第29回 消費者委員会 議事録

日時

2010年7月9日(金)15:00~17:10

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 松本委員長、中村委員長代理、池田委員、佐野委員、下谷内委員、田島委員、
 日和佐委員、山口委員

【説明者】
 独立行政法人国民生活センター
  宮内相談部長、河岡調査役
 社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会
  大谷消費者相談室副室長
 社団法人全国消費生活相談員協会
  菅理事長
 消費者庁
  野村消費者安全課長
 厚生労働省
  俵木基準審査課長、道野輸入食品安全対策室長
 農林水産省
  津垣食品産業振興課長、春日特産農産物対策室長

【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長、野崎参事官

議事次第

1.開会
2.決済代行業について
 ○独立行政法人国民生活センター
 (説明者:宮内相談部長 他)
 ○社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会
 (説明者:大谷消費者相談室副室長)
 ○社団法人全国消費生活相談員協会
 (説明者:菅理事長)
3.こんにゃく入りゼリー事故について
 ○消費者庁
  (説明者:野村消費者安全課長)
 ○厚生労働省
  (説明者:食品安全部 俵木基準審査課長
        食品安全部監視安全課 道野輸入食品安全対策室長
        食品安全部企画情報課 藤田課長補佐)
 ○農林水産省
  (説明者:総合食料局 津垣食品産業振興課長
        生産局生産流通振興課 春日特産農産物対策室長)
        消費・安全局消費・安全政策課 西村課長補佐)
4.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:17KB)
【資料1】 「「絶対儲かる」「返金保証で安心」とうたう情報商材に注意!」他説明資料(独立行政法人国民生活センター提供資料) 【資料2】 「支払サービスのトラブル防止」に関する要望書及び説明資料(社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会(NACS)提供資料) 【資料3】 多様な決済サービスについての制度整備に関する要望書(社団法人全国消費生活相談員協会提供資料) (PDF形式:355KB)
【資料4】 食品SOS対応プロジェクト会合資料(消費者庁提供資料) (PDF形式:12KB) 【資料5】 こんにゃく入りゼリー事故関連資料(厚生労働省提供資料) (PDF形式:380KB)
【資料6】 こんにゃく入りゼリーに関する業界の取り組み状況等(農林水産省提供資料) (PDF形式:401KB)
【資料7】 こんにゃく入りゼリー問題の扱い方について(意見)(櫻井敬子委員提供資料) (PDF形式:16KB)

≪1.開 会≫

○齋藤審議官 それでは、時間になりましたので、本日は皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。
ただいまから、第29回「消費者委員会」の会合を開催いたします。よろしくお願いします。

≪2.決済代行業について≫

○松本委員長 それでは、議題に入りたいと思います。本日最初の議題は「2.決済代行業について」です。このテーマはタイミングよく今朝の朝日新聞でかなり大きく取り上げられた問題でもございます。
ここ数年、決済サービスの多様化に伴いまして、支払いに関するトラブルが増加しており、平成21年11月には社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会NACSにおきまして「カードなんでも110番」を行い、また平成22年5月には社団法人全国消費生活相談員協会において、クレジットカード取引110番が実施されております。それぞれ多くの相談が寄せられたと聞いております。また、両団体からは消費者委員会あてにそれぞれ要望書もいただいております。
本日は決済代行業に関するトラブル等につきまして、ヒアリングを行いたいと思いますが、当初予定をしておりました2つの団体に加えまして、独立行政法人国民生活センターにもおいでいただいております。
まず初めに、国民生活センターから最近の相談状況等について御説明をいただき、続いてNACS、全相協の2団体からヒアリングを行いたいと思います。
それでは、初めに国民生活センターから説明をお願いいたします。

○宮内相談部長 決済代行業者が関与した相談ということでは、出会い系サイトとか収入が得られる方法とか必ずもうかる方法、こういった情報を販売する情報商材といった相談が最近急増しております。一昨日、消費者委員会の事務局の方からPIO-NETの件数という要請があったわけですけれども、PIO-NETの蓄積してある件数の中から、この決済代行の件数をずばり正確に出すようなことは、なかなか難しいところがあります。
そこで今日は決済代行業者が関係した消費者トラブルということで、最近公表しました情報商材のトラブル。その仕組みを図にしたものを中心に御説明させていただきたいと思います。相談の調査役をしております河岡調査役の方から詳しい内容を説明させてもらいます。

○河岡調査役 御説明申し上げます。今、申し上げましたように、消費者苦情の中で決済代行会社が問題であるとか、決済代行会社そのものに関するということで苦情の申し出ということではなくて、情報商材というネット上で情報を買った場合とか、もう一つ多いのが出会い系サイトの利用料を払うとき、大概がクレジットカードで決済したときに相談になるのですが、そういう相談を受けて、消費生活センターで御相談を詳しく伺った場合に、その決済手段の中で決済代行サービスが出てくるというのが実情でございます。
ですから、今、申し上げましたように、決済代行サービス業者そのものの苦情ということではなくて、やはり消費者苦情としては今もっとも目立つのが、出会い系サイトの利用に関わるトラブルと、3月に公表いたしました情報商材に関わるトラブルというところで目立っております。
具体的に資料は公表資料でございますが、用意いたしました。お手元にあります『「絶対儲かる」「返金保証で安心」とうたう情報商材注意!』(PDF形式:370KB)という3月17日に公表したものでございます。これは決済代行にポイントを当てたものではなくて、情報商材の購入についてのトラブルをまとめたものでございます。
ただ、この中で決済代行との関わりで申し上げますと、資料中の3ページでございますが、図6に支払方法を円グラフでお示ししました。これは代金をどのように支払ったかということを分析したものでございますが、約半分が販売信用ということで、大半がカードで決済したという場合になっています。ネット取引においてカード決済が可能であるということは、決済代行会社が介在しているというか、そのサービスを利用しているということがうかがわれると考えております。
申しましたように、情報商材のトラブルで決済代行会社そのものをターゲットにしたわけではないですが、6ページに書かせていただきました「3.相談事例から見た問題点」として、消費者がモール業者を介して情報商材を購入する際カードを使い、その際にカード会社からの請求は決済代行会社の名前で上がってくると、ここに書かせていただきました。ここで事業者の名前が具体的に出てくる。自分が情報商材を買った相手方の名前ではなくて、ここで決済代行業者の名前が出てくることで、消費者は決済代行とは言いませんけれども、知らない事業者からの請求が上がったと。消費生活センターに相談して、そこで決済代行会社だとわかるということになっております。
具体的に問題点というか、消費生活センター及び国民生活センターで問題ではないかと考えているところを御説明いたします。
公表資料の中では付けなかったのですが、今回の資料に付けさせていただきました。ページが振っておりませんが、10ページの裏側で御用意いただいた資料では、資料1-2(PDF形式:16KB)でございます。図を簡単にお示し申し上げました。これはネット上のショッピングモールを通じて、情報商材を買った場合で、かつクレジットカードを使って代金を支払った場合の決済の流れでございます。わかりにくいのですが、消費者は情報商材という商品を買う場合に、ネット上のモール業者から購入いたします。その代金の支払はお手元の消費者が自分で持っているクレジットカードを使って決済するわけです。消費者に見えているのは、このモール会社、モール業者であり、クレジットカード会社だけでございます。
このような図は情報商材の購入の中での図というだけでなく、この情報商材、モール業者というところの出会い系サイトの事業者と置き換えて読んでいただいてもよろしいかと思います。
このような取引図の中で、やはり消費者相談の現場として解決が図られない点を挙げてみたいと思います。消費者から見ると、このモール事業者が見えており、またカード会社が見えているわけですが、皆さんは御存じのとおり、モール業者とカード会社を直接つなぐものというか、契約関係はございません。カード会社から海外のこういう海外ブランド、国際ブランドを通じて、対外か海外のアクワイアラーという金融機関やカード会社に飛び、その先に今度は決済代行会社が付き、その先にさらにモール業者となっております。通常、私どもは苦情を受けた場合には、売買契約上の問題点をもってカード会社に事情を話し、交渉していくところでございますが、こういう取引図の中ではカード会社からそのモール業者は自分たちは知らない。海外を経由して取引先であるので、直接何か言うことはできない。具体的に言えば、加盟店ではないので、加盟店指導とか加盟店管理の対象ではないというふうに言われておりまして、実際に相談トラブルの解決が難しくなっているのが実情でございます。
私どもから見ますと、やはりカードを使って、加盟店の問題があるという図式ではあるのに、やはりいくつも介在する、つまり決済代行会社が入ることによって、このような問題がある事業者との取引が可能になっているという実情があるということを御報告したいと思います。
簡単ですが、以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
続きまして、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会から御説明をお願いいたします。

○大谷消費者相談室副室長 日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会の大谷です。私どもの方は、昨年11月に「カードなんでも110番」ということで、最近さまざまな支払いに関して、決済に関してのトラブルが多く寄せられておりますので、110番をやりました。その中でさまざまなお声が寄せられて、決済代行に関してもお声が寄せられましたので、今年の1月に私ども協会の方から消費者委員会並びに関係省庁の方に要望という形で上げさせていただいております。
資料2-1(PDF形式:27KB)がその要望書になっております。この「カードなんでも110番」は、さまざまな決済手段でしたので、その中で今回は特別に決済代行だけということで110番の報告書もお手元にお配りしておりますが、抜粋してその場所だけ今回の資料で出させていただいております。
決済代行に関係する相談自体は4件と少なかったのですが、私どもNACSの方でも週末相談をやらせていただいておりますが、2009年度から決済代行が関与する相談が急増しておりまして、なかなか被害の救済、解決に結び付かないという事案を抱えております。特に要望として挙げさせていただいたのは、決済代行業者に関しては何の法規制もないことから、消費者被害の救済を図るときに私ども窓口から何の法的な根拠もないものですから、言っていくことがなかなかできないという苦い側面を持っております。
特にこの決済代行サービスに関しては、ほとんどの場合がインターネットでの取引、通信販売、こういったものに起因しているものが多くて、それの決済手段をクレジットカードでしたところ、御自身たちは全く気づかないまま、海外のアクワイアラーを通して、決済代行業者を通しての決済になっていたという事例がほとんどです。
その具体的なものを参考までにお話ししたいと思いますが、資料2-3(PDF形式:58KB)に具体的な事例を載せさせていただいております。特に決済代行業者が関与するケースで多いのが、出会い系サイトの取引のとき。それと情報商材などをネット上で買われたたときが一番多く寄せられている御相談です。
資料2-3の特に事例の1のような、直接出会い系サイトに登録をして、すぐにクレジットカードで決済をするというようなものよりも、例えば占いサイトやソーシャルネットワーキングサービスなどを通じて、出会い系サイトに登録するようにお誘いがあり、そこでいろいろとメールのやり取りをしているうちにポイントが必要だということで、そのポイントの代金をクレジットカードで決済をしている方がほとんどです。
やはりそのサイト自体がポイントを使わせるために、短期間にメールのやり取りを頻繁に行うような仕組みになっていて、中にはサクラではないかと思われるような相手の方とのやり取りが頻繁に行われております。短期間のうちに10万、20万というようなポイントを使わざるを得ない。そういうような状況にあるのが、こういった出会い系サイトなどでクレジットカード、決済代行業者が関与するケースが多く見られます。
私どもが要望させていただいた第1の趣旨は、相談を通じて聞いていると、決済代行業者が存在していることに消費者の方が全く気づいていないケースがほとんどでした。初めてクレジットの明細が送られてきて、わからないドル立てとか海外の通貨で決済が行われるというような明細を見て、初めて一体これは何を使ったのだろうということで気づかれるケースがほとんどです。
被害の救済のためには、私ども窓口ではクレジットカード会社を通じて業界ルールでチャージバックなどの措置を取ってほしいというような申し入れをした上で、何とか救済しようと考えているのですが、あくまでもそのシステムは業界のルールということですから、すべての場合にそれを適用してもらえるという場面があるわけではないです。それで救済が図られないケースというのもたくさん出てきております。
私どもとしては、こういった決済代行が関与するようなケースということであれば、やはり消費者が明確に見えるように何らかの法規制が必要になってきているのではないかと思います。なるべく被害救済を図るために有効に使えるような、そういう仕組みのものをつくっていただきたい。そういうふうに考えております。
以上です。

○松本委員長 ありがとうございました。続きまして、全国消費生活相談員協会から御説明をお願いいたします。

○菅理事長 全相協の菅と申します。よろしくお願いします。
まず私の方からは事例を発表させていただきます。資料3(PDF形式:355KB)でございます。これは2010年5月ですが、全国7支部で一斉に行ったクレジット110番の事例です。パソコンで出会い系サイトに登録して何十人もの相手と地元で会う約束をしましたけれども、結局は相手方から風邪を引いたとか、けがをしたとか、急用ができたとか、そういうことでドタキャンをされています。メール開始後は2~3か月で連絡は途絶えてしまう。次の相手を見つけるためにまた繰り返して2年が過ぎました。その間でこれまでに200万以上は払っている。クレジットカードでもって一括払いをしていても、後からリボとか、そういうものが今、進められておりますので、リボ払いの残債が100万円残っていて、この相談の時点ではこれ以上支払いたくないという申し出。
事例の3番では、息子が夫の財布から家族カードを抜いて、パソコンの出会い系サイトのポイント購入に使用していた。多額の利用料が請求されたけれども、夫が支払わないといけないのか。
私どもは土曜日と日曜日に週末相談をやっておりますが、その中の事例では事例2のところで出会い系サイトのサクラにだまされて300万円を払ってしまった。カード決済分の10万円が残っているので、これを支払いたくない。
次のページに行きまして、事例3によりますと、1年以上出会い系サイトを利用して高額な料金を支払ってきた。メールの相手から会いたいとか、お金をあげるなどと言われて、長い間メールをやり取りしてきていますけれども、会えたこともお金がもらえたこともなかった。料金はカード3枚とキャッシングなどで総額500万円を支払った。
よく全国でも起きている相談で多いのが、事例5番の躁うつ病とか、心の病を持った方々がこういう問題に引きこまれている。この方もお父さんやお母さんのカード、相談者は妹さんですけれども、妹さんのカード、姉と妹はあまり違いがわかりませんので、身分証明書をコピーして、消費者金融から借りて払っている。こういう事例が非常に目立ちます。
それでもって、この決済代行の問題点を考えますと、やはり懸賞サイトに登録とか、友達を装った不審者からのメールによって、消費者は有料サイトに誘引されております。それで懸賞に当たったとか、芸能人が友達になってほしいと言っている。メールにかかる費用は自分が負担するからメールを続けてほしいとか、会ってくれたらお金をあげるとか、そういう詐欺的文言で振り回されておりまして、高額な利用に結び付くと。利用者を欺いて高額な利用をさせていることが明らかですので、これを私たちは振り込め詐欺の一種と変わらないのではないかと判断をしております。このほかに悪質なサイトには、この出会い系サイトだけでなくて、ギャンブル必勝とか内職関連とか、そういう問題も起きております。
この決済代行がなぜ法的規制を受けていないかということが一つの問題ですので、私たちは、しばらくは割販法の改正とかを期待していたのですけれども、昨年12月1日施行の改正法にも盛り込まれておりませんでしたので、今のところ、こういう規制はなくて野放し状態になっているという業者の存在をやはり早めに法的なフォローが必要でないかということで疑問視して要望書を出させていただきました。
以上です。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの三人の方からの御説明につきまして、御質問あるいは御意見がありましたら、どうぞお出しください。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 まず実態ですけれども、相談員協会の方にお聞きしますが、例えば事例2、あるいは事例1でもいいのですが、1,300万円や300万円を払っておられますね。この場合に相談員協会としては、どこに請求するように指導をなさるのか。あるいはその点については、どういうふうに相談者に指導なさっているのか。この事例3もそうですけれども、何百万円かをすでに支払ってしまった場合に、どのように対処されているのか。現状を教えていただければと思います。

○菅理事長 私ども相談現場では、サイトが残っていれば、そのサイトが確かに電子消費者契約法にのっとっているのかどうか。そこら辺から探してきまして、まずはクレジット会社に対して支払を停止する。決済代行業者の方にもやはり相談者の方から、事の成り行きをお手紙に書いていただいて、それに私どもが助言や支援をしながら、大体が事実であるとか、そういう公序良俗に反しているとか、そういうことをかんがみながら、返金してもらっているものもあります。
ただ、先方もサイト業者がはっきりわかれば、割かしやりやすいのですけれども、時々どこのサイト業者なのかわからないという事例もありますので、そこのところがネックです。

○山口委員 これは恐らくほとんど共通していると思いますので、つまり消費者の方はこのイシュアーとの取引の認識はもちろんあるわけでしょうけれども、自分の身に覚えがない請求がアクワイアラーから来るということになるのでしょうか。それのシステムをまず確認したいです。

○菅理事長 身に覚えがないというよりも、どういう構図に巻き込まれているかさえわからない。最初は手持ちの現金でコンビニから払ったりしていますけれども、そのうちお金が枯渇してくるとクレジットカードがありますよ、持っていませんかということで向こうの方からの誘いでもって、クレジットカードを自分が持っていなければ、親のものを持ち出して、記号番号さえ伝えれば、それでOKなものですから。

○山口委員 共通認識を持ちたいのでどなたでも結構ですが、この場合、その消費者の方に請求がどこから来るのか。

○松本委員長 それはイシュアー以外はあり得ないわけです。自分の契約しているカード会社から請求が来て、自分の銀行口座から自動的に引き落とされるのが普通の形ですね。

○山口委員 その場合に、サイト業者は国内法人からの支払いを受けているわけですね。周り回って結局イシュアーはアクワイアラーにもう支払いをしていると。支払いをしてしまったのでイシュアーから消費者に請求が来るということになるわけですね。その場合でも、イシュアーが場合によっては消費者に返すこともあると聞いてよろしいわけですね。

○菅理事長 決済代行会社の方でね。

○山口委員 あるいは請求をあきらめてくれるということも多いと。まだ支払っていない場合はいろいろな形で止める理由が出てくるとは思うのですが、支払った場合にどんな理由を立てて返金請求するかが非常に困ると思いますが、そこら辺はどういうふうに相談員協会の方では指導されているのでしょうか。また、サイト業者がわからないという場合に、どういう指導をなさっているのか。あるいは実際にそこら辺がどういうふうに困っているのか。具体的に教えていただければと思います。

○菅理事長 サイト業者がわからないというのは、最近は特商法の方の位置づけもかなり厳しくなりましたので、当初より少なくはなりましたので、そこの問題は以前ほど多くはありませんけれども、まだ残っているのは決済代行会社がわかっても、サイト業者とのやり取りをきちんと立証していただければ返しますという代行会社は増えてきました。少しずつですけれども。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 御説明をありがとうございました。今お話を聞く限りでは、これからさらに被害が拡大していくのではないかと思いますし、早く法整備をする必要があるのではないかと思います。
今のお話だと、振り込み詐欺の一種であったり、割販法の抜け穴であると。いわゆるすき間というふうに考えていいのかなと思います。登録制度も法規制も何もない中で非常に御苦労をされていると思いますけれども、こういう相談があったときに、例えば業界団体や行政の方に対応をどのようにできるのかということをお聞きになるような場合もあるのではないかと思います。そういうときの回答はどんなものがあるのでしょうか。もしあったら教えていただきたい。答えというのは、例えばすき間ですから何もできないんだよとか、こういう方法があるのではないかとか、そんな具体的なことがあったら、全相協さんもNACSさんもお答え願いたいと思います。

○大谷消費者相談室副室長 私どもNACSでは、基本的には法規制はありませんけれども、業界ルールがある程度ありますので、それを使って被害救済が図れるように、各イシュアーから調査などをしていただいたり、それに基づいて、それが不当な取引だという判断ができるのであれば、チャージバックを行っていただくというようなお願いをさせていただいています。それに伴って決済代行業者にも同じようにお話をしますし、場合によっては出会い系サイトやサイト運用業者とも直接お話をさせていただいています。
ただ、あくまでも業界のルールですので、それに合致しないようなケースの場合には、そういうシステムを載せていただけない場面もありますので、そういった場合には根気強く直接のサイト業者と話し合っていくということしか残っておりません。

○菅理事長 まず処理するに当たって、相談者がどの程度までさかのぼって、どういうやり取りをしたのか。これを思い出してもらうのが非常に長くかかりますので、一番新しいものから処理していくと。そこに公序良俗違反とかがあれば、そこに加担しているクレジット会社さんあるいは代行業者さんについて、やはり問題でないかということで、ひたすら法律的に規制がないものですから。
私が受けたのは、おじいさんが寂しくて、60万円をあげるからお食事を一緒にしないかということで、高校生を誘ったのがありました。その高校生は駅前で待ち合わせたり、駅前まで自分は行って待っているんですけれども、また別のところに、今度は市役所の前とか言葉だけで釣られていって、結局はそういう事実も何もする余地もない。弁護士さんで今、遺産が手に入るので何千万円をあげるからとか、到底、尋常では考えられないような言葉が並んだときに、それでもってどういうふうに判断するかということで、これは全く事実ではないし、やはりサクラでないかということで、良識に基づいて攻めあぐねていくという状況が多いです。

○松本委員長 お聞きしたいのですけれども、3人の報告に共通することは、すべて国際カードであって、海外の業者が絡んでいるのだということですね。純国内事件としてはないのですか。あるカード会社の加盟店があって、そこがその下に決済代行業者をぶら下げていて、その下に悪質業者がぶら下がっているという、国境を越えないで国内だけで閉じて、日本の割販法だけで十分対応できるようなケースは、そもそも相談は来ないのですか。

○菅理事長 私が経験したのは、訪問販売でふとんを売りに来たときに、当然、業者が個品割賦を契約してくれる信販会社がなかったのでしょうから、それでおじいさんとおばあさんに対して持っているカードはないかと。そういえばホームセンターのポイントカードがあったということで、その人がカードを持っていることがわかった時点で、今度は宅配業者がおふとんを届けたときに、無線CAT(信用照会端末)でもってやったのはありました。それは宅配業者でしたので、こういうのに使われて大丈夫ですかと。おたくも責任がありますよということで取消しはしてもらいました。書面の面で不備だということで、そういう例は時々、訪問販売業者が使うようです。

○松本委員長 それはここで言われている決済代行ではなくて、宅配業者が代金を代わりに受け取っていくという方の問題ですね。

○菅理事長 宅配業者であっても、また別会社の役割があったんですね。何とかファイナンスとか。

○松本委員長 宅配業者が代金を立て替えてくれるんですか。あとは宅配業者が請求してくるんですか。

○菅理事長 もともと相談者が持っていたクレジットカードの分割払いということで。

○松本委員長 相談者はカードを使った覚えはないんだけれども、宅配業者が何かして、カードを使ったことにされたわけですか。

○菅理事長 結局は宅配業者が来たときに、物を納めにきていると普通の人は考えてしまうわけです。そのときに無線CATで読み取った、それを交付していくんですけれども、それは割賦販売法の要件を満たされていない小さい用紙ですので。

○松本委員長 確認ですが、宅配業者が品物を持ってきたときに、クレジットカードを宅配業者に渡しているわけですね。そのときにCATを使って決済したということですね。カードを使ったわけですね。

○菅理事長 はい。

○松本委員長 わかりました。どうぞ。

○大谷消費者相談室副室長 NACSの方から1つ委員限りということで、主な決済代行会社の一覧というのを出させていただいております。お手元にあるかと思います。これは私ども相談室などで情報収集をしてつくった資料でございます。
この中の国際ブランド、決済地、決済通貨という一覧を見ていただくとわかるように、国内のクレジット会社は悪質な出会い系サイトだとか、そういったところとは加盟店契約は基本的にしておりません。ですから、基本的には海外のアクワイアラーを通じて決済代行が存在してくるというような流れになっております。
この一覧を見ていただいても、ほとんどの場合、アメリカとかシンガポールなどの外国のカード会社や銀行を通じて決済代行が加盟店契約をしているという状況になっております。この中でもいくつかの会社は不当性を訴えたり、公序良俗違反になるのではないかということを訴えさせていただくと、解決のお手伝いをしていただける業者もありますが、最近は聞いたこともない、全く名前も初めて聞くというような決済代行がたくさん現れておりまして、私どもの方でも次から次へと現れてくるので、つかみ切れないというのが現状になっています。

○松本委員長 ということは、日本のクレジット会社は悪質業者を直接加盟店にすることもしないし、さらにこういう決済代行業者を加盟店にして、その下に悪質業者をぶら下げるということも、いずれも日本のカード会社はしないと。

○大谷消費者相談室副室長 基本的にはしていないと聞いております。

○松本委員長 これは必ず海外のクレジット会社が絡んでくるケースだということになりますね。日本の法律で海外のクレジット会社に対して何か言えるのかというのは、なかなか難しいところがあると思います。
中村委員、どうぞ

○中村委員長代理 皆さん方の被害の報告を聞いていると、これは昨日今日ではなくて、もう何年も前から続いているのですけれども、皆さんの目から見て、どこをどういうふうに直したら、こういう被害はなくなる、あるいは減ると思いますか。ワンポイントで結構ですから、ここをこうしてくれというのがあったら、一言ずつお話しください。

○大谷消費者相談室副室長 基本的には悪質なサイト業者と加盟店契約をするような決済代行も必要ないと思いますし、国内のクレジット会社が直接加盟店をきちんと審査していただいている限りでは、こういう問題は起こりませんので、やはりそこのところで決済代行自体が本来、本当に加盟店を審査する、それだけの力量があるのかどうかということも判断していただきたいですし、法規制などで登録制にしていただいて、例えばきちんと確認が取れる業者だけしか参入ができないとか、そういうような方向に持っていっていただかないと、被害の回復は難しいのかなと思います。

○菅理事長 やはり決済代行業者が国の認可も登録も必要ないという現状が野放しになっているというなれば、簡単にだれでもが決済代行事業者になれるという、そこに認可とか必要であれば、自分たちサイト業者がどういう業者なのか、選ぶこともできると思いますし、今のような出会い系サイトとかには結び付かないので、そこら辺に問題があると思います。

○河岡調査役 さっき松本先生がおっしゃられたように、国内取引はないと思います。NACSさんがおっしゃったように、必ず海外を経由している。苦情から見ると、すべて海外経由でございますので、国内の取引はないと思っています。
全く法規制はどこにもかかりませんし、業界団体もございませんし、所管する省庁もないのが実態だと思います。
ですから、私は相談現場で問題だと思ったときに、お問い合わせをする先はないと思っております。ですから、当事者であると思っているカード会社とか決済代行会社、モール業者とか出会い系サイト業者に直接交渉している。その中で解決を見出しているというのが現状でございます。
どうしたらいいかということですけれども、私どもの方の事例を御提出しましたように、海外に飛んでおります。この海外ブランドとの関係で何かということは望めないのかなと思っております。やはりこのイシュアー、国内の事業者さんから外に出ると私どもでは何も申し上げることができないので、ここから先、何か手づるがないかなと思っているのが現状でございます。
NACSさんや全相協さんもおっしゃってくださったように、消費者に直接見える加盟店、販売の相手方ですが、普通であれば国内の事業者さんとお取引ができないが決済代行ということを通じての取引が可能かと思いますので、そこに何か規制というか、何か言っていけるツールというかパイプというものができたらいいのではないかと思っております。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 非常に難しいのは、割賦販売法の適用対象に決済代行業者も入れるとか、あるいは国内の決済代行業者なり、イシュアーなりアクワイアラーがいずれにしても、その加盟店の調査義務を課して、問題がある、いわゆる詐欺師的な販売店、サイト業者などについては法規制の対象にするというのは十分あり得ると思いますが、難しいのは海外のアクワラアラーなり海外法人には適用がありませんね。
聞くと例えばVISAやマスターカードなどは、加盟店とアクワイアラーが同一国籍でなければならないという社内のルールは一応あるようですが、これはあくまでも社内ルールでありまして、国際的な条約その他にはなってないです。ここら辺でとりあえずもちろん、割賦販売法の法規制を国内のいろいろな業者にも、いわゆるクレジット関係の関わる業者に規制を及ぼすというのは十分あり得ると思いますが、どうもそれだけでは解決になりそうにないというところについて、逆に何かアイデアがあったら、出していただければと思います。そこら辺は本当にこれから実態調査をした上で、どういう適切な、それこそ国際的ないろいろなことを考えていかないと解決しないなと思うのですが、そこら辺はどうでしょうか。

○松本委員長 国内だけで閉じていれば、割賦販売法で十分規制が可能だと思います。つまり加盟店管理義務ということで、決済代行業者が加盟店なわけで、そこがいい加減なことをやっているということは、加盟店としてふさわしくないわけだから、日本のクレジット会社は恐らく即加盟店契約を打ち切ると思います。
ところが海外のカード会社の加盟店になっている企業の日本法人という形を取っているから、日本の割賦販売法上の加盟店管理義務という形で要求することができなくなってくるわけです。そうなると日本で何かやれるとすれば、決済代行ビジネスをやっている事業者を直接ターゲットにした規制を新たに考えないと難しいですね。
池田委員、どうぞ。

○池田委員 私は全くこういうことはわからないのですけれども、この決済代行サービスというのは日本だけではなくても、外国でもあるわけでしょう。そのことで知識のある方はいらっしゃいませんか。海外にあれば、少なくとも同じようなことが起こるわけですから、あるとすれば、海外のどこかの国でカード会社と決済代行会社が契約をしているはずです。それが国同士になるとつながらないということにもなるわけですね。その辺のデータはお持ちではないですか。

○山口委員 難しいのは、決済システムの国際的な便宜性を図るという観点から、端的に言えば、プリペイドカードとかポイントサービスとか収納代行サービス等の決済サービス等の決済システムがいろいろな形で多種多様に国際取引の中で採用されて、それが増えているというんです。そういう中に病理現象として、これが潜り込んできているわけです。いわゆる収納代行サービス全体が悪いかというと、必ずしもそうではない。それはそれで国際的な貿易取引などでは使われている部分もあるわけです。その中で病理現象をどういうふうに適切に排除するかというのは、本当にしかるべきところで早急に検討しないと、ますます問題が増長すると思います。

○池田委員 私が言いたいのは、こういうサービスは必然的にたくさん増えてくると思います。これだけグローバルで電子的な取引がだんだん増えているわけですから、これを制限するということは事実上難しいと思います。こういうふうに出てきているのだから、いつも話題になるのですけれども、これは、詐欺的行為で犯罪ですね。それを取り締まるような国際的な仕組みができ上がってこないことには、海外の会社ということになると、仕組みも考えていかないと、なかなか対策は難しいということになってくるのではないかと思います。そのことをお聞きしています。

○松本委員長 本日は決済代行が悪質商法のために使われているというところがクローズアップされたわけですが、悪質商法のためではないところの本来有益な決済代行がどういう形であり得るのか。どうも今日の話を聞いていると、これは悪質商法の隠れみのにするために使われているという以外は見えないといいましょうか。日本国内では、そもそもカード会社はこういう仕組みは使っていないということであれば、悪質商法のための仕組みということになるわけです。あるいは海外ではそうではない使われ方をしているのかもしれないので、その辺はもう少し調査をしたり、あるいは関係省庁から知見をいただきながら、我々としても検討を続けていく必要があると思いますが、悪質商法として日本では非常によく使われているというのが、今日はかなり明らかになったと思います。

○山口委員 先般、総務省の方にプロバイダー責任制限法の関係で少しお聞きしたのですが、いわゆるサイト業者の会社の名前や連絡先や住所を調べようとして、調べられない。あるいは開示されないで困るということはないですか。

○大谷消費者相談室副室長 相談の中で感じているのは、サイト業者の例えば携帯からのアクセスのところに表示がきちんとしているかというと、表示がないものも結構見受けられます。結局イシュアーを通じて決済代行会社からサイト業者の連絡先を知りたいというふうにセンターの方からアクセスをしても、全く住所も教えない、電話番号も教えないというような悪質なサイト業者は結構多いですし、決済代行業者自身も電話番号のみで所在がどこにあるのか、そういったものも全く開示してくれないという業者もたくさんあります。

○菅理事長 私も同じで、やはりサイト業者の名前はニックネームみたいなのが多くて、本当に商号を持っているのかどうか。そこまでたどり着けないものもあるので、そこがやはり壁になってしまいます。

○松本委員長 被害の実態はかなり明らかになったと思いますが、まだこういうビジネスの仕組み、あるいは海外で実際にどういうふうに有効な使われ方をしていて、たまたま日本で非常によくない使われ方をしているだけのものなのかといった辺り。あるいは本日取り上げましたカード会社との間をつなぐ決済代行サービス以外の決済代行サービスもいくつかあり得ると思います。インターネット上の決済のためのペイパルとか、そういうものも増えてきているわけで、そういったものとどこが同じで、どこが違うのかといったことももう少し我々も勉強をした上で一定の方策を取るべきだということであれば、それを提言するなり意見にするなりという形にしたい思います。
それでは、国民生活センター、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会、全国消費者生活相談員協会におかれましては、お忙しい中、審議に御協力をいただきまして、ありがとうございました。

≪3.こんにゃく入りゼリー事故について≫

○松本委員長 次に「3.こんにゃく入りゼリー事故について」の議題に入りたいと思います。こんにゃく入りゼリー事故につきましては、これまでに6月4日、25日の消費者委員会におきまして、消費者庁からのヒアリング及び委員会の議論を行ってまいりました。本日は消費者庁に加えまして、厚生労働省、農林水産省にもおいでいただいておりますので、それぞれヒアリングを行い、議論をしていきたいと思います。
まず最初に、厚生労働省の方からお話をお願いいたしたいと思います。厚生労働省からとりわけお聞きしたいと思っておりますのは、これまでの委員会の議論におきまして、食品の形状、物性面での安全性について、現在の食品衛生法を基に何らかの対応が可能ではないかどうなのかという議論が出ております。この点に関しまして、食品衛生法における考え方等につきまして、御説明をお願いできればと思います。

○道野輸入食品安全対策室長 厚生労働省の食品安全部輸入食品安全対策室長の道野と申します。よろしくお願いいたします。
こんにゃく入りゼリーの窒息死亡事故についででございますけれども、食品衛生法の枠組みということにつきまして、若干触れさせていただいて、提出させていただいている資料についても若干御説明を差し上げたいと思います。
食品衛生法の場合、目的といたしまして、第1条で食品の安全性を確保するために公衆衛生の見地から必要な規制その他の措置を講ずることにより、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、もって国民の健康の保護を図るという目的規定が規定されてございます。
物性・形状に起因する窒息事故につきましては、もちなどほかの食品も見られるというものでもございますし、これらの事故は衛生上の危害ではないということで、食品衛生法の規制の対象とはならないと考えてございます。通常、衛生上の危害ということで私どもが規制しているものといたしましては、有毒有害物質、化学物質というようなもの、食中毒病原菌といったもの、そういったものを公衆衛生の見地から衛生上の危害としてとらえて、規制をしているというような考え方でございます。
厚生労働省の提出資料で、資料5(PDF形式:380KB)を提出させていただいております。2ページの平成20年10月の消費者安全情報総括会議申し合せで、政府の中で関係各省がそれぞれ対応可能な措置を講ずるということで、私ども食品衛生法での規制対象としてはなかなか対応できないという中で、例えば1の「(2)行政からの周知」ということで、地方公共団体を通じ、関係機関、児童福祉施設、老人福祉施設、介護保険施設等に対して、乳幼児、児童、高齢者の方々が食べることのないよう等周知するとともに、これらの方々に提供することがないよう等要請するということで、1ページにありますように、平成20年10月22日に社会福祉関係の施設を中心に周知をして、注意喚起をしているというような対応をしてございます。
そのほかに3ページにございますけれども、こんにゃく入りゼリーを含む窒息の場合の事例の分析、窒息リスクに関する意識調査等を通じ、こんにゃく入りゼリーのほか、もち、あめ等の食品による窒息事故の再発防止等に関わる科学的知見の集積、集約等に努めるというようなことが私どもの役割として位置づけられております。
7ページにございますように、これより先の平成20年5月に、厚生労働科学研究で実施しました食品による窒息事故の現状把握と原因分析調査についてということで、19年度の研究成果について、すでにその年の5月に周知しておるところでございます。
10ページ以降、その後、平成21年4月に同じように窒息による要因分析について、研究成果について関係機関に周知をして、科学的知見について提供をし、注意喚起を図ったというような対応をしてございます。
以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。続きまして、農林水産省より御説明をお願いいたしたいと思います。こんにゃく入りゼリーの表示や販売方法に関する事業者に対するこれまでの指導の内容や効果、事業者の対応等に加えまして、農林水産省として食品の形状、物性面での安全性についての法規制の考え方について、御説明をいただければと存じます。

○津垣食品産業振興課長 農林水産省の総合食料局食品産業振興課長の津垣でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、資料6(PDF形式:401KB)に従いまして、今までの農林水産省の取り組み及び業界団体の取り組みについて、御説明をしたいと考えております。
資料6の1ページめくっていただきまして「こんにゃく入りゼリーに関する業界の取り組み状況等」という青が目立つ資料がございます。左側が今までの指導と業界団体の対応。右下に実際の死亡事故の発生件数を棒グラフで書いてございます。窒息死亡事故につきましては棒グラフにありますように、1995年から発生しているということが判明している限りではわかってございまして、左肩にありますように1995年から農林水産省といたしましては、業界を所管するということで、こんにゃく入りゼリー問題について注意喚起の表示をどうするか。あるいは物性を改善することについて、行政指導という形で団体なり企業に対する指導を行ってきてございます。
まず1995年から類似にわたるいろいろな指導を受けまして、2007年に一応その業界団体は事故防止対策といったもの、警告マークを含めて、これを必ず書くということでとりまとめてございます。後で具体的に御説明いたします。
この取り組みをやったわけでございますが、2008年7月にマンナンライフのところで、9月に亡くなったのですが、死亡事故が起こったということで、再度、行政としても警告マークをもっと大きくできないか、あるいは一つひとつの個包装にしっかり注意を表示すべきではないか。あるいは物性、形状についても改善できないのか。そういうことについての要請を再度してございます。
それを踏まえまして、2008年10月に業界団体が事故防止策の従来の防止策をより強化したものを取り決めてございまして、これが現在の業界のルールになってございます。具体的には5ページが先ほど言いました、窒息事故に向けた対策を強化してほしいという農林水産省からの通知通達の文書でございまして、「記」以下4点についてしてございます。ここは繰り返しになりますのであれですが、いわゆる警告マーク、注意メッセージを大きくしろですとか、形状などを改善できないのか、あるいは小売店の売り方について、子どもが買わないようにできないのかというようなことを指導してございます。
これを受けまして、資料2「一口タイプのこんにゃく入りゼリーの事故防止強化策について」というのが6ページにございます。これをこんにゃく入りゼリーをつくっております業界団体、全国こんにゃく協同組合連合会、全国菓子工業組合連合会、全日本菓子協会がとりまとめたのが資料2でございます。IIにございますように、表示について改善・強化いたしますということで、表面にも警告マークを大きく書きます。あるいはIIの2にございますように、裏側にも書きますよと。3にありますように、個包装についても表示を改善いたしますと。あるいはIIIについて、形状物性については業界で検討委員会を立ち上げて検討をしようとか、7ページの2にありますように、企業における改善をやりましょう。あるいはIVにございますように、販売方法の改善も流通業者にお願いをして協力してもらって、子どもがなるたけ菓子と一緒に買わないようにしましょうというような業界の取り組みを決定してございます。
これを受けまして、具体的にどうなったかというのが資料6の2ページの「こんにゃく入りゼリーの物性・形状の変更状況」ということで、シェアを9割近く占めますマンナンライフの事例を取って、ビジュアルに御説明してございます。
下の欄が2008年以前もマンナンライフはいろいろと改善をしていまして、吸い込むのではなくて押し出して食べられるようにケースを改善したり、あるいは気道を確保するためにハート型にしたりと、いろいろ改善してございますが、これでも事故が起こったということで、まず1つ、物性としましては、2008年10月に一旦その販売を停止しまして、2008年12月から販売を再開しているわけでございますが、そのときはこんにゃくの配合を減らして、固さを減少させてやわらかくしたりですとか、あるいはこういうカップタイプではなくて、いわゆるクラッシュタイプの窒息事故が起こりにくいタイプの商品も販売するということをまずやってございます。
また、3ページを見ていただければと思いますが、警告マークにつきましても変更前が下でございます。袋の表面に小さく、裏面にこういう警告が書いてあって、個包装にはないわけでございますが、2008年12月以降は表面にかなり大きく「-お願い-小さなお子様や高齢者は絶対にたべないでください」という表示ですとか、裏側も従来よりも大きい形で警告を書く、一つひとつの個商品についてもマークを書いて注意喚起を促すようにしてございます。
4ページですが、それをどんなイメージになるかを示したのが変更前と変更後でございまして、その商品を買ったときも、変更前も一応そのマークはあったわけですが、変更後、現行の商品は「蒟蒻畑」という商品名の下に大きく注意喚起、あるいは危険性の表示を行うように改善はしているわけでございます。これがマンナンライフの2008年10月の業界団体の事故防止策の強化を踏まえた対策でございます。
1ページの左の方でございます。繰り返しですが、マンナンライフはこういう形で物性についても改善を行ってございます。そのほかの下仁田物産(株)「ハーベスト」という、その次に販売が多いところにつきましても、2007年に事故を起こして以来、こんにゃくの割合をかなり減らしまして、弾力性とか硬さについて、かなり減少させたということで、警告表示に加えて、物性についても変更を行っているということでございまして、こういう変更を行って以降、現在に至るまでは幸いに事故は起こっていないということでございます。大体年間6億個くらいのミニカップゼリーが出ているわけでございますが、今のところは行っていないということでございます。
ただ、国民生活センターの調査によりますと、今は大体7社くらいこんにゃく入りゼリーをつくっているわけですが、一部の小さい業者においては十分な対応ができていないところがあるという指摘がございますので、2009年あるいは2010年において、この業界団体の防止策をしっかり守ってほしいという指導改善の徹底について、改めて農林水産省の方からも指導をしているという現状でございます。
こういう状況になってございますが、こんにゃく入りゼリーにつきましては、こんにゃく入りゼリーの生産を撤退したところもございまして、国民生活センターの調べでございますが、現在は大体7社くらいが作っております。大体その生産量もピークの半分くらいになってございます。ただ、マンナンライフが非常に大きなシェアを占めてございますが、かつ今までいろいろと団体を通じて指導をしていると言ったんですが、かなり大手のメーカーは撤退しまして、今は7社のうち5社は団体に属していないアウトサイダーが5社となってございまして、こういう会社は団体を通じての指導ができませんので、農林水産省の方が直接文書を送ったり、電話をしたりして、指導を行うような形になってございます。特にアウトサイダーの方々は非常に対応が難しいのですけれども、農林水産省として、できる限りのことは今やっているということでございます。
以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。それでは、最後に消費者庁の方から、6月30日に開かれました食品SOS対応プロジェクト会合の内容につきまして、御説明をお願いいたします。

○野村消費者安全課長 お手元の資料4(PDF形式:12KB)でございます。消費者庁では食品安全委員会におきますこんにゃく入りゼリーを始めとする食品の窒息に関するリスク評価結果を待つ体制といたしまして、食品SOS対応プロジェクトを今年初めからスタートして、検討をしてきたところでございます。
お手元の資料4は6月30日に開催した会合の資料を一式お配りさせていただいております。このときの会合では6月10日に食品安全委員会の方から健康影響評価の結果をちょうだいいたしまして、この時点ではすでに結果をちょうだいしておったのでございますが、現時点での科学的知見を御整理いただいて、報告をいただいたということと、窒息事故という問題に関しましてはデータの不足等、さらに情報の収集、科学的知見の蓄積が重要であるといった指摘がございましたことも踏まえつつ、さらに追加的な情報の収集、科学的知見の蓄積のための取り組みが、どういうことが可能なのかを大臣政務官の御指示の下、作業をした内容について取り上げたのがこのときの会合でございます。
資料4の内容として、さらに4種類お配りをさせていただいておりますが、資料1(PDF形式:158KB)ではこんにゃく入りゼリーによる窒息事故が詳細、どういう状況でどのような形で発生したのかを追跡調査を行ったものでございます。これは消費生活センター等で把握をされています窒息死亡事故22件と言われておりますけれども、この22件のうち、こうした調査に御協力をいただけた医療機関等から聞き取りをした内容を整理したものでございます。
概括的に申し上げますと、いわゆるバイスタンダーの御家族の方等が子どもさんなり御老人の方の近辺におられて、気が付いて応急措置等を取るなどをしても、なお重篤な被害、最終的には亡くなられるというようなことであったという転帰が報告をされています。
資料2(PDF形式:262KB)は東京消防庁さん、10の政令市の消防局さんの方から、救命救急の内容を表の提供をいただきまして整理をしたものですが、主に2つのことをやってございまして、1つは窒息の事故が起こったその原因の食品を個々にどういう食品で窒息事故が多かったのかを分類しましたことと、さらにそれら窒息事故の被害の程度、救命救急では取り扱いは5段階に分けてございますが、死亡、重篤、重症、中等症、軽症と5段階に分かれておりますけれども、その5段階の別、さらに被害に遭われた方の年齢の別。こういう3つの軸で窒息事故を分類するという作業を行ったものであります。
この内容でありますけれども、まず窒息事故の件数が多い食品といたしましては、もち、ごはん、あめ、パンの4つの食品が件数としては圧倒的に多いこと。これら4つでおおむね全体の半分を占めるという件数のシェアになっているということであります。
一方で被害の程度、重症以上が多い食品群というような形で整理をしてみますと、少し違った製品が重症を引き起こしている可能性がある製品として、特徴的な製品が出てくる可能性が観察をされたということであります。
さらに資料2-1の2枚目「窒息事故の詳細分析について(食品マル2)」(PDF形式:262KB)という図表がございます。これは被害者の年齢の別をさらに軸を当てたものでありますけれども、どういった食品でどういう年齢層の被害が多いかということを示しているものであります。この棒グラフで青色は軽症、中等症を示しておりまして、青色以外の色は重症以上の事故を示しておりまして、その内訳がさらに年齢別に分かれているというものであります。赤色が80歳以上、緑色が70歳以上。一方で子どもさんはオレンジ色、あるいは深い青色で示しておりますけれども、この図から言えますことは、例えばもっぱら高齢者の方で重症の事故が起こっているものとしては、油揚げ、ヨーグルト、そうめん、干し柿、こういったものが高齢者の方で重篤の事故が起こっているということを示しております。
一方で、高齢者の方以外で重症の事故が起こっているものとしては、こんにゃく入りゼリー、サトイモ、こんにゃくといったものは、高齢者以外の年齢層でも起こっていることをお示ししているデータということであります。
これらの救命救急のデータで再現いたしましたところの1つ目でございまして、1つ目は資料2-2、2-3とございますけれども、これは救命救急の要請を受けたときの内容を整理したものであります。救命救急の要請を受けたときに、どういう状況かという聞き取りをされるということでありますが、その確認ができている内容を事故の状況、窒息の状況、バイスタンダーのあるなし、事故の状態、応急措置のあるなし、措置の結果ということで整理をしたものであります。
ここから言えますことの1つは、食品によっては応急措置によって被害の程度が軽減をされるものもある。具体的には、ごはん、パン、あめ。こういったものに関しましては、バイスタンダーがあって、応急措置を取った場合にはかなりの程度被害が軽くなっているということが見て取れるというものであります。ただ、一方でおもちなどの場合は、応急措置をしたという御報告であっても、なお重症以上の割合が高いということが確認されたというデータであります。
お手元の資料4で「食品による窒息の再現実験」(PDF形式:206KB)という資料でございます。今の資料2は提供いただくことができた消防のデータを利用したものではありますが、どうしても限界がありますものですから、さらに再現実験を行って、食品の違いによる窒息の減少の違いが確認できるか否かということを現在、再現実験を研究機関でやっている内容を紹介をしたものであります。
5つのことをやっておりまして、窒息事故が発生する過程は5種類の段階。具体的には口腔内へ吸い込んで食品が移動するという状況を吸引試験とここでは呼んでございますが、というものが1つの段階。それから、食品を歯によって破断した上で口の中に送り込もうとする、そのときの破断が適切に行われるや否やというところを破断試験ということで、2つ目の段階として試験を行おうとしてございます。
3番目には、口内でのどの方に滑り込んでいく状況を確認しようとする口の中でのすべりやすさ、活動試験としておりますが、その段階の試験をしようとしてございます。
4段階目には、のどの閉塞が起こった状態で、その閉塞の圧力がどの程度になるかということを測定するための閉塞試験を4段階目に行うとしております。5番目には一旦閉塞をした食品が吐き出されることができるかどうかという段階の試験、呼出試験と呼んでおりますが、こういう5段階の試験をやっていただくよう、今、研究機関にお願いをしてございまして、次回の会合までに御報告をいただけるように現在、作業を進めているところであります。
この追加の試験あるいは追加のデータの収集ということの背景といいますか、考えておりますことは、口に食品を入れる以上は、どのような食品であっても気道の閉塞という状況につながる可能性、そういうリスクはどのような食品であっても存在するのだと思いますけれども、一定の形状なり一定の物性の食品に関しては、そうしたリスクが特に高いというような指摘が可能なのか、そういう指摘をすることは可能とは言いがたいのかということの考え方の整理をしたいということで、こうした作業をやっているところでございます。また、今月中にも次回の会合を開催したいというようなスケジュール感で取り組みを進めているところでございます。
以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。それでは、ただいままでの御説明につきまして、これから御質問、御意見をお出しいただきますが、本日欠席されております櫻井委員より書面で御意見が出されております。資料7(PDF形式:16KB)ですので、御参照ください。
それでは、中村委員。

○中村委員長代理 質問ですけれども、先ほど農林水産省の報告の中に、この2年、事故は発生していないと断言されましたが、3つの省庁全部に聞きたいのですが、こんにゃく入りゼリー事故の情報収集体制は一体どういう体制を取っておられるのか。死亡事故はないとおっしゃるけれども、そのほかの重症、軽症あるいはヒヤリ・ハット事故、こういうものの情報収集はどうなっているのか。3省庁それぞれお答えください。

○松本委員長 それでは、農林水産省から順にお願いできればと思います。

○春日特産農産物対策室長 私は生産局の特産農産物対策室長でございます。農林水産省におきましては、2008年9月30日に通知を出しておりますけれども、そのときにも団体には言っておりますが、事故があったらば、速やかに農林水産省の方に伝えてほしいという旨のお願いはしております。その結果、私どものところにこんにゃく入りゼリーにおける事故があったという報告はメーカーからは来ていないという状況でございます。

○中村委員長代理 死亡事故だけですか。

○春日特産農産物対策室長 会社の方に事故の報告があれば、死亡事故に限らず、報告してほしいというお願いは、メーカー側にはしております。

○松本委員長 では、厚生労働省からお願いします。

○道野輸入食品安全対策室長 厚生労働省の方では、食品衛生法に基づく情報収集は食中毒もしくはその疑いがあるものに限られておりまして、法的に求めることはしておりません。ただ、消費者関係での事故情報ということで消費者庁からいただくか、もしくは先ほど申し上げたように、社会福祉系の施設に関してはこういった注意喚起をしておりますので、その関係で都道府県等から、もちろん向こうの判断があるわけですけれども、情報が上がってくる可能性はあると思いますけれども、法的なものとしてはございません。
以上です。

○松本委員長 消費者庁からお願いします。

○野村消費者安全課長 消費者庁で事故情報の通知を受ける仕組みとしては、御案内のとおり消費者安全法がございますが、この10か月の間で窒息事故というものの情報の通知は、今、手元に数字はございませんけれども、件数は非常に数が少なかったと記憶をしております。その中にこんにゃく入りゼリーによる事故は重大事故でなくて、消費者事故であってもこんにゃく入りゼリーによる事故情報というものの通知を受けたことは特段ありません。
それ以外の情報収集のツールとして、事故情報データバンクには関係機関、事故に関連する危害、危険に関わるような情報を収集されておられる参画機関には、可能な範囲でデータを登録いただくようにオンラインの仕組みをつくっておりますけれども、そこの中では必ずしも事故ではありませんけれども、ヒヤリ・ハット情報といったものも入れていただくような場合がありますが、この10か月ですとこんにゃく入りゼリーでヒヤリ・ハットをしたという情報提供を受けたという内容の情報の登録が確か4月に1件あったかと記憶しております。

○松本委員長 では、佐野委員。

○佐野委員 どうも御説明をありがとうございました。2007年5月の連休辺りで2人のお子さんが亡くなっています。そのときに主婦連としては再発防止のための要望書を厚生労働省、農林水産省に提出しました。両省どちらも自分たちの範囲ではないと、自分たちではないと強調されておられました。その当時は消費者庁の話は出てくる前ですので、そういう状況でした。
その後消費者庁創設の検討がスタートしてから、こんにゃく入りゼリーの事故はすき間商品、すき間事案であるということで、かなり大きく私たちも取り上げ、意見を申し上げてきました。消費者庁ができる1つの契機になったと思っています。
ですけれども、いまだに何の対応もできていません。表示で済ませるような問題ではないと私は思っていまして、根本的な対策が何もできていない。私はまさに行政の怠慢であると考えています。
農林水産省の御説明の中で「2008年12月にこんにゃくの配合を10~15%削減し」とあります。その後、結局消費者が望んでいるあのかたさは違うということで、元に戻ったというように聞いています。2010年5月の店頭における販売方法の徹底とありますけれども、これも国民生活センターの調査によると7~8割ができていない。これでは何の対策もしていないのと同じであると思っています。
いわゆる消費生活用製品は、物をつくるときに企画の段階からリスクを取り除こうというリスクアセスメントの方法が取られています。それはまさにまず製品が安全であること。最後にそれを補う形で、警告表示をするということが今、行われています。私は加工食品も同じような対策が必要だと考えています。今回は表示を付けなさいとか、売り場で子どもの手が届かないところに置きなさいとか、一番最後にやるべきところしかやっていないと思っています。
私は表示が本当に警告表示と言えるかどうかがよくわからない。あれはただの表示あると思っていて、警告表示であるのだったら、これを食べることによって子どもや高齢者が窒息死する可能性もあると。そこまで書くべきではないかと思っています。ミニタイプのこんにゃく入りゼリーは、まさに私たちの食生活、食経験が非常に少ないものであって、もちとかあめと同じように考えるべきではないと思っています。
リスクのことですけれども、リスク評価を食品安全委員会がされました。ただ、リスクが明確には出てきていません。リスクが明確ではないとか不透明な場合には、やはり予防原則をきちんと考えるべきだと思います。こんにゃく入りゼリーのような製品は、今後いろいろな形で出てくると思います。新しい形の食品。そのときに一体どうするのか。また同じようなこういうことをやるのか。私は今の段階できちんとルールづくりが必要だと思っています。
消費者庁が中心になって、ぜひ食品の安全は基本的にどうするべきかを考えいただきたいと思います。現段階では、私は個人的にはミニカップカップのこんにゃく入りゼリーは販売を規制するべきではないかと思っています。
消費者委員会として、何回も取り上げてきていますし、事前の打ち合わせのときもかなり時間をかけて検討してきています。ぜひここでもきちんと意見をまとめ、何らかの形で意見表明をしていきたい。できるだけ早くしていきたいと思っています。今、暑くなってきていますので、冷たいゼリーがおいしい季節になってきました。今のこんにゃく入りゼリーの形のままですと、いつ事故が起きても全く不思議ではないという状況でありますので、ぜひ何らかの対策を至急やるべきだと考えています。
以上です。

○松本委員長 農林水産省にお聞きしたいのですが、佐野委員が最初におっしゃったような配合量を一旦減らしたけれども、また元に戻したということですが、その辺りは御確認されていますか。

○春日特産農産物対策室長 私どもはマンナンライフからは何度か話は聞いたことがございます。量を減らしたということはもちろん聞きましたが、その後、配合率を元に戻したというお話は、私どもは聞いておりません。

○佐野委員 たしか国民生活センターのテストでも、かたさは元に戻っているというような結果が出ていたような気がします。もう一度御確認ください。

○春日特産農産物対策室長 そこはメーカーの方に確認をしたいと思います。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 農林水産省にお伺いしたいのですけれども、現在7社があって、そのうちの5社がアウトサイダーだということで、アウトサイダーでも指導はしていらっしゃるということなのですが、また文書のようなものをお出しになって指導ということですが、もう少し積極的な働きかけがどんなふうになっているのかを知りたいということが1点。
厚生労働省ですが、食品衛生法に関して、公衆衛生の見地であるから公的な力はないというようなことをおっしゃられましたが、食品衛生法において、私は目的を変えれば、かなり使えるのではないかと思います。食品衛生法という名前を変えなくてはいけないのかなという気もいたしますが、そうなりますと3省庁のそれぞれの話し合いが必要かと思いますが、今後そういうようなことも考えられるのかどうかをお聞きしたいと思います。
消費者庁におきましては、こんにゃく入りゼリーの事件が4月に1件入ったということでありますので、その情報が農林水産省などは御存じないということでしょうか。そういうことで、なかなかそこの連携は相変わらず取れていないのかなと。やはりその連携がきちんと取れていない限り、非常に危険性を伴うものと思います。こんにゃくはそれこそ昔から食べておりますが、こんにゃく入りゼリーは今まで私たちが経験しないような全く新しい商品であると思います。
先日、田島先生からもお伺いしましたが、食品衛生法の6条でしたか、それに該当するようなものになりますので、非常に難しい食べ物であると思います。ですから、ぜひそこのところは連携をしっかりしていただくことと、どう対応するかということは法律を何とか変えたり、新しい何かルールづくりをされるようなことを積極的に働きかけてやっていただければと思いますが、いかがでしょうか。

○松本委員長 それでは、農林水産省からどうぞ。

○津垣食品産業振興課長 5社のアウトサイダーへの指導の仕方でございますが、まず文書でまさに業界の取り決めについて郵送をした上で、これに準じたような取り組みをお願いしますということを送っていただくのと併せて、直接そちらの方にこちらの担当から電話をして、取り組みについてお願いをするという形で対応してございます。

○下谷内委員 業者のところに直接いらっしゃるということはないんですね。

○津垣食品産業振興課長 そこは電話で口頭でお願いしています。

○下谷内委員 やはり人が亡くなっているということを考えると、そうしていただけるといいかなと思いました。

○津垣食品産業振興課長 そういうことも考えていきたいと思います。

○松本委員長 それでは、厚生労働省からお願いします。

○道野輸入食品安全対策室長 厚生労働省の対応としては先ほど申し上げたとおり、平成20年の各省の申合せということで役割分担をしてやってきたということと、消費者庁なり消費者安全法を政府として提出をして、こういった問題について対処をするという枠組みの中でずっと考えてきておりましたので、今の時点で食品衛生法に改正について、すぐにお答えするのは難しいと思います。申し訳ございません。

○野村消費者安全課長 先ほどの情報収集のところで、この4月に1件登録がありましたと御説明申し上げましたのはヒヤリ・ハット情報でありまして、事故情報ということではなかったのですけれども、事故情報に関しましては消費者安全法で通知をされます重大事故に関しましては1週間単位で整理をして、関係省庁及び地方自治体の方には情報の共有を図らせていただくという取り組みはしてきてございます。
ただ、それはそれとして、関係省庁の連携の重要性という御指摘だと思いますけれども、今時点では庁内の検討の場で何らかの対応を本件に関して取るべきかどうか検討中でありますけれども、何らかの検討を取るべきだという考え方をもし取るのであれば、そのときには当然、関係省庁との協力は非常に重要なことだと思っております。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 再度、厚生労働省にお伺いをしたいのですけれども、先ほど食品衛生法による対応は、こんにゃく入りゼリーの問題は衛生上の問題から来た危害ではないからというお答えでありました。確かにそういう範ちゅうではそうであって、現在の食品衛生法では新規食品にも該当しないということで、全く対応できないといいますか、対象外の食品であるということができると思います。今、法案の改正を考えていないとおっしゃったのですが、食品衛生法の目的を変えて、衛生ではなくて安全の方に重点を置いた目的にするということは可能であると思います。もちろん、衛生上の問題を無視することはできませんけれども、もう少し安全の方にウェートを置いた法律目的にすることはできると思います。
もう一つ、日本の食品安全に関する法律の中では、形状や物性に対しての規制が一切どこにも規定されていないということがあります。やるとすれば、やはり食品衛生法であろうと思うわけですけれども、それがどうしてできていないのか。FDAやEU等では、情報が不十分ですので、詳しくはわかりませんけれども、規制ができているわけですね。海外でできていて、日本でできないというのは、そこに何らかの理由があるならば、例えば伝統食品等について対応が難しい等々の理由があるならば、その辺りについてお聞かせをいただきたい。
消費者庁ですけれども、消費者安全法の運用をもう少し広げるとか、解釈を広げるとかで、消費者安全法で対応ができないものなのでしょうかということを伺いたいです。
農林水産省に聞きたいのですけれども、国センの調査では必ずしも行政指導がきちんと守られていないということで、今、流通ではかなりきちんとやられているけれども、ドラッグストア等ではかなり乱暴な売り方がされていると。下の方に子どもの手の届きやすいようなところに置かれていて、要するに行政指導が功を奏していないという状況だということを国センの調査でも言われています。こういうことになった場合、行政指導の限界はあると思いますけれども、その辺りはどんなふうに考えていらっしゃるのかを伺いたいと思います。

○松本委員長 関連してどうぞ。

○山口委員 厚生労働省ですが、食品衛生法は要するに栄養状態が悪いとき、あるいは衛生状態が悪いときにつくった法律で、それがそのまま残っているのですね。一方、いわゆる窒息事故については先般見たデータでは、年間4,000~5,000人が亡くなっているというような状況があるということを見ますと、やはり食品衛生法の6条の4号に物性や形状も加えて、そうすると1条の目的等も一定の改正が必要になるかと思います。現在、窒息事故がこれだけ増えている状況を考えますと、このままではまずいと思うんですが、そこら辺は日和佐委員の質問に併せて、今の窒息事故がこれだけ増えている状況を踏まえて、どういうふうにお考えなのか。それもお聞かせいただければと思います。

○田島委員 お二人の委員からの御発言がありましたが、私も同感であります。短期的には農林水産省による業界指導は功を奏しているといいますか、2007年以降は死亡事故の報告はないということで、業界指導が功を奏していると思いますが、やはり指導だけでは不十分で、何らかの法的根拠のある行政指導が必要ではないかと。
そうしますと国民の食品の安全の確保というものは、食品衛生法という法律以外、今のところはないので、食品衛生法第6条の改正、第11条で食品に規格基準を設けることができるとなっていて、現実に食品の規格基準がたくさんつくられておるわけですけれども、その中にこんにゃく入りゼリーの規格を定めるというくらいで、十分対応はできるのではないかと私は考えております。もちろん、目的も変えなければいけませんけれども、とりあえずは規格基準を新たに設けるくらい。
物性でもって規格基準が設けられるかどうかという議論がどうしてもあると思います。それが非常に難しい問題だと実は私も思って、こういうふうに発言をしていますけれども、実際問題として果たして規格基準がつくれるのかどうかという不安はあるのですが、同じ厚生労働省が所管している健康増進法の特別用途食品で嚥下困難者用食品というのがございます。そこでは物性値は規制されています。物性値の規制ができない話ではないと思いますので、努力していただいて、形状や物性を入れた規格基準を設けるという方向でもって、長期的には御検討をいただきたいと考えております。
以上です。

○松本委員長 いろいろと御指摘がございましたけれども、まずは厚生労働省からお願いいたします。

○道野輸入食品安全対策室長 法律の改正についての御質問ですけれども、先ほどお答えした内容以上のことは申し上げられないと思います。ただ、国際的に見た場合に、例えばコーデックスの国際基準の中で物性なり規則についての基準が設定されているかというと、私どもは承知していないという状況ではあります。FDAの場合やEUの場合に、方法論はともかくとして、一定の規制を設けているという現状があることは承知しております。
ただ、いずれにしても、その法律の目的や対象、成立経緯といったものは日本とアメリカとヨーロッパでは違うということもありますので、単純に欧米でできているから、日本の食品衛生法でもできるのではないかという議論には、そこは検討をしなければいけない課題があるだろうと受け止めております。

○俵木基準審査課長 基準審査課の方から基準の可能性ですけれども、私も先生の御指摘のとおり、かなり難しいと思っております。食品安全委員会の御評価も見させていただきましたけれども、その他の食品との切り分けをどうするかということも考えますと、こんにゃく入りゼリーを特別に切り分けた基準をつくることは難しくて、非常に長い歴史をもって日本人がおもちを食べてきたわけですけれども、その中でも、数も一口当たりの被害の発生状況も断トツに多い中で、こんにゃく入りゼリーについて特化した基準を設けて規制をかけていくというのは、なかなか難しいのではないかと現実的には考えております。
もちろんもし法的な規制をかけるとすれば、食品安全委員会の科学的な御評価をいただいた上で、科学的根拠に基づいて規制を行わなければならないわけですが、今のところの食品安全委員会の御評価をいただました結果におきましては、基準を設けるのははっきり言って、できないのではないかというのが正直なところでございます。

○松本委員長 消費者庁からお願いします。

○野村消費者安全課長 消費者安全法の関係の御質問でございますが、消費者安全法に基づいて何らかの対応は取れないのかと。消費者安全法は御案内のとおり、規制的な措置といたしましては、17条~19条で改善勧告でありますとか、場合によっては市場への流通を停止する命令をするといった規制的な規定がございます。
ただ、これらの権限の発動要件といたしましては、現に重大事故が発生をしていることでありますとか、利害の原因製品なり役務に消費安全性が欠いているということ。さらに被害の再発拡大の防止のために必要があるという判断ができること等の要件が課されております。これは憲法上の営業の自由との兼ね合いということで、要件としてはかなり厳格に定められていると理解をしていますので、行政の立場といたしましては、法律の執行は性格に要件にのっとっている場合には発動するし、そうではない場合にはということだと思っておりますので、安全法に直接根拠を求めてということは、なかなか難しいかと思いますので、御指摘に関しましては、そうした権限を有しているということを背景にして、どういう考え方、どういう対応があり得るかをどこまで検討していくかということかと思っております。

○松本委員長 農林水産省からお願いします。

○津垣食品産業振興課長 行政指導の限界について御指摘がございました。我々も特に小売の売り方に関しては指導をしてございまして、例えば子どもが手に取らないように、いわゆるダイエット用みたいなものと子どものお菓子用は別々のところで売ってくれということで指導するというところでございます。
御指摘があったように、ドラッグストアの方で乱暴な売り方があるというお話でございましたが、ドラッグストア協会にもお願いをしてあるわけでございますが、そういう事態があるということを踏まえまして、我々としてはとにかく一生懸命その指導をしていくことに尽きると。限界と言われてもなかなかつらいところですが、団体にいるところについては団体からもしっかりやっていただきますと、先ほど言いましたようにアウトサイダーの方もおられますので、そういう人たちにもなるたけ指導の内容を知っていただくように努力していきたいと考えてございます。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 主に厚生労働省に聞きたいのですが、こんにゃく入りゼリーの問題は昨年の消費者庁ができるきっかけになったケースとして大変象徴的な事件で、先ほど来聞いていると、食品衛生法で対応できないのだと。そのことはもうわかっているわけです。去年の3月25日に衆議院の消費者特別委員会で舛添大臣がちゃんと答弁しているんです。食品衛生法では衛生上の危害に当たらないと無理だと。形状、物性は対象にならない。だけれども、人が次々に亡くなっているのに、それを放っておくわけにもいかないから議論をしますというところまで、次に回答しています。それなのにこの1年間、何も議論をしていなかったのですか。そこをお聞きしたいです。
せっかく大臣が国会で答弁しているのに、大臣の言ったことをちゃんと厚生労働省で受け止めて議論をしていないのか。さっきから聞いていて、そこが非常にびっくりしています。いつまでも去年以前の答弁のままでは困ると思います。この1年取り組んでおられるとばかり思っていたのですけれども、その辺の様子を教えていただきたい。今後は取り組むという決意表明くらいしていただきたいと思います。

○道野輸入食品安全対策室長 もちろん、去年の3月25日に衆議院の消費者特委におきまして、当時の舛添大臣の方から、ここはまさにそういうことを考えたときに、消費者の立場から見れば、食品衛生法の規定はわかるが、これだけ亡くなっていった方が出ているときにはどうするんだという話があると思いますので、そういった多角的な議論をしていきたいと思っておりますというふうに答弁をしております。
そういったことも含めて、先ほどから申し上げておりますとおり、平成20年の枠組みの中で、政府の中ではそういった役割分担でやっていきましょうということを申し合わせておるわけでございまして、厚生労働科学研究の2年間の成果についても、その後、私どもの方から関係の社会福祉系の施設について情報提供をし、公表をし、注意喚起をしているというような対応を取っておるわけでございます。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 今まで食品の安全性というと、やはり添加物や農薬であるという話だったのが、今回のミニカップタイプのこんにゃく入りゼリーはまさに形状とか物性が問題となっているわけです。それを受け止める法律がないのに、皆さんのお話を伺っていると、難しい、できませんで、やっていることは結局今までと同じ警告表示であったり、商品をどこに置きましょうかとか。それ以上のことができないんですかと私は言いたい。この何年かの間に何人も亡くなっていて、わかっているだけで22人です。私は食品の事故情報の収集の仕方が十分でないと思っています。報告義務があるわけではないので、決してすべての情報が消費者庁に集まっているとは考えていません。
特に食品に対しては、たくさんの事故がそのままになっていると思います。ミニカップタイプのこんにゃく入りゼリーは、お子さんとかお年寄りの被害が多く、親が子どもにあげた、または子どもがおじいちゃんやおばあちゃんにあげたということで、家族の中で起こっている事故が非常に多いと思っています。なかなか表に出ないということもあり得ると思っていて、事故がありませんから、これだけで終わりますというのは、私はどうしても納得できない。
この3つの省庁できちんと話し合いをして、食品の安全をどう考えるか。きちんとルールづくりをするとか、もし今の法律でできないのだったら、何ができるか、何とかしようという前向きの何らかの発言がなぜないのか。私は非常にがっかりしているところです。ぜひ3つの省庁で検討されて、できるだけ早く結果を出すように。特に消費者庁が中心になって、やっていただきたいと思います。

○中村委員長代理 さっきの答弁で、結局20年の防止対策について、やっているという答えだったのですが、舛添大臣の前後のやり取りは、要するに法のすき間なので食品衛生法では対応できない。食品衛生法の見直しも含めた趣旨で答弁されているはずなのです。それなのに今は20年、20年は去年よりもっと前の話なので、前のがあるから何もしないという答えには到底ならないので、去年3月25日にこういう国会答弁をしているということは、やはり食品衛生法の見直しを含めた検討をしましょうということです。そこのところをちゃんと受け止めて、答弁してほしかったのです。もう一度お願いします。

○道野輸入食品安全対策室長 今の御指摘ですけれども、食品衛生法の改正ということは言及していないと私どもは受け止めておりますし、議事録もちゃんと見ております。そんなことを今あれするわけではないのですけれども、この後の21年4月30日にもそういった注意喚起ということを重ねてやっておるということを申し上げたかっただけでございます。済みません。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 私はこんにゃく入りゼリーだけを取り上げなければいけないとは思っていなくて、今度の食品安全委員会の調査の結果でもわかったことですけれども、日本は随分と窒息事故死が多い国だということがわかったわけです。このことに対して関係している省庁が何もアクションを起こさないのは、私自身も非常に納得がいかないといいますか、怒りが強いです。そういう事実がわかって、窒息をして死亡している人が多いわけです。それは非常に大きな問題であって、これをトータルで何とかしなければということについては、手を出していくべきだというように思います。
先ほど食品衛生法で規格基準をつくるのは難しいとおっしゃいました。確かに私も難しいと思います。もちとあめとこんにゃく入りゼリー、そのほかピーナツとか、窒息の原因になっている食品はいろいろあります。それぞれが全部同じではない。違う特性を持っていて、その違う特性で窒息事故を起こしているということになるわけですから、一律の規格基準などはもちろんできないわけです。ですけれども、特保の方で、もちはのどに詰まりにくい物性のおもちの開発がされているというように聞いています。
ですから、そういうことも含めて、それぞれきめ細かにやっていけば、何らかの手がかりが得られるのではないかと思います。確かに規格基準をつくって、それをクリアーしたから絶対に大丈夫ということは言えないと思います。その辺りが行政としては非常に不安だと。要するに規格基準をつくった。それをクリアーした商品を出した。だけれども、窒息事故が起こった。そういうこともあり得ると思います。でも、それを恐れて一切何もなしということはないのではないかと思うわけです。
どんなに規格基準をつくって、それをクリアーしても、それは食品の特性で、リスクというのは必ず残るわけです。そこはすべての食品がさまざまなリスクを持っていますね。それと同じような考え方ができるわけで、さまざまな考え方の思考を変えていけば、無理ではないと思っていますので、そこは積極的にやっていただきたい。
食品衛生法が絶対だめということになれば、これは消費者安全法でやるよりほかにないわけです。そこら辺りももうちょっと協力し合って、この窒息事故をトータルでどうやったら少なくしていくかということについては、できませんではなくて、前向きに積極的に知恵を出して合っていただきたいと思います。

○松本委員長 先ほどコーデックスの話をされましたが、ここにコーデックスの中の一つですが、「食品衛生の一般原則 国際的に推奨される実施規格」の日本語版がございまして、2003年に第4回目の改訂がされているということです。
国際規格ですから、ここで用語の定義をきちんとやっているわけですが、「食品衛生」、すなわち英語で言うところのフードハイジーンの定義として、「フードチェーンのすべての段階で食品の安全性及び適切さを確実にするために必要なすべての状態及び手段」と定義をされていまして、それでは、食品の安全性、「食品安全」、フードセーフティーとは何かについては、「意図される用途に従って調理及びまたは喫食されたときに、その食品が消費者への危害を引き起こさないという保証」と書かれています。コーデックスの定義から行けば、食品衛生という言葉の中に、従来、厚生労働省が考えられていたよりは広いところの物性とか形状とかにかかわる食品安全も含んでおり、食品衛生と食品安全はかなり近い形で使われているという印象を受けるんです。
そういたしますと、日本もコーデックスのメンバーですから、国際的には食品衛生という概念で、ここまで考えているんだけれども、日本の国内法では食品衛生は狭く考えているという切り分けをされているのか。日本も国際基準に従って食品衛生という概念を広げて考えましょうという方向にはなっていないのでしょうか。そこをお聞かせください。

○道野輸入食品安全対策室長 うまく説明できるかどうかわかりませんけれども、確かにコーデックスの枠組みの中で食品の安全性ということを規定しているわけでして、それを国内法でどのように担保していくかという問題だと思います。もちろん、例えば食品の衛生の一般原則という、ジェネラル・プリンシプル・オブ・フードハイジーン、フードセーフティーかもしれませんが、ございますけれども、その中では生産を含めて、生産から加工流通、フードチェーン全般にわたっての原則が書かれています。したがって、求められているのはそういうものだろうと思います。
国内法では、例えば収穫後の段階以降については食品衛生法で対処している。それ以前に関しては農林水産省の方の諸制度で対応するというような割り振りをしていって、国内の体制は確保しているわけです。ただ、完全にコーデックスに対応しているかどうかと言われますと、御指摘のような状況があると思います。
先ほど私が申し上げましたのは、かたさや物性を個別基準という意味合いで、コーデックスでは私も承知しておりませんということを申し上げたわけでございます。

○松本委員長 実際に規制ができるのか、規制のための数値を出せるのかという問題、あるいは規制すべきかというのは一つ大きな問題としてあるにしても、一定の法的対応が必要だという判断をリスク管理当局がした際に、法律上の権限が何もないという状態は、コーデックスでいうところのフードチェーン全体を通じて安全が確保できる状態になっていない。それはコーデックスの定義で言うところのフードハイジーンがきちんと確保されていないということなので、日本国内の分担においては、そこはほかの法律がやるべきなのだという議論はあり得るわけですが、ほかの法律もないというのは、やはり国際基準から比べると日本は欠けているということになるのではないかと思います。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 報道では、いわゆるこんにゃく入りゼリーについては、EUなりアメリカなり韓国では販売禁止になっていると聞くのですが、それが事実なのかどうか。おわかりだったら教えていただきたし、わかっていなかったら至急調べていただきたいのですが、どういう法体系に基づいて、ヨーロッパ各国あるいはアメリカ、韓国はこんにゃく入りゼリーについて販売禁止にしたのか。そこら辺の法体系と法的な根拠ですね。そこら辺を時間がなければペーパーでも結構なので、ぜひ調査結果を教えていただきたいのですが、どうでしょうか。

○俵木基準審査課長 今の山口先生の御指摘については、多分、消費者庁でも訓令をもってお調べになった経緯もあると思いますので、私どももよく勉強をさせていただいて、食品衛生法という観点から、もう一回整理をさせていただきたいと思います。

○山口委員 要するに諸外国の食品衛生法、特に欧米なり食品衛生法でどういうふうに物性や形状がなっていて、その関係でどういうような体制になっているのか。

○松本委員長 山口委員、今日の配付資料の参考資料で、海外におけるこんにゃく入りゼリー対策の状況についての概要ということで、米国と欧州と韓国について、簡単なペーパーが出ております。

○山口委員 法文も含めて、どこにお願いしたら、これをいただけますでしょうか。消費者庁の方で調べていただけますか。

○野村消費者安全課長 今の御指摘のものは参考資料にあるとおりでございますけれども、アメリカの場合には制度禁止ではなくて、輸入差し止めという措置になってございます。欧州の方はEU指令で、材料としてのこんにゃく粉の添加剤としての使用の禁止を2004年にいたしまして、各国法で手当がなされているという状況です。
韓国の方は立法の措置が取られております。食品衛生法に基づいて定められます食品法典と呼ばれます規制で、大きさ、弾力性等に関する規制を2005年に定めをしてございます。さらに詳細の必要があれば、後日、資料を届けさせていただければと思います。

○山口委員 そこら辺はぜひ条文も含めて、要するにEU指令の中身ですね。アメリカは輸入は差し止めになっているけれども、国内のメーカーはないのかどうか。韓国についてはどういう法条に基づいて、日本と似ている食品衛生法があるのかどうか。それがどう違っていて、そういう規制になっているのか。そこら辺をぜひ調べて、教えていただきたいです。

○松本委員長 そのことについてはここに概要があるのと、もう一つは食品安全委員会のリスク評価の膨大な文書の後ろの方にもう少し詳細に、根拠となっているEUのディレクティブなども含めて、一応載っております。

○山口委員 原資料が欲しいです。条文自体も含めてです。

○松本委員長 どうぞ。

○道野輸入食品安全対策室長 先ほどコーデックスの規格基準、国際基準と国内基準の整合性が取れていない、もしくは国内基準は不十分ではないかという御指摘がございましたけれども、全体について調べるのはなかなか時間がかかりますので、少なくとも、かたさとか形状の扱いがコーデックス基準でどうなっているかということについては、私どもの方で調べさせていただきたいと思いますので、お時間をいただければと思います。

○松本委員長 どうぞ。

○俵木基準審査課長 先ほど日和佐先生から御指摘があった、基準を工夫できるのではないかということですが、何らかの基準ができるかどうか、考えなければいけないのかもしれないとは思いますけれども、今回の場合、食品安全委員会のレポートを読みましても、いわゆる年齢ファクター、咽喉等の加齢に伴う変化、幼少児での未発達な部分とか、そういった、いわゆる食する側のファクターが大きいです。例えば65歳以上の方はこういうおもちしか食べないでくださいというような基準をつくらざるを得ないことになりかねないと思っております。今、食品衛生法で規定している基準は、例えば添加物の添加量の規制、残留してはならない農薬の量、汚染物質の残留限度値など、食品サイドで完結できる基準値で、いわゆる業者に対して規制をかけるという規制のかけ方になっております。今回は、食する側のフォクターを織り込んだ基準をつくらざるを得ないような状況ではないかと思っておりまして、なかなか難しいのではないかと考えているものでございます。

○松本委員長 どうぞ。

○野村消費者安全課長 何人かの先生から消費者庁が中心になって前向きな対応をという御指摘をちょうだいいたしましたけれども、消費者安全行政の立場といたしましては、前向きにという意味合いは、次の事故が起こらないようにという取り組みをしっかりやるようにという御指摘だと受け止めてはございます。
片や、釈迦に説法ではございますけれども、食品安全というテーマは、食事をするというのは、いずれしても異物を体内に取り込むという行為でありますので、リスクゼロではないという前提で食品安全基本法もできて、リスク評価に基づいてリスク管理を行うということで行政全体が動いてきていると理解をしていますので、先だってのリスク評価書、食品の側の要因と人の側の要因があるということをかなり詳しく整理をしていただいて、かつ窒息事故件数が多いということですけれども、窒息事故が発生しておりますのは成人よりも咀嚼能力の弱い子どもなり高齢者で窒息事故がたくさん起こっているという指摘の内容だったと理解をしております。
まだこれから判断をしていくということだとは思っておりますけれども、食品安全基本法の枠組みの下で、リスク評価に基づいてリスク管理措置を講じていくという体制の中で、行政自体は進めていくということについては、御理解をいただければと思っております。

○松本委員長 よろしいでしょうか。消費者委員会といたしましては、この問題に大変大きな関心を持っております。引き続き議論をしていきたいと思います。
本日は、消費者庁、厚生労働省、農林水産省におかれましては、お忙しい中、審議に御協力をいただきまして、誠にありがとうございました。

≪4.閉 会≫

○松本委員長 本日の議題は以上ですが、最後に事務局より、次回日程について御説明をお願いいたします。

○原事務局長 ありがとうございます。次回の委員会は定例の日程では7月23日金曜日の15時からになります。なお、状況によっては、これ以前に臨時に開催をさせていただく場合もございますので、その場合には改めて通知をさせていただきたいと思っております。
事務局からは、以上です。

○松本委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)