第23回 消費者委員会 議事録

日時

2010年4月23日(金)15:00~17:00

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 松本委員長、中村委員長代理、池田委員、川戸委員、佐野委員、櫻井委員、下谷内委員、
 田島委員、日和佐委員、山口委員

【説明者】
 片山地方消費者行政専門調査会座長
 消費者庁 加藤参事官
 文部科学省 伯井教育課程課長、教育課程課担当者、男女共同参画学習課担当者

【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.地方消費者行政専門調査会の運営方針について
3.消費者教育について
 ○横浜国立大学 西村隆男 教授
 ○消費者庁
 ○文部科学省
4.消費者基本計画の検証・評価・監視について
5.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:14KB)
【資料1】 地方消費者行政専門調査会関連資料 【資料2】 消費者教育の現状と課題(西村隆男教授配布資料) (PDF形式:562KB)
【資料3】 消費者庁が行う消費者教育の推進について(消費者庁提出資料) 【資料4】 文部科学省における消費者教育に関する取組(文部科学省提出資料) 【資料5】 特定保健用食品の表示許可に係る答申書 (PDF形式:48KB)

≪1.開 会≫

○原事務局長 それでは、お待たせいたしました。時間になりましたので、始めたいと思います。本日は、皆様お忙しいところ、お集まりいただきありがとうございました。
ただいまから第23回「消費者委員会」の会合を開催したいと思います。
それでは、委員長、どうぞ、よろしくお願いいたします。

○松本委員長 それでは、議題に入らせていただきます。
本日は、当初予定をしておりました、地方消費者行政専門調査会の運営方針に関する議題と、消費者教育に関する議題に加えまして、消費者基本計画の検証・評価・監視についても議題として取り上げたいと思います。

≪2.地方消費者行政専門調査会の運営方針について≫

○松本委員長 最初に、地方消費者行政専門調査会について議論を行いたいと思います。
地方消費者行政専門調査会につきましては、第11回の委員会におきまして、設置することを決定しております。
その構成員となる専門委員の方々につきましては、配付資料1-5(PDF形式:97KB)にあります名簿の方々が去る4月15日に発令をされております。この方々にこの専門調査会の委員会として審議に御参加いただきたいと思います。
なお、消費者委員会の委員の中から池田委員、櫻井委員、佐野委員、下谷内委員、日和佐委員、山口委員が、この専門調査会の担当委員として調査審議に参画をいたします。
また、地方消費者行政専門調査会設置・運営規程第2条第3項の規定により、委員長が専門調査会の座長を指名するということになっておりますので、この中から片山善博委員にお願いをしたいと思います。
それでは、本日、片山座長にもお越しいただいておりますので、どうぞ、メインテーブルの方にお着きをお願いいたします。
それでは、早速ですが、片山座長より一言ごあいさつをお願いいたします。

○片山座長 今、委員長から座長を御指名いただきました、慶應義塾大学の片山です。
私は、かつて地方自治体の一線に近いところで、さまざまな行政をやっておりましたが、私がおりました地方でも消費者行政に関することというのは、非常にシビアな現実がありまして、かつ行政ニーズとしても非常に多様であり、かつ多量であります。
それに対して、全国の多くの自治体が的確に対応しているかということになりますと、いささか疑問なしとしないということであります。これをどういうふうに円滑に実行してもらえるのかということが、当面の課題だろうと思います。この委員会で縷々(るる)議論されてこられたと思いますが、それらも念頭におきながら調査会のメンバーの皆さんと一緒になって議論を進めていきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

○松本委員長 それでは、片山座長、どうぞよろしくお願いいたします。
では、地方消費者行政専門調査会の運営方針につきまして議論を行いたいと思います。
この件につきましては、事務局において案を作成しておりますので、まずは、事務局より御説明をお願いいたします。

○齋藤審議官 事務局の齋藤でございます。資料で申しますと、資料1-1から1-5まででございます。
まず、資料1-1(PDF形式:16KB)をごらんいただきたいと思います。地方消費者行政専門調査会の進め方について(案)としております。
その右横の方に消費者委員会とございますように、この紙の性格といたしましては、消費者委員会としてこの専門調査会に対しまして、このような形で審議を進めていっていただきたいということで求めるというものでございます。
中身でございますけれども、まず、1の調査審議について、ここにはこれまでの国会での審議あるいは委員会での議論での議論の経緯が書いてございます。
最初に書いてございますのは、消費庁関連三法の成立の際に定められました附則、国会の附帯決議において、向こう3年間の集中育成・強化期間の後の地方消費者行政の充実強化について検討するとされているということでございます。
これにつきましては、資料1-3(PDF形式:22KB)、これの後ろの方に付けてございますが、資料1-3の方をごらんいただきますと、消費庁関連三法成立の際に定められました附則、附帯決議が付けてございます。
この1-3の下の方に、衆議院附帯決議の十九項というのがございまして、そこに今、ちょっと申し上げたようなことが書いてございます。
それから、裏のページをごらんいただきますと、参議院の附帯決議でございますが、一番下の二十四項のところに、衆議院よりもさらに詳しく消費者委員会で検討することということの中身が書いてございます。
ちょっと読み上げさせていただきますと、今後3年程度の集中育成強化期間後の国による支援の在り方や、消費生活センターの設置、相談員の設置、処遇等の望ましい姿について、実態調査等を行うとともに、集中育成強化期間の取組みを踏まえ、その後も適切な対応が講じられるよう配意し、工程表も含め消費者委員会で検討すること。なお、検討に当たっては、広域的な設置を含め地域の実情に応じた消費生活センターの設置、PIO-NETの整備、相談員の資格の在り方についても十分配意することと書いております。
そこで、また、最初の方の資料1-1をごらんいただきたいと思います。
今のような附帯決議を受けまして、消費者委員会で議論が昨年の秋から続けられまして、第10回12月14日の委員会におきまして、地方消費者行政の充実強化に向けてという論点整理が行われました。
これにつきましては、後ろに資料の1-2(PDF形式:23KB)ということで、昨年の12月14日にとりまとめました紙が付けてございます。
I.の地方消費者行政の充実強化の基本的視点というところの、4つ目のパラグラフをごらんいただきたいと思いますが、消費者委員会は平成24年度以降の地方消費者行政の充実強化がどのようになされるべきかを平成22年度末をめどに提言し、その実現を図る。その際、消費者委員会は地方の実態把握をしながら、地方自治の本旨を尊重しつつ、消費者行政における国と地方の役割分担の在り方を整理した上で、消費者目線から提言する。
以下、その提言に盛り込まれるべき論点を次のとおりと提示する。
II.の1から始まりまして、次のページ、その次のページにわたりまして、1~8まで論点が並べて書いてございます。
このような論点整理を行ったところでございますけれども、最初の紙に戻っていただきまして、この専門調査会におきましては、これらの論点、そのほか、地方公共団体における消費者行政の推進に関する事項について、調査・審議するということでお考えいただいたらいかがかということでございます。
2.の今後のスケジュールでございますけれども、平成24年度の予算要求等のタイミングもかんがみまして、平成22年度末をめどに提言をしていただく必要があると考えております。
開催頻度といたしましては、およそ1か月に1回程度ということでお考えいただいてはどうかということでございます。
その下に、第1回から始まりまして、来年の3月末までの大まかな進め方のイメージが示されております。
第1回と第2回、4月、5月ということで、それぞれ地方消費者行政にかかわる制度的枠組み。第2回におきましては、地方のとらえる地方消費者行政についてということで、第1回と第2回ではある意味総論的な議論を行っていただきまして、第3回以降、6月以降は論点ごとの検討に入っていただきます。
そして、9月以降をさらに議論を継続し、来年3月末をめどに提言をとりまとめていただくということでございます。
この紙の御説明としては、以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局の進め方(案)につきまして、どうぞ御意見がございましたらお出しください。
中村委員、どうぞ。

○中村委員 資料1-1は、結局、消費者委員会から専門調査会に、こういう仕事をしてくださいということで下ろして、このスケジュールを設定するわけですけれども、受けた側としては、これではちょっと漠然とし過ぎて、わかりにくいかなと、ちょっと不親切だったかなという気が、今、しております。
例えば22年度末をめどに提言するとなると、専門調査会でやっていただいて一定の形をつくっていただいた後に、消費者委員会、親委員会でまた議論しなければならないと思うのです。その時間を見て、いつまでに専門調査会の方では結論を上げるかということを、もう少し明確にした方がよかったかなという気がします。
例えば具体的に提案しますと、来年の3月末までの完成仕事だとすると、来年の1、2、3月くらいは親委員会で少し議論したらどうか。そうすると、年内、12月くらいまで専門調査会で御議論いただくと。
論点として8つありまして、それぞれ結構重い課題ですので、委員の先生、各地に散らばって、仙台、大阪、秋田、熊本というところからもおいでいただくので、結構大変だなと思うので、場合によっては、比較的集まりやすい夏休みのどこかを集中審議で合宿みたいな形でやるとか、そういう形も取り入れて審議していただくようなイメージを今のうちから与えてあげておいた方がいいのかなという気がちょっとします。
8つの論点を、一体論点ごとの検討をどういうふうにするのか、1論点1回だったら、やはり私は相当かかると思うのです。ですから、そういう合宿なんかも入れて、今年中に何とか専門調査会の意見のとりまとめにこぎつけていただけたら、来年になったら、親委員会の方で、それを踏まえて議論すると、こういうイメージでどうでしょうかと、提案を兼ねての意見といたします。

○松本委員長 ほかに御意見はございませんか。山口委員、どうぞ。

○山口委員 実は、12月に専門調査会の設置が決まりまして、早く人選をというふうに、再三期待していたんですが、ようやく片山座長の下で、専門調査会をスタートいたしましたので本当に期待しております。よろしくお願いします。

○松本委員長 どうぞ、櫻井委員。

○櫻井委員 私も特に申し上げるべきことはないんですけれども、せっかくなので、消費者委員会という仕組みについて申しあげます。消費者庁と対抗する形で消費者委員会があって、しかも消費者委員会自体はすべて民間人からなっていて、事務局との関係であるとか、あるいは他の官僚組織との関係という観点では、非常にオリジナリティーのある仕組みでして、見ておりますと、今でもまだ試行錯誤の段階にあり、極めて未知数の多い仕組みであり、したがって、そういう中でなんとか消費者委員会としてまとめた「視点」が示されているのですけれども、試行錯誤の中で、暗中模索をしながら、差し当たりその当時の時点における問題意識を何とか集約したというようなことでございまして、私の理解では、基本的に進行形で進んでいくしかないと思っております。そこは専門調査会ではご専門の先生方に入っていただきますので、白地というと言い過ぎかもしれませんけれども、柔軟に問題意識を、心をくんでいただいて、創造的に活動していただければよろしいのではないかと思っております。
消費者委員会委員との関係ですけれども、これもキャッチボールをしながら、意見を集約して、少しでも行政が、一歩でも二歩でも進むような形になればよろしいのではないかと考えておりますので、どうぞ、よろしくお願いいたします。

○松本委員長 下谷内委員どうぞ。

○下谷内委員 意見ということではなくて、お願いを併せて、地方消費者行政については、積極的に進めていただくことと、今、全国の相談員とか、地方消費者行政を担当されている方たちが大いに期待をしていらっしゃいます。3年間過ぎた後、どうすればいいのかということは、なかなか見えてこないということでありますので、ぜひ1か月に1回でも、2回になるときもあるかと思いますが、積極的な取組み方をしていただくことを期待したいと思いますので、よろしくお願いします。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 地方消費者行政の充実強化に向けてということで消費者委員会がとりまとめた項目についてはぜひ御配慮いただきたいと思いますけれども、これを展望しながら、1ページ目のスケジュールに関しては、あまりこれにとらわれないで結構だと思います。
そして、実態調査の企画設計という項目がありますけれども、基本的な実態調査を行っているんですね。ですから、さらに必要であると委員会がお認めになれば、なさればよいし、必要ないということであれば、あまりこれにこだわる必要はないと思っております。
皆様の英知を集めて、柔軟な判断の下に、ぜひいい結論をお出しいただきますように、よろしくどうぞお願いいたします。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 片山先生は、一番よく御存じだと思いますけれども、消費者庁、消費者委員会は、多くの消費者の望みでできました。そして、霞が関にビルを建てても、何の役にも立たない。消費者行政は、地方こそ活性化しなければならないということで、専門調査会に非常に大きな期待を持っております。本当に地方は財政的にも、人的にも非常に苦労されている中で、どうやって消費者行政を活性化させるかということで、一生懸命考えた私たちの論点整理です。12月から今までで随分世の中も動いてきているし、また、一応希望ではありますけれども、あまり縛られなくてもいいのではないかと思っています。皆様の検討の中、先ほど櫻井委員がおっしゃったように、キャッチボールさせていただきながら、協力しながら、いい案を出したいと思います。地方の消費者行政の方も、基金が終わった4年目、どうするかというのは、先が見えないということで、いろいろな意見をお持ちのようですので、そこの辺りも踏まえながら、これからどうしたらいいのか、活性化基金が終った後のことを、ぜひ検討していただきたいと思います。よろしくお願いします。

○松本委員長 よろしいでしょうか。片山座長、何かございますでしょうか。

○片山座長 いろいろありがとうございます。ここにまとめておられます論点については、私を含めて、委員の皆さん方と共有した上で、これからの審議を進めていきたいと思います。
それから、スケジュールは、そうは言っても、締め切りというのは一応つくっておいた方がいいのでしょうから、これはこれでいいと思いますし、さっき委員長代理が言われたように、親委員会の方で、この委員会の方での検討の時間も必要でしょうから、それを念頭に置きながらやっていきたいと思います。
ただ、これを1年間というか、12月なら12月くらいで、全部解決をするということになるのか、それとも部分的に、段階的に進めていくのかというのはちょっと審議をしてみなければわからないだろうと思いますので、その辺は少し柔軟にお考えいただいて、あとは櫻井委員のおっしゃったように、キャッチボールしながらやっていければと思っています。
あと、私の感想としては、ここに8つ、あとこれをまた細部に区分けした論点がありますけれども、法的に、例えば制度的に国の方で整備しなければいけないという面もあると思います。それはそれで法制度面として整理したらいいと思うんですが、1つ非常に重要なのが、自治体の中で、どういう政策分野に重点を置くかというのは、自治体の中の政策形成過程を通じて決まってくるわけで、それを決める人たち、すなわちプレーヤーはだれかというと、知事や市町村長と、あとは地方議会の議員たちです。
そこでの消費者行政の位置づけというのは総じて低いです。そこの人たち、アクターたちの消費者行政に対するリテラシーが高まれば、実は一気に解決するという問題がかなりあるんです。放っておいても解決するという問題も多いということです。
逆に、リテラシーが低いままだと、いくらこちらで、やいやい言ったり、後押ししたりしてもなかなか進まない。財政的な支援措置を講じたとしてもなかなか進まないという面があるんです。
例えばわかりやすい例で言いますと、需要がないのに巨費を投じて空港をつくるような県が現にあります。関東にも中部地方にもあるんです。国が頼んだわけでもない、お願いしたわけでもないのに、膨大な金をつぎ込む。自治体にはお金がない、ないと言いながら膨大な金をつぎ込むんです。そのための体制なんかをしっかりつくるわけです。
片や、教育の分野で学校図書館なんていうのがあるんですけれども、ここには国の方で財源措置をきちんとしてあるんです。ある程度の蔵書が買えるようにと、全国の小中学校の学校図書館向けに、国の方で財源措置を講じてあるんですけれども、ところがそれは半分ぐらいしか使われていないという実態にあります。別のところに回っている。流用されているわけです。ですから、財源措置をすれば、行政がうまくいくかというと、必ずしもそうでもないんですね。
要は、首長とか議会の皆さんのリテラシーの問題で、何でこんなことになるかというと、学校図書館に対するリテラシーが非常に低い。片や公共事業などに対しては非常に関心度とか熱意が高いということの結果なんです。
ですから、こういうことをやるときに、先ほど言いましたように制度的にいろいろ整理してあげなければいけない問題があると同時に、為政者の人たちのリテラシーをどうやって高めるかという問題があるんです。ここは一番重要でかつ一番難しい問題だろうと思いますので、そんなことも、論点の一つに加えて議論を進めていければなと思っておりますので、よろしくお願いします。

○松本委員長 ありがとうございます。資料1-2で消費者委員会として大きく8つぐらいの論点を挙げておりますが、これが同じレベルで、例えば来年の3月末までに一定のまとめをしていただかなけなければならないというものでは恐らくなくて、もっと遅れてもいい論点もあると思うんですが、3年経過後の国の関与の在り方がいかにあるべきかという部分は、これは来年の3月辺りに一応の結論が出ていないと、次年度の予算編成に上げられないということですから、1とか2とか3とかといった前の方の項目の方を、恐らく優先的に議論していただく必要があるのではないかと思いますので、その辺は専門調査会の方で御配慮いただきたいと思います。
どうぞ。

○山口委員 どなたもおっしゃいませんでしたので、申し上げますが、この問題はいわゆる監視機能の執行の問題ではなくて、行政庁とどう協力しながら、今、片山座長がおっしゃったような地方消費者行政の充実を、現実のものにしていくかという問題です。消費者庁でも、今、地方消費者行政の強化に向けた本部を立ち上げて、いろいろ調査をしながら対策を検討していますので、ぜひ消費者庁との協力やマンパワーも大いに使ってやっていただければと思います。

○松本委員長 それでは、基本的にこの資料1-1の進め方ということで御審議をいただくということで、よろしいと思います。
では、片山座長におかれましては、専門調査会における審議のほどをよろしくお願いいたします。

≪3.消費者教育について≫

○松本委員長 それでは、次の議題「消費者教育について」に移りたいと思います。消費者問題の現状におきまして、被害を未然に防止するためにも、啓発の充実とともに、消費者教育の重要性が指摘されております。
その中でも新学習指導要領におきまして、消費者教育の内容が強化され、消費者教育推進事業についても、本年度新規に予算化されております。
また、先月策定されました消費者基本計画におきましても、消費者が生涯にわたって消費生活について学習する機会があまねく求められている状況にかんがみ、政府は学校、家庭、地域、職域、その他さまざまな場において消費生活に関する教育が充実されるよう、必要な施策を講じますと明記されております。
消費者委員会におきましても、これまでさまざまなテーマを取り上げて審議をしてまいりましたが、それぞれの議論の中で各委員から消費者教育についての言及がなされております。
そこで、ここで一度、現状について全体を整理する必要があると考え、本日議題として取り上げることといたしました。
そうした中で、本日は、横浜国立大学の西村教授と消費者庁及び文部科学省の方にお越しをいただいておりますので、これからヒアリングを行いたいと思います。
西村教授は、消費者政策、消費者教育等の分野を専攻されており、日本消費者教育学会の会長としても御活躍をされております。
本日は、消費者教育についてのこれまでの取組みや、最近の動きを御紹介いただきたいと思います。
また、消費者庁には、消費者庁が行う消費者教育の推進について、そして、文部科学省には新学習指導要領における消費者教育と、消費者教育推進事業についてそれぞれお話を伺いたいと思います。

○横浜国立大学 西村隆男教授

○松本委員長 では、まず、西村教授より御説明をお願いいたします。

○西村教授 横浜国大の西村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
お手元の資料2(PDF形式:562KB)という形で今日のお話をまとめさせていただきましたので、お目通しいただければありがたいと存じます。
題しまして「消費者教育の現状と課題」というふうにさせていただきました。最初に、消費者委員会、本委員会が消費者教育を取り上げる意義などと書いてみましたが、私の理解する中でのことでございまして、1つは、政府の消費者教育政策に関するウオッチ機能といいましょうか、消費者教育が、今、委員長が御説明なさったような形で、法的にも推進する必要がある旨の明記がなされているということであります。
また、これも御指摘がございましたが、消費者基本計画におけますところの消費者教育政策の実施、継承機能と申しますか、実際にそれがどこまで計画どおり行われているかということを見ていただくというところであろうかと思います。
それらの前提としまして、そこに書きましたように、消費者問題の解決に向けた事業者規制あるいは被害救済のための権利保障によって、安全・安心社会を実現すると同時に、消費者自らも学習し、被害や事故の未然防止に努めて、社会的に発信する役割を担う必要があると考えるわけです。そのための環境の整備は重要な国や自治体の責務であるということで、消費者基本法では2条、17条、今回の消費安全法では、第4条の第6項に規定されております。
また、次のところにございます附帯決議、とりわけページをめくっていただきますと、参議院の附帯決議でありますが、昨年の5月28日の中で、ポイントとしましては、真ん中辺りですが、消費者庁と文科省が連携を図ること、あるいは財政措置をきちんとすること、あるいは消費者教育の人材育成、さらには法制の整備ということも加えて上がってあるわけでございます。
立法化のことについては、後ほど触れますが、やはり、なかなか消費者教育に関わってきた人間としましては、やはり遅々として進んできていないという現実、それに対してやはり明確な国家戦略として推進する根拠となるような立法が必要ではないかと考える次第であります。
次の紙でございますが、発展を簡単に書き出してみました。すでに40年以上前にさかのぼるわけですが、65年に国民生活局ができたと同時に、国民生活審議会、国生審が発足するわけですが、その翌年の66年に、消費者保護組織及び消費者教育に関する答申というのがすでに出ていたんです。学校教育の重視ということもその中に詳述されております。
以来、40年以上経ちまして、確かに進捗が見られるものの、授業時間数等々を考えてみますと、それほど大きな変化が、果たしてどれだけ見られたかというところでございます。
この間、消費者保護基本法ができ、国民生活センターができ、私どもの学会も本年30年を迎えるわけですが、1つの動きになりましたのは、国生審が学習指導要領に影響を与えますところの、教育課程審議会に要望書を86年に出した、これは大きな契機になったと認識しております。学校における消費者教育についてというものであります。
さらに、それを受けまして、学習指導要領の改訂の時期に、さまざまな反映があったのではないかと、家庭科の男女共修というようなこと、あるいは生きる力というようなこと、こういったことはとりわけ学校教育の中で提唱されるようになってまいりました。
学校の中でより推進していくということの中で、消費者教育支援センターというものが、リソースセンターという形で誕生するわけであります。
また、今回の基本法の成立の中では、消費者教育を受ける権利ということが書き込まれ、また、学習指導要領の改訂の中にも盛り込まれていますが、教育基本法の大幅な改正というものもあったわけで、教育の目標というのは掲げられたわけであります。
今般の学習指導要領の改訂が昨年、一昨年とあって、後ほど文科省のお話もあるかと思いますが、充実の方向にいくらか見えてきているというところがございます。
また、昨年の消費者庁、そしてこの委員会等が設置された。世界的な動きとしては後ほどこれも触れますが、OECDの勧告が出されたというところがあります。
その次の紙でございますが、推進の問題点、学校教育に関してということで、これは長く指摘されているところでありますが、授業時間の不足、教員の多忙による研修の不足、授業時間も中心となる家庭科等でもせいぜい卒業までに6時間から8時間くらいまでと一般的には言われております。社会科の公民でも2時間程度。なかなか教材等が適切なものが少ないということ、あるいは指導法が十分に行き渡っていないというようなこと。また、教科の連携の困難ということも挙げられます。
地域の生涯学習といいましょうか、成人教育、社会教育の部分では、なかなか学習対象の広がりが難しいということ、あるいは届きにくいというようなこと。あるいは届けにくいというようなこと。障害のある方、高齢者、若者、どういうところに的確に情報提供していくかということの難しさがあるかと思います。
また、共通の問題として、経済環境が激しく変化をしていくということ。決済手段のネットマネーの問題なども、昨今いろいろと指摘されているところであります。
また、当然必要なことであるわけですが、法令が改正されます。また、それがなかなか行政の担当者の方や、相談員はともかく、学校の先生に届きにくいというのが現実であります。
次の紙でございますが、消費者教育政策の現状というのを見てみました。これは後ほどそれぞれから御指摘があるかと思いますので、ざっとということにさせていただきますが、内閣府の方で、前回の基本計画2005年から2009年の中で、消費者教育の体系化事業というのが進められ、その中でも、単に契約取引という問題だけではなくて、製品安全の問題、さらには、情報の問題、さらには環境の問題という4領域を掲げたというところに非常に大きな特徴点がございます。
また、ポータルサイト、現在進行中でありますが、こういったようなことが行われてきた。
実際に、今回、文科省さんの方でも7,000万ほどの予算が付いて、本格的な調査等も始まるということで大変期待をしているところは大でございます。
消費者庁が、今、発表しているポータルサイトを次のページに出してみました。具体的な説明ということで、一つ例をさせていただきますが、ポータルサイトで、例えば、これは学校の先生方があるいは相談員の方が実際に消費者教育を展開しようというときに、1つの情報提供の材料にしようということでつくられたものでありますが、その教材を検索するというところで、テーマを何か探していくということになります。対象年齢や世代をかけ合わせるということは、まだできないようでありますけれども、試行錯誤というところでつくられているというふうに判断させていただいていますが、この中でも、例えば数日前にクーリングオフということで、直接キーワードを入れて出してみたものが、その次の紙でございます。
たくさんの自治体が作成している教材が出てまいりまして、数えてみますと、現在、経済も確認しましたが、25種類の教材が出てまいります。暮らしのまめ知識が筆頭にございますが、その中で、これはちょっと困ったなと思いますのは、政府が出しているポータルサイトの中に、クーリングオフができる商品サービスということで、2008年の特商法改正の指定商品制、指定役務が廃止されているにもかかわらず、そのままの教材がまだ掲示されているという現状がございます。
これは、うっかりすると間違って先生方が教えてしまう可能性がある。果たして各地にあるものを寄せ集めでつくるだけのポータルサイトで機能するのだろうか。問題点を指摘させていただきます。
その次の紙でございますが、ぜひ、そういう点で改善のために参考にしていただきたいのは、EUのポータルサイトでございます。
これは、オンライン消費者教育というポータルサイトでございまして、ベルセタと申しますが、例えば小学校で食品表示のラベルや広告を扱うような適切な教材を探そうというふうに考えてみますと、次の紙でございますが、ダウンロードがすぐにできます。そして、小学校の授業プランというのができます。これは、一言落としましたが、EU各国の言葉に翻訳されております。
プライマリーの小学校の授業のプランということでありまして、実際にこんな授業ができますよということで、スキルとして情報活用、批判的思考、意思決定あるいは具体的な学習活動として、ラベルを読み取ってみようというようなことがそこから出てまいります。
その学習の成果として、こういったことが得られる、表示から消費者情報として得られる範囲というものを理解することができる。こんなようなことがそこで紹介されているわけです。
具体的に1枚めくっていただきますと、その次のところで、教室で使用するワークシート、こういったものも的確にダウンロードできてすぐに配れるという仕組みになって、見やすく、楽しく取り組める。やはりここまで進めないと、教材としてあるいは指導として十分機能していかないのではないかと思います。
私は、その次の紙でございますが、一昨年のOECDの消費者教育の合同会議に出させていただきましたが、こうした消費者教育、先進国といいましょうか、こういったEU、OECD各国の動きは、どちらかというと、社会的責任消費というような考え方が、今、有力な考え方というふうに見受けられました。
つまり、これから地球全体を見回したときに、持続可能な商品、そしてそういう中にあって自分のお金をどういうふうに使っていくかということを関連づける。
先ほども少し触れましたが、インターネットの全盛の世の中ですから、一方でメディアリテラシーを上手に使い込んでいく。
消費の中から学ぶ、市民としての生き方、在り方、マーケットの中の一員として、批判的に商品や商品の在り方を考える姿勢や行動力をはぐくむ教育活動、これが重視されているというふうに見ております。
次の紙でございますが、OECDの勧告が昨年出ました。消費者庁のホームページにもこれはございますし、今日の資料にも、詳細に出ているようでございます。政策提言というふうに訳されていますが、原文はリコメンデーションですので、勧告というふうにさせていただいておりますが、加盟各国の調査が事前に行われまして、その会議の結果として提示されたものであります。
そのポイントだけを私なりに整理をさせていただいたものですが、やはり消費者教育の機会がどこの国でもまだまだ不足しているということ。あるいはモチベーションを高めていく必要がある。日本でもとりわけ学校教育の場合に、被害防止が全面に出てしまう。こういった教育の中では、非常に厳しい指摘だと思います。
やはり学校の扱いで被害に遭わないというようなネガティブな教育なだけでは、極めて生活指導的なものになってしまう危険性があるということを指摘しておきたいと思います。
もう一枚に消費者教育の勧告の続きということで、戦略をそこに整理させていただきました。
3つほど挙がっております。学校カリキュラムの強化。これは重点化の1つの課題でございます。
それから、インフォーマルな教育ということで、成人向けの一般教育ということになります。いずれにしても、オンライン、オフラインのリソースを充実させていくということ。
それから、特徴的なのは、やはり脆弱な消費者、大変弱い消費者、子ども、高齢者、障害者という方々に対するターゲティング教育、こういったことも必要だということが指摘されております。
これらの戦略を各国がつくる必要があるわけです。これを我が国においても速やかに検討していただきたい。検討せざるを得ないと思いますが、それを検証して、3年後に報告をするということになっているようでございます。
私は次の紙に課題として挙げさせていただきました重点は、2つあるのではないかと思っております。
1つは消費者教育推進法の立法化ということであります。これは私どもの学会からも要望書を出しております。また、日本弁護士連合会でも要望書を出されております。やはりその目的とするところは、本格的な消費者教育を国家戦略として進めていくためには、食育の展開が食育基本法あるいは環境教育の展開が環境教育推進法にあったように、やはり消費者教育を進めていくための糧となる推進法立法化、ぜひ検討していただきたいということ。
もう一つは、消費者教育の転換ということ、これをぜひ検討いただきたい。やはり小手先の被害防止の知識普及ということ、これは限界がある。被害に遭う、遭わないということばかりではなく、被害者を生み出さない、あるいは加害者にならない、加害者を生み出さない、社会に生きる個人の在り方、社会との対応ということを考えていく必要があると思っております。
最後でございます。タイトルを落としてしまいましたが、消費者教育のモデル図というふうにでもさせていただきますが、私が日本の実情に即した形で消費者教育のモデルというものを作成してみた次第でございます。
契約取引の問題、これは当然重要な課題でございます。また、製品安全に関するスキル、知識、これもまた重要な問題であります。我々は商品選択を通じてこういったことを学ばなければなりません。
同時に問題があれば、届けたり発言したりしていく権利意識を涵養する必要もございます。また、自らの消費者行動、消費行動に関しての社会的影響を考えて、環境に配慮したり、地球全体、世界検体に視野を広げていく。例えば、フェアートレード等考えていく力を養う、そういった意味で、消費者倫理というふうにさせていただきました。
こういうことを自分なりに認識し、一人ひとりが理解し、行動していくことで、消費者力を鍛錬していく。その上で、そういった消費者を育て上げていく重なり合いとして、消費者市民社会を築き上げていく。その消費者市民社会において、消費者が積極的に参加する、社会的に関与するということであります。消費者が個人として尊重されて、社会に対し積極的に関わる一人ひとりの消費者によって構成される社会、これが消費者市民社会であろうと考えます。これを目指していくものが基本的な消費者教育と考えている次第でございます。
以上、私からの報告とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。

○松本委員長 ありがとうございました。

○消費者庁

○松本委員長 続きまして消費者庁より御説明をお願いいたします。

○加藤参事官 消費者庁の加藤でございます。よろしくお願い申し上げます。
今日、お手元に御用意させていただきました資料、資料3-1(PDF形式:21KB)3-2(PDF形式:41KB)3-3(PDF形式:279KB)3-4(PDF形式:80KB)、以上、4点御用意をさせていただきました。
この資料の具体的な説明に入らせていただきます前に、私の基本的な考え方といたしまして、20年に及びます消費者教育が行われてきたわけでございますけれども、依然として、やはり20代、30代の消費者被害が非常に多いわけでございます。
こういうことを考えますと、やはりだまされないですとか、事故に遭わない、それからやはり被害に遭わないといったこういう側面で最低限の消費者教育ができてこなかったのではないかと考えております。
私の前職は、長い間、消費者団体の職員として仕事を続けてきたわけでございますけれども、その仕事を通しても、やはりそういうふうに常々考えておりました。改めて消費者庁に入りまして、その考えを強く持った次第でございます。
これまでの反省を踏まえまして、これから学校における消費者教育を推進するに当たりまして、重要なことを以下のように、3つほど述べさせていただきます。
1つは、これから新しい学習指導要領が実施されていくわけでございますが、この新しい学習指導要領に沿って、学校において消費者教育を行う時間が確実に確保されること。
2点目でございますが、学校現場の実情を踏まえて、消費者教育を推進すること。それから特に教える側の先生の多くは、消費者教育、消費者問題の専門家ではないという前提に立って、こうした先生が生徒に対して、わかりやすい身に付く消費者教育を行えるように、環境整備を整えることが大事だと思います。
最後の3点目でございますけれども、1と2のためにも、学校教育、それから学校現場を所管いたします文科省と消費者庁が密接に連携を取りまして進めてまいりたいと考えているところでございます。
それから、この後、文科省から説明があるかと思いますけれども、西村先生からも少しお触れいただきましたけれども、文科省がかつてないほど消費者教育に非常に力を入れております。消費者庁といたしましても、この文科省をバックアップを最大限しながら消費者教育の推進に努めてまいりたいと考えているところでございます。
さて、資料に基づきましてでございますけれども、1枚目資料の3-1を中心にお話をさせていただきたいと考えております。
第1に、消費者庁、文科省を中心と致します。消費者教育推進会議の開催というのがございます。1枚目の上半分、左側に消費者教育推進会議の開催というのが書いてございますけれども、これは消費者庁、文科省中心といたしました関係省庁、それから消費者団体、教育関係者、学識経験者などに御参加いただいて、この会議を開催してまいりたいと考えております。
それから、消費者教育手法や効果測定に関する手法についての研究、大学及び社会教育における教育指針の作成、これは文科省と御一緒に進めていきたいというふうに考えております。
下の左側でございますが、学校における消費者教育の推進・支援ということにおきましては、新しい学習指導要領を踏まえた副教材というものを作成してまいりたいと考えております。
右側の地域における消費者教育の推進・支援ということでございますけれども、これは、消費者教育連携推進事業というものを企画しております。
それから、消費者庁の22年度各種事業は、当然、これまでの国民生活審議会における議論、とりまとめ、また、OECDの勧告をふまえて考えておりますことをご報告申し上げます。
取り急ぎでございますが、以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。

○文部科学省

○松本委員長 続きまして、文部科学省より御説明をお願いいたします。

○伯井課長 文部科学省の教育課程課長をしております伯井と申します。どうか、よろしくお願いいたします。
私の方からは文部科学省における消費者教育に関する取組(PDF形式:185KB)という資料と、それの関連資料(PDF形式:356KB)を配付させていただいておりますので、それに基づきまして簡単に説明させていただきます。
併せまして、著作権あるいは教科書の採択の問題で、ホームページにアップできない都合上、机上配付の資料として、教科書の記述を配付させていただいております。
それでは、資料に基づきまして説明をさせていただきます。まずは初等中等教育における取組でございます。加藤参事官からもございましたように、学校で教える内容についての国の基準でございます学習指導要領を平成20年3月、平成21年3月に改訂いたしました。
具体のスケジュールは関連資料の1にございますように、小学校は平成23年、中学校は24年、高等学校は25年と順次全面実施していくわけでございますが、先般3月30日に教科書の検定結果が公表され、教科書の内容が充実するという報道もございました。今年は、検定結果が公表された教科書について、各地の教育委員会でどの教科書を選ぶかの採択作業を行います。そして教科書が実際に印刷されて、来年度から小学校の学習指導要領が全面実施される。そのようなスケジュールになっております。中学校につきましては、それがちょうど1年遅れて実施されるというものでございます。
そして、新学習指導要領におきましては、知識の量だけではなくて、むしろ思考力・判断力・表現力といった力を育成していこうということで、各教科の中で観察・実験をしたり、レポートの作成であったり、論術であったり、そういう知識、技能を活用する力を充実させようということに力を入れたところでございます。
例えば資料の4ページをごらんになっていただきたいと思いますが、思考力・判断力・表現力というふうに私どもは申しておりますが、例えば小学校算数におきましては、図や表、グラフを読み取って、それを説明したり、互いに考えを発表し合ったり、そういう学習活動を取り入れる。中学校の国語の3年にございますように、論説や報道などに盛り込まれた情報を比較して読み込んでいくということや、あるいは中学校社会の公民的分野におきましては、社会的事象について説明させたり、自分の意見をまとめたりという単なる調べるだけではなくて、資料読み取らせ、解釈させ、そして議論を行うということで考えを浮かばせるという教育を充実していく。学校教育全体を通じて、多面的・多角的な思考、複眼的な思考能力を子どもたちに身に付けてもらおうということに力を入れようということでございます。
そして、消費者教育につきましても、参事官から説明がございましたように、今回、大幅にその内容の充実を図ったところでございます。資料にもございますように、児童生徒に消費者としての正しい態度や知識を身に付けさせるために、新学習指導要領におきましては、消費者の自立の支援を含めた消費者行政、消費生活と生涯を見通した経済の計画など内容の充実を図ったわけでございます。具体的な学習指導要領の記述といたしましては、関連資料の5ページにございます。
このうち、アンダーラインを引っ張ってあるのが今回新規に盛り込んだり充実したりした事項でございます。
小学校の家庭科におきましては、お金やものの大切さに気づく、計画的な使い方を行う、賢い買い方、適切に購入できるような仕組み、中学校の社会科におきましては、金融の仕組み、働きとともに、消費者の自立の支援などを含めた消費者行政、消費者保護の例示として消費者行政について新設をしております。中学校の技術・家庭科におきましては、自分や家族の消費生活に関心を持ち、消費者の基本的な権利と責任について理解するということを新たに盛り込んでおりまして、その中で消費者基本法であるとか、消費生活センターの具体の働き、あるいはクーリングオフ制度といった事柄について教えていこうというものでございます。
また、販売方法の特徴について知り、生活に必要な物質、サービスの適切な選択、購入及び活用ができることということを学習指導要領上明記いたしまして、環境への配慮、電子マネー等についても触れているということになっておるわけでございます。
高等学校の公民科におきましても、消費者に関する問題としまして、現代社会、政治・経済等の科目におきまして、消費者基本法、消費者契約法あるいは多重債務問題、製品事故等について扱うことになるわけでございます。
高等学校の家庭科におきましても、消費生活の現状と課題や消費者の権利と責任、消費構造の変化、消費行動の多様化等、生活の課題や消費者の権利責任について扱う。また、消費生活と生涯を見通した経済の計画という内容を新設しております。さらに、契約、消費者信用及びそれらを巡る問題についても扱い、そして消費者問題と消費者の自立支援といったことについて、充実を図ったところでございます。
それとともに、本題の資料の2ページでございますが、高等教育におきましても、各大学等に対しまして、学生への消費者生活における啓発や学生相談体制の充実を推進するよう、通知を19年2月27日付で発出し、その内容の周知を図っているところでございます。
また、独立行政法人日本学生支援機構におきましても、消費者問題に関する事例紹介、対応について各大学等に周知を図っているところでございます。
大人、成人の教育であります、社会教育における取組につきましては、各地の公民館等における社会教育施設における消費者問題に関する学習機会の提供、そして社会教育の指導者であります社会教育主事の講習におきまして、消費者教育に関する授業を実施しているところでございますし、平成17年度でございますが、高齢者向けの消費者教育教材等を作成してきたというところでございます。
何よりも消費者教育を推進していくためには、各地方の教育委員会と消費者担当部局の連携強化を図るということが重要でございますので、消費者基本法、消費者基本計画に沿って、消費者教育を推進するよう促すための通知を発出しているところでございます。
そして、今年度の新規の施策でございます。文部科学省では、新学習指導要領における消費者教育の充実をいかに現場に円滑に確実に定着させるのかというのが大きな課題でございます。そのため学校教育における消費者教育の推進といたしまして、関連資料の6ページに図を入れておりますが、新規で2,700万余でございますが、消費者教育推進の核となる教員を養成していこうという教員の指導力向上のための講座を実施するための経費を盛り込んだところでございまして、具体的には、消費者庁を始め関係省庁団体等の協力を得ながら、学校における消費者教育の推進方策に関する中央説明会を開催するということでございます。
さらには、各都道府県におきまして、消費者教育指導者の養成のための講座を、国民生活センター、全国の大学あるいは都道府県の関係部局等との連携によって、実施していただくための経費を盛り込んでおります。
これは20件程度で、予算措置としては、本年度から新たにお願いをしようと考えているものでございます。
さらに7ページが、生涯学習の関係でございますが、大学あるいは社会教育における取組といたしまして、国内外における消費者教育に関する先進的な事例を収集するとともに消費者被害の状況から特に取組が必要な大学生であるとか、中高年女性であるとか、そうした方への消費者教育に関する効果的な内容、方法を検討するため、関係の大学あるいは女性団体等の協力を得て、試行的な取組を行いまして、そしてその効果を検証していきながら、大学や社会教育における教育指針を作成したり、事例集を作成・配付したりしていこうというものでございます。
資料は以上でございますが、お手元にお配りしている教科書記述は、現在の学習指導要領における教科書記述でございます。見ていただきますと、小学生ではお金の使い方であるとか、計画的に買うことの大切さについて触れ、中学生におきましては消費生活について考え、身近な課題を取り上げての教育を行い、具体的には、トラブル対処法であるとかクーリングオフ制度、消費者の権利と保護などについて、考えさせるような教科書記述となっております。高等学校は、高校生の発達段階に即した内容について記述があるわけでございます。
これが新学習指導要領によって、新学習指導要領に準拠した教科書がつくられますので、さらに充実した消費者教育に関する記述になることを我々は期待しておりますし、そうした教育をより実践的、効果的に行うためには、消費者庁さんと密接に連携を図りながら、つくられる教材等を活用して、各地の学校現場における消費者教育を充実させていきたいというふうに考えている次第でございます。
以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。

○質疑応答

○松本委員長 それでは、ただいまお三方の説明につきまして、御意見、御質問をお出しください。
中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 消費者庁も文科省もいろいろ取組みをしておられるので、どのくらいの規模で、消費者教育という問題を担当しておられるのか、ちょっとお聞きしたいのですが、今日、消費者庁からは、加藤さんが出てこられたんですが、何課で何人ぐらいの人が、消費者教育ということを担当しておられるのか、予算はどのくらいあるのか、それを教えてもらいたい。
同様に文科省でも、消費者教育という分野に限定してみると、何人ぐらいの方が関わって、どのくらいの予算なのか。予算は、少しは出ておりましたけれども、それを教えていただきたいと思います。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 加藤さんから説明があった、消費者教育推進会議というのがどの程度の規模でいつごろから実行されているのかも併せてお願いします。

○加藤参事官 担当する課は、企画課でございます。担当する人数でございますけれども、私を含めて、現在では3人でございます。
それから、22年度の予算規模は消費者教育に関しましては、約6000万円です。
それから、山口先生から、今、御指摘がございました推進会議についてでございますけれども、これはまだ規模等についても検討しているところでございまして、いつごろからというふうに具体的にまだお話しできる状況にはございません。

○伯井課長 文部科学省の学校教育における消費者教育といたしまして、私どもの初等中等教育、教育課程課というところでやっております。教育課程課というのは、名前のごとく小中高等学校の指導内容全般を扱うところでございまして、消費者教育はもとより、例えば法教育でありますとか、環境教育でありますとか、伝統文化の教育でありますとか、道徳の教育でありますとか、すべて私どもの課で担当しているわけでございますが、その中でもとりわけ消費者教育は、新学習指導要領で充実いたしまして、課長を始め、3人程度のスタッフで、この施策を推進していこうということをしておりますし、また、生涯学習政策局では、男女共同参画学習課が、大学教育、社会教育を含めた、あるいは学校教育も含めた全体的な体系的な調整をしているわけでございますが、17人いる中で課長を含め6人が、消費者教育に関わる仕事をしているというところでございます。
これを予算規模で見ますと、学校教育で教える内容の予算規模というのは、それぞれの教員の人件費におけるエフォートなんかを出していくと、かなりのものがあると思いますけれども、小中学校にかける予算というのは、10兆円程度あるわけです。国、地方を通じてそれだけの予算のうちのいくばくかを消費者教育に当然費やすわけでございます。文部科学省が消費者教育を推進するために直接的に行う事業としては、先ほど説明いたしました新規の消費者教育推進の予算でございます。
以上でございます。

○松本委員長 櫻井委員、どうぞ。

○櫻井委員 まず、西村先生にお伺いしたいのですけれども、消費者教育推進法立法化の検討ということで言及があったんですが、ある種基本法ということだと思いますが、最近は特に基本法ははやりでございまして、あまり専門的な事柄に踏み込まないで運動論的に基本法をつくるという動きが、比較的活発なんだろうと思いますが、こういう法律をつくるということについての実益がどこにあるというふうにお考えなのかについてお伺いしたいと思います。多分、法律事項としては、そんなに意味合いのあるものではないと思われますが、もし、そういうことについて、何かテクニカルな意味で意味があるということであれば教えていただきたい。
それから、学会とおっしゃったのは、消費者教育学会ということですか。その学会を構成されている人たちというのは、どういう方々なのかというのをお伺いできればと思っています。
最近、いろんな領域で基本法の話があって、何かシンボリックに、それで運動されるというのはあり得ることですけれども、どこまで法律的に意味があるのかということと、また、基本法みたいなものが乱立しても、かえってよくないという面もありまして、その辺りがどうかなということ、専門的な観点で関心を持っているので教えていただきたいということが1つです。
もう一つ文科省さんの方に質問なんですが、続けて伺いしたいと思いますが、教科書のサンプルを配っていただいたのですけれども、この中で「消費者主権」という言葉を書かれているんですが、これは、相当程度定着している言葉というふうに理解してよろしいのか、あるいは学習指導要領ではどういうスタンスでおられるのかということを、内容面についてお伺いしたい。
国民主権になぞらえてということなのですけれども、国民主権は、統治上の原理であり、しかも公権力はどこにあるのかという議論で、基本は正当性の問題であるが権力的な契機があるとか、そういう議論が憲法学や行政法学ではなされております。それになぞらえて消費者主権というふうに使ってしまいますと、これは公法学の観点から見ますと、むしろ事業者に対する関係で言っているのかという感じもあり、スローガン的な意味合いが強くて、少々違和感があるということで、これは少し専門的な内容という意味でお伺いしたいということでございます。

○松本委員長 それでは、西村先生、お願いします。

○西村教授 まず、日本消費者教育学会についてでございますが、現在約320名学会委員がおります。7割は大学研究者でございまして、家政学の系統の方々あるいは商学、マーケティング関係の方が若干、それから法律学系の方が若干ということで、教育学系ですが、そういった方々、残りの3割の方は消費者相談に関わるような方々、あるいは消費生活アドバイザーというような、いわゆる現場に関わってきた方々、こういう方々から学会員として加入されて、中には研究発表に積極的に意欲的に発表される会員の方もいらっしゃいます。
それから、立法化の問題でございますが、先生の御専門のお立場からの御指摘と受けとめますが、結局、先ほど私の説明の中でもさせていただきましたように、長く見れば40年、支援センター等ができて今20年ということですから、その辺の流れで見て進んできたというような見方をされる方もいますが、我々学会委員の多くは、早い話がほとんど進んでいないのではないかということ、そういう意味では立法化というのは1つの消費者教育を浸透させるための、先生おっしゃるところの運動にも近い部分が確かにございます。
ただ、結局、それを考えるに至った経緯というのは、学習指導要領が充実したという文科省さんのお話がございましたけれども、その中に、先ほどの新しい学習指導要領の中のアンダーライン等の御指摘もございましたけれども、消費生活センターとか、そのほかの指摘された部分というのは、現行の教科書にも載っているものなんです。要するに学習指導要領そのものというのは、私からしますと、多少手をかえ品をかえというようなことで、その時代の流れにあって、表現上変えていくということで、実際に扱う時間数というところから言うと、あまり大幅に変わってこないというところがございます。
そういう意味で、学習指導要領を超えるあるいは教科の再編成も考えて、まさに生活力のない子どもたち、若者がどんどん増えてきている現状かんがみて、これこそ国家の大きな課題にしていくためには、やはり消費者教育を推進するための何らかの核となるものが必要だというのが立法化の考え方でございます。
この点に関しましては、一昨年から自民党のワーキング部会においても、当時消費者教育のワーキングということで1年間検討されてきて、立法化の検討までされたというふうに聞いております。
そういう経緯も含めますと、やはりここのところは、確かに実効性という点で、どこまでという御指摘もあるかもしれませんが、それはこれから法案を実際につくっていくプロセスで、学習指導要領にも影響を与えるようなあるいは消費者行政にも大きな指針を与えるようなものにつくっていただければというところで、我々としては要望しているところでございます。

○松本委員長 文部科学省からお願いします。

○伯井課長 学習指導要領におきましては、先ほど資料の方の5ページに抜粋の大枠を示しておりますが、中学校の社会科で消費者保護というのを扱うこととしております。また、高等学校の公民科では、現代社会、政治・経済の中で、経済活動の在り方を考える中で、個人や企業の経済活動における役割と責任という内容の中で消費者に関する問題を取り扱うということにしておりまして、そうした中で記述があるわけですけれども、我が国の学習指導要領というのは、大綱的な基準といいまして、非常に大まかな基準を示しておりまして、それに基づきまして教科書会社が創意工夫を凝らして、教科書を編集していく。それを、教科書検定で明らかな誤り、事実誤認等については、欠陥を指摘いたしますけれども、基本的には、学習指導要領の大枠に沿っていれば記述を認めるという仕組みでございまして、そうしたことから指摘の記述もあるという理解でございます。

○櫻井委員 そうですか。では、不干渉ということでよろしいんでしょうかね。
あと、教科書の記述を見ますと、全体に少し情報が古いかなという感じがありまして、告示はさらに改訂されるんですね。ですから、これは予定としては、例えば消費者庁が新たに設置されたとか、そういった新しい事柄は、いつごろ、来年度には反映されるというふうに考えてよろしいのか、どうかという点をお伺いしたいと思います。

○伯井課長 中学校の教科書で言いますと、来年、見本が出てきて、各地の教育委員会で、どの教科書を選ぶか採択ということがあるのですが、そうした教科書から恐らく新しい情報は、逐次反映されていくということになります。
ただ、教科書というのは、学習指導要領の改訂のときに当然大幅なリニューアルをいたしますけれども、実は、学習指導要領の改訂とは別に、4年に一度、この内容を書き換えていくものでございまして、その都度新しくしているわけですけれども、それ以外にも、訂正申請という仕組み、例えば新たに消費者基本法が成立いたしましたとか、消費者庁が設置されたというような内容を逐次、情報をさら新して書き換えられていくものでございまして、そうした内容もこれから随時訂正されていくのではないかと思われます。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 やや個人的な体験からも言わせていただきたいんですが、私自身20年間いわゆる霊感商法の被害者の救済に当たってまいりまして、本当に1,000人近い被害者と会ってきました。その中で痛感いたしますのが、人間というのは衣食足りれば、礼節を知ると中国のどなたかがおっしゃっていましたけれども、そんな動物ではないんだとなと、衣食を足りれば、ますます別のものがほしくなって、新しいいろんな問題が起こってくるという厄介な動物でございまして、そう私は思っているんです。
何を言いたいかといいますと、今の日本で最大の問題は、先ほど西村教授もおっしゃいましたが、自分を大切にするといいますか、自分が生まれたことについてのかけがえのなさということを実感できない、そういう子どもたちが増えているのではないかと。ですから、生きて頑張っていけば、もっといいことがあるんだと感じられない思いが少なくない。そんなことありそうにないよ、どうせおれなんか、どうせ私なんかという感覚を持っているものだから、あなたが変えられますよ、あなたが変わるんですよと、自己啓発セミナーに通いましょうよと言われると、ひょっとしたら変わるならばということで、大枚をはたくという感覚がかなり広がっております。20年前、30年前に比べると、占いとか、いろんなスピリチュアルなものに安直に頼るという感覚の人がふえており、どうにもならない現実です。
これは何かというと、生命力の減退だと思うんです。また、これは文部省でおつくりになった古い、20年前オウム真理教の事件のころからの文献からも、日本社会における、あるいは子どもたちの倫理規範のどうにもならない崩壊、アメリカや中国と比べても、人の物を盗んではいけないと思いますかとか、あるいはお金目的で性を売っていいと思いますかとか、いろんな問題に対する中学生辺りの意識アンケートを取ると、日本ではどうにもならない倫理規範の崩壊がある。それは文部省の方も痛感されていると思うんですが、どうすればいいのか。
やはり生きる力をどう強めるのかといいますか、そこをやはり基本に据えた教育でないと。わんぱくでもいい、たくましく育ってほしいという、これが基本ではないかと思います。生きる力、消費者の力と、自分が大事だと思う、自分を大切にするという感覚がなければ、物を大切にしよう、周りの人を大切にしよう、社会の構成員としてしっかり生きていこうという感覚を持ち得るはずがないわけでして、そこをどう培っていくのかという、そこら辺の根本的な視点に立った教育の在り方といいますか、それがどうお考えになっているのか、そこは消費者教育というものを考える上で根幹ではないかと思うんです。
OECDの持続可能な社会というのは、ちょっと考えは違うのかもしれませんけれども、私は根本には、君は生きていていいんだよと、君は生きている価値があるんだよと、これを実感させる、それが基本ではないかと思うんです。そこのところをぜひ、もっと根源的なところから、文科省あるいは消費者庁も学者の方々と幅広に語り合ってほしい。学校の先生たちも、生命力を減退させているじゃないですか。学校の先生になり手が少ないといいますか、中学、高校、小学校の実態を見ていますと、それで、うつ病になっていく先生も多いと聞きます。
これではあまりにも悲惨なわけでして、ぜひ、根本的に消費者教育の在り方を早急に考えていただいて、これは消費者教育でもあるし、異論があるかもしれませんが、私は一定の宗教教育ともかかわってくると思うんです。そこのところをぜひ幅広に検討いただきまして、予算ももちろん必要でしょう。消費者委員会でも、検討する必要があると思うんですが、考えていただいて、先生たちも生徒たちもやる気になるといいますか、これは面白いなと、単なる知識教育ではない、そういう観点をぜひ一緒になってつくっていただきたいし、消費者委員会としても関わっていきたいと思います。その点について、文科省なり、消費者庁なり、西村先生に簡単なコメントをいただければと思います。

○松本委員長 文科省からお願いします。

○伯井課長 ただいま御指摘をいただいたとおりでございまして、今回の新しい教育課程の改善においては、平成17年に当時の大臣から学習指導要領の見直しに着手するようにという要請を受けた後に、中央教育審議会で3年かかって議論をしていただいた内容なわけでございますけれども、もちろん、教科ごとに何が必要かという議論の積み重ねの上での学習指導要領の改訂のわけですが、そのキャッチフレーズはまさに先生がおっしゃったように、生きる力というものを根底に据えて、これからの変化の激しい社会に生き抜く力を子どもたちに身に付けさせようと、それは学力だけではなくて、先生がおっしゃったように、自らを律しながらも、他人と協調したり、自尊感情を持って生きていくという、豊かな人間性、心を育てていくということも併せて育てなければならないということで、両面の充実を図ったわけでございます。
そして、その知の部分においても、先ほど若干説明いたしましたけれども、我々は思考力・判断力・表現力と言っていますが、物事をできるだけ多面的・多角的に考察して考えさせる、単に知識として覚えるのではなくて、実生活の側面に即して活用できる力というのを身に付けさせる。そうした教育をすることによって、ひいては、そういう消費者の自立と保護ということにも、もちろん、消費者教育そのものも充実させていくことも重要ですけれども、トータルで考えていかなければならないと考えている次第でございます。

○松本委員長 消費者庁から何かございますか。

○加藤参事官 冒頭お話をさせていただきました中に、学校現場の実情に即して無理のないというような趣旨のことをお話させていただきました。
ここをやはり忘れてしまうと、消費者教育を推進するということはなかなか難しいのではないかと思います。それは御案内のとおり、学校現場にはさまざまなことが押し寄せているわけでございまして、学校の先生も大変な状況にあるということは皆様、御案内のとおりでございます。
それから、今日お配りさせていただきましたOECDの資料の中にも記載がございますが、これからの消費者教育の推進に必要なこととして、関係者間の協力というような記載もございます。
こういった、OECDの勧告を踏まえまして、先ほど御紹介をさせていただきました、22年度の事業の中には、地域における消費者教育の推進の中に、消費者教育連携推進事業というようなものも盛り込んでいるところでございます。
これは、これからの特に社会教育における消費者教育を推進していくに当たりましては、教育関係者を始め、消費者団体NPO、企業、事業者団体等、多様な主体の連携をなくして、社会教育における消費者教育の推進というのは難しいのではないかというふうな問題意識に立って企画をしている事業の1つでございます。
以上でございます。

○松本委員長 西村先生、どうぞ。

○西村教授 今の山口委員の御指摘、全くそのとおりだと思っております。やはり消費者教育をひと皮むくというんでしょうか、脱皮させていく必要があるというのは、かねてから思っております。
ですから、消費者庁におかれても、契約被害防止ということだけにこだわるということは、むしろ危険というと、やや大げさがありますけれども、それをさらに膨らましていくようなものでないと、少なくとも学校教育と枠で見ますと、やはり人間づくりというところでございます。ですから、そういう意味では個人を大切に、自分を大切にしていく、他者に対して思いやっていくというような、人間として生き方、そこに踏み込んで社会とそれをどういうふうに関わっていくのか、たまたまそれが商品を購入するとか、サービスを購入するとか、廃棄するとか、その企業と付き合うとか、そういった側面にいろいろ出てくるわけです。我々は、消費がなくては生きていかれないという側面を持っていますから、そういうところに具体的に考えさせていくチャンスが消費者教育にはあるというふうに考えていまして、ある面ではさまざま関連領域とタイアップしながら進めていくということが、これから必要になってくると思います。
以上です。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員 先ほどの文科省の方で、生きる力をはぐくむことを目指すという大きな目標があったのですが、それを消費者教育というところに落とした場合に、消費者教育の内容というのは、どういうふうになるのか説明いただきたいと思うんですが、どうもいろいろ資料とか、消費者基本計画の中に書かれていることは、かなりだまされてはいけませんよ、被害に遭わないように気を付けましょう。被害に遭ったらセンターに相談に行きましょうというようなところが、かなり表に出ているのですけれども、西村先生のレジュメの15ページ、16ページ辺りに、目指すべきところが書かれていて、まさに消費者市民社会の中における、加害者にもならないような、そういう関わり方、個人の在り方、そういうところまで課題として、それから最後のページに書かれているイメージからすると、まさに社会的に関与していくというところまで含めてイメージされているんですが、それと、文科省の生きる力をはぐくむことを目指すというのは、大体同じと考えていいのかどうか、そこもまず聞きたいんですが、その上で文科省の考えておられる消費者教育の内容というのをもう少し生きる力に即して言うと、どういうことなのか、これを説明願います。
それから、消費者庁には、一方で消費者教育をやっておられる中で、消費者庁としての役割はどう位置づけられるのかという関係性を一言御説明いただければと思います。

○伯井課長 我々といたしましては、子どもたちに消費者としての正しい態度、知識を身に付けさせるということが学校教育の中で、指導内容として重要であろうというふうに考えているところでございます。
そして、先ほど御説明いたしました資料の5ページになりますが、学校教育は御案内のように、各教科、それから道徳、特別活動といった活動を通じて、あるいは総合的学習の時間という教科横断的な活動もございますが、そうしたものを通じて教えていくわけですが、教科教育の内容としては、先ほど言ったような形で子どもの発達の段階に即して小学生であれば、ものの大切さや計画的な買い方、購入の仕方から入りまして、中学校におきましては社会科で、金融の仕組みとか、消費者自立支援などの社会的な制度、仕組みを教えつつ、家庭科において、消費生活であるとか、消費者の基本的な権利と責任ということを理解させる中で、子どもたちに身近な販売方法であるとか、消費生活の諸問題などを取り上げる中で教えていく。高等学校においては、中学校の学習を踏まえて、公民科では消費者に関する諸問題、家庭科では、消費生活の課題と消費者の権利と責任、現実に起こっているさまざまな問題と消費者の自立支援などについて指導内容に入れる。
こうしたことを通じて、消費者についての正しい態度、知識をそれぞれ発達の段階に応じて身に付けてもらおうというのが考え方でございます。
それを進めるためには、いろんな手立てが要るわけです。法律で書いたから、学習指導要領で書いたからといって、学校の消費者教育が直ちに充実するわけではございません。それには教材が必要ですし、教員の研修あるいは意識づけということが何より大切でございますので、先ほど言いましたように、消費者庁と連携しながら、中核となる教師の指導者の養成であるとか、あるいは教科書もそれなりに充実していくと期待されますけれども、いろんな課題に即した消費者教育の教材を消費者庁さんとタイアップしてつくっていただいて、それを学校現場でよりよく活用できるようにしていく。そうした取組みを進めていきたいと考えているところでございます。

○加藤参事官 今、伯井さんからも御説明いただいたとおり、消費者庁としても文科省が御検討なさっているような事業に積極的に参加させていただきたいと考えているところでございます。
併せまして、やはり学校における消費者教育は、楽しくなければ続きません。それから、成人して忘れてしまわれては困りますので、生活に必要な知識というのは学校を卒業して、大学を卒業して、社会人になったとしても記憶に残してもらわなければなりませんので、例えば消費者庁の22年度の事業の中としましては、どういう教え方をしたら子どもたちの記憶に残していってもらえるか。それはどういう教え方なのかということも、22年度の教育手法、効果測定の研究事業を通して検討してまいりたいと考えております。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 西村先生の御報告と、それから文科省、消費者庁との御報告の間にあまりにも乖離がひどいので、非常に戸惑っているというところですが、将来的に考えてどういう方向を目指していくかということが1つ非常に重要なことですが、ですけれども、今、それをがらがらぽんでやるというのは、非常に難しいであろうと思います。
現状で、将来を目指した姿の中で、現状をどう改革していくかというような形で、取り組んでいくより仕方がないのかなという感じがいたしました。
ともかく先ほど命の教育ということも言われておりましたけれども、加えれば、どのような価値観を持って、そしてその価値観の上で、さまざまなものを選択して、どのような生き方をしていくかということについて、きちんと自分で生きていけるという力を持っていくことであろうと思っているわけです。けれど今までの消費者教育はいろいろと言われてきましたけれども、悪い言い方ですが、言ってみれば、手をかえ、品をかえと、ちょこちょこと改正してきた、付け加えてきたという範囲にとどまるわけでして、根本的な系統立った消費者教育になっていないわけです。
それをどうやって系統立った消費者教育にしていくか、小学校、中学校、高校、大学、そして成人という階層の中で、どう系統立った消費者教育を構築していくかといったことは、将来的にこの先、非常に重要なことだと思います。ぜひそこを出していいただいた上で、そうかといって、今すぐそれができるとは思わない。ですけれども、無理のない範囲でとおっしゃいましたけれども、無理のない範囲ではなくて少しだけ無理をして、どこか穴を空けるところはないのかなということで、少しだけ無理をしていただいて、そして、それを積み上げていって将来の方向性に近づくように、今から少しずつやっていくということが非常に重要だと思うんです。そういう観点でぜひ進めていただきたいと思います。
最後に質問ですけれども、文科省の資料にあります消費者教育推進委員会と、消費者庁の消費者教育推進会議というのは同じものなんでしょうか。それとも違うものでしょうか。

○加藤参事官 これは別なものでございます。

○松本委員長 池田委員、どうぞ。

○池田委員 大変素人的な質問で恐縮ですが、今の消費者教育や学習指導要領、文科省の取り組みというのは大変結構だと思うのですけれども、話に出てきた教材だけではなく、肝心なのは教師、教える人の問題ではないかと私は思います。先生が変わらないのに、教材を変えても子どもは納得しないと思います。先生の教育・育成・レベルアップといった文科省の方針が大きく変わりましたが、先生を評価しているのでしょうか。先生の人事考課を現在行っているのかどうか知りませんが、そういうことをやらないと、教科書だけ変えたり、あるいは授業だけ増やしたとしても、本当に効果が出てくるのか。むしろ、教師を多様化していかないと、なかなか言葉で言うほど効果が出てこないのではないか。あるいは団塊の世代が大量に引退していくわけですから、そういう人たちを活用していくということもあると思いますし、もう少しそちら側の工夫がないと、私はだめなのではないかと思っていますが、そういうところに対する御関心はいかがでしょうか。

○松本委員長 文科省の方からお願いします。

○伯井課長 そこは、おっしゃるとおりでございまして、先ほども少し説明いたしましたけれども、学習指導要領を変えても、それを実際に教えて授業をやるのは学校の教師ですし、先生方がある程度納得した上で、自分の考え方で子どもたちに接して授業をしないと、これは、子どもたちに定着するわけがないわけでありまして、1つは先生方に対する消費者教育への意識啓発を変えていく、一番大きいのは、やはり学習指導要領に盛り込んだというのがとても大きいと我々は思っておるわけですけれども、さらにそれだけではなくて、いろんな消費者行政の動向であるとか、消費者問題を巡るいろんな動き、さらには消費者教育の指導方法の在り方などをしっかり先生方に講習していくことが必要であろうという考え方で、今回、新規事業で指導者養成のための中央、地方での講座をやろうというふうにしておりまして、それをやるに当たっても、消費者庁さんと、あるいは地方でも教育委員会と消費者行政担当部局で密接に連携しながらやっていくという仕組みでより充実していきたいと思っております。
また、消費者教育というのは学校だけでやるものでは必ずしもなくて、地域やいろんな団体、場合によっては民間の企業などとも連携しながら、授業をつくっていくというのが、今、まさに始められておりますので、そうした観点からも、生涯学習的な観点からもいろんな施策を進めていきたいと考えているところでございます。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 消費者は、今ますます複雑した市場の中で暮らしておりまして、やはり考える力とか、知識というのは非常に重要になってきて、それがまさに消費者教育ではないかと思っております。
それで、消費者教育というのは、基本的には、批判的思考を身に付けたり、先ほどから何回も出てきます、生きる力というのが、重要かと思っていますが、平成20年度に出されました国民生活白書では、消費者教育は子どもたちの記憶に残っていないとか、その効果が明確ではないと書かれています。
一方、消費者庁の方からお出しいただいた資料3-4のOECDの政策提言でも多くの国が同じように苦労されているということが、ここを見てよくわかります。ここに書かれているのは、消費者教育の目的と戦略が明確に定義されていないとか、相乗効果が十分発揮されていない、検証が行われずに実施されており政策の意図が不明確というのは、やはり多くの国で消費者教育というものをどうしたらいいかと、迷っているところだと思うんです。
それで、日本では消費者庁ができ、文部科学省も一緒になって消費者教育をやるということを非常に明確にされておるんですが、御説明の中では、やはり教科書というのはなかなかその中を改訂することが難しい。私はその行間を埋めていくのが消費者庁の役割かなと思っています。
ですから、先ほど加藤参事官がおっしゃっていた楽しい教育というのもあるのかもしれないんですけれども、私は子どもたちが、関心があるというよりか、子どもたちの関心事に沿ったもの、それを教材にして、何とか文部科学省ではできないような行間を埋めていくというやり方がいいのかなと、加藤参事官がおっしゃったように、いろんな地域とか、消費者団体、相談員の方々とか、たくさん消費者教育をやっていらっしゃる方々がいるので、ぜひそのところをうまく活用しながらやっていただきたいと思います。
それから、文部科学省の方にお願いしたいのは、一生懸命私たちも学校の中に入って消費者団体として、消費者教育をと思うんですが、なかなか学校の中に入れないんです。もう少し門を広げていただきたい。そうすれば、もう少し連携しながらの教育が進むんではないかと思います。
それから、平成24年の10月にはOECD報告書を出さなければならないことになっています。それはもしかしたら、西村先生の方が御担当になるのかもわかりませんが、その辺もぜひ、学会と協力しながら、いい教育現場をつくっていくということをぜひやっていただきたい。まさに今年度スタートという感じで、世界の状況を見ながら、日本も上手な消費者教育の在り方というところを考えていっていただきたいし、私たちも一緒に考えていきたいと思います。
それから、もう一つ意見を申し上げたいのは、先ほどありました消費者主権という言葉ですが、別にこれは特に新しいものでも何でもなく、「ものを買う」というのは消費者がその会社に1票を投じるということであって、広告とか宣伝に惑わされずに、自分で考えて、自分に合った必要なもの、または必要な機能を持ったものを買いましょうと、まさにそれが消費者主権ということで、それはぜひ教育の中にきっちりと位置づけていただきたいと思います。
以上です。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 ありがとうございました。先ほどの消費者教育推進会議と推進協議会というお話がございましたが、最近こういうたぐいのものを各省庁がたくさんつくっていらっしゃいます。
それで、できれば横ぐしを刺した1つにされたらいいのかと思いますが、もう一つ小さなことなんですが、例えば、今、法教育というのが非常に叫ばれております。法務省さんもそれの協議会を17年くらいから開催されて、たまに開いていらっしゃるんですが、今度論文募集をされるそうです。文科省の教育課程のどなたか、法教育担当の方がお出になっていたんだろうと思いますけれども、その中で、大学の教育課程の学生に対して、そういうような論文募集をかけたいとおっしゃっていました。
先ほど池田委員からもありましたように、まず、教員の養成も必要でありますので、そうなれば、教員養成課程の中においても、そういうものはある程度授業の中に取り入れられてくるのではないかと思います。
何か伺っておりますと、消費者教育というのは非常に幅が狭いように感じる。せっかく先ほどから生きる力とか、自分が責任を持って、どうやって生きていくか、主権という言葉があるのであれば、もう少し文科省さんの中にも、先ほど環境教育担当、法教育担当、消費者教育担当と細かくわかれている。それは当然、そうではあると思いますが、もう少し大きな形で消費者教育を取り組んでいただければ、消費者被害というのはもちろんなくなりますでしょうし、消費者庁さんがおっしゃっているように、生きていく生涯の中でも、そういう問題が起きないだろうと思いますし、自分の自立のため、そして主張もできるだろうと思います。
お伺いしたいのは、お三方それぞれに、皆さんお考えになっていらっしゃるとは思いますが、その辺のところ、法教育等というのは別なものなんでしょうか。そことの連携が非常に遅くなっておりまして、消費者教育推進会議の中にも入ってこられるのではないかと思うんですけれども、何かちょっと薄めに見えますので、法務省というのは、独自のところもありますが、なかなか難しいかと思いますが、今、そういう動きがあるように伺っておりますので、ぜひ、その辺のところを、どのようにお考えかというのを少しお伺いできればと思います。

○松本委員長 これは何も法教育との関係だけではなくて、食育の問題も全くと同じだし、いわゆる「持続的消費」ということになると、当然環境教育が入ってくるわけで、そういう意味で消費者教育を縦割りの1つの教育と見るのか、それともそうではないのかというかなり基本的なスタンスに関わる問題だと思いますので、お三方からそれぞれお考えを御提示いただきたいと思います。では、西村先生からお願いします。

○西村教授 ありがとうございます。まさに下谷内さんがおっしゃっていただいたようなこと、例えば法教育の法務省の学習テキストを拝見しますと、要するに教室の中で、子どもたちにルールをつくらせてみようということから入っていくわけです。
そういう中で、クラスの中でこういうルールをつくっていけば、みんなが幸せに学校生活が円滑に行くんではないかというところで、それの発展形態として、例えば契約という問題があるということで、契約教育が単なる法教育の中に入っているんです。まさにそれは、これをバッティングするととらえるんではなくて、たまたま消費者ということで、今、我々は議論をしておりますが、もう少し広い概念で扱って、まさに縦割り行政の結果、消費者教育が、ある意味考え方としては狭くとらえられ過ぎていたというきらいはあるんだろうと思うんです。
その点で言えば、日和佐委員の御指摘もありましたけれども、私が話させていただいたことと、現在の行政あるいは今年度の事業というところに多少のギャップあるいは日和佐委員に言わせれば、かなりのギャップということになるかもしれませんが、これは、やはりOECDの勧告もありますので、3か年計画という中で、まず、できることから、ステップアップしていく必要があるだろうと思っています。
ついでに、池田委員からの御指摘があったかと思いますが、教員に対する教育、教員をつくっていくという意味合いで、これは実際に実現するかどうかわかりませんが、私自身も、教員養成課程に属している人間でございますので、教職免許法というのがございます。教育職員に免許を取らないと先生になれないわけですが、その免許法の必修科目のような形で、こういった消費者市民教育といいましょうか、こういった生活力を考え、伸ばしていくような教育が入ることができないだろうか、そんなことも一つの検討材料としていくべきではないかと考えている次第であります。
以上でございます。

○松本委員長 消費者庁、お願いします。

○加藤参事官 消費者教育推進会議の中に関係省庁の方にもお入りいただく予定にいたしておりますので、縦割りでなく、推進会議の中でも、横ぐし感を出しながら、いろいろと議論をしていけたらいいなと考えております。

○松本委員長 文部科学省、お願いします。

○伯井課長 御指摘のありました法教育、あるいは例えば日銀さんが、金融広報委員会などをつくって、それこそ関係者が集まって、中央、地方で金融教育を盛り上げているんですけれども、文部科学省では、全部私どものところで担当しているわけでございます。もっと言えば学校に行けば、小学校においては、そうしたことも体育も、道徳も、すべて1人の担任の教師がやるわけでございますので、我々はそうした市民性を高める教育をいかに効果的に連携して取り組んでいくかということを常に念頭におきながら取り組んでいるところでございますし、どうしても消費者教育という形になると消費者庁と私の方が連携する、金融教育だと日銀さんと私どもでタイアップしてやると、そういう構図になっておりますが、できるだけそういう縦割りにならないよう、総合した形で施策を進めていきたいと思います。
1つは、そうしたことと関連なのですが、結局、そうすると、それぞれの関係の団体が学校にいろいろ教えに行くために協力をしたいというような要請があるわけでございますし、学校としても、教師だけではなかなか教え切れないことを、いろんな大人たちの手を借りて、子どもに教えたいという要請があるわけですけれども、これがなかなか思うように進んでいないというのが現状でございます。
1つは、それをどうやってコーディネートするかということ、学校の校長先生、副校長先生もなかなかいろんな仕事がございます。どうやってコーディネートするかということが課題になっているのと、それから、いろいろ教えたいということを学校の先生方が、受け入れられるような学習プログラム、全体の授業展開の中でのプログラムを開発していかないと、なかなか前に進まないのかなと思っていまして、コーディネートの方は、学校地域支援本部を、文科省としてコーディネート機能を高める施策として行なっております。
そういう学習プログラムの開発の方は、今後とも消費者庁とも連携をしながら、そうした観点、地域や団体と学校が一体となって取り組めるような仕組みも併せて検討していただかなければならないかなと思っております。

○松本委員長 よろしいでしょうか。では、簡単にお願いします。

○山口委員 消費者委員会が始まるところに、消費者教育の在り方について審議する専門調査会のようなものをつくるべきではないかという御議論もありました。ただ、文科省あるいは消費者庁の方でも、そのための委員会をつくって、これから頑張られるということなので、その様子を見ながらということでもいいのかもしれないんですが、先ほど日和佐さんも言ったように、各省庁あるいは学者によってかなり考え方の違いもあるなということも出てきているような感じもするので、今後もこういう公開の場での議論はなかなか難しいのかもしれませんが、この連携というか、意見交換はさらに継続しながら、消費者委員会としての在り方も、消費者教育についての考え方をどうしていくのかということについても、今後も検討を継続するべきだと思いますので、ぜひ、その点は、委員会としても考えていただいた方がいいと思います。

○松本委員長 ほかに御意見は、ございますか。よろしいですか。
ありがとうございました。文部科学省、消費者庁におかれましては、本日の議論を参考にして、今後の取組みを一層推進していただきたいと思います。
消費者委員会といたしましても、今、山口委員もおっしゃいましたが、引き続き消費者教育について情報収集しつつ議論を行っていきたいと思っています。
どうもありがとうございました。

≪4.消費者基本計画の検証・評価・監視について≫

○松本委員長 本日、もう時間がほとんどございませんけれども、あと2点議題と報告事項がございます。まずは消費者基本計画の検証・評価・監視についてでございます。
平成22年の3月30日に閣議決定をされました消費者基本計画におきましては、この消費者基本計画を実効性のあるものとするためには、計画に盛り込まれた具体的施策の取組み状況について十分な検証・評価・監視を行うことが重要ですとされています。
消費者庁と各施策の推進に当たる関係省庁等は、重要課題ごとの施策の実施についての工程を明確化しますというふうに記載をされております。さらに同計画におきましては、消費者委員会の消費者行政全般に対する監視機能を最大限に発揮しつつ、検証・評価・監視を行いますと記載されております。
このため、消費者委員会としては消費者庁及び関係府省庁等に重要課題ごとの施策の実施についての工程について、消費者庁及び関係府省庁等に対してヒアリングを実施することにしたいと思いますが、このようなことでよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○松本委員長 それでは、そのようにヒアリングを実施したいと思います。

≪5.閉 会≫

○松本委員長 議題といたしましては、これで最後なんですが、報告事項が1点ございます。
4月13日に委員会の下部組織であります新開発食品調査部会の第2回の会合が開催されております。本日は新開発食品調査部会設置運営規程第8条第2項の規定に基づきまして、田島部会長より、その審議結果の御報告をいただきたいと思います。
それでは、どうぞよろしくお願いいたします。

○田島委員 新開発食品調査部会の部会長の田島でございます。資料5(PDF形式:48KB)でございます。今4月13日に開催いたしました新開発食品調査部会の決議について、設置運営規程第8条に基づき、委員長の同意を得て委員会の記述とし、4月19日付で内閣総理大臣に答申を行いました。
本日は、同条第2項の規程に基づく決定事項を委員会に御報告するものです。
資料5をごらんください。13日の部会では、平成21年12月9日付、消食表第57号をもって諮問された「麦の葉うまれの食物繊維」及び平成21年12月9日付、第109号をもって諮問された「喜々大麦若葉茶」「麦の葉しずく茶」「若葉物語」「おいしく彩るCa&ベジ」「カルベジ」の6品目の安全性及び効果について審査を行いました。
この6品目は平成21年12月25日の部会において継続審議するものとされた品目です。今月13日に改めて審査を行ったものでございます。いずれも特定保健用食品として認めることとして差し支えないこととされました。ということで、答申書に書かれているとおりでございます。
私からの報告は以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
最後に事務局より、次回日程について御案内をお願いいたします。

○原事務局長 どうも長時間ありがとうございました。次回は5月14日金曜日の15時からを予定しております。議題については少し時間もありますので、改めて御案内をしたいと思います。

○松本委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございました。

(以上)