第47回 消費者委員会 議事録

日時

2011年2月18日(金)15:00~17:12

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 松本委員長、中村委員長代理、池田委員、川戸委員、
 佐野委員、下谷内委員、田島委員、日和佐委員

【説明者】
 公益通報者保護専門調査会 島田座長
 群馬県 野本生活文化部消費生活課長
 京都府 足立府民生活部消費生活安全センター長
 熊本県長洲町 大山副町長

【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.公益通報者保護専門調査会の報告について
○出席者: 島田陽一 公益通報者保護専門調査会座長
3.国民生活センターの地方消費者行政への支援について
○説明者: 群馬県 野本生活文化部消費生活課長
京都府 足立府民生活部消費生活安全センター長
熊本県長洲町 大山副町長
4.閉 会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:73KB)
【資料1】 公益通報者保護専門調査会報告~公益通報者保護法の施行状況についての検討結果~ (PDF形式:579KB)
【資料2】 国民生活センターの地方消費者行政への支援について(群馬県提出資料) (PDF形式:35KB)
【資料3】 国民生活センターの地方消費者行政への支援について(京都府提出資料)
【資料4】 国民生活センターの地方消費者行政への支援について(熊本県長洲町提出資料)
【参考資料1】 委員間打合せ概要(PDF形式:45KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、時間がまいりましたので、始めさせていただきたいと思います。
本日は、皆様お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから「消費者委員会」第47回の会合を開催いたします。
それでは、委員長、どうぞよろしくお願いいたします。

○松本委員長 それでは、議題に入りたいと思います。

≪2.公益通報者保護専門調査会の報告について≫

○松本委員長 本日は、当初予定をしておりました「公益通報者保護専門調査会の報告について」に加えまして「国民生活センターの地方消費者行政への支援について」を議題として取り上げたいと思います。
初めに、公益通報者保護専門調査会の報告についてです。
公益通報者保護専門調査会につきましては、昨年6月に第1回の専門調査会を開催して以降、これまで8回にわたって御審議をいただき、報告書をとりまとめていただいております。
本日は、島田座長にお越しいただいておりますので、専門調査会の報告書について御説明をお願いいたします。
それでは、どうぞ。

(島田座長、説明者席へ移動)

○島田座長 御紹介をいただきました早稲田大学法学学術院の島田でございます。本日はこのような報告の機会をいただき、誠にありがとうございます。
それでは、お手元の資料1「公益通報者保護専門調査会報告」をごらんいただきたいと存じます。これに基づいて、専門調査会における論議のまとめについて報告をさせていただきたいと思います。
1ページ目が目次となっておりまして、「1.公益通報者保護専門調査会の審議経過」、「2.公益通報者保護法施行後の状況」、「3.公益通報者保護法の具体的な課題」、更に「4.政府に求められる事項」という順序で本体が構成されております。その後に、「5.参考資料」、更に「6.別添資料」がございます。本日は、1~12ページにかけての資料の報告書の中身の部分を中心に御報告をさせていただきたいと思います。
2ページをごらんください。「1.公益通報者保護専門調査会の審議経過」でございます。
最初の段落には、法の概要と公布、施行の状況がございます。
引き続きまして、専門調査会における見直しの検討の根拠となりました法の附則第2条の規定等、更に最後の段落には、専門調査会の立ち上げから審議の状況、本日の消費者委員会への報告までの経過につきまして、概略を記載してございます。
なお、13ページの「5.参考資料」に、専門調査会の委員名簿を掲載してございます。この専門調査会のメンバーに加えまして、消費者委員会の中村委員長代理、日和佐委員にも御出席をいただいております。先ほど審議の概略について触れましたし、また、今、委員長からも御報告をいただきましたが、8回の議論を重ねました経緯、何を議論したのかというのが14ページに示されてございますので、ごらんいただければと思っております。
ページが前後いたしまして恐縮でございますが、3ページにお戻りをいただきたいと存じます。「2.公益通報者保護法施行後の状況」でございます。
まず、専門調査会での議論の前提といたしまして、法施行後の状況を見たものでございます。「(1)労働者の意識及び事業者や行政機関の取組状況等」を御報告しております。ここでは、消費者庁が実施した各種の実態調査の結果を記載いたしまして、更に4ページでございますが、「(2)調査結果を踏まえた小括」がございます。労働者に対する法の周知、中小規模の事業者や行政機関における通報処理制度、窓口の導入が伸び悩んでいる状況というのを御紹介してございます。
また、実態調査の結果、あるいは先ほどごらんいただきましたように委員のヒアリング等を実施しておりますので、事業者や行政機関等の取組状況の確認を行った結果を踏まえて出された意見につきまして「(3)専門調査会における意見等」という形で記述させていただきましたが、「大企業や行政機関における通報処理制度の導入や窓口の設置が図られたことで成果があった」との意見があった一方で、「労働者等に対する周知徹底がまず必要である」、「一番大きな問題は制度の認知度が非常に低いことである」、「中小企業のほとんどが法の存在を知らず制度を整備する必要性を認識していない」等、法の周知や啓発、そして通報窓口の設置促進が必要との意見が多く出されたという点を記述してございます。
このような前提の下に、法制定時の付帯決議で課題とされました事項について議論をまとめておりますのが、5ページからの「3.公益通報者保護法の具体的課題」の部分でございます。
本専門調査会の使命は、1行目の後段から記述をしてございますが、「通報者の範囲」など4項目の再検討を含めて行うことと認識しておりまして、この4項目を法の具体的な課題として論議をしてまいりました。
4項目の具体的課題につきましては、「現行法を改正すべき」、あるいは現行法にはない新たな制度や効果の御提案等々、種々の意見をお出しいただきました。それらの意見につきましては、項目別に概略を記述させていただいておりますが、5ページ以降に記述してございますとおり、大方が一致する結論には至らなかったということでございます。
したがいまして、御提案等につきましても、その採用の適否や具体的内容の詳細な検討にまでは立ち入れなかったと認識をしておりました。ただし、各委員がそれぞれの御専門の立場から大変貴重な意見をお出しいただいたと思っておりますので、私といたしましては、さまざま議論された意見をできる限り整理した形で消費者委員会に御報告をするというのが、8回にわたって論議を行った専門調査会の成果としては適切なのではないかという判断の下に、この報告書をまとめさせていただいたということを申し上げておきたいと思います。
したがいまして、6ページ以降の記述でございますが、まず「(1)通報者の範囲」となっております。現行の制度の概要説明とともに、専門調査会における論議について記述をするというスタイルになっております。
そこで「通報者の範囲」に関する議論を「イ.専門調査会における論議」の記述内容に基づき御紹介させていただきますと、現行法の「労働者」に加え、下請け等取引業者なども通報者の範囲に含めるべきとの意見があった反面、「通報によって不利益取扱いを被らない者は対象とすべきでない」などの意見がございました。ただし、「退職者については、退職金未払いの場合等、判例等を踏まえれば、「労働者」の枠組みで保護されるのではないか」という意見もございました。
次に、7ページの「(2)通報対象事実の範囲」に関する論議でございます。
「現行法の通報対象事実の範囲を広げるべき」等の意見があった反面、具体的にどのように拡大すべきかについては、「社会や国民にとって不利益となるような問題の通報は対象とすべき」、「犯罪行為を広く含めるべき」など、さまざまな意見がございました。
また、現状の公益通報者保護法がとっている対象法律制度、いわゆる限定列挙方式をとってございますが、これが「国民にとってわかりにくい」、あるいは「合理的ではない」という意見があった一方で、「企業側に、どういう法令が関わり得るということを明らかにするメリットがある」。このようなさまざまな御意見がございました。
更に法令違反について、その「法令違反の「おそれ」を対象に含めるべき」であるという意見がございましたが、これに対しましては、他方で「「おそれ」を対象に含めると安易な通報が激増することになる」という消極的な意見もございました。
次に、9ページの「(3)外部通報の要件」でございます。「外部通報の要件が厳しい」、あるいは「特にその他外部への通報の要件」、つまり行政機関ではないその他でございますが、この「要件を緩和すべき」等の意見があった反面、「企業内部での通報を優先して、そこで円満に解決することが労働者にとっても望ましい」、「現行法は内部通報が機能していない場合に外部通報ができる要件として具体化されておりわかりやすい」との意見もございました。
次に、10ページの「(4)外部通報先の範囲」に関しましては、「外部通報先」として「「第三者機関」を設けるべき」との意見がございました。なお、「第三者機関」の一案としては、「何か国の制度で「第三者機関」を設けては」、あるいは「法に基づく認証を受けた機関を外部通報先とすることも考えられる」などの意見がございました。
しかし、その一方で、「「第三者機関」を設けるのであれば一定の調査・是正等に関する権限が与えられなければ、逆に通報者に高いリスクを負わせるのではないか」、あるいは「未だ対応できていない中小規模の行政機関や事業者への配慮が必要ではないか」という御意見もございました。
また、具体的課題の4項目に関連いたしまして、11ページにそもそも法の「条文が複雑で理解しにくい」という指摘、法の目的や在り方そのものに関する意見、現行法の「公益通報」に該当しない通報に対する行政機関の対応等、さまざまな議論がございましたので、その他の事項についての専門調査会における議論ということで、ここでまとめて記述を行った次第でございます。
このような議論を踏まえまして、12ページには「4.政府に求められる事項」が5項目とりまとめられております。
1点目は、冒頭に指摘しましたとおり、「まず、法の周知。特に労働者、中小規模の事業者や行政機関に対する積極的かつ効果的な周知や啓発が求められる。また、中小規模の事業者や行政機関の通報窓口の設置促進のための施策を積極的に実施することが求められる。」というのが第1点でございます。
2点目は、「上記施策の一環としまして、また法及びその趣旨に反する不適切な対応を防止するため、既存の制度が十分機能しているかについて検討した上、ガイドラインの改訂等による運用の充実も、速やかかつ具体的に図っていく必要がある。」というのが第2点でございます。
3点目は、「法や通報処理制度の実態について、アンケート調査にとどまらずきめ細やかな調査を行い、外部の労働者からの行政機関に対する公益通報において労働関係法令以外の法令に違反する事実を内容とする公益通報が少ない要因、これは資料で行政機関に対する公益通報といたしましては、圧倒的にいわゆる労働関係法令に対するものが多かったということを前提としてございますが、それ以外の公益通報が少ないというのは何なのかという要因。労働者への周知及び中小規模の事業者や行政機関における普及が進まない具体的原因、外部における相談窓口の実態、制度の運用状況の詳細、法改正を必要とする課題の有無等を把握すべきである。」というのが第3点でございます。
4点目は、「上記の各取組みの結果を踏まえ、法改正によって見直すべき課題がある場合には、当該課題を解決するための法の改正を、真摯に検討すべきである。」という点でございます。
そして5点目は、「各行政機関は、現行法の「公益通報」に該当しない通報についても、適切に対処すべきである。」、という点。
以上5点につきまして、政府に求められる事項としてとりまとめられてございます。
繰り返しになりますが、各論点につきまして、必ずしも意見の一致を見ることがございませんでしたので、一致した形での報告の形にはなってございませんが、見直しの論点あるいは前提となる取組について、それぞれの御専門の立場から大変貴重な意見をいただいたと思ってございます。
具体的にどう法や制度を見直すべきという指摘は、報告書上記述してございませんが、法施行後の取組について、かなり厳しい御意見が出たと私は理解をしております。
最後に、政府に求められる事項の5項目につきましては、専門調査会の総意でとりまとめた事項でございますので、運営委員会である消費者委員会において御検討いただき、行政機関の責務として取組がなされるよう促していただけましたらと考えております。
私からは以上でございます。どうもありがとうございました。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの島田座長の御報告につきまして、どうぞ御意見、御質問のある方は発言をお願いいたします。
日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 大変多様な意見が出た中で、それぞれ多様な意見を尊重した報告書ということでつくられていると思います。大変御苦労をいただいたのではないかと思っておりまして、感謝申し上げます。
「4.政府に求められる事項」のところにもありますように、この報告書を基礎にしながら、今後やっていかなければならないことというのはたくさんあるのではないかと思っておりまして、その1つとして中小事業者のところに周知徹底がほとんどされていない。それは事実としてあるわけですが、どうして周知徹底がされないのか。それは法律の理解が難しいという法律自体に問題があるのか。そうではなくて、周知徹底する手法がいけないのか、何か新たな手法を考えなければいけないのか、幾つかの要因があると思うんです。やはりそこの要因が何であるかということを突っ込んでいくことをしなければいけない。何が要因になっていて、周知徹底がされていないのかということについて、深くやっていく必要があるのではないか。
もう一つ考えられますことは、公益通報者保護法に該当する法律を所管している行政にどの程度の通報をしているのかという実態です。それから、どのような内容であって、そしてどのような処理がされているのか。大まかな状況としてもなかなかつかめない状態にあると思いますので、それは公開していくような方向性を検討するべきではないかと思います。
私が考えるのは2点ぐらいですが、まだまだほかにもこれから具体的に検討していかなければいけない視点もあると思いますけれども、今後も引き続いて検討を深める必要があると思いました。

○松本委員長 ほかに御意見、御質問はございませんか。
中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 今回、法律の附則では5年後見直しと言われていたのですが、この時点に至って法を改正すべき立法事実の拾い上げが必ずしも十分できなかった。短い時間で大変だったとは思いますけれども、そこまでたどり着けなかったということだと思うのです。
この意見書のとりまとめが先月25日におおむねまとまった後、2月に入ってから新たに公益通報に関連する判決が出たり、新たな提訴があったり、大阪弁護士会とか日本弁護士連合会でまた意見書が出たりという新たな動きもありますので、この後、親委員会である消費者委員会で今日いただいた報告書を更にその後に新たに発生した事象、意見書等も踏まえて審議すべきだろうと考えております。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 どうも御報告ありがとうございました。
1つ質問させていただきますが、3ページの「ア.労働者の意識」というところのインターネット調査は消費者庁が行われているので、調査会では検討されていないのかもしれませんが、もし検討されたのだったら教えていただきたいのは、「また」の後です。要するに、自分が働いているところで法令違反行為がされていることを知った場合に通報するという方が約半数です。残りの約半数は法令違反をやっていても何もしないととれるわけで、それはもしかしたら現行法が使いにくいのではないかなという気がしないでもないのですが、その辺りは調査会で何か意見とか御検討されたことがあったら教えてください。

○島田座長 実を申しますと、注1にもございますが、このインターネット調査自体を検討したのではないですが、ただ、その前の年の調査で大体同じ傾向だということでございます。
今の点ですが、アンケート調査ですので、それがどこなのかというのは、我々として接する以上、そこにある特定の意見に結び付けていくのは難しいのではないかというのが私の判断でございまして、これはあくまでも現状の中で労働者としてはそういう意識であると。ただ、これはどういう法令のということも含めて多様でございますので、それがストレートに公益通報者保護法の現行の制度なり、あるいは仕組み自体に問題があるというところに結び付くのかというところは、この結果だけから判断するのは難しいかなと考えています。

○松本委員長 今の点についてですが、通報しないという答えに対して、その理由は何ですかというところまでは聞いていないということですか。

○島田座長 はい。

○松本委員長 わかりました。
ほかにございませんか。池田委員、どうぞ。

○池田委員 御苦労様でございました。先ほどの3ページの冒頭のいろんな数値で、知らない人が65%ということは、実質ほとんど知られていないということですね。知られていない法律の効果をいろいろ調べたということには意味があるんでしょうか。

○島田座長 知られているかどうかということも含めての調査と考えております。

○池田委員 その問題は意味があると思いますが、それ以外のものについて、消費者庁が、またこれは別の調査かもしれませんが、インターネットで調べて、それがこういう数値であるということは、少し矛盾したことにならないでしょうか。極端に言うと、私がこういう数字を見ると、3割しか知っていないものを、それの効果がどうのこうのという調査をしていくことは、意味がないことはないでしょうが、一方でミスリードするのではないかというおそれを非常に感じるわけです。

○島田座長 御指摘の点でございますが、そういうこともございまして、今後取組むべきものとしては、法の周知というのが課題だと。これは恐らく間違いなく言えるだろうと考えています。
ただ、労働者が一般にどの程度自分に適用されている法律をわかっているか。例えば私は専門が労働法でございますが、さまざまな法律について知っているかとなりますと、どの程度の数字が出るのか。要するに、これは公益通報者保護法だけではなくて、さまざまな関係法令を挙げて比較したときに、極めて公益通報者保護法が少ないのかどうなのか。そういうことを含めて見ていかなければ、今の池田委員からの御質問に対してはちょっとお答えできないのですが、御指摘のように法の周知ということが前提だということと、この調査だけで施行後の状況でこういうことがあるということで、何か具体的な提案をとは、報告書も必ずしもそういうつくりにはなってございませんので、御理解をいただければと思います。

○松本委員長 ほかにございませんでしょうか。
中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 済みません、細かいことですが、3ページの「イ.事業者の取組状況等」の調査の最初に出てくる平成22年度民間事業者における通報処理制度の実態調査というのは、調査期間が意見書をまとめるかなり直前のようですが、これは審議の過程で資料に出ていたのでしょうか。私の記憶だと入っていなかったのではないかと思います。
下の方の小さい2の注釈を見ると、東京商工会議所のアンケート調査が書いてあるのですが、これはたしか渡邊委員から出されたと思いますが、22年度におけるという平成22年11月4日までやった消費者庁の調査というのは、果たして審議の過程で間にあっていたのか、事務局で確認できればお願いします。

○島田座長 最終回に出していたと思います。

○中村委員長代理 最終回の配付資料に見当たらないです。インターネット調査のものは、たしか最終回に出ていましたね。

○島田座長 参考資料の中で出ていると思います。周知徹底されていなかったようで申し訳ございません。

○松本委員長 その辺は後で資料を確認いただければと思います。
この報告書の各論点を読ませていただきますと、最初に法律をつくる議論をしたときの意見の対立がそのまま残っているという印象を受けました。それは恐らくそのどちらかの方向に舵を切るほどのデータがまだ出ていないからこうなっているということだろうと思います。
ということは、見直しの必要がないとか、あるいは逆にあるということを現段階ではまだ言えないということだと思いますので、最後にまとめられておりますような、もう少し調査等を徹底して行うことが必要だというのは大変よくわかることでございます。また、調査しているだけでは意味がないので、現行法の枠内でももっと普及啓発をきちんとやっていただく、あるいは公益通報を受けた行政機関としてきちんとした対応をしていただくという、現行制度をきちんと運用していくことが他方で大切だという御指摘が最後になされたということで、基本的にはこの段階ではこういう方向になるのかなという印象を受けておるところでございます。
島田座長におかれましては、御多忙の中、この専門調査会の座長を務めていただき、また報告書のとりまとめに御尽力をいただきまして、誠にありがとうございました。

○島田座長 こちらこそどうもありがとうございました。

○松本委員長 本日の報告を受けまして、消費者委員会として今後意見を示していきたいと考えておりますので、機会を改めまして、本件について議題として取り上げたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

≪3.国民生活センターの地方消費者行政への支援について≫

○松本委員長 続きまして、「国民生活センターの地方消費者行政への支援について」です。
国民生活センターの機能につきましては、消費者庁における国民生活センターの在り方の見直しにかかるタスクフォース等で議論されておるところですが、消費者委員会といたしましても、国民生活センターが果たしている地方支援の機能について、地方自治体からヒアリングを行うことで、実態について理解を深めていきたいと考えております。
本日は、消費者行政において先進的な取組みを行っている自治体として、群馬県、京都府、熊本県長洲町においでいただいております。まず、それぞれの自治体より、国民生活センターの地方消費者行政への支援の状況等について御説明をいただき、その後、質疑を行いたいと思います。
まず、群馬県から御説明をお願いいたします。

○野本生活文化部消費者生活課長 群馬県の野本と申します。よろしくお願いいたします。本日は、このような場で意見を述べさせていただく機会を与えていただきまして、まずお礼を申し上げたいと思います。
本日、私に課せられた課題は、国民生活センターの各々の業務が地方の消費者行政にどのような形で役立っているか、あるいは機能しているかということの御説明をさせていただくわけですが、資料2という形で用意させていただいておりますので、これに沿って御説明をさせていただきます。
具体的な説明をさせていただく前に、現状に対する感想、要望について、まずお話しをさせていただきたいと思います。現在、国民生活センターの在り方等についてはさまざまな検討がされておるということですが、正直言って違和感があります。というのは、私どもの認識では、消費者庁の関連3法の熱心な国会審議、消費者庁及び消費者委員会設置法の附則、あるいは参議院、衆議院の付帯決議の趣旨から言って、国民生活センターの業務あるいは組織については、まずこの消費者委員会の皆様方の御審議によって大きな方向性が示され、その後、その方向性にのっとって、政府、具体的に消費者庁、各関係省庁が具体的な方策、あるいはその方策に沿って実施をされるということで認識しておりましたが、物事の後先の問題もあるかと思いますが、消費者行政全般の監視機能をお持ちの消費者委員会の委員の皆様方には、現在消費者庁のタスクフォースで先行的に検討されて、一定の結論等々が示される部分があるかと思いますが、場合によっては結論が相反することもあるかと思いますが、是非消費者行政を充実させるという原点に返って御審議をお願いしたいと考えております。
ただ一方で、国民生活センターの組織を運営する過程で、消費者庁や国民生活センターが事業あるいは事務の無駄の見直しをすることは、我々組織に属する者としては当然の話でございまして、これらについては引き続きお願いしなければならないかと思いますが、ただ、その見直し等についても、この消費者委員会の皆様方の御審議の内容と調整を図りながら是非お願いしたいということで、まずお願いを申し上げたいと思います。
それと今、早急にといいますか、国民生活センターの各業務が十分な検討をされずに一定の方向性を示されるということは、ある種回復困難な結果を生じてしまう部分もありますので、くれぐれも慎重に、あるいは他のさまざまな方面からの御検討をお願いしたいと思います。
もう一つお願いですが、具体的に国民生活センターの業務の検討をお願いする際には、考え方は2つあるかと思います。1つは、各業務を個別具体的に切り取り、それぞれの業務を自己完結的にといいますか、それぞれで検討するという方法と、もう一つは、各業務が一体性というか、相互補完性があり、それらを前提に各業務を検討するあるいは役割や機能を検討するという方法があるかと思いますが、皆様方には国民生活センターの業務が、ある種我々の消費者行政そのものがそうですが、各業務がそれぞれ非常に関連深いということもあって、一体的あるいは相互関連的に機能しているという観点から、是非御検討をお願いしたいと思っております。
今、このような話をさせていただくと、国民生活センターの現状を維持しようという観点でお話をしているかに聞かれるかもしれませんが、決してそういうわけではなく、今、国民生活センターが行っている業務が非効率な運営をされている部分もあるのは事実でございます。そういう観点からも、独立行政法人としての現行の組織にこだわるのではなく、あるべき組織体制について是非御検討いただきたいと思います。
ただ、その際については、国民生活センターというある種の社会認知度というんですか、周知度を尊重することが必要だと思います。これを失うのは非常に社会的な損失になると思いますので、その点からの御配慮もお願いできればと思っています。
それと、あるべき組織体制を検討していただくに当たって、国民生活センターが今、果たしております地域の消費者行政への支援の役割についても是非強化するという方向で御検討いただければありがたいと考えております。
それでは、具体的に、まず相談業務から御説明をさせていただきます。
消費生活相談というのは、私ども消費者行政の中では最も重要な位置を占める基本的なものでございまして、消費者行政の機能強化のためには、消費生活相談の充実強化が不可欠でございます。タスクフォースでは、既に国民生活センターの直接相談について廃止という方向性で決定されていると伺っておりますが、そもそもこの点から是非御検討をお願いしたいと思っております。
それとタスクフォースで今、議論の中で相談内容については、PIO-NETのペーパーで検討すれば足りるという御趣旨の議論があるかと承知しておるわけですが、そもそもPIO-NETの情報というのは、各消費生活センターで相談を受けてから反映されるに当たっては、市や町のセンターから県に上がってきて、それが結果的に反映されるということになっておりまして、本県の一般的な例で言うと、1か月間の時間がかかっております。時間的なずれがあるということです。そういうこともあって、PIO-NETの情報だけに頼ると、今、消費者現場で何が起きているか、あるいは具体的にどんな形で行われているかというのが把握できないということが起こりかねません。
それを物語っている1つの例として、アフリカントラストの社債トラブルというのを挙げることができます。このアフリカントラストのトラブルについては、TBSでも放送されて関心をお持ちになった方もいらっしゃるかと思いますが、消費者庁は、実は昨年の10月29日に情報提供あるいは注意喚起をしていただいております。ところが、国民生活センターは既に6か月以上前の3月に事業者名を含む注意喚起を行っておるところでございまして、このように早期に情報提供ができたのは、やはり日常的に相談業務に通じて、被害の実態や被害の深刻性が把握されているからこそできたものだと考えております。逆に言うと、PIO-NETの情報だけだと、どうしても情報提供、注意喚起が遅くなってしまうということの1つの典型的な例と認識しております。
このように消費者の苦情相談を直接聞くことによって、リアルタイムに今、何が起きているかを知り、その問題点を把握することができます。このような機能があるからこそ、我々地方への国民生活センターの適切、的確な支援が可能と考えておるところでございます。
もう一つ、国民生活センターが行っております経由相談というものがございまして、これは市町村からだけでなく、都道府県からの相談も多いということで、この経由相談自体も今後とも不可欠な機能でありますが、この経由相談のうち、自治体が解決困難な事案については、移送あるいは共同処理というのを行っておりまして、これらの機能についても、今後の地方消費者行政の支援という観点からは必要なものであると考えております。
そして、この経由相談の機能を高め、あるいは的確に我々に支援を行っていただくためにも、国民生活センターさんが消費者の方からの相談を直接受ける機会が何らかの形で必要と考えておるところでございます。
国民生活センターの相談業務については、我々地方の消費者行政の相談業務のレベルアップ、あるいはサポートとして行っていくにも不可欠なものでありまして、先ほどもお話しさせていただきましたが、地方の消費者行政充実強化の支援の中心的なものとして位置づけることができるかと思います。そういう観点で、国民生活センターの相談業務の重要性はますます高まっていくと考えております。
次に、国民生活センターの直接相談あるいは経由相談の廃止とか縮小についてです。消費者行政全体がこのような廃止あるいは縮小されることによって大きな後退になってしまうのではないかと。結果的には、我々地方消費者行政の支援にも支障を来すことになりかねないと非常に危惧している部分がございまして、是非今後ともこれらの機能については存続する、あるいはできたら充実強化を図っていただければありがたいと考えておるところでございます。
時間の関係もありますので、商品テストについてはさっと触れさせていただきます。
実は21年度、群馬県で全国の商品テストの実施状況を調査しました。その結果を見ると、既に商品テストを廃止している団体が22、今後縮小しようということで検討されている団体が4つありました。このように大半の団体がもう既に縮小あるいは廃止をしているという状況でございまして、そもそも近年の財政状況等の悪化によって、商品テストで御案内のとおり、設備が高額のものが多い、あるいは特殊なものが多いということで、どうしても予算削減の絡みを受けて、設備が減少してしまっているという状況もあり、また人員削減が進む中で、商品テストの担当職員も減らされている状況でございまして、都道府県の商品テストの機能はかなり縮小している状況にございます。
このような中で国民生活センターの商品テストについては、我々地方で対処できないもの、あるいは高度なものを実施していただくということもあって、今後とも我々地方自治体が対応できないものについては、国民生活センターと協働して事案に対処していただけたればありがたいということでございます。
次に、研修についてでございます。
本県の消費生活相談員あるいは行政職員に対する人材育成の体制については、県が相談員の方々に対して基本的なあるいは基礎的な知識を身に付けられるような研修を行い、国民生活センターについては、高度で複雑な内容の研修を実施していただくという役割分担の下で行ってまいりました。都道府県サイド、特に群馬県としても、今後とも工夫をしながら相談員の方、あるいは行政職員に対する研修については実施してまいりますが、一方で先ほどお話したように、非常に限られた人員の体制の中で、私ども研修を企画、立案する職員は、実は他の業務と兼務をしながら実施しておるという限界から、どうしても研修内容が限定的といいますか、限られてしまっている部分がございます。今、消費者の相談については、非常に高度化、複雑化している中で、研修内容についても、法律知識だけでなく、例えばあっせんの交渉のノウハウとか、そのようなスキルについても配慮して、現場ニーズに沿った研修が必要になっておるということもあり、やはり専門的な立場からの企画、立案が必要と思っておるところでございます。
国民生活センターの研修というのは、知識とかノウハウを身に付けられるという直接的な効果もございますが、実は全国各地から相談員の方々が集まって、その場でいろんな事例の共有とかノウハウの交換等、あるいは端的に言うと、相談員の方々のネットワーク等々ができるということもあって、それらについても非常に大きな効果があると考えております。
結果的に現行の研修体制が維持できなくなると、どうしても我々も予算の関係等々もありまして、相談員の方々が、例えば私どもの県で言うと、1年に1回は国民生活センターさんあるいは専門的な研修に参加できるだけの予算を確保しておりますが、現状が確保できなくなると、どうしても2年に一回とかになってしまうこともあり、やはり専門的な知識が身に付けられる機会がなくなって、高度化あるいは複雑化している相談に対応できなくなるおそれがあるということがあるのは現状でございます。
長くなってしまって申し訳ないんですが、最後にADRの関係をお話しさせていただきます。
消費者紛争というのは、例えば先ほどのアフリカントラストのように非常に高額な被害もございますが、一般的には被害額は非常に少額な場合が多く、訴訟を起こすのは、コスト面で見合わないということもあって、簡易迅速な手続によるADRが非常に注目されておるところでございます。
国民生活センターが行っているADRというのは、消費者問題に非常に精通された専門の方が担っていたり、あるいは個別具体的な分野にとどまらず、横断的な消費者紛争にも対応していただけるということもあるような特徴がございます。国民生活センターが行っているADRについては、個別の紛争を通じて、その背後にある潜在的な同種の紛争の解決に向けての我々に対しての解決方針を示していただけるという機能もある一方で、我々が相談している過程でなかなか解決できないものについても、国民生活センターにお願いして解決困難、あるいはあっせん不調の案件についても解決していただいているという役割がございます。このような観点からも、地方消費者行政の支援の役割を担っておる部分がございます。
議論の中では、例えば弁護士会のADRとか、事業者団体のADRとの連携でいいのではないかという意見もあるやに伺っておりますが、例えば民間のADRとか弁護士会さんのADRは余り詳しくは承知していませんが、ただ個別案件の解決が目的で、処理結果について余り公表されていないのではないかと思っております。あるいは事業者団体のADRについては、消費者がどうしても信頼感というか、公平性に対して若干不信感を持っている部分もあるということもあって、十分信頼が得られていない部分もございます。
今後とも、我々も自治体としてADR機能を高めていかなければなりませんが、その際、やはり今、国民生活センターがお持ちのノウハウとかは、今後とも必要になってくる部分もあります。今後とも国民生活センターのADR機能については、是非維持していただきたいということで、非常に雑駁(ざっぱく)ですが、私の説明を終了させていただきます。

○松本委員長 ありがとうございました。
続きまして、京都府から御説明をお願いします。

○足立府民生活部消費生活安全センター長 京都府消費生活安全センターの足立と申します。本日は消費者委員会にお招きをいただきまして、国民生活センターの在り方に関し、地方の現場の声を直接届ける機会をいただきましたことを大変光栄に存じております。
現在、全国の相談現場では、高齢者を中心に未公開株等の金融関連商品を利用した詐欺的な商法の被害が相次ぎ、また心に不安をお持ちの方が出会い系サイトによる深刻な被害を受けたり、情報通信技術を応用した新しいサービス、あるいは日常の生活用品にまつわるトラブルや事故、更には多重債務問題など、多岐にわたる消費者問題の解決に当たっております。
また、このような複雑、多岐化する消費者問題の解決に当たりましては、日ごろからさまざまな形で国民生活センターの格別の御支援をいただいているところでございまして、本日はできる限り具体的な事例に即して、国民生活センターがどのように地方の相談窓口を支援し、消費者被害の救済あるいは未然防止のための取組みを進めているかについて、御報告をさせていただきたいと思います。
早速ですが、お手元の資料に配付の資料3-1、3-2で御説明いたします。まず、資料3-2をごらんいただけますでしょうか。これは国民生活センターの各種業務と都道府県との関わりにつきまして、京都府の事例を簡単にとりまとめたものでございます。左側に国民生活センターの役割、右側にそれぞれの業務について京都府に協力、支援をいただいている内容を記載しております。
まず、消費生活相談につきましては、新しいサービスに関する相談や法律関係が複雑なトラブル等に関する対処法の助言でありますとか、他府県での対応例などに関する情報提供をいただくため、国民生活センターが自治体向けに開設いただいておりますホットラインを大いに活用させていただいているところでございます。現在のところ、利用は年間70~80件程度ですけれども、後ほど詳しく御報告いたしますが、ホットラインの相談の結果、複雑な案件につきましては、国民生活センターに移送して対応いただく場合もございます。また、移送した案件につきましては、国民生活センターから途中経過の報告をいただいたり、最終的には対応の経過あるいは法的な問題に関する検討結果などをまとめて、PIO-NETを利用いたしまして、全国の相談窓口に緊急情報として配信をいただいております。これによりまして、相談員の相談技能の向上にも大変役立っているところでございます。
商品テストにつきましては、テストの依頼あるいは技術的な助言を、京都府の場合は年間3、4件程度ですけれども、頂戴しております。これにつきましても、後日、テストに関する詳細な結果報告をいただけるため、相談者に十分な説明を行うことができ、その結果、比較的容易に相談者の方も納得、御理解をいただくことができております。
この回数につきましては、現在京都府では、経験の豊かな技術系の職員を1名配置しております関係で、比較的件数としては少ない状態となっておりますけれども、この技術の職員は、日常的に各種製品あるいは食品に関する相談に関しまして、相談員からの問い合わせを受けたり、あるいは直接相談者に対応している状況でございまして、技術系の職員を配置していない窓口からは、国民生活センターの商品テスト業務は不可欠である。これは大変多いのですけれども、特にメーカーの原因究明に納得しない相談者については、国民生活センターの商品テスト機能が非常に大きな役割を果たしてもらっていると伺っております。
また、消費者啓発や研修につきましても、さまざまな素材の提供をいただいたり、日ごろの相談業務に直接役立つ法律関係や最新の相談事例に関する研修を実施いただいておりまして、地方の窓口の機能強化に大変役立っているところでございます。
資料は戻っていただきまして、資料3-1の方です。
現状は以上のとおりですが、業務ごとに事前にいただきました設問に沿って、国民生活センターが果たしている役割等について、私の考えを述べさせていただきたいと思います。
まず、相談業務に関しましては、自治体からの経由相談や共同処理、移送を含めまして、国民生活センターがあっせん処理した案件が、先ほど申し上げました緊急情報あるいは『月刊国民生活』という冊子の中で紹介をされております。紹介されます事例は、比較的相談の多いもの、あるいは社会的な影響の大きい問題が取り上げられることが多くなっておりますけれども、事業者との交渉を踏まえたあっせんの結果は、全国の相談窓口において同種の事例を処理する際の事実上の判例的なものとして使われております。
また、これによりまして、相談員の方はあっせんの目標を定めることができるため、自治体であっせん交渉に当たる相談員の自信にもつながっておりますし、事業者に対しましては、国民生活センターではこういう見解で、こういうあっせん解決が図られたよということを伝えることで合意形成も図りやすくなっております。
また、解決までの事業者との交渉経過、あるいはあっせんに入るまでの事前調査の手順などにつきましても明らかにしていただくことで、同種の相談に関わらず、今後の相談処理に当たってのマニュアルとして、相談員の資質向上にもつながるものだと考えております。
実際に京都府であった事例を御紹介いたしますと、先ほど野本課長さんからお話のあったアフリカントラストという会社の関係ですけれども、京都府の方に御相談がございまして、外国の大使館とも関係の深いアフリカントラストという会社に自社の転換社債の購入を勧められた相談者から、解約に応じてもらえないという御相談がありました。これにつきまして、当センターで調査をいたしましたが、業者の実態などが全く不明でありましたために、ホットラインを利用して国民生活センターに相談いたしましたところ、当時から徐々に増加しておりました未公開株の購入トラブルに類似する新しい手口だということで、国民生活センターの方で直ちにこちらに移送するようという指示を受けまして、センターの方で対応をいただいたところでございます。
この国民生活センターにおけるあっせんの途上では、国民生活センターから大使館への問い合わせ、あるいは外務省を通じた情報収集なども行われたと伺っておりまして、こうした取組みは到底地方では難しく、解決が困難であったであろう案件でございましたが、国民生活センターの大変毅然とした、そして粘り強い交渉によりまして、解決が図られることができました。
また、その後、同社に対する相談が急増したため、先ほど野本課長さんからも御報告がありましたように、国民生活センターでは社名を公表して、当時の記事ですと、アフリカントラストの社債には手を出すなという画期的な緊急情報まで出していただいたところでございます。こうした機動的な対応が可能であった背景には、独立行政法人という組織が国の関係機関であるという側面を持ちつつも、自己の責任の範囲で比較的自由な判断が可能であったことが大きな力を発揮したものだろうと考えております。これを仮に行政機関が直接行う場合ですと、あっせん交渉の自在性を失うと思われますし、反対に純粋な民間機関では、行政組織の活用ができず、また、法執行機関との関係も希薄となりまして、事業者とのあっせん交渉も難航したのではないかと考えております。
また、こうしたタイムリーな注意喚起情報を全国に発信するためには、この案件は被害拡大のおそれがあるという危険性を敏感に感じ取るセンサー機能と申しますか、これを日々の相談処理の中で磨く必要があると考えておりまして、この機能が働いてこそ、社名公表による注意喚起につながったものと確信をしております。
こうした点からも、40年間の実績を重ねた国民生活センターの相談機能には、全国の相談窓口から全幅の信頼が寄せられていると考えております。
国民生活センターで運用が図られておりますPIO-NETにつきましては、相談の記録あるいは統計処理、全国の相談状況を知るなどの機能面の効用とともに、地方の窓口においては、地方から国政、国のレベルに消費者問題の現状を伝えるホットラインとして認識をしております。このため、PIO-NETに入力しましたデータは、国民生活センターや国の関係各機関で分析が加えられ、消費者被害を防ぐ新しい施策に結び付けられるとの期待を持って、相談員も正確に入力を心がけているところでございます。地方と同じ消費生活相談業務を行い、実態を深く理解している国民生活センターでこそ、こうしたデータの信頼性を維持し、適正な管理運営を行っていただけるものと考えております。
次に、研修業務についてです。
現在、国民生活センターでは、主に相談業務を担当する相談員や職員の資質向上を図るため、PIO-NETなどを通じまして、全国的な相談の傾向を分析、あるいは消費者行政活性化基金を活用して、市町村などに多数の相談員が配置されたことなどを踏まえまして、さまざまなテーマや経験年数に応じた研修計画を立案し、地方開催も含めまして、年間70~80コースもの研修を実施いただいております。特に基金導入後は研修参加者が大幅に増加し、相模原の研修施設では複数の会場に分かれて受講することもあったと伺っておりますが、こうした状況は、平成20年度までは各自治体で研修旅費の予算ができないために、大変参加者が少なかったことを考えますと、もともとは研修に対するニーズが極めて高かったのだろうと思っております。
これらの研修を企画するに当たりましては、消費者関連の法律、あるいは相談処理のノウハウに関する知識や技術の修得だけではなく、行政が行う相談やあっせんは、住民の生活の安心・安全、暮らしの質の向上を図る行政サービスの一環として行っているものだという基本的なスタンスを、参加した相談員等にしっかりと理解させることが重要でありまして、こうした点で主催者として、市町村を含めた相談窓口の機能を高めながら、いかに高いレベルで平準化を図っていくかという観点を含めて、研修の内容や開催場所の選定をする必要があります。
従いまして、運営主体につきましては、研修の目的が相談や啓発、事業者指導などの業務を円滑に進めるための人材育成であるということから、研修内容の企画につきましても、それらの業務に精通した機関が行うことが望ましいと考えておりまして、私は国民生活センターが最適ではないかと考えているところでございますが、行財政の効率化を図るために、運営実施を他の機関に委託する場合でも、内容の検討や全体の調整は国民生活センターが当たるべきであろうと考えております。この点につきましては、消費生活相談緊急情報などを利用しまして、相談事例や対処法の紹介を行っているということも、広く考えれば研修の一環であると考えられますので、これらを含めて、全国の相談窓口の機能充実を図る観点からも、国民生活センターにおいて一元的に取り組むのが望ましいと考えております。
次に、商品テストについてです。
国民生活センターが製品の品質に関わる苦情相談に関しまして、検査を実施していただける唯一の機関であるということに大きな特徴がございます。この点につきまして、よく比較されますNITEにつきましては、個人の救済を目的とはしていないため、この商品に思ったような効果がないという御相談についての検査はNITEで行っていただけないと伺っており、この点は大変大きな違いがあると考えております。また、検査の結果、効果がなかったり、あるいは広告にうたっているような成分が入っていないという場合には、国民生活センターから速やかに公表され、製品の回収や契約の解除につながった事例もたくさんございます。
例えば肩こりが治るというゲルマニウムの入ったネックレスを買ったが、どうも治らない。あるいはお風呂に入れると温泉になるという石を買ったけれども、実際その効果がないのではないかという御相談に対しまして、国民生活センターがテストを行いましたところ、それらの成分がほとんど含まれていないということが判明しまして、直ちに公表、消費者への注意喚起も行われました。
また、購入した磁気活水器あるいはオゾン発生器などに関する苦情を受けました際に検査したところ、ほとんどその効果がないことが判明したり、あるいは別の事例で少し前になりますが、料理の本どおりに電子レンジでゆで卵を作っていたら、卵が爆発してやけどを負ったという相談がございました。これにつきましては、国民生活センターの方に相談しましたところ、直ちに同じような条件で再現テストをしていただくことができまして、結果としてやはり爆発をしたということで、直ちに国民生活センターから出版社の方に連絡が行き、出版社ではその本を回収するとともに、国民生活センターからは業界団体に対しまして、危険情報の提供や再発防止の要望も行われたところでございます。
こうした事例は数え切れないと思いますけれども、国民生活センターのテスト機能は、単なる事故防止のための検査機関としてのものではなくて、消費生活相談と密接に連携しながら、例えば虚偽の広告を行ったり、誤った情報によって消費者が被害を受けないよう、知識のない消費者を守る砦(とりで)としての機能を果たしていることにこそ、国民生活センターが行っているテストの意義があると思っております。こうした商品のトラブルに関する御相談者の多くが、商品の代金を返してほしいと返金を望むよりも、こうしたいい加減な商品が社会で売られているということについて許せない、あるいはほかにも被害者がいるのではないかということを訴えられます。その気持ちに応えて努力いただいているのが、今の国民生活センターのテスト部門であると考えております。
次に、情報の収集・分析・提供業務についてです。
国民生活センターから発表されます情報は、信頼性が高く、影響力も絶大でありますけれども、これも消費生活相談業務を行っている裏付けからあればこそと考えております。
役割分担について全くの私案ですが、商品の安全な使用や契約トラブルに関する情報は、是非とも国民生活センターに集約をして、一括して国民生活センターから発表し、それらは自治体を通じて住民に通知するシステムを徹底することが重要だと考えております。
私の記憶違いでなければ、昨年の7月にたしかNITEが電動車いすの事故に関する注意喚起を発表しましたけれども、その1か月か2か月後には、消費者庁から各都道府県の消費生活行政担当課に同じ件に関する通知があったように記憶しております。どうして同じ件でNITEと消費者庁から同じような通知が来るのかということについて、私は疑問を持っております。
現在は、消費者庁の呼びかけによりまして、各都道府県に消費者行政の推進本部の設置が進められております。京都府でも知事を本部長といたしますくらしの安心・安全推進本部を通じまして、庁内の関係各課あるいは市町村との連絡体制が既に整備されております。従いまして、都道府県に情報を届けていただければ、内容に応じて、住民や情報を必要とする方への伝達は可能な状態になっていると考えております。
次に、ADRについてです。
京都府では、弁護士などが参加します消費者あんしんチームというものを結成しておりまして、センターによるあっせんで解決できなった案件につきましては、更に弁護士によるあっせん案を提示して解決を図るADR機能も既に備えて、センターのあっせん機能の拡充を図っております。国民生活センターのADR機能につきましては、こうした機能を持たない自治体からは、あっせん機能を充実させるため、国民生活センターのADRに期待するという声もよく耳にしておりますので、是非とも東京集中ではなくて、地方での開催、実施体制の確立をお願いしたいと思っております。
以上、雑駁(ざっぱく)な説明ではございますけれども、地域の支援に国民生活センターが果たしている役割について御説明を申し上げました。
なお、資料の続きにありますとおり、相談、テストあるいは研修なども一連の業務であると考えておりまして、国民生活センターにおいて一体的に取り組む必要があると考えております。
最後のところに、国民生活センターに対する期待というのを少し書いておりますので、またお時間がございましたら申し上げたいと思いますけれども、基本的には国民生活センターが今までのような消費者の被害救済、未然防止だけではなくて、もう少し機動力のある組織を生かして、消費者の先頭に立って活動するような団体になっていただきたいという期待も持っております。
お時間があれば、また発言をいたします。ありがとうございました。

○松本委員長 ありがとうございました。短い時間で御説明いただきまして、誠に恐縮でございます。
続きまして、熊本県長洲町から御説明をお願いいたします。

○大山副町長 委員の皆様、こんにちは。熊本県の長洲町から来ました大山と申します。
本日は、このような機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。私どもが今、取り組んでおります消費者行政の現況、国民生活センターが私どもの行っている消費者行政についてどのような役割を果たしているのか。そのような役割は引き続き求められるものか。そういったところについてお話しいただけたらということで、本日まいっております。
資料につきましては、4枚ほど用意をさせていただきました。具体的な相談事例ということで、資料4-4まで。最後のところが、私どもの長洲町役場内で消費者行政推進委員会というものをつくっておりますので、その委員会の様子の写真でございます。
それでは、10分少々、こちらからお伝えしたいことを伝えてまいりたいと思います。
私たちの長洲町というのは、熊本県北西部の福岡県との県境近くに位置しております。人口が約1万7,000人、職員数が約140人の町でございます。有明海に面しているということもありまして、町内には、造船、サッシなどの企業を有しております。もう一つ、江戸時代から金魚の養殖で栄えてきた町でもございます。本日は、このような私どもの町の消費者行政の現状をお話しさせていただきます。
町における消費生活相談につきましては、消費者安全法の施行前というのは、クーリングオフなど、比較的簡単な相談が多く、難しい案件につきましては、県の消費生活センターにつないでいたところです。この安全法の施行後は、基本的に地方自治体で消費生活相談のすべてを行わなければならなくなるため、当時担当していた職員は非常に不安を持っていたようでございます。
そのようなときに、平成21年度から国民生活センターの巡回訪問が始まっているということを知りまして、その担当職員は早速に申し込みまして、平成21年7月から相談業務のOJTを受けることとなりました。
同じく平成21年9月には、消費者庁の設置に合わせて、私どもの町の広報で消費者問題の特集を組んだところですが、その際にも住民にわかりやすく情報を提供するための記事を国センの相談員に具体的にアドバイスをしていただいたところです。
住民から相談を受ける上で、やはり職員としては不安はあるものの、この国センの相談員からのサポートを受けられるという後ろ盾が大変心強く、安心して消費者相談を受けることができたようでございます。
また、具体的には、息子さんが殺害された後、遺族に残された借金と孫の養育の問題を抱えている方とか、精神上の疾病はないけれども、繰り返し床下換気扇を購入してしまう50歳代のひとり暮らしの女性などの見守りのためのネットワーク構築など、複雑な相談に対しても丁寧にアドバイスをいただき、スムーズに支援へとつなぐことができております。
お配りしている資料4-1をごらんいただけますでしょうか。これはちょうど今から1年前の相談になります。息子さんが闇金から借金をし、返済に母親の遺族年金を使い、生活ができなくなって、生活保護の相談をされたケースです。ごらんのように相談件数も抜粋しただけで12回、そのほかにも電話対応もあったようですが、後ろの方の支援者の連携概念図にあるように、これだけ多くの機関が支援しなければならない相談もございます。この相談は、資料4-2の相談記録の5月6日の下の方に書いてありますが、実は自殺のリスクが非常に高かったと思われます。しかし、国センの相談員のアドバイスにより、うまく連携して解決へと導くことができております。この息子さんも、昨年末には大変お世話になったお寺の住職に息子さんが自分でつくったお魚のお造りを持ってお礼に来られるまでになっており、借金についても解決されたと報告を受けております。
このような相談は、数は多くはないのですが、特別な例でもなく、問題が複雑であり、相談者のみならず、家族全体を考えて解決しなければならないケースがあります。また、消費者安全法の施行に伴い、地方自治体で消費者相談等の事務の実施及び消費者センターの設置が明記されましたことにより、現状の長洲町の財政状況においては、消費者センターを設置し、専門相談員を継続的に雇用していくことは非常に厳しい状態にあり、町職員で対応するにいたしましても、140人。しかもその中の20名ほどは保育所職員がおりますので、残りといったら110~120人。その中での人事異動というのもございますので、その人事異動による相談職員のレベルの低下が考えられるため、それらの問題点を補うために、昨年の4月、担当職員の発案によりまして、御紹介させていただいております「消費者行政推進委員会」を設置したところです。
この委員会というのは、主に収納担当の職員で、滞納のある住民と接する機会の多い税務、介護、子育て、上下水道、そのほかし尿や福祉などの担当者が委員となっております。多重債務の早期発見ができる体制にしているところです。
また、相談レベルを保つために、私どもの推進委員会の委員を国民生活センターや県の消費者研修会への派遣、相談会への同席、相談事例をケース会議として取り上げるなどして、支援のための取組を行っているところです。
この委員会を設置した効果ですが、この委員会を設置しましたことによって、滞納者に対して職員は対応するときに、まず消費者被害に遭ってはいないか、あるいは多重債務に陥っていないかという視点を頭の片隅に置きながらの対応ができるようになってきております。また、相談会においても、次回の予約をされる相談者もいると聞いており、少しずつでありますが、役場に相談してみようとか、あるいは役場に行けば何とか解決できるという思いを持った住民が少しずつ増えてきているのかなという気がいたしております。このことは、私たち安心・安全のまちづくりを進める長洲町にとって、このまちづくりについても非常に重要なことではないかなと思っているところです。
私どものこのような取組みを参考にいたしまして、近隣の自治体が似たような委員会の設置、あるいは庁舎内のネットワークの構築に向けた取組みをしていると伺っていますので、大変うれしく思っているところです。
あと、課題等について少しお願いしたいことを次に申し上げていきます。
どこの自治体でも、実は財政的な問題、あるいは相談職員の育成、相談ネットワークの構築、消費者教育と似たような問題や課題を抱えているのではないでしょうか。長洲町においては、財政的な面では、地方消費者行政活性基金で相談室等の環境整備と委員の研修を行い、相談会におきましては、弁護士、司法書士、臨床心理士、専門相談員を配置していますが、この費用につきましては、司法書士は熊本県の司法書士会より、臨床心理士は地域自殺対策緊急強化交付金の対面型支援事業から、また弁護士、専門相談員及び相談会のコーディネートについては、地域自殺対策緊急強化交付金のモデル事業に応募いたしまして、そのモデル自治体となり、開催できているところです。我が町は、そのようにやってはおりますけれども、多分ほかの自治体についても、財源確保には苦労されているのではなかろうかと思っているところです。
相談員の育成につきましても、国センの一定水準以上の相談員によるOJTを受けることにより対応できていますし、ネットワークも国センの相談員のサポートと人脈により構築できました。こういうことを他の自治体でも、できればスムーズに住民の安心や安全に向けた取組みができるのではないかと思っているところです。
また、消費者教育については、23年度事業として、住民に光を注ぐ交付金を活用いたしまして、消費者教育の観点から、家計管理の支援と教育を行っていく計画を今、立てております。それから、私ども消費者行政推進委員や、あるいは日ごろ相談を受けている職員から、是非消費者委員会の皆様にお伝えしてほしいということがございましたので、申し上げておきます。
それは、やはり小さいころ、小学校からのお金に関する教育の充実を図ることです。消費者被害の予防の観点からも、特に重要ではないかと申しておりました。
最後になりますけれども、国センの相談事業、研修事業を活用して、相談レベルを保持し、国センの収集した情報を使って啓発を行い、私ども消費者行政に取り組んでおります。知識、経験豊富な相談員と出会いまして、施策、提案を含めサポートしていただいたことは、消費者行政に取り組む私たちにとりまして、何よりも力をいただけたと感じております。それから、消費者行政の全国的な事例を拝見させていただきますと、広域で取り組んでいるところでございます。これは私の意見なんですが、方向性としてはそれがいいのかなという気もいたします。しかしながら、住民に一番近い私どものような基礎自治体としての役割をまずは果たしつつ、そして将来的には広域連携を視野に入れながら、今後も消費者行政に取り組んでいこうと考えております。
以上でございます。ありがとうございました。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの3つの自治体の方からの御発言につきまして、どうぞ御意見、御質問がございましたらお出しください。
中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 群馬県の野本さん、先ほど国民生活センターの機能のうち、5つについて御説明いただきましたが、情報の収集、分析、提供機能の問題についてはどのように見ておられるのか御意見をいただけたらと思います。

○野本生活文化部消費生活課長 あえてこれを外したというのは、実は理由がありまして、PIO-NETの関係があって、PIO-NETの情報についての分析は、先ほどアフリカントラストの部分もあって、非常に効果的にしていただいている部分がありますが、一方で冒頭、非効率な云々という話をさせてもらったんですが、PIO-NETの機器の維持管理あるいは導入については、必ずしも国民生活センターがやる必要があるのかどうかというのは、ちょっと疑問があるということもあって、あえて記載はしませんでした。ただ、機能としてはそれなりに効果があるとは認識しております。

○中村委員長代理 ありがとうございました。

○松本委員長 川戸委員、どうぞ。

○川戸委員 長洲町の方は、基礎自治体でも大変有益なことをやっていらっしゃると思いますけれども、この場合、県との関係というのはどういう感じになっておりますでしょうか。すぐに国センの方と連絡を取り合うわけですか。

○大山副町長 正確に言うと、国センの相談専門家という方が、長洲町内ではございませんけれども、比較的近くにいらっしゃいますので、その辺りと連絡を取りながら担当職員はやっております。

○松本委員長 恐らく川戸委員の御質問は、県のセンターの方に相談するという形ではなくて、国センの巡回相談員の方に直接長洲町に来ていただいて、一緒に処理をしているという形であって、県のセンターを利用するという形ではないということかという御質問だと思います。

○大山副町長 そうです。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 まず、群馬県の野本さんにお伺いいたします。
先ほど、幾つか項目別にお話をされまして、それぞれの皆さん方もそうですが、国センの在り方について、皆さんが非常に重要なことだということで御報告をいただきましたと感じております。そこでまずお伺いしたいのは、研修のところです。最初、研修の中で、この意味は、多分研修業務を廃止あるいは縮小した場合について、現状では年に2回ぐらい行けるということをおっしゃっておりました。それがそうでなくなったらば、2年に1回ぐらいなるということで、研修会参加が困難になるということは、財政的なことをおっしゃられているのでしょうか。それとも施設そのものがどこかに行ってしまった場合に、財政も含めて、今も来年度の半分しか決まっていないと伺っておりますので、そういう先行きのことを含めてのことでしょうか。

○野本生活文化部消費生活課長 研修につきましては、現行、国民生活センターさんが開催されている研修というのは、参加費が非常に安価で、経費が宿泊料ぐらいで参加できている部分がありますが、これがもし仮に、民間の研修団体といいますか、研修会社というところで実施されるようになると、やはり経費をペイしなければならないということで、若干参加経費が高まってしまうということもあって、実は皆さん方御存じのように、地方の財政状況というのは非常に悪化しておりまして、現行の予算を確保すること自体、非常に困難であるということもあって、もし仮に参加経費が今より高くなる場合においては、先ほどお話しさせていただいたように、最低1年に1回は外部の研修には参加できますが、それがどうしても経費の面で、たとえ今の経費の予算を確保できたとしても、2年に1回とか3年に1回になってしまうということでございます。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 そういたしますと、先ほど御説明がありましたように、研修の重要性について非常におっしゃっておられましたので、2年に1回ぐらいになってしまった場合に、人材育成等も含めて、単なる相談員だけではなくて、職員さんの育成も含めることだと私は思っておりますので、そういう職員さんの育成も含めて、非常に困難になってくると解釈してよろしいのでしょうか。

○野本生活文化部消費生活部長 行政職員の研修につきましては、実は群馬県は今年から、私ども職員が手づくりでというか、自分たちでいろいろ教材をつくったりして実施させていただいていますが、どうしても基本的なものしかできないということがあって、やはり職員についても、専門的な研修については国民生活センターに担っていただく必要があるということもあります。勿論、地方自治体それぞれそれなりに工夫はしているんですが、専門的な研修については、我々ではどうしても担えない部分もありますので、そういう面については、やはり国民生活センターに今後とも担っていただきたいというのが私どもの考え方です。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 どうもありがとうございました。群馬県にお聞きしたいんですけれども、ADRの部分ですが、お話によると、今後は自治体のADR機能、苦情処理委員会を高めていくことが重要であるが、そのためには現在の国センのADR事業で蓄積していくとのことですが、ということは、将来的には、自治体でやった方がいいというお考えなのかということと、それなら、なぜ今、自治体でできないのかということ。
もう一つ、テストのところはさらっとおっしゃいましたが、テストのところで「『商品テスト』」と書かれています。テストと言っても、苦情から来たテスト、比較テストなど、いろいろあると思います。国センと自治体が共同して事案に当たる体制の構築が望ましいとありますが、急いでいる事故原因究明テストなどを例えば国セン経由であっても、NITEとか、ほかの研究機関に任せるという方法もあると思うんですが、それはどうお考えなのか。それがどういう形で地方の支援につながるのかというお考えがあったら教えてください。

○野本生活文化部消費生活課長 まず、ADRの関係ですが、私ども群馬県でも条例に基づき、苦情処理委員会というものがございます。実は、昨年度初めて案件を処理したんですが、やはりそのときに、今まで全然ノウハウがなかったと。平成8年から委員会自体はありましたが、一度も処理したことがなかったということもあって、ノウハウがなくて職員が非常に苦労しました。そのときに参考になったのが、国民生活センターの情報です。それらを我々が分析し、こういう形で処理していこうということもあって、これは勿論私ども地方自治体も苦情処理委員会等を活用しなければなりませんが、といっても、例えば東京都のように案件があって、それなりに処理できるところは別として、私どもみたいに件数が少なく、職員のノウハウもないということであれば、やはり国民生活センターのADRの情報が不可欠でございます。
商品テストの関係ですが、私どもの現状は商品テスト専門の職員が1名おりまして、嘱託の職員が2名おりまして、以前から比べると非常に減少しているんですが、その体制については、今後とも維持していきたいと考えております。先ほど、NITE等もお話がありましたが、どうしてもNITEの商品テストというのは、先ほど京都府がおっしゃったように、非常に限定的で、原因とか我々があっせん等についてのお願いをしても、なかなか消極的であるということもあって、お願いするにしても、やはりどうしても限定的になってしまうと思います。
将来的には、やはり私どもも、先ほどお話したように、自前でやれる体制は維持していきたいと思いますが、一方、先ほどからお話しているように、人員的な限界等々がありまして、やはりそういう面では、国民生活センターと連携して、維持していきたいなと考えております。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 皆様にもし御意見があったらお伺いしたいんですけれども、群馬県のレジュメに、国民生活センターの組織について、今の組織でなければいないということではなくて、あるべき組織体制についてさまざまに検討した方がいいというようにあるんですが、例えばどのような組織が考えられますでしょうか。いろいろな方がいろんなことを言っていらして、消費者委員会の下に置けばとかというのもあるんですが、特別独立行政法人というので、行政法人なんだけれども、特別扱いをしている、公文書館がそうだと聞いていますけれども、そんな御意見もあるんです。独立行政法人である今のままではない方がよいとお考えになっていらっしゃるのか、そうであるならば、どのような組織が考えられるのか。皆様にも御意見があればお伺いしたいです。

○松本委員長 なかなか難しい質問かもしれませんけれども、もしお考えがあればということで結構です。どうぞ。

○野本生活文化部消費生活課長 私どもがお話をさせていただいたのが契機なので、私からお話をさせてもらいますと、実はどういうものがというイメージはございません。ただ、現行の独立行政法人が適切であるかどうかについては若干疑問があって、そもそも皆様方にお願いしたいのは、独立行政法人の今の国民生活センターありきではなく、やはり原点に返って、将来的に永続可能な形を検討していただければありがたいということで、問題提起させていただきました。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 先ほど群馬県の方から、PIO-NETによる地方支援だけでは不十分だというお話がありましたが、京都府の足立さんは、この点、PIO-NET情報だけでは地方支援というのは難しいのか、そうでないのか。その辺、何かお考えがあったらお聞きしたいです。

○足立府民生活部消費生活安全センター長 PIO-NETと地方支援ということについては、恐らくタスクフォースの中で、相談窓口についてのセンサー機能について議論があったことに関しての御質問かと思うんですが、例えば実際に相談があった事例なんですが、PIO-NETの記録といいますのは、件名と言いまして、およそ概要を数十字程度で記入する部分と、もう少し詳細な部分と2段階になっているんですが、最初の部分に、例えば妻が出会い系サイトにクレジット番号を登録し、毎月多額の引き落としがある。妻は障害者手帳を持っているという御相談。これは実際にあった事例なんですけれども、それが載っていたときに、それを見た方が、その文字情報を見てどれだけのことを感じていただけるかなということなんです。
実際には、この妻という方は、職場で以前いじめに遭って以来、うつ病になって、その中で出会い系サイトに触れて、その出会い系サイトの相手方のことを本当に信じてしまって、自分のクレジットカードでは支払いきれずに、夫のクレジットカードを使ってずっと続けてきたと。御相談があったのは御主人の方からです。実際には、本当に御夫婦の関係も危ないような状態になっているし、妻からクレジットカードを取り上げたら自殺しかねないという形で御相談に来ています。
つまり、PIO-NETに載っているこれだけのわずかな文字情報だけで、これだけのことが汲み取れるかというと、実際はそうではないと思うんです。実際に相談を受ける中で、相談者の家庭の状況あるいは心身の状態など、年齢、性別、いろいろな背景があっての御相談だということですので、私どもはそういった相談者にとっての被害の内容、程度というのは、そういう背景も理解した上で評価といいますか、感じ取るものだと思っております。ですから、実際PIO-NETの文字情報だけで被害の本当に姿を見ることはできない。つまり、PIO-NET情報だけを提供すれば何か対応ができるというものではないと感じております。
こうした相談の処理の中で、この出会い系サイトについても深刻な被害があるということを感じ、出会い系サイト自体も問題ですし、クレジットカードが使えているということで、信販会社の問題も含んでいるんだろうと思うんです。私どもはこうした中で、この相談者を救いたいという思いをまず強く持つことと、今度はこういう被害者を次に出さないために、もっと出会い系サイトの規制が要るのではないかとか、クレジット会社に対する規制が要るのではないかとか、次の段取りを考えています。
私どもは、こういう部分もセンサー機能という部分だと思っておりますし、これがあって初めて、相談処理だけではなくて、啓発とか規制とか、そういったところにうまくサイクルをしていく。その原動力になるのがこのセンサー機能だと思っております。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 すみません、もう一点京都府の足立さんにお聞きしたいのですが、商品テストのところで国センとの関係で、技術的助言だけ書かれていますが、もし例えば現品テストをしてもらいたいというときは、相模原まで持って行かなければいけないという不便が生じるのかなと思うのです。例えば近畿圏で何かそういう協力し合えるところとか、国センが相模原1本でいいのかという問題もちょっと感じますが、近畿に支所みたいなものがあって、NITEなどは何か所かあるわけですけれども、そういうことまで本当はあった方がいいのか。
それから、兵庫県の生活総合センターなども立派な施設をお持ちで、専門の方も5人ほど配置しておられるようですが、そこと連携して、近畿圏でテスト機能をまとめて充実させるようなことというのは考えられないでしょうか。

○足立府民生活部消費生活安全センター長 実際に近畿府県でテスト関係の担当者の会議というのを定期的に開催しておりますし、京都府の方で2か月に1回になりますが、名称がちょっと似ているのですが、テスト関係の委員会を開いておりまして、これにはNITEも参加していただいていますし、あるいは食品の関係で農林水産消費安全技術センターにも参加していただいて、技術関係の会議をしています。そこには、これまで苦情相談で入った商品を持ち込んで、そこで技術的な助言を得て、相談依頼を返すということもしております。
御提案のありました国民生活センターの関西での拠点というのは、是非いただきたいというか、欲しいと思っております。ただ、実際、今は東京にしかありませんので、私が聞いた事例でも、外国から猫の餌を買ったんだけれども、それを食べさせた途端死んでしまった。現物は少し残っているという御相談がありました。これは国民生活センターに受けていただけたんです。ほかに受けていただけるところは多分ないと思いますが、受けていただいて、実際には毒性がないということで返ってきて、それをお返しして納得いただいたということがあります。
あるいは浄水器などの検査をしてほしいと来られるんですけれども、実際に水質の検査で。成分はこんなもので、鉛がどれだけあるかとか、PHがどれだけあるかという技術的な数値の答えをやってくれるのは民間企業でもありますが、ではこの浄水器が本当に十分な機能を果たしているかどうかという検査をやっていただけるのは、国民生活センターしかないというのが現状です。

○松本委員長 池田委員、どうぞ。

○池田委員 長洲町の大山副町長に伺いたいのですが、大変に御苦労なさっており、御報告には非常に感銘を受けました。本当に大切な地方の基礎自治体の単位の取組みとして、非常に生々しいお話ですが、資料4-4の写真を見ますと、この消費者行政推進委員会というのは20名前後ご出席なさっているような感じの写真と拝見いたしました。これはさきほど御報告がありました、実質120名の職員の中の主な担当者を中心として20名ぐらいがご出席ということで理解していいのかどうかというのが1つ目の質問でございます。
この推進委員会は、恐らくつい最近からやられているのではないかと思いますが、月スパンで整理すると書いてありますので、月1回程度の開催なのかどうか教えていただきたい。それから、恐らく新しい行政が町役場にできたわけですから、これをほかの消費者行政を担当していない職員にとっても、大変に刺激的というか、新しいことの取組みということで、非常に関心も高まって当然ではないかと考えており、私は基礎自治体の消費者行政の原点は、そうゆう町役場全体で取り組むという雰囲気になっていくことが一番大事な姿ではないかと思っております。その後の色々な解決手段の高度なところは別問題として、最初のとっかかりは、そういうところの充実ではないかと感じておりますが、その辺りについての御意見をお伺いできればと思っています。

○大山副町長 まず、私どもの委員会の人数ですけれども、全員で11名です。資料4-4で少し人数が多いと思われる部分については、例えば国セン関係の相談員の方とか、社会福祉士とか、その時々によって、大学の先生とか、そういう方も国センの相談員の方の人脈によって声掛けをしていただきながら、御参加をいただいたりしていますので、そういう意味で、この写真のときはそのように多いということです。必ずどなたか外部の方が、3名以上は入っていると思います。
それから、どれぐらいの割合で開催しているかということですが、つい先だって2月に開催しましたのが第9回でございました。昨年の4月に設置をいたして2月が第9回で、3月の第1週か第2週目ぐらいに第10回で、大体今年度はそれで終わりという予定でございます。
それから、小さな行政といえども、私どもは部制ではなくて、課制なんですけれども、隣の課は何をしているかという状況は、やはり小さいところでもございます。そういう意味で、しかし、やはり平たく言えば縦割りみたいなところの意識を行政マン自身が持っていますと、そのことによって困るのは、やはりそこに住む住民の方々と私自身が思っておりますので、その辺りのみんなが一様に認識を持てば一番いいとは思いますが、まずはとっかかりであるこの行政推進委員会の委員会がキーパーソンになって、行く行くは長洲町というのは、必ずそういった消費者被害を1人でも出ないというよりも、本当に少なくするためのまちづくりをやっていかなければという思いで、今、取り組んでおります。

○池田委員 すみません、もう一つ。
では、大山副町長はこの委員会のメンバーなのですか。あるいは町長さんが関与されているのですか。

○大山副町長 私が委員長です。しかし、具体的な相談会に参加したりするのは、実は今日もう一人職員が一緒に来ておりますけれども、総務課の職員のすべてが兼務です。消費者行政のみをやっている職員というのは誰一人いないというか、そういう中でそれぞれがやっているし、私の方が委員長でありますが、具体的にはそれぞれの課の関わっている職員が相談会にも、場合によっては一番の窓口である総務課の職員だけではなくて、介護関係が必要であれば介護の職員がそこに入っていくというやり方をとっております。どなたが来たらいいかというのは、それこそ国センの相談員とか、総務課の中心になっている職員が、大体こういう方がいいねということでやったりする場合もありますし、もともと相談そのものが介護関係で住民が介護の窓口に来られたときは、そこから発生してくるので、総務課の職員に相談しながらやっていくというやり方をやっております。

○松本委員長 では、下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 京都府にお聞きしたいのは、今、テストのことでもありましたが、先ほどお話をお聞きしておりましたら、苦情相談に関わるものを積極的にやってもらって、注意喚起も非常に速やかにされているということで、国センとの連携がうまくいっているということがありました。
ただ、やはり離れておりますので、先ほど中村委員長代理の御質問にもありましたように、近畿地域でそのような国センの果たすような機能のものを設置されたらいいのではないかと理解したのですが、それでよろしいのでしょうか。
それに併せまして、テストに関しまして、非常に細かい国センの相談から上がってくるものというのは、大型のものは余りないかなと思っております。先ほどちょっとおっしゃられたのは、他ではできないものがあるのではないかということです。食品とオゾン発生器とか、何かそういうもの。そういうものについては、国センがやるべきだとお考えでしょうかというのが1点です。
それから、相談業務についてお伺いしたいのですが、この国センの経由相談等のあっせんについて、非常におっしゃっていらっしゃいましたと、また、タイムリーな注意喚起が出されるということをおっしゃっていらっしゃいました。群馬県も皆さんそうなんですが、国センが経由相談とか情報発信するに際して、やはり私は直接相談があった上で初めてそれが有効機能するのではないかと感じております。そのところは、群馬県はそのようにおっしゃっていらっしゃいました。京都府はどのようにお考えなのかということをお聞きしたい。
それから、京都府は、「くらしの安心・安全ネットワーク」をすごく早い段階でされましたね。丹後の方から全部広く。非常にネットワークが十分に働いているように見受けられます。私の知り合いもそのネットワークに入っていますが、あのときの所長さんはだれでも入れるわよとおっしゃられまして、何人か入ったように記憶しております。それが非常にうまく動いているようにも伺っております。
そうしますと、そういうネットワークとの京都府のセンターさんとの関係、そして、それがまたどのように国センとの、私が聞きたいのは直接相談なんですが、どのような関わりの中で経由相談をしてもらうためには、直接相談がどのような位置づけというか、関わりがあったらいいのか。あとまだ幾つかあります。

○松本委員長 では、そこまで。後でお願いします。
では、どうぞ。

○足立府民生活部消費生活安全センター長 まず、国センのテスト機能を近畿にということについて、私は深く考えたわけではないんですけれども、担当者としては、是非近いところに欲しいということはありますが、ただ一方で、先ほど御紹介のあった兵庫県さんとか、非常に熱心に地域で取り組んでおられる府県さんもありますので、むしろ現状として、距離に関する問題があるかという点につきましては、とりあえず国センの方に商品を送って見ていただくということで、一応は対応できておりますので、必ずしも私ども京都府が是非とも近畿にというお話をしたことに、近畿府県が同じ意見かどうかというと、ちょっとわからない点がございます。

○下谷内委員 苦情から上がってきた小さなものと、ほかにというのは大きなテストです。

○足立府民生活部消費生活安全センター長 先ほど申し上げましたのは、NITEと国センの違いでして、特に技術の担当者に本日伺う前に訪ねてみたところ、とにかく商品の品質というか、不具合が起こったことについて御相談があったものについて、いわゆる原因究明テストはNITEではやっていただけないと。国民生活センターしかできないということです。
私どものセンターというのは、あくまでもたくさんの相談を聞く中の1つの分野として、商品に関する御相談も受けているということもありますので、出発点は同じといいますか、全部相談からスタートしておりますので、そういう点からすると、相談者の方というのは、先ほど申し上げたみたいに、お金を返してほしいということではなくて、何でこうなったんだというところを非常に強く求めてこられますので、それに答えていただけるのは、今のところ国民生活センターしかないという状態ですので、大変必要に思っております。
直接相談が必要かどうかということについては、先ほども少し申し上げましたように、本当に直接相談が、よく言われているセンター機能につながるものだと私は考えておりますので、今と同じ形で各府県と同じレベルで直接相談の窓口を開く必要があるかどうかというのは、議論の余地があると思いますけれども、むしろ今、進めていますホットライン、全国の共通電話で近くの窓口につながるホットラインの部分が、正直言ってまだ十分機能しておりません。それが全国統一の番号で、住民の方がその番号に電話すれば、身近な相談窓口につながるというシステムが完全にできて、また受け皿の方がしっかりとした対応ができるようになってくれば、少しシステムを考えないといけないと思いますが、現状として、そういう各自治体の方でしっかり受けるという体制が今ない中で、国民生活センターがいきなり直接相談を廃止しますという方針が出てしまった場合は、今度地方の方も、例えば都道府県と市町村の関係から言いますと、安全法では市町村が相談あっせんを受けるとなっておりますので、今、都道府県がやっている直接相談の部分についても影響が出てこないかなという懸念もしております。
ちょっと問題がそれましたけれども、経由あっせんとか注記喚起をするために直接相談が必要かということについては、センサー機能の点から、是非とも必要だと考えております。
それから、御質問で聞いて申し訳ないですけれども、安心チームのことでしたか。くらしの安心・安全ネットワークのことですか。

○下谷内委員 くらしの安心・安全ネットワークでしたか。

○足立府民生活部消費生活安全センター長 こちらは、いわゆる啓発のためのネットワークを作っているものでして、実は私ども、これまでは例えば高齢者の方を集めて、注意喚起の啓発講座をして、おじいちゃん、おばあちゃん危ないですよということを伝えるような作業をずっと続けてきたんですが、それではなかなかしっかりと伝わらないということで、むしろ高齢者の方よりも、周りにいる方に情報を伝えて、その方々が見守りをするような啓発のシステムに変えました。そのときに、高齢者の方の周りにいる方々をネットワークしようということで作ったのが、くらしの安心・安全ネットワークです。
従いまして、私どもはいろいろ国民生活センターとか、消費者庁から情報が入ったものについては、このネットワークのシステムを使って、各団体、福祉の団体、高齢者の団体等に情報を提供しています。あるいは以前は、報道機関もネットワークの中に入っておりますので、報道機関にその情報を流したところ、報道機関の方が定期的に消費生活センターからこういう情報がありましたということを記事で載せてくれたりといったことで、直接高齢者に伝えるのではなくて、周りの方から情報を伝えていこうというものでございます。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 京都府の方にお話を伺いたいんですけれども、商品テストのところで、相談者の納得が得られると最初の説明でおっしゃっていたんですが、国センがテストをして、その結果が京都府に戻り、その後相談者に結果を報告するわけですね。そして、もし製品欠陥とか、何かしらもっと重大なものであったとき、その情報をどうされているのか。相談者だけが納得をして、そこに返して終わっているのか、それとも京都府としてきちんと情報を公開しているのか、その辺を教えていただきたいのが1つ。
ADRのところですけれども、地方での開催とおっしゃったので、その辺りももうちょっと詳しく教えていただきたい。国センが地方に行けというのか、地方でも地方のADR機能を持った何かをつくった方がいいというのか、その辺りを教えてください。

○足立府民生活部消費生活安全センター長 まず、テストに関して、テスト結果が出てきたものについては、基本的には個人の方の御相談ですので、その方に返して終わりというのが通常です。ただ、そこに大きな商品の欠陥があるということが発見されれば、今、事例が思いつかないんですが、京都府よりも、むしろ国民生活センターの方がしっかりと対応していただけるということではないかなと思っています。
私の記憶がある中では、商品テストで出てきた結果について、重大なものについて、京都府として発表したというものはございません。
それから、ADRの関係ですけれども、先ほど私が申し上げましたのは、私の記憶違いでなければ、今、国民生活センターのADRは東京、国センでしか開かれていないと思っておりましたので、各府県の中でこういうADR機能を持っていないところが、国センのADRを利用したりという場合は、消費者の方や相談者の方が遠くまで行っていただかないといけないのかなと思いましたので、それでは実質機能しないだろうということで、地方での開催、あるいは各府県の要望に応じて、どこでも開いていただけるという体制がとれれば、国民生活センターのADRは利用されると思います。

○松本委員長 今の部分ですが、東京に来ていただかなくてもやっていると我々は伺っております。

○足立府民生活部消費生活安全センター長 失礼しました。

○松本委員長 それでは、もう時間ですけれども、下谷内委員、是非何かございましたら、1点に絞ってお願いいたします。

○下谷内委員 長洲町の副町長さんには質問をしておりませんでしたので、お伺いしたいと思います。
今回、この概念図を拝見いたしまして、非常に細かくやっていらっしゃるということがわかりまして、私どもは、特に地方のどんな小さな村にでも、町にでも、ともかく窓口をつくってくださいと。そこに専門の職員さんを置いてください、相談員を置いてください、PIO-NETを置いてくださいということを、私の所属している団体では、ずっと長年言ってきていたんです。
今、このお話をお伺いしておりまして、相談員さんはいらっしゃらないけれども、職員さんがかなり力を入れてやっていらっしゃる。そして、この行政の中で推進委員会も設置されて、大きな中で取り組んでいらっしゃるということに対して、私は非常に感銘を受けました。
この巡回専門相談員さんも御利用なさっているということですので、積極的にしていただくのと、できれば総務課の中にもうちょっと消費生活相談というのがあって、それがずっと連携をしていくような形のものが、無理かもしれませんけれども、していただければいいのかなと思っております。
この巡回相談というのは、手を挙げればどれだけでも来ていただける、担当さんがあそこにいらっしゃいますが。だから、今の間に積極的にこの事業を活用されて、充実した1万7,000人の人たちが安心して暮らせるような組織にしていただければいいのかなと思っております。
この事例を拝見いたしまして思ったのですけれども、この中には幾つか既に消費生活相談に絡んでいるものがあったのですが、これは飛ばされたのでしょうか。この中に、何かアクセサリーを買わされた人がいたり、最初から幾つかあります。そういうところの御相談はされなかったのでしょうか。
アクセサリーは、絶対キャッチセールスか、次々販売だと思うんです。

○松本委員長 何番ですか。

○下谷内委員 資料4-2のページはチェックしていないです。最初のところからずっと来まして。

○松本委員長 日付でお願いします。

○下谷内委員 済みません、日付はチェックしていません。3月18日でしたか。
Cが二十歳のころアクセサリーなどを購入させられたということで、Cさんというのが今、幾つだかちょっとよくわかりませんが、こういうものが多分いっぱい出てきていたのではないかなと思います。こういうものに対しての助言というのは、直接古いものはなかなか難しいかもしれませんが、ここにも問題があったのだということが幾つか見られましたので、そういうものというのはお聞きにならないのでしょうか。巡回相談員に、今、クーリングオフのことを教えてくださいとか、その程度何でしょうか。これはすごく学習ができる事例だと思います。だから、一つずつの事例をやっていけば、かなり職員さんは高度な知識が得られるのではないかと思います。そして、それが国センの前回相談だけではなく、県と連携され、そしてそれがまた国センの経由相談などにもできるのではないかと思いました。
巡回相談員が行っているのは、まず相談の在り方だとか、どのように受け答えをするとか、そういうことから始まっている基本的なことだろうと思うんです。だから、もう少しせっかくこういう組織をつくられたんですから、何か動けるような形のものをお考えではないのでしょうか。入口だけで終わるのかなと。

○松本委員長 委員会として個別事件の処理の是非は扱いません。
そこで、今の質問を一般化しますと、これは恐らく多重債務の相談が主なんでしょうが、それにまつわるさまざまな悪質商法的な消費者トラブルが派生的にいろいろ事実として上がってくる。その個別の問題について、どの程度対応されているのか、あるいは余りやれていないということなのかということになると思うんですが、いかがでしょうか。

○大山副町長 ありがとうございます。
まず、このCさんは、現在32歳で、二十歳のころということで、このアクセサリーに関しては、随分前のことで、具体的な事例として、こちらの方に載せていただいています。そのことそのものについては、今回の相談については、特に取り上げていないと思います。
ただ、相談そのものについては、先ほども申し上げましたが、相談会に私自身が行っているのとちょっと違いますが、非常に答えにくいなというところがございます。
それと、先ほどの委員の方からの御質問のところについて言えば、たまたま私は長洲町は状況からして、とにかく消費者行政というのをどうにかしなくてはいけないという担当職員がそういうのを思っていたところに、国センの巡回相談があった。これを突破口にして、少し消費者行政について強化していこうという、今、やっとやり始めたところだろうと。大体そんなところでございます。これがどこから消費者行政の強化について取組むかというのは、各町いろいろあっていいのかなという思いをいたしております。私どもは国センの巡回相談を利用させていただいたというのが現状でございます。
以上です。

○松本委員長 ありがとうございました。各自治体ともさまざまな取組みをやっておられますので、委員の中からももっと質問をしたいということがあるかもしれませんが、予定の時間を若干超過しておりますので、これぐらいにしたいと思います。
3つの自治体からお話を聞きまして、私は2つほど共通のご指摘があるのではないかという印象を受けました。
1つは、国民生活センターの機能の中で、相談機能が一番重要であると。相談機能を軸にして、その他の機能が非常に有機的につながっているんだということを各自治体は強調されたと思いますし、更に相談の中に、長洲町がおっしゃったような巡回相談というものが最近始まったわけだけれども、これが地方における相談を充実させるという点で、大きな役割を果たしているということを教えられたわけであります。
それから、もう一点。アフリカントラストについて共通に指摘をされまして、消費者庁の注意喚起より国民生活センターの方が相当早かったのはなぜかということで、京都府さんでしたか、国の行政機関そのものではないという点。それから、他方で国民生活センターが動くと紛争が解決しやすいという点で、民間ではないという点。国の行政機関でもなく、かといって民間でもないという立ち位置が情報提供を早くするという役割をうまく担えたり、あるいはADRや相談におけるあっせん処理においても、民間が行うのに比べて、迅速かつ納得してもらえる形の処理ができているのではないかという御指摘がされました。それが独立行政法人という制度とイコールではないにしろ、行政機関そのものでもなく、民間でもないという立ち位置に、ある種の非常にうまく消費者問題に対応できる1つの根拠があるのではないかという印象を受けた次第でございます。
本件につきましては、委員会としても更に議論を深めていきたいと考えておりますが、国民生活センターが果たしている地方支援の機能をより正確に理解するためには、地方自治体における実際の活用状況や意見を十分に把握することが必要と思われます。したがいまして、来週以降、都道府県及び政令指定都市を対象として、実態調査を消費者委員会として実施したいと考えております。地方自治体の皆様におかれましては、是非この調査に御協力を賜りますようお願いをいたしたいと思います。
本日は、群馬県、京都府、熊本県長洲町におかれましては、お忙しい中、当委員会の審議に御協力をいただきまして、誠にありがとうございました。
本日の議題は以上です。

≪4.閉会≫

○松本委員長 最後に事務局より、今後の予定について御説明をお願いいたします。

○原事務局長 どうも御協力ありがとうございました。
次回の委員会は、来週2月25日金曜日15時から行う予定です。議題としましては、地方消費者行政専門調査会において、現在とりまとめに向けた審議を進めているところですが、その審議状況について御報告をいただく予定しております。そのほか、健康食品の表示の検討についても進めておりますが、次回、事業者団体からのヒアリングをお願いしたいと思っております。
事務局からは以上です。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)