第55回 消費者委員会 議事録

日時

2011年5月27日(金)15:00~17:05

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 中村委員長代理、池田委員、佐野委員、下谷内委員、
 田島委員、日和佐委員、山口委員
【説明者】
 消費者庁  田邊消費者情報課長、林地方協力課長、消費者情報課担当者
 独立行政法人国民生活センター  鈴木相談情報部情報提供課長
 社団法人消費者関連専門家会議  滝田理事長、佐藤常任理事
 全国消費者団体連絡会  阿南事務局長
 全大阪消費者団体連絡会  飯田事務局長
【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.東日本大震災に関連する相談について
○説明者: 消費者庁 田邊消費者情報課長、林地方協力課長 他
独立行政法人国民生活センター 鈴木相談情報部情報提供課長
3.国民生活センターの在り方について
○説明者: 社団法人消費者関連専門家会議 滝田理事長、佐藤常任理事
全国消費者団体連絡会 阿南事務局長
全大阪消費者団体連絡会 飯田事務局長
4.閉 会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:7KB)
【資料1】 東日本大震災に関連する相談関連資料(消費者庁提出資料)
【資料2】 東日本大震災に関連する相談関連資料(独立行政法人国民生活センター提出資料)
【資料3】 国民生活センターのあり方見直しについて(社団法人消費者関連専門家会議提出資料)
【資料3関連リーフレット】 ACAP 活動のご案内(PDF形式:434KB)
【資料4】 国民生活センターのあり方関連資料(全国消費者団体連絡会提出資料)
【資料5】 「国民生活センターの在り方の見直しに係るタスクフォース」中間整理に関する意見(全大阪消費者団体連絡会提出資料)(PDF形式:15KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、時間がまいりましたので、始めたいと思います。山口委員が少し遅れておられますけれども、始めさせていただきます。
本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第55回)」の会合を開催いたします。
なお、本日は松本委員長が御都合により不在ということで、中村委員長代理に委員会の進行をお願いしております。
それでは、中村委員長代理、どうぞよろしくお願いいたします。

≪2.東日本大震災に関連する相談について≫

○中村委員長代理 皆さん、こんにちは。中村雅人です。
本日の議題は2つありますけれども、最初は、「東日本大震災に関連する相談について」ということで進めさせていただきたいと思います。
去る3月11日の震災後、多くの方が亡くなったり行方不明の方も大勢いらっしゃる中で、消費者行政も地方で大変被害を受けておりまして、いまだに相談体制が整わない自治体もあると聞いております。復興に向けた生活の中で、どのような相談があるのか、あるいは震災に乗じた悪質商法など、そうした消費者問題に関連する相談も新たに生じているようですので、本日は、消費者庁と国民生活センターとしてどのように相談体制や支援を行っておられるのか。また、どのような相談が寄せられているのか。その対応状況についてヒアリングを行いたいと思います。本日は消費者庁と国民生活センターからおいでいただいております。
では、ただいまからヒアリングを開始したいと思います。最初に、消費者庁から御説明をお願いしたいと思います。

○消費者庁田邊消費者情報課長 消費者庁消費者情報課長の田邊でございます。
お手元に資料1という1枚紙がございまして、資料リストがございますけれども、私の方ではこのうちの1と2について簡単に御説明させていただきたいと思います。
最初に、資料マル1から御説明させていただきます。これは、震災後、3月27日に「震災に関連する悪質商法110番」というのを国民生活センターの方で開始しておりまして、開設後1か月後のまとめとして、5月13日に消費者庁と国民生活センターの連名で発表させていただいた資料でございます。
冒頭に書いてございますけれども、当初、悪質商法110番は岩手、宮城、福島の3県を対象としておりましたけれども、4月11日から茨城県も含めて、現在、対象地域4県となっておりまして、ここで報告されております件数は、この4県の件数を合わせたものが報告されております。
以下、相談の概要として簡単に御説明いたしますけれども、1の(1)にありますように、3月27日から4月26日までの1か月間で、悪質商法110番では4県合計して426件、相談がありました。図1として、10日ごとにみた相談件数の推移でございますけれども、10日ごとに見てみると、最初の10日間が一番多くなっている状況です。図2を見ていただくと、全体の件数での県別の割合が出ておりまして、宮城県が多くなっていて、次は福島、茨城、岩手という感じになっております。
次のページに進んでいただきますと、相談の商品別件数というのが出ております。円グラフを見ていただくとわかりやすいわけですが、不動産貸借、工事・建築、他の行政サービス、修理サービスといったところが多くなっております。表1で見ていただくと、県別に商品別件数のランキングが出ておりますが、概ね大きな差もなく、4県とも、ただいま申し上げたような形で傾向が見てとれる。表2を見ていただくと、10日ごとの商品別件数の推移がどうなったかというのがわかりますが、端的に言って、最初の10日間というのはガソリンに関する相談がすごく多かったのです。ランキングで見ても2位になっておりますが、それがガソリンがどんどん下がっていって、相対的に工事・建築がどんどん増えてきている。そういう1か月間の推移がこれで見てとれるというところでございます。
3ページ目にまいりまして、(3)として主な相談事例というのが出ております。これは、円グラフで出ておりました商品別推移の多いものをあらわしたような相談を個別に書いてございまして、例えば賃貸アパートについて言うと、概して大家さんとの関係、壊れた場合はどっちが直すとか、そういった形のものが賃貸アパートについて多い。あるいは、2番として住宅の修繕に関する相談。これは、屋根の修繕とかそういったことに関する相談が多いわけですけれども、マル3として、ローンの支払い、融資の相談。こういった商品別の切り口とは別にあるものとして、放射能に関する商品の相談というのがマル4で書いてございます。
こういった相談の傾向が(4)でまとめられておりますので、こちらを見ていただきますと、先ほど御説明しましたように、当初はガソリンの不足が非常に多かったわけですが、それが現在では、賃貸アパート、あるいは住宅とか車の補修についての相談というふうに推移してきているというのを最初のマル1で記述させていただいております。
2つ目の特徴といたしまして、住宅の修繕費用や修繕業者の勧誘の相談が多い。具体的に言うと、住宅の修繕については、金額が妥当かとか、契約を急かされて十分な説明を受けないで契約に至った。あるいは見積書がなかった場合とか、明細がない、そういった修繕に関する相談が多いという特徴がある。
3番目の特徴といたしまして、車や家を失ってローンの支払いの負担が残っている。仕事も失ってしまって返済ができないという大変深刻な相談もあります。
4番目として、そういった商品別の切り口とは別の放射能の話として、放射能を除去するとうたった商品は本当に信頼できるのか、といったことが特徴としてございます。
これらを踏まえまして、2では助言として、一般的な考え方。ただ、一般的な考え方等はあるのですが、個別には、例えば法律相談を受けなさいといった形の助言もこの発表の中で付けておりまして、そういったものを、上の特徴に合わせて4つぐらい書かせていただいている。これが1つ目の資料でございます。
次に資料マル2、「被災地域から寄せられた震災に関連する相談の概況」。これは5月20日付になっておりますが、実はこれは震災110番ではなく、PIO-NETで被災地の4県についての概況をまとめたものでございます。日付が5月20日になっておりますけれども、私ども消費者庁では4月14日に最初にこういった形の資料を発表いたしまして、毎週、基本的にそれをリバイスして発表していて、直近のものが5月20日になっています。発表の内容としては、商品別の相談の概況、主な事例、それについての簡単なアドバイス、こういった形で毎週リバイスして載せている状況でございます。内容については、ご覧いただければと思います。
こういった相談の概況の発表のほかに、相談の状況を踏まえてどういった注意喚起をしているかというのが、その後、3つほど出ております。
最初は3月18日、震災1週間後に、「義捐金詐欺に御注意ください」といったことを早速注意喚起した。2つ目が、先ほども御説明したように修理に関するものがいろいろ相談としてあるわけですが、そういった状況を踏まえまして、修理工事の勧誘を受けたときの、注意しようといった呼びかけをする注意喚起を3月31日にしております。直近では、被災者支援などを名目にして温泉付有料老人ホームの利用権の買取りといった勧誘があることを踏まえて、こういった注意喚起も4月28日に行っている。3件ほどこういった形で注意喚起をしているというのが状況でございます。
私の説明は以上でございます。

○中村委員長代理 ありがとうございました。
引き続き、林課長、お願いします。

○消費者庁林地方協力課長 それでは、引き続き、消費者庁関係の資料の説明をさせていただきたいと思います。
3ポツにございます「被災地に対する相談体制のバックアップについて」ということで、専門家派遣等の説明をさせていただきたいと思います。
その前に、参考資料マル2ということで、県別の「消費生活相談窓口の状況」という資料をお配りしております。これは、発災後、定期的に各地の消費生活センターあるいは相談窓口の開設状況を電話等で把握して更新しているもので、昨日改めて確認して、今日、ホームページ上で更新をしたものでございます。
ご覧いただきますと、例えば岩手の場合には、まだ開所ができていないところが、宮古、陸前高田といったところであります。開所をしているところでも、例えば宮古市などはそもそも閉所していますので、県のサブセンと合同で開設をしていたり、あるいは釜石などはそもそも固定電話が引けないので、携帯でやっていたりといったような状況が見られます。これは他の宮城県などでも同様です。福島県の表をご覧いただきますと、ここも6か所閉所でございます。ここは、御存じのように原発の問題がありまして、避難区域が設定されておりますので、そもそも行政ごと移転しているといった状況もございます。やはり各地の相談機能が非常に低下している。
今回はこの3県だけお配りしておりますが、一応念のためお話をしておきますと、茨城県については、部分的に設備に被害が出たりということはありますけれども、消費生活センターや相談窓口を閉所しているという状況はございません。こうしたことを踏まえて、先ほど情報課長からもお話がありましたように、まずは3月27日に110番を開設させていただき、順次対象地域を茨城に拡大してまいりました。
その後の取組みといたしまして、今回、専門家派遣というのを始めさせていただいたということで、資料マル4-1をご覧いただきたいと思います。ページで言いますと14ページになります。こうした相談機能の低下とともに、今回はやはり津波による被害が重大で、家や車といった物件が流されていると同時に契約書面なども一切合財流されていることもあって、非常に複雑な法律関係の相談が多いということもありまして、私どもで発災後現地に出向いた折にも、いろいろバックアップがほしいという声もございました。一方で、生活再建そのもの、非常に多岐にわたるので、消費生活ということだけでなく生活再建全般にわたる総合的な相談体制も必要だといった声もございました。
あくまでもこれは県あるいは市町村の要請を踏まえての取組みということで、今は、宮城県の消費生活センターに弁護士さんを派遣していただいております。それから、福島県内の伊達市と相馬市に司法書士さんを派遣していただいております。
この前提をお話しいたしますと、もともと宮城県はサブセンターで結構被害が出たので、当初は、県のセンターは勿論ですが、出先のサブセンターに弁護士を派遣したいと思っていたのですが、実はサブセンターの受け入れの体制が整わなくて、まだそこまで至っていないという状況です。順次ここは拡大していきたいと思っております。
福島県は伊達市と相馬市で、まず司法書士さんからということになっております。下の方をご覧いただきますと、調整中の派遣というのがございます。福島県そのもの、福島県内の福島市、伊達市、相馬市というところで弁護士の派遣の依頼が来ております。これらは日弁連さんの協力もいただきながら、県の弁護士会には派遣要請をしていただいております。県の弁護士会の機関決定が得られ次第、地元ではもう受け入れの体制が整っておりますので、ここも弁護士の派遣を開始してまいりたいと思っております。
それから、岩手県でございます。ここも宮古の地域振興センター、いわゆる出先機関ですけれども、ここと大船渡の地域振興センターに弁護士の派遣要請が来ております。岩手県内の場合には、岩手県の弁護士会がこれまでボランタリーで相談業務を各地で開設しております。仕組みとしては、法務省で持っています「法テラス」の仕組みを使ってこれまで実施してこられております。私どもで伺っているところでは、6月以降、法テラスの仕組みを使い続けることが難しいので、その後、私どもの仕組みを使って弁護士の派遣を継続していきたいというふうに伺っております。それと同時に、ほかの士業との関係もあるのかなと思っております。いずれにしましても、なるべく相談体制を拡充する方向で、私どもも、地元の自治体あるいは各士会と調整を図りながらこの取組みを続けていきたいと思っております。
資料マル4-2に、どういう仕組みでやっているのかというのを絵としてお配りしておりますので、ご覧いただきたいと思います。基本的に私どもから、弁護士、司法書士、建築士、この3つの士業については全国団体に長官名で協力の要請は既にいたしております。あとは、被災地の自治体、地元の地域単位の団体と調整をしながら、実際に派遣していただく人数や期間、あるいは名前を決めていただいて派遣するという取組みを行っているものでございます。
16ページをご覧いただきたいと思います。資料マル5としてお配りいたしました。東日本大震災に対応して、現在、各都道府県に造成しております「地方消費者行政活性化基金」、この取扱いの弾力化というのを決定させていただきました。
1番目が、震災前の機能を回復するために実施する事業への活用ということで、実は今の基金は、ある時点を起点として、そこから機能が増強される部分について使用可能という形にしてあります。形式的に文言だけを読むと、今回の震災のように被害が出てそれを原状に戻すといった、回復的な事業に使えないという運用になりかねないので、ここは確認の意味も含めて財務省と調整させていただいて、今回の地震による被害で壊れたものを復旧させる、あるいは新たに購入するといったことについても使えるようにさせていただきました。
2点目、3点目は、特に岩手、宮城、福島、茨城という被害の大きい4県について拡充させていただくもので、今の基金は都道府県あるいは市町村の自治体の消費者行政予算、これと同額まで基金を取り崩していただくことができるという意味で2分の1という基準を設けております。これは、こうした国費による支援を行うことによって財源の置きかえが行われて、地方自体の消費者行政予算が縮小することをある意味ヘッジするためにこういう条件をつけさせていただきました。今回、地域によって被害が多額にのぼる可能性もあるので、特に短期的にやらなければいけないといった事情もおありだと思いましたので、この2分の1の基準を、通常の災害に対するこの手の他の事業の補助率の引上げ幅に対応して「3分の2」に緩和させていただきました。3分の2と書いてありますけれども、要は、消費者行政予算として地方で計上していただく予算の倍まで国費を取り崩していただけるようにしたということでございます。
3点目は、期限の延長でございます。昨年の夏の見直しでこの基金については原則23年度末までとなっておりましたのを、24年度末まで延長可能という形にさせていただきましたが、この被災4県につきましては、更に1年延長して25年度末まで使っていただけるように見直しをしました。
以上、私どもからの説明でございます。

○中村委員長代理 ありがとうございました。
引き続き、国民生活センターの鈴木課長からお願いします。

○独立行政法人国民生活センター鈴木相談情報部情報提供課長 国民生活センターの鈴木と申します。
では、お手元の資料2-1からご覧いただきたいのですけれども、私どもでは、3月28日に「『東北地方太平洋沖地震』関連で寄せられた消費生活相談情報」(第1報)ということでホームページに掲載して以降、全国版については第3報(5月23日)まで出しております。それとともに、先ほど田邊消費者情報課長がおっしゃっておりましたけれども、資料2-2の震災関連悪質商法110番というのを3月27日から開設しておりまして、その1週間のまとめを4月8日に、資料2-3にありますように、第2報として消費者庁と連名で5月13日に出しております。本日で2か月がたちましたので、また6月の初旬辺りには第3報を出したいと考えているところです。
また、その合間に資料2-4の震災関連トラブル速報(No.1)として、「震災に乗じた迷惑メールに御注意」をホームページで公表しております。No.2で「屋根の修理サービスに御注意」を、悪質商法がかなり見られているところですので、昨日、5月27日に記者説明会で公表いたしました。今後も震災を口実に、訪問販売する貴金属の買取りサービスですとか、震災に乗じた未公開株の勧誘ですとか、また、放射能汚染の不安をあおる手口などが見られておりますので、そうした点を公表していきたいと考えております。
では、中身についてですが、一番新しい資料2-5を見ていただきたいのですが、「『東日本大震災』で寄せられた消費生活相談情報」(第3報)です。やはり相談の傾向はだんだん変わってきておりまして、3ページを見ていただきたいのですが、3月21日~31日というのは、震災発生直後ということで最も相談件数が多い期間であったものの、北海道、東北、関東、その他地域の3地域においては、震災関連の相談割合は、発生直後と比較しては小さくなっております。一方で、被災地4県は65.3%とやや大きくなっております。だんだん御相談もできるような状況になってきたのではないかと思っております。
4月以降、どの地域も消費生活相談全体に占める震災関連の割合は徐々に小さくなっておりまして、特に被災地の4県を除く3地域では、1割前後、またはそれを下回るレベルとなっていまして、通常のいわゆる消費生活相談が多くを占めるようになってきております。ただ、被災地4県に目を向けると、3月よりは割合は小さくなっていますが、依然として震災にかかわる相談が全体の5割程度のままとなっております。
当初は圧倒的にガソリン不足ですとか、お米がないなど、食料品不足などの御相談が多かったのですが、そうしたものから変化しておりまして、工事・建築ですとか、修理サービスというものが多く見られるようになってきております。
資料2-6を見ていただきたいのですが、屋根の修理サービスは、いわゆる物資不足を除いた相談の中では賃貸住宅に次いで非常に多く寄せられております。これは被災地というよりは、北関東の茨城、栃木、群馬の3県に多く寄せられている相談で、中身を見ますと、「クーリングオフしたにもかかわらず解約料を請求される」と。そもそもクーリングオフというのは無条件に解約できるものですから、解約料を請求するという悪質なものですとか、「屋根が壊れている。早急に補修工事をしないと大変なことになる」というように、自分ではなかなか屋根にのぼって見ることのできない消費者に対して、不安をあおるような言葉を使って契約させるという悪質なものが見られております。
そうしたところが昨日までの私どもの公表資料ですけれども、そのほかに震災関連悪質商法110番の状況を少し申し上げます。
第1週は電話回線は4回線で実施していて、平日の平均は39件、土日祝日は平均40件だったのですが、1か月後の第5週になりますと、平日が19件、土日祝日が15件と減少傾向にありましたので、5月から電話回線を2回線とすることとしました。直近の第8週を見ますと、平日は18件というように多少、減少傾向にはあるものの依然2けたの件数の相談があるところです。相談の傾向を見ますと、当初の物不足から不動産貸借の問題ですとか、住宅、車の補修、放射能を除去するなどとうたった商品に関する相談というように変化してきております。震災直後の大混乱状態からやや落ち着きを見せ始める今後が、また悪質商法が増加することも予想されますので、6月も引き続き実施していきたいと考えております。
以上です。

○中村委員長代理 ありがとうございました。
それでは、今の3つの御報告に対して、御質問、御意見がございましたら、お願いします。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 御説明ありがとうございました。お三名の方にそれぞれ1点ずつ御質問させていただきます。
まず、田邊課長にお聞きしたいのですが、相談エリアを4県に限定されていますが、御案内のとおり被災者は埼玉や東京にも住んでいらっしゃいます。そういう観点からすると、4県に限定しないでもっと幅広く相談を受け付けて対処されたらどうかと思うのですが、そこはなぜなさらないのかというところが疑問です。それから、相談電話があるということのCMを余り積極的になされていないのではないか。内閣総理大臣のポスターを見ても、この相談番号が出ていない。もう少し積極的に「やっている」ということをアピールされたらどうなのかなというのが質問の一つです。
林課長には、基金の延期をされたり枠を拡大されたりしてはいるようですが、ファンド自体は金額を増やすとか、その辺のところはなさらないのか。また、こういう枠を増やして自治体の反応がどうなのか、その辺を教えていただければと思います。
国民生活センターの方にお聞きしたいのは、リフォームの問題です。そもそもリフォーム被害は一般的にも多い。例えばリフォームの場合、建築士がいつでもスタンバイしていますということもなさっているようですが、今、国土交通省はリフォーム保険を推奨しているんですね。その辺の推奨は余りなさらないのか。質問です。

○中村委員長代理 それでは、順番にお願いします。

○消費者庁林地方協力課長 1つ目の質問と合わせて、私の方からお答えさせていただきたいと思います。
まず、震災110番の対象地域の問題ですけれども、お配りしております資料1の17ページに参考マル1というのがついています。これは、茨城県に拡大いたしましたときにプレスリリースをした悪質商法110番の資料でございます。対象地域のところをご覧いただきたいと思いますが、岩手、宮城、福島、茨城、これが4県の対象地域です。それにプラスして、先ほど山口委員がおっしゃられた県外避難されている方、確かにいらっしゃるんです。この方たちからの相談も併せて受け付けるようにしております。その意味で、今回、この4県プラスアルファという形にさせていただきました。
PRの点ですけれども、私どもも政府広報などとタイアップしてできるだけ広報するように努めております。しかしながら、今のままで十分かと言われると、更なる努力をしなければいけないと思いますし、私どもも地方に出向いてお話をするときには、必ずこの悪質商法110番の話をさせていただくように努力をしております。また、いろいろなメディアを通じて更に努力をしていきたいと思います。
基金の話でございますけれども、対象の4県について基金の造成額を見ますと、岩手、宮城、福島、それぞれ3億~3億5,000万余のレベルで20年度、21年度の2年間で基金を造成しています。それから、茨城は少し規模が大きくて5億の規模で基金が造成されています。確定していますのは21年度の取崩し額。茨城と宮城が1億前後、岩手と福島が5,000万前後が21年度の確定額でした。22年度は更に各県とも1億程度の執行を予定しておりました。これは計画ベースですので、実際に22年度にどの程度使えたのかはまだ不明です、決算額が出ていないので。手元で確実に残っているだろうと思われる残額は、岩手で申し上げますと2億弱、宮城県で言いますと1億4,000万ほど、福島県が1億7,000万ほど、茨城は2億7,000万ほど、まだ確実に使えていない額があります。
ですから、当面は恐らくこの額で大丈夫だと思います。山口委員御指摘のように、今後、我々が当初予定していたよりも被害が増えてこの額では足りないということになれば、補正ということも念頭に置きながら考えていきたいと思います。
ちなみに、これを拡大しますということを決めて、実は今日、プレスに出しましたので、これから地方から具体的な問い合わせがあると思います。そうしたこともよくよく聞きながら、具体的には23年度の執行取崩しの計画というのは上がってまいりますので、それらを見ながら財政需要というのを見ていきたいと思います。

○中村委員長代理 田邊さんの方は何か追加はありますか。

○消費者庁田邊消費者情報課長 ちょっと補足です。林課長から説明があったとおりですけれども、例えば110番の話でも、政府広報でやっている避難所に張る壁新聞というのがあるのですが、そういったところでもきちんと書いて広報しております。政府広報の一環として官房長官がラジオで呼びかけて、その中で番号を言っていただいて、そういう形できちんと我々なりに精いっぱい広報をしているということだけお伝えさせていただきます。

○中村委員長代理 鈴木さん、どうぞ。

○独立行政法人国民生活センター鈴木相談情報部情報提供課長 私も一言、先ほどの話につけ加えますと、被災地4県から避難されている方の御相談も結構ありまして、それはきちんと受け付けております。また、広報の点では、地元でよく読まれている新聞があると思いますけれども、そういうところからも取材などがありまして、そうした新聞にも広報していただいております。
それから、山口委員からの御質問にお答えいたしますと、御存じのように御相談というのは一件一件違います。それぞれによって適切にお答えしていますけれども、御相談によっては勿論、保険のことも御案内しておりますし、各種制度をいろいろ御案内しているところです。

○中村委員長代理 山口委員、よろしいですか。

○山口委員 はい。

○中村委員長代理 では、池田委員。

○池田委員 未曽有の震災で各省庁は大変だったと思いますし、消費者庁もそうだと思いますけれども、消費者庁が2年前にできて、こういう危機に対応したのは初めてなんですね。お二方に聞いていいかどうかわかりませんが、消費者庁として3月11日以降とった行動で、新しくできた庁として従来の行政省庁と違った動きがとれたのかどうか。そういうことが何かあれば、お教えいただきたいと思います。
もう一つは、こういう緊急時、つまり大災害あるいは大被害が起きたときに対応するマニュアル的なものが元々各省庁にあると思います。例えば経産省だったら、各事業者に紙コップ持って来いとか、紙皿持って来いとか、お笑いになりますが、本当に深刻な問題なんですよね。消費者庁としては、どういうところに最初に対応すべきかということがきちんとできているのか、その点を確認させてください。
逆に言うと、今度は国センさんにお聞きしたいのですけれども、毎年いろいろなところで災害は起きております。今度の東日本大震災と比較できる規模のものはないと思いますけれども、それ以前に起きた、例えば、阪神・淡路大震災はもう古すぎるのかもしれませんが、新潟県中越地震などと比べて今回はこういう動きがとれたということがあったら、教えてほしいと思います。

○中村委員長代理 なかなかいい質問ですが、お答えできる範囲が限定されているかもしれません。おわかりの範囲でお願いします。

○消費者庁田邊消費者情報課長 まさにこの震災が起きてから、私の個人的な実感ですけれども、それまでの通常業務よりも震災に関連した業務が圧倒的にウエートが増えているというのがお答えのすべてかなと。こういった統計についての発表も震災についてですし、それ以外に別途、震災に関連して、例えば意識調査を今後やったり、そういうのはありますけれども、それは通常の業務の範囲では全く想定されていなかったことなので、そういった意味で言うと、消費者庁全体として、震災とそれに対する対応はかなりウエートを高くしていて、まさに消費者庁として精いっぱい震災に取り組んでいるということかなと。
マニュアル云々について言うと、私の理解ではそういったものは各省庁共通のものがあって、そういったものに則ってやってきているところで、不十分なところもあるのかもしれませんけれども、そういったあらかじめ定められたものに従ってやっているところにおいては、精いっぱいやってきているのではないかというのが私の個人的な感想です。

○池田委員 言い返すようで申し訳ありませんが、実は3月11日に消費者委員会がここであり震災後も委員会を開いておりました。それは逆に言うと、マニュアル不足というか、危機管理が全くないという実態をあらわしていると思うのです。同じように震災当日に同じビルにいた消費者庁は、どういう行動をとられたのかをお伺いします。

○消費者庁田邊消費者情報課長 実は震災があった日、私は別の業務で、「消費者支援功労者表彰」の表彰の選定委員会がその日に設定されていて、そのとおり開催するかどうかというのは非常に判断は迷ったところなのですが、結果的には開催を見送ったということで対応したということはあります。

○中村委員長代理 林さん、補足はありますか。

○消費者庁林地方協力課長 私どもの担当セクションはまさに地方の支援というのが職務ですので、今回の地震について言いますと、たまたまなのですが、この4月まで神戸市から職員が出向で来ておりました。震災に発災後1週間、1か月、あるいは3か月という間に、阪神・淡路のときに国民生活センターの皆さんも含めて、何がやれて、何がやれていなかったのかというのがすぐにデータで取れました。そのことが、今回の震災110番の開設の初動のときにも非常に役に立ったと思います。
消費者庁全体としてどうだったかというのは、これはなかなかコメントは難しいですけれども、先ほど池田委員がおっしゃられたように、週末の夕方に近い時間帯で、特に通信がダウンしましたので、実態を把握するのは非常に難しい状況ではありましたが、それなりに動けたのかなという気はします。
ただ、実は震災110番ももっと早く開設をしたかったのですが、御存じのように今回、停電も広域でしたけれども、固定電話の断線というのが非常に広くて、NTTから回線を新設する機材が来なくて、物理的に回線が通じなくて結構時間がかかってしまったということもあって、今後、反省しなければいけない点もあるなというふうに思っております。

○中村委員長代理 国民生活センターからお願いします。

○独立行政法人国民生活センター鈴木相談情報部情報提供課長 阪神・淡路大震災のときに当時の兵庫県立神戸生活科学センターが、家電製品110番、生命保険110番、損害保険110番、物価ダイヤル等という特別相談窓口を設けて対応したということがあります。国民生活センターでも「震災関連消費生活ダイヤル」というのを設けた経緯があるので、今、林課長がおっしゃったように、そのデータが残っていたので、比較的スムーズに今度の窓口が開けたというところがあります。
それから、一番大きかったというか、阪神・淡路大震災のときの110番を経験された相談員、本当にベテランの相談員さんが開設当初1週間ぐらい応援してくれたんですね。今は相談員さんたちも代替わりしていて、新しい相談員も多くなっているところ、こうした災害というのはやはり特別な事態で、相談者の心理状態も相談も通常とは違うということで、どういうふうな受け答えをしていいのかというところを1週間にわたって教えてくれたというか、一緒に窓口に座って支援してくれたというのがありまして、個人的な感想になりますが、それは非常に大きかったと思っております。

○中村委員長代理 佐野委員どうぞ。

○佐野委員 御説明ありがとうございます。震災に関する悪質商法というのは、まさにこれから更にひどくなるのではないかと思っています。皆さん、広報していると頑張っていらっしゃるけれども、広報だけでいいのかなと。行政処分の方はどうなっているのかということをお聞きしたい。特に先ほど御説明のあった屋根の修理サービス、かなり悪質なものがたくさんあって、クーリングオフしたにもかかわらずというお話も先ほどありましたけれども、こういうことに関して実際に行政処分をやられたのか。それから、これからどういう形で続けていらっしゃる予定かということをお聞きしたい。
もう一つは、消費者庁の資料の12ページに温泉付き有料老人ホームの利用権という、ちょっと引っかかりそうな名前で出ているのですが、これを見ますと「劇場型」ということで書かれております。劇場型というのは本当に引っかかりやすいということは、未公開株や社債ということもここにきちんと書かれておりまして、まだ運よく1件も引っかかった人は確認されていないということですけれども、これも、ただ広報だけでいいのか。そうではなく、やはりきちんと行政処分をしていただきたいと思います。この場合、未公開株やファンドとかいろいろ問題があったときに、一体どの法律を使ってやるのかというのがありまして、これは、消費者庁はどのようにお考えになっているのかということをお聞きしたい。
もう一つ、昨日、新聞に出ていましたけれども、健康食品で内部被曝を抑えるとか、放射能を体外に出すとか、ということで薬事法違反で逮捕されたということです。こういうのはこれからどんどん増えると思いますけれども、この対応はどうなさるのか。積極的に対応していただきたいし、先ほどの屋根の修理サービスでも、この健康食品の場合でも、私たちにわかりやすくきちんと事業者名を出していただきたい。広報していただくときも、全く同じ手口だったら私たちも理解できますが、やはり悪質事業者の方が頭が回りますので、少しずつ変えていくと何かよくわからなくなります。そういうときには、やはり事業者名をきちんと公表していただくとわかりやすい。悪質事業者はできるだけ早く市場から追い出すということを、是非やっていただきたいと思います。さっきのは質問で、これは意見です。
それから、もう一つお聞きしたいのは、林さんと田邊さんでいいのかよくわからないのですけれども、食品に関するQ&Aは、消費者団体もQの質問の方を一生懸命考えましたけれども、一体いつになったら公表されるのか。今月中ごろというお話がまずありまして、まだまだということですが、早くしていただかないとどんどん物事は進んでいくということで、その辺りどうなっているのか、わかったら教えていただきたいと思います。

○中村委員長代理 行政処分庁ではない箇所から来ておられるのでちょっとあれなのですが、おわかりの範囲でお答えください。

○消費者庁田邊消費者情報課長 行政処分について責任あるコメントをする立場にないのですが、まず事実から言うと、屋根の修理とかそういったところで、消費者庁内で行政処分をしたというのは私の知る限りはない状況です。
ただし、実は同じ消費者庁内でも、どういった行政調査をしているかというのはわからないようになっていて、それはそういうものなんですね。そうなのですが、やるべきことはきちんとやっていて、当然、十分な調査がなされたときにはきちんと行政処分がなされているというのがこれまでの取組みなので、そういったことは続けられているというふうに理解しています。

○中村委員長代理 林さん、どうぞ。

○消費者庁林地方協力課長 私の方からは、地方からの声と、今、地方に対して行っている支援をどう継続していくのかということについて、簡単にコメントをしたいと思います。
私自身も発災後、宮城には行きました。そのときに東北経産局に行ってきました。今回、やはり原発の影響が非常に大きくて、出先機関との関係で言いますと、例えば特商法の取扱いについてはまさにあのエリアは東北経産局がやる。しかし、恐らくその対応も相当の部分は原発対応にとられているのではないか。勿論、地元の県は相談業務そのものも他の行政分野にかなりの部分吸い上げられています。執行部門も恐らく同じで、地元の行政機能に処分を期待するのは恐らく難しいだろうと思います。
そのとき経産局の皆さんもお話をしていたのは、佐野委員から御指摘いただいたような悪質な事案が本当に被災地のところで出てきたときに、どういうふうに対応していくのか。やはりこれは、国の役割と地方の役割というのをよくよく考えていかないといけないのではないかという声がありました。これは、消費者庁としてどこまでどう手が出せるのか、私はそれこそ責任を持ってお答えできる立場にありませんけれども、そういう状況にあるという認識は持っています。
それと、地方への支援の在り方です。これは今日、特にデータをお出ししていませんが、政府で発表されている仮設住宅の着工、完成、入居という見通しを見ますと、東北3県いずれも7月から8月にかけて、一応今の入居希望者は受け入れられるだけの仮設住宅が完成して、そこに入られる。要するに避難所暮らしがそこで終わるはずです。夏以降、生活の本拠はできる。そうなると、これまであったような生活再建相談も勿論継続すると思いますけれども、佐野委員御指摘の、ちょっと落ち着いたところをねらってくるところというので、ここは必ず人がいる場所というのが外からわかるようになりますので、相談の傾向とか事案の発生状況も恐らく変わってくるはずで、ここはきちっと見ていかないといけないだろうなと思っています。
また、相談機能が相変わらず回復はしていないので、当面の間は、この110番にしても専門家派遣にしてもやはり継続していかないといけないだろうなというふうに思っております。

○中村委員長代理 Q&Aのことはわかりますか。

○消費者庁消費者情報課担当者 ただいま、確認しております。

○中村委員長代理 では、後ほど御報告をお願いします。
ほかにございますか。

○下谷内委員 まず、消費者庁にお伺いしたいのですが、専門家の支援派遣というのをなさっていますね。今回、資料マル4-1を見ますと、割と少なく、弁護士さん1名とか書いてあります。私も先日、宮城の方に伺ったのですけれども、相談員があちらにもたくさんおりまして、そのときに、地元の弁護士さんとか、ほかから入ってこられた弁護士さんたちがボランティア活動をしていらっしゃると。消費者庁は遅きに失しているのではないかというのはあったのですが、その方たちとの連携とかそういうものはあるのでしょうか。お伺いしたいと思います。
もう一つは、まさに悪質商法、この8月以降については、住居の拠点地域にやはり圧倒的に入るだろうということは相談員としてみんな思っています。実は、小さな小さな避難先だとか、小さな村が避難先をつくっているところがありまして、そこにはほとんど情報が届いていないのだそうです。相談員さんが、自分でつくったものを張りつけてでもやりたいと。それはたまたま110番のことをやってくださったのですけれども、今後、その人たちが入居したときに、どこにどうして相談していいかというのがなかなかわからないし、先ほど壁新聞に張ってあるということをおっしゃったのですが、そのときにボランティアをした相談員さんがおっしゃるには、ここにもあるんですよということを言っても、それが何だかよくわからないということなのです。
相談窓口が閉所されているところもまだまだございますし、これから先、かなりいろいろな形で悪質商法が深く静かに入っていくだろうと思うのです。そういたしますと、その人たちがどこに相談していいかということをもう少し周知徹底させる。地方自治体は上から下におりていくということで、当然、やっていますと。パンフレットを作っていらっしゃるのですが、それがそこに置いてあればいいとかではなく、それをどうやって手に取って見てもらって、次の段階にどこに行っていただくかということがなかなかわからない。そのためには、今回、今後もやってくださるとおっしゃっている震災110番、それと地方の自治体とのつながりの関連についてどのようにお考えなのか、ということをお伺いしたいと思います。

○消費者庁林地方協力課長 私も今回の取組みについては、本当に末端のというか、小さな、いわゆる自治体が認知をしていない避難所に避難されている方にどう届けるかというのは非常に難しいなと、これは本当に思っております。先ほど国民生活センターの方からもお話をいただきましたけれども、認知されていないところですと、これは全戸配付が前提ですが、県や市町村が発行する広報も来ないとか、地元紙も来ないということがあるわけです。でも、基本的にメディアを考えますと、そういうところになるべくきめ細かくつくっていくしかないのではないかと思っています。地元紙の記者に聞きますと、当初は新聞社本体も被害を受けてしまって、新聞の発行もままならないような状況で、配達先も、皆さん避難してしまっているので散り散りばらばらでわからない。結局、避難所に届けるしかないわけですけれども、その避難所がどこにあるかもわからないという状況でしたが、ようやく落ち着いてきたのかなという感じなのだと思います。ですから、繰り返し繰り返し、そういう割と目の細かいメディアを使いながら周知を図っていく、そういう努力を続けるしかないのかなと思っております。
自治体との連携、地域との連携という関係ですけれども、今回の専門家派遣を通じて私自身も非常に勉強になったのは、派遣を調整している宮城、岩手、福島、たった3県なんですけれども、3県とも全く状況が違う。今、例えば下谷内委員から宮城の話をいただきました。あそこは仙台の弁護士会が非常に熱心で、ボリューム感も350名ぐらいいらっしゃるので、地元ですべてのことが賄えて、沿岸部の被害の激しいところにも、張りつきではありませんけれども、派遣して相談に当たられている。非常に早い取組みをされていました。また、独自の無料相談電話も開設されて、2けた以上の弁護士が毎日張りついて相談に対応されているというのを、私も拝見させていただきました。
そういう非常に動きの早いところ、それから、行政と比較的連携のとりやすいところと、例えば岩手はまだ県全体、どこも動けていないのです。県の弁護士会はもともと消費生活に非常に熱心ですが、私どもも当初、県を通じてとにかく弁護士の派遣を何とか後押しをしたいと。できればいろんなことが総合窓口でできるように、ほかの士業の人たちとも連携してやりたいということを当初持ちかけたら、今は弁護士の取組を維持してほしいという状況だったのですが、いろいろなところを打ってみて、最近、県も動くようになってくれたという感じなのです。
岩手は、弁護士さんで言いますと県内に80名ぐらい、福島は100名ぐらいです。いずれも、弁護士さんの方が複数いらっしゃいますのでちょっと言いにくいのですが、やはりどうしても地元の弁護士を使ってほしいという声があります。ところが、行政から見ると、地元の弁護士だけでこの複雑多岐にわたる相談をこなせるのかという声もあったりして、結構意見はいろいろで、具体的に派遣をやろうと思うと調整に手間取ったということもありました。ですから、日弁連にお伺いしましたときに、地域によっては、仙台などは特にそうなんですけれども、いろいろな士業の連絡組織というのは常設で設けられていて、こういう大きな災害があったときにどう連携を取っていくのかというのはそもそもある種のルールができている。こういうところは比較的やりやすいわけですけれども、そうではないところは、中に入って行ってそういうところの調整もやらないとできない。
やはりいろいろなところと調整しないとできないということがよくわかって、今も毎週、担当者が各県に行って、県なり市町村の消費生活の窓口、プラス、ここが今回非常に大事だと思ったのですが、現地の災害対策本部に問題意識を持っていただかないと、地元が動かない。場所の提供、予算の確保といったところも全く動いてくれないので、まずそこに働きかけをして市町村につないでいただいて、市町村の災害対策本部に働きかけをする。今、そういうことをやっています。これを今後も継続して、なるべく掘り起こしをして、こういう専門家派遣の目を細かくできるように今後も努力をしていきたいと思います。

○中村委員長代理 ありがとうございました。
Q&Aはわかりましたか。

○消費者庁田邊消費者情報課長 5月30日、来週の月曜日に公表予定でございます。

○中村委員長代理 ホームページ上にアップするということですか。

○消費者庁田邊消費者情報課長 ホームページ上にもアップしますし、30日はシンポジウムを開催しますので、そこでも配付させていただく予定です。

○中村委員長代理 ありがとうございました。
次の議題もありますが、どうしてもという御質問はありますか。
それでは、第1の議題はこの辺にしたいと思いますけれども、消費者委員会も震災問題に関心を持って、やはり地元の生の声にできるだけ接しながら考えるべきだと思って、(地元紙提示)実は消費者委員会、東北3県の地元紙をこうやって取っております。これを読みながらみんなでいろいろ考えているのですが、先ほど言われた広報で見ますと、いろいろな生活関連情報欄がバーッとありますが、残念ながらこの110番の番号は載っておりません。地元の消費者センターの案内はズラッと載っております。

○消費者庁林地方協力課長 河北新報はここがブロック紙なので、当初、ここの記者を呼んで「とにかく震災110番を載せてくれ」といって、しばらく載せてくれていたのですが。

○中村委員長代理 だんだん優先順位が下がったのではないかと思いますが、引き続きよろしくお願いしたいと思います。

○消費者庁林地方協力課長 はい。またちょっと働きかけをします。

○中村委員長代理 今日は本当にありがとうございました。

≪3.国民生活センターの在り方について≫

○中村委員長代理 それでは、2番目の議題、「国民生活センターの在り方について」に入りたいと思います。
国民生活センターの在り方については、去る5月13日にタスクの中間整理案というのが発表されまして、消費者委員会としても前回の委員会でヒアリングを行ったり、その前の第47回の委員会においても、国民生活センターが果たしている地方支援の機能について、群馬、京都、熊本からヒアリングを行ったところであります。
本日は、タスクでもヒアリングされていない事業者の関係の団体と消費者団体、こちらからのヒアリングをしたいと思います。社団法人消費者関連専門家会議(ACAP)、全国消費者団体連絡会及び全大阪消費者団体連絡会、この3つの団体から今日はおいでいただいておりまして、国民生活センターが果たしている役割やタスクフォースの中間整理に関する御意見についてそれぞれ御説明いただき、議論に入りたいと思います。
まず、ACAPから御説明いただき、審議を行いたいと思います。その後、消団連、全大阪消団連から御説明いただき、質疑を行いたいと思います。
それでは、ACAPの方からよろしくお願いします。

○社団法人消費者関連専門家会議滝田理事長 「消費者関連専門家会議」という社団法人の理事長をしております滝田と申します。同席しておりますのは、常任理事・総務委員長の佐藤、今日は2名で御報告を申したいと思います。
この問題に関しましては、社団法人消費者関連専門家会議、通称ACAPと呼んでおりますが、ACAPの中でも、大きな関心事としていろいろ議論をしております。今日、これからお話しさせていただきますのは、時間的な関係もありまして、ACAPの中でも役員クラスの人間が集まってとりまとめた内容に沿ってお話しさせていただきたいと考えております。
これに並行しまして、今、ACAPの会員に対して緊急のアンケートを行っております。このテーマに関して、会員のメンバーがどういった考えを持ち、どういったことを希望しているのかということを緊急にアンケートをやっておりまして、今月中にとりまとめて、来月早々にはその集約結果をホームページ等で公表させていただきたいと考えております。今日の私どもの話、あるいはそういったアンケートの結果等を、是非この委員会のこれからの検討・協議の中に反映していただけたらというふうに考えております。
今日の話の前に、ACAPについてまだ十分に御存じいただいていない方もいらっしゃるかと思いますので、若干御説明申したいと思います。お手元にパンフレットがあるかと思います。社団法人消費者関連専門家会議というのが正式名称になります。設立は1980年で、昨年、30周年記念という節目を迎えております。現在、消費者庁所管の社団法人ということになっております。
基本的に会員メンバーは企業あるいは事業者団体等に勤務して、その中で消費者対応の業務を主管とする人たちが横断的に集まっております。現在、会員企業が約600社、会員数にしますと900名という規模で運営しております。会員企業600社と申し上げましたが、いろいろな業種がその中に含まれております。食品業界、保険、自動車、電機、薬品、それらが横断的に集まってこの会を形成しております。
ACAPの会員は会社業務の中にあっては、日々、消費者の方々との接点で業務を行っております。消費者の声を一つでも多く受けとめて、それを会社の経営につなげていくという部門でやっております。そういう意味では今回のこの問題は、我々ACAPの会員にとっても大変関心の深い問題だと考えております。そういう意味でこういう機会に我々ACAPとしても、こういう場、あるいはいろいろな機会を通じてACAPとしての発言をさせていただきたいと考えております。
今も申しましたように、我々はそれぞれ企業に属する立場の人間が横断的に集まっていますから、どうしてもその視点は事業者サイドに立ったところがあると思います。ただ、企業の中にあっても我々が日常活動する内容というのは、消費者の方々と自分の属する企業との間の架け橋という位置づけで活動しています。そういう意味では企業には属しますけれども、消費者の視点、考え方、望んでいらっしゃること、そういったことに最も近い立場にいる人間の集まりだと考えております。
ちょっと長くなりましたが、私から、まず今回の問題に関する概論的なところをお話しさせていただきまして、その後、佐藤常任理事から個別の案件につきまして具体的にお話をさせていただきたいと考えております。
お手元に資料3-1ということでお配りしております。そちらの方に、私あるいは会としての総意をまとめさせていただきました。我々企業に属する人間からしますと、今回の問題は単にここで起こった問題ではなく、過去数十年の歴史を踏まえた結果だというふうに考えております。皆さんも御案内かと思いますが、大きな転換期は2000年という年があったと思います。その後、十年余、日本の消費社会というのは、以前になかったような大混乱、その多くが、大変残念ですけれども、企業側の不祥事、あるいはよこしまな企業も中にはあって、そういったことがこの十年余の中で続けて起こって、結果として日本の社会にあって消費者の方々が企業に対する信頼感というものを完全に失った、そういう時代が長いこと続いてきたと思います。
その間に企業側も、いろいろ反省に基づいて努力もし、あるいはその間に行政の方の法整備ですとか、消費者委員会さん、消費者庁さんを初めとした体制の整備、そういったこともその中では起こってきて、新しい日本の消費社会、消費者の方と企業が信頼し合って、お互いがよりよい社会を築く方向に行くために必要なその土俵に、今、やっと立っているのではないか。そういったことで我々としては、是非そういったものをより確実に正しい方向に持っていくために、今回の議論がいい方向に行くように望んでおります。
そういう中で、我々企業に属する人間の立場から行政に望むことは、この十年余、消費者の方々の企業に対する信頼感が大きく失われてきた中で、我々事業者も、当然、その信頼を回復するためにさまざまな努力も行い、何とか消費者に信頼を取り戻していただく努力を続けてまいりましたが、残念ながら、企業、事業者の努力だけではそれを達成することができず、我々としても、何とか多くの関係団体あるいは関係行政のお力添えをいただきたいと考えております。そういった中で、消費者庁あるいは消費者委員会、国民生活センターといった関連所管の行政が、より有機的・効率的にそういった機能を果たしていただく。そういった力添えをいただくことによって初めて、我々の目指している方向が達成できるのではないかと考えております。
そういう意味で、今回、この問題について議論されている内容につきまして我々としても大変大きな関心を持っております。論議の中身については、お考えですとか御意見を背景にしたものがありますから、それぞれのお立場の意見に対して我々がコメントするというのは難しい部分もあります。ただ、これはもう皆さんも御一緒だと思いますが、我々事業者もこの問題について最終的に望んでいるところは、どういう形であれ、せっかく十年余苦労して、今、新しい体制がやっとスタートに立った。これからの日本の社会を考えたときに、これからの消費者行政が決して後戻りすることなく、ますます磐石に効率的に、よりよい社会を築く礎になっていく。そういったことが我々の一番目指すところで、そういったよい方向に連なる決着の仕方をされることを期待しているところであります。
最後に、今回の議論のやり取りを見た中で、我々の方から一言だけ意見を申し上げたいと思います。特にタスクフォースの中で、消費者庁さん、国民生活センターさんのいろんな意見があって先般の中間とりまとめが発表されております。それを私も関心を持って読ませていただいております。正直に申し上げて、あの内容を一言一句読んでみますと、国センさんの今までの機能、実績、あるいは消費者庁さんが持っていらっしゃる能力、組織、そういったものが書かれていますが、それらの書き方というのは、言葉は悪いかもしれませんが、非常に観念的・抽象的。我々でさえ正直、あのやり取りを読んで、国センさんの御意見、消費者庁さんの御意見、それぞれおっしゃっていることはごもっともと思いますが、では、どちらがよりよい社会につながるかという判断を迫られたときに、果たして今のやり取りだけで我々が判断できるのか。まして一般国民の方々が、さあどうだというふうに示されてできるものかなというふうに思います。
国センさんの持っていらっしゃる機能、力、あるいは消費者庁さんのものにしても、国民に判断を仰ぐとしたら、できるかどうかわかりませんが、より具体的に計数化するような形で比較できる形をオープンにして、その上で国民の判断を、という進め方がやはり必要なのではないか。わかる人だけがわかるような形での議論ということでは、残念ながら国民の理解の下に進めることは大変難しいと思います。
それともう1点、今回の議論の中で、国センさんが一生懸命40年の歴史の中で積み重ねてきた中にも、恐らくその目指していた中で達成しきれなかった部分、あるいは問題とされた部分もあろうかと思います。あるいは、消費者庁さんの機能にしても十分でない部分がまだ多数あると思います。そういったところがこの議論の中で大きくクローズアップされたことは、今回の議論のある意味では成果ではないかと思っております。そういう問題点については、今、協議されていることの決着の方向とは別に、その辺の問題点というのはもう終わりということではなく、指摘されたところを、今後の動きの中でそれぞれが改善する努力は必要なのではないかなと考えております。
以上、ちょっと長くなりましたが、総論的なところを申し上げて、個別の事業者として要望を申し上げたいところにつきましては、引き続き、佐藤常任理事から御報告申し上げます。

○社団法人消費者関連専門家会議佐藤常任理事 佐藤と申します。よろしくお願いします。予定以上にしゃべっておしまいになられたので、私、時間が大丈夫かなとちょっと心配しているのですけれども、御報告させていただきます。
具体的にと言われた割には漠とした資料で大変申し訳ないのですけれども、今、理事長が申し上げたとおり、会員の総意という意味では、今、アンケートをとり議論をしているところです。ですから、私どもが御報告できることはこういうところなのですけれども、まずは補足させていただきたいと思います。
どうしても消費者問題というのは、専門家の皆様の方がその辺はお詳しいでしょうけれども、実際自分の身にふりかかってこないとなかなか感度が鈍いものでして、その意味ではこの議論というのは、余り国民の関心事になっていないと非常に感じられます。ややもすると、廃止とか、効率化とか、重複とか、とんでもなくそういう言葉がひとり歩きしている感じがして、私どもの職場等の周りからしましても、「国センってなくなるんだって?」と、こういうような先入観が植えつけられているのではないかという気がしております。新聞でもそのタイトルを見て、国センなくなるんだね、もうなくなってしまうんだと、こういう議論が職場でもある。それでいいのだろうかという気持ちを持っております。組織論というものから入ってくるとなかなか難しい。なくなってしまうという話からスタートしてしまう。
そういう意味で我々ACAPとしましては、1番目にありますように、まず機能面から討議したいという気持ちが非常に強うございます。消費者庁と統合するならば、統合するメリットがどこにあるのかということは私ども事業者は知りたい部分がございます。特に後で触れますけれども、ADRというのは事業者からすると大きな問題でございまして、それは消費者にとって、それから事業者にとってどういうメリットがあるのかということを具体的にしていただきたいと考えております。
もともと国センの機能は重要性があるというのは誰も否定していないわけであって、それを今後、どこがやっていくのかという議論になってくるのだろうと思いますけれども、40年の国センの歴史の中でできなかったことは何なのか。国センだからできなかったことがあるのだったら、国センでなかったらどういうことができるのか。今までできなかったのはどこまでで、これからはどこまでできるのかという数値であるとか、目標であるとか、そういうものが示されて初めて、それだったらこっちに移した方がいいとか、統合した方がいいという議論ができるのではないだろうかということで、もう少し目標数値みたいなものを出した上での議論が進んでほしいというのが私ども役員の中で議論したものでございます。
2番目としましては、全体の視点で見てみないとわからないという話がございます。というのは、昔、消費者行政の仕組みを教えてもらったときに、線があちらこちらへ行っていて、消費者保護会議へ飛んでいるかと思うと、事業者へ飛んでいって、こっちへ飛んでいって、経済企画庁へ飛んでいってと、ワケがわからないところから私どもは十数年前に勉強をしたわけですけれども、今の仕組み図というのは非常によくわかります。なぜかというと、消費者庁と消費者委員会ができたために、そして国民生活センターがその要であることを位置づけたために、あの線がものすごくわかる。社内で従業員の教育をするときも、消費生活センターというのは地方自治体がこうしているんだよ、この矢印がこっちへ飛んでいって、それを媒介しているのはPIO-NETなんだよ、そしてそれはこういうふうに行くんだよということをやると、企業のお客様対応の部門以外の者でも、「そういう仕組みになっているのか」と。苦情がどういう流れで行政に反映するのかということがわかる。あの仕組み図というのはすぐれものだと思っています。
そして、中核だと言っていた国民生活センターが、この図の中からどこへ行くのかということで、1年間研修してきたのに、あの仕組み図をもう一回従業員の勉強に使わなくてはいけないのかという意味では、あのすぐれものの図はもう少し生かしていただきたいなという気がしております。それが2番目として、全体の仕組みとして考えていただきたいということでございます。
3番目、一番関心を持っているのは事業者としてはやはりADRでございます。ADRの機能は随分いろいろ進んできまして、例えば金融でしたら金融ADRとか、それぞれあります。そのほかに、「国センのADRなんていうのがあるの?」というのが、当時、ささやかれました。1年間たったときに、何件か上がっていくうちに、今まで膠着状態だった苦情が何か落としどころが見つかって、早く終わったねということもやはり出てきています。その仕組みがようやく事業者の中で落ち着いてきたというか、見えてきた段階です。では、ここでそのADRがどういうふうに動いていくのかといったときに、後の部分が中間整理の中でうまく見えてこない。我々にとっては非常に不安でございます。
そして、それがどうなるかわかりませんけれども、地方の自治体の例えば消費者紛争委員会とか、そういうものに落とすんだ、充実させるんだといっても、下谷内委員には申し訳ないのですが、地方の例えば消費生活センターの相談の応対というものを考えたときに、やはり首都圏等との差といいますか、不安がございます。それから、自治体においてもそうでございます。苦情処理委員会が実際動いているのかどうか、数字まで私はわかりませんけれども、ADRが今後、移っていった中で、地方にすぐ落としていけるのかということは非常に不安がございます。ですから、早くこのADRの仕組みというものを具体的な形で示していただきたいと考えております。
4番目は、民間の知識を使ってほしいということでございます。大体こういう議論が出ることは、民間の知識を使ってよという話になるのですけれども、例えばここに、あえてACAPのことを最後に書いてございますが、私どもも消費生活センターの相談員さん等を対象としたACAP講座というのをやっているわけでございます。私ども民間の企業が、例えば今日はビールの話だよ、今日は保険の話だよ、今日は醤油の話だよということをして、消費生活センターの相談員さんたちに商品の理解を深めてもらうことは非常に重要だと思っていますので、サンプルだけ出しましたけれども、是非民間の力、ACAPの力を使っていただきたいというのが一つ要望でございます。
最後、PIO-NETで収集される情報を一度、事業者も活用させてほしい。「これは絶対言ってこい」と言われたので申し上げるわけですけれども、なかなかあの中身がわからない。私どもが集めているよりももっと貴重な情報が多分あの中にはあるのだろうなと。この業界においての苦情はこれだけだ、何件だということはわかりますけれども、なかなか生のものが見えてこない。そこにアクセスさせてくれというのは御都合主義かもしれませんけれども、事業者としては、あそこに多分いろいろな業務改善の宝がいっぱい埋まっているのだろうなと思うときに、この仕組みの改革の中に是非PIO-NETを開放して、とは言えないまでも、ACAPの会員として頑張っているものについては、是非何らかの情報がもう少し入りやすいような形で使わせていただきたい。
現段階ではこういうところが議論されているところでございます。また、ACAPとしての総意が出たときに御報告させていただくことになろうかと思います。ちょっと早口になりましたけれども、お許しください。

○中村委員長代理 大変示唆に富む御意見、ありがとうございました。消費者庁や国センにも聞かせたかったのですが、もう帰ってしまって、おりませんけれども、委員の皆さんで、御質問、御意見ございましたら、この段階でお願いします。
下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 ちょっとお伺いしたいのですが、資料3-2の「国民生活センターのあり方の見直しについて」は、賛同するところもあります。最初のところに、「機能が最適であることが重要である」ということで、機能面の討議を要望すると書かれております。例えば、「独立性を保つか、消費者庁に一元化されるか」ということになっておりますが、その一元化ということで、国民生活センターではなく消費者庁が考えていらっしゃるイメージ図というのがございます。あれについて事業者側として、規制行政のところ、執行権限を持っているところと支援のところが、あの図、お手元に配付していなくて申し訳ないです。多分よくお調べになっていることと思いますが、それについてどのようにお考えなのか。ちょっとここからは、機能面の充実とかそこでしか見えないのですが、何かお考えがございますでしょうか。

○社団法人消費者関連専門家会議滝田理事長 下谷内さんが御指摘になった点は、我々も大変危惧しています。検事さんと弁護士さんが同じところにいて同じ案件を扱うような、簡単に言うとそういうイメージで見えてしまいます。特にあっせんというのは、先ほど佐藤常任理事も言いましたけれども、我々事業者からしますと、いろいろ消費者とのトラブル等が発生したときに、いきなり裁判ということではなく、もう少し前段階といいますか、解決する手段としてADRというのがあったのですが、そういったものがいきなり例えば消費者庁さんの中に吸収されることになると。我々にとってみると、消費者庁さんがADRをやるということは、裁判所に持っていくのとほとんど同じレベルになってしまうのではないかという感触があります。
今回、ADRについては消費者庁はちょっと問題を先送りされている感じがしまして、すぐに消費者庁の中に取り込むという方針ではないように見受けられるのですけれども、いずれにせよ、消費者庁の中にその機能があることは、我々から見ると違和感があるように感じます。そういう意味ではこの問題は、先ほど佐藤理事の方からも申し上げたのですけれども、慎重な配慮が必要なのではないかなというふうに感じています。

○中村委員長代理 佐藤さん、補足ありますか。

○社団法人消費者関連専門家会議佐藤常任理事 個別の企業の立場ではなくACAPとしての立場でしゃべるので、奥歯にものがはさまったような感じになってしまいますけれども、国民生活センターは、ADRに限って言うわけではないですが、私ども事業者からするとワンアクションといいますか、ありがたい組織であったような気がしています。というのは、いきなり役所ではなく、紛争、お客様の苦情等がまず国民生活センターで、こういうこともあるねと。例えば地方の消費生活センターもそうですけれども、あっせんという形でしょうか、落としどころ、「そうだね、じゃあここで妥協して」というところがあった。機能がどうなるかわかりませんけれども、それが、国民生活センターの方からちょっと来てと言われるのと、消費者庁からちょっとおいでと言われるのでは、一足飛びに会社としては上へ下への大騒ぎになる。円満に落としどころを見つけて片づいていたかもしれないものが、内容は同じだと言われても、中央省庁から呼ばれることと独立行政法人国民生活センターからお呼び出しを受けることとはちょっとニュアンスが違う。消費者庁からお呼び出しを受けて、本当に消費者紛争がうまく解決していくのかどうか。それは法執行機関云々の問題ではなく、まず、印象的なものを感じます。

○中村委員長代理 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 そうしますと、今、問題になっている国民生活センターが消費者庁に入って一元化することに対して、反対ということでしょうか。

○社団法人消費者関連専門家会議滝田理事長 先ほども申し上げましたけれども、今度の中間とりまとめでも、附則として国センと消費者庁の意見が並列で書いてあります。それぞれを読んで、正直言いますと、なるほどと思うのです。国センさんの言うとおり、消費者庁に行ったらこんな問題が出てくるなというようなことが読めるし、消費者庁の意見を読めば、いや、大丈夫、しっかりうちの方でやるからという意見。果たしてどちらの方を、我々企業あるいは一般の国民がよしとして判断して選択できるかというと、あの書かれている文章だけでは恐らくできないと思います。
先ほども言いましたけれども、なかなか専門的だし、抽象的・観念的な言葉が書かれている。その背景としてその内容を裏づけるものはいっぱいあるのでしょうけれども、あそこに書かれた文言だけでの判断は、佐野さんおっしゃったように、さあ、どっちなんだと言われても、正直言うと我々でも迷います。わかりません。消費者庁さんの言うように、一元化した方が、日本の消費者行政がそれこそ一極集中で強力な権限の下にグンッとはね上がっていくのか、あるいは、とても体制的に進めていくだけの力が消費者庁の方にないがために、せっかく取り込んだけれども、すべて後退していくのか。それは正直、今の段階では我々はどっちがいいとか、その判断はできないと思っております。

○中村委員長代理 ありがとうございました。
あと、お二方のヒアリングがあるので、もし御質問があったら手短にお願いしますが、よろしいですか。
それでは、ACAPの皆さん、ありがとうございました。
引き続き、全国消団連、阿南さん、お願いします。

○全国消費者団体連絡会阿南事務局長 資料を2つ用意いたしました。1つは、タスクフォースの設置に対しまして、1月20日に担当大臣等に「『国民生活センターの在り方見直し』にあたって検討すべき論点」というものを提出しましたが、資料4-1は、提出した論点提起の中で中間整理では十分に明確になっていないと思われたところを抜き出して、再度、論点提起したものです。
もう一つの資料は、この2月から、ほかの団体の皆さんや弁護士さんなどと一緒に、「国民生活センターのあり方検討会」というものを開催して、議論を積み重ねてまいりましたが、この前、5月24日に院内集会をやりましたときにまとめた「中間整理に対する意見」を資料4-2として付けておりますので、これに沿って手短に説明をさせていただきたいと思います。
まず、資料4-1です。私は2つ、大きなことを申し上げたいと思います。
まず、消費者庁、消費者委員会、国民生活センターの機能と組織をトータルで見直す議論がここで必要だと思います。なぜかといいますと、タスクフォースはあくまでもお役所側である国民生活センターと消費者庁だけの打ち合わせ議論という形です。それでは、本来私たちが議論しようとしていたこととは違います。1月20日の意見の中でも言っておりますが、本来は、消費者庁・消費者委員会設置法の附則3項に定められたことに基づいて、3年以内に議論をして必要な措置を講ずるということのために議論は行われるべきです。また、消費者庁、消費者委員会、国民生活センターの機能と組織をトータルで見直すことが必要であって、国民生活センターだけを取り出して検討することは適切性を欠くと思われる、とも言いましたが、再度主張したいと思います。これから、中間整理についての議論が進められると思いますけれども、やはり全体的な議論が必要だと思います。そしてそれは、消費者委員会及び国会の議論にしなければならないと思っていますので、よろしくお願いします。
2つ目、中間整理の個別事項についての意見です。ここは、消費者行政全体の機能強化に結びつけていくという観点で再検討を求めたいと思っております。
その1つ目です。情報分析と情報提供、商品テスト、結果公表機能についてです。設計図を見ますと、国民生活センターの機能をADRを除いて全部消費者庁に移管し、消費者庁内部でそれを分割しています。施設等機関と内部部局に分けているわけです。情報分析・情報提供は内部部局がやります。商品テストは更に分割されていて、商品群テストは内部部局。そして、相談処理テストは施設等機関に置くとされています。
私は、このような形については非常に心配を感じています。これらの機能はこれまで、教育・啓発、研修も含めてですが、独立した機関である国民生活センターにおいて一体的に取り組まれてきています。だからこそ、消費者への情報発信を初めとしたさまざまな事柄に迅速で柔軟な対応を可能にしてきた、ということが言えると思います。
特に地方消費者行政に対する支援強化が求められておりますので、ますますこうした機動性と、それを支える独立性といいますか、それとの一体的機能発揮が必要になってきます。こうした現場を踏まえますと、果たしてこれで十分に機能が発揮できるのかどうかというところは本当に大きな疑問を感じております。
1月20日の消団連の意見でもそれは述べています。「機能の面では、事業者名を含む情報提供、商品テストの実施・結果公表などについては、法律や基準違反等の裏づけがないと対応が困難な行政機関よりも、それ以外の組織で実施した方が迅速・柔軟な対応が可能と考えられる。消費者被害は法律や基準のすき間で生じることも多く、法律や基準に縛られ対応が遅れると消費者利益を損なうことになるので、この点の検討が必要である」と意見を述べております。
また、2ページになりますが、今、国民生活センターが行っている商品テストです。「苦情相談解決のためのテスト」と「被害拡大防止のための商品群テスト」になっています。このテストの特徴ですが、製品分野に限定されるNITEなどと違っていまして、対象分野が限定されていないテストができます。生活実態、使用状況に即したテストができる。安全性の視点のみならず、表示や品質等の観点も含めたテストができるといった点が非常にいいところであります。果たしてこれが維持できるのかは、疑問があります。
消費者庁発足以来、消費者被害情報の分析・公表は、国民生活センターと消費者庁の役割分担がはっきりしていないという指摘もありますが、それぞれの役割に応じ積極的に公表することが望ましいと考えられます。何も一本化するのではなく、両者でやればいいことだと思います。
直接相談については、1月20日の「全国消団連意見」でも言っておりますが、直接相談は経由相談を担う機関がセンサー機能を高める上では非常に重要ですので、再検討が必要だと思っております。
ADR事業は、今、お話にありましたけれども、地方を支援していくという観点からもこの機能を高めていくことが重要であると思います。最後の段落で、「現在の国民生活センターのADR事業が蓄積している経験・手法の活用が重要である」と言っております通り、この点も併せて検討が必要であると思います。
資料4-2は、これは在り方検討会で確認された意見ですけれども、2つの構成になっています。第1に、「あるべき消費者行政のイメージ」について、私たちが消費者庁設置とともに望んできた消費者行政のイメージについておさらいをしています。
そして、2ページ以降、あるべき消費者行政のイメージに沿って、この中間整理はどのように評価すべきかという観点で述べておりますけれども、一言で言いますと、「第2 中間整理の評価」のところにあります通り、「今回の中間整理は以下の点で不十分と言わざるを得ません。相談支援業務の業務運営上・人事上の独立性が担保されていない」ため、消費者行政全体の機能強化にはつながらない。「地方支援機能が著しく低下して地方消費者行政の相談窓口における相談業務が硬直化・弱体化してしまうことが強く懸念される」ということです。
それらの内容について以下ずっと述べておりますので、是非受け止めて、本当に強化されるのかどうかという視点で再検討をお願いしたいと思っています。イメージ図で言いますと、国センは、要するに消費者庁に一元化され、統合されているのですが、右側の改革後のところではやはり分割されているわけで、これでは一体的な機能を発揮できないです。ここは、本当にポイントとなると思いますので、是非御議論をお願いしたいと思います。
以上でございます。

○中村委員長代理 ありがとうございました。
続いて、飯田さんからの報告も聞いてから、まとめて質疑に入りたいと思います。飯田さん、よろしくお願いします。

○全大阪消費者団体連絡会飯田事務局長 飯田でございます。
資料5をご覧ください。皆さん方既に御存じの情報がたくさんありますので、かいつまんで発言したいと思います。
1つ目は、手続論に触れてということになりますが、御存じのようにタスクフォースは昨年の12月にスタートしまして、主な検討事項は四角で囲ったもので、こういうふうにして始まったのですが、中間整理は、着地は少し違ったものになったというふうに見ております。一方で、消費者行政の充実・強化を求める議論の流れが従来からあったことは皆さん御存じのとおりですし、消費者庁あるいは消費者委員会の設置法の附則、あるいはそれに基づく附帯決議も御存じのとおりであります。
こういうことから言いますと、一つ、国会での審議はやはり避けて通れないというふうにも思いますし、消費者委員会での議論もきちっとやる必要があると思います。中間整理のところでは、今後、タスクフォースは夏までに最終報告をとりまとめるとなってはいますけれども、この消費者委員会の議論の保証がそれでされるのかというのは非常に危惧するところです。そんなに時間はありませんので、そういう点で言うと、中間整理のところをもってタスクフォースの議論は一たん凍結した方がいいのではないか、こんなふうにも思います。一方で、もともとの起点であった独法の見直しの議論も、まだ第2段階があるとなっております。そういうふうにして見ますと、この夏までに最終とりまとめをしてしまうという議論は、少し拙速に過ぎるのではないかと思っているところです。
それから、中間整理の評価の点にかかわってですが、先ほど、着地が最初のスタートと違ったという評価をしていると申し上げましたが、大事な点は2点あるかと思います。1)にありますように、消費者行政全体の機能強化を図る観点から検討を進める、これが共通認識になったというのは、非常に大事な点であろうかと思います。
2つ目の大事な点は、3ページのマル4にありますように、御存じのように民間機関や自治体に任せていくという姿は現状では困難であって、相互補完性・一体性が各機能にある。そして国サイドで実施すべきだと。こういう共通認識になったことは、非常に重視すべきことではないかというふうに思います。
戻っていただいて、一方で中間整理の中身というのは、先ほども阿南さんがおっしゃいましたが、国センの役割を内部化、あるいは「施設等機関」「その他」に区分して考えられているという弱点がありますし、共通認識のマル3のところですが、ここは意図するところと表現が異なっているというふうに思います。「多くの業務で目的・機能に重複がある」と書いてありますが、重複があるのは、業務ではなく、目的・機能という表現をしているのです。その重複を整理・合理化するというふうになっていますが、これは論理的に矛盾するのではないか。消費者庁あるいは国センのところが、消費者行政を推し進めるという目的・機能が重複するのは当たり前のことであります。しかし、タスクフォースで焦点になったのは、「業務が重複している」ということだったと思います。そこを読み違って表現と意図が混在していて、論理矛盾を起こしている。かつ、「両組織の資源の有効活用を図る」という結論は論理の飛躍になっていると思います。
ここは、いろいろな運動をされている方は、業務が重複していて、その一元化を図るという議論に読みかえやすいのですけれども、正確に読むと、この文章は非常に矛盾した文章になっていると私は思います。
3ページ目ですが、今後、求められることで言いますと、やはり消費者行政の充実・強化を図る視点から、再度、議論を今までできていないところを補強する形でする必要がある。1点目は、消費者委員会における議論が必要だという点です。その際には専門調査会の、特に消費者行政の大きな柱である地方消費者行政の充実・強化をどう図るか、こういう報告書がこの4月にまとまっているわけですから、そのことを受けた議論が必要になっています。消費者委員会あるいはタスクフォースでも自治体のセンターのヒアリングはされていますが、来られている方は、やはりそれなりに体制や窓口がしっかりした自治体の方のお話だと思います。しかし、強化しなければいけないのは、町や村のところの窓口も含めてどうするのか、こういう議論が必要なわけで、その視点からのヒアリングは欠かせないと思います。
4番目、5番目は各論についてですが、懸念している点についてのみ書いてあります。
ここで、事前に出して申し訳ないのですが、修正が2か所ございます。マル1の文章の最後のところですが、「柔軟性・機動性は」を「と」から削除していただきたいと思います。「相互補完性・一体性は確保できるか」というふうに変えたいと思います。
それからマル2のところですが、「相互補完性・一体性と」を削除して、「柔軟性・機動性は確保できるか」、こういう文章になります。
ほかの方も御指摘されているように、この各論で触れている点で一番心配している点は、相互補完性・一体性あるいは柔軟性・機動性が、中間整理の方向で本当に確保できるのかという点ではないかと思います。それを会議体で何とかしようという提案になっていますが、逆に会議体を設けることによって硬直化するのではないかと私は思います。必要なのは会議体ではなく、柔軟性・機動性の「機能」なのです。機能を確保することであって、会議体を確保することではないと思います。
それから、施設等機関にかかわってですが、いわゆる内部部局化に構想されています。そういう点で言いますと、権限、独立性がどの程度のものなのかというのがさっぱり見えないですし、多分、内部部局化で言うと独立性という話にはならない。こんなことで非常に懸念をしています。
滝田さんもおっしゃいましたが、非常に抽象的なとりまとめになっていまして、実際この提案がどういうふうになるのかというのがよくわからないままパブコメにかけられているというのが私の印象です。
以上です。

○中村委員長代理 ありがとうございました。
それでは、今までの報告を受けて、御質問、御意見をお願いします。
池田委員。

○池田委員 阿南さんと飯田さん、お二方にお聞きしたいのですけれども、ADR機能について中間まとめでは苦肉の策の文章がいろいろ入っているような気がしますが、事業者としてはそれが最大の問題ではないかと思っています。ADRというのは、民間ベースというか、民と民のベースで問題を片づけていこうという仕組みだと思うのです。そこに、国の行政機関の中の別な組織にしろ、行政機関の中に取り込むにしろ、ADR機能が入ってくるというのは、私は全然性格が違うものになってくるのではないかと考えますが、その点について、もう少し具体的にお二方のお話をお聞きしたいと思います。

○中村委員長代理 では、阿南さん。

○全国消費者団体連絡会阿南事務局長 確かにそういうところもあると思いますけれども、今、実際に国民生活センターのADRはかなりの件数をやっていて、信頼も厚いということですので、それはやはり広げていくことが消費者のためになるのではないかと私は思います。特に地方でそれを広げる。地方には地方自治体ごとに苦情処理委員会などがありますけれども、なかなかうまく機能していないところがあります。そこにつくっていくということをまずやらないと、なかなかこれが社会に根づいていかないのではないかと思っています。地方にばらまいて定着させていくという機能を国民生活センターが持つべきではないかと思います。

○全大阪消費者団体連絡会飯田事務局長 決定的な問題は、どういう機能を果たすかということだと思います。勿論、民間にもそういう機関があるわけですが、それは個々の事案を解決する機能にとどまっていると私は思います。議論の過程でも紹介されていますが、国センが担ってきた機能というのは、それにプラスして解決指針提示機能として代表性だとか、汎用性だとか、そういう機能を付加したものとして役割がある、こういう整理をされています。私もそのとおりだと思いますので、その機能は保持した形でどこかに着地をさせる、こんなことが必要だというふうに思います。

○中村委員長代理 よろしいですか。

○池田委員 はい。

○中村委員長代理 では、日和佐委員。

○日和佐委員 今まで国民生活センターは、直接相談や支援相談、それとPIO-NET情報の分析等を中心にしながら、相談員の研修、警告情報の発信とか、その他、情報の積極的な早い時期での発信等というように運動を広げてきたわけですけれども、結局、その中心になっていたのは、PIO-NET情報の収集と分析と直接相談が核になっていたと思います。今回のタスクフォースの中間報告ではその辺りが分断されているわけです。PIO-NET情報に関しては消費者庁の情報担当のところに移管される。直接相談は、今はもうやっていないわけですけれども、再開する気は全くない。単に支援相談だけが施設等機関のところに残されるという案になっています。
これでは、本来持っていた国民生活センターの中核的な活動が消費者庁に移管されて強化されるのかというふうに思うと、なかなかそれは難しいであろうなと思わざるを得ないわけです。行政機関の中で相談業務をやるというのは、現実的には非常に難しいのではないかと思うわけです。そうしたならば、今後、どういう組織で構築していけば、今まで持っていた国民生活センターの機能が減少されないで、強化されて引き継がれていくとお考えになっていらっしゃるか。皆様に伺いたいのですが。

○中村委員長代理 では、阿南さんからどうぞ。

○全国消費者団体連絡会阿南事務局長 日和佐さんのおっしゃることは本当にそのとおりで、設計図を見てもPIO-NETの情報収集、管理・運営のところは余りにもイージーな印象を受けます。実際はPIO-NETは入力事務の問題などいろいろあるわけです。余り現場のことを考えていない、知らないと思います。集まってきた相談、情報を分析し、テストし、それらの情報をフィードバックするという機能をさらに強化し発揮していくためには、私もここは分断されるのは全くよくないと思います。
全く個人的な意見ですが、この設計図で言いますと、消費者庁の現行の企画立案と法執行のところはそれで、それ以下のところを、要するに施設等機関と呼ぶのかどうか、組織的なところはわかりませんけれども、そこに託するという在り方の方がいいのではないかと思います。いわば3段目からですね。これは合体して、重複していると言われるところを消費者庁に合わせてそのまま部局化しているわけですが、そうではなくて、むしろ国民生活センターの方に消費者庁のその機能を移行するという発想の方が、十分に力を発揮するのではないかと思います。もちろん補強しなければいけませんけれども。

○中村委員長代理 飯田さん、どうぞ。

○全大阪消費者団体連絡会飯田事務局長 今、中間整理で整理されている、どこに着地させたらいいかというのは私はよくわからないんですね。それも、どこかに一つにという発想というのは、する必要がないのではないかと思います。それで言うと、消費者委員会も情報がちゃんとダイレクトに見られて活用できる、そういうふうにも活用できるような仕組みが必要だと思います。何も消費者庁あるいは消費者行政セクションだけがその情報を活用できる、あるいは分析できるのではなく、委員会のところにもそういう情報が報告を求めて得られるのではなく、自らの事務局機能として持っていて、委員会独自の判断としてそういうことがいろいろできる。そういう発想に立たないと、どこか1か所にという発想をするべきではないというふうに私は思います。

○中村委員長代理 ありがとうございました。ACAPの方からも、この点、何か御意見がありましたらお願いします。

○社団法人消費者関連専門家会議滝田理事長 基本的には阿南さんの考え方と一緒になると思いますけれども、恐らく今の案は、本当に分断して機能を維持できるかということよりも、既存の組織の中に取り込むことが大前提で考えられたのではないかなという気がしています。ですから、本当にその機能が維持できるかというよりも、初めに器がありきで進められているのではないかという気がします。
ただ、それを疑問として出せば、消費者庁さんの方としては、調整会議なりでうまい連携をちゃんと維持するという答えか返ってくるでしょう。そうなると、「本当にできるのか」という疑問もそこで立ち消えになってしまうので、正直言うと、やってみなければわからないというところがありますが、課を分断することによって効率化が図れるという例というのは余り聞かないような気がしますね。そういう意味では、先ほど来、日和佐さん、あるいは阿南さんがおっしゃっているように、その機能は一つまとめた形で残すということが第一ではないかなと思います。
併せて、先ほど佐藤常任理事からも申し上げましたけれども、そういう機会に、PIO-NETの情報を抱え込むのではなく、消費者と企業がよりよい社会を築いていくためにそういった情報をより広く活用するという観点も、ついでにそのときに一緒に検討していただけたら大変ありがたい。これは余計なことですが、お願いできたらというふうに考えています。基本的には阿南さんの考えと一緒で、分断されて余りよい結果にはならないのではないかなというふうに考えております。

○中村委員長代理 下谷内委員。

○下谷内委員 今、情報の重複性と非常に言われております。今回も、消団連の方には3番目のところに書いていらっしゃる。それぞれにお伺いしたいのですが、国民生活センターは、御相談があってこれは被害と思うときに速やかに公表する。今まではそうだったのですが、消費者庁ができましてからは、消費者庁は執行権限を持っているところですから、その法律をもとに改めて分析されたものは出されてよろしいのかと思っておりますが、重複性があるからということで、そこのところを速やかにするのと、じっくり分析すると。そういうところについて非常に問題があると言われておりますが、それぞれの皆さんはどのようにお考えかということが1点でございます。
もう一つ、ACAPさんがPIO-NETの情報共有ということをおっしゃっていらっしゃいますが、現場の者といたしましては、その事業者の方の御相談を受けておりますものですから、そういうものにつきまして、情報を開示してすべてのものが見られるようにするというのは非常に問題があるかと思います。それは何かというと、御相談者が申し出られたものがそのまま入っています。精査したものでは入っていません。ですから、そこのところは危険性があると思っております。

○中村委員長代理 では、ACAPさん。

○社団法人消費者関連専門家会議滝田理事長 先にお答えさせていただきます。消費者庁さんと国センさんの発信の仕方は、先ほどのお話にもありましたようにタイムラグがあって、それぞれ発信する背景が違うわけですから、何もこれを同じにする必要はないと思うのです。初めからそれぞれの組織のあるべき目的が別々なわけですから、法律執行に結びつけるために情報分析をされる機関と、あくまで早めに告知することによって被害の拡大を防ごうと、そのよって立つところがもともと違うわけですから、一本化してそれで弊害を起こすよりも、従来の形の方がむしろいいのではないかと思います。
PIO-NETの情報の件で言いますと、何度も同じことを申して申し訳ないのですけれども、例えば我々民間企業がそれぞれ消費者対応部門というのを持って、日々、いろいろ情報をいただいておりますけれども、それでもしょせん年間で何万件というレベルにとどまっている。本当はもっといろいろなお声を聞いて、それで経営なり商品なりの改善をして、より消費者の信頼を得られる企業形態に持っていきたいと思っていても情報として限られている。それに比べると、国センさんでは年間で百万件という大きな情報を持っていらっしゃる。それというのは、我々にとっても消費者にとっても大変大きな財産だと思います。ただ、下谷内さんが御心配されたように、そこには個人情報とかが入っていることがあります。ですから、その開示の仕方を工夫して、特定できるような要素は省くとか、何かしら工夫をすると、この情報は非常に有益なものとして活用できるのではないか。その辺を是非、事業者側と国センさんなりが話し合う機会をいただけたら大変ありがたいと思います。

○中村委員長代理 阿南さん、どうぞ。

○全国消費者団体連絡会阿南事務局長資料4-2の2ページに情報発信について書いています。2段落目にありますが、「一つの案件について法執行権限や各省庁への司令塔権限を背景とした情報提供と、相談現場の被害実態に基づく情報は、いずれもこれまで以上に迅速に提供されること」が必要だと思っていまして、2つの視点で重ねて情報提供されていくことはやはり消費者にとってメリットです。デメリットではないと思います。

○中村委員長代理 飯田さん、お願いします。

○全大阪消費者団体連絡会飯田事務局長 同じようなことで、皆さん懸念されているように柔軟性・機動性が確保されるか、ここが最大のポイントになっているかなというふうに思います。

○中村委員長代理 ほかに、御質問、御意見はございますか。
佐野さん。

○佐野委員 施設等機関のところですけれども、阿南さんがおっしゃった施設等機関に消費者庁の機能を反対に入れてしまうとのご意見ですが、施設等機関というのはあくまで消費者庁の中なので、トップは長官です。そこの下にいていいのか。それとも阿南さんがおっしゃるのは、施設等機関みたいな組織を外においた方がいいのか。どちらでしょうか。

○全国消費者団体連絡会阿南事務局長 行政の組織のことはよくわからないけれども、とにかく「機能」が維持されるということが担保されれば、どっちでもいいと思っています。でも、独立性とかそういうところが確保されないならば、特別の機関として消費者庁の外に置くこともやはり考えるべきではないかと思います。

○中村委員長代理 ほかにございますか。
山口委員。

○山口委員 今回のタスクフォースである意味で重要なのは、国セン問題ではなくて、消費者庁の問題が明らかになったところではないかと思うので、その辺についてもし何かあればお聞きしたいのです。端的に言えば、今の消費者庁の機構では、期間限定で公務員がほかの省庁から来る寄せ集めということで、専門性の蓄積のしようがない。それから、内閣府国民生活局の部局が主体としてできたものだから、それがまた問題になっている。こういうことで、消費者庁が政策立案機能を含めて必ずしも期待された機能を果たしていない。だからこれを国民生活センターから引っ張ってきたからといって、よくなるとはとても思えないのですが、消費者庁をどうしたらいいのかというのは、消費者委員会としても検討しなければいけないと思います。お答えは余り期待していないのですが、率直に言ってこうだという何かがあれば、お聞かせいただければと思います。

○中村委員長代理 かなり誘導尋問でしたけれども、では、飯田さん。

○全大阪消費者団体連絡会飯田事務局長 そんなに特別な意見というか、変わった意見があるわけではないのですけれども、プロパーの職員がいない。あるいは、今の職員・事務局体制では弱い。それから、職員の方の腰が据わっていない。こういうところは改善しなければいけないですし、消費者庁のところで言うと、ある面ではまだ2年ですから、蓄積しないのは当たり前のことで、国センと比べたらベテランと新人みたいなことになるのは当たり前で、それで消費者庁に蓄積がない、ノウハウがないというのは当たり前のことだというふうに思います。その上でどういうふうに補強したらいいのかという議論をしないと、ノウハウがないからちょうだいと、こういう発想ではないというふうに思うのです。そういうふうにして、一面では時間をかけて消費者庁を強化していく視点が必要ですし、今あるいろいろな資源を有効に活用するためにはどうしたらいいのかという視点、端的に言えば、消費者行政を充実・強化するためにはどうしたらいいのかという、こういうことからぶれずに議論をするということが重要だと思います。

○中村委員長代理 滝田理事長、何かございますか。

○社団法人消費者関連専門家会議滝田理事長 ほぼ、今の飯田さんの意見に近いので。

○中村委員長代理 わかりました。では、大体よろしいでしょうか。
本日はありがとうございました。本当に貴重な御意見をいただいたと思っております。今日、おいでいただいた3つの団体は、実は消費者庁と国センのタスクでは呼ばれていない団体であります。まさにこういう意見をもっと聞いてやってほしかったなという感じはしますけれども、消費者委員会としては、皆さん方のこの貴重な意見をもとに更に広く多くの方の御意見を聞いて、消費者委員会としての意見を近々まとめたい。引き続き、来週、再来週と国セン問題に取り組んでいきたいと考えております。
本日はどうもありがとうございました。

≪4.閉会≫

○原事務局長 事務局からです。委員長代理が全部締めてしまったのであれですが、今日はどうもありがとうございました。
次回は、来週、6月3日(金曜日)の午後3時から行う予定にしておりまして、引き続き、国民生活センターの問題について有識者ヒアリングを行う予定にしております。併せて、消費者基本計画の検証・評価・監視及び見直しに関する関係省庁ヒアリングも予定しております。
事務局からは以上です。

○中村委員長代理 ここで本日の閉会といたします。どうもありがとうございました。

(以上)