第27回 消費者委員会 議事録

日時

2010年6月11日(金)15:00~17:00

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

 荒井内閣府特命担当大臣、大島内閣府副大臣、泉内閣府大臣政務官

【委員】
 松本委員長、中村委員長代理、池田委員、櫻井委員、佐野委員、
 下谷内委員、田島委員、日和佐委員、山口委員

【説明者】
 消費者庁   内田長官、相本食品表示課長
 農林水産省  光吉消費・安全局表示・規格課長
 外務省    市川経済局政策課長
 厚生労働省  道野医薬食品局監視安全課輸入食品安全対策室長

【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.荒井内閣府特命担当大臣御挨拶
3.消費者基本計画の検証・評価・監視について
 (食品表示の一元化について、食の安全確保のための効果的な規制や組織のあり方について)
4.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:14KB)
【資料1】 「消費者基本計画」における「工程の明確化」関連資料(関係省庁提出資料) (PDF形式:234KB)
【資料2】 消費者基本計画(施策番号33)参考資料(厚生労働省提出資料)

≪1.開 会≫

○原事務局長 本日は皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第27回)」の会合を開催いたします。
それでは、委員長、よろしくお願いいたします。

≪2.荒井内閣府特命担当大臣御挨拶≫

○松本委員長 本日は、荒井内閣府特命担当大臣、大島内閣府副大臣、泉内閣府大臣政務官がお越しになられておられます。
開会に当たりまして、荒井大臣より、ごあいさつをいただきたいと思います。

○荒井大臣 皆さん、こんにちは。荒井聰でございます。
私は農林水産省で20年ばかり仕事をしておりまして、その後、地方自治体でも5年ほど仕事をしておりましたので、完璧に消費者行政というものではありませんけれども、食品の安全性の問題、あるいは地方自治の機能性とか、そういうものについては若干知識があるつもりでおります。
大変重要な消費者委員会であるにもかかわらず、まだまだ体制の整備がされていない。何よりも民主党が、かねや太鼓をたたいてつくり上げていった大事な政策だと思いますけれども、その割には発信が少し弱いのではないかという感じがしておりまして、私の大きな仕事は、消費者行政のアピールをすることではないかと、大臣が先頭になって皆さんと一緒にやっていきたいと思っております。
昨日、第1回目の仕事をしたつもりでございます。昨日、閣議の席で施政方針演説案が出されました。その中に「消費者」という言葉が抜けておりましたので、私が抗議をいたしまして、消費者視点、あるいは消費者という言葉をぜひ書いてくださいということを申し上げましたところ、早速、入れていただきました。総理の口から、消費者保護という形で最初の所信でそれが述べられることは、発信力の大きな第一歩だというふうに思ってございます。
皆さん方には、大所高所から消費者の観点でのさまざまな御議論をいただきますようにお願いを申し上げまして、ごあいさつにかえさせていただきます。ありがとうございます。

○松本委員長 大変ありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
なお、荒井大臣、大島副大臣、泉大臣政務官におかれましては、所用によりここで御退席されます。就任早々、大変お忙しいところを当委員会に御出席いただき、誠にありがとうございました。

○荒井大臣 5、6分ぐらい、少しお話を聞かせてください。よろしいですか。

○松本委員長 それでは、政務三役と消費者委員会委員との間で少し意見交換ということですから、荒井大臣に対して、どうぞ御希望、御質問を。
池田委員、どうぞ。

○池田委員 今、アサヒビールの相談役をやっています池田と申します。
事業者の立場でこの委員会に参加させていただいていますけれども、私は経済界の中で道州制を強く推進している立場です。道州制推進の立場は、行政のやり方、仕組みを変えようということが根本の問題だと私は理解しているのですけれども、消費者庁あるいは消費者委員会ができたのも、福田さんのときからのいわゆる「消費者目線」の行政を実現するためです。消費者目線ということは、住民目線といいますか、国民目線ということになるわけです。そうすると、それに携わる消費者庁、消費者委員会は従来と違う視点で仕事をやっていかなければいけません。
ところが、庁にしろ委員会にしろ、行政の組織の中の一員ですから、いろいろな縦割り行政の中の横割りをやっていかなければいけないのに、権限としては同じことしかできていません。それをカバーしていくのが大臣なり政治の強い役割だと思います。大変失礼ですけれども、そういう認識なり、そういう情報をもっと発信しなければいけません。菅総理大臣の所信表明演説の原案に消費者という言葉がなかったという一言を見ても、そういうことが全然見えていないのではないか。もう少しそういうことが強く出てくるように意識してやっていただければ、我々としても、消費者庁としてももっと意欲的に仕事ができるのではないかと思います。

○松本委員長 中村委員。

○中村委員長代理 委員長代理の中村雅人と申します。
消費者委員会ができてまだ9か月ですけれども、この存在が霞が関の中で十分認知されていないような気がします。法律も「消費者庁及び消費者委員会設置法」ができても、なかなか浸透していない。
現に何が困っているかというと、消費者庁及び消費者委員会設置法の6条に基づいて関係行政機関に資料要求をしています。自動車リコール問題ですが、国交省がなかなか資料を協力してくれないのです。きつく言ってようやく出てきたのがCD1枚です。これは複製もできなければ、紙のプリントアウトもできないという非常に意地悪をされております。私たちはもちろん、守秘義務もかぶっているわけですから、もっと霞が関の中で理解していただいて、この役所は何をするところか、ちゃんとできるように回していただきたい。それを閣議などで関係大臣に徹底していただいて、霞が関全体が消費者行政、消費者目線で進むという姿勢になっていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 せっかく大臣においでいただきましたので、ぜひお願いしたいことがございます。今おっしゃられましたように、消費者庁、消費者委員会に対して重きが置かれていないというのは非常に悲しいことでございまして、消費者庁の関係者一同、それから消費者委員会にしても、消費者政策にかかわる課題というのは本当にたくさんあるんですね。そのたくさんの課題に可能な限り精力的に取りかかっていこうと、鋭意みんな頑張ってやっているわけですけれども、何しろ人材が不足している。もう一つ申し上げますと、予算もかなりぎりぎりであるということで、十分な調査活動ができない状態も一方にはあります。
新しく国民の期待を集めて発足した庁でございますが、バックアップがなければやはりできないということもあります。ぜひお力を発揮していただければと思います。よろしくお願いいたします。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 国家戦略担当大臣でもあられますので、大きな問題としてございますのが、事故原因究明の組織を、国交省と経産省と消費者庁がどう連携しながらいいものをつくっていくかということがあるわけです。FAMICという農水省傘下のテスト機関としての独法がございますし、NITEという経産省傘下の独法があります。それから国民生活センター。このように、分野は少し違いますが、ある意味では似たような独立行政法人が3つあります。これをどう調整しながらやっていくかというのは極めて政治的な問題です。
それから、民主党のマニフェストにあるのですが、食品安全庁をつくると。これは私どもからすれば、農水ではなく、消費者庁の下に置くべきだと思っております。山田大臣は農水の下に置くとおっしゃっているようですが、国家戦略としてどうするのかというのは一つの省庁で片づくものではございません。ぜひその辺は大きな視点から考えていただければと思いますし、私どもも発信していきたいと思いますので、よろしくお願いします。

○松本委員長 櫻井委員、どうぞ。

○櫻井委員 学習院大学の櫻井と申します。
消費者委員会については、存在感がないというお話が今までございましたけれども、これは私の専門の分野の観点から申し上げて、制度設計が完全に失敗していると考えており、そのことは論文でも発表しておるところでございます。また、制度自体に見合った人選になっているかというと、これも全くできていないということで、制度面、人事面、すべて失敗だというふうに考えておりまして、このような事態になっているのは、やはりそれをおつくりになった民主党さんに製造物責任があるだろうと考えております。したがって、どうぞゼロベースできちんと見直していただきたいと思います。
このことは前の大臣にも申し上げたのですけれども、全く聞く耳を持たれませんでしたので、ぜひ、新大臣にはよろしく御理解のほどお願いしたいと思います。
以上でございます。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 主婦連合会の佐野と申します。
消費者問題というのは毎日のように起きておりまして、悪質事業者というのは私たちの先を先を行きます。ですから、問題解決にはやはり迅速な対応というのが必要です。それには、大臣の判断というのは非常に心強く私たちも動けますので、ぜひ迅速な判断、司令塔としての役割を担っていただきたい。
それから、大臣も副大臣も政務官も大変お忙しい。いろいろな役割を持っていらっしゃいますけれども、ぜひこの委員会にときどきおいでになって、積極的な発言、また、私たちが一体何をしているのかというのをきちんと見ていただきたい。それで一緒に考えていっていただきたい。消費者庁、消費者委員会というのはやはり消費者が一緒になってつくっていかなければならない。みんなでつくるものだと思っています。この8か月間、やっとここまで来ました。課題は山積しています。でも、それをみんなで解決して、できるだけ私たちの生活を暮らしやすいものにということで頑張っていきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 全国消費相談員協会で、全国の消費生活相談員の集まりの会から出ております。
私がこれから申し上げたいのは、消費者庁、消費者委員会ができましたときに、国会審議で、すき間事案とかいろいろありました中の一つとして、相談員の処遇等について審議をされてまいりました。
今回、活性化基金で3年間の基金がつくられておりますが、地方の自治体におきましては、消費生活センターをつくったとしても24年度以降に予算が組み込まれなければ非常に難しいといって、実際に1年だけ開きますというようなことを言っているところもありますし、24年以降に完全にできるのであれば人員は増やします、というような意向も伺っております。したがいまして、地方の消費者行政と併せて活性化基金につきまして、十分御検討をいただきたい。積極的に取り組んでいただければいいのではないかと思います。
そうしないと、先ほど佐野委員からも申し上げましたように、悪質商法の根絶というのは非常に難しいです。全国に出前講座をやっておりますが、自分たちが被害に遭っているということがわからないし、被害に遭っていても、どこに相談していいか、どのような解決法がいいのか、なかなかわからないという方が非常に多くいらっしゃいます。ぜひその辺りも、積極的な展開を図っていただければよろしいのではないかと思っております。
組織的には非常に人材も少ないしお金もありませんと、そこのところはみなさんが言ってくれましたので、私は、地方の消費者行政につきまして一番最初に考えていただきたい。お金に絡みますことですが、ぜひお願いしたいと思っております。

○松本委員長 田島委員、どうぞ。

○田島委員 私の一番関心のある食品表示の一元化、今日の議題にも出ておりますけれども、これは消費者の国民の人たちも一番関心のあることだと思っております。食品表示の一元化をなるべく早く実現してほしいということと、それから、先ほど山口委員がおっしゃいましたけれども、食品安全庁を農水省の下に置くことを報道で聞いておりますけれども、農水省のところに置いたのでは公平な観点から施行ができないのではないか。やはり食品安全庁こそ消費者庁の下に置くべきだというふうに考えておりますので、ぜひ実現に向けてよろしくお願いいたします。

○松本委員長 ということで各委員から意見、要望が出ましたので、どうぞ、荒井大臣。

○荒井大臣 少しだけコメントさせてもらいますと、私も行政の世界の中にいましたが、明治以来の行政機関というのは生産者の立場からだった行政システムが多いのです。それは、支えられているというか、あるいはエンジン部門が生産者の団体とか、そういうものが大きな力を持っていたこともありますから、歴史的に生産者の立場からという行政スタイルが多いです。
そういう中で、それではおかしいではないかということは長年議論されていて、ここへ来て、やっと消費者の立場の鮮明にした消費者庁ができ上がったことは画期的だと思いますけれども、しかし、一気に日本の行政スタイルというか、行政の思想を変えるところまで行っていない。民主党は、昨年の8月に政権をとって、国家戦略局というのをつくって国の中枢のエンジン部門にすることを宣言しましたけれども、いまだに国家戦略局というのはないんです。私は国家戦略室を担当している所管の大臣でもありますけれども、まだ国家戦略局は存在しないのです。
政治と行政の関係では、まだまだ整理をしなければ、あるいは強固に進めていかなければならない、そういう関係があると思いますけれども、きのうも内田長官初め皆さんに、消費者庁、消費者行政が積極的に前に進んでいくようなエンジン部門を早くつくらないといけないと。そのエンジンが何なのかというのは私もまだわかりません。皆さん方なのかもしれませんし、あるいは地方の消費者行政、消費者運動に携わっている人たち、そういう人たちなのかもしれませんけれども、回していくエンジンというものがやはり必要なのだろうというふうに思います。霞が関だけでは、この運動というか、大きな行政スタイル、あるいは、本当に国民にフィットするような行政スタイルにはなかなかなりにくいのではないかと思います。
幸い、今日も少し菅総理からの話もありましたし、また、鳩山総理が唱えられました「新しい公共」という概念は、ある種のNPO、そういうものを活用する方向性を打ち出しまして、そこが活動しやすい環境整備をどんどんつくりました。そういうものとのリンケージを図っていく、あるいは地方とどんな形で動くのか、そういうものをお考えになっていただければというふうに思います。
旧来のシステムの中から、全く新しい発想でドンとつくり上げるというのは大変難しいです。私は行政組織法という法律自体、もうやめた方がいいのではないかと。行政組織法という法律ではなく、必要に応じてその政権が、例えば何とか局と何とか局を結びつけて何とか庁にするとか、そういうフレキシブルに富んだ行政組織法をそろそろ考えてもいいのではないかという考え方を持っています。まだそこまで行くのは難しいかもしれませんけれども、ぜひ皆さんに新しい発想で、消費者行政に関してさまざまな御意見をいただければと思います。どうもありがとうございました。

○松本委員長 どうもありがとうございました。

(荒井大臣、大島副大臣、泉大臣政務官退室)

≪3.消費者基本計画の検証・評価・監視について(食品表示の一元化について、食の安全確保のための効果的な規制や組織のあり方について)≫

○松本委員長 予定外の議事になりましたが、これから、本来の議題に入りたいと思います。
本日の議題でございますが、「消費者基本計画の検証・評価・監視について」の第3回目でございます。委員会として公表しております、「消費者基本計画策定に向けての意見」の重点施策の4番目、「食品表示の一元化を図る」に関連する施策であります、基本計画の施策番号69番、28番。それから、5番目の「食の安全確保のための効果的な規制や組織の在り方の検討に着手する」にかかわる施策である、施策番号27番、32番、33番について、それぞれ関係省庁においでいただいておりますので、ヒアリングをしたいと思います。
なお、施策番号23の食についてのリスク評価機関の機能強化や、リスク管理機関の一元化に関する施策についても重要施策の一つであると認識しておりますが、これは大変大きなテーマであり、先ほど少し質疑の中でも出ましたが、また改めて別の機会にヒアリングを行っていきたいと考えております。
ヒアリングの進め方についてですが、それぞれの施策番号ごとに工程について御説明をいただき、質疑を行いたいと思います。
まず、施策番号69の工程につきまして、消費者庁より御説明をお願いいたします。

○相本食品表示課長 消費者庁食品表示課長の相本でございます。
お手元の資料1-1(PDF形式:234KB)に即して御説明申し上げます。内容でございますけれども、施策番号69「食品表示に関する一元化的な法律の制定など法体系の在り方については、農林物資の規格及び品質表示の適正化に関する法律、食品衛生法、健康増進法等の食品表示の関係法令を統一的に解釈・運用を行うとともに、現行制度の運用・改善を行いつつ問題点等を把握し、検討します」ということになっております。
実施時期につきましては、「平成22年度から検討を開始し、平成23年度以降、検討結果を踏まえ、必要な措置を講じます」ということにしております。
この中にございませんけれども、消費者基本計画におきましては、69番以下10項目にわたって、食品表示に関する個別の施策課題についてもこの計画の具体的施策として掲げているところでございます。
具体的な作業イメージですけれども、1ページおめくりいただきまして、2ページ目でございます。「食品表示に関する一元的な法律の制定に向けて」ということで、対応方針としては、「(1)当面の検討事項(一元的な法体系の在り方の検討)」ということで、1番目の課題として、JAS法、食品衛生法、健康増進法、景品表示法など、消費者庁が所管する食品表示に関する各法律の統一的な運用の推進。具体的には、各制度間の統合的な運用、あるいはその制度間において、齟齬(そご)等がある場合には、その調整を図るといった統一的な運用を進めていくことにしてございます。
2点目の課題でございます。「現行制度の課題の把握」といたしまして、現在、個別にそれぞれ検討を進めておりますけれども、例えば加工食品の原材料原産地表示の拡大、トランス脂肪酸など栄養表示制度の拡充、遺伝子組み換え食品の表示の拡大。あるいは現在、消費者庁に検討会を設置してその検討を進めておりますけれども、特定保健用食品などの健康食品の表示の在り方について検討を進めていくことを、課題として整理してございます。
3点目ですけれども、「国際的なルールとの整合」ということで、国際的な食品の基準を策定する機関であるコーデックスで定められる、あるいは検討されている食品表示のルール、または国際的に各主要国が行っている、あるいは検討を進めている国際的なルールとの整合、その実態についての調査を進めていくということでございます。
4点目でございますが、「効果的な執行体制の在り方」ということで、食品表示制度の企画・立案は当然のことですけれども、さらにその執行についても重要な部分でございまして、これは消費者庁みずからも権限を与えられてその執行を行うことになってございます。他方、消費者庁につきましては出先機関が置かれておらず、消費者庁本庁で常に対応できる職員も限られております。
これにつきましては、例えばJAS法では農林水産省、その出先機関である地方農政局、農政事務所、あるいは地方自治体。食品衛生法では、保健所などの能力を活用いただいて、その執行に当たっていただいているところでございます。こういった各執行機関における執行体制の効率的な在り方についても、検討を進めていく必要があるというふうに考えてございます。
また、「米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律」、通称「米トレーサビリティ法」と呼んでございますけれども、来年の7月から、精米あるいは米の加工品に関する産地情報の伝達制度がスタートいたします。これにつきましては、農林水産省、消費者庁が共管でこの執行に当たることになっておりますので、こういった執行体制の在り方についても併せて検討していく必要があると考えてございます。
ここで掲げた4つほどの検討課題につきまして、その検討を進めていく。さらに、平成23年度以降、食品表示に関する一元的な法律の制定を進めていくことを予定しております。
なお、別の課題で掲げている課題のうち、例えばトランス脂肪酸を含む栄養表示制度の在り方、あるいは遺伝子組み換え食品の表示などについてはさらに検討を行い、必要に応じて今後、制定を目指していく一元的な法律に盛り込んでいくことも併せて検討を進めていきたいと考えてございます。
以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に対しまして、どうぞ御質問、御意見を出してください。
田島委員からどうぞ。

○田島委員 御説明、ありがとうございました。食品表示の一元化については、消費者の中でも非常に関心が深い問題ですので、一刻も早く一元化を進めていただきたいと思っております。食品衛生法とJAS法という現行の法律はいろいろな面で微妙に違うということで、非常にわかりにくいというのが一般的な評価だと思います。ですから、わかりやすい法体系にしていただきたいということでございます。
それから、法体系を新しくつくるときには、これからは、できるだけ国際的なルールにのっとって進めていただきたいということも強調しておきたいと思います。
今の法律は「原則として」という表記が非常に多いです。実際に消費者なり生産者が表示を行おうとするときには、その「原則として」ということ以外に含まれていることについては非常にわかりにくい。担当者に直接聞けばいいという話なのでしょうけれども、担当者がだれかわからない。保健所に聞けばいいというような話かもしれないですけれども、なかなか担当者もよくわからないということで、できるだけ生産者、消費者にとってわかりやすい表示を目指していただきたいということを、よろしくお願いいたします。
以上でございます。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 今、田島委員がおっしゃったように、消費者庁ができるときに多くの消費者団体が食品表示の一元化を望んできました。原産国表示、原材料表示、期限表示、本当に多くの偽装表示がありました。期限表示の偽装事件のときは、特に表示と安全性は一体であるということも言われてきました。食品表示の一元化と一緒に食品の事故情報の一元化、つまり情報もきちんと収集していただきたい。その辺りも検討していただきたいと思います。
表示については、どのような内容の表示にするのか、どのように一元化するのかという問題が一つあります。もう一つあるのは、先ほど執行の話がありましたけれども、違反した場合の執行についての問題をどう考えるかです。今現在、直罰があったりなかったり、地方自治体に権限があったりなかったりと本当にばらばらです。その辺りも整合性をきちんと図るべきではないだろうかと思っています。
質問ですが、消費者庁内に設置されたワーキンググループで御検討なさっているようですけれども、私は、執行の部分とかいろいろ考えたとき、やはり厚労省や農水省、それから、不正競争防止法などに関係する経済産業省も一緒にメンバーに入れて検討するべきではないかと思っています。その連携は大丈夫なのでしょうか。
それから、食品表示を一元化するときのイメージですが、消費者庁は、新しい法律をつくろうとしているのか、今の法律を改正していこうとしているのか、どちらなのでしょうかということをお聞きしたい。
69番に「JAS法、食品衛生法、健康増進法等」という言葉がありまして、これしか書かれていないのですけれども、計量法とか不正競争防止法とか、まだほかにもいろいろあるわけですが、そちらとの関係をどのように考えていくのか。これから、それらも検討の中に入るのかということをわかる範囲で御回答願います。

○相本食品表示課長 1番目の各省との関係、あるいは3番目の、69番に明示している法令以外との関係でございますけれども、まず、消費者庁において、一元化的な制度の在り方についてしっかり議論していくことが必要であること。当然、御指摘のように、この制度の企画・立案、執行に当たって関係省庁との連携・協力は不可欠でございますので、消費者庁として具体的な案をつくりながら関係省庁と御相談して、政府一体としての制度ということで検討を進めてまいりたいと考えてございます。
また、ここには食品の表示に直接関係する法律を例示させていただいておりますけれども、それ以外にも食品の表示にかかわってくる制度は多岐にわたりますので、そういったものとの関係も併せて整備していくことを、検討の課題の一つとして進めていきたいと考えてございます。
制度の仕組みも、新しい法律を制定するのか、既存法を改正するのかはこれからの検討課題でございまして、新しい制度をつくるというのは、当然、アイデアであろうと考えてございますし、どのような形がよいのかということは、さらに私どもとしてしっかり詰めていきたいと考えてございます。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 質問ですが、2ページの一番下の工程詳細は矢印が実線と点線とあって、どう読んでいいのか、いつまでに何をしようとしているのか。実線と点線の区別、それから、矢印の一番先は、遅くともここまでには仕上げるということなのか、どういうふうにこれを読んだらいいのですか。

○相本食品表示課長 例えば平成22年度はマル1番からマル4番まで実線で書いてございますけれども、ここは基本計画の実施時期で、平成22年度が検討開始・実施という部分で、個別の課題について22年度に集中して行っていくということでございます。他方、こういった課題につきましては、例えば22年度の1年間で検討したらあとは何もせずに済むということではなく、引き続き検討すべき課題は残ると思いますので、さらに23年度以降も進めていくということでございます。
一元化な法律の制定に関しましては、69番の実施時期の後段、「平成23年度以降、検討結果を踏まえ、必要な措置を講じます」ということで、具体的に法整備に関して23年度にも提出することを考えていくということで書いてございます。当然、法律を制定することと、例えば個別の施行規則を制定する、あるいは執行のための措置期間を設けることは23年度以降にも及ぶことでございますので、さらに平成25年度まで矢印が延伸しているところでございます。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 食品表示の問題については、一元化がかなり前から言われてまいりました。かかわる法律があまりにも多過ぎるわけです。そして、JAS法と食品衛生法では、例えば加工食品で概念が違うというようなこともありまして、消費者にとってわかりにくいだけではなく、事業者も新商品をつくって表示をしていく場合に、一体これでよいのかどうなのかという判断に非常に迷う。厚生労働省と農水省と両方に聞いて、それでよろしいと言われて初めて安心するぐらい複雑になってきてしまっている。
それと、表示に関しての偽装事件が起こるたびに、表示を具体的に細かく規制を強めてきたという経過があります。表示をしなければならない項目がより詳細になってきたということです。詳細になってくればくるほど例外措置をとらざるを得ないわけです。全部の食品に関して細かな表示項目が該当するかというと、そういうわけにはいかないわけですから、例外措置をとらざるを得ない。例外措置がいっぱいできてきて、余計わかりにくい法律になってしまっているということがあると思います。
今までも何度も統一化ということは言われたわけですけれども、所管する省の考え方が非常に強くて、はっきり言ってしまえば手放したくないというようなことがあって、なかなか一元化に向けて具体的な議論にならなかったというのが経過であろうかと思います。
もちろん、農水省は非常に強くかかわりを持っているわけですし、それから、厚生労働省等の意見を聞くことも非常に大事ですけれども、消費者庁で、消費者の視点でどのようにあったらいい表示になっていくのかということの基本的な考え方は、固められた方がいいと思うのです。それをもとにして、しっかりと連携を保ちながらやっていくということでないと、もとのもくあみになってしまいそうで、そこは危惧をするところです。期待しておりますので、どうぞそのような観点もお考えいただいて進めていただきたいと思います。

○松本委員長 池田委員、どうぞ。

○池田委員 今、日和佐さんが言われたことは、私は全くそのとおりだと思います。先ほど佐野さんから悪質業者に対応という言葉がありましたけれども、きちんとした業者と悪質業者というものを、同じような考え方で対応を決めていこうというのはなかなか無理があるのではないか。前回、私は欠席しましたけれども、委員会でもそういうことが議論になったようですが、そういうところをどうするかということをよく考えていただきたい。
それと、これだけ日本の景気が悪いです。私ども食品業界は比較的国内市場で飯を食っているわけですから、どうしても新しい食品を開発していかざるを得ない。それを一生懸命やっているわけです。それに対する行政の対応は非常に遅れているわけです。事業者では開発できてもなかなか市場に出していけない。そういうところをもう少し、ウィン・ウィンの関係になるような運用ができる法律の一元化を工夫してほしいと思います。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 先ほどの中村さんの質問に対する答えがよくわからなかったのですが、どういうことでしょうか。2枚目の矢印の点線ですが、要するに施行令やその他、具体的な法律の枠組みは実線の時期につくるけれども、その後の点線でフォローしていく、そういう趣旨なのですか。その辺がよくわからなかったのですが。

○相本食品表示課長 おっしゃるとおりでございまして、法制度を整備するということ、施行規則を制定していくということと、あと、すでにJASや食品衛生法のルールがございますので、その経過措置などを設けていくことも必要だと考えてございますので、そういうことも含めて点線であらわしているということでございます。

○松本委員長 櫻井委員、どうぞ。

○櫻井委員 基本的なことをお伺いしたいのですが、これは、もう法律をつくることが決まっているという前提で話をされているのでしょうか。

○相本食品表示課長 69番の「食品表示に関する一元化的な法律の制定など」ということで、具体的施策を掲げてございまして、ここは、新法なのか改正法かは別としても、新しく法律を定めていくことを念頭に置いております。

○櫻井委員 もう決まっているわけですね。

○相本食品表示課長 消費者基本計画の中で具体的施策として掲げているところでございます。

○櫻井委員 別に無理に一元化につくらなくてもいいと思いますけれども、ちょっと用語が気になるのは、「一元的な法体系」という言葉と「一元的な法律」という言葉があります。一元的な法体系という日本語も少し違和感があるところですけれども、どちらを念頭に置いておられるのかということ。実際上、表示という面で、見る方はそれこそ総合的に見ていますので、一元的な表示がされることはそれなりに意味があることですけれども、しかしながら、そういう状態をつくり出すための法律自体が一元的でなければならないのかというと、必ずしもそういう必然性はないのではないか。
今までも一元的な法律をつくっても、例えば環境基本法をつくってもモザイク法で、実質的に一元化していないわけです。消費者庁自体がそうだと思いますけれども、いろいろな仕事を一つの省庁にまとめたところで行政の実質が一元化したかというと、決してそうなってはいないのであって、そうであれば別に同じ轍を踏む必要は全くないので、内容的にいいものをつくることがやはり目的としては一番穏当かなというふうに思っております。コメントでございます。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 消費者の立場として、私どもは相談窓口でもありますので、そのときによく表示についていろいろな御質問を受けますが、皆さん、JAS法とか食品衛生法ということを全然わからないで一般の消費者の方は使っています。今回、一元化されることに対して非常に期待はいたしております。今、櫻井委員がおっしゃられましたように、つくられた法律がきちんと運用できて、消費者にとっても事業者にとってもわかりやすく使いやすいものであれば、私はそれに期待したいと思っておりますので、ぜひそこのところを御検討いただければと思っています。

○松本委員長 皆さんの御意見を若干強引にまとめますと、一つは、わかりやすさという点が何人かの委員から言われました。これは恐らく供給者側にとってもそうだし、消費者側にとっても、わかりやすい法律、あるいは表示の仕方を考えていく必要があるだろう。
もう一点は、法執行だろうと思います。法執行という場合、地方のそれぞれの現場における法執行がきちんと行われる必要がある。ところが、現在、食品衛生法は基本的に保健所が法執行をするということで地方がやっている。他方、JAS法は二元的になっていて、都道府県が担当している部分と農水省の地方支分局が担当している部分があって、これが排他的関係になっている。双方が「このケースは我が方の管轄ではない」ということで見送った結果、取り締まりや調査が遅れたという例がたしか北海道であったわけです。こういう執行におけるすき間が残りやすい仕組みは、今回、一元化の検討の中で埋めていっていただくようにしたいと思います。それが一つ。
もう一つ、法執行という点で、事業者のコンプライアンスを促進する形で法執行を行う仕組みを、うまく組み込んでいく必要があるのではないか。先ほどの悪質業者をどうこうという話と、悪質ではないけれどもたまたま法令違反をしたという業者に対して、どういうふうに対応するのか、こういう問題になろうと思います。積極的に法律を順守して、きちんと情報を提供してもらいやすい環境を行政がつくっていく形で、法執行の仕組みを考えていっていただきたいというふうに思います。
どうもありがとうございました。

(相本消費者庁食品表示課長退室)

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○松本委員長 続きまして、施策番号28の工程につきまして、農林水産省より御説明をお願いいたします。

○光吉表示・規格課長 農林水産省の表示・規格課長の光吉と申します。よろしくお願いします。
それでは、今と同じ資料の次のページで御説明させていただきます。3ページでございます。番号は28番。私からはJAS規格、JASの関係のお話でございます。
28番として、具体的施策、「農林物資規格調査会等の審議を経て、社会的ニーズに対応した新たなJAS規格の導入を推進することに加え、JAS規格の新規策定や見直しに係る作業手順の透明化を図ります」、そういう施策でございます。
これについての工程表を横長に右に書かせていただいておりますが、柱として2つでございます。一つは、JAS規格の制定・見直しの透明化でございます。JAS規格につきましては田島委員に大分お世話になったところでございますが、JAS調査会というのがございまして、ここで多くの色んな各界の方に入っていただいて、極めてオープンな形でいろいろ審議をしていただいて、規格を決定しているところでございます。
さらに、それだけではなく、今回、省令を直して今年度中にやろうと思っておりますのは、例えばということで2つ申し上げますと、毎年度どういうふうな規格の策定・見直しをしていくのか、こういった計画をつくってオープンに、まずする。それを毎年毎年やっていく。個別のいろいろな品目の規格について、現在は進める段階としてはどういう段階にあって、いつごろどういうふうにしていくのか、そういった計画を毎年度立てて、これを公表していくというのが一つ。
これに従ってやっていくわけでして、JAS調査会で御審議いただいて御決定いただくのがもちろん中心ではございますが、そこにお諮りする原案が一体どういう過程でそこまで行っているのか。例えば先ほどもお話が出たFAMICなども活用しておりますけれども、調査をして、多様な各方面の御意見をできるだけ反映できるプロセス、もちろん、パブコメを求めて一般から御意見をいただくプロセス、こういったものを踏まえて原案をつくっていく。その辺の手順につきましても省令を改正して書くことができないか、それを22年度中にやりたいと思っております。
そして、2つ目の矢印として書いてございますが、これは22年度単年度の話ではございません。当たり前ではないかと言われるかもしれませんが、先ほど申し上げた透明化をした手順に従って、毎年毎年きちんとJAS規格を見直し制定をしていく。これは単年度で終わる作業ではありません。JAS規格自身は、御案内のとおり5年ごとにきちんと見直していくことがルール化されていますし、新しい社会ニーズに対応して各方面の御意見を聞いて策定しなければいけないこともあります。これの透明化を進めながら、適切に毎年度やっていく。そういうことでとり進めていきたいという工程でございます。
以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきまして、どうぞ御意見、御質問をお出しください。
田島委員、どうぞ。

○田島委員 JAS規格の制定につきましては、以前、私もかかわらせていただいておりまして、その際の経験からも申し上げたいのですけれども、JAS規格の制定というのは現在でも非常に透明化が図られていると私は思っております。JAS規格を新しく制定するためには、何度も業者へのヒアリング、消費者へのヒアリングを重ねて、それで規格化の原案がつくられていく。さらにJAS調査会には部会がありまして、その部会での検討、そして総会での審議ということで、場合によっては2年ぐらいかかって進行しているので、今でも非常に透明性は高いと思っております。
ただ、その際にいろいろな業界へのヒアリングをすると、どうしても業界の御意向を尊重し過ぎる感があるというふうに私は感じております。せっかく農水省自身はFAMIC((独)農林水産消費安全技術センター)をお持ちですので、もう少しFAMICの力を利用して、業界の主張に縛られ過ぎないで規格化を進めていただけたらいいのではないかというふうに考えております。感想でございますけれども、よろしくお願いいたします。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 今もお話がありましたけれども、JAS規格は定期的に見直しされてきました。お願いしたいのは、見直しに当たって、今までがこうだからこの枠の中に入れていこうということはやめていただきたい。抜本的改正ということも視野に入れながらの見直しをお願いしたいと思います。
というのは、全然JAS法とは関係ないのですが、ここで、家庭用品品質表示法のテレビについて検討しました。何だかわけのわからないものだけれども、何かそこに当てはめて、それ以外何も理由がないみたいなものでした。そうではなくて、やはりきちんと消費者の意見を聞いて、今までとは全く違う形を消費者が望むのであれば、ぜひそれを採用していただきたい。今、田島委員がおっしゃったように、業界寄りではなく、消費者の意見を反映させた見直しを願いたいと思います。

○松本委員長 ほかにございませんか。今まできちんとやっていただいているから、今後ともよろしくという感じでしたが。
それでは、引き続きよろしくお願いいたします。

○光吉表示・規格課長 はい。

○松本委員長 引き続き、施策番号27の工程につきまして、農林水産省より御説明をお願いいたします。

○光吉表示・規格課長 引き続き、よろしくお願いします。
27番といたしまして、資料の4ページでございます。「食品のリコール社告の規格化の必要性について、消費者、事業者及び関係省庁等の意見を聴取し、必要性が認められた場合には、規格化に着手します」、そういう具体的施策を基本計画の中に位置づけていただきました。
これにつきましては、右側の実施期間に「22年度中に、必要性について結論を得ます」と書いてありまして、その右に矢印がございます。現在、調査等の素材を集めているところでございますが、リコールの規格化の必要性について審議を行うために必要な調査等を実施し、それを踏まえて、先ほど申し上げたJAS調査会を含めて各方面の御意見を聞いて法律的な整理もして、食品のリコール社告の規格化の必要性について審議を行い、結論を得る。これを、だらだらしないで22年度中には行って、必要がある場合には着手する、そういうふうな決意で進めたいと思っております。
以上です。

○松本委員長 ありがとうございました。それでは、どうぞ御意見、御質問をお出しください。
佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 食品のリコール社告の規格化が必要か、必要でないかという議論をする必要があるのですか、というのをお聞きしたいです。すでに日用品は2年ほど前にきちんとできています。リコール社告がJIS化され、かなりわかりやすくなっています。本当に消費者から見ると、食品のリコール社告は何を言っているのかわからないことが多い。それを、今から規格化しましょうかという検討をするのが私には理解できません。リコール社告のJISでは、JISでありながら食品にも準ずるとわざわざ書いて、消費者にわかりやすいように、日用品でも食品でも同じような社告をつくってくださいと言っています。食品のリコール社告もJISのリコール社告に対応する形でやってください。
私が聞きたいのは、必要性がないという理由は一体何を想定されているのか。現在、ごらんになってよくわかっていらっしゃるのではないかと思います。それを1年かけて検討するのではなく、ぜひ前倒しにしていただきたいと思います。

○松本委員長 どうぞ。

○光吉表示・規格課長 今、佐野委員からお話がございましたが、消費生活用の製品のリコールに関しては関係団体の方を含めて御尽力されて、20年でしたか、JIS規格がリコール社告でできたというのは承知しています。食品も含めて消費者が使う物資のリコールの消費者に対するお知らせが、消費者にとって読みやすく、わかりやすくあるべきだということは、恐らく百人が百人そう思うところであると思っています。したがいまして、食品についてのリコール社告の話も、消費者が読んでわかりやすくしていくことが重要だというふうには、もちろん、認識しております。
だからこそ基本計画で、社告の規格化の必要性について3月25日にこちらの委員会で答申をいただいて、30日に閣議決定したものですけれども、ここで規格化の必要性について考えるということなので、社告をわかりやすくしなければいけないということ自身が議論することではないわけです。そういうふうに思っています。つまり規格化の必要性、規格化の部分だというふうに私どもはこの計画については理解しています。重要ではありますけれども、規格化というやり方で理解しやすくしていくことが望ましいのか、ほかのやり方、例えば規制でやるというやり方も極論を言えばあります。どういうやり方であればいいのか。
それと、特に食品の規格といえばJAS規格の話になるかと思いますけれども、先ほど佐野先生からは、従来にとらわれないで思い切ってJAS規格もというお話がございました。旧来の話をするとおしかりをいただくかもしれませんが、JISと違って、田島先生御案内のとおり、JAS規格というのは、こういうふうに何でもやったらいいというだけの世界ではなく、釈迦に何とかでございますけれども、ある農林物資についてこういう高いレベルの品質は備えていると。そういう話ですとか、こういう物資であるという形の規格をつくって、それに向けて事業者が努力をしていって、そのマークがついていたら、ああ、そういうものなんだというふうに消費者がわかることが、JISと違って、そればかりの世界になっているわけです。
そういった中で社告の規格ということになると、もちろんこれまでとは全く違う。だからこそやれというふうにおっしゃっていただいているのだと思いますけれども、JASの法律自身が、縦割りとかではなく法律の問題ですけれども、そういう形で品質を向上して、それに向けてマークをつけてポピュラーにしていくんだということでやっている世界の中で、一般的にどういう品目の食品であっても、事後的に社告をするときはこうやったら望ましいのではないかという話が、落ち着くのかどうか、位置づけられるのかどうか、そういう法律上の頭の整理の問題もあるわけです。
それと、当然ですけれども、リコールといえば食品の安全や衛生の問題が中心になると思います。こういった観点については、食衛法とか、厚労省とか、食品安全委員会とか、そういったところとも整理を議論する必要があるので、ここのところで規格化の必要性については関係省庁等の意見を聴取して、必要性を認めたら着手をするというふうにしていただいているのだと思っています。
そういう理解ですから、わかりやすくしていかなければいけないという大原則を議論しようということではなく、規格化について必要性を議論しようということを計画に書いていただいていると思っております。

○松本委員長 そこでおっしゃっている規格化というのは、食品のリコールをするときはこうだというJAS規格をおつくりになるという発想なのか、JASとは別のスタンダードをつくるということなのか。

○光吉表示・規格課長 規格といえばJAS規格が農林物資では中心になりますから、ここにも書いてございますように、規格について有識者の方が集まっておられるJAS調査会で議論をしていくつもりです。ですから、まず中心となって考えるのはJAS規格です。もちろん、JAS規格でなくて規格のやり方もあるでしょうし、先ほど申し上げたように、規格というやり方ではなく規制というやり方もあるでしょうし、そういったことは幅広に考えていく。答えを決め打ちして、こういうふうに書いているのに取り組んでいくということではありません。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 JAS規格の中に入れ込んでいくことは、一つのやり方であるかなとは思うのですが、これはJASマークがついている社告です、ついていない社告ですということに現実になった場合に、先ほど言おうかと思ってやめたんですけれども、今、JASマークの認知というのは非常に低くなっているんです。アンケートをとると、それは飛行機会社でしょうという答えが圧倒的に多くて、食品の品質を一定程度保証したものですということは、ほとんどの消費者は思っていない。JASマークがあるからそれを選んで買おうということにも、むしろなっていない。したがって、リコール社告のJAS規格をつくっても、一体それはどの程度の信頼性を発揮するのかというのは、いささか疑問であるという感じがいたします。製品のJIS規格があるわけですから、そこと整合する方が消費者にとってはわかりやすいと思います。
ただ、製品のリコールと食品のリコールで決定的に違うのは、リスクの大きさ、小ささだと思うのです。今、食品衛生法違反であるならば回収ということになっているわけですけれども、健康には問題ないというケースがほとんどです。そこのところをむしろどうするか、ということが大きい問題ではないかと私は思っています。

○松本委員長 ほかにございませんでしょうか。
それでは、最後に日和佐委員が指摘されたところが、今後、検討していただく際の一つのポイントになるかと思いますので、どうぞよろしく御検討をいただくようにお願いいたします。

○光吉表示・規格課長 JASの認知向上に努めます。ありがとうございました。

○松本委員長 どうもありがとうございました。

(光吉農林水産省消費・安全局表示・規格課長退室)

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○松本委員長 続いて、施策番号32番の工程につきまして、外務省より御説明をお願いいたします。

○市川政策課長 外務省経済局政策課長、市川でございます。よろしくお願いいたします。
お手元の資料で5ページ、資料1-4(外務省)のページをごらんいただければと存じます。今、御説明をされた農水省のようなきれいな矢印になっておりませんで、大変申し訳ございませんが、基本的な施策を引き続き実施したいということでございます。
まず、具体的施策32番ですが、「我が国の主要食料輸入国や食の安全問題に関わりの深い国際機関等を所管する在外公館において、個別事例への対応、各国政府・国際機関との連絡体制の強化に取り組みます」という施策でございます。お手元の資料にございますとおり、大きく分けて3つ施策を実施してきておりまして、これらの施策につきましては、今後とも実施状況を見つつ随時見直しを行う。ただ、引き続き進めるというのが基本でございます。
まず一つ目、「情報収集の強化」という点につきましては、平成21年1月から、「食の安全」にかかわりが深い9つの在外公館において「食の安全」の担当官を指名しております。もちろん、9つの在外公館以外においても、外務省として「食の安全」については高い関心を持って取り組んでおりますが、特にかかわりが深いという点でこの9つの在外公館において担当官を指名しております。
その内訳は、その下の注にございますけれども、我が国が農水産物を輸入している国の中で上位5か国を主管している在外公館として、在米大使館、在中国大使館、在オーストラリア大使館、在カナダ大使館、在タイ大使館という5つの大使館、EU代表部、「食の安全」に関係の深い国際機関を担当している在外公館として、ジュネーブ代表部、ここはWTOとWHO、下の(ホ)にございます。それから、フランス大使館はOIEの担当、イタリア大使館はFAOとコーデックス委員会ということで、合わせて9つの在外公館で担当官を指名しております。この担当官を初めとして、引き続き在外公館における情報収集を鋭意行っていきたいと考えております。
「食の安全」担当官の主な役割は、注にございますけれども、処理体制、個別問題等に関する情報収集、連絡体制、それから、何か問題が発生した場合の働きかけ等々を考えております。
省内、関係省庁との連絡体制の強化、これが2つ目の点でございます。外務省内におきましては、情報の共有、連絡体制の確認等のために、省内の連絡会議を定期的に開催してきているところでございます。
「食の安全」問題が発生した際、これは世界じゅうのいろいろな国で発生する可能性があるものですから、その国ないしは地域の担当の公館から外務省本省に、これは各地域課を通して消費者庁に情報提供を行うという周知徹底を図っております。このための連絡先も省内に周知しております。
なお、この紙では消費者庁とのみ書かせていただいておりますが、消費者庁のみでなく、農林水産省、厚生労働省、食品安全委員会の事務局ももちろん、情報提供、連絡等を行うということで連絡体制を省内で周知させていただいているところでございます。
3つ目のポイントでございますが、対外情報発信の強化は外務省及び在外公館のホームページを活用する形でさせていただいております。平成20年11月から外務省のホームページには「食の安全」のコーナーを設けさせていただいて、個別事例に関するプレスリリース等を掲載する形で、「食の安全」についてわかりやすく説明させていただいているということでございます。
また、在外公館において「食の安全」の問題が発生した場合には、その公館のホームページを利用することなども行わせていただいております。
これらの施策につきまして、私どもは今までも鋭意取り組ませていただいておりますが、今後とも引き続き実施させていただきたいと思っております。
以上でございます。

○松本委員長 どうもありがとうございました。消費者委員会に外務省にお越しいただいたのは今回初めてでございます。どうぞ、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問をお出しください。
櫻井委員、どうぞ。

○櫻井委員 具体的にお伺いしたいのですが、「食の安全」の担当官というのは、領事の方、在外公館の職員の方を指名するということでしょうか。そうしますと、その方は本来的な業務があるだろうと思いますけれども、その方の業務との関係はどうなっているのかということです。それから、何人ぐらいを想定しておられるのか。
また、平成21年1月からと書いてありますので、例えば具体的にどういう仕事をしたのかということを御紹介いただけるとありがたいです。冷凍ギョウザ事件とかございましたし、現時点までの事案においてどういうものがあったかということもお知らせいただきたい。関係省庁との関係も、警察との関係は触れられませんでしたけれども、そこはどういうふうになっているのかということも教えてください。

○市川政策課長 いくつか御質問をいただきました。まず、在外公館における職員の指名でどういう者がということでございますが、これは各在外公館複数名の指名をしております。その者は、もちろん「食の安全」以外の職務も担当いたしておりますけれども、在外公館の中で最も食に関係の深い担当分野を持っている者を中心として、在外公館の中でも適切な者を指名するという形でさせていただいております。
21年の1月から在外公館で行わせていただいておりますけれども、特に中国におきましては、今、御指摘がございましたとおり、具体的な案件もございましたし、それ以外の公館からも報告等が来ているものがございます。これは指名以前のものも実は含まれますので、指名したから具体的に何をよりできるようになったのかというところは、私どもも今後考えていかないといけないと思いますが、例えば中国では、ギョウザの話もございましたが、その後、粉ミルクの話などもございました。そうしたものにつきましては、在外公館のお知らせという形でホームページに掲載させていただくという対応もとらせていただいております。
警察との関係は、安全問題が発生した際にということで、連絡体制に入っていないのではないかという御指摘を受けました。説明が若干不足しておりまして、恐縮でございます。「食の安全」問題ということで私どもがここに書かせていただいたケースで、若干念頭に置いておりましたのは、むしろ現地で何か問題が発生したときということですが、おっしゃるとおり、もし警察に関係するような案件の場合は、もちろん、直ちに警察に連絡をさせていただくことになっております。御指摘も踏まえまして、さらに連絡体制をきちっとすることを省内でも周知したいと思います。

○松本委員長 櫻井委員。

○櫻井委員 ということは、例えば中国で何か問題が起きたときには、中国に在留している日本人向けに仕事をするのが基本だということでしょうか。もう少し具体的に。連絡体制とか、情報収集とか、どこのどういう部局にアクセスするか、発信はホームページだけということになるのでしょうか。そういう辺りをお伺いしたいということです。

○市川政策課長 その事案、事案にもよりますけれども、まず一つは、在留邦人に対する情報発信ということがございます。もう一つは、その案件の相手国政府の対応についての情報収集ですとか、あるいは、こちら側から申し入れをすることも当然ございます。同時に、情報収集をして我々の方から申し入れをするに当たっては、国内の関係省庁とも連絡・協議をしながら行っていくことになります。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 もし具体的に言うと、例えばこの4月に中国で廃油が食用油に入っていたという事件がありました。消費者庁で業界ヒアリングをした結果、大丈夫でしたというプレスリリースがありますけれども、そのとき、例えば外務省と中国は、連携または意見交換をどういうふうにされたのか、具体的にもう少し教えてください。

○市川政策課長 今の御指摘の件につきましては、申し訳ございませんが、そのときに具体的にどういうやりとりをしたかの資料が手元にございませんので、後ほど改めまして、きちっとした形で御連絡をさせていただきたいと思います。恐縮でございます。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 二国間協議のことについては、この後、厚労省から施策番号の33で御説明をいただくことになっていますが、日本の安全性チェックの方が厳し過ぎて、例えばアフリカ、アジアの国からの輸出がうまくいかないではないかというような申し入れも外国からあると思うんですね。そういう場合に外務省としてはどういう動き方をなさるのか。その辺を「例えば」というところで、一般的な動き方でいいので教えていただければと思います。

○市川政策課長 御指摘の件は、日本に食料を輸入するときに輸出国の側がという趣旨ですか。

○山口委員 そうです。

○市川政策課長 もちろん、日本の国内法令、さまざまな制度は、それぞれ理由があって、日本の消費者の安全を守るという観点から制定されているものであると理解いたしております。
他方、輸入手続等でなかなかわかりにくいところがあったり、必ずしも相手国でそういう手続が必要であることが周知されていないために、余分に時間がかかることもないわけではないと理解しております。そうしたケースが生じた場合は、まず日本の国内制度をきちっと周知して、相手国に理解をしてもらうことと同時に、日本の制度の運用の中で、安全は前提とした上でわかりやすく説明をすることによって、円滑化を図るという形の協力をさせていただくのが私どもの役割であると思っております。
他方、さまざまな声が外国の側から聞こえてきたときは、それを相手国の関心事項と受けとめて、それを日本の関係省庁にきちっとお伝えすることも私どもの役割でございますが、同時に重要なことは、日本における制度をわかりやすく先方に説明をしていく。その双方向の役割があるというふうに考えております。

○松本委員長 よろしいでしょうか。今後とも、恐らく食料輸入は増えていく可能性が大きいと思います。そういう中で、外務省の持っている役割は一層大きくなってくるだろう。さらに食の話に限らず、消費者が普通の製品を購入する場合でも、海外から直接買うといった国境を越えた物の移動、食品の移動等に伴う消費者問題が、今後とも多数起こってくると思います。
そういう意味で消費者委員会といたしましては、外務省とも積極的に協力して、問題解決のために提言等を行いたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○市川政策課長 どうぞよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。

(市川外務省経済局政策課長退室)

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○松本委員長 次に、施策番号33の工程につきまして、厚生労働省より御説明をお願いいたします。

○道野輸入食品安全対策室長 厚生労働省医薬食品局輸入食品安全対策室長の道野と申します。よろしくお願いいたします。
資料の6ページをごらんください。「輸入食品監視指導計画により、輸出国政府との二国間協議や在外公館を通じた現地調査等の実施や担当官の増員、情報等の入手のための関係省庁との連携の推進など、輸入食品の安全性の確保のための検査・監視体制の強化を図ります」という内容でございまして、輸入食品の安全対策全般のことを書いてございます。
食品衛生法の22条に、輸入食品のみならず、食品衛生法が規制して、国内で流通する食品の安全対策についての基本的な考え方を決めるようになっております。それは、1ページめくっていただきますと、「食品衛生に関する監視指導の実施に関する指針」、これは基本方針のようなものでございます。これは毎年つくるというものではなく、節目節目で見直していくというものでございます。
次に、食品衛生法の23条に、輸入食品、個別国内で流通する食品、それぞれに関しての監視指導の計画を、毎年度つくっていくという仕組みになってございます。御承知のとおり、国内に流通する食品については都道府県知事、政令市や特別区の区長、そういった地方自治体が権限を持って監視をやっておりまして、国の役割としては、輸入時の検査、輸出国との協議、外国との交渉等でございます。
輸入食品の監視指導計画の策定・実施につきましては、こういった法律に基づいて毎年度、定められた手続、これはパブリックコメントとか、リスクコミュニケーション(意見交換会の実施等)を経て、毎年4月までに策定事項を公表して実施をする。結果につきましては、おおむね翌年度といいますか、7月から8月にかけて、前年度3月までの結果について公表する、そういう流れになってございます。
具体的な監視指導計画の内容でございます。資料2-2(PDF形式:600KB)になりますけれども、「平成22年度輸入食品監視指導計画」、これが今年度の監視指導計画でございます。
内容については一つひとつ御説明はしませんけれども、監視指導計画の実施についての基本的な考え方が2ページから以下、書いてございまして、「生産地の事情その他の事情からみて重点的に監視指導を実施すべき項目に関する事項」となっております。これは、輸出国での食品の安全対策についてどう取り組んでいくか、そういった輸出国の事情に応じて、輸入時の検査をどのようにやっていくのかということの具体的な内容について、実際のモニタリング検査のやり方とか、違反の蓋然性の高い食品については検査命令ということで全ロット検査をやっているわけですけれども、そういった検査の考え方等々について記載をしてございます。
先ほど外務省からも話が出ていましたけれども、私どもは、外務省、食品安全委員会等を通じて海外からの情報を入手してございます。この指導計画の6ページ、「海外からの問題発生情報等に基づく緊急対応」ということで、海外で問題になった食品がすでに輸入されている場合の対応についても記載してございます。
5番目が「輸出国における衛生対策の推進」ということで、二国間の協議、現地の調査も実施しております。また、日本の食品衛生規制について外国に周知することも重要ですので、そういったもののアウトプットもしているわけでございます。
これが監視指導計画の内容でございまして、これをずっとめくっていただきますと、13ページには、ランダムサンプリングによって、個々の輸入食品の安全性がどの程度確保されているかをチェックするために、モニタリング検査を毎年、計画的にやっているわけですけれども、それぞれの食品群に対して、どのような検査を、どういう計画でやっていくかということについて書いてございます。
また、次のページ以降は、輸入に際して危害要因になる内容、事前の確認事項、定期的確認事項等々、安全確保に対するそれぞれの食品の特徴に応じたチェックポイントも出してございます。
それから、次の資料2-3(PDF形式:538KB)は「輸入食品監視指導計画に基づく監視指導結果」ということで、計画の期間が終了しましたら、3か月から4か月後にこういった形でその結果について公表をしてございます。記載している順番はおおよそ計画の順番に沿ったものですけれども、4ページをごらんいただきますと、輸入届出時の審査結果とか、28条に基づくモニタリング検査の結果とか、5ページに移っていただくと、違反の蓋然性の高い食品については検査命令をやっているわけでございます。それから違反の状況。
さらに進みまして、7ページの(5)は、海外からの食品衛生問題発生情報等に基づく緊急対応ということで、海外情報に基づいて20年度にどういった対応をしたかということについても記載してございます。10ページ以降は実際にモニタリング検査をやった実績です。11ページは、検査強化をしている国、食品、検査項目等の内容です。12ページは平成20年度の条文別の違反事例。どういう食品衛生法違反のものがあったかということについて記載してございます。13ページは、主な二国間での協議・現地調査の実績につきまして、結果として記載させていただいております。
6ページに戻っていただきまして、これは、食品衛生法に基づく指針、計画に基づいた食品衛生監視の内容、特に輸入食品についてはこういった形で実施しているということでございます。
2段目に「検疫所における人員の拡充・高度な検査機器の整備等」と書いてありますが、これは、定員の確保、予算の確保という内容になってくるわけでございます。人員につきましては、順次増員をしてきていまして、22年度は15名を増員して、現在383名、検疫所に食品衛生監視員を配置してございます。これにつきましては、輸入食品の安全対策の推進ということで、継続的に監視員を増員していきたいと私どもとしては考えております。
また、食品の規格基準も多様化していますし、高度化していることもございまして、そういった検査機器についても、継続的に充実・整備をしていくというふうに考えております。
3段目のところですけれども、ギョウザ事件の問題をきっかけに、検疫所で現役の課長をやっていた人を、一等書記官として在北京の日本大使館に配置したわけですけれども、今年の春からその後任者が行っております。
また、輸出国における対日輸出食品の危害情報の収集、問題発生時の輸出国政府との調整、こういったことを目的にして、技術者をできる限り置けないかということで関係省庁とも調整をしております。
以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。最後におっしゃいました、中国に担当官をお一人、すでに配置しているとか、今後も在外公館に配置していきたいというお話と、先ほど外務省の御説明にありました「食の安全」担当官というのは、重なるものなのか、それとも別々のものと考えた方がいいのでしょうか。

○道野輸入食品安全対策室長 中国に関しては重なっております。私どもの方から行った技術者が「食の安全」担当官になっております。多くは、厚生労働省、農林水産省から出向している人が、通常そういった情報収集をやっておりますので、「食の安全」担当官になっておられるというふうに認識しております。

○松本委員長 それでは、どうぞ御質問、御意見をお出しください。
中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 輸入食品の増加に伴って、監視の強化というのは30年ほど前からずっと言われていますが、検疫所における人員の増加という項目が挙がりながら、いつまでたっても合格点に達しない。これは何が問題なのですか。

○道野輸入食品安全対策室長 一つは、輸入件数が非常に増えてきています。件数が増えてきているというのはどういうことかといいますと、以前は、未加工品というか、原料を大量に持ってきて日本で加工するという形態ですので、輸入される食品のロットの数はそんなに大きくなかった。それがだんだんと外国に加工とか製造基点が移っていって、製品や半製品の輸入が増えていくことによって小口化していく。小口化していくことによって件数が増えてくる。件数が増えるとチェックする数も増えていくということになりまして、それぞれの食品の危害の高い低いというのも多様化してくる、そのようなことがあると思います。

○中村委員長代理 それは大体予想できることで、それに対応する体制の整備がいつまでたってもついていない。どうしてなかなかうまくできないのですか、ということを聞いているわけです。

○道野輸入食品安全対策室長 そういった変化に合わせて定員を増やしていくことで対応してきて、平成元年度で言いますと、当時は89名だったのが現在は383名ということで、輸入件数の増とか、食品の問題の性質に応じて体制強化を図ってきているということでございます。

○松本委員長 田島委員、どうぞ。

○田島委員 輸入食品監視につきましては、検疫所の少ない人数で大変よくやっていると私は思っております。ただ、輸入食品の監視をする際には、当然、食品衛生法の食品の規格基準に基づいて検査をしていると思っております。ところが、食品の規格基準を見てみますと、非常に古いものもあったり、全く改定されていないものもあります。その規格基準をもう少し体系的に改定を進められないか。トピック的に急に例えば残留農薬の基準を変えてみたり、照射食品の検査について今年から強化しますとか、施策がトピック、トピックで、言葉は悪いですけれども、場当たり的な印象を受けるんですね。中村委員の御指摘のなぜ追いつかないのかというのは、逆に言うと、新しく仕事をつくっているから人が追いつかないのではないかと私は思ってしまうわけです。規格基準を体系的に整備することが、まず先ではないかと思っております。
厚生労働省は、食品についてはどういうわけかあまり御熱心ではないような印象を受けます。やはり医薬が中心でありまして、食品衛生法というせっかく立派な法律があるのに、その施行が追いついていないのではないかというふうに感じておりますので、食品の規格基準の改定をもう少し体系的にやって、輸入食品の監視も、その体系に基づいて実施していっていただけるとありがたいなというふうに感じております。

○松本委員長 櫻井委員、どうぞ。

○櫻井委員 今の御意見にも関係するかもしれませんけれども、水際の規制の制度といいますか、法的な行政体制というのは、独特というよりは未完成というか、何と言うか、関係省庁がたくさんありますし、そのうちの一部というお話だったと思いますが、その中でもいろいろな法律が連結していたりして、非常に複雑でありつつ、事実上、運用しているという部分が随分多くて、制度的には非常に難しいので、大きな課題であろうと思っております。今回はたまたま、厚生労働省のトピックをここで取り上げることになったのですけれども、極めて不十分で、スポット的にやっている中で対応しておられるのだろうというふうに理解しているところです。
その内容はともかくですが、ここは、工程をどうするかというのがメインの話であります。そういう点で言うと、1-5の資料は「工程の明確化」とかいって、例えば上の矢印は、平成22年度云々の計画の策定・実施と書いてある。計画の策定と実施を1年かけてやるのかというふうに見えるのと、翌年、23年も同じことで、その次が24年になっていて、内容が全然変わっていないんですね。それから、真ん中の矢印は書いてあることは全部同じです。下だけ少し違うけれども、右側の主な輸出国云々はごく一般的な話なので、これでは工程を明確化したことになっていないのではないかと思います。
それから、お示しいただいた資料2-2は輸入食品の監視指導計画ということで、基本的にはこれに従って行うと。先ほどの議論と関係するかと思いますけれども、これは計画となっていますが、ざっと見ますと、ある種のマニュアルというふうに見える。「計画」という言葉の使い方が少し違うのではないかと思います。行政の内容、どういうことをやっていらっしゃるのかということは一応これでわかるのですが、全体にまだまだ完成度が低いなという印象がございまして、何か弁明を伺えればと思います。

○道野輸入食品安全対策室長 済みません、弁明をさせていただきます。
まず、全体が極めて不十分だという御指摘でございますけれども、輸入食品は非常にたくさん輸入されてくるということで、審査に関しては基本的に電算化をしております。もちろん、人が見なければいけない部分も多くありますが、今、紙で持ってくるものは輸入届出の5%以下になっております。安全な食品、問題のない食品については、登録をしてスムーズに通すというようなこともやりつつ、省力化をして、審査についても合理化を図っています。
それから、検査の考え方でございます。検査率に関しては、トータルな検査率での御批判は以前からあるわけですけれども、今、輸入食品全般を便宜的に160程度の食品群に分けて、それぞれ統計学的にリスク要因等を勘案してモニタリング検査計画をつくっているわけです。それは先ほどの業務の中にございましたが、そこで全般を見ていく。その中で引っかかってきたものについて、検査命令ということで全ロット検査をやる。そういう体系的な考え方をとっているつもりでございます。
工程表の書き方の問題は、先ほど、なぜ法律に基づいて等ということを申し上げたかといいますと、「監視指導計画により」というふうに33番は始まるわけですけれども、施策を新たに作っていく、決定していくというよりは、輸入食品の監視指導の行政そのものについては、法律に定めた手続の中で、毎年どういったことをやるということがはっきりしているので、結果的にこういうふうにしか書けなかったということ。人員等に関しましても、予算とか人員というのは毎年度決められているものということもあって、こういった形にしか書けなかったということでございます。
それから、計画の内容がマニュアル的だという御批判でございますけれども、もちろん、計画そのものはいろいろな方がごらんになるわけで、事業者の方が見る場合、消費者の方が見る場合、行政官が見る場合、いろいろあると思います。ある意味リスクコミュニケーションといいますか、いろいろな方に見ていただいて、全部はわからないと思いますけれども、最大限御理解いただけるようにということで書いた結果、こういった形になっているということでございまして、策定プロセスの中でこの構造について御批判というのは今までは出ておりません。
以上でございます。

○松本委員長 櫻井委員。

○櫻井委員 批判がでてるとかでていないということではなく、実質の問題がどうかということを申し上げております。これは、実質から言うと、指導基準ということですね。

○道野輸入食品安全対策室長 基準的に見えるところは、特に事業者の方にしっかり見ていただきたいという部分でございます。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 もうすでに22年度はスタートしているわけで、監視指導計画の策定というのは毎年行われているわけですね。毎年毎年、同じ傾向で同じようなアイテムの食品が輸入されてくるとは限らなくて、年を追うに従って、いろいろな社会情勢等も反映されて、輸入されてくる食品というのは変わってくると思うのです。ですから、22年度の課題は何だと思っていらっしゃるのか、その辺りはここに書いていただいた方がわかりやすいのですが。

○道野輸入食品安全対策室長 済みません、説明が十分でなかったところもあると思います。資料2-2の「平成22年度輸入食品監視指導計画」の前書きのところに、それまでの経緯とか、基本的な22年度の計画の考え方を記載しているわけでございますけれども、中国産食品の安全確保というのが一つ大きな課題になってございます。これに関しましては、単に日本の水際で検査を強化しているだけではなく、中国と技術的な交流とか、協力とか、そういったこともしっかり進めていこうということで「日中食品安全推進イニシアチブ」という枠組みをつくって、中国側と二国間で協力をして、安全対策、食品の安全性確保を進めていきましょうということを、一つ大きな課題として挙げてございます。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 最初に中村委員がおっしゃったことは、全く私もそのとおりだと思っていまして、いつになったら十分な水際チェックができるのだろうかと常に思っています。ぜひ、増員して水際チェックを強化していただきたいと思います。
それから、一つお伺いしたいのは個人輸入のことです。個人輸入といっても、今、事業者が介在しているものが非常に多くて、健康食品ではいろいろ被害が出ています。その辺りはどうやっていくのか。チェック体制を整備するとか、何かできるのではないかと常に思っているのですが、その辺りはどういうふうになっているのか教えてください。

○道野輸入食品安全対策室長 食品衛生法の規制対象というのは販売とか営業目的のもので、例えば個人が外国で購入して、お土産で持って帰ってくるというようなものは規制対象にはならないわけです。それは個人の自己責任でございます。多分おっしゃっているのはネット販売とかそういったもので、実は日本側に代理店があって国内で販売に供するというのは、食品衛生法の規制対象になります、輸入行為自体は事業者がやりますから。でも、個人の人がネット販売で外国から品物を購入した場合は、先ほど申し上げたお土産と同じような形になってしまいます。
健康食品に関しては、以前も、中国産のものでやせる効果がありますということで、それで事故が起きたということがございました。基本的にああいった事故の起きるもののほとんどは、いわゆる薬事法で規制されている成分が入っているものでございます。未承認薬品の安全対策ということで、主として薬事法違反という観点から、もしくは、そういった薬効成分の入ったものの対策ということで動いているのが実情だと思います。食品以外のものが医薬品ということになるものですから。
実際そういったものが見つかった場合は、厚生労働省なり見つけた自治体でまず公表して、それから皆さんに情報提供をする。なるべくマスコミにも協力を要請して、食べないでくださいとか、注意してくださいということを、まず情報提供をするということをやっておりますし、当時、中国産の問題があったときには中国側にも参りました。まず中国側で売らないということが必要なものですから、安全対策についての協議もやりました。非常に概要的で申し訳ありません。

○松本委員長 佐野委員。

○佐野委員 監視体制というのはあるのですか。

○道野輸入食品安全対策室長 輸入時点の、例えばネット販売で外国から購入して航空便で個人が輸入されるものについては、ないです。

○佐野委員 個人輸入ではなくて、事業者が介在しているときは。

○道野輸入食品安全対策室長 具体的に申しますと、事業者が輸入して販売をするようなものは規制対象になります。

○佐野委員 それの監視体制というのはどうなっていますか。

○道野輸入食品安全対策室長 輸入ですから、必ず通関をしなければならない。通関の要件として、食品衛生法の手続をクリアーしておかなければ通関ができないわけです。

○佐野委員 私の説明の仕方が悪いのか、済みません。インターネットで一見、個人輸入のように見えるけれども、実は事業者が介在しているものが結構あります。そういうものに対しての監視体制はあるのかということです。

○松本委員長 輸入代行業者が入っているタイプを指摘されているのだろうと思います。これは別に食品に限らず、普通の一般製品でも同じことで、責任をだれがとるのかという話になるわけですが、輸入業者ではなくて、個人輸入の手続を代わりにやってあげますという形の業者の場合はどうなのか、ということだと思います。

○道野輸入食品安全対策室長 ちゃんと理解していなかったと思います、失礼しました。それに関しては、輸入手続をとらないものは、業者が介在するといっても個人の方の名義で輸入されてしまうと、これは食品衛生法の監視対象にはなっていません。

○松本委員長 いかがでしょうか。輸入食品の量が増える、あるいは種類が大変増えてくる、変わってくる中で、きちんと水際で監視していただきたいという要望が大変強い。そのためには人を拡充する必要があるでしょうが、政府全体が国家公務員の採用抑制策をとっている中で、重要だといってもなかなか認めてもらえない部分が多いだろうと思います。この点は政治主導で、きちんとスクラップ・アンド・ビルドで、不要なところはつぶして必要なところに張り付けるというようなことを、大胆にやっていただく必要があるだろうと思います。これは別に厚労省に対するお願いというよりは、政府全体に対することになるかと思います。
もう一つは、少ない人数の中でいかに効率的・効果的に水際防止をするかということで、先ほど統計的な手法を使ってやっているとか、あるいは田島委員からは、規格基準を見直すことによって効率的なこともやれるのではないかという御指摘もございました。そういう点も留意して、一層の充実を進めていただきたいと思います。
本日はどうもありがとうございました。

(道野厚生労働省医薬食品局監視安全課輸入食品安全対策室長退室)

≪4.閉 会≫

○松本委員長 本日の議題は以上でございます。
最後に、事務局より次回の日程について御説明をお願いいたします。

○原事務局長 長時間、ありがとうございました。次回の委員会は、6月25日(金)の15時から行う予定にしております。
なお、次回の委員会におきましては、「消費者基本計画策定に向けての意見」の中に掲げている重点施策の中から、「高齢化社会における消費者問題の把握、有効な対応に向けての施策の展開を図る」と「情報・通信分野の法規制に消費者保護の観点を入れる」、この2つの項目についてヒアリングを行いたいと思っております。
事務局からは以上です。

○松本委員長 内田長官にずっと御出席いただいておりますので、今日の食のテーマについて消費者庁として何か御発言がございましたら、どうぞ。

○内田消費者庁長官 今日は、消費者庁で一元化の説明をさせていただきましたが、具体的な目の前のテーマがあるので、これを一つひとつ積み重ねていく先に法律の一元化が見えてくるというのが我々のスタンスで、そういう方向でやっております。したがって、その一つひとつについてはなるべく早くきちっと答えを出していきたいと思っております。
一元化していくには、櫻井委員も少し懸念を示しておられましたけれども、いろいろな議論があるのではないかと我々は思っています。それと、いつもそこに戻るのですが、実は食品表示課にはまだ法律を検討する体制、陣容がないので、これも何とかしなければいけないと私としては思っているところであります。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)