第48回 消費者委員会 議事録

日時

2011年2月25日(金)15:00~17:12

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

 蓮舫内閣府特命担当大臣
【委員】
 松本委員長、中村委員長代理、池田委員、川戸委員、佐野委員、
 下谷内委員、田島委員、日和佐委員、山口委員
【説明者】
 稲継地方消費者行政専門調査会座長
 財団法人日本健康・栄養食品協会 加藤理事・事務局長
 健康食品産業協議会 木村会長
末木副会長
 社団法人日本通信販売協会 宮島会長
万場事務局長
【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.蓮舫内閣府特命担当大臣挨拶
3.地方消費者行政専門調査会の報告について
○出席者: 稲継裕昭 地方消費者行政専門調査会座長
4.健康食品の表示の検討について
○説明者: 財団法人日本健康・栄養食品協会 加藤理事・事務局長
健康食品産業協議会 木村会長、末木副会長
社団法人日本通信販売協会 宮島会長、万場事務局長
5.閉 会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:81KB)
【資料1】地方消費者行政専門調査会報告書(改訂案)関連資料
(資料1-1)地方消費者行政専門調査会報告書(改訂案) (資料1-2)地方消費者行政専門調査会報告書案(骨子)に関する御意見の概要(PDF形式:264KB)
【資料2】健康食品の表示の検討について(財団法人日本健康・栄養食品協会提出資料)
【資料3】健康食品の表示の検討について(社団法人日本通信販売協会提出資料)(PDF形式:343KB)
【資料4】JAS法の規定に基づく品質表示基準の改正に係る答申関連
【参考資料1】 委員間打合せ概要(PDF形式:51KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、時間がまいりましたので、始めさせていただきたいと思います。
本日は、皆様お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから「消費者委員会(第48回)」の会合を開催いたします。
委員長、どうぞよろしくお願いいたします。

○松本委員長 本日は、蓮舫内閣府特命担当大臣に後ほどお越しいただく予定となっておりますので、おいでいただきました際にごあいさつをいただきたいと考えております。
本日の議題に入ります。

≪3.地方消費者行政専門調査会の報告について≫

○松本委員長 初めに「地方消費者行政専門調査会の報告について」です。地方消費者行政専門調査会につきましては、昨年4月に第1回の会合を開催して以降、これまで12回にわたって御審議をいただいております。昨年11月には、委員会にも稲継座長より中間報告をいただき意見交換を行いました。本日は稲継座長にお越しいただいており、専門調査会の報告書案の検討状況について御報告をいただくことにしておりますが、我々委員会といたしましても、来月、報告書をいただいた上で、どのように地方消費者行政の充実・強化のための施策を実現すべきか、来月には意見をとりまとめて表明していきたいと考えております。
それでは、稲継座長から御報告のほど、よろしくお願いいたします。

○稲継地方消費者行政専門調査会座長 稲継でございます。
「地方消費者行政専門調査会」は、昨年4月の第1回会合以来、毎月会合を重ねてまいりました。当初、片山善博座長の下に我々専門調査会は議論していたのですが、座長の大臣就任に伴い、座長代理であった私が途中から引き継いでおります。昨日、第12回の会合を開いたところでございます。
ただいま委員長から御紹介がありましたように、昨年11月12日に行われた第38回消費者委員会において、私の方から専門調査会について中間的な報告を行わせていただきました。その場では、大きく分けて2点御意見をちょうだいいたしたように思います。
1点目は、報告書のとりまとめに関しまして、両論併記ではなく、専門調査会としてある一定のまとまった意見を出していただきたいとの御意見がございました。
2点目は、既に活性化基金等を通じてさまざまな施策が行われているわけですけれども、その相談体制の強化の結果、どのような効果があらわれているのかという実態調査を行ってほしい、こういう御意見がございました。
1点目の報告書のとりまとめにつきましては、一定のまとまった方向でかなり煮詰まってきた印象を持っております。また、2点目の基金の効果に関する実態調査につきましては、事務局において調査を実施していただき、本年1月に行われました専門調査会第10回の会合におきまして調査結果が報告されました。本日の報告書案の内容は、その調査結果を踏まえたものとなっております。
また、並行して報告書案の骨子に関し、1月26日から2月15日まで約3週間、パブリックコメントを実施いたしました。昨日の専門調査会の議論も踏まえながら、今後、鋭意報告書案に反映していきたいと考えております。
それでは、報告書案の内容につきましては事務局から御説明させていただきます。その後、昨日の議論の主要なポイントを御紹介させていただこうと思います。

○齋藤審議官 事務局の齋藤でございますが、まず、資料1-1をごらんいただきたいと思います。
「地方消費者行政専門調査会報告書(改訂案)」ということで、昨日、2月24日の専門調査会に提出された資料でございます。1枚めくっていただきますと目次がございまして、「はじめに」から始まりまして、第1章から第8章まで章立てしてございます。章立てにつきましては、下の方に参考資料2として書いてございますが、昨年の12月14日に消費者委員会として論点を整理していただきましたけれども、その論点整理の項目立てに沿って章立てが行われております。
もう1枚めくっていただきまして、「はじめに」というところでございますが、最初のパラグラフにおきまして、消費者庁・消費者委員会が発足に至る経緯について触れております。その次のパラグラフにおきましては、地方消費者行政の10年ぐらいの歩みを振り返っておりますが、予算や人員が半減してきた。その中でようやく反転したという評価が書いてございます。
その次の3つほどまとまったパラグラフのところですが、ここにおきましては、地方の消費者行政に十分に光が当てられてこなかった背景について書いてございます。最初の方では、国の産業育成・振興政策に合わせる形で、地域においても産業育成あるいは大型施設設置等が進められた背景がある。もう一つは、住民における消費生活相談窓口が十分周知されていない中で、十分な住民からの支持がなかったのではないかということが書いてございます。
そういった中で、消費者庁においては、基金をはじめとしていろいろな支援策が講じられてきたことについて触れております。ただ、消費者行政が十分に定着するためには依然として努力が必要であるということで、相談受付やあっせん事務がいかに頼りになるか、あるいは、啓発・普及がいかに被害の未然防止に役立つかといったことが住民の方々にも十分認識される必要がある。他の行政分野との連携が根付く必要がある、といったようなことが書いてございます。「それには」ということで、集中育成・強化期間終了後、更に数年の期間を要すると書いてございます。
次のパラグラフでは、国会審議の中で、消費者委員会に対しまして、集中育成・強化期間終了後の国が行う支援の在り方について、検討が求められているということが触れられております。
その次のパラグラフにおきましては、今、政府においては、大きな課題として「地域主権改革」を進めている。したがって、国としては、各地方公共団体が地域の実情に応じて創意工夫を発揮できるように、原則として、その後押しをするような支援に注力することが求められている、という基本的考え方で進められていることが述べられております。
以上が「はじめに」というところでございます。以下、第1章から要点を御説明させていただきたいと思います。
第1章は「消費者行政における国と地方の在り方について」ということで、囲みの中に書いてございますのがポイントでございます。まず、消費者行政に関する事務は多岐にわたりますが、その大半は、住民からの声に応えつつ、各地方公共団体が自主的かつ自発的に対応してきた事務である。こうした地方公共団体の創意工夫を生かすには、引き続き自治事務として位置付けることが基本。
もっとも、マル1身近な相談窓口ネットワークの構築、マル2消費者事故等の情報収集体制の整備等については、国としても責任を持って推進を図る必要があり、一定程度の負担や技術的支援等を検討する必要があると書いてございます。
その辺りをもう少し詳しく書いておりますのは、4ページの2の(2)でございます。そこにマル1、マル2と、中身を多少詳しく書いておりますけれども、そういった分野に一定程度の負担や技術的支援等を検討する必要があると書きました上で、もっとも、以上の事務や事業等について国がその推進を支援していくとしても、地方の自主性を最大限に尊重し、地方公共団体の創意工夫を阻害しない形で進めることが求められる。
また、財政負担についても、「活性化基金」や「光をそそぐ交付金」のように、地方公共団体の創意工夫に基づく裁量を発揮できるような財政措置を活用する方向で、その具体的な在り方について検討する必要があると書いております。
続きまして、第2章でございますが、「相談ネットワークの在り方について」というところでございます。まず、囲みの中ですけれども、住民にとっての安心安全の実現のためには、身近で専門的な窓口を整備し、消費者事故等の情報収集や消費者教育・住民啓発事業等を行う消費者行政の拠点整備を推進する必要があります。
もっとも、個々の市町村が独自に整備するには、人員・財政面等で困難な場合もあり、都道府県との協力の下に市町村が連携して窓口ネットワークを整備・構築する等の広域的な取組みが必要です。
広域連携については、地域の実情等も踏まえた自主的な判断に基づいて整備される必要がありますが、消費者安全法の理念実現の観点から、国としても一定のひな型を示す必要があります。また併せて、財政上の負担の在り方を検討する必要があるとしております。
このページ以降は、実態調査を踏まえた現状と課題が整理されておりまして、少しページが飛びますけれども、11ページの下の方をごらんいただきたいと思います。「(3)望ましい広域連携の在り方」というところがございまして、12ページのマル1~マル3に挙げておりますような広域連携のパターンを3つほど示しております。
その上で、(4)の「広域連携推進のための方策」というところでありますけれども、その中ほどに「したがって」で始まるパラグラフがあります。
消費者庁としても、消費者安全法で示された理念実現のためには、広域連携の望ましい形や広域連携に伴って想定される問題への対処に関する複数の選択肢について、技術的助言として一定のひな型を示す必要があるとしております。
1行あけて、次のパラグラフ3つほど重なっておりますけれども、ここで財政支援についての考え方が書かれております。
消費者安全法で示された基本的理念を実現し、同法の制定によって市町村に課せられた義務の履行を確保するためには、国として一定程度の財政負担や技術的支援等を図ることを具体的に検討すべきである。例えば、ひな型に沿って窓口整備を進めていく自治体に対して、相談窓口のネットワーク構築に必要な施設等の整備や窓口職員に対する必要な研修等について負担・支援を図ることが想定されます。
なお、この場合でも、財政負担につきましては、「活性化基金」や「光をそそぐ交付金」のように、地方公共団体の創意工夫に基づく裁量を発揮できるような財政措置を活用する方向で、その具体的な在り方等について検討する必要があるとしております。
続きまして、第3章でございます。14ページになります。「消費生活相談員の処遇の在り方について」というところでございます。囲みの中でございますが、相談員の方が行う事務は多岐にわたり、また、それぞれの事務を的確に処理するためには、専門的知見やスキルを要するほか、継続的な研修と経験の積み重ねによる知識、能力の維持・向上が不可欠です。その点でいわゆる雇い止めは適当ではない。
各地方公共団体において、相談員の能力を適切に評価し、その評価に見合った報酬や処遇とすることが求められます。
こうした点についての理解促進を図るため、国としても具体的指針を示すほか、研修やOJTについては、国としても一定程度の負担や技術的支援等の対応を強化すべきである。また、相談員の多様な働き方に応じて、非常勤職員以外の制度的な選択肢を充実する必要があると書いてございます。
このページからしばらく、現状と課題ということで実態調査等を踏まえた記述がございますが、17ページをごらんいただきたいと思います。「多様な選択肢」ということに関連して、相談員の多様な働き方に応じて制度的な選択肢を充実するという観点から、任期付短時間勤務職員制度の要件緩和、また、中・長期的な課題として、任期の定めのない短時間勤務職員制度についても検討すべきであると書いてございます。
続きまして、第4章「情報の収集・分析及び情報提供の在り方について」というところでございます。囲みの中ですが、消費者からの効率的な情報収集・集約・分析・共有のための重要なインフラとして、PIO-NETを位置づけ、その利用価値向上の観点から、配備基準の見直しを検討する必要があります。
より迅速な法執行を推進等の観点から、国としてもPIO-NETを通じた情報収集を必要としており、入力事務の負担増大を招いている点も踏まえ、一定の負担を検討する必要があると書いてございます。
この章におきましても、現状と課題ということで、これまで実態調査を行ってきたものの一部を紹介してございます。
21ページの最後のパラグラフをごらんいただければと思います。PIO-NET入力に関して事務負担が増大しておりますけれども、これは、被害事案の早期把握等国からの要請増加に伴う面も少なくない。相談窓口の入力に伴う手間・費用負担や入力に関係する研修業務負担の在り方については、既にPIO-NETを設置している相談窓口も含めて、その費用の一部について国が負担することやシステムの刷新等を検討する必要があります。
第5章に移ります。「地方消費者行政における商品テストの位置づけ、人材の確保について」。囲みのところですが、各地方公共団体自ら商品テストを行うことにつきましては、製品事故に係る相談への迅速な対応、効果的な啓発活動等一定の意義が存在します。
国と地方との効率的な業務分担を推進する観点からは、各地方公共団体で行った商品テスト情報に係るデータベース構築、国の関係機関による高度な商品テストの実施や研修体制等を検討する必要があります。
地方において、技術的知見を有する人材を育成、確保し、相談や事故情報への対応及び試験・研究機関との連携が的確に行われる必要がございます。
続きまして、第6章でございますが、「地方公共団体における法執行の位置づけについて」というところでございます。
囲みの中ですが、消費者たる住民保護、各相談窓口における悪質事業者指導の実効性確保等の観点からは、都道府県における法執行の一層の強化が必要です。
ただし、各都道府県における実績のばらつき、現行法制上の限界等を踏まえると、国としても、技術支援や情報共有の推進を図ると同時に、執行権限の見直しを進める必要がございます。
この「執行権限の見直し」というところに関連いたしましては、29ページ、30ページに記述がございます。
一旦ここで説明を中断させていただきます。

(蓮舫内閣府特命担当大臣入室)

≪3.地方消費者行政専門調査会の報告について≫(続き)へ

≪2.蓮舫内閣府特命担当大臣挨拶≫

○松本委員長 議論の途中でございますが、蓮舫内閣府特命担当大臣がおいでになりましたので、ここで、ごあいさつをいただきたいと思います。
では、お願いいたします。

○蓮舫内閣府特命担当大臣 お疲れさまでございます。今日もお忙しい中、皆さん方の御審議、本当にありがとうございます。
消費者委員会、今日で48回目、委員の皆さん方それぞれ大変お忙しい中、時間を割いていただいて、皆さん方の知見に基づく貴重な御提言、そして御審議をいただいていることに心から感謝を申し上げたいと思います。
消費者行政を担わせていただくことになりまして、皆さん方からいただいたさまざまな建議、御提言、あるいは審議の中身のさまざまな課題も見させていただいております。まさに課題山積、一つ解決したかと思ったらまた新たな課題も出てくるという、本当に休むことのできない分野であると心から実感しております。消費者の利益の増進、あるいは擁護にどうやって我々行政が携わっていけるのか。消費者委員会の果たされる役割は極めて大きいということを、改めて私からも皆様方にお願いを申し上げ、これまで以上の積極的な御審議、建議をいただければとお願い申し上げます。

○松本委員長 ありがとうございました。
大臣におかれましては、国会の大変お忙しい中でございますが、少しだけお時間をいただけるということでございます。そこで、消費者委員会を構成しております3つのグループから、お一人ずつ代表してごあいさつをいただきたいと思います。
まず、消費者グループ代表として、佐野委員からお願いいたします。

○佐野委員 今日はどうもありがとうございます。蓮舫大臣は行政刷新会議の大臣でもあることなので、そちらの方から一言申し上げたいと思います。
刷新会議の分科会で250項目の規制改革案が出されました。これから検討されていくということですけれども、あの中には消費者に身近な項目が幾つかあります。是非、消費者の意見をきちんと反映させるような工夫をしていただきたいと思います。その項目の中には、この委員会で非常に重要だと思われている項目も入っておりますので、是非そのところはよろしくお願いしたいと思います。
もう一点、消費者委員会の方ですが、蓮舫大臣、お忙しいのはよく存じておりますけれども、是非、時にはここの場にいらして私たちと一緒にいろいろ議論を戦わせていただきたいと思います。先ほど蓮舫大臣がおっしゃったように、消費者問題というのは本当に深刻であり、次々、次々変わっていくというところを、一緒に深刻さを共有していただいて、更によりよい社会を築くような形で是非御指導願いたいと思いますので、これからもよろしくお願いいたします。

○松本委員長 続きまして、事業者を代表しまして、池田委員からお願いいたします。

○池田委員 アサヒビールの相談役をしております池田でございます。今日、お目にかかれて大変光栄でございます。
私はこの消費者委員会に参加させていただきまして、最初の方は、消費者と事業者というものを対立的に見るということで大変違和感があり、そのことはこの委員会の中でも随分述べさせていただいたのですけれども、今、事業者が一番考えているのは、消費者とともにどういう関係をつくって企業を継続的に発展させていくかということが最大の課題であり、それが、CSRとかCSという言葉に代表される言葉であります。それはBtoCであろうと、BtoBであろうと、限らないわけでございまして、この消費者委員会というものが消費者と事業者のウィン・ウィンの関係になって、ともに大きくレベルアップする、そういう有意義な活動ができればいいと思います。
是非その点で、蓮舫大臣の強力な発信力を使って消費者委員会のPRにも協力をいただければありがたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○松本委員長 それでは最後に、学者、弁護士、ジャーナリストといったグループを代表いたしまして、中村委員長代理からお願いいたします。

○中村委員長代理 ようやくお会いできました。就任以来、実は蓮舫さんが大臣になられたというので、大変期待しておりました。EU(ヨーロッパ連合)委員会の消費者担当大臣だったメグレナ・クネヴァさん(元ブルガリア国営放送のニュースキャスター)が消費者庁ができたときに日本においでになって、ごあいさつをいただいたのです。そのときに、日本にも消費者庁ができて、今、皆さんはすばらしい旅に旅立ったところだ、これから消費者政策はやりやすくなりますよということを言われました。ただし、消費者問題というのは常に「これで満足」というところに到達することはない、常にチャレンジであるということもおっしゃいました。蓮舫大臣には是非消費者問題の現場に足を運んでいただいて、鋭い感性で、新しい問題に次々と迅速な対応をしていただきたいということを切に願っております。
その際に、2年前の国会で消費者庁・消費者委員会をつくることになったときの与野党一致で決めた決意というか、国会の意思があります。これを是非守りながら、旅立ちが順調に進むようにお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○松本委員長 ありがとうございました。
蓮舫大臣から何かございますか。

○蓮舫内閣府特命担当大臣 ありがとうございました。できれば皆様の御意見、これからゆっくり聞かせていただく機会をいただければと思っております。「消費者」という定義がまだまだ皆さん方の間に浸透しきれていないというか、今、いみじくも事業者と消費者の対決ということもありました。事業者は事業者で消費者でありますし、ひいては国民だと私は理解しております。国民の皆様方の安心と安全、利益の増進、擁護、あるいはさまざまな事件・事故があったときには再発防止、これは国家として当然のことであります。
では、国家として俯瞰的に見たときに、刷新の立場で税金の浪費と思えるところは、これは不断の見直しを行っていくのは国民の利益に資することです。あるいはここは守らなければいけないというところはしっかりと深掘りをして守っていく、これも当然のことだと思っています。優先順位がきれいに適切につけられるものではないので、いつも皆様方の御議論をいただきながら、あるいは消費者委員会から発信していただいたメッセージを地方消費者行政の中でも御議論いただきながら、地域の皆様方と、活動していらっしゃるまさにグループの皆様方の声、その多様な声をどうやってまとめ上げて政策に反映していけるのか。まさにEUという先進国、学ぶべきところの分野もありますので、是非すべて総合的に見させていただきながら私なりに発信をしていきたい。そして、守るべきものは国民の安全・安心だという点だけはぶれないで行きたいと思っておりますので、どうぞこれからも御指導、よろしくお願いいたします。

○松本委員長 ありがとうございました。今後とも、御指導、御支援を消費者委員会に対して是非お願い申し上げます。
それでは、大臣におかれましてはここで御退席されます。お忙しいところを御出席いただきまして、誠にありがとうございました。

(蓮舫内閣府特命担当大臣退室)

≪3.地方消費者行政専門調査会の報告について≫(続き)

○齋藤審議官 それでは、御説明を中断しておりましたけれども、続きをさせていただきます。
報告書の29、30ページでございますけれども「都道府県等の執行権限強化」というところでございます。ここは、マル1で特商法につきましては、都道府県による行政処分の効果が都道府県に限定されておりますけれども、広域的な被害防止が必要であると判断した事案については、その処分の効果を全国に及ぼすことができるものとすることが適当であると書いてございます。
マル2で景表法に関しましては、都道府県の執行権限は、現在、指示のみとなっておりますけれども、措置命令も行えるようにすることが適当である。併せて、公正取引委員会の地方事務所の体制や、その権限の強化も必要であるというふうに書いてございます。
第7章でございますけれども、「地方消費者行政の基盤・環境の整備について」というところでございます。
地域の現場で活動する多様な主体の参画による消費者教育の充実を図ることが望ましい。行政と消費者団体、事業者団体などの協働により、消費者教育や啓発活動等の推進を図る。各地域の実情や、地方公共団体の自主的な判断によるところではありますが、地方消費者行政の充実強化に向けた効率的・効果的な組織体制の構築と人材育成の強化が求められます。
第8章でございます。34ページ「今後の地方消費者行政の充実・強化の進め方について」というところでございます。
最初のマルは、可能な限り速やかに対応すべきであると書いてございます。
次のマルにおきましては、特段の法改正や予算対応を要しない措置、広域連携の在り方や相談員の処遇・研修等に係る具体的な指針の策定等については、23年度以降、直ちに対応に着手することが望ましい。また、よろず相談窓口を含め、窓口につきましては、平成24年度中には、全市町村で設置できますよう国としても支援を行っていく必要がある。
もっとも、各市町村における消費者行政の十分な定着を図る上では、窓口の対応の充実や啓発活動等を通じて住民の間での支持・理解を深めるとともに、福祉等他の行政分野との連携体制の強化等を図る必要があります。そのためには、集中育成・強化期間終了後更に数年の期間を要すると考えられます。したがって、地域における消費者行政の定着に向けて、国としてさまざまな施策を組み合わせて対応する必要があります。
その他、法執行の強化等に係る法令改正等が必要な事項やPIO-NETの入力事務に係る国の財政負担の検討につきましては、平成23年度以降、速やかに作業に着手し、遅くとも24年度には実施されることが望ましいということで、今後の進め方について述べられております。
以上が、昨日、専門調査会に出されました報告書でございます。
資料1-2というものがございます。これはこの専門調査会の報告書案の骨子について皆様方から御意見をいただいて、その概要をまとめたものでございます。平成23年1月26日~2月15日まで意見募集をいたしました。下の方に数が書いておりますが、総数で187件ということで非常に多くの御意見をいただきました。この点、大変ありがたく、厚く御礼を申し上げたいと思います。
内訳は、個人153、民間団体26、地方公共団体8と書いてございます。個人は、一番多いのは相談員の方々、次に多いのは弁護士の方々でございます。この2つの分野で個人の全体の7割ぐらいを占めておりました。
提出された主な御意見は概要ということでまとめさせていただいておりますけれども、御意見全体につきましては、消費者委員会のホームページに記載されておりますので、そちらを御参照いただければと思います。
内容につきましては、お時間もございませんので、この程度にさせていただきたいと思います。
それから、昨日の専門調査会における議論のポイントについて御説明させていただきたいと思います。担当委員という形で、消費者委員会の委員の皆様方も参加しておられますので、この後、それぞれの委員からもしかしたら御発言もあるかと存じますけれども、簡単に昨日の議論の概略を御紹介させていただきたいと思います。
1つ目は、パブリックコメントで多数の御意見をいただいたということで、これにどう対応するのかという観点からの御議論がございました。何らか対応なり、どう考えてどう取り扱ったのかという、対応について示すのがよいのではないかという御意見がある一方で、パブリックコメントでいただいた意見を参考にして議論したということで、議事録に残ることでよいのではないかという考え方もありました。
結局、各委員がそれぞれの考え方を紙にまとめて、次回の専門調査会の会議に資料として配付してお答えする形でどうだろうかという御提案がありまして、そのような対応で行くことになりました。
2つ目ですけれども、地方に対する財政支援の書き方につきまして、一人の委員の方から、「確かに消費者行政に使われるような形で」という、限定なり枠を付ける必要があるのではという御意見がございました。他方、それにつきまして、地方の実情に合った自主的な対応が阻害される、あるいは、地方分権の大きな流れとの関係でいかがなものかということで、この点については議論が分かれているところでございます。
3つ目に、「地方消費者行政活性化基金」や「住民生活に光をそそぐ交付金」というものを財政負担のところで例示で挙げておりますけれども、この2つにつきましては、所期の目的が達成されているのかどうか、検証することが必要ではないかという御意見がありました。これにつきましては、第8章の「今後の進め方」のところで、その検証が必要ということについて言及することになっております。
4つ目でございますが、地方の窓口体制の整備につきましては、単独で対応できない市町村が広域的に連携して対応する場合、財政支援を検討するというふうに書いてございますけれども、連携ということはかかわりなく単独で対応する場合にも支援が必要ではないかという御意見がありました。これにつきましては、市町村が単独で窓口を整備する場合におきましても、県と連携して行うような場合には、これも広域連携ととらえて考えてよいのではないかという御意見があったところでございます。
そのほかにもいろいろ御議論がございましたけれども、大きな御議論は以上の4つだったのではないかと思われます。
以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。

○稲継地方消費者行政専門調査会座長 ちょっと補足でよろしいでしょうか。

○松本委員長 どうぞ。

○稲継地方消費者行政専門調査会座長 昨日の専門調査会の議論は、今、審議官から御紹介があったとおりでございます。議論がまだ分かれている点はありますものの、大勢は収れんしつつあると私自身は認識しております。今後、報告書のとりまとめに向けて意見集約に努めてまいりたいと思いますが、最後までまとまらない場合には、委員の大部分の方が了解を得られる文案で報告書をとりまとめて、異なる意見については「補足意見」という形で報告書に付すことで対応したいと考えております。
なお、専門調査会は残すところ、来月17日に行われる第13回のみとなっておりますが、予定どおり報告書をとりまとめて委員会へ報告できるよう、力を尽くしたいと考えております。
以上でございます。

○松本委員長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御報告につきまして、どうぞ委員の皆様から御意見をお出しください。
では、中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 意見というか、質問みたいなことですが、消費者庁関連三法案の附帯決議、参議院の第24項で、ここに求められている仕事の中に、今後3年程度の集中育成・強化期間後の国による支援の在り方、これをやることになっていて、その際に「工程表も含めて消費者委員会で検討すること」と書いてあります。工程表というのは、どこかに書いてあるのか、それとも、今後、検討されるのかというのが一つ。
もう一つは、検討の際には、消費生活センターの設置、PIO-NETの整備、もう一つ、「相談員の資格の在り方についても十分配意すること」というのがあります。センターの広域的な設置とか、PIO-NETの整備は見当たりましたけれども、相談員の資格の在り方についてはどこかに触れてあるのでしょうか。ないとしたら、これから審議されるのでしょうか、書き加えられるのでしょうか。

○松本委員長 それでは、齋藤審議官から。

○齋藤審議官 工程表に関しましては、工程表ということでどういうものをイメージするかというのはあるかと思いますし、また、これからの議論もあると思いますが、この専門調査会におきましては、34ページの第8章に、今後の進め方というところがございまして、そこである程度期間のイメージを出しながら施策を進めていくというものを示しております。これそのものが工程表になるとは考えにくいわけですけれども、これを踏まえて、更に消費者庁において検討していただき、その検討を今度は恐らく消費者委員会でということになろうかと思いますけれども、消費者委員会として、また御検討いただくというやり方もあるのではないかと考えております。
もう一つ、相談員の方の資格に関連いたしましては、報告書の16ページ、(2)の上のパラグラフになりますけれども、「相談員の能力が実務の経験を通じて養われていく面が大きいことを踏まえると、経験の浅い相談員に対して、相談現場において的確な指導・助言を行うことのできる専門性の高い相談員を育成し、これを何らかの形で公的に認知する仕組みも検討する必要がある」というところで、資格の在り方についての専門調査会における現時点での考え方が示されているかと存じます。

○中村委員長代理 後半の部分はわかりましたけれども、工程表のところは附帯決議には、「工程表も含めて消費者委員会で検討すること」と書いてあるので、消費者庁でやってもらうということではなく、ここでの宿題になっていると思うのですが。

○齋藤審議官 そこは、この専門調査会に何を宿題として下ろすかということに関連いたしますので、消費者委員会として専門調査会に下ろしたという認識であれば、そういうことかと存じますけれども、附帯決議では「消費者委員会で検討を行うこと」と書いておりますので、必ずしも専門調査会でということではないのではないかと考えております。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 稲継座長、本当にいろいろお世話になりまして、ありがとうございました。この専門調査会、毎回、私も参加させていただきまして、うるさがられるほどに発言させていただきましたけれども、最初から片山座長がおられたときにおっしゃったのは、地方消費者行政はお金がない、ない、と言うけれども、実はお金がないわけではない。首長が箱モノをつくるのに執着して、人的サービスが中心の消費者行政にお金を注ぎ込もうとしないところが問題だ。それを首長に、お金を注ぎ込んで人を注ぎ込んででも、この地方消費者行政をどうやってやる気になってもらうか、あるいはその理論付けをどうするか、これが一番肝要なのだと言われました。それは本当にそうだなと思います。この報告書の中にどれだけそれが盛り込まれ、また、今後の地方消費者行政の充実に役に立つかというところで、本当に責任重大だと思います。この報告書を生かす形で、それを消費者委員会が実現するという意味では、我々の責任も重いのではないかと痛感しております。
当初は、消費生活センターの設置基準とか、センターの相談員の人数とかについて、一定の基準を決めるべきであるという意見と、そういうことをしたら地方行政、地域主権の拡大の方向に逆行するという意見とで、ガチンコ対立のモードがありました。これがガチンコ対決のままでは報告書は一体どうなるのだろうかという心配がありまして、先ほど稲継座長もおっしゃったように、一つの方向に何とかまとめてくださいという無理なお願いもしたわけですが、何とか収れんする方向になって、よかったと思います。
また、実情のところで、基金によって地方消費者行政がかなり充実してきたと、数値的にも裏付けられるデータが明らかになったことはよかったと思いますが、「はじめに」の1ページ、2ページにもありますように、まだまだ地方消費者行政が住民に定着するまでには至っていない。あるいは、他の行政分野との連携を根付かせて、地方消費者行政をより住民に近いものにするには、なお数年間、集中育成・強化期間が必要なのではないかということは共通の認識になったかと思います。
そういう中で、今後、更にどう集中育成・強化していったらいいのかというところについて、この分野について造詣があり、かつ、熱意を持って意見を述べておられた圓山委員が、自分の意見と余りにも合致しないということで辞任されたのは大変残念ですが、その意向もかなり反映された形で、圓山委員から言えば決定的に不十分だと思いますが、こういう形で報告ができたことについてはよかったなと思います。
ただ、残された課題で私が一番気になりますのは、34ページのところが今後の進め方ですが、4つ目のマル、最後の文章で、「地域における消費者行政の定着に向けて、25年度以降も国として、さまざまな施策を組み合わせて対応する必要がある」とあります。問題は、多くのパブコメの中で出てきた意見は、25年以降も、永遠とは言わないにしても、あと10年間は、国から、財政的な面も含めて支援していく必要があるのではないかとか、「なお数年間」というのは一体何なのかとか、「さまざまな施策を組み合わせて対応する」というのは抽象的ではないかと。勿論、パブコメの対象は骨子だったのですが、いずれにしても消費者委員会あるいは専門調査会として、何をどう具体的に国が地方を支援しなければいけないと考えているのか、必ずしもはっきりしない。
専門調査会での意見がこの程度で終わるとするならば、更にそれを踏まえて消費者委員会として何をどう具体的に、建議に盛り込むのか、提言になるのか、意見を申し述べて、それこそ今日おいでになった蓮舫大臣にも考えていただけるようにするのか。そこの責任が重大だなというふうに痛感いたしました。私としては、この中間報告を生かした形で、ここのところを、より具体的に消費者委員会として意見をとりまとめられればいいし、また、その必要があるのではないかと思っております。

○松本委員長 今のは御意見ですか、それとも稲継座長に対する質問ということになりますか。

○山口委員 私の意見でもありますが、それについて、稲継座長がどうお考えになっているのかも聞ければありがたいです。

○松本委員長 では、稲継座長、お願いいたします。

○稲継地方消費者行政専門調査会座長 おっしゃるのは誠にそのとおりだと思います。34ページの第8章が今後の在り方ということですので、専門調査会としては報告ということで消費者委員会に報告いたしますけれども、消費者委員会として、是非世の中に向けて意見、提言を出していただけたらと思っております。

○松本委員長 池田委員、どうぞ。

○池田委員 私も担当委員でありますけれども、欠席しがちで、十分お役に立たなかったことは誠に申し訳ございません。大変激しい議論があった中で、こういう形になったことは、座長の努力の賜物だと思っております。
先ほど山口委員から、昨日も発表されまして、昨日も私、自分の意見を申し上げたのですけれども、要は財政支援の在り方ということに収れんされてくるのだろうと思います。この財政支援の在り方というのは大変大きな問題を含んでおります。地方が使えるようなお金の形を出せばいいというものではなく、国と地方のかかわり合いというものが根本的に解決しない限り、ただ単に単年度の施策をやれば、いずれもとに戻るわけですから、やはりそういうところをきちんと議論する必要があります。
先ほど山口委員も言いましたけれども、首長の考え方、在り方、あるいはそれに携わるお役所の人間の考え方、やり方、そういうものを変えていかないと、ただ単に財政支援の在り方だけでは、私は根本的な解決にはならないと思うので、もし消費者委員会でこの報告書を更に議論していくならば、その点はよく議論していく必要があるのではないかといます。これは、それぞれの思いがかなり激しく分かれるところではないかと思うので、どういう形にするかというのは消費者委員会で慎重に検討する必要があるだろうと思います。
それから、パブコメに多いからという点は、私は余り重要視しなくてもいいと思います。いろいろなパブリックコメントがあると思いますけれども、来ているのは実際百何十通でありまして、消費者というのはもっとたくさんの数がいるわけでございまして、その辺をどう考えていくかということが一方では十分であろうと思っております。

○松本委員長 ほかに御意見は。
下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 これだけおまとめいただきまして、ありがとうございます。御説明を伺わせていただいて、ありがとうございました。
私どもでは、14ページの「相談員の処遇の在り方について」、雇い止めは不適当だとか、一定程度の負担や技術的支援というふうに書いていただきまして、ある程度評価したいと思っております。それと併せまして、先ほど資格のところでお話がありました。16ページの資格のところで、(2)の上のなお書きのところですが、先日も、「これを」というのは何を指しますかということでお伺いしました。でも、これは、一般に専門性の高い相談員がいますということは申し上げたのですけれども、その資格については余り討議されなかったかなというふうに感じております。ですから、もしここを入れられるのであれば、もう少し何らか討議された上でのことがあってよかったのかなというふうに思っています。
今、3つの資格ということで、資格というよりも、2つは試験を受けおりますし、1つは単なる講習というのがあります。これから委員会の方でも考えなくてはいけないのかもしれないのですが、何らかここの中で少し御提言をいただければよかったかなというふうには感じております。
34ページの第8章につきましても、一定程度の評価はしております。先ほど審議官が、4つ目のマルのところ、「平成25年度以降」のところを飛ばされましたのは、23年度までの育成期間であったにもかかわらず、なぜ25年度かという御意見もありました。24年度以降の方がいいのではないかという御意見もあったかと思います。「今後、国として」と、そういうふうに私は理解したのですが、印刷はこのまま入っておりまして、ここを読み飛ばされましたが、どっちと理解すればいいのでしょうか。

○稲継地方消費者行政専門調査会座長 これは昨日の議論で、国府委員から、平成23年度で終わっているところがあって、24年度にどうするのかと、そういう議論もあるのでここは削ってほしいという意見が出ました。そこで修文として、ここは、「平成25年度以降も」というところを取りましょうということを、昨日、コンセンサスを得たように思っております。ですから、最終案には「定着に向けて、国として、さまざまな」、こういう続き方になると思います。

○下谷内委員 ここは修正されたものが来ているのかなと思いましたもので、失礼しました。

○稲継地方消費者行政専門調査会座長 出ているものは、昨日と同じものが出ておりまして、昨日の議論ではここを削るという議論になっておりました。

○下谷内委員 ありがとうございました。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 今回の調査会では、池田委員がおっしゃったように、地方消費者行政を充実させるためにどのような支援の在り方が必要なのかという議論、それも財政を中心に、どのような支援の仕方をしたらより一層地方消費者行政が充実していくのか、ということがメインの議論であったと思っています。現在、強化基金と光の基金、2つが実施されて、一定、ワンラウンドは終わったのかなというように思うわけです。ワンラウンドが終わったところで明らかに財政支援の効果はあったわけです、さまざまな形で。勿論、消費者行政はどこまで行けば十分なのかという基準は、難しいことは難しいのですけれども、なお、地方によってまだ格差が存在することも事実なわけです。今度はツーラウンドに差しかかるに当たって、強化基金、光等の基金で、それと同じようなやり方でも充実していくのか。要するに地域の格差を減らすことができるのか。いや、そうではない、ほかの方法があるのかということについて、もう少し突っ込んで言わなければいけないのではないかと思っています。
地方自治で、地方の自主性を尊重するのかというと、基本的にはそうだと思うのです。ですけれども、地方の自主性を尊重するという場合には、首長の意識や消費者行政を担当する職員の意識等のレベルが、どの程度まで上がってきているかということともかかわりがあると思います。当初、基金が設置されましたけれども、使い残しが随分ありました。あれは、どのように使っていいのかわからない、使い方が難しかったというのはありますが、一方では、消費者行政というのは一体何をしていいかわからない、使い方がわからなかったという現実もあるわけです。そこが完全に払拭されたかというと、まだ払拭されていないのではないか。首長の意識も、消費者行政を担当する地方自治体の職員の意識も、まだまだ改革されていないところがある。ですから、そこをどう意識を改革し、職員研修をやっていくか。消費者行政というのは全くやったことがない、だからどうしていいかわからないというところもまだ現実にあるわけです。ですから、そこを引っ張り上げていくためにはどのような支援の仕方をしていったらいいか、ということに突っ込んでいかなければいけないのではないかと思っています。
それから、全体として少し書き方が薄いのはと思われるところがあります。商品テストの分野はもう少し検討して書き込んでもいいのではないかと思っていますし、相談員の待遇についてはかなり書かれていますけれども、消費者行政を担う行政職員についてです。相談員だけで相談事案が解決するわけではないのです。必ず消費者行政の職員と一緒にならないと、相談事案というのもスムーズには解決していかない。要するに相談員だけでやっているわけではないということです。ですから、行政職員の研修や強化等についても触れていただきたい。そこは相談員に比べて少し薄いという感じがしています。

○松本委員長 ほかに御意見はございますか。
佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 この調査会は消費者委員が5人も手を挙げてやりたいということでかかわっています。このように5人も頑張って行くぞと言っている調査会はただ一つです。そのくらい重要だと思っていまして、まさに地方消費者行政が充実しないと、せっかくの消費者庁や消費者委員会も、役立たずとまでは言いませんけれど、消費者行政にとってやはり地方が第一だと思っております。
それで、ここまでおまとめになったのは、私は全部傍聴しておりまして、御苦労されたのはじっくり見てまいりました。昨日も大変だったことはよくわかっておりま。パブリックコメントの結果をどうするかということは、昨日もかなりいろいろ御意見があって、最終的には、一人ずつ委員の方が意見をおまとめになって出すとのこと。その後はどうなるのか、私にはちょっと見えませんけれども、せっかくパブリックコメントをしていただいた意見を何とか反映させる。数が多いからではないと座長がおっしゃったように、コピーしたようなものが幾つかあるのは確かにそのとおりですけれども、ここの中に出てきていないような意見もありますし、その辺りをもう少し検討して拾っていただけるとありがたいなというふうに思っています。
それから、昨日も意見がありましたけれども、「はじめに」のところで、なぜ消費者庁・消費者委員会が発足したかというところをもう少し充実していただきたいというところで、私はすごく気になっているのが「大きなパラダイムの転換が行われた」と、過去形にしていいのだろうかという点です。私は、現在進行形で、まだできて1年半しかたっておらず、今、みんなで頑張って何とかしようとしているところではないかと思います。
もう一つ、ここに出てこなかったなと気になっているのが、被害救済をどうしたらいいのか。被害救済委員会、せっかく地方自治体の話をしているときに、どういう形でかかわれるのかなというのがあったらいいのではないか。これは意見なので、もし時間があったら何か御議論をいただけたらありがたい。
それから、先ほど座長がおっしゃった、半ページくらいの委員からの補足意見についてですが、私はそれにすごく賛成です。私も一度だけ、厳しい意見を戦わせた検討会があって、最終的に消化不良にならないよう、自分が言いたかったところを書いてくださいということがありました。すごく短い文章で、出したい人だけでしたけれども、それぞれ出しまして、最終的に、最後に資料のような形で添付されました。それは、私はいいのではないかなと思うので、それは座長の意見に賛成したいと思います。
ここで、事務局の意見も聞かないままで申し上げるのですが、もし、次回でまとまらないようだったら、もう一度ということはあり得ないのですか、もう一回会議を開くという形で。前回も30分長くなってしまいました。今、山口委員が頭を振っていますが、収れんさせるには、もう少し意見交換ができたらいいのではないかと私は思っています。その辺は事務局と座長の感触もありますでしょうし、御検討願えたらありがたいと思います。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 時間の制限もあると思いますので、3つだけ、座長の御意見なり感想を伺えればと思います。21ページ、最後の2行ですが、PIO-NETの入力費用などの一部について国が負担すると。これは仕組みをつくる必要があるというふうになったと思いますが、具体的にどういう仕組みが考えられるのか。これは今後の消費者委員会としての課題になるかと思いますが、その辺について、個人的な見解でもいいので、どういうふうに仕組みづくりが考えられるか、選択肢でもいいですからサゼスチョンをいただければというのが一つです。
30ページです。これは、個人的には本当にこうなればすばらしいなと思うのですが、実は幾つか消極論が出ております。ここも感想をお聞かせいただければと思いますが、特定商取引法につきまして、県が処分した場合、その県の処分の効力が全国に及ぶことができると、こういう仕組みをつくったらどうかという考え方が示されていますが、果たして可能なのかどうか。実現可能性という観点からすると、ある県が処分した場合に、これがほかの都道府県にも波及していると考えられる場合に、素早く国がそれを受けとめて、国として処分するシステムをつくるといいと思います。そうなるとこれは運用にとどまってしまいますが、その辺を運用にとどめないで、法律上、こういう枠組みづくりが可能だと思うけれども、なかなか壁が厚そうなので、その辺はどういうふうにお考えなのか。
30ページの最後の3行ですが、これは昨日、公正取引委員会から考え方が示された部分もあるので、お考えを聞かせていただければと思いますが、地方事務所が独自で措置命令をすることは法律上あり得ない。そうすると、公正取引委員会が地方事務所で一定の調査なりをして、措置命令を出す必要があると考えられる場合には、公正取引委員会の名前で処分をすることになる。そうすると、景表法の執行は消費者庁と公正取引委員会が二重にやることになる。ただ、それを地方と国で分けるという形の考え方が示されたかと思いますが、その辺についてどうなのか。先生のお考えがあればと思います。

○稲継地方消費者行政専門調査会座長 1点目の21ページのところについては、「その費用の一部について国が負担すること」となっておりますけれども、これでは弱いのではないかという意見が出まして、「国が負担する仕組み」と。具体的な文言はこれから事務局で練ってもらいますが、仕組みを置くということについて修文について合意を得ました。
費用の一部については、PIO-NET自体はある意味国の事務でもありますので、それは恒久的に国が負担するということ、これについては、地方自治あるいは行政法の専門家の先生方の反対もありませんでした。財源負担で一番ぶつかったのはそこのところで、ひも付きの補助金とか、ひも付きで縛ることについて、行政法、行政学、財政学の先生方の非常に強い反対があって、そこで相当もめたわけですけれども、PIO-NETは本来国の仕事の部分も負担している。だから、お金についても負担してもらって当然ではないかということで、ここはコンセンサスが得られていると思います。そういう意味では費用について国が負担する仕組み、恒久的に国がお金を流すような仕組みを考えてもらうということかなと私自身は理解しております。
2点目の30ページですが、特商法の次々販売についてどうやって防ぐのかということで、これは圓山委員などからも何度も意見が出たところであります。それを、ある県でやったものについての法執行、当該処分の効果を全国に及ぼすことができるものにしてもらいたいという我々の思いなんですね。おっしゃるように法改正が非常に難しいのは承知しておりますけれども、できたらそういう方向で国会でも御検討願えないかと思っております。一たん国が引き取って、国が運用するということでやると、その間にいたちごっこで悪徳業者が逃げてしまうことがありますので、そういうことが可能であれば、国会にもお願いしたいなと思っているところでございます。
最後の公取のところは、公取からも昨日も意見書が出ておりまして、我々としてもちょっと悩んでいるところであります。ここは、次回もできたら議論をしたいと思っているところでございます。

○松本委員長 よろしいでしょうか。
新たにこういう点を検討しろというような御意見が出されたということで、稲継座長には御苦労をおかけするかもしれません。ただし、消費者委員会本体としても、この報告書をもとにして意見をまとめるという課題が課されておりますので、例えば工程表をどうするのか、34ページ、8章の4つ目のマルの具体化をどうするのかといった辺りは、恐らく消費者委員会として一定の考え方を示すのが適切かと思います。ただ、工程表といっても、施策を実施する官庁がつくる工程表とは恐らく相当違ったものになると思います。厳密にいつまでにこれをやりますという意味の工程表ではないだろうと思います。
もう1点、日和佐委員から、地方格差の問題が指摘されました。地方格差を考えますと、私は2種類あるのではないかと思います。1つは、片山前座長が言っておられるような、やればやれるけれども、やらない、という意味の地方格差といいましょうか、首長さん、あるいは担当行政職員の方の意識が十分ではないから、やればやれることをやっていない自治体がある。他方で意識してやっている自治体もあるという意味の格差と、それから、やりたいけれども、財政力が大変弱いからやれないという格差と。東京都などは、財政力がかなりあるということと、首長さんや行政職員の意識が高い、両方相まってかなり積極的だと。
そういう意識の問題と財政力の問題というのは、重なってくるところもありますが、やはり別々に現れるところもあるので、それぞれについて、どういうやり方でよりよい方向に変えていけるのかということを議論する必要があるのではないかと思います。財政力一般の部分は、恐らく消費者行政のためだけに使えるお金を割り付けるという形では解決しない。もう少し根源的な形の対応が必要なのではないか、という印象を受けた次第でございます。
それでは、冒頭に申し上げましたとおり、我々消費者委員会といたしましても、3月には専門調査会から報告書をいただき、その中に盛り込まれた、地方消費者行政の充実強化のための施策をどのように実現すべきかなどにつきまして、意見表明をしていきたいと考えておりますので、機会を改めまして、また、本件について議題として取り上げたいと思います。
稲継座長におかれましては、報告書の最終案とりまとめに向けて、更なる御尽力をどうぞよろしくお願い申し上げます。
また、報告書がとりまとめられました後に、改めて委員会への御報告をお願いできればと思います。本日は、誠にお忙しい中をありがとうございました。

○稲継地方消費者行政専門調査会座長 ありがとうございました。

≪4.健康食品の表示の検討について≫

○松本委員長 続きまして「健康食品の表示の検討について」です。
健康食品の表示の検討につきましては、第45回消費者委員会において検討スケジュールをお示ししておりますが、これまでに、社団法人日本広告審査機構、東京都、国民生活センターからヒアリングを行い、意見交換を行っているところです。
本日は、財団法人日本健康栄養食品協会及び社団法人日本通信販売協会においでいただいておりますので、健康食品の表示についてそれぞれ御説明をいただきまして、その後、質疑を行いたいと思います。
初めに、財団法人日本健康・栄養食品協会より御説明をお願いいたします。

○財団法人日本健康・栄養食品協会加藤理事・事務局長 本日は、健康食品業界としてこのような場をいただき、ありがとうございます。
なお、本日出席しておりますのは、隣が健康食品産業協議会の木村会長でございます。その隣が、同じく末木副会長でございます。よろしくお願い申し上げます。
最初に、健康食品産業協議会の位置づけを申し上げたいと思います。健康食品の関連団体と申しますのは、資料2-1の9ページをごらんいただきますと、そこに7団体1組織というのが書いてございますが、これらの団体が、「健康食品の有用で安全な利用を推進するために」という目標を持って、団体間の連携を深めて、情報交換や意見交換を推進する組織として平成21年4月に設立した組織でございます。事務局は日健栄協が行っておりまして、産業協議会の運営のとりまとめをやっているところでございます。
本日の資料につきましては、ボリュームが大変多くございますので、ポイントを絞って説明させていただきます。
まず、健康食品の市場、利用実態につきましては、この後、JADMAさんからも話されるようでございますので、簡単にしたいと思いますが、最初のスライド2枚目のところにありますとおり、健康食品の市場といたしましては、ピーク時で2兆円となっております。現在、若干下がっているところでございます。
利用実態でございますが、次の3ページの資料では、使用経験まで含めますと、60%以上の方が利用されているところでございます。
飛ばしまして、11~14ページの御説明をしたいと思います。業界の自主的な取組みの説明をさせていただきます。
健康食品業界の取組みといたしまして、品質・表示を確保するため、昭和59年当時の厚生省健康食品対策室の御指導によりまして、25年間にわたってJHFA認定制度を運用してまいりました。また、GMP認定制度、安全性自主点検認証制度につきましても、いずれも厚生労働省食品安全部長通知に沿って運用しておりまして、会員だけに限らず非会員も含めて認証の対象としております。
15~17ページにとりまとめておりますが、現在実施している3つの制度の運用と、ここに食品保健指導士と書いていますが、これは日健栄協の名前でございまして、これはアドバイザリースタッフと読みかえていただければと思います。これらの要請によりまして、業界の自主規制は有効に運用されてきておりまして、健康食品の適正な使用に貢献してまいったと考えております。
品質安全性に加えまして、更なる自主規制といたしまして、広告・表示ガイドラインや販売方法のガイドライン、将来的には機能性評価と表示の自主規制を、国の御指導の下、また、JADMAさん等の関連団体と連携をとりながら推進する必要があると考えております。
17ページに、品質・安全、広告・表示、販売方法、機能性表示等々の、部品と書いていますが、各パーツがそろって、なおかつ業界の自主的な運用が浸透することによりまして、将来の法整備への可能性にもつながるものと考えております。
19ページでございますが、平成18年度の東京都の報告書で、健康被害事例の大半は医薬品成分が混入した薬事法違反であります。もう一つは、消費者への情報提供が適切でなかったための事例ということも報告されております。
22ページをごらんいただきたいのですが、アウトサイダーへの牽制といたしまして、「表示・広告ガイドライン」というものを業界の自主規制として推進する。更に実効性を高める一つの事例として、例えば現在行われております、はちみつ類の表示に関する公正競争規約など、35の食品で導入されております公正競争規約、これは若干強制力を伴うということもございまして、これらがアウトサイダーへの牽制の一つの方法であろうかと考えております。
表示・広告ガイドラインの表示例といたしましては、23~25ページに掲げましたけれども、消費者から見てわかりやすい表示が要望されているところでございます。
26ページでございます。事例として、日健栄協の特保部の技術部会が中心に作成いたしました特定保健用食品の適正広告自主基準、これは添付で後ろに付いてございますが、消費者庁の御指導の下、関係者の御理解を得まして、2007年から運用しているところでございます。
31ページからの機能性表示についてでございます。消費者への適正な情報を提供するため、そして過剰な表示を排除するためにも、機能性表示の検討は必要であると考えておりまして、34ページのとおり、現在、消費者庁で「健康食品の表示に関する検討会」の論点整理への対応といたしまして、機能性の評価研究と一定の表示の可能性研究について消費者庁で検討が進んでいるところでございます。
最後に、38ページの最後のスライドでございますが、これまでの自主規制の取組み推進と広告・表示・販売、及び機能性表示等々の新しいガイドラインを加えて運用を進めていく。そして、自主規制に取り組まざるを得ない環境を醸成することが必要である、と考えております。
以上でございます。

○松本委員長 大変短い時間でまとめていただきまして、誠にありがとうございました。
続きまして、社団法人日本通信販売協会より御説明をお願いいたします。

○社団法人日本通信販売協会宮島会長 日本通信販売協会の会長を務めております宮島でございます。よろしくお願いいたします。私の右隣でございますが、事務局長をしております万場でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、お時間もありますので、説明させていただきたいと思います。
「健康食品の現状と課題」というところから入りたいと思っておりますが、お配りした資料3の2ページ目でございます。ここ数年間の地方自治体、調査会社が行った、消費者の健康食品の利用実態をまとめております。
東京都の調査では、利用料が41.2%、長野県では34.5%となっております。いずれも4割近く健康食品を日常的に利用なさっていらっしゃるという結果でございます。また、奈良県の調査では、「健康食品を利用したことがある」との設問に、93%の方がイエスという回答をされております。いずれの結果もほぼ同等の結果でございますが、健康食品は多くのお客様に愛用されているということで、生活に深く根ざしている状況ではないかと思っております。
3ページ目に「健康食品の現状と課題」の市場規模の推移をまとめております。日健栄協の数字は、特保が入っておりますが、私どもは、単純に特保は抜いた健康食品の売上の市場をまとめております。若干売上が下がっておりますが、これは価格がだいぶ落ちてきていることによって、数量というより、値段が下がったことによって価格が低下していると思っております。
4ページでございます。では、どういうものが売れているのだろうかということでございますが、グラフのとおり、基本栄養素であるビタミン・ミネラル、あるいは目的別などのハーブ、美容、ダイエットというのが主なものでございます。
具体的な例として、私はファンケルの会長をしておりますが、ファンケルのサプリメントの分野というのは年間で約300億円売っております。比較的市場規模の占有率は大きい方だと思っておりますけれども、当社のサプリメントのラインアップは約100品目を超えております。価格帯は、数百円のものから数千円までさまざまでございますけれども、日常的に御購入いただいている方、お客様は現在103万人でございます。市場の傾向をつかむ事例になると思っております。この円グラフが当社の売れ筋の大まかな傾向でございます。一番の売れ筋は、先ほども申し上げたビタミン・ミネラルでございますが、私ども、本業は化粧品の販売でございまして、そういうこともあって、美容あるいはダイエットのカテゴリーの製品にも人気が集まっているのではないかと思っております。
5ページでございますが、実際に健康食品を使われているお客様からどういう声が寄せられているかということでございます。「健康食品に関する問合せ」と書いておりますが、商品説明、薬との飲み合わせ、健康相談、その他となっております。
具体的には、「何によいのかはっきり書いてほしい」「飲み方がわからない」「原料はどこの国のものか」という商品に対する問い合わせ。また、ここのところ増えているのは薬との飲み合わせに関してでございますけれども、当社では今、日本で処方されているほとんどをカバーする30,000種類の薬と、当社の販売するサプリメントの飲み合わせを瞬時に判定してお客様のお問い合わせにお応えできるシステムを採用しております。これは、薬の種類、我々の商品が新しく出ることに関して、どんどんリニューアルしていっているわけですけれども、これを利用してお客様には薬剤師等が結果をお知らせしております。
こうしたさまざまなユーザーの声、お客様の声とニーズにきちんと丁寧に対応していくことが、安心して安全にサプリメントをお使いいただくことができる、我々事業者としての責任だと考えております。
一方、健康食品をめぐる課題でも、サプリメントを販売する目的は、サプリメントを通じて健康の維持増進に寄与したいということですけれども、サプリメントには栄養素の補給という部分もあります。6ページでございますけれども、今後はこの分野は更に重要性を増すと思っておりますが、我々は、サプリメントは病気を予防できる可能性があると思っております。ただ、薬事法では医薬品以外には「予防」という表現は認められておりません。それは重々承知しておりますが、今日は、お話をわかりやすくするためにあえて予防という言葉を使わせていただきました。
サプリメントの摂取と疾病予防については、例えば葉酸やDHAのように、予防効果が科学的に実証されている、あるいは、諸外国で国の栄養健康政策に取り入れられているケースもあります。こうした食品の機能性に関する研究はまだ日が浅い、判定のルールもまだ定まっていないなど、難しい問題があることも事実です。
大手のメーカーでは、大学などとの共同研究、あるいは自社の研究機関を通じて、機能性のメカニズムというのを継続的に研究しております。機能性が明らかになったものを販売しておりますが、ただし、機能性を実証しても、現在のところ薬事法との兼ね合いで、結局、これはお客様にお伝えすることはできません。この点は我々は非常に残念ですけれども、何とか改善していきたい部分であります。我々事業者も引き続き研究を続けてまいりますけれども、是非、国としても前向きにサプリメントの摂取と疾病予防の関係を研究していただきたいと思っております。
一方で、残念ながら、一部、サプリメントは悪質な事業者の行為というのは否めません。消費者に経済的あるいは身体的な危害を与えるケースがあるのではないかと思っております。一番大きな問題は、疾病の治療等をうたう誇大広告とか、がんなど重篤な疾病に関する治療効果を標榜しているケースは大きな問題だと思っています。警察など関係当局の尽力で摘発はされていますが、なおこの問題は根絶やしにされておらず、厳しい取締りが必要だと考えております。更に、医薬成分を含むなど、粗悪で危険な製品が一部存在しているかと思っています。特に個人輸入で入手可能な海外のサプリメントについてはこうした問題のリスクが高く、更に注意を呼びかける必要があると思っています。
加えて、販売方法ですけれども、このトラブルのケースもあると思います。例えば、高齢者の方に高価な製品を大量に売りつけるとか、人を紹介するだけでもうかるといったネズミ講的な販売システム、こういうもののトラブルは通販以外で起こっていることも事実です。こうした問題あるケースにより、消費者の健康に影響が出ること、本来まじめな事業者が得るべき販売機会が逸失することに加えて、サプリメントのイメージも悪化しております。業界にとって由々しき問題だというふうに認識しております。
次に、こうしたものをどういうふうに我々業界として対応していくかということをお話ししたいと思います。
7ページでございます。既に御高承のとおりでありますが、私ども日本通信販売協会について若干触れさせていただきます。
略称でJADMAというふうに申しております。1983年に設立されました。御存じのとおり、通信販売は特定商取引法という法律で規定されておりますし、細かなルールが定められています。我々はJADMAは、特定商取引法の30条で自主規制を行う団体として位置づけられています。法律で役割が規定されている珍しい例だと思っておりますが、それだけに責任もあると思っております。
現在、通信販売を行う正会員は526社となっております。正会員は、協会の会員であることを示すJADMAのマークを使用することを許可しております。
8ページになりますが、昨年、我々が集計した通信販売の市場規模は、06年度で4兆3,000億円です。このうち協会の会員だけで約3兆円の売上となっており、約7割をカバーしております。
9ページでございます。我々の取組みですけれども、事業者向けには、主に表示、取引条件などのルールを定めた倫理綱領の遵守を求めております。また、消費者向けには、通販でのトラブルなど電話で相談できる「通販110番」を開設しております。年間で約4,000件の相談をいただいております。相談は会員社だけではなく、非会員に関するものも受け付けておりまして、例えば08年では75%が非会員に関する相談でございました。
10ページでございます。以上、基本的なJADMAの活動でございますけれども、特にサプリメントの分野に関して半数近くの会員が販売するなど、非常に取扱いが多い商材となっております。
我々は幾つかの取組みをしておりまして、1点目は、協会内にサプリメントの大手で構成するサプリメント部会を08年5月に発足させました。これは、当協会に加盟している会員の中で大手9社で構成しておりますけれども、9社の合計の売上は2,000億円にのぼります。月に1回の頻度で会合しておりまして、表示や安全性などさまざまな問題を討議しております。また、年に数回、各社のトップが出席した会合を行っておりまして、相互の理解を図っております。
2点目は、サプリメント取扱いに関するガイドラインを策定したことでございます。これは、サプリメント部会で議論を重ね、表示、安全性、消費者対応の主に3つについて、最低限遵守すべきルールを定めたものでございます。09年6月から施行しておりまして、協会の会員は遵守する必要があります。
3点目は、サプリメントを販売する企業の登録制を導入することでただいま準備中でございます。これは、消費者庁で開催していた検討会で私も提案させていただきましたけれども、サプリメントを販売する事業者は、本社所在地、代表者、売上規模、取扱製品、安全性のチェック等を所定のシートに記入して登録するものです。協会としての名簿の登録、扱い品目の登録はありますけれども、より詳しく登録することによって、どの事業者が何を売っているのかを把握し、仮に何か問題が発生した場合、迅速に対応できるようにしておくものでございます。協会の会員についてはこの春から登録を開始し、夏場にはデータベースを構築する予定であります。他力というよりも、自力で自主規制をしていこうという基本的な考えであります。
これによってある程度悪質な事業者を排除することが可能だと考えておりますけれども、通信販売の個々の利点ということですが、お客様とダイレクトにつながっておりまして、万一何か問題が起こった場合、購入履歴をたどって購入いただいたお客様に直接連絡を取る、そして対応をとることが可能でございます。このことから、健康食品の販売には非常に適した販売方法が通信販売だと思っております。
11ページでございます。今後の方向性ですが、健康食品をめぐる問題というのは、表示、安全性、販売方法など多岐にわたっておりまして、また、それぞれが複雑に絡み合っているために、簡単に結論が出るものではないと思っております。
一方、初めに御報告したとおり、既に多くの消費者のお客様が利用されているわけで、これを前提にしてどういうふうによい方向に持っていくかという視点が重要だと考えています。基本となるのは、消費者問題に関してでございますけれども、故ケネディ大統領が発表した「消費者の4つの権利」。今は8つでございますけれども、すなわち事業者としては、1つ目の「安全である権利」については、製品の品質の研究、向上を行う。2つ目、3つ目の「知らされる権利」「選択できる権利」では、注意喚起表示をわかりやすくお伝えするとともに、製品の機能性についてもわかりやすくお伝えすることだと思っています。4つ目の「意見を反映させる権利」では、相談窓口を充実させること。これは各社、あるいは協会でございますけれども、消費者の声に真摯に耳を傾ける。これによって、消費者、お客様が安心してサプリメントを御購入できる環境をつくっていく、ということだと思っております。
大変簡単でございますが、ただ、我々の業界だけではやはり限りのあるところがありますので、消費者団体の方、医薬界の方たちの御意見あるいは御指導をいただきながら、サプリメントについてますます前向きに対応していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。ありがとうございました。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの2団体からの御説明につきまして、どうぞ御意見、御質問がございましたら、お出しください。
田島委員、どうぞ。

○田島委員 御説明ありがとうございました。
健康・栄養食品協会様にお聞きしたいのですけれども、公正取引規約について言及がございましたが、見通しはあるのでしょうか。

○健康食品産業協議会木村会長 健康食品産業協議会の会長をやっております木村です。
本件に関しましては議論をして、そっちの方に向かうように私は思っていますが、御存じのとおり、これは各団体の合意が必要なことです。ただ、徐々にそういう機運は生まれているというふうに感じていますので、ここでは、確実にとは申し上げられませんけれども、そのような機運が強まっているということだけは申し上げられると思います。

○松本委員長 ほかにございませんか。
中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 アウトサイダーに対する取組みというのがかなり中心のようですけれども、皆さん方の言っておられるアウトサイダーというのは、どういうものをイメージしておられるのか。その辺を少し説明いただけたらと思います。

○財団法人日本健康・栄養食品協会加藤理事・事務局長 基本的には私どもは会員制をとっておりまして、9ページに団体がございますが、その各団体の中には、私どもの会員もいれば、私どもの会員ではなく、それぞれの団体に属している会員の方もいらっしゃいます。ですから、会員といってもいろいろあると思いますが、基本的には、どこの団体にも所属されないで情報が非常に少ない方だと理解しております。そういう方々に対して私どもは情報を提供しながら、コミュニケーションができることを望んでいるわけでございますが、いわゆる会員で、行政の情報、我々業界の情報がきちんと届く人たちをインサイダーという形で考えております。

○社団法人日本通信販売協会万場事務局長 通信販売協会です。
私どもも会員制をとっております。先ほど会長が説明いたしましたとおり、526社の会員がございますけれども、通販を行っている企業はまだたくさんございますので、会員以外の方、非会員ということで認識をしております。そのアウトサイダーの方々に対しては、全国で法令遵守のためのセミナー等を開催しておりまして、そういうところでできるだけ法律を勉強していただいて、遵守していただくことのアピールをしているところでございます。

○松本委員長 今との関係で一つ質問ですが、健康食品産業協議会の加盟業者さんというのは、開発とかメーカー系が中心と理解してよろしいでしょうか。それとも、販売業者さんもここに入っているということでしょうか。

○健康食品産業協議会木村会長 両方でございます。

○松本委員長 わかりました。
佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 日本健康・栄養食品協会からいただいた資料2-1の27ページに、特保の広告自主基準の運用ということが書かれています。これは、「遵守すること」「留意すること」「自ら確認を行うこと」となっていますが、この運用実態というのは調査されているのですか。また、違反事業者があったときには、違反者に対しての罰則なり何かがあるのかということを教えてください。
それから、カプセル・錠剤についてお聞きしたい。これは通信販売協会と両方にお聞きしたいのですけれども、いわゆる濃縮されているもので、過剰摂取、食べ物ではないのでいくらでも飲めます。それで健康被害が多いという事例がありますが、これに関してどういうふうにお考えになっているのかというのをお聞きしたいと思います。
もう一つ「アドバイザリースタッフの期待」というところが資料2-1の37ページにあります。消費者が期待するアドバイスというのは、例えば広告を見て、「私は膝が痛いわ、何を飲んだらいいのかしら」とか、余りにも価格の差があるので、「どう違うのか、どちらの方が効くのか」など、効くという効果をアドバイスしていただきたいと思うと思うのですが、効能効果は言ってはいけない、効くという話をしてはいけないということで、どうやってアドバイスをされるのかということをお聞きしたい。
以上です。

○財団法人日本健康・栄養食品協会加藤理事・事務局長 まず1点目の、特保の適正広告自主基準でございますが、特保を取得しているあるいは所得しようとしている事業者のほとんどが私どもの会員でございまして、100%近く管理されているものだと思っています。この基準を基本的に守っていただくのが、会員の遵守事項になっておりますので、仮に何か違反があるとした場合も、すぐそれは私どもの方へ情報が入ってまいりますので、すぐ指導できるという状況にございます。

○佐野委員 どこから情報が入るのですか。

○財団法人日本健康・栄養食品協会加藤理事・事務局長 それは、お互いに会社同士で牽制し合っているところはございますし、マスコミ等からも情報は入ってまいります。もし違反等事例がございましたら、指導をすることになります。今回、この改正をしたのですが、これで十分でない場合は、当然のことながらさらに基準そのものを見直して、厳しくするのか、あるいは見直すのかということは常にやっております。
2点目の過剰摂取の件でございますが、ご指摘のとおり、錠剤・カプセルの過剰摂取の可能性というのはあるわけですので、厚生労働省の指導によって、今、安全性の第三者認証制度が運用されています。これは過剰摂取を主な目的として安全性の自主点検をすることとしています。勿論、過剰摂取だけでなく、有害成分の混入がないようにということもございます。昨年から取り組んでいます。
ただ、今の法律では一般食品であるため健康食品と必要とされる項目が義務表示となっていません。健康食品の成分の名前あるいは摂取目安量にしても義務となっていません。当協会では規格基準の中にそれらを義務づけしておりまして、マークが付いたものについては、成分量、成分の名前あるいは注意喚起について義務づけをしております。内容については一般に公開しておりますので、非会員の方でも参照することは可能になっております。
3点目のアドバイザリースタッフの件に関しましては、協会の1階に展示ルームを設けてアドバイザリースタッフを1名常駐して、相談業務をしております。相談の内容としては多くが販売上の問題でございまして、無理に買わされて返品に応じないといった事例が多くあります。勿論ご指摘のとおり、この商品は私にとってどうなのでしょうかという相談はございますが、こういう方に効きますからいいですとは言えません。したがいまして、そこは消費者の方の自主的な御判断の中でやっていただくようにお願いしているところでございます。

○佐野委員 そうすると、アドバイザリースタッフというのは販売上の相談が中心になる、そのアドバイスということになるのですか。

○財団法人日本健康・栄養食品協会加藤理事・事務局長 必ずしもそうではないのですが、相談の件数として販売上のことが多いということでございます。当然、こういうのは私にとってどうでしょうかという質問はありますが、その人に合うかどうかというのはなかなか相談員には難しいところがございますので、その方に「これはいいですよ」という御説明はできません。ただ、どういう成分が入っているかということで、表示をよく見てくださいということ、それから、書いてある内容をよく見てくださいということは申し上げて、わからないことは事業者の方に問い合わせをするようにと、このような説明はしております。

○健康食品産業協議会末木副会長 アドバイザリースタッフの件で補足させていただきます。私もアドバイザリースタッフの養成の方にも関与しておりますが、本来の目的は、例えば医薬品ですと、お薬を渡すときに薬剤師は患者さんに服用方法等を説明しなくてはいけません。それと同じような役割も持っていただきたいと。サプリメント、特に錠剤・カプセル型のものは過剰摂取の問題は避けなければいけませんので、そういう安全性の説明、健康維持のための適切な摂取量・方法の情報が必要でこれが残念ながら、今、健康食品の方では、摂取方法や摂取量は明確な記載や表示ができませんので、その辺を説明して本来売っていただくという形になると思います。アドバイザリースタッフに関しましては、御存じのように発展途上でございまして、今後もアドバイザリースタッフの能力向上を、我々業界としてもサポートしていく必要があると考えております。

○松本委員長 通信販売協会、どうぞ。

○社団法人日本通信販売協会宮島会長 過剰摂取のお問い合わせがあります。現状を御説明いたしますと、ファンケルの例でいきますと、今、お客様から御注文をいただく割合はモバイルあるいはネットが48%を超えております。以前のような電話、お葉書とか、そういうもので御注文いただく回数よりもネットが増えてきております。御案内のとおり、iPadとか新しいものが増えてきております。私どもとしては、お電話、お葉書で御注文いただくお客様にはカタログ誌を毎月お届けしております。特にネットで入られるお客様には、PCからのホームページ、モバイルのホームページ、最近のスマートフォンのホームページ、幾つかの種類がございますけれども、そこに我々の取り扱っている商品が載っております。
各項に全部書くスペースはないですし、残念ながら、用法・用量まで言及はできないのですが、お客様に正しく飲んでいただくための注意文書を必ず載せるようにしております。なるべく目立つようにという形でやっております。これはカタログでも同じでございますし、あるいは、我々のコールセンターでお客様から御注文をいただいたとき、コミュニケーションの中で御注文をいただいた商品については、摂取目安量は必ずお守りいただきたいという注意喚起をしております。これは私どもだけではなく、通信販売協会で取り扱っているところは大体同じような扱いをなさっていると思っております。

○松本委員長 ほかにございますか。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 薬と同じような形状で売られている食品が、ドラッグストアなどに行くとたくさん並んでおります。これについて、このままでいいのかなと思うのですが、その点で、錠剤・カプセル形状で売られている商品や、現実に薬品成分が含まれているような、薬品ではない食品、俗に健康食品と言っていいと思いますが、そういう売り方をされているもの、あるいは一定の成分を含んでいる商品については、例えば広告、宣伝、販売の仕方、表示などについて、きちんとした成分表示や、あるいはオーバートークをしないように規制したらどうか。今、健康増進法や景表法でもされてはいるわけです。しかし、もう少し明確な規制をするということは考えられないかと思うのです。今、自主規制で既になさっているところもあるとは思いますけれども、そういう規制の在り方についてもし考えられるとしたならば、業界として非常に困るなという感じになるのか。それとも、そんなことをやってもしょうがないよという感じか、あるいは一定の実効性はあるかもしれないという感じなのか。その辺の感想でも御意見でも結構なので、両団体から簡単にお聞かせいただければと思います。

○健康食品産業協議会木村会長 御質問ありがとうございます。日健栄協の資料2-1の24ページに、一つの考え方として、これは消費者庁の検討会のときに提示した考えですけれども、一つは、形状が似ているのに片方が医薬品、片方が食品というのはまぎらわしいので、我々としては、「これは食品です」、または「医薬品ではありません」という表示をするべきではないかと考えております。その他、必要な情報、安全性評価がされているとか、製造管理等がされているとか、規格基準がありますとか、科学的エビデンスがあるとか、事業者登録とか、無事故で売っていますというような情報を出せないかということで、これは一つの案として考えております。
ただし、現在この業界は自主基準によって成り立っているので、逆にそういうのをどうやって広げていくかというのは一つの大きな問題でありまして、公正競争規約のような、ある程度拘束力がある仕組みが自主基準としてできないかという案が、今、業界の中では考えられております。そういう点では必要性は感じられていますけれども、実際に実行するに当たって、自主基準では限界があるというのが今の悩みではないかというふうに考えております。

○社団法人日本通信販売協会宮島会長 なかなか悩ましい問題ですけれども、私ども業界は1兆円の売上がある。我々商人としてはお客様に誤解を与えないような物の売り方をしなくはいけない、これは基本だと思っています。ただ、残念ながら、健康食品については薬事法あるいは表現の問題等もございまして、できないこともある。これは大変残念ですけれども、何々に効くとかそういうことではなく、お客様に誤解を与えないような表示。それはどういうことかというのはこれから検討することは勿論必要ですけれども、あるいは、科学的に実証されているエビデンスがある原料については表示ができるとか、すべて一律に網をかけてしまうというのではなく、あくまでもお手元に商品が届いたときにお客様に誤解を与えないような表示、そういうことができないかと思っております。

○松本委員長 池田委員、どうぞ。

○池田委員 通信販売協会の資料3の9ページに相談件数というのが出ています。私が聞き漏らしたのかもしれませんけれども、これはどこからどこに対する相談なのでしょうか。会員、非会員、その他という色分けになっていますが、会員の中での相談ですか。

○社団法人日本通信販売協会万場事務局長 私から御説明します。9ページの例えば2008年のデータでいきますと、通信販売に関する相談全体で4,072件ありますということで、会員に対する相談、これが999件でございます。非会員に対しては2,735件、通販に対する一般的な意見あるいは相談ということで、会社を特定しない相談が338件、こういうグラフになっております。

○池田委員 これは通販協会に消費者から相談があった件数ですか。

○社団法人日本通信販売協会万場事務局長 相談者の内訳としては一般の消費者の方が多いのですけれども、各地の消費生活センターさんからの御相談というのもございます。

○池田委員 年間4,072件というのは、非常に少ないような感想を持ったのですが。

○社団法人日本通信販売協会万場事務局長 基本的に協会に相談される方というのは、事業者といろいろやり取りをした上で協会にまた、納得いかないということで連絡される方もあります。

○池田委員 そういうシステムなんですね。

○社団法人日本通信販売協会万場事務局長 はい。基本的に相談はまず会社の方に御連絡されると思いますので、その上で協会にはこれだけの数字があるということでございます。

○社団法人日本通信販売協会宮島会長 少し補足させていただきます。資料3の5ページをごらんいただきますと、これは弊社、ファンケルの数字でありますけれども、健康食品に関しては月に1万5,000件のお問い合わせをいただいております。これは特にクレームということではなく、商品の使い方、いつ届くかとか、そういうことも含めた全部の数字であります。これが、私どもの各社、御注文をいただいているお客様からいただいているお声です。
それ以外のことが、協会の方に問い合わせをするケース。一般論もあり、残念ながらトラブルが起きてその会社ともうまく処理ができないので相談する、そういうケースもあるかもしれませんけれども、基本的には協会の会員各社で電話の応対というのを受けておりますので、それ以外が協会に行くというふうに考えていただいたらいいと思います。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 健康・栄養食品協会さんにお伺いしますけれども、資料2-1の16、17、18ページに自主規制。その前からマークがありますね。マークも微妙に中身が違っている。でも、共通している中身もあり、これは、厚生労働省が通知や指導をしているわけなので、仕方がないのかなという感じもしないわけではないのですけれども、消費者にとっては非常にわかりにくいです、この3つのマークの違い。こんなに必要なのかなということ。
それから、18ページに、今後必要な部品をそろえるということで、広告・表示や機能性表示、販売方法等について、こういう観点での自主基準を定めるということであろうと思いますけれども、これは、今まである4つないし3つの中に入れ込むのか、新たにつくるのか。これ以上増えると、消費者はどれを選んでいいのかわからないと思うので、わかりやすく単純に、このマークがついてさえいれば安全、ということを是非普及していただきたいのです。どちらかというと、悪貨が良貨を駆逐しているのが健康食品の業界だと思いますので。

○財団法人日本健康・栄養食品協会加藤理事・事務局長 ご指摘のとおりでございまして、この3つのマークというのはそれぞれ対象が違っております。最初の品質・表示の確保、これは一番古くから運用しているものでございまして、健康食品の場合、例えばイチョウ葉といっても、精製度の高いものからそうではないものまでいろいろなグレードがあります。量がどれくらい入っていますといっても、どういう品質のイチョウ葉を使ったのかというのがはっきりしませんと、最終製品に有害な成分が残ってしまうということがございますので、一定の品質が確保されたものにJHFAというマークを表示しています。それを表示するために品質の基準をJHFAで定めて、一定のルールをつくっているのですが、規格基準は1年に一つ二つしかできない程厳しい制度になっています。今、61の品目について対象にしていますが、世の中にはそれ以上にたくさんの品目がございまして、全部に網をかけるわけにいきません。そんなこともあって、全部に網をかけられるような表示システムにしたいというのが、今後の追加すべき表示事項ということになります。
それから、いくら良い素材を使っても、工場でいいかげんにつくられてしまうと、つくるたびに品質が違ったりしますので、設計どおりのものをつくろうというのが、GMPによる製造工程管理でございます。更に、昨年より運用が始まりました安全性を確保する制度でございまして、これは錠剤・カプセルという濃縮された成分を扱う場合、有用性の成分もあるけれども、有害なものも濃縮される可能性があるということで、有害成分が混入しないように確認をして下さいというのが安全性自主点検制度でございまして、3つの自主基準はそれぞれ点検対象が違うことになります。本来これらは、3つ揃って実効性があると思っていまして、将来的には一つの仕組みにしたいということで、私どもは今、ニューJHFAという制度を検討中しているところでございます。

○松本委員長 田島委員、どうぞ。

○田島委員 先ほど用法・用量の話がありましたけれども、そもそも健康食品というのは食品でありまして、いくら食べても大丈夫だというのが基本だと思うのです。ですから、用法・用量を明示するとかえって医薬品と誤認するおそれがあると私は思います。濃縮したりして用法・用量を書かざるを得ないというものは、承認すべきではないというか、むしろ忌諱すべき話ではないかと思っていますけれども、御見解をお聞かせ願いたいです。

○松本委員長 どうぞ。

○財団法人日本健康・栄養食品協会加藤理事・事務局長 JHFAの申請をいただく中に、この健康食品は食品ですからいくら召し上がっても問題ありませんという表示例を示されているケースがございます。この表示例は果たして正しいのだろうかということなのですが、いくら食べても安全だという食品は恐らくないと思っております。また、サプリメントの摂取量について、例えば、「賞味期限がございますので早めにお召し上がりください」という表現もあります。健康食品に適切な1日摂取目安量等の表示がないとすると、消費者の方は、過剰な量を効くまで摂取される可能性があるわけです。これは適正な使い方ではないと考えますので、薬のように毎食後飲んでくださいということではなくて、一定の摂取目安量はお示しする必要があるのではないかと考えております。

○健康食品産業協議会末木副会長 先ほどの用法・用量に絡みますが、今、消費者が健康食品を摂るに当たりまして、ある健康食品があったときに、どういうふうに、いつ摂ったらいいかというのが一番知りたい情報なんですね。勿論、まだデータがないものは難しいですけれども、日本の法制度は非常に複雑で、例えばビタミンC含有錠剤等商品は、医薬品と健康食品両方ございます。国際的にはむしろ食品の方が多いのですけれども、日本は医薬品が先行してあります。そうすると、同じビタミンCの医薬品と健康食品のビタミンC、同じ量が配合されて、同じ処方であっても、医薬品のビタミンCは用法・用量、効能効果が記載できます。ところが、同じものでありながら健康食品であれば何も書けないし、摂り方も書けません。その辺は少し改正していかないと、消費者の方が混乱を起こしてしまうのではないか。その辺は書けるもの、書けないもの、健康食品の中で今、データがあるものに関しては書けるようにしていくべきではないか、消費者の立場から見たときにはそういうふうに考えております。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 医薬品の場合は、医者とか薬剤師がその人の身体を考えて出されているものだと思いますし、そういう処方せんがあるわけです。でも、これはあくまでも食品であります。そこのところを先ほどからお話を伺っていますと、飲んでいるとか、そういう表現が非常に多いものですから、皆さん方の中でも、これは飲むとは申し上げるのですけれども、食品を飲むという表現は違うのではないか。そういうふうにずっと私どもも言っておりました。だから、そこから既に見解がずれているということだろうと。やはり食品は食品だろうということを明記しなくてはいけないし、書いてあればいいということではないと思うのです。皆さんもそのように自覚していただきたいなと思うのが1点ございます。
それから、一つお伺いしたいのですが、通信販売協会さんが、資料3の10ページのところですけれども、協会の取組みということで今後のことを書いていらっしゃる中に「登録制の導入」というのがあります。それは、多少わかりやすくていいのかなと思いますが、その中で安全性のチェックの方法の登録もあるということで、これはシートに記載すると、先ほどおっしゃられたように私は記憶しております。
そういたしますと、資料2-1の24ページに安全性の認証のところがあります。「関連情報の表示」ということで、安全性評価がされておりまして、認証協議会が認定した第三者機関云々と書いてございます。こういうような第三者機関が認証するのか、あるいは、安全性のチェックというのは、どこでどのような形でシートに記載されるのか。あるいは、そのシートというのはどのようなものなのか。単なる認証工場がありますよとか、そういうチェックなのか、今後取り組まれるようですが、そこのところを教えていただければと思います。

○社団法人日本通信販売協会宮島会長 私どもの登録制ということは、とりあえず自主規制で始めるわけですけれども、日健栄協さんと私どもも、勿論、情報のやり取りをしております。シートについては実はまだ作成中でありまして、1例を申し上げたのでございますけれども、我々でつくり上げましたら、日健栄協の御意見も伺って、あるいは消費者庁、厚生労働省の御意見も伺って完成させていきたいと思っておりますので、もう完成しているということではありません。今、我々のメンバーにはアンケートを出しております。こういうことをやるけれども、どうかというアンケートを出しておりますので、その回答をまず待って、それからシートをお送りしたいと思っておりますので、それまでにはきちっとした横の連絡もとって、有効なものにしていきたいと思っております。

○下谷内委員 シートのチェック項目はわかりますか。どんなことを考えていらっしゃいますか。

○財団法人日本健康・栄養食品協会加藤理事・事務局長 私どもの考える安全性というのは、有害な成分の混入はないのか、それは量がどれ位以上入ると危ないのか、科学的な分析に基づいて確認いたします。消費者の方にとって安全性の確認といえば、やはり薬との飲み合わせですとか、注意喚起にかかわるようなところではないかと思っております。商品の表示を見て、消費者が使用される際に注意すべき項目がきちんと書かれているかどうか、というのが安全性の確認ではないかと私どもは思っております。

○下谷内委員 それは日健栄協さんですね。通信販売協会さんも同じですか。

○社団法人日本通信販売協会万場事務局長 協会は販売者としての会員が多いものですから、製造メーカーの団体ではありませんので、商品を仕入れて売る際に安全性をどういうふうに担保するか、その辺のチェック項目という考え方です。例えば第三者認証を受けている商品なのかとか、そういうことをチェックしているかどうかということをシートの中に書いていただくように考えています。

○下谷内委員 それはちゃんと入れていただけるということですね。

○社団法人日本通信販売協会万場事務局長 まだ決定はしていませんけれども、そういうことです。販売者として何をチェックしたらいいのかということを入れていきたいというふうに思っています。

○松本委員長 では、あと1点だけ。
佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 今、表示のお話がいろいろ出てきていますけれども、商品を手にするまでの広告についてどうお考えなのか。特にインターネットの場合は非常に違反広告が多いということですが、それを自主基準で何とかできるものなのか。取組みの中には広告のチェックというものはないのですが、どういうふうにお考えなのか。

○社団法人日本通信販売協会宮島会長 広告についてお話をしますと、皆さん御高承のとおり、我々が広告を出すとき、例えば新聞、テレビ、雑誌、これはかなり厳しい考査があります。これをクリアーしたものでないと載せられないということがありますので、少なくとも我々の協会に入っているメンバーは、JADMAマークという我々が使っているマークがありますけれども、新聞、テレビ、雑誌というのは、このJADMAマークがついているかどうかというのが一つの判断基準になります。協会員であれば、ある程度信用力があるというふうに思っています。勿論、各社で広告については自主規制をしていますから、できない表現はきちっと守るようにしておりますし、それから、我々のやっているネット、モバイル、スマートフォンもそうですけれども、それに準じた形でやっています。
今、先生のおっしゃった、ネットの広告でもひどいものがあるということは、我々は物を売るという行為から入っていって、通信販売という手段で商売をさせていただいておりますけれども、逆にネットから入ってきた方たちもいらっしゃいます。残念ながら我々の協会ではないのですけれども、こういう方たちに一部、表現で少し行き過ぎのものがあるのではないかというふうに我々も思っています。こういうことは非常に業界にとってマイナスでありますから、そういうふうにならないような注意喚起をしていきたいと思っておりますけれども、基本的には我々の広告というのは考査がありますので、そんなに問題のある広告が出ているとは思っておりません。
ただ、先ほど申し上げたネットのところ、これは特に健康食品だけではなく、商売に関するところのネットの広がりというのは、より十分に考えていかなければいけない問題だと思っています。健康食品だけではなく、商道徳ということで考えたときに、どういうふうにやってそれを守らせていくかということは大きな問題だと思っています。

○松本委員長 ネット広告、チラシ広告というのが自主規制が一番働きにくいところだと言われているわけで、しかも、そういうところから実際いろいろなトラブルが起こっているのも事実です。我々も今後の検討課題として、そういった広告についてどういうふうに規制するのが可能か、また、適切かということを議論していきたいと思います。
更に、前回のヒアリングのときにも国民生活センターの方から、一定のタイプの健康食品については表示の義務づけをすべきではないかという御指摘がございまして、本日もそれに近い御指摘もございました。他方で、義務づけの話とは別に、こういうことは書ける、書けないという観点からの御議論もございました。書かなければならない事項と、書きたいから書かせていただきたいという事項は、一致する部分もあれば、ちょっとずれる部分もあるので、その辺りは表示ルールとしてどういうのが適切かということを、今後、我々としても議論していきたいと思います。
本日は、財団法人日本健康・栄養食品協会、社団法人日本通信販売協会におかれましては、我々の審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。

≪5.閉会≫

○松本委員長 本日の議題は以上でございますが、1月24日に委員会の下部組織であります「食品表示部会第7回会合」が開催されております。本日は、食品表示部会設置・運営規程第8条2項に基づき、その審議結果の報告をいただきたいと思います。
それでは、田島部会長からお願いいたします。

○田島委員 御紹介いただきました田島です。
1月24日に開催した「食品表示部会」の議決について、食品表示部会設置・運営規程第8条に基づき、委員長の同意を得て委員会の議決とし、本日2月25日付で内閣総理大臣へ答申を行いました。
乾めん類品質表示基準を平成21年4月に改正した際、調理方法の欄外記載を認めていた規定が削除されましたが、マカロニ類品質表示基準等欄外記載を認めている基準との整合性を図るため、調理方法の欄外記載を認める規定を追加する旨の改正を検討したところでございます。
本日は、同上第2項の規程に基づき決定事項を本委員会に御報告するものです。資料4-1に答申書がございます。
今回の部会では、平成22年9月30日付消食表第330号をもって諮問のあった乾めん類品質表示基準の改正について、審議の結果、資料4-2のとおり改正することが適当であるとされました。改正部分は、資料4-2の3ページの下線部分でございます。
私からの報告は以上になります。

○松本委員長 ありがとうございました。
最後に、事務局より、今後の予定について御説明をお願いいたします。

○原事務局長 ありがとうございました。
次回の委員会は、3月に入りますけれども、第1週、3月4日の15時から行う予定にしております。議題といたしましては、今日に引き続きまして、健康食品の表示の検討について、日本医師会、有識者からのヒアリング等を予定しております。
以上です。

○山口委員 1点、よろしいでしょうか。

○松本委員長 どうぞ。

○山口委員 実は今日、本当ならば大変うれしい報道がございました。それは、未公開株につきまして、消費者委員会としては、無登録事業者が未上場会社の有価証券等を売った場合について、これは民事的に無効、あるいは取消しとするような法的な改善をするべきではないか、あるいは、被害がしょうけつを極めているので、罰則を重くするべきではないかとかねてより提言しておりましたが、どうも政府の方針として、そういう方針をとるような報道がなされております。この点についても、是非早めに担当当局からお聞きして、実現可能性、あるいはどういうふうに具体的にするのか、報告なり審議ができればと思いますので、その希望も申し述べておきたいと思います。

○松本委員長 実現すれば、消費者委員会としての提言が受け入れられたということで、我々として大変喜びたいと思います。閣議決定された段階で、一度御説明に来ていただくのがいいのではないかと考えております。
それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)