第28回 消費者委員会議事録

日時

2010年6月25日(金)15:00~17:20

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 松本委員長、中村委員長代理、池田委員、川戸委員、
 佐野委員、田島委員、日和佐委員、山口委員

【説明者】
 消費者庁
  内田長官
  黒田政策調整課長
  坂田首席情報分析官
 金融庁
  其田証券取引等監視委員会証券検査課長
  青戸総務企画局市場課市場機能強化法令準備室長
  栗田監督局証券課長
 警察庁
  世取山生活安全局生活経済対策管理官
  三田刑事局捜査第二課振り込め詐欺対策官
 経済産業省
  商務流通グループ消費経済政策課担当者
 総務省
  消費者行政課担当者
 内閣府
  高須政策統括官(共生社会政策担当)付参事官(青少年環境整備担当)
 厚生労働省
  水津老健局高齢者支援課長

【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長、野崎参事官

議事次第

1.開会
2.消費者基本計画の検証・評価・監視について
 (高齢化社会における消費者問題について、情報・通信分野の法規制について)
3.消費者安全法に基づく国会報告について
4.こんにゃく入りゼリー事故について
5.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:13KB)
【資料1】 「消費者基本計画」における「工程の明確化」関連資料(関係府省庁提出資料) (PDF形式:50KB)
【資料2】 消費者基本計画(施策番号60)参考資料(消費者庁提出資料) (PDF形式:24KB)
【資料3】 消費者基本計画(施策番号60)参考資料(金融庁提出資料) (PDF形式:311KB)
【資料4】 消費者基本計画(施策番号62)参考資料(金融庁提出資料) (PDF形式:213KB)
【資料5】 消費者基本計画(施策番号158)参考資料(内閣府提出資料) (PDF形式:61KB)
【資料6】 消費者基本計画(施策番号58)参考資料(厚生労働省提出資料) (PDF形式:81KB)
【資料7】 消費者基本計画(施策番号106)参考資料(厚生労働省提出資料) (PDF形式:155KB)
【資料8】 消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果の報告(消費者庁提出資料) 【資料9】 消費者安全法に基づく国会報告について 今後重視されるべき基本的視点(案) (PDF形式:34KB)
【資料10】 評価書(食品による窒息事故)(要約部分)(食品安全委員会発表資料) (PDF形式:263KB)
【資料11】 New ESRI Working Paper No.17「こんにゃくゼリー窒息事故を考える~データに基づく議論のために~」(内閣府経済社会総合研究所発表資料)
〔※以下の資料は、内閣府経済社会総合研究所のサイトへのリンクとなります。新しいウィンドウで開きます。〕
表紙から1ページ (PDF形式:44KB) / 2から20ページ (PDF形式:456KB) / 21から38ページ (PDF形式:453KB)
【資料12】 ミニカップタイプのこんにゃく入りゼリーの現状について(2010年)(国民生活センター発表資料)

≪1.開 会≫

○原事務局長 それでは、始めさせていただきたいと思います。
本日はお忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから「消費者委員会(第28回)」の会合を開催したいと思います。
委員長、よろしくお願いいたします。

○松本委員長 それでは、議題に入らせていただきます。
本日は、当初予定しておりました「消費者基本計画の検証・評価・監視について」、それから「消費者安全法に基づく国会報告について」に関する議題に加えまして、「こんにゃく入りゼリー事故について」も議題として取り上げたいと思います。

≪2.消費者基本計画の検証・評価・監視について(高齢化社会における消費者問題について、情報・通信分野の法規制について)≫

○松本委員長 本日最初の議題は「消費者基本計画の検証・評価・監視について」です。消費者委員会では、消費者基本計画の検証・評価・監視の一環として、先月開催しました第25回の委員会より、重点課題の実施の工程について、各省からお越しいただいてヒアリングを行っております。
本日は、その第4回目といたしまして、「消費者基本計画策定に向けての意見」の重点施策の8番目、「高齢化社会における消費者問題の把握、有効な対応に向けての施策の展開を図る」に関連する施策である基本計画の施策番号58、60、62、 106について、それから、消費者委員会として取り上げております重点施策の9番目、「情報・通信分野の法規制に消費者保護の観点を入れる」に関連する施策である施策番号153、158について、それぞれ関係省庁においでいただいておりますので、ヒアリングを行いたいと思います。
ヒアリングの進め方についてですが、施策番号60、62、153、158、それから58、106の順番で行います。それぞれの施策番号ごとに工程について御説明をいただき質疑を行いたいと思いますが、施策番号60と62につきましては関連する施策でございますので、それぞれ御説明をいただいた後にまとめて質疑を行いたいと思います。
それでは、施策番号60及び62の工程について、本日は消費者庁、金融庁、警察庁においでいただいております。
初めに施策番号60の工程について、消費者庁政策調整課より御説明をお願いいたします。

○黒田政策調整課長 消費者庁政策調整課長の黒田と申します。よろしくお願いいたします。
まず、施策番号60についての工程でございます。この60の内容は、未公開株の取引等を利用した高齢者などをねらった詐欺的商法について、どう対応するかということですけれども、これは工程というよりも、決めたことをしっかり素早く、できることからどんどんやっていくというふうに理解しておりまして、今、それを実行しているということでございます。
お手元に配っております資料2(PDF形式:24KB)をごらんになっていただければと思います。取り組み状況ということで、経緯といたしましては、警察庁、金融庁等と連携し、「新たな手口による詐欺的商法に関する対策チーム」を設置し、3月に対応策をとりまとめました。対応策については、ここで一度御説明させていただいておりますので詳細は省略いたしますが、大きく言うと3つの柱があります。情報集約から取り締まりまでを一貫的かつ迅速に行う体制の構築。つまり、いかに素早く必要な情報を共有して取り締まりにつなげていくかということですし、注意喚起、普及啓発の強化、被害の抑止・回復の迅速化等に向けた制度の運用・整備の在り方の検討を行うということでございます。
1枚めくっていただきまして、現在における主な取り組み状況を御説明いたします。
まず、情報集約・共有につきましては、4月以降、約1,000件、消費生活センターを通じて情報を共有化しております。日本証券業協会からは、別途、1,200件ほど情報をいただきまして、それらの情報を合わせて事業者名については1,300事業者分に名寄せできたということで、随時、警察庁、金融庁に対して情報を提供してきております。
業者への対応につきましては、対策を決めたときに、国民生活センターから社債を発行する業者については事業者名を公表したということでありますし、金融庁、警察庁についても、後で御説明があるかと思いますが、それぞれ取り組みを行っております。
注意喚起・普及啓発については、社名公表をしたときに同時に「未公開株・社債の勧誘に関する注意喚起」ということで、消費者庁からも高齢者等に対して注意を喚起しております。あと、金融庁、消費者庁、警察庁の連名でリーフレットを作成し、必要なところに広く配付させていただいておりますし、ポスターも作成しております。
今年の消費者月間のテーマは高齢者の消費者被害をテーマとしていたのですけれども、そういった行事においても、未公開株等の取引を利用した詐欺的商法について積極的に取り上げております。
また、未公開株だけに限らず、高齢者の方を中心にねらっていくことについてはほかにもいろいろな手口がございます。昨日も国民生活センターから、イラク通貨のディナールの両替に絡んで、お年寄りに対して電話勧誘などにより高額のお金をだまし取るといいますか、両替してお金をかえたはいいけれども、円にかえようと思ってもかえてくれないといった事案があるので、注意喚起をしております。
これも6月の中旬ですが、「もうけ話に注意」ということで、特にこれは貸金業法の完全施行に関連して、お手軽にネットを通じてもうけられることについても、消費者の方々に、安易にもうけ話に飛びつかないようにといった注意喚起をしているところでございます。
以上、簡単ではございますが、消費者庁の取り組みについて説明を終わります。

○松本委員長 ありがとうございました。
続きまして、施策番号62の工程につきまして、金融庁より御説明をお願いいたします。

○其田証券検査課長 金融庁証券取引等監視委員会の其田と申します。よろしくお願いいたします。
資料1-2(PDF形式:50KB)になりますけれども、施策番号62につきましては、無登録業者による未公開株の販売やファンド業者による資金の流用等の詐欺的な事案が見られるところ、金商法違反行為を行う者に対する裁判所への差止命令、これは金商法第192条という条文の規定になりますけれども、この実効性を確保するため、罰則規定の整備を盛り込んだ法案を国会に提出し、成立・施行後は同制度の活用に向け検討を進める、こういう施策でございます。
これにつきましては資料の4(PDF形式:213KB)をごらんいただきたいと思います。ポンチ絵が書いてございます。制度のおさらいになりますけれども、違反行為の禁止・停止の申し立てということで、金商法の違反行為について私どもの方から裁判所へ禁止・停止の申し立てを行う。それに基づいて裁判所が当該違反行為をしている者に対して禁止・停止命令を出す、こういう制度でございます。
もう1枚おめくりいただきますと、先ほど申しました罰則規定というのはさきの国会で成立した内容でございますが、差止命令に違反した場合の両罰規定ということです。3つ目のマルですが、現行法上、裁判所の差止命令に違反した者に対しては罰則を科している一方、法人に対する罰則を科す両罰規定の適用がないため、法人が差止命令に反して営業を続けたとしても、法人に罰則を科すことができなかったのが、今回、両罰規定ができたことで、法人に対しても罰則を科すことができるようになったという内容でございます。
これを踏まえまして、今後、192条の条文を活用していくスタンスで検討を進めるということで、資料1の2に戻っていただきたいのですけれども、現在、金融庁長官の権限が私ども証券取引等監視委員会に委任されており、私どもと金融庁がどちらもこの条文が使えるという状況になっています。私どもとして、この申し立てについてどのように具体的に運用を行っていくか検討を進めています。
具体的には無登録業者による未公開株の販売、これは金商法違反ということになりますし、最近ファンドの販売を行っている登録業者の検査を私どもはしておりますが、その中で、集めた資金を流用してしまう詐欺的事案があり、登録業者の周辺に無登録業者が介在していて、実際は無登録業者が名前を借りてファンドを売っている実態も検査の中でかいま見られるところでございます。
こういうものに対し、192条、あるいは192条の申し立てを前提とする調査権限が187条になりますけれども、これらを使っていこうということで、部内で、どのように運用していくか手続の検討を鋭意進めているところでございます。それと同時に、無登録業者に関する情報、私どもの方に直接来る情報もありますし、PIO-NET等を通じて来るものもあります。そういうものを情報収集して、その中で187条調査、あるいはその先に192条の申し立てを要するものが出てくれば、対応していく構えで進めているところでございます。
私どもは、登録業者の検査を行ってきた組織ですが、現在の状況を踏まえまして、無登録業者に対しては187条、192条を活用していく、そういう構えで検討を進めているところでございます。
説明は以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。それでは、ただいま御説明いただきました施策番号60及び62につきまして、どうぞ御質問、御意見をお出しください。
山口委員。

○山口委員 どうもありがとうございました。消費者委員会におきましてもこの問題はつとに強い関心を持っておりまして、特に金融庁におかれましてはさまざまな努力をしていただいている。しかし、やっても、やっても法の網の目を縫って、消費者、特にお年寄りを被害にかけるという実態が続くものですから、消費者委員会としても先般、提言をさせていただきまして、少しでも被害の抑止になるように消費者委員会としても努力していきたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。
つきましては、説明をいただいたところについて、可能な範囲で結構ですので、5点、教えていただければと思います。
まず1番目に、いわゆる不招請勧誘の禁止の範囲について、春に御説明をいただいたときも検討中だというお話があったのですが、デリバティブ等に特定せずに、例えば元本割れする範囲の金融商品については不招請勧誘を抑止・禁止するとか、わかりやすい基準が一定あった方がいいのではないかと思います。その辺の検討状況が今どうなっているのか、ひとつ教えていただければと思います。
それから、第2に、資料3(PDF形式:311KB)にもありますが、被害拡大の防止に向けて、小規模の無届け募集に関する留意事項として、少人数向け勧誘に該当するかどうかについてのガイドラインをパブコメを出して検討中と書いてあります。これは、いつごろ実質的なガイドラインの改定をなさる予定なのか、その辺について教えていただければと思います。
3番目に、今、証券取引等監視委員会から御説明がありましたが、187条等を使って調査をなさることで頑張っていただきたいと思うのですが、無登録業者が例えば報告を拒否したり検査を拒否した場合、あるいは虚偽の報告をした場合、罰則等がないとなかなか実効性が伴わないのではないかと思います。その辺の整備はどういうふうになさる予定なのか、あるいは運用がどうなっているか、その辺もわかればと思います。
4番目に、これは消費者委員会の提言で出させていただいているところですが、無登録業者の金融商品販売の場合の罰則が懲役3年以下ということで、いわゆる制裁的機能が薄い。違反行為をしてもどっちみち執行猶予だろうと。実際、執行猶予にさえならない、罰金で終わっている例がほとんどのわけです。罰則を強化したらどうかということも含めて検討の素材として提言させていただいているわけですが、その辺はどういうふうなお考えか。できれば作業工程の中にその辺の検討も入れていただければと思いますが、その点がどうかということです。
最後に、無登録業者が金融商品を販売した場合、罰則や行政処分だけではなかなか追いつかない部分もあると思います。無登録業者は明らかに違法な行為をしているわけですから、民事的な救済で迅速に、金融商品販売については即無効、あるいは取り消しができるということで消費者被害の救済を図りやすくすることが、行政の負担を軽くする意味でも有益だと思います。その辺についてどういうふうなお考え、あるいはどういう作業工程になっているのか。いろいろありますが、とりあえず教えてください。

○松本委員長 それでは、お願いいたします。

○青戸市場機能強化法令準備室長 金融庁市場課の青戸でございます。
山口委員から5つ御指摘いただいた点につきまして、頭からお答えさせていただきますと、まず1点目、デリバティブ取引に係る不招請勧誘規制の在り方でございます。私どもは本年1月に金融庁として、「我が国金融・資本市場に係る制度整備について」というものを公表させていただいておりまして、その中でこの点について触れております。結論から申し上げますと、この中で、「本年前半を目途に結論を得るよう検討を進める」ということで、ただ今検討しているところでございまして、まだその方向性は出るに至っておりません。
これにつきましては、この「制度整備について」を出しました後、消費者サイドの御意見等、それから、日本証券業協会も含む自主規制機関等のいろいろな御意見を聞きながら、検討を進めているところでございます。
2点目、少人数募集の際のガイドラインでございますが、これはパブリックコメントの結果を踏まえて、本年の6月4日からすでに適用しておりますので、今後は、このガイドラインに沿って厳正に対処してまいりたいと考えているところでございます。
4点目、罰則についてでございます。これまでもこの点についての御指摘を承っており、非常に大きな課題であると考えておりますが、他方、我が国の法体系の中での罰則の引き上げというものにつきましては、他法令との均衡などに十分留意する必要があるわけでございます。そういったことから、関係する罰則について引き上げていくためには、やはり然るべき理屈と機運の醸成といったものが必要であると考えております。金融庁としてもこれを一つの課題として考えておりますが、引き続きよろしくお願いしたいと考えているところでございます。
5点目、民事効の点につきましても、私どもは制度上の課題として受けとめているところでございます。他方、無登録業者による金融商品の販売について、契約無効といった民事ルールを規定すべきといった御提言は、顧客の民事救済の幅が広がるという意味では非常に御示唆に富むものと考えているところでございます。
他方、こういった規定につきまして、一律に無効とすることにつきましては、中小企業等の円滑な資金調達の関係とか、「業として」の判断自体困難であるといった、さまざまな考慮すべき課題は依然としてあると考えているところでございます。また現在、法務省の法制審議会においても、最近、債権法改正の議論が進んでおりまして、民事ルールの在り方につきましては、こういった議論も見守っていく必要があると考えております。
いずれにしろ、無登録業者の行為の中でも、悪質性の認められる行為を切り出さずに一般的に民事効を否定することは、そのままでは社会経済上の影響は大きいことから、御指摘の点も含めまして、法制や実態面を幅広く勉強してまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。

○松本委員長 3点目についてのお答えがなかったと思います。検査拒否のケースにつきまして。

○其田証券検査課長 187条調査の検査忌避に対する罰則というのはすでにありまして、たしか1年間の懲役、300万円以下の罰金または併科だと思いますけれども、187条調査をやっていく上でそういう無登録業者が出てきた場合は、その条文を使って対応していくことになると思います。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 先ほど消費者庁の説明の中で、情報の共有ということでPIO-NET情報の問題が指摘されていました。警察庁と金融庁にお聞きしたいのですが、実際にPIO-NETの端末はそちらの役所にもあると思いますが、ちゃんと開いてみて常時チェックしたり活用はしておられるのかどうか、実情を教えていただきたいのですが。

○世取山生活経済対策管理官 警察庁でございますが、PIO-NETは課の中に端末が1台ございまして、ほぼ常時と言っていいくらい活用しているものでございます。我々はいろいろなチャンネルから、いろいろな業者について、あるいはいろいろなタイプの苦情について寄せられるわけでございますけれども、そういったものがどの程度広がりがあって出ているのかといったものを調べるために、とりあえずPIO-NETをたたいてみるということは日々のルーティンワークとして行っているところでございます。
ただ、我々がPIO-NETを開いて見られる情報というのは、当然、一定の縛りがありますから、さらに詳細な情報を得るために消費者庁、国民生活センター等に問い合わせを行うといったことも日々の普通の仕事として行っております。

○栗田証券課長 金融庁でございますが、金融庁においてもPIO-NET情報は見させていただいております。その中で特に具体性のあるもの、電話番号や住所、そういうものにつきましては財務局から必要に応じて調査をやっているということでございます。

○中村委員長代理 最近、PIO-NETの使い勝手が非常に悪いという意見もよく聞くのですが、皆さんのところはその辺の活用に当たって支障はございませんか。

○世取山生活経済対策管理官 どういう点についてでございますか。

○中村委員長代理 PIO-NETの欲しい情報までたどり着くのに、4月からシステムを変えたためにハードルが高くなったという話も聞いたのですが、特に支障なく活用しておられるのかどうか、それだけお聞かせいただければと思います。

○世取山生活経済対策管理官 4月から急に使い勝手が悪くなったというふうには承知しておりません。ただ、先ほど申し上げたことの繰り返しになりますが、我々は個々の業者を捜査するためには個別具体の情報がやはり必要になるわけです。中でも、ものすごい数が入っている中で苦情の特に集中しているものとか、最近増えているものを選別して名寄せをして、それについて選択と集中の中で重点的に調査をしていく必要があります。そういう意味では、PIO-NETの端末をいじるだけですべて我々の欲しい情報が得られるということではもともとないわけですから、その点は前から同じだと思っております。

○栗田証券課長 金融庁におきまして、特にPIO-NETが使い勝手が悪いという認識は持っていないのですが、これは金銭面、人的な面もあろうかと思いますけれども、でき得ればもう少し早く情報が来ればありがたいという面はあります。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 山口委員がおっしゃったことと重複しますけれども、4月9日に消費者委員会として発表した「未公開株等投資詐欺被害対策についての提言」、これをぜひ早急に実施してほしいと思います。この中の概要というのが、被害救済の民事ルールの整備、特商法の適用対象の拡大、そして違反事業者の罰則強化。先ほど御説明にありましたイラクの通貨についてもそうですが、ここでも発表されなかった違反事業者の事業者名の公表をぜひ推進していただきたいと思います。中期的には不招請勧誘のことも検討していただきたいと思っています。ぜひこれを推進していただきたい。
一つ、消費者庁に質問したいのですが、まさに昨日、国民生活センターで発表されましたイラク通貨の事件について、未公開株などの投資トラブルというふうにきちんと書かれておりますけれども、これに対して消費者庁は何をされるのか、緊急の対応策があるのかどうか、教えてください。

○黒田政策調整課長 まずは注意喚起をするということで、国民の皆様に、こういった形態の新しい手口、詐欺的に被害を与えている手口があることを広く知っていただくことが大事だということで、昨日公表しました。単に公表しただけではなかなか伝わらないと思いますので、いろいろなチャンネルを通じてどんどんPRをしていくことが大事だと思います。また、その後、その件数等をしっかりウォッチして、今後、必要なことがあればまた適宜対応していくということで考えております。

○松本委員長 外国為替の法規制について私も詳しくはないですが、これは業として登録している者以外がやってもいいものなのでしょうか。無登録業者による詐欺行為なのか、あるいは、外為を業としてやる資格のある業者が詐欺行為をやっているのか、その辺りはおわかりでしょうか。

○栗田証券課長 金融庁ですけれども、私のところの所管外ではありますが、ちょっと申し上げます。外国為替の両替業というのは昔は大蔵省の認可が必要な業務でしたけれども、今は自由化されておりまして、基本的にだれがやってもいいということでございますので、業法違反とか、無登録とか、そういう問題は出てこないというふうに考えております。

○松本委員長 池田委員、どうぞ。

○池田委員 資料2の消費者庁の説明には、「情報収集から取り締まりまでを一貫的かつ迅速に行う体制の構築」とありますが、これは具体的にはどういう形が一貫的かつ迅速に行う体制の構築になるのか、何か具体的な例があれば説明してほしいと思います。
それに関連して先ほどの説明の中で、名寄せを1,300ほどやって両庁に連絡をしたとありましたが、それを受けて両庁は具体的にどういう行動をとられたのかを、消費者庁として把握するシステムがあるのか、あるいは警察庁、金融庁はそういう連絡を受けてどういう行動を具体的にとられるのかについて、参考に教えてほしいと思います。

○黒田政策調整課長 まず仕組みの話で申しますと、気がついたときにやるというやり方ではなく、はっきり未公開株、社債等の手口を決めて、そういった情報については通常よりも優先して入力をしてほしいという要請を、現場の消費生活センターにお願いをしているということです。先ほど時間がかかるという話がありましたけれども、相対的に見れば、この件については早く入力されるようになっているという点がございます。
それと、アドホックにはあったのかもしれませんけれども、証券業協会ともこの件についてはテーマを決めて、定期的に情報をいただくことをまず決めて、ルーティンワークにしてあるということです。そして、その両者を合わせて業者を絞り込んで、事業者名、電話番号、住所、いろいろ名寄せの仕方はありますけれども、それを定期的にお渡ししている。そこから先は個別の捜査情報等になるので、ファイアーウォールがあるということです。

○世取山生活経済対策管理官 私どもがいただいた情報は、正確に申し上げますと、1,300件も、事業者の名前だけしか判明していないもの。つまり、所在地がどこなのかとか、連絡先の電話番号とか、そういったことが判明せずに事業者名だけ。しかも、いただいたリストを見ると、どういう苦情が寄せられているのかという苦情の中身が判然としないもの、こういったものもかなりの数が含まれて1,300件ということなのです。
ただ、中には、所在地、連絡先の電話番号、あるいは、どういう事業者がどういう物を販売しているのか、苦情の内容としてどういうものがあるのかということが記載されているものがありますので、そうしたものについて捜査を行う、法執行を行うのは自治体警察でございます。適当な都道府県警察にそれを連絡してやっていくということになりますが、すでに蓄積されている、寄せられているその手の苦情・相談のたぐいがたくさんあるので、迅速とはいっても現在の捜査力の範囲で順次行っていく。その中でも、現在、被害が拡大しつつある、つまり苦情の件数としては多いけれども、これは何らかの行政処分が出されて、基本的に最近の苦情はあまり多くないというものも中にはありますし、最近急に苦情が増えてきたというものもありますから、当然、被害が拡大しつつあるものについては最優先で行うようにということで行っているところでございます。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 警察の方で、今年度、わかる範囲で結構ですが、何件ほどこの種の事案について摘発をなさったのか、あるいは、どの点が難しいのかというところがわかれば教えていただければと思います。

○世取山生活経済対策管理官 平成22年になってから警察庁に報告があったのは4事件で、合計して被疑者19名が検挙されているところでございます。1月に愛知県警、2月に埼玉県警、4月と6月に警視庁と、いずれも未公開株を販売した者を金商法の無登録営業、あるいは詐欺罪で摘発しているところでございます。

○松本委員長 よろしいでしょうか。それぞれの工程表に書かれている施策を積極的に進めていただくとともに、消費者委員会から提言として出させていただいており、また、山口委員がいくつか指摘されましたような課題について、現在、いろいろな問題点があるということで、特に金融庁において検討中ということですけれども、積極的に検討を進めていただきたいと思います。
それから、先ほどの外国為替、両替を口実とした詐欺的な商法について、業法による規制がないということになりますと、あとは詐欺という直接の刑事罰で押さえるのか、あるいは金融商品販売法で政令指定されていれば金販法による救済が考えられるかもしれないですが、全く法的な枠に入ってこないとなると、これは何か考えなければならないのではないかという気もいたします。そういう新手の金融を使った詐欺的商法については、積極的な検討をいただきたいと思います。ありがとうございました。

(説明者退席)

○松本委員長 次の工程に入りたいと思います。施策番号153についてですが、本日は、消費者庁、総務省、経済産業省においでいただいております。工程につきまして、消費者庁政策調整課より御説明をお願いいたします。

○黒田政策調整課長 引き続き、御説明いたします。今日の段階では、まだ皆さんにお配りできるペーパーの形にはなっていないのですけれども、本件について総合的に検討するということで、これまでも関係省庁で、インターネットの利用、事業の在り方、電子商取引における問題点などは議論されてきています。
また、この計画における施策を踏まえまして、政策調整課において研究会を立ち上げて検討していきたいと考えておりまして、特に消費者庁でやるということで、消費者の視点に立ってまず何が問題なのかということです。今まで消費者庁として、例えば詐欺的商法、出会い系サイトとか、ワンクリック詐欺とか、そういった問題もございますし、取引の中で一体どこからどこまでがどの事業者が関わっているのか、非常に特定しにくいといった特徴もございます。越境取引なども簡単にできてしまうということで、なかなかトラブルを解決できないといった問題意識を持っておりまして、そういったことについて何が問題なのか、そういった課題は何かということを、改めて消費者の視点に立って整理をいたしまして、事業者の取り組みなどもいろいろ話を聞きながら、研究会を立ち上げて検討していきたいと思っておりまして、今、内部でその研究会の在り方、構成などを議論しております。
関係省庁にもすでに相談もしておりまして、オブザーバーという形で入っていただければと思っておりますし、有識者という形で、例えば松本委員長などこの道の専門の方々にも、どういった研究の在り方がいいのかということを、今まさに相談しているところでございます。なるべく早い段階で研究会を立ち上げまして、並行して海外調査なども行いまして、ここに書いてありますとおり、年度内には一定のとりまとめをしたいというふうに考えております。
簡単でございますが、説明は以上です。

○松本委員長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきまして、どうぞ御意見、御質問がございましたら、お出しください。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 インターネット被害の問題につきましてはいくつか問題があると思いますが、これは消費者庁の管轄なのか、総務省の管轄なのか、両方にまたがる分野もありますが、いわゆるプロバイダ責任制限法の関係で検討する余地がないのか。この種の被害事案では被害者が加害者側に連絡を取ろうと思っても加害者がわからないわけです。
ところが、プロバイダ責任制限法におきましては、情報自体が犯罪の場合には開示義務がある、あるいは開示請求権がありますが、それが誘因になって詐欺的な被害に遭った場合には開示対象になっていない関係で、被害回復をしようと思っても難しい、あるいはどこにクレームを言ったらいいかわからないという問題が山積していると思います。その辺は今のお話では、これから勉強するというお話ではありますが、少なくともプロバイダ責任制限法の見直しについては早急になされてしかるべきだと思うのですが、これは工程には入らないのでしょうか。

○黒田政策調整課長 今のお話は、被害に遭ったときに民事的に解決していくために、いかに相手方を特定していくかという観点かと理解いたしました。インターネットにおけるトラブルがいろいろなところで起こる。例えば契約の前の段階とか、中身に問題があるとか、どう実行するのかとか、そういった場面、場面を分けて考えながら、かつ、いろいろな種類、新しいサービスもどんどん生まれておりますので、契約でトラブルがあったときにいかに相手方を確認していくかといったことについても、今の御指摘を踏まえて中でどういった検討ができるかといったことを考えていきたいと思います。
どの法律でどうというところはこれから勉強する話ですので、今の段階で即答はできないのですけれども、トラブルが起きたときに相手方がなかなか特定できないではないかというのは一つ大きな問題だと理解いたしますので、そういったことも取り上げていければというふうに思っております。

○松本委員長 総務省では、プロバイダ責任制限法自体の対象をどうしようかという議論はすでにされているのでしょうか。

○総務省消費者行政課 今のところ、そういったところは明確になってございません。御指摘がありましたように、発信者情報という部分と特に関係してくる点だとは思いますが、それについては通信の秘密という部分もあります。そういった中で、今回、インターネットに関する取引の部分での消費者問題を取り上げるとなったときに、先ほど消費者庁からお話がありましたように、まず課題の抽出から始まるというふうに私どもは認識しておりますので、この研究会でそうした内容を議論するのかどうかも含めて議論がなされていくものと考えております。

○松本委員長 佐野委員。

○佐野委員 インターネットを初めとする高度情報化の時代で、情報・通信技術を活用した事件がいろいろあります。3省庁で検討をスタートされるということですが、ぜひ、じっくりやっていただきたいと思います。
一つお願いしたいのが、今、よく言われているドロップシッピングという被害とか、アフィリエートとか、そういう被害救済をどうするか。また個人輸入についても、健康被害のあるようないわゆる健康食品が輸入されて、それをどう扱うかもぜひ検討していただきたいと思います。
消費者庁にこれとは少し違う質問をしたいと思います。この春、音楽の有料サイトで身に覚えのない請求を受けたという事件がありました。すごく画期的だなと思ったのは、インターネット上で消費者庁が企業にした質問から回答まで全部公表されていたということです。あの後、何かものが動いたのかということと、こういうやり方でどんどん続けていかれる気持ちがあるのか、お伺いしたいと思います。

○松本委員長 内田長官、お願いいたします。

○内田消費者庁長官 あのやり方は、もちろん、初めて我々がやってみて、特に親会社というか、親元が日本ではないので、どういう反応になるのか手探りでしたけれども、最後は誠実な対応をしてもらったと思っていて、その後、被害が減っているという話も聞いておりますので、一定の効果があったと思っております。ああいうやり方、つまり我々がアクションをしてそれを公開でやっていく、そこのところが効果があったというふうに思っておりますから、その場合、場合にはなると思いますけれども、あのやり方があの場限りだとは思っておりません。ああいうやり方が有効だと思えばこれからもやっていきたいと思っています。

○松本委員長 ほかにございませんでしょうか。
山口委員。

○山口委員 消費者被害の議論をしてますと、発信者の情報について必ず通信の秘密の問題が出てくるのですが、インターネットのアイテムを使って最初から詐欺をやる手合いについて通信の秘密を錦の御旗にされることは、私ども消費者被害にかかわっている立場からしますと、非常に違和感を感じるわけです。
具体的に申しますと、例えば有料アイテムを有料とわからずに購入ボタンを押して、後日、携帯電話会社から高額請求されたという相談はたくさん来ています。あるいは、携帯電話用の出会い系サイト上で、サイト側が用意したサクラを使ってのメール交換によって高額なポイント料金を課せられたと。これはもう最初から詐欺をやるつもりでやっているわけです。
ところが、加害者側を特定しようとしてもわからない。これが、通信の秘密ですからと言われると、これから検討するかどうも含めて検討しますと言われると、ちょっと待ってくださいと。これが犯罪の道具に使われている状況の中で適正な形でやっていくようにしていただかないと困ります。また、インターネットを使った内職はないかということで検索をすると、エクセルを使って月収29万円稼げるとか、いろいろなサイトが出てきているわけです。ついついそれに乗っかってしまうとえらい被害に遭う。現実にそういうことが、PIO-NETの情報でも、あるいはさまざまな相談をやっても必ず出てきます。
その辺はきちんと総務省の方も踏まえて、早急に手を打っていただく必要があるのではないかと思います。この問題はぜひ工程に盛り込んでいただいて、これから勉強をやるかどうかも含めてというのではなく、現実に被害がたくさん起こっていますし、しかも難しいのは、これは3万円、5万円、あるいは10万円、20万円という被害なのです。したがって、この種の被害は泣き寝入りが非常に多いのです。やる側は、それを見越して広く薄く被害者をつくり出すということをやっているわけです。ぜひその辺を認識いただいて、対応を早急にやっていただきたいと思います。

○総務省消費者行政課 今、御指摘があったような問題があることについては、私どもも十分に認識しております。ただ、通信の秘密というのは、申し訳ございません、憲法に保障されたものでございますので、そういった中で通信の秘密の侵害性を許容できるのかどうかという部分は、やはり十分に検討しなければいけないところだと思っております。

○黒田政策調整課長 詐欺が起こる場合にどういったことが問題になるのかということは、当然、検討していきたいと思います。今、この場で通信の秘密云々については答えられないということで申し上げただけでございまして、そこは十分御意見を踏まえて検討していきたいと思います。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 横浜市での消費者相談の統計が出たのですけれども、70代を除いてどの年代もトップがデジタルコンテンツで、いわゆる架空請求なのです。架空請求の集金の方法が、現金書留で送ってくださいとか、今までよりも非常に多様になってきている。相変わらず架空請求の被害は多いということですので、ぜひ力を入れてやっていただきたいということが一つです。
それから、パソコンでのいわゆる迷惑メール、売り込み、コマーシャルが非常に多いです。これを自動的に削除できるようにはしていますけれども、週末になると1日に50通ぐらい入ってくるわけで、これは当然ですが、個人アドレスが何かの関係で漏れているということになるわけです。その辺りもひとつ究明して、どう対策をとっていけばいいのかということの一つではないかと思います。売り込んでくる商品もすごいです。24時間だったら70%引きです、というようなものが結構あります。ですから、そこも一つ問題点ではないかと思っています。

○松本委員長 個別の問題を取り上げていくと、恐らく時間がなくなるかと思います。工程の第一段階として、そういう問題点をできるだけ早く明らかにして、方向性を出すということですので、今日、委員から出された問題点等も含めて、至急、研究会の方を動かして作業を進めていただきたいと思います。
それでは、本日は審議に協力いただきまして、ありがとうございました。

(説明者退席)

○松本委員長 次に、施策番号158の工程につきまして、内閣府の共生社会政策担当より御説明をお願いいたします。

○高須政策統括官(共生社会政策担当)付参事官(青少年環境整備担当) 内閣府の共生社会の参事官をいたしております高須でございます。よろしくお願いいたします。
資料1-4(PDF形式:50KB)の工程表と、資料5(PDF形式:61KB)、横長の2枚紙ですが、これに沿って簡単にお話しさせていただきたいと存じます。資料1-4の工程表は、今の法律、それから基本計画というのがありますけれども、これを落とした形になってございますので、釈迦に説法かと存じますが、資料5の法律、それから、2枚目の基本計画の概要をお話しさせていただきたいと思います。
この法律は、いわゆる青少年インターネット環境整備法と言われているものでございまして、最初のところに記してございますとおり、議員立法ですが、2年前にできて昨年の4月1日から施行されています。その法律の附則において、「施行後3年以内に見直す」というふうになっている法律でございます。この法律自体、必ずしも青少年を消費者として明記とか、そういう切り口ではないのですけれども、基本理念の中で、青少年のネットのユーザーとしてのリテラシー向上を図るということがございますので、そういう意味で消費者として青少年を見ていると言えようかと思います。
その基本理念ですが、法律に3つ掲げてございます。繰り返しでございますけれども、1つ目が「青少年の適切なインターネット活用能力習得」。リテラシーの向上ということで、しっかり賢いユーザーになっていただくということが1つ目です。
2つ目は「青少年の有害情報の閲覧機会の最小化」ということでございます。青少年有害情報の定義につきましては、必ずしも個別具体的になかなか書ききれない部分はあるわけですけれども、やはりそういう範疇(はんちゅう)のものはあるだろうということで、それを、主としてフィルタリングという方式になりますが、できるだけ青少年が触れないようにしていきましょうというのが理念の2つ目でございます。
3つ目でございますけれども、法律自体は国であれですけれども、「民間主導」ということです。国が強い権限を行使するということではなく、あくまで民間主導で、国は支援に回るということを3つ目の基本理念としているところでございます。
その下で政府として、現在、子ども・若者育成支援推進本部という内閣府に設置されている機関があります。基本計画をつくった当時は子ども・若者育成支援推進本部という組織ではなく、その前身たる機関だったわけですけれども、現在は子ども・若者育成支援推進本部になるわけで、基本計画を策定し、それを現に推進しているところでございます。基本計画につきましては後ほど触れさせていただきます。
民間の側におきましては、同じ法律で、携帯電話会社を始め、事業者、サーバーの管理者といったものについて、罰則等はありませんけれども、義務、努力義務が課されまして、青少年のためにそうした務めを果たしていきましょうという仕組みになっているものであります。
さて、政府の基本計画ですが、2枚目に移らせていただきたいと思います。左側の点につきましては、重複があるので割愛させていただきまして、右側、字が小さくて恐縮ですが、これらが計画に具体的に盛り込まれているものでございます。大きく5つに分かれますけれども、1つ目がリテラシー向上ということで、青少年の教育・啓発の推進。学校、社会、家庭、それぞれの場における教育・啓発の推進ということで各省の施策が講じられているところであります。教育の手法の開発とか、国民運動の展開ということで、広報啓発、支援を政府としてやっていきましょうということがうたわれております。
2つ目は、青少年有害情報フィルタリングの性能の向上及び利用の普及等ということでございます。事業者主体になりますけれども、フィルタリングの提供義務がありますので、この実施の徹底とか、保護者への説明をしっかりやっていただくようにお願いしているところであります。一方、フィルタリングそのものの高度化ですとか、実際使っている青少年及び主としてその保護者への啓発、調査等も行っているところでございます。
3つ目は民間団体支援ということでありまして、これは、民間でも「安心ネットづくり促進協議会」といった団体が設立されているところでございますので、そうしたところと連携を図りながら、政府としてできることを助言等も含めやっているところでございます。
その他の政策というところは、取り締まりとか、インターネット・ホットラインセンターというところがございます。違法有害情報対策ということで、通報等を通じて削除依頼等をしているところですけれども、こうしたところとの協力を深めているところでございます。また、青少年に限ったことではありませんけれども、先ほども少しお話があったかと存じますが、名誉棄損ですとか、そういったトラブル、あるいは迷惑メール対策というものも青少年保護の見地から考えていくということであります。
最後は、推進体制ということで、特に取り立てて申すようなことでもございませんけれども、計画に盛り込んでいるものであります。
こうした状況でありまして、資料1-4の工程表ですが、大きく2期に分かれようかと思います。1つ目は、昨年から施行されている法律でございまして、1年に一度、施策の取り組み状況についてフォローアップを実施するという状況であります。現在、来月になろうかと思いますけれども、1回目のフォローアップを公表させていただく運びになっているところでございます。来年のこの時期に2回目のフォローアップということになるわけですが、そこで冒頭に申し上げました法の見直しの議論が出てくるものですから、必要があるのかどうかというところもありますけれども、検討はしっかりと進めてまいりたいと思っているところでございます。
2つ目は、あくまで今の工程表の案でございますけれども、法の見直しが一区切りついた後、新たな基本計画を想定した上で、さらに施行に努めてまいりたいと考えているところでございます。
雑駁(ざっぱく)でございますが、以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきまして、どうぞ御意見、御質問をお出しください。
川戸委員、どうぞ。

○川戸委員 青少年もユーザーだというのはよくわかるのですけれども、先ほど、これから消費者庁の検討会を開くとおっしゃいましたが、こことの連携とか、問題意識とか、まさにこれは重なっていると思います、対象が高齢者に変わるだけで。こことの連携をこれからどういうふうにしていくかとか、資料提供とか、その辺のことは考えていらっしゃるのですか。

○高須政策統括官付参事官 正直に申し上げまして、現時点で協力をすでに構築して何かやっているという状況にはございません。ただ、少し舌足らずなところもございましたけれども、本日は内閣府ということで参っておりますが、この法律自体、内閣府と総務省と経済産業省の共管の形になっております。主管が内閣府ですので説明には参りましたけれども、そういう意味で省庁的に重なりはございます。それから、先ほどの説明は私も後ろで聞いておりましたけれども、今後、恐らく当方にも何らかの形でアプローチはあろうかと思いますので、一緒に考えてまいりたいと思います。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 先ほどお聞きすればよかったのかと思いますが、これはインターネットという形で特定されているのですが、むしろ青少年にとって日常的に近いのは携帯電話だと思うのです。今、携帯電話で犯罪行為として使われているのは、携帯電話はだれが使っているのかということについて、同一性の確認ができる法律、名前は長いのですが、「携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律」というのがございます。これで携帯電話については特定できるようになっているのですが、固定電話やIP電話(インターネットプロトコル電話)、これは同一性確認の制度整備ができていない。実際、これが犯罪にたくさん使われているというところもあるのですが、今、川戸さんが言ったように、どうしても総務省と連携してやらないと、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」の効果的な運用も望むべくもないと思います。その辺の連携体制について、これからどういうふうになさるおつもりなのか。その辺はかなり重要な問題だと思うのですが、どうでしょうか。

○高須政策統括官付参事官 総務省の連携ということで申しますと、これは内閣府が主管ということですが、この法律自体、総務省と共管しているということがまずあります。それから、現に今日、一緒に参っておる補佐は総務省から来ていただいているわけで、常日ごろからそういった意味で総務省と連絡をとりながら法施行をしているところでございます。
さらに、先ほど申しました法の見直しということも、本法について、少なくともすでにそういう話が法の附則で決まっているものですから、これにつきましても、総務省、経済産業省もそうですが、その前提としての基本計画のフォローアップも含め、連携しながらつくることとしております。そういう意味では引き続きといいますか、本法の施行について、意識としてはしっかりやっているつもりではございます。

○松本委員長 よろしいでしょうか。すでに「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」に基づく基本計画があって、着々と進められているようです。それをきちんとやっていただくことが消費者基本計画をきちんと進めることとイコールだと思いますので、どうぞお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。

(説明者退席)

○松本委員長 次に、施策番号58番の工程について、厚生労働省より御説明をお願いいたします。

○水津高齢者支援課長 厚生労働省老健局高齢者支援課長をしております水津と申します。お世話になります。
お手元の資料で言いますと、資料1-5(PDF形式:50KB)になりますが、有料老人ホームに関する工程表と参考資料を御説明させていただきます。
まず、1-5をごらんいただきますと、1つ目は有料老人ホーム等に係る表示の適正化、2つ目として入所契約の適正化、さらに3つ目として関係法令の遵守等、これらにつきまして、都道府県に対して指導の徹底を要請するという項目でございます。
工程といたしましては、本年度にしかるべき徹底を図る内容の通知を発出すること。それから、来年度以降、やや抽象的な書き方をしておりますが、その後の状況を踏まえて必要に応じて都道府県に対する指導の要請を行うとしております。
その辺の内容については、資料6(PDF形式:81KB)で御説明させていただきたいと思います。最初に表示の関係でございます。これは平成19年2月に、厚生労働省、当時、有料老人ホームを担当しておりました課から課長名で都道府県の主管部局に通知をしたものでございます。当時は表示の関係は公正取引委員会でしたが、有料老人ホームにつきまして、不当表示ということで排除命令が行われる案件があったということです。そういうことを踏まえまして、下記1、2、3に当たる事柄について、留意の上、改めて指導の徹底を都道府県担当部局から有料老人ホームに行っていただきたい旨、お願いをしているということです。
簡単に申し上げますと、1に記載しておりますのが、「このため」のところですが、入居者に誤解を与えることがないよう、高齢者にわかりやすい、実態に即した正確な表示が特に強く求められるということ。
2つ目としまして、都道府県等公共団体の中で、景品表示法担当部局、介護保険法担当部局、これと十分に連携を図る必要があるということでございます。当時、そもそも公取から出されておりました告示の内容について、改めて周知徹底を図るということ。
さらに、各有料老人ホームごとに、必要に応じてということでしょうが、具体的な取り組みを行うことが重要である。例えば研修会ですとか、パンフレット等の記載内容の点検など、こういったことが重要であるということを明記しております。
当時、そういった排除命令の事案があったということですが、今回、先ほどの工程表でお示ししたとおり、年度内に改めてまた周知の徹底を図っていきたいと考えております。
2枚目をごらんいただきたいのですが、こちらは特に入居者保護の関係と我々は理解しておりますが、厚生労働大臣・国土交通大臣の指示の下で「高齢者の住まいと地域包括ケアの連携推進検討チーム」というものをつくっております。
主旨のところにアンダーラインが引いてございますが、基本的には、有料老人ホーム、高齢者住宅という住まいと、介護・医療、生活支援といったサービス、これをきちんと連携していくということでこういうチームを立ち上げております。検討事項のイのところをごらんいただきますと、高齢者の住まいのハード・ソフト両面の質の確保のための行政の関与に係る課題、こういったものも検討事項としております。
4のスケジュールでございますが、今、選挙期間中ということで若干スケジュールはずれるかと思いますけれども、本年6月末を目途に課題、施策等の整理を行い、両省共同で立法措置も含めて施策の具体化を図ることとしております。入居者保護の関係、特に、例えば入居一時金の保全の問題、初期償却の問題、こういった事柄もソフト面での質の確保のために重要な事項と考えておりますので、入居契約の適正化につきましてしかるべき法律改正、あるいはガイドライン等の改正を行った上で、来年度以降になりますが、都道府県に改めて新しい制度に基づく指導、要請等をお願いしたいと考えております。
3つ目が法令遵守の関係でございます。もちろん、法令は多岐にわたりますけれども、特に我々が重要だと思っておりますのは、有料老人ホームとしての老人福祉法に基づく届け出の徹底、消防法令の遵守、建築基準法令の遵守ということでございます。
昨年の春、新聞・テレビでも随分報道されました群馬県渋川市の「たまゆら」という施設、有料老人ホームの未届施設ということですが、その施設で火災があって、多くの高齢者が亡くなられたという痛ましいことがございました。その際、届け出をまずきちんと行うこと、消防法令を遵守すること、建築基準法令を遵守すること、こちらについて、老人福祉法上の届け出がされていない施設について調査し、指導をしていくという取り組みを行っております。
ここにございますのは、四角で囲ってあるところの2行目、昨年の10月末時点での状況を調べておりますが、実は火災が起こった直後に同じ調査をしておりますので、その後、半年たってまた改めてこういう調査をしたということでございます。1のところで表に整理してございますが、下から2行目、「平成21年10月31日まで届出済」。要は届け出をきちんとさせたのが176件あるのですが、その一方で、上から2つ目の163件は21年5月1日以降に把握した未届のホームです。把握して届出をさせる一方で、また新しく未届のものが見つかる。こういう状況にございまして、トータルとしては一番上と下になるのですが、446から389ということで改善はしておりますが、届出をさせる一方で未届のものが見つかるという状況にございます。
したがいまして、次のページの一番下にございますが、重要なことは、引き続きフォローアップをしつこいぐらいにきちんとやっていく必要があるということで、今年の10月末の時点で、1年後の状況ということでフォローアップを行う予定であることを公表もしておりますし、都道府県の方にもお知らせをしているということです。消防法については、消防庁、建築基準法については、国土交通省が、同様にこういう形で定期的にフォローアップを行う状態を続けていくということでございます。
以上、申し上げました3点につきまして、今年度なり来年度以降、取り組みを続けていきたいと考えております。

○松本委員長 ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、どうぞ御意見、御質問をお出しください。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 今年の春以来、いろいろ情報提供等もいただきまして、それをふまえつつ消費者委員会としても議論をしておりまして、ありがとうございます。消費者委員会としても、どういうふうに提言なり建議なりをしていったらいいのかということで、いろいろ議論をしているところです。その関係も含めて、今の御説明の関係で4点、伺いたいのです。
一つは無届け施設の関係でございます。
無届け施設があることは最初聞いたときは驚きだったのですが、しかしながら、小さな資金で今ある建物を利用して高齢者施設を始めていこうという志から、やむを得ず無届けで始めたところも結構あると聞いております。条件整備をさせた上でないと、いわゆる消防法違反、建築基準法違反の施設であるのに届け出を受理していいのかどうかということで、慎重になる県と、とりあえずとにかく届け出をさせて受理してからじっくり指導するという県と、都道府県によって基本的なスタンスが違って、どっちがいいとも言えない感じではないかと思っているのですが、その辺についてどうお考えで、どういう御指導になっているのか。無届けだからけしからんというわけでもなさそうな感じもあるものですから、その辺のお考えを教えていただければと思います。
2番目に、先ほども消防法遵守のお話が出ましたけれども、消防庁等にお聞きしても、275平米以上の高齢者施設についてはスプリンクラー設置義務があるということで、これについて厚生労働省でも基金をつくって、3年間、283億円の資金を使ってスプリンクラー設置の促進を図っておられるということを聞いています。しかし、笛吹けども踊らずで、まだ3分の2が未設置で、これから2、3年間のうちにつくる計画さえないところが全体の3分の1ぐらいを占めているという、かなり危機的な状態でもあります。ただ、予算の問題もあって、どういうふうにやったらいいのか。火事が起こったら死ぬしかないという高齢者施設がたくさんあるというのは、あまりにも貧困だと思うのですが、予算等の関係もあってなかなか難しい部分もあると思います。
ただ、厚労省としても、275平米未満のグループホームでも資金援助をするということもお聞きしています。予算措置との関係もあると思いますけれども、自力避難困難な人が2階、3階に住んでいるような高齢者施設の場合は、火事が起こった場合にはかなり悲惨な事態になると思うので、グループホームだけではなく、ほかの施設についてもやはり資金援助をする必要があるのではないか。あるいは、木造施設は平米9,000円で資金援助をされているようですが、それでは足りないということで、施設の方もなかなかスプリンクラー設置に踏み切ることが難しいということも聞いています。その辺についてもう少し資金援助を柔軟にできないのか。
それから、国交省傘下の高専賃(高齢者専用賃貸住宅)のうち、介護付きの施設についても同じような問題があると思いますが、そこは国交省と連携できないのか。その辺はどういうふうにお考えなのか。
3番目に、介護保険法上、これは表示制度とも関係するのですが、事故が起こった場合には最寄りの市町村に届けることになっております。もちろん、家族にも報告しなければいけませんが、この届け出が必ずしも十分に行なわれていないのではないか。事故というのが何なのかという定義も含めて、介護保険法に基づく事故情報の市町村への届け出制度が十分に運用されていない。また、せっかく情報が届け出られても、例えば市町村から消費者庁や厚労省に集中して分析し、それを今後の再発防止に使う体制になっていないのではないか。これは第三者評価制度との関係もあって、どうなさるつもりなのか。その辺がわかれば教えていただければと思います。
最後に、入居一時金のことは御指摘がありましたけれども、いわゆる高専賃、国交省傘下の高齢者施設とも併せて、ぜひ来年の春ぐらいには何らかの法整備をお願いしたいと思います。これは大きく言って3つあって、90日ルール、契約あるいは入居してから90日以内に出た場合には全額返還というところを、どう具体的に定着させていくのか。それから償却基準。そして、今、課長もおっしゃった入居一時金返還の保全のこと。制度づくりとあわせて、あるべき形をどういうふうに実現するかというのは、なかなか難しいと知れば知るほど感じるのですが、法制度、あるいはその他の整備と実現の目途をどういうふうにお考えなのか。いろいろあって申し訳ないのですが、教えていただければと思います。

○水津高齢者支援課長 いろいろいただきまして、100%きちんとお答えできるかどうかわかりませんが、最初に未届の施設につきまして、その考え方、指導はどうかと。正直、これは自治事務ということで整理しておりますので、国としては、有料老人ホームに該当するものはきちんと届出をしてくださいというお願いをしております。あと、県によりまして、消防法なり建築基準法と並行して、端的に言えば、そちらの方がきちんとできるのを待ってから届出を受理するという対応もありますし、そういうものの対応は後でもいいから老人福祉法上の届出を先行させるべしと、確かに御指摘のとおり、2つあると思います。
我々としては、どちらがいい、より望ましい考え方は特段持っておりませんが、いずれにしても国の方でも、厚労省、消防庁、国交省と連携して対応しております。都道府県部局で該当するものはきちんと老人福祉法は守って届出をさせ、かつ、建築基準法、消防法はそれを遵守することを含めて対応するようにということでお願いをしております。
2つ目は、スプリンクラー設置についてのお尋ねをいただきました。御指摘のとおり、消防法においては275平方メートルが義務づけの下限という形になっておりますので、275平方メートル未満のものは義務化がないわけです。
この春に北海道の「みらいとんでん」という名前の認知症高齢者グループホームで火災がありまして、そこは275平方メートルを若干下回る規模だったということですが、高齢者の方が多く亡くなられた。これにつきましても、同じ3省庁、厚生労働省、消防庁、建築基準法を担当する国土交通省で連携して緊急プロジェクトを設けまして、先々週ぐらいでしょうか、その結果をまとめたところです。詳細はこれから財務省と調整が必要ですけれども、275平方メートル未満の認知症高齢者グループホームにつきましても、今、交付金で対応している支援の対象にしようということはすでに方針として大臣から発表しております。
単価の関係につきましては、これはややハードルが高いのですが、何かいい方法があるのか、その辺は財務省と話をしていきたいと思っております。
それから、認知症高齢者グループホーム以外ですけれども、我々としても、未届の有料老人ホームですとか、あるいは、国会などでも軽費老人ホームなど同様の問題があるのではないかという御指摘を受けております。必要なものはまず実態を調査した上で、今年度の予算の運用で対応するのは正直難しいところもいくつかあると思いますけれども、来年度の予算要求で要求事項に入れるとか、そういう対応は考えていきたいと思っております。
事故の関係ですが、正直申し上げて、事故が何なのかという考え方がまだ整理されておりません。昨年度もそうですが、今年度も、老人保健健康増進等事業という国の方の資金的な支援をして、民間の方で調査をする事業で、引き続き、事故の報告のマニュアルとか、そういったものを整備していくという対応を考えております。今まで調べた中ですと、事故といっても、その半分は転倒という結果が出ています。転倒が、介護に伴う事故か、あるいは高齢者ですから、自宅でも多いわけですので、何を事故としてどういう報告をしたらいいか、その辺が一番難しいところと思っております。
その一方で、高齢者虐待防止法という法律があります。明らかにその施設の職員、あるいは自宅であっても、養護者の方が虐待をしているというような場合には、必要であれば公共団体が立ち入りをした上で対応をしていく、虐待に遭っている高齢者の方を保護していく、そういう対応をしているところでございます。
最後に、一時金の対応、有料老人ホーム、高専賃を含めまして、先ほども少し触れさせていただきましたけれども、我々としては来年の通常国会に法律改正案を出せる形で準備をしていきたいと思っております。その中で法律として規制し得るものもあるでしょうし、現在、ガイドラインとして規定しているものもございます。そのどちらかということではなく、いずれにつきましても、お話のあった90日ルールの徹底ですとか、初期償却の基準、過度な初期償却をしないとか、保全措置について更なる充実を図れるかどうか。こういった点については、有料老人ホーム、高齢者住宅、両方を含めて検討をして、制度をきちんとつくった上で公共団体を通じて事業者に指導をするようにお願いしていきたい、こういうふうに思っております。

○松本委員長 ほかにございませんでしょうか。
山口委員から質問されたことについても、厚生労働省ですでに一定の対応をとっておられるということのようですから、さらにその検討を進めていっていただきたいと思います。また、御報告の中で、国土交通省と共同で高齢者の住まいのハード・ソフト両面で質の確保のための検討チームをおつくりになっているということです。住まいの問題、介護・医療等といったトータルな問題について、消費者委員会としても大変大きな関心を持っているところでありますので、この試みを積極的に進めていっていただきたいと思います。ありがとうございました。
それでは、最後になりますが、施策番号106番について、引き続き厚生労働省より御説明をお願いいたします。

○水津高齢者支援課長 それでは、資料1-6、資料7によりまして御説明をさせていただきたいと思います。
資料1-6(PDF形式:50KB)でございます。項目としては、地域包括支援センターというものがございますが、その地域包括支援センターが消費者被害を未然に防止するために消費生活センターなどと定期的な情報交換を行う。あるいは、民生委員、介護支援専門員(これは通称ケアマネと言っているものです)、訪問介護員などに必要な情報提供を行うというのが項目でございます。
内容ですけれども、これは継続的にということで我々は考えております。高齢者の消費者被害を防止するため、センターが市町村の消費生活センターなどと情報交換を行うことについて、都道府県の担当課長会議は年に2回ぐらいやっておりますので、そういう場を通じて定期的に周知をして、また指導をしていきたい、こういうふうに思っております。
中身は、地域包括支援センターがどんな仕事をしているかということを御説明しなければいけないのですが、その前にそもそも「地域包括ケアとは」ということで、資料7(PDF形式:155KB)の1ページ目に、4つの輪がある資料を付けさせていただいております。おおむね30分で駆けつけられる圏域という日常生活圏を想定しまして、その中で介護、医療、これは高度な医療ということではなく、日常の医療ということです。それから、住宅(住まい)、福祉、これについて必要に応じてきちんとアクセスできる体制をつくっていく。それを地域包括ケアと呼んでおります。包括というのは非常に幅広い言葉になっておりますけれども、基本的には福祉、介護、医療、住まい、こういったところを軸として、切れ目なく必要なサービスを提供していく方向を目指しているということでございます。
その現場、現場で、市町村の中で総合的な対応をする、いわばその拠点になるのは地域包括支援センターということで、次のページですが、介護サービスを初め、さまざまなサービスが高齢者のニーズや状態に応じて切れ目なく提供される必要があるということです。こうした高齢者の生活を支える役割を果たす総合機関として、地域包括支援センターが設置されているということでございます。これは介護保険制度の中で位置づけられておりまして、介護保険、公的保険ですが、半分が公費、半分が保険料。その中からここの経費が支弁されているというものでございます。箇所数としては、平成21年4月時点で4,056か所、全国で設置されております。
どういう構成かということですが、絵の真ん中にチームアプローチと書いてございます。社会福祉士、主任ケアマネ、保健師、主要3職種と言ったりしておりますけれども、この3職種1人ずつと、あと、事務職を含めてセンター1つ当たり5名程度が平均的な姿でございます。もちろん、市町村直営のところもあるわけですが、ほとんどは市町村が民間の事業所に委託をしているというものでございます。
事業の内容ですが、我々としては大きく3つぐらいに分けられるのではないかと思っております。1つは、総合相談・支援事業、あるいは虐待防止・早期発見、権利擁護と書いてあるところでございます。こちらについてはさまざまな問題があるわけですけれども、初期段階での相談対応をするとか、あるいは専門職種が3職種配置されていますので、そういう事柄については専門的で継続した相談をする、あるいは支援をするということ。総合窓口ですので、必要な事柄についてはいろいろなネットワークを構築して活用していくということ。それから、成年後見制度の活用など、先ほども少し触れました高齢者虐待防止法をきちんと施行していくための対応、そういったことを中心にやっているところでございます。
もう一つは、絵で言いますと左側になりますが、包括的・継続的ケアマネジメント支援事業です。介護保険は基本的にケアマネジャーがケアプランをつくるところから始まるわけで、それはある程度標準化はされておりますけれども、ケアの必要性、必要なケアのプランニングというものはいろいろございます。特に認知症等があると、1人のケアマネでは対応が難しいものもございます。したがって、センターごとにそのエリア内でケアマネのネットワークをきちんと構築していくとか、特に個々のケアマネで対応が難しい非常に困難な例につきましては、センターには主任ケアマネという、いわば上級といいますか、そういった難しい問題にも対応できるケアマネがおりますので、その辺の指導・助言をしていく。こういったものが2つ目の事業でございます。
3つ目が、絵の右側になりますが、新予防給付・介護予防事業というものです。介護保険は、保険事故として要介護認定があったときに介護保険としての給付がなされるわけですが、そこに至る段階として、要支援という認定、あるいは要支援にも至らないけれども、今、特定高齢者という言い方をしておりまして、若干虚弱な高齢者の方、そういうものに対する対応も介護保険制度の大きな枠組みの中で行っております。その際にも、要介護認定を受けた高齢者の方と同じようにケアプランを作成するわけですが、そのケアプランの作成を地域包括支援センターが行っているということでございます。現実問題として、今、3つ申し上げましたが、トータルとして見ると、新予防給付・介護予防事業の負担が重くなっている地域包括支援センターが多いのが現状でございます。
それから、多面的(制度横断的)支援の展開ということで、そこにございますさまざまな事柄につきまして、これには限りませんが、やはり高齢者の方はいろいろ相談がありますから、お話を聞いた上で必要なサービスにつないでいく。こういうことも重要な仕事の一つと考えております。したがいまして、社会福祉士、主任ケアマネ、保健師、こういったところを中核とするセンターですけれども、消費者保護について相談があったときには、そのエリアを担当する消費者センターなどときちんと連携して対応をしていく。その辺について、都道府県の課長会議などの場で周知してお願いをしていきたいと思っております。
最後に、やや蛇足かもしれませんが、成年後見制度利用支援事業の概要を付けさせていただいております。これは、認知症の高齢者の方は現在も非常に多いのですが、今後さらに増えていく。今後の介護、あるいは老人福祉の中で、認知症の高齢者にどう対応していくかというのは非常に大きな課題でございます。特に介護保険サービスを利用することになりますと、サービス業者との契約、利用料の払いといった事柄がございますので、成年後見制度を活用する場合が多くなってきております。地域支援事業、要するに介護保険制度を財源とする制度の中で、その一環として国で一定の支援をしているという内容でございます。
2の(1)にございますように、広報・普及活動を公共団体が行うものに対して間接補助で支援をするということ。それから、条件はございますけれども、マル1にありますように、身よりがない重度の認知症高齢者で助成を受けなければその利用ができない方に対しては、直接、成年後見制度の利用に係る経費に対する助成もできるようにしております。
特に認知症の高齢者の方は、介護保険サービスの利用に限らず、消費者契約にまつわるトラブルに巻き込まれやすいと思いますので、こういうところについては引き続き重点的に対応していくことは考えていきたいと思っております。
以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問をどうぞ。
佐野委員。

○佐野委員 御説明、ありがとうございました。地域包括支援センターについては存在がまだまだ一般消費者には知られていないと思いますので、周知徹底をぜひよろしくお願いします。昨年、地域包括支援センターについて調査された東京の消費者団体がありますが、そこの結果を見ますと、「相談しても適正な対応を受けられない」という結果が出ています。その辺りも、一体どのように把握されているのか知りたいということと、先ほど包括的ということで、消費者被害の防止にも取り組みますと、消費生活センターとの連携をこれから組んでいきたいということでした。ぜひ、消費生活センター、地方の消費者行政機関とのきちんとした連携を構築していただきたいと思います。
現在、悪質な事業者に関する相談が寄せられたとき、どのような対応をされているのか教えていただきたいのと、それから、一体このセンターは全国で何件ぐらいあるのか。たしか5,000件を目安にスタートしたと聞いているのですが、教えていただきたいと思います。

○水津高齢者支援課長 数は4,056でございます。生活圏域に1つということなので、将来的にはもう少し増やしていきたいと思っております。
それから、センターの存在がまだ十分に知られていないこと、それから消費者団体の調査では、相談しても十分な対応が返ってこないものが多いという厳しい御指摘がございました。これは、我々としてもそういう問題意識は持っておりまして、基本的にきちんと対応できるようにしていきたいと思っております。
先ほどのペーパーですけれども、「地域包括支援センターについて」ということで真ん中にポンチ絵がございます。特に右側の新予防給付・介護予防事業では、非常に忙しいセンターが多いというお話をしましたが、ありていに言えば、こちらで忙殺されている、そういうセンターか数多いということでございます。したがいまして、要介護認定に至らない要支援の方、特定高齢者の方のケアプランの作成のようなものはセンターから外注できるようにして、基本的には総合相談・支援事業、あるいは包括的・継続的ケアマネジメント支援事業、こういったところにもう少し重点的に対応できる体制を介護保険制度の改正で目指していければと思っております。
介護保険は保険料の見直しが3年に1回ございまして、そのときに必要な制度改正も行っております。次の制度改正は24年度からになりますけれども、これも、可能であれば来年の通常国会に介護保険法の改正案を出すべく老健局で準備を進めておりますので、そういう中で地域包括支援センターの役割についても課題になると認識しているところでございます。
それから、先ほどの説明の繰り返しになりますが、御指摘のとおり、消費者センターはもとより、消費者行政部局との連携についてもきちんとやっていくようにということで、介護保険担当部局には課長会議等の場で周知をしていきたいと思っております。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 先般、NHKで「無縁死」という特別番組がありました。毎年、年間3万人以上が、亡くなった後に遺体の引き取り手がないということです。これは今後の日本社会を象徴する大変深刻な問題だと思います。その無縁死の大きな原因の一つが、要介護になって施設に入るのが嫌なお年寄り、あるいは、そういうことも知らないお年寄りが福祉のらち外に置かれて、場合によっては消費者被害に遭ってそのままほったらかされているというところがあって、なかなか難しい問題だと思います。これは消費者問題であり、かつ、福祉問題だと思うのですが、無縁死の問題について意識的にぜひ取り組んでいただきたいし、どうお考えなのかを聞きたいと思います。
これは税金の面では限度があるので、端的に言えば、私どもの知り合いでも団塊の世代は、企業の勤めはなくなった、でも元気だという人たちがたくさんいるわけです。このボランティアパワーを活用するシステムをつくらないともたないと思いますけれども、その辺は意識的にどういうふうにお考えなのか。もちろん、消費者団体やそういう人たちとの連携も重要ですけれども、その辺もお考えをお聞かせいただければと思います。

○水津高齢者支援課長 無縁死3万人という、NHKのテレビでというお話がありました。直接それに対してのお答えにはならないかもしれませんが、施設に入るのは嫌だという高齢者の方は当然いらっしゃると思います。実際、政府が調査をしましても、基本的には住みなれたところで老いていきたい、これは高齢者の方のニーズとして非常に強いと認識しております。その一方で、独居の高齢者、あるいは夫婦のみの高齢者というのはますます増えていきます。先ほど御説明した中にもございましたが、バリアフリーの集合住宅の整備、それに対してサービスをうまく連携させていく、そういうものを国土交通省とうまく調整しながら進めていくことが大事ではないかと思っております。
それから、ボランティアの活用、元気な高齢者の方の活用、これはまさしく御指摘のとおりだと思います。多面的な活動にわたると思いますが、例えば今日のテーマに関係して申し上げますと、有料老人ホームではないですけれども、NPO法人とか有志の方がいわゆる宅老所というもので、うまくお金をかけずに割と家庭的な雰囲気で高齢者の方を支援していく、そういうような取り組みをしております。これは介護保険制度の枠内にとどまらず、老人福祉の中でそういうものをうまく活用していく。もう少しきちんと申し上げれば、そういう方が活躍できる土壌をつくっていくのも厚生労働行政として大事なことであると思っております。

○松本委員長 ありがとうございました。特に消費者被害に遭った高齢者にいち早く気づく立場にあるのが介護関係者であろうし、逆に、高齢者に必要な情報を届ける立場にも介護関係者がいらっしゃるわけで、消費者行政として行うべき情報を集めてきて情報を届けるという中で、地域包括支援センターの役割は大変大きなものがあると思います。消費生活センター等との共同を積極的に追求していっていただきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

(説明者退席)

○松本委員長 これまで消費者基本計画の「検証・評価・監視」を4回行いました。内田長官には4回すべてに御出席いただいておりますので、ここで一言、御発言をいただきたいと思います。

○内田消費者庁長官 1回目のときにも申し上げたと思いますけれども、基本計画に盛り込まれた多くの施策は一からつくっていくような施策が多いので、まだ、薄墨で書いたような工程表だったと思います。ただ、その中でも一つひとつ、どの時点で何をチェックすればいいのかということはおわかりいただけるような情報になったのではないかと思っています。この時期にここで書いたことはきちんとできたのだろうか、次はどうなっているのかという形での点検を、これからもぜひしていただけるだろうと思っていますし、私もそれにはきちんと応えて、この基本計画を一つひとつ実現に向かっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○松本委員長 ありがとうございました。消費者委員会としても工程表のフォローアップを続けていきたいと思います。

≪3.消費者安全法に基づく国会報告について≫

○松本委員長 それでは、次の議題、「消費者安全法に基づく国会報告について」に移ります。
消費者安全法第13条では、「内閣総理大臣は、行政機関、地方公共団体等からの通知により得た情報、その他、消費者事故等に関する情報が消費者安全の確保を図るため有効に活用されるよう、迅速かつ的確に当該情報の集約及び分析を行い、その結果をとりまとめ、とりまとめた結果を国会及び消費者委員会に報告する」とされております。このたび、消費者庁におかれましてはその結果のとりまとめを行ったということですので、本日は、それについて御報告をいただきたいと思います。
それでは、どうぞ。

○坂田首席情報分析官 消費者庁消費者情報課におります坂田と申します。首席情報分析官をしております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
今、委員長から、消費者安全法に基づくスキームについては御紹介いただきましたので、今日、私どもはポンチ絵を用意しております。資料8-1(PDF形式:273KB)でございますが、消費者安全法では、消費者事故等に関する情報を消費者庁に一元的に集約することになっております。資料8-1は情報集約の流れを図式化したものでございます。消費者から消費生活センターに相談・情報等が寄せられることもございますし、事故情報等が、保健所、警察、消防等に届くというものもございます。それから、事業者の事故情報が関係省庁から消費者庁に寄せられることもございますし、消費生活用製品安全法のように、事業者に報告義務が課せられたものが直接消費者庁に寄せられるものもございます。
そうした中で、消費者安全法に基づく通知等が一体何件あったのかということを、消費者庁が設立されましたのが昨年9月ですが、そこから今年3月末までの7か月間について、今回、とりまとめて報告をするということでございます。初めての報告ということになります。
まず、重大事故等の通知については318件となっております。消費者事故等については、生命・身体事案が1,012件、財産事案が8,821件でございます。消費者事故等といいますのは、消費者庁に対する情報の通知義務の対象となる範囲を示す概念でございまして、簡単に申し上げますと、生命・身体に被害を与えるもののみならず、いわゆる財産事案、取引等のトラブルに関するものも含まれるということでございます。
重大事故等といいますのは、行政機関、地方公共団体が消費者庁に対して直ちに通知すべき義務を負っているもので、いわゆる生命・身体事案のうちで被害が重篤なものを指しております。例えば死亡というような痛ましいケースですとか、治療期間が30日以上の事案、一酸化炭素中毒の事案などがそれに入るということでございます。
以上が消費者事故等の件数でございますが、その他ということで、消費者事故等に関する情報としては、国民生活センターにはPIO-NETという、消費生活センター等に寄せられた相談情報を集約するシステムがございまして、その相談の情報の件数は473,842件でございます。国民生活センターでは、年間100万件弱の相談件数がPIO-NETに寄せられるということでございます。
その下に危害情報システムというのが出ておりますが、これは3つに分かれておりまして、1つは、商品やサービス、設備等によって生命や身体に危害を受けたという相談の情報で、危害情報と申しております。2つ目は、危害には至っていないけれども、そのおそれがあったという相談の情報で、危険情報でございます。ヒヤリハット事案などがそこに含まれます。3つ目は、国民生活センターが協力依頼をして、けがの程度等を病院から収集する病院情報の仕組みがございます。その3種類の情報が含まれておりますけれども、これらが合計で11,945件になっております。
一番下でございますが、事業者から直接、事故の報告が寄せられるということで、消費生活用製品安全法に基づく事業者からの報告が782件でございます。そういったものが今回の国会報告ではまとめられているものでございます。
内容についてはざっと触れさせていただきます。資料8-3(PDF形式:594KB)の報告の本文をごらんいただきますと、例えば、11ページには、318件の重大事故について、相談者が非公表を希望されたものなど13件を除く305件について、事故内容等を一覧できる表を掲載しております。
43ページからはデータの統計的な整理を行っております。例えば46ページですけれども、年齢別にどのような製品、サービスで事故が多く発生しているかというものを表に整理しているということでございます。
58ページ以降は参考資料でございますが、この7か月間の消費者庁の業務について、注意喚起等の情報提供、2点目として関係機関等に協力や対応等を要請したもの、3点目として行政処分という3つのくくり方でその内容を整理しております。
最後になりますが、資料8-1にお戻りいただきまして、今後の課題についてこの報告で触れられているものを御紹介したいと思います。消費者安全法を施行して私どもが感じておりますのは、関係行政機関、地方公共団体といった多様な通知元の実情ですとか、事案の性質の違い等を反映して、消費者事故等の判断もさまざまなものになっていることがうかがわれると思っております。このため、消費者安全法の趣旨に沿った形で通知元から消費者事故等に関する情報が消費者庁に通知されるためには、通知元へのきめ細かな対応が必要になってくるのではないかと考えております。法律の趣旨に沿った通知が実現されているか、まずはその実情を検証していく必要があります。
その上で、資料8-1の2枚目にございますとおり、いくつか今後の取り組みについてこの報告でも触れているということでございます。1点目は、消費者安全法の施行後の運用の実態を評価した上で、消費者事故等の通知の範囲や基準を明確にしまして、通知マニュアルの改定、説明会等も実施していきたいと思っております。
生命・身体事案に関する事故については、医療機関とのネットワークも構築して消費生活上の事故に関する情報を収集する仕組みをつくる、専門家の知見を活用して、関係機関と連携を図りながら迅速的確な原因究明を行っていきたいと思っております。
財産事案に関する情報につきましては、効率的・効果的な分析の仕組み、手法を検討していきたいと思っておりますし、国民生活センターのノウハウ、消費生活相談員や弁護士などの消費者問題の専門家の知見を活用するとともに、分析の担当者の資質の向上に努めてまいりたいと思っております。
以上のような改善を進めるに当たっては、情報集約・分析の業務運用体制を見直すことが必要だと考えております。さらに、政策面ですけれども、先ほどもご議論がございましたが、毎年度に行う消費者基本計画の検証・評価の中で、必要な政策的対応を検討することにしております。
説明は以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。この国会報告の案につきましては、消費者委員会と消費者庁との非公式の会合で何回も意見交換をしてまいりました。そこで消費者委員会として、今後、こういう視点で国会報告をしていただきたいという案をまとめておりますので、佐野委員から御紹介をお願いいたします。

○佐野委員 時間がもう迫っておりますので、簡単に御紹介させていただきたいと思います。今、委員長からお話がありましたように、この国会報告は私たちも非常に重要だと思いまして、何度も検討してまいりました。その結果、「基本的視点」として3点挙げました。資料9(PDF形式:34KB)をごらんください。
最初に「情報の一元化と社会的共有化」。消費者庁の消費者事故情報の収集は、消費者安全法に基づく通知、消費生活用製品安全法に基づく報告、全国消費生活情報ネットワーク・システム(PIO-NET)、危害情報システム、事故情報データバンクへの書き込みなど、さまざまなルートがあります。わかりやすく報告するためには、重複する事故情報を整理して内容を一元化することが必要だと考えています。
事故情報データバンクは4月1日からスタートしたばかりですけれども、今後、消費者、事業者が登録情報を迅速的確に活用できる「社会的共有化」が求められます。そのためには参画する機関の拡大、消費者からの情報、アクセスのしやすさの向上も重要な課題だと考えています。
2番目は「わかりやすく使いやすい分類」。これは、報告書を後でごらんになっていただくとわかりますけれども、分類の仕方が非常にわかりにくいということで、わかりやすく分類され、報告・公表されることが必要だと考えています。そのためには、商品・施設・役務などの項目設定も生活実態に合わせた内容とし、用語や事故の分類も統一・整合化することが求められます。
3番目は「原因究明結果と事故防止のための対応措置についての情報提供」。だれもが理解し事故防止に役立てることのできる報告にするには、事故の発生状況、被害内容、事故原因、対応策等が区別して明確に報告されているのは必要だと思います。
また、事故を教訓として、未然防止と今後の拡大防止へ向けた体制を整備していくには、対応措置の成果と今後の課題についても、きちんと報告・公表することが求められます。
重大事故の中には、相談者が公表を希望しないということが書かれているものが数件ありましたが、重大事故は国民の共有財産という観点から、重大事故であるのに全面非公開というのはないよう取り扱いの工夫をしていただきたいと思います。
以上、3点です。

○松本委員長 ありがとうございました。ただいま御紹介のありました意見書(案)につきまして、何か御意見ございますでしょうか。
どうぞ。

○佐野委員 意見なのですが、これは1年に何回という決まりは特にないようですので、1年に1回ではなく、せめて2回、または4回ぐらいまとめて欲しいと思います。そうしないと、1年たった後にまとめが出てきても、せっかくのこの事故情報があまり活用できないのではないか。ですから、四半期に1冊ぐらいやっていただけるとありがたいと思います。

○松本委員長 恐らく四半期報告と年次報告を少し違った形でやることも考えられると思いますから、その辺りは、速報的なものと、じっくり分析して1年ごとにという組み合わせのやり方とか、手法についても、消費者庁で今後御検討いただきたいと思います。
どうぞ、中村委員。

○中村委員長代理 この報告書、立派な白表紙になっているのですが、だれが著作者なのか、出典というか、何も書いてないのです。消費者庁なのか、内閣総理大臣なのか、そこのところを工夫していただかないと、これを配ったりしておられるようですけれども、だれの作なのかということが全然わからないわけです。
もう一つ、これについていろいろな方から意見を聞くのですが、活用の仕方について消費者庁で国民から意見を聞いて、さらによりよいものにしていくための意見を集約するシステムをぜひつくってもらいたいと思います。本当にこれは見た人から賛否両論がありますので、よろしくお願いします。

○松本委員長 追加の御指摘もございましたけれども、この意見書案本体について特に御異論がございませんようでしたら、これを消費者委員会として採択し、消費者庁として今後の報告の際の参考にしていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

(説明者退席)

≪4.こんにゃく入りゼリー事故について≫

○松本委員長 それでは、予定の時間を少し超過しておりますけれども、最近のこんにゃく入りゼリー事故をめぐる政府としての動きについて、簡単に事務局から御紹介いただいて、少し意見交換を行いたいと思います。

○原事務局長 資料としては3点、用意しています。資料10(PDF形式:263KB)として、6月10日に食品安全委員会から消費者庁に対して通知された、こんにゃく入りゼリーを含む窒息事故の多い食品の安全性に係る食品健康影響評価の結果の要約部分です。実際には大部なものですので、今日は資料として要約のところをお付けしております。
要約のところを見ていただくとわかりますが、窒息事故の実態についてはやはり高齢者と乳幼児が多い。それから、「窒息事故の多い食品について」というところは、ここがよく引用されるのですが、「食品安全委員会としては、こんにゃく入りのものを含むミニカップゼリーの一口当たりの窒息事故頻度は、おそらく飴類と同程度ではないかと推測する」という一文が入っております。
窒息事故の要因についても、食品以外の要因と食品側の要因について分析されていますが、食品以外の要因については、特に小さい子では、歯列・交合の発育とか、摂食機能の発達、行動といった要因が事故に関連していると推測されたということ。
食品側の要因については、こんにゃく入りミニカップゼリーについてかなり分析されておりまして、形態から上向き食べ、吸い込み食べが誘発されやすいということ。一般のゼリーよりもかたい、かみ切りにくいものが多い、それから、破砕不十分なゼリー片を気道に詰まらせてしまうと気道にぴったりとはさまるような大きさ・形状であり、弾力性があり、水分の少ない部位に介在すると、はがれにくく壊れにくいために気道閉塞が解除されにくいといったところで、食品側の要因についても分析されております。
海外における対応については、EUを除く諸外国ではいずれも、基本的にリスク管理措置でいろいろな対応を決めているということが紹介されていて、最後に、まだいろいろな資料が不足しているので、「今後、国際的な評価等の動向、国内外の科学的知見の蓄積等を勘案し、更なる検討がなされるものと考える」ということでまとめておられます。
それから、資料11でお付けしたのが、内閣府経済社会総合研究所の研究員である高橋義明さんによる論文、「こんにゃくゼリー窒息事故を考える~データに基づく議論のために~」という資料です。これは全文をお付けしておりますけれども、最初に要旨を掲げておられます。
強調されたい点は2つございまして、1つは、一口当たりの事故頻度はデータによって食品の順位が入れかわること、摂取人口の違いを勘案していないこと、重篤以上の事故件数の扱いについて、重要な「ダメージの程度」を確率論でとらえた特殊な推計であること。これらは食品安全委員会の評価についてですけれども、こういったことをもって対応措置を検討することは問題があることを明らかにしておられます。
もう一つ、重要な点として、リスクの不確実性が高まる中、我が国でも早急にリスク管理のルール化を進め、特に予防原則によって規制をしていくという考えを導入していく。そのためには規制の判断基準を明確にしておく必要があることを指摘したと、この2つが大きな論旨です。
資料12は、国民生活センターから5月18日に報道発表された資料です。「ミニカップタイプのこんにゃく入りゼリーの現状について」ということで、2010年1月から4月にかけて、販売実態調査、物性及び表示、それからアンケート調査。これは、物性及び表示の調査を行った7社に対してアンケート調査を行っておられて、この資料をお付けしています。この結果を受けて、消費者庁の「食品SOS対応プロジェクト」も動いているところです。
事務局としては、その3点の資料を用意させていただきました。

○松本委員長 以上が最近の報告書等の御説明でした。これを受けて、消費者庁の食品SOS対応プロジェクトも一定の判断をいずれ示されるだろうと思いますが、消費者委員会としても一定の考え方を示す必要があるだろうと思います。
そこで、本日、結論を出すわけではございませんが、次回以降の審議につなぐということで、今日の段階でこういうことを言いたいということがございましたら、お出しいただきたいと思います。議論の部分は次回以降にするとして、こういう点が重要ではないかといった観点の御指摘をお出しください。

○佐野委員 前回、発言したこととほとんど変わりないのですが、今年もまた、冷たいゼリーをおいしく食べる、そんな季節に入りました。ミニカップタイプのこんにゃく入りゼリーは、すき間商品の代表例として何年も何の対策もとられないままに来ているというふうに私は考えています。商品の本質の安全を志向する社会へという方針、そういう方向を明確にするべきだと考えております。リスク評価をしても、リスク自体が不確実、不透明な場合は、やはり予防原則を導入するなどの施策も必要だと考えます。リスク管理機関として、欧米や韓国のようにミニタイプ型のこんにゃく入りゼリーの販売禁止など、思い切った施策をするべきではないでしょうか。
さらに、前回もありましたが、日本には容器や物性に関する法律がないので、法改正の必要もあるのではないかと思います。
以上です。

○松本委員長 田島委員、どうぞ。

○田島委員 私も前回の発言したことと趣旨は同じでございます。この問題を解決するには、法律のすき間事案でありますから、法律のすき間を埋めるために具体的には食品衛生法の改正しかないのではないか。今、食品衛生法で規制しているのは微生物と化学物質のみです。それに物性の指標を新たに加える必要があるのではないか。果たして物性を規制できるかどうかという話でございますが、同じ厚生労働省で健康増進法というのがありまして、健康増進法の特別用途食品の中の嚥下困難者用食品では物性を規制しているわけです。ですから、物性の規制はできないことではないと思います。
ただ、注意するべきことは、物性だけで規制すると伝統的な食品、お餅だとかそういったものも規制にかかるおそれがあるので、それは避けなければいけない。そのために、例えば新開発食品に限定して規制値をかけるとか、何かしらの工夫をしないと、ただ測定値だけ、物性値だけで規制するとそういった問題が起きてしまうのではないか。その辺を少し危惧しております。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 私も前回とほとんど同じ意見ですけれども、皆さんもおっしゃいましたように、食品衛生法では形状・物性についての規制が一切ない。海外の法律ではすべて規定があるわけです。日本の法律にはないということで、やはりここは食品衛生法の改正をしなければいけないと思います。
では、こんにゃくゼリーそのものをどうするのかということになるわけですけれども、データの出し方はさまざまで、そこでの揺れはあることは前提として受けとめなければいけないと思います。正しいデータはただ一つしかないという具合には、このこんにゃくゼリーの場合はいかないということです。なかなか基礎データがとれないこともあって、それは無理だと思います。だから、そこはそのような受けとめ方をした上で、しかし、飴でも同じような確率で窒息死をしているわけです。そういうことになると、こんにゃくゼリーはいけないけれども、飴はいいのかということに結果的になってくる。そこをどうきちんと説明できるかということになると少し難しいのではないか。同じような致死率であるならば、飴に対しても形状等、何らかの規制が必要ではないかと思います。
ですから、まず取りかかるべきことは食品衛生法の改正と、もう一つ、国センのデータによりますと、子ども用のお菓子として同じようなところで売ってはいけないとか、必ず警告をしましょうということになっているにもかかわらず、警告がされていなかったり、不十分であったり、棚の一番下ということは要するに子どもが手の届きやすい場所です。そういうところで売っているケースが依然として多いという調査報告がありますので、そこはしっかりと規制していく、指導していく。そして、守っていない事業者は公表するという形をとらないと、穏やかな規制、「やってください」だけでは、事業者はなかなかちゃんとやらないので、その辺りはもう少し指導を強くしていく必要があるのではないかと思います。

○松本委員長 ありがとうございました。まだ御意見がおありと思いますが、次回、引き続き意見交換をして、できましたら消費者委員会として一定の考え方を出すことにしたいと思います。
中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 継続して議論をするために格好の材料集めができていまして、7月2日に日本弁護士連合会がこんにゃく入りゼリー問題でシンポジウムを開きます。場所は四ツ谷のプラザエフですけれども、そこに食品安全委員会も消費者庁も出てきます。関係方面の方もいらっしゃるし、実際の事故の救済に当たった弁護士も報告します。いろいろな資料が入っているので、皆さん、プラザエフで2日の夜6時からです。よろしくお願いします。

≪5.閉 会≫

○松本委員長 本日の議題は以上でございますが、報告事項といたしまして、6月29日に予定されております、消費者安全専門調査会・製品事故情報の公表等に関する調査会について、事務局より報告をお願いいたします。

○野崎参事官 事務局、参事官の野崎です。
消費者安全専門調査会・製品事故情報の公表等に関する調査会につきましては、本年3月15日のこの委員会におきまして、その議事の公開について、合同で審議を行っている消費経済審議会の製品事故判定第三者委員会の事務局である経済産業省側と、事務レベルで調整するように御指示をいただきました。
しかしながら、現時点では消費経済審議会側との調整がまだ終わっていない状況でございますので、次回、来週の6月29日に予定しております第2回の調査会につきましても、4月20日に行った第1回の会議と同様、議事を非公開という形で行い、引き続き会議の公開の在り方については調整を続けていきたいと考えておりますので、よろしくお願いします。

○松本委員長 ありがとうございました。
最後に、事務局より次回日程について御説明をお願いいたします。

○原事務局長 次回の委員会は、7月9日(金)の15時から行う予定にしております。なお、今日は少し時間が超過しておりますけれども、この後、消費者庁の記者会見室において委員長の記者会見を行う予定にしておりますので、お知らせしたいと思います。ありがとうございました。

○松本委員長 それでは、若干議事の不手際で時間を超過してしまいましたが、本日はこれにて閉会とさせていただきます。
お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)