第22回 消費者委員会 議事録

日時

2010年4月9日(金)15:00~16:50

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
松本委員長、中村委員長代理、池田委員、櫻井委員、佐野委員
下谷内委員、田島委員、日和佐委員、山口委員

【説明者】
厚生労働省水津高齢者支援課長、廣瀬高齢者支援課長補佐
消費者庁笠原表示対策課長
東京都千葉取引指導課長、漆原取引指導課長補佐
総務省大村企画官

【事務局】
齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.未公開株取引について
3.有料老人ホームについて
 ○厚生労働省
 ○消費者庁
4.架空請求メールについて
 ○東京都
 ○総務省
5.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:14KB)
【資料1】 未公開株等投資詐欺被害対策について(提言)(案) (PDF形式:20KB)
【資料2】 有料老人ホームについて(厚生労働省提出資料)
(資料2-1) 有料老人ホームについて (PDF形式:304KB)
(資料2-2) 有料老人ホームの概要について (PDF形式:61KB)
(資料2-3) 有料老人ホームの定義・規制 (PDF形式:170KB)
(資料2-4) 有料老人ホーム設置運営標準指導指針の概要 (PDF形式:21KB)
(資料2-5) 未届の有料老人ホームに該当しうる施設に対する対応等について (PDF形式:17KB)
(資料2-6) 厚生労働省 報道資料 (PDF形式:106KB)
(資料2-7) 未届の有料老人ホームに係る指導状況について (PDF形式:66KB)
(資料2-8) 未届の有料老人ホームに係る調査状況について (PDF形式:137KB)
(資料2-9) 総務省 報道資料 (PDF形式:388KB)
(資料2-10) 佐賀県資料 (PDF形式:243KB)
(資料2-11) 都市型軽費老人ホームの概要 (PDF形式:200KB)
(資料2-12) 有料老人ホームの一時金の保全について (PDF形式:21KB)
(資料2-13) 有料老人ホーム設置運営標準指導指針について(抜粋) (PDF形式:20KB)
(資料2-14) ホーム毎の平均一時金額の整理-開設時期別- (PDF形式:70KB)
【資料3】 有料老人ホームに関する不当な表示(消費者庁提出資料) 【資料4】 東京都における「架空・不当請求対策」の概要(東京都提出資料) (PDF形式:171KB)
【資料5】 架空請求メールについて(総務省提出資料) (PDF形式:509KB)

≪1.開 会≫

○原事務局長 それでは、始めたいと思います。本日は皆様、お忙しい中お集まりをいただきまして、ありがとうございます。第22回「消費者委員会」を開きたいと思います。
委員長、よろしくお願いいたします。

○松本委員長 それでは、本日の議題に入りたいと思います。本日は当初予定しておりました「有料老人ホームについて」及び「架空請求メールについて」という2つの議題に加えまして、「未公開株取引について」も取り上げたいと思います。

≪2.未公開株取引について≫

○松本委員長 最初は「未公開株取引について」から審議をいたします。この議題につきましては、第14回、先月の第19回及び第20回の消費者委員会、合計3回で取り上げてまいりました。今回はこれまでの議論も踏まえ、消費者委員会として意見をとりまとめるべきとの考え方も出ておりますので、本日の議題として取り上げることといたしました。
まずはこれまでの議論を踏まえて作成をいたしました「未公開株等投資詐欺被害対策について(提言)(案)」につきまして、山口委員より御説明をお願いいたします。

○山口委員 今、委員長がお話になりましたように、消費者委員会として公開の場でも、あるいは非公開の場でもさまざまな議論を重ねてまいりましたけれども、現段階で関係方面に消費者委員会としての提言をお示しして、早急に対処をお願いした方がいいだろうということで、委員会の中で意見がまとまりましたので、次のような形で提言をさせていただくということで御了解いただければと思います。
「未公開株等投資詐欺被害対策について(提言)」(PDF形式:20KB)です。
「1.深刻な被害の実情。
未公開株やファンド等の実質的に無価値な金融商品を電話や戸別訪問によって売りつけられる高齢者等の被害が増大している。しかも、被害者本人が、自分の被害に気付くのが遅れがちであり、事業者は一定の利得を得てクレームが目立ってくると解散して連絡さえ取れなくなるため、被害回復が困難なことが多い。
代表的な手口は、第1に、金融商品取引法に基づく取引業者としての登録をしていない事業者(無登録事業者)が、未公開株が近く上場されて値上がりまちがいないなどと虚偽の事実を述べて売りつける。第2に、自社の株や転換社債などを、確実な高利回りを保証するなどと称して販売する。しかも、50口未満の販売であれば金融商品取引法の法規制を受けないことから、この規制の抜け穴を巧妙に悪用する手口が目立っている。第3に、ある事業者が高齢者等に電話をかけ、後で別の事業者が売りつけることとなる株や社債が優良だからもし持っているならぜひ買いたいなどと購買をあおる劇場型の手口が蔓延している」。
このような事態を踏まえて、消費者委員会としては「2.求められる対策」として、次の幾つかについて提言をすることにいたしたいと思います。
「消費者委員会では、関係庁等へのヒヤリングや委員の調査、討議を経て、これらの被害を抑止し、被害救済の実効性をあげるため、以下のような対策をとることを提言し、今後その実現のため関係省庁の協力を求めていくこととする。
(1)被害救済を迅速に進めるための民事ルールの整備
被害にあった消費者が事業者に支払った代金の返還の交渉をするにあたって、現状では、公序良俗違反による無効、錯誤による無効、詐欺による取消し、不実告知による取消し、断定的判断の提供による取消しといった民法ないし消費者契約法の一般法理を援用するしかない。これらの法理を積極的に援用する努力はなお必要であるが、他方で、事業者側として様々な理由を付けて法理の適用を回避し、返金を先延ばしにしたり、拒否することもできるものであるために、迅速な被害救済交渉が難しい。また、相談員による消費生活センターでの効果的救済には活用しにくい。このため、判断の容易な民事ルールの導入による解決の促進が必要であり、そのための法整備が求められる。
まず、無登録事業者が業として不特定又は多数の消費者に金融商品を販売する行為について、これを無効もしくは取り消すことができる旨を定めることを検討すべきである。具体的には、現行の金融商品販売法等関連法に当該趣旨にかかる規定の導入あるいはそのための新規立法が考えられる。
また、自社株等の販売に対するクーリングオフ等を可能とするために、特定商取引法の適用対象を広げることを検討すべきである。同法では、平成20年の改正により指定商品・指定役務制が廃止されたが、『商品』概念は、改正前の法律の『物品』概念を置き換えたものであり、形のある物品と形のない金融商品について、別々の所管省庁の下で別個の法律を適用するという縦割り行政を引きずっている。一般消費者に向き合う消費者庁にふさわしく、既存の所管省庁にとらわれず幅広く適用可能な特定商取引法に変えていくことを検討すべきである。
(2)違法行為に対する抑止効果のある制裁措置の検討・導入
違法行為を抑止するという観点から見た場合、無登録事業者の金融商品販売行為に関わる現行金融商品取引法の罰則には実効性があるとは言い難いのが実情である。そこで、罰則については法定刑の見直し、さらに罰則以外のより効果的な制裁措置についても検討し、その導入を図るべきである。
(3)効果的な行政対応
現在の金融商品取引法は、登録事業者のみを金融商品取引事業者として行政規制の対象としているが、高額被害の多発に鑑み、無登録事業者についてもより効果的な行政対応ができるよう措置を講じるべきである。例えば、悪質な無登録事業者に関する情報を収集し、事業者名も含めて早期に公表することや、無登録事業者に関しても、裁判所に対する行為の禁止又は停止の命令の申立て制度を積極的に活用することが必要であり、その前提となる調査のための処分を積極的に行うことが必要である。
また、不特定又は多数の自社株や私募債の発行、販売を行う者については、金融商品取引法に基づく企業情報等の開示規制を実効的に運用することが必要である。
以上に掲げたもののほか、関係当局による取締りの強化や、高齢者等に対する効果的な注意喚起や被害相談のあり方については、関係省庁においてなお一層の努力、工夫を行うよう強く求める。
また、中期的には、被害の未然防止のために、すでに一部の金融商品について定められている不招請勧誘の禁止を未公開株等にも拡張することや、被害回復と被害抑止の実効性を高めるための方策としての集団被害救済・不当利益はく奪のための法整備を進めることが必要である」。
以上でありまして、緊急に取れる措置とこれから中長期的に検討しなければいけない課題とか混じっておりますが、これを各方面に提言として出して、消費者委員会としても積極的に関わりながら、実現に向けて努力していったらどうかという提言であります。

○松本委員長 ありがとうございました。それでは、ただいまの提言(案)の説明につきまして、御意見がございましたらお出しください。特にございませんでしょうか。櫻井委員、どうぞ。

○櫻井委員 今日は、金融庁の人はいらっしゃっていないんですか。

○原事務局長 傍聴では入っておられます。

○櫻井委員 2ページ目の「(3)効果的な行政対応」についてですけれども、こういう書き方になったのはそれなりに経緯があって、それは重要な問題を含んだ経緯だったと理解しております。つまり今回ここの議論でも出ていたと思うのですが、無登録業者について規制権限を金融庁が持っているのか、あるいは同種の行為について特商法で経産省ないし消費者庁が権限行使をできるのかどうかということについて、この案件がすき間かどうかという議論がありました。
それで言葉を乱暴に言えば、あるいはすき間かもしれないけれども、どちらかと言えば、それは金融庁マターであるという一般的な理解があったうえで議論が進められましたが、一見すき間事案であったということから、当初の行政の対応は両者とも及び腰であったということは言えるのだろうと思います。
問題は差し当たって第一義的な責任が金融庁にどうもありそうだということで議論が展開していたわけですが、金融庁の行政実務の感覚から言って、基本的に金商法自体が業規制であるということが主として念頭にあり、無登録業者については金商法の主要なテーマにはなっていないという御認識が非常に強く、実際上の実務の動かし方がそうだったということが背景にあったのだろうと思いますが、そういうことで議論が無登録業者については規制ができないという暗黙の前提でさらに議論が展開されてきたという経緯だったと了解しております。
ところがよくよく法律を精査すると、ここに書いてありますように、金商法の192条になりますが、裁判所が行為の禁止あるいは停止命令を行為者に対してできるという条文があり、それを前提とした調査権限が187条にあるということが判明し、ここは決して登録業者に限られず、無登録の業者についてもこれを含むということで、実は条文はあったという展開となったわけです。
そういうわけで、金融庁には一応権限があるのですが、ただ、この条文は死文化はしていると言うと言い過ぎだと思いますが、実際には有名無実化している条文はこれに限らずたくさんあって法律は水も漏らさず執行しているわけではないので、そこで行政実務において今後この条文をどう扱うかということは真剣に検討していただきたいと思っています。192条、187条についてです。
その場合の動かし方は、この条文を前提として下位規範ないしガイドラインみたいなものをつくって、どっこいしょと行政実務を変えていくというのも一つの方策かと思います。裁判所を使った命令は、裁判所が行う行政処分の例ですけれども、なかなか日本の行政にはあまり例がないので、いい悪いは別として、使われていない実情があるのはそれなりに理解できるのですが、それを前提にこれを改めて動かす新たな工夫をしていくのか。あるいは、192条でいちいち裁判所に申し立てして動かしていくのも結構煩瑣(はんさ)でして、本来であれば適正手続の規定をきちんと充実させれば、行政プロパーで行政で完結的に命令を出すことは当然できるわけなので、立法論としては、私はそちらの方が筋がいいというか、手っ取り早いかなという感じもしないでもありませんで、その辺りは今後の立法的な課題ということで新たな条文を作ることも御検討をいただけるとよろしいのではないかと思っております。
以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。ほかに御意見はございますか。山口委員、どうぞ。

○山口委員 まさに今の櫻井さんの意見に賛成でありまして、今回この通常国会でも金融庁は改正案を上程しておられまして、要するに無登録事業者についても裁判所に申し立てて、業務停止命令ができる。それに従わない場合には、かなり重い両罰規定を科すという条文が用意されておりますが、使えるのだろうかと。
つまり回答を求めたり、あるいは調査をしようとしても、恐らくこの種の無登録事業者はまともな回答をしてこないだろう。その場合にちゃんとした制裁をどのようにして科すことができるのか。さらにはその程度の処分であれば、今、櫻井委員が言ったように、もちろん適正手続が必要ですが、直接行政処分で業務停止命令を出して、それに従わない業者については罰則を科すという手続きでよいのではないかと思われます。
そこら辺はこの通常国会でそのまま通るのか、今、言ったような形で改正されるのかは今後の課題でしょうが、いずれにしても具体的に使ってみて、早晩見直していただくことが出てくるのかなと。そこら辺はまた一緒に考えていければと思っております。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 抜本的な解決には法整備が必要であると思います。この文章に異論があるわけではないのですけれども、ただ、法整備にはどうしても時間がかかる。したがって、現実には被害が広がっているわけですので、今ある制度の中で解釈運用によって利用できる制度はすべてやってみるというぐらいの気概を省庁は持って、今、拡大している被害に対して対応していっていただきたい。そのことを加えたいと思います。

○松本委員長 恐らくここに書かれていることの中では、例えば警察による取締りの強化は法改正は必要ございませんし、効果的な行政対応で書かれていることも一応根拠となる法律がすでに存在するということですから、後は行政の側がどれだけ積極的にそれを使うかということですし、事業者名の公表も消費者庁のできた役割はそういう情報を集めて、きちんと消費者関係者に開示していくということですから、これも別に法改正は必要がないということですので、できることは直ちに行っていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
それでは、以上の形で山口委員より御提案のいただきました提言(案)につきまして、皆様の御了解をいただいたということで、消費者委員会の提言としてとりまとめることといたします。この提言につきましては、関係省庁にお届けしたいと思います。

≪3.有料老人ホームについて≫

○松本委員長 それでは、次の議題に移らせていただきます。次の議題は、高齢者の住まい、有料老人ホームの問題でございます。最近、有料老人ホームの設置が増えておりますし、さらに無届の有料老人ホームが多数見られます。また、契約や解約などに関する相談や苦情が消費生活センターに多数寄せられているという状況がございます。本日は厚生労働省及び消費者庁より有料老人ホームについて御説明をいただき、それを踏まえて委員会として議論を行いたいと思います。
それでは、まずは厚生労働省より御説明をお願いいたします。

○水津高齢者支援課長 厚生労働省老健局高齢者支援課長の水津と申します。今お話がございましたような問題意識に基づきまして、資料の方を御用意させていただいておりますので、それに基づきまして概略を御説明させていただきたいと存じます。
資料2として束ねてございます。まず資料2-1(PDF形式:304KB)でございますが、老健局は高齢者福祉を所管しているということで、特に介護保険制度の企画立案、切り盛りを中心といたしまして、行政を担っているところでございます。
高齢化の現状と今後の見通しについて、ポイントをまとめてございます。マル1にございますように、今後、高齢化が進展するわけですが、特に75歳以上の高齢者の方がどんどん増えていくというのが1つ。
マル2ですが、認知症の高齢者の方も急速に増加をしていく。
マル3として、高齢者がお一人で、あるいは夫婦の方だけで住まわれている世帯が急速に増えていくということ。
マル4ですが、特に大都市圏、首都圏で申しますと、埼玉や神奈川といった東京の外側の部分といったところで急速な高齢化が進む。こういった点で今後の高齢化が特徴づけられると考えております。
そういう中でなかなか高齢者の方が自宅でお住まいになるというのが難しい状況が生じてきているわけでございまして、次のページですが、それは現時点でも端的に表れておりますのが、特別養護老人ホームへの入所申込者が非常に多いという状況でございます。
現在、特別養護老人ホームに現に入所されている方が約44万人でございますので、トータルで申込者の数としては42万人、大体同じくらいの数の方が申込んでおられるということです。
この中にはもちろんそこの内訳にございますように、在宅の方で要介護が4~5、入所の必要性が緊急であると思われる方も6.7万人いらっしゃいます。ただ、その一方で要介護度が比較的軽い方あるいは在宅でない方も相当な数がいらっしゃるということでございます。
次のページに移らせていただきますが、その要因として一つ大きなものとして、やはり高齢者向けのバリアフリー住宅ですとか、あるいは有料老人ホームといった住まい系の整備がまだまだ進んでいないということがあるのだろうと考えております。
細かく内訳がございますが、大きくくくって見ていただきますと、右側にありますように、特養を中心とする介護保険3施設が80万を超えるのに対しまして、有料老人ホームとその他の施設・居住系サービスが50万、さらに高齢者向けのバリアフリー住宅となると10万に満たないというのが現状でございます。
さらにその下に諸外国との比較が書いてございます。定義は国によって詳細は異なりますが、大きく水色の部分が施設系、黄色の部分が住まい系という形になっております。日本の場合、その下にありますスウェーデン、デンマーク、英国、米国と比べまして、水色の施設系については、それほど遜色のないストックがあると言えるかと思いますが、黄色の住まい系については非常に少ないというのが現状でございます。
さらに次のページに移らせていただきますが、ストックで見ると今、申し上げたとおりですが、フローの方で見ますと、有料老人ホームにつきましては急速に増えております。ただ、これは若干の注意が必要でございまして、黄色が施設の数、青線の方が定員の数ということですが、平成12年の介護保険制度の施行によりまして、ぐんと増えた。平成18年の老人福祉法の改正で、また一段と増えたという形になっております。
御案内のとおり介護保険制度が施行されまして、介護保険のサービスを受けると自己負担1割という制度が導入されましたので、それまではともすれば高額所得者向けとされていた有料老人ホームがかなり拡大をしたというのが平成12年以降。さらに平成18年以降は、有料老人ホームの定義を拡大しておりますので、その影響で増えたということと考えております。後ほどここはまた触れさせていただきます。
一方で高齢者専用賃貸住宅というものでございますが、こちらは右側の方がその戸数、人数ベースでございますが、年間1万戸ペースで最近は増えているという状況でございます。フローの方では比較的最近いろいろな措置を講じて伸びているということでございます。
ちなみに次のページでございますが、これは高齢者用の住宅につきまして、国土交通省の方で160億円の予算を今年度に付けまして、その整備の促進を図っているということでございます。
さらに「高齢者の住まいと地域包括ケアの連携推進検討チーム」というペーパーを付けさせていただいております。この趣旨はアンダーラインが引いてございますが、厚生労働大臣、国土交通大臣の両大臣の御指示の下で、両省が連携をして、そのチームで検討する。何を検討するかと申しますと、住まいと住まいを支えるサービス、医療であり介護であり生活支援。そういったものをうまく連携をしていく。その辺の体制作りについて検討するためにチームでございます。
スケジュールの一番下にございますように、本年6月末を目途に課題、施策案の整理を行って、両省共同による立法措置も含めて施策の具体化を図るということで御指示をいただいております。
厚生労働省として現在、前のページにも出ておりました地域包括ケアというものを推進しておりますが、その基本的な考え方が次のページに絵と文字で示してあります。下に字がございますが、ニーズに応じた住宅が提供される。これを基本とした上で医療、介護、福祉サービスを含めたさまざまなサービスが日常生活圏域の場で提供されるような体制をつくっていくということでございます。こういう方向で施策を進めているということでございます。
その中で有料老人ホームも住まいの一類型として位置づけられているわけでございます。資料2-2(PDF形式:61KB)と書いてありますが、まず有料老人ホームの概要だけ簡単にまとめさせていただいております。
「1.定義」でございますが、高齢者を入居させ、食事、介護、洗濯、掃除等、あるいは健康管理のうち、いずれかのサービスを提供している施設という定義でございます。
「2.行政の関与」でございますが、法律上、都道府県知事あてに届出を義務づけております。厚生労働省の方で国の指針としまして、有料老人ホーム設置運営標準指導指針を定めております。これを参考として各都道府県がそれぞれ指針を定めまして、それをベースに行政指導を行うのが基本となっております。後ほど触れますが、幾つかの事項については法律上、直接規制をかけている事柄がございます。
「3.設置主体」は株式会社、民間が中心でございます。
「4.有料老人ホームの提供する介護サービス」でございます。基本的に介護保険制度の中で特定施設入居者生活介護という類型がございまして、この指定を受けますと、言わば特別養護老人ホームと同じように、その施設の中に介護職員等がいて、入浴、排泄あるいは食事などのサービスを提供するということになります。
ですから、有料老人ホームは基本的には住まいの類型であると思いますが、この特定施設の指定を受けて介護保険制度の中のルールに従うということになりますと、施設としての意味合いも見れる。そういう意味で二面性がございます。
数の概要は前にごらんいただいたとおりでございます。
資料2-3(PDF形式:170KB)と書いてありますが、先ほど申し上げました定義が平成18年の老人福祉法の改正で拡大をされております。従来その改正前は人数が10人以上ということで、一定以上の人数ということに限定をしていたということ。サービスとして食事の提供を必須としていたということでございます。
これにつきまして、人数要件は廃止し、サービス提供につきましては4つのうちのいずれかのサービスを提供していることということで拡大をしたわけでございます。背景といたしましては、改正前の要件ですと、どうしても規制を逃れるホームが出てくるといった指摘がなされまして、網を広げる範囲を拡大したということでございます。
その裏側になりますが、同時に平成18年の改正で規制の強化を行っております。「従来」が左側、「18年度より」にございますように、例えば重要事項説明書の交付を義務化する。あるいは一時金の算定基礎の明示を求める。一時金の保全措置も法律上最大500万円ですが、これを義務化する。また、これは法律ではなくて指導指針でございますが、契約締結日からおおむね90日以内の契約解除の場合は前払金を返還する。こういった入所者保護の観点からの規制の枠組みの強化も行っております。
資料2-4(PDF形式:21KB)は先ほど申し上げました、厚生労働省の方で定めております標準指導指針の概要でございますので、ごらんいただければと思います。
個別の問題として冒頭、委員長の方からもお話がありましたように、1つは未届のホームが増えてきているという状況でございます。資料2-5(PDF形式:17KB)でございますが、平成18年に改正をして対象を広げたわけですが、そういう中で昨年3月に群馬県の渋川市にございます静養ホームたまゆらという施設で火災があって、10人の方がお亡くなりになったということでございます。
これは1.の(1)の中の「対応の経緯」に書いてありますように、群馬県で有料老人ホームに該当する可能性があるため、運営の実態を報告するように求めていたところに火災が起こったということでございます。
したがいまして、火災が起こった時点で届出がなされていたものではありませんし、その火災で建物自体が焼失したので有料老人ホームに本当に該当したかどうかについては、群馬県としては最終的に確認できなかったということになっております。ただ、外形的に見ますと、有料老人ホームに該当する可能性が非常に高かっただろうと厚生労働省としては考えておりまして、国会でもそういった答弁をさせていただいているところでございます。
こういった状況を踏まえまして「2.対応状況」の(2)にございますが、全国47都道府県に同様の状況があると当然考えられますので、まず緊急に実態調査を実施いたしました。これは昨年4月30日時点で状況を調べたというところでございます。それと併せまして、必要な指導をお願いした。
さらにその半年後の10月31日時点でフォローアップ調査を実施しております。その内容が資料2-6(PDF形式:106KB)でございますが、記者発表資料でございます。詳細は割愛いたしますが、ポイントとしましては、資料2-6(PDF形式:106KB)の1枚目の1でございます。緊急の調査で21年4月30日時点で未届のホームに該当し得る施設が446ございました。
それが一番下の欄になりますが、半年経って10月31日の時点では389に若干減っております。ただし、446の下にありますように、5月1日以降、新たに把握された未届該当施設が163でございまして、その一方で389の上にありますように、5月1日~10月31日までに届出をしていただいたものが176。こういった差っ引きでこれだけやっているということで、状況をフォローする中で、依然として未届に該当するものが見つかっているのが現状でございます。したがいまして、本年10月の時点で再度のフォローアップ調査を実施する旨、都道府県の方に通知をしているところでございます。
火災が起こりましたので、資料2-8(PDF形式:137KB)で国土交通省、資料2-9(PDF形式:388KB)で総務省消防庁の方でそれぞれ建築基準法ないしは消防法の関係で同様に未届施設につきまして、フォローアップ調査と併せて指導を行っております。国土交通省の資料を見ていただきますと、細かい資料で恐縮ですが、1枚目の「3.調査結果概要」にありますところのちょうど真ん中くらい、建築基準法令に関する違反を把握したものの件数の一番右側に割合が書いてあります。C/Bで63.9%、6割強。
総務省の方をごらんいただきますと、こちらは同様に表になっておりますが「未届の有料老人ホームに対するフォローアップ調査結果(概要)」で何らかの消防法令違反があるもの。21年10月の時点で68.7%で3分の2くらいといった状況でございます。
その一方で未届、小さいものがすべてそういう状況かと申しますとそうでもないということで資料2-10(PDF形式:243KB)で、これは佐賀県の資料でございますが、借用して載せさせていただいております。佐賀県の考え方としては、これは入居するものではない。泊まるものということで老人ホームではないという整理を佐賀県の方ではしておりますが「2 事業内容」の(3)にありますように、利用対象者として宅老所に高齢者を中心に生活をしていただく。提供するサービスとしては、通う、訪ねる、泊まる、送る、集うといった種々のサービスを組み合わせて、日常生活を健全に送っていただく。
その裏側を見ていただきますと、必要な改修等に対して県の方から補助をするということでございます。こういうふうに零細なところでも地域の方で工夫をして、非常にうまく活用しているところもあるという点を御留意いただければと思います。
資料2-11(PDF形式:200KB)ですが、実は先ほどのたまゆらは種々の問題があったわけですが、その中の一つとして入所者の相当数が東京の方であったということがございました。したがいまして、東京でこういったところに住むとしてもお金がかかるので、東京を離れて群馬県渋川の未届の施設でお暮らしになっていたと。こういったことも一つの課題として持ち上がりまして、東京都の方で猪瀬副知事を筆頭に対策チームを立ち上げて、その中の一つの項目として、軽費老人ホームについて、大都市の特例的なものを設けられないかという要請を厚生労働省の方にいただいたところでございます。
それを踏まえまして、都市型軽費老人ホームを今年度の予算で措置をいたしました。軽費老人ホームは根拠法令や対象者にございますが、社会福祉法人が主としてつくります比較的要介護の低い方で、一方で経済状況が厳しい高齢者のための生活施設というものでございます。
いろいろございますが、ポイントとしては設備基準にございますように、普通は軽費老人ホームは居室面積が21.6平米ですが、東京都の地価の実態等にかんがみまして、それを7.43平米、四畳半ということでかなり狭くしております。そういった対策も講じているところでございます。
最後になりますが未届ホームに加えまして、もう一つ大きな問題としては契約にまつわる問題でございます。これは「有料老人ホームにおける苦情について」ということで、東京都消費生活センター様の資料を借用させていただいておりますが、上位10並んでいるうちの1番、2番が解約なり返金というものでございます。
しかもこれは重複ありということだと思いますが、1番と2番を足していただくとその数字が全体の半分を常に超えているというのが現状でございまして、その大きな原因としては一時金の額の大きさや扱いというものがあるのだろうと思います。
それを前提で「有料老人ホームの一時金について」という資料を用意させていただいております。大きく一時金の保全措置の話と、契約の解除の際のいわゆる90日ルールについて書いております。一時金につきましては、先ほど平成18年改正のところで触れさせていただきましたように、算定根拠の明示、保全措置の義務化を法律上義務づけております。
省令の方で、いかなる名称であるかを問わずに家賃、施設の利用料、サービスの供与の対価として収受するすべての費用が一時金保全措置の対象となる。ただし、家賃6か月分を上限としての敷金を除くということを定めております。
保全の範囲ですが、同じく省令で500万円か返還債務残高かいずれか低い方の額、最大500万円ということにしております。
厚生労働省の告示でその保全措置としては、マル1~マル5を定めております。マル1、マル2にありますように銀行、金融機関あるいは一定の条件を満たす親会社の連帯保証。マル3にございますような保証保険。マル4にございますような金銭信託。マル5が民法34条により設立された云々とございますが、これは実質的には※にございますように、社団法人全国有料老人ホーム協会の入居者基金も該当するということで定めております。
90日ルールはここにありますように、法令上の定めではございません。厚生労働省の方で定めている指導指針としてのガイドライン的な位置づけではございますが、内容としましては契約締結日から起算しておおむね90日以内の契約解除の場合につきまして、前払金の全部を利用者に返還するということを定めております。
ただし契約解除日までの利用期間にかかる利用料、現状回復のための費用につきましては適切な範囲で設定し受領することは差し支えないということを併せて掲げております。
もう一つ、一時金のうち返還対象とならない部分が現状はあるわけでございますが、その部分の割合が適切であるということも、この指導指針の中に書いているところでございます。
資料2-12(PDF形式:21KB)13(PDF形式:20KB)といたしまして、一時金に関する法律あるいは省令、告示、ガイドライン、今ほど御説明しましたところが含まれているところが用意させていただいておりますが、説明は省かせていただきます。
資料2-14(PDF形式:70KB)ということで、これの出典は有料老人ホーム協会でございますが、一時金の額の推移をグラフにしたものを付けさせていただいております。一時金の額別にその比率をグラフで示しております。色が分かれておりますが、一番上の青とその下の紫までが500万円以上になります。平成11年度以前、介護保険法が施行される前に開設されたホームでは、こういったものが全体の6割を超えるような状況でございましたが、その比率は介護保険法の施行以降、平成12年度以降、大体その3割から最近では2割くらいになっている。その分、一時金が小さいホームが増えてきているということでございます。
ちなみに一番下の青の部分は入居一時金がないもの。現状開設されるホームにつきましては、2割を超えるくらいあるというデータになっております。ただし、上にその実数が書いてございますが、有料老人ホーム全体の数が非常に増えておりますので、実数で見まして、何をもって高額と言うか難しいのですが、例えば500万円以上のホームが実数として見て減っているというわけではございません。実数で見ると大体同じくらいと大づかみとしては言えるのではないかと思います。
その一方で、入居一時金がなしとか、あるいは500万に満たない一時金のホームの開設が実数としては大分増えているといった現状であろうかと思いますので、参考までに資料を付けさせていただきました。
以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。続きまして、消費者庁より御説明をお願いいたします。

○笠原表示対策課長 表示対策課長の笠原でございます。消費者庁におきましては、有料老人ホームにつきましては、特にその景品表示法に基づく表示の適正化ということで、移管前の公正取引委員会の時代から取り組んできたところでございます。
資料では付けてございませんけれども、状況を簡単にお話をいたします。かなり早期から有料老人ホームの表示については景品表示法を活用して取り組んでいたということでありまして、例えば平成5年は有料老人ホームの表示について実態調査を行いまして、これを踏まえて景品表示法違反のおそれがあると認められた事業者に警告を行うとともに、有料老人ホーム協会に対しまして表示の適正化、例えば提供する介護の内容に関するものであるとか、介護は24時間体制と表示をしていたけれども、実際にはそうでない等、問題になっているものを示した上で、パンフレット等の必要表示事項の作成を始めとする広告表示の適正化を要望したということでございます。
その後も随時問題のある表示については調査、措置を取ってきたわけでありまして、平成15年4月には3件の排除命令を行うということで厳正に対処してきたところであります。
ただ、この間の適用法上は景表法の一般則であります、いわゆる優良誤認表示あるいは有利誤認表示という枠組みの中でやってきたということで、適正化のためのは、よりきめ細かい表示のルールを定める必要があるということから、平成16年4月には景品表示法の4条1項3号に基づいて、有料老人ホームにおける不当な表示というものを指定いたしまして、どういうものが不当表示になるかということについて、土地、建物、設備、居室、医療機関との協力関係等々、この項目ごとに定めております。この指定につきましては資料3-1(PDF形式:20KB)にお付けしておるところであります。
また併せて、これについての運用基準を定めまして、どういう場合が明瞭に記載されていると言えるのか、あるいは言えないのかということについての考え方、解釈基準を示しているということであります。
その後におきましても事案によりまして、景表法の本則あるいは有料老人ホーム告示双方を使って、違反行為に対しては対処をしてきたということでございまして、現在までに9件の排除命令を行っている。告示以降で言っても6件の排除命令を行っているという状況でございます。
排除命令、警告を公表したものの概要につきましては、資料3-2(PDF形式:50KB)にまとめて付けておりますが、個別の事案の内容ですので、この場での説明は割愛させていただきます。
以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。それでは、ただいまの2つの説明につきまして、御意見、御質問がございましたら、お出しください。山口委員、どうぞ。

○山口委員 厚生労働省、御説明をありがとうございました。今日はこの問題についての第1回のヒアリングでございまして、いろいろ教えていただきたいところを中心にお聞きしたいのです。端的に言いますと、なぜ届出がこれほどなされないのかという点です。届出をすると恐らくいろいろな規制がかかってきて負担が重たくなるだろうと推測するのですけれども、本当にお金はないけれども、志の高い事業者の方がお年寄りのために施設をつくることはいいことだと思うんです。
かと言って、お金がないために危ない施設やサービスが行き届かない施設をつくって、そこでその悲惨な生活を強いられても、これはまた可哀相なわけで、そこら辺の均衡が取りにくいというのはよくわかります。老人福祉施設は増えた方がいい。これから高齢者がどんどん増えるわけですから、増えてもらわなければ困るという、いろいろな側面で難しいところがあるのはよくわかるのですけれども、そういうことを踏まえた上でこの無届出の老人ホームがなぜ多いのか。これをなくすための工夫として、どういうふうにしたらいいのか。そこら辺をどうお考えなのか。
先般もお年寄りが7名亡くなる火災事故がございましたけれども、要するにスプリンクラー設置をするのに、いろいろ要件があって、その要件の範囲外の施設だったということが言われているようです。他方、まさに耐震構造の小学校に全部改装したらいいのではないかと。そのくらいの景気浮揚策があってもいいのではないかという議論が強くあることを考えますと、いわゆる老人福祉施設にスプリンクラーを入れるのにせいぜい100万円かそこらだと聞いていますが、仮に2,000の施設に入れるとしても予算規模から言うと景気浮揚策として十分あり得る話ではないかと思います。そこら辺についてどのようにお考えで、何らかの措置を講じられていると思いますが、いつまでにどういう対策を講じられようとしているのか。とりあえず私の方からは、その点を教えていただければと思います。

○水津高齢者支援課長 今後の検討の方向なりは我々レベルで十分にお答えできないところもあるかと思いますが、まずお尋ねいただきました、なぜ届出が行われていないのかという点でございますが、特に先ほど御説明申し上げたフォローアップ調査の中で未届が多い都道府県を中心に電話ですけれども、状況を聞いております。
それによりますと、大きく2つほど事情があるようでございまして、1つは先ほどもありました建築規制なり消防法令の規制で違法な状態にある。ですから、その辺がきちんと改善されるように指導しながら、言わば福祉部局と建築部局あるいは消防部局が連携を取りながらやっている。それが整うまでの間、届出を受理するまでに時間がかかる。そういった事情があるようでございます。
その一方で、違反は違反状態でもいいから、まず届出を受理するんだという都道府県も中には相当あるのではないかと認識をしております。
もう一点は、届出をするに当たりまして、種々の書類ですね。例えば重要事項説明書なり、施設の概要なりを求めるのですが、正直に申しまして、そういった書類を整えるだけの実態が難しいという零細な施設も相当あるということを言う都道府県が多くなっております。大きくその2点かなと思っております。
未届をなくすための工夫ですが、先ほど御説明させていただきました厚生労働省、国土交通省の検討チームの中で、住まいということでございますので、賃貸住宅は基より有料老人ホームについても対策を検討していきたいと思っております。その中の一つの大きな課題として、こういった未届の施設に対して、どういうふうに制度を工夫し、その制度の下で公共団体の方が現場で指導を行っていただくのか。そういったことを案としてまとめて、両大臣指示のチームでございますので、政務三役の御判断をいただき、6月末くらいには公にできるようにしたいと考えております。
2点目にお尋ねがありました火災の関係ですが、昨月も札幌でグループホームの火災がありまして、7名お亡くなりになったというお話がございました。グループホームの場合には275平米を超える場合にはスプリンクラーの設置が義務づけられております。有料老人ホームとか特別養護老人ホームといったものについても同じような275平米という基準がございまして、それを上回る場合については先般の消防施行令の改正で設置が義務づけられておりますので、厚生労働省ではそれに併せまして、スプリンクラーの設置に対する補助制度を設けております。相当程度活用されておると認識をしております。
ただし、今般の火災でも明らかになりましたように、275平米をちょっと下回っているグループホームでの火災であったのです。そういうところに対して対策を講じなくていいのかという課題は当然大きな課題としてございますので、厚生労働省と消防庁と国土交通省建築部局で火災の後に早急に集まりまして、大臣、政務官にも御出席をいただいて、おおむね1か月をかけて、まず実態調査をする。先ほどのたまゆらと同じでございますが、実態調査をして、その実態を踏まえてスプリンクラーの設置も含めまして、どういう対策を取っていくか、三省共同で検討をしていくという形が現状になってございます。
以上でございます。

○松本委員長 ほかに御意見、御質問はございませんか。下谷内委員からどうぞ。

○下谷内委員 お伺いしたいのですが、資料2-11(PDF形式:200KB)を拝見しまして、東京都の苦情において表がつくられております。先ほど御説明にありましたように解約、返金についてが70件以上あるということで、これが一時金の返還の問題があるということをおっしゃっていらっしゃいます。
90日ルールがつくられたことは、私たち相談員にとってはとても希望が見えてきたとは思っておりますが、高齢者の方はその90日で云々と、亡くなったときの解約・解除の終了後90日以内より多少出る方もいらっしゃいますし、現実にそういう方もいらっしゃいます。そのときの対応がどうなっているのかということ。
私の記憶違いだったら教えていただきたいのですが、ただし書きのところに90日以内でも、もともと持っている疾病によるものに関しては返金しないというのがあったような気がするのですが、それはなかったでしょうか。ここに書いていないものでして、そのただし書きは現状回復費用を除いて返金するということになっていますが、私の記憶違いでしょうか。もともと持っていた疾病に関してはというのがありますので、高齢者でこういうところに入る方は、介護付きであればある程度の疾病があるのではないかと。

○廣瀬高齢者支援課長補佐 お答えいたします。最初の90日ルールを要は超えてしまって、90日以上経ってしまった場合についてですけれども、そこについては契約上の返金ルールが適用されるという形になってまいります。どこに線を引くかというような議論はあり得るとは思いますけれども、そういった形のときにトラブルになってまいりますのが、契約時にどれくらいお金が返ってくるのか。どこで退去したときにお金が返ってくるのかを入居者の方があまり認識しないまま契約されているケースが多いのかなと思います。
やはり入られるときは、そこでずっとお住まいいただける前提で入られる高齢者の方が多いと思いますので、そういった意味で途中で退去されるというリスクをお考えいただくのが現実としては難しいという状況がございます。
もう一つは、もともとの疾病というお話ですけれども、国のガイドラインの方にはそういった形では書いておりません。私も各都道府県のガイドラインが全部頭の中に入っているわけではないので、そういったところに書いてある可能性も否定はできないのですけれども、ひょっとすると契約書の方にそういった形で書いてあるということがあるかもしれません。
そこについては、要するに退去のときの要件ということだと思うのですけれども、どういったときに退去いただきますよということが契約書上書いてあるところが多いと思います。それにつきましても契約書には結局そういう退去の要件が書いていないにもかかわらず退去を迫られる。うちではお世話できませんというようなことが言われるケースですとか、契約書に書いてあることを後になって聞くケースという話も聞いてはおります。
そういった中でどういった形で契約時に、要はいろいろなリスクをしっかり御認識いただいて契約するということをどうやってやったらいいのかは一つの課題でございます。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 2つだけお伺いしたいと思います。資料2-4(PDF形式:21KB)の指導指針の概要の「6 施設の管理・運営」のところで一つお聞きしたいのですが、一番最後の行に「学識経験者、民生委員などの第三者評価など外部からのチェックを受ける」と書かれているのですが、実態状況はどの程度把握されているのか。もしおわかりだったら、教えてください。
もう一つは、こういう施設の中はいろいろな事故があると思うのですが、そういう高齢者の事故に関してはどういうような報告がされているのか。施設とか病院とかの事故は表に出てこないとよく言われているのですが、その状況はどうなっているのか教えてください。

○廣瀬高齢者支援課長補佐 お答えいたします。最初の学識経験者等のお話ですけれども、詳しくは付けていないのですが、ガイドラインの中では運営懇談会の設置ということがうたってございまして、その中で施設長、職員及び入居者代表により組織する運営懇談会を設けるという形で、それを運営していく。また、それに加えて施設の運営について、外部からの点検が働くように施設関係者及び入居者以外の第三者の立場にある学識経験者や民生委員などを加えるように努めることとさせていただいているところでございます。
介護施設といったものにつきましては、そこで起こっていることが第三者から見て大丈夫かということを確認することが重要でございますので、こういった文言を入れさせていただいているところでございます。
実態につきましては、こちらのガイドラインでございますので、都道府県の方で実際に運用を行っていただいておりますので、要はこれが努力義務という形で書かせていただいておりますので、どこまで指導いただいているかというところは、現時点ではわかりません。
もう一つの事故につきましても、ガイドラインの中では緊急時の対応につきまして、事故や災害及び急病や負傷に迅速かつ適切に対応できるように具体的な計画を立てていくということを求めておりますし、そういった形で事故の対応ができるように位置づけている形ではあります。
そういった形でもし事故とかが発生して、それが運営に直接つながるようなものでありましたら、それは都道府県の方からその改善を求めていくという形で広範な指導がされる形になります。

○佐野委員 事故の報告義務とか、そういうことは一切ないんですね。火災とかそういう大きなものではなくて、いわゆる高齢者の事故。家庭でもよく事故がありますけれども。

○水津高齢者支援課長 今のお尋ねは、建物あるいは施設の中での事故ということだと思うのですが、有料老人ホームに限らず、特別養護老人ホームを含めまして、なかなか実態として難しいところがございます。転倒事故はかなり多いようですが、医療をする病院とは違いまして、介護をすることなので、例えば転倒の場合に介護のやり方の問題で転倒をしているのか。あるいはそれほど要介護の重くない方で普通に歩いていて転んだのかとか、まず事故の類型というか、定義というか、そういうところが非常に難しい。
報告をする際にフォーマットが今、決まっておりませんので、どういうフォーマットで報告をしたらいいのだろうかと。したがいまして、特別養護老人ホームを中心としてという形で実態上はなっているのですが、事故の実態を少し調べるということ。その結果に基づきまして、報告をする類型なりフォーマットをどうしていったらいいのだろうか。こういうものを昨年度から2年間の予定ですけれども、健康増進事業という調査事業で予算を使いまして、今、調査をしている最中でございます。
したがって、その成果がある程度きちんとしたものが出てくれば、特別養護老人ホームだけではなくて、ほかの施設につきましてもそういうものを活用して、ある程度具体的に都道府県なりが指導するためのガイドラインというか、参考というものを国として提供していけるのかなと考えております。

○松本委員長 櫻井委員、どうぞ。

○櫻井委員 まず単純な質問で資料2-2「有料老人ホームの概要について」(PDF形式:61KB)という資料ですが、設置主体については株式会社の場合もあるということですが、全体の中の割合を教えていただければということと、4で介護保険制度を使う特定施設入居者生活介護をする施設があるということだったのですけれども、これは5の有料老人ホーム数の推移ですと、今だと4,373あるということですが、そのうちこの介護保険がどのくらい使われているかという割合を教えていただきたいと思います。

○廣瀬高齢者支援課長補佐 お答えさせていただきます。1つ目の設置主体につきましては、株式会社と有限会社を合わせまして、正確な数字ではないのですが8~9割くらいが民間企業という形になっております。
もう一つ、特定施設入居者生活介護ですけれども、資料2-1(PDF形式:304KB)の4枚目に高齢者向けの住宅と施設のストックの現状という縦に詰まれたものがございまして、そちらの方に右で横出しで有料老人ホームのうち、その特定施設入居者生活介護に相当するところの、これは定員数で恐縮ですけれども、20万のうち15万ということで大体75%くらいが特定施設入居者生活介護の指定を受けているという状況でございます。

○櫻井委員 介護保険法の法改正の従来の状況を見ると、当初は緩い条件で参入できるとされながら、悪質な事例が認識されると事業者規制を強化していくという顕著な傾向がみてとれます。前回の改正もそういう側面がありましたが、特定の事件を契機にして規制を非常に厳しくするというなかで、現在は事実上の許可制のような感じになっていると思われます。
しかし、そうすると担い手がいなくなってしまうという問題があって、コムスン事件のときに大変印象的だったのは、規制強化をするのはいいのだけれども、改正するその過程の中でそんなことを言っても、そうすると特定の事業者が撤退することによって具体的に利用者の方が不都合が生じるという声がむしろユーザー側からあがり、それが立法の過程に反映されるような形で、規制の強化一本で最初は行くつもりだったんだけれども、ゆり戻したという経過があったことです。
そうすると、老福法の届出も事件があると行政規制をかけようということになりがちなのですが、そこはそうはいかないという、特に規制を強化していくという感じでも制度レベルではなくて、かつ介護保険法がありますので、そこでのいろいろな指導等もあり得るということで、そんなに顕著な弊害は必ずしもないと受け止めていいような感じもないでもない。実際の扱いはなかなか難しいし、株式会社が入ってくればいろいろなことをされるので、いい面と悪い面と両方あると思うのですが、これをどう扱うかというその辺りの御感触がどうかということをお伺いしたい。
資料で老福法の条文の番号が違っているような気がしました。2-3(PDF形式:170KB)です。18年以降、どこか変わったんですか。29条の3項とか4項とか書いてあるのは、1つずれているような気がしますが、私が持っている条文と違うので、どうでしょうか。

○水津高齢者支援課長 最初のお尋ねの件ですけれども、コムスン事件を契機としてコンプライアンスをきちんととらえるようにということで改正をいたしております。有料老人ホームを含めまして、その施設関係につきましては介護保険法上、そういったコンプライアンスとはまた別の枠組みがございまして、保険者である市町村が基本的に3か年間でどれくらいそういった施設系に入所する方を予定しているのかを計画ベースで定めております。その計画を超える場合には、こういった施設系のものについて指定を拒否する権限を法律上与えられております。
したがって、そういった背景の中で有料老人ホームなり一定程度、計画で定めている需要を満たすだけの供給がなされれば、指定がされないということがある。そういった意味での言わば参入上の制約というものはあろうかと思います。法令遵守的な意味での制約はそんなにないというのは、最初に御指摘のとおりと認識をしてよろしいのかなと思っております。
今後のそういった規制の在り方ですが、これはまさに6月までに我々と国土交通省で連携をして検討して課題を整理して政務三役の御判断を仰ぐことになると思うのですが、正直に申し上げまして、有料老人ホームも非常に昔ながらの高額所得者向けのホームから未届まで多種多様ですから、そういうものを十把一絡げにして、とにかく規制強化なんだという方向には、普通に考えて行かないのかなと。私の個人的な現時点での見解ですけれども、そういうふうに思っております。

○廣瀬高齢者支援課長補佐 条文の件ですが、大変申し訳ありません。こちらは古い資料を使ってしまいました。コムスン事件にかかる改正のときに老人福祉法の有料老人ホームにつきましても改正がありまして、事業を廃止する場合、休止する場合については1か月前までに届出をするというようなものが昨年5月1日から入っております。その前の資料を使ってしまいました。修正して差し替えさせていただきます。申し訳ございません。

○松本委員長 ほかにございませんでしょうか。1点だけ90日ルールがどのくらい普及しているのかという辺りはおわかりでしょうか。これは行政指導だから、従わない事業者がいてもどうしようもないという状況だと思うのですけれども。

○廣瀬高齢者支援課長補佐 その辺りは全部把握しているわけではありませんけれども、基本的には90日ルールに関しましては都道府県で指導指針をつくっていただいて、そちらに基づいて指導をしていただいている状況ですので、しっかり指導が行われていれば、要するに業者側に90日ルールは盛り込みませんとはなかなか言いづらい状況ではございますので、指導は適切に行われているのではないかと思います。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 今のことにも関連するのですけれども、実際の約款というものはほとんど掌握されているのですか。やはり解約トラブルがすごく多いのですけれども、約款を見ますと本当にいろいろですよ。途中で何日以内、何年以内なら幾ら、何%を償却するということがよくトラブルになるのですが、そもそも重要事項説明の交付義務とか、こういうのは法律には書いてあるのだけれども、実際に入る人と施設の契約内容、約款、契約条項は全部把握されているのでしょうか。そこが一番問題のような気がします。

○水津高齢者支援課長 基本的には法律上の仕組みとしては、都道府県知事が届出を受理するとなっておりますので、一件一件につきまして、その届出の書類を審査した上で受理をするということになっていると思います。
ただし、実態として先ほども説明させていただきましたように、世間で有料老人ホームという言葉から連想するようなものと未届まで非常に幅が広い。その未届的なものの届出を受理する際には正直に言いまして、そのガイドラインどおりに100%そろっているか。そこまでは確認をしないで、ある程度は目をつぶって、まず届出を受理した上で必要な指導をしていくという形で対応している都道府県も相当数あると思っております。

○松本委員長 ありがとうございました。山口委員、どうぞ。

○山口委員 基本的なところだけもう一回教えてほしいのですが、要するに登録した老人ホームについて、法律上この保全措置を講じなければ、法39条で6か月以下の懲役または50万円以下の罰金になるわけです。では、登録しないでやっている事業者については、この罰則はないということになるわけです。あるいはそのような登録をしないで、とにかく始めた事業者についてはどうなるのか。現実に29条の罰則は発動されたことがあるのかどうか。そこを教えてください。

○廣瀬高齢者支援課長補佐 お答えさせていただきます。一時金の保全につきましては、届出の有無にかかわらず、有料老人ホームであれば法律は適用されます。ですので、未届であっても例えば一時金を取って保全していないですとか、もしくは根拠がないですとか、そういう場合は問題があるという形になります。
もう一つの罰則の発動ですけれども、それにつきましては、私どもでは把握しているものはございません。

○水津高齢者支援課長 把握はしていないということですが、聞いたことがないので、恐らく実際にはないのだろうと思います。そういうことがあったということは聞いておりません。

○松本委員長 よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。厚生労働省、消費者庁におかれましては、本日の議論を参考にして、今後の取組みを推進していただきたいと思います。消費者委員会といたしましても、この問題は大変重視をしておりまして、引き続き情報収集を行いつつ、議論を行っていきたいと思っております。本日はお忙しい中、当委員会の審議に御協力をいただきまして、誠にありがとうございました。

≪4.架空請求について≫

○松本委員長 それでは、次の議題に移らせていただきます。次の議題は「架空請求メールについて」でございます。架空請求メールに関する通報が消費生活センターに多数寄せられているという現状がございます。
本日は東京都及び総務省においでをいただき、架空請求メールへの自治体における取組内容や把握されている状況、関連する法律等について御説明をいただき、それらを踏まえて議論を行いたいと思います。なお、消費者庁からも引き続き表示対策課においでいただいております。 それでは、まずは東京都に御説明をお願いします。

○千葉取引指導課長 東京都生活文化スポーツ局消費生活部取引指導課長の千葉と申します。私どもの架空請求対策につきまして御紹介させていただきたいと思います。それでは、資料に沿ってお話をさせていただきます。
まず資料4(PDF形式:171KB)としてお手元に1枚A4判の資料がございます。これは私ども東京都におきまして、架空・不当請求の対策として行っているものの概要的なものでございます。この資料の中の上の段が私どもで現在行っている架空請求対策に関するいろいろな項目でございます。下にはこれまでの架空・不当請求に関します相談状況等についての表と21年度に取り組みました違反認定等の数字の状況を書かせていただいております。
架空・不当請求に関しましては皆さん御記憶にあろうかと思いますが、平成16年に大変爆発的に相談が増えたということがございました。その16年度の状況を受けまして、私ども東京都におきましては、平成17年3月に架空請求110番という相談電話の窓口と架空請求の専用サイト、これは消費者の方たちに私どもへ通報していただくような内容を持ったものですが、その専用のサイトを設置してございます。
上の段の図でございますけれども、まず都民に対して架空請求、悪質な事業者から請求のはがきであるとかメールであるとかいったものが届きます。そうしたときに都民の方々は基本的にはセンターへ相談される方が大変多いかと思いますけれども、メール等で受け取られた場合に私どものサイトに直接通報いただけるようにということで、このホームページのURLを用意しているということでございます。
この内容につきまして、例えば、相談として私どものセンターの架空請求専用相談電話で受けた場合には、通常は受けた相談員が架空請求に対しての対応等を御説明しながら、例えば証拠品等があればはがきのようなものといったものは収集していただいて、それを私ども消費生活部に伝達していただくという形になります。
架空請求専用サイトに対しましては、実際に不当に行われておりますサイトであるとか、こんなメールが来ましたという通報が多々送られますので、それらにつきましては架空請求メールと架空請求のサイトという形で分けて、私どもは対応をしております。
これらの請求についてでございますが、都には東京都消費生活条例がございまして、この25条に不適正な取引行為に関する禁止項目がございます。この条例を使いまして、これらのはがきやメール、サイトにつきまして、条例違反を確認するという作業をいたします。はがきにつきましては基本的にその文面上に事業者名や文面、請求の内容といったものが出ておりますので、その事業者が実在するか、その事業者の住所が実在するかといったことを調査しながら、まず第1点としては、私どもから直接事業者に文書による警告をいたします。
口座凍結というところがありますが、残念ながら最近はほとんどないのですけれども、振込先の口座が書かれていたような場合には当然のことながら、金融機関にその口座の内容についてお知らせし、凍結等の要請をさせていただいております。はがきにつきましては、そのくらいしかできない状況ではあります。
一方で都民や警視庁等に対しては、そういった架空請求が行われている事業者の名前であるとか、私どもが把握した情報については速やかに情報提供をさせていただいているところです。
架空請求メールに関しましては、これは携帯電話を使うものとPCのアドレスを使って行われるものの二とおりがございますけれども、これらにつきましても内容を確認の上、先ほど申し上げました条例25条を使って、違反と認定した事業者に関しましては、住所がわかっているものについては文書で、メールアドレス等しかわからない場合にはメールで、必ず事業者に対する警告をするようにしております。
ただ、これも私どもが事業者に警告を発することによって消費者の情報、その消費者のアドレスが使われているとか存在しているということが事業者に伝わってしまうおそれがあるような場合には、残念ながら警告を控えているところはございます。口座があった場合には、はがきの場合と同様に銀行に凍結要請をしております。
また、PCを使っているような場合には、ほとんどの場合、アドレスが偽装されているということがあって、なかなかプロバイダに到達することはできません。ということで、今ここではプロバイダへの対応は書いてありませんが、実際にわかった場合には対応をお願いさせていただいているところです。
あとは携帯電話によるものですが、携帯電話によるものは基本的にアドレスでどの携帯電話かということは大体わかりますので、これも偽装されている場合があり得るとは聞いておりますけれども、携帯電話会社にこれらについての対策を要請するということをさせていただいております。また、あわせて、都民や警視庁に対する情報提供も同様にしております。
また、架空請求サイトに関しましては、通報されたサイトを確認した上で事業者に対する文書警告等を発しているところです。また、サイトの場合は私どもが警告をした後で1週間程度、相手方の改善の機会を持つということにいたしまして、1週間ほど時間を置いた後、改善が見られない場合には、プロバイダへの削除要請や都民への情報提供等をしているところでございます。
昨今の数字はどういう状況かということでございますが、16年度から平成21年2月までのデータということで、ここに通報件数やセンターへの相談件数を入れさせていただいております。これは確かに最近では減ってきているというところはございますが、私どもが把握している部分だけでも月1,000件を超えるような状況は変わっておりませんので、そういった点では何らかの対策は続けていく必要があると思っているところでございます。
こちらの右側の表では条例違反に認定したものについては、どのような対応をしているかを数字で書かせていただいております。先ほど来申し上げているような状況もございまして、すべての事業者に文書警告を発するということはできない状況でおりますけれども、できる限り直接的に事業者に対する警告を発し、口座がわかっているものについて金融機関に対してお願いをし、関係機関に対して対策の要請を行いながら、私どものホームページ等で消費者に対する情報提供をさせていただいているということでございます。
なお、最近の私どもが把握している架空請求についての特徴といたしまして、一番下の欄に少し書かせていただきました。携帯電話による架空請求がほとんどだということがございます。携帯電話の中では、私どもの方ではeメールが多いという傾向がはっきりしてございます。また、文面が非常に巧妙でございまして、威迫する、脅かすような文面はたくさんあるのですけれども、何にどう使ったというような内容は非常にぼかしてあるところがあります。要するにこの架空請求に関しましては、多分事業者の側が消費者に連絡をさせて、当然そこで金員の要求ないしはいろいろな要求をするのかもしれませんが、それと同時に多分情報を取るというところが彼ら側の主眼としてあるのではないかと思われるところがございます。
私どもとしては、こうした架空請求が大変多いと思っておりますので、消費生活条例を活用しながら、いろいろな対策をしているところですが、消費者に対しても情報の広報、周知等もずっと続けてきているところでございます。
ですが、実際の事業者指導は非常に難しい。相手方にたどり着けないという現実がございます。一方では請求はなかなか減っておりませんし、消費生活センター等に寄せられる相談の中でも、例えば東京都の数から言えば2割近い数字はまだあるという状況でございます。受け取った消費者がセンターに相談したり、私どもに通報してくださっているということであればよろしいのですが、もし連絡を取っていたりすると金銭的な被害というだけでなく、個人情報の流出も想定としてはありますので、何らかの対応が要るだろうと思っております。
現在、迷惑メールに関しましては特定電子メール法がございますけれども、これは広告宣伝メールが対象ですし、また、携帯電話不正利用防止法は、これは携帯電話の音声が対象であるとか、今、問題となっている架空請求については、直接的な規制をできるような現状となっているところではないと、私どもとしては、受け止めております。
相談件数は確かに減ってきてはおりますけれども、まだまだ被害は続いていると認識しておりますので、今後とも私どもとして、できる限りのことは取り組んでいきたいと考えているところです。雑駁な説明で申し訳ありませんが、以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。それでは、続きまして、総務省より御説明をお願いいたします。

○大村企画官 ありがとうございます。総務省消費者行政課の大村と申します。架空請求、不当請求の中の架空請求メールの関係について御説明をさせていただきます。資料5(PDF形式:509KB)をごらんください。
ページ数を振ってございませんが、1ページ目、表紙の裏のページでございます。私どもでは電気通信消費者相談センターというものを設けまして、電気通信サービス関係の苦情相談を受け付けてきております。総務省本省でセンターを設置するとともに、各地方の総合通信局等で同様の形で御相談を受けています。
1枚目のグラフですけれども、そのセンター及び総合通信局等で受け付けた苦情相談の件数で年度の推移になります。全体として増減がありますが、大体1万件前後の相談を受けているということでございます。
次のページに行っていただきまして、その中でどういう苦情相談が多いのかを各年度上位5番目までをお示ししたものがこの表でございます。ごらんいただいてわかりますとおり、黄色のマーカーを塗ってございますが、2004~2006年度までの期間につきましては、架空請求、不当請求関係が相談の1位になっておりました。しかし、その後この関係は、東京都さんの資料にもあったと思いますが、数としてはかなり減ってきています。
その架空請求、不当請求関係の相談の実数が次のページにございます。こちらは総務省本省のセンターで受け付けた苦情相談件数ですが、これは東京都さんと同様の傾向ですが、2004年度で爆発的に苦情相談が寄せられて、全体の3分の1強が架空請求、不当請求関係でございました。しかし、その後、件数としてはごらんのとおり徐々に減ってきているということでございます。直近速報値ですが、2009年度は約300件となっております。
これに対して、総務省はどのようなことを行っているのかということですが、周知活動をかなり重点的に行わせていただいているところでございます。その例を次のページ、またその次のページでお示しさせていただきました。
まず次のページですが、総務省では毎年度利用者向けの注意喚起のためにリーフレットを作成してございます。このリーフレットは2010年度版は10万部程度印刷、配付する予定になっているのですが、この中で架空請求、不当請求関係について関係の記述を見開きで記載させていただいているところです。
全体として右側のページのタブをごらんいただきますと4つございまして、2~4番目がカテゴリーごとに、携帯電話・PHS関係、インターネット関係、電話サービス関係となっていますが、一番上のタブはよくある御質問ということで、パケットの高額請求問題など、よくある御質問について見開きで4つほどまとめさせていただいているのですが、そのうちの1つとしてQ&Aをお示しさせていただいているところでございます。
次のページに行っていただきまして、これだけではなくて、随時センター及び総合通信局等に寄せられた苦情相談を分析しまして、基本的には年に1回その内容を公表してございます。その際にどのような苦情相談が寄せられたのか、どういうものが多かったのかということだけではなく、どういうことに注意すべきなのかということも併せて公表させていただいているところです。
直近ですけれども、通常は年に1回、6月くらいに公表しているのですが、かなり電気通信関係は御相談が多いということで、昨年度につきましては12月の冬休みに直前に、よく寄せられる苦情相談をまとめまして、冬休み前に気を付けていただくべきこととして、報道発表をさせていただきました。
その中の1つの項目として、架空請求、不当請求について注意喚起をさせていただいたところでございます。これはどういう相談事例があるのか、受けたときにどうすればいいのかという対処法をまとめたものでございます。
次のページ以下は御参考までということになろうかと思いますけれども、先ほど東京都さんから御説明がありましたように、最近、携帯電話でもショートメッセージではなくて、eメールでの架空請求、不当請求が増えている、ショートメッセージですと電話番号で送れるということで、かなりランダムに送りやすいのではないかという一方で、eメールですとなぜメールアドレスが知られたのかわからない、どうして送られてきたんだというような御質問が結構ございます。それはどういうことなのかを説明したのが次のページとその次のページにございます。これは架空請求、不当請求に特殊なものというよりは、迷惑メール一般についてよく行われているものでございます。
まず1番目に、メールアドレスとして利用することが可能な文字列は英数字小文字の文字列になっていますので、ランダムに作成をして適当に送ってみることによって、エラーが返ってくるか返ってこないかで存在するアドレスであるかどうかを確認する、いわゆるハーベスティングということが行われております。これによって存在しているメールアドレスリストをつくり、そのリストに基づいて送信することが行われています。
次の方法として、懸賞サイト、占いサイトなど無料のサイトで登録を促すようなことを行いまして、そこで登録をされたアドレスをリスト化して使っているということがございます。
次のページに行っていただきまして、3番目にブログなどを開設している方などでは、連絡先として自分のメールアドレスを公表している方がいらっしゃると思います。こういうものを機械的に集めることを行って、それでリストをつくっていくということが行われております。
4番目ですけれども、ウイルスソフトを使って、ウイルス感染したパソコンから、メールアドレスに限らないのですが、個人情報を送信させることによってリストをつくるということも行われているようでございます。
最後に、そのようにしてつくられたリストが売買されているというお話もございまして、自分で以上のようなことをやるのではなくて、リストの売買が行われているところで、リストを入手してくるということも実際に行われているという話がございます。
次のページでございますが、これは不当請求、架空請求のメールあるいはそれ以外の迷惑メールの例で、さまざまなものがございます。例を示させていただいたものでございます。
最後の3枚。携帯事業者さんの方で周知活動は当然行っていただいているのですが、周知活動だけではなくて、迷惑メール対策として使うことができるサービスをもろもろ提供していただいています。その概要を簡単に御説明させていただきます。
まず1つが迷惑メール対策として提供されていますメールのフィルターです。使っていらっしゃる方はフィルターによってはかなり多いのですが、受信したいメールアドレスなどを指定して、それ以外のメールは拒否するという設定ができたり、受信したい携帯のドメインを指定して、それだけ受信するようにしたり、あるいは逆に受信したくないメールアドレスを指定して、それを拒否したり、最後に一番下に書いていますが、携帯電話のアドレスになりすましているメールやパソコンからのメールなどを拒否したりというようなサービスが提供されているところでございます。
また、メールではなくて電話になるのですが、次のページは迷惑電話の対策として、電話帳に登録した相手からの電話だけを受けるようにするということや、受けたくない電話番号を登録して着信を拒否すること、また、非通知でかけてきた電話の着信を拒否するようなこと、こういうサービスが提供されているということでございます。
最後にこれはメールを受けた後の動作になろうかと思いますが、出会い系サイトなど有害なサイトへの接続を拒否するフィルタリングサービスというものが提供をされております。御存じのとおり、ホワイトリスト方式で健全なサイトだけをリスト化して、それ以外は見られないというような方式と、有害なサイトをリスト化して、そのブラックリストに載っているサイトは見られないようにするブラックリスト方式の2つの方式があるところでございます。
御説明は以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。それでは、ただいまの2つの報告につきまして、御意見、御質問がございましたら、お出しください。中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 先ほどの東京都の説明で、この相談件数は実際に架空メールに対して返信して、お金を取られたという被害まで行った人の件数で書いてあるのか。それとも、そこまで行っていないので書かれているのでしょうか。

○千葉取引指導課長 これは棒グラフの部分は東京都域の消費生活センターで受けている御相談すべての件数ですので、必ずしも被害を受けた方だけということではございません。センターで被害を受けた方の御相談をお受けした場合には、これは詐欺になりますので、警察等を御紹介すると聞いております。
ピンク色の都民通報制度という部分の件数は通報制度に通報していただいた方の件数で、むしろそういう方たちは自覚を持って通報してくださっていますので、被害の前だということだと思います。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 総務省と消費者庁は、たしか3月18日に連名で注意喚起をお出しになりましたね。携帯電話を買うときの注意とか、その相談件数で総務省の相談センターにいっぱい入っているから、皆さん気を付けましょうみたいなメッセージをお出しになったと思うのですが、その中でパケット料金とか契約の仕組みについての警告がかなりあったのですが、今、我々が問題にしたい架空請求メールに対して、新学期を迎えた若い、新たに携帯電話を持つような人に対して、こういうことを注意しなさいと。
先ほど東京都がおっしゃっていたように、まず返信などは絶対にするなとか、こういう入り口での被害防止策が3月18日の共同の注意喚起には全然出ていなかったと思うのですが、こういう聞き方をしては悪いかもしれませんが、どうしてせっかくのそういうチャンスに架空請求被害を防ぐような広報をなぜしなったのですか。

○大村企画官 まず事実としては、おっしゃるとおり3月18日の共同での合同発表の中には、この関係は含まれておりませんでした。総務省としましては、先ほど御説明させていただいた資料にございますとおり、12月18日にまとめて発表させていただいた注意喚起の文章の中でこの関係は入れさせていただいたと思っております。
ただ、当然のことながら1回注意喚起をすればいいということではなくて、繰り返し注意喚起させていただくことは重要だと思っておりまして、機会ごとにこういう内容は入れておくべきではないかとは考えおります。3月18日の報道発表につきましては、特にこのときには販売の方法、代理店での支払いの方法等に焦点を当てた報道発表にしようということで、消費者庁さんと御相談をして発表させていただいたので、それが入っていなかったというのが事実でございます。

○笠原表示対策課長 非常に縦割り的回答で申し訳ございませんけれども、表示対策課は特電法の執行ということでございまして、そちらの注意喚起は別の担当の方でしております。今の御指摘につきましては申し伝えて、また今後の対応に生かすようにしたいと思っております。

○松本委員長 先ほど東京都の方から、最後の方で指摘されました法律上は適用できる適切な法律がないと。迷惑メールと言えば迷惑メールだけれども、特定電子メール法でいうところには入らない。携帯電話の本人確認法の関係は音声によるものしかカバーしていないということで、ちょうど法律のエアポケットのような状況になっている結果として、あとはもう刑法上の詐欺の方で警察にやってもらうか、あるいはこういう注意喚起で防止に努めなければならないという状況のようですけれども、総務省としてはその辺の法律的な対策については何かお考えでしょうか。

○大村企画官 事実としまして御指摘のとおり、特定電子メール法は広告宣伝メールが対象でございますので、このような形での請求のメールは対象にはなっていないということでございます。また、携帯電話不正利用防止法は法律のタイトルにもございますとおり、音声通話が対象ですので、データ通信については対象になっていないということで、これも御指摘のとおりだと思っております。
やはり御指摘がありましたとおり、この関係は刑法での詐欺あるいは詐欺未遂が現行法で記述されているものとしては考えられるのではないかと考えているところでございます。

○松本委員長 ほかに御意見や御質問はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、東京都、総務省、消費者庁におかれましては、委員から厳しい意見はあまり出なかったかもしれませんけれども、議論を参考にして、引き続き取組みを推進していただきたいと思います。消費者委員会といたしましても引き続き情報収集を行いつつ、議論を行っていただきたいと思っております。本日はお忙しい中、審議に御協力をいただきまして、ありがとうございました。

≪5.閉 会≫

○松本委員長 さて、本日の議題は以上でございますが、後ほど、福島消費者行政担当大臣、大塚金融担当副大臣を訪問いたしまして、最初の議題で扱いました未公開株等投資詐欺被害対策の提言をお二人の大臣、副大臣に提出する予定としております。
また、17時30分あるいは45分くらいになるかもしれませんが、目途に消費者庁の記者会見室において記者会見を行う予定にしておりますので、お知らせをいたします。
最後に事務局より次回日程について、どうぞ。

○原事務局長 どうもありがとうございました。次回は4月23日金曜日の15時からを予定しております。地方消費者行政の専門調査会を立ち上げるということに向けて、地方消費者行政についての議論と消費者教育についてヒアリングを行いたい。これはまだ予定ですけれども、そのように考えております。
以上で今日は終わりということでお願いいたします。

○松本委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)