機能の一元化については、国民生活センターが果たしております情報発信機能の重要性や有効性を我々として否定するものではなく、これを消費者庁が有するさまざまな権限と結びつけることによって更に実効性の強化を図りたい、というふうに考えているものでございます。
また、今回の一元化の重要な目的の一つは、繰り返しになりますけれども、現場のさまざまな相談情報を生かし、注意喚起や法執行、制度改正、消費者教育と一貫した体系を持った消費者行政の実現を図ることにあると考えております。情報発信機能の一元化によって、調査権限や執行権限も含めて消費者庁が有するツールを事案に応じて選択的に駆使していくことが可能となると考えておりまして、消費者被害の救済や未然防止・拡大防止の点で効果的であると考えております。そのために迅速な情報提供、こういった機能を維持していくことは非常に重要であると考えておりまして、そのために情報発信調整チーム等の仕組みを更に構築していきたいと考えております。
また、実際に消費者庁に対して消費者へのさまざまな情報提供が求められていることについては、先ほども申し上げましたとおりでございます。
確認事項マル6について、組織運営上の効率性という観点で確認事項をいただいております。特に民間からのプロパー職員の中途採用を行う、あるいは国民生活センターと人事交流を行うことによって専門的知見の蓄積を図ることができるのではないか、こういった御指摘をいただきました。消費者の利益の擁護及び増進に関する、消費者庁が新たに行うこととなった事故情報の収集・分析・注意喚起事務といったものを除けば、との御指摘でございますけれども、消費者行政の司令塔として、消費者庁に与えられた情報の収集・分析・提供といった機能を効果的に活用する面においてはやはり専門性やノウハウが求められていると考えております。したがって、そこに国民生活センターが蓄積してきた人材、ノウハウの活用を図ろうということを考えております。各省庁から移管した事務について、現在、各省庁から来ていただいているそれぞれの方々が専門性を有していることは、我々もそのとおり認識をしております。また、御指摘をいただいている中途採用あるいは人事交流も別に否定するものではないと考えております。
最後に、確認事項マル7でございますけれども、民間からのプロパー職員の採用がなぜできないのか、明確に回答してほしいということでございました。現在、これはすべての省庁でございますけれども、国家公務員の新規採用者数については閣議決定で厳しく抑制されております。私ども消費者庁の場合で申し上げますと、新規採用者数については上限値を2名ということで定められておりまして、これは既に採用しております。その意味で、少なくとも今年について言いますと民間等からの中途採用というのは行っておりません。
以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、国民生活センターの方から何かございましたら、どうぞ、御発言ください。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 特に事前にこれに対する意見表明をすることで伺っていないので、今、ここで聞いた範囲のことになりますけれども、まず、情報発信の関係につきましては、解釈上の問題については私どもがどうこう言う立場にはないと思っています。「調整」という問題があります。調整の必要性ですけれども、案件選定とか、決定の内部プロセスとか、出す時期等についてはこちらで決めているわけですが、その内容等については、消費者庁と連携して消費者行政をやっていくということがありますので、その関係では、調整というものは一定必要であると私どもは考えております。
ただ、そこの調整の中において、こちらの考えている方向性で意見の相違があった場合等について、意見を戦わせたりすることは当然あるわけで、そこで一定の時間がかかるということはあるわけです。そういう一定の法解釈を前提とした上での問題提起等々について、議論をすることはあります。その関係で内容が変わっていったり、あるいは、時期が遅れることもあります。ただ、今後の一元化がもし図られた段階において、そういうことがより顕著になることについては避けなければならないという認識を持っているところであります。
私どもは、タスクにおける議論、消費者庁案が出てきたときにあった議論について、それから、中間整理が出てきた段階におきましても、懸念事項というものは申し上げてきたところであります。その点については、タスクフォースの中で一つひとつ議論を積み重ねてきているという認識です。情報発信という点につきましては、我々のやってきたことに対する根幹をなすもので、これが機動的、柔軟にできる、あるいは相談、商品テスト発の発掘したものが十分生かされてできるかどうかについての議論を、今、しているという認識を持っているところであります。

○松本委員長 ありがとうございました。少し議事運営上の私の不注意ということもあったかもしれませんけれども、消費者庁からお出しいただきました資料4を我々が目にいたしましたのが、この会議を始める直前であったこと。それから、林課長から全部について約30分ほどお話をいただきましたので、我々もメモがきちんと取れていないということがございます。本来、それぞれの論点について、どこが一致していて、どこに見解の相違があるのかということをきちんと確認したいというのが、消費者委員会としてこういう設定をした意向だったわけですけれども、一気にワッと出たということもあって、個別論点にきちんと落とし込んだ議論は今日はひょっとしたらできない。言われたことをきちんと理解をしていない可能性がございますので、記事録を起こした上で、引き続き議論を続けていく必要があるのではないかと思います。とりあえず今、お出しいただきました消費者庁の意見と、消費者委員会として出しております意見との関係で、委員の皆様から、新たな意見、質問がございましたら、お出しください。
池田委員、どうぞ。

○池田委員 私は、前回は出ていませんが、議事録は読んでいます。その上で、私なりに民間の会社を経営してきたという立場から、今度のことについて考えを少し述べさせていただきたいと思います。
民間の会社でも昨今は、持続的な成長を図るために、M&A、会社の整理、子会社吸収とか、いろいろな組織を日常茶飯事に吸収したり廃止したり、いろいろなことを毎日やっているわけですけれども、それは、一緒にすれば自動的にこうなるという自信があってやっているわけではなくして、将来の変化に対してこういう体制を整えておかなければいけないのではないか、あるいは、もうこの組織は今の変化に合わず、要らないのではないか、あるいは将来の成長のため全く別のところにM&Aを仕掛けるとか、いろいろな理由があってやっているわけです。
今回の消費者庁と国民生活センターが一緒になることは、一元化という表現で言われています。私の理解が間違っているかもしれませんけれども、その目的の一つは、今の消費者庁の人材なり人数が足りないところを強化したいということです。すなわち、現在は人数も少ないし人材も限られている。各省庁の出先であって、期限付きであって、プロパー職員がいないから、なかなか消費者庁を強化することができない。国民生活センターには今まで長年培ってきたノウハウも人材もあるから、それを一体化することによって、当然、消費者庁は自動的に強化されるはずだという前提でこのタスクフォースは進んでいます。それと併せて、重複しているバックオフィスの効率化が図られるとしています。消費者庁の強化と行政の効率化の両方のメリットがあるということだと思いますけれども、私ども民間の場合、組織を改編するときに、一番重要なことは、2つの別の組織を融合する際に、問題がなくなるよう、どのように工夫を凝らしていくかです。そこに成算がないと、一緒にすることによって、逆にもっとひどい状態になります。
大変失礼ですけれども、消費者庁と国民生活センターというのは、上下関係、親子関係だと思うのです。この会社の人材を活用しようと思えば、厚く処遇するというか、相当そこに仕掛けがなければ、今のままで同じ組織の中で自由に仕事ができるということは、机上の空論であって、今まで監督官庁であったものと監督された組織にいた人たちが同じ組織になったから、平等に自由にやれるということは絶対あり得ないと思うんですね。そうすると、どういうことをやるかというと、子会社の同じ立場の者を組織のトップにつけるとか、相当思い切った仕掛けをいろいろしないとうまくいかないです。そういうことが実際、お役所という組織の中で工夫ができるのか、その辺に成算がないと絵に描いた餅に終わるのではないか、という懸念を強く持っています。
それから、前回の議事録では、長官が、組織というのはリーダー、トップの意思によって大いに動くということを言われているように読ませていただきました。誠にそのとおりであって、組織よりもリーダーで活性化するし、いろいろ動くと思います。しかし、それはそのリーダーによって動いているわけであって、リーダーがいなくなると組織というのはもとの木阿弥に戻ってしまう。逆に言うと、組織というのはそういう危険性を少なくするために工夫や仕掛けをしていくことが大事だと思います。それは今、民間の場合はコーポレートガバナンスという言葉でいろいろ言われているわけですけれども、そういう仕掛けなり工夫を考えられるのかどうか。逆に言うと、そういうことが霞が関の官庁で簡単にできるのかどうか。そういうところのお考えを聞かせてほしいと思います。
もう一つは、さっき、プロパーは予算がないから2名しか採れませんでしたという、林さんの答えですけれども、今年はだめだったかもしれませんが、どういうつもりでプロパーの職員をつくっていくかというお考えはあるはずだと思います。それは是非聞かせてほしいと思っております。
あっせんについても、私は事業者ですから非常に不安感はあります。それは話が長くなりますのでやめますけれども、2つの組織をどう融合して、活性化して、効果あらしめる工夫をされるのかというところについては、お伺いしたいと思います。

○松本委員長 それでは、どうぞ、消費者庁の方からお願いいたします。

○消費者庁福嶋長官 前回の議事録を読んでいただいたということで御質問をいただきましたけれども、一元化の目的で、国民生活センターから人材が来ると自動的に強化されるというふうには考えていないんですね。その後、リーダーの話も出されました。影響力が大きいのは間違いないでしょうから、理事長とか長官を例に出しましたけれども、リーダーひとりというよりも、組織として何をやるかという意思が大事であって、こうなったら自動的にこうなりますということは100%言えませんね。とはいっても、まさに池田委員がおっしゃったことと同じですけれども、できる限り組織的な担保をとったり、仕組みをつくっていくことが大事で、その議論をずっとしてきているつもりです。前回も申し上げたのですけれども、国民生活センターの人材が消費者庁の一つの中核をなしてほしいということと、もう一つは、やはり消費者庁も現場と結びつかないといけないでしょうと。本当に消費者目線というものを、言葉の上だけではなく実体化していくためには現場と結びつかないといけない。あるいは相談と直接結びついていくことが大切で、それは今の二元的な体制の中では難しいので、一元化をする中でそういう体制をつくっていきたいということを申し上げたつもりです。
それから、親会社と子会社が一緒になったとき、相当思い切ったことをやらないと、なかなか子会社から来た人が対等にはならないだろうと。一般論としてはそのとおりだと思いますが、ずっと議論されているように、40年間やってきた蓄積を持っている皆さんがむしろ中核になってほしい。そのための仕組みは、今おっしゃったいろいろな工夫をできるだけしていきたいと思っています。施設等機関の長は、当然、国民生活センターから来た方がなるであろう。余り人事の話を、この人がこうなりますなんて言うこと自体は不適切ですけれども、常識的に考えてそうなると思いますし、調整チームと言っているところが、責任者を、「では」というような工夫もあるかもしれませんし。ほかの独法と違って、単にもともとの監督官庁とその監督下にある独法ということでやってきてはいないつもりなんですね、今までも。タスクフォース自身がオープンの場で両者が議論する。学識者も現場の人も呼んで議論をするということをやってきたわけです。監督官庁と独法の通常の関係ですと、監督官庁が案をつくって、これで行くぞと。あるいは独法に案をつくらせて、その案を監督官庁が点検して、必要な直しをして受けてやるというような関係が多いと思いますが、全く違う関係でやってきた。それは実際に一元化したときにも大事にしていく必要があるし、池田委員が言われたようなことは、十分配慮して、新たな一元化のガバナンスをつくっていく、いろいろな仕組みをつくっていくことが最も大事だし、その議論をしているつもりでおります。

○消費者庁林地方協力課長 今、お答えしたのは今年の採用枠の問題ですけれども、一般的に言いますと、統合などによってできた新設官庁が独自のプロパー職員の採用を始めるまでには、これは非常に時間がかかります。なぜかというと、消費者庁自体がまさにそうですけれども、各省庁からの権限を寄せて、組織も同時に寄せてつくった際には、純粋な意味での消費者庁自体が持っている枠というのがありません。毎年毎年、消費者庁ができてから増員要求をしながら組織を拡充してきた。これは、仕事に見合った十分な組織体制がないということが背景にあるわけですけれども、枠がある程度の数でたまってこないと、これは池田委員には釈迦に説法かもしれませんが、生涯を通じたキャリアパスが描けないので独自の採用がなかなか困難だというのが実態です。
その上で、今、政府レベルで閣議決定で決められている消費者庁の枠というのは、一応観念的には2ということになっておりますけれども、実際には内閣府の中で共通して採用して、それが2名そのまま配属されてきている。現実に消費者庁の独自の新職員の採用はできていないというのが実情でございます。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 3つあります。今の点は、なお納得できません。金融庁や、だいぶ昔の話ですが、環境庁などでは、大幅な人材の民間からの採用があったと思いますが、なぜそれが消費者庁でできないのか。これが1点です。
2点目です。本当にこの一元化で情報発信が遅れないならば、それは一つの選択肢であるかもしれないと思うけれども、情報発信はやはり遅れるだろうなと、私は本当に本気で心配しているんです。これは理事長にお聞きしたいのですが、理事長はかねてより、国民生活センターの情報発信というのは、処分権限がなく、悪質事業に対する強制力がないからこそ、軽いフットワークで迅速にできる。注意喚起にとどまるから、小刀を割と迅速に振りやすいんだとおっしゃっていたと思います。その観点から言うと、処分権限を持っている庁が注意喚起をするというのは、ある程度慎重にならざるを得ないだろうと私は思います。そうすると、やはりどうしても遅れるのではないか。
それから、これは福嶋長官がおいでになる前の段階ですが、私も自ら言いましたけれども、取引分野は国民生活センターが担当したらどうですかと。安全分野は、庁に情報が集まるのだから、消費者庁の方で情報集約・発信をやったらどうですか、というようなことを私は思っていました。庁と国センの間で、ほぼそういう合意ができたと聞いています。何で福嶋長官が来た後、それが御破算になってしまったのかというのはやはり聞きたいです。実際、調整は必要だと先ほど理事長がおっしゃったけれども、国民生活センターの実態を聞くと、消費者庁に一方的に指示されて注意喚起の文言を変えたり、あるいは遅らせたりということをしているのが実態だと聞いています。ここはちゃんと正直に言ってほしい。実態をきちっと踏まえて、それをこうなったら本当によくなるんですと言わないと、説得力ないですよ。そこのところを是非お願いしたいです。
3番目、ADRです。ADRについていろいろ説明がありましたけれども、全く納得できないんです。行政組織がやるADRというのは、本当に消費者側に軸足を置いたあっせん、ADRができるのかなと。先ほど、国土交通省もやっている、文化庁もやっているとおっしゃいましたが、国土交通省がやっているのは中央建設工事紛争審査会というもので、これは要するに建設業者同士の調整なんですよ。それから、文化庁がやっているのは著作権の調整、著作権者同士の調整であって、消費者と事業者の優劣の関係があるところの調整ではないです。根本的にほかのこの2つのあっせん組織と違います。しかも、先ほど具体例として特殊海事損害の賠償請求に関する特別措置法でもあるんだとおっしゃったけれども、これは、米軍基地などで損害を被った個人がアメリカ合衆国に対して損害賠償などを行う際のあっせんについてのもので、極めて特殊なものだと聞いています。社会的弱者である消費者をサポートするようなADRが本当に行政庁でできるんですか。いや、絶対できるし、制度的にこういうふうにできますと言われると、私も消費者委員会も納得できると思うけれども、やはり納得できないなあと。
以上、3点。

○松本委員長 それでは、御回答をお願いいたします。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 情報発信の前に、池田委員のおっしゃったことに関しても若干コメントしたいので、そこから始めさせていただきます。
今、タスクフォースの中で、一元化するとしてどういう形で国センの機能がきちんと確保されるか、消費者行政全体としてきちんと強化されていくかということの組織形態の話をしているわけですけれども、ただ、そういう形でそれが実現する前提としまして、やはり消費者庁あるいは当センターの職員の意識というものもきちんと変えていかなくてはいけないという思いがあります。
それはどういうことかといいますと、今、一元化の議論をしている、あるいは消費者行政全体をよくしていこうという議論をしていく中で、共に消費者行政強化のために手を携えて、足らざるを補い合うという意識をお互いの中で持つ。そういうものを消費者庁の職員の皆さんも当センターの皆さんもきっちり持っていくことが、やはり前提として必要だろうというふうに思っています。ですから、仮に一元化ということが実現するなら、私は、職員の皆さんとその辺のことを引き続き議論しながらやっていかなくてはいけないという思いをしているところであります。
もう一つは、現在、私どもが懸念しているのは、センターが持っている特質というものがあります。迅速性、柔軟性、施策提言性、そういう言葉でいろいろ呼ばれている中身があるわけですが、これは、今の消費者行政を推進していく上において、あるいは被害を救済していく上においては非常に重要であるという認識があります。勿論、これは当センターの職員の中では共通した認識になっているわけですけれども、こういう特質が本当に大事だということを消費者庁の職員の皆さんも十分認識した上で一元化なら一元化が図られないと、それが十分に確保されないだろう。単に器をつくるだけではだめであって、上が代わったら変わってしまうということになってしまう。まさにそれはマインドだと私は思いますけれども、マインドは一元化する前からきちっとつくり上げていくことが大前提になってくるであろうと私自身は思っています。
それと、人事というものは極めて重要だと私も思っております。以前、確認事項で出させてもらいましたけれども、例えば施設等機関の長の人がどのくらいのクラスの人がなるか等々、そういうことを含めて、どういう形で国民生活センターの職員が処遇されていくのかということも、非常に重要なポイントであると認識しているところであります。
情報発信の問題でありますけれども、独法であるがゆえに注意喚起が機動的に出せる、これは事実だと思います。独法であるがゆえに権限がないのでやる。受けとめる方も、権限がないから軽く見る、というのはおかしいですけれども、そういう形でやっていくということはあるかと思います。ただ、消費者庁になったらそれが出せないのか。施設等機関という形をとる、それから、一定の制度的な担保をとっていけばそれが本当にできなくなるかというと、そうではないように私は思っていますけれども、そこは一つの懸念としてあることはお聞きしました。消費者庁になれば本源的に情報発信は遅くなり、更に内容が低くなるということであれば、それは消費者庁というものの存在意義そのものにかかわってくることではないかと私は思います。そうなるのであれば、それは消費者庁そのものの問題性だと考えるところでありまして、消費者庁こそ本来的には機動的なものを出していく必要があると私は思っておりますので、独法だから機動的に出せるというものは確かにあるかもしれませんけれども、消費者庁になったらいきなりできなくなるというのは、そういう考え方でいいのかというのが私としては思うところであります。
それから、調整が一方的なものになっているかということですが、勿論、主務官庁と独法の関係ですので、そういう関係の中で、一定の解釈とか、最終的な政策との整合性とか、そういうものにつきましては消費者庁の考え方を優先することになるかと思います。私どもとしてはいろいろ言われます。言われていることは事実です。事実ですけれども、それに対しては反論をし、その中で妥協をしたりすることもあるということです。消費者庁に統合することによってそれが更に強くなるということであれば問題があるかと思いますけれども、それは今やっている議論の中でその辺の担保を考えていくというところであります。
以上です。

○消費者庁福嶋長官 前回、山口委員から幾つか事例を出していただいて、検証をして、今日までにちゃんと報告できるようにしたいなと思ったのですが、事実関係を確認するのに手間をとることが多くて、今の段階で出していただいたもの全部は確認できていませんが、確認できるものとしては、小径タイヤの自転車、あれを消費者庁が遅らせてしまったと。それは明らかに消費者庁が間違っています。当初も既にそういうことを消費者庁として申し上げたということを聞いていますけれども、それはおかしいと思うんですね。それは、いずれの組織関係であってもやってはいけないことだと思います。
ほかは、事実関係がちゃんと把握できていないのですが、例えばりんごとみかんの訪問販売です。もし、りんごとみかんで具体的な商品名を出すことが問題だといって、そこで時間がたっていたとしたら、それはおかしな対応だと思います。でも、事実経過を見ると、それと違う事実経過も出てくるので、ちょっとこれは確認できない。仮定の話なのですが、私はむしろちゃんとした商品名を出した方がいいと思います。だから、もし監督者とそのもとにある人が議論をしたので、おかしくてもなかなか突破できなかったという話であれば、ちゃんと対等な議論になっていけばもっと適切な判断が速やかに出せるのではないか、そうしなければいけないというふうに思います。
そのことに関して、だから調整チームで対等な立場で一緒に作業をやろうというふうに、今、提案しています。逆に迅速にやれる仕組みとして提案しているのですが、何でもかんでも調整チームでやって、ほら、時間がかかる仕組みになるだろうと、また、そういう意見もいただいているものですから、これはタスクフォースで、この後、もう少し詰めた議論をしていきたいと思っているのですが、確かに調整が全部そんなに必要ではないんですね。手口公表だとか、集まった情報、これだけ集まっていると出していくのは、もっと施設等機関がストレートに出せるように仕組みを考える。政策的につなげていくとか、あるいはこれまでも申し上げたように、消費者庁の調査権限を使ってやった方が更に前に行けるというものを特に調整チームでやって、そうでないものは、もっとストレートに出せる仕組みをこれからタスクフォースで議論ができたらなと。時間をかけずにね。国民生活センターからも提起されていますので、その辺はちゃんと整理できたらというふうに思っています。
ADRは課長からお話します。

○消費者庁林地方協力課長 それでは、私からADRについてお答えしたいと思います。一言で言うと、行政機関で消費者の側に軸足を置いた、公正性のあるADRはできるのか。そういうことに尽きると思います。山口委員から先ほど特殊な例ではないかと御指摘をいただいた中央建設工事紛争審査会、これは実は立法例としては非常に参考になると思っております。建設工事紛争審査会は建設工事契約をめぐる紛争ですので、発注者と受注者という関係です。エンドユーザーが別に建設業者でない場合もありますけれども、基本的には、弁護士の方がたくさんいらっしゃるので釈迦に説法だと思いますが、請負契約という片務性がある契約で、かつ、重層的に下請関係がある。重層的な下請け関係の中で元請と下請を比べたときに、圧倒的に資本力の差がある。場合によっては契約書面すらない。こういう関係にあるからこそ行政が行司役に立って、今風に言えばADRですけれども、紛争解決機能を果たしてきた。御指摘のように合議制の審査会形式をとってやっていただいていますし、事務局は内部部局が担っているというのが実態です。我々は立法作業をしなければいけない立場ですので、逆に立法例が過去にあるということは可能性があるということだと思っております。この辺をよくよく参考にさせていただきながら、消費者に軸足を置いたADR、かつ公正・中立な判断ができるADRの在り方を、今後、更に具体的に検討していきたいと思っております。
その意味では先ほどの訴訟援助の規定についても、確かに国がやっている例は非常に特殊な例です。ただ、一般的に行政がやっている訴訟援助という意味では地方税法の規定がある。私は実はこれ、もっと一般的な例があるのではないかと思って、ただ、すみません、立法例として探し切れていないことも事実なので、どういうことが行政として可能なのかというのは更に探っていきたいと思っております。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 資料4は、今日配られたばかりで十分こなせないのですけれども、概して非常に抽象的な議論になっているので、私はもう少し具体例でやりたいなと思っています。山口さんが前回4つ具体例を出して、その中に入っていたかどうかわからないのですが、例えば貴金属の訪問買い取りの問題で、ここの5項、情報発信として書いてあるように、事前に調整するものではなく、双方が合意して情報共有、調整を行ったということだとすると、具体的にこの貴金属の訪問買い取りのケースで双方でどういうことが行われていたのか。ちょっと事実を教えていただきたいのです。この問題は情報発信にもかかわってくるし、立法にどうつなげるかというところに非常に関係のある分野ですので、その辺の話がどうなっているのか、これは是非聞きたいと思います。もし一元化されたらどうなるのか考える以前に、現状でどうだったのかということを具体例で教えていただいてディスカッションをしたいと思います。ですから、これは宿題として今日は投げておきます。今日は予定の時間が来てしまったので、是非、そういう形でこの議論を続けさせていただきたいと思っております。
ところで、消費者基本計画の見直し案の中に、今回、我々が議論をしている国民生活センターの問題について、一元化の方向で検討するということが総論の中に書き込まれていたのですが、それは前回の消費者委員会で参加委員がこぞって、そこの一文は削除していただきたいということを申し上げました。しかし、松田次長は削除するとはおっしゃらなかったんです。議論がまだ続いている途中で方向性を固められてしまうと、閣議決定までされると、我々としても非常に議論がしにくくなる。ですから、閣議決定の文章はもう少し変更していただいて、「一元化の方向で検討する」と方向性を明示するのではなく、別の表現にするか、削除するか、その辺をした上でこの議論を続行させていただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

○消費者庁福嶋長官 前回も議論をしていただいたというふうに、私はちょっと出席していませんでしたけれども、報告は受けています。消費者庁としては、それが新しい決定ということではなく、今、検討している事実までを書くということで理解しているのですが、方向性を決めるものだという御意見を出される方もいらっしゃいますので、そういう誤解がないような表現にしていけたらと考えています。具体的にどういうふうに直すのかどうかというのは、政務との協議も必要ですので、この場で、こう変えますというお示しはできませんけれども、なるべく誤解を避けるようにしていきたいと思っています。

○松本委員長 まだ論点はいっぱいあると思いますが、この後、消費者庁の方でこの会場でタスクフォースを予定されていると聞いておりますので、あまり委員会としての議論を延長するわけにいきません。そういう意味で、今、是非ひとこと言っておきたいということに絞って。
では、下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 時間がなく申し訳ないのですが、今回の資料4で御提示いただきました、「あっせんと各省庁との調整」というところにおきまして、『法令用語の常識』で林修三先生がお書きになられた「あっせん定義」が書いてありますが、私が相談員になりましたとき、それから、相談員が一番よりどころとしておりましたのは、45年に経済企画庁の国民生活局長の「通知」が出されております。その中で、あっせんとは何ぞやというのがこんなふうに書いてあるんです。「苦情のあっせん。単に相手方に苦情を取り次ぐだけでなく、解決に必要な情報を提供し、当事者の希望があればあっせん案を提示するなど積極的に取り組む。その苦情が最終的に解決されるまで責任を持って見届けることが必要である」というふうに定義されています。
私ども相談員は、消費者相談というのは白黒の世界ではなく灰色の世界だということで、これをもとにずっと相談を受けておりました。ですから、消費者庁にいろんな関係省庁の所管の法律とか、共管されているものもありますし、移管されたものもあります。そういうところのものが有効にあっせんの解決ができるのかどうかというのは、私は非常に危惧しております。それもADRにもつながりますし、そういうことを考えると、それは情報提供につながってくるのではないかと思うんですね。ですから、あっせんについて、昭和45年の経済企画庁の国民生活局長の通知を、是非もう一度御検討いただきまして、私どもの回答に対してもお答えいただければと考えております。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 今日はもう時間がないのですが、これからも是非この検討会を続けさせていただきたいと思います。一言だけ申し上げたいのは、情報の発信が遅れるのではないかというところが一番危惧しているところであります。情報発信が遅れるということは、一日遅れる、二日遅れることによって被害が拡大するわけですから、きちんと情報発信をしていただきたい。今は、例えば国センの情報発信が遅れているというのは見えるわけですけれども、これが一つの施設等機関等の中に入ってしまって、更に調整チームで調整されるとなると、もう本当に不透明になって、私たちにはきちんと情報発信ができているのかというのが今よりわからなくなってしまうのではないか。その辺も非常に危惧しておりますので、次回、もう少し検討をさせていただきたいと思います。
それから、さっき中村委員がおっしゃった基本計画については、一元化というところの文を削除するなり、何らかの工夫をして、長官がおっしゃったように、誤解のないような形にしていただきたいと思います。

○松本委員長 ありがとうございました。本件につきましては、引き続き、消費者委員会としても議論を深めてまいりたいと思います。
なお、参考資料として幾つか添付しておりますが、これについて全く議論をしておりませんので、簡単に、なぜこんな資料を付けているのかということを御説明いたします。

○消費者庁福嶋長官 委員長、タスクフォースまでもう一つ会議に行かなければいけないので、よろしいでしょうか。すみません。

○松本委員長 はい、結構です。お忙しいところをありがとうございました。

(福嶋長官・林課長退室)

○松本委員長参考資料1-1でございます。これは、平成20年6月の消費者行政推進基本計画でございまして、先週の委員会で長官が引用された部分、それから、本日も課長が引用された部分は、8ページ真ん中の下辺りの青色で書いたところでございます。推進基本計画にこう書いてあるのだから、消費者庁として、消費者安全法に基づくのではないところの設置法の4条1号という大変広い文言の、消費者政策を企画・立案して推進するというところで一般的な情報提供をやるのが消費者庁の一番重要な任務なんだ、という御趣旨の説明をされたわけです。ここの部分は、実は8ページの下の辺りから、では集めた情報をどうするんだということで、司令塔機能として、具体的に9ページに書いてあるマル1からマル6までをやるんだというふうにつながります。例えばマル2は、他省庁の法律で対応できるものは他省庁にその法律を使えということを要求できるという、今の消費者安全法16条の条文につながっています。マル4の、担当すべき省庁がない場合は独自の措置をやるんだと。これはすき間対応で、これも安全法17条、18条、19条に書いてあります。マル5が、まさに早期警戒情報を流すなど、情報発信機能を担う。これも安全法15条に書いてあることです。
参考資料1-2は、タスクフォースの中で消費者庁が作成されて、情報提供が重複しているから二重行政であって、無駄だから消費者庁に一元化した方がいいという根拠として出されていたようです。見ますと、赤印のついているところが重複している例だそうですが、確かに重複している。しかも不思議なことに、同じ日に情報が出ているという全く不自然な重複の仕方をしている。何でこんな状況になるのかというのが全く理解できません。それぞれがそれぞれ情報を集めているなら、全く違う日に出て、結果として重複しているではないかということになりそうなのに、同じ日に情報が出るというのは何か事前の操作が行われているのではないか。すなわち、本来ならばもっと早く出た情報が、どちらかの都合で遅れているのではないかという疑念が出てくるということでございます。
もう一点、推進基本計画の6ページの真ん中辺には、国民生活センターの位置づけとして、国の中核的実施機関としていろいろなことをやると書いてあります。これは以前、消費者委員会で藤田元最高裁判事が、企画・立案は消費者庁がやる、実施、その中でも非権力的なソフトな部分の実施は外でやるのが行政改革の基本だったんだとおっしゃっていたわけですが、この閣議決定である推進基本計画は、まさにそういう観点から中核的実施機関として国民生活センターを位置づけている。消費者庁が自らすべて実施すべきだという書き方はしていないということもございますから、消費者行政推進基本計画にこう書いてあるから一元化なんだ、という結論には恐らくならないだろうと思います。
以上が参考資料についての説明でございます。条文も参考資料1-3に付いておりますので、御参照ください。
消費者庁、国民生活センターにおかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。
どうぞ。

○池田委員 ちょっと私から一言。消費者委員会事務局の国民生活センターの在り方についての担当者が、この委員会に出席ができないような圧力がかかったという情報を聞いております。松本委員長にお願いしたいのは、その実態について、次回までに委員にきちんと説明できるようにしてほしいと思います。少なくとも発足当時にこの消費者委員会というのは、公開の場で行う、オープンでやるということを決めて出発しているわけですから、いかなる立場の人も拒否するものではないと思いますので、そこを確認したいと思います。

○松本委員長 わかりました。
以上で、本日の議題は終了させていただきます。
最後に、事務局より、今後の予定についての御説明をお願いいたします。

≪4.閉会≫

○原事務局長 時間を超過しているところで申し訳ございませんが、事務局からも一言。
資料4ですけれども、消費者庁提供の資料の1と6のところで、「この点は、6月9日の消費者委員会事務局長から消費者庁長官宛ての文書においても認められているところ」というのは、前回の資料1のことを指していると思います。私がお預かりしたのは、その文章をもって委員に理解を求めてほしいというメッセンジャーの役であります。事務局は判断機能を持っておりませんので、この書き方については、後ほどまた消費者庁にも御連絡を差し上げたいということにさせてください。
それから、次回の委員会ですけれども、定例であれば7月8日、2週間後ですが、金曜日の15時からを予定しております。また変わるようでしたら、御案内をいたします。
以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。資料4の点につきましては正式の文書をオープンにしておりますから、見ていただければ一目瞭然であります。事務局が消費者庁のこのような見解を委員に伝えて、消費者庁の主張について委員の理解を得るように正確に伝達をするということであって、事務局として、消費者庁の見解がそのとおりであると承認するとか、確認するという文言は全く入っておりませんので、ここは牽強付会だと我々も考えます。
それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございました。

(以上)