第26回 消費者委員会 議事録

日時

2010年6月4日(金)15:00~16:35

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 松本委員長、中村委員長代理、佐野委員、下谷内委員、田島委員、
 日和佐委員、山口委員

【説明者】
 消費者庁  内田長官、成田企画課長、西川企画課企画官、野村消費者安全課長
 国土交通省  香山住宅局建築指導課建築安全調査室長、住宅局建築指導課担当者

【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.消費者基本計画の検証・評価・監視について(事故調査機関について)
3.こんにゃくゼリー事故について
4.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:14KB)
【資料1】 「消費者基本計画」における「工程の明確化」関連資料(消費者庁提出資料) (PDF形式:144KB)
【資料2】 国土交通省の今後の取組(工程表)(国土交通省提出資料) (PDF形式:55KB)
【資料3】 食品SOS対応プロジェクト会合について(消費者庁提出資料) (PDF形式:260KB)

≪1.開 会≫

○原事務局長 それでは、時間になっておりますので、始めたいと思います。
今日は、「消費者委員会(第26回)」ということで開催いたします。変則的に第1金曜日に開催したものですから、川戸委員、池田委員、櫻井委員が御欠席ということで、7名で今日の委員会は始めたいと思います。
それでは、委員長、どうぞよろしくお願いいたします。

○松本委員長 6月に入りまして、クールビズということで、軽装で失礼させていただきます。
それでは、議題に入りたいと思います。本日は、当初予定しておりました「消費者基本計画の検証・評価・監視について」に関する議題に加えまして、「こんにゃくゼリー事故について」も、議題として取り上げたいと思います。

≪2.消費者基本計画の検証・評価・監視について≫

○松本委員長 最初の議題は「消費者基本計画の検証・評価・監視について」です。消費者委員会では、消費者基本計画の検証・評価・監視の一環として、前回の第25回委員会より、重点課題の実施の工程について各省ヒアリングを行っております。本日はその第2回目といたしまして、委員会として公表している「消費者基本計画策定に向けての意見」の中の重点施策の二つ目、「独立した事故調査機関の設置の在り方について、既存の原因究明機関等との連携を含めて、省庁横断的な検討を開始する」にかかわる施策であります。基本計画の施策番号13及び15について、それぞれ関係省庁においでいただいておりますので、ヒアリングを行いたいと思います。
ヒアリングの進め方についてですが、初めに施策番号13の工程について御説明をいただき、質疑を行いまして、それが終わりましたら、施策番号15の工程について説明、質疑とさせていただきます。
それでは、施策番号13の工程について、消費者庁より御説明をお願いいたします。

○野村消費者庁消費者安全課長 消費者庁消費者安全課長でございます。よろしくお願いいたします。
施策番号13番(PDF形式:144KB)でございます。「消費者庁は、消費者事故の独立した公正かつ網羅的な調査機関の在り方について検討します。消費者委員会による調査審議を踏まえながら、関係省庁・機関の協力を得て、最も効果的に機能する仕組みを構築します」としてございます。これは、22年度から検討を開始し、23年度のなるべく早い時期に結論を得るよう進めていくこととなってございます。
具体的な作業スケジュール、作業の在り方のイメージを2枚目に付けさせていただいております。この問題は、消費者の生命・身体に被害を及ぼす事故につきまして、警察などによる捜査、原因究明というのは、これはこれで現在も行われているところでありますけれども、事故の拡大や類似事故の発生を防止する観点からの原因を分析すること、事故原因の究明、こういうものの必要性が指摘されてきていると認識しております。
こうした原因究明機能を担う調査機関の在り方を検討するために、外部有識者を含むプロジェクトを庁内に発足いたしまして、我が国における既存の事故の調査機関、関連機関、こういったものの働きの検証を行うこと、あるいは、海外の類似の機関、機能の在り方の調査を進めたいと思っております。適宜のタイミングで、消費者委員会にも御報告させていただければありがたく思ってございます。
具体的には(2)のところに書かせていただいておりますが、一つには、現行の事故原因究明に係る機関・機能についての整理と評価、これが要るのではないかと思っております。
それから、新たな機関・機能のニーズを確認していく。これには、海外ではどんなことが行われているのかといったところの調査、把握も重要になってくるであろうと思っております。
今までの御議論としては、刑事捜査と行政調査との関係の整理が必要なのではないか、前者の方がもっぱら優先する状況がないのか、といった御議論、御指摘が存在すると理解しておりますので、そういったところの実際面、制度面の問題点等の整理をする必要があると思ってございます。
また、原因究明に係る機関・機能に求められる属性ということで、これまでの議論を考えますと、ある事故の被害者の方々から、同じことが起こらないようにというお声が上がっているときの、そういうものの受けとめといった機能が行政としてあったのだろうか。あるいは、きちんとした対応ができていたのだろうかといった御議論が存在していると理解しておりますけれども、行政として何ができ得るかというところの洗い出しや整理も必要であろうと理解しておりまして、今、そこにありますような論点出しを作業の前提として、してきているところでございます。
作業工程といたしましては、まずはこういったところの基礎的な調査に現在、着手しつつあるところであります。その後に、新しい消費者庁の体制、政務三役へのお諮り等あろうかと思いますので、そこから先のスケジュールを私どもで決まったこととしての申し上げはできませんけれども、庁内に何らかのプロジェクトのようなものを夏を目途に立ち上げて検討に入っていく。年度内を目途に検討を進めて、23年度のできるだけ早い時期に意思形成ができるような、そういう論点の整理を進めていくことかと思っています。
また、海外の関連する機関の調査もあるべきだという御意見、中欧、北欧などの機関が参考になるのではないかといった御意見も承っておりますので、夏ぐらいまでの間に調査の準備をいたしまして、夏か秋ぐらいの時期に実地に参ることができればと思っております。
とりあえず、説明は以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの施策番号13番の工程表の説明につきまして、どうぞ御意見、御質問をお出しください。
中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 この事故調査の問題というのは非常に重要で、今後の消費者庁の取り組みの新しい目玉になるものと期待しております。こういうことを新たにつくろうとするときには、今までのいろいろな事故の調査で何が問題であったかという過去の事案の洗い出しをまずやっていただいて、そこから浮かび上がった問題点について進めるのが筋だと思うのですが、過去の事例の調査、そこから教訓を学ぶという項目があまり見当たらないので、その辺がどうなっているのか。
ついでに言いますと、マル3番の刑事捜査と行政調査の関係整理。これは実は非常に重要なことで、今のところ、運輸安全委員会というのが事故調機関としては法的権限、独立性を持ってやっているのですが、あそこにおいてすら、警察庁と運輸安全委員会の合意事項とか了解事項というペーパーを交わしているだけで、法的な整理が必ずしもなされていないのです。制度をつくるに当たって、事故調査機関における情報収集権限というか、そういうところの法的な手当も検討しなければいけないのではないか。現在の運輸安全委員会の警察庁との申し合わせにしても、かなり前進したように見えても、どうも警察の方がやや優位という運用が現状のようなので、その辺は法的権限をもっときちっと位置づける方策を考えていただきたい。
それから、必ずしも刑事捜査の情報だけではなくて、平成17年に日本学術会議が事故調査機関の在り方について提言したときには、裁判所の記録とか、海難審判庁の記録とか、そういうものを含めてのいろいろなところにある事故に関する情報、こういうものを集められる権限を与えるべきだという提言をしておられるようです。情報収集とか調査権限はもう少し幅広に設定された方がいいのではないかと思いますので、その辺、もし今の段階で御意見がおありでしたら教えていただきたいと思います。

○野村消費者庁消費者安全課長 ありがとうございます。御指摘を十分踏まえながら、調査等を進めてまいりたいと思います。
まず1点目の、過去の問題となった事案の洗い出しといったところは、私どもでも念頭に置いているつもりではございます。例えば刑事責任の追及と行政的な原因究明と両方が行われたケースにおいて、最終的なアウトプットが、同じ部分、違う部分、どういうふうなのか。どちら側には何が足らない、過不足がどうだという議論になっているのかということを、具体の事案に照らして比較検討をすることも必要であろうかと思ってございますけれども、先生の御指摘を踏まえて、そういうところにも相当程度の作業労力を払いたいと思います。
それから、捜査との関係に関しましては、まだ不勉強で申し訳ございませんが、運用上、改善が図れる部分としてどのぐらいのことが考えられるのか。法的な整備を要する部分として、どこから先はそうした対応を検討しなければいけないのかというところも念頭に置きながら、調査を速やかに進めてまいりたいと思います。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 まず、書かれている消費者事故の独立した調査機関という、その「独立」というのは一体何なのかというのをきちんと検討していただきたいと思います。独立した機関というのは、調査権があるとか、省庁からの独立が保証されているとか、関係省庁に勧告権が与えられるとか、そういう機能を持った形を望んでいます。その辺をきちんと、独立とは何とかというのを検討していただきたいと思います。
それから、ここに書かれておりますマル3の刑事捜査と、原因究明というのは、やはりきちんと確立していくべきだと思いますし、原因究明の結果についての評価作業もきちんとするべきだと思います。そこには、必ず遺族または被害者の方々の意見を取り入れる、評価をしていただくという形、参加が必要だと思います。また、透明性確保のためにも、研究した報告書を公開することが必要だと思います。
もう一つ大事なことは、事故が発生したときの所要調査。だれがどういう形でそこに駆けつけるのかというところまでも、きちんと検討していただきたいと思います。先ほど、被害者の声を受けとめという御発言がありましたので、ぜひその辺りは、被害者、遺族の方々が理解、納得できるような形の調査機関であることを望みます。
以上、意見です。

○松本委員長 どうぞ、山口委員。

○山口委員 私自身、航空機事故の遺族の代理人として日航機の事故と中華航空機の事故の問題にかかわったのですが、事故原因究明の問題は言うのは易しいですが、非常に難しい。
アメリカの場合には、刑事免責をした上でパイロット、その他から、ヒアリングを含めて事実関係の調査をした上で、再発防止のためにNTSB等が行政的な手続をとるのですが、日本の事故直後の関係から言うと、遺族の気持ちとしては、どうしても犯人を捕まえて処罰してほしいという感情がかなり痛切に出てくるものですから、刑事免責をした上で行政手続の再発防止のための調査を優先して進めることについて、非常に躊躇(ちゅうちょ)する向きが多い。しかも、現場の保全等はやはり警察が一番、物理力を含めて持っているものですから、行政がかき回した後で、行政が優先して証拠確保ということになると、捜査の方もうまくいかないということもあって、なかなかうまくいかない。
中華航空機の事故の場合には、事故調査委員会の報告について、遺族も立ち会った上でヒアリングをして、それが民事裁判に証拠としても使われるということになりましたけれども、いわゆる行政の調査権限の運用の在り方と警察の証拠の保全、その辺をどういうふうに共有するか。警察は、行政に証拠が回ると秘密性が保てない、捜査に支障が生じるということを考えるものですから、その辺がなかなか難しいし、刑事免責の問題も非常に難しいです。
そういうことを考えますと、プロジェクトを発足させて検討するというお話ですが、どういう分野の人たちをプロジェクトの委員にして今年の夏にスタートするというお考えなのか、その辺をひとつお聞きしたいと思います。
もう一つは、関係機関という表現があります。もちろんこれは、消費者委員会もきちんと調査審議をして、意見を申し上げた上でそれも生かしていただくという前提になるわけですが、関係省庁・機関の協力を得て効果的に機能する仕組みを検討とありまして、この関係省庁・機関には、次のテーマにも入りますが、国土交通省なども入るのか。あるいは、国民生活センターや、NITE、FAMICなどの機関も入るのか。その辺はどの程度どうお考えなのか、今のお考えで結構ですのでお話しいただければと思います。

○野村消費者庁消費者安全課長 まず、一つ目の御質問のプロジェクトの体制でございますけれども、これから庁内でということなものですから、今、確定的なことは申せないのですが、3つぐらいあり得るのではないか。一つは、いわゆる有識者の方々、刑事の分野の有識者の方、あるいは行政調査、行政執行といった分野の御専門の方々。あるいは原因究明ということでは、工学系、安全工学といった分野の方々、そういう有識者と言われる方々の御知見は必要ではないかと思っております。
それ以外に、関係者と申しましょうか、そういう方々の御参加を得ていく。これは一般論として、分析能力、あるいは分析の実績・経験のある機関を代表する方とか、そういう方々の御参加というのは一つあり得ると思います。さらに、一般的ということでない、事故の被害に遭われて、原因究明に関して御意見をお持ちの方々からのお話をお伺いすることも、これは恒常的に入っていただくということなのか、お話をしっかりお伺いしながらということなのか、いろいろな形はあり得ると思いますけれども、有識者の方、関係する機関や業界等の方、事故の被害に遭われた御意見のある方々等、あり得ると思います。そこにさらに行政の人間、政務の方々、どういう組み合わせでということは御判断を仰ぎながら、プロジェクトとしてなるべく早く発足していく必要があるだろうと思っております。
関係省庁・機関と書いてございますのは、先生の御指摘のとおりで、前段の方は省庁でございます。機関の方はそこで読みきれない部分で、これまでに原因究明的なことを行っている機関を中心に、今までの実績、協力関係、足らざるところ、そういうところを意見交換、協力関係をつくっていく必要があるだろうということで、関係省庁ではなく、関係省庁・機関という表記にさせていただいているところでございます。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 関係省庁や関係機関と協力をしながらつくるということになると、消費者庁がやはりリーダーシップをとっていかなければならないのではないか。そのためには消費者庁としてどういう機関が必要なのか、イメージを少し提示することも必要ではないか。提案ですけれども、いろいろな団体、消費者、多分ここにいる人たちもみんな違うイメージを持っていると思いますので、意見募集をなさるとか、消費者の声をどこかで反映させる形に持っていっていただけるとありがたいと思います。

○松本委員長 日本語の点でお聞きしたいのですけれども、今のところで、「関係省庁・機関の協力を得て効果的に機能する事故調査機関」で切れるのか、それとも「関係省庁・機関の協力を得て・・・検討し」とつながるのか、一体どちらですか。つまり、事故調査機関が関係省庁・機関の協力を得て効果的に機能するようにつくりたいという趣旨なのか、どういう事故調査機関がいいかを、関係省庁・機関の協力を得て検討するという趣旨なのか、どっちですか。

○野村消費者庁消費者安全課長 資料の方は、そこがわかりにくいというか、不正確で申し訳ございません。資料1(PDF形式:144KB)の1枚目が閣議決定文書でございます。関係省庁・機関の協力を得て仕組みを構築します、という意味であります。

○松本委員長 どうぞ。

○山口委員 この研究会による検討はもう間もなく始まるわけですね。来年の春までというタイムスケジュールになっておりますが、これはかなり大変で難しいと思うのです。先ほど申し上げた刑事免責の問題とか、証拠の収集、保全権限の問題等が絡んでくるので、警察や検察、その他、司法関係の協力もぜひこれは求めていただきたいし、その辺のシステムづくりがないとなかなか進まないと思いますので、ぜひその点の視点も入れていただくようにお願いします。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 今、それぞれ委員から意見が出ましたので、私がお願いしたいのは、4番目の「事故原因究明に係る機関・機能に求められる属性」でございます。有識者だとか、分析機関の代表者が当然入ることはわかっておりますが、おっしゃっていらっしゃいますように被害者の意見というものも非常に重大である。消費者がいかに使用して事故が起きたかということもはっきり目に見えてくると思いますので、単に有識者だけということではなく、できるだけ数人の消費者の意見、被害者の意見を取り入れていただけるようにお願いしたいと思います。
ほかのところのタスクフォースに参加したときがありまして、有識者の方々の分析というのは確かに立派なのですが、それを利用する消費者の意見というのがその方たちになかなか届きにくかったという思いがあります。改めて消費者を入れようということになりまして参加したことがあるのですが、やはりそういう被害者の方、使っている消費者の方などを積極的にこの原因究明にかかわるプロジェクトの中に入れていただいて、1か月に1回とかではなく、ここのところは綿密に数回かけてやっていただければ、ある程度のものが見えてくるのではないかと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

○松本委員長 ほかに御意見はございませんでしょうか。
どうぞ、日和佐委員。

○日和佐委員 もう少し具体的に知りたいなということがいくつかあります。プロジェクトは夏と書いてありますが、これはもう急いでやらなければいけないと思いますので、何月を目途に立ち上げるおつもりなのか。
それから、基礎調査の中に含まれる項目はどんなふうに考えていらっしゃるのか。海外調査も恐らく必要であろうと思うのですけれども、どのような国でどのようなことを調査していこうとしているのか。もう少し具体性のあるお話を伺いたいと思うのですが、いかがでしょうか。

○野村消費者庁消費者安全課長 ちょっと生煮えのものをお出ししてもというところがありましたものですから、概括的な資料のお出しの仕方で申し訳ございませんでした。今、やりたいと思っておりますのは、1の概要に書かせていただいておりますが、まず基礎調査としてやらなければいけないことは、現行の事故の調査をやっている機関とか、事故調査機関と呼ばれていなくても、関連する機能を果たしている機関がどういうことを行っているのか、どういう体制で行っているのか、どういう制度に基づいてやっているのか、そういうところはまずきちんと把握する必要があるだろうと思っております。
また、それを進める中で、それに対比され得る海外の機関なり機能がどういうものがあって、日本と海外との同じところ、違うところはどういうところなのか、というところをまずはしっかり把握するのが基礎調査の一番の項目であろうかと思っております。
もう一つは、先ほど中村先生から御指摘がありましたけれども、制度といいますか、箱といいますか、枠組みといいますか、そういうものとは別に、一つひとつの具体の事例によってどんな活動がなされて、どういうものがアウトプットとして抽出されて、それがどういう活用がされたのか。それで十分だったのか、足らざるところがあったのかといった、事故事案からのアプローチもあるだろうと思いますので、そちらの方の調査にも時間を割きたいと思っております。
3つ目に、刑事との関係というのは、先ほど山口先生からお話がありましたように、証拠保全能力の問題、守秘の問題、いろいろ論点があると思います。この辺は、刑事訴訟の先生等から、あとは関係機関からもしっかり協力を得るようにというお話でございましたので、その辺りを急ぎ進めたいと思っております。
そうした作業については可及的にと思っておりますけれども、プロジェクトの立ち上げの時期に関しましては、高次の御判断というものが必要なことかと思っております。ただ、年内に論点整理をして、23年度のできるだけ早い時期に一定の方向性を出すためには、可及的速やかに進めるべきものというふうに思っております。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 これは国交省にも同じ質問をしようと思っているのですが、課長の方でお答えいただけるかどうか。消費者事故といった場合に、飛行機やヘリコプターの事故から、エレベーターやエスカレーターの事故という国交省絡みと思われるようなものから、こんにゃくゼリーや食中毒による事故とか、生活用品のベビーカーや、その他の用具に伴う事故とか、大から小までいろいろなものがあると思うのです。去年の暮れから、大臣によっては一緒の機構でやった方がいいんだという御意見もあれば、どうも分野別に考えておられる向きもあったりして、これは政治判断の問題だと思うのですが、その辺の検討はなさるのか、それともそれはもう政治判断に委ねることになるのか。その辺はどうなのでしょうか。

○野村消費者庁消費者安全課長 御判断に依存する部分もあるかとは思いますけれども、「主な視点・論点」ということで、例えば新たな機関・機能のニーズを確認するとか、新しい機関なり機能に求められる属性という柱立てを立てさせていただいております。
行政機関としての事故調査機関の在り方ということで考えますときには、当然、税金を使っての原因究明活動、税金を使うことに関する説明責任なり、相当性・必要性というところは、一つ論点としてはあり得るだろうと思いますので、拡大可能性でありますとか、一方で、メーカーなり事業者の方でもっぱら対応するという、公的部門で担うのか、民間の部門で担うのか。あるいは、事業者の方、消費者の方、双方が司法の場で争うことによって明らかにするという、公的部門の中でも行政が担うのか、司法の領域で解決されて究明されるという領域もあり得ると思います。
どこまでのところを行政が出張っていくか、必要性・相当性はどこで線を引けばいいのかということは、海外の場合だったらこうです、過去の事例だったらこうですと、そういう論点の整理をまずはプロジェクトの作業の中でやっていかないといけないと思いますけれども、最後ぎりぎりの部分に関しては、当然、御判断を仰ぎながらということになっていくと思っております。

○松本委員長 ありがとうございました。
委員の意見をいくつかに分類すれば、1つは、ここで書かれている、調査にかかわる御意見、もう少しこういう調査も入れてくれということ。二つ目は、新しく創設されるであろう機関の制度設計にかかわる部分。最後に、刑事と行政との関係については難しい問題がありますから、早い段階できちんと検討してくださいという御意見だったと思います。
また具体的な作業が進んだ段階で消費者委員会にも御報告をいただいて、我々としても意見を出していきたいと思います。
本日はお忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。
次に、施策番号15の工程について、国土交通省より御説明をお願いいたします。

○香山国交省住宅局建築指導課建築安全調査室長 国土交通省住宅局で建築安全調査室長をしております、香山でございます。
私から施策番号15につきまして御説明をさせていただきます。
資料2(PDF形式:55KB)を準備させていただいております。項目として2点ございます。
第1点は、昇降機や遊戯施設、これはいずれも建築基準法で取り扱っている施設でございますが、これに係る事故情報・不具合情報の分析、再発防止の観点からの事故発生原因解明に係る調査、再発防止対策等に係る調査・検討を踏まえ、必要な技術基準の見直しを行うとともに、調査結果を報告書として公表するというものでございます。
昇降機や遊戯施設に係る調査の体制につきましては、昨年の2月、私どもの社会資本整備審議会の中に昇降機等事故対策委員会という組織を新たに常設の委員会として設けまして、この委員会を中心に、現在、調査等を実施している状況でございます。
この委員会におきまして、昨年の9月にはシティハイツ竹芝のエレベーター事故に係る調査報告書をまとめました。その後、委員会の設置以前に生じた京都市内のエレベーター事故、あるいは新宿区内のエレベーター事故等について、継続的に調査を続けておりまして、今後、これらの調査報告書についてもとりまとめてまいりたいというものでございます。
本施策は、事故に関する調査、あるいは原因究明、その原因を踏まえての技術基準の改正ということですので、継続的に実施してまいりますが、これまでの実績といたしまして、昨年、今年と、事故等の現場に地方自治体等とともに国土交通省職員が赴いた実績として二十数件、最近では、4月に発生しました、渋谷区内の歩道橋におけるエレベーターのロープの破断事故につきまして、当委員会の委員と国土交通省の職員が現地に赴いて、その結果を踏まえて緊急点検を行ってございます。
第2点目の項目でございますが、事故に係る調査体制の充実を図りつつ、調査機関の在り方について検討するというものでございます。これについて今後、より充実した調査体制を整備する観点からいくつかの検討を行ってまいりますが、検討に先立ちまして、そもそも事故を調査するための内部的な体制、あるいは委員会の委員としての体制の強化を図ってまいろうということで、この4月から、先ほど御説明した昇降機等事故対策委員会の委員につきまして、2名の増員を行っております。
また、本年度の組織要求の中で、事故調査を担当する職員は、これまで兼務の職員数名で行っておりましたが、専任の職員3名を増設することを予定しております。さらには職員による調査能力の向上という観点から、12月より、昇降機等事故に関する研修を、私どもの国土交通大学校に新たにコースを設けまして、今年度からスタートすることを予定しております。
これに引き続きまして、より望ましい調査機関の在り方ということで、必要な調査権限、あるいは地方との関係、また、既存の法律、既存の組織との関係等々について議論をしつつ、その結論を得次第、法的なことを含めた措置をとってまいりたいと考えてございます。
以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、どうぞ御意見、御質問をお出しください。
佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 事故の原因究明は事故の再発防止にとても重要なものであります。したがって、事故に遭われた被害者や遺族の方々が原因究明の結果を評価したり、また基準見直しに参加したり、そういうことが求められているのではないかと思います。
また、こういう調査機関の在り方については、今のは15番ですが、先ほど消費者庁から説明していただいた13番も、調査機関としては共通課題が非常に多いと思いますので、ぜひその辺りも連携してきちんとやっていただきたい。そのためには、今、国土交通省の方しかいらっしゃいませんけれども、長官、消費者庁がやはりリーダーシップをとってきちんとした原因究明機関をつくっていただきたい、そういうふうに思います。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 今のことに関連して、基本計画の13番と15番の関係をどう理解しておられるのかというのを説明してもらいたいのですが、13番の担当省庁の中には消費者庁のほかに関係省庁が入っている。この中には国交省も入っているのでしょうね。

○香山国交省住宅局建築指導課建築安全調査室長 はい。

○中村委員長代理 15番の方は国交省単独で担当されて、ほかは加わらない。昇降機、遊戯施設等についてはやはり切り離して独走して先に進もうと、こういう位置づけと理解してよろしいですか。

○香山国交省住宅局建築指導課建築安全調査室長 切り離してというか、私どもは建築基準なり昇降機、遊戯施設を所管する立場ですので、こういった所管の立場から、昇降機、遊戯施設について、より望ましい調査の体制の在り方ですとか、我々事務局を含めた在り方を検討してまいります。
ただ、政府全体として、消費者事故を含めた事故調査機関全体の在り方というのは、消費者庁を中心に御議論されていますので、そういった御議論も踏まえつつ、私どもとしては私どものできる範囲での検討をしていると御理解いただきたいと思います。

○中村委員長代理 現在、国土交通省は運輸安全委員会という事故調査機関を持っておられて、ノウハウも人も金もあると思います。今まで何もない消費者庁と比べると、そこはもちろん、大先輩ではあるわけですけれども、前原大臣が、運輸安全委員会を拡張する形で昇降機等の事故調査機能を持たせるという発言もされているのですが、やはり国交省の検討としてはそういう方向に行くということですか。

○香山国交省住宅局建築指導課建築安全調査室長 大臣はそのように御発言されておられますし、この点については、大臣はじめ政務三役の方々の御指導をいただきながら検討をしてまいりますけれども、当然、大臣の御発言というのは一つの検討の範囲に入ってくると思っております。そのことも含めて国土交通省の中で、今、議論をさせていただいております。

○中村委員長代理 そうすると、消費者庁が今やろうとしている、事故調査機関をつくろうとしていることとの関係がどうなっているのか、なかなか国民に見えにくいわけです。場合によっては、国交省の運輸安全委員会をうんと膨らませてあらゆるものをそこに取り込むことになっていくのか、あるいは、消費者庁でもう少し大きな独立した機関を構想されるのであれば、そっちの方にむしろお譲りするというか、そういう方向になっていくのか、その辺がなかなか見えにくい。

○香山国交省住宅局建築指導課建築安全調査室長 私どもも、そこは最終的に政治の判断を含めてどういう形になるのかというのは、今、この場でどちらですと私の立場で申し上げられるものではございませんけれども、少なくとも昇降機、遊戯施設を調査する観点で、運輸安全委員会の一部になるということも含めて、その他の選択肢も当然含めて、事務レベルでは検討を進めてまいりたいと思っています。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 建築安全調査室としては、例えばシックハウスとか、そういうことの原因なり検査なりもなさっているのですか。

○香山国交省住宅局建築指導課建築安全調査室長 内部的な所管としては別なところがやっております。同じ建築指導課の中ではございます。

○山口委員 建築指導課の中に別にそういうテスト機関がある。それは国交省でやっているわけではなくて、どこかに委託してやっているのですか。

○香山国交省住宅局建築指導課建築安全調査室長 シックハウスについての調査機関を持っているわけではないです。シックハウスについて各種の施策を推進するポストというのは、建築指導課の中にございます。

○山口委員 先ほど言いましたように、エスカレーターも昇降機に入るのかどうかわかりませんが、あるいは、今は動く歩道なども結構ありますし、さまざま分野がどんどん広がってくると思うのです。それから、今、中村委員が言ったような飛行機や航空機関係も入ってきますし、自動車の不具合の問題もいろいろ出てくると思います。そういう意味では国交省絡みだけでも守備範囲が広くて、専門分野ごとにやった方がいいのか、それとも全部一緒にやった方がいいのか。あるいは、経産省傘下の生活用品や、それこそ食べ物の問題、食中毒などの問題も含めて入れた方がいいのか、いろいろな議論があり得ると思うのですが、その辺は工程表の関係では、いつまでにどういうことをやるという工程はある程度射程に入っているのか、それとも、まだまだこれからですということなのか、どうなのでしょうか。

○松本委員長 それは消費者庁に対する質問ですか。

○山口委員 いえ、国交省です。

○松本委員長 国交省の工程表にはそんなことは書いていなくて、昇降機や遊戯施設という限定した対象ですから。

○山口委員 関係省庁という中で、国交省なりに検査機関の在り方について、それこそお見えいただいている課長にお聞きするのが妥当かどうかわからないのですが、先ほどの中村委員の質問とも絡めて、国交省としてどういうふうにお考えになっているのか。

○松本委員長 それは、施策番号13についての関係省庁としての国交省の見解を問う、という御質問ですか。

○山口委員 それでも結構です。

○松本委員長 では、それをもしお答えできるなら、どうぞ。

○香山国交省住宅局建築指導課建築安全調査室長 13番の工程について消費者庁とも十分調整しておりませんが、より大きな国土交通省の範囲を超えた調査機関の在り方について、工程13の中で消費者庁中心に御議論されるということですので、その御議論とも十分連携をとりながら方向性を考えてまいりたいと思います。

○内田消費者庁長官 ちょっとよろしゅうございますか。

○松本委員長 どうぞ、内田長官。

○内田消費者庁長官 恐らく13の方向が少し見えていないので、国交省としては考えようがないというのが正直なところだろうと思うのです。先ほど私どもの施策の説明のときに、佐野委員から、イメージが少し違うのではないか、随分違うイメージもあるのでそこをまず集めてほしいというお話がありましたし、山口委員からは、今回はどこまでやるのか。それから、中村委員の疑問も恐らくそういうところだと思います。
先ほどうちの課長の野村は、ニーズの確認という論点を挙げておりますと、こう言いましたけれども、ここはとても大事で、まず一つは、例えば製品なのか、施設まで入るのかという範囲の話もありますが、一体だれがどんなときに引き金を引いて調査に入るのか、これもいろいろなイメージをお持ちだと思います。航空機事故、船舶、鉄道はどういう場合に入るというのは自動的に入ってくると思いますけれども、およそ製品事故といったときには、自動的に入るためには要件を決めて、例えば消費者事故として通報があったものはみんなやるのか、重大事故になったらやるのか、その辺からまず早いうちにイメージ合わせをしないと、機関の設計というか、議論になっていかない。まず、そういうことからやるのだろうと思っています。
それがないと恐らく国交省としても、この13番でどこまで来るものやらわからない。我々としても、それがどこまで行くのか今の時点ではわからないので、国交省に、ちょっと待てというよりは、今やっておられるものはどんどん検討を進めていかれた方がいいのではないかと思っております。

○松本委員長 15番の工程表については着実に進んでいるような印象を受けますから、ここについては委員の皆さんはあまり意見は出されなくて、むしろ、これと他の事故原因の究明等との関係、もう少し大きな仕組みをどうするのかというところの意見が大変多いという印象を受けます。長官がまとめられましたように、全体としての仕組みをどうするのか、あるいは、国交省内部におけるさまざまな事故調査機関をどうするのかといった問題とは別に進めていくべきことがら、たとえば昇降機事故についてはどんどん進めていってもらいたいという点については特に異論はないと思いますから、それと合わせて全体的な仕組みについても、今後、消費者庁を中心にお考えいただきたいと思います。
中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 情報収集とか、先ほどから出ている捜査との関係というところは今回はあまり明記されていない。この辺は、運輸安全委員会と警察庁は申し合わせなどありますけれども、昇降機とか遊戯施設ということになると、運輸安全委員会ほど捜査記録に接近できないという辺りについての検討は、課題としては入ってこないのですか。

○香山国交省住宅局建築指導課建築安全調査室長 調査機関の在り方についての検討の中で、そこも含めて検討させていただきたいと思います。今、警察と全く連携がとれていないということではなく、警察とはいくつかのお約束をして、現在は、事故が起きたときに警察にお声がけをし、私どもの地方組織である特定行政庁や我々職員、あるいは委員会の委員が事故後、かなり早い段階で現場に入れるような体制は構築してございます。それが、運輸安全委員会と比べて十分なのかどうかということについては御議論もあろうかと思いますし、今後、より一層強化していくべきだということについては受けとめて検討させていただきたいと思います。

○内田消費者庁長官 その点についてもちょっと。

○松本委員長 では、長官、どうぞ。

○内田消費者庁長官 御認識いただいているように、とても難しい問題だと思っていまして、警察庁という行政組織と、我々なり国土交通省という行政組織の中で、今、国土交通省と警察庁は行政組織同士で覚書という形で事務の整理をしているわけです。
私は、まだ個人的な思いなのですが、この問題を突き詰めていくと、業務上過失致死という犯罪が日本ではあって、アメリカにはこれはないというふうに聞いていまして、したがって殺人事件しかない。日本では業務上過失致死という概念があるので、事故が起きたときに犯罪があると思われる。犯罪の追及と行政の原因究明との問題ですから、行政と行政の問題を越えている部分がきっとあると思っていて、行政同士の調整がもう少し進められるかどうかは議論できると思いますけれども、あるところまで来たら、むしろ、刑法をどうするか、刑事訴訟法をどうするかといった議論になっていくのだろうと思っていて、ここは率直に申し上げて、消費者庁の中の議論では間違いなく済まない。消費者委員会で受けとめていただけるのか、あるいは法制審に行くのか、こんな議論に行くのではないか。
その中で、我々としてどこまでやるのかということをしっかり見極めながら、越えるものについては論点をしっかり整理した上で、消費者委員会にお預けするなりというステップになっていくのではないかと思っています。大変根の深い問題だと私は思っています。

○松本委員長 どうぞ、佐野委員。

○佐野委員 国土交通省には、工程表に書かれているようにきちんとやっていただきたいと思います。申し上げたいのは、基本計画で消費者委員会として10項目、重要であるというふうに挙げました。「独立した事故調査機関の設置の在り方について、既存の原因究明機関等との連携を含めて、省庁横断的な検討を開始する」、これは私たちにとって重要な課題だと挙げているので、ぜひほかの省庁と一緒に御協力いただいて、より消費者によい原因究明機関をつくるということで、同じテーブルに座っていただきたいと思います。
国土交通省は多分、一番大きないろいろな原因究明機関をお持ちでありますので、その辺のノウハウを集めながら一緒に検討するということを、ぜひ、長官もよろしくお願いいたします。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 ここにあります技術基準の問題ですけれども、どうしても技術基準というのは後追いになってしまう。事故が起きた後で改正、見直しをしていくということになりがちで、必ずしも事故を想定してそれを防ぐということでの基準にはなっていないです。今後、技術基準の問題をどう考えていくのか。
もう一つ言うと、事業者側、製造メーカー側は技術基準をクリアーしていればそれでいいと思いがちである、そういう危惧も一方ではあると思います。「必要な技術基準の見直し」と書いてありまして、具体的に技術基準をどう加えていくかということのようですけれども、技術基準の在り方そのものについても少し議論をしていただければと思います。

○松本委員長 たしか回転ドアにつきましても以前は技術基準がなかったのが、あの事故をきっかけにしてJISでつくったと伺っております。新しくつくる必要のあるところにつくり、すでにできているものについても事故を踏まえて見直すというのは、当然、必要だろうと思います。
ほかに御意見はございませんでしょうか。
それでは、国土交通省におかれましては、御協力ありがとうございました。

(香山国交省住宅局建築指導課建築安全調査室長退席)

≪3.こんにゃくゼリー事故について≫

○松本委員長 次に、こんにゃくゼリー事故についてでございます。委員会でこのテーマを取り上げるのは本日が最初ということになりますが、議論を行いたいと思います。
こんにゃくゼリー事故につきましては、窒息死亡事故が報告されて以来、消費者の安全・安心にかかわる問題として扱われており、また、いわゆるすき間事案の典型例としてその対応の体制整備が求められていたものであります。
平成21年4月には、当時の内閣府の国民生活局から食品安全委員会に対して、食品による窒息事故に関する食品健康影響評価、いわゆるリスク評価についての諮問が出され、これを受けて食品安全委員会内に「食品による窒息事故に関するワーキンググループ」が設けられております。
本年3月には、このワーキンググループとしての食品による窒息事故についての評価書(案)がとりまとめられており、国民からの意見、情報の募集を経て食品安全委員会として評価結果をとりまとめた上で、消費者庁に答申することとされております。
また、消費者庁におきましては、食品SOS対応プロジェクト会合において、こんにゃく入りゼリーを初めとする食品等に起因する窒息事故の防止に関する取り組みについて検討を重ねているとともに、5月19日には、こんにゃく入りゼリーによる窒息事故の再発防止策の周知徹底について、製造及び流通関係団体等に対して通知がなされております。
消費者委員会としても従前からこの問題について高い関心を持っており、今回、議題として取り上げたところですが、本日は、消費者庁から食品SOS対応プロジェクト会合について、また、先ほど御紹介いたしました再発防止策の周知徹底についての通知等について、御説明をいただきたいと思います。
それでは、消費者安全課より御説明をお願いいたします。

○野村消費者庁消費者安全課長 よろしくお願いいたします。「資料3 食品SOS対応プロジェクト会合について」(PDF形式:260KB)という資料をお配りさせていただいております。
こんにゃく入りゼリーに関する政府内の対応につきましては、ただいま委員長から御紹介があったとおりでございます。一昨年秋に、22件目と言われております窒息死亡事故が発生しました後、関係省庁としては、業界団体等に警告のための表示の改善等の要請をいたしましたが、さらに踏み込んだ対応、リスク管理のための何らかの対応が必要かどうかを検討する前提として、食品安全委員会にリスク評価をお願いしてきているという状況でございます。リスク評価の結果がとりまとっているわけではございませんけれども、ワーキングでの検討は一応、一区切りになりつつあると承知してございます。
食品SOS対応プロジェクトでございますが、そうしたリスク評価結果を踏まえたリスク管理措置の必要性を今後検討していくに当たりまして、その前提として、関係者の方々や、あり得る今後の対応についての材料を集めるために今年の早い段階から着手しているものでございます。大臣政務官をヘッドにした形で検討を進めさせていただいております。
会合としてはこれまでに2回開催しております。1回目が3月の下旬に関係者からヒアリングをいたしました。一つには、食品安全委員会の事務局から、食品による窒息事故に関するワーキンググループの検討状況についてのお話を伺ったところであります。また、食品による窒息事故全般に関しまして、東京消防庁から消防の現場、救急救命の現場の情報なり御経験を踏まえた御報告を聴取いたしました。
こんにゃく入りゼリーについては、窒息死亡事故に関して訴訟が起こっている事案が数件ございますけれども、被害者のお立場に立って弁護活動をしておられる方から、論点、あるいは訴訟上の御議論などについてお話をお伺いしたところであります。
第2回は、先月中旬に開催いたしましたが、現在、食品安全委員会のワーキンググループでリスク評価をまとめつつあります。リスク評価結果に付する形で、今後の課題を指摘される方向でとりまとめが進んでおりますので、今後さらに取り組まれるべき課題について委員の方々から御意見を聴取いたしました。この回では、こんにゃく入りゼリーの製造事業者からも、これまで安全性に係るどういう取り組みをしてきたのかという話を伺いました。
また、政務官からの御指示で、現状、こんにゃく入りゼリーの市場販売状況がどうなっているのかというのを第1回のときに御指示をちょうだいいたしました。これに関しては国民生活センターの御協力を得まして、現在販売されているこんにゃく入りゼリーが、警告表示が周知徹底されているのかどうか等について調査をいただきまして、その調査結果の御報告を聴取したところであります。
この2回目ではかなり長時間にわたって報告聴取、御議論等をいただきましたけれども、政務官からは、そこにございますようなまとめ、御指示をこの段階でいただいております。1つには、メーカーや流通業者等に改めて改善の要請が必要であるということ。また、消費者への注意喚起の継続も重要であること。窒息事故に関しては、リスク評価がデータの不足等難しいところがある現実があるようなので、不足するデータ、具体的には摂食状況に関する情報、窒息の原因になった物質の物性に関するデータとか、そういうものを補完する対応を検討するようにという御指示をいただいたところであります。
2枚目、3枚目には、第2回のSOSの会合の翌日に、今、述べさせていただいた政務官からの御指示を踏まえまして、改善要請、あるいは注意のための発表をした資料を付けさせていただいてございます。
3枚目は、製造流通事業者等に発送した協力要請の文面でございます。その二つ目のパラグラフの後段にございますが、一昨年秋以降、「個包装の警告表示の実施等表示の改善の徹底、物性、形状等の改善、店頭における注意情報の提供、子ども向け菓子売り場以外での販売等必要な措置を講ずるよう、協力要請を行っているところです」と。
ただ、3つ目のパラグラフの後段ですが、今回、国民生活センターによる改めての調査を踏まえたところ、一部の商品で、依然として個包装の警告表示等の改善が図られておらず、また、半数以上の商品が店頭における警告表示なしに販売されていることが確認されておりますので、さらに、必要な措置を講ずるよう周知徹底をお願いしたというものであります。
食品SOSの今後の予定ですが、現在までのところ、今年夏を目途に結果をとりまとめたいという御指示をちょうだいしておりまして、さきの指示事項、特に関連する不足データを補完する取り組みを進めているところでございます。今後の進め方に関しましては、改めての御指示等をちょうだいしない限りはこの予定で進めてまいりたいと思っているところであります。
以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、どうぞ、御意見、御質問をお出しください。
佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 まず初めに、資料について意見を申し上げたいと思います。
今日のこの委員会で「こんにゃくゼリーの事故について」というテーマを取り上げるに当たって、内閣府の経済社会総合研究所の高橋義明さんが書かれた「こんにゃくゼリー窒息事故を考える」という論文を、参考資料として配付していただきたいと事務局に伝えました。しかし、事務局から食品安全委員会がまだ答申を出していないこと、答申を出した後に再度検討しましょうという回答がありました。私は、すでに公表されている論文を参考資料として配布できないとした事務局の考え方がどうしても理解できません。今後、こういう資料に関しては委員と事務局の意見交換が必要ではないかと思います。
では、本題に入って、こんにゃくゼリーについて意見を申し上げたいと思います。こんにゃくゼリーについては、委員長からありましたように、すき間事案として消費者庁ができる大きなきっかけとなりました。ただ、こんにゃく入りゼリーのような食品事故の報告義務がないので、本当にさっきおっしゃった22件の事件だけだろうかという疑問もあります。
なぜかというと、消費者安全法の重大事故というのは主に行政機関に集まってきます。それから、消費生活センターに相談しないで、もしかしたら被害者の方、遺族の方は直接、事業者と相対交渉をしているかもしれないということで、事故事例が本当に集まっているのだろうか疑問です。先週、同じようなことを申し上げましたが、やはり食品の事故情報の集め方を、至急検討すべきだと考えています。それが一つです。
それから、ゼリーというのは、今ごろから夏にかけて冷たくして食べるという私たちの習慣があるのですが、問題となっているミニカップタイプのこんにゃく入りゼリーは、子どもと高齢者は食べてはいけないと表示されています。このような食品はほかにあるのだろうかと思って考えてみましたが、ほかには見当たりません。先ほど御説明があったように、消費者庁では小売店に警告表示を要請している。子どもが手に取らないようにとか、普通のお菓子の棚に置かないように指導をしている。でも、国民生活センターの調査では、そのような約束事がほとんど守られていないことがわかりました。つまり、今は警告表示を中心にそれを守れというのが施策であります。
大事なのは、そういう消費者の不注意や責任を追及する社会ではなく、商品の本質安全を志向する社会へ方向を明確にしていかないとならないと思っています。日用品では、設計の段階からリスクの低減対策をするというリスクアセスメントが常識になりつつあります。スリーステップメソッドと言われる3つの段階があって、今、言われているような警告表示というのは一番最後であって、まずはリスクを取り除く努力をするのが普通であると思います。それを食品にも応用すべきではないだろうか。
リスクが不透明なときは、OECD諸国が採用しているような予防原則をきちんと導入する施策も検討するべきではないかと思っています。今はミニカップ型こんにゃく入りゼリーですけれども、今後、どんなものが出てくるかわからないわけですから、その辺りはきちんとルール化しておくべきではないかと思っています。
それから、国センの調査結果を見ても、テストでは形状も弾力性も以前と変わっていないという結果が出ている。つまり、今、もしかしたら事故が起きている可能性もあるということだと思います。それに対してやはり有効な政策をとらないと、それはまさに怠慢であるとしか言えないと思っています。消費者庁はリスク管理機関として、ミニカップタイプのこんにゃく入りゼリーの販売禁止とか、欧米や韓国のように思い切った施策をきちんとすべきではないかと私は思っています。
以上です。

○松本委員長 まず、資料の件について、事務局から説明をいただけますか。

○原事務局長 高橋さんの論文は、委員会打ち合わせの場でお話もお聞きしたので資料としては預かっていて、佐野委員から、本日の資料として提供していただけないかというお話がございました。今日ここでこんにゃくゼリーを取り上げることについては、大変急いだ作業で決めてきたという経緯があって、消費者庁と食品安全委員会と丁寧なやりとりをしていなかったところもあり、昨日、一昨日と、食品安全委員会、消費者庁と調整が非常に難航しているようなところがございました。
高橋さんの論文については、リスク安全評価に言及されている部分もあったので、近々、食品安全委員会から答申が出されるということもお聞きしていたので、それと併せて御紹介をした方がいいのではないかというのを、きのうの夕刻、最終ぎりぎりの判断をして、委員長とも相談した結果、そういう判断をさせていただいています。先ほど委員長が申し上げましたように、今日初めてこんにゃくゼリーについては取り上げます。
こんにゃく入りゼリーについては、消費者庁、消費者委員会ができたきっかけというのでしょうか、そのときの大きな課題でもありますので、今後も消費者委員会では取り上げていく予定です。答申も恐らく近々出ると思いますので、次回、課題として取り上げたときに提供したいと思っております。
以上です。

○松本委員長 ほかに御意見はよろしいですか。
田島委員、どうぞ。

○田島委員 こんにゃくゼリー、あるいはこんにゃく入りゼリーにつきましては、消費者庁、消費者委員会ができたきっかけとなったというふうに私も伺っております。食品の安全性については、食品安全委員会で審議し結論を出していただくという建前になっておりますが、そもそもこんにゃく入りゼリーのような食品、あるいは商品については、検討するのが土台無理なような気がいたします。というのは、事故の数字、あるいは窒息している数字、それらをもとに統計的な処理を行って、確率論でリスク評価を行うというのが今の食品安全委員会の考え方です。
ところが、こんにゃく入りゼリーを見てみると、その喫食率というのがわからないです。もちろん、販売量とか生産量はわかりますけれども、販売したもののうちのどれだけを乳幼児が食べているのか、あるいは高齢者がどれだけ食べているかという数字は全く出ません。そうすると、もともと分母の数字がはっきり出ないので、いくら事故例を集めてみてもその分子の数字が集まるだけであって、確率論的な統計処理ができないわけです。そういうことで安全委員会も困ってしまって、多分、報告書の作成が遅れているのだと私は理解しています。
佐野委員がおっしゃったお話はもっともなお話ですが、果たして現行の法体系で佐野委員のおっしゃったことが実現できるかどうかというのは、私は実は心配しておりまして、食品衛生法をいくら読み返しても該当する条文というのはありません。法律のことは法律の専門家にお任せいたしますけれども、佐野委員のおっしゃったようなことが、食品SOS対応プロジェクトで、現行の法体系の中で実現できるかどうかということをまず御検討いただいて、場合によっては、新しい法体系の整備が必要なのかどうかというところを含めて御検討いただきたいと考えております。
以上です。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 今の法体系では、おっしゃるようにできないかもしれません。でも、それはきちんと法律を変えて、容器で規制するという形を考えていただきたい。でも、その間はどうするんですか。法律が整うまで、その間はやはり政治の責任であると思いますので、ストップすることはできると思うのです。これだけの方が亡くなって、このままほったらかしにしておくことはできないと思います。その辺りをきちんと検討していただきたいと私は思っています。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 消費者庁に質問です。摂食状況等、具体的なケースの状況がデータとして不十分だということを、今後の検討課題として残しておられるのですが、では、どうやってその課題を調べようとしておられるのか、その方法論などを教えてもらいたいのですが。

○田島委員 それは、私が発言したとおり無理なんですよ。統計のとりようがないわけです。今日は出されていませんけれども、高橋論文がそのことを指摘しているのだと思います。

○中村委員長代理 私が聞いたのは統計のデータという意味ではなく、摂食状況の実態をまず調べるとおっしゃっているので、どういう方法で調べるのですかということを単純に聞いているわけです。

○野村消費者庁消費者安全課長 あり得る方法としては二つかと思っておりまして、一つは、実際に起こった窒息事故に関する情報をより詳しく収集することを試みるということ。具体的には、救急救命の情報か、医療機関の情報か、そういうところに御協力を依頼して情報を提供いただく。もちろん、あくまで事例収集といいますか、サンプリング的なものにとどまってしまう限界がありますけれども、救急救命や医療機関の御協力を得て情報がどこまでとれるか、実際に起こった事故に関する情報として収集するというのが一つあり得ると思います。
もう一つは、実際に起こった事故情報ではないのですけれども、データをつくるというやり方が方法としてはあり得るかと思っております。摂食状況に関するデータ、あるいは窒息を起こす食品の物性に関するデータなどを補完的に収集するようにという審議事項でして、特に後者の方、食品の物性等に係るデータというものは、何らかの方法で作成することはできるのではないかと思っております。今、そういう二つの方法を検討しているところです。

○中村委員長代理 どうやって食べてどうして事故になったかというところを調べようと思うと、担ぎ込まれた病院レベルから聞いても遅いのではないですか。まさにどこかの家の中で親が与えた、おばあちゃんが与えたという辺りの細かいところ、その与え方、食べ方が、どうだったかというところを聞かないと、摂食状況の具体的状況というのはつかめないのではないかと思います。やはり被害者の調査が必要なのではないかと思います。
実際に国民生活センターが相談事例として件数を持っているわけだから、相談の段階で、どういう方がどういう話をしているかというのもわかるだろうし、その先の相談に来られた方の居所、連絡先もわかるだろうし、調停とか和解という形で弁護士が関与して解決しているケースが何件もあります。ですから、そういうところを含めて調査をすれば、実際の投与の状況というか、摂食の状況とか、そういうところがもう少し分かるのではないか。せっかくそこを理由に検討が延びているのであれば、そういう調査を是非やるべきではないかと思いますが、そういうことは考えていないのですか。

○野村消費者庁消費者安全課長 まさに、先生の御指摘のようなところをアプローチしようとしているところです。まず、食品一般の窒息に関して摂食状況がどうかというのは、まだ限定的な情報ではありますが、救急救命の関係者にはお話はお伺いしつつあるところで、救急が出動するに当たっては、救急要請の内容を聞き取るのが基本の要件、動作としてはあるようです。その救急要請の内容を見ていくことで摂食状況等の情報が得られるかどうかというのは、アプローチとしてはあり得るのではないかと思っておりますけれども、身内が窒息して倒れているような状況で、救急要請の内容がそれほど正確に精緻にということは限界があるようですが、可能な範囲で情報の収集・整理を進めたいと思っております。
こんにゃく入りゼリーに関しましては、おっしゃられますように、どういう経路で入ってきている情報かというのはわかっておりますので、その経路を逆たどりするということかと思っております。ただ、この点は、被害者の方、医療機関の方にお話を伺うということですと、最終的なその情報の取り扱いを含めて、先方の御了解、御理解なくては進められないものですから、どのぐらいのことができるかというのは現段階では不透明ですけれども、先生の御指摘のようなアプローチは、現在のデータの補完作業の中では織り込んで進めていきたいと思っているところであります。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 摂食状況を調査されるというのはなかなか大変だとは思いますけれども、それはぜひやっていただきたいと思います。しかし、問題の本質から言うと、食べ方を気をつければ、あるいは工夫すれば、窒息事故につながらなかったのではないかということを論理立てるのは、いささか無理なのではないかと思っているわけです、こんにゃくゼリーという食品そのものの特性から言って。
こんにゃくゼリーに限らず窒息事故というのはもっとたくさん起きていますね。例えばお餅だとか、こんにゃくゼリーのリスクの程度はあめ玉と同じだと言われています。ですから、こんにゃくゼリーだけを取り上げるのでなくて、今、あめ玉でも窒息事故が起きている、餅でも窒息事故が起きている。もちろん、それぞれ対策は違うと思いますけれども、トータルで全体の窒息事故を少なくしていく方法。こんにゃくゼリーだけではなく、あめ玉だとか、餅だとかいうことも含めて何らかの対策が打てるのではないか。そこまで広げて、トータルで窒息事故をなくしていくという観点に立って議論をしていただきたいと思います。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 私は、消費者庁ができたときから、早晩、例えば直径5ミリ以上の大きさのポーションタイプのこんにゃくは売ってはいけませんとか、少なくともこんにゃくゼリーのゼリーなどという表示はだめですとか、何らかの形で措置が講じられるものと思っていたのですが、いつまでたってもその辺の歯切れの良い措置が講じられない。消費者安全法の第17条で、重大事故が発生した場合には、内閣総理大臣は事故防止を図るために、勧告、その他、命令ができることになっています。ここは、どういう議論をした上で勧告や命令を発することができない状況になっているのか。そこをもう少し17条の条文に引きつけて御説明いただければと思います。

○野村消費者庁消費者安全課長 消費者安全法に基づく権限を行使する必要性といいますか、要件を満たすと認識できる状況があれば、それは権限を行使すべきということだと思います。要件の一つに、今、先生がおっしゃってくださりましたように重大事故の発生というのがございますので、消費者庁が発足した昨年9月以降、網羅的に事故情報が収集できているのかという論点はありますけれども、こんにゃく入りゼリーで人が亡くなられた等の情報を、私どもは承知しておりませんものですから、要件としては満たされて権限を行使する状況にあるというふうには認識できていないということです。

○山口委員 そうすると、発足より前はあったけれども、発足以降起こっていないから、この17条1項の権限を行使できない、こういう意味ですか。

○松本委員長 それは違うでしょう。

○山口委員 今の課長のお話はそういうふうに聞こえましたが。要するに発足以降、事故が起こっていないからこの17条は発動しないのだ、こういうことでしょうか。

○松本委員長 そのロジックだと、今起これば、リスク評価は関係なしに即命令を出すという議論になりますけれども、そんなことは法律上、できますか。それはできないでしょう。

○山口委員 どういうことでまだ発動できないというふうに議論されているのか、ちょっとよくわからないものですから。

○松本委員長 恐らくリスク評価ができていないという理由でしょう。

○田島委員 それを発動するのだったら、お餅だって禁止しなくてはいけない話になってしまうという話です。お餅で高齢者の方が亡くなっていますね。そうしたら、やはりお餅は禁止しなくてはいけないという話になってしまう、という話だと思います。

○野村消費者庁消費者安全課長 説明がラフで、済みません。重大事故が発生したときというのが要件としては一つあります。また、被害の拡大、当該事案の発生・拡大を防止するという必要性に関する要件もございます。ですから、リスク評価の部分に関しては主として後段の方に係るということだと思いますが、人がその商品によって亡くなっておれば、常に必ず17条から19条を発動するのかといえば、当然、そこは拡大可能性等の判断というのがありますので、そこの部分は、リスク評価結果を踏まえつつということになろうかと思います。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 お伺いしたいことが一つありますけれども、お願いでもあるのですが、先ほど摂食状況について調べるとおっしゃっておられました。消費生活センターにこんにゃく入りゼリーの相談が入りましたときに、皆さん、かなり綿密に聞き取っていらっしゃいました。ただ、公表してほしくないという、被害者というか、御家族の方の意見があったことも伺っております。そういたしますと、消費生活センターに入ってきたというのは、御相談するところがなかなかなくて入ってきたというものはありますけれども、まず、聞き取りというのは十分にできると思いますので、消費生活センターにこういうものが上がってきたときには、積極的に通知してほしいということを改めてお願いしたいと思います。通知の入り口で選別されることがないように、まず、すべてのものを受けとめていただくということが一点あるのではないかと思います。
それから、こんにゃく入りゼリーというのは、だからといってこんにゃくで窒息したというのはあまり聞かないわけです。私の考え方では、要するにこんにゃくがツルッと口に入ってしまうということだろうと思います。パックを開けたらピャッと入ってくるから、ツルッといって気道にはさまってしまうということだと思います。高齢者の方の嚥下障害とか、いろいろな方がいらっしゃいますので、ツルッと入ったところで窒息を起こしやすいということであると思うのです。餅とかあめというのは、確かに亡くなった方もいらっしゃいますが、生活の中で、私たちが生きていく中でそれは必要なものとして、今まで十分安全を確保しながら使ってきたものであるかと思うのです。
こんにゃくでさほど窒息事故はないのであるが、このこんにゃく入りゼリーとなると、田島先生、あれは何と言うのですか、ツルッとした形状というか、形状だけではなくて。

○田島委員 食感ですね。

○下谷内委員 食感ですか。ああいうところに問題があるのではないかと思います。そういうところに問題があるのであれば、食品安全委員会での確率性の問題であるというのはなかなか難しいのですけれども、先ほど佐野委員もおっしゃられたように、今、こういう新しいものに対して重大な事故が起きている。すぐ積極的な対策をとっていただくという方向を、この食品SOS対応プロジェクトでできるのかなというふうに考えたのですが、あまりそういうこともないように思います。そういう窒息事故が起きていて、高齢者や子どもに食べさせないようにと小さく書いてはありますが、いちいちそんなことを見ておりませんし、子ども用品売り場、食べるもののところにも置いてあるのを偶然見ましたので、やはりその辺のところは単にちらしで周知徹底をされるのではなく、今、事故が起きていることに対して、もう少し対応の措置の仕方を考えていただければいいのではないかと思います。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 今、御意見がありましたが、私も同じように考えています。こんにゃくゼリーでもクラッシュタイプがあるわけです。すべてのこんにゃくゼリーがいけないというのではなく、ミニタイプのミニカップを食べることによって事故が起きるわけですから、これを何とかする。リスクを低減する努力というのはやはり必要だと思うので、ぜひSOSプロジェクトでその辺りを考えていただいて、管理機関としてきちんとリスクを管理していただきたいと思います。

○松本委員長 よろしいでしょうか。さまざまに意見が出されました。二つ、大きな問題があると思います。
一つは、こんにゃくゼリー自体をどうするのかという話で、リスクをどのように評価するか。そして、その評価されたリスクをもとにしていかに管理するか。リスク管理は政策判断になると思いますが、現段階ではリスク評価のところで足踏みをしている状況だろうと思います。リスク評価をするに当たって、前提として何を置くのかによって相当変わってくる可能性がある。一つは、分母に何を持ってくるかで全然変わるではないかという話がありました。
もう一つは、食経験。お餅は恐らく我々は何百年、もっと前から食べているもので、窒息事故についても多くの人がよく知っているわけですが、こんにゃくゼリーと称するこのタイプの商品はごく最近出てきたもので、いわば食経験がない状況下で子どもさん等に被害が集中的に出ている、この辺りをどう評価するのか。お餅とこんにゃく入りゼリーと、同じぐらい歴史的な食経験があって我々はその危険性をよく承知しているという前提の下に両者を比べるのは、恐らく問題があるのではないかと思います。
その辺り、科学者の皆さんの評価と一般国民の評価がずれているかもしれない。これを埋めるための、リスクアセスメントに当たってのリスクコミュニケーションの必要性が前から言われているわけです。ここをきちんと消費者庁が音頭を取って、食品安全委員会と消費者との間でやっていただきたいと思います。その上で適切なリスク管理を行っていただきたい。
もう一点は、こんにゃくゼリーに限らず、明らかに法律上のすき間があるわけです。食品の安全にかかわる問題でありながら法的規制が全くかかっていない問題がある。それがたまたまこんにゃく入りゼリーという形で今回、問題になっているけれども、もっとほかの食品でも将来起こるかもしれないわけです。食品衛生法がカバーしているところの「衛生」という概念が大変狭いから、食品の形状とか物理的特性が法的な規制対象から完全に外れているところがあります。これを今後、このままにしておいていいのかどうか。
この点は、消費者庁として施策の問題としてきちんと考えていただいて、穴を埋める方向で検討していただきたいと思います。消費者安全法がありますから、最後はすき間事案だということで一定の介入はできるわけですが、暫定的な形でしか規制が及ばないということになっております。暫定的に消費者安全法を発動し、その間にきちんと法整備をするというのが前提になっているわけですから、ここまですき間ができていることがはっきりしている以上は、早急に法整備を一方では進めていく。それとともに、こんにゃくゼリーについてのリスク評価、リスク管理をきちんと行っていただきたいと思います。
今日はこんにゃくゼリーについて1回目の審議にすぎないわけで、消費者委員会として、今後、引き続きこの問題について関心を持って審議を続けていきたいと思います。
消費者庁におかれましては、本日出されましたさまざまな意見を参考にして、今後の取り組みを推進していっていただきたいと思います。
本日はお忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

≪4.閉 会≫

○松本委員長 本日の議題は以上でございます。最後に事務局より、次回の日程について御説明をお願いいたします。

○原事務局長 こんにゃくゼリーについては、今日は第1回目ですので、今後、どういう資料を準備するかということもまた委員長と相談しながら、審議を深めていきたいというふうに考えております。
次回の委員会は、6月11日、来週金曜日の15時から行う予定にしております。次回の委員会におきましては、消費者基本計画の検証・評価・監視の第3弾で、消費者委員会が重点施策とした中から、「食品表示の一元化を図る」という項目と、「食の安全確保のための効果的な規制や組織の在り方の検討に着手する」に関連する施策について、ヒアリングを行う予定にしております。
事務局からは以上です。

○松本委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございました。

(以上)