第43回 消費者委員会 議事録

日時

2010年12月24日(金)15:00~16:57

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 松本委員長、中村委員長代理、池田委員、佐野委員、
 下谷内委員、田島委員、日和佐委員、山口委員

【説明者】
社団法人日本広告審査機構  宍戸専務理事
林事務局次長・審査部長
東京都  松下生活文化局消費生活部取引指導課長
金子消費生活総合センター相談課長
渡部福祉保健局健康安全部食品医薬品情報担当課長

【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.健康食品の表示の検討について
○説明者:社団法人日本広告審査機構 宍戸専務理事
林事務局次長・審査部長
東京都 松下生活文化局消費生活部取引指導課長
金子消費生活総合センター相談課長
渡部福祉保健局健康安全部食品医薬品情報担当課長
3.閉 会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:76KB) 
【資料1】平成22 年度上半期・平成21 年度審査処理状況について(日本広告審査機構提出資料) 【資料2】東京都における健康食品対策について(東京都提出資料) 【参考資料1】 委員間打合せ概要(PDF形式:43KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、時間になりましたので、始めさせていただきたいと思います。
本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第43回)」の会合を開催いたします。
委員長、よろしくお願いいたします。

○松本委員長 それでは、議題に入りたいと思います。

≪2.健康食品の表示の検討について≫

○松本委員長 本日は、同じ時間帯に消費者庁で「国民生活センターの在り方」についての会合が行われていることもありまして、消費者委員会の山口委員が傍聴として最後までそちらの方にいらっしゃいますので、こちらの会議はやむを得ず欠席あるいは遅れて出席ということになります。
本日の議題は、「健康食品の表示の検討について」であります。「健康食品の表示の検討について」につきましては、昨年11月より消費者庁において「健康食品の表示に関する検討会」を開催しており、その論点整理について、本年8月の第33回「消費者委員会」において報告をいただいております。
論点整理の中で、更に検討が必要な制度的な課題として、消費者委員会において更なる議論が求められた内容といたしまして、1つには「特定保健用食品の表示許可制度」、2つ目に「健康食品の表示の効果的な規制や適切な情報提供の仕組み」が掲げられております。この2つ目の項目、「健康食品の表示の効果的な規制や適切な情報提供の仕組み」に関しまして、今後、消費者委員会において、関係機関、有識者からのヒアリング等を行いながら検討を進めてまいりたいと思います。
本日は、社団法人日本広告審査機構及び東京都においでいただいておりますので、健康食品の表示に関する問い合わせ、相談の実態や、それに対する対応等について御説明をいただきまして、併せて議論を行いたいと思います。
それでは、初めに、日本広告審査機構より御説明をお願いいたします。

○社団法人日本広告審査機構宍戸専務理事 日本広告審査機構でございます。お手元に、平成22年度上半期の審査状況、平成21年の年間の審査処理状況をお配りしていると思います。基本的にこれを中心にお話しさせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
それでは、早速始めさせていただきます。21年度の上半期を中心にお話しいたしますが、1ページにございますように、私どもは一般消費者からの広告についての「苦情」「問い合わせ」を受け付けて審査をしております。広告に問題がある場合は、事業者に改善を求めるという業務を行っております。
2枚目をおめくりいただきますと、今年の上半期、受付総件数が出ておりますけれども、2割ほど減ってきております。ただ、業種別では「医薬品・医薬部外品」「保険」が増えておりますが、健康食品は若干減少ぎみでございます。昨年度、かなり不適正な広告が多数出まして、それに対して見解を発信したものですから、その分が減ってきております。
上半期、特に健康食品に関する苦情は65件、全体の約4%でございます。「苦情」というのは、2ページ目の真ん中辺に定義がございます。相談者の氏名、連絡方法が明らかである、事務局で広告の確認ができる、相談者が広告に不都合ありと主張している、この3点をもって私どもは苦情と定義づけております。したがいまして、匿名である、広告が確認できない場合は「意見」という分類に入ります。
戻りまして、健康食品は苦情全体の4%で、21年度全体で見ても3,647件中153件(4.2%)でございまして、ほぼ同じような形で推移しております。健康食品に関する苦情に関しまして、3ページの媒体別でございますが、全体のランキングが出ております。健康食品だけを取り出してみても、テレビがやはり一番多い。それから折込チラシ。折込は「新聞広告に折り込まれた広告」と定義しております。21年度は、テレビ、折込、インターネットということでしたけれども、今年度上半期も同様の順番になっております。
その中で、私どもは委員会で審議をして「警告」「要望」「提言」という3つのランクで見解を発信しております。 見解事例を御紹介いたします。22年度上半期は、見解が12件、そのうち9件が健康食品に関する苦情でございました。媒体別には、これは若者向けの雑誌で、この中に不適正な健康食品の広告が載っていたということで、4件。折込で2件。チラシ、カタログ、インターネットで各1件ずつとなっております。
21年度は、見解が19件でございましたけれども、その中で11件が健康食品でございました。やはり折込広告が昨年度は6件と多かったということでございます。
健康食品の見解で出した事案のうち、ほとんどが薬事法、景品表示法、特定商取引法に違反するものでございます。特に薬事の場合は68条の「未承認の医薬品等の広告表示」です。景表法は不当表示、優良誤認、特商法は通信販売における誇大広告が、法令としては違反しているというふうに見ております。
実際にその中身でございますが、4ページに具体的な案件の事例を載せております。特に健康食品に絞って申し上げますと、例えば「肥満、皮下脂肪、しわ、しみ、たるみ等、女性の悩みを完全解消」「年齢に関係なくだれでも美しくやせて若返る」「飲んだ翌朝に効果を実感、最大24.8Kg減に成功」とうたって表示をしているということです。特徴的なのは、体験者の使用前・後の写真や体験談を紹介している広告が非常に多い事です。消費者の方からは、「実際にこんな写真のようにやせるのか」という苦情が一番多く寄せられています。
もう一つの事例で言えば、「ダイエット成功例ナンバーワン・98.3%、飲むだけで即効実感」「中性脂肪を集中燃焼してセルライトを除去」とうたって、やはり使用前・後の写真を掲載して、あたかも短期間でやせたように表示しているサプリメントの雑誌広告等がございました。「1日1杯お茶を飲むだけ。腸内清掃ダイエット」ということで、便秘解消により痩身効果が得られるような表示をしていたという、お茶の折込広告等々です。
インターネットで言いますと、「3日間でお肌のハリを実感」「古くなった細胞を次々に新しい細胞につくりかえ、白く艶やかな美肌にできます」といううたい文句で広告をやっております。
この辺につきましては我々が審議をしても、やはり相当不適正な表示内容が多いということでございます。事業者の反応ですが、写真や体験談は実際のユーザーのもので、うそではないという御主張をなさっているケースが大半です。
他方、回答としては、「関係法令に抵触したことの重大さを痛感して、今回の警告を真摯に受けとめ、当該広告を市場から撤退させていただく結論に至りました」という趣旨の回答が大半です。例えば、「御指摘いただいた法律に抵触するおそれのある部分の削除を念頭に、都道府県の薬務課及び消費者庁への相談を含め改善させていただきます」という真摯な回答もございます。その後、同じような事業者からこういう折込が新聞に折り込まれていたということで、消費者が送って来るばあいもあります。当該商品の販売をやめても別な場所で別の広告主名で同じような広告をし始めるとか、販売行為を続けているケースもございます。実際に、別の事業者が別の地域で、同一の商品に関して同一の折込広告を実施していたケースもございますので、私どもに返事をしても、同じような行為を繰り返している事業者もいるようでございます。
一方、事業者の自主規制的なものということで申し上げますと、健康食品の製造販売にかかわる事業者の中には、例えば日本健康・栄養食品協会のように自主基準をお持ちのところもございます。また、マークをそれに付与するということをやっておられる方々もおりますけれども、そういうところに加盟していない、アウトサイダーの広告が多いということでございます。できれば事業者間の自主ルールでやっていく方がいいと思いますが、なかなかその辺が難しいと感じております。
通信販売業についても、通信販売協会のように健康食品に関して問題広告を出さないように、例えば「賢い通販利用法」ということで、サプリメントに関する広告表示のガイドラインもお持ちでございます。媒体について言えば、各媒体社ごとに個々の掲載基準を設けておりまして、法律に抵触するものだけではなく、依頼のあった広告について審査・考査を行っているというのが実態でございます。
ただ、インターネットに関しましては、今のところ、そういう統一した自主基準がないのが現状でございます。これは、後ほどまた触れさせていただきたいと思います。
私どもが考えております改善のための方策といいますか、今後、どういう課題があるかということで申し上げますと、特に健康食品については食品の分野の一つのジャンルということで、いわゆる健康食品という定義がないのが一番大きな問題かと思っております。特に健康食品でも加工された食品です。「明らか食品」は除いていいと思いますが、一般食品とは異なることを明確にしないと、健康食品というジャンルがなかなか理解されにくいのではないか。例えば医薬の方では、消費者が推薦するとか、お医者さんの推薦とか、事前・事後の表示は禁止されていますが、今のところ、健康食品では堂々とそういうことをやっているということがございます。
もう一つ、コンプライアンスということで言えば、事業者団体による自主規制というのが一番望ましいと思いますが、悪質な事業者への行政指導を執行しやすくする対策も片一方では必要かなと思っております。景表法、特商法、薬事法という法律がございます。また、健康増進法という法律もございますけれども、その辺の適用が、事業者にとってみるとなかなか理解しづらい部分があるのではないかと思っております。
それから、消費者庁で行っている健康食品のネットサーフィンは、大変有効なやり方だろうと思っております。今後も継続されて、ネットによる監視を続けていただければ、悪質な事業者は減ってくるのではないかと思います。
もう一つ、全体的に見ても、私どもに対する苦情の中身はインターネットに関するものが年々増えてきております。先ほど申し上げましたように、業界での自主ルールというのはなかなか確立しにくい状況でございます。ネット業者の会員社が私どもは30社前後おりますので、その方たちと情報交換会をやりました。彼らも、自主基準的なものを早急につくりたいというニーズもございますので、私どもとしてはインターネットの広告の関連団体と協力して、できれば自主基準を作成していきたいというふうに考えているところでございます。
もう一つ言えば、やはり事業者、消費者への啓蒙・普及も必要だろうと思っております。後ほど東京都さんも御発言になると思いますが、特に事業者向けの講習会をおやりになって大変盛況であったと聞いております。消費者に関しましては、私どもも地方の消費生活センターから、消費者講座で広告に関するテーマで話をしてくれという御依頼もございますので、そういう形でやりたいというふうに思っております。特に若い人は、健康に対する関心度は低いと思いますけれども、こういうものにだまされないような形の教育をしていくことも必要なのではないか、というふうに思っています。
簡単でございますけれども、以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの広告審査機構からの御説明につきまして、御質問がございましたら、どうぞお出しください。
佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 御説明、ありがとうございました。お聞きしたいのは、3つの警告、要望、提言ということで、いろいろされているということですけれども、事業者はそれを素直に受け入れるのかどうなのか。あと、改善率はどのくらいなのかということ。
もう一つは、行政の方と、法律の解釈の仕方とか意見が違うことがあるのか。JAROと行政担当者の意見が違って困ることがあるのか。あと、JAROとして自主的に何か調査をされているのか、それとも、いわゆる一般の消費者からの意見のみで活動されているのか。
それから、自主基準でやられる方がいいとのこと。私もそう思いますが、実態として非常に違反が多いわけです。それを考えたときに、何かしらの措置など、専門家として何かいい方法があったら教えてください。

○社団法人日本広告審査機構宍戸専務理事 まず、事業者からの対応でございますけれども、昨年度、今年度上期に関しまして、警告、要望、提言を出した事業者からは全部、実は返事が来ております。ときどき、全く返事が無い場合もありますが、たまたまこの2年間、事業者からの返事が来ております。ただ、昨年は、紋切り型で、ある定型化された返事が大変多く来ました。これはどうも、「JARO向きの返事はこうした方がいいのではないか」という文書が回ったのではないかというような感じの、ほとんど同じような文言の返事が来ておりました。
それから、実際に本当に守られているかということで言えば、ある事業者が大阪府の薬事担話を持ち込んで、きちっとやりますという回答をいただいたので、裏取りをしました。それについては大阪府の方からも、この事業者が来ました、私どもとしても指導しました、ということを言われていました。そういう事業者はいいのですが、私どももそこまでフォローしていないので、どこまで実行されているかがなかなか検証できていないのが実態でございます。先ほども申し上げましたように、半年ぐらいたつと、同じような表現で、同じようなやり方の広告が別の地域で出てくるということが有りますので、事業者名を変えたり所在地を変えてみたりして、ぐるぐる回っているということもあるのかなという感じがいたします。
これはどうも親の事業者というか、裏に、大もとの事業者がいて、それがうまく転回させているのではないかと感じております。これは、行政の方で何らかの措置をしていただかないと、なかなか根っこがつかめないと思います。行政の方、特に自治体の方とお話をしていると、そういう事業者は結構若い方が来て、ああ、そうですかという感じで聞いてスッと帰っていってしまう。そういう行為もあるようでございますので、本当にその商品が確実なものであって、それを広告してやっているのかというのは、多少疑問のところがございます。
それから、私どもはあくまでも自主規制機関ですから、行政の方が、これは余り法律に触れないのではないかと言われても、私どもでは、消費者目線から見てやはりこれは改善した方がいいだろうというものについて、警告というのはある種法律に基づいたものですので、要望なり提言という形で、事業者に、「わかりにくいから、ここは変えてほしい」というお願いをしているケースはたくさんございます。
それから、行政と見解が違う場合というのは、法律の適用で、我々としてはこの法律でもいけるのではないかと思って行政庁と相談して、そこまではちょっときついですねと言われるケースはございます。ただ、それはそれで私どもは委員会で討議をして、法律ではないけれどもという部分で、ある種のワーニングを出すことはございます。
あとは、抜けているところでございますか。

○佐野委員 いろいろ御努力なさって、自主基準を業界でつくればいいだろうというお話ですけれども、後で東京都さんのお話があると思いますが、今、非常に違反が多い。それを自主基準だけで果たしてできるのかというのは疑問があります。専門家として、措置など、自主基準でない形だとしたら、どんなものがいいのか。何かありましたら、教えてください。

○社団法人日本広告審査機構宍戸専務理事 難しいと思います。やはり法律的に措置をしていただくのが一番いいかなと。実は私どもは、行政に対してお願いするということを今までしてこなかったのですが、昨年、健康・美容のジャンルの商品で不適正なものが多かったものですから、理事会で検討しまして、行政庁にも通告をした方がいいだろうということで、一部、通告をさせていただいたケースはございます。これは多分、JARO始まって以来だと思います。
先ほど言われたように不適正な広告がどんどん増えてくると、まともな事業者が損をするといいますか、そういう事態もございますので、行政の力を借りるのはいたし方ないかなと。ただ、今回、雑誌の中で不適正な広告が掲載されましたが、この雑誌社について雑誌の協会の方でみずから、その事業者が会員社だったものですから、みんなでコンプライアンスを守ろうということでお話をしていただいたようでございます。その結果、かなり改善してきているというふうに聞いておりますので、やはり自主基準の効果も片一方にある。アウトサイダーの場合はなかなかそれは効きませんが、同じ業界の中でお互いにブラッシュアップしていくというか、きちっと正しい広告をつくろうということは、皆さんマインドは大変持っていらっしゃると思います。
今日はお見せしておりませんけれども、いろんな業界で、例えばインターネットであるとか、雑誌であるとか、それぞれ自主基準をお持ちです。その中でメディアとして不適正な広告は排除していく、その為にも自主基準は効いていると私は思っております。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 先ほど御説明の中で、健康食品というものの定義がないことが問題だという御指摘があったのですが、これは、もし定義があったらどういうことができるのか。今、定義がないためにどこで困っているのか、もうちょっと説明していただけますか。

○社団法人日本広告審査機構宍戸専務理事 例えば、言っていいことといけないこと、表示していいことといけないことというのが、どうもはっきり線が引けていないという感じがしております。
例えば使用前・使用後の写真というのは、医薬で言えば、本来不可でございますけれども、食品分野で言えば規制がないわけです。そうすると、1か月後に何キロやせたという写真をボーンと出してくる。これはどう見ても問題かなというふうに思いますし、今は余りないですけれども、お医者さんの推薦の言葉も医薬の方では禁止されておりますが、食品の世界では特に規制はない。ハロー効果といいますか、そういうものも非常に強く効きますから、消費者の方がそれを信じてしまうこともあり得ないわけではないと思っておりますので、その辺もやはりきちんとすべきと感じております。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 先ほど、関係省庁に通告したのは1件で、初めてなさったというお話でした。警告で、「抵触」というのが非常に微妙であるとは思うのですけれども、法令に違反していることが明らかな場合は、やはり関係省庁に通告して、きちんと取り締まってもらうということを、していただかなければいけないのではないかと思います。今までそれをなさっていらっしゃれなかった事情と、今後はどうなさる方針なのか、聞かせていただきたいのですけれども。

○社団法人日本広告審査機構宍戸専務理事 自主規制というのを私どもは標榜しておりますから、伝統的に、余り行政の手を借りずにやろうというのがマインドでございました。
ただ、例えば行政との連絡会というのを年間2回ぐらいやっておりますから、実際にはそういう情報は流れております。それは私どもの申告ではなく、例えば公取さんの時代に、ふたをあけたらJAROと公取と両方で同じ事業者を取り上げていたケースもあります。それはそれで私はいいのではないかというふうに思っております。無理に私どもが、こういうことでこうだということを行政に申し上げるよりも、行政は行政の立場でその事業者を、私どもは私どもの立場で警告を出すということもあっていいのではないかと思っております。ですから、そういうマインドで、なかなか行政まで話を持っていけなかったということがございます。

○日和佐委員 情報は行っているということでいいのですか。

○社団法人日本広告審査機構宍戸専務理事 そうです。こういう年度の統計とか。

○日和佐委員 年度で。

○社団法人日本広告審査機構宍戸専務理事 半期に1回です。

○日和佐委員 そうすると、時期を失するということはあり得ますね。

○社団法人日本広告審査機構宍戸専務理事 そういうことはあると思います。

○日和佐委員 情報としてでもいいですから、是非そのようなことをお考えいただけないかなと私は思いました。

○社団法人日本広告審査機構宍戸専務理事 はい。その辺は検討させていただきます。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 御説明、ありがとうございました。一つお伺いしたいのですけれども、インターネットは自主基準はなく非常に問題があるということをおっしゃられました。会員会社を拝見いたしますと、広告主とかたくさんありますが、例えばこういうインターネットの問題が多くなっているのであれば、プロバイダさんとか、そういう関係に何か働きかけをされているということはあるのでしょうか。

○社団法人日本広告審査機構宍戸専務理事 遅まきながらなのですが、インターネットでの苦情が相当増えてきているものですから、各インターネットの事業者さんとの情報交換会を来年より年2回ぐらい開催しようと企画しております。その中で、JAROがやっていること、お互いの悩みのあることを、出し合い少しずつ前へ進めていこうというふうに思っております。インターネット広告推進協議会という団体がございまして、どちらかというとバナー広告の方を中心にやっていますが、そこの協会とも連携をとって、彼らも倫理要綱と掲載ガイドラインというのを持っております。ただ、これに関しては、法律を守りましょうぐらいの感じですから、なかなか踏み込んでつくれていないという状況があるので、JAROとしてもできればそこに協力をして、自主基準的なものをつくっていきたいというふうには思っております。

○松本委員長 池田委員、どうぞ。

○池田委員 健康食品の表示で、今、JAROさんのお話を伺ったのですけれども、毎回、こういうことで私は同じことを言っていますけれども、普通の事業者と悪質な事業者、この一つの言葉をきちんとしてものを考えていかなければいけないと思うのです。普通の事業者であるならば、おっしゃるようにできるだけ自主規制でやっていく方が、新しいものとか、新しいものを開発できるし、非常に活性化していくわけですけれども、一方で、どうしょうもない、先ほど言ったようにどこかバックがいると。そういう人たちが現実に表面化してきているのも事実だろうし、そういうことの被害が出てきているのが、恐らくこういうことの一番の端緒になっていると思います。
そういう面で、まさしく広告という一番幅広い分野をレビューしていく団体として、悪質な業者の広告とか宣伝は、私は行政とか何とかに取り締まってもらう以外はないと思いますが、そういうことをした場合に現実にどういうことが可能なのか。なかなかその辺が難しいだろうと思いますけれども、そこを手がけないと、行政で一般論になってしまうと今度は規制ばかりになって、我々事業者としては非常に困る問題が出てくるわけです。その辺は、今、非常に不景気ですから、広告業界にとっても大事だろうし、我々にとっても大事ですけれども、そういうことが皆様方の組織の中で議題になっているのでしょうか。

○社団法人日本広告審査機構宍戸専務理事 実は私ども、「業務委員会」というのが、広告主、媒体、広告会社の3者で構成され15名の委員がおられます。会員社で皆さん会費を払っていらっしゃるけれども、審議をする広告のほとんど会員外で、やはり徒労感が出てきていました。実は先ほどの日和佐委員のご質問でお答えしませんでしたが、委員の中からも、「こんなことを毎回審議するのは、何だ」という意見が出てくるわけです。ですから、そこのところは行政にお願いしないと、処置できないねという話になったわけでございます。
審議をする方も、池田委員がおっしゃったように、真っ当な商行為をなさっている企業ばかりでございますので、当然、審議しているうちに、「これはひど過ぎる、我々では考えられない」という意見が出てくるわけです。そういう情報の共有化をすることで、事業者の方も、世の中にまだこんな広告があるのは問題だという意見も当然出てまいります。そういう中で自浄作用が働いてくると思います。他方、外部に対してどういう情報発信ができるかというのは今後の課題としてあると思います。勿論、事業者名を公表することもできませんし、私どもは何ら強制力を持っておりませんので、もう一つ頼りにしているのはメディアです。特に折込広告というのは新聞の中に入ってまいりますから、新聞社のブランドの問題もありますし、新聞社自身も注意をしていこうと。
それから、折込の販売店。実は私ども、折込事業者が40社近く会員社でおりますので、年2回情報交換会をやっております。皆さん御承知かどうか、実は折込広告というのは販売店の収入なのです。ですから、販売店の店主の意識、モラルでもって、折り込まれる、折り込まれないというのが決まってまいりますので、できるだけそこの部分で不適正なものは排除していただくように、私どもからお願いをしております。今のところ、その辺の手立てぐらいかなというふうに思っております。

○松本委員長 よろしいでしょうか。
それでは、続きまして、東京都より御説明をお願いいたします。

○東京都松下生活文化局消費生活部取引指導課長 東京都でございますけれども、健康増進法、食品衛生法等は福祉保健局が所管しております。景品表示法等の所管及び消費者からの相談などは生活文化局の方で受けております。
まず、消費生活総合センターでどのような相談を受けているのか、その状況について御説明を差し上げまして、その後、景品表示法を中心にした法執行の状況、最後に、福祉保健局の取組みについて御説明をさせていただきたいと思います。

○東京都金子消費生活総合センター相談課長 東京都消費生活総合センターの相談課長をしています、金子と申します。初めに私から、都内の消費生活センターに寄せられた相談の状況について御説明させていただきます。
資料がちょっと前後して申し訳ありません。資料2-1として東京都生活文化局消費生活部取引指導課の資料がございますが、こちらの15ページほど後に、資料2-2としまして「消費生活センターに寄せられた健康食品に関する相談について」というものが付いております。そちらの資料(資料2-2)をごらんいただければと思います。
まず、相談件数の状況ですが、平成21年度の都内の消費生活センターに寄せられた相談の総件数は12万8,000件余ありました。その中でも健康食品に関する相談は1,417件ということで、過去5か年の状況についてグラフに示してありますが、前年度比13%の減少。減少傾向が続いているという状況になっております。そのうち表示・広告に関する相談は194件寄せられておりまして、200件弱の相談が毎年寄せられているという状況でございます。
その中でも5点ほど、「主な相談事例」ということで御紹介させていただきたいと思います。
事例1として、これは表示の部分での相談ですが、がんへの効果を表示していると。フコイダンというのは海藻類から抽出される成分ですけれども、これは70歳代の女性の方からの相談でございます。夫ががんで入院いたしまして、抗がん剤を投与している状況で、息子さんが、インターネットで末期癌の患者でもよくなっているといった効果をうたっているネットを見まして、フコイダンというものを注文した。月40万ほどかかるのですけれども、70代で年金生活ということがございまして、負担が大きいので、信用ができないのであればやめようと思う、という御相談が寄せられております。
同じように表示の相談については、これはホメオパシーのサプリメントということで、30代の男性からの相談で、これもやはりネットで見たということです。インターネットでホメオパシーのサプリメントを購入した。自然治癒力を増すという表現だとか、胃腸炎とか、心身の疲労衰弱に効くという表現があったそうで、そういった広告をしているのですが、最近、報道で医学的根拠はないということがあったので、情報提供したいという相談でございました。
そのほか、実際に使ってみて体に影響が出てしまったというものがございます。事例3のホルモンバランスに影響したというものですが、これは30代の女性からです。特に若い20代、30代の女性からは、美容関係、ダイエットという相談が多く寄せられております。今回の事例では、通信販売で購入したサプリメントを飲み始めたところ、肌がきれいになったり、ウエストがくびれたり、体毛も生えなくなったということで、当時は喜んで、7年間飲み続けたという状況ですが、体毛が生えなくなることに不信感を抱きまして飲むのをやめたところ、月経不順になってしまった。お医者さんにかかりまして、婦人科で受診した結果、「女性ホルモンが過多になって、自分の体からホルモンが出にくくなっています」と。例えば不妊症、子宮内膜症といった婦人病とか、あるいは、何十年か後には子宮がんにもなるというので、「今後も飲まないように」と言われたということです。それによって不安になりまして、この商品に対しての苦情はないのかという相談が寄せられておりました。
また、事例4として、これもやはり体への影響が実際にあったものでございます。30代の女性からの相談でございましたが、これは、カウンセリングを受けますというブログがありまして、その中で「漢方で体質改善ができます」ということがあったので、実際に連絡をとって、直接会って話を聞いたということでございます。「漢方薬でなく食品なので副作用がないんですよ。体温が上がり、乳がんだった妻も元気になった」と。この特徴は、連鎖販売取引、いわゆるマルチ取引、最近はネットワークビジネスという言葉を使っているようですが、そういったネットワークビジネスなので、洗顔石鹸とかスキンケア商品もセットで購入すれば、他の会員も勧誘することができてお金もかせげるという話があって、まずは健康食品等をセットで購入して、7か月服用したという状況です。ところが、その後、高熱を出して緊急入院してしまいまして、医師からは、薬物性肝機能障害や薬物性腎機能障害の疑いがあるという診断結果が出たので返品したい、という相談があったものです。
最後に、事例5としましては、携帯電話のアンケートによって勧誘を受けたという相談で、20代の女性からの相談でございます。携帯電話に、ダイエットに興味がありますか、興味があるのであれば健康状況等についてのアンケートに協力してくださいというものがありまして、気軽な気持ちで事業者に回答したところ、「あなたはホルモンバランスが崩れています。酸性体質のため改善が必要です。改善しないとやせられません」と言われ、不安になりまして、ダイエットサプリメントの購入をクレジットで契約をした。その後、管理栄養士や看護師を名乗る女性から、痩身の指導とかサプリメントの服用方法の指示を受けて服用を続けていたのですが、効果がない。高額であるため支払いも20代にしては難しい、解約をしたいという相談が寄せられております。
実際に相談の現場で、こういった相談を通して問題点として考えているところですが、「消費者の意識」と「事業者対応」ということで分けてございます。
消費者の意識についてですが、マル1に書いてあります、健康食品やサプリメントに関する広告や情報というのは、「健康によいですよ」、あるいは「病気が治った」「やせました」といった魅力的な内容が書いてあります。実際にそれを読んだ、健康に特に不安を感じている方、あるいは、やせたいとか、身長を伸ばしたいといったコンプレックスを抱いている方は、それを見て過大な期待を抱きやすく、ついだまされてしまうということがございます。
特にインターネット等が普及してまいりますと、簡単に海外から個人輸入した商品が取り寄せることができます。そういった安全性・有効性が科学的に実証されていない商品ですとか、違法に医薬品成分が添加された製品など、さまざまな製品が混在して流通している状況でございます。実際に、そういった科学的根拠がない商品の利用によって健康被害を受けたという相談も寄せられております。
また、サプリメント等、健康食品が、錠剤とかカプセル状の形態をした商品も多く、消費者にとっては医薬品と誤認して、病気の治療とか治癒目的で利用してしまうという相談が寄せられております。そういったものにつきましては、実際に適切な医療機関を受ける機会を逃してしまうということで、こちらも問題があるかと考えております。
最後に、これは消費者の一般的な傾向ということですが、なかなか自分で調べる意欲が乏しいこともございます。特に医薬品というのは、科学的な知識、あるいは自分で調べる知識や手段も乏しいですので、どうしても広告とか第三者からの情報、いわゆる口コミといったものを鵜呑みにしてしまい、そのまま信頼してしまう傾向がございます。
次に、事業者対応についてです。これは、当センターとしても感じるところなのですが、こういう健康食品の被害はなかなか相談にあらわれにくいということがございます。と申しますのが、一般的な健康食品というのは数万円といった金額ですので、少額であることが多くございます。そもそも消費者としては、効果がなかったら契約をやめてしまう。その部分の払った金額は泣き寝入りしてしまって、そのままにしてしまうことが多く、なかなか相談に寄せられないということがあります。また、仮に相談があったとしても、うちの相談員がそういった事業者と交渉していく過程で、消費者の方に、問題点等を書面にして事業者の方に提出してください、提出したときに消費生活センターから事業者に交渉に当たりますということを提案しても、どうしても少額であることから、そんなに労力がかかるのであればということで、消費者もそこまで望まず、事業者対応に至らないケースが他の消費生活相談に比べて多くございます。
一方で、先ほど御紹介しました連鎖販売取引とか、場合によっては、エステに通うときに一緒に健康食品を勧められることがございます。そういったセット販売等については高額な契約になっておりまして、事業者対応等をとることがございます。
2つ目に、事業者に対して交渉をする場合、勧誘時のセールストークについての問題点を指摘しても、どうしても事業者としては発言を認めず、いわゆる言った言わないの水掛け論になってしまいまして、それを事業者に理解させることが難しいという状況がございます。
なお、特に健康被害等、薬事法に抵触するおそれがある場合につきましては、都内で連携をとりまして、東京都福祉保健局健康安全部に情報提供をしているという状況でございます。
私からは以上でございます。

○東京都松下生活文化局消費生活部取引指導課長 続けて、御説明させていただいてよろしいでしょうか。

○松本委員長 はい。

○東京都松下生活文化局消費生活部取引指導課長 では、改めまして、私、消費生活部の取引指導課、松下と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
資料2-1をごらんください。私ども消費生活部では、景品表示法、特定商取引法を所管しておりますが、健康食品に関する不当表示に対しての景品表示法による対応について、まず御紹介させていただきます。
指導等の端緒はさまざまでございますけれども、職権探知、都民からの申告、センターからの通知に基づいて行っているところでございます。それらを受けて、調査の上で違反が認められる表示について、事業者を指導しております。
3ページ目にまいりまして、指示・指導の実績でございます。法に基づく指示のうち、健康食品関係は21年度で1件、22年度は上半期の数字ですが、こちらも1件でございました。指導については、健康食品関係は21年度が103件、22年度が上半期で26件となっております。
具体的な事業について御説明いたします。先ほど、なかなか相談にあらわれにくいという説明がセンターの方からもございましたが、21年度から、インターネット上の広告・表示を継続的に監視して指導する取組みを開始しております。規模は年間2万件で、方法は、合計10サイトとなりますが、検索サイトとショッピングモールにおいて、例えばエコ、抗菌、ダイエットなど、毎月テーマを定めてキーワード検索を行い、上位に検索された広告の中で不当表示に当たるおそれのある表示を調査いたしまして、事業者に、口頭または文書で直接指導を行っております。また、違反につながるおそれのあるものに対しましては、注意喚起の啓発メールも併せて送信しております。
5ページにまいりますけれども、21年度の結果でございます。この事業で全指導件数が182件ございましたが、そのうち健康食品については25件でございました。その中身的な内訳、また、優良あるいは有利の不当表示別の内訳はその下に掲げてあるとおりでございます。
22年度でございますけれども、引き続き同様の規模で行っております。健康食品に関する誇大広告等が多いということもございまして、キーワード設定を増やすなどして監視・指導を強化しているところでございます。本年9月には、主にダイエット商品など24商品に関して、誇大広告等の不当表示があった事業者に対して指示も行っております。
7ページ以降は、指示の際のプレス、また、実際の不当表示例を掲載してございます。例えば8ページ、9ページをごらんいただきますと、かなり過激な言葉が飛び交っておりますけれども、こういった商品の表示について、事業者が合理的な根拠を有していなかったというところでございます。
2-7、10ページに書いてございますように、こちらの事業で検索した結果、薬事法等の法令に抵触のおそれがある広告表示を発見した場合には、福祉保健局に情報提供をしております。また、特商法に抵触するおそれのある広告表示等を発見した場合は、当課において対応をしております。
11ページをごらんいただきますと、この事業を通じて、インターネット広告上の問題点として感じているところを主に2つ挙げております。1つは、通信販売の場合、特に広告が消費者への大きな訴求要素となるためか、過激な誇大広告が目立つように思います。
2つ目は、「誰でもあしたから参入できる」というネット通販の特徴を反映してか、販売事業者に法令知識や法令遵守への自覚が不足している感は否めないところでございます。
もう1枚おめくりいただきまして、最近、健康食品に関する別の取組みがございましたので、こちらも併せて御紹介いたします。「五都県広告表示等適正化推進協議会」というものがございまして、東京都、埼玉、千葉、神奈川、静岡の各4県で広域連携を行い、広告表示の適正化に取り組んでおります。本年2月に、健康食品に関する不当な体験談広告を取り上げまして、結果、3事業者を合同指導いたしました。
13ページがプレス資料で、その次が中身についてでございます。これはやはり体験談広告で、健康食品の使用前と使用後の購入者の顏写真がございまして、健康食品の美容効果が高いように年齢の若返りを強調して写真が掲載されていたわけですが、実際の写真は購入者ではなく、プロのタレントやモデルが使われていたことが、調査の結果、わかりました。

(山口委員出席)

○東京都松下生活文化局消費生活部取引指導課長 最後のページでございます。健康食品を含めて不当表示に関する私どもの取組みでございますけれども、今後とも、適正かつ厳格な指導を行っていくことは勿論でございますが、先ほど御紹介したインターネット広告表示監視事業を継続的に行ってまいります。また、ほかの法令を所管している部署と連携を強化するということで、具体的には、消費生活行政に関して関連施策を所管する各局を横断して取り組んでいくために、東京都消費生活対策推進会議、また、後ほど福祉保健局からも御紹介させていただきますが、健康食品対策推進連絡会等、こういった場を活用して連携強化の取組みを行っていきたいと考えております。
最後に、今年度から延べ1,000名規模で、景品表示法等について事業者の法令遵守の意識醸成を図る目的のために、事業者向けのコンプライアンス講習会を開催いたしました。非常に御好評をいただきまして、定員を上回る申し込みをいただいたのですが、健康食品の製造販売事業者さんにも御参加を多数いただいたところでございます。
こういった取組みを、今後、継続・充実させて行いまして、消費者被害の未然防止、拡大防止に努めていきたいと考えております。
私からは以上でございます。

○東京都渡部福祉保健局健康安全部食品医薬品情報担当課長 それでは、私から、東京都における健康食品対策、広告だけにとどまらないのですが、先ほど説明があった消費生活センター、取引指導課の取組みも含めて、健康食品対策にこういう形で取り組んでいるというのを御紹介させていただければと思います。
資料は2-3になります。1枚めくっていただきまして、「健康食品対策推進連絡会」というのを、東京都の中に、関係部署が連携して取り組む組織として平成8年に設置しております。健康食品対策というのは、先ほど広告機構のお話もありましたが、特段健康食品としての定義がございませんので、当初我々としては、未承認・無許可医薬品、そういった視点で事業が始まっています。薬事法の視点から規制に抵触するものを取り締まる、というのが当初の事業開始の目的です。健康食品については、昭和46年から薬事法の対策として事業を行ってきたところですが、先ほど委員の方々から御意見もありましたように、関連する法令に抵触するものも見受けられるようになりましたので、関係の部署が連携して対策に取り組むという形で、平成8年から健康食品対策推進連絡会として、関係法令の部署が連携して健康食品について見ていく、そういう取組みをしております。
先ほど生活文化局から説明がありましたけれども、福祉保健局につきましては、健康増進法、食品衛生法、JAS法、薬事法の所管の部署が集まっております。その担当がこれに参画しておりますし、生活文化局の方では景品表示法と特定商取引法、この関係6法令が一体となって、健康食品について監視・指導等を行っていくという仕組みでございます。
この連絡会の具体的な事業を3ページに書いてあります。まず、監視・検査として、試買調査を行っています。これは、店頭もしくはインターネットで売られている健康食品を実際に買い上げて、その表示、広告、場合によっては成分の検査、そういったものを行っております。違反になるものにつきましては、それぞれの法令の部署で措置します。このように1つの製品について、6法令の担当が法令違反の確認を行っています。
それから、健康食品の事業者指導として、健康食品取扱事業者講習会を毎年開催しております。これも後ほど御説明いたしますが、健康食品の製造・販売にかかわる事業者に対して、法令の基礎的な知識を伝える、付与する目的で講習会を行っています。関係法令はたくさんありますので、事例検討を行うほか、関係法令を集めたマニュアルの作成、勉強をしていただくためのテキストの監修を行っております。取扱事業者からの事前相談については、特に薬事法の部署に多くの相談があり、個別に件数を把握しておりますので、後ほど紹介いたします。
次に消費者への普及啓発です。健康食品はかなりの市場規模で売られております。これまで説明したとおり、事業者指導というのは、現行の法令の範囲内で私どもとしてできることをやっておりますが、消費者の方々に健康食品について正しく理解していただくことを目的に、パンフレット、ホームページなどで情報提供に努めているところです。
最後に、安全性情報共有事業というのがございます。これは、健康食品との関連が疑われる健康被害について、医療機関と連携して東京都が収集するという事業になります。
4ページ目をおめくりください。健康食品の試買調査の概要です。平成8年度から関係部署が連携しておりますが、これは、法令違反の可能性が高いものを特に選んで購入しております。健康食品はたくさん売られていますが、中でも、これはちょっと表示がおかしいのではないか、そういったものをピックアップしています。また、関係の部署で、広告について、薬事法とか、ほかの法律に違反するのではないかというものが情報としてありますので、それを選んで買いながら、検査をしています。年間150品目程度の検査をしております。21年度の調査結果については、ここにお示ししてあるとおりでございます。
5ページに試買調査結果ということでお示ししておりますが、それぞれ関係法令に抵触するような表現があったもの、として示しています。ただし、それぞれの法律で適用できる範囲がございます。例えば食品衛生法であれば、一括表示事項の本当に簡易なものの表示ミスなど、きっちりと表示がされていなかったものも含まれています。もともと表示が適正でないものをピックアップして選んでいる結果として、それぞれの法令違反があると御理解いただければと思います。全体では8割ぐらいが法令違反というふうに、プレスの見出しに出ますが、これは、軽微なものも含めて法令違反があったということで御理解いただければと思います。
6ページは、プレス発表をした21年度のデータをそのままお出ししておりますけれども、不適正な表示・広告の例として代表例をお示ししております。まず、医薬品的な効果の標榜があったもの。それから、特定保健用食品関連です。これは健康食品の中で唯一、法令上、制度があるものですが、それに類似した表現がありました。また、優良誤認をさせるような表示。ここは、先ほど生活文化局から説明がございましたが、そういった視点での違反ということで、広告例を具体的に示して、公表しているものでございます。
7~8ページにも、実際に法令違反として東京都で公表した例をお示ししております。7ページは、薬事法、健康増進法、特定商取引法等にかかわる違反例にります。8ページの方は、食品衛生法ですとか、そういう必須事項の表示が不適正である例としてお示ししております。
9ページは、試買調査の中で薬事法に明らかに抵触する、未承認・無許可医薬品というのを発見している例になります。これは22年度、今年のデータですが、健康食品の試買調査で、タダラフィルという薬事法に違反する医薬品成分の入った健康食品が市場に流通したものを発見しました。今、未承認無許可医薬品については、私たちとしてはしっかり監視・指導を行っているところでございます。毎年必ず未承認・無許可医薬品が発見できるとは限らないのですが、今年度については発見しておりますし、年に何回か、例えば強壮系といいますか、そういったものですとか、ダイエット効果を強く標榜するものについては、明らかに薬事法に抵触するものが売られている現状が発見されているというふうに御理解ください。
この場合は、製造元を所管する自治体に通報、販売中止、自主回収、ホームページでの危険性の周知、関係団体へ注意喚起のため情報提供という、措置が行われます。これは医薬品成分の入っているもので、明らかに健康に被害があらわれるものですから、このような形で取り組みが進められます。
続きまして、「健康被害事例専門委員会」について、10ページを御覧ください。これは後ほども説明をしますが、健康食品を利用して、健康被害が実際にあるという申し出、もしくは、健康被害があったのではないかというのが、さまざまな調査結果から情報としてはあります。しかし、具体的な健康被害がなかなか行政の方に届いてこないという実情がございまして、東京都の場合は、健康食品との関連が疑われる被害事例について、医療機関と連携して収集する仕組みをつくっております。
東京都には「東京都食品安全情報評価委員会」という、食品の安全性にかかわる調査を行う知事の諮問機関がございます。この中で、健康食品についての検討を平成18年度に行っており、健康食品の使い方、行政が事業者に対する指導をどうやっていくのか、都民の方がどういう形で健康食品を利用していくのか、というのをさまざまな形で検討いただきました。さらに、その中で健康被害との関連が疑われるものについては情報収集をしていこうという方向性が示されましたので、現在、専門家の方々に集まっていただいて情報収集を行っております。ただ、これも後ほど件数等をお話しいたしますけれども、明らかに健康被害がその健康食品を原因として起きたという事例は、今のところ、私たちとしては把握しておりません。
11ページは、事業者指導になります。これは、先ほど概要のところでお話ししましたが、健康食品取扱事業者講習会を毎年開催しております。平成8年度から毎年、関係6法令の事業説明ということで開催しておりますけれども、今年度も12月に開催して、915名の方が参加しております。例年1,000名前後の事業者にお集まりいただきまして、関係法令の基礎的な知識や、表示事例を見ながら法令の理解につなげていただいているような状況でございます。また、「健康食品取扱マニュアル」の写真が出ておりますけれども、一冊これを読めば、関係法令をいろいろ引いていけるようになっており、この監修を行っています。
それから、指示・指導の実績として、件数をお示しております。薬事法については、健康食品の関連で薬事法での相談件数を、実績として把握しており、相談件数は6,000件を超えています。また、違反措置件数というのが100件を超えています。
健康増進法については、特別用途食品というものに限っての相談件数しかデータがないのですけれども、600件弱です。そのほか、食品衛生法、JAS法についても相談自体はかなり多く寄せられているのですが、健康食品に限った形でのデータはございません。
13ページ以降は「消費者への啓発」になります。都の健康食品対策連絡会として取り組んでいる事業の御紹介になります。先ほど申し上げましたように、東京都食品安全情報評価委員会で健康食品の安全性に関する検討を18年度に行いまして、この中で、消費者に対するさまざまな啓発事項がまとまりましたので、それを活用してパンフレット、リーフレット等を作成しているものでございます。
15ページは、1枚物のリーフレットですが、18年当時66万部作成して、保健所等で配布しております。先ほど、若年層でも利用しているとお話しましたが、都の評価委員会でもそういった分析があり、18年度は都内の全中学生の保護者に配布するなどの取組みを行いました。内容は、簡単に健康食品の使い方、どういうふうに考えていくのかというものをまとめたものです。
16ページでございます。パンフレット「健康食品ウソ?ホント?」として、もう少し詳細に健康食品に対する考え方を消費者の方に知っていただくことを目的としており、これは3万部作成して、保健所等で配布しているものでございます。
17ページです。年度は21年度になりますけれども、平成22年3月に、都民への情報提供としてDVDを作成しました。内容としては、先ほど御紹介しました、「誤解していませんか?健康食品」のリーフレット、「健康食品ウソ?ホント?」というパンフレットの内容が盛り込まれたDVDです。これは主に高齢者に対する普及啓発ということで、高齢者クラブ連合会等への配布を行っているところでございます。
18ページは、東京都薬剤師会と連携した事業でございますが、健康食品のデータベースです。健康食品については、広告・表示等はインターネットを含めて行われていますけれども、その製品は、どういったものが入っているのかというのははっきり書かれていない場合もございます。このデータベースに登録していただいた事業者については、どういった成分なのか、どういった製品なのかというのがわかるデータベースをつくって、都民向けに情報提供をしています。それから、東京都のホームページで「健康食品ナビ」というウェブサイトを設けておりまして、関係法令も含めた情報提供に努めているところでございます。
最後、20ページです。これは、先ほどと話が前後して申し訳ないのですけれども、医療関係者との情報共有事業ということで、健康食品との関連が疑われる健康被害について情報収集をする仕組みになります。健康食品はそもそも食品でございますので、もし健康被害が出た場合は、保健所等へ通報をして、厚生労働省への報告というのが本来です。しかし、軽微な健康被害や、もしくは、健康食品の利用との関連がよくわからない健康被害があるといわれています。また、そのような話が実際には医療関係者の方に寄せられるというデータもございましたので、東京都医師会、東京都薬剤師会と連携いたしまして、健康被害の疑いがあるものについては、少しでも情報があれば情報を上げてほしいということで取り組んでいるところです。
21ページの方に書いてございますけれども、今年の5月31日まで、延べ188製品の情報が私どもに寄せられております。先ほど言いましたけれども、明らかにその健康食品によって健康被害が起きたというものは、今のところ、ございません。体質による場合もあるでしょうし、その製品のロットによるものなのか、何によるものなのかというのがわかっていないわけです。この仕組みの中で、健康被害が、疑われるものではなく、健康食品によることが明らかだということであれば、速やかに国等に通報する形にはなっていますけれども、現段階では、「疑い」ということで188製品がとりあえずこちらに上がってきている、そういう状況です。
最後にまとめになりますが、私どもとしては、先ほどの都生活文化局の取組みも含めてそうですが、現行の関係6法令でできる範囲で、事業者の指導、事業者への啓発、消費者に対する啓発、そういったものを実施しているところです。
以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの東京都の各部局の取組みの御説明につきまして、どうぞ、御質問がありましたらお出しください。
では、佐野委員から。

○佐野委員 どうもありがとうございました。今、御説明があったように、6法律の中で非常に大変なことだと思います。国の場合は6法律それぞれ担当がばらばらにやっていますけれども、今、お聞きした限りでは、東京都は一緒にやっているとのこと。消費者にとっては非常にわかりやすいと思いますけれども、この6法律を合わせるときに、余りにも違い過ぎるので、何か不都合とか、何か困ったとか、何かそういうことがあったか、教えていただきたいのが一つ。
それから、成分といいますか、効果性能表示で景表法の第4条2項というのがあって、事業者に一定の説明責任を負わせるというのがありますが、それは国でしかできない。自治体にはその権限がないのですけれども、そういうものがあった方がいいとお思いになるか、ということがもう一つ。
それから、体験談が、いかがわしいというか、うそだということで私も非常に問題だと思っていますが、最近、もう一つ問題だと思うのは、非常に有名なタレントさん、女優さん、俳優さんが広告に出てきます。そういうことの関連をどんなふうにお考えか、もし何か見解がありましたら、教えていただきたい。
最後の質問ですけれども、小さなことも含めて約8割が違反だと、今、お聞きしたのですけれども、先ほどJAROさんにもお聞きしたように、それを規制や措置など、何かいい方法があるようでしたら、教えていただきたい。
以上です。

○東京都渡部福祉保健局健康安全部食品医薬品情報担当課長 関係6法令の適用についてというのが最初の御質問かと思いますけれども、法令でできる範囲というのがそれぞれ異なっておりますし、どれを適用していくのかというのは、特に健康食品の試買調査の方では議論になる話です。ただ、薬事法とか、景品表示法とか、明らかに事業者さん自体が指導に従わなければいけない法令の罰則も含めたものになっているものについては、そこが優先される。要するに(罰則などの)重さですが、重さからすると重いものから適用していくという形になりますので、複数の法令で違反があったとしても、薬事法もしくは景品表示法で違反ないし措置を行っていくというのが多いのではないかと思います。特に齟齬(そご)というのはないかと思います。

○佐野委員 お聞きしたいのは、例えば6つあるけれども、それを、健康食品のための法律というか、もうちょっとわかりやすい、6つではなく、もう少し少ない法律の方が動きやすいのではないか。そういうことはどうでしょうか。

○東京都渡部福祉保健局健康安全部食品医薬品情報担当課長 我々は、実際それぞれの法令を担当している部署がその範囲内で行っておりますので、それを一つにまとめてということについてのコメントは、我々としては、ないのかなというふうに思います。済みません。

○東京都松下生活文化局消費生活部取引指導課長 2つ目の御質問の景品表示法の4条2項ですけれども、都道府県の権限は、景品表示法の7条で指示をすることができると規定されており、指示・指導するときには、ケース・バイ・ケースですが、報告徴収を求めて根拠を出してもらうということを行っているわけです。そういったときに出していただいたものを見て、それが客観的・合理的に担保されているかどうかということを判断しておりますので、そういった意味では指導の中で、似たようなといいますか、同様のプロセスはある程度経ているというふうに申し上げることができるかと思います。
それから、有名なタレントさんが出てきてというところです。これはちょっとお話が違ってくるかもしれないのですが、インターネット広告でアフィリエイトなどの問題もあると思いますけれども、お金をもらってその広告推奨をしている方たちというか、そういったものを使って広告をしている場合には、お金をもらってこの人は推奨しているということを明示するというような、ガイドライン的なものをつくっていただくということが、一つの方法としてあるのかもしれないと思います。

○東京都渡部福祉保健局健康安全部食品医薬品情報担当課長 最後の、約8割がということですが、これも説明の中で申し上げましたように、非常に軽微なものから、重大な薬事法ないしは景品表示法、特定商取引法、それなりの措置・勧告等が行われる範囲の違反まで、幅が広い。私たちとしては、年間150が今の事業規模ですけれども、150件について関係の部署がしっかりチェックをしていく。違反があったものについては適正に公表していって、罰していく。プラス、事業者さんに対する指導ということで、講習会とか啓発をして、「しっかり表示をしてください」という取組みをしております。
そういう意味では、8割の違反について何か踏み込んでというのは、今の法令の中では、我々としてはできる範囲で行っていく、数多ある事業者さんの中で、全体としてどういうふうにレベルアップを図っていくのかというのが、今の事業の今の時点での取組みというふうに御理解いただければと思います。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 指示とか指導をやった場合に、どこの事業者に対してどういう指示をしたとか、どういう指導をしたという事実は、ホームページか何かで公表されているのでしょうか。

○東京都松下生活文化局消費生活部取引指導課長 指示の場合は、今日の資料にもお付けしておりますように、指示・公表ということでプレスをして、併せて都のホームページに掲出しております。

○中村委員長代理 実名ですか。

○東京都松下生活文化局消費生活部取引指導課長 はい。指導については、例えば件数などを発表することはございますけれども、事業者名は出しておりません。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 平成21年のたしか5月だったと思いますが、警視庁が東京都に、あるいは厚生労働省にもですが、要望書めいたものを出されましたね。これは、健康食品の違反業者の摘発の関係だったと思います。お聞きしたいのは、薬事法違反の措置件数が124件ありますが、刑事告発とか、要するに警視庁に通報して刑事的な手続に移るというような案件がないのかどうか。それから、私は異例だと思いますが、警視庁の文書による要請についてどういう対処をなされたのか、教えていただければと思います。

○東京都渡部福祉保健局健康安全部食品医薬品情報担当課長 まず、警視庁の方に通報する案件ということですが、薬事法の中で医薬品成分が入っているものについては、場合によっては犯罪捜査をしなければいけないような事例が出てくるかと思います。そういった部分での通報というのはありますけれども、軽微な薬事法に抵触しそうな広告とか、そういったものについては、事業者の方が速やかに改善をすれば済む話でございますので、そこの部分で告発等というのはちょっと想定しにくいのではないかと思います。
警視庁からの通知でございますけれども、私どもの薬事監視部門に警視庁の方から通知が参りました。厚生労働省にも併せて通知を発出されているようです。我々といたしましては、現行の法令の範囲の中で薬事法違反のものについては摘発を行っておりますので、「更に」ということでの通知なのではないかと理解はしておりますけれども、現行の取組みの中で適正に法を執行していきたいというふうに考えております。

○松本委員長 田島委員、どうぞ。

○田島委員 健康食品の問題につきましては、私は、まず第1に事業者同士間の自主規制、第2に行政指導が大切だと考えていますけれども、資料2-3にあります「健康食品取扱事業者講習会」と、資料2―1にあります「事業者向けコンプライアンス講習会」の関係はどうなっているのか。
それから、毎年1回、事業者講習会は開いているというふうにお聞きしましたけれども、毎年同じ人が来ているのか、あるいは、毎年違うところに案内を出しているのか。受講者数が915名というのは、東京都だけが対象でしょうけれども、多いのか少ないのか、感覚としてどんなふうにお考えになっているのか。その辺をお聞かせ願いたいと思います。

○東京都渡部福祉保健局健康安全部食品医薬品情報担当課長 まず、健康食品取扱事業者講習会について説明します。これは事業の開始が、平成8年の連絡会として始めたものというふうに先ほど御説明を差し上げましたけれども、関係の6法令の基本(の知識)を押さえていただくという趣旨です。初歩的な内容の法令の解説、違反の事例についての解説、そういったものを行っているものでございます。
今回の事例では、資料2-1で生活文化局の講習会がありましたが、それ以外にも、表示については個別の法律でそれぞれ講習会を行っております。食品衛生法でも適正表示の推進の取組みということで行っておりますし、薬事法でも表示の講習会のようなものを行っております。ただ、健康食品取扱事業者というふうに銘打って講習会を行っていますので、私たちとしては、法令の知識が全くない方も参入できる業態に対して、簡易なものからまずご理解いただくというもの、入り口としての講習会が、健康食品取扱事業者講習会なのかなというふうに考えています。

○東京都松下生活文化局消費生活部取引指導課長 私どもの方で、今年初めて開催いたしましたコンプライアンス講習会でございますが、こちらは景品表示法と特定商取引法のみを対象にしております。参加対象事業者は、健康食品のみということではなく、さまざまな事業者さんに御参加いただけるような事業ということで行っているところでございます。

○東京都渡部福祉保健局健康安全部食品医薬品情報担当課長 915名ということですが、平成8年から始まった講習会の参加人数をずっと見ていきますと、多いときは1,200~1,300名いらっしゃっていました。ここのところちょっと減って、今年が915なのですが、1,000名から1,200名の間で推移しています。事業者さん自体も、第1回からずっと長らく私たちの講習会に引き続き参加をしていただく方もいらっしゃいますし、新たに参入している方もいらっしゃいます。大手の事業者さんから中小の事業者さんまで、場合によっては、広告を扱っている方、出版関係の方ですとか、そういった方も含めていらっしゃっていただいております。初歩的な講習を行いますので、事業者の担当の方が、こういう形で法律として規制されているという知識を、その場で得る場ではないかと考えております。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 資料2-1の8~9ページ、こういう事例は明らかにひどいというので明々白々ですけれども、私が非常に気にしているのは、今、違反かどうかのぎりぎりのところで書かれているのが結構あるのではないか、という感じがするわけです。ですから、そこは是非コンプライアンス講習会等を拡大していっていただいて、事業者の意識を変える。要するに法律に違反してさえいなければいいという、そのぎりぎりの線、それで表示をすることはコンプライアンス上はよくないことである、ということを是非研修で広めていっていただきたいのです。でも、やはり多いですね。ここの対策をどうするかということが、表示としてはもう一つ大きな課題としてあるのではないかと思っています。
それで、東京都はどんなふうに考えていらっしゃるのでしょうか。大きく、「立つ、座る、歩く」と、ただ書いてある。それに効くとは書いていないんです。イメージ的には、立つ、座る、歩くがうまくいく、というようなイメージを持たせるわけですけれども、そういう場合はどういう見解ですか。

○東京都松下生活文化局消費生活部取引指導課長 文言一つひとつの問題性も見ますし、全体としてどういう形の表示になっているか。景品表示法に定められているとおりではございますけれども、どれだけその文言が、著しく消費者を不当に誘引するものなのかどうか。そういったところ全体を勘案して、判断していくべきというふうに考えております。

○日和佐委員 そうしますと、そういう表現、あるいは、身体の一部が描かれていることについては、全体的に見て判断されるということになりますか。

○東京都松下生活文化局消費生活部取引指導課長 済みません。その一部が描かれているというのは、何か絵で表示されているということでございますか。

○日和佐委員 そうです。

○東京都松下生活文化局消費生活部取引指導課長 言葉がなくて、絵だけというような状況の場合ですか。

○日和佐委員 その部位がよくなるようなイメージでね。

○東京都松下生活文化局消費生活部取引指導課長 今、この場ですと、ケース・バイ・ケースとしか申し上げられないところはあるかと思いますけれども、例えば健康食品をとることで、「すぐに効きます」「即効性があります」みたいなことが書いてあって、例えば絵があれば、やはりそれは著しく不当、誇大広告であろうというふうに判断されるのではないかと思います。

○東京都渡部福祉保健局健康安全部食品医薬品情報担当課長 今の補足になりますが、景品表示法での見解というのは今の内容になるかと思いますが、健康増進法で言えば、その商品をとることによって改善されるようなイメージであれば、全体として判断しますので、健康増進法上は望ましくないという形になると思います。なおかつ、それが医薬品のような形で売られているのであれば、薬事法違反になりますので、そういった形の措置になるのかなと思います。数多ある健康食品を、どこまで我々がチェックできるのかという部分にもかかってまいりますので、法令のそういう意味での適用といいましょうか、監視というのは非常に難しいのかなとは思います。しかし、発見されれば、全体を見て法令上の判断するというふうに御理解いただければと思います。

○日和佐委員 ありがとうございました。私は、今、広告のところで一番問題なのはその辺りではないかと。余りにもひどいものというのはすぐ摘発することができますね。ですけれども、広告を出す方も意図的に、「それは法律に触れないけれども」みたいに、それこそ触れるか、触れないかの微妙なところで出しているケースが結構多いわけです。ですから、それをどう規制していくかというのは、単純にコンプライアンスで事業者の自覚を待つだけではいささか不十分なのではないか。なぜかというと、それは意図的にやっているからです。その辺りは特に法的に何らかの措置が必要。例えば規制をもう少し強くするとか、そういうお考えというのはないですか。

○東京都松下生活文化局消費生活部取引指導課長 インターネット広告監視事業を平成21年度から開始していまして、先ほど御紹介をさせていただいたのですが、年間2万件の規模で見ております。やはりお話のとおり数が多くて、直接、口頭や文書で指導したり、指示に至った案件もございますけれども、もぐらたたきといいますか、たたいてもたたいてもなくならない、というような実感は持っております。私どもも昨年度から取り組んでおりますけれども、例えばほかの機関、あるいは国の方でも、そういった監視強化の取組みをしていただけるとありがたいなというふうには感じているところでございます。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 資料2-3の20ページに医療関係者との情報共有とありまして、21ページは、188件の医師会と薬剤師会からの報告で、この188製品については明らかに健康食品の被害と。健康食品そのものではなく、例えばその人の体質にもかかわるというお話があったかと思いますが、一般の消費者にとっては、先ほどの広告等から判断をするのは非常に難しいと思うんですね。
20ページを見ますと、「東京都の対応」というところで、健康被害に関する情報提供もされていて、厚生労働省への報告もされているということです。この情報提供は、うそか本当かと、いろいろされていることは存じあげておりますが、こういうものに関しても速やかに情報提供を、例えば消費生活センター等が発信をされておりますけれども、時期的に早くすることはできないのかなと。一般の消費者にとっては、毎日毎日、広告があふれておりますものですから、できるだけ早い情報提供をしていただければいいのではないか。そうすると、それがまた啓発普及にもなってまいりますので、是非その辺りを、今後、少し気をつけていただけるといいのではないかというふうに感じております。よろしくお願いします。

○東京都渡部福祉保健局健康安全部食品医薬品情報担当課長 先ほどもちょっと御説明を差し上げたのですが、例えば、ある健康食品の事例を具体的に御紹介したのではなく、一般的な話ですけれども、利用者が健康食品を召し上がって少しおなかの調子が悪くなりましたというようなことを、お医者さんもしくは薬剤師さんに相談をしたという事例があります。しかし、それが、果たしてその商品を召し上がったからなったのかどうかというのは全くわからない状態です。ですから、それについて私たちの方が、速やかに国に上げるとか、消費者の方に提供するというレベルにまで行っていないというのが、現段階でのこの情報の扱いでございます。先ほども申し上げましたように、その健康食品との因果関係が強く疑われるものについては、通常のルートに従って国の方にも報告を上げますし、情報提供を広くしていくという形になると思いますけれども、まだそのレベルまで行っていない情報というのが、今、集まっている情報として、件数だけですが、お示ししている状況です。

○下谷内委員 そういたしますと、その上のところに書いてあります、「安全性調査の実施」も含めてということで、東京都がこの安全性の調査をされているというふうに理解してよろしいのでしょうか。

○東京都渡部福祉保健局健康安全部食品医薬品情報担当課長 これも、特定の商品もしくは特定の成分で重篤な影響が出るような健康食品が発見された場合には、東京都独自で調査をする仕組みを条例の中で持っておりますので、対応していくことは可能ですけれども、今、まだそのレベルではないのです。

○松本委員長 今の確認をいたしますと、20ページの右の方の矢印の上の、3つの方向に行くようなケースはまだ出ていないということですね。

○東京都渡部福祉保健局健康安全部食品医薬品情報担当課長 そのとおりでございます。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 2つございます。薬事法違反、特にみなし薬品は、私は弁護士なのですが、弁護士の目から見ても判断基準が非常にわかりにくい。消費者にとってもわかりにくいし、事業者にとってもわかりにくいわけです。結局、総合的に判断するですものね。薬効をうたったということと、商品の形状とか、そういうものから総合的に判断するという話だから、これは、都の担当としてもなかなか悩ましいところもあると思います。だから、もうちょっとわかりやすくできないものかなとは思うのですが、その辺について厚労省と、もう少しわかりやすくする協議はないのか。都は、まだ人が多いからできるかもしれませんが、県などではなかなか難しいだろうと思います。私が聞くのは、都でも机の上に決裁しなければいけないものが山ほどたまっている。薬事法違反かどうかの判断に迷っていらっしゃるというか、来る日も来る日も判断の仕事で大変な思いをしているという話も聞くのですが、もうちょっとわかりやすくできないのかなと。都に聞くのも変かもしれませんが、どういうふうに思っておられるのか。これが一つ。
それから、指示を行った健康食品の不当表示の例ということで、先ほど幾つか挙げられていまして、これは景品表示法に基づく不当表示なわけですが、景品表示法は不当表示といった場合は、広告も勧誘も含みます。電話による勧誘で優良誤認をしても、これは含まれると思います。ところが、条文上、食品衛生法は表示といった場合には、商品の包装に書いてあるかどうかということに限定されるわけです。だから、食品衛生法と景品表示法で建付けが違うわけです。
私は、昨日、ドラッグストアでしげしげと見てみると、薬と同じような形状のものがよく見ると食品と書いてあって、確かに薬効は何も書いてないのです。ところが、日常的にテレビや週刊誌、インターネットで、「これによって私は元気になりました」とかいう宣伝が出ているものだから、消費者は、これは当然効くものということでそこにパッと行く。確かに表示はないけれども、今、日和佐委員が言ったように、まぎらわしいこと、微妙なところをやりながら、「売らんかな」の宣伝をしながらやっているわけです。
景品表示法の建付けと食品衛生法の建付けの違いで、現場で、もうちょっと整合性があった方がやりやすいのにとか、その辺はお感じになることはないのかどうか、その2点です。

○東京都渡部福祉保健局健康安全部食品医薬品情報担当課長 まず、薬事法のお話かと思います。非常に多くの相談があるというお話は先ほどの相談事例のところでも御紹介したように、年間6,000件ですとか、そういった相談がございますので、かなり多くの対応があるのかなと思います。実際、健康食品が医薬品まがいになるのか、ならないのかという部分の話で言うと、食薬区分という医薬品と食品の線引きをしているものについて、個別に判断していかなければいけないケースというのがございますので、事業者さんも含めて非常に難しい部分なのかなと思いますが、我々は、地方行政の窓口としては現行の中で適切にやっていく。ただ、薬事法とか健康増進法で、総体としてまぎらわしいものは、事業者に対してアプローチして、指導していくという形でやっております。今の法令の範囲の中では、できる範囲で対応しているんだというふうに御理解いただければと思います。

○東京都松下生活文化局消費生活部取引指導課長 先ほどの景品表示法と電話勧誘行為のことですけれども、後に残りませんので、景品表示法運用上は現在は対象にしがたいところもあります。

○山口委員 その2つの建付けが違うのは、現場で混乱はないのですか。

○東京都松下生活文化局消費生活部取引指導課長 その点に関しましては、今、福祉保健局からお答えしたとおりで、私どもは法の範囲内で、それぞれ現場で執行しているというところでございます。

○東京都渡部福祉保健局健康安全部食品医薬品情報担当課長 もう一つ、食品衛生法の表示というのは、基本的に商品というお話ですけれども、一般の方から、この広告が何とかならないのかという御意見はいただくのですが、我々も法令の執行できる範囲でということで対応し、その部分で対応せざるを得ないというのが状況です。
では、それを一緒にする制度設計がどうなのかというのは、我々の監視指導もどう行っていくのかにもかかわってくる話です。ただ単に規制を全部強化して、強化された分、我々がすべてチェックをする仕組みがいいのかどうかというのは、行政運営上の効率とか、事業者の指導をどうしていくのかという部分も含めて、総体で判断されるのかなというふうには思います。

○松本委員長 今の山口委員の御指摘の食品衛生法による表示規制というのは、基本的には義務づけ表示が中心で、景表法のように、誇大表示をしてはいけないという部分は、実は第20条に少しあるわけですが、ここでは、「公衆衛生に危害を及ぼすおそれがある虚偽の又は誇大な表示又は広告をしてはならない」、こういう書き方で、広告は入っているわけです。ただ、「公衆衛生に危害を及ぼす」という限定がかかっている。危険性が高いのに安全であるような感じの表示であれば、ここに入ってくるのでしょうが、効能効果がないのに、あるかのように言っているだけでは恐らく入ってこない。景表法違反には該当するとしても、食品衛生法上は違反ではないということになる。
他方、健康増進法第32条の2では、健康の保持増進の効果に関する表示だけではなく広告についても誇大表示の禁止というのを入れておりますから、健康増進法でいけば、誇大広告は景表法とほぼ近いレベルで規制は可能なのでしょうが、残念ながら、ここの部分の規制権限は東京都には下りていない部分ですね。厚労省本体がやっている。

○東京都渡部福祉保健局健康安全部食品医薬品情報担当課長 健康増進法の第32条の2に関する部分につきましては、各保健所が事業者自体を指導しています。ただ、最終的な勧告ですとか、上のレベルの措置をする部分については国の役割となっておりますので、そこの差はあるのかなと思います。
ただ、健康の保持・増進効果についてどこまで書けるのかというのを、事業者さんの方は販売の目的がございますので、軽微なものであれば、我々が指導をして修正をするという形になると思います。それを一律、これは間違いだ、間違いの事業者として公表しなければいけないというところまで一足飛びに行くのは、今までの我々の法体系、法執行上の部分で言うと、ちょっと難しいのではないかと思います。健康増進法についても自治体としてできる範囲で対応しております。

○松本委員長 よろしいでしょうか。
中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 先ほど東京都から、指導してもまたやって、もぐらたたきというお言葉が出たし、JAROさんの方も、せっかく改善の申入れをしても、「改善しました」という答えを出して、また別の広告媒体で同じことをやられる。皆さんそこがお困りのところだと思いますけれども、これにどうやって対応したらいいかということで、一つの方法は、指導の段階であっても、この事業者に対してこういう申入れをしたとか、こういう指導をしたということが実名で公表される。これは結構効果があると思うんですね。
一昨日、消費者庁がこんにゃく入りゼリーの指標を発表したときも、あれも法律による命令とか何とかではないので、どうやって守らせるかというときに、記者会見で、消費者庁の方が公表ということをやはり使おうということを言っておられた。業者に申入れをして、その後こうなりました、あるいは、したがってくれませんでした、とか、そういうことを公表することによって、社会全体で監視して守らせる方向に誘導していけるのではないかと思います。その点について、JAROさんと東京都のお考えがあったら、御感想でも結構ですけれども、一言いただければと思います。

○社団法人日本広告審査機構宍戸専務理事 例えば行政も、文書を出すと、「おそれがある」という言葉を使っています。我々も民間ですから、「おそれがある」という言い方とか、事業者名を公表するというと、訴訟リスクを考えてしまうわけです。今まで私どもは訴訟されたことはありませんが、今の時代、すぐ訴訟してくるのではないかと、その辺が一番留意しなければと思っております。行政であれば、そこは法の執行で処分できるかもしれませんけれども、我々の方は、そこはなかなか難しいなという感じがしております。

○東京都松下生活文化局消費生活部取引指導課長 行政の立場ではございますけれども、行政指導ということですと、法律上にきちんと規定されたものでは、景品表示法上、そこまでの権限は都道府県知事にはないという部分もございます。訴訟リスクということもございますし、事業者がどこまで指導を踏まえて改善していただけるのかというところについては、もうちょっと権限がないと難しい部分もあるのかなというのは、正直、感じるところでございます。

○松本委員長 今の質問は、指導した段階で即公表しろという趣旨ですね。その指導に従わなかった場合というのは現実にありますか。東京都として、正式の処分ではない、行政指導に従ってくれないというケースは。

○東京都松下生活文化局消費生活部取引指導課長 ほとんどないかと思います。

○松本委員長 そうしますと、東京都が動けばそれなりに従っていただいているのが現状だということですか。

○東京都松下生活文化局消費生活部取引指導課長 景品表示法においては、指導すれば従っていただいているのが大多数であるかと認識しております。

○松本委員長 それは、民間の自主規制機関の場合に比べて、行政機関だから、それなりに尊重してもらっているということですか。

○東京都松下生活文化局消費生活部取引指導課長 どうなのでしょうか。そうなのかもしれませんが。

○松本委員長 どうぞ。

○東京都渡部福祉保健局健康安全部食品医薬品情報担当課長 健康増進法の部分、薬事法の部分でも、基本的には指導に従っていただいているのが現状です。法令上の権限の話というのがありましたけれども、東京都も、ほかの条例等で事業者の公表ができるような規制というのを持っていますが、指導した段階でいきなり公表するというのは、通常、都の条例の他の規定においてもありません。事業者が、瑕疵の部分で間違ってしまった、ついうっかりやってしまったというところまですべて公表していくのか、というのは非常に難しいのかなというふうに思います。先ほど言いましたように、我々が指導した範囲では、「次のものから改善します」という内容がこちらには書面で上がってまいります。どういう仕組みにするのかというのは、我々のこれまでの対応の範囲を越える部分はあるかと思いますけれども、我々のこれまでの指導の一般的な仕組みから考えると、これは間違っていました、改善しましょうということであれば、それに従っていただくのが通常の形かと思います。

○中村委員長代理 指導する段階ではなく、もう一つ後の指導した結果で向こうがどういう対応をしたかという、そのレベルになったら公表してもいいのかなというふうに思うのですが、いかがでしょうか。

○東京都渡部福祉保健局健康安全部食品医薬品情報担当課長 先ほどもちょっとお話ししましたけれども、氏名を公表するというレベルまで、法令、条例を執行しているケースは今までないかと思いますので、新たな概念なのかなというふうに思います。指導経過も含めて速やかに公表していくというのは、今までの体系とは少し違う仕組みなのかなというのが感想でございます。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 指導に従っているのか、それともJAROさんがおっしゃったように、指導して、ハイと言って消えてしまって、また全然違う名前で出てくるのか。そこの辺りがよくわからないので、もしわかったら教えていただきたいのと、事業者名公表の場合、例えばJAS法の原産国表示で、明らかに意図的だとわかったときには、指導の段階で公表するというのが新しくできました。そういうこともできるのではないか。うっかりしたというのではなく、意図的なものがこの業界では非常に多いような気がするので、それはできるのではないかなという気がしますが、いかがでしょうか。

○東京都渡部福祉保健局健康安全部食品医薬品情報担当課長 先ほどと答えが重複するかもしれませんが、今までの範囲で行ってきた部分では、新しい枠組みで公表という枠組みが示されれば、そういう対応はあるのかなと思いますけれども、通常は、軽微なものであれば、それが適正に変わっていけばいいというふうに思います。公表というのは、個人的な部分も含めて、我々としては非常に難しい問題ですので、今の中でできる範囲で対応しているというのがお答えになるかと思います。
それから、指導した業者がいなくなるか、いなくならないかということについては、我々はそこまで追いかけていないといいましょうか、そもそも健康食品は食品でございますので、販売自体は自由なものですので、なかなかそこは難しいのかなというふうに思います。医薬品のように一つひとつ登録許可、そういったものであればそういう対応もあるかと思いますけれども、現状では、把握していないというふうに御理解いただければと思います。

○東京都松下生活文化局消費生活部取引指導課長 私は先ほど、もぐらたたきという表現を使ってしまいましたので、もしかしたらちょっと誤解を招いてしまったのかもしれないのですが、必ずしも同じ人が、たたいても別のところから顔を出すということだけではなく、とにかく数が多いので、やってもやっても全体として全然なくならない。それから、指導をするときに、「みんなやっているじゃないか、どうして自分だけ」というようなことをおっしゃる場合がございます。特にインターネット通販の場合は、誰でも明日から始めようと思えば始められるという特徴もございますので、全体としての法令遵守に関する意識のレベルアップを図っていくことも重要なのではないかと思っております。

○松本委員長 どうぞ、山口委員。

○山口委員 指導を行った景品表示法違反の実例の中で、例えばダイエット食品のメーカーや販売店が「レースクイーンが15KgもDOWN!?」というのを書いたら、それはとんでもないと思いますが、例えばAという食品の友の会とか、Aという食品のファンクラブが、「これはすごいよ」「この食品でおれはこれだけやせました」「糖尿病がおかげさまで治りました」という感謝の集中のブログ。実質は業者が絡んでいるのかどうかわかりませんが、勿論言うまでもなく、ファンクラブが、この商品はすごい、糖尿病が治る、ガンガン治るとか、ブログで書く分には全然構わないわけです。それが、事業者がやっているのか、それとも純粋にファンクラブがやっているのか、その辺の見極めというのは非常に難しいと思いますが、現場ではどうなさっているのか。

○東京都松下生活文化局消費生活部取引指導課長 まさにおっしゃられるように、見分けというか、非常に難しい部分がございます。先ほども申し上げたアフィリエイトなどの問題にかかわってくると思いますけれども、お金をもらってその商品を推奨している人たちに関して、何かしらの規制なりガイドラインというものがあれば有効なのではないかというふうに思っております。

○松本委員長 どうぞ。

○社団法人日本広告審査機構林事務局次長・審査部長 実際にそういう広告を審査して審議しておりますと、私どもの場合は、JAROの限界ということもありますが、広告主を特定して、広告主に対してものを申すというスタンスにしております。
ただ、最近のインターネットですとドロップシッピングのような形がございまして、実際にそのホームページで売っているのは極めて小さな個人事業主で、むしろその人も、ホームページに出せばもうかると。要するに商品の値段というか、利益分だけを自分のところで決めて、あとは供給から、契約から、回収から、下手をすると広告のコピーまで全部用意されていて、それを100万で買うとか、そんな形もあります。私の方も、販売事業者ではなく、その先の製造事業者、ないしは企画をしている、主体となっている事業者までなかなか追及できない。これはきっと、この裏にもう少し主体的な方がいるのではないかなというケースとか、そんなのもときどきございます。

○松本委員長 ほかにございませんか。
さまざまな御質問等が出されましたが、大きな柱として、本当の意味での悪質な業者の問題と、そうでない普通の業者がたまたま安易に広告をして、よくわからなくてやっている。あるいは、ちょっと間違えてやっているというレベルと、かなり質が違うでしょうから、それほど悪質でない業者については、適切な警告、指導等で是正されていく可能性がかなりあると思いますが、その両者の見分けができないというのが一つ大きな問題かと思います。本当の意味での悪質な業者について、きちんと制裁を加えていく仕組みがとられていないことによって、本来はそれほど悪質でなくても、ああいうのがいいのだったら我々もそうしないと商売に差しさわる、という安直な気持ちでやっていく方が実際はかなりの割合を占めているのだとすると、そういうトレンドを変えていくためには、一番悪質な部分をきちんと規制して摘発する。あるいは経済的な制裁をもっと加えて、商売成り立たないぞというぐらいにするような、さまざまな形で手を打っていく必要があると思います。
強制的な規制は、やはり行政当局でないとできないと思いますから、そういう点、一番抑止効果のある形で規制を続けていっていただきたいと思います。自主規制機関の方は、恐らくそういう悪質な部分まではとても手が回らないでしょうから、どうやっていいかわからないような方に、適切なガイドライン、自主的な基準を示して、それが相場なんだということを生かしてもらう、そういう分担があるのではないかというふうに感じた次第です。
本日は、日本広告審査機構及び東京都におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。
本日の議題は以上でございます。

≪3.閉会≫

○松本委員長 最後に事務局より、今後の予定等について御説明をお願いいたします。

○原事務局長 今年最後の消費者委員会ということで、長時間の審議、御協力、ありがとうございました。
次回は、来年、年を明けて1月14日(金曜日)の15時からを予定しております。議題については、改めて御案内させていただきます。
本日のテーマについては、引き続き検討を進めていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

○松本委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。よいクリスマスとよいお年をお迎えください。

(以上)