第45回 消費者委員会 議事録

日時

2011年1月28日(金)15:00~16:58

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 松本委員長、中村委員長代理、池田委員、川戸委員、佐野委員、
 下谷内委員、田島委員、日和佐委員、山口委員

【説明者】
 女子栄養大学栄養学部 山田和彦教授
 独立行政法人国民生活センター  相談部危害情報室  小坂氏
商品テスト部  宗林氏

【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.特定保健用食品の表示許可制度専門調査会の運営方針について
○出席者:女子栄養大学栄養学部 山田和彦教授
3.健康食品の表示の検討について
○説明者:独立行政法人国民生活センター 相談部危害情報室 小坂氏
商品テスト部 宗林氏
4.閉 会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:83KB)
【資料1】特定保健用食品の表示許可制度専門調査会関連資料
【資料2】「健康食品の表示の効果的な規制や適切な情報提供の仕組み」検討スケジュール(案)(PDF形式:22KB)
【資料3】「健康食品に関する相談事例」及び「「健康食品」製品の現状と表示の提案」(独立行政法人国民生活センター提出資料)
(資料3-1)「健康食品に関する相談事例」(PDF形式:51KB)
(資料3-2)「「健康食品」製品の現状と表示の提案
【参考資料1】家庭用品品質表示法(雑貨工業品品質表示規定)における浄水器に係る表示事項の見直し(告示改正)に係る答申関連資料
【参考資料2】 特定保健用食品の表示許可に係る答申書(PDF形式:96KB)
【参考資料3】 委員間打合せ概要(PDF形式:10KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、時間になりましたので、始めさせていただきたいと思います。
ただいまから、「消費者委員会(第45回)」を開催したいと思います。
それでは、議事進行を委員長、どうぞよろしくお願いいたします。

○松本委員長 本日は、蓮舫内閣府特命担当大臣に後ほどお越しいただく予定となっておりますので、おいでいただいた際にはごあいさつをいただきたいと考えております。
それでは、議題に入りたいと思います。

≪2.特定保健用食品の表示許可制度専門調査会の運営方針について≫

○松本委員長 初めに、「特定保健用食品の表示許可制度専門調査会の運営方針について」です。特定保健用食品の表示許可制度専門調査会につきましては、第44回消費者委員会において、設置することを決定したところです。
その構成員となる専門委員の方々につきましては、配付資料1-3にあります名簿の方々を、特定保健用食品の表示許可制度専門調査会設置・運営規程第2条第2項の規定により、この専門調査会の委員として指名いたします。なお、佐野委員、田島委員が、この専門調査会の担当委員として専門調査会の調査審議に参画いたします。
また、特定保健用食品の表示許可制度専門調査会設置・運営規程第2条第3項の規定によりまして、委員長が専門調査会の座長を指名することとなっておりますので、山田和彦委員にお願いしたいと思います。
本日は山田座長にお越しいただいておりますので、早速、一言ごあいさつをお願いいたします。

○女子栄養大学栄養学部山田教授 女子栄養大の山田でございます。
このたびは、かなり難しい専門部会の委員として指名を受けまして、少し緊張というか、難しいなと思っておりますけれども、長らく特定保健用食品の評価に携わった者といたしまして、健康食品の論点整理を踏まえ、微力ながらお手伝い、あるいは検討をしてまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○松本委員長 どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、特定保健用食品の表示許可制度専門調査会の運営方針について、議論を行いたいと思います。運営方針につきましては、事務局において案を作成しておりますので、まずは事務局より御説明をお願いいたします。

○原事務局長資料1-1をごらんください。「特定保健用食品の表示許可制度専門調査会の進め方について(案)」として御提示しております。

(「資料1-1」読み上げ)

御審議、よろしくお願いいたします。

○松本委員長 それでは、ただいまの運営方針案につきまして、御意見のある方は御発言をお願いいたします。
どうぞ、田島委員。

○田島委員 まず、座長を引き受けていただきまして、ありがとうございます。この問題は、ここの文案にも書かれておりますが、エコナ問題が発端で始まったものでございます。そのときにエコナの表示許可を取り消す手段がないということで、新たな科学的知見が出てきたときには取り消せるという話にはなっていますが、その「新たな知見」というものがいかなるものかというのが判然としないので、判然とするためにこの調査会が設けられたと私は認識しております。
そういうことで、この調査会で行うべきことは、表示許可制度に関することにある程度絞って、迅速に結論を出していただきたいと思っております。調査会の4人の委員の先生はいずれも高度な専門家でございます。言葉は悪いですけれども、結論が玉虫色になるようなものではなく、クリアカットな結論を是非出していただきたく期待しております。
以上でございます。

○松本委員長 ほかに御意見はございませんでしょうか。
特に御異論がございませんようでしたら、ここに記載されております運営方針に従って審議を進めていっていただきたいと思います。田島委員からも御希望がありましたように、できるだけクリアカットに、一番重要な(1)のマル1の部分をまずきちんと御審議いただいて、意見をまとめていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
どうもありがとうございました。

≪3.健康食品の表示の検討について≫

○松本委員長 続きまして、「健康食品の表示の検討について」です。健康食品の表示の検討につきましては、第43回消費者委員会におきまして、社団法人日本広告審査機構及び東京都からヒアリングを行ったところですが、検討の方法や今後のスケジュール等につきまして資料を用意しておりますので、改めて、事務局より説明をお願いいたします。

○原事務局長 消費者庁の健康食品を含めての検討会の報告というところで、消費者委員会に求められていた大きな2つのグループがあります。一つのグループが、今、御紹介いたしました特定保健用食品の表示許可制度にかかわるものでございます。もう一つが、資料2として用意しておりますけれども、「健康食品の表示の効果的な規制や適切な情報提供の仕組み」についても消費者委員会で検討をお願いしたいとなっておりました。
こちらについては、消費者委員会の場で検討を進めたいと考えておりまして、資料2をごらんになっていただくとおり、昨年12月24日に、関係者・関係機関ヒアリングというところから審議をスタートさせております。
「健康食品の表示に関する検討会」論点整理において、情報提供の仕組みを求められていまして、この中にも大きな項目があったのですけれども、その中から特に、「健康増進法・食品衛生法と景品表示法の連携による法執行力の強化」「消費者からの相談を受け付ける体制の整備」、ここに焦点を絞って審議を進めていきたいと考えております。12月24日に1回目の関係者・関係機関ヒアリングを行いましたが、本日、第2回目の関係者・関係機関ヒアリングということで、国民生活センターの相談部、商品テスト部の方にお越しいただいて、これからの審議をしたいと思っております。
その後、下段に書いておりますけれども、2月以降、事業者団体、有識者、関係行政機関のヒアリングを行い、その後、消費者委員会としての検討を重ね、今年の夏には意見表明を行う、こういう予定で進めていきたいと考えております。
御案内ということで、「案」としておりますけれども、委員会はこのような方向でやっていきましょうということになっております。
以上です。

○松本委員長 ありがとうございました。御説明のような方向で、順次、委員会本体におきまして審議を進めていきたいと思います。
本日は、独立行政法人国民生活センターにおいでいただいておりますので、健康食品の表示に関する相談・実態等について御説明をいただき、併せて議論を行いたいと思います。
それでは、国民生活センターより御説明をお願いいたします。

○国民生活センター商品テスト部宗林氏 今日は、こういう場に呼んでいただき、御説明する場をいただきまして、ありがとうございます。
国民生活センターでは主に各地の消費生活センターの相談の情報を集積し、その中から調査をしたり、追跡したり、テストをしたりということで、地方に情報を返す業務をしております。今日は、相談を中心にやっている小坂と、それを受けて、健康食品はいろいろな不満とか、契約上のものも含めて問い合わせが多いものですから、商品テストを重ねてやってきたものの中から、表示の提案を私の方からさせていただきたいと思います。
では、小坂から。

○国民生活センター相談部危害情報室小坂氏 よろしくお願いいたします。
(資料3-1参照)国民生活センターをはじめとして、全国の消費生活センターに寄せられた2009年度の相談総件数89万9,433件のうち、身体生命に何らかの危害が発生した件数が8,217件ありました。その上位10商品の1位が保健・福祉サービス、2位が食料品となっております。食料品の内訳を見ますと、第1位が健康食品、第2位が調理食品となっておりますが、この第1位というのは不動で1位を続けているところです。
過去5年間を見てみますと、過去5年間の食料品にかかる相談というのが17万288件あります。そのうち健康食品が7万9,019件で、46.4%ということになっております。契約当事者、年代別の件数は、60代、70代が非常に多くなっております。購入形態は、店舗購入が意外に少なく、通信販売、訪問販売、電話勧誘といったものが多い順になっております。購入金額件数では、50万円未満が20.4%。しかし、100万以上というものも3.3%見られます。
それでは、実際にどのようなことが体に起こったかといいますと、消化器障害が36.5%を占めております。そのような身体の不具合を申し出られた方は、70歳代、60歳代が多く、その両世代を足しますと47%になります。
具体的に健康食品に関する相談事例がどのようなものが寄せられているかについて、御紹介させていただきたいと思います。「マル1 製品の品質に問題があると思われる事例」「マル2 重い症状を発症した事例」「マル3 医薬品や他の健康食品との相互作用に関する事例」として、大まかに3つにくくっておりましたが、健康食品に関する相談というのはきれいにこのように分けられるものではなく、いろいろな要素が絡んでいるのではないかと現場で感じております。
まずマル1として、製品の品質に問題があると思われる事例ですが、「テレビショッピングで水を含むと膨らむという種子を製品化したものを購入した。回収していると聞いたが、安全性に問題がないか不安。輸入時のモニタリング検査で同種子の一部からアフラトキシンというカビ毒が検出されたため回収になっているようだ。ただし、当該販社の製品については検出されていないというものであった。しかし、当該商品を食べた後、下痢で通院したり、かび臭いにおいも気になっていたので、信頼できるところで検査をしてもらいたい。検出された場合は、補償も請求したい」。これは、後に保健所を通じて検査したところ、アフラトキシンが検出されたというものです。
マル2 重い症状を発症した事例。「中国製のダイエットサプリを飲んだところ、短期間に急激に痩せて体調に異常を来した。劇薬が含まれているおそれはないか」「母親が韓国で買った高麗人参の健康食品を3か月ほど飲んだ後、嘔吐が始まり入院した。原因がこの食品にないか調べてほしい」「認知症の母がSF商法で2社から大量のサプリメントを購入。食物を食べずにサプリを大量に体に入れてしまい、今も妄想状態」「妊婦によいという健康食品を飲んだら気分が悪くなり、飲む時間を変えてみたが吐いてしまった。何か悪い成分が入っていないか心配」「内臓疾患のある家族に、ホメオパシーの商品を買って飲ませていたら悪化し、死亡」「高校生の娘が週刊誌を見てダイエット食品を注文。その後、効果がなく返金を受けた。同じころから体調を崩している。因果関係は」「妻が利用しているヘルパーが生後4か月の子どもに健康食品を食べさせた。その後、湿疹ができ、舌がただれ、後遺症が心配である」。
ここで、子どもに関することをちょっとお話しさせていただきたいと思いますが、インターネットで子ども用健康食品、サプリメント等と検索いたしますと、非常にたくさんの商品が出てまいります。子ども用、キッズと表示されております。子どもでも利用できるとうたったものもあります。
独立行政法人国立健康・栄養研究所が実施した調査で、「幼稚園や保育所に通わせている保護者の15%が、ビタミンなど特定の成分を濃縮した健康食品のサプリメントを子どもに与えている」との報告があります。子どもとサプリメントの問題は指摘されているところでありまして、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2010年版)の278ページには、「耐用上限量については、乳児期及び小児期を通じて必要な根拠データがないことから設定されていない栄養素が多い。しかし、このことは、摂取量の上限を配慮しなくてもよいということではなく、特に栄養機能食品をはじめ、特定の栄養素が強化された食品の摂取や選択に当たっては成人以上に慎重であるべきと考える」とあります。
また、同じく国立健康・栄養研究所の「サプリメントと子どもの食事」というところには、子どものサプリメントの利用についてこのように述べられています。「サプリメントの普及に伴って子どもにもその利用の拡大が懸念されています。子どもにサプリメントを与える際には、大人よりも更にその安全性や有効性を十分に考慮し慎重に対応する必要があります」とあります。
しかし、栄養機能食品として売られているものの中にもキッズサプリメントというものが販売されております。また、「食事バランスガイド」のあの駒の絵を用いて、これだけ栄養素が必要なんだということを広告の中に使っている商品もあります。子ども用、キッズサプリ等と表示している根拠は何なのでしょうか。子どもに対する安全性というのは、いかがなものなのでしょうか。
表示例といたしまして、アメリカのメーカーのとある製品ですが、注意の表示例に、「鉄含有製品を誤って過剰に服用しますと、6歳未満の子どもの場合、致命的な中毒症状の原因になることがあります。本製品は子どもの手の届かないところに置いてください。過剰に服用してしまったときは、直ちに医師か中毒事故管理センターに連絡してください」とあります。今のは、アメリカのお子様用チュアプルというダイエタリーサプリメントの注意表示です。

○山口委員 済みません。せっかく御説明いただいていますけれども、どうもお持ちの資料と我々に配られている資料が違うようなので。

○国民生活センター相談部危害情報室小坂氏 口頭の部分と全部を配付資料にしておりませんで、申し訳ございません。
では、日本のメーカーの製品にはどのようなことが書いてあるかといいますと、「御注意」として、「お子様に奥歯が生えるまでは食べさせないでください。1歳半ころが目安です。また、お子様が召し上がる際にはそばを離れず、食べ終わるまで目を離さないでください」「お子様が小さく慣れないうちは、小さく割ってから食べさせてあげてください」等が書かれております。たくさんいろいろな例がありますけれども、一部だけ御紹介いたします。
次にマル3、医薬品や他の健康食品との相互作用に関する事例です。「漢方薬と健康食品で急性肝炎になり緊急入院した。薬剤師から副作用の説明もなく対応も悪く、慰謝料を請求したい」「テレビ広告を見て健康食品を購入し、一粒食べたところ、既に飲んでいる薬との関係か血圧が急上昇した。成分を調べてほしい」「病院の医師。糖尿病の患者が核酸を含む健康食品を飲んで血糖値が高くなっている。おかしな説明であり業者に何か言えないか」。
どうもありがとうございました。

○国民生活センター商品テスト部宗林氏 それでは、私の方から、これまでいろいろなことでテストをしてきたこともありますし、調査もしてまいりましたので、今日はその中からお話をしたいと思います。ただ、内容的には、消費者委員会の方で先ほど事務局長からお話があったものにぴたっと合うものばかりではなく、少し幅広でありますけれども、御容赦くださいませ。
それでは、製品の現状とこれからの表示の提案(資料3-2参照)、主に表示の部分ということで、4点。リスク表示(注意喚起表示)について、2番目は成分量表示、3番目は品質の確保とその表示、わかりやすい表示ということです。4番目に機能性表示の在り方ということで、表示を、最終的には消費者がわかる形に結びつけていくにはどうしたらいいかということで、お話させていただきたいと思います。
最初のページは、厚生労働省のホームページに載っているものから抜粋したものです。これは、製品自体がこれで回収とかいうことではなく、ある一定の方は注意が必要だというものを載せています。クロレラなどは大変前の事例でして、これはもう基準ができていますけれども、例えば平成19年のスギ花粉の問題でも、医薬品としてしか見られないような抗原とかスギ花粉を主体としたものについては、販売禁止ということもありますけれども、スギ花粉がわずかでも入っているものは、入っていることの表示をすることと注意をしましょうというようなことが出されています。
同じように、22年にはα-リポ酸について、特定の遺伝的な素因を持つ人に多いということですけれども、ある一定の危険である表示のことが書かれています。また、このα-リポ酸はよく知られていないのですが、実はネコ等小動物も、普通の錠剤で2粒くらい飲むと亡くなってしまうというのが結構多く、特別な消化酵素とかがない関係なのかもしれませんが、結構事例があります。
その他の注意喚起情報のところでは、よく御存じのセント・ジョーンズ・ワートということで、例えばたくさんの方が飲んでいらっしゃる抗血液凝固剤・ワーファリンとの飲み合わせの問題も出されています。
こういった注意喚起情報が厚生労働省からも出されています。次のページにまいりますと、そこまでではないのですけれども、いろいろなものを見ていきますと、例えばローヤルゼリーとか、一部プロポリスもそうかもしれませんが、国立健康・栄養研究所の方でもアナフィラキシーの症例が10例程度載っております。「各種アレルギー反応が起こる可能性があり、喘息、アトピーの患者に対しては使用すべきではない」と書かれております。こういったものについては、下に書きましたような、「飲用に際しましては原材料を確認の上、喘息及び食物アレルギーなどの人は避ける」ということで、アレルギーの方への注意表示をすることが必要なのではないかと思います。
この注意表示は、ローヤルゼリーなどをやっている公正取引協議会の方で、こういう表示をした方がいいのではないかということで始まっている表示でございますので、これを徹底していくことが大切ではないかと思っています。(※なお、社団法人全国ローヤルゼリー公正取引協議会は、「ローヤルゼリーのアレルギー警告表示に関する自主基準」を平成20年4月1日付で作成済です。)
クロレラに関しましては、これもよく知られていることではありますけれども、ビタミンKがたくさん入っているので、先ほどの抗血液凝固剤、これはたくさんの方が飲んでいらっしゃるので、それとの飲み合わせ。納豆などもそうですけれども、クロレラに関してはそういう注意表示があってもいいのではないかと思います。
先ほどスギ花粉の問題が出ましたけれども、花粉食品というものが結構あります。今日お話しするのはいわゆる健康食品のところなので、カプセル・錠剤になっているものを頭に描きながら、健康食品にかぎ括弧がついているものをお話ししておりますけれども、その中には花粉エキス、花粉加工粉末というようなものがあります。こういったものについては、スギ花粉でなければ大丈夫なのかどうか、喘息やアトピーのある方がどうなのかというところの、メーカー側の何か発信があってもいいのではないかということでお持ちいたしました。
次のページにまいりまして、個人輸入の問題ではありますけれども、相談内容としましては、国内のよく皆さんが使われている通信販売のカタログに別冊のカタログが同封されていて、そのうちの一冊が結果的には個人輸入のものだったということですけれども、この方は自覚がなくて、普通にほかのものを買うのと同じ感覚で別冊で申し込んでしまった。これを4日間飲んで、動悸・発汗、気分が悪くなったという事例がございました。これは食欲抑制剤で、2008年の段階では、アメリカ等でも広く承認があった食欲抑制剤シブトラミンという関連物質が検出されました。その当時海外で医薬品承認されていたのですが、その後、海外でも、循環器系のリスクがあるということで、現在、回収とか、製造が止められている状態になっているものです。
国内では、これを個人輸入で買われる例が後を絶たないという状態です。日本でも一応承認申請が出ましたが、承認されないで、申請が取り下げになり、日本では医薬品としての承認はないものでございます。
問題は、個人輸入であることの自覚がなかったことです。個人輸入は自分の自己責任になりますから、こういったものが広告とか通信販売のカタログの中で明記されること。個人輸入を禁止することもなかなか難しいので、そういった個人輸入表示が必ず必要なのではないかというふうに感じます。
そんなことを含めまして、リスク表示の充実ということで、商品が、法律上何か措置をしなくてはいけないというものでなくても、例えば1番のように多数の症例があって、特定の人に対しては注意が必要だというものについての注意表示、次に医薬品との飲み合わせの注意表示。それから、摂取上の注意が必要なもの。例えば糖アルコールが入っていれば、たくさん飲めばお腹がゆるくなりますと特保の方では書いていますけれども、そういった表示。あるいは、妊婦、授乳期、小児、高齢者などに対して特に注意が必要なものであれば、そういう表示。そして最後に、個人輸入で買うものについては、当然、医薬品成分も入ってくるものもあるわけですので、そういったものがきちんと広告で明記されるということで、この4点を「リスク表示の充実」ということでまとめて御提案させていただきます。
次に、ここから先は2番目の成分表示についてということで御説明をします。成分表示につきましては、一番上に書いてあるものは、皆さん御存じの医薬品と保健機能商品ということで区分があり、いわゆる健康食品の、私が頭に描いているタブレットとか錠剤系のものが食品の中の健康食品に該当するものであります。食品ですが、薬事法には食薬区分というものがあり、「医薬品の範囲に関する基準」というのがございます。この中では、「もっぱら医薬品として使用される成分本質」、これはもっぱら医薬品にしか使ってはいけませんというものもあるわけですけれども、その一方で、「医薬品的効能効果を標榜(ひょうぼう)しない限り医薬品として判断しない成分本質」というものもあります。このものの中に、かなりたくさんの生薬ですとかいろいろなものが入ってくるわけです。簡単に言いますと、医薬品にも使えるけれども、食品でも効能効果を標榜(ひょうぼう)しなければ使えるというグループになるわけです。
この部分につきましては、厚生労働省の方ではこの部分について、身体作用のある成分を含んでいる可能性が高いことから、安全性のデータとかそういったものを事業者でそれをきちんと担保し、科学的根拠を整えて、安全上、医薬品量より超えないように1日摂取目安量を設定しなさいという指針が出ているわけです。こういった身体作用があるものについての問題ということで、幾つかお話をしたいと思います。
その次に、薬事法における食薬区分のアロエとコンドロイチン硫酸の例でお話しますが、これは両方とも、医薬品的効能効果を標榜(ひょうぼう)しない限り医薬品として判断しない成分本質の中にも入ってくるものです。
例えばアロエの場合ですと、アロエベラという種類は比較的大きなもので、内側の白いところは、ヨーグルトの中に入っているような白い果肉で、中身は食品として使えます。ところが、葉の緑の液汁はもっぱら医薬品としてしか使えないという区分になっております。一方、キダチアロエというのは、庭の鉢植えにもあるような小さいものですが、これは全草、もっぱら医薬品でなくても効能効果を標榜(ひょうぼう)しない限り食品でも使えるものです。
ただ、両方ともバルバロインという下剤成分が入っていることには変わりがないのです。食薬区分上、こういうふうになっているということです。
もう一つ、下段ですけれども、コンドロイチン硫酸というものの成分本質も同じような仕組みになっています。コンドロイチン硫酸というのは関節痛に結構いいというふうに、新聞広告などでもうたわれているものです。それについても、もっぱら医薬品と扱われるものとそうでないものとで、かなり近い成分になっているということで、医薬品にも入っていますけれども、「健康食品」の中にもかなり使われています。
さて、その表示はどうなっているのかというのが、次のページです。例えば、ある程度身体作用が明らかな成分ということになってくるわけですけれども、キダチアロエを「健康食品」の場合は使っています。そして、例えば錠剤と飲料と両方のタイプ、これは最新の情報というわけではなく、公表したときのものでございますが、キダチアロエ粉末の量の表示があったり、キダチアロエエキスの表示があったり、あるいは表示がなかったり、飲料の方は表示がないものがほとんどでございます。
キダチアロエの粉末というものがありましても、例えば医薬品の方は、キダチアロエの局方があって、それに例えばバルバロインは何%以上入っていなくてはいけないと決まっていて、規格基準があるキダチアロエを使うことになっています。ここに書いてあるキダチアロエは、植物の名前としてキダチアロエの粉末を扱っている「健康食品」ですという表示だろうと思いますが、こういう感じの表示になっております。下に表示例が示してございます。
コンドロイチン硫酸の方も、「健康食品」の18銘柄を調べて分類したものを載せましたけれども、コンドロイチンと書いてあるものもありますが、コンドロイチン硫酸を含むサメ軟骨抽出物の量というようなことで、成分というよりも、それを含むエキス表示のものが大変多いということになっています。例えばムコ多糖類とか、サメヒレ抽出物というような表示になっておりまして、どちらにも使われる成分であるにもかかわらず、現状ではそれを含んだエキス表示ということで、その中に身体作用のあるものがどれだけ入っているのかの表示は、なかなかされていないという現状がございます。
次のページは、では、結果どうなのかということで、アロエについてでございます。これは2005年のものですけれども、17銘柄が「健康食品」、うち12~17番が飲料、18番、19番が医薬品でございます。見た目はかなり近いパッケージに入っております。「生理作用を及ぼす可能性がある量」ということで、バルバロインの量として線を引いておりますけれども、これは医薬品の方で原料に基準があり、この成分をこれ以上含んでいるもの、これぐらい処方したもの以上が医薬品であるという規定がありますので、それで言いますと、ここから先を処方すると生理作用がある量としてみなせるという考え方ができるわけです。
そうして見てみますと、医薬品と比べてどうかという観点で言えば、飲料の方は、医薬品とほぼ同じぐらいの量を含むバルバロイン(下剤成分)を含むものが幾つかあることもわかります。また、先ほどのような表示で、実際の成分量はわからないわけですけれども、測ってみますと、ほとんどないものからかなり多いものまで入っている。実際の結果はかなり差があることがおわかりだと思いますけれども、それが先ほどのような表示の内容ではわからないのではないかということで、データと突き合わせていただければというふうに思います。
もう1枚おめくりいただきまして、コンドロイチンの方です。ちょっと紹介しましたので、前の表は割愛させていただきますが、どちらも関節痛、神経痛の症状緩和のために医薬品に使用されたり、そういう働きがあるといって「健康食品」にも入れられている成分です。分析方法については、今、公定法というものがなくて、いろいろな方法が出ていて、財団が出している、ざくっと総量をつかまえる方法ともう少し厳密な方法とあって、今、それを業界団体があれこれと検討していただいている最中でございます。方法もきちっとは決まっていない状態で、もう1枚おめくりいただきますと、結果になります。
1~18番までが、いわゆる健康食品の錠剤タブレットのものでございまして、19~22番までの4銘柄が医薬品でございます。幾つかのことをここで見ていただきたいのですが、分析法が2種類あって、公定法がないですというお話を差し上げたのですが、緑とピンク色の両方の方法で測っているもので、「健康食品」の方はかなり差があるということでございます。○○エキスということで配合されていますので、成分で見ていきますと、方法によって随分差が出てくるというのが1点でございます。それに比べて医薬品は、どういう方法で測ってもかなり近い値ということになります。
量的に見た場合ですけれども、医薬品に匹敵する量が入っているものもあれば、ほとんどないものもあるということの差も、先ほどのアロエと同じような傾向が見られます。
もう1点、星印をつけてございますが、これが、何とかエキスも含めてですが、消費者がパッと見たときに数値として表示に載っている量でございます。赤いスターマークはコンドロイチン硫酸量として表示されていたもの。黒いスターはそれを含む原材料ということで、サメ軟骨抽出物とか、そういう表示がされていたものがプロットされております。今はこの表示を目安にするしかすべがないのですが、それと実際の分析値との間に、すごく大きな差があるということになるのではないかと思います。
さて、その次のページです。これまでの2つは、例えば身体作用という意味では医薬品でも使われるような成分。逆に多過ぎた場合の安全性の問題も含めて、きちんとした成分量を見ていかなくてはいけないのですが、もう一つ、成分量が必要なものとして、消費者が期待する成分というものがあるだろうと思います。事業者側も、宣伝の中に「これが摂れる」とうたっているものがありまして、別にヒアルロン酸だけではないのですが、わかりやすい例としてヒアルロン酸とかコラーゲンとか、これらの成分はその食品を特徴づけるものでもあり、それを期待する成分になりますので、これについても表示をしていくことが大切なのではないかと思っております。
実際に表示を見ますと、A社からF社まで並べてございます。例えばA社の場合、ヒアルロン酸含有鶏冠抽出物という、鶏冠(鶏のとさか)から取った抽出物という表示があるだけで、実際の表示は、どれだけ入っているかというものは全くない。それから、C社、D社のように、低分子とか、そういうことも書いて表示しているものもあります。ヒアルロン酸と一口に言いましても、低分子から高分子のものまであって、例えば医薬品として注射を膝に打つようなもののヒアルロン酸は、非常に高分子のものであります。一方、経口で食べるということになると、ある程度低分子でないと吸収されないということも言われていますが、低分子ヒアルロン酸という表現が見られるものもあります。
製造方法も、ここで見てわかりますように、鶏のとさかから抽出してつくっていくような原反メーカーと、生合成をしてかなり精製度の高いヒアルロン酸の原反を持っていて、それを使っているところと、二手に分かれるということがあります。ヒアルロン酸と一言で言いましても、いろいろな要素を含んで表示もいろいろなふうになっているということでございます。
「健康食品」の表示は、消費者が店頭に行ったときに、パッケージを見て隣の商品と何が違うのか。数字とか、いろんなところで何がどう違うのかがわかるという観点からは、私は、ヒアルロン酸については現状で科学的エビデンスがしっかりとあるというものではないと理解していますけれども、消費者が期待してこれを買いに行くんだというようなものについては、当然、企業側の説明責任の範囲として、目的としている成分については成分表示が必要なのではないかということで持ってまいりました。
成分の最後のページですけれども、「新しい動き」ということで御紹介したいと思います。この1月21日に、赤ブドウ葉乾燥エキス混合物を有効成分とする一般用医薬品が承認されました。これはもともと医療用で使っていたわけではなく、ダイレクトOTCということで、直接一般用の医薬品として承認が取れたということです。ですから、赤ブドウ葉乾燥エキス混合物としてこれこれこういうものが入っていて、成分も併記される方向で表示がなされると思いますけれども、こういうようなものが出てまいりました。
これは、ドイツの「Commission E」という医薬品のハーブ類を扱っているカテゴリーがありますが、これらは、原材料に成分の規格があり、製造方法の抽出過程なども方法に規定があり、できたエキスとして治験をとって医薬品の承認を取るという、そういった中に入っているものであります。ですから、ここの部分は言いかえますと、今後、こういったものが医薬品でとれるようになってきましたので、関与成分、機能性があるものについては、こういうものもあることのご紹介にお持ちしました。
今、「健康食品」の方は、同じ赤ブドウ葉乾燥エキスが配合されたものが幾つも出ておりますけれども、今のところは、アバウトなポリフェノール類とか、そういう何とかエキスという形での表現にとどまっております。こういうふうに現状では新しい医薬品と「健康食品」では非常に差がありますけれども、もしかすると、きっちりと機能性という観点での表示を目指すこともできるのかもしれません。
次に、品質関係のところで幾つか御紹介したいと思います。一つは、品質管理が悪くロット間にばらつきがあるという事例がありましたので、お持ちしました。これはヒアルロン酸が主成分の健康食品で、色が変わったり、香りが変わったり、見た目でも大きな差があるので、本当に違いがないのかどうかということで依頼が寄せられまして、調べたということでございます。
確かに見てみると色みも違うということで、測ってみますと、商品1と2というものではヒアルロン酸量もかなり違いがあります。ついでにビタミンなども書いてありましたので、ビタミンも調べてみましたけれども、ビタミンについてもかなり大きな差がある。同じ銘柄名で出てきているものですけれども、ロット間の違いがこんなにあるものもあるんだなということがわかりました。
次をおめくりいただきますと、錠剤・カプセルが非常に多くなっておりますので、この崩壊性、錠剤やカプセルが簡単に溶けるかということでありますが、医薬品の方は崩壊性試験というのは必ず実施しております。必ずしも医薬品と同じにするべきという観点ではありませんが、同じ錠剤・カプセルを使っているものであったら、胃の中で同じように速やかに溶けるかどうかという観点で、これまで情報提供を私どもはしてきました。崩壊試験の結果が書いてありますように、コンドロイチンでは50%が崩壊しなかったとか、幾つかのものではそれぞれ崩壊しなかったものが見られたという結果がございます。
次のページにまいります。ちょっと印刷がずれている部分がありますけれども、「健康食品」のアミノ酸サプリメントを買ったら、錠剤の表面に黄色い粉状のものが付着していた。これが何なのか調べたということであります。この図を見ていただくとわかりますように、菌糸と胞子があるということで、真菌類。酵母なのかカビなのかというところは、厳密にどの菌種でということまではやっておりませんけれども、異物はそういったものであったという結果でございました。ただ、完全に密封されていましたので、これは製造段階で何らかの形で混入したものだろうと思います。ちなみに、これはネットオークションで大量に買い込んだ人の相談でありました。
その次のページをおめくりいただきますと、不適切な原材料表示ということです。原材料表示もいろいろな形で複数のものが表示されていて、例えば先ほどのコンドロイチンですと、サメ由来ということでイラストもこんなふうに書いていますし、表示例も、いかにもサメというような感じです。そのうち16銘柄、サメという表示があったものの中に、サメではなく陸生の哺乳動物も混じっているだろうと思われるものが6銘柄ございました。これはここで議論するよりも、もしかしたらJAS法の原材料表示ということで、ちゃんとしていかなくてはいけないだろうと思います。ずっと製造メーカーから加工・流通、そして原料と追いかけていきますと、原料が中国であって、そこにはサメのマークの証明書があったようですが、何段階も経て、中間の流通業者が多数入っていて、結局、どこでどうなったのかわからないというような感じがありました。
19ページにまいりますと、品質の確保とその表示ということで、ロット間のばらつきとか保存による劣化。天然物の場合ですと、関与成分で、例えばケルセチンであるとか、生薬に入っているようなハーブ類なども、意外に、例えば光によって量が減ったりということもあります。そういうものについての製品管理も必要だろうと思いますし、原材料表示等の関係で言えば、輸入された原料と最終製品の間で、かなりいろいろな人が入っているということがこれまでの調査の中で感じられましたので、トレーサビリティーというところまではなかなか求められないかもしれませんが、なるべく情報伝達をしていただけるようにということを、事業者の方たちにはお願いしたいということでお持ちしました。
消費者から見た場合は、こういったものが玉石混淆である中で、第三者認証というのはどちらかというと安全性評価、安全性の認証でありまして、GMPは製造工程のものです。こういったものも踏まえて、消費者が見たときに、これは一定のルール、一定のフィルターがかかって大丈夫だろう、ということがわかるマークのようなものがあるとありがたいのではないかと思います。その場合、マークがついていれば何でもオーケーではなく、どの範囲までちゃんと保証しているマークなのかがわからないと、いろいろなマークがいっぱいついていて、どれを見たらいいかわからないというのも困ることなのですが、そういうようなことも考えても良いのではと考えます。
最後に、機能性表示という観点でお話をしたいと思います。まず、薬事法に抵触する広告ということで、これは公表したものの中からお持ちしましたが、いわゆる疾病名が書いてあって、疾病を治療するとか、予防するとか、そういう言葉が入ってくると薬事法に抵触してきます。あるいは、具体的な症状があって、それを治すとか軽減するというようなことが入ってくると、これも薬事法に抵触する表示、広告になってきます。そういうものはこの例でも見られたということでございます。
21ページは、消費者庁の中で健康食品の検討会の中でも出させていただいた資料でございます。1番は、医薬品的な効能効果の標榜に該当するおそれのある広告ということで、例えば細胞賦活作用とか、免疫強化とか、そういうことが書いてあるものが結構見られるということの事例の御紹介です。
2番目は、健康増進法の虚偽・誇大広告ということで、景品表示法もそうですけれども、これだけの期間にこれだけのカロリーを絶対こういうふうにと、断定的に書いているものについては、こういう法律に抵触するおそれがあるのではないかと思います。こう書かれますと、消費者側は大丈夫かしらと思うかもしれませんし、「個人による感想です」とか、「個人による差があります」というのも小さく入っているかもしれませんけれども、こういう結構断定的な表示は極めて問題ではないかということで、広告例としてお持ちしました。
最後、22ページになりますけれども、誤認をまねくおそれのある広告例ということで、これは特に法律上は問題がない表示です。よく見かけて、ああ、なるほどというふうに思うけれども、そこをどうとらえるかということで、消費者側のとらえ方も含めて注意をしなくてはいけないということであるかと思います。よくあるのは、加齢によって体の中からこういう成分が減ります、だからこれを摂ればいいのではないかというもので、カーブを描きながら、年齢を過ぎるといろいろなものが減ってきて、私もひしひし感じるのですが、関節が痛かったりとかあります。そこでこういうことを書かれますと、買ってみようかなと思うような広告がたくさんございます。
こういったものも、メーカーに、これはどういう根拠でこうなのですかと聞くとか、事業者に消費者が電話をして「これは何ですか」と聞いたときに説明できる、お答えいただけることが必要なのではないかと思いますので、特に法律違反ではありませんが、お持ちしました。
機能性表示の在り方ということでは、一つは、薬事法、景品表示法、健康増進法で問題になる表示については、それぞれの担当部局がしっかり監視して、そういうものを排除して、消費者の目に届かないということをしっかりやっていただきたいと思いますし、誤解を招く表示については、指導もしていっていただきたいと思います。例えば感想とかそういうものについて、どこまで法律に触れない範囲なのか、もし法律に抵触しなくても、もし表示をしたのであれば、事業者側は広告の説明責任はあるのではないかと思います。
もう一方、機能性のある成分は、医薬品にも使える成分や食薬区分の問題もそうでしょうが、消費者庁での検討もこれから開始するというふうにお聞きしておりますけれども、先ほど御紹介した赤ブドウ葉エキスといったものも医薬品として出てきています。こういったものがもし本当に機能性を持っているものであれば、機能性表示を認める仕組みづくりもどこかであって、本当に機能性があるものと、ないものと、ないものは排除されるという、消費者にとってわかりやすい整理をされることが必要ではないかと考えております。
最後、まとめです。摂取上のリスク表示もありますので、リスク表示については充実してもらいたいと思いますし、それだけではなく、消費者が期待して買っているものが結構多いので、そういったものについての含有量表示、成分表示のお願いをしたいと思います。品質確保、安全性については、わかりやすいマークなどで消費者にとってわかりやすいものにしていただきたい。そして、法律に抵触したり誤解を招くような機能性表示の監視の徹底と、新たに機能性成分があるのであれば、その表示の仕組みづくりも必要であろうと思います。
そして、今まで全然お話ししてきませんでしたけれども、情報提供の推進が課題として掲げられております。これまで、アドバイザリースタッフとか薬剤師ということもありましたけれども、加えて医師・医療関係者の理解と、医薬品との関係で、セルフメディケーションの中で本当に使えるものかどうかという観点では、こういったところの協力も得て情報提供の推進をしていくべきではないかと思います。
健康被害や品質情報の収集と速やかに注意喚起ということは、私ども国民生活センターも含めまして、なるべく早急に情報収集、情報提供両者とも推進させていくべきものだと思っております。
長くなりましたけれども、以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
安全性、品質、機能性の3点を中心に、さまざまな角度から御報告をいただいたと思います。
それでは、ただいまのお二方の御説明につきまして、どうぞ、御意見、御質問がございましたら、お出しください。
佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 どうもありがとうございました。
宗林さんにお聞きしたいのですけれども、品質の問題で、15~17ページといろいろな商品テストをされていらっしゃいます。この結果はひどいなというものが多いのですけれども、これはどのような形で消費者に情報提供をしているのか。最後のところに「速やかに注意喚起」とありますけれども、私たちは、商品名をきちんと公表していただくのが一番わかりやすいのですが、それをどういうふうな形でされているのかということが1点。
それから、第三者認証についてですが、いろいろある中で何とかしようといって出てきたのが特保だと思うのです。更に第三者認証というと、一つの機関ではないので、いろんなマークが出てきて、消費者にとって余計わかりにくくなるのではないかと思うので、その点をお聞きしたい。
アドバイザリースタッフによる情報提供の推進とありますけれども、何を情報提供してくださるのか。例えば医師でしたら、私の健康状態がわかっているので、この健康食品を食べたいとか質問もできますけれども、アドバイザリースタッフですと、何もわからない中で何を消費者に情報提供できるのか、教えていただきたい。
もう一つ、広告のことですけれども、最近、有名な方々の広告が非常に多い。前回、ここでヒアリングをしたときに、例えば有名な方が出てきたときには、変な言い方ですが、これはお金をいただいていますと。その本人が本当に摂っているのではなく、広告であるということを消費者にわからせるような形があってもいいのではないか、というようなお話をいただいたのですけれども、それについてどうお考えか、教えてください。

○国民生活センター商品テスト部宗林氏 まず1点目の、公表、情報の発信のことですけれども、ここでお見せしているものは、多くのものは事業者名を全部つけて、個別データもつけて公表しています。情報発信して、ホームページでも見られますし、記者公表もしていますので、私の飲んでいるのはどれかしら、幾つ入っているかしら、というふうにわかるような形で公表しているものです。
ただ、例えば地方で消費者がいらして、相談で上がってきたものは、それに対して報告書を書き、地方の消費生活センターを通してお返しするということで、その報告書をもとにあっせんしていただいてます。ですから、メーカーさんとの間でその報告書をもとに交渉していただき、うまくいかない場合は、弁護士が入ったりいろいろな展開になる場合もあります。また、それが、例えば法律上、問題だという場合は、所管省庁に情報提供という形で出していますけれども、個々の事例そのものは、相談が全部終了するまでは差し支えがあるので、概要だけの公表になっています。
消費生活センターの方では、事業者を呼んで相談解決のためのいろいろな交渉をされています。今回の2つ事例を持ってきたうちのヒアルロン酸のものは、メーカーも呼びまして、いろんな原因を突き止めてある程度改善するというところまで来ています。
ちょっとお答えになっていないかもしれませんけれども、いわゆる2つのテストがあって、情報を発信しているものは、事業者名も個別のデータを含めてすべて公表している。例えば今日は、グラフで1番から何番までと書いています。ここにはお持ちしていませんけれども、別のページに事業者名も銘柄も全部載っている形で、公表しているということであります。

○佐野委員 例えば苦情・相談が解決した後、こういうものがあったというのは情報提供されますか。

○国民生活センター商品テスト部宗林氏 事業者名は載らないのですけれども、依頼のあったセンターさんに結果をお返しした時点で、概要こういうものがありましたというのは、記者会見のときも配布していますし、ホームページにも載っています。それとは別に消費生活センター同士は全部が見られる形になっています。ですから、ほかの相談者が同じようなことがあったときには、そのものを活用できる仕組みは持っておりますが、一つ一つの個人情報が入っている内容も含めて、経過や詳細報告書は公表していないということです。

○佐野委員 私たちは別にその個人がどうだとか、どこに住んでいるなどの個人情報は、別に知りたくはないのですけれども、例えば苦情があって実際に製品に問題があったとき、やはりその製品を私たちは買いたくないですね。そうしたら、製品名が出ていないと何の対応もできない。相談員の方たちが共有情報をお持ちなのは、すごくよくわかりますけれども、結局、私たちが被害に遭わないとそれが伝わらないのでは、ちょっと残念だなという気がします。

○国民生活センター商品テスト部宗林氏 そういう意味で言えば、2件目が入ってきた場合は、商品群として情報提供の方に速やかに移行するというシステムを持っています。1件だけのテストの場合は今のような処理ですけれども、そこからもう1件、それからPIO-NETの中に数件あるという場合は、直ちに公表するところのテストに持っていって公表して、たくさんの方に一遍に情報が渡るようにという努力はしていますが、佐野先生がおっしゃるように、1件1件のものが全部公表されていないので、今後検討させていただきます。
第三者認証でございますけれども、私はつくっている側ではないのですが、第三者認証は安全性の認証ですね。ですから、安全性の一定のフローチャートみたいなものがありまして、原材料から製造工程、最終製品で、例えば原材料が有害なものが入っていないかとか、文献調査をしたりというステップを踏んでやるものですけれども。

○松本委員長 ちょっと混乱されていると思うのですが、特保の認証は機能と安全性も少し入っていると思いますが、それをきちんとチェックすると。

○日和佐委員 安全性がちゃんと入っています。

○松本委員長 ただ、医薬品レベルではないという意味で。ですから、ちょっと話が別の問題。

○佐野委員 ちょっと違うのですけれども、いろいろなものがある中で、差別化をしようということで特保ができたと思うのです。

○松本委員長 今、宗林さんのおっしゃっている第三者認証は機能性の認証ではないので、第二特保ではないということです。

○佐野委員 それはわかりますが、更にまたマークがいろいろ増えるのではないかと思います。消費者にとっては、そうでなくてもいろいろなマークがあって、例えばこれを認証するとしたら、多分1機関ではなく、いろいろな機関ができるようになると思います。そこでまたそれぞれの機関が違うマークをつけるのであれば、更に消費者が混乱するので、どうお思いですかという質問をしたわけです。

○松本委員長 マーク一般の話ですね。

○佐野委員 はい。

○国民生活センター商品テスト部宗林氏 今回の第三者認証の問題は、特保以外のいわゆる健康食品の部分で、全くこれまでなかったものの最低限の安全性についてチェックされたものについては何か目安にしましょうというものなので、特保とは重複したり混乱したりというものではないと思います。

○佐野委員 そういう意味ではないのです。いえ、いいです。

○国民生活センター商品テスト部宗林氏 ですから、何もなかったものよりは、乱立してマークが付せられることになるとまたわかりにくいのですが、1か所がある程度集約して、健康食品について一定の安全性なり、GMPなりにフィルターがかかったものについてはある程度わかった方が、何もないよりはいいのではないかということで、私の方ではそういうふうに御提案させていただいたわけです。
それから、アドバイザリースタッフですけれども、もともとは保健機能食品を説明するということで発足したものです。保健機能食品にはこういうものがあって、ある一定の科学的エビデンスに基づいて御説明できるということから端を発して制度が出たものだと思います。そういう意味では特保の説明にはよくわかる説明だと思うのですが、いわゆる健康食品になりますと、今、私が御紹介したように、私が見ても隣の商品とこっちの商品が何が何だかわからないような表示だと、商品自体、どちらがいいですかと聞かれた場合に、アドバイザリースタッフさんがやれることというのはなかなか少ないかもしれません。ですから、今の段階では、厚労省なり消費者庁なりこちらなりが出されている情報を一応わかった上で、それについての背景とか、そういう説明をするところまでで、製品の方の表示とか、いろんなものとセットになって進展していかないとなかなか説明をするのは難しいのではないかと思います。
アドバイザリースタッフは一つの名称ですけれども、いろんな機関が認証していて、いろんな方がいろんなふうに、ばらばらという問題も一方でございます。ですから、役回りをもう少し明確にして、こういうことをやる人、こういう教育をして、何をアドバイスをしてもらうということが決まれば、もう少しわかりやすいかもしれません。私たちがアンケートをとったときも、アドバイザリースタッフとか、薬剤師さんとか、どんなところに配置されているかというと、販売店の中で一般の販売員と識別されている状況は全くなかったです。
最後の有名人の広告ですけれども、私見として、何か対応していただけるのであれば、していただきたいとは思いますが、それだけを取り出していいのか。あるいは、例えばテレビコマーシャルもございますので、個人の感想ですとか、いろいろなものを含めて、もう少し包括的にコマーシャルの在り方の中で考えていけるすべがあるなら私は歓迎しますが、具体的にここにこの注釈をつければいいというふうなことについては本日は意見を持ち合わせていないので、申し訳ございません。

○佐野委員 ありがとうございました。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 医薬品との相互作用のことをお二人に聞きたいのですが、御報告のあった被害を見ると、これは非常に重篤(じゅうとく)ですね。これは非常に危険な話なので、今、薬学会でも関心を持たれているようですけれども、多分こういうのは、被害が出て病院に行って初めて、薬をあげているお医者さんが、ほかに何か食べていないかというので健康食品に思い当たるのだと思いますが、薬と健康食品との相互作用に関する研究、あるいは情報収集をしているところがあるのかどうか。
これは、健康食品側を売り出す人が事前にそういう情報を集めて研究して、自分のところのものをもし食べたら、糖尿病の薬を飲んでいる人はこんなことになって危ないよとか、医者とか薬剤師、そういう人の意見も聞いて、事前に警告表示をしておかなければいけない話だと思います。今、健康食品をつくっている会社や販売する会社にそういうことをチェックしている体制があるのかどうか。その辺、併せてお聞きしたいのですが。

○国民生活センター相談部危害情報室小坂氏 資料といたしましては、厚生労働省、日本医師会、独立行政法人国立健康・栄養研究所が昨年の2月に、「健康食品による健康被害の未然防止と拡大防止に向けて」というものをつくられたのですけれども、これはインターネット上でダウンロードできます。この中に、健康食品に添加されている成分と医薬品の相互作用が想定されている主な事例ということで、表が出ております。ですから、見ようと思って見ていけば見ることはできますが、簡単に消費者がわかるものではないのではないかと思います。
それから、国立健康・栄養研究所のホームページの中には、素材別にそれぞれ相互作用がどうであるとかいうものは出てきますけれども、例えばビタミンCだったらば、どういったものとの相互作用があるのかなといって、自分でそこに見に行かないとわからないです。つくられている方がそれをすべて見られているのかというのは、確認はとれておりません。

○国民生活センター商品テスト部宗林氏 あと、アドバイザリースタッフを養成している大きなところは、ポケットブックみたいなものがありまして、そのものを引くと、飲み合わせの薬が一覧表になって載っているようなものをつくっているところもありますので、情報は、知っている人はかなり知っていますけれども、今、先生がおっしゃったように、それが周知徹底されたり、どこかを見ればまとまっているとか、そういうものがないので、一般消費者のところに届くという意味では、まだまだ情報発信という意味では弱いということだと思います。ある程度わかっているものの蓄積はかなりあると思います。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 健康食品の実態についてとても貴重なデータをお話しいただいて、よくわかったのですけれども、その中で、ルールがないがゆえにこういう状態になっている分野と、ルールはあるけれども、それが守られていないがためにこのような状況になっているというのと、両方あるのではないかと思います。今、お話を伺った限りですべてをチェックできないのですけれども、一つ伺いたいのは、栄養機能食品にキッズ用もあるというお話がありました。厚労省はそういう注意をしているけれども、栄養機能食品の分野でそのような規制的なルールがあるのか、ないのかということが一つ。
それから、宗林さんの資料の9ページですけれども、飲料は、最大目安摂取量が最小服薬量を超えていますね。これは、医薬品で使われる量を超えてはいけないというルールに違反しているのか、どうなのかというのを伺いたい。
もう一つ、11ページは星印が表示で、実態を調べると、そこまで成分が入っていなかったということですね。これというのは表示違反なのかどうなのか。表示のルールに違反をしている実態がこんなにありますということなのか、そういうルールはないのか。要するに、ルールがないがゆえにおかしな状態が生まれているのか、ルールがあるんだけれども、守られていないがゆえにこういうおかしな状態になってきているのか、そこを知りたいのですけれども。

○国民生活センター相談部危害情報室小坂氏 栄養機能食品は、ミネラル5種類、ビタミン12種類において書くわけですけれども、どれについてそれを強化しているということを栄養機能食品として後ろに書いていればいいわけです。例えば1つの例ですけれども、「3歳から育ち盛りのお子様へ・栄養機能食品(ビタミンB1・ビタミンB2・ビタミンB6・ナイアシン等々)」というふうに書かれておりますので、特にないと思います。栄養機能食品の中にはありません。
もう一つ、先ほど御紹介しようと思って抜けたところがあります。大人の方は60キロを目安にして商品をつくっているので、お子様の場合は体重で換算してくださいということで、体重30キロのお子様の場合は目安量の2分の1程度差し上げてください、というふうに書かれているメーカーもありますけれども、そのように簡単に割ったのでよろしいのかなと思うメーカーもあります。これも当然、何ら規格、ルールはありません。

○国民生活センター商品テスト部宗林氏 今日、持ってきた資料も、大部分がいわゆる食品ではありますけれども、機能性を持っている、あるいは機能性を持っているとして購入することによる問題点だと思います、すべて。そこは特別な何のルールもないわけなので、そういう意味ではルールがない中だと思います。要するに機能性の成分に関して何か特別なルールがあるわけでもないですし、その表記方法についても何もルールがないということだと思います。しかし、機能性を持ったから、それを目指して買っているわけなので、そこでいろいろ問題が出ているということです。
今の御指摘の例えば9ページの問題で、確かに飲料の方は、最大摂取目安量を飲むと医薬品の方の最小服用量を超えるバルバロインが入っているということです。これは、最初に説明したときに、自社でその量を超えないように1日摂取目安量を設定してくださいという通知は出ていまして、自分のところで安全性を加味して、そうならないようにしてくださいというのがあるだけです。私たちの方からは、もっと下げるようにというふうには勿論言いましたけれども、別に何かの違反をしているわけではないということです。
11ページの表記の方法も、先ほどもちょっとお話ししましたように、何とかエキス何mlと書いてあるわけです。それから、アロエ粉末と書いてあっても、別に医薬品のように局方のアロエの粉末ではないので、勝手といいますか、何のルールもなく思った成分についての表示をしているわけです。ですから、横に並んだものが、サメエキスの表示なのか、その中に入っているグルコサミンなのか、その中のコンドロイチンなのか、何なのか全くわからないままに、数値が200mgとか300mgとか書いてあって、それを見るしかすべがないという状態です。ですから、これは違反ではないですが、消費者はこの星印の量を目安にしてしか買うことができないのですが、実際は目安になっていないというところが問題だと思っていますが、これは何のルールもありません。

○日和佐委員 そうすると、ある部分についてはルール化すべきであるというところがあるというお考えですか。

○国民生活センター商品テスト部宗林氏 私は、身体作用の明らかなものという意味では、医薬品でも使われる成分とか、それから別の観点ですけれども、ヒアルロン酸で例を出しましたように、消費者はヒアルロン酸と書いてあるから買う、そしてメーカーの方もヒアルロン酸として売っている。そういうふうに目的とするものがある程度明確なものは、当然、その量を書いていただくのが消費者にとってはありがたいことですし、それを望みたいと考えています。そして、医薬品との問題で機能性のあるものについては、過剰摂取の安全性も含めてということではありますが、当然、身体作用があるものについては成分を書くべきで、その情報も書くべきと思います。

○日和佐委員 ありがとうございました。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 宗林さんに、4点、教えていただきたいというか、御意見も聞きたいのですが、まず1番目は、健康食品についての表示と宣伝です。食品衛生法上、健康食品についての表示は規制されていますが、宣伝・広告は規制対象になっていません。ドラッグストアなどに並んでいる薬品と同じような包装の食品を見ますと、成分はある程度書いてあるけれども、どういう効能効果なのかというのは勿論書いていないです。ところが、宣伝や広告で何とかに効きそうとかいうことを知って、ドラッグストアに消費者は買いに行く。その辺の表示と宣伝・広告がばらばらになっていないのかなというふうに思います。国民生活センターの宗林さんの職場に見学に行ったときにも、薬品と健康食品が同じような包装で売られている。実際ドラッグストアで私どもが見ても、よく見ないとわからないぐらいに並んでいる。これを、消費者は区別してきちっとわかった上で買えるようにする必要があると思うのです。ところが、広告や宣伝であおられているというところは何とかならないのか。危なっかしいなと思うのですが、その辺がどうかということが一つです。
20ページで、これはいつも思うのですが、薬事法違反とは一体何なのか。特に、みなし薬品とは何なのか。基準が非常にあいまいだと思うのです。表示と包装というか、形状とか、そういうものを総合的に判断するということで、何がみなし薬品かというのが非常にわかりにくい。販売する側も取り締まる側も、これは業者からの都道府県への問い合わせもやたらたくさんあって、都道府県も迷うというようなことがあるようなので、例えば厚労省と、国センでもどこでもいいけれども、協議して、わかりやすい基準にできないのかなと思いますが、その辺は工夫の余地がないのか。
それから、4ページで、個人輸入に関して、「個人輸入の自覚がなく購入してしまうことも」とおっしゃっています。これは、海外から輸入だったらわかるのではないかと思うけれども、なぜわからないのか。具体的な段取りがよくわからなかったので、なぜわからないまま海外から輸入することになるのか。
もう一つは、23ページですが、薬事法と景品表示法、健康増進法、勿論、食品衛生法、いろいろな法律がこの分野にかかってきます。県や主務官庁もばらばらという中で、宗林さんに聞ける範囲としては、国民生活センターとしてはこういう健康食品問題について、効果的に整合性のある指導なり規制なり取り締まりなり、その辺はどういうふうに考えて関係省庁と接しているのか。

○国民生活センター商品テスト部宗林氏 最初の問題の表示と宣伝というお話ですけれども、私の理解では、その商品に同梱してくるパッケージや添付文書とかは表示、それ以外、例えばインターネットのページであっても、店頭のチラシであっても、すべて広告ということで、薬事法においては取り締まりの対象になるという判断になると思います。ですから、広告で宣伝は関係ないというわけではなく、チラシであってもPOP表示であっても、もし見つけられたときはこれは薬事法違反だと思います。
薬事法は、問題があった場合は、厚労省そのものが判断するというよりも、その製品をつくった所在地の自治体の薬務課が個別に見ていって、最終的に判断をしています。ただ、疾病名があって、治療、予防、診断に該当してくる効能効果、あるいは、症状について治るとか、緩和するというようなことが記載されており、しかも、その商品がそこにセットになってありますと、極めて薬事法に抵触するおそれが高く、私たちがそういうものを見つけたときには、即情報を送るということをしていますが、そこまでの情報がそろったものについて、それは違いますと言われたことは今まではないです。ですから、事業者に調査をかけなくても、表示だけ、あるいは広告だけで見たときに、今のような3点セットがそろっていれば、薬事法については問題があると言えるのではないかと思っていますし、これまではそういうふうなことが多かったと思います。
個人輸入ですけれども、日本国内の通信販売のものにいくつかの別冊が入っていて、一つは個人輸入だったということですけれども、申し込むところは同じところでございます。電話番号はここにかけてくださいというところにかけると、日本人が出てくる。ただ、先生がおっしゃるように、最終的には海外から入ってきているのだと思います。ルールを良く知っていれば、海外から直送されてきた時点で個人輸入と私などはわかるだろうと思いますけれども、頼んだときは少なくともそんな自覚はなく、別冊1、別冊2、別冊3と入っているものの中のたまたま1つをとって、そこに書いてある電話番号にかけて、日本人が出て普通に注文したというものだろうと思います。

○山口委員 端的に言えば、どこでつくったかというのは表示が必要ないから、その辺は見ないままということですね。

○国民生活センター商品テスト部宗林氏 カタログは、日本国内のものも含めて、写真が載っていて電話番号が書いてあるだけなので、わからなかったのだと思います。

○松本委員長 恐らく、輸入した業者から私は買っているのか、それとも、私が個人輸入の代行をそのカタログ業者にお願いしているのか、普通の消費者にはわからないということだと思います。

○国民生活センター商品テスト部宗林氏 そうですね。業者の方もそれを一緒に入れてくるから、わからなくなってしまうということだと思います。
それから、国民生活センターは、先ほど佐野先生もおっしゃったように、なるべく情報を出していくこともしたいと思いますけれども、権限は何もない組織です。出てきたものについて、もし問題があればその都度その都度、今は消費者庁さんを介してという形になりますが、情報提供ということで、地方から受けたものであっても、かなりのものを問題があるのではないかということで情報をお出ししているという形であります。
公表するものについては、問題がありましたということは勿論公表資料の中に入れますけれども、私どもが直接あれしなさいとか、回収しなさいと言う権限はございませんので、情報として、薬事法違反のおそれがあるのではないかということでお伝えすることで対応しております。

○中村委員長代理 今のお伝えするというのは、監督官庁当局、例えば薬事法違反なら薬事監視の行政当局にちゃんと通報するのか。それから、かびが生えていた食品があったと。あれは完全に食品衛生法第6条違反で罰則まであるので、そういう場合には衛生当局にちゃんと伝えて取り締まりをしてもらうのかどうか。今回は表示の問題が中心ですけれども、こういう違法なものが出回らないようにするためには、違反した人に対して徹底的に取り締まることだと思うのです。その辺の国センの連携、せっかくこうやって原因を見つけていただいているので、その後どうなったかというところを説明していただきたいのですが。

○国民生活センター商品テスト部宗林氏 これで消費者庁ができて1年たちますけれども、すべて消費者庁さんを介してということになりますので、消費者庁に文章でお出しするという形です。今の事例も含めてですけれども、例えば薬事法に問題があるおそれがあると。薬事法に問題があると決めるのは所管省庁ですので、「薬事法に抵触すると思われるものがありました、対応をお願いします」ということでの要望を出しております。

○中村委員長代理 その後、消費者庁からはどうなっているのですか。

○国民生活センター商品テスト部宗林氏 それは、消費者庁からどのぐらい返ってきたかということだと思うのですが、個別に返ってきているものも中にはありますし、消費者庁さんが各省庁に呼びかけていただいて各省庁への働き方をさせていただいているものも、ホームページで公表されているもので幾つかあると思います。実態としては、実は私たちのところに返ってきているものが、余りない現状です。縷々(るる)お願いしているところです。要望したのだから、その後どうなったのでしょうかというふうに、実はお願いをずっとし続けています。お願いして返していただいているというルールの中で、どこまでそれが実績として積めるかというところは、さまざまな事例があるというところでしょうか。

○松本委員長 今のケースは、本日議題にしていることと少し違います。さまざまな危害情報、危険情報を消費者庁が集めた後、それをどういうふうに使っているのかということのヒアリングの際に、消費者庁に対してお聞きすることにしたいと思っております。

○中村委員長代理 はい。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 御説明ありがとうございます。今、小坂さんがいらっしゃるところは相談部危害情報室で、宗林さんがいらっしゃるのは商品テスト部ということです。本日は、相談の受け付け体制整備を絡めてお聞きしたいのですが、国センが積極的に独自に、特にすき間のような健康食品についていろいろな形でテストをされているのは、相談が1件上がって、もう1件上がったときにするというのは、それは、危害情報室で日ごろPIO-NET等で検索して見ていられるものがそちらに上がっていくということで、テストされているという理解でよろしいわけですね。
そういたしますと、私もそうでしたが、各地のセンターが自分のところでそういうすき間のような健康食品とか、目薬に何か入っているとか、なかなかできないわけですね。そういたしますと、それは国センさんにお願いしてテストしていただくということをやっておりましたのですが、それは、先ほど佐野委員が、情報がどこまで出されているかというところでいささか心配されていたのだと思います。国センが積極的にPIO-NET等を検索して、今、これをしなくてはならないというものを、今回の健康食品の一部に出されたものであるというふうに思っております。そういたしますと、相談を受け付ける体制が国民生活センターの中でどのような形なのか。単にPIO-NETだけで見るのか、危害情報室がどんな形でこれからも動いていけばもっと活用できるのか、というところをお聞きしたいと思います。

○国民生活センター商品テスト部宗林氏 中の組織体制、機能を今、細かくはお話ししませんが、PIO-NETの情報を管理している部署、個別案件を追跡するところ、相談を受けるところ、商品テスト部が一堂に会して、「こんな事例があったんだけれども、情報提供すべきかどうか」という会議を2週間に1回、定例的にしています。事前にこんなものが入ってきたということを発信しまして、その情報を持ち合って、これは件数があるから発表に持っていった方がいいのではないか等情報提供に該当するもの、これが問題ではないかというのは、取引も含めてですけれども、そういった意見交換をやっています。各部署がラウンドテーブルに着いて会議をするといいますか、相談してやっていくことの中に、危害も入り、相談も入り、情報も入り、テストも入りというようなことで多角的に情報交換をしています。ざくっとした説明ですと、そういった内容です。その中でこれは問題だということが、具体的に件数とか、重篤さとか、たとえ品質であっても、30件PIO-NETにあれば、それは問題ではないかということでやることもあると思います。

○下谷内委員 2週間に1回というように会議が開かれているということですが、そこの中で落ちこぼれもあるのではないかと思います。その辺はどうなっているのでしょうか。

○国民生活センター相談部危害情報室小坂氏 現場の者としてお話しさせていただきますと、私は国民生活センターの危害を専門に相談をやってきて14年ぐらいになります。毎日、全部見ております。PIO-NET情報、「消費者トラブルメール箱」、直接相談、経由相談、そういったものから上がってきて、危害・危険についてのもの、品質に問題があるもの、それを毎日見ております。
おっしゃられたように、目こぼししてしまうものもあるのではないかということですけれども、今は危害情報室がありますので、その室員掛ける2の目で見ておりますので、例えば昨年、3D映画の体調不良が1件ポッと出てきたというのも、新しい技術、新しい製品のもので出てきたときには、1件であっても必ず追っておく。そして、実際に公表したときの危害の件数は非常に少ないものでありましたけれども、つくられている業界、コンテンツをつくられている方、研究されている皆様から大変評価を受けました。そういったマイナスの情報をいち早く発掘して教えていただけたことは、大変成果があるというふうな評価をいただきましたので、私どもは、宗林とはちょっと違いますが、1件であっても必ずチョイス、というのは変な言い方ですけれども、それを追うことはやっております。
そして、公表で出てきたものでないものが本当にたくさんあるんですね。お話しできない、いろいろな改善につながったもの、表面には出てきていないけれども、あるというものがたくさんあります。それにつきましては中の資料でつくってありますし、相談の現場に資することができるような資料としてつくっております。ですから、数はなくとも、これは是非国民の皆様に知っていただきたいというものについては、当然、センター全体として共有して、育て上げていくということをやっております。
相談員の立場から申し上げますと、現場で受ける1件の相談というのは、貴重な公共の財産にならなければいけないということを日々考えてやっております。各地で相談員と会ったり、こういった製品のことでお話しするときにも、もしかしたらばその1件が非常に大きな問題かもしれないと。冒頭に申しましたけれども、90万件のうち危害・危険は9,000件近くということで、パーセンテージは非常に少ないのです。けれども、過去に公表した大きな事故、事件は各地のセンターに入ってきているので、もしかしたら相談員が受ける事故は、非常に社会的な意味を持っている1件かもしれないから、常にそういう思いを持って臨まなければいけないというふうにやっている次第であります。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 小坂さんに、キッズのサプリメントのことでお聞きしたいのですけれども、先ほど、幼稚園児までで15%ぐらいの子どもたちにビタミンなどを与えているとご説明がありました。余りの多さにびっくりしたのですけれども、キッズサプリメントというのは一体いつごろからスタートしたのか。あと、広告ですけれども、一般的な新聞などには入ってきませんが、子育ての雑誌とか、そういうところに広告が入っているのではないかと思いますが、大人と同じような広告の仕方なのか、そこを教えてください。

○国民生活センター相談部危害情報室小坂氏 先ほど申し上げた数字につきましては、2009年7月6日に国立健康・栄養研究所が実施された調査報告書です。平成19年の5月~9月に、青森、山形、茨城、栃木、埼玉、千葉、香川の7県の幼稚園や保育所、計21か所で実施したものです。子どもの年齢は6歳までで、保護者2,125名のうち1,533名が回答というものであります。そのほかにも何か所からか、こういった健康食品の摂取の調査についての報告書が出ております。
どんなふうに広告されているかといいますと、今、子育てのサイトはインターネット上にたくさんあります。雑誌でのものもあるとは思いますけれども、子育ての中でそういったところに寄っていきますと、例えば、「脳の発達に」「集中力アップ」「身長アップ」「リラックスに」までしか書いていないのです。リラックスによいとか、脳の発達によいとか、それは書いていないわけです。「脳の発達に・集中力アップ」「リラックスに」「丈夫な体に」「免疫力アップ」、あと、「おねしょ予防」というのもあります。
ということで、子育てのお母様に対しては、自分の食事で少し心配な部分があるとか、子育てで心配な部分があるというときに、手を出しやすいところで保護者をうまくくすぐるようなところがあるのではないかと思います。勿論、誤飲の問題もありますし、先ほど申し上げましたように、60キロで設定しているから2分の1にして飲ませてくださいと、それで果たしてよろしいのかなというふうに思います。これを大々的に全部を見るということは今回はできませんけれども、やはりいろいろと見ていけば、たくさんいろいろなものは出てくると思われます。

○松本委員長 池田委員、どうぞ。

○池田委員 小坂さんの先ほどからのお話、非常に感心してお伺いしています。私は事業者ですので、今、各委員が問題にしているように、表示とか、いかがわしい広告というのは勿論大きな問題があると思います。健全な商品を提供するには、改善すべき点を事業者側に連絡して、不適切なことを直していくというサイクルが起きないことには、法律とか規制をつくってもなかなかうまくいかないと思います。そういう面で、危害情報室とか国民生活センターが、事業者とうまく連携をとっていくことが大切です。先ほど、3D映画でコンテンツ制作者からも喜ばれたという話ですが、私は非常にいい例だと思います。危険情報を消費者に知らせるのは、まず本来的な大事なことだと思いますけれども、不適切なことが出ないように、関係する事業者に対する働きかけの工夫の例があれば、あるいは、そういうことを働きかけるためにはどうしたらいいかということで、感じておられることがあったらお聞かせ願いたいと思います。

○国民生活センター相談部危害情報室小坂氏 私どもは相談を受けたときに、消費者側からの一方的なお話だけで先に進めるということではなく、消費者の同意を得まして事業者さんとお会いします。事業者がその問題についてどういったことを把握されているのかを聞いた上で、また次のところに進むわけですけれども、事業者にとっては、消費者からの意見の苦情やいろいろな申し出というのは、ある意味貴重な財産で、技術革新につながるわけです。それを取り入れて改革された事業者さんというのは幾つもあります。ただ、それを実名でお出しすることができなくて、大変残念なんですけれども、思いついたところで、出しても大丈夫そうかなと思うところは、パッケージには表示があったのですけれども、個別包装には英語しか表示がなかった。これは使うものなんですけれども、それをきちっと個別を日本語に変えていただくとか、そういったこともありますし、いろいろな品質改良については、つなげてくださっている事業者さんは過去に幾つもございます。
やはりリスクコミュニケーションという点で、消費者、行政、事業者がいろいろと言っていくことが、更なるよい商品につながるのではないかと思っております。大変申し訳ないのですけれども、具体的にはちょっと。

○国民生活センター商品テスト部宗林氏 テストの方も発表はしますが、テストをしている間に事業者さんとやり取りをするというのは、そんなにはしないのですけれども、公表した後、どういうふうにしていったらいいのかということについては、勉強会をしたり、御提案があったもので、「でも、こういうふうにしたらどうでしょうか」というやり取りはさせていただく例も随分多いです。それを反映して、消費者はへの注意喚起として、例えばポスターを作製されたり、公表したものでは、防犯ブザーが簡単に壊れてしまうという話がありましたけれども、それは今、基準も違う形になりましたし、そうですねということで新たに気がついたものについて、情報提供をしっかりしながら改善していっているものもかなりあると思います。
私どものところは、JISとか、そういう試験方法というよりは、モニターさんが乗ってみて、「このぐらいの力がかかるから、このぐらいの力をかけてみよう」みたいなことでやりますので、メーカーが事前にやられているテストと、うちは実際にはこういうふうにやったので、こうなったんだというものと最後照らし合わせて、「だったら、これがいいね」という話は、事後にはなりますけれども、やらせていただいております。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 宗林さんに、非常に微妙な問題だと思いますが、今日、お話しいただいたのは、かぎ括弧付き健康食品ですね。法律で健康食品というのを概念づけして、それを、宗林さんがずっとお話しになったような形で、法規制なり何なりでやっていくというやり方もあるかもしれないけれども、そうすると、機能性とか、特保とか、またもう一つ枠組みをつくってしまうことになるのではないか。ますますややこしくなりはしないかという両方の問題があって、JAROなどは、いろいろ問題になるときに、何が健康食品かの定義がないからやりにくくてしょうがないという話もあるし、その辺は非常に微妙な問題だと思いますが、何か御意見なり感想なりがあれば。

○国民生活センター商品テスト部宗林氏 例えば、新たなカテゴリーをつくってがちがちにすることが得策かどうか、私はそこまでは思っていないです。でも、今日提示したものは、例えばリスク表示についても、義務づけではないけれども、飲み合わせの情報などはメーカーさんとかいろいろなところ出ていて、わかっているものもかなりあるわけなので、クロレラに対してこういう表示を事業者さんが自主的にしていただけることの範囲内でもかなりができるだろうと思っています。厚労省から出ている通知もそういう意味合いのものが多いわけですが、そういうことの提示としてリスク表示という言葉を使わせていただきました。
薬事法などのところは、現行の法律で、規制の対象になるものはそれなりにしっかりやっていかなくてはいけないということなので、これはこれで現行の法律でいいと思います。
成分量のところは、今の法律と関係なく、消費者にわかりやすい表示、そして、消費者がこの商品だったらということで求めて買うものだったら、当然、そこはちゃんとつけてくださいと言っているまでです。それを法律化して、必ず成分量をこういうふうにつけなさいという法律をつくることがいいかどうかということを、私は言及していません。消費者としては、当然、身体作用のあるものや、これを目標に買うというようなものについては、成分表示があってくださいよということを、今日、御提案しましたので、それを法律でがちがちでするかは、もう一段別の話かなというふうに思います。

○山口委員 では、業者の自主運用を求めたいというお話ですか。

○国民生活センター商品テスト部宗林氏 自主運用でどこまでできるかわかりませんけれども、そういうことが望ましいということを考えていますので、それをどういう形で実現させていくかというところは、法律もあれば、いろいろな形があるかと思います。私が法律をつくるわけではないので、私は、そういう形が消費者にとってはあるべきだということでお話をさせていただきました。

○国民生活センター相談部危害情報室小坂氏 消費者と接している者として、例えばワルファリンをいただくときに、納豆は食べ過ぎないでくださいと言われていると。それからしばらくたって、講座等で今日のようなお話をして、ビタミンKとワルファリンの作用で、皆さん納豆は食べ過ぎないでくださいと言われますよとか、でも、実は血液さらさらと言われている健康食品の中にはビタミンKが入っているものがあって、体に悪さをすることもあるんですよと言うと、「ああ、それで納豆を食べちゃいけないって言われていたのね」と、それでようやくすべてがつながる。これは特徴的な話ですけれども、そういうことを聞きます。
ですから、消費者は、法律がどうの何とかというそこまで行けばあれですけれども、もっと知識を持っていたり、技術を持っていらっしゃる方の情報がもう少しつながって、生活の中に入り込むような形で入っていったらいいと思います。また、消費者も自分の健康のことですから、つなげて情報をとっていくようにしなければいけないと思いますし、法律の改正云々、いろいろなことをする手前で、いろいろな知識を持っている人たちがつなげていく。もっとわかりやすくやっていったら、もう少し状況は変わるのではないかなと私は現場で感じております。

○松本委員長 ありがとうございました。
最後の方でもかなり議論になりましたけれども、表示の問題を我々は主として検討しているわけで、その表示との関係で安全性、品質、機能性の問題が出てきている。健康食品の表示に関する法律的な面でのルールが3つあります。1つは、してはいけないという禁止ルールで、これは薬事法から来ているもので、医薬品的な効能効果をうたってはいけないと。これははっきりしているわけですから、きちんと執行してもらうことに尽きるだろうと思います。
あと2つのうちの1つは、誇大表示、誇大広告をしてはいけないというルールで、これは健康増進法と景品表示法にそれぞれ、ほぼ同じような内容のルールが存在しています。
最後が義務づけのルールですが、食品一般としての義務づけルールは食品衛生法上もJAS法上もあります。健康増進法はちょっと間接的で、成分表示を書く場合のみの義務づけなので、書くか書かないかは義務ではないというところがあります。

○国民生活センター商品テスト部宗林氏 栄養成分だけですね。

○松本委員長 栄養成分表示は任意ですから、やらなくても構わない。ところが、宗林さんが指摘された幾つかは、積極的に表示をしてくださいというたぐいのものが多かったわけですが、そのような義務づけをやろうと思うとしても、健康食品と食品一般が分離されていない。いわゆる健康食品は食品の単なる一部であるという状態の中から、健康食品についてだけ表示の義務づけを増やすことは恐らくできない。ほとんどできないに近いだろうと思います。
そうなると、法律上、何か新たな義務を入れていくとすれば、対象となるものを食品一般から分離する。健康食品の定義というよりは、一定の表示を義務づける対象となる食品はこういうものです、ということを決めた上でないと法律はつくれないことになります。そうなると、では、何を基準にしてそれを絞るかということで、宗林さんはお話の中で、例えば医薬品成分が入っているものについては、少なくともこういうものが必要ではないかということをおっしゃったと思いますから、食品としても使えるけれども、医薬品でもあるものを含有しているものについては、一定の表示を義務づけるというのは一つ考えられるかと思います。
それから、サプリメントというもう少し広めでくくって、成分を濃縮しているとか、錠剤・カプセルであるといった形状で絞った上で、それについて一定の表示ルール等を考えるというやり方があるかもしれないし、更に、宗林さんがおっしゃっていた「ヒアルロン酸については」と、特定の含有成分を政省令等で指定した上で、その成分を含有していることを標榜する場合にはこれこれの表示を義務づけるやり方など、私が考えただけで絞り方は3つぐらいあるのではないかと思います。これは、法律論で詰めていく場合であって、事業者が自主的にやる場合にはもっと緩やかでもいいと思いますが、考える場合の視点としては、今、言ったようなものがあるのではないかということを議論の中から感じてきた次第です。
この問題は、消費者委員会としても引き続き議論をしていきたいと思います。国民生活センターにおかれましては、お忙しい中、審議に御協力をいただきまして、ありがとうございました。

○国民生活センター商品テスト部宗林氏 先ほどの健康増進法の中の栄養表示基準というのは、栄養に限るわけですけれども、それを強調するときはそれを書きなさいとなっているわけです。だから、食品で栄養という範疇ではないけれども、いわゆる目的の成分でこれを強調しているものについては、法律ではなくても、書いていくような方向性、そして、それを見た消費者は、信頼性が高まりリピーターとなるという意味で、義務づけまでというところはわかりませんけれども、そういうものがあった方が、消費者としては、ありがたいというのが基本的な考え方です。済みません、そこまできちっとした考えではないのですが、そういうふうに思っているということでございます。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 私は、そんなきれいごとではないと思うんですよ。悪貨が良貨を駆逐するのが現状でして、まじめに成分分析をしてきちっと表示している業者の商品が、では、信用を醸成されて売れるかといったら、そうでもない。調子いいことを、「元気にいつまでもお遍路」とか何とか書いてある、そういう曖昧模糊とした表示の商品の方が消費者には売れるかもしれない。だから、市場の現状と宗林さんがおっしゃっていることは、ちょっときれいごと過ぎないかなと私は思いました。済みません。

○松本委員長 どのようなアプローチがいいかというのはいろいろあると思いますし、事業者を性善説的に見るのか、性悪説的に見るのかということでもあります。実質的な取組みをしっかりやってもらうことと、それを法律がきちんとバックアップすることは必ずしも矛盾することではないので、一番効果的なやり方を我々としても考えていきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

≪4.閉会≫

○松本委員長 本日の冒頭で、蓮舫内閣府特命担当大臣にごあいさついただく予定とお伝えいたしましたが、国会日程の関係上、国会を離れられないということのようでございまして、今回は大臣にお越しいただくことができなくなりました。残念でございますけれども、お伝えいたします。
本日の議題は以上でございますが、報告事項が2点ございます。
1点目といたしまして、前回の第44回消費者委員会において審議いたしました、家庭用品品質表示法(雑貨工業品品質表示規定)における浄水器に係る表示事項の見直し(告示改正)につきまして、委員から、回収率に関して一般消費者にわかりやすく表記すべきではないかという意見がございました。これにつきまして、参考資料1-1のとおり消費者庁より回答をいただいております。これを踏まえまして、諮問の趣旨に沿って見直すことで差し支えない旨、参考資料1-3のとおり答申を行っておりますので、御報告いたします。
2点目ですが、昨年の12月24日に、委員会の下部組織である新開発食品調査部会の第4回会合が開催されております。本日は、新開発食品調査部会設置・運営規程第8条第2項の規定に基づき、田島部会長よりその審議結果の報告をいただきたいと思います。
では、よろしくお願いいたします。

○田島委員 平成22年12月22日に開催した、第4回新開発食品調査部会の審議において、新開発食品調査部会設置・運営規程第8条に基づき、委員長の同意を得て委員会の議決とし、平成23年1月21日付で内閣総理大臣へ答申を行いました。本日は、同条第2項の規定に基づき、決定事項を委員会に御報告するものでございます。
参考資料2を御参照ください。内閣総理大臣より諮問を受け、今回の部会で安全性及び効果について審議を行った品目のうち、「からだすこやか茶W」「ヘルシアコーヒー 微糖マイルド」「ヘルシアコーヒー 微糖ミルク」「カテキン緑茶W」の4品目について、審議の結果、特定保健用食品として認めることとして差し支えないこととされました。
私からの報告は以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
最後に、事務局より今後の予定について御説明をお願いいたします。

○原事務局長 大臣ごあいさつの件では、申し訳ございませんでした。改めて、また設定をさせていただきたいと思います。
次回ですけれども、2月に入りますと、第2週が11日でお休みになっておりますので、第1週の金曜日、2月4日の午後3時からを予定したいと思っております。議題については、改めて御案内させていただきます。
事務局からは以上でございます。

○松本委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)